こちらにはキルキルイキル
ネタバレがあります。

 四回目 ■■■■■ 2021/12/19 ■■■■■
年末

渡川 京
こんばんはー!
前回SAN減ったから最終SAN15かな
海野 迅
15でしたね
渡川 京
背景なんかイルミネーションっぽいのに変えましょうか?
海野 迅
あ、そうですね
ありがとうございます
渡川 京
——— 2021/12/19 ———-
渡川 京
海野 迅
どうしよ。町に買い物に行って散歩と買い物する感じ?
渡川 京
そんな感じでぜひ クリスマスと大掃除な感じですかね
海野 迅
りょうかーい

海野 迅
最近常に眠いのはきっと冬だからだな、と思う。
眠るとき、二度と目覚めないような気がしてしまうことも、よくある。
渡川 京
最近、いつにもまして眠い。寒い季節な分、これまた布団が気持ちいいのだ。人間も冬眠するとかいう話を聞いたことがある。そうかもしれない、と思う。
……このまま目覚めなかったとして。案外、悪くない死に方なのかもしれない。
海野 迅
色々必要な物を買うため、町を歩く。
雪が降らなくて良かった、これならバイクが使える。
「俺、死ぬまでにあのバイクのスタートうまくできるようになんのかなー」
渡川 京
『さあな。でも、最近割とうまくいってるじゃないか』
いつもの”部屋”の布団に寝転がりながら、頭の中で迅に声をかける。
海野 迅
買い物袋の中には掃除用具。
「あいつさぁ、絶対お前の言うことしか聞く気ないぞ」
「なんつーの、暴れ馬みたいな」
渡川 京
『ああ、暴れ馬。間違ってはいないな』
『最初は俺も相当手こずった』
海野 迅
「くそ、いつか乗りこなしてやるからな」
「次はかさばる食べ物系か」
渡川 京
『ああ。……クリスマスか。もうそんな時期になるんだな』店先のPOPを視界にとめて、少し遠い目をする。
海野 迅
「まとめ買いしとくか。くそ寒いのにあんま出たくないしなー」
「去年は……ダチと馬鹿騒ぎしたっけ」
渡川 京
『去年はどうしていたかな…… あまり興味を持ってなかった気がする。興味がなくても、こういうので時期を感じるんだから、不思議なものだ』
海野 迅
「待て待て、俺がクリスマスやった記憶があるって事は、去年寝てたのかお前」
「ずっと?」
渡川 京
『クリスマスだろう。不貞寝する以外にすることもない』
そのときのことを、自分が持っている記憶を思い返してみる。あのときは…… 迅が出かけているのを尻目に、不貞寝していたような記憶が残っている。きっと、そういうことになっていた。
海野 迅
「考えように寄っちゃ、お前も来てたって事だな」
「で、何食う」
渡川 京
『……そうだな、そうかもしれない』 
『何でもいい。折角だからケーキでも買ってみるか?』
海野 迅
「甘いもん好きだなー。Ok、ケーキだな。前のヤツがいい店教えてくれたんだ」
渡川 京
『まあな、嫌いじゃない。……それはいいな。楽しみだ』
海野 迅
(男だけでクリスマスというのも随分と久しぶりだな)と思う。
「まあ……そういう状況の方が盛り上がるから、以外の理由もなかったしな……」
こぢんまりとした店でケーキを買う。
「よし、こんなもんか」
渡川 京
『ああ。任せて悪いな』
海野 迅
「京は割と頓着しないからなー」
「ま、でもやった方が楽しいと思うぜ」
荷物をバイクのサイドバックに詰めてゆく。ケーキは多少残念なことになるかも知れないが、まあいいだろう。
渡川 京
少々潰れても食えればいい。こういうのが気兼ねのないところだ。
海野 迅
「じゃあ、移動は任せる」
こんな大荷物抱えて足に怪我をしたら洒落にならないので、チャレンジはまたの機会だ。
渡川 京
「分かった」するりと交代。暴れ馬と称するバイクを、慣れた様子で走らせていく。
海野 迅
これに関してはもう勝てる気がしない。
おとなしく寝る、が、寝過ぎないようにしなければ。
渡川 京
こいつ(バイク)とももう長いな。そんなことを思う。数年の年月は ”短いうち” かもしれないが、自分にとっては十分に長い。
海野 迅
帰る? 帰りしなイルミネーションでも観とくか……
渡川 京
お、いいですね

渡川 京
たまにツーリング先で出会うライダーには、”若いやつが旧車なんて珍しい” と感心されることが多かった。
……将来自分は何になるのかなんて、たまに思ったことも、昔はあった。
ふと、大通りを鮮やかに彩る光が目に入った。イルミネーションだ。少し見ていくか、とバイクを停める。
海野 迅
『さむー。こっちまで寒いわー』
『お、なかなか綺麗じゃん』
渡川 京
「ああ、悪くない。寒いが、こういうのはこういう時期の方が似合うな」
海野 迅
『お前さー、小さい頃何になりたかった?』
何故だろう、イルミネーションを観ていたらふと浮かんだのだ。
渡川 京
「小さい頃……、か」滲むようにきらめく光を見ながら、通り過ぎていく親子連れや恋人たちを見ながら、記憶を巡らせる。
「そうだな……」
「ああ、そうだ。飛行機のメカニックになりたかった。日がな一日飛行機と一緒に過ごせるなんて、最高だと思ってた」
海野 迅
「へぇー。飛行機か、いいな。自分が作ったり整備したモンが空飛ぶってすげーじゃん」
渡川 京
「ああ。紙飛行機を飛ばしながら、これがジェット機になったらなんて思ってた。……空も、海も、好きだったな」
「迅は?」
海野 迅
「俺? そうだな……」
「実のところ、よく分かんねーんだ。なんとなく生きてたからさー」
「音楽は好きだったけど、あくまでも趣味だったし」
渡川 京
「でも、迅はずっと歌ってた。……”なりたいもの” が、必ずしも仕事にするってことじゃないのかもしれないな」
海野 迅
「まあ、好きは好きだよ……そうだな……」
「動画投稿でも始めてみようかと」
「歌ってみた、とかそういうやつ? 仕事じゃねーけどさ、ネットに流しとけば誰かが気に入ってくれるかもしんねーしな」
渡川 京
「迅の歌が動画になるのか。いいな、編集とか勉強しておけばよかった。今からでもやってみるかな」
海野 迅
「お、編集やってくれる? 正直さっぱりでさー」
「京が手伝ってくれるならやれる気がする」
「……あ、でもいいのかよ、……貴重な時間を?」
渡川 京
「ああ。付け焼刃になるが、やってみよう。俺と迅とで作った動画が……、迅の歌が、俺たちの名で残るなら」
「それって、」京の声が、視界が、少し掠れて、滲んだ。
「最高なことだと、思うんだ」
海野 迅
「……そうだな! 俺たちの名前でネット界に爪痕刻んでやろうぜ」
「爪痕……でいいのか?」
渡川 京
「いいだろ。俺達の生きた爪痕だ」
海野 迅
「よし、今日からやるぞ! 掃除は、明日やる!」
ベッドの上でゴロゴロしながら、まず動画にできそうな曲を考え始める。
渡川 京
「ああ!」
海野 迅
あれあれ?
なんか予定と違うけどこれでいいのか?
というかこれここで終幕にします?
渡川 京
ここで終幕にしたらすごく綺麗だし、いいんじゃないでしょうか
海野 迅
よし、じゃあ帰ってケーキ食べながらあれやこれや動画作ったりする準備しましたって事で。
渡川 京
最後に〆を少しいれても?
海野 迅
もちろん

渡川 京
── イルミネーションの光が人々の影を照らす中。
軽やかな鼻歌を引きながら、嬉しそうに道をゆく青年がひとり。
終わる時間に、ふたりの希望を刻んで。
── 渡川京、海野迅 一年の終わりに。
イルミネーションと一人の青年を映した写真の裏に、その一文。

渡川 京
こちらはこれで以上です。ダイスどっちが振ります?
海野 迅
また6面振って小さかった方が振ろうかっ
渡川 京
はーい!
海野 迅
1d6 (1D6) > 5
渡川 京
1d6 (1D6) > 5
1d6 仲いいな (1D6) > 4
海野 迅
1d6 (1D6) > 5
またリンクしてるな。
海野 迅
全体的に出目が大きいなー
渡川 京
ですねえ。やっぱりリンクしてきているのかも。
1d10 SAN (1D10) > 8
あらでかい
[ 渡川 京 ] > SAN : 15 → 7
海野 迅

[ 海野 迅 ] > SAN : 19 → 7
渡川 京
一桁かあ。だいぶん減りましたね
海野 迅
春まで生きられるか微妙なかんじ
長生きしたいなー、動画いっぱい出したいし。
渡川 京
ですねえ。あと1回だけ人形が使えるとはいえ、出目によってはだいぶん微妙。
海野 迅
次回あたりから開幕振った方が良いかも。
渡川 京
確かに。そこで0になるかもしれませんしな。
海野 迅
0になるならそれなりのRPしたいしねー
渡川 京
ですねえ。0になるならそれなりのラストシーンやりたいし。
海野 迅
それでは本日はこの辺で……
来月も宜しくお願いします。
渡川 京
はーい! 来月もよろしくお願いします。
渡川 京
ではまた~

海野 迅
多分生きることとか誰かと居ることの幸せを歌い上げた感じの作ってるよ。
渡川 京
京もたまに思いついた言葉を書き留めたり、そういうことを始めてそうです。迅さんに刺激を受けて。
海野 迅
二人で考えた詩に曲つけたらいいよ。
渡川 京
ああー、いいですね。子供のころにやったことの再来なのかもしれない。
海野 迅
リメイクしたりねー
今までの生きたこととか全部詩に乗せて発表しまくろう。
渡川 京
二人のラストシーン、その歌を歌って終わりたいですね
海野 迅
今回の話完全に話の流れで振ったよ。考えてなかったよ。
渡川 京
でも本編のラストとかリフレインしてすごくいい感じに
渡川 京
二人がいなくなっても動画が残るの、いいなあ、と思います。最期のあと、六甲くんあたりが動画を見つけて見るかもしれない。
海野 迅
そう、どんなに下手でもなんでも、残るのって大事だと思って。
彼らを知っている人たちが見つけてくれるかもしれないしね。
渡川 京
そうそう 迅さんの友達、彼女、仲間、六甲くんや京の友達が、おすすめ動画の片隅で見つけてるかもしれない。
それに本編ラストからずっと、京の願いは ”迅さんの存在を、迅さんの歌を残したい” だったので、すごくちょうどよかった
海野 迅
京の趣味関係もなんか残せないかなーとか思っている。
黙々と機械を分解するだけのチャンネルとか作ってもいいんですよ……?
喋るのは嫌がりそうだから。
ツーリング動画に歌乗せるのとかどうですかお兄さん。
渡川 京
京の趣味関係かあ 何だろう 京の趣味は比較的物理的なものが多いだろうし、ああ~~~ツーリング動画に歌が乗るのよさそう
海野 迅
よし、じゃあそれで!
渡川 京
ではそれで!
あとは、色んな背景で歌にのせて紙飛行機を飛ばすだけの動画が上がるかもしれません。”飛行機のメカニックになりたかった”。今からはもう時間がないから、かわりに。
海野 迅
ああ、それもいいな。
もう色々作ろう色々。
途端に時間が惜しくなってきた。
渡川 京
覚悟を決めているつもりだったけど、色々やってみたら楽しくて、久しぶりに、ああもうちょっと時間が欲しいなあ、なんて思うのかもしれませんね。
海野 迅
それもまたよし。
若者っぽくて良いじゃない……
渡川 京
うん……
道の途上で途切れるように終わるのもまた。
京が主体で作ってる動画は、穏やかな、ちょっとしたものが多そうです。作業用動画みたいな。ツーリングとか紙飛行機とか。

 五回目 ■■■■■ 2021/1/21 ■■■■■
年越し

渡川 京
——— 2022/01/21 ———-
海野 迅
今回から開幕振りだっけ。
渡川 京
まずは開幕SAN減少振りますか どっちが振ります?
海野 迅
いつものやっときますか
渡川 京
ときますかー
渡川 京
1d6 (1D6) > 5
海野 迅
1d6 (1D6) > 5
渡川 京
仲いいなあもう
海野 迅
1d6 (1D6) > 6
渡川 京
1d6 (1D6) > 6
仲いいなあもうwwww
海野 迅
1d6 (1D6) > 2
渡川 京
1d6 (1D6) > 2
んんんんwwww
なにこれ?(ダイスをたたく)
海野 迅
意味深なぁ
1d6 (1D6) > 3
渡川 京
1d6 (1D6) > 2
ふう
海野 迅
じゃあよろしく!
渡川 京
1d10 (1D10) > 7
海野 迅
ぴったりかー
※二人のSAN値は残り7だった
渡川 京
丁度0か、思い出の人形で1度だけSAN回復できましたっけね
海野 迅
そうだね、最後で使って回復しようか?
渡川 京
ですな
海野 迅
回復値いくつだっけ。雀の涙だったと思うけど。
渡川 京
1d10ですね
海野 迅
あと一ヶ月のお情けってとこか。
渡川 京
そうなりますな。

※今回は年越しイベントをやる、程度にざっくり決まっている。
海野 迅
ともあれ、始めようかー。初詣は普段気にする方じゃないけど、今年は気まぐれで行こうかな。
日付変わってすぐに「でかけるぞー!」って騒ぐ。
渡川 京
「ん……、どうした」眠そうに目を擦る。最近になって彼は随分と寝る時間が早くなって、まるで子供か老人のようにうつらうつらとしているのだった。
海野 迅
寝る頻度が高いのはこちらも同じだ。シフトもかなり軽くなっている。
「出かけんだよ。初詣だよ初詣。日本人だろ_」
渡川 京
「初詣? ……普段行かないくせに、どうした。いや、いいが」
海野 迅
「ついでに動画素材も撮ろうぜー」
渡川 京
「ああ、成程。それはいいかもな」 
海野 迅
会話をするのも久しぶりな気がしてしまう。
今「出ている」のがどちらなのかもよく分からないのだ。
渡川 京
こうやって話すのも、久しぶりのような気がする。もう起きていられる時間そのものが短くて、起きているときもどちらなのかよくわからないのだ。
迅の存在があるときだけ、自分が京だと分かる。
海野 迅
リンクしちゃってたからなぁー
渡川 京
最初の1d6の同値連発っぷりが意味深で、つまりはそういうことなんだろうなというやつですね

海野 迅
この奇妙な共同生活も、そろそろ終わりなのかもしれない。だからこそ。
『二人で』いられる時間を楽しもう。
渡川 京
「行こうか」言い、準備をする。行き先は近所の神社だ。それなりに静けさがあって、それなりに賑わいがある。
この奇妙な共同生活が、もうすぐ終わるなら。新年の節目を二人で迎えたことを、残すのも悪くない。
海野 迅
どっちが現実にいるのだろう。両方か。
以前と同じ、「どちらが出ているのか、どちらも出ているのか、よく分からない状態」になっているのかもしれない。
こんな状態を避けるために、以前はよく寝ていた。
最近はそうしない。
眠ったら目覚めなくなるような気がする時が、頻繁にあるからだ。
空気が冷たい。
新年の節目を二人で迎えたことを、残すのも悪くない。
発表する動画にするかどうかはともかく、録画はしよう。
防寒具を身につけて、外に出る。
鍵をかけた記憶は無いが、鍵が掛かっている。
無意識の動きは、もしかすると京がしているのではないか。
そんな気もする。
海野 迅
徒歩かな?
渡川 京
近所のと描写したし、徒歩かな? 
海野 迅
じゃあ歩こう。

渡川 京
防寒具を身につけて、外に出る。
「冷たいな。少し痛いくらいだ」
そう吐き出す声が迅の声に聞こえる。
海野 迅
「気持ちいいくらいだな!」
強がる。耳が痛い。
ざくざくと少し多めに積もった雪を踏みしめ、新雪の中を歩く。
海野 迅
勝手に雪降らせちゃった。
渡川 京
いいんじゃないでしょうか

渡川 京
「雪がすごいな。何年に一度の大寒波だったか。最近、毎年そんなニュースを聞いてる気がする」積もった雪が周囲の音をすべて吸い込むかのように、辺りがしんと静まって思える。
海野 迅
たまに通る車の音も、雪に吸い込まれて遠く聞こえている。
「あと一回くらい走りにいけっかなー」
「スキー行きたかったなスキー」
渡川 京
「新年が明けたら行くか。この調子なら行けそうだ」
海野 迅
「バイクって雪でも走れるもんなのか」
「つか、すぐ溶けるか、この程度の雪」
渡川 京
「少し積もるくらいだろう。チェーンでも用意すれば走れる。さすがにスキー場まではバスか何か使ったほうがいいが」
海野 迅
「お、いいね。行こう」
周囲に人通りが増えてきた。神社が近い。

渡川 京
屋台の団子やら何やら持っている人も増えてきた。ほどなくして、神社が見えてくる。
海野 迅
財布出して5円探して……と思ったらもう持ってた。
うん、まあ、深く考えないことにして。
「帰りに蕎麦食おうぜ」
屋台ないかなぁ。
渡川 京
「いいな」周囲の屋台を見回す。蕎麦やら団子やらくじ引きやら、色々あるようだ。
「投げるぞ」手に持った五円玉を、賽銭箱へ放り投げる。二人分、二枚用意してきた。
海野 迅
「……」
「(今更願うことも特にないかな……)」
「(ま、適当に見守って下さい)」
「(適当に楽しくやってくから)」
渡川 京
「(最後まで、楽しくいられるように。──迅の歌が、この世界に残りますように)」
「(俺達の歌が、この世界に残りますように)」
京が願い事をする時間は少し長かった。
海野 迅
「さて、と!」
渡川 京
「よし。屋台探すか」
海野 迅
「甘酒と御神酒貰って、飲みながら探そう」
渡川 京
「ああ、いいな。こういう寒いときには甘酒がしみる」
海野 迅
「歩きだから飲みすぎても問題ないしなー」
渡川 京
「それは徒歩のいい所だな」
海野 迅
もしかすると外から見れば、一人で会話するおかしな人になっているかも知れない。
かまうものか。
俺たちはここにいるんだ。
渡川 京
俺たちは、ここにいる。
海野 迅
神様に願うことなど今更何もないが、少しでも長く、少しでも楽しく、生きていきたいとは思う。
自分の力で。二人の力で。
渡川 京
俺達の、足で。
海野 迅
前後不覚で帰宅して人形見つめる感じなのかな……
渡川 京
ああー……
渡川 京
それでふっと我に返るような。

渡川 京
「迅、珍しい物があるぞ。宮城風芋煮だそうだ」
海野 迅
「芋煮か、美味そうだな。玉蒟蒻もねぇかな」
渡川 京
「ああ、いいな。あれは美味かったな」以前の旅行で食べた味を思い出す。妙に辛かったが、あれが美味かったのだ。
海野 迅
じゃあ芋煮買って、食べながら歩こう。
渡川 京
……あれは迅の記憶だっただろうか。それとも、俺の。どちらでもいいか。二人の記憶だ。
「はふ、熱いな。和む」
海野 迅
「熱いな。うめぇ」
こういうのも、二人で同時に楽しめて良いじゃないか。
渡川 京
「ああ。寒ければ寒いほど美味いな、こういうのは」
渡川 京
Q: なぜ芋煮 A: なんか珍しい屋台を出したかった
海野 迅
Q.何故玉蒟蒻。A.今食べたい。
渡川 京
仙台のデパート前で食べた玉蒟蒻うまかったなー

海野 迅
「お、蕎麦やってるぞあそこ」
年越し蕎麦って、長生きを願って食うんだったっけ。
まあ何でもいいや。
今温かい蕎麦が食いたい。
渡川 京
寄っていって蕎麦を買う。間違って二つ買った。まあいいか、どうせ屋台の一杯なんてほんの少しだ。
海野 迅
「俺天蕎麦ー」
渡川 京
「なら、俺はきつね蕎麦で」
海野 迅
ひとりでふたつ抱えて啜る。どっちも味わえてお得だ。
ん、今どっちだ?
渡川 京
「天蕎麦も美味いな」
海野 迅
「あ、ああ、美味いよな」
どきりとした。今一瞬、一人になっていた気がした。
渡川 京
屋台の傍らに設けられた食事スペースで、蕎麦を啜る。一瞬── なぜ二つ買ったんだろう? と思って。直後に、二人いることを思い出した。
それから隣にいる迅に天蕎麦を渡そうとして、はた、とそこに誰もいないことに気づく。
海野 迅
(ちょっと、早すぎやしないか……)
背後で、何かが崩れてゆく音がする。
崩れているのは部屋……違う、ここはそば屋だ。
いつもの頭痛ががんがんと頭蓋を揺さぶる。

海野 迅
「なあ、そろそろ帰ろうか。いい加減眠くなってきた」
渡川 京
「ああ……、そうだな」頷いて、いつもの錠剤を口に放り込む。最近になって種類が変わった。三十日分、といつものように医者に言ったら、少し困ったような顔をされたのを覚えている。 
海野 迅
いつもの錠剤を口に放り込む。
そんな困った顔、患者に見せるなよ。察しちゃうだろ。
渡川 京
蕎麦の器を屋台の店主に返して、片手をポケットに突っ込みながら、人混みを離れて静けさのほうへ向かっていく。
海野 迅
ぎゅうぎゅうと雪を踏みしめ、痛い程冷たい空気を割り裂きながら帰る。
「スキー、いつ行く? なあ……」
誰に話しかけていたのだろう。
渡川 京
「……」すぐ前を行く京は、何も言わなかった。
海野 迅
「……け……京」
名前が一瞬、どちらだか分からなくなった。
前を、歩いている?
渡川 京
「……」さく、さく。雪を踏みしめるひとりぶんの足音。
「なんだ、……」呼ばれた名はどちらのものだったのだろう。京は迅の名を呼んだのだろうか。迅は、京の名を呼んだんだろうか。
その声色だけが穏やかだった。
海野 迅
これから先、溶けてなくなるとしても、溶けて別のものになってしまうとしても。
今は二人だ。
「明日、行こう。スキー」
渡川 京
「ああ。そうしよう。新年休み中でも、やってる所はやってる」
海野 迅
残ってる動画も、仕上げて上げておかなくちゃなぁ。
歌が残るように。
想いが残るように。
渡川 京
この世界の、ほんの片隅の。誰も気づかないほど、小さなものだったとしても。
残ればいい。
残っていくと信じて、溶けていければいい。
海野 迅
崩れてゆく、部屋が。
崩れてゆく、心が。
崩れて溶けてゆく。
渡川 京
あのとき、あの部屋で言ったように。
世界が終わる日の歌を歌いながら。

世界が終わる日は、二人で思い出話でもしながら、迎えられたらいい。
海野 迅
帰宅しますかね…
渡川 京
しますかー……

渡川 京
自宅の鍵を開けたのがどちらかは、もう分からなかった。
海野 迅
もう互いの部屋なんて残っていない。あるのは、二人で話し合った、あの食卓だけだ。
いや、それは、本当の部屋じゃない。
渡川 京
部屋の扉を開けて。あの食卓の、テレビ台の上。
その上の飾り棚に金庫があるような気がして、手を伸ばした。
海野 迅
そんなものはなかった。
あるはずがなかった。
それは俺が……
その一瞬だけ「迅」がもどった。
そんなものはもう、ないんだ。気にするな。
渡川 京
「迅?」不意に、「京」が声を発した。
テレビ台の上の飾り棚。そこにあった何かに手を伸ばす。
そこにあったのは、
あの日のふたつの人形だった。 
海野 迅
「ヘタクソだなー……」
迅が口を開いた。
渡川 京
「ああ。でも、何だか温かいな」その人形をそっと手にとり、京が微笑んだ。 
海野 迅
京が手に取った人形をのぞき込みながら、ぽつりと呟いた。
「仕事辞めちまおうかなー、俺」
「なんか、危なっかしいしさー」
渡川 京
「いいんじゃないか。仕事よりやりたいこともある。もう少しくらいなら、何とでもなるさ」
京の声はいつものように穏やかで。その声は、あの時の、あの部屋の中で覚悟を決めたときの声だった。
海野 迅
とかいって10振って1ずつ刻んで10ヶ月生きたらそれはそれで大変だけどな!
渡川 京
それはそれで面白すぎるのだった
海野 迅
そうなったらもとのバイト先に泣きつくよw

海野 迅
あと少し。あと少し。できるだけ、長く。
倒れる日が来ても、後悔などないように。
「いやー、無理。後悔はするって。絶対」
「まあ、だけど、悪くないとは言えるな。間違いなく」
渡川 京
「そうだろ。悪くない」

海野 迅
じゃあ回復ダイスは、高い数値を出した私が振ろうか……
渡川 京
お願いします
海野 迅
1d10 (1D10) > 7
渡川 京
結構回復した!
海野 迅
またリンクしている件。
仲良しさんだな
渡川 京
仲良しさんだなぁ
海野 迅
いつもの京の日記書くチャンスがなかった?
渡川 京
あ、じゃあ少し描写入れよう

海野 迅
悪くない、こんなのも。
食卓に座ってうとうとと眠りにつく。
渡川 京
迅の向かいで、テーブルに突っ伏して寝息を立てている。
海野 迅
小さな居場所を共有して。
渡川 京
迅の部屋のカーテンが、どこからか来た風に吹かれて大きくめくれた。その向こうに、いつか見た夜の海。
崩れ落ちたはずの部屋は窓だけを残して、室内に冴え冴えと月の光を落としている。
海野 迅
部屋が崩れた後あの海に還るなら、それはそれで悪くないんじゃないか、そう思った。
夢の中、歌う。明日のために歌う。
明日になれば忘れてしまうかも知れないけれど。
渡川 京
迅の歌を聴いて、眠る京の口の端が微かに笑った。
ころん、と京の手からペンが落ちた。神社を背景にした写真の裏に、小さな走り書き。

── 渡川京、海野迅 新しい一年の始まりに。

渡川 京
現実と脳内がごっちゃになってるけど、たぶん現実でも書けてはいると思います。筆跡ひどいことになってるかもしれないけど。
海野 迅
ありがとうございましたー
渡川 京
ありがとうございました! ちょっと涙が えう
いやでも二人で新年を迎えられてよかったです。
海野 迅
まったくですね
渡川 京
迅さん!!!!(立ち絵)
海野 迅
結構丁度いいパーツがあったんで
渡川 京
あるものですなあ そうか迅さん(本来のすがた)こんなのか これはどきっとしましたね
海野 迅
次回はコレも使っていこうかな……
渡川 京
ぜひぜひ……
SANがちょうど7減って7に戻ったのがこれまた意味深で
海野 迅
そうそう
アップだとこんなかんじ!

渡川 京
おおー
この顔を前提にこれまでのSSを見直すとイメージが深まります
また表情がなんともいえない笑みのようなつらさのような いい
海野 迅
終わってからふと思い立って作ってみたんだけど、こんなにぴったりパーツがあるとは思いませんでしたわ。
渡川 京
いやこれはすごい こんなにぴったりくるパーツあるとは
海野 迅
ダイスのリンクっぷりがやばいなと思い、ぴったりゼロになって7に戻ったから、相当溶けてるなと思ったのが作ったきっかけでした。
渡川 京
せっかくだから並んでいるところも撮影
海野 迅
本当に同じ格好だわこの人たち。
渡川 京
今回はもうすべてのダイス目が意味深ですよね
そうなんですよこうやって見ると格好同じなんですよね 格好同じになったのはほんと奇跡だなって思います
こうやって並ぶと格好同じっぷりが際立ちますね……
開始時のダイス3回一致したのはほんとに「なにこれ???」ってなった
海野 迅
ほんとにねー。そんなに急いで合体しなくてもいいんだよ……
渡川 京
なくてもいいんですよ…… ぴったり0になるし3回一致するし これは 溶けたな。ってなるのもわかります
しかも4回目のダイスも3と2でほとんど同じという
海野 迅
根性でずらした感。
渡川 京
二人のぎりぎりの意地

 六回目 ■■■■■ 2021/2/13 ■■■■■
スキー

渡川 京
ススー こんばんは
——–2022/02/13———
海野 迅
こんばんは
残り7か。今日は生きられるかな?
渡川 京
ダイス次第ですね……
海野 迅
よし、いつもの振るぞー
1d6 (1D6) > 2
渡川 京
1d6 (1D6) > 5
海野 迅
1d10 (1D10) > 1
渡川 京
意外と生きた
[ 渡川 京 ] > SAN : 7 → 6
海野 迅
がんばった。
[ 海野 迅 ] > SAN : 7 → 6
海野 迅
さてと、意外と余裕があったな。今日は何しよう。
渡川 京
二月って絶妙にイベントのない時期なんですよね 前回話してた滑りに行くのかな?
海野 迅
ああ、スキー行くか…
現地から始めるでいいかなー。
私こっちのスキー場知らないんですよね。
渡川 京
私もこっちのスキー場以下同文なんですよね それでいいんじゃないでしょうか
海野 迅
適当に長野あたりで。
移動は車かな?
渡川 京
かなあ? バイクじゃ雪で動けなくなりそうですし。
海野 迅
SANのこと考えるとバスとかでも良さそうだけど
渡川 京
あー、確かに
海野 迅
気兼ねなくやれる車か、安全なバスか。
渡川 京
バイクとかのシーンちょくちょくあるから、ここはバスを見てみたいですな
海野 迅
じゃあ夜行バスで!

海野 迅
寝ているのか起きているのか、よく分からないまま揺られている。
渡川 京
「……」たまに外の光に目を覚ましては、また眠る。それが現実で眠っているのか、頭の中で眠っているのかよく分からない。車内では誰もが寝静まっており、たまにひそひそと喋り声。
海野 迅
何処に行くんだっけ。何をしてたっけ。
自分が『そんな状態だった』と気付いたとき、スマートフォンの書きかけのメールを開いてみて、そして考えてから閉じる。
まだ大丈夫。俺は迅で、『となり』には京がいる。
渡川 京
「迅、消した方がいい。隣の奴が睨んでる」スマホの画面を見て、『隣』から京の囁き声。
海野 迅
おっと。確かに。
最近のスマホは、一番暗くしていても眩しいのだ。
いい加減ヒビが入ってガタが来たスマホ……買い換えるのも馬鹿馬鹿しいかなと思ってそのままにしている。
渡川 京
一度見てみたら意外と高価かった。買い換えたらスキー代が飛ぶなと思ったら、買い替える気もなくなった。
海野 迅
スマホのメールは、姉やカエデさんたちへのメールだよ。
渡川 京
ああー…… 何か書こうとして閉じてるんだ……
海野 迅
自分たちが生きるにしろ死ぬにしろ、最期には報告はしないといけないと思っているから
渡川 京
最後の「そのとき」が一通のメールで終わりそう。
海野 迅
死体ほっとかれるのも嫌だし、前後不覚の「彼」が生きる術なく孤独に死んで行くのも困るじゃないか。
渡川 京
舞さんやカエデさんにも、自分たちのことをちゃんと終わらせてほしいですしね。

海野 迅
『まだかかるのか? 結構長いな』
渡川 京
そうこうしていると休憩に入ったようだが、眠くてならなくてそのまま目を閉じる。周囲の客たちも凡そそのようで、降りる人間はほぼいない。
「まだ……かかるらしい」スヤァ。
海野 迅
最近眠るのが少し怖い。たったひとりで果てしない闇を降りて行くような感覚があるのだ。
『そうかぁ……動画の企画でも考えよう』
次書く曲が最後じゃないか、次作る動画が最後じゃないのか、毎回思うのだ。
絞り出すように、自分の経験を、人生を曲や動画に変換して行く。
自分の物なのかよく分からないのはたぶん、京のだ。
渡川 京
「……迅」ふっと、隣で京が笑った。
「その時は一緒だ」
穏やかな、それだけの一言。
海野 迅
「そうだな」
こちらもどこか京に似た穏やかな一言。
『次回ちょっと違うの撮ろうかと思っててさ』
『誰も信じちゃくれないだろうけど、俺たちの話を、そのまま動画にしようかと』
渡川 京
「──俺達の?」ひらりと、京が目を瞬いた。
渡川 京
えっこれラストがキルキル動画で終わるんですか
最高
※海野のプレイヤーはプレイヤー用だけに非公開でキルキル動画を作成している途中だった。
海野 迅
なるほどな??
そこまでは考えてなかったけどアリだな。
あーでもそれ、京にネタバレすること前提になってしまうがw
今更それが問題だとは迅は思ってないけど、それで万一のことがあったら嫌だから言わないんだぞ!
……公開を二人がいなくなってからにしてもらうようメールに書けば良いのか。
渡川 京
なるほど。
スケジュール公開機能もありますね
でも、一本のURLとパスワードが同封されていて、「この動画を公開してほしい」もドラマチック
海野 迅
一年後とかにセットすりゃいいのか。
パスワードロックにしようそうしよう。
その方が面白い。
渡川 京
そうそう。
海野 迅
公開なくなったから、そういう作りにしてもいいかもしれないなw
PCの会話オンリーで進む劇みたいなの
渡川 京
一通のメール画面から始まって
いいなあ
海野 迅
いつできるかわかんないからね!!
渡川 京
できるときはぜひそんなかんじで! 手伝えることあったらお手伝いします!
海野 迅
(最初は2ch纏めみたいな、淡々と語る感じの動画を想定してた)
渡川 京
(なるほど)

海野 迅
『そう、俺たち自身の話。当事者からするとクソみてぇな話だけど、きっと他人が見りゃ面白い』
渡川 京
「でも……、迅。いいのか」
海野 迅
『全部残していかないと勿体ねぇ、なんて思ってな』
渡川 京
「全部、残して……」その言葉を噛みしめるように、隣の「京」は一度目を閉じた。
「……そうだな。迅の歌は……、俺たちの歌は、そこから続くから」
「それも、いいかもしれない」
海野 迅
全て。全て吐き出して。俺たちはここに生きていたことを示す。
普通の人間にはなかなかできないことじゃないか?
そろそろ、眠ろう。
スキーをする体力は残しておかないと、それこそ勿体ないことになる。
渡川 京
頷いて目を閉じる。確かに、それはきっと、俺たちにしかできないことだ。

渡川 京
──目を覚ますと一面の雪景色だった。
海野 迅
『おせーぞ。もう準備終わってるからな!』
渡川 京
「ああ、悪い悪い。寝過ごした」
海野 迅
初めてのスキーに四苦八苦した痕跡が周囲に見えるかも知れない。
渡川 京
それについては、自分がやっても似たようなものだっただろう。
「意外だな。迅はよく行ってるのかと思った」
海野 迅
「よく行ってるヤツは新しくスキー用具買わねーんだよ」
渡川 京
「ふ、それもそうだな」
海野 迅
「そうだな、子供の頃に何回かと……お前とになってから一回くらい?」
もしかすると彼女の前で格好つけようとして派手にスッ転んだ記憶が流れていくかも知れない。
渡川 京
「どうだったかな」その記憶を”思い出して”、微かに笑う。
海野 迅
「大体俺たちにスキー行く金があるわけねぇだろ」
渡川 京
「それはそうだな。今回も、案外金がかかるんだなと驚いたよ」ふっと蘇るのは、”学部の友人”の顔だ。そいつはスノボが趣味で。
海野 迅
お? 探索者さん?
渡川 京
いや、こちらは特に探索者ではなくて、途中の話に出てきた友人(モブ)ですね。六甲くんもスキー行ったりしてたかもしれないけど。
京の話に出てきた方の友人(モブ)ですね、さっきの話に出てきたのは。六甲くんは迅さんの友人なので。NPC勢いで増やしたせいでややこしくてすみません
海野 迅
六甲君か

海野 迅
「じゃあそいつの真似すりゃ楽勝だな。よし、京選手行け!」
渡川 京
「分かった分かっ── いや、待ってくれ、何だこれ、歩けな──」当然のように派手にすっ転ぶのだ。
海野 迅
「はっはっ、二人とも初級者かよ」
渡川 京
「痛たた、初級者以前だな、これは。迅、手を貸──」 当然のように隣に手を伸ばそうとして、だがそこには誰もいない。当然のように、また転ぶ。
海野 迅
「おいおい、足折るなよ? 開始と同時に終了は笑えるわ」
「ストック使って、こう」
こう、とはどうか。体を動かしたつもりが当然、そんなの反映されないどころか、更に京のバランスを崩してしまうのだ。
渡川 京
「うわっ、ちょ、迅!」
ステテーン!アウトー!
海野 迅
スキーの難易度ってどれくらいかなぁ
やっぱり判定はDEXかなぁ?
渡川 京
DEXかなあ?
海野 迅
CC<=13*5 (1D100<=65) > 66 > 失敗
惜しい。
海野 迅
5ならボーゲンできるかと思った。
渡川 京
CCB<=(7*5) (1D100<=35) > 48 > 失敗
とてもだめだった。
海野 迅
雪だるまが完成したな。
渡川 京
「難しいものだな、スキーって……」それ以前の問題だ。
海野 迅
「下手すぎか」
おかしいなー、俺ってこんなに運動できなかったかなー
山頂行きのゴンドラはやめよう。
「よし……とりあえず初心者コーナー行って……」
初心者コーナーに今日中にたどり着けるといいのだが。
海野 迅
いやさすがにそれは人間として駄目すぎるだろう。
渡川 京
果たしてどうなったことやら。
海野 迅
お? 今日はここで終わっておきます?
しんみりもやったし明るく終わるのもまた良しかな。
渡川 京
あ、確かに。いいですな。

海野 迅
CC<=13*5 (1D100<=65) > 72 > 失敗
駄目だったみたい
渡川 京
CCB<=(7*5) (1D100<=35) > 11 > 成功
海野 迅
おおっ
渡川 京
なんと初心者コーナーにはたどり着けたみたい。
海野 迅
初心者コーナーで子供に交ざって一人愉快に騒ぎながら滑るお兄さんは居たみたい。
渡川 京
雪まみれになった青年の姿が、雄大な山々をバックに一枚。
 ── 渡川京、海野迅 春を待つ日に。

海野 迅
いつもいつもいいエンドありがとうございます。
渡川 京
いえいえ、こちらこそ〆いただいてありがとうございます
今回はあまりSAN減らなかったし、最終回の方向性決まったし、よかった
海野 迅
この曲は、「ロス:タイム:ライフ」ってドラマの曲でしてね
死を迎えた人が、死の瞬間に、生きている間に過ごした『無駄な時間』分のロスタイムをもらい、心残りだったことをやっていくってお話の
イイシーンで流れるヤツなのです。
渡川 京
ああ~~~~なるほど! それは合う
海野 迅
スキーっぽいなぁって思って使ったけど、考えてみればぴったりだった。
死んだー!って瞬間に時が止まって、いきなりサッカーの審判が現れて実況が始まるとかいうカオスなドラマだけど、面白いよ!
というわけで本日もお付き合いありがとうございました。
渡川 京
ありがとうございました!

海野 迅
次はなんだろうなぁ、花見には早いしな、SAN0じゃなければ、温泉とかかなぁ?
なんかしたいことがあれば。
渡川 京
花見かぁ、二月をスキーにしちゃったのでちょっとあれですが、ちょっと思ってたことはありまして
沖縄から北海道まで桜を追いかける旅ができたらロマンかなぁ、なんてことは彼らとは関係なく思ってたんですよね
海野 迅
おおーダイナミックでいいな
もう沖縄って桜あるのかな?
最期は桜の下でとかいきなり無茶を言い出すのはどっちだw
渡川 京
沖縄は1月末にはもう緋寒桜があるそうで
海野 迅
はやっ
渡川 京
それは迅さんが言いそうw
緋寒桜は種類的に早いんですよね、本州でも3月はじめには見られる
海野 迅
北海道に着いちゃったら? 美味いもの食って帰ろーぜー
渡川 京
そしたら美味いもの食べて帰って、「桜を追いかける旅をしてみた」動画を完結させればいいんですよ。
海野 迅
そうですね! じゃあそれでw

海野 迅
スキーの直後に唐突に「やっぱ旅っていいなー」とか言い出して
渡川 京
「迅、何か妙なことを考えてるな?」でも止めないのです。
海野 迅
「「願わくば花の下にて春死なん」とか言ったヤツいるじゃん? だれだっけ」
「カッコよくね?」
渡川 京
「西行法師だったか。まあ…… 悪くはないな」
海野 迅
「桜前線追ってけばできるよな? つか死ぬかどうかはともかくずっと花見ってのも面白そーだ」
渡川 京
「は? ああ、成程。……少し遅かったな。本来なら一月から行けた」そう、京はふっと笑うのです。
海野 迅
「え、おいおい早く言えよ。今すぐ行くぞ」
みたいな感じで
渡川 京
「緋寒桜。石垣島で十二月からの記録がある。まあ、一般的には一月末くらいからが見頃らしいが── ああ、分かった!」 そう言って、楽しそうに旅支度を始めるのです。
海野 迅
よし、次回の指針が決まったw
渡川 京
ですねー 桜!
またよろしくお願いします
海野 迅
はい、では本日は今度こそお開きでー
渡川 京
はーい、ありがとうございました!
海野 迅
ありがとうございました!

 七回目 ■■■■■ 2021/3/19 ■■■■■
桜前線追いかけて

 
渡川 京
—————2022/03/19—————–
こんばんはー!
海野 迅
すみません大変遅くなりました
渡川 京
いえいえ、お疲れさまです
残6、果たして今回はどうなるのか
海野 迅
今桜前線チェックしていたんだけど、まだ九州にも来ていない感じかな?
福岡あたりなら22日予想らしいので、そのへんでいいかも
渡川 京
宮崎・福岡あたりなら何とかなりそうですね

 
海野 迅
1d6 (1D6) > 6
渡川 京
1d6 (1D6) > 1
海野 迅
がんばれー
渡川 京
1d10 (1D10) > 4
system
[ 海野 迅 ] > SAN : 6 → 2
[ 渡川 京 ] > SAN : 6 → 2
海野 迅
おおー
踏みとどまってる
渡川 京
満開の桜を見るまでは…… っていうことなのかな
海野 迅
行くぜ北海道
二回耐えればギリだ
渡川 京
次回1が出ればなんとか
海野 迅
しかし、九州ってあまり行ったことがないからわからないなぁ。
四国でもよさげだけど。
残念ながらどっちも分からないっ
渡川 京
高知ならめっちゃ描写できるので高知にします?
海野 迅
ではそれで
渡川 京
(ギリギリ開花してるらしい)
海野 迅
やっぱ行くなら新幹線だろうか。
渡川 京
かな? 空路というのもアリ。
海野 迅
あー、そうか。どちらにせよ一人分の料金で行けてお得。
渡川 京
じゃあこっちから描写しちゃいます
海野 迅
お願いします。
高知城に四万十川に鍾乳洞か、なるほど…

渡川 京
──桜前線のページとパンフレットを片手に、四万十川の雄大な流れを見下ろす青年がひとり。高台の公園で、まだ満開には少し早い桜の下。
海野 迅
「桜前線はまた海の上かー」
「おっ、ここは咲いてんだな」
渡川 京
「ああ。ここと宿毛の海辺だったか、咲いているらしいと聞いて来てみた」
「不思議だな。九州の方も大半はまだらしいのに」
海野 迅
「つーことは、こっちの方が暖かいのか? 意外だな」
渡川 京
「海流とか風とか、何かの具合があるのかもな。詳しくないが」
「……初鰹の時期だ。丁度よかった」
その手にはちゃっかり入手した鰹のたたき弁当。
 
渡川 京
そして何より鰹のたたき
海野 迅
美味しそうだな…
渡川 京
戻り鰹の時期にばかり行っててまだノー初鰹なんですが、高知のたたきは素晴らしいですよ
駅前の観光市場でもちゃんと美味しいのがいいとこ
海野 迅
いいなぁ。美味しい魚食べたいー
港町生まれなのにこっち来てから魚ほとんど食べられてないのが哀しいよ…
渡川 京
ああんそれは悲しい 美味しい魚がないと干上がっちゃう……

海野 迅
「ま、空振りじゃなくて良かったぜ。桜見に来てみた動画が、桜見られなかった動画になるとこだ」
渡川 京
「全くだ」小さく笑う。
海野 迅
「まずは飯食うか!」
渡川 京
「ああ。…………美味い」鰹のたたきを塩に絡めてひとくち、実感するように呟く。
海野 迅
「美味いなぁ」
混ざり始めてから、飯が一緒に食えるようになったのは利点じゃないのか、と本気で思う。
渡川 京
「ああ。……一度、行きたいと思っていた。河が大きくて、碧くて……、いい所だ」
海野 迅
「おっ、城に鍾乳洞に……海もキレイだな。桜も良いけど、色々見るのもいいな」
さっそくブレるのである。
「はー、うめー」
渡川 京
「ああ」頷く。「桜を見たついでに色々見に行こう。動画の尺が少しくらい伸びてもいいさ」
海野 迅
最近の悩みは、裏で作っている動画が京に見られていないか、ということだ。
『あの事件』の全容は京に知らせる気はない。
おそらくそれで今更揺るぐものなど何もないとしてもだ。
混ざって知られてしまうなら、それはそれで仕方のないことだが…
渡川 京
「──迅?」不思議そうに京がそちらを見た。
海野 迅
「あ? ああ、なんかぼーっとしてた」
渡川 京
──最近、”眠って”いる間に夢を見る。
起きているのか、寝ているのか、今を見ているのか、昔の記憶を見ているのか。
それすらも分からない時間。
それは、迅が自分を海へ突き落す夢だ。
記憶もだいぶん胡乱になってはいるが、そんなことがあったはずはない。
……多分それは迅の記憶で、迅の罪悪感だ。

頭の奥で、水泡が浮かんでくるような音が、ずっとしている。
「そうか。珍しくもないな」
迅が何か悩んでいて、何か考えている。それに気づいていた。
気づいてはいたが、きっともう、紐解いていく時間はない。

それなら、ただこの時間を楽しんでいよう。
海野 迅
物騒な夢を見ていらっしゃる。
渡川 京
それはもう。件の事件の記憶が見えてきつつあるのが、こんな夢になって見えています。
海野 迅
──最近、”眠って”いる間に夢を見る。

果てしなく深い水の底で足掻く夢。
呼びかけても誰も応えず、何者かの親しげだが見当違いな声が何事か語りかけてくる。
俺は何を見ているのだろう、そう思うと同時に目が覚めるのだ。
今更考えても仕方のないことだが……
本当に、俺が見ている物は何なのだろう。
罪悪感が作り上げた幻想なのか、それとも……
渡川 京
「迅」不意に京の声が落ちてきた。
海野 迅
「ん」
心臓が跳ね上がるかと思った。
「何だよ、脅かすな」
渡川 京
「俺はなんだろうと、お前といられて嬉しいよ」
独白のような、迅に投げるような声だった。
海野 迅
「ああ……そうだな、俺もだ」
もう何度目か分からないやりとり。
渡川 京
「ああ。そうだろう」
海野 迅
「よし、飯食ったし桜も見たし! どっか行くか!」
渡川 京
「ああ」立ち上がって頷く。迅が声を発したのと、京が立ち上がったのは同時だった。
海野 迅
一心同体か。なんてことを思う。
喧嘩もしなくなったな、などと思う。
渡川 京
喧嘩することも、行き違うこともなくなった。そういえば、片方ができて、片方ができないことというのも、もうなくなっていた。
海野 迅
このまま溶け続けたら一体誰が、何が残るのだろう。
渡川 京
「迅、俺は」
「俺がなんだろうと、お前と一緒にいられて嬉しいよ」
それは今度こそ独白するような声で。
海野 迅
「俺は俺で、お前はお前だよ、京……」
二人の間の隠し事、なんてこともなくなっていくのかも知れない。
それでも……
きっと、京は、俺たちは大丈夫だ。
渡川 京
京の眼は、溶けていく先を静かに眺めていた。それでもいいとでも言うように。
「……そうだな」
海野 迅
そろそろ皆への連絡をすべきかも知れないが……
早めに来られても困る。
いつ出すべきだろうなぁ、メール。
いや、移動してりゃすぐに居場所がバレることもないか?
海野 迅
カエデさんに連絡入れたらすっ飛んできそうだからなー
姉貴は家庭持ちだからなかなか難しいだろうけど。
渡川 京
入れたら瞬時にすっ飛んできそう>カエデさん フットワーク軽そう
海野 迅
「じゃー。観光客らしく城でも見に行くか!」
渡川 京
「いいな。その後、近くの観光市場で馬刺しでも食うか?」
海野 迅
「馬刺しか! いいね!」
 
海野 迅
どうしようか、この辺で「俺たちの冒険はこれからだ!」する?
もしくはどっか行きたいとこがあれば
渡川 京
このへんで〆るのが美しそう

渡川 京
「だろう。今から楽しみだ」
海野 迅
「よし、豪勢に行こう!」
渡川 京
「ああ!」
海野 迅
笑顔の青年が軽い足取りで歩いて行く。誰かと談笑しているかのように、明るい声を上げながら。
渡川 京
── 咲きはじめた桜の下で、高知。
渡川京、海野迅。桜を追いかけて、春。
 
海野 迅
エンディングテーマw
https://www.youtube.com/watch?v=IQOhCvlkYps

このアニメだと男女になってるけど、歌詞書いた方によると家族なども対象らしいんだ。
渡川 京
曲調が明るい雰囲気で、歩き出すシーンに似合いそう
海野 迅
歌詞読んで、中盤特にハマるなぁと思ったんだよね、この歌。
渡川 京
ですね……。
所々すごくはまる部分がある
海野 迅
ありがとうございました!
渡川 京
ありがとうございました! 次は4月、満開の桜が見られそう
海野 迅
桜の下生きるか死ぬか、ダイス様次第だ!
渡川 京
ダイス様次第だ!
最後のシーン、誰もいない空間を傍らに旅をする感じで非常に好き>笑顔の青年が軽い足取りで歩いていく
海野 迅
今回も明るい感じの〆で良き。
渡川 京
うんうん

 
海野 迅
じっさい二人が終わったら、あとに何が残るのか、何も残らないのか……
SAN値ゼロって探索者としては終わるけど、人間としては必ずしも終わらない、ってことでいいんでしょうか。
CoC経験ほとんど無いからそのへん分かんない。
渡川 京
通常のCoCの場合はそういう扱いですね。敵狂信者などはそもそもSAN0だったりすることがありますし。
DXのジャーム化のように、「生存はしているが、日常や常識を踏み越えてしまった状態」「正気を完全に失った状態」だそうです。
必ずしも日常生活を送れない狂人だけでなく、人々の中に溶け込んだふりをして日常生活を送り、理性的に立ち回っているものの「こちらの世界」を見ていない狂信者なども含まれているとか。
海野 迅
なるほどー。そうか、敵は0のことあるのか。
つまりメガテンのPCたちのことですねわかりますん。
渡川 京
なんですよ。SAN0って、「もはや神話生物を見て発狂するような”日常とのギャップ”が存在しない状態」ということらしいので。
メガテンのPCはSAN0なのでは話がどこかのログで出ていたような気がしますね……w
海野 迅
混ざったらメガテンの世界に行ってデビルバスターとして暮らしたらいいよ……w
渡川 京
なるほど……?w
迅さんは似合いそうだけど京は似合いそうにないなぁw
海野 迅
迅は京で京は迅だから問題ない!
死ぬかどうかは分かんないけど、自分が誰かは分からなくなるだろうし、日常送れなくなるかもだから、迅は知り合いにメールを送る機会をうかがっております。
でもすっ飛んできて心配されるのも鬱陶しいのでギリギリを攻めている。
渡川 京
迅さんは前回~今回ずっとタイミングをうかがっていましたね。
PCの前で倒れて死んだ青年がひとり残るのか、肉体は残ったとしても記憶と”自我”を失って真っ白になってしまった狂人がひとり残るのか、くらいを想像していました。>終わった後どうなるのか
海野 迅
さて、そこは私も明確には考えてないのですよね。
どうなるかはあえて書かない方が面白いかな?
渡川 京
最後あえて書かずに余地を残してもいいかもしれませんね。最終回の描写次第ですが。
海野 迅
二人が溶けてしまって、探索者になれるほど強い存在ではないけど、新しい何かが生まれてもいいかなぁとは思うのでした。
渡川 京
それはそれで何か残るものがあるということでいい感じなんですよね。
探索者になれるほど強い存在ではないけど、片隅にひっそり残るような。

 八回目 ■■■■■ 2021/4/30 ■■■■■
足跡

海野 迅
来ました!
渡川 京
こんばんはー!
海野 迅
こんばんはー
渡川 京
まずはダイス振ってから方針を決めましょうか
海野 迅
そうそう、運命のダイスだ
1d6 (1D6) > 6
たかーい
渡川 京
1d6 (1D6) > 3
ひくーい
海野 迅
任せた!
渡川 京
1d10 (1D10) > 1
渡川 京
Σ
まさかの
彼らの生きる意志を感じる
[ 渡川 京 ] > SAN : 2 → 1
海野 迅
すっけぇぇぇぇ! 笑っちゃった。
[ 海野 迅 ] SAN : 2 → 1
渡川 京
これはちょっとすごすぎる
彼らはぎりぎりまで生きたいんだな……
海野 迅
それじゃあ今日はこっちかな……
じゃあ北海道で桜見て美味いもの食べて、ちょっと思い出話でもするかっ
渡川 京
ですね!
海野 迅
梅と桜とこいのぼりの欲張りセットが観られるよ。
渡川 京
札幌と小樽しか行ったことのない民なので、北海道描写はお任せしても?
海野 迅
いうて私も札幌と釧路くらいしかw
札幌にしておこう。
旅行者ならそんなものでしょうしね。
渡川 京
ですね。一番行きやすい場所ですし。
海野 迅
桜なら円山公園らしい
渡川 京
ほうほう
海野 迅
地下鉄で簡単に行けるね

海野 迅
あちこちに宿泊しながらの長旅も、いよいよ最終日前日だ。
正直、ここまで来られたこと自体に驚いている……
中央公園ぶらぶらしてよう。
渡川 京
北へ行くほどひやりとしていく空気を追いかけて、ここ札幌の風は、まるで春が始まったばかりの時のようだ。
海野 迅
「鉄板の焼もろこしでも食おう」
渡川 京
「いいな。バターサンドが食いたいが売ってるか?」実は甘党の京が、迅の言葉に提案を重ねる。
海野 迅
「あるんじゃないか? 六花亭のヤツだろ?」
渡川 京
「ああ。あれ好きなんだ」
海野 迅
最近甘い物も好きだ。
渡川 京
マリトッツォを何個も平らげ、迅を驚かせた記憶がもう遠い。驚いたような記憶と驚かせたような記憶が同時にあり、そのどちらも思い出せば楽しい。
海野 迅
明らかに味覚が変わってきている。
まあ好みが変わることだってあるだろうさ。
渡川 京
好みが変わり、歩き出す歩幅が変わる。迅と俺とで同じ足取りで歩く。
海野 迅
我ながら、随分温厚になってきた気がするし、たまにいい加減でも良いかな、などと思えてくることもある。
もうすぐ終わるんだし、なんて理由ではない。多分。
渡川 京
歩きながら繰り返し歌を口ずさむようになった。それは迅の癖かもしれないし、最期の時まで歌っていたいという思いの表れかもしれない。
海野 迅
昔ラジオを弄っていた時に……とふと思い、軽い疑問を覚え、まあそれでもいいか、と思う自分がいる。
「案外大したことないかも知れないな」
渡川 京
「桜がか?」
海野 迅
「いや、そうだ、菓子買ったら桜見に行こうぜ」
渡川 京
「ああ。軽く酒も欲しいな」
海野 迅
「お?」
「そうだな、花見と言えば酒だな!」
渡川 京
「ああ、そうだろう。さっきからウィスキーの醸造所の広告を見過ぎて、飲みたくなってきたんだ」
海野 迅
「そうか……」
前はかすかな不安と恐怖を覚えた、二人の『共通点』。
「お前もウイスキーのうまさが分かってきたかー! チョコと野菜スティックと蜂蜜つきチーズ肴にすると美味いぞー」
「昼間っからそんな飲み方するもんじゃないかぁ」
渡川 京
「それは夜に取っておこう。昼はビールとか、ハイボールとかそういうのがいいな」少し楽しげな語尾は、どこか迅に似てきていた。
海野 迅
「そういや、この辺じゃこの季節に梅と桜がいっぺんに咲くんで、」
渡川 京
「梅と桜が? いいな、見たい」
海野 迅
「鯉のぼりバックに写真撮れるらしいな!」
渡川 京
「鯉のぼり! 面白いじゃないか。向こうじゃそうそう見られない」
 
海野 迅
近所に、鯉のぼりの季節になると「忍者」って書かれたでっかい旗を揚げてるお宅がある。
一応その下にかわいらしい鯉のぼりも付いてるけど、忍者のインパクトが強すぎる。
渡川 京
WHY NINJA それはインパクトが強すぎる
海野 迅
夜の酒盛りもちょっとやります?
渡川 京
お、いいんじゃないでしょうか そこで思い出話でも

海野 迅
「よし、桜の名所が地下鉄で行けるらしいからついでに見られるといいな!」
「見つかるまで散歩するってのも良いか」
渡川 京
「ああ。これか? 円山公園。……いいな。折角だ、散歩しよう。旅先で歩き回るのは嫌いじゃない」
きゅっきゅっと踵を鳴らして、靴ひもを締め直す。
海野 迅
最近歩調がゆっくりになった。京に『合わせる』必要がなくなったのだ。
「桜動画は無事完走だな!」
渡川 京
「ああ! 正直──」 完走できるとは思わなかった。その言葉を小さく呑み込むが、きっと迅には『伝わって』いるだろう。
海野 迅
「(思ってなかったよ……)」
きっと、そう考えたのは同時だ。
渡川 京
「……」
海野 迅
もう『あの部屋』はどこにも行けない、扉の周囲だけの空間だ。
だからこそ、二人とも『外』にいるのだ。
渡川 京
頭痛はもう止むことがなく、最後の薬も効かなくなって久しい。
海野 迅
崩壊した部屋の向こうに広がる広い海。
近々あの部屋は完全に崩れ落ち、二人してあの海に沈んでゆくのだろう。
渡川 京
繰り返し繰り返し、水泡の音がしている。深い深い海の底へ沈んでいく夢。深い深い海の底へ幼馴染を突き落とす夢。
海野 迅
意識がまたあの海を思い出して揺らぎかけた。
まだだ。あそこに沈むのは、まだだ。
「お、六花亭って書いてる。あそこだろ」
渡川 京
「迅。行こう」
海野 迅
「おう!」
「桜の動画終わってないし、アレの仕上げもまだだし。まだまだ寝るにゃ早い」
浮き浮きと酒と菓子を買いに店に行くのだ。
渡川 京
「ああ、折角完走したんだから終わらせて上げなきゃな。本店ともなるとラインナップが多いな」菓子を選びながらうきうきしている。
海野 迅
「時計台って意外とちっせーな……」
「カメラアングルって大事だ。うん」
渡川 京
「カメラアングルか、動画の参考にするか……。桜を下から思い切りあおって撮ろう」
海野 迅
「だれかに撮ってもらうのもいいなぁ」
三脚はもちろん持ってきているんだけど。
渡川 京
「ああ、いいな。折角だ、誰かに撮ってもらうか」
海野 迅
「全部思い通りにってのもいいけど、知らない誰かの手が入るってのも乙なもんだろ」
渡川 京
「ああ。いい記念にもなるしな」
海野 迅
だからってここで誰か別キャラ出したりする予定はないですよー
渡川 京
はーい
海野 迅
「誰か」とかかわりを作りたかっただけなんだ。
渡川 京
いいんじゃないでしょうか。それこそ「いい記念」。誰かの記憶の中に残っていきましょう。

渡川 京
公園に辿り着いて、落ちつけそうな場所を探す。
海野 迅
「さすが名所、結構混んでるなー」
渡川 京
「写真を撮ってくれる人は見つけられそうだが、落ちつけそうな場所を探すのが大変だな」
海野 迅
広い敷地には100本超の桜が並び、バーベキューをする団体が多く見受けられる。
渡川 京
「……バーベキューの臭いがすごいな。腹が減る」
海野 迅
「肉喰いてぇなぁ。夜は肉にしようぜ」
渡川 京
「賛成だ。焼肉にでも行くか」
海野 迅
「まー、そのへんのいい感じの樹の下にでも座っちまえばいいだろ。場所は狭くて済むんだ」
渡川 京
「それがなかなか空いてないんだ…… お、あったぞ。あそこにするか」
海野 迅
空きにほぼ同時に気付く。
海野 迅
さくらって打つたびに佐倉が出てきて調子狂うわ
渡川 京
実は同じ現象が発生してました
海野 迅
デビルバスターへの勧誘かな?
渡川 京
SAN0になったら踏み越えてデビルバスターになれと?
佐倉 光
そーゆー生き方だって、まあ悪くないっすよ
渡川 京
それはそう
海野 迅
ただ残念ながら、戦闘能力はないなぁw
渡川 京
なんですよねぇ。京にもそんなものはない。

海野 迅
「桜って、あまり綺麗だと思ったことがなかった。……つか、綺麗は綺麗だけど、それだけだった」
渡川 京
「それだけ、か」静かに相槌を返すその雰囲気は、やはり『京』なのだ。
海野 迅
「なんでかなぁ、お前と一緒になってからだよ。桜わざわざ見たいとか思うようになったの」
「これは間違いなく、俺の中にはなかった感情なんだ」
渡川 京
「俺は桜を見るのが好きだった。でも、桜が……、というより、桜を収めた写真が好きだったな。被写体として好きだった。桜の下で騒ぎたいとか、ああいうのは苦手だった」
「今になってようやく、こういうのを見ると騒ぎたくなるんだな、って分かったよ」
海野 迅
「二人分を楽しめるのって得だな」
渡川 京
「そうだな。二倍楽しいようなものだ」
海野 迅
乾杯、と酒を開けて、買ってきた菓子をつまむ。
渡川 京
乾杯、と桜へ向かって缶を掲げる。
海野 迅
「おし、一曲歌うか」
渡川 京
「ああ。いいな」
頷いてギターを取り出す。
海野 迅
そっか、全部持って歩いているのかな。
いつ終わってしまっても悔いのないように。
渡川 京
最後は歌って終わりたいので、これは持ち歩いてるんじゃないかなと。
海野 迅
それはそうだ。PCもあるだろうし、そこそこ大荷物だなぁ。
海野 迅
電子ギターならコンパクトで軽いわよ……

渡川 京
空路でなくてよかったと思う。こういうものを持ち歩くのが楽だ。
海野 迅
歌おう。自分たちの人生を詰め込んだ、少しばかり泥臭い歌を。
渡川 京
歌おう。残したいと願い続けた迅の歌を。いや、今になって思う、迅だけじゃない。二人の人生の歌を残したい。
海野 迅
二人声を合わせて歌う。
心揃えて歌う。
渡川 京
心を、声を合わせて、桜の下で。桜色の空気に立ち昇るように。
海野 迅
あら、終わりの雰囲気になってきた
渡川 京
そうなんですよね 思い出話もしたかったけど、ここで〆ても美しいかも
海野 迅
思い出話は次回にやろうか…
渡川 京
ですね 次回も翌日休日の日とかにして、ちょっと長めになっても大丈夫なようにしますか
海野 迅
そうしましょうー
渡川 京
いつもの一文入れて〆ちゃっても大丈夫ですか?
海野 迅
はい、お願いします
5月か。今度こそ始まりの地へ赴くのもいいかな。
渡川 京
ああー、いいですね。北海道まで桜を追いかける旅も終わったし、次回それこそ始まりの地で〆ましょう。

渡川 京
── 渡川京、海野迅 旅の終わりの、桜の下で。二十三歳、春。
渡川 京
誕生日忘れたけどそろそろ年齢+1されてるよなって……。
海野 迅
二十三歳か、若いなぁ
渡川 京
なんですよね。若いんですよ。
海野 迅
自分の死体を見た迅はもう半分諦めと言うか悟っちゃってるから仕方ないけど、もうちょっと生きたいとか思ってもいいんだよ……
渡川 京
京も京で、『自分が何だったか』を薄々自覚しつつあるから、変に穏やかなきもちになっちゃってるんですよね……
海野 迅
なんかもう物わかり良すぎて「本当にそれでいいのか!?」って中の人が思ってしまう。
海野 迅
「いーんだよもう、外野がとやかく言うなっての」
渡川 京
「いいんだよ。いいってことにした。その方が、気持ちよく終われそうだ。これは、そのための道なんだ」
海野 迅
視覚的に終わりが見えるの、否応もなく腹を決めさせられるだろうな。
渡川 京
京にとっては腹を決めるための道でもありそうです、この旅。
海野 迅
迅は直前まで生きた証を残そうとし続けるよ。
この世界に足跡を残すための旅なんだよ。
……と思ってたけど、純粋に楽しかったんだよ。
渡川 京
「楽しかった。楽しかったし、楽しい。──それでいいんだ。それでいいってことにした」
渡川 京
ちょっと目の端に涙が浮かんでそうですね……
海野 迅
おっ、そのへんは次回にじっくりとやりましょう。
渡川 京
おっ、ですね。
海野 迅
中の人の言葉でやっちゃうと勿体ないものね。
渡川 京
ついBGMにつられてしんみりと。確かに。次回じっくりやりましょう。
海野 迅
ありがとうございました!
渡川 京
ありがとうございました!