佐倉 光
他は全部木の扉?
KP
他はすべて同じような木の扉。それらの扉に南京錠はない。
佐倉 光
では階段左のドアから〈聞き耳〉を立ててみる。
KP
〈聞き耳〉で判定。
この判定は部屋探索の技能ロールではないため、禁断症状の悪化は発生しない。
佐倉 光
1d100 49〈聞き耳〉マイナス30 Sasa 1d100→ 30→成功
KP
佐倉さんいま4段階目(-40%)ですね。でも成功
KP
室内から誰かの話し声が聞こえた。
牧志……、いや、牧志の声があなたを脅かすようなことを囁いてくるせいで聞き取りづらかったが、そこには確かに何者かがいるようだ。
内容までは聞き取れないが、緊迫した声ではないように聞こえる。
佐倉 光
「誰かいる……と思う」
そっと扉の前を離れよう。
別の部屋に向かう。そのままマップ左側の部屋へ。
牧志 浩太
牧志は耳元であなたをせせら笑いながら、頷いて顔を上げた。
あなたの行動をじっと目で追っている。
KP
同様に〈聞き耳〉を立てるならば、〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
1d100 39〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 31→成功
佐倉 光
根性!
KP
根性だ!
KP
室内から人の声や、気配はしない……、ように思う。
佐倉 光
「入る」
牧志の腕を叩いて扉を開ける。
牧志 浩太
何が見えるのか、牧志は一瞬目を瞑る。
牧志 浩太
「入るんだな」
目を開き、頷いて腕を軽く叩き返した。
佐倉 光
頷き返して扉を開放。危ない物が見えなければ中に素早く入って扉を閉める。

KP
本の匂いがあなたの鼻腔を刺激した。

室内にはずらりと古めかしい書物や、ファイルが並んでいる。
奥の方には書物が、手前の方にはファイルの類が入っているようだ。

一見して危険そうなものは見当たらない。
佐倉 光
「おあつらえ向きの部屋だ。
アレについての情報が手に入るかもな」
思わず呟いてから、慌てて牧志の腕を叩く。
……いるよな? そこに。
佐倉 光
「調べよう」
佐倉 光
とはいえこの全身の痛みとむずがゆさ、集中力を保つのが大変そうだけど。
牧志 浩太
「ああ、調べよう、調べる……、何か分かりたい」
牧志はちゃんとそこにいた。
掻きむしりたい衝動に耐えているのか、絶えず腕を揉んでいる。
KP
詳しく調べるなら、〈図書館〉で判定。
これは調査のあいだ集中力を保つ、視界のぶれに耐える、有用そうな書物を探すなどの内容を含んでいる。
▼現状
4部屋目探索中 牧志:-30% 佐倉さん:-40%
佐倉 光
オフライン修正で-50%だよー。できる気がしないなこれ。
佐倉 光
1d100 35 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 88→失敗
牧志 浩太
1d100 55 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 82→失敗
佐倉 光
むーりー
佐倉 光
目がかすむ。牧志が、偽牧志が五月蠅い。
体が痛い、むず痒い、じっとしていられない、眼球が震えている。
佐倉 光
「無理。読めないし、頭に入ってこない。
悪い、ちょっと休ませてくれ……」
KP
文字がうぞうぞと上下左右に振動する。
本の上を無数の蟲が這っている。
腕の中に蠢く蟲がそこにいるようで、次第に眼球まで痒くなってくる。

身体が痛む。本の挿絵が知った顔に置き換わる。
骨が痛みにひとつひとつ切り刻まれていく。
牧志 浩太
「本、読めなくなっちゃったのか? そっか」
牧志の声があなたをせせら笑った。
牧志 浩太
「俺も……、読もうとすると字が逃げる」
牧志が額に指を当てて呻いた。
ふらつく身体が、あなたに軽くぶつかった。
KP
集中力がもたない。
心が苛立ち、目の前で逃げていく文字が忌々しくて仕方がない。

隣でふらふらしている男に、ふとわけもない怒りを感じた。
自分が大変な時に、何をふらふらしているんだ……、
直後にあなたは、その怒りにまったく理由がないことに気づく。

心がひどく波立っている。敏感になり、不安定になっている。
自分の感情を自分で制御できなくなっていることに、辛うじて自覚がある。
▼禁断症状の悪化
牧志:4段階目 技能値合計-40%
激しい不安、「水」がないと身体がばらばらに崩壊する恐怖に襲われる。

佐倉さん:5段階目 技能値合計-50%
理由のない苛立ちを覚え、集中力がなくなる。ちょっとしたことで傍らの相手に怒りを覚える。
▼プレイヤー向け説明
技能ロールに失敗した部屋は、再度探索する
(探索後に禁断症状悪化、探索部屋数カウント加算)ことによって、再び技能ロールを行える。
佐倉 光
「……まずい……な。まともに、考えられ、ない」
全身を襲う痒みと痛みと、降り注ぐ嘲笑と悪意と、視界をよぎって行く知人と虫と……
ああああ鬱陶しい。
佐倉 光
「帰るべき、かも。
……帰る、という判断ができる、うちに」
佐倉 光
※次の回で牧志も50%切っちゃうしねー。
加害症状なんかが出たりすると目も当てられないからなぁ。
牧志 浩太
「帰る、だって? 下に? 
ここまで来たのに、あれ塞がれたらもう出られなくなるかもしれないのに、
佐倉さん、どうしたんだ、そんな顔して」
牧志 浩太
「ああ、それがいいな。佐倉さんひどい顔してるし。俺も、まともに本も読めないし」
牧志 浩太
「いいな、そうしよう。俺だって喉が渇いてしょうがないんだ。佐倉さん強情すぎるよ」
牧志 浩太
不安そうにあなたの肩を揺さぶる牧志の唇から、反対意見と賛成意見が同時に出てくる。
どれかが幻? 幻だ。どちらが?
佐倉 光
「うるせぇなぁ……! 偽物は黙れよ! 俺は牧志と話してるんだ!」
頭を抱えて呻いた。
佐倉 光
「これに耐えてりゃ解決するのか?
全然そんな気がしない! 時間を無駄にしている気がする!
何かもっといい方法が、あるんじゃないのか!?
字が読めねぇんだよ、頭が働かない、どうすりゃいいんだよ!」

絞り出すように垂れ流す。
辛うじて喚かずに済んだ。
理由もなく泣けてきた。
牧志 浩太
「佐倉さん……、佐倉さん」
牧志は何か言うのをやめ、途切れ途切れの声であなたの名を呼んだ。
彼がそうすることで辛うじて、帰ろうとあなたを唆す声が幻聴だと分かる。

牧志は震える腕であなたの背をさすろうとし、あなたの腕に縋る。
耐え切れずに漏れる彼の小さな呻き声が、偽物の声と混じってあなたの耳に届いた。
KP
薄暗い書庫の奥には、誰もいない。
あなた達は恐らくは誰にも見つからず、首尾よくここまで来た。
だというのに、自分と戦い続けるだけで息も絶え絶えだ。

あなた達の脳に染み込んだあの水が、あなた達を支配している。
佐倉 光
幻聴を越えて、本当の言葉が、呼びかけが聞こえた気がした。
慎重に自分の感情を脇に置く。深呼吸をする。
そうだ。折角ここまで来たのに、戻ってどうする。
佐倉 光
「……分かったよ。もう少しだけ」
涙腺が壊れたかのように涙は止まらなかったが、ファイルに手を伸ばす。
今までの経験から言って、ファイルに大事な情報がまとめられている事が多い。
雑多な情報から本を読んで判断して選び出すより、ファイルを見る方がまだマシなはずだ。

再調査!
どうしよ?
佐倉 光
しかし、どうしたらいいのかは良く分かってない!
限界まで行ったら人事不省になってばれる→逃げたルートがバレて塞がれる
当たり前に考えるとそうなっちゃうからなぁー。
KP
おっと、脅かし過ぎて失礼しました。
PC視点戻るのは怖すぎるから戻りたがらないけど、PL視点当たり前に考えると戻らなかったらそうなるから、
これだとPCPLの意図が乖離してPLも悩んじゃいますね、確かに。

・自分から戻ったときの処理はルールの通り(それきり正気に戻れなくなることはない)
・人事不省になって逃げたのがばれたとしても、それで出られなくなっておしまいにはなりません
と開示します。
佐倉 光
んーじゃあ、今回は限界までがんばって潰れようか……

KP
ファイルを調べるなら、再度〈図書館〉で判定。
▼現状
5部屋目探索中 牧志:-40% 佐倉さん:-50%
佐倉 光
-60%はきっついぞー。
1d100 25 〈図書館〉!!  Sasa 1d100→ 54→失敗
佐倉 光
デスヨネー
牧志 浩太
1d100 45 Sasa 1d100→ 94→失敗

牧志 浩太
牧志が拳を握りながらかたく目をつぶり、何度も浅く息を吸っては吐く。
唇が絶えず悪態を吐いていた。
「くそ、くそ、くそくそくそ」
KP
ぐるりと視界が回転した。
身体がふらついているのかと思えば、回っているのはあなたの視界だ。

酷い眩暈が襲う。吐き気がする。視界が撹拌するように回って、ファイルが手から落ちる。
見上げた天井にはさまざまな恐ろしいものが巣食っていた。
光源は蛇の赤い眼に見えた。暗がりから鋭い針があなたを狙っている。自分の影に化け物が棲んでいる。
▼禁断症状の悪化
牧志:5段階目 技能値合計-50%
理由のない苛立ちを覚え、集中力がなくなる。ちょっとしたことで傍らの相手に怒りを覚える。

佐倉さん:6段階目 技能値-60%
周囲が回転して見えるようになり始め、うまく立っていられなくなる。薄暗がりにさまざまな恐ろしい幻視が見える。
KP
※壁に縋りつくなり這うなりして移動できるため、移動不可にはなりません
佐倉 光
とはいえしかし、佐倉は限界を考えるよなー。
佐倉 光
「みず……みず……」
譫言のように呟いた。
景色がぐるぐる回る。牧志が嘲笑ってくる。波照間さんが支えてくれようとしたのに思わず寄りかかろうとしたら転んでしまった。
本の間から何かが見ている。這い出してくる。蛇だ。Talonだ。
あまりの無力感に笑えてきた。
佐倉 光
「は、ははは、これ潮時だろ。無理だろ。帰って、帰って少し、休もう。
牢にあった、水を……」
下の階に戻る事を提案する。
牧志 浩太
「……」
牧志はじっとあなたの眼を見た。両手で肩を掴んで覗き込む。
その眼は揺らぎ、迷っていた。彼の瞳孔の中の暗がりに蛇の眼の幻が見えた。
牧志 浩太
「……」
牧志 浩太
「……」
彼はもう一度ファイルを見遣り、確かめたのは、その背表紙の文字ひとつだってまともに読めない事だった。
牧志 浩太
「分かった……、そう、だな。
あの部屋のを、少しだけ、なら」

躊躇い、躊躇い、考え、とうとう頷いたとき、あなたは彼が頑なだった理由を知る。
彼はそれに負けてしまうことを、自分の意思とただの欲の区別がつかなくなることを、一番恐れていたらしかった。
牧志 浩太
牧志は提案を承諾する。
佐倉 光
牧志と支え合いながら戻ろう。
うまく歩けないためでもあるし、互いが現実だと信じられるようにでもある。
幻の中に見失ったりしたら目も当てられない。
牧志がよろめくたびに湧き上がる怒りを、自分たちをこんな目に遭わせたヤツへの呪詛をずっとつぶやき続ける事で発散する。
慎重に来た道を戻って穴を塞ぎ、隠し、最初の牢に戻る。
牧志 浩太
牧志はあなたを見失わないよう、唯一確かな触覚に縋って歩いた。
じっと押し黙って理由のない怒りを押し殺す。
苛立ちを喉の奥で噛み潰し、穴を塞ぐのを手伝う。
KP
ようやく最初の牢に戻ったとき、ひときわ強い眩暈が襲い、あなたは堪らず牢の地面にへたり込む。
あなたの体を、疲労と安堵が包み込む。

ああ、喉が渇いた。これでようやく、「水」が飲める。
この不快な幻も眩暈も苛立ちも、牧志のふりをした偽物の囁きだって、全部すっきり治る。
佐倉 光
牢に据え付けられた飲み水をがぶ飲みする。
少なからず喉が渇いた。もしかしたらこれで誤魔化せるかも知れない。
そうでなければここにアレがはいっているかもしれない。

そうであって欲しいのか、そうでなければいいと思っているのか、
もう自分でも良く分からなくなっていた。
KP
水はなんの味もしなかった。
喉を次々と液体が滑り落ちていくのに、飲めば飲む程喉が渇く気すらした。
佐倉 光
「うぅ、あああ、これじゃない、これじゃない、これじゃない!」
癇癪を起こして喚いた。
床に丸まっている布を噛んで頭を掻きむしる。
今すぐに何とかしないと、頭が縫い目から割れてしまいそうだ!
KP
そうしていると何者かの足音がした。
KP
「いい子だ。おいで」
何者かは檻越しに手を伸ばして囁いた。
その声と仕草に、あなたの脳は反応した。

「水」だ。
「水」が貰える。

ぐるぐる揺らめく視界の中、あなたの心を置き去りに、あなたの心臓が期待に跳ねた。
牧志 浩太
「あ、あああ、みず、みず、水」
牧志の恐怖と期待に満ちた声が聞こえた。
佐倉 光
みず。
飼い慣らされた脳が喜びに跳ねる。
ほら、牧志たちも喜んでいる。
鉄格子の方へ這い寄って、手を伸ばした。
佐倉 光
「くれよ! もう嫌だ、みずを、くれぇ!」
情けない声で喚いている、獣のような自分を見下ろして、
それは演技か? とせせら笑う俺がいる。
KP
「いい子だ」
もう一度囁いて、その手はあなたの頭をやさしく撫でた。
指先に捧げ持った器から、あの甘い匂いが溢れた。
牧志 浩太
偽物の牧志の声はあなたを……、せせら笑うことはなかった。
みず、みず、水だ! 水!
水を、早く飲みたい、そう叫ぶばかりだ。
佐倉 光
その香りを嗅いだ途端、全てが溶けた。
恥も外聞もなく乞い願う。
屈辱だ? 原料への疑念だ? 未来への不安だ? そんなものが役に立つか。
ああ、ああ、やっと得られる。
あかるいせかいに行ける。
KP
手はあなたの顎を支え、唇に器を宛がった。
するりと、まるで自分から入り込んでくるように、「水」があなたの体内に注がれる。

口の中に甘露が満ちた。

幻ではなかった。
その手も、「水」も、今度こそ幻ではなかった!
佐倉 光
顎を支えられると自ら求めるように口を開けた。
唇に触れる容器のひやりとした感覚が期待を高める。
はやく、はやく、はやく!
ヒナドリのようにひたむきに喉を開け、受け入れる。
一滴たりとも零すまいと貪り、喉に流し込み、舐め取る。
受け入れた水はあっという間に体に満ちて、目からあふれ出た。
KP
まず視界の回転が止まった。
脳を絞り上げる恐怖が、不安が、ぴたりと消えた。
恐ろしい幻はどこにもいなかった、安心と喜びが脳を溶かしていく。
視界の隅から風景がやさしく燃え上がる。
ささくれ立った心が鎮められていく。

ひび割れ崩壊しかけた身体に「水」が染み通る。
渇きが隅々まで癒されていく。

瞼の裏に蠢く幻が消えた、せせら笑う声が消えた、
あなたは正気に戻っていく。
ちゃんとしたあなたに戻っていく。

皮膚の中に蟲などいなかった。
指先の震えがぴたりと止まり、全能感と安心感がひたひたと満ちる。
KP
これでよかった。これでよかった!
あなたの判断は間違っていなかった。
これで休める。生きられる。
ゆったりと弛緩した身体が、隅から温かく燃えていく。
浮遊感があなたを包み込んでいく。
佐倉 光
背を丸め、深いため息をついた。
枯れてしまった体中のひびの隅々まで水が染み渡る。
体の中から組み替えられて行く。
ああ。これが正しいせかいだ。
壊れていない、歪んでいない、変な物が見えたり聞こえたりもしない、完全なる安寧……
暗く冷たい牢を抜け出してどこまでも浮き上がり、真珠色の雲と虹色の空に包まれる。

ここにいれば何の心配もない。やっと目が覚めた。
これで、まともにかんがえられる……
KP
ちかちかと揺らめく虹色の空があなたを包んだ。
重く痛む肉体を捨てて、どこまでも浮かんでいく。

あなたは剥き出しの魂で、喜びを受け取る。
遠くに何か大きな、大きなものが佇んでいて、あなたの疲れと奮闘を労ってくれる。

ああ、ここにいれば何の心配もない。
あなたはあらゆる重荷から自由だ。

渦巻く極彩色の雲の中心から溢れ出す水が、甘い匂いであなたの魂を包んだ。
とぷ、とぷ、とぷ。
佐倉 光
やばーい。なんか『洗礼』というか『浄化』というか、そんなのされてるっぽーい。
KP
ウフフ
佐倉 光
思考だの自由だの、そんなものは雲の下に覆い隠された。
もう何も分からないし、分かる必要はない。
降り注ぎ、包み込み、染み込む、幸福を喜びを享受するだけだ。
KP
あなたは歓びに満たされて、輝く水の中をたゆたう。
あの大きなものに向かって緩く流れていく、穏やかな水流を楽しむ。
KP
ふと、誰かがあなたを見た気がした。
KP
誰かが、あなたの手を掴む。
ふわふわと浮かぶあなたを、下へと引きずり下ろそうとする。
佐倉 光
何をするんだ。放っておいてくれ。
浮かび上がろうとじたばた藻掻くほどに落ちてゆく。
佐倉 光
嫌だ、あそこに戻るのは嫌だ!
KP
誰かは有無を言わせない力であなたを引きずる。
光輝く美しい雲の世界が、どんどん遠ざかっていく。
佐倉 光
抗おうと藻掻くほどに雲は遠ざかる。
落ちる……堕ちる……
絶望の悲鳴を上げた。
牧志 浩太
あなたを引きずって落ちてゆく誰かの、見たことのあるような明るい色の眼が、墜ちる間際の視界に映った。
KP
戻る間際に、〈聞き耳〉で判定。マイナス補正なし。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 4→決定的成功クリティカル)!
牧志 浩太
1d100 98〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 1→決定的成功クリティカル)!
KP
おお!?
では、あなた達は二人とも、忘我の最中に耳が捉えていたものを、はっきりと思い出すことができる。
佐倉 光
やったー情報だ!
KP
それは、あなた達に「水」を飲ませた何者かの独り言だ。
KP
「あれ、鍵が……、ああ、逃げていたのか。
やっぱりちゃんと戻ってきたな。いい子だ」
KP
「美味しいだろう? 神が下さった水の味は。
神が下さったものなんだから、離れられる筈がないんだよ」

何者かはあなた達の頭をやさしく撫でながら、うっとりとした響きで、染み込ませるように囁く。
それから、面倒そうに服のポケットを探る音。
「鍵……、どうしようかな。同じのでいいか。
どうせ戻ってくるんだし」
去っていく足音。
KP
あなたは目を開くと同時に、それを思い出す。

あなたはあの牢の中、布を重ねて作った寝床の上に横たわっていた。
視界のぶれも幻も、あの苛立ちも収まっている。
どれだけ眠っていたのか、疲労もそこそこ抜けていた。

▼2日目
すべての技能値マイナス補正、禁断症状の悪化が0段階目(補正なし、症状なし)に戻る。
佐倉 光
「かみ……」
呟いて、その声で目を覚ました。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
牧志は!?
がばっと身を起こして見回す。
KP
身を起こすと、ひりひりと喉が痛んだ。

身体が痛む。
疲れは抜けても、あの光に満ちた世界の軽さには、とても敵わない。
牧志 浩太
「う……、」
すぐ横に牧志が横たわっていた。
何度か呻きながら、小さく咳き込んで身を起こす。
牧志 浩太
「佐倉さん、気がついたのか」
佐倉 光
「……くそ!」
佐倉 光
牧志を視界に入れたらすぐに牢の扉をチェックする。
KP
牢の扉には、小さな南京錠がかかっている。
最初に見つけたものと、全く同じものだ。
最初と同じようにすれば、また破壊できるだろう。
佐倉 光
「……逆戻りか。けど、随分落ち着いた。
そっちはどうだ?」
牧志に声をかける。
牧志 浩太
「俺も、だいぶ落ち着いた。
佐倉さんが俺に文句を言ってくることもなくなったし、先輩や東浪見の顔も見えなくなった。
……やっぱり幻だったんだな、あれ」
KP
牢の扉の前には、檻から差し入れたのだろう、新しいパックの総菜と飲み水の瓶がある。
佐倉 光
そういえば戻ってきた時に食べときゃ良かったな、惣菜。
佐倉 光
「腹減った」
牧志 浩太
「ああ、確かに。結局、昨日食べてないもんな。
……貰っとくか。何が入ってるか分からないって点じゃ、今更だし」
佐倉 光
廊下を見回す。人の気配はある?
KP
廊下に人の気配はない。
一度脱走されたというのに、見回りを強化する気はないらしい。
佐倉 光
「舐められてんな。必ずここに戻ってくると思われている」
牧志 浩太
「ああ、それで合ってそうだ。
佐倉さん、さっきあいつが言ってたの聞いたか?
どうせ戻ってくるんだし、だってさ」
佐倉 光
「まあ事実ではあるし、その方が都合がいいかな。
移動に使った通路だけバレないように気をつけて、あまりにもしんどくなったらここに戻ることにするか」
牧志 浩太
「まあ、悔しいけど確かに都合はいいな。
舐められてなきゃ、バレた時点でお終いだったし。
そうしよう、あの調子で粘っても……、何も出来そうにない」
KP
戻ると決めると、少し気が楽になった。
いつ「水」を飲みに戻ってもいいのだ。
牧志 浩太
「くそ、そう言ったら欲しくなってきた。
違う、違うからな、しんどくなるまでは耐えるんだ」
牧志が胸に手を当てた。胃袋の辺りをぎりぎりと握る。
佐倉 光
「なんならそっちの部屋でもいいけど、うっかり摂取しすぎると……まずいことになる気がする」
意識を向けた途端に欲しいと暴れ出す欲に恐れを感じながら、水に背を向けた。
佐倉 光
「腹ごしらえしたら、昨日の穴見に行こう」
牧志 浩太
「ああ、そうしよう」

佐倉 光
では、食事を摂ったらまた鍵を破壊して掃除用具入れを見に行こう。
KP
鍵を破壊する判定は省略してよい。
KP
同じ形の鍵は何となく弱い所に当たりがつき、最初より少し容易く壊すことができる。
あの掃除用具入れになっている部屋は、相変わらず施錠がされていなかった。
佐倉 光
掃除用具をどけて穴を確認。
バレた様子はないかな。
KP
少なくとも、穴が塞がれた様子はなかった。
牧志 浩太
「塞がれてはないみたいだな。バレてないかどうかは……、分からないけど」
佐倉 光
「バレてないということにして進むしかないな」
牧志 浩太
「そんな場合じゃないけど、佐倉さんと普通に話ができるの、何だか安心するな……」
佐倉 光
「俺もだよ。普通に会話できるっていいな」
佐倉 光
「よし、行こう、頭がはっきりしているうちに」
牧志 浩太
「だな」
佐倉 光
穴の向こうの様子をうかがって、人が通っていないときを狙って階段を上がる。
KP
階段に人の姿はない。
階段に出て様子を窺うと、簡素な衣装を着た二人組の人間が、それぞれ本を手に通路を歩いていくのが、今度ははっきりと見えた。

彼らは、前回人の気配を感じたのと同じ部屋に入っていく。


佐倉 光
マップがきめ細かい!
佐倉 光
前回調べ損なった書庫の前で中の様子をうかがって、誰もいなさそうならまた入ろう。
少なくとも二人。
さすがに「餌やり」に来たヤツかどうかは分からないかな。
KP
同一人物かどうかは、さすがに分からない。
「餌やり」に来た人影を見た時は、だいたいあなた達は冷静な状態ではないからだ。
KP
中の様子に詳しく耳をそばだてるなら、〈聞き耳〉で判定。
この判定によって禁断症状悪化は発生しない。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 42→成功
佐倉 光
扉の下部に顔を寄せ、気配と音を探る。
KP
暫く気配を探っていると、恐らく中に人の気配はなさそうだと推測できる。
佐倉 光
OK、中に入ろう。入ったら扉を閉める。
佐倉 光
「中、こんなだったか……昨日とは随分違うように感じる」
KP
室内にずらりと並んだ書物の様子は、前回来た時とそう変わらないはずだ。
奥の方には書物が、手前の方にはファイルの類が入っているのも変わらない。
だというのに、随分と違って感じる。
牧志 浩太
「前回来た時、よっぽど俺達めちゃくちゃになってたんだなって実感するな。
こんなに静かな場所だったかって思う」
佐倉 光
「こんどは落ち着いて読めそうだな?」
牧志 浩太
「ああ。今度はちゃんと読めそうだ」
佐倉 光
「さあ、時間がない、始めよう」
調査します!
KP
〈図書館〉で判定。
佐倉 光
1d100 75 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 61→成功
牧志 浩太
1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 63→成功
KP
頭の裏でじりじりと渇きが脳を焼く。
時間が経つ程に焦りに似た切迫感が強くなる。
せっかく冷静に戻ったはずの意識が、また歪んでいく。
あなたはそれに恐怖を覚え、早く「水」を摂取して元に戻らなくてはならないと感じる。
佐倉 光
……水は要らない。
今はまだ要らない。
暗示のように頭の中で繰り返す。
KP
指先の震えが始まる前に、
あなた達は気になる内容をファイルから抜き出すことができる。
一つは、ここの見取り図とおぼしきもの。
もう一つは、「誓約」と呼ばれる何かに関わる記述だ。
佐倉 光
見取り図はしっかり頭にたたき込む。
誓約? 何だろう。
▼見取り図
部屋の詳細は書かれていない。
四階層の見取り図があり、それぞれに四つずつ部屋があるように描かれている。

部屋の大きさなどが一部異なるものの、ぐるりと一周した廊下や、うち一つを除いて必ず中央に部屋が二つある所など、大体は同じような配置になっているように見える。

階段の反対側にあるマークは何だろうか? その位置に扉はなかったように思う。
また、途中で階段が途切れているのも気になる。

右下の見取り図にある扉は…… これは、外への出口だろうか?
KP
ここまで見て、あなた達はあの「B4」という文字を思い出す。
あれはもしかして、「ここは地下四階だ」という意味だったのだろうか。


佐倉 光
「これ、もしかしてエレベーターか?」
そんな雰囲気あっただろうか。
牧志 浩太
「そう見えるよな。
階段が途中で途切れてるとすれば、ここの間はエレベーターで移動するのかもしれない。
そんな扉見当たらなかったけど、もしかして隠されてるのか?」
KP
見た感じ、扉があったような覚えはない。
佐倉 光
「B4、か。右下のに出口があるところを見ると、ここは1Fだろ……
すると、これは地下三階までの地図ってことになる」
牧志 浩太
「いや、このマークが階段だとすれば、右下は地下一階かもしれない。
出口らしいもの、階段のマークと扉が重なってるんだ」
佐倉 光
「なるほど? 完全に地下施設かもしれないか……
窓もないんじゃ分かんねぇけどな」
牧志 浩太
「なんだよな。でも、少なくとも出口はありそうだ。
エレベーターを使えれば、もっと移動も自由になる。
閉じ込められたりしたら怖いけどな」
佐倉 光
「エレベーター閉じ込めって、嫌なこと思い出すよ」
何度かされてんだよ。
牧志 浩太
「俺も」
佐倉と波照間は悪魔使いの仕事で、また佐倉はそれとは別にとある事件で、エレベーターで酷い目に遭っている。
エレベーターで酷い目に(ネタバレ)

佐倉 光
「しかしこのフロアの下側だけ雰囲気が違うな。何だろう、この部屋」
牧志 浩太
「そうなんだよな。ここだけ大きいってことは、何か重要な部屋か?」
佐倉 光
「気にはなるけど、脱出が先決かな」
『誓約』の方も見てみよう。
KP
▼誓約について
ファイルの内容を掻い摘めば、このようなことが分かる。

それは、神へ平伏し、神より恩寵を賜るための一連の儀式だ。
神は素質のある人間へ夢を授け、招き寄せる。
神の前で誓約を行い代償を捧げることによって、神は様々な恩恵を下し、無知なる人間に大いなる智を開く。

しかし、神の恩恵と代償は我々には重い。
そこで、別の人間を代理人とし、「代わりに誓っていただく」ことによって、彼らの身を通して我々は恩恵を受け取る。

代理人たる彼らに感謝を。
KP
……あなた達は何者かのために、「誓約」とやらの代償を代わりに背負わされようとしているのだ。
その身勝手な結びの記述に、怒りと怖気を覚えるかもしれない。

何よりも、恩恵を求めておきながら、代償を免れようとするその態度に。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2》。
牧志 浩太
1d100 53 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 68→失敗
1d2 Sasa 1d2→1
SAN 53 → 52
佐倉 光
1d100 58 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 85→失敗
1d2 Sasa 1d2→2
SAN 58 → 56
佐倉 光
「こいつら、代償払わずに美味い汁だけ吸おうってのか。
悪魔に食われちまえ」
吐き捨てた。
勝手な奴ら
佐倉 光
たのしい!!
KP
やったー! >たのしい
佐倉 光
そしてムシのいい奴らに水じゃなくて煮え湯呑ませてやろうぜー牧志ー
KP
ぜひ飲ませてやろうぜー。今回の連中の動機は佐倉さんにとってあんまりにも許しがたいものだと思います。
佐倉 光
そんな奴らは自滅するだろうけど、自分たちを巻き込んだのは許しがたいので自滅する奴らの足を引っかけて背を押したいね!
いつか牧志が似たようなめにあわされていたしなぁ。
あの時は佐倉が荷担させられてたんだった……
KP
あわされてましたねぇ。あの時に至っては佐倉さん加担されてたし。
悪魔に接触しておきながら代償を免れようとするやつらが多すぎる。
佐倉 光
佐倉が契約を守るのは自分の身を守るためだから、人が破って自爆しようとどうでもいいけど、それに自分たちを巻き込むのはほんと許さん。
KP
全くだ。ぜひとも自滅に突き落としてやらねば。

牧志 浩太
「またかよ」
牧志は怒りを込めた、重い溜息をついた。
牧志 浩太
「人を生贄にしといて、代理人だとか何だとか逃げ口調……、殴りたい」
KP
ぎりぎりと拳を握る牧志の指が、唇がまた震え始めていた。
▼禁断症状の悪化
1段階目:技能値 合計-10%
指先が震え、細かい作業に困難を覚える。つま先が震え、脚に力を込めにくくなる。
視線が震え、物が見づらくなる。
佐倉 光
「行こう」
指先を見つめ、その震えを押さえつけるように握りしめる。
部屋を出る前に〈聞き耳〉を立て、物音がなければ外へ。
牧志 浩太
「ああ」
まだ、そうやって応えられる。
佐倉 光
隣の部屋に移動する。
構造は分かったが、結局どこに何があるかは行ってみないとわからないのが歯がゆいな。
KP
今の所、外に物音の気配はない。
隣の部屋に鍵はかけられていないようだ。
KP
▼訂正
あ、しまった。
すみません、マップにひとつ間違いがありました。

この階層の金属の扉にかかっている錠前は南京錠ではありません。
ここ南京錠だと大変なことになるわ。

南京錠ではなく、鍵穴があります。失礼しました。
佐倉 光
牢と同じ方法では突破できないんだろうなと理解してました。
KP
失礼しました。
逆にいうと鍵穴なので、〈鍵開け〉とかは可能です。
佐倉 光
電子錠と解錠ツールがないと手が出ませんわぁ。

コメント By.佐倉 光
ついに限界が訪れる。
必ずしも足掻き続けるのが正解ではないと信じて、自ら堕ちる。
再び目が覚めることを信じて……

プレイ日:2025年4月12日 ~ 2025年12月15日

作者名: 闇司祭ファラリス

配布・販売サイト: 光を溶かす水(オリジナルシナリオ)

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