こんばんは
シロ
ぽす
KP
おはようございますー
高瀬川の和樹
こんばーんはー
シロ
おはよぉー
語り手
こっちか
高瀬川の和樹
ここは深海ではない
語り手
なんでKPに色ついてるんだろね
風馬
しんかい!
語り手
よし
今日もがんばろう
今日もがんばろう
語り手
一夜明けて
風馬
「こけこっこー!」
語り手
みんなは、EXPASA談合坂の駐車場で目が覚めました
高瀬川の和樹
「ぶぇ」変な声を上げながら身を起こす。
「あー、そうか、もう朝か……。早ぇもんだなぁ」
うーん、と大きく伸びをする。
「あー、そうか、もう朝か……。早ぇもんだなぁ」
うーん、と大きく伸びをする。
シロ
むー……
なんか毛並みがいまいちだ。
なんか毛並みがいまいちだ。
ゆり
「……おはよ」
高瀬川の和樹
「おう、おはよ」
ゆり
どことなく、目を合わせないまま、ゆりが起きてきて
何を言うでもなく、トースターに食パンを突っ込みます
何を言うでもなく、トースターに食パンを突っ込みます
風馬
「今日はいい天気だ」
シロ
「うーん……」
高瀬川の和樹
「だなぁ。走り日和よ」
シロ
「ネムイ」
ゆり
「……」
高瀬川の和樹
「辛気臭ぇなぁ」
シロ
「おやまにかえるだけだもんな」
風馬
「和樹、とうかっきまでどれくらいかかるんだ?」
語り手
車だと、順調に行けば2時間半といったところですね
高瀬川の和樹
「えーっと……、順調に走りゃあ、昼前にゃ着くな。
ただ地震だからなあ。道が通られんかもしれん」車内にラジオがあれば、交通情報に合わせる。
ただ地震だからなあ。道が通られんかもしれん」車内にラジオがあれば、交通情報に合わせる。
風馬
「そうか、もうすこしだな」
シロ
「ソッカー」
語り手
和樹がラジオに振れると、声が漏れ聞こえ始めます
どうやら、山の中を走る下道の一部では、通行規制のかけられている場所もあるようですが、高速道路についてはほぼ、通常通りになっているようです
どうやら、山の中を走る下道の一部では、通行規制のかけられている場所もあるようですが、高速道路についてはほぼ、通常通りになっているようです
高瀬川の和樹
「普通に走れそうだな。2時間と少し、って所だろ」
シロ
みちのけの力を使って一気に移動……はまだむり。
風馬
あ、そういえばシーンは続き?
高瀬川の和樹
あ、そういえば。まだ導入かしら
シロ
そういえばまだ導入なのかな。
語り手
そうですねぇ
少し長めのシーンになるかもしれませんが、シーンを始めてしまいましょう
時間帯は朝です
またのっけからコスト重い
少し長めのシーンになるかもしれませんが、シーンを始めてしまいましょう
時間帯は朝です
またのっけからコスト重い
高瀬川の和樹
ふしぎ4・おもい4消費して完全変身します。オモォイ。
[ 高瀬川の和樹 ] ふしぎ : 0 → 5
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 0 → 5
[ 高瀬川の和樹 ] ふしぎ : 5 → 1
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 5 → 1
[ 高瀬川の和樹 ] ふしぎ : 0 → 5
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 0 → 5
[ 高瀬川の和樹 ] ふしぎ : 5 → 1
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 5 → 1
風馬
同じく完全変身!
シロ
あ、そうか。しーちゃんはいないのだ。
[ シロ ] ふしぎ : 0 → 5
[ シロ ] おもい : 0 → 5
3ずつ消費で変身
[ シロ ] ふしぎ : 5 → 2
[ シロ ] おもい : 5 → 2
[ シロ ] ふしぎ : 0 → 5
[ シロ ] おもい : 0 → 5
3ずつ消費で変身
[ シロ ] ふしぎ : 5 → 2
[ シロ ] おもい : 5 → 2
シロ
どろん
語り手
特にみんなのしたいことなどが無ければ
ゆり
ゆりは特に何を言うでもなく、朝食の跡片付けをして、助手席にさっさと収まってしまいます
高瀬川の和樹
何となく居心地の悪いものを感じながら、ともかく運転席に座る。
「……この運転席も、あともう少しか」
「……この運転席も、あともう少しか」
シロ
後ろで椅子に座って左右にコロコロしてる。
ゆり
「……」
助手席の窓際に頬杖を突きながら、ゆりは何も言いません
助手席の窓際に頬杖を突きながら、ゆりは何も言いません
風馬
「シロおちるなよ」向かいに座る
シロ
「ウン」
語り手
特に何もなく、出発してしまってよろしいですか?
風馬
ここでは特にないかなあ
シロ
ないかなー
高瀬川の和樹
こちらも特になし。
シロ
今のところ、神として括られて藤葛木を守るか、滅ぶに任せて新天地へ旅立つか、といったところだねぇ。
これは軽井沢で鬼姫が同じ事やってたんだよねー。
これは軽井沢で鬼姫が同じ事やってたんだよねー。
高瀬川の和樹
ですねぇ。
語り手
では、なんとなく、重苦しい空気を載せて、ちびぎつねさまもいなくなったキャンピングカーは滑り出します
高瀬川の和樹
いつものように、アクセルを踏む。
セットしたままのラジオから、場違いに軽快な音楽が流れ出した。
セットしたままのラジオから、場違いに軽快な音楽が流れ出した。
シロ
むつかしいカオしていたけど、そのうちおやつ食べたり居眠りしたりし始める。
語り手
中央道を少し走り、相模湖のあたりから少しだけの渋滞を抜けて、
圏央道へ
奇しくも、旅を始めた場所へとぐるりと回るかたちで
これまで、行き先をコンパスに倣って、みんなでわいわいとしながら続けてきた旅は
驚くほどあっさりと、順調すぎるほどに
圏央道へ
奇しくも、旅を始めた場所へとぐるりと回るかたちで
これまで、行き先をコンパスに倣って、みんなでわいわいとしながら続けてきた旅は
驚くほどあっさりと、順調すぎるほどに
シロ
「ずっとずーっととおいとおもってたのに、けっこうちかいんだな」
高瀬川の和樹
「だなぁ……。普通に走りゃ、こんなに近かったんだ」
語り手
『飯能』という藤葛木の隣の町の名前のついた出口を、キャンピングカーは降りてゆきます
シロ
「めし!!」
字もおぼえたもん。
字もおぼえたもん。
高瀬川の和樹
居心地の悪い沈黙の中、軽く出口へと車を向ける。
この大きな車の運転にも、すっかり慣れちまったもんだ。
この大きな車の運転にも、すっかり慣れちまったもんだ。
語り手
下道を走り、やがて見えてくるのは、削り取られたような形の武甲山
そこも抜けてまた少し走ると
とうとう、道沿いに『藤葛木町』という、白い看板
そこも抜けてまた少し走ると
とうとう、道沿いに『藤葛木町』という、白い看板
風馬
「とうかっきだ!」
語り手
そこには、藤の花を下から見上げる狐のイラストが描かれていました
風馬
「きつね……?」
シロ
「かいてたんだぁ」
車窓に流れる街を見渡す。
車窓に流れる街を見渡す。
高瀬川の和樹
「……ああ……、」その文字を見て、息を漏らす。
「お方様の町だったんだ、藤葛木は」
「お方様の町だったんだ、藤葛木は」
シロ
「とーかっき、お方様のまちなんだ」
ゆり
「……昔は稲荷の木、って書いたのよ。
稲荷木でとうかっき」
稲荷木でとうかっき」
風馬
「いなり?」
ゆり
「どっかのお人好しのことも、時間がたてば薄まってくのかしらね」
シロ
「やだな」
シロ
ただただ、お方様と別れるのが嫌な毛玉。
高瀬川の和樹
「さぁな……、かもしれん。人はもののけを、忘れていく」
風馬
「きつねは、どこにいくんだ」
ゆり
「……」
語り手
それなりに長く人ともののけの間で過ごした和樹は、忘れられたり、力を失ったもののけは
原型となり果てるか、それすらも忘れられて消えて行くか
そうしたことも知っているかもしれません
もしかしたら、この旅の間にも、そうしたところを見てきたかもしれません
原型となり果てるか、それすらも忘れられて消えて行くか
そうしたことも知っているかもしれません
もしかしたら、この旅の間にも、そうしたところを見てきたかもしれません
高瀬川の和樹
知ってはいたそんなことを、口にする気は起きなかった。
昔に比べると、随分、随分もののけは減ったのだと、寝物語に親父が言っていた。
俺があの川にいたころだってそうだったのだから、今や。
昔に比べると、随分、随分もののけは減ったのだと、寝物語に親父が言っていた。
俺があの川にいたころだってそうだったのだから、今や。
語り手
そんなことを思い出しながら、ステアリングを握る和樹の前、道路の先で、片側交互通行の信号につかまりました
青い制服を着て、赤い棒を振るおじさんが、その棒を横向きにして停車を促しながら、近付いてきます
青い制服を着て、赤い棒を振るおじさんが、その棒を横向きにして停車を促しながら、近付いてきます
高瀬川の和樹
「おっと」
おじさんは顔見知り?
おじさんは顔見知り?
語り手
顔見知りではないですが、どうやらその先で何らかの工事をしているらしく、その誘導のための人のようです
運転席の側に近づくと、ヘルメットのひさしに手を当てて、軽く頭を下げます
運転席の側に近づくと、ヘルメットのひさしに手を当てて、軽く頭を下げます
高瀬川の和樹
「工事中かい?」ひょい、と身を乗り出して情報収集。
語り手
「ああ、どうもすみませんね。
ちょっと、この先で護岸工事やってまして」
ちょっと、この先で護岸工事やってまして」
高瀬川の和樹
「地震があったって聞いたけど、どっか崩れたのかい」
語り手
「ああ、ええ。そうなんですよ。ちょっと、マンション建てたりね、そういう工事もやってたんですけど、一部ここ最近の地震でもろくなってるとこもありまして」
言いながら、おじさんは運転席の和樹から視線を外すと、その後ろ、キャンピングカーの大きな体を見やります
「これ、結構でかい車ですよねぇ」
言いながら、おじさんは運転席の和樹から視線を外すと、その後ろ、キャンピングカーの大きな体を見やります
「これ、結構でかい車ですよねぇ」
高瀬川の和樹
「通れそうにねぇなら、どっか停めてきて徒歩か、レンタカーでも乗り換えてくるけど」
語り手
「いや、そこまでしていただかんでも……。あ、でもそのまま通るとアレなんで。誘導しますから、町の中心の方へ迂回してもらえます?」
高瀬川の和樹
「おう、分かった」
語り手
和樹の答えに、おじさんはもう一度ヘルメット頭を下げると、別の道の方へと誘導してくれます
それは、ナマズのお爺さんなども住んでいる、川にかかった古い橋でした
それは、ナマズのお爺さんなども住んでいる、川にかかった古い橋でした
風馬
「ひさしぶりだな」
高瀬川の和樹
「ああ……、懐かしいなぁ。もう何年も、空けたようだ」
目を細め、川の様子を見遣る。崩れてしまってはいないだろうか。
目を細め、川の様子を見遣る。崩れてしまってはいないだろうか。
シロ
「じいちゃん、いるかな?」
語り手
幸いなことに、川の中が崩れたりといったことはなさそうです
橋を渡り切り、町の入口の辺りにさしかかると
道に少しはみ出すほど、ブルーシートが張られた家が一軒、ありました
橋を渡り切り、町の入口の辺りにさしかかると
道に少しはみ出すほど、ブルーシートが張られた家が一軒、ありました
シロ
「なんだあれ?
おうちにおふとんかけてるぞ」
おうちにおふとんかけてるぞ」
風馬
「……こわれたんだ」
語り手
見れば、それはおばあさんが一人で切り盛りしていた小さな商店であり、その姿はブルーシート越しでもわかるほど、屋根や柱が斜めに、つぶれてしまっているように見えます
高瀬川の和樹
「ああ……、婆さんとこの店だ。崩れちまったんだ。
婆さん、無事だといいが」
婆さん、無事だといいが」
語り手
旅に出る前、みんなで手分けをして立て直したポストが、今もまた倒れて隅に転がっておりました
シロ
「せっかくたてたのに」
風馬
「……またたてないと」
語り手
みんなが、寂しい思いでその前をゆっくりと通りすぎようとした時、その傾いた家の屋根の上に、一匹の猫がおりました
あれは、たしか出発の前の日、みんなを助けるために、助けを求める人たちの場所を教えてくれた猫だったはずです
あれは、たしか出発の前の日、みんなを助けるために、助けを求める人たちの場所を教えてくれた猫だったはずです
高瀬川の和樹
「よぅ」軽く猫に手を振る。
シロ
「あ、ねこ!!」
風馬
「ただいま!」
語り手
猫は、最初はただ香箱座りをしていただけでしたが
みんなが手を振り声を掛けると、久方ぶりの顔を見つけてか、少し急ぐようにして、屋根を降りて車の近くへと歩み寄って来ました
みんなが手を振り声を掛けると、久方ぶりの顔を見つけてか、少し急ぐようにして、屋根を降りて車の近くへと歩み寄って来ました
シロ
「ねこー! ただいま!!」
語り手
「お前らか。戻ったのか」
語り手
猫は、周りに人がいないことを確かめてから、そう口を開きました
高瀬川の和樹
お、と一度車を止める。
「おう。悪いな、大変な時に留守にしたらしい」
「おう。悪いな、大変な時に留守にしたらしい」
風馬
「戻ったぞ」
シロ
「みんなげんきか?」
語り手
その声に、猫は何かを考えるように顎を反らしてから、軽く顔を撫で
「ここは、どうにも、もういかんらしい」
「ここは、どうにも、もういかんらしい」
シロ
「いかんって?」
語り手
「少し前までは、たまに地面が揺れる程度だったんだが。
ここ最近は毎日のようにぐらぐらとしやがる」
ここ最近は毎日のようにぐらぐらとしやがる」
高瀬川の和樹
「……そうか……
そうなんだな」
そうなんだな」
風馬
「もう、大丈夫だぞ」
語り手
言って、顔を上げると
張られたブルーシートにいかにも慌てたように、何枚ものガムテープで乱暴に張られた紙がありました
張られたブルーシートにいかにも慌てたように、何枚ものガムテープで乱暴に張られた紙がありました
高瀬川の和樹
その紙を見る。
語り手
『竹中商店。竹中チヨ。無事です。藤葛木公民館に避難しております。電話番号~~~』
高瀬川の和樹
「ああ……、そうか。婆さんは無事か」
ほう、と息を吐く。
ほう、と息を吐く。
風馬
「そうか、ばあちゃん大丈夫なんだな」
シロ
「そうなのか? よかった」
語り手
「ばあさんも、店がとうとう住めんくなってな。最後まですがっとったが、皆に言われて避難しとる」
高瀬川の和樹
「そうか。怪我はせなんだか?」
語り手
「ああ、ちょっと足を捻った程度だそうだが。
けれど、死んだじいさんと一緒にやってきた店がこんなになっちまって、気持ちがな……」
けれど、死んだじいさんと一緒にやってきた店がこんなになっちまって、気持ちがな……」
シロ
「……こわれちゃったんだ……」
風馬
「なおさないと……」
語り手
「ばあさんの店だけじゃない。見てみな」
高瀬川の和樹
言われて、周囲を見回す。
語り手
言って、顎で示す、少し離れた町の方には、いくつも、同じようにブルーシートが張られた家が見えます
古い家も、新しい家も
古い家も、新しい家も
風馬
「あっちもこっちも壊れてる」
語り手
「古くからいるモンも、移住だなんだ、って新しく町にやってきたモンも。
公民館とか体育館とかいう、寄り合いだのしてたとこに逃げ込んでるよ」
公民館とか体育館とかいう、寄り合いだのしてたとこに逃げ込んでるよ」
高瀬川の和樹
「そうか……
移住して直ぐに地震とは、災難だったな。
……守ろうにも、もう戻らんかもしれんなあ」ぽつりと、小さく呟いた。
移住して直ぐに地震とは、災難だったな。
……守ろうにも、もう戻らんかもしれんなあ」ぽつりと、小さく呟いた。
語り手
「ああ」
シロ
「そんなことないもん。
いっかいつくったならまたつくれるもん」
いっかいつくったならまたつくれるもん」
語り手
「どうだろうなぁ。
ほれ」
下った町の向こう、こんもりと緑の丸く盛られた小山がありました
おきつねさまの社と要石のあった、里山です
今、その里山の周りにはぐるりと白い壁のようなものが取り囲んでおり
コンクリートと呼ばれる、人が使う固い粘土のようなものが、張られている様が見て取れます
ほれ」
下った町の向こう、こんもりと緑の丸く盛られた小山がありました
おきつねさまの社と要石のあった、里山です
今、その里山の周りにはぐるりと白い壁のようなものが取り囲んでおり
コンクリートと呼ばれる、人が使う固い粘土のようなものが、張られている様が見て取れます
風馬
「きつねのやまに、何かある」
高瀬川の和樹
「ああ、そうだ。呆けてる場合じゃねぇや。お方様の所行かねぇと」
語り手
「町の偉い人間だかが、人間が何人も住める大きな屋敷を立てるんだなんだ、ってやってたろう」
高瀬川の和樹
「おう」
シロ
「いってたー!!」
プンスコ
プンスコ
語り手
「あれだって、この地震でどうなるやら。毎日公民館やらでもめとるよ」
高瀬川の和樹
「だろうなぁ。この調子じゃ、それどころじゃねぇだろうよ。
……俺達はここを守りたくとも、人に、それに付き合う道理はねぇんだ」
……俺達はここを守りたくとも、人に、それに付き合う道理はねぇんだ」
語り手
「ああ。シロ坊が言ってたみたいに、新しく拵えたとこでどうなるやら」
シロ
「むー」
高瀬川の和樹
「人間、いいところで、穏やかに住めた方がいいからな。
故郷を追われても、また人はどこかに住める。そこを故郷にできる。
そういうもんだ……」
故郷を追われても、また人はどこかに住める。そこを故郷にできる。
そういうもんだ……」
風馬
「和樹、きつねが心配だ」
高瀬川の和樹
「ああ、そうだ。そうだな。行こう」
里山に入れる道を探す。
里山に入れる道を探す。
シロ
「お方様はずーっとみんなのためにがんばってたのに。
ひどいよ!」
ひどいよ!」
語り手
「ああ、そうだ、きつねだ。
お前ら、きつねとなんしかしようって話だったんだろう。
戻ってきたってことは、それに目途がついたんじゃないのかい」
お前ら、きつねとなんしかしようって話だったんだろう。
戻ってきたってことは、それに目途がついたんじゃないのかい」
高瀬川の和樹
「ああ、ついたよ」
風馬
「じしんもとめられるぞ」
高瀬川の和樹
「ただなあ、壊れちまったもんと、去る人ばかりは、どうにもならんな、と思ってな」
語り手
「それでも、この地震はおさまりゃぁ、なんとかなるんじゃないのかい。
なんにしたって吉報だ。はやいとこ、きつねに話を……」
そこまで言ってから
「あー……」
と猫は細い目をすっかり閉じて、顎を掻きます
「うーん、だが、きつねも今はどうしてるかなぁ」
なんにしたって吉報だ。はやいとこ、きつねに話を……」
そこまで言ってから
「あー……」
と猫は細い目をすっかり閉じて、顎を掻きます
「うーん、だが、きつねも今はどうしてるかなぁ」
シロ
「お方様はずっと、いっしょにいたもん!」
風馬
「きつねはやまにいる、はやくいこう」
語り手
「やまに、ねぇ。いるにしたって、どうしているやら……
とりあえず、俺らじゃうまく伝えることもできねぇ。お前さんたち、きつねと話せるってんなら、里山へ行ってみな。
会えりゃ、いいんだが」
とりあえず、俺らじゃうまく伝えることもできねぇ。お前さんたち、きつねと話せるってんなら、里山へ行ってみな。
会えりゃ、いいんだが」
シロ
「あうもん!!!」
高瀬川の和樹
「おうよ」
語り手
そうして、猫は
歩いて里山の方へと向かう道を教えてくれるでしょう
歩いて里山の方へと向かう道を教えてくれるでしょう
風馬
「そうか、わかった。ありがとう」
高瀬川の和樹
「ありがとよ。よし、急ごうぜ」
言うなり、早足に歩き出す。
言うなり、早足に歩き出す。
語り手
みんなが、ひとまずキャンピングカーを置いて道を歩いて行きますと
その道すがら、あちらこちらで、遠めに見えていた張られたブルーシートを目にします
それらの中には、古い家は傍から見ても危ないと思えるほど傾いていたり
新しい家などは、一見大丈夫そうに見えますが、和樹には読める字で『半壊』と赤く大きく書かれていて
その道すがら、あちらこちらで、遠めに見えていた張られたブルーシートを目にします
それらの中には、古い家は傍から見ても危ないと思えるほど傾いていたり
新しい家などは、一見大丈夫そうに見えますが、和樹には読める字で『半壊』と赤く大きく書かれていて
高瀬川の和樹
「随分、やられたもんだなあ……」
語り手
やはり、おばあさんの商店のように避難先や連絡先などが書かれた紙が貼られているのでした
痛ましい街の様子の中を歩き
里山の方へと近づいてゆくと、
遠めに見えた里山を覆う白い壁は、人間たちが工事をしている場所をそうするための、鉄の板を並べて拵えたものであることがわかります
そこのいくつかには
『ベルメゾンハイツ藤葛木』
などと大きく描かれ、いずれ建てられるのかもしれない四角い大きなマンションと、そこに出入りする人のイラストなどが描かれており
しかし、それらのいくつかは、その上から新たに張られた書き物で『注意:がけ崩れ・落石』『法面補強工事』といったものも並びます
痛ましい街の様子の中を歩き
里山の方へと近づいてゆくと、
遠めに見えた里山を覆う白い壁は、人間たちが工事をしている場所をそうするための、鉄の板を並べて拵えたものであることがわかります
そこのいくつかには
『ベルメゾンハイツ藤葛木』
などと大きく描かれ、いずれ建てられるのかもしれない四角い大きなマンションと、そこに出入りする人のイラストなどが描かれており
しかし、それらのいくつかは、その上から新たに張られた書き物で『注意:がけ崩れ・落石』『法面補強工事』といったものも並びます
語り手
それを横目に、道路を歩いていると
時折、大きなダンプカーやトラック、ショベルカーが乗ったトラックなどが走り
それらが出入りする、入口らしきものがようやく見えてきたころ
何やら積み込んだトラックが止められ、そこから木材のようなものを荷下ろししている場所に通りかかります
時折、大きなダンプカーやトラック、ショベルカーが乗ったトラックなどが走り
それらが出入りする、入口らしきものがようやく見えてきたころ
何やら積み込んだトラックが止められ、そこから木材のようなものを荷下ろししている場所に通りかかります
語り手
そこで、みなさんは【こども】か【けもの】で判定を
目標は4で結構です
目標は4で結構です
シロ
【こども】!!
[ シロ ] おもい : 2 → 1
[ シロ ] おもい : 2 → 1
高瀬川の和樹
どちらもないぜ! 任せた!
風馬
【けもの】!
[ 風馬 ] おもい : 2 → 0
[ 風馬 ] おもい : 2 → 0
語り手
では、【けもの】で成功した風馬は、ふと、何か懐かしい香りを覚えます
語り手
そして、【こども】で成功したシロは、トラックから降ろされている木材が、目に留まりました
風馬
「くんくん……?」
シロ
「あれ、あれって……」
語り手
懐かしい香りがし、見覚えのある傷や痛みのあるその木材は、
間違いなく、おきつねさまの社だったものです
バラバラにされてしまった、お社が、木材として積まれているのです
間違いなく、おきつねさまの社だったものです
バラバラにされてしまった、お社が、木材として積まれているのです
高瀬川の和樹
「ん、どうした」
風馬
「きつねの家のにおいだ」
シロ
「あわあわあわわわわ。
じいちゃんのらくがきがあるはしらだ!!
ひどい! お方様のおうちなのに!」
じいちゃんのらくがきがあるはしらだ!!
ひどい! お方様のおうちなのに!」
高瀬川の和樹
「は? は!? おいおい、お方様の社をバラしちまったってのかよ」
風馬
「きつね!」思わず駆け出す
高瀬川の和樹
「ここで言ってもしょうがねぇ、上に! 急ぐぞ!」
続いて駆け出す。
続いて駆け出す。
ゆり
「待ちなさい、あんたたち」
ゆりが、背後から声を掛けます
ゆりが、背後から声を掛けます
高瀬川の和樹
「何だよ!」
ゆり
「見てみなさいよ、あれを」
風馬
「……?」
高瀬川の和樹
「あん、何だよ」
ゆり
言って、指で指すのは、里山の上の方
高瀬川の和樹
そちらを見る。
語り手
そこは、おきつねさまのお社があったあたり
あったあたり、というのは
いつもこんもりとした木の葉で覆われていたあたりが、すっかりと丸見えになり
そこに、小さいものではありましたが、人間が使うショベルカーが、音を立てて動いているのが見えたからでしょう
あったあたり、というのは
いつもこんもりとした木の葉で覆われていたあたりが、すっかりと丸見えになり
そこに、小さいものではありましたが、人間が使うショベルカーが、音を立てて動いているのが見えたからでしょう
シロ
「おやまが」
風馬
「なにしてるんだ」
高瀬川の和樹
「崩してんだろうよ、山を。お方様の山をだ」
ゆり
「マンション建てる基礎工事、ってところかしらね」
高瀬川の和樹
「あんの市長、まだ諦めてなかったか」
ゆり
「あんなところに、今更きつねがいるとは思えないわ」
風馬
「……でも、きつねは、うごけないんじゃないのか」
シロ
「やまのなかならいけるのか」
高瀬川の和樹
「くそ。家を建て直すよか、マンション建てて住んでもらおうって筋かよ」
シロ
「でも、お方様がいなくなったら、ぐらぐらなんだろ?」
高瀬川の和樹
「外の奴、そんなの知らねぇもん。お方様がここを支えてくれてたことも、あいつ知らねぇよ。町のみんなは、きっと知ってただろうけどさ」
シロ
そしてとある高層マンションの屋上にちんまりとお方様のお屋敷が!
なんてことにはならないか。
なんてことにはならないか。
高瀬川の和樹
大阪あたりのビルによくあるやつ>屋上にちんまり
語り手
などと、みんなが里山を見上げて話していると
「こらー、君たち、こんなとこで遊んでると危ないぞ!」
みんなの様子に気付いた工事のおじさんが、やってきます
「こらー、君たち、こんなとこで遊んでると危ないぞ!」
みんなの様子に気付いた工事のおじさんが、やってきます
高瀬川の和樹
「おーう。俺ここの人間なんだけど、あの上にあったお社どうなったの?」
くるりと振り向き、工事のおじさんに声をかける。
くるりと振り向き、工事のおじさんに声をかける。
シロ
「おまいり!! しにきた!!!!」
語り手
「おやしろ?」
おじさんは、怪訝な顔で聞き返しますと、すぐその後ろにいた、もう少し若いお兄さんが
おじさんは、怪訝な顔で聞き返しますと、すぐその後ろにいた、もう少し若いお兄さんが
語り手
「ほら、あれですよ。上の方にあった、おんぼろの……」
語り手
「ああ……」
おじさんは頷いて
「あれは、だいぶん古く汚くなっちゃっていたからね、崩れると危ないから、バラバラにしたんだ」
シロに、にこにこと説明します
おじさんは頷いて
「あれは、だいぶん古く汚くなっちゃっていたからね、崩れると危ないから、バラバラにしたんだ」
シロに、にこにこと説明します
高瀬川の和樹
「あらそう。再建の予定とかあんの?」
語り手
「いやぁ……」
和樹が年上に見えてか、おじさんは少し言葉を選ぶように
「虫食いもひどいし……。管理者もいないからね、わざわざこんなの使わなくてもねぇ」
和樹が年上に見えてか、おじさんは少し言葉を選ぶように
「虫食いもひどいし……。管理者もいないからね、わざわざこんなの使わなくてもねぇ」
シロ
祟るぞぉぉぉ
そういうのホラー物怪奇もののオープニングのお約束なんだからなぁぁぁぁ
そういうのホラー物怪奇もののオープニングのお約束なんだからなぁぁぁぁ
高瀬川の和樹
「あらやだ。まだお参りに来てる人いたと思うんだけどなぁ、町のみんなから反対意見とか出なかったわけぇ? いま公民館で揉めてんだろ?」
風馬
「きつねのいえがないと困るぞ」
語り手
「あー……」
語り手
「地元ですよ、これ……」
若い人の耳打ちに、おじさんは持っていたペンで頭をかりかり掻くと、少し面倒くさそうな顔で
「すみませんね、私は細かいところはわからないんで……。何か、お尋ねになりたければ、責任者に直接……ね」
若い人の耳打ちに、おじさんは持っていたペンで頭をかりかり掻くと、少し面倒くさそうな顔で
「すみませんね、私は細かいところはわからないんで……。何か、お尋ねになりたければ、責任者に直接……ね」
シロ
地元民の同意を得ずに勝手にやっちゃうなんてダブル役満じゃないかぁぁぁ
風馬
シロにすってんころりんさせてもろて労災
シロ
怪我を負わせるのは信条に反するが、やむをえないッ
高瀬川の和樹
「ふーん。責任者どこにいんの?」
語り手
「今は、ちょうど避難所の方に慰問に行ってるはずですよ」
高瀬川の和樹
「つーか、まだ揺れてるって聞いたけど? 工事して大丈夫なの?」
語り手
「ええ、そりゃもう。安全第一で施工してますんで」
高瀬川の和樹
「ふーん。
だってさ。お社もなくなっちまったし、みんなのとこ行くか」
そう言って一歩下がる。
スマホで崩されたお山やら、工事中の様子を何枚か撮影する。
だってさ。お社もなくなっちまったし、みんなのとこ行くか」
そう言って一歩下がる。
スマホで崩されたお山やら、工事中の様子を何枚か撮影する。
風馬
「でも、きつねが……」
シロ
「お方様ぁ……」しくしく
語り手
「すみませんね。それじゃ、我々も作業がありますんで、ね」
高瀬川の和樹
「強引な人の下につくと大変だね」
語り手
「ええ、まぁ、はぁ、ね。色々ありますんでね」
それじゃ、それじゃ、とおじさんと若い人は、頭をぺこぺこさせながら、工事現場の方へと戻ってゆきます
それじゃ、それじゃ、とおじさんと若い人は、頭をぺこぺこさせながら、工事現場の方へと戻ってゆきます
高瀬川の和樹
ついでに工事看板と会社名が入るアングルで一枚。
シロ
「ひどいよぉ。ひどいよぉ」
風馬
「……シロ、ばあちゃんのところにいこう」
高瀬川の和樹
「あーくそ。一歩遅かった、っていうのかよ。まさか、地震のドサクサに工事進めてくるとは思わなかった」
高瀬川の和樹
和樹はアングリーになってて気遣いが足りないので、気遣いのできるイケメン風馬くん助かるッ
ゆり
「もう大枚つぎ込んでるから、引くに引けないんでしょ。
建てたとして、売れりゃいいけど」
いや、よくないか、とゆり
建てたとして、売れりゃいいけど」
いや、よくないか、とゆり
高瀬川の和樹
「お方様の件や地元がなくても、まだ揺れてんのに工事はアウトだろ。わざわざ揺れた土地に人が住むかねぇ」
シロ
ふつーにあぶない。
ゆり
「だから、もうお金動いちゃってるから、やるしかないんでしょうよ。死人けが人出る前に、販売者に売り抜けちゃえばいいと思ってんじゃないの」
高瀬川の和樹
「アホだねぇ」
ゆり
「ほんと、バカな生き物」
シロ
サイテーだ。
高瀬川の和樹
「主語がでけぇなぁ。気持ちは分かるが」
ゆり
「喉元過ぎたら熱さを忘れるのは、人間だけよ。馬や犬だって、おなか壊したら何代か食べるのやめるってのに」
高瀬川の和樹
「さてと、ネット燃やしはスラップ訴訟怖ぇし、とりあえず直接燃やしに行くとするか」
シロ
「ばあちゃんとこいくぅ。ヒトにおねがいしたら、とめてくれるよね?」
高瀬川の和樹
「おう。行こうぜ」
風馬
「きつねもいっしょだといいな」
高瀬川の和樹
「それから。違ぇよ、ゆり。
他人がどうなろうが、自分は痛くも痒くもねぇって、そんだけよ。
自分が腹壊すわけじゃねぇもん、あいつら」
他人がどうなろうが、自分は痛くも痒くもねぇって、そんだけよ。
自分が腹壊すわけじゃねぇもん、あいつら」
ゆり
「なおさらタチが悪いわ」
高瀬川の和樹
「知ってる」
高瀬川の和樹
「……やっぱ軽く燃やしとこ」
ポチポチとスマホに触れ、先程の写真を投稿する。
『余震の最中にマンション工事やってる、スゲー』というキャプションをつけておく。
ポチポチとスマホに触れ、先程の写真を投稿する。
『余震の最中にマンション工事やってる、スゲー』というキャプションをつけておく。
高瀬川の和樹
「中立的な立場の投稿です、ってな」
シロ
和樹さんがものすごい人間的な攻撃しとるwww
風馬
ソーシャルを使いこなすかっぱw
高瀬川の和樹
批判していませんよ。中立的な立場の記事ですよ。
シロ
この河童、人間が何をされたら困るか知り尽くしてやがる……ッ!
高瀬川の和樹
第一話でも同じようなムーブしていたので、合わせてみました。
語り手
避難所として、ブルーシートに書かれていた公民館や小学校の体育館は、みんなならば充分わかるでしょう
風馬
「学校のにわとりとうさぎも心配だ……こまったな。あっちもこっちも」
語り手
では、歩きスマホせず、一通りの投稿を終えてから、みんなは避難所へと向かうことになるでしょう
シロ
ションボリしながら向かう。
語り手
では、本日のところはこれまで
風馬
お疲れ様でした!
シロ
おつかれさま!
高瀬川の和樹
ありがとうございましたー! 守る土地は現存なるか、それともションボリ新天地になるのか。
語り手
どうなるのでしょうか
高瀬川の和樹
どうするどうなる最終話! 人数が減って夢の上昇速度が下がり気味!
風馬
なんということでしょう、ボロボロのオヤシロはピカピカのマンション神社に
高瀬川の和樹
なるほどマンションの壁にお社を描けば
語り手
マンション丸ごとお社化
高瀬川の和樹
コーポINARI
風馬
人間もののけOK
MIDNIGHT DEJAVO
MIDNIGHT DEJAVO
TRPGリプレイとかゲーム関連
コメント By.シロ
久しぶりに帰った故郷は、見るも無惨な有様。
もののけたちは驚き、哀しみ、怒りながらもお狐様を探すのでした。
久しぶりに帰った故郷は、見るも無惨な有様。
もののけたちは驚き、哀しみ、怒りながらもお狐様を探すのでした。
第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』
これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。