TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第十四話『旅するゆうこや』軽井沢(風波) 九


語り手
前回はサイレンウーウーで終わったところでした
シロ
何か起きそう!
高瀬川の和樹
事態、動きそう!
風馬
SIREN!
シャーリー
サイレンだー

語り手
響くサイレンと共に、地響きのようなものも伝わってきます
風馬
「わっ、じしんだ!」
シロ
「わわわわわわわ」(耳漏れた)
高瀬川の和樹
「うおっ、またかよ!?」
語り手
「怪獣だ!」
不意に響く声は、窓の外を指差した一人の男の人のものでした
ヨシノ
「……!」
ヨシノがハッとした顔で立ち上がります
高瀬川の和樹
「あ!? 地震じゃねぇってのかよ!?」 窓の外を見る。
シャーリー
「そうなんですか……?」
シロ
「かいじゅ!?」
風馬
「よしの、あぶないぞ」
語り手
窓のそばへと走り寄った和樹が外を見ると、この博物館の前の駐車場、さらにその向こうの山肌を公園の砂場のように掘り破りながら、怪獣がその大きな体を現したところでした
高瀬川の和樹
「来やがった、なぁヨシノ。あれが紅葉姫なのか?」怪獣を指して言う。
ヨシノ
「……」
ぶんぶんと頭を縦に振ります
シロ
「モミジってかいじゅ!?」
語り手
さて、そこで判定を
【おとな】、または【へんげ】で5以上をどうぞ
シャーリー
スルーします。
シロ
せっかくだから【へんげ】で成功しとくかー
[ シロ ] おもい : 21 → 19
燦然と輝く【へんげ】5!
高瀬川の和樹
おもいを2消費して【おとな】5。
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 12 → 10
風馬
おもい3消費で【へんげ】
[ 風馬 ] おもい : 17 → 14
語り手
では、成功した人は気付きます
怪獣の肌はこれまでに博物館やこの辺りで見かけたような黒くごつごつとした鱗に覆われているのですが、
怪獣が歩くたびに力が籠った場所が膨れ上がり、鱗の隙間から赤い光がチラチラと覗いています
それは、まるで溶岩のようでした
そしてもう一つ
シロ
ほぉー
高瀬川の和樹
ゴジ……
風馬
ガッズィ
シャーリー
……ラかぁ~~~
シロ
総辞職ビームはヤメレェ
語り手
前にTVで見た時は、怪獣にひれが沢山生えているように見えていたのですが、
それはどちらかといえばツノのように、固く鋭いものが鱗の隙間から生えているように見えるのです
シロ
ガクブルしながらそんなの見た。
風馬
「なんだあいつ……とげとげだ」
高瀬川の和樹
「そうか、紅葉姫のお話……ありゃたぶん、暴れる火山の話だろう。おいおいおい、火山が暴れてる、ってのか?
ヨシノ、ユニティはどっかにいるのか」
ヨシノ
「違うよ……」
シャーリー
「……?」
ヨシノ
和樹の言葉につぶやいたヨシノは、和樹にそう尋ねられ
慌てたように、広がる山麓をキョロキョロと見渡します
やがて
「あ、ユニティ!」
叫んで、ある方を指差しました
ユニティ
そのゆび先、歩き始めた怪獣が向かう先に、一人の男の子の姿
シロ
「だいだらぼちいるのか!?」
シャーリー
「……どこでしょう……」
ユニティ
遠くに豆粒のように見えたのは、確かにユニティと呼ばれた彼でした
風馬
「あんなところでなにしてるんだ!」
高瀬川の和樹
「ユニティ……、」
シロ
「たすけてぇぇぇ!」
ユニティ
彼は、懐から何かを取り出すと、叫ぶように大きく口を開けて、それを空へ向かって振り翳します
そして、ピカッと強く白い光が瞬いたのでした
その強い光にみんなの目が眩んだ、次の瞬間には
そこに、大きな銀色の巨人が立っていました
風馬
「でた!」
シロ
「うわ、うわわわわ!」
シャーリー
「……高い……」
ユニティ
巨人は、ほんの数秒だけ、何か躊躇うような様子を見せましたが、巨人の登場に吼える怪獣が再び歩き始めたのを見て、いつもの名乗りも上げず、怪獣へと組み付きました
高瀬川の和樹
「……、」
風馬
「……和樹」
シャーリー
「和樹さん……?」
ユニティ
大変な重さであろう怪獣に対して、正面からガッチリと組み付き、その歩みを少しでも止めようとするように、怪獣の左右に張り出すツノを両手で抑え、踏みとどまります
シロ
「がががががんばれぇぇぇ!」
お子様機微とか分かんない。
風馬
「あいつ、ケンカしたくないんじゃないか?」
ヨシノ
「あああ……ユニティ……」
高瀬川の和樹
「あぁ、俺もそう思う。あいつ、一瞬躊躇いやがった……」
シャーリー
「……」
シャーリー
助けてグリッドマン(〇谷)
ユニティ
和樹と風馬の言葉の通りに、ウルトラマンは怪獣を叩いたり蹴ったりすることもなく、ただ一生懸命に押し留めようとしているように見えます
それでも、重さと力の差なのか、ウルトラマンの足は、じり、じり、と少しずつ押されてゆき、その足元で地面が捲れ上がってゆきます
シロ
「でででででもあれじゃあ、やられちゃうぞ!」
高瀬川の和樹
「なぁヨシノ。あいつ、人に裏切られた、っつってたな。……何があったか、教えてくれるか」
ヨシノ
「……」
和樹に問われ、ヨシノは俯いて少し黙り
「モミジさま、火山を爆発させたりなんかしてない……ほんとは、逆……」
高瀬川の和樹
「逆?
逆って、まさか」
ヨシノ
「モミジさま、怒った火山を鎮めようとした。
この地に住む人たちが、すごく困っていたから……」
シロ
「じゃあ、じゃあいまはなにをしてるんだ!?」
語り手
突然、ものすごく大きな声が響き渡りました
それは、歩みを止められた怪獣の、怒った声のようでした
怪獣は、唸り、吠えながら、更に強い力でウルトラマンを押し始めます
高瀬川の和樹
「くそ、やべぇぞ!」
語り手
力を振り絞る怪獣の体が大きく膨れ上がり、さらに割れたように鱗の隙間が開き、体から伸びていたツノが、ずるりと長さを伸ばしたようでした
それは、大きな体に刺さった何かが抜け落ちるようにも見えます
風馬
「おこってる」
ユニティ
「……!」
風馬
「……?」
ユニティ
「ヘァッ!」
それを見たウルトラマンは、慌てたように声を上げて、今まで押さえていたツノから手を離して、その抜け落ちそうになっているツノを掴み、押し留めようとしているようでした
シロ
抜けたら噴火しちゃうん?
シロ
「なにしてるんだ?」
風馬
「あのとげ、トゲ抜けるのか?」
ヨシノ
「あれ、トゲやツノじゃない。クサビ」
シロ
「くさ?」
高瀬川の和樹
「楔って、何かを封じてるとかか」
ヨシノ
「モミジさま、すぐに爆発しそうな火山の力、飲み込んだ。
少しでも爆発しないようにして、この地の人たちが逃げられるように」
高瀬川の和樹
「どうしてそれが、あの話になっちまったんだ」
シロ
「でもみんな、しらないみたいだぞ??」
風馬
「かざんをのむ……? すごいな」
ヨシノ
「……」
ヨシノの顔が、悲しそうに歪みます
「……でも、人間たち……助けてくれたモミジさまを裏切った」
シャーリー
「……そんな……」
高瀬川の和樹
「裏切ったって、何をやったんだ」
ヨシノ
「人間たち、力の強いお坊さん呼んで……
火山飲み込んだモミジさまに、法力の籠ったクサビを打って、その力ごと……封印した!」
シロ
「イタイ」
高瀬川の和樹
「……おいおいおい……。鬼を恐れたか知らんが、そういうことかよ」
風馬
「そうだったのか……」
シロ
裏切るもなにも事情知らなかったんじゃ? と思わなくもない中の人である。
高瀬川の和樹
という可能性はありそうな気がするけど紅葉様時点だと「裏切られた」に相違ないんだよなーと思う中の人である。
ゆり
「……自然の力を好き勝手に曲げて、自分たちの領地を広げる……どこでも人間たちがしてきたことね」
シャーリー
「大変……」
ヨシノ
「モミジさま、飲み込んだ力と、クサビの力で、あんな姿に……
クサビ、刺さって痛い。膨れ上がる力で苦しい。裏切られて悲しい。悔しい。
モミジさま、人間たちに頼まれたから、頑張ったのに……」
シロ
アウトだったわ。
高瀬川の和樹
アウトやったわ。
シロ
総意が取れてなかった可能性はあるけど、完全にモミジ様視点じゃアウトだわ。
シロ
「だから、やっつけるのはかわいそう、だけど、かいじゅはおこってる……」
ヨシノ
「あのクサビ抜けたら、火山爆発する。やっつけないと、止まらない。
でも、モミジさまが動き始めた時、現れたユニティに、わたし、全部話しちゃった……
ユニティ、優しいから、モミジさまやっつけられない……。戦えない……」
高瀬川の和樹
「だが、好きにさせちまったら、今度は今のこの街がやられる」
風馬
「だからケンカしなかったんだな」
高瀬川の和樹
「そりゃ、ああするしかねえわな……」
シロ
「でっでででででもばくはつしたら。
たいへんだ!」
ユニティ
不意に響く、甲高い連続音
見れば、またもウルトラマンの胸の石が赤く変わり、点滅を始めていました
風馬
「あっ」
高瀬川の和樹
「くそ、時間切れか」
シロ
「またきえちゃう!?」
ユニティ
「……!」
ウルトラマンは、その様子に慌てたように、なおも抜け落ちようとするトゲに手を伸ばし
無理な姿勢をとったためか、ウルトラマンが大きくバランスを崩したと見るや、怪獣は一つ大きな声で吠えると
鼻先のトゲを大きく振り上げ、ウルトラマンのお腹を強く突き上げました
シャーリー
「消えちゃうんです……?」
風馬
「いたそうだ」
高瀬川の和樹
「ユニティ!」その様子に、思わず叫ぶ。
ユニティ
怪獣にも負けないくらい大きなウルトラマンの体が、ふわりと浮き上がり
いつか見た時と同じように、その体は浅間山の山肌に叩きつけられてしまいました
シロ
「イタタ!」
風馬
「……助けにいこう」
シロ
「ででででででもどうやって!」
ゆり
「そんなこと言ったって、あんなとこに飛び込んだら、あっという間にぺちゃんこ……」
風馬
「でも……」
ユニティ
みんながそうして迷っていると
強かに背中を打って悶えていたウルトラマンは、いつかのようにまた強い光を放ち
語り手
気がつくと、その姿は消えてしまうのでした
高瀬川の和樹
「また、元に戻ったのか……。くそ、あいつはどう動く?」怪獣の方を振り向く。
シロ
「たいへんだ」
語り手
怪獣は
ウルトラマンが消えた山肌を、しばらくじっと見据えていましたが、やがて興味を失ったように視線を逸らすと
ずし、ずし、と足音を響かせて歩き始めました
その先には、みんながやってきた街がある方でした
シロ
「わぁぁぁぁまってまってまって!」
ころべころべって念じてる。
風馬
「みんなに知らせないと!」
ヨシノ
「モミジさま、待って……!」
ずっと胸元で小さな手を握っていたヨシノは、みんなが止める間もなく、博物館を飛び出してしまいます
高瀬川の和樹
「ヨシノ!?」
ヨシノ
怪獣がのしのしと歩く、その方へ
シロ
「まってぇぇ」
おっかけるか。
と思ったけどこわがり。
シャーリー
シロちゃんの近くにいよう
高瀬川の和樹
急いで追いかける。
シロ
じゃあ和樹の下に隠れようとして一緒に走るね。
語り手
みんなでヨシノを追いかけます
小さな女の子の歩幅でしたが、ヨシノはゴツゴツした溶岩が冷えて固まった岩場を、飛び跳ねるようにして走り、なかなか追いつくことはできません
シロ
ヨシノさんなんなんだろうねー
高瀬川の和樹
モミジ様の関係者っぽくはあるけどユニティの知り合いでもあるんですよね なんなんだろ
シロ
ナキウサギ……は北海道にしかおらんかった。
風馬
「まってくれ!」
高瀬川の和樹
「あぁくそ、親父みたく相撲ができりゃあな、にしても相手がでけぇ……!」
息を切らせながら走る、走る。
風馬
ゆりさんにオフロードバギ―になってもらわんと
語り手
それでも、少しずつ距離は縮まってゆき
ヨシノ
やがて、息を切らしたのかヨシノが足を止めたところで、ようやく追いつきました
シャーリー
「追いついた……?」
高瀬川の和樹
「はぁ、驚いたぜ……」大人の脚では岩場は走りづらい。こちらも息を切らせている。
語り手
みんなが息を切らせながら、ヨシノのそばへとたどり着いた時
ゆり
「ね、ねぇ……ちょっと……」
ゆりが声を震わせます
風馬
「どうした?」
ゆり
「うし、うしろ……」
声と一緒に震えた指で、みんなの後ろを指差します
高瀬川の和樹
振り返る。
シロ
「シロ?」
風馬
「なんだ?」
振り向く
シャーリー
振り向きます。
語り手
そこには、怪獣のすごく大きな顔が、目の前にありました
大回りにヨシノを追いかける内に、いつしか怪獣の進む前に出てしまっていたようです
シロ
「わぁぁぁぁぁ!?」
高瀬川の和樹
「……っ、」
息を、呑む。
風馬
「もみじか!?」
語り手
ごつごつとした鱗に覆われ、大きな裂けた口元から恐ろしげな牙をのぞかせた怪獣が、みんなを見下ろします
シャーリー
「紅葉さん……?」
シロ
限界ですぅ
語り手
赤く、溶岩のように燃える瞳が、ギョロリと動きます
ヨシノ
「も、モミジさま……」
風馬
「そっちいっちゃだめだ!」
高瀬川の和樹
「火山の力で、ああなっちまった、ってのか……」理性的に声に出そうとするも、声が震える。かたかたと脚が動く。皿が乾く。動けない。
高瀬川の和樹
恐怖で口の中が渇くっていうけど、河童なら皿かなって思った
語り手
うまい
シロ
っぽくて素敵。
シロはいつも通り敷物になってる。
語り手
あのウルトラマンなんかより、よっぽど小さなはずのみんなの前で、怪獣は足を止めていました
風馬
「……トゲがいたいのか?」
すまんな怪獣の威嚇には慣れてるんだ
シャーリー
「……痛いんですか?」
高瀬川の和樹
風馬くんとシャーリーの方が素直に向き合えて、和樹の方が色々考えちゃって恐怖が先行するの、とてもらしい
語り手
そう尋ねるみんなと怪獣は、しばらく睨めっこのようにお互いに動きを止めていましたが
突然
『大地の子ら……』
頭の中に、声が響きました
シロ
「ヒェッ!?」
カタカタカタカタカタカタカタ
風馬
「……!」
高瀬川の和樹
「……紅葉様、か」
語り手
その大きな目は、みんなを撫でるように動き
最後に
『鬼の子……』
ヨシノ
「……!」
語り手
その声に、ヨシノがハッと息を呑むと同時
怪獣は、突然フイと横を向くと
目の前の地面を自分のツノで堀割りながら
大きな音と振動を響かせながら、見る間に地面の下へと潜り消えていってしまいました
シロ
あー、フードは角隠し?
高瀬川の和樹
ああー、なるほど
風馬
なるほど
シャーリー
あー
シロ
絵の出所教えてもらえなかった理由考えたらそれかなって……
高瀬川の和樹
ですねぇ なるほどなーーー
高瀬川の和樹
膝が折れて、その場にへたり込む。
風馬
「あ、おーい!」
ゆり
その横で、ゆりもへたり込みます
高瀬川の和樹
「し……、死ぬかと思ったぜ。お前に免じてくれたかね、ヨシノ」
風馬
「いっちゃったぞ」
ななくさ
「寿命が縮まったでござる……」
シロ
「……」しんでる
ヨシノ
「モミジさま……
まだ、わかる、の……?」
みき
「皆さん、無茶すぎですよ……」
同じくへたり込んだみきくん
高瀬川の和樹
「ヨシノ。お前、もしかして、紅葉様の知り合いか?」へたり込んだまま聞くので、いまいち格好がつかない。
ヨシノ
「わたしは……」
ヨシノが言いかけた時
風馬
「……あっ。
そうだ、ゆにてーを助けにいかないと!」
いね
「ゆにてーくん! 探しに行くの!」
慌てたように、いねが飛び跳ねながら風馬の言葉に乗っかります
シロ
トリは飛んで逃げられるからいいわよねっ!
高瀬川の和樹
「っと、そうだな。
タイミング悪。戻りながら聞こうか」
風馬
「いこう!」
ゆり
「ちょ、ちょっと待ってよ、腰が抜けて……」
這うように、ゆりがみんなに続きます
高瀬川の和樹
「あーあー、風馬か誰か、ゆりに肩貸してやってくれ」
風馬
「わかった」
シロ
その足元でペタンコになってる。
いね
「はやく行くの!」
いねが転がって潰れているシロをひょいと持ち上げて、みんなを急かします
シロ
きゃー
ひきずらないでぇぇぇぇ
シロ
この地面で引きずられたらえらいことになるな。
※ほとんどおろし金
高瀬川の和樹
ジョリジョリになってしまう
高瀬川の和樹
「俺は無理だ。まだ微妙に膝が笑ってら」
風馬
「……シャーリー、上からゆにてーを探してくれないか?」
シャーリー
「わかりました……」鳥になります。
シャーリー
ちゅん
風馬
折り合いはつけたもののうらやましげな視線
語り手
ひらりと舞い上がったシャーリーは、そこから少し離れた山肌、ちょうどウルトラマンが叩きつけられてできた窪みの真ん中に倒れる男の子を見つけます
そこへ続く道はありませんが、かつて流れた溶岩のためか、木も茂っていないので、真っ直ぐに向かうことができるでしょう
シャーリー
「……男の子が居ます」と帰ってきたら伝える。
シロ
「はっ、なんかおきないといけないきがした!」
語り手
そうして、シャーリーの道案内のもと、みんなは倒れたユニティのところへと向かいます
シロ
「あしもとあなだらけであぶないぞ」
高瀬川の和樹
「ゆりよう、小型飛行機とかになれねぇのか」
ゆり
「なれたとしても、滑走距離足りないでしょうが」
高瀬川の和樹
「じゃあヘリで」
風馬
実は駕籠形態ならVTOLできるんじゃ
ゆり
「かといって、たかだか数百メートルのとこを行くのに、VTOL機やヘリコになったりしてみなさいよ。いい笑い種だわ」
高瀬川の和樹
「いいじゃねぇか笑い種のひとつやふたつ」
ゆり
「いやよ、疲れるし。歩きなさい」
高瀬川の和樹
「へぇい」
シャーリー
「はい……」
風馬
「和樹、ゆり疲れてるからダメだぞ」
高瀬川の和樹
「おう、そうだな。真面目に言われると困る」
ゆり
「あら、やっぱり風馬はいい子ねぇ」
風馬
「さっきもあんまり食べてなかったからな」
ゆり
「だから、食べ物とあたしをくっつけるのやめなさいよ」
風馬
食いしん坊キャラから逃さない心
ヨシノ
「……。歩きにくい? 大丈夫?
歩くんじゃなくて、岩から岩に渡るようにして歩く。疲れない」
風馬
「そうなのか」
シロ
「いわのすきまにでっかいあながあるから、おちるとあぶないぞ」
高瀬川の和樹
「渡るように、ねぇ。そういや、飛び跳ねてたな」
シロ
「ヨっちゃん、うさぎみたいだ」
ヨシノ
「わたし、ここに住んでる。だから、慣れてる」
シロ
どーにかこーにか岩をえっちらおっちら越えていこう。
わたしの【けもの】は1だ!!!
風馬
着物着てる人には絶望のメソッド
ゆり
ひーこら
シャーリー
案外着物は両手自由だとなんとかなる説
シロ
裾諦めてからげて歩けば。
シャーリー
そうそう
高瀬川の和樹
真似しようとしてうまく行かず、少し考えて、河童らしく手足を伸ばしてその弾力で踏み越えていく。
ななくさ
「まるで忍者でござる」
ヨシノ
その伸び縮みする手足に、ヨシノはギョッとしています
高瀬川の和樹
人間が見て真似するように歩けばうまくいかなかった。何だか、色々と複雑だ。
ヨシノ
「獣も、木も草もある。何もないのは、人間のものだけ」
シロ
「みちもない」ちょっとムスッとしてる。
ヨシノ
「道なんてなくても歩けるし、走れる」
高瀬川の和樹
「まあまあ」
みき
「こんな何もないところに住んでるなんて……」
風馬
「いわも木もあるぞ?」
ヨシノ
風馬の言葉に、ヨシノは小さく頷く
高瀬川の和樹
「そうだ、ヨシノ。お前は紅葉様の知り合いかい?」
ゆり
「なんか、喋り方もカタコトっていうか……だしねぇ」
ヨシノ
「……」
ヨシノは、少しだけ迷うようにしてから
かぶっていたフードを少しだけ捲ると、頭のてっぺんの脇から、白く艶のある2本のツノが覗きました
それをすぐに戻し
「わたし、鬼……。モミジさまと同じ」
シロ
「オニ」
風馬
「オニか」
シロ
「おしだしたやつか!」
ヨシノ
「おしだし?」
シロ
「でこぼこいっぱいおしだしたのオニだろ?」
ヨシノ
「よくわからないけど。
焚き付けが無い時、木を押し倒したりはしてる。
モミジさま、この間目を覚ました。
わたし、それがわかったから、モミジさまに会いに来た。そうしたら、ユニティにあった」
風馬
「あいつもオニなのか?」
風馬
だいだらぼっち=鬼
ヨシノ
こくりと頷き
「浅間の鬼は、近くにいるとわかる。
ユニティ、最初はやっつけようとしてた。でも、クサビ抜けたら大変……。だから、わたしお話して止めた……
そうしたら、ユニティ、戦えなくなっちゃった……」
しょんぼりと俯きます
「ユニティ、友だちいたら強くなる、って言ってた。だから、わたしユニティのお友だち探してた」
風馬
「でも、たたかったらモミジが困るんだろ」
高瀬川の和樹
「そうか……。ヨシノ、お前は、楔が抜けたら大変だって、そう思ってくれるんだな」
ヨシノ
「だって、火山が爆発したら、みんな困る……
獣も、鳥も……人間も」
高瀬川の和樹
「……ありがとうよ。すまねぇな、人間の所為で」
ゆり
「なんであんたが謝るのよ」
高瀬川の和樹
「なんとなくだよ」
シロ
染まっちゃってるから……
風馬
「でも、じゃあ、どうすればいいんだ?」
シロ
「うーーーん」
シャーリー
「?」
高瀬川の和樹
「それよ、どうしたもんかね……。紅葉様は火山の力のせいでああなっちまった、っつってたな。膨れ上がる力で苦しい、って。
その力だけでも、なんとかできりゃいいんだが」
シロ
「それ、ポイできないのか?」
ヨシノ
「火山の力、すごく大きい……。きっと少しでも溢れたら、危ないと思う。
いっぱいのクサビ、どれか一本でも抜けたら……」
シャーリー
「そうなんですか……?」
語り手
枯れたような黄色い下生えの中、その下のゴツゴツとした地面に苦労しながら歩いていると、ようやくみんなの目にも、倒れているユニティが見えてきました
倒れたウルトラマンの体が凹ませた地面の真ん中に、男の子が倒れています
風馬
「ゆにてー!」
シャーリー
「ユニティさん……」
ななくさ
「ユニティ殿!」
いね
「ゆにてーくーん!」
高瀬川の和樹
「ユニティ」
ヨシノ
「ユニティ!」
シロ
「だいだら……ゆーちゃん……はおなじだな」ぶつぶつ。
ゆり
「え、何が?」
シロの言葉に、ゆりが怪訝な声をあげているのを後ろに
みんなが駆け寄ると
シロ
反応されとる
ユニティ
「う……」
男の子は、倒れたままうっすらと目を開けました

語り手
というところで、本日はお時間もちょうど頃合いなので閉めましょう
高瀬川の和樹
お疲れ様でしたーーー! どうするどうなるどうしたものか!
シロ
はーい、おつかれさまー!
さまーーーー!
風馬
お疲れさまでした!
語り手
なんかシートがこけたんだけど
シロ
世界が……!
地震って怖いなぁ。
シャーリー
おつかれさまでしたー
風馬
大回転!

コメント By.シロ
『怪獣』の正体を知るもののけたち。
優しいウルトラマン・ユニティは戦えない。一体どうしたら……?

ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。