クトゥルフ神話TRPG 目次
胎響の村 一覧
KP
実に十月十日を、この異様な場で母子として過ごしていたことを知ってしまったあなた達は……、
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D5》。
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D5》。
牧志 浩太

不定基準値はこの直前でリセットしてよい。
1d100 46 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 84→失敗
1d5 Sasa 1d5→5
SAN 46 → 41
1d100 46 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 84→失敗
1d5 Sasa 1d5→5
SAN 46 → 41
KP
おっとお腹の中で一時的発狂だ。まず【アイデア】ロール。
佐倉 光
人の腹の中で発狂しないでwww
牧志 浩太

1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 4→決定的成功(クリティカル)!
佐倉 光
あーあ
KP
あーあ、自分が佐倉さんの腹の中で十月十日を育ってきた、ということの異様さをめちゃめちゃ理解した。
佐倉 光

1d100 57 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 9→成功
SAN 57 → 56
SAN 57 → 56
佐倉 光
良かったダブル発狂は免れた
KP
牧志は短期表で種別と期間を決定。
牧志 浩太

1d10 種別
Sasa 1d10→5
1d10+4 期間 Sasa 1d10+4→ 10+4→合計14
Sasa 1d10→5
1d10+4 期間 Sasa 1d10+4→ 10+4→合計14
KP
その場に釘付けにしてしまうような極度の恐怖症か。
佐倉 光
恐怖症か。良かった割と害のないヤツで。
KP
腹の中で6番発狂しなくてよかったですね(?)
佐倉 光
異食症なんて出したらどうなっていたんだ。お手々をしゃぶるのか!?
6はやっぱり臍の緒で自殺を図るの? 止めようがないからやめて欲しい。
6はやっぱり臍の緒で自殺を図るの? 止めようがないからやめて欲しい。
KP
本当にそれ。>止めようがない
異食症だったらお手々しゃぶってたかも。
異食症だったらお手々しゃぶってたかも。
KP
あとクリティカル効果を差し上げましょう。
牧志は腹の中で過ごしていた日々のことを「思い出して」しまいます。
時間の感覚は曖昧ながら、幸せにまどろみながら過ごすそれは確かに、一日よりもずっと長い時間でした。
牧志は腹の中で過ごしていた日々のことを「思い出して」しまいます。
時間の感覚は曖昧ながら、幸せにまどろみながら過ごすそれは確かに、一日よりもずっと長い時間でした。
牧志 浩太

「そ、そんなの、そんなわけ」
一瞬、腹の中で牧志がぴたりと動きを止めた。
直後、腹がぶるぶると震えだす。
牧志がわなわなと身を震わせているのだ。
一瞬、腹の中で牧志がぴたりと動きを止めた。
直後、腹がぶるぶると震えだす。
牧志がわなわなと身を震わせているのだ。
牧志 浩太

「そんな、そんな、そんな」
動きを止めたのはいいが、腹がぶるぶる震えて気持ちわるい。
牧志の声がよほどの衝撃で震えている。
動きを止めたのはいいが、腹がぶるぶる震えて気持ちわるい。
牧志の声がよほどの衝撃で震えている。
佐倉 光

「おい、牧志? どうした?」
佐倉 光

「大丈夫か? おいって」
腹が張って痛い。
腹が張って痛い。
佐倉 光

「何だよ……現実だったっていうのか……?」
牧志 浩太

「お、おれ、そうだった、いた、ここに、いた、いた」
途切れ途切れに言いながら、牧志は身を震わせる。
途切れ途切れに言いながら、牧志は身を震わせる。
KP
牧志は数分間ずっとその状態だ。
〈精神分析〉を試みる?
それか、腹が張って痛むのを堪えつつ、牧志が我に返るまで待ってもよい。
〈精神分析〉を試みる?
それか、腹が張って痛むのを堪えつつ、牧志が我に返るまで待ってもよい。
佐倉 光

「すみません、ちょっと腹が張って。少し待ってもらえますか」
少女に声をかけて、牧志にゆっくり語りかけよう。
そしてふと、もう何ヶ月もこんなことをしていたのかも知れない、と複雑な気分になりながら〈精神分析〉だ!
ゆっくり話しかけながら腹を撫でて落ち着かせようと試みる。まるで『母親』のように。
少女に声をかけて、牧志にゆっくり語りかけよう。
そしてふと、もう何ヶ月もこんなことをしていたのかも知れない、と複雑な気分になりながら〈精神分析〉だ!
ゆっくり話しかけながら腹を撫でて落ち着かせようと試みる。まるで『母親』のように。
KP
〈精神分析〉で判定!
佐倉 光

1d100 47〈精神分析〉 Sasa 1d100→ 61→失敗
牧志 浩太

まるで『母親』のように外から腹を撫でる手は、牧志を更に混乱させた。
KP
「ああ、大変」
少女があなたの腹に触れようとする。
触れられれば……、収まりはするだろう。
先程の事態が分かっているので、避けること自体は判定無しで可能だ。どうする?
少女があなたの腹に触れようとする。
触れられれば……、収まりはするだろう。
先程の事態が分かっているので、避けること自体は判定無しで可能だ。どうする?
佐倉 光

「すみません、それはちょっと」
言いながら避けよう。
もう一度洗脳されて、無事出産までつつがなく、なんて考えたくもない。
言いながら避けよう。
もう一度洗脳されて、無事出産までつつがなく、なんて考えたくもない。
佐倉 光

「少しすれば、おさまります、から……」
牧志が落ち着くのを待つ。
牧志が落ち着くのを待つ。
佐倉 光
お腹に触られすぎるとまた引き込まれそうで嫌だな!
KP
不思議なパワーを送信。
牧志 浩太

腹が張るのを耐えながら待っていると、疲れてきたのか牧志も落ち着いてきた。
佐倉 光

「大丈夫か、牧志」
牧志 浩太

「ご、ごめん、佐倉さん……」
佐倉 光

「まいったな、俺の錯覚じゃないのか」
牧志 浩太

「大丈夫、ごめん、何とか落ち着いた。
ちょっと、色々思い出して……、俺達が数か月ここにいたのは、たぶん嘘じゃない」
ちょっと、色々思い出して……、俺達が数か月ここにいたのは、たぶん嘘じゃない」
佐倉 光

『この土地の繁栄のために、他所者を捕らえても身籠らせ続ける。
そういうの、俺たちの間じゃ邪神って呼ぶんだ』
そういうの、俺たちの間じゃ邪神って呼ぶんだ』
牧志 浩太

「……そうだな。同感だよ。
最初は被害者だったのかもしれないけど、もう、今は」
最初は被害者だったのかもしれないけど、もう、今は」
佐倉 光

「さっき、産んだら帰れると言っていましたね。
それは二人とも元の姿で?
それとも、牧志には、この……ここにいる奴には角が生えて、森へゆくことになる?」
それは二人とも元の姿で?
それとも、牧志には、この……ここにいる奴には角が生えて、森へゆくことになる?」
KP
「そう。いつかは分からないけど、必ず森へゆくことになる。
もりさまが自分の子を、見失いなさることはないから」
もりさまが自分の子を、見失いなさることはないから」
佐倉 光

「その像は、あなたのお父上の像ですか?
それはいつから、どうしてここに?」
少女の奥にある像を示す。
それはいつから、どうしてここに?」
少女の奥にある像を示す。
KP
「これかしら」
少女は不思議そうに像を見やる。
少女は不思議そうに像を見やる。
KP
「お参りのために像を彫るというから、一緒に彫ってもらったの。
もう、随分前になるわ」
もう、随分前になるわ」
佐倉 光

「お参りのための像?
森にいるというその、もりさまの容姿は誰か見たことがあるんですか?」
森にいるというその、もりさまの容姿は誰か見たことがあるんですか?」
KP
少女は小さく首を振る。
誰も見たことはなく、きっと想像だろうということだ。
誰も見たことはなく、きっと想像だろうということだ。
佐倉 光

「見せてもらってもいいですか?」
KP
どうぞ、と少女は前を譲る。
曖昧な形をしたその像は、全体の見た目は仏像に似ていた。
しかし三角形の頭部と大きな耳は、獣のようにも見えた。
頭部の大きく捻じれた一対の角だけが、いやにはっきりと削り出されている。
曖昧な形をしたその像は、全体の見た目は仏像に似ていた。
しかし三角形の頭部と大きな耳は、獣のようにも見えた。
頭部の大きく捻じれた一対の角だけが、いやにはっきりと削り出されている。
佐倉 光

想像上のものか。
いつかのような、神像を見るだけで衝撃を受けるようなものではないな。
いつかのような、神像を見るだけで衝撃を受けるようなものではないな。
佐倉 光

「森へ、行きたいですか?」
KP
少女は足元の畳の目を見下ろした。
じっと少しの間、見つめていた。
「行きたい」
涙の涸れたような声だった。
じっと少しの間、見つめていた。
「行きたい」
涙の涸れたような声だった。
佐倉 光

場合によってはこの人は、俺たちの味方になるかもしれないな。
佐倉 光

『牧志、俺そろそろ行こうと思うんだけど、何か気になること、あるか?』
牧志 浩太

「いや、この辺かな。……そうだ、この人のお母さんの墓って、どこかに祀られてたりするのかな。
それとも、墓地?
悪いけど、もしかしたら何か手掛かりがあるかもしれない」
それとも、墓地?
悪いけど、もしかしたら何か手掛かりがあるかもしれない」
佐倉 光

「御母上のお墓は、墓地にあるんですか?
お参りをしたいんですけど」
今の話を聞いたら手の一つも合わせようと思うのは不自然じゃないだろう。
お参りをしたいんですけど」
今の話を聞いたら手の一つも合わせようと思うのは不自然じゃないだろう。
KP
「お参りなさってくれるのね、……ありがとう。
こんな話をしたのは、久し振り。
母は、墓地で眠っている。
墓地の一番奥の、一番温かい所だから、すぐに分かるわ」
こんな話をしたのは、久し振り。
母は、墓地で眠っている。
墓地の一番奥の、一番温かい所だから、すぐに分かるわ」
佐倉 光

「そうですか、ありがとうございます」
佐倉 光

「そろそろ失礼します。
お話、ありがとうございました」
礼を言って屋敷を出よう。
お話、ありがとうございました」
礼を言って屋敷を出よう。
KP
「こちらこそ、ありがとう。
久し振りに母の話ができて嬉しかったわ」
久し振りに母の話ができて嬉しかったわ」
KP
声に見送られて外へ出ると、薄暗い陽の光は随分と高い位置に移っていた。
辺りの家々から、昼餉の快い香りが漂ってくる。
その香りを嗅ぐと、くうくうと空腹が胃を叩いた。
辺りの家々から、昼餉の快い香りが漂ってくる。
その香りを嗅ぐと、くうくうと空腹が胃を叩いた。
佐倉 光
村の人にしてみれば、ずっとニコニコで過ごしていたおかあさんが、突然警戒心バリバリで触らせてくれなくなったのか。
KP
そういうことですな。
村人<お産直前で気が立ちなさっているのかな?
村人<何かあったら心配なのでみんなで見守ろう
村人<お産直前で気が立ちなさっているのかな?
村人<何かあったら心配なのでみんなで見守ろう
佐倉 光
がるるる
▼2日目:昼
佐倉 光

それじゃ、墓地に行ってみるか。
何かが残っているかどうかは分からないが、
この不可解な出来事の発端になった人を追ってみるのは何か意味があるかもしれない。
何かが残っているかどうかは分からないが、
この不可解な出来事の発端になった人を追ってみるのは何か意味があるかもしれない。
佐倉 光

その前に空腹を何とかした方がいいかも知れないな。
一度屋敷に戻るか。
一度屋敷に戻るか。
KP
そうやって屋敷へ戻ろうと、空腹と腹の重さで重い体を引きずって歩いている時。
朝・昼・夕の村の様子をそれぞれ目にしたあなたは、
【アイデア】または〈人類学〉で判定。
朝・昼・夕の村の様子をそれぞれ目にしたあなたは、
【アイデア】または〈人類学〉で判定。
佐倉 光

1d100 85【アイデア】! Sasa 1d100→ 19→成功
KP
道端で話をし、仕事に精を出し、川辺で遊び。
空き家の目立つ村ではあるが、それでも様々な姿を目にする中に、違和感を覚える。
妙に人の寄りつかない一角があるのだ。
空き家の目立つ村ではあるが、それでも様々な姿を目にする中に、違和感を覚える。
妙に人の寄りつかない一角があるのだ。
佐倉 光

最初はちょっとした違和感だった。
それに注目すれば人の視線が不自然だということにも気づく。
それに注目すれば人の視線が不自然だということにも気づく。
牧志 浩太

「何か、気づいたんだな?」
佐倉 光

『ああ、明らかに人が避けている場所がある』
KP
墓地の方ではない。地図にはなにも書かれていない。
にも関わらず村人はその周辺を避けて歩き、そちらが目に入れば目を逸らす。
にも関わらず村人はその周辺を避けて歩き、そちらが目に入れば目を逸らす。
佐倉 光

道行く人に、あそこには何があるの? と訊いてみよう。
KP
野菜を運んでいた女性が振り返り、少し気まずそうにする。
KP
「ああ、あそこね?
昔、少し色々あったお宅なのよ」
そう言葉を濁す。
昔、少し色々あったお宅なのよ」
そう言葉を濁す。
佐倉 光

「色々、って、どんなことがあったんです?
参考にしたいから教えてください。
無事に出産を終えたいですし」
参考にしたいから教えてください。
無事に出産を終えたいですし」
KP
「ちょっと、ご不幸があって……、
ああ、でも大丈夫よ、結構前の話だから」
明らかに言いたくなさそうにしている……、というより、口に出すことを忌避しているようだ。
しかし、問題の家があるらしい方向をちらちらと見てしまっているので、位置はすぐに特定できる。
ああ、でも大丈夫よ、結構前の話だから」
明らかに言いたくなさそうにしている……、というより、口に出すことを忌避しているようだ。
しかし、問題の家があるらしい方向をちらちらと見てしまっているので、位置はすぐに特定できる。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
牧志 浩太

「ご不幸だって? みんな生まれ変わるっていうこの村でか?
間に合わなかった……、いや、違うな。
ただ悲しいとか、縁起が悪いって感じじゃない。
もっと嫌がってるように聞こえる。口にも出したくないような」
腹の中からでも牧志は鋭かった。
間に合わなかった……、いや、違うな。
ただ悲しいとか、縁起が悪いって感じじゃない。
もっと嫌がってるように聞こえる。口にも出したくないような」
腹の中からでも牧志は鋭かった。
KP
▼何かがあったらしい家 の場所が分かる。
佐倉 光

『そうか。気になるな。後で行ってみよう』
牧志 浩太

「ああ、そうしよう」
佐倉 光

「何があったんですか?」
無駄かもしれないけど、一応訊いてみよう。
無駄かもしれないけど、一応訊いてみよう。
KP
「ごめんなさい、家の話だから……、ああ、あなた、今行きますから」
彼女はそそくさと逃げ出してしまった。
彼女はそそくさと逃げ出してしまった。
牧志 浩太

「間違いないな。何かある」
佐倉 光

『ああ、調べよう』
佐倉 光

『気にはなるけど、まずは墓地かな』
予定通り、墓地へ向かおう。
予定通り、墓地へ向かおう。
KP
次は墓地へ向かうと決め、まずは屋敷に戻る。
戻ると、ふわりと酒の匂いがあなたの鼻をくすぐった。
川魚の酒蒸しだ。アルコールはしっかりと熱を加えて抜かれ、旨味と香りだけを残されている。
「お帰りなさい、お散歩はどうでしたか。今夜はお風呂も用意してございますよ」
お膳をしつらえて、あなたを出迎える女性がにこりと笑む。
戻ると、ふわりと酒の匂いがあなたの鼻をくすぐった。
川魚の酒蒸しだ。アルコールはしっかりと熱を加えて抜かれ、旨味と香りだけを残されている。
「お帰りなさい、お散歩はどうでしたか。今夜はお風呂も用意してございますよ」
お膳をしつらえて、あなたを出迎える女性がにこりと笑む。
佐倉 光

ぐぅぅ、と腹が鳴った。
少し歩いただけなのにこんなに空腹になるなんて、燃費が悪い体になったものだ。
少し歩いただけなのにこんなに空腹になるなんて、燃費が悪い体になったものだ。
佐倉 光

「美味しそうだなぁ!
お風呂も楽しみです」
もうここは素直に食欲に任せよう。
やたら暑くて汗が溜まりやすくて風呂に入りたいのも事実だ。
お風呂も楽しみです」
もうここは素直に食欲に任せよう。
やたら暑くて汗が溜まりやすくて風呂に入りたいのも事実だ。
KP
「それはよかった。
お食事が終わったら、また下げに来ますからね」
そう言って彼女は立ち去る。
つやつやとした川魚の姿は、釣ろうとしていたニジマスの写真を少し思い出させた。
お食事が終わったら、また下げに来ますからね」
そう言って彼女は立ち去る。
つやつやとした川魚の姿は、釣ろうとしていたニジマスの写真を少し思い出させた。
佐倉 光

「あ、ちょっと待って」
佐倉 光

「いつもありがとう、僕たちがここに来てからずっと世話してくれているんですよね」
KP
「まあ、ありがとうございます。
ええ、そうですよ。
あなたのお腹がまだ少し膨らんだくらいから、ずっとこちらにおりました。
あなたのお腹が膨らんでゆくのを見ていると、まるでわが子を見ているようで」
彼女は感慨を込めた様子で口にする。
ええ、そうですよ。
あなたのお腹がまだ少し膨らんだくらいから、ずっとこちらにおりました。
あなたのお腹が膨らんでゆくのを見ていると、まるでわが子を見ているようで」
彼女は感慨を込めた様子で口にする。
佐倉 光

そうか、現実か。信じたくはなかったな。
こんなところでずっと過ごしてたってのか、この俺が。信じられないな。
こんなところでずっと過ごしてたってのか、この俺が。信じられないな。
KP
シローはどうしているのだろうか。東浪見は、浦西は。
少なくとも今までに、この村で彼らの姿を見たことはない。
少なくとも今までに、この村で彼らの姿を見たことはない。
佐倉 光

そういえば世話役の女性って体に布巻いてるかな。
KP
料理の時にそうするような形で、彼女は頭に布を巻いている。
佐倉 光

「あなたはここで『おかあさん』の世話をするのが仕事なんですか?」
KP
「ええ、そうですよ。たまに、近所の人と代わったりもしますけれどね」
佐倉 光

「それは誰かが決めてるんですか?」
この村でこの仕組みを維持しているのは誰なんだろう、ということが気になった。
この村でこの仕組みを維持しているのは誰なんだろう、ということが気になった。
KP
「誰かというか、近所に住んでいる何人かで相談して決めましたねえ、確か。
お客のお世話を誰がしようか、いつしようか、どうしようかって」
彼女は懐かしそうに言う。
お客のお世話を誰がしようか、いつしようか、どうしようかって」
彼女は懐かしそうに言う。
牧志 浩太

「そうか、ずっとこのやり方だったわけじゃないのか、もしかして。
村の人が身籠っていた時は、その人の家や近所で世話してたのかもしれない」
村の人が身籠っていた時は、その人の家や近所で世話してたのかもしれない」
佐倉 光

『いつ人が消えるか分からないわけだし、ある程度は臨機応変じゃないとまずいよな。
共同体で維持している仕組みか……簡単には止まりそうにないな』
共同体で維持している仕組みか……簡単には止まりそうにないな』
牧志 浩太

「ああ……。
さっきの話が本当ならだけど、産まれ直しにしても、誰かが牛耳ってるとか、起こしてるってわけじゃなさそうだ。厄介だな」
さっきの話が本当ならだけど、産まれ直しにしても、誰かが牛耳ってるとか、起こしてるってわけじゃなさそうだ。厄介だな」
佐倉 光

「そうなんですね。ありがとうございます」
佐倉 光

食事をして少し休憩したら墓参りに行こう。
ふわふわの魚に箸をいれ、口に運ぶ。
この香りがたまらないな。
理由や経緯はどうあれ、この食事が美味いことは確かだ。有り難くいただこう。
ふわふわの魚に箸をいれ、口に運ぶ。
この香りがたまらないな。
理由や経緯はどうあれ、この食事が美味いことは確かだ。有り難くいただこう。
KP
川魚の蕩けるような食感が酒の香りと味わいと絡み、あなたの舌を喜ばせる。
食べたものが胃腸を通じ、血に溶けて、腹へと集まっていくのを感じる。
そこで生きている牧志を、全身で養う歓びを味わう。
食べたものが胃腸を通じ、血に溶けて、腹へと集まっていくのを感じる。
そこで生きている牧志を、全身で養う歓びを味わう。
KP
満ち足りた食事の時間は、快い気だるさを連れてきた。
このまま、曖昧な日の光に身を任せて、風呂の時間まで眠っていたいような感覚に襲われる。
その感覚を振り切って身を起こし、墓地に向かうことになるだろう。
このまま、曖昧な日の光に身を任せて、風呂の時間まで眠っていたいような感覚に襲われる。
その感覚を振り切って身を起こし、墓地に向かうことになるだろう。
佐倉 光

『眠い……』
しかし眠っている場合ではない。
少しでも早くこの状態を何とかしなければ、取り返しがつかないことになるかも知れない。
……もう、色々取り返しつかないような気がしなくもない。
しかし眠っている場合ではない。
少しでも早くこの状態を何とかしなければ、取り返しがつかないことになるかも知れない。
……もう、色々取り返しつかないような気がしなくもない。
佐倉 光

気合いを入れて墓に行く。
佐倉 光

そういえば『墓参り』なんて久しぶりだ。
佐倉 光

『ここ何教なんだろうな。もりさま教かな?』
牧志 浩太

「ううん。だとしたら、墓はどんな墓になるんだ?
森の獣だったら、自然葬とかになりそう」
森の獣だったら、自然葬とかになりそう」
KP
……墓場は少し下り坂の、小さな谷の中にあった。
朽ちかけた卒塔婆とぽつぽつと置かれた石が「墓場」の雰囲気を形作っていたが、墓石の類はない。
それらの墓標はみな古いもので、新しそうなものは見当たらない。
奥に、何か祭壇のようなものが見える。
朽ちかけた卒塔婆とぽつぽつと置かれた石が「墓場」の雰囲気を形作っていたが、墓石の類はない。
それらの墓標はみな古いもので、新しそうなものは見当たらない。
奥に、何か祭壇のようなものが見える。
牧志 浩太

「どんな墓だった?」
佐倉 光

『墓石なんかはないな、随分古いものばかりだ。土饅頭に石って感じの。
奥に祭壇みたいなのが見えるけど、あれかな……』
奥に祭壇みたいなのが見えるけど、あれかな……』
KP
墓場に足を踏み入れると、すぐに異変に気づく。
村の中でずっと感じられている、地面から這い上がってくる生温かさ。
それが、ここでは特に強い。
あなたの身体の変調による暑さとも、腹の中から感じる牧志の体温の熱さとも違う。
はっきりと、地面が温かく感じる。
村の中でずっと感じられている、地面から這い上がってくる生温かさ。
それが、ここでは特に強い。
あなたの身体の変調による暑さとも、腹の中から感じる牧志の体温の熱さとも違う。
はっきりと、地面が温かく感じる。
佐倉 光

『ここ明らかにおかしいな。
この村全体的になんとなく不自然に暖かい気がしていたんだけど、気のせいじゃねぇ。
この墓の辺り、とくに暖かい。明らかに不自然だ。
一番暖かい場所にあの人の母親が葬られているって言っていたよな』
この村全体的になんとなく不自然に暖かい気がしていたんだけど、気のせいじゃねぇ。
この墓の辺り、とくに暖かい。明らかに不自然だ。
一番暖かい場所にあの人の母親が葬られているって言っていたよな』
牧志 浩太

「ああ、……言ってた。
地熱……にしても、そんなに偏りがあるなんて変だよな。
何か、いるのか?
気をつけようがないけど、気をつけて……」
地熱……にしても、そんなに偏りがあるなんて変だよな。
何か、いるのか?
気をつけようがないけど、気をつけて……」
牧志 浩太

「どっちが上下なのかも分からない。俺どっち向いてる?」
腹の中で気をつけようとしたらしい。無理である。
腹の中で気をつけようとしたらしい。無理である。
佐倉 光

『えぇ……下向いてんじゃねぇのか? 胎児的に。
まあとりあえず暴れないでいてくれりゃいいよ』
まあとりあえず暴れないでいてくれりゃいいよ』
牧志 浩太

「ああー、ごめん、それは気をつける」
KP
腰にかかる丸い重みと痛み、寝ぼけて腹の中を踏むときの感じから、牧志は下を向いているのだろうな、とあなたは何となく分かる。
『産む』時は、その頭から出てくるのだろう。
『産む』時は、その頭から出てくるのだろう。
佐倉 光

ひとつひとつの墓を見て回るが、土饅頭じゃ気になるようなものもあまりなさそうだな。
佐倉 光

『土饅頭か。火葬もしていないのかな。随分古いのか』
牧志 浩太

「かもしれないな。
村が今みたいになる前のもの、なのかもしれない」
村が今みたいになる前のもの、なのかもしれない」
KP
墓には時折野の花や野菜などが供えられているが、特に変わったようなものはなかった。
何も供えられず、朽ちるままになっている墓も多い。
何も供えられず、朽ちるままになっている墓も多い。
佐倉 光

奥の祭壇のような物の所へ行ってみよう。
KP
奥へと向かうと、一歩足を踏むごとにじわりと足元が熱くなる。
その熱に呼応するように、腹がじんと熱をもって感じられた。
祭壇に近づくころには、靴底から伝わる熱は、今のあなたの体温よりも温かく感じられた。
何か生きたものの、腹の上に立っているような熱だった。
その熱に呼応するように、腹がじんと熱をもって感じられた。
祭壇に近づくころには、靴底から伝わる熱は、今のあなたの体温よりも温かく感じられた。
何か生きたものの、腹の上に立っているような熱だった。
佐倉 光

あまりの熱に驚いて、しゃがんで土に触れてみる。
KP
土に触れる。
どくどくと強い鼓動を、はっきりと感じた。
この下に、何かが、いる。
どくどくと強い鼓動を、はっきりと感じた。
この下に、何かが、いる。
佐倉 光

『何だこれは。悪魔の業か?』
佐倉 光

『牧志、大丈夫か?』
牧志 浩太

「だ、いじょうぶ。大丈夫。
流れ込んでくる血が、熱い。
何かと、佐倉さんじゃない何かと繋がってるみたいだ」
牧志はじっとしていることができない様子で、落ち着きなく小刻みに身体を動かす。
流れ込んでくる血が、熱い。
何かと、佐倉さんじゃない何かと繋がってるみたいだ」
牧志はじっとしていることができない様子で、落ち着きなく小刻みに身体を動かす。
KP
石を彫って作られた祭壇は、古びてこそはいるが朽ちた様子はない。
祭壇の上にはいくつもの新しい供え物が置かれ、墓地の中でそこだけ関心を払われているように見える。
祭壇の後ろに、幹が人の幅よりも太い、大きな木が植わっている。
祭壇の上にはいくつもの新しい供え物が置かれ、墓地の中でそこだけ関心を払われているように見える。
祭壇の後ろに、幹が人の幅よりも太い、大きな木が植わっている。
佐倉 光

獣の気配がないか警戒しながら祭壇に近づく。
佐倉 光

『多分ここだ。祭壇がある。
他の墓とは随分様子が違うよ。
人がよく訪れている形跡がある。
最初に神と交わった女か。
神に何かを望んだのか、それともただの被害者なのか』
他の墓とは随分様子が違うよ。
人がよく訪れている形跡がある。
最初に神と交わった女か。
神に何かを望んだのか、それともただの被害者なのか』
佐倉 光

『経緯を聞いた限りじゃ気の毒だとしか思えないけどな』
牧志 浩太

「どうなんだろうな……。うう。
分からないけど、聞く限りでは何かを手に入れたようには、思えない」
分からないけど、聞く限りでは何かを手に入れたようには、思えない」
佐倉 光

祭壇に軽く手を合わせて、周囲を調べる。
佐倉 光

『死者の眠る場所、というより、何かが生きて眠っているようにも思える。
祭壇の後ろに随分と樹齢高そうな木があるな』
まずは祭壇から。
祭壇の後ろに随分と樹齢高そうな木があるな』
まずは祭壇から。
KP
祭壇には素朴な飾りが彫り込まれている。
角をかたどった彫り物が両側にあり、上は野菜や果物といった実りや、花といった供物で賑やかだ。
ここには像は置かれていない。
角をかたどった彫り物が両側にあり、上は野菜や果物といった実りや、花といった供物で賑やかだ。
ここには像は置かれていない。
佐倉 光

『森じゃなくてここに元凶がいるのか、
それとも元凶と関わりが深いものがいるからなのか。
少し我慢していてくれ。なるべく早く終わるから』
それとも元凶と関わりが深いものがいるからなのか。
少し我慢していてくれ。なるべく早く終わるから』
牧志 浩太

「大丈夫。大丈夫、佐倉さん、頼む。
ごめん、止まっていられない」
牧志がぎゅっと身を固めるのを感じた。
それでも手足がぱたぱたと動き、腹の中を揺らす。
ごめん、止まっていられない」
牧志がぎゅっと身を固めるのを感じた。
それでも手足がぱたぱたと動き、腹の中を揺らす。
KP
祭壇の前に立つと、何かの気配を感じた。
祭壇の後ろの、大きな木。
その下の土の中。
そこから、何かがいるような気配が、鼓動が伝わってくる。
祭壇の後ろの、大きな木。
その下の土の中。
そこから、何かがいるような気配が、鼓動が伝わってくる。
佐倉 光

『何かがいる。生きて、ここに埋まっている気がする。
木の下だ。ここの熱を生み出しているのはこいつじゃないのか』
木の方に近づいて調べてみる。
木の種類はどんなものか。
根本を少しだけ掘ったら何か出てくるか。
ただし、根が動き出したり沈んだりしないか、十分に注意を払いながら。
木の下だ。ここの熱を生み出しているのはこいつじゃないのか』
木の方に近づいて調べてみる。
木の種類はどんなものか。
根本を少しだけ掘ったら何か出てくるか。
ただし、根が動き出したり沈んだりしないか、十分に注意を払いながら。
KP
木は大きなクスノキだ。
土は奇妙に柔らかく、掘ることができる。
木の根の合間を少しだけ掘ると、何かの気配が近づいた。
指先に僅かに、朽ちた木の感触が触れた。
埋まった卒塔婆か、棺か、……その感触の向こうから、熱を、鼓動を感じる。
土は奇妙に柔らかく、掘ることができる。
木の根の合間を少しだけ掘ると、何かの気配が近づいた。
指先に僅かに、朽ちた木の感触が触れた。
埋まった卒塔婆か、棺か、……その感触の向こうから、熱を、鼓動を感じる。
佐倉 光

『ここに何かあるな。
木製の、棺か卒塔婆か何かが埋まっていて、その向こうに何かいる』
これ以上手を出すのは危険かもしれない。
何かするにしても、もっと情報を得てからにしたほうが良いのではないだろうか。
木製の、棺か卒塔婆か何かが埋まっていて、その向こうに何かいる』
これ以上手を出すのは危険かもしれない。
何かするにしても、もっと情報を得てからにしたほうが良いのではないだろうか。
佐倉 光

あと、単純に屈んで作業するのしんどい。
何かするなら道具か助力が居るな。
何かするなら道具か助力が居るな。
牧志 浩太

「何かがいる、か……。
悪魔は森の中にいるんだよな。
その女の人が悪魔に取り憑かれてるのか、それとも、悪魔は実はここにいるのか」
もぞもぞと手足をもがかせながら、牧志は考えようとしている。
悪魔は森の中にいるんだよな。
その女の人が悪魔に取り憑かれてるのか、それとも、悪魔は実はここにいるのか」
もぞもぞと手足をもがかせながら、牧志は考えようとしている。
佐倉 光

そういえばCOMPって、時間は止まっているみたいだけど操作はできる?
できるなら《アナライズ》を試みる。
できるなら《アナライズ》を試みる。
KP
COMPそのものは操作できる。
召喚はできないが、内部に格納されているデータでの《アナライズ》は可能だ。
試みると、しばらくLOADING表示になった後、赤い画面に奇妙な表示を出した。
[HUMARROR]
何かが混ざっている。
召喚はできないが、内部に格納されているデータでの《アナライズ》は可能だ。
試みると、しばらくLOADING表示になった後、赤い画面に奇妙な表示を出した。
[HUMARROR]
何かが混ざっている。
佐倉 光

『アナライザーに反応あり。
ここにあるのやっぱ死体じゃないし、ゴーストでもない。
混ざりモンの人間か?
HUMARROR……そんな種族名登録にないぞ』
ここにあるのやっぱ死体じゃないし、ゴーストでもない。
混ざりモンの人間か?
HUMARROR……そんな種族名登録にないぞ』
牧志 浩太

「なん……、だって? 人間?
この下で、そんな、人間が生きてるっていうのか? まだ?」
牧志の声が強張る。
『生きている』のだとして、その境遇はいかなるものか、考えてしまったのだ。
この下で、そんな、人間が生きてるっていうのか? まだ?」
牧志の声が強張る。
『生きている』のだとして、その境遇はいかなるものか、考えてしまったのだ。
佐倉 光

森で犯され化け物の子を宿し、その後も請われるままに産み続け、本当に死ぬこともできずに土の下で生き続ける。
その因果が村全体を覆い、守って……いや、呪っているとしたら?
その因果が村全体を覆い、守って……いや、呪っているとしたら?
佐倉 光

『あんま想像したくないな』
その一部でさえ普通の人間にはあまりに辛いものではないだろうか。
その一部でさえ普通の人間にはあまりに辛いものではないだろうか。
牧志 浩太

「……」
牧志は重い沈黙を返す。
その沈黙が、あなたの呟きに対する同意だった。
牧志は重い沈黙を返す。
その沈黙が、あなたの呟きに対する同意だった。
佐倉 光
いちいち不穏すぎて面白いなぁ。
何が起きているのか分かるようでわからない。
人間が運悪く良くないものに触れて
それを加護と勘違いして自ら生贄になってそいつの勢力拡大に力を貸してしまっているのかな
という気はするけど、
じゃあ何が起きているのかについてはほんとわからぬ。
娘さんが拒否られる理由も分からぬ。
これは母親が守っている可能性はあるかなぁとは思うんだけど……
娘、親玉とグルかと思いきやそうじゃなさそうだからなぁ。
何が起きているのか分かるようでわからない。
人間が運悪く良くないものに触れて
それを加護と勘違いして自ら生贄になってそいつの勢力拡大に力を貸してしまっているのかな
という気はするけど、
じゃあ何が起きているのかについてはほんとわからぬ。
娘さんが拒否られる理由も分からぬ。
これは母親が守っている可能性はあるかなぁとは思うんだけど……
娘、親玉とグルかと思いきやそうじゃなさそうだからなぁ。
KP
ウフフ。ありがとうございます。
こういう話での意味深な小出しは楽しい。
こういう話での意味深な小出しは楽しい。
佐倉 光

ふと思い立って自分たちにもアナライザー向けてみる。
KP
あなたに向けると、
[HUMAN]
[HUMAN]
KP
腹に向けると、
[HUMAN][邪神][契約済み]
といういつもの表示とともに、たまに赤く画面が点滅する。
調子が悪いのか、エラー混じりだ。
[HUMAN][邪神][契約済み]
といういつもの表示とともに、たまに赤く画面が点滅する。
調子が悪いのか、エラー混じりだ。
佐倉 光

『俺たちは今のところはまだ、人間のままだよ』
自分たちのアナライズ結果と、不審なエラーについても伝える。
自分たちのアナライズ結果と、不審なエラーについても伝える。
牧志 浩太

「……そうか。
そのエラー、俺達にも『何かが混ざり』始めてるってことなのかもな。
『もりさま』の腹を使ってるんだ、って話してたしな、あの人。
腹の中に獣だか何かの腹を入れられて、俺がその中にいる……、
くそ、気持ち悪いな……」
居心地悪そうに、腹の中で牧志がもぞもぞと動いた。
そのエラー、俺達にも『何かが混ざり』始めてるってことなのかもな。
『もりさま』の腹を使ってるんだ、って話してたしな、あの人。
腹の中に獣だか何かの腹を入れられて、俺がその中にいる……、
くそ、気持ち悪いな……」
居心地悪そうに、腹の中で牧志がもぞもぞと動いた。
佐倉 光

『確信もなにもないが、一応、ここに生きているものを掘り起こす、殺す、という案はできた。
俺の体で実行できるかどうかはわからないけどな』
俺の体で実行できるかどうかはわからないけどな』
牧志 浩太

「ああ。
まだ希望とまではいかないけど、ちょっとは糸口が見えてきた……、と思いたいな」
まだ希望とまではいかないけど、ちょっとは糸口が見えてきた……、と思いたいな」
佐倉 光

『始祖がこれだとしたら、生まれなおした奴らはどこへ行ってどうなるのか。
あまり良い想像はできねぇな』
あまり良い想像はできねぇな』
牧志 浩太

「森に行ったってやつか。正直、嫌な感じしかしないな」
佐倉 光

木に変わったところなどはないかな。
KP
大きく枝を広げるクスノキは、神社などによく植わっているのを思い出させる姿だ。
葉も枝にも幹にも、特に奇妙な所は見当たらない。
葉も枝にも幹にも、特に奇妙な所は見当たらない。
佐倉 光

『そろそろ帰ろうか』
KP
陽は少しずつ、赤く暮れてゆく。
先程の異変のせいか、身体に疲れが圧し掛かってくる。
そろそろ、風呂の準備ができている頃だろう。
先程の異変のせいか、身体に疲れが圧し掛かってくる。
そろそろ、風呂の準備ができている頃だろう。
佐倉 光

『ここの異常性は良くわかったけど、何が起きているかは良くわからないな』
牧志 浩太

「何が起きているか、って?」
佐倉 光

『ああ。
悪魔がこの土地を温めて実りをもたらしていることになっているけど、
特に暖かいのは初代の墓だ。
加護は本当にもりさまとかいう悪魔の仕業なのか。
あとは、子供を宿している間だけもたらされるという恵みだな。
角が生えたやつを食うことで贄を得た悪魔が何かしている、というのも違うのか、どうなのか。
まだ何もわからないままだ』
悪魔がこの土地を温めて実りをもたらしていることになっているけど、
特に暖かいのは初代の墓だ。
加護は本当にもりさまとかいう悪魔の仕業なのか。
あとは、子供を宿している間だけもたらされるという恵みだな。
角が生えたやつを食うことで贄を得た悪魔が何かしている、というのも違うのか、どうなのか。
まだ何もわからないままだ』
牧志 浩太

「そうか、そうだな。
あの人達が信じている話を聞いただけで、まだ本当は何が起きてるのか、分からないんだ」
あの人達が信じている話を聞いただけで、まだ本当は何が起きてるのか、分からないんだ」
佐倉 光

『明日は森と、忌避されていた家のことを調べてみたい』
牧志 浩太

「忌避されていた家は俺も気になるな。
『ここの人達にとって、まずいことがあった』のなら、俺達にとって役に立つことがあるかもしれない」
『ここの人達にとって、まずいことがあった』のなら、俺達にとって役に立つことがあるかもしれない」
佐倉 光

杖をついて墓地を出る。
佐倉 光
足を伸ばして肋骨キックしない牧志くんは良いお子さんですね!
KP
佐倉さんにダメージを与えないように頑張って動かないようにしている牧志です。たまにぷるぷるしてる。
佐倉 光
動くのは別にいいんだ。足を目一杯伸ばすのだけやめていただければ。
KP
つまり風呂に入ってリラックスした佐倉さんに釣られて、牧志も思わず足を伸ばしてしまうシーンがあると?
佐倉 光
なるほど? 余計なこといいましたね?
たまには牧志だって足を伸ばしたいよね!
たまには牧志だって足を伸ばしたいよね!
KP
伸ばしたいですね!
KP
杖をつき、熱く重い身体を引きずって墓地を後にすると、異様な熱は和らいでくる。
それでもあなたの身体はいつもより、熱い。
肉体と精神の疲れが、思考の速度を少しずつ落としていく。
杖に縋って歩く一歩一歩が、重い。
暗くなってゆく村の中に屋敷の形を見つけると、あなたは思わず安堵を覚えてしまう。
それでもあなたの身体はいつもより、熱い。
肉体と精神の疲れが、思考の速度を少しずつ落としていく。
杖に縋って歩く一歩一歩が、重い。
暗くなってゆく村の中に屋敷の形を見つけると、あなたは思わず安堵を覚えてしまう。
佐倉 光

眠い。疲れた。腹が減った。湯につかりたい。
思考が次第にダイレクトな欲に落ちてゆく。
もう、早く戻って湯浴みをして食事をしたい、そんな思いでいっぱいだ。
腹が重い。もう歩きたくない。
館に戻る。
思考が次第にダイレクトな欲に落ちてゆく。
もう、早く戻って湯浴みをして食事をしたい、そんな思いでいっぱいだ。
腹が重い。もう歩きたくない。
館に戻る。
KP
「ああ、お帰りなさい。風呂の準備ができていますよ」
館に戻ると、室内の柔らかな空気とともに、やさしい湯の香りがあなたを出迎える。
身を拭う布もなにもかも用意されていて、着替えもそちらにあるらしい。
必要なことは、風呂場へ向かうことだけだ。
……このひとときだけを切り取ってみれば、旅行中のひとときとそう変わらないのに、あなたの腹は異様な膨らみを宿している。
館に戻ると、室内の柔らかな空気とともに、やさしい湯の香りがあなたを出迎える。
身を拭う布もなにもかも用意されていて、着替えもそちらにあるらしい。
必要なことは、風呂場へ向かうことだけだ。
……このひとときだけを切り取ってみれば、旅行中のひとときとそう変わらないのに、あなたの腹は異様な膨らみを宿している。
佐倉 光

「ありがとう」
礼を言って風呂場に向かう。
礼を言って風呂場に向かう。
佐倉 光

『だんだん違和感がなくなってきているのが怖い』
血管が薄く浮き出た腹を眺めてため息をつく。
まあいい、風呂だ風呂だ!
血管が薄く浮き出た腹を眺めてため息をつく。
まあいい、風呂だ風呂だ!
佐倉 光

服を脱いだら、足元に気をつけてそろそろと洗い場へ向かって体を流す。
KP
小さな温泉旅館を思い出すような雰囲気の脱衣場には、そこここに手摺がある。
作りもしっかりとしたもので、転ぶ心配をせずにすみそうだ。
洗い場へ向かう扉の向こうから、湯の香りが漂ってくる。
作りもしっかりとしたもので、転ぶ心配をせずにすみそうだ。
洗い場へ向かう扉の向こうから、湯の香りが漂ってくる。
KP
脱衣場には、姿見がひとつ置かれていた。
平滑な表面が、静かにあなたの姿を映す。
それは確かにあなただった。
見慣れたあなたの身体だ。
その身体の細さに不似合いに、腹はいまにも裂けんばかりに膨れ上がっていた。
限界まで引き伸ばされた皮膚が悲鳴を上げ、血管が青い蜘蛛の巣を広げている。
ふと、あなたは気づく。
膨れ上がった腹から腰、太腿へと続く筋肉の流れに、違和感がない。
あなたの男の身体は、腰は、骨盤は、無理やり背負わされたそれを、正しく支えている。
そして恐らく、時が来れば正しく開くような、そんな形をしていた。
……あなたの身体は、そのための形をしていなかったはずなのに。
平滑な表面が、静かにあなたの姿を映す。
それは確かにあなただった。
見慣れたあなたの身体だ。
その身体の細さに不似合いに、腹はいまにも裂けんばかりに膨れ上がっていた。
限界まで引き伸ばされた皮膚が悲鳴を上げ、血管が青い蜘蛛の巣を広げている。
ふと、あなたは気づく。
膨れ上がった腹から腰、太腿へと続く筋肉の流れに、違和感がない。
あなたの男の身体は、腰は、骨盤は、無理やり背負わされたそれを、正しく支えている。
そして恐らく、時が来れば正しく開くような、そんな形をしていた。
……あなたの身体は、そのための形をしていなかったはずなのに。
佐倉 光

「……気持ち悪」
思わず呟いていた。
見覚えのない形に歪められた自身が、それを受け入れつつある自分が、心底不快でならない。
だが、それを受け入れてゆかざるを得ない。
牧志がここに宿っているのだ。
午前中に聞いた話を思いだし、思わず自分の体に獣の毛がついていないか確認してしまう。
思わず呟いていた。
見覚えのない形に歪められた自身が、それを受け入れつつある自分が、心底不快でならない。
だが、それを受け入れてゆかざるを得ない。
牧志がここに宿っているのだ。
午前中に聞いた話を思いだし、思わず自分の体に獣の毛がついていないか確認してしまう。
KP
幸い、あなたの身体にはまだ角も、獣の毛もなかった。
あなたの腹の中にあるのは、今もゆらゆらと動く牧志だけだ。
あなたの腹の中にあるのは、今もゆらゆらと動く牧志だけだ。
佐倉 光

鏡から目を逸らし、それでも半ば無意識に腹を手で支えながらゆっくりと風呂に向かう。
洗い場で軽く体を流して、湯船に浸かる。
無意識のうちにバランスを取れているのは、今までの『経験』によるものだと考えるとぞっとした。
俺たちは何ヶ月も何をしてきたんだ。
洗い場で軽く体を流して、湯船に浸かる。
無意識のうちにバランスを取れているのは、今までの『経験』によるものだと考えるとぞっとした。
俺たちは何ヶ月も何をしてきたんだ。
KP
湯船に浸かると、ふわりと腹が浮いた。
久しぶりに、ひどく久しぶりに、両脚が、背中が、肩が、腹の重みから解放される。
心地よい水の熱と浮力が、強張っていた筋肉と腱をほぐしていく。
湯船の中にも手摺が設けられている。
そのおかげで、何の気負いもなく身体を伸ばすことができる。
心地よさが背筋から上り、頭を溶かしていく。
久しぶりに、ひどく久しぶりに、両脚が、背中が、肩が、腹の重みから解放される。
心地よい水の熱と浮力が、強張っていた筋肉と腱をほぐしていく。
湯船の中にも手摺が設けられている。
そのおかげで、何の気負いもなく身体を伸ばすことができる。
心地よさが背筋から上り、頭を溶かしていく。
牧志 浩太

「風呂、入ったんだな。ちょっと……、温かい」
ほう、と牧志が息を吐くのが聞こえた気がした。今の彼は息をしていないから、ただの雰囲気ではある。
ほう、と牧志が息を吐くのが聞こえた気がした。今の彼は息をしていないから、ただの雰囲気ではある。
佐倉 光

手摺に掴まって浮力に任せて体を伸ばす。
水面からぽこんと臍が飛びでているのが滑稽に見えるが、気持ちは良い。
水面からぽこんと臍が飛びでているのが滑稽に見えるが、気持ちは良い。
佐倉 光

腹の重みが水中で消え、何もかもから解放されたような気持ちよさだ。
KP
温かな水の中にたゆたっている間は、何もかもから解放されていられた。
あなたは浮力に任せて、大きく体を伸ばす。
あなたは浮力に任せて、大きく体を伸ばす。
牧志 浩太

「はぁ……、んー」
大学のレポートを書き上げて、大きく伸びをするときのような声が聞こえた。
牧志が腹の中で大きく動くのを感じた、直後。
大学のレポートを書き上げて、大きく伸びをするときのような声が聞こえた。
牧志が腹の中で大きく動くのを感じた、直後。
KP
気を抜いていた所に、盛大に肋骨を蹴り上げられた。痛い!
佐倉 光

「いででででで!」
中からぐいっと圧をかけられ内臓が押しのけられ肋骨が軋む気がした。
ぼこん、と飛び出たかかとが見える。
中からぐいっと圧をかけられ内臓が押しのけられ肋骨が軋む気がした。
ぼこん、と飛び出たかかとが見える。
佐倉 光

「ちょっ、苦し、いたたたた」
涙目で訴える。
涙目で訴える。
牧志 浩太

「え、あっ!?」
牧志が慌てて足をばたばたと動かす。余計に痛い!
飛び出た踵の形は、そこに牧志が『いる』ことの現実を感じさせたが、それどころではない。
牧志が慌てて足をばたばたと動かす。余計に痛い!
飛び出た踵の形は、そこに牧志が『いる』ことの現実を感じさせたが、それどころではない。
佐倉 光

「ちょ、ぐ、うぇ、すとっ、いだだだだ」
湯の中で蹲って呻く。体内に別の生き物がいるというのはこんなに苦しいものか。
湯の中で蹲って呻く。体内に別の生き物がいるというのはこんなに苦しいものか。
牧志 浩太

「ご、ごめ、ごめん!」
牧志はようやく身を縮めることを思い出したようで、どうにか足を丸めて動きを止める。
牧志はようやく身を縮めることを思い出したようで、どうにか足を丸めて動きを止める。
牧志 浩太

「ごめん、ついつられた」
謝罪するように手が腹の中を撫でた。
謝罪するように手が腹の中を撫でた。
佐倉 光

「いや、うん、気に、するな……
妊婦って……大変だな……」
しみじみと呟く。
妊婦って……大変だな……」
しみじみと呟く。
佐倉 光

「お前のイブクロ、手足がなくて、良かったな……」
佐倉 光

「俺、帰ったら街で会う妊婦に優しくするんだ……」
もう一度プカァと浮かんでため息をついた。
もう一度プカァと浮かんでため息をついた。
牧志 浩太

「したかったかどうかはさておき、意外な経験ができた気はするな、互いに」
腹の中で牧志が苦笑した。
腹の中で牧志が苦笑した。
佐倉 光

『だなー』
佐倉 光

そんなこんなしつつ一応体を温めてこわばった筋肉をほぐし、風呂から上がる。
湯船から上がった瞬間の体の重さに驚く。
綺麗な服に着替えて部屋に戻った。
湯船から上がった瞬間の体の重さに驚く。
綺麗な服に着替えて部屋に戻った。
KP
湯船から上がろうとした瞬間、縫い留められたかと思うほどの重さがあなたを襲う。
思わず湯船に戻りたくなってしまう。しかし戻っても湯冷めするだけだ。
振り切って新しい服を身につけると、快い香りが汗を流した体を包んだ。
思わず湯船に戻りたくなってしまう。しかし戻っても湯冷めするだけだ。
振り切って新しい服を身につけると、快い香りが汗を流した体を包んだ。
KP
部屋に戻れば、既に夕食が用意されている。
よく炊かれた大根と皮つきの鶏肉の匂い。それに、程よく柔らかく煮られた緑豆。
よく炊かれた大根と皮つきの鶏肉の匂い。それに、程よく柔らかく煮られた緑豆。
佐倉 光

いい匂いがするな……
佐倉 光

「うわぁ、美味しそうだ!」
佐倉 光

「この野菜や肉はこの土地で採れるんですか?」
箸を付けながら世話をしてくれる女性に問いかける。
箸を付けながら世話をしてくれる女性に問いかける。
KP
「ええ、そうですよ。
野菜は畑で、果実は森で、魚は川で、鶏は家で。
たまのご馳走に、もりさまにお断りを入れて森の鳥をいただくこともあります」
野菜は畑で、果実は森で、魚は川で、鶏は家で。
たまのご馳走に、もりさまにお断りを入れて森の鳥をいただくこともあります」
佐倉 光

「すごいな」
佐倉 光

異常だろ、ここまで何でもあるってのは。
牧志 浩太

「すごいけど怖いな。獣とやらの一部とかじゃないだろうな?
いや、今更言ってもしょうがないけどさ」
いや、今更言ってもしょうがないけどさ」
佐倉 光

「この村は別の場所と交流はないんですか?」
KP
「山深い所ですから、あまり。
それでも昔は夏に行き来していたそうですけれど、最近はとんと聞きませんねえ。
こうやって、お客が来るくらい」
彼女はそれに満足している様子で、どこか誇らしげに微笑む。
それでも昔は夏に行き来していたそうですけれど、最近はとんと聞きませんねえ。
こうやって、お客が来るくらい」
彼女はそれに満足している様子で、どこか誇らしげに微笑む。
佐倉 光

「昔、って何年くらい前ですか?」
そういえば、最初の女性が子供を宿したのが何年前か聞いていなかったな。
そういえば、最初の女性が子供を宿したのが何年前か聞いていなかったな。
KP
彼女は少し考えこむようにしたが、割とすぐに諦めた。
「何年前でしたかねえ。
結構昔のことだから、もう忘れてしまって」
「何年前でしたかねえ。
結構昔のことだから、もう忘れてしまって」
佐倉 光

「そうですかぁ。人が減る一方じゃ寂しいですね」
だから外から喚んでるんだよな、クソ。
だから外から喚んでるんだよな、クソ。
KP
「ええ、ここも随分と人が減ってしまって。
けれど最近は、お客が来なさってくれますから」
彼女は嬉しそうに微笑む。
けれど最近は、お客が来なさってくれますから」
彼女は嬉しそうに微笑む。
佐倉 光

『この土地は何のために維持されているんだろうな。
最初にここで生きていた人たちは最後には森に全部消えるだろ。
もしかしたらあの長老だけは残るかも知れない。
それでも外から人を引き込み続けて村は維持されるのかね』
最初にここで生きていた人たちは最後には森に全部消えるだろ。
もしかしたらあの長老だけは残るかも知れない。
それでも外から人を引き込み続けて村は維持されるのかね』
牧志 浩太

「村を絶やさないためとか、生贄を捧げるためとか、
そういう理由でやってるんじゃないかと思ったんだよな、最初は。
でもさ。もし、わざとやってるんじゃないとしたら。
もしかしたら、ここを維持してるのは『獣』ってやつ、自体なのかもしれない。
生贄とか餌とかを手に入れるために……、随分気が長いやり方だけど」
そういう理由でやってるんじゃないかと思ったんだよな、最初は。
でもさ。もし、わざとやってるんじゃないとしたら。
もしかしたら、ここを維持してるのは『獣』ってやつ、自体なのかもしれない。
生贄とか餌とかを手に入れるために……、随分気が長いやり方だけど」
佐倉 光

『そのへん、明日には分かるといいな』
牧志 浩太

「ああ。分かるといいな。
この状況をどうにかして、帰るんだ」
この状況をどうにかして、帰るんだ」
佐倉 光

「あの病院の先生もそうなんですか?」
KP
「ええ、そうなんですよ。
先生もお客として来なさったんです。かわいらしい女の子を生みなさってね」
先生もお客として来なさったんです。かわいらしい女の子を生みなさってね」
佐倉 光

「んん? 産んだ奴にも角が生えるのか」
認識を改めなくてはならないな。
産んだら二人ともアウトか。
恐らく角が生えた時点でこの村の悪魔に捕まってしまう。
認識を改めなくてはならないな。
産んだら二人ともアウトか。
恐らく角が生えた時点でこの村の悪魔に捕まってしまう。
牧志 浩太

「その後、あの『先生』の方も生まれ直してる可能性はあるけど、
だとしたら歳が合わないか……?」
だとしたら歳が合わないか……?」
牧志 浩太

「ううん。あたま回らなくなってきた」
牧志は例によって、一足早く眠そうにしている。
牧志は例によって、一足早く眠そうにしている。
佐倉 光

『年齢については良く分からないな。
ジジババにならないと産まれ直せないってわけじゃねぇんだ。
産んだやつに角が生えないとしたら、村にも角生えてない奴がいてもいいだろうと思ったんだよ。
ここに喚ばれたヤツがどいつもこいつも外に戻りたがったわけじゃないだろうし』
ジジババにならないと産まれ直せないってわけじゃねぇんだ。
産んだやつに角が生えないとしたら、村にも角生えてない奴がいてもいいだろうと思ったんだよ。
ここに喚ばれたヤツがどいつもこいつも外に戻りたがったわけじゃないだろうし』
佐倉 光

「ごちそうさまでした」
美味しかったはずの食事がだんだん灰のように感じられてきた。
今日はもう眠った方が良さそうだ。
美味しかったはずの食事がだんだん灰のように感じられてきた。
今日はもう眠った方が良さそうだ。
KP
「ええ、よいお休みを」
お膳を持ち、彼女は去っていく。
今日もまた、あなたが歯を磨きに行っている間に布団を設えてくれるのだろう。
お膳を持ち、彼女は去っていく。
今日もまた、あなたが歯を磨きに行っている間に布団を設えてくれるのだろう。
佐倉 光

とにかくここで起きていることは人智を超えた気持ち悪さだということは分かった。
間違ってもここに同化などしたくない。
間違ってもここに同化などしたくない。
佐倉 光

「帰ろうな、牧志」
布団に入る前にわざと声に出して呟いた。
布団に入る前にわざと声に出して呟いた。
牧志 浩太

「ああ。かえろう」
牧志はもうほとんど眠りそうになっていて、うにゃうにゃと不明瞭な声の合間にではあったが、どうにかそう返した。
牧志はもうほとんど眠りそうになっていて、うにゃうにゃと不明瞭な声の合間にではあったが、どうにかそう返した。
KP
重い腹を横たえて布団に入ると、疲労が急速な眠りを連れてきた。
簡単に意識は刈り取られ、落ちていく……。
簡単に意識は刈り取られ、落ちていく……。
クトゥルフ神話TRPG 目次
胎響の村 一覧
コメント By.佐倉 光
この地のはじまりを聞く二人。
それはあまりにも壮絶で悍ましい出来事だった。
こんなもの、受け入れられない。
この地のはじまりを聞く二人。
それはあまりにも壮絶で悍ましい出来事だった。
こんなもの、受け入れられない。
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」







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