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こちらには
CoC『キルキルイキル』
かなりガチなネタバレがあります。

女の人 の事情


女の人 の事情(超ネタバレ)
あるところに、加須 茜という女性と、烏座 美穂という女性がルームシェアしていました。
二人は友人で、ずっと一緒にいました。

しかし実はふたりは一人のいびつな処理をされた烏座の体に二人分の意識が無理矢理に詰め込まれた状態であり、『烏座 美穂』は加須 茜が死んだ友人を自らの内に作り出したものだというのでした。

歪んだ体で二人の精神は抱えきれず、どちらかは死ななければ長くは生きられない体だということを知った二人。
烏座は加須のことがずっと嫌いだったと告白。

殺されるのだと覚悟を決めて目を閉じた加須は、烏座の体で現実に目覚めることになります。
烏座が何を思っていたか、加須にはもう分かりません……

何を思っていたか知りたい人は緊張に満ちたリプレイをどうぞ。
ちなみにこの時の加須さんの中の人は語り手、烏座さの中の人は風馬くん、KPはシャーリーさんでした。


▼カリスの事情▼


カリスともうひとりについて
一柱の女神がいました。
何を思ったかは彼女にしか分かりませんが、ある時彼女は己を二つに裂きました。
それにより彼女は、幼いカリスと、乱暴なサメカリスというふたつの神格に別れました。
カリスが眠ればサメカリスが、サメカリスが眠ればカリスが。ふたりは互いを知ることなく、自分の真の姿も忘れて過ごしていました。

とある事件をきっかけに元に戻った彼女は、それぞれを好いてくれた人たちとの繋がりを大事に思い、再び自分を二つに分けたのでした。



高瀬川の和樹
こんばんはー
風馬
こんここ
高瀬川の和樹
ココンコ
ココントウザイ
シロ
トザイトーザイ
のりこめー!
シャーリー
こんばんは~
語り手
こんばんはー
語り手
夜が明けました
風馬
「コケコッコー!」張り切って音量MAX
シロ
「ニャー」
もぞもぞと布団の中に潜り込む。
高瀬川の和樹
「ふぎゃ!」
反射的に布団に潜り込んで耳を塞ぐ。
シャーリー
「……」すぴー……。
カリス
「かー」
寝てる
シロ
「ヨシ、あとみっつねられる」
風馬
「おきない」
高瀬川の和樹
「でけぇよ声が。寝過ごさずに済んだのは助かるが、もうちょっと声小さくしてくれ」
のそのそとスマホを引き寄せ現在時刻を確認。
ゆり
「……」
静かに寝息を立てている(耳栓
高瀬川の和樹
「っつか運転役じゃねぇのいいことに耳栓しやがって……」
風馬
ついに対策された
シャーリー
「むにゅ……
……うーん。まだ寝ます……」
シャーリー
風馬くんの声ってどのぐらいでかいんだろう……
ゆり
108db
風馬
ワシの音量は108式まであるぞい
語り手
正味なところ、何時なんだろうw
風馬
1d4+4時
1d4+4 (1D4+4) > 3[3]+4 > 7
常識的!
語り手
それなら大丈夫だw
シロ
けっこーやさしいじかんだった。
ついにふーまくんが妥協点を!?
ゆり
「……あら、今日はまともな時間ね」
シャーリー
「まだ寝ます……」強い意志。
起きなきゃいけない時間なんだよなぁ!?
高瀬川の和樹
「……うん。まぁマトモな時間だな」
寝ぼけ眼でスマホを覗いて髪を掻き、画面の輝度を上げて無理やり意識を覚醒させる。
ゆり
「ふぁぁ……これなら、美味しく朝ごはんもいただけそうね」
高瀬川の和樹
「ありがとよ、今後も起こすときゃこれくらいの時間で頼む。6時より前は厳禁な」風馬に。
風馬
「うーん、でも遅かったからおきないやつがいたぞ」
高瀬川の和樹
「早かったら余計に起きねぇよ」
シロ
モゾモゾ
シャーリー
「むぅ……」起床します。
ゆり
「何事も、ちょうどいい塩梅ってのがあるのよ」
ゆりはもぞもぞ起きだして鏡台に向かい、髪を梳かし始めます
高瀬川の和樹
「そういうこと」ざっと手櫛で髪を整え、顔を洗って服を着替える。
風馬
高人間組のモーニングルーティン
カリス
「んー」
カリスが布団の小山から顔を覗かせ
「メガネメガネ……」
ようやく探し当てると、鼻と耳にひっかけ
「おはよ」
高瀬川の和樹
「おう、おはよう」
風馬
「おはよう、おそいぞ」
カリス
「んー、よく寝た」
シャーリー
「……おはよう……ございます」
シロ
ふとんにまざってる。
高瀬川の和樹
「おーい、シロ、朝飯だぞー」
混ざってるシロごと布団をpull。
シロ
「にゃー!?」
コロコロコロコロコロ
「ねてないもん。ねてないもん。めはあけてたもん」
風馬
「シロ、さかなは目をあけてねるぞ」
高瀬川の和樹
「その気持ちは分かるが皆起きてんだな」
シロ
「はーい。
おはよぉ……」
高瀬川の和樹
「おう、おはよう」
ゆり
「はい、おはようおはよう。美味しい朝ごはんが待ってるわよ」
いつも通りの薄い化粧を終えたゆりが、にこにことみんなを促します
風馬
「あかねもおきてるといいな」
シャーリー
「そうですね……」ふぁ、と欠伸。

語り手
そうしてみんなで食堂に向かうと
加須 茜
昨日と同じ部屋で、既に茜は朝ごはんをいただいています
「おはよう」
風馬
「おはよう!」
高瀬川の和樹
「ああ、おはようさん」
加須 茜
「みんなしっかり早起きだね」
風馬
「いや、おそいぞ」
加須 茜
「え? そう?」
高瀬川の和樹
「お前の基準で言うな。
って話で分かる通り、一人早起きがいてさ。見事に起こされたってわけ」
加須 茜
「ああ、なるほどね。
楽しみで待ちきれないってわけだ」
何やら納得をした顔で微笑みます
シャーリー
「……眠いです……」
シロ
「おはよー」
カリス
「ごはん!」
高瀬川の和樹
特に訂正はせず、目の前の朝食に目を向ける。
風馬
「ごはんをたべたらはやくいこう!」
語り手
朝ごはんは、煮物や煮浸し、焼き魚にとろろ、麦入りごはん
山菜の入った薄味のお味噌汁が、ほかほかと湯気を立てています
どれもお腹に優しそうで、寝起きにはとても美味しそうです
高瀬川の和樹
「いいねぇ」箸を取る。
風馬
「なんだこれ、ねばねばだ」
ゆり
「とろろよ。少しお出汁も入ってるから、ご飯にかけて食べてみなさいな」
風馬
「ごはんにかけるのか」
高瀬川の和樹
「そうそう。山芋って芋をすり下ろすとそうなんのよ」
加須 茜
「どれも優しい味で美味しいよ。一人で泊まるのはちょっと贅沢だけど、甲斐はあったかな」
カリス
「お魚おいしい……」
シャーリー
ではとろろをご飯にかけますか。
シャーリー
とろろって味噌汁に入れても美味しい すごい
高瀬川の和樹
味噌汁にとろろは初めて聞いた
風馬
とろろ汁!
シロ
「うわぁぁん、かおについたぁ」
ゆり
「おっちょこちょいねぇ。あとで痒くなっちゃうわよ」
高瀬川の和樹
「そうさなぁ、こいつぁいいや。って、あーあー」お絞りでシロの顔拭いてあげよう。
シロ
ねばねばとれた!
風馬
「うまいな、いも……いも……?」芋であることには懐疑的な顔
加須 茜
茜は、みんなのそんな様子を眺めながら微笑んでいます
「ていうか……
みんなはどんな関係なわけ? ご近所さん?
まさか全部家族ってわけじゃないよね」
シャーリー
「お友達です……」
シロ
「んー?」
風馬
「とうかっきのなかまだ!」
高瀬川の和樹
「そういうこと。同じ町内の子供らよ」
加須 茜
「ああ、なるほど……」
風馬
町内会旅行だと思われてる
高瀬川の和樹
町内会旅行ということにすると楽なことを覚えた和樹
シロ
たしかにー!
加須 茜
「いいなぁ、キャンピングカー。憧れるよね」
高瀬川の和樹
「バイクで気ままにツーリング、ってのも憧れるがねぇ。ま、泊まり所や荷物が自由なのは気楽だわな」
風馬
「バイクもまたのりたいな」
シャーリー
空を飛べる事は黙っておきましょう……。
加須 茜
「そうだねぇ。キャンプもいいけど、一人だと色々面倒もあってさ。
おっ、バイク乗った事あるんだ?」
風馬
頷く
「最初はうまくできなかったけど、友達なってかけっこにかったぞ!」
加須 茜
「かけっこ? バイクと?」
風馬
「バイクとじゃないぞ、えーと、きょうりゅうっていうのか」
高瀬川の和樹
「前に二和って所に寄ってさ。聞いた事ある? バイクと竜神の神社。そこの管理人やってる禰宜の子がこいつらと近くてさ」
加須 茜
「きょうりゅう……ああ、二和の。なるほどね」
なんとなく納得した顔
「いいよね、タンデム。
不便だけど、車とかとは違ってさ」
そう言う茜は、どこか少し寂しそうでした
シロ
「にじゅーもバイクのるのか?」
シャーリー
「乗るんですか……?」
加須 茜
「にじゅー? ああ……
うん。前はね。
今は……ただの荷物置きだけど」
高瀬川の和樹
「前は、か」
加須 茜
「……」
カリス
「おかわり! していい?」
ゆり
「はいはい、ほら、お茶碗よこしなさい」
シロ
「あたしもー!」
風馬
「うめぼしすっぱい……」
ゆり
「順番!」
加須 茜
少し黙っていた茜は、そんなみんなの様子に、ふ、と笑うと
「それじゃ、あたしは積載とかあるから先に出てるよ」
そう言って立ち上がり、食堂を後にします
高瀬川の和樹
「ああ、後でな」
シロ
「またなー」
風馬
「またなー」
シャーリー
「また……」
語り手
そうして、みんなは朝ごはんをいただいて
荷造りをして外へと出てくると
加須 茜
荷物を後ろにたくさん積んだバイクの前で、茜が待っていました
「おっ、来たね」
風馬
「すごいな、こけないのか?」
荷物をみて
加須 茜
「ちゃんと左右のバランスは見てるし、走りだしちゃえば大丈夫だよ」
荷物を軽く叩いて笑います
高瀬川の和樹
「おう、さっきぶり。
結構積めるもんだなぁ」
加須 茜
「ああ、さっきぶり。リッターマシンだからね。このくらいどうってことないよ」
シロ
「はしればこけないよな。でもあしがひらたいぞ」
加須 茜
「そうそう、走りだしちゃえばね。安定するよ」
シャーリー
「そうなんですか……?」
風馬
マネキンの首がとれなければ大丈夫だ!
シロ
ぽきーん
ゆり
「きつね、ただいまー……うわっ?」
語り手
みんながそうして話している後ろで、キャンピングカーのドアを開けたゆりが素っ頓狂な声をあげます
高瀬川の和樹
「うぉ、どうしたどうした」
風馬
「なんだ?」
シロ
「どした?」
ちびきつねさま
「……」
見ると、ドアの向こうでちびぎつねさまがお座りの姿勢で、こちらを見遣っていました
どこか、珍しく怒っているような風にも見えます
シロ
わすれられてた?
高瀬川の和樹
「……あー。もしかせんでも忘れてた」
ちびきつねさま
「みんな……宿のお食事はおいしかったかな?」
シロ
「おいしかったー!」
風馬
「とろろがうまかったぞ」
シャーリー
「美味しかったです……」
高瀬川の和樹
「すまねぇ、お方様……」
ちびきつねさま
「そうかいそうかい」
シロ
「あれ、どこにいたの?」
ちびきつねさま
「私もね、カリカリの肉のあられ菓子みたいな食事を、堪能させていただいたよ」
シロの言葉に、ちろ、とゆりの方を見やります
シロ
「そっかー」
ゆり
「あはは……
ほら、金宇館ってペットNGだからさぁ」
高瀬川の和樹
「何か持って帰ってくりゃよかったな……」
風馬
そんなもの積んでるのw
語り手
いざという時のため!
シロ
ドッグフードかぁ。
シャーリー
ヨシ!
シロ
なるほどなー
加須 茜
「どうしたの?」
何やら話しているみんなの後ろから、茜が覗き込みます
ちびきつねさま
「おや。お友達かい」
高瀬川の和樹
「うぉい、お方様」慌ててお方様に荷物を押しつけて声を隠そうとする。
シロ
「お方様だぞー」
風馬
「あかねだぞってうわ」
加須 茜
「? 誰かいるの? おかたさま?」
シャーリー
「お方様です……」
高瀬川の和樹
「あー、一人留守番になっちまったのがいてさ」
高瀬川の和樹
姿を隠す方針にチェンジしたようだ。
風馬
ひどいはなしだ
シロ
茜さんお方様見たらSANチェック発生すんの?
それともびっくりが発生すんの?
加須 茜
「ああ、なるほど。……あれ? でも一匹って言ってなかった?
なんか声が聞こえたような……」
ゆり
「き、気のせいじゃない?」
風馬
「?」
高瀬川の和樹
「おっと、そろそろ出ねぇと」
ゆり
「そうね、開館時間もあるしね!」
シロ
「じかんか!!」
ニンゲンにとってはじかんというものがさいきょうなのだ。
高瀬川の和樹
「おう、時間だ!」
風馬
「そうだな、おきるのおそかったもんな」
ちびきつねさま
「みんな、何を言ってい……むぎゅう」
加須 茜
「……?」
語り手
首を傾げながらも、ヘルメットを被ると、茜はバイクの方へと戻って行きます
風馬
どっちが先行するんだろう
高瀬川の和樹
お方様を抱え上げて車内の奥の方へ移動ののち、運転席に陣取る。
シロ
「お方様ー、ちゅーるのマグロのこってるー?」
ちびきつねさま
「残ってるよ……」
シロ
「わぁい」
加須 茜
「あたしが先行してもいいかな? 前の視界が塞がれてると怖いからさ」
風馬
「和樹、あかねが先にいきたいって」
高瀬川の和樹
「おう、頼む」茜に返答する。
加須 茜
では、和樹の返事に親指を立てて見せて、茜はエンジンを掛け、キャンピングカーの前に出ます
高瀬川の和樹
ちょっとトイレー!!
風馬
ドライブ前のトイレはだいじ!
シャーリー
大事~!
シロ
一大事~! を防ぐためにね。
加須 茜
バイクの音は、しのぶのそれよりもだいぶ大きく、早いものでした
風馬
「声もでかいな」
高瀬川の和樹
先導するバイクについて、キャンピングカーの巨体を動かす。
シロ
お方様に何の悪気もなく説明しよ。いろいろ。シロ語で。
ちびきつねさま
「ほうほう」
シロ
「それでねー、いっしょにいくんだー」
ちびきつねさま
「なるほどねぇ。不思議なご縁もあるものだねぇ。
共に片割れを失った者同士、か」
シロ
誰かが補足してくれないと二重人格周りがごちゃごちゃのままだけどね。
ちびきつねさま
ちびぎつねさまは理解した!
風馬
神!
シロ
すげぇさすが神!
カリスと同じらしい で理解してくれたか。
シャーリー
なるほどなぁ
風馬
今季節いつぐらいでしたっけ
語り手
青森が夏でしたからーーー
語り手
秋手前くらいにしましょうか
風馬
じゃあまだ窓開けてもゆるされるな
語り手
許されますね

語り手
バイクとキャンピングカーは、温泉街の道をゆっくりと抜けて行きます
やがて、道は左右を田んぼや畑挟まれたところを抜けて行き、徐々に山が近づいてくる頃には、右に左にと曲がりくねり始めます
高瀬川の和樹
なんならば先導するバイクとの意思疎通も兼ね、軽く窓を開けて風を楽しんでいる。
風馬
窓を開けて風とバイクのエンジン音を車内に入れる
語り手
風馬が窓を開けると、暑さがずいぶんと落ち着いた、高原らしい涼しい風が、先行する茜のバイクの音と共に吹き込んできます
しのぶよりも大きな茜のバイクは、たくさん荷物を積んでいるにも関わらず、上手に遅くなったり速くなったりを繰り返しながら、スムーズに山道の曲がりくねった道を抜けて行きます
シロ
「おおー、はやいはやーい」
風馬
「あかねものるのがうまいな。みどりみたいだ」
ゆり
「確かに、危なげなくワインディングを抜けていくわねぇ」
高瀬川の和樹
「だなぁ。荷物といい、相当慣れてんな」
ちびきつねさま
「上手なものだねぇ」
高瀬川の和樹
「まるで自分の脚みてぇだ」
ゆり
「アレでタンデムは確かに気持ちよさそうだわ」
シャーリー
「そうですね……」バイクの知識ない顔。
語り手
いくつものカーブを抜けて、勾配も急になり、和樹が目一杯アクセルを踏み込んで走るようになってからしばらくして
高瀬川の和樹
「ぬおおお、上がらん」
シロ
「くるまがうなってるー!」
風馬
「ゆりだいじょうぶか!?」
ゆり
「しょうがないでしょ、大型車なんだから。低ギアで走りなさいよ。
このくらいで焼きついたりはしないわよ、大丈夫」
シロ
やきついたらお腹イタタってなるのかな。
語り手
胸焼けかな
語り手
気がつけば、なんとなくハンドルに前のめりになっていた和樹の前で、ふと茜が左手をハンドルから離すと、その腕をぴっと伸ばして左側を指さします
風馬
「あっち?」視線を左に
シャーリー
つられて左を見る。
語り手
すると、不意に視界がさっと晴れ、打って変わったそこにはなだらかな斜面と、そこを覆う緑が広がっていました
高瀬川の和樹
「……おお」思わずその様子に見惚れかけ、前を向き直す。その絶景のおかげで背が伸びた。
風馬
「たかい! とおくまで見えるぞ!」
シロ
「ひろーーーー!」
語り手
風馬の言葉通り、緑の向こうには遠くの山が青く見え、ところどころに白い雲が帯を作っています
見渡しの効くようになった道の向こうからは、何台もの色とりどりのバイクがやってくるのが見えます
シロ
「おー、ばいくがいっぱいだ」
風馬
「ほんとだ、みんなここみにきたんだな」
高瀬川の和樹
「こいつぁ見事なもんだものなあ」
語り手
茜は、それらのバイクとすれ違う度に2本指を立てて振り、それに挨拶を返すように先方のバイクからも2本指
シロ
「ぴーすぴーす!!」
自分も窓から手を出してる。
語り手
そのやり取りに、満足するように親指を立てて更に返しては、茜は走って行きます
高瀬川の和樹
茜に倣い、軽くパッシングして挨拶する。
シャーリー
「すごいですね……」
語り手
バイク乗りたちは、みんなのそんな挨拶にも手を振ったり、控えめに頭を小さく下げたりしながら、すれ違って行きます
カリス
「ピース!」
ゆり
「ヤエー、ってやつね。いいわねぇこういうの」
高瀬川の和樹
「だなぁ」
シロ
「やえ?」
シャーリー
へ~
ちびきつねさま
「なるほど、八重にご縁をと」
高瀬川の和樹
「こういう距離の近さは、バイクのいいとこかもな。ヤエーはやったことねぇからゆり解説しろ」
ゆり
「はいはい。違うわよ、ヤエー」
シロ
「やえー!」
ゆり
「本来はイェー。YEAH! なんだけど」
言葉と共に元気よくピースサインをしてみせて
シロ
「イエァー」
ゆり
「とあるネット掲示板で、スペリングをミスった人がYAEH! って書いたのが始まりらしいわ」
シャーリー
笑ってしまったけど英語って難しいよね……! とも思った(?)
高瀬川の和樹
「IYHなら分かんだけどな」ぼそ。
ゆり
「旅先ですれ違うライダー同士が、挨拶を兼ねてお互いの旅の無事を祈って、ピースサインを交わすようになったわけ。
いやっほぉぉぉう! なら、バイクの楽しさに感化されちゃった人が、思い切ってバイクを買っちゃった時に、その勢いのままに掲示板で報告したりするのも流行ってたらしいわね」
>IYH
高瀬川の和樹
「あったなぁ。嫁に内緒でパーツIYHしたらうっかり家に着払いみたいなの」
ゆり
「それそれ。
勢いでバイク買っちゃって、もう笑うしかない! って報告する人を、『よくやった!』『旅先であったらヤエーしようぜ!』なんて歓迎したりしてたみたいね」
シロ
イヤッホォォォォォウ懐かしいな
高瀬川の和樹
和樹は実年齢と見た目年齢が一致しないのでジェネギャの件は問題ありません。
シャーリー
「へぇ……」
風馬
「シャーリーも飛んでるときに他のとりにやってみるか?」
シャーリー
「……やってみます?」
ゆり
「……できるの?」
カリス
「ボクも海で泳いでる時に誰かにあったらピースしてみようかな」
高瀬川の和樹
「……できんのか?」
風馬
鳥足はピースできるだろうけどフカヒレはどうなの
カリス
ぽん、という軽い音と共に、腕をヒレに戻したカリスが、少し苦労してから
「できない……」
高瀬川の和樹
「ヒレじゃなぁ……」
カリス
「あ、でも手だけ人にすればいいのか」
高瀬川の和樹
「見た人間が「なにあれ」ってなるからやめといたげろ」

風馬
どう見てもヒトガタ
シロ
水の抵抗が発生して姿勢崩れそう。
下半身だけサメにして人魚になっとけばヤエーもできるよ。
シャーリー
羽根を上げればヘーキヘーキ
風馬
いやまてよつまり車から腕をはやすことにより
シロ
なるほど見やすい!
シャーリー
SAN削れるわ
目撃したら一生のトラウマだよ
シロ
でぇじょぶだこの世界なら「びっくり」で済む。
運転中に「びっくり」したら? さあ……
高瀬川の和樹
運転中に「おとな0」とか完全にアウト
語り手
アババババーッ
連続多重衝突事故である!
無惨!

語り手
そうして、何台ものバイクと挨拶を交わしながら
加須 茜
みんなもそれに倣っているのに気付いたのか、茜が小さく振り返り、おかしそうに笑うように体を少し逸らしてから
みんなに向かって、左手で立てた親指を突き上げました
高瀬川の和樹
一瞬だけハンドルから手を離し、親指を立てて返す。
シロ
「やえーーーー!」 v
風馬
「おう!」v
加須 茜
それに、茜も手を振り返して、バイクとキャンピングカーは山道を進みます

語り手
そうしてしばらくすると
開けた視界の中に、何か奇妙なものがちらほらと見え始めました
高瀬川の和樹
何だ何だ、とそちらを見遣る。
語り手
それは、なだらかな斜面の上に散らばる、いろんな色の不思議な形のものたち
更にその向こうには、白い壁と赤い屋根の建物も見えます
風馬
「何かあるぞ!」
ゆり
「おっ、見えてきたわね」
シロ
「うしがいる!
あれ、うし? じゃない??」
高瀬川の和樹
「おうおう、あれがか?」
シロ
「なにあれ?」
カリス
「じゃぁぶた?」
ゆり
「ふっふっふ、さぁて、何かしらね」
語り手
そうして、二台のバイクとキャンピングカーは、その建物へと近づいて行くのでした

語り手
といったところで、今日は締めましょうか
そして、朝出発の前にシーン切ろうとして忘れていたので、次回はそこの精算からスタートいたします
高瀬川の和樹
はーい、おつかれさまでした!
風馬
お疲れ様でした!
高瀬川の和樹
シーンきり忘れあるある
シロ
おつかれさまー!
語り手
スムーズな旅の進行のために
シャーリー
おっけ~!
お疲れ様でした!
コメント
シロ
バイク乗りの挨拶を学びつつの道行き。
ついに風馬が常識的な時間に啼く日が来た!?


ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。