クトゥルフ神話TRPG(6版) 真・女神転生 派生シリーズ
光を溶かす水 一覧


※KPのミス
マップの水色の点線は、うっかり図形選択中のマークがついたままマップを出力してしまったものです。
特別に何かあるわけではありません。
マップの水色の点線は、うっかり図形選択中のマークがついたままマップを出力してしまったものです。
特別に何かあるわけではありません。
KP
頼りないリフトを降りて地下一階へ出ると、そこは先程までの空間とは雰囲気を異にしていた。
廊下の土壁は白く塗られ、規則的にあの彫像と同じような、長い鼻の神のレリーフが刻まれている。
掲げられている明かりも見た目の凝ったものになり、信仰の場の雰囲気を醸し出している。
ここにはあの「水」に似た匂いが微かに漂っている。
その匂いを嗅ぎながら並ぶレリーフを見ていると、頭の奥がぼうと熱くなって、彫像の顔に見とれてしまう。
これはいいもの、素晴らしいもの、行くべき所……。
廊下の土壁は白く塗られ、規則的にあの彫像と同じような、長い鼻の神のレリーフが刻まれている。
掲げられている明かりも見た目の凝ったものになり、信仰の場の雰囲気を醸し出している。
ここにはあの「水」に似た匂いが微かに漂っている。
その匂いを嗅ぎながら並ぶレリーフを見ていると、頭の奥がぼうと熱くなって、彫像の顔に見とれてしまう。
これはいいもの、素晴らしいもの、行くべき所……。
佐倉 光

ここはあの世界に繋がっている……。
佐倉 光

「ってそんな事やってる場合じゃない」
もし牧志が同じようにぼんやりしているなら体を軽く叩いて起こす。
もし牧志が同じようにぼんやりしているなら体を軽く叩いて起こす。
牧志 浩太

「……え?」
牧志は不思議そうにぼんやりと振り向き、それから目を瞬いた。
牧志は不思議そうにぼんやりと振り向き、それから目を瞬いた。
牧志 浩太

「うわ、えっ、そうか、俺」
佐倉 光

レリーフから目をもぎ離してフロア全域を確認する。
人の気配は。鍵などは。
人の気配は。鍵などは。
KP
この階層は、先程までと構造が異なっていた。
リフトの横には木の扉が二つあり、うちリフトに近い側(マップ上で右側)には鍵穴がある。
廊下の反対側には、両開きの大きな金属扉が一つと、通常の大きさの金属扉が一つ。
どちらも鍵はない。
先程上がっていった人はどこかの部屋にいるのか、廊下に人の姿はない。
リフトの横には木の扉が二つあり、うちリフトに近い側(マップ上で右側)には鍵穴がある。
廊下の反対側には、両開きの大きな金属扉が一つと、通常の大きさの金属扉が一つ。
どちらも鍵はない。
先程上がっていった人はどこかの部屋にいるのか、廊下に人の姿はない。
佐倉 光

まずは鍵がかかっていなさそうな、リフトから遠い部屋を調べよう。
いつも通り床に這いつくばって〈聞き耳〉だ。
ついでににおいはどこからしているか分かるかな。
いつも通り床に這いつくばって〈聞き耳〉だ。
ついでににおいはどこからしているか分かるかな。
KP
リフトから近い側の、鍵穴のある部屋から匂いが漂ってくるような気がする。
佐倉 光

とすると、今この部屋の中に人がいる可能性があるな。
如雨露とすると植物栽培。
アレに関係ある部屋か。
如雨露とすると植物栽培。
アレに関係ある部屋か。
KP
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光

1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 52→成功
KP
隣の部屋(リフトから近い方)から微かに水音が聞こえてきた。
植物に水をやる音だろうか。
目の前の部屋(リフトから遠い方)から物音はしない。
植物に水をやる音だろうか。
目の前の部屋(リフトから遠い方)から物音はしない。
佐倉 光

牧志に手で隣から音がする、と合図しておく。
牧志ならそうするまでもなく聞こえているだろうけどね。
牧志ならそうするまでもなく聞こえているだろうけどね。
牧志 浩太

1d100 98〈聞き耳〉
牧志 浩太 - 今日 12:24
CCB<=98 (1D100<=98) > 30 > 成功
牧志 浩太 - 今日 12:24
CCB<=98 (1D100<=98) > 30 > 成功
牧志 浩太

牧志は小さく視線で隣だな、と示しながら、同じく室内に身を滑らせる。
彼の肩に微かに緊張が走った。
「隣に誰かいる」ことも聞こえているのだろう。
彼の肩に微かに緊張が走った。
「隣に誰かいる」ことも聞こえているのだろう。
佐倉 光

では速やかに目の前の部屋に入る。
KP
暗い室内には、薄ぼんやりと壁に作りつけられた大量の棚や、並んだ物入れが見える。
倉庫のような部屋だ。
明かりらしきものが扉のそばに置かれているが、生活する部屋ではないからなのか、明かりは消されている。
倉庫のような部屋だ。
明かりらしきものが扉のそばに置かれているが、生活する部屋ではないからなのか、明かりは消されている。
佐倉 光

扉の下に適当な物を置いて光が漏れないようにしてから明かりを付けたい。
書物や箱など、置ける物はないだろうか。
書物や箱など、置ける物はないだろうか。
KP
暫く待てば目が慣れ、外から差す僅かな光で大体の物の形が分かるようになる。
箱の類や空の棚、書物らしいものもあるようで、問題なく扉の下を塞げる。
箱の類や空の棚、書物らしいものもあるようで、問題なく扉の下を塞げる。
佐倉 光

では、牧志には明かりの側に立って待機してもらい、こちらは扉の下を埋める。
埋め切ったら明かりを付けてもらおう。
埋め切ったら明かりを付けてもらおう。
牧志 浩太

牧志が明かりをつけると、室内が白い光に照らされる。
佐倉 光

隣から音が聞こえたりするかなー。
部屋の様子はどうだろう?
部屋の様子はどうだろう?
KP
隣から聞こえてくるのは水の降り注ぐ音と、微かな鼻歌だ。
佐倉 光
※今回はペナ追加なし探索可!
KP
室内には所狭しと奇妙な儀式道具のようなもの、香炉、供物台、美しい装飾の入った手枷や足枷、金属製の針、そして粗悪な紙の束ねられた書物といった、様々なものが並べられ、また置かれていた。
ここで使うというよりは、雑然としまってあるといった印象だ。
ここで使うというよりは、雑然としまってあるといった印象だ。
KP
詳しく調べるなら、〈目星〉-15%、または〈隠す〉で判定。
〈オカルト〉で判定して成功すると別情報。
〈オカルト〉で判定して成功すると別情報。
佐倉 光

1d100 83〈目星〉 Sasa 1d100→ 31→成功
1d100 75 〈オカルト〉 Sasa 1d100→ 54→成功
1d100 75 〈オカルト〉 Sasa 1d100→ 54→成功
佐倉 光

「殺されてたまるかよ」
意識的に呟いて棚に手を伸ばす。
意識的に呟いて棚に手を伸ばす。
KP
そこに押し込められた品々は、どこか纏まりに欠けていた。
いや、纏まりはあるが、複数種類のものが混じっているように思えた。
これは、二つの神を崇める信仰が混じっているのではないか。
しかし、それよりも重要なものをあなたは見つける。
それは、雑多な品々の奥に押し込められ、入念に隠された、鈍く光る腕輪だ。
見覚えのあるあなたの腕輪〈COMP〉だ!
いや、纏まりはあるが、複数種類のものが混じっているように思えた。
これは、二つの神を崇める信仰が混じっているのではないか。
しかし、それよりも重要なものをあなたは見つける。
それは、雑多な品々の奥に押し込められ、入念に隠された、鈍く光る腕輪だ。
見覚えのあるあなたの腕輪〈COMP〉だ!
牧志 浩太

「……!」
KP
それを切っ掛けに、次々とあなた達の持ち物が出てくる。
ジャケット、パーカー、シャツ、ズボン、ベルトポーチ、スマートフォン、家の鍵、ミニPC、それからそれから……、
それらを目にしたことで、あなた達にとって微かに「外」の存在が確かなものとなり、帰るという意思を力づけるだろう。
ジャケット、パーカー、シャツ、ズボン、ベルトポーチ、スマートフォン、家の鍵、ミニPC、それからそれから……、
それらを目にしたことで、あなた達にとって微かに「外」の存在が確かなものとなり、帰るという意思を力づけるだろう。
▼脱出時に発生する何らかのロールにボーナスが入る。
▼持ち物
あなた達は、〈COMP〉を含む持ち物を取り戻す。
あなた達は、〈COMP〉を含む持ち物を取り戻す。
佐倉 光

アイテムかぁ~。
今すぐ取り戻したくはあるんだけど、手に入れたら脱出しないといけなくなるなー。
断腸の思いでそれは置いたままで出よう。下側の上下にある扉は開けられそうか、人気はあるか、調べたい。
今すぐ取り戻したくはあるんだけど、手に入れたら脱出しないといけなくなるなー。
断腸の思いでそれは置いたままで出よう。下側の上下にある扉は開けられそうか、人気はあるか、調べたい。
佐倉 光

「牧志。これ、一度手に取ったらもう戻れなくなる。
もう少しここに置いておこうと思うんだ」
もう少しここに置いておこうと思うんだ」
牧志 浩太

「ああ、持っていったらもう出るしかなくなるもんな」
牧志 浩太

「〈COMP〉だけ持っていくのも……、もしまた捕まったら、また取り上げられて別の場所に置かれるかもしれないか」
牧志は小声で言いながら、迷うようにあなたの〈COMP〉や、自分のジャケットを見下ろした。
牧志は小声で言いながら、迷うようにあなたの〈COMP〉や、自分のジャケットを見下ろした。
佐倉 光

「出られるもんなら今すぐ出たいけどな」
牧志 浩太

「俺も。
でも、解毒手段とか、見つかってないしな」
牧志の言葉には、自分の思考が合っているのかどうか、一言ずつ確かめる響きがあった。
……自分達は、ここを出たくないだけではないのか?
でも、解毒手段とか、見つかってないしな」
牧志の言葉には、自分の思考が合っているのかどうか、一言ずつ確かめる響きがあった。
……自分達は、ここを出たくないだけではないのか?
佐倉 光

「そうだ。解毒か、なにか、できないと。
結局俺たちここに囚われたままだ」
結局俺たちここに囚われたままだ」
KP
あなた達は部屋の外に出る。
KP
どちらにも鍵や閂はなく、開けられそうに見える。
室内に人気がないか窺うなら、それぞれ1回ずつ〈聞き耳〉で判定。
室内に人気がないか窺うなら、それぞれ1回ずつ〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光

1d100 79〈聞き耳〉 ↑ Sasa 1d100→ 34→成功
1d100 79〈聞き耳〉 ↓ Sasa 1d100→ 64→成功
1d100 79〈聞き耳〉 ↓ Sasa 1d100→ 64→成功
KP
扉の向こうに物音はなく、静寂が耳に返った。
人の気配はなさそうだ。
人の気配はなさそうだ。
佐倉 光

では、出口とおぼしき方を先に開けて見る。
KP
扉の向こうには、小さな彫像が導くようにずらりと並んでいた。
彫像の道の突き当たり、反対側にもう一つ扉が見える。
その扉は、大きな閂と錠前で施錠されている。
そのすぐ横で、大きな彫像が扉を見下ろしている。
エントランスホール、のような作りになっていた。
彫像の道の突き当たり、反対側にもう一つ扉が見える。
その扉は、大きな閂と錠前で施錠されている。
そのすぐ横で、大きな彫像が扉を見下ろしている。
エントランスホール、のような作りになっていた。
佐倉 光

「閂……団長が管理している呪文、だったか?」
牧志 浩太

「開扉の呪文、だったか。
だよな、出口の鍵になるものを団長が管理してるって、普通にありそうだ」
だよな、出口の鍵になるものを団長が管理してるって、普通にありそうだ」
佐倉 光

「あの部屋に入る必要があるな……」
あまり時間もなく情報は少ない。
危険だからと踏み入らないでいた場所に、行く必要があるかも知れない。
彫像をよく見ても何もないだろうか。
あまり時間もなく情報は少ない。
危険だからと踏み入らないでいた場所に、行く必要があるかも知れない。
彫像をよく見ても何もないだろうか。
KP
この部屋を調査するなら、〈目星〉〈聞き耳〉〈隠す〉のいずれかで判定。
佐倉 光
折角だから〈聞き耳〉!
佐倉 光

1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 86→失敗
佐倉 光
マジかー。牧志お願い!
牧志 浩太

1d100 99〈目星〉! Sasa 1d100→ 44→成功
牧志 浩太

「あれ、佐倉さん……、これ」
牧志が扉の横に置かれた彫像に近寄り、這いつくばってその足元を見る。
足元のマットが僅かに浮いているのを見つけ、そこから何かを拾い上げた。
牧志が扉の横に置かれた彫像に近寄り、這いつくばってその足元を見る。
足元のマットが僅かに浮いているのを見つけ、そこから何かを拾い上げた。
牧志 浩太

「鍵だ。
『祈りの詠唱と共に鍵を回せ』って書いてある。
差しても……、これだけじゃ回らないみたいだ」
牧志が錠前に鍵を差し込むが、引っかかったように回らず、がちがちと中で音を立てる。
『祈りの詠唱と共に鍵を回せ』って書いてある。
差しても……、これだけじゃ回らないみたいだ」
牧志が錠前に鍵を差し込むが、引っかかったように回らず、がちがちと中で音を立てる。
佐倉 光

「団長の呪文ってやつが必要なんだろうな。
鍵は戻しておこう」
彫像はあまり見ないようにしながら戻る。
鍵は戻しておこう」
彫像はあまり見ないようにしながら戻る。
▼禁断症状悪化
1段階目 技能値 合計-10%
指先が震え、細かい作業に困難を覚える。つま先が震え、脚に力を込めにくくなる。
視線が震え、物が見づらくなる。
1段階目 技能値 合計-10%
指先が震え、細かい作業に困難を覚える。つま先が震え、脚に力を込めにくくなる。
視線が震え、物が見づらくなる。
佐倉 光

「あっちは大聖堂かなんかかな……」
牧志 浩太

「あの大仰な扉といい、それっぽいな。
今まで、儀式場みたいな所はなかったし」
今まで、儀式場みたいな所はなかったし」
佐倉 光

そういえば、鍵がかかった部屋にはまだ人がいそうかな。
KP
様子を窺いながら戻ろうとしたとき、鍵がかかった部屋の扉からカチャリと音がし、如雨露を持った人が出てくるのが見えた。
佐倉 光

身を隠す。
牧志 浩太

牧志は頷き、廊下の向こうに隠れてあなたとその人影から距離を取る。
佐倉 光

相手はどんな人間だろう?
こっそり見ることはできないだろうか。
こっそり見ることはできないだろうか。
KP
なるほど。
この人はいま手元の如雨露しか見ていないので、可能。
〈隠れる〉または〈忍び歩き〉に+25%して判定。(禁断症状悪化のマイナス補正は入る)
この人はいま手元の如雨露しか見ていないので、可能。
〈隠れる〉または〈忍び歩き〉に+25%して判定。(禁断症状悪化のマイナス補正は入る)
佐倉 光

1d100 87〈忍び歩き〉 Sasa 1d100→ 44→成功
佐倉 光
思ったより〈忍び歩き〉高かった!
KP
手元の如雨露と、それから摘まれた花……炭のように真っ黒な蓮の花……をじっと見つめながらリフトの前へ向かうのは、長い髪を飾り気なく下ろした、痩せた女性だ。
こちらからは、表情や顔立ちはよく見えない。
彼女はリフトの前へ向かうと、管理人に連絡を入れ、下へ降りようとする。
もう一人の信者とはあの時打ち解けていたようにも見えたが、今は行き先をぽつりと口にするだけの、物静かなものだ。
こちらからは、表情や顔立ちはよく見えない。
彼女はリフトの前へ向かうと、管理人に連絡を入れ、下へ降りようとする。
もう一人の信者とはあの時打ち解けていたようにも見えたが、今は行き先をぽつりと口にするだけの、物静かなものだ。
佐倉 光

前に、後から取り押さえに来たやつだろうか?
鍵がないのがバレるかもな。
そのまま彼女が立ち去るのを待って、鍵がかかった部屋へ行き、解錠する。
鍵がないのがバレるかもな。
そのまま彼女が立ち去るのを待って、鍵がかかった部屋へ行き、解錠する。
KP
鍵が開く。
扉を開けるなら、室内からあの「水」に似た匂いが漏れ出て、あなたの鼻をくすぐる。
扉を開けるなら、室内からあの「水」に似た匂いが漏れ出て、あなたの鼻をくすぐる。
牧志 浩太

牧志がごくりと唾を飲む。
佐倉 光

ここには十中八九、アレの源がある。
廊下で深呼吸してから中に入る。
廊下で深呼吸してから中に入る。
KP
……そこには、炭のように黒い蓮の花が咲き乱れていた。
根の張り巡らされた水面は微かに匂い立ち、少し湿り気のあるほどに維持された部屋の天井から光が降り注ぎ、甘く烟るそこは、肉体を持ちながらにしてあの夢を見ているかのようだった。
幻想めいた風景にも関わらず、水面を埋め尽くす黒い蓮は暗黒の闇そのもので、背筋に曖昧な怖気と熱をもたらした。
根の張り巡らされた水面は微かに匂い立ち、少し湿り気のあるほどに維持された部屋の天井から光が降り注ぎ、甘く烟るそこは、肉体を持ちながらにしてあの夢を見ているかのようだった。
幻想めいた風景にも関わらず、水面を埋め尽くす黒い蓮は暗黒の闇そのもので、背筋に曖昧な怖気と熱をもたらした。
KP
《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1D2》。
牧志 浩太

1d100 45 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 81→失敗
1d2 Sasa 1d2→1
SAN 45 → 44
1d2 Sasa 1d2→1
SAN 45 → 44
佐倉 光

1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 5→決定的成功(クリティカル)!
佐倉 光

これが元凶か?
ここを破壊して、下の水瓶も倒して、そのまま外に出てしまえば、俺達は戻れるかもしれない。
ここを破壊して、下の水瓶も倒して、そのまま外に出てしまえば、俺達は戻れるかもしれない。
佐倉 光

とはいえ、一日も経たずにあの状態になるのに、一週間耐えられるのか、見当もつかない。
牧志 浩太

「あ……、いる。あの方がいる」
調べようとしたとき、牧志の身体がふらりと傾いだ。
自然と、彼は蓮の花の前に膝をつこうとする。
調べようとしたとき、牧志の身体がふらりと傾いだ。
自然と、彼は蓮の花の前に膝をつこうとする。
佐倉 光

「牧志、しっかりしろ!
早くここを調べて、出るぞ!」
牧志の目を見て揺さぶる。語りかける。
早くここを調べて、出るぞ!」
牧志の目を見て揺さぶる。語りかける。
佐倉 光

「ここで見つかるわけには行かないんだ!」
牧志 浩太

「あ、ああ、あっ、ごめん」
揺さぶられて、彼ははっと目を瞬き、すぐに我を取り戻す。
揺さぶられて、彼ははっと目を瞬き、すぐに我を取り戻す。
KP
あの貯蔵庫ほどではないが、この部屋にも危うい誘引力がある。
佐倉 光

鼻をつまんでその部屋に蓮について何かわかることがないか調べる。
ここを世話している人間の人格がわかりそうな物、でもいいが。
ここを世話している人間の人格がわかりそうな物、でもいいが。
KP
室内をよく調べるなら、〈目星〉、〈隠す〉、〈人類学〉、〈心理学〉など、蓮またはここを世話する人物の調査について適切な技能で判定。
また、〈植物に関する技能〉(〈博物学〉、〈生物学〉など)で成功すると、追加情報。
また、〈植物に関する技能〉(〈博物学〉、〈生物学〉など)で成功すると、追加情報。
佐倉 光

〈心理学〉だと55になるかー。やってみるかなぁー。
1d100 55〈心理学〉 Sasa 1d100→ 18→成功
1d100 4〈生物学〉 Sasa 1d100→ 39→失敗
1d100 55〈心理学〉 Sasa 1d100→ 18→成功
1d100 4〈生物学〉 Sasa 1d100→ 39→失敗
牧志 浩太

1d100 67〈心理学〉 Sasa 1d100→ 87→失敗
佐倉 光
〈生物学〉は一段階目でもう無理ゲーですわ。
牧志 浩太
こちらは〈博物学〉・〈生物学〉はどちらも初期値(10未満)だ。
KP
感じ取れるのは、咲き誇る蓮への実に細やかな処置だ。
先程の如雨露をまっすぐに見下ろす仕草や、所々に残されたメモの筆致から、そこからは丁寧さや愛情、責任感を通り越して、執着に近いものを感じる。
ただ、その正確な処置からは、あなた達のような禁断症状に苛まれている兆候は見受けられない。
先程の如雨露をまっすぐに見下ろす仕草や、所々に残されたメモの筆致から、そこからは丁寧さや愛情、責任感を通り越して、執着に近いものを感じる。
ただ、その正確な処置からは、あなた達のような禁断症状に苛まれている兆候は見受けられない。
佐倉 光

ここの女、蓮を人質に取ったら言うこと聞くかな?
KP
その丁寧に世話された蓮の花を追っていくと、どうやら、この池の水源はこの階ではないらしいことが分かる。
もっと下の階から水を引いているようだ。
もっと下の階から水を引いているようだ。
佐倉 光

水か。下の部屋も調べてみるかな。
あまり関係なさそうにも思えるけど。
ここの鍵はさっきの物置に隠しておこう。
あまり関係なさそうにも思えるけど。
ここの鍵はさっきの物置に隠しておこう。
KP
あなたは物置の雑多な品々の中に、黒い蓮の鍵を隠した。
▼禁断症状の悪化
2段階目:技能値 合計-20%
皮膚の中を蟲が這い回る感覚がする。
2段階目:技能値 合計-20%
皮膚の中を蟲が這い回る感覚がする。
KP
……蓮の花を目の前にしているせいで、ぼこぼこと皮膚に穴の開くような錯覚まで感じられてくる。
肌を見ればそこには何もないのに、身体が虫の巣穴になっている!
肌を見ればそこには何もないのに、身体が虫の巣穴になっている!
佐倉 光

ゾッとするような感覚に、思わず声が漏れた。
早いところ別の部屋に移動しよう。
蓮コラって噂は聞いたことがあるな……
早いところ別の部屋に移動しよう。
蓮コラって噂は聞いたことがあるな……
佐倉 光

「牧志、そろそろ行こうぜ」
牧志 浩太

「うう……、ああ、だな。
牢に戻って水を飲まないと、いや、違うな。ここからとにかく移動するんだな」
牧志は蓮の花から目を逸らして、腕をさすりながら頷く。
牢に戻って水を飲まないと、いや、違うな。ここからとにかく移動するんだな」
牧志は蓮の花から目を逸らして、腕をさすりながら頷く。
佐倉 光

「ああ、他の部屋調べよう」
牧志 浩太

「ああ。調べよう、他の部屋。
下に降りるには見つからないといけないし、得られるだけ情報を得てから戻るんだ」
下に降りるには見つからないといけないし、得られるだけ情報を得てから戻るんだ」
佐倉 光

頬に穴がないことを確かめるように指先を引っかけるようにして肌を撫でる。
今回すぐに脱出することは叶わない。それならそろそろ戻ることを考えるべきかも知れない。
今回すぐに脱出することは叶わない。それならそろそろ戻ることを考えるべきかも知れない。
KP
頬を撫でた指先に、ぞわりと虫が這った。
そこに指先が落ち込む穴はない。
そこに指先が落ち込む穴はない。
佐倉 光

大きめの観音開きのドアに向かう。
KP
大きな扉は、その大きさと材質のためか、ひやりとした感触を湛えていた。
先程確かめてから、他に人影を見なかった所からして、この向こうに人はいないのだろう。
先程確かめてから、他に人影を見なかった所からして、この向こうに人はいないのだろう。
佐倉 光

ここまで来た言い訳どうしよっかなー。
神に惹かれたとかでなんとかなんねーかな。
神に惹かれたとかでなんとかなんねーかな。
佐倉 光

牧志と目配せしてから深呼吸してドアを開ける!
牧志 浩太

牧志も息を呑み、扉の横で身構える。
KP
扉を開くと、そこには静寂が示す通り誰もいなかった。
広い室内は明かりが消されている。
壁を飾るカーテン、いくつか並ぶ椅子。
その奥に、大きな丸い舞台のようなもの。
両脇に、燭台のような背の高い台。
演劇が始まる前のホール、または誰もいない礼拝堂。
そんな気配を部屋は湛えていた。
広い室内は明かりが消されている。
壁を飾るカーテン、いくつか並ぶ椅子。
その奥に、大きな丸い舞台のようなもの。
両脇に、燭台のような背の高い台。
演劇が始まる前のホール、または誰もいない礼拝堂。
そんな気配を部屋は湛えていた。
牧志 浩太

「誰も……、いないみたいだな。
今は儀式か何かをしてないってことか?」
今は儀式か何かをしてないってことか?」
佐倉 光

「隣の牢に白骨死体があったろ。
物置には儀式用の拘束具みたいなのがあった。
俺たちがこれからここに括られて骨にされるって想像ができるな」
物置には儀式用の拘束具みたいなのがあった。
俺たちがこれからここに括られて骨にされるって想像ができるな」
佐倉 光

「あと三日以内に……二日かな。脱出できなきゃ、そうなるかもってことだ」
牧志 浩太

「たぶんそうなるんだろうな。
ここに括られて、「水」欲しさに喜んで頭を下げて、骨だ。
……ぞっとするな」
ここに括られて、「水」欲しさに喜んで頭を下げて、骨だ。
……ぞっとするな」
佐倉 光

想像していた危険な物はなさそうだが……
そこに役立ちそうなものはないだろうか。
脱出や儀式の邪魔に繋がりそうなもの。
もしくは正体が知れない団長に関する情報……
部屋を調査する。舞台にはまだ何も無いのだろうか。
祭司長が立つような台はないだろうか。
そこに役立ちそうなものはないだろうか。
脱出や儀式の邪魔に繋がりそうなもの。
もしくは正体が知れない団長に関する情報……
部屋を調査する。舞台にはまだ何も無いのだろうか。
祭司長が立つような台はないだろうか。
KP
舞台の上には、まだ何もないように見える。
祭司が立つ台があるかどうかは、暗くて判別が難しい。
明かりは小さなものが非常灯のように足元に置かれているだけで、
いま消されている明かりを灯しても、室内は薄暗いと思われる。
「使う」時は、この燭台に火でも灯すのかもしれない。
祭司が立つ台があるかどうかは、暗くて判別が難しい。
明かりは小さなものが非常灯のように足元に置かれているだけで、
いま消されている明かりを灯しても、室内は薄暗いと思われる。
「使う」時は、この燭台に火でも灯すのかもしれない。
KP
〈目星〉〈隠す〉〈オカルト〉など、宗教的な場に隠されたものを探すのに適切な技能で判定。
明かりをつけずに探索するなら、-20%。
明かりをつけて探索するなら、-10%で判定。
明かりをつけずに探索するなら、-20%。
明かりをつけて探索するなら、-10%で判定。
佐倉 光
〈オカルト〉でつけずに探索。すると-40か。75が35はちょっときついなぁー。
98の〈目星〉で58。こっちでチャレンジしようかな。
98の〈目星〉で58。こっちでチャレンジしようかな。
佐倉 光

1d100 58〈目星〉 Sasa 1d100→ 80→失敗
牧志 浩太

1d100 59〈目星〉! Sasa 1d100→ 25→成功
佐倉 光
えらいっっ!
牧志 浩太

牧志は暗闇に沈んでいるとしか見えない空間に目を配り、手探りして見たものを確かめていく。
彼には、見えているものがあるらしい。
彼には、見えているものがあるらしい。
牧志 浩太

「この燭台、煤がついてるな。ざらついてる。
やっぱり、ここで何か燃やすんだ。
それから、舞台の前に台がある。
これが、生贄が座らされる台なんだろうな……。何か固定する輪がある。
ここに手枷と足枷を固定するんだろうな、きっと。
この染みは、血か?」
やっぱり、ここで何か燃やすんだ。
それから、舞台の前に台がある。
これが、生贄が座らされる台なんだろうな……。何か固定する輪がある。
ここに手枷と足枷を固定するんだろうな、きっと。
この染みは、血か?」
佐倉 光

手枷と……足枷。
想像するだけで背筋が震える。
恐れるように後ずさった。
想像するだけで背筋が震える。
恐れるように後ずさった。
椅子への拘束とトラウマ(ネタバレ)
佐倉は椅子に体を拘束されることに強いトラウマがある。ついでに言えば無力な存在として『ヒナドリ』を何度も思い出しているのもこのトラウマに起因する。
TRPGリプレイ【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 2
椅子への拘束とトラウマ
KP
直接見た牧志だけ《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1》。
牧志 浩太

1d100 44 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 44→成功
牧志 浩太

「舞台には何もないみたいだ。
何もない……、ないな。
大学の教授が座ってるけど、きっと俺にそう見えてるだけだ……」
何もない……、ないな。
大学の教授が座ってるけど、きっと俺にそう見えてるだけだ……」
佐倉 光

「舞台には……妖鬼アズミがいる。幻だな」
牧志 浩太

「幻だな、誰もいない……」
▼禁断症状の悪化
3段階目:技能値 合計-30%
絶えず傍らの相手の声で自分を罵る幻聴が聞こえる。
知っている人の幻覚を見る。知っている人が助けに来る幻を見る。
3段階目:技能値 合計-30%
絶えず傍らの相手の声で自分を罵る幻聴が聞こえる。
知っている人の幻覚を見る。知っている人が助けに来る幻を見る。
牧志 浩太
こちらは〈博物学〉・〈生物学〉はどちらも初期値(10未満)だ。
佐倉 光
何されるんだろうなぁ代理人ー
血がついてるってことは怪我させられるってことだしー、
されこうべが残ってるってことは下手するとされこうべになるまで何かされるしー。
血がついてるってことは怪我させられるってことだしー、
されこうべが残ってるってことは下手するとされこうべになるまで何かされるしー。
KP
怪我させられるってことですねぇ。
骨、あるし。
骨、あるし。
牧志 浩太

「生贄の台の横に、たぶん祭司の場所だろうな、小さな台がある。
その傍に譜面台みたいなのがあって、何か本が捧げられてるように置かれてた。
何か特別な本かもしれない」
その傍に譜面台みたいなのがあって、何か本が捧げられてるように置かれてた。
何か特別な本かもしれない」
牧志 浩太

牧志は本を差し出す。
明かりのある状況でなら、これを読むことができる。
明かりのある状況でなら、これを読むことができる。
佐倉 光

「譜面台? 本? 読めるって本くらい……ああ、今のは牧志にじゃない」
本を手に取って明かりの近くまで身をかがめて見てみる。
本を手に取って明かりの近くまで身をかがめて見てみる。
KP
それは、儀式の準備と手順、そして、そこで用いる祈り……、呪文が記載された一連の手引きのようだった。
▼プレイヤー向け説明
儀式書の情報は2つあります。
《SANチェック》&リアクションを頂いた後、2つ目を提示します。
儀式書の情報は2つあります。
《SANチェック》&リアクションを頂いた後、2つ目を提示します。
▼儀式書の情報(1)
そこには、十二日間をかけて「代理人」を「神に親しませる」手順が書かれていた。
「水」を焚いた煙を吸わせながら、「水」を飲料や食事に混ぜて摂取させることで、適性のある代理人を確保する。
最初の四日間は、頻回に「水」を摂取させて行動の自由を奪うと共に、依存を完成させる。
三日目から四日目にかけて段階的に摂取間隔を長くし、不快症状の緩和と「水」の摂取、「水」の摂取と我々への服従を関連付ける。
四日目から八日間をかけて「水」を与える間隔を一日一度にし、代理人にある程度の自由を許す。
「水」を段階的に増量し、神の恩寵を代理人の心身に行き渡らせる。
代理人の健康には注意を払う。急激な反応が起きた場合は「水」の量を調整する。
※注釈
我々の後をつけるなどし、脱走を試みる代理人がいる。
彼らは不快症状に耐えられず、「自己判断」で牢に戻り、「自己判断」で我々に服従する。
自由行動により健康状態もよく、自ら服従を覚えた彼らは神の覚えもめでたかった。
四日目以降、代理人の脱走は歓迎される。
そこには、十二日間をかけて「代理人」を「神に親しませる」手順が書かれていた。
「水」を焚いた煙を吸わせながら、「水」を飲料や食事に混ぜて摂取させることで、適性のある代理人を確保する。
最初の四日間は、頻回に「水」を摂取させて行動の自由を奪うと共に、依存を完成させる。
三日目から四日目にかけて段階的に摂取間隔を長くし、不快症状の緩和と「水」の摂取、「水」の摂取と我々への服従を関連付ける。
四日目から八日間をかけて「水」を与える間隔を一日一度にし、代理人にある程度の自由を許す。
「水」を段階的に増量し、神の恩寵を代理人の心身に行き渡らせる。
代理人の健康には注意を払う。急激な反応が起きた場合は「水」の量を調整する。
※注釈
我々の後をつけるなどし、脱走を試みる代理人がいる。
彼らは不快症状に耐えられず、「自己判断」で牢に戻り、「自己判断」で我々に服従する。
自由行動により健康状態もよく、自ら服従を覚えた彼らは神の覚えもめでたかった。
四日目以降、代理人の脱走は歓迎される。
KP
……ぼんやりと記憶が蘇る。
そういえば、見慣れない異国料理の店を見つけて入った記憶がある。
甘くいい匂いの煙を楽しみながら、舌が痺れるほど美味な料理に舌鼓を打った。
思えば、あの時点で「水」の影響が出ていたに違いない。
そういえば、見慣れない異国料理の店を見つけて入った記憶がある。
甘くいい匂いの煙を楽しみながら、舌が痺れるほど美味な料理に舌鼓を打った。
思えば、あの時点で「水」の影響が出ていたに違いない。
KP
注釈の記述に目が留まるだろう。
この脱走も、あなた達が自ら牢に戻ることも、すべては見通されていた。
あなた達は放し飼いの家畜のように歩かされ、
今も「質の良い生贄」として訓練されているに過ぎなかったのだ。
KP
……薄々感づいていたことかもしれないが。
頭の奥のどこかに、それを喜んでいる自身の意思がいる。
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D3》。
頭の奥のどこかに、それを喜んでいる自身の意思がいる。
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D3》。
牧志 浩太

1d100 44 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 5→決定的成功(クリティカル)!
SAN 44 → 43
SAN 44 → 43
佐倉 光

1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 51→成功
SAN 55 → 54
SAN 55 → 54
佐倉 光

「俺たちにハナっから自由なんかなかった。
どこまで行ったって鎖が繋がってるからな。
……ふざけやがって」
押し殺した声で吐き捨てた。
どこまで行ったって鎖が繋がってるからな。
……ふざけやがって」
押し殺した声で吐き捨てた。
牧志 浩太

「くそ……、くそ、そういうことかよ」
歯の間から小さく息を漏らす。
歯の間から小さく息を漏らす。
牧志 浩太

「舐めてるだけじゃなかった。高を括ってるだけじゃなかった。
俺達がこうやって藻掻くのまで、全部……、全部、知ってたってことかよ」
俺達がこうやって藻掻くのまで、全部……、全部、知ってたってことかよ」
牧志 浩太

ぎり、と握った拳が音を立てた。
白くなったそれから、牧志は慎重に力を抜く。
白くなったそれから、牧志は慎重に力を抜く。
佐倉 光

「後悔させてやる。家畜に自由を与えて賢い気でいる奴ら、残らず」
意図的にそういった露悪的な言葉を吐かなければ、正気を失いそうだと思った。
全てを放棄して牢に戻り、神に捧げられるのを待つのが正しいという甘えた考えをでろでろと口から流し続ける俺が俺であると、認めてしまうのが嫌だった。
あの牢で全身に印を刻まれて蹲っていた骸を、「羨ましい早く自分もそうなるべきだ」などと信じようとする俺が、薬物漬けで作られた偽物であることを忘れてしまいそうだった。
こいつらが『俺』になった時が最上の生け贄の一丁上がり、だと? ふざけるな。
いつかの、思い出そうとするだけで思考が凍てついてしまう体験に近い、恐ろしい椅子を、震えながら見つめた。
生け贄として完成したときにはここに括られることになる。
考えるだけで吐きそうになってえづいた。
だが今は、このこびりついた嫌悪感ですら俺の武器になるかも知れない。
意図的にそういった露悪的な言葉を吐かなければ、正気を失いそうだと思った。
全てを放棄して牢に戻り、神に捧げられるのを待つのが正しいという甘えた考えをでろでろと口から流し続ける俺が俺であると、認めてしまうのが嫌だった。
あの牢で全身に印を刻まれて蹲っていた骸を、「羨ましい早く自分もそうなるべきだ」などと信じようとする俺が、薬物漬けで作られた偽物であることを忘れてしまいそうだった。
こいつらが『俺』になった時が最上の生け贄の一丁上がり、だと? ふざけるな。
いつかの、思い出そうとするだけで思考が凍てついてしまう体験に近い、恐ろしい椅子を、震えながら見つめた。
生け贄として完成したときにはここに括られることになる。
考えるだけで吐きそうになってえづいた。
だが今は、このこびりついた嫌悪感ですら俺の武器になるかも知れない。
佐倉 光

「俺たちがうろついていても扱いが緩かったのはそのせいか。
だとすると、団長の部屋だけは監視が厳しいのかもな。
こいつら、俺たちが柵の中で足掻くのが目的ってだけで、本当に逃げ出すことは望んでないんだからな」
だとすると、団長の部屋だけは監視が厳しいのかもな。
こいつら、俺たちが柵の中で足掻くのが目的ってだけで、本当に逃げ出すことは望んでないんだからな」
牧志 浩太

「かもな、きっとそうだ。
呪文のことを聞かせたのだって、罠かもしれない。
だとしたら、どうする。
どうやって突破する。
さっきから声が煩いけど、まだぎりぎり考えられそうなんだ。
佐倉さん、どう」
呪文のことを聞かせたのだって、罠かもしれない。
だとしたら、どうする。
どうやって突破する。
さっきから声が煩いけど、まだぎりぎり考えられそうなんだ。
佐倉さん、どう」
佐倉 光

「こういう事情ってことは、俺たちがよほど脱出できそうな行動をしない限りは見逃されるってことだろ。
多少大胆に動いても問題ないだろうってことだ」
多少大胆に動いても問題ないだろうってことだ」
牧志 浩太

「そうなるか。そうだな。
あいつら俺達を舐めてる、のは変わらない。
脱出できそうに思わせない限りは、大丈夫ってことだ」
あいつら俺達を舐めてる、のは変わらない。
脱出できそうに思わせない限りは、大丈夫ってことだ」
佐倉 光

「そういう意味では、あんまりこのフロアで見つかりたくないんだよなー」
牧志 浩太

「正当な評価って気もするけどな。佐倉さん逃げたいって思ってないだろ、もう」
佐倉 光

「飲み水の設備でもあればアレを流し込んで、その間に、ってことも考えられるけど、今のところそういうのはないな。
水場、一応風呂も確認してみるべきか。
大量に無駄にする、ってのは……」
水場、一応風呂も確認してみるべきか。
大量に無駄にする、ってのは……」
牧志 浩太

「そういえば……、下の階から引かれてたよな、水。
もしかして、風呂の所に水場がある?」
もしかして、風呂の所に水場がある?」
牧志 浩太

「全員巻き込みたいって? いいな、そういうのエグくて好き」
佐倉 光

「全員巻き込めれば美味しいな」
佐倉 光

「まずは水場を探して、細工できないか調べてみるか。
ただ、俺たちが直接アレをどうこうするのは難しいかもしれない。
俺たちがアレに直接触れずに運べる、いい方法があればなー」
ただ、俺たちが直接アレをどうこうするのは難しいかもしれない。
俺たちがアレに直接触れずに運べる、いい方法があればなー」
佐倉 光

「牧志さぁ、前に水瓶に頭突っ込んでたろ。
あの時、腕が触れたときにはもうおかしくなってたか、飲んでからか、ってのは覚えてるか?」
あの時、腕が触れたときにはもうおかしくなってたか、飲んでからか、ってのは覚えてるか?」
牧志 浩太

「うーん……、」
牧志は少し考えるが、すぐに首を振る。
牧志は少し考えるが、すぐに首を振る。
牧志 浩太

「ごめん、全然覚えてない。
その辺の記憶が曖昧すぎる……」
その辺の記憶が曖昧すぎる……」
佐倉 光

「そうか、まあ、そうだよな」
正直あまりあてにしてなかった。自分のことを考えても、アレに触れたが最後まともな認識も思考も保てなくなる。
正直あまりあてにしてなかった。自分のことを考えても、アレに触れたが最後まともな認識も思考も保てなくなる。
佐倉 光

「あとは、ここ世話してるやつだな。2つとも鍵を隠して、交換条件で解毒剤について聞き出す、とか。
ただそういうことをすると、俺たちが漬けられてる時に報復されるかもな」
ただそういうことをすると、俺たちが漬けられてる時に報復されるかもな」
佐倉 光

「察するに、ここにある花はアレの元で、宗教的にも大きな意味を持っているみたいだ」
佐倉 光

頭を振って偽牧志の罵倒を追い出す。
佐倉 光

「『人質』にする事もできるが、そのタイミングと方法はよく考えないと。
できれば今回風呂も見ておきたいけど、見つからずに下に行くのは難しいかな」
できれば今回風呂も見ておきたいけど、見つからずに下に行くのは難しいかな」
牧志 浩太

「見つからずにか……、あいつ必ずしも外に出てくるわけじゃないだろうから、声真似でもして下に下ろしてもらうか……、」
牧志 浩太

「ううん、ないな。でも正直他に浮かばない。
エレベーターの中で人の背後つけたらバレバレだしさ」
エレベーターの中で人の背後つけたらバレバレだしさ」
牧志 浩太

「にゃー、なんてな」
考えを交わす合間に、牧志の声で嘲う楽しげなノイズが混ざり込んでくる。
牧志の方も同じなのだろう。牧志は顔をしかめ、首を振る。
考えを交わす合間に、牧志の声で嘲う楽しげなノイズが混ざり込んでくる。
牧志の方も同じなのだろう。牧志は顔をしかめ、首を振る。
佐倉 光

「どうせ呪文がなければ出られないし、リフトで帰りたいと伝えればそれほど問題視はされない、と思いたい」
▼儀式書の情報(2)
本は続く。儀式の手順が書かれている。
完成した代理人を舞台の前に座らせ、十分な手枷、足枷、首輪で台に固定する。
その状態で丸一日置き、「水」に飢えさせる。
燭台に黒い蓮と香脂を置き、燃やす。
全員で祈りを唱える。
代理人の肩に、焼いた針で黒き蓮を描く。
代理人に微量の「水」を舐めさせた後、以下の<神への接触/誓約の呪>を唱える。
神の意思がおいでになれば、代理人に「水」を見せ、神への〈誓約〉を要求する。
代理人が〈誓約〉を行えば、神御自らより代理人に「水」が下される。
代理人が〈誓約〉を行い、神が代理人をお喜びになれば、我々は類稀なる恩寵を受け取ることができる。
神が代理人をお喜びにならない場合、神は代理人を自らの滋養となされる。
本は続く。儀式の手順が書かれている。
完成した代理人を舞台の前に座らせ、十分な手枷、足枷、首輪で台に固定する。
その状態で丸一日置き、「水」に飢えさせる。
燭台に黒い蓮と香脂を置き、燃やす。
全員で祈りを唱える。
代理人の肩に、焼いた針で黒き蓮を描く。
代理人に微量の「水」を舐めさせた後、以下の<神への接触/誓約の呪>を唱える。
神の意思がおいでになれば、代理人に「水」を見せ、神への〈誓約〉を要求する。
代理人が〈誓約〉を行えば、神御自らより代理人に「水」が下される。
代理人が〈誓約〉を行い、神が代理人をお喜びになれば、我々は類稀なる恩寵を受け取ることができる。
神が代理人をお喜びにならない場合、神は代理人を自らの滋養となされる。
KP
一番最後の記述。
・〈神への接触/誓約の呪文〉
事前に祈り(【POW】)を込めた石を、V字型に並べておく。
1POWと1D6正気度 をコストとする。このコストには石に込められた【POW】を使用することができる。
成功率は1回目の判定で【幸運】/2、
2回目以降(再度コストを消費する)は【幸運】の値となる。
成功した場合、神の意思がその場に現われ出、神の意思と会話を行うことができる。
任意の知的生命体を生贄として捧げることで、神は術者に恩寵を与えたのち退散する。
生贄を捧げない場合、神は任意の行動を取ったのち退散する。
事前に祈り(【POW】)を込めた石を、V字型に並べておく。
1POWと1D6正気度 をコストとする。このコストには石に込められた【POW】を使用することができる。
成功率は1回目の判定で【幸運】/2、
2回目以降(再度コストを消費する)は【幸運】の値となる。
成功した場合、神の意思がその場に現われ出、神の意思と会話を行うことができる。
任意の知的生命体を生贄として捧げることで、神は術者に恩寵を与えたのち退散する。
生贄を捧げない場合、神は任意の行動を取ったのち退散する。
KP
本の内容は以上だ。
佐倉 光

この椅子に括られて一日放置されたら、俺は多分狂う。
佐倉 光

「なんとか水の影響から抜けてから、代理人のふりをしてやり過ごすのはナシだな。リスクが高すぎる」
牧志 浩太

「同感……、無事でも、無事じゃなくても帰れそうな気がしない。
これだけ縛られて、一日の間に脱出するのも厳しい」
これだけ縛られて、一日の間に脱出するのも厳しい」
牧志 浩太

「神の機嫌次第では食われておしまいみたいだしな、代理人」
牧志は浅く息を吐いた。
熱さのある速い息の裏に、破滅に続くおそろしい欲との戦いがほの見えた。
牧志は浅く息を吐いた。
熱さのある速い息の裏に、破滅に続くおそろしい欲との戦いがほの見えた。
佐倉 光

「例えば何とか俺たちでこの儀式をするってのも、代理人が儀式後にどうなるかわからないし、これもまたリスクが高い。ナシだ」
佐倉 光

「神への接触か。
これは生贄と石が必要。
だけど生贄にとくに条件はないらしいな。人間であればいいみたいだ。最悪、俺たちにも可能ってわけだ」
これは生贄と石が必要。
だけど生贄にとくに条件はないらしいな。人間であればいいみたいだ。最悪、俺たちにも可能ってわけだ」
佐倉 光

「といっても」
震える手を見下ろす。
震える手を見下ろす。
佐倉 光

「この状態での接触は危険な気がする。
これも、できる、ってだけで、役に立つとは思わないほうがいいかもしれない」
これも、できる、ってだけで、役に立つとは思わないほうがいいかもしれない」
牧志 浩太

「あいつらに代償を払わせてやるのも、無理じゃないわけか。
……でも、そうだな……、あれが目の前に来て、冷静でいられる自信がない」
……でも、そうだな……、あれが目の前に来て、冷静でいられる自信がない」
佐倉 光

まずは、できれば捕まらずに下に降りたいところだけど、それは難しいかな。
リフトのところへ行ってみよう。
リフトのところへ行ってみよう。
KP
リフトのある場所にあるのは、変わらず壁に隠された継ぎ目だけだ。
あることを前提に探せば、目線の位置に小さな穴を見つけられる。これがマイクだろうか?
あることを前提に探せば、目線の位置に小さな穴を見つけられる。これがマイクだろうか?
佐倉 光

「……一階にいます。二階へ行きたいです」
話しかけてみる。
話しかけてみる。
佐倉 光

てか普通にリフト係不在って事もあるし。本当に危険な上に不便だなここのリフト。
下で災害が起きたら全員アウトだろこれ。
下で災害が起きたら全員アウトだろこれ。
KP
暫くして向こうでブツッと音が聞こえ、聞き覚えのある人の声がした。
あの「みはりー」と呼ばれていた人間の声だ。
あの「みはりー」と呼ばれていた人間の声だ。
KP
「はいはい、あれ? お前だれ?」
佐倉 光

やっぱ無理だよな。こんな小さい組織で相手の声覚えてないなんてことあるわけがない。
言い回しだって決まっているかも知れないからな。
言い回しだって決まっているかも知れないからな。
佐倉 光

「新入りです……あの、分かりませんか」
一応粘ってみる。これで駄目なら諦めよう。俺たち新入りだから嘘はついてないし。
一応粘ってみる。これで駄目なら諦めよう。俺たち新入りだから嘘はついてないし。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
「新入り……?
ああ、もしかして。代理人さん?」
ああ、もしかして。代理人さん?」
KP
「お帰りなさい。ゆっくり休んでよ」
お帰りなさい。
その一言の響きは、帰還を喜ぶやさしさと、微妙な強制力を備えていた。
お帰りなさい。
その一言の響きは、帰還を喜ぶやさしさと、微妙な強制力を備えていた。
KP
目の前の壁がぎしりと振動し、暫くして扉を開ける。
閉ざされた四角い空間の中にぼやけた幻が佇み、振動する視界の中であなたを手招いた。
閉ざされた四角い空間の中にぼやけた幻が佇み、振動する視界の中であなたを手招いた。
牧志 浩太

「まだ出られないのは分かってるけどさ。
自分から檻に入る気分だ……、
いや、それも間違ってないか。複雑」
牧志は呟いて、リフトの中に片脚を差し入れて床を踏み確かめる。
自分から檻に入る気分だ……、
いや、それも間違ってないか。複雑」
牧志は呟いて、リフトの中に片脚を差し入れて床を踏み確かめる。
佐倉 光

「…………」
ここで喋ると聞こえる可能性がある、と思った。
余程牢屋が好きなんだなと嗤う牧志の声は無視して無言で首を振る。
ここで喋ると聞こえる可能性がある、と思った。
余程牢屋が好きなんだなと嗤う牧志の声は無視して無言で首を振る。
佐倉 光

断じて違う。逃げ出すために必要なんだ。
佐倉 光

リフトに乗り込む。
KP
リフトは扉を閉じ、静かに沈み込んでいく。
微かな重力と閉塞感。
微かな重力と閉塞感。
佐倉 光

「…………」
震える手をぐっと握りしめて、ごく軽くだが壁を叩いた。
本当は全力で殴りつけたいところだが、壊れてもらっちゃ困る。
震える手をぐっと握りしめて、ごく軽くだが壁を叩いた。
本当は全力で殴りつけたいところだが、壊れてもらっちゃ困る。
佐倉 光

「…………」
あ、いつの間にか東浪見が乗り込んでる。
あ、いつの間にか東浪見が乗り込んでる。
KP
東浪見の影はこんな時でも、あなたを安心させるように気安く笑う。
リフトが扉を開くとともに、影はさっと消えた。
もう何度も通った廊下は、どこか「見慣れた」ような感覚をもたらす。
暮らす人の気配を宿した廊下に、現状人の姿はない。
リフトが扉を開くとともに、影はさっと消えた。
もう何度も通った廊下は、どこか「見慣れた」ような感覚をもたらす。
暮らす人の気配を宿した廊下に、現状人の姿はない。
佐倉 光

地下二階に降ろして貰えたのかな?
KP
風景を見るに、ここは地下二階と思われる。
素直に降ろして貰えたらしい。
誰かがこちらを捕らえに来る様子もない。
素直に降ろして貰えたらしい。
誰かがこちらを捕らえに来る様子もない。
牧志 浩太

「普通に降ろして貰えた……、っぽいな」
佐倉 光

「よほど俺たちを逃がさないことに自信があるんだな」
現状たしかにそういう自覚があるから仕方ないし、だからこそ急がなきゃいけない。
現状たしかにそういう自覚があるから仕方ないし、だからこそ急がなきゃいけない。
牧志 浩太

「みたいだな。
もしかしたら、いたのかもな。
……逃げても、戻ってきた『代理人』が」
もしかしたら、いたのかもな。
……逃げても、戻ってきた『代理人』が」
佐倉 光

「かもな」
不思議はない。俺たちもそうなりかねない。
外に出てすぐに犯罪でも犯して強制的に牢に入るでもしないと、ここに戻ってきてしまいそうな予感はある。
それでヤク中で捕まったら笑えないけど、ここで朽ちるよりはマシかも知れない。
……一週間も耐えられるんだろうか。
不思議はない。俺たちもそうなりかねない。
外に出てすぐに犯罪でも犯して強制的に牢に入るでもしないと、ここに戻ってきてしまいそうな予感はある。
それでヤク中で捕まったら笑えないけど、ここで朽ちるよりはマシかも知れない。
……一週間も耐えられるんだろうか。
佐倉 光

「こっからはある程度大胆にならないと進めないと思う」
牧志 浩太

「だな、それは同感」
佐倉 光

「こうなったらもう遠慮なく見学させてもらおうぜ」
牧志 浩太

「ああ。
前みたいに、部屋漁ってる所押さえられなければ大丈夫そうだな。
たぶん、だけど」
前みたいに、部屋漁ってる所押さえられなければ大丈夫そうだな。
たぶん、だけど」
コメント By.佐倉 光
その日が訪れれば長きの乾きを癒やされ、
清められた魂は極上の供物として神の元へ捧げられるであろう。
冗談じゃない!
こういう未来が見えるシーンって恐ろしいけど楽しいですよね!?
その日が訪れれば長きの乾きを癒やされ、
清められた魂は極上の供物として神の元へ捧げられるであろう。
冗談じゃない!
こういう未来が見えるシーンって恐ろしいけど楽しいですよね!?
メインルート
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子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」







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