こちらには
『おまえがフィギュアになるんかい』
のネタバレがあります。
参加キャラクター

とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。


少し前に現れた牧志そっくりの6人の異星人。佐倉と契約して彼の仲魔として存在している。旭橋はそのうちのひとり。ガタイがいい。
その正体は、何にでも変身して喰らい殖える不定形生物だったが、『人間』としての意識を持ち、この星での人間との共存を試みている。


KP
・本編向きです。
・一人または牧志以外とゲームセンターへ行き、クレーンゲームをプレイすることが必須です。
佐倉 光
なるほど東浪見を巻き込……
まあ一人で行くかな!
KP
あー。東浪見と一緒でも面白いかも。
東浪見を本格的に怪奇現象に巻き込まず、序盤だけ居てリアクションしてもらうことも可能です。
「よく出来てるね、本物みたい。」


CoC 6版
おまえがフィギュアになるんかい
水切書房 様


Miss This Train. 後日談(微バレ)
KP
あなたの心に意味不明の胸騒ぎを残し、なぜか波照間がめちゃくちゃ凹んでいたあの出来事から、少し。

あなたはあれから、なぜか警察官やパトカーを見ると酷い胸騒ぎに襲われるようになってしまい、思わず逃げ隠れしてはいらぬトラブルに巻き込まれたりしていた。
佐倉 光
まあ確かに、仕事柄、警察とはそれほど仲良くできないときもある。
それにしたっておかしかった。
理由もないのに反射的に逃げなくてはと思ってしまうのだ。

日常ならともかく、仕事中はガチで捕まるとまずい品を持っていたりするのでなるべく気にされたくないのに。
万一騒ぎになってもあいつに泣きつけばまあ何とかなるとはしても、だ。
佐倉 光
波照間さんが異様に落ち込んでしばらく調子落としてたのもあるし、ガチでなんかあったんじゃないかって気もするけど、話してくれなかったしな。
波照間 紅
異様に落ち込んでいた波照間は何かをいまにも口から溢しそうにしていたのに、決してそれを語ることはなかった。

何かがぱんぱんに詰まって裂けそうな口を、必死で縫い閉じているような顔をしていた。
牧志 浩太
牧志の様子も少しばかりおかしかった。

落ち込む波照間を見て複雑そうな顔をするときがあった。
電車に乗るとき、車両を見上げて困惑したようにすることがあった。

何かを黙っているわけではなく、牧志自身にもその理由が分からないらしかった。
東浪見 空
東浪見はそんなあなた達の間を、何となくいつも通りに取り持ってくれた。

KP
それも漸く収まってきた頃のことである。

夏の暑さでも避けるためか、東浪見にでも誘われたのか、単純に気が向いたのか。

あなたは今、ゲームセンターにいる。

牧志は同行していない。
それ以外なら誰かと一緒でもよいし、一人でもよい。
佐倉 光
今日は東浪見と一緒にゲーセンにいる。
別に一緒に遊びに行ったわけではなくて、なんとなく前で遭遇したからそのまま一緒にぶらついているって感じだ。
東浪見 空
というわけで、なんとなく前で遭遇した東浪見は飲みかけのコーヒーを持ったまま、あなたと一緒にいる。
佐倉 光
いてもいいみたいだから東浪見巻き込んじゃお。
よろしくお願いします!
KP
よろしくお願いします!

KP
ジャラジャラとコインが落ちる音、リズムゲームで踊り狂う若者の足音、銃で撃たれるゾンビの唸り声、カードになった日曜朝の英雄達のお決まりの掛け声……

ゲームセンターの中は、様々な機体から放たれる爆音で満ちている。
東浪見 空
「佐倉さん普段何やんの? クイズゲー?」
様々な筐体を眺めながら、東浪見が言う。
佐倉 光
「そうだなー、普段あんまり来ないけど。
クイズゲーとガンシューかな」
東浪見 空
「お、ガンシューやんの?
確かに佐倉さん、ゾンビの頭ぶちぬくの得意そうな顔してるもんなー」
どんな顔だ。
佐倉 光
「まあな。あんま得意じゃないけどさ」
だってメガテンでもショットガンの技能値30くらいしかないもん。
佐倉 光
ゲーセンといえば最近は半分はプライズゲーになっていて、ほとんどクレーンゲーコーナーじゃないか、なんて突っ込みたくなる。
クレーンゲーはそんなに得意でもない。
だってあれ、機械の機嫌次第、つまりギャンブルに近いもんがあるからな。
シローにねだられた時に手を出してみるくらいだ。
KP
このゲーセンもまあ例外ではない。
室内の実に半分を占める巨大なプライズコーナーにはお菓子やフィギュアがずらりと並べられ、ギラギラとした照明で客の関心を煽っている。
KP
その一つに、不思議なものを見つけた。
奇妙な模様の描かれた黒塗りの箱だ。

何かのアニメのフィギュアと思いきや、それにはロゴも何も無い。
チープな観光地にあるような福袋風の箱だろうか。
どうせ大したものは入っていないのだろうが、ちょっと好奇心を唆られる。
佐倉 光
ふと足を止める。何だろうな、これ。
いつもならそんな物気にならないのだが、手元には入り口で配っていたワンプレイ無料券がある。
なんか適当なので消費しようかと思ってうろついていたところだ。
こういうので使うのも良いかもしれない。
店員さん呼んで遊べるようにしてもらおう。
佐倉 光
店員さん呼ぶとまずいようならなんか別の理由つけます。
KP
お、理由付けありがとうございます。呼んでOK。
KP
「はーい、どうぞー」
店員は朗らかな笑顔で券を受け取ると、IDカードをタッチして何事か操作した。

ゲーム台がぱっと光り、0の表示になっていた残プレイ数が2になる。
クレーンゲームは2プレイできるらしい。
佐倉 光
「ありがとうございまーす!」
佐倉 光
2回遊べるくらいで取れるなんて思わないけど……
佐倉 光
いや、これ良く見たら意外にいけそうかも?
横に回り込んだりしてみて、どう攻めたら良さそうか考えてみる。
まずは引っ掛けてずらして……
KP
どうやらそれは挑戦して既に破れた者がいたのか、それとも思わせぶりにそう配置されたのか、微妙なバランスで落下口のすぐ横に引っかかっている。

【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 85【アイデア】 Sasa 1d100→ 6→成功
佐倉 光
「お、これいけそうじゃ?」
KP
これは素直に取ろうとしても、取れそうで取れないやつだ、とあなたは気づく。
その代わりに、斜め後ろからアームを箱にぶつけることを思いつく。
少し細長い箱は、うまくバランスを崩してやれば落ちそうだ。

実行するなら、【DEX】×5+20%で判定。
佐倉 光
慎重に良い感じにかつダイナミックな一撃を加えてやる。
1d100 70 【DEX】 Sasa 1d100→ 48→成功
東浪見 空
「おっ!」
KP
お見事!
箱はバランスを崩し、落下口の端にひっかかりそうになりつつ、ことんと落下口の中へ落ちた。

もう1プレイ残っているので、何かを狙うことができそうだ。
あとは有名アニメのフィギュアや、ドールの服セット、ミニチュアレトロパソコン(動作はしません)などが並んでいる。

何かを狙うなら、狙う物を宣言して【DEX】×3で判定。
佐倉 光
そこはやっぱりパソコンかな。
1d100 30 Sasa 1d100→ 2→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
「ここだ!」
これ以上はないというタイミングでボタンを叩いた。
KP
お見事!
狙いすましたアームさばきで、あなたは見事に目的のレトロパソコンを釣り上げた!
上手くひっかけて、ちょうど横にあったドールの服セットも一緒に釣れた。

実に3つの景品を手に入れて、あなたの胸に達成感がこみ上げる。
正気度 +1。
佐倉 光
正気度 はMAX(58)だ!
佐倉 光
「はは! すげー! こんなの初めてだ! 今日俺めちゃくちゃツイてるかも!」
景品の取り出し口から箱を引っ張り出す。
佐倉 光
「これの中身、面白いもんだといいなー」
東浪見 空
「だなー! なになに、このまま宝くじとか買ってみちまう? 1億円当たったりして」
東浪見も興味深そうに箱を覗き込む。
佐倉 光
「いーかもなー! だいたいこういうのって続くしさ!」
佐倉 光
黒い箱を持ち上げて軽く振ってみる。何だろうなぁ、これ。
KP
カサカサと中で音がする。そう重さは感じない。
佐倉 光
運搬用の大きな袋をもらってきて、入れる前に黒い箱をちょっと覗いてみよう。
KP
中を覗くと、もう一つ箱になっている。
どうやら、何かの箱を黒い箱で包んであったようだ。

箱の上面には「愛され系ヒューマン」とかっこいいフォントで書かれており、アニメっぽい歯車のような模様が印刷されている。
何となくフィギュアの箱っぽい。
佐倉 光
「なんだ、フィギュア?」
知らない作品だな、とちょっと中を覗いてみる。
佐倉 光
一応東浪見には見せないようにする予定。
KP
東浪見は巻き込まれないでいてくれる。ありがとう。
東浪見 空
「何のだろ? 見たことないなー」
KP
そのまま箱の中を覗く? 箱を黒い箱の中から取り出す?
佐倉 光
箱を少し引っ張り出してみる。
パッケージの前面って大体でっかくあいてて、何のキャラクターなのか分かるものだしさ。
KP
そこにはアニメではなく、実際の人間の写真の肌の色が見えた。
最近よくあるアイドルグッズの類だろうか?
パッケージの前面は大きく透明になっているようで、もう少しよく覗けばフィギュアの顔が判別できそうだ。
佐倉 光
シローが興味なさそうな作品のだったら帰りに中古屋にでも持ち込もう。
何の気なしに引っ張り出す。
KP
牧志の顔と目が合った。
KP
ん? 牧志?

牧志だ。どう見ても牧志だ。
大学でノートに向かう牧志の真剣な顔を背景写真に、ブリスターパッケージに包まれて、小さな牧志がそこにいる。
デフォルメされたものではなく、大きさこそ小さいが牧志そのものだ。
KP
それは牧志の、あまりに精巧なフィギュアだった。
まるで、人間がそのまま小さくなったような。

まるで生きているような精巧さにか、あなたは何となく嫌な胸騒ぎを覚えた。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 58 Sasa 1d100→ 38→成功
佐倉 光
即箱を黒い箱に押し込む。
東浪見 空
「なんて作品のだった?」
東浪見が何気なく覗き込もうとしてくる。
佐倉 光
「あー。ケロケロコミックのやつかな? シローが喜ぶかも知れないから持って帰るわ」
俺はなにも見ていない。
内心そう唱えながら黒い箱の蓋を閉じて、テイクアウト袋にそっと入れる。
東浪見 空
「?」
東浪見は不思議そうにしつつも、それ以上追及して来ない。
佐倉 光
「そーいや俺用事一個忘れててさー!」
東浪見 空
「ありゃそっか、俺も家に兄貴帰ってきてるみたいだし帰るわ」
先程すぐに覗いて来なかったのは、どうやらスマホに来たメッセージを見ていたかららしい。
おかげで東浪見はそれを目にせずに済んでいる。
佐倉 光
「おう、またなー!」
東浪見を見送る。
佐倉 光
ではそのままそそくさとトイレに移動して個室に入り、そーっと箱を引っ張り出してみよう。
東浪見 空
「おう、またなー!」
機嫌よく手を振って去っていく東浪見を見送り、あなたはトイレに入る。
何だか、前にもこんなことをしたような。

KP
ゲーセンの狭いトイレの個室で、箱を引っ張り出す。
それは、いつ撮ったのか、大学の構内でノートへ真剣な目線を向ける牧志の姿を大きく印刷したパッケージに包まれていた。

それだけを見ると、まるでアイドルグッズか何かのようで格好良く見える。

そして、パッケージの透明部分の奥には。
自然な様子で両手を降ろし、こちらに見慣れた笑顔を向ける牧志が、いた。

その手や脚に継ぎ目が見えることで、それが本物の人間でないと分かる。
どうやらそれは、任意のポーズを取らせることのできる可動式フィギュアのようだ。

服も着脱式であり、同サイズのもの……例えばさっき取った服セットのような、があれば着替えさせることも出来そうだ。
佐倉 光
OkOk、落ち着こう。まだ慌てるような時間じゃない。
まずは写真撮って牧志にメッセージ送る。
佐倉 光
『これ心当たりある?』

送ってから「あるわけねーだろ!」と自らツッコミ。
どうやら最悪の事態を想像して混乱しているぞ、俺。
返事は来る? どこかで音が鳴ったりする?
KP
メッセージを送るが、返事は来ない。
今の時間なら、牧志は家にいるはずだが……。
本編見る!
佐倉 光
では自宅にシローがいるようなら電話かけてみる。
KP
シローに電話をかけると、「さくら!」と悲鳴のような声が飛び込んできた。

「さくら! まきしがへんなった!」
佐倉 光
「え? 牧志そこにいるのか? 変って、どんな?」
KP
「いる! まきしにかわる」
それから僅かな間を置き、今度は牧志の声が飛び込んでくる。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
佐倉 光
「おう、牧志! 喋れるのか。何かあったのか?」
牧志 浩太
「う、うん。喋るのは大丈夫なんだ」
すーはー、と数度息を落ち着けているような声がする。
牧志 浩太
「突然動けなくなったんだ。
喋ったりすることはできるんだけど、手足も首も動かせない。

ごめん、メッセージくれたよな。
スマホが手に取れなくて見られなかった」
佐倉 光
……仮説を立ててみる。いやまさかな?
佐倉 光
「ちょっと電話切らないでそのまま。スピーカーフォンにしといて」
KP
「うん、わかった。さくら、わかったの?」
シローの真剣な声。
スマホをどこかに置いたのか、微かにコトンという音。
佐倉 光
「いや、まだだ」
佐倉 光
これ電話かける前にポージングさせた方が面白かったかもしれんなwww
KP
それもちょっと思ったんですよね。
でも佐倉さんはこんなん見つけたら牧志確認しちゃうよなって。
一応後でポージングさせるようにそそのかすシーンはやろうと思っていますが、ダイナミックなポーズはしにくくなったかもしれない。

佐倉 光
箱からさっきの人形を出して、開封してみる。
そして人形を箱から取り出してみる。
外すときは、関節が変な方向に曲がったりしないように、慎重に。
ブリスターを裏から押して、無理矢理引っ張り出さないようにする。
KP
慎重に人形を取り出すと、それはやはり小さな牧志だった。
〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 58→成功
KP
見れば見るほど、あまりに精巧なフィギュアだ。
しかも可動式で、関節を見れば可動域が大きい。少々無理なポーズだってできそうだ。

間違いなくクレーンゲームの景品のクオリティではなく、職人が自ら手掛けた一品ものの傑作とでも言われた方が納得できる。
KP
肌艶や衣服のほつれ、手の甲の質感、雀斑の散り方に目元の黒子。ひとつ結びに束ねた髪の質感。首にべったりとついた痣の質感までも、どう見てもそこにいるのは牧志だった。

今にもあなたの手の中で目を覚まし、呼吸を始めそうにすら見える。
ぞくりとするほどの完成度だ。
KP
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 58 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 99→致命的失敗ファンブル
SAN 58 → 57
佐倉 光
これは。これはきっと。あれだ。そういうやつだ。
いやいやそんなわけないじゃないか。

牧志人形のポーズを変える。
ここはあえて牧志が絶対取りそうにない……

グリコのポーズにしてみよ。ひとつぶ300mってあれだ。
KP
人形は滑らかに動かすことができ、あのポーズを取らせても元の状態に戻ってしまうことはない。
牧志があのポーズを取っている姿はギャップが強く、ちょっと面白い。
牧志 浩太
「ひょあっ!?」
KP
「まきしー!?」
ポーズを変えると、電話の向こうで牧志の驚いた声と、シローの悲鳴が聞こえた……。
佐倉 光
「まさか、今牧志のポーズが勝手に変わった、なんてことは……」
牧志 浩太
「えっ、よく分かったな。
うん、突然手足が勝手に動いて、何だろうこれ、走ってる人? みたいな格好で止まった。
バランス悪くて足が、足が、あああ」
KP
「まきしー!」
佐倉 光
両足をすっと伸ばした。
牧志 浩太
「な、なんとか足だけ戻った。どうなってるんだ」
佐倉 光
「Ok大体分かった。急いで帰る」
佐倉 光
帰る前に一応店員に問い詰めてみるけど。
KP
店員に黒い箱について問い詰めても、アルバイトらしいその店員は景品の出所をそもそも知らないようだった。
佐倉 光
「ですよねー、すみません勘違いだったかも」
佐倉 光
牧志の人形は箱に丁寧に戻して、家に即行帰る。

牧志 浩太
家に帰ると、リビングルームで直立したまま両腕を振り上げた牧志があなたを出迎えた。
これはこれでガッツポーズのようだ。
KP
「さくら!」
シローがあなたに駆け寄ってくる。
佐倉 光
「大丈夫大丈夫、一体何があったんだ? いつからこうなんだ?」
牧志 浩太
「昼からなんだ。
今日は午後から授業ないから、昼食べて片付けしようと思ったら、いきなり動けなくなって」
あなたがフィギュアを見つけたのは、昼過ぎのことだ。
佐倉 光
とりあえず箱に書いてある情報片っ端から検索して、画像検索までかけてみるけど。
KP
箱を見ると、製造元はikasukakkoiiと記載されている。
製造元の住所も記されている。
しかし、調べるとそこは山奥の湖だ。
外装を作った担当者が間違ってしまったのだろうか? そうだったら確実に始末書ものだ。
KP
片っ端から検索するなら、〈図書館〉または〈コンピューター〉で判定。
佐倉 光
1d100 85 〈コンピューター〉 Sasa 1d100→ 74→成功
KP
検索するが、その会社の公式ウェブサイトは存在しなかった。
しかし、同じ会社から製造されている別のフィギュアがネットオークションサイトで見つかる。

現在の価格は四〇万円。
何の商業的キャラクターでもない異様なクオリティのフィギュアが人知れずクレーンゲームの景品として出荷されているという都市伝説もあって、プレミア価格が付いているらしい。

この手元にあるフィギュアも出品すれば大金に化けるかもしれない。もしかしたら、四〇万円以上……。
佐倉 光
「……すげー。牧志四千マッカだ」
動揺のあまりわけの分からないことを口走った。
KP
いや、あなたはもう一つ恐ろしい可能性に思い当たる。
どうやら牧志の身体を操れるこのフィギュア、もしも奪われでもして、どこかで流通してしまったら……。
KP
製造元の住所は不明となっている。
住所の記載がされているのは、今あなたが手にしているものだけらしい。
佐倉 光
「くそ、後でこの住所に行ってみるか……」
佐倉 光
むっ。効率良く動きすぎているのかなこれは!
KP
この話、フィギュアで遊ぶのがメインで、効率よく解決に向かうと割とさらっと解決してしまう話です。
ので、遊べるように(?)この辺から余計なイベントを追加してまいります。
佐倉 光
すみません、ありがとうございます!
KP
いえいえ!

牧志 浩太
そこまで調べたところで、ふと牧志が目に入る。
立って両腕を振り上げた姿勢を取らされたままの牧志の腕が、ぷるぷると震えている。
もうちょっとましな姿勢を取らせてやるべきかもしれない。
佐倉 光
「……ごめん、忘れてた」
牧志のフィギュアを椅子に座っているような姿勢に……
牧志を移動させる手段……

足をぎっこばったと動かして歩かせられるかやってみる。
可能ならソファまで歩かせよう。
牧志 浩太
「あ、うん。えっええ勝手に動くうわぁあああ」
あなたが牧志の足を歩いているように動かすと、牧志の足がぎこちなく動く。
しかしフィギュアの足元に重力は働かないせいで、どうしても危なっかしいような、ちょっとユーモラスな歩き方になる。
KP
【POW】×3で判定。
佐倉 光
1d100 45 【POW】 Sasa 1d100→ 13→成功
佐倉 光
ダイスが真面目にやれと言っている!
KP
ダイスが真面目にやれと言っとる!
佐倉 光
ええー。もうちょっとふざけようよー。
KP
あなたは牧志を無事に座らせることができたことに、ひとまず胸を撫で下ろす。
牧志は本来あるべきリラックスを無視し、ぴったりと同じポーズでソファに座っている。
牧志 浩太
「もしかして、その人形を動かすと俺も動く?」
おっと、もしかしてと気づいたようだ。
佐倉 光
「多分そういうことなんじゃないかな」
なるべくリラックスした姿勢になるように微調整……
佐倉 光
難しいな。いつもどんな感じで座っていたっけ??
牧志 浩太
力を抜いてリラックスした姿勢……、姿勢……、なかなか難しい。
物理的にソファを突き抜けることはできないので、調整しながらソファに身を預けさせることで、どうにかソファにもたれた姿勢になった。
佐倉 光
「駅近くのゲーセンでとったんだ。これ、箱」
牧志に箱と人形見せる。
牧志 浩太
「駅近くのゲーセンだって?
何だこれ、こんな写真撮らせた覚えないぞ。
こうして見ると、完全に商品だな。不気味だ」
佐倉 光
「だいたいこの手のって置いてあったゲーセンは関係ないな」
佐倉 光
歯車と箱の文言に悪意しか感じない。
KP
問題の住所はここから結構離れている上、近くに大きな通りもない。
夏で陽が高いとはいえ、今から向かうと着く頃には日が暮れてしまいそうだ。

闇に乗じて動くつもりならもっと夜中に行くべきだろうし、そうでなければ、明日にするのが賢明だろう。
幸い? 今すぐ牧志に生命の変調や、重大な異変が起きる気配はない。

動けないけど。
KP
というわけで姑息に時間をのばしました。>ダイスが真面目にやれと言っとる
佐倉 光
ありがとうございます。
持ち歩く時に何かあったら困るし調べておかないとなー

シナリオの想定的に一人で外出なのかな、車に乗っけて連れて行くのはありなのかな。
KP
調べておかないとなー!
連れて行くのはアリです。
シナリオにはどちらとも書かれてないし、連れて行っても問題ない展開。
佐倉 光
「動くのは明日にして、情報集めるか」
いわゆる呪いの人形ってやつだろうか。
ピンを刺したら本人も苦痛を感じるとかそういう。
佐倉 光
フィギュアの全身に触ってみて、触覚が連動しているか確かめてみるか。
フィギュアの手などに触ってみる。
佐倉 光
「これ何か感じる?」
牧志 浩太
「いや、触った感じはないな。

俺が力を入れてポーズ取ってるわけじゃないのに、筋肉に力は入るの理不尽」
KP
よく触れると、幸いといっていいか体温はなかった。
しっとりとした樹脂の手触りだ。
佐倉 光
感覚がない、というのは僥倖だ。触れるのにも気を遣わなくて済む。
影響するのは動きだけなんだろうか。
KP
そういえば、ドールの服セットも一緒に取っていたのを思い出す。

……着替えさせたらどうなるのだろうか?
佐倉 光
着衣の継ぎ目が気になった。これ外したら……どうなるんだ?

力を入れて外してみる。
KP
力を入れて着衣を外すと、下から痣の刻まれた肌が現れた。
心臓を掴むような痣の這い方も、牧志のそれそっくりだ。
牧志 浩太
「うわっ!?」
外したと同時に、牧志の驚いた声。
佐倉 光
顔を上げて牧志の方を見る。
牧志 浩太
牧志が驚いた顔で服をはだけていた。
いや、違う。牧志は同じ姿勢で座ったままで、その身体から服がまるで外されたように、勝手に滑り落ちている。

どうやら服の状態も反映される。何だこれ。
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「…………」
興味が。わいてしまった。
とってきた服はこの家にはないわけだが、それをくっつけたらどうなるんだろう?
佐倉 光
パッケージを開けてみる。どんな服かな。
KP
パッケージを開けると色々とミッチリ詰め込まれていた。
ドールの、とあったがパッケージが雑なようで、実際に入っていたのはフィギュア用の衣装パーツだ。

シャツ、ズボン、変なTシャツ、スカート、魔法少女の衣装、ゲームキャラ風のかっこいい衣装、メイド服、それからそれから……。

※入っていてほしい物があれば、入っていてよい。
佐倉 光
「…………」
あくまで実験だし?
うちに絶対ないような服の方が検証として適してるし?
そうすると……

ソッと魔法少女の衣装を手に取って牧志から見えないところで装着してみる。
牧志 浩太
「うわっ」
牧志の身体が光を放った。

かと思うと、そこになかったはずのレースたっぷりの衣装が、平然と牧志に着せられていた。
KP
「まきしがへんしんした!」
牧志 浩太
躍動的な短いスカート。
何重にも織り込まれた可憐なレース。
胸元を飾るフリル。きらきらと室内の明かりにきらめく、ハート型の装飾。
それから手に持った、リボンのなびく魔法の杖も!

手元のフィギュアを飾る衣装そっくりの衣装を、牧志が纏っていた。
その姿はまるで、牧志が大きなフィギュアになったようだ。
牧志 浩太
「佐倉さん何かやった!?」
佐倉 光
「んー、ちょっとねー」
棒立ちじゃいまいちだな。
さりげなくそれっぽい格好にしてみる。
片足でこう、片手でスティック振り上げる感じで……
動かすとき、人体には動かせない方向に動いたりしないだろうか?
動いてしまうようなら注意して動かす。
KP
結構無理のあるポーズも取れるが、人体を壊してしまうような位置まで曲げようとするとロックがかかるようだ。
それを無視して無理やり動かすと、パーツが取れてしまうタイプのやつである。
牧志 浩太
「わわわ、また動……、佐倉さん遊んでるな!?」

牧志の手足が動き、杖を握って大きく掲げる。
片足を踏み出したポーズにスカートがなびき、驚いた顔を除けば、実に…… ノリノリだ!
佐倉 光
「よし」
完璧だ! 俺こういうのよく知らねーけど。
出来映え確認!
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「ブフォ」
暫く呼吸困難に陥った。
牧志 浩太
「佐倉さん完全に遊んでるだろ!」
佐倉 光
「いやいやそんなことは」
佐倉 光
「悪い、面白すぎる」
牧志 浩太
「そんな気はした。
佐倉さん好奇心に火がついちゃってるな?」
佐倉 光
「まさに魔法だな! どうなってんだ!?」
牧志の方の服の作りなんかを見る。
サイズとかどうなってるんだ!?
KP
空中から現れた布は、つやつやとした柔らかな布地でできていた。
フィギュアのそれと違い、硬いパーツではない。
コスプレ衣装のような風合いだ。
男女の体格差があるはずなのに、その衣装は牧志の身体にぴったりと沿っている。
佐倉 光
「元々の服は普通に脱げるのに、新しく着けた服は出てくるんだな。
これこっちで脱いだらどうなんだろ」
牧志の手を包む白い手袋を抜き取ろうとしてみる。
KP
牧志の手からレースで飾られた白手袋を抜き取ると、かたんと音がしてフィギュアから手袋のパーツが外れた。
佐倉 光
「おっ」
抜けた手袋はそのまま?
KP
抜けた手袋はそのまま、あなたの手の中にある。
牧志 浩太
「うーん。一度俺と同期? すると、脱いでも消えるわけじゃないんだな。
何だこれ」
佐倉 光
「なるほどなるほど」
衣装って前後から挟み込むタイプかな。
前と後ろで別の服を無理矢理くっつけることはできるかな?
KP
前後から挟み込むタイプだ。
無理やりくっつけようとすると凹凸が合わなかったりするが、押し込んで強引に噛ませればくっつかないことはない。
佐倉 光
ズボンの服とスカートの服。
前は白いタキシードで後ろはカラフルなドレスでこう、むりやりくっつけてみる。
KP
力を込めてがちん、と押し込む。
明らかに断面がずれているが、些事些事。
牧志 浩太
「え、そんなのありなのか」
牧志の身体が発光する。

白いタキシードの後ろに、燕尾のようにドレスのフリルが生える。
佐倉 光
「お、反応した!」
牧志 浩太
「いやこれ、前半分だけになってるな?」
KP
シローがタキシードの足元を引っ張った。
本来筒状になっているはずのボトムの布が前半分で切られ、引っ張るとぺろりとめくれる。
佐倉 光
「へー、服は悪魔合体しないのか」
何だつまらん。いや待て。どうやって半分だけで引っかかっているんだ。
フィギュアは持ったまま牧志の着衣をよく見る。
やっぱり引っかかってるだけで、すぐ滑り落ちそうかな。
落ちそうなら落ちないような姿勢を取らせよう。
KP
服は胴の部分でちゃんと縫い止められている。
引っかかっているだけではないようだ。
佐倉 光
びんぼっちゃまスタイルになってた!
KP
YES!
KP
「まきし、おきがえ?」

あなたが調査? 遊び? 始めたので、シローも興味を唆られだしてしまったらしい。
あなたの手元を覗き込む。
佐倉 光
「お? まぁな?」
これじゃあんまりだからなんか着せよう。何にしようかな。
フィギュアを置いて服の箱を引っかき回す。
ぱっと目についたファンタジーな服をセット。
魔法使いみたいな格好になった。
牧志 浩太
「まあいいか、痛かったりするわけじゃない……、し?」
うーん。牧志の目元に困惑が浮かぶ。
ポーズを取ったまま魔法少女から魔術師の格好へと変じた牧志は、ちょっと様にならなくもない。
佐倉 光
「マジでどうなってんだこれ」
佐倉 光
服のボックスに演出用のオーラないかなw
KP
演出用エフェクトはコストの関係か、前や後ろに置く透明なボードに印刷されたものだ。
散る桜や稲妻、波、呪文のような模様、飛び交うハート、自由に描いて消せる板など色々ある。
佐倉 光
前に桜のボード置いて文字書けるやつ背景に置いて、「一件落着」って書いてみよ。
牧志 浩太
「うわ」
牧志の周囲にぱっと桜が散った。
桜は実体ではなく、レーザーエフェクトのように映し出されるもので、光っては地面に落ちる前に消えていく。
牧志 浩太
そして、牧志からは見えないが、背後に大きく文字が映し出された。

一件
落着

KP
そんなわけはないが、なんだかめでたい。
佐倉 光
「よし!!」
何がだ、と思いつつ写真撮って牧志に見せる。
字とかも映し出されてるだけか。
牧志 浩太
「ぶっは」
あんまりにもあんまりな絵面に、そこにいるのが動けない自分なことも忘れて思わず吹き出してしまう。
牧志 浩太
「遊びすぎだろ遊びすぎ。全然落着してないし」
KP
字も映し出されているだけのようだ。
佐倉 光
「これ、いきなりなるとかじゃなくて自分で解除もできるなら、結構需要生まれそうなんだけどな。
どうなってんだこれ?」
牧志 浩太
「だよな。自分でやるのが大変なポーズも取れるわけだし」
牧志 浩太
「ほんと、これどうなってるんだろうな。
動けないのがなければ、役に立つし需要ありそうなものだけど。
好きなフィギュアの服を着られるってことだろ? これ」
佐倉 光
「しかも服出てくるしさ」
牧志 浩太
「でも、大体ちゃんと役に立ちそうな方向に行ってくれないんだよなー……、こういうの」
KP
さて、この辺で再度佐倉さん、【POW】×3で判定。
佐倉 光
1d100 45 【POW】 Sasa 1d100→ 84→失敗
佐倉 光
「難しいポーズも取れるから写真撮りたいやつなんか喜ぶんじゃないの?」
KP
牧志とそんな話をしつつ手元のフィギュアを見ていると、
あなたの胸の奥から、じわじわと好奇心と楽しみが湧き上がってくる。

これは……、牧志には悪いが、面白い。
かなり面白い。
もっと色々なポーズをさせてみたくなる。
幸い牧志を傷つける心配はなさそうだし、もっとアクロバティックなポーズを取らせてみてもいいんじゃないか?
佐倉 光
「例えばこう……」
まるで孫悟空がやるみたいな片足上げて武器を……棒代わりに鉛筆でも持たせてみるか。
どうなるんだこれ?
佐倉 光
だと、服が邪魔だな。もっと動きが見やすいやつで……なんかいいのないかなー。
ここであえてストップモーションアニメーション撮ってみるなんてのも……
そのへんの適当なものフィギュアに持たせたら巨大化したやつが出てくるのかな!?
佐倉 光
「牧志。悪い。絶対元に戻すから」
佐倉 光
「ちょっとだけ遊ばせてくれ!」
牧志 浩太
「ちょっ、佐倉さん!?」
牧志はまずいムードを感じ取った!
しかし、今の彼があなたに抗うことはできない。
牧志 浩太
「あー、ああー……、い、いいけど、無茶はなしな!? 痛くするなよ!?」
諦めたのか、楽しそうなあなたを止め難かったのか、牧志は妙なことを口走りながら承諾する。
魔術師の衣装を翻して片足を上げる牧志の手に、巨大な鉛筆が現われた。
KP
「でっかい! でっかい!!」
巨大な鉛筆を見て興奮したシローが、スケッチブックを持ってきて鉛筆の先に擦りつけようとする。
しかし、紙に黒鉛がつくことはないようだ。
佐倉 光
「おー、すげぇ!」
期待した通りのことが起きて、思わず興奮のあまり鉛筆に触る。触れるのかな?
KP
触れる!
巨大な鉛筆は、すべすべとした塗装された木の感触であなたに触れる。
佐倉 光
「そういやさっき両手バンザイしてたときプルプルしてたけど、やっぱ疲れんの?」
牧志 浩太
「疲れるな。変な姿勢するとちゃんと筋肉に無理がかかる」
佐倉 光
「不便だな。外から弄って楽な姿勢にするの難易度高すぎるし」
牧志 浩太
「そうなんだよな。力を抜こうとしたけど無理だったし」
佐倉 光
鉛筆は外して、足もなるべく楽な姿勢に戻して、両手を何かを乗せるように軽く差し出した状態にする。
その手の上に、シローのオヤツのチロルチョコを置いてみた。
KP
チョコが巨大化した!
牧志の手とフィギュアの手の比率そのままに、大きなチロルチョコが牧志の手の中に現われた。
KP
「ちょこ!!!!」
シローは大興奮だ!
早速巨大なチョコの包みを開けようとする……が、開かない。
KP
「さくら、あかないー」
佐倉 光
「そっかー」
元のチョコの包み紙を開けてみる。
しかしこれ出てくるのはそのものじゃないくさいかな。
KP
元のチョコの包み紙を開けると、牧志の手の上の包み紙も開く。
中から同じチョコレートが出てきた。
KP
「あじしないー」
しかし、シローが舐めてみても味がしないようだ。
牧志 浩太
「同じなのは形だけ……、なのか?」
佐倉 光
自分も舐めてみる。溶けたりしないのかな?
KP
溶けもしないし味もしない。
プラスチックを舐めた味がするわけでもなく、ただそこにあるだけだ。
ちょっとチョコレートが食べたくなってきた。
佐倉 光
後光が差してるボード後ろに置いて写真撮るくらいしかできねぇな。ちぇ。
佐倉 光
牧志フィギュアに乗っけていたチロルチョコを、シローにお願いして貰って食べよう。
KP
「ぼく、はんぶんたべるー」
佐倉 光
甘い……
KP
シローと分けっこして食べたチョコレートは、想像通りに甘くて美味しい。
佐倉 光
「あくまでフィギュアってことなのか?
どこまでリアリティあるんだろうなー」
言いながら牧志を座らせてあげよう。
牧志 浩太
「なのかな」
佐倉 光
足を組んでものすごく格好つけた、ワイングラス持ってそうな感じで。
後ろに黒い炎でも上げとけば魔王っぽくない?
牧志 浩太
「佐倉さん……、もしかして今の俺、めちゃくちゃ格好つけた雰囲気になってる?」
魔術師の衣装を垂らし、黒い炎を背景に悠然と座る牧志は、よく分からない迫力を持っているようにも見えた。
さっきの白タキシードが似合いそうだ。おや、アクセサリーの中に角やコウモリの羽も入っている。
佐倉 光
「なかなか似合うぜ?」
角やコウモリの羽もつけてみるか。ローブもタキシードも味わいが代わって面白いな。
完成したら見せてやろう。
牧志 浩太
フィギュアに角や羽根がついていくと、黒い炎を背景にした牧志が戯画の悪魔さながらの姿に変じていく。
二枚合わせてフィギュアの身長の三分の二ほどの全長がある翼は、人間大の大きさになるとなかなかの迫力だ。
佐倉 光
「悪そーな笑み浮かべてみて」
スマホ構えてる。
牧志 浩太
「うーん、悪そうな笑み、悪そうな笑み……」
牧志もちょっと乗ってきた。
牧志 浩太
「こう? 違うな」
牧志 浩太
「こうでもないな」
牧志 浩太
「うーん……」
牧志 浩太
「こう?」
佐倉 光
「ナイス!」
写真撮る。
なるほどフィギュアってこうやって遊ぶんだな! おもしれー!
佐倉 光
……いや違うだろ。

佐倉 光
顔はめ込んで表情変えるタイプじゃなくて良かったね牧志。
さすがに佐倉にそんな知識ない。
KP
本当に。表情変えるパーツはないってシナリオにも書いてあるんですよね。
佐倉 光
顔バカッと外してやるタイプだと色々怖いし、食事もできなさそう。
KP
できなさそう。それに表情まで動かなくなっちゃったらこうやって笑ってられない。
佐倉 光
そうしたらもっと真面目にやってたかも知れない。
KP
つまりちょうどいい塩梅だった。

佐倉 光
「そういや、飯とか水分どうしたらいいんだ?」
牧志 浩太
「うーん。
一応口は開くから、食べさせてもらえば食べられるとは思うんだけど。
言われたら腹が減ってきた」
KP
「おなかすいたー」
シローがパンなどを入れている箱を探る。
佐倉 光
「昨日買っといたパンがいくつか残ってたはずだなー」
ごそごそと探って袋からあんパンだのランチパックだの取り出す。
佐倉 光
「どれ食べる?」
牧志 浩太
「うーん……、」
牧志 浩太
「お、そのランチパック牛タンシチューってやつ気になる」
KP
「めろんぱん!」
佐倉 光
ほい、とシローにメロンパン渡してやる。
佐倉 光
「俺はタマゴでも食おう」
そうだな、まず牧志の格好つけたフィギュアのワイン持った方の手を良い感じに広げるだろ。で、リアル牧志の広がった手にサンドイッチのせて、
フィギュア牧志の指曲げてサンドイッチ固定して、ゆっくり口の方に近づけ……
佐倉 光
なんか二人羽織やってるみたいだ。見えるけど。
KP
「いただきまーす」
シローが大きく口を開ける横で、あなたは牧志と二人羽織を演じる。
手を広げてサンドイッチを乗せて指を曲げて……おっと口に近づきかけて微妙に位置がずれて、なかなか難しい。
牧志 浩太
「あーん」
じわじわと近づいてくるサンドイッチを見ながら、牧志は舌を伸ばして……
佐倉 光
「おっと行きすぎ……こうかな」
牧志 浩太
サンドイッチを咥えた!
牧志 浩太
「お、結構美味しい」
もぐもぐ。幸い口はちゃんと動くようだ。
佐倉 光
「よしっ」
牧志が食べ始めたのを見て自分もぱくつく。
佐倉 光
「顔だけでも動くようになってて良かったな。
これで顔も固定だったら喋れもしないし目も当てられない」
牧志 浩太
「顔も固定だったら嫌すぎるな。ただの人形じゃないか。
それで意識だけそのままとか、怖気がする」
牧志は首を振ろうと表情を歪めたが、首を動かすことはできないらしい。
佐倉 光
「水、飲む?」
牧志 浩太
「お、飲む。麦茶希望」
佐倉 光
「オッケー」
コップに麦茶をついで……さすがにこれは直接顔に近づけてやった方が良さそうだ。
唇に近づけてゆっくり傾けてゆく。
佐倉 光
……前にもこんな事やった気がするなぁ。
牧志 浩太
何だか覚えのあるシチュエーションを前に、牧志はこくこくと喉を鳴らして麦茶を飲む。
見ていると、喉の動きなど細かい動作はそのままなようだと分かる。
佐倉 光
そういえば体の中身はちゃんと動いてるってことだな。
イブクロのヤツも元気なのかな。
牧志 浩太
微かに胸のあたりからきいきいと鳴く声が聞こえるあたり、イブクロもたぶん元気に動いているのだろう。
佐倉 光
結局遊び倒していた佐倉であった。
KP
乗ってくださってありがとうございます。楽しい。
佐倉 光
シローかまってあげなくてごめんな! シローに選択肢投げるのも何だかなと思ったんだ!
KP
いえいえ! 構造上仕方ない!
シローは不思議そうにしながら横でちゃっかり楽しんでますきっと。

佐倉 光
「……にしても、不便だよな、これじゃあ。明日この住所に行ってみるよ」
牧志 浩太
「ああ、頼む。
何だか動けないのに慣れてきた気もするけど、ずっと動けないままじゃ不便でしょうがないしな。
そもそも、何でこんなことになってるのかも気になる」
佐倉 光
「風呂とかトイレとか大変すぎないか」
ふと嫌なことに気づいてしまった。
風呂はまあ一日二日我慢する事はできる。トイレはそうはいかないし。
佐倉 光
※そのへん考えると、基本家のトイレに座っておいてもらって、シローに世話してもらいつつ、常に電話繋いでおいて佐倉は該当住所に行く、とすべきかぁ。
牧志 浩太
「……」
oh。牧志の顔がひきつった。
牧志 浩太
「風呂はまだしもトイレはやばい」
KP
「おむつ!」
シローが手を上げて言い出す。
シローは先日、赤ちゃんに関する本を読んでいたのだ。oh。
佐倉 光
「残念ながらつけとけば大丈夫ってわけじゃないんだよなー」
1回はなんとかなるにしても、その後困るしシローに付け替えてくれというのも無理ゲーだ。
KP
「ぼく、おむつかえる」
牧志 浩太
「ええとな、あのな、シロー。
シローよりおんなじか小さな子じゃないと、おむつを換えるのはうまくできないんだ」
KP
「そうなの?」
牧志 浩太
「そうなの。本でもちっちゃい赤ちゃんのおむつ換えてただろ?」
KP
「かえてた」
牧志 浩太
牧志はどうにかシローの気持ちを殺がないようにNOを言おうと苦心していた。
シローにおむつを換えられるのは色々な意味でNOだ!

KP
おむつがどうのトイレがどうのという話はもちろん、シナリオにはありません。

ここ、実はちょっとKPがシナリオを読み違えた箇所がありまして……。
終了後にお話しします。牧志ゴメン。
佐倉 光
お? ここで? 生理現象とかなくなってたかなひょっとして。
KP
そっちではないです大丈夫。
そもそもの状態についてKPの読み違いがありました。

佐倉 光
「向こうで何があるかわからないことを考えると浩子さんたちに頼るわけには行かないな。
波照間さんに頼んでみるか……?」
佐倉 光
「案1。旭橋喚んで一緒に来てもらう。牧志も一緒に車に乗って、現地に行ってみる」
佐倉 光
「案2。波照間さんに来てもらって、牧志はここで待機。俺一人で行く」
どっちの場合もシローはお留守番かな。
車でみんなで行くならシローも行く、はまあありかも。
牧志 浩太
「そうだな……。」
シローが納得したのを見てふぅと息をつき、改めて考える。
牧志 浩太
「あっちで何があるか分からないことを考えると、足手まといになる俺はいない方がいい。

あっちで俺を元に戻せる可能性を考えると、俺が行った方がいいかもしれない。
ただ、フィギュアって媒体がある以上、俺がいなければいけないって可能性は低いか。

正直分からない以上、どっちもどっちだな」
KP
PL情報:連れて行く・行かないによって何か変わることはないので、好きな方を選んで構いません。

連れて行く場合は《SANチェック》が発生しますが、その分牧志も生還時の回復対象になります。

連れて行かない場合は牧志に《SANチェック》が入りませんが、牧志は生還時のSAN回復対象になりません。
佐倉 光
うーん、連れて行かない方が、人形に何か起きたとき
牧志に何が起こっているか分からなくて面白いかな……&動きやすいかな。
常に電話かテレビ会議ツールみたいなので様子が分かるようにしとくか。

ということで一人で行こうかなと思います。
佐倉 光
「……分かった。
向こうで何が起きるか分からない以上、旭橋にここにいてもらうってわけには行かない」
佐倉 光
「波照間さんに連絡してみる」
電話しよう。
波照間 紅
「どうした?」
最近調子が出ないらしい波照間は、少し仕事の量を減らしている。
そのせいか、すぐに連絡がついた。
まだ少し落ち込んだ声が、電話の向こうから返る。
佐倉 光
「ごめん波照間さん、実はまた奇妙なことが起きていて、牧志が……」
かくかくしかじかと波照間に説明して、自分がいない間牧志を助けてやって欲しいが、明日動けるか訊く。
波照間 紅
「牧志が……フィギュアに??」
波照間 紅
「あ、ああ。分かった。
明日なら動ける。引き受けよう」

まさかの事態に波照間の落ち込みも吹っ飛んだ。
飛んでくるのは驚いた声だ。

佐倉 光
「ひとまずよし……」
首を回して、ふと思いついて牧志のフィギュアの首や腕などをゆっくり回す。
牧志 浩太
牧志は最初首が回りだしたのに驚いたが、少しして意図に気づいたらしい。
その動きに身を任せるように力を抜く。
牧志 浩太
「いたたた、結構固まってるな……、」
佐倉 光
「こんなんで今晩寝られるのか?
まっすぐにすりゃいいってもんじゃないし」
佐倉 光
「結局このフィギュアの形で緊張状態にさせられるって感じみたいだし
大体なんで牧志がこんなことになってるんだ」
自分も手首を回して、牧志の服をとりあえず普通のシャツとパンツに変更して……
牧志 浩太
「なんだよな。何か見たり受けたようなこともなかったし。
知らないうちにフィギュア作られて動けなくなってるって、どういうことなんだよ」
佐倉 光
「俺が牧志の体を直接動かせるくらい強きゃこんな苦労は……」
佐倉 光
「そうか、今日はひとまずあいつら喚んでも大丈夫だな」
牧志sに連絡して状況を伝え、今日は旭橋に来て貰おう!
トイレ行かなきゃって時にえっちらおっちら歩かせてる場合じゃねぇんだよ。
時間的にもう誰か喚んでたと思うけど交代して貰おう。
旭橋
「知らないうちにフィギュア作られて動けなくなるって、何だそれ怖い」
呼び声に応えて旭橋が姿を現した。
旭橋
「すごく遊んだ跡がある……」
遊んだ痕跡を見て複雑な顔をする。
佐倉 光
「調査調査」
うん。遊んでた。
佐倉 光
「とにかく来てくれて助かったよ」
人形を見つけたときのこと、体と人形の繋がり、着衣や周囲に置いたものの反映など説明する。
佐倉 光
「人形持った俺の手や置いたテーブルが巨大化して出てこないって事は、
接触や範囲が条件じゃなくて『これを飾る』って意思が必要なんだろうな」
牧志 浩太
「ああ、なるほど? 確かに、佐倉さんの手も触れてたもんな。
それに、フィギュアを傾けても俺が倒れたりしない。
『ポーズを取らせる』『飾る』って意思が必要なのか……」
牧志 浩太
「……何だよそれ。余計に呪いの人形じみてきた。
誰がいつそんなの作って、よりによってゲーセンに入れたんだよ」
佐倉 光
「マジでなんなんだよって感じなんだけど、とりあえず明日はこの人形持って、
箱に書いてる住所に行ってみる」
旭橋
「助けになってよかった、えっと、牧志は動けないから今日、俺に世話してってことだよな? 世話……」
思わずトイレの扉を見てしまった。大層複雑な顔をする。
牧志 浩太
「ごめん、世話になる。複雑だろうけど、自分だと思って頼む」
佐倉 光
「運んでいって座らせてくれれば、あとは人形の下の服外せば何とかなると思うんだけど……」
佐倉 光
「……後始末は……頼む」
旭橋
「……あう」
牧志 浩太
「何だかごめん……」
旭橋
「だ、大丈夫、看病、これは看病……」
KP
微妙な空気が流れたが、とりあえず牧志を世話してくれる人間は確保した……。
佐倉 光
拭くのは流石にな……
ウォシュレットくらいはあるだろう、きっと!
KP
ウォシュレットくらいはきっとあるある。


コメント By.佐倉 光
ゲーセンで牧志のフィギュアをゲット!
……えっ、どうしてそんなことに?

わけがわからない始まり方をするシナリオ。
こんなのもう遊ぶしかないだろ!?

プレイ日:2025年6月28日 ~ 2025年12月15日

作者名: 水切書房/サワガニ

配布・販売サイト: 【CoC6th】おまえが〇〇するんかい【SPLL:E194878】

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!


【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」



TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第十四話『旅するゆうこや』軽井沢(風波) 一

「やっぱ車で行くもんじゃねぇや、この道。やべぇ、一気に疲れが来た。石になりそうだ」

TRPGリプレイ【置】CoC『刻の牢獄』波照間 1

「星が綺麗な夜ですね。お会いできて嬉しいわ」

TRPGリプレイ CoC『今昔 狼龍奇譚』 1

「そのひとちょっとだけ、うみちゃんに似てたな」
「え、あたしに?」


送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!