こんばんは
シャーリー
シロ
ニュッ
高瀬川の和樹
ニョロッ
シロ
みんな早いな
守築 茉麻
もう旅するゆうこやはここで終わりかと思っていた
ていうくらい狙い撃ちの会食祭だった
高瀬川の和樹
ひどいはなしだ
語り手
こっち
シャーリー
うえん
風馬
コッコ
語り手
コッコと聞くといじめたくなる
シロ
反撃されるよぉ
風馬
国庫
シロ
あさりたくなる?
語り手
いじめて全部ふんだくってやりたい

語り手
久しぶりのゆうこやは
前回、風馬が人間の遺した文書、鬼が書き残した絵巻それぞれの声を聞いたところでした
人間の残した文書は、自らを記した人間が迷って辛そうな顔をしながら記したといい
鬼の絵巻は、自分に元々書かれていた話とは、違う内容で伝わってしまっていると言っていました
真実はどこにあるのでしょうか
というわけで、軽井沢編再開です
高瀬川の和樹
イエーイ! 再開!!
風馬
小一時間かけて大人組のエスパー力をフル動員してかくかくしかじか
高瀬川の和樹
「ふんふん。……すげぇじゃねえか、風馬。話を聞ける相手はいたんだ、ここに」
シロ
いぬっぽいいきものはフンフン鼻をならしつつ聞く端から忘れてく!
風馬
「でもふたりともなにがあったのかはしらないみたいだぞ」
シロ
「やっぱりちがうかもしれないんだな!」ってことだけ辛うじて分かった!
高瀬川の和樹
「何かがあったっつうだけで上等さ。諦めんで済む」
ゆり
「鬼の方は間違って伝わっていた。人の方は、迷って書いていた。つまり、どっちも内容は真実ではない、ってことが伺えるわけね」
シロ
ちょっとかわいらしくなってる。
風馬
ウィンクゆり
ゆり
せっかくメーカー復活したので、表情増やしてみた
高瀬川の和樹
おおー
ヨシノ
「モミジさま、なんで自分を縛っちゃったのかな?」
シロ
「しばりたかった?」
高瀬川の和樹
「縛らにゃならんかった、の方がまだあんじゃねえか」
風馬
「うごきたくなかったのか?」
シャーリー
「シンバル……?」謎のボケかましておきます。
シロ
シンバルにはボケが乗せられないッッ
語り手
3次元ジャイロのことかな?
シロ
シロはシンバルなんて知らないもんっっ
ヨシノ
ヨシノは、人の裏切りという悲しい可能性が薄れたことに、少しホッとしているようでした
高瀬川の和樹
「とはいえ、俺らが顔突き合わせてても分からんな。他に資料か、何か残ってりゃいいんだが……」
シロ
「むー。
ほかにはなせるやつ、いないのか?」
ゆり
「資料はまだいくつもあるみたいだけど……基本的には人の残したものだし、何かを隠したかったのなら、聞いても同じような話になるでしょうね」
シロ
「かいたひととかいないのか?」
ゆり
「生きてるわけないでしょ」
風馬
「もみじにきかないとわからないぞ」
シロ
「いきてなきゃだめかー」
ユニティ
「次にモミジと邂逅する時は、戦うしかないだろうな」
風馬
「なんでだ」
シロ
「なんでだよぉ」
高瀬川の和樹
「そうなんだよな。せめて誰か、話でも伝えてりゃいいんだが、ユニティが調べた感じ残ってもなかったみたいだしな」
シャーリー
「なんでですか……?」
高瀬川の和樹
「あんまり悠長に研究してる訳にもいかん。なあヨシノ、モミジさまや、鬼たちがもともと住んでたのはどこだ?」
ヨシノ
「昔は、お山の麓に住んでたらしいけど、今はもう何も残ってないよ?」
シロ
「そのちかくにヒトはすんでるのか?」
高瀬川の和樹
「全部引き払っちまったのか?」
ヨシノ
「うーん……ベッソー? っていう普段は住んでない家とかがある、かな……
うん……みんな人と離れて暮らしたいって思ったらしくて」
シロ
別荘かぁー
石碑でもないと役に立たんなぁー
高瀬川の和樹
「うーん、そりゃ微妙だな。別荘じゃ、ここの人間の家じゃねえだろうし」
シロ
「あ、そだ」
高瀬川の和樹
「お? どうした」
シロ
「しょ、ってやつ、よめたのか?」
いね
「しょ」
高瀬川の和樹
「書?」
ななくさ
「しょしょじでござる」
シロ
「じがいっぱいかいてるやつ。
たぬきじゃないもん!!」
ゆり
「しょじょじじゃないの?」
シャーリー
「しゃもじ……?」
風馬
「たぬき……?」
シロ
「ふーちゃんがじーっとみてたから」
ゆり
「書というか、人間の方は鬼のと違って、絵だけじゃなくて字も書いてるわね」
高瀬川の和樹
「風馬が話聞いてた、人間の残した絵巻のことじゃねえのか」
風馬
「知らない字ばっかりでぜんぜんよめないぞ」
シロ
「よんでないのか」
ゆり
「ぐにゃぐにゃだものね」
確認
高瀬川の和樹
ちょっと間が空いたので確認なんですが、絵巻の内容は我々既に読んでたんでしたっけ? >語り手
シロ
専門家なら読めんじゃない? って話にはなってた。
高瀬川の和樹
あー、読んでなかったか。成程。
語り手
そうですね、正直達筆すぎてみみずがのたくっているような字ですが、展示の横に現代語訳が書かれているので、それを通じて内容を知ることはできています
シロ
専門家召喚していい? って話にもなってた。
語り手
件の博物館での物語と同じような内容だった、という話でしたね
高瀬川の和樹
「ふむ。一応中身がどんなのかは書いちゃああるが、そういや原文は読めてねえな」
語り手
専門家、淡雪の話が出ていましたね
あ、いやみんなのセリフとしては出てないか
シロ
そうなのさ
高瀬川の和樹
そうそう台詞としては出てない気がする

高瀬川の和樹
「……淡雪なら読めるか?」
風馬
「あわゆきか、昔の本たくさんもってるもんな」
ゆり
「淡雪さんか……」
高瀬川の和樹
「それに、あいつぁこの文字が書かれるよりずっと前からいたろう。文字そのものだしな、あいつ」
シャーリー
「淡雪さん……」
ゆり
「あの人なら、書いてある内容というより、書いた人の気持ちもわかる、みたいなこと言ってたわよね」
シロ
「でもディカイドーってとおいんだろ?」
ゆり
「北海道が世界の破壊者みたいになったわね」
ミスタッチから始まるライダー話
シャーリー
北海道がディケイドになっちゃった……。
もぅ無理……ウィザード見なきゃ……。
シロ
「ッ」がミスタッチで「ィ」に化けたんだけど、直そうとしたらネタとして拾われて直せなくなっちゃった。(よくある)
シャーリー
なるほどなぁ!
ウィザードはちょうど配信が始まったので……。
シロ
ウィザードはバトルテーマが最高に格好いい。
あとビジュアルもかっこいい。
ロストヒーローズっていうごちゃ混ぜヒーローゲーで、決め技食らわすときに主題歌流れるんだけど、主題歌じゃなくてバトルテーマ流してくれよ!! って思ったくらい好き。
語り手
でも本当の主人公はビーストの方だと思う
シロ
主人公っぽいよな彼。
シャーリー
最近某ドラマ見て奈良くん気になってるんでそちらを注視しようかと。

高瀬川の和樹
「ふむ。ちと知見を聞いてみるか。電話越しになっちまうから、手土産のひとつも持ってけねえのは難点だが。
……後で送るか? 軽井沢土産」
ゆり
「それもいいかもしれないわね」
シロ
きみょうなにんぎょう とかを?
風馬
きつーーーーね
ちびきつねさま
「なんだい」
風馬
ああいやお土産のぬいぐるみ……
高瀬川の和樹
和樹は「淡雪がテレポートできることを完全に忘れてる」
シロは「電話で連絡が取れることを知らない」このコントラスト
語り手
どちらも一手足りない!
シロ
「みちをつくったら、うんと歩けばつくぞ!」
この40あるふしぎで!!
高瀬川の和樹
「いや、行かんでもいいよ。電話してみる、あいつの店電話あったろ。
スマホありゃ話が早いんだがなあ」
シャーリー
「電話……」
ゆり
「あったわねぇ。年代物の黒電話。
現役なのはなかなか見ないわよ、今時」
高瀬川の和樹
「それな」
展示場所から出て、淡雪に電話してみます。
シロ
「でんわ!
きーちゃんがポチポチしてるやつ!」
語り手
電話帳に記された、文車堂の番号をタップして耳に当てると、呼び出し音が鳴ります
やがて
『はい。古書 文車堂です』
相手の声が聞こえました
でもその声は、少し高く幼いような気がします
高瀬川の和樹
「よう、綴か? 淡雪さん、いるかい?」
『あ、はい……えっと?』
電話の向こうから、少し困惑したような声
シロ
綴ちゃん学校じゃなくて文車堂におるんじゃな。
高瀬川の和樹
「ああ、悪い悪い。和樹だ。ちと古い書物の内容を知りたくてさ、淡雪さんの知見を聞きたくて電話したんだ」
思いっきり名乗り忘れていたことに気づきながら、そう補足する。
『ああ、和樹さん!
ご無沙汰をしております、お元気でしたか?』
パッと声が明るくなります
シロ
「つーちゃんひさしぶりぃぃぃぃ!」
横から叫んでる。
高瀬川の和樹
スマホの音量を少し上げて、みんなにも聞かせる。
『わ
そのお声は、シロさんですか?』
シロ
「わん!!
じゃなかった、シロだぞ!!」
『皆さん、変わらずご一緒なんですね』
風馬
「つづりか!」
高瀬川の和樹
「ああ、一緒だよ。全員いる」
シャーリー
「お久しぶり……です……」
『そうですか。皆さんのお声が聞けて嬉しいです!』
『母さまでしたね、ちょっとお待ちくださいね』
高瀬川の和樹
「ああ、頼むよ」
語り手
電話の向こうから、少し遠くなった声で
「母さまー、お電話です」
「綴、日本語が書けなくなってしまったのだけれど」
「母さま、またCaps Lockを押してしまったでしょう」
「きゃぷす……そんなボタンどこにもないわよ?」
高瀬川の和樹
最近固定電話ってのも減ったなあ、と少し懐かしい思いを覚えながらその会話を聞いている。
語り手
「もう、いいですから、和樹さんたちからお電話なんですよ」
そんな言葉に、あらっ、という小さな声
やがて、さらさらと畳を擦るような音が近づいてきて
淡雪
『……申し訳ありません。大変お待たせをいたしました』
なんだか慌てたような声と打って変わった、落ち着いた声
高瀬川の和樹
かわいい>表
風馬
苦戦してるみたいだけどハイテクだ!
淡雪
老眼鏡かけて両手の人差し指でぽちぽちしてます
高瀬川の和樹
「おう。悪いな、邪魔したかい?」
淡雪
『いえいえ。ちょっとパソコンで書き物をしておりましただけですわ』
『お久しぶりです、和樹さん。皆様はお元気?』
綴と同じように尋ねます
『その節は、大変お世話になりまして……』
高瀬川の和樹
「ああ、こっちは元気だよ。全員揃ってる。所で、ちと聞きてぇことがあるんだ」
シロ
「あっちゃーーーーん!」
とさっきの流れをもっかい。
淡雪
『あらあら、元気お声ですこと』
くすくすと微笑みが聞こえ
シャーリー
「お久しぶり……です……」さっきもやったなぁ……。
風馬
「あわゆき、げんきか!」
淡雪
『シャーリーさんも、風馬さんも、お元気そうで何より』
『それで、わたくしにお聞きになりたいことが?』
『何でございましょう。少しでもお役に立てればよろしいのですけれど』
高瀬川の和樹
「ああ。俺達さ、いま軽井沢に居んだよ。それで、浅間山の噴火にかかわる絵巻を見てんだ」
淡雪
『はぁ、はぁ。明暦の噴火でございますわね』
シロ
「しってるのか!」
淡雪
『ええ。いくらか見聞きしたこともございますので』
高瀬川の和樹
「ああ、そうだ。なんだけど、他の筋から別な資料が出てきて、その内容がちと怪しいって話になってさ。現代語訳じゃなくて、原文を読みてぇんだ。淡雪なら、読めるんじゃないかって……、あ、そっちスマホじゃなくて黒電話か」
淡雪
『すまほ……。ああ、なんだかパソコンみたいなお電話ですわね』
『あいにく、わたくしは持ち合わせておりませんが……』
高瀬川の和樹
「あー、どうすっかな。パソコン、ネットに繋がってる? 綴、淡雪さんのパソコンって、メールとかDiscordとか入ってっかな。
こっちから画像送ろうと思うんだけど」
淡雪
『ねっと……めーる……でぃす……ええと、何かしら』
『ちょ、ちょっとお待ちくださいませ』
何やら、受話器を覆うような音の後
風馬
遠見の水晶球とか仕入れてもらおうぜ
高瀬川の和樹
和樹もそれなりに焦ってるのか、そもそも淡雪さんに「依頼して」「承諾を得る」のをすっかり忘れているのだった。
その上それなりに焦ってるのか捲し立ててしまっている。
語り手
「……綴、綴。あなた、ディスコに行ったことはあるかしら?」
「ディ、ディスコ? 今時そんなものありませんよ、母さま。クラブとかの間違いでは?」
「クラブ活動のお話ではないのよ。ああ、もう。いいわ。あなたはパソコンを見ててちょうだい」
シロ
Oh
要求が高すぎたよ。
高瀬川の和樹
和樹が焦ると余計に人間スタイルが出ちゃうらしい。他のもののけたちに合わせて会話する余裕がなくなるんだな……。
淡雪
『……こほん。お待たせをいたしました』
高瀬川の和樹
あ……、とその会話を聞いて我に返る和樹であった。
淡雪
『とりあえず、その文書というものは、和樹さんのお手元にございますの?』
風馬
「あわゆきによんでほしいかみがあるんだ。どうやったらみせられるんだ?」
高瀬川の和樹
「あー……、悪ぃ。さっきの事は忘れて。んで、そう、いま博物館に居てさ。博物館のケースん中なんだ、その文書」
淡雪
『なるほど、承知をいたしました。
博物館でしたら、その辺りに説明書きなどもございますわね?』
高瀬川の和樹
「ああ、あるよ」
淡雪
『承知いたしました。少々お待ちくださいませ。
一度、お電話切らせていただきますわね』
語り手
その言葉と共に、再び小さな声で
「綴。わたくしは少々出掛けて参りますからね。お店、頼みましたわよ」
「えっ? 母さま?」
という綴の声を最後に、電話は切れてしまいました
高瀬川の和樹
「えっ? 淡雪、北海道……」
風馬
「でんわおわったのか?」
語り手
和樹が困惑しながら、切れてしまったスマホを眺めていると
そんな風馬の背後の、展示物の説明書きの文字が、ぐにゃり、と歪んだのが和樹の目に入りました
書かれている文字は、様々な字に姿を変えながら蠢き、やがて一つの形に
それは、文字で形作られた淡雪の顔でした
シロ
「どうし……」
高瀬川の和樹
「おわ」0.5びっくり
シロ
「ピャッ!」
語り手
風馬の背後で、その顔は微笑み、頭の横に
『少々、前を空けていただけますか』
という文字が並びました
シロ
コロリ
高瀬川の和樹
「あー、そうか、淡雪は文字だったな。おう、ちょっと前空けろってさ」
風馬
「まえ? わかった」どく
シャーリー
「……?」
高瀬川の和樹
もののけ寄りの思考しているときは割と悠然としているから、思考の時間スケールにそのまま比例するのかもしれない。
語り手
風馬が前を空けると、その文字の顔の部分が持ち上がるように膨らみ
それは徐々に色づきながら、まるで布越しに現れるようにして、淡雪がするりと説明書きであったはずのパネルを抜け出して現れました
淡雪
淡雪は、まるで重さが無いようにふわりと浮き上がってから、音も立てずに博物館の床に降り立ちます
「ありがとうございます。お待たせをいたしました」
言って、深々とお辞儀を一つ
風馬
目撃者いない大丈夫?
高瀬川の和樹
みんな展示見てるみたいだし大丈夫じゃないかな(背景写真)
語り手
受付の向こうでおじさんがひっくり返っているかも
高瀬川の和樹
あらら。
高瀬川の和樹
「悪いな、こんな所まで足労掛けちまって。後で飯でも奢るよ」
淡雪
「それには及びませんわ。せめてもの御恩返しですもの」
風馬
「すごいな、あわゆきがでてきた」
淡雪
「はい。お呼びにつき参上いたしました」
シロ
のびてる
淡雪
「あらあら。シロさん、どうされました」
拾い上げて、着物の腕に抱き上げながら
シロ
てろーってのびてる。
淡雪
「皆様、お久しぶりでございます。ご挨拶を申し上げたいところではございますが、お困りなのでしたわね?」
高瀬川の和樹
「ああ。実はかくかくしかじかでさ」手短に状況説明。
淡雪
「成程……。承知をいたしました。
その、過去の方が記した絵巻の文字、その真意をお調べすればよろしいのですね」
シャーリー
「そういうこと……ですかね……?」
風馬
「ああ、こっちだ」ガラスケースを指して
高瀬川の和樹
「ああ、そうだ」
淡雪
「どれどれ……?」
風馬に案内され、帯から取り出した折りたたみ式の老眼鏡を掛けて覗き込みます
「あらあら、これはまた随分と古い書き物ですのね」
淡雪は、白い手袋に覆われた手を着物の袖から出すと
その一方を抜き取ります
すると、そこには墨のように黒く染まった指先
それを、換気のためにわずかに開けられた穴へとかざすと、たちまちに指先がほつれ
『指』『爪』といった文字へと変わり、それらは隙間を通ってガラスケースの中へ
シロ
小動物はその辺に置いといてくれれば適当なとこで起きるよ。
高瀬川の和樹
「おお、鮮やかなもんだな」指先が文字へと変わっていくさまを見ながら、自分の腕が文字に変えられたときのことを思い出して少し怖気を覚えてしまう。
淡雪
「うふふ。ありがとうございます」
更に解け、一筋の墨の流れとなった指先はスルスルと伸びて行き、やがて絵巻へと辿り着きました
墨の指先は、絵巻に書かれた文字の上を、慈しむようにつらつらと撫で
一通り撫で終えると
「……成程」
と一言つぶやきました
「確かに、ここに記されたのは真実ではないようです。
嘘を記すこと、本来記すべきことを秘したまま、それでも書かねばならないという、迷い、苦しみが伝わって参ります」
シロ
「ウソ!!」
淡雪
「これほどまでの迷い、悩み……。この嘘を記すのには、大層なご苦労をされたことが伺えます」
高瀬川の和樹
「それほどまでに迷うってこたぁ、本当の事情を知ってたんだろうなぁ……」
淡雪
「ええ」
風馬
「やっぱり書くのに困ってたのか……なんで書いたんだ」
シャーリー
「不思議ですね……?」
高瀬川の和樹
「そこに書かれてることは、この訳と大差ねぇのかい?
 何か、書いた奴の情報とかねぇかな。本当の事情が何なのか当たりてぇとこなんだが、どうしたらいいもんか困っててさ」
淡雪
「そうですわね……」
淡雪は、少し考えるように黙ってから
ちら、と、みんなと並んで見守るヨシノを見やります
ヨシノ
「な、なに?」
突然現れた知らない人の視線に、思わずユニティの後ろに隠れてしまいます
シロ
「こわくないぞ。もじのおばけ? まじょだ」
淡雪
その様子に、安心させるようににこりと微笑んでから
「そのように呼ばれたこともありますわね。
皆さま。この絵巻に秘された真実。触れることでいくらか知ることはできましたけれど」
高瀬川の和樹
「俺達の知り合いでさ、文字に詳しいんだ。怖い人じゃないよ。
ああ」
ヨシノ
「もじ……」
シャーリー
「魔女……」
淡雪
「それを、わたくしの口から申し伝えたのでは、いささか軽く聞こえてしまいましょう。
皆さまさえよろしければ、この絵巻を記された方の記憶、見聞きしたものを、ご一緒に改めに参りませんか」
シロ
「そんなことできるのか!?」
シャーリー
「すごい……!」おめめきらきら!
淡雪
「はい。魔女ですから」
言って、口元を袖で隠した悪戯っぽい微笑みでくすくすと笑います
高瀬川の和樹
「ああ、そいつぁ渡りに船だ。ぜひともそうさせて欲しい。
知れることは、いくらでも知りたいと思ってた所なんだよ」
風馬
「いこう! ……どこいくんだ?」
淡雪
「皆様と、この絵巻が記されたその瞬間へ」
シロ
「そんなことできるのか!?」(再)
淡雪
「ええ。魔女ですから(再)」
シロ
天丼とゆーやつだな!
ヨシノ
「本当のことがわかるなら、ワタシも見てみたい……!」
高瀬川の和樹
「そんな事もできんのか。すげぇな」
ユニティ
「この星の生物は、一体どうなっているんだ……今更だが」
シロ
せーぶつか?
ユニティ
「メフィラスみたいな奴だな」
シロ
そんな物騒なのと比べるんじゃありません。
高瀬川の和樹
「メフィラス?」
ユニティ
「化けたり騙したり……妙な技を持つ宇宙人だ」
シャーリー
人気キャラじゃん>メフィラス
淡雪
「それでは、皆さまのお心も決まりましたようですし」
淡雪は、ちら、と辺りを見渡すと、ちょうど展示室から他の人の姿がなくなった頃合いでした
シャーリー
「……はい」
高瀬川の和樹
「宇宙にもキツネやタヌキが居んだなあ」
シャーリー
「私はツバメです……。ウチュウに行けますかね……?」
高瀬川の和樹
「カモメなら行けたかもな」
風馬
その点宇宙人は納得のいく連中ばっかりだよな!
>>>カネゴン<<<
ユニティ
「いないぞ。いや、いるが、お前たちみたいな小動物にあったことはあまりないな。
お前は炭素生物だろう。酸素も無い宇宙空間で生きられるわけが……」
いね
「ゆにてーくん、難しい話ばっかでわかんない!」
シロ
ボケが高度なんよ。
高瀬川の和樹
たぶん誰も拾ってこないの承知で言ってるタイプのボケ。
淡雪
「それでは」
高瀬川の和樹
「ああ」
淡雪
言って、柏手を一つ
すると、淡雪の後ろで展示されていた、絵巻
その表面の墨がたちまちに解け、ガラスケースから溢れ出してきます
そして気がつくと、みんなの体も、いつかのようにして墨に解かれてゆきます
高瀬川の和樹
「うお」0.25びっくり
風馬
「うわっ」
淡雪
淡雪の体も、足の先から真っ黒な墨に。
シロ
「ピャァァァァァァ」
クロ
「ァァァァ」
淡雪
みんな夢投げるの忘れないようにね!
高瀬川の和樹
シーンに熱中しすぎて忘れてた!
ゆり
「ちょっと、またこれなのーーー!!?」
語り手
すっかりと墨へと解けてしまっても、不思議なことにみんなは見て、聞くことができています
淡雪
『それでは、参りましょう』
『絵巻が記された、過去へ』
シャーリー
「過去……」
語り手
その声と共に、絵巻から解かれた墨と、みんなが変じた墨は波の渦のようにして混ざり合い
やがて、意識は真っ暗などこかへと消えて行きました
シャーリー
わー
語り手
そしてしばらく、自分自身の手足も解らないような状態で真っ暗なところを彷徨ってから
ふと気がつくと、みんなは石や土、草や木が倒れてバラバラに広がる荒れ野の少し上を漂っていました
シャーリー
「何ですか……ここ……?」
風馬
「ちらかってる……」
高瀬川の和樹
「その時間、ってことじゃねぇのかい。みんな、いるか?」
シャーリー
「少し……歩きにくいので……鳥になるしか……」
淡雪
「恐らく、ここは。
この博物館がある土地の、昔の姿。
鎌原村……だったところ、でございましょう」
シロ
「なんもない!?
みちもないぞ!?」
風馬
「むら? むらなんかないぞ」
高瀬川の和樹
「この様子、噴火の後かね」
淡雪
「明暦三年の浅間山の噴火では、その溶岩の被害もさることながら、ここ鎌原では溶岩や土石流によって堰き止められて溢れた水が生み出す、土雪崩の被害が大きかったと聞きます。
突然襲い来た土雪崩によって、人の営みが全て覆い潰されてしまった跡……なのでしょう」
高瀬川の和樹
「成程なあ、燃えるものだけが害を及ぼしたわけじゃねぇんだ……」
淡雪
「皆さま、あちらを」
言われても、淡雪の姿は見えませんが、なぜか示されている方はわかりました
シャーリー
見ましょうか。
シロ
見る!
高瀬川の和樹
おう、とそちらを向く。
語り手
そこには、荒れた地面の上に、三人の男の人が立っていました
みんな、今とは違う、昔の人の姿です
風馬
「だれかいるな」
語り手
「……ひどいものだな」
その中の一人が、口を開きました
「ああ……」
二人の人が、言葉もなくただ、そう漏らします
「急ぎ、村を離れはしたものの……残されたのは、辛うじて観音堂へと辿り着いた九十余名のみ」
「夫を失った者、女房を失った者、子を失った者、親を失った者……」
「皆、打ちのめされ、心までも欠けてしまったような有様だ」
高瀬川の和樹
「……」
シャーリー
「……」
語り手
「紅葉殿らの報せ無くば、それらも果たして生き遂せたものか……」
シロ
「もみじだ」
語り手
「たかが山一つの気まぐれに、これほどまでに惨い……」
三人の男の人は、悔しそうに俯き、拳を握りしめます
どこからか吹いてきた、高原の風が
みんなが昼間、爽やかだ、とすら思えたその風が、男の人たちをまるでからかうように吹いて行きます
しばらく、彼らが寒々とした風景を力無く眺めていると
「チョウザエモン、コヘイ、アンザエモン」
少し訛ったような発音で、名前を呼ぶ声が聞こえました
ハスキーなその呼び声に、男の人たちは、ハッとした顔で振り返ると、そこには背の高い、男の人たちとは違う、ヨシノと似た格好の女の人が立っていました
「紅葉殿!」
女の人をそう呼んで、頭を下げます
その女の人のおでこのところからは、立派なツノが生えていました
シロ
「あれがモミジサマか!」
シャーリー
「そうかも……しれません……」
高瀬川の和樹
「あいつが、当時の紅葉か」
風馬
「……」
シャーリー
「綺麗な人です……」
ヨシノ
「モミジさま……?」
語り手
「およそ、探しおおせる者は全て、寺院へと導いた。……が。
すまぬ。我らが今少し早く辿り着いていれば」
紅葉と呼ばれた女の人は、悔しそうに俯きました
「……いや。何を仰せか」
チョウザエモンと呼ばれた男の人が、頭を振ります
「紅葉殿をはじめ、鬼の皆様がおいでにならなんだら、今ごろ全ての村の者が土の波に呑まれておったはず」
「左様。その上、岩土の下で喘ぐ者らを、救い出してくださった。感謝こそあれ、それを失態と謗ることなどどうして出来ようか」
「我ら隣領の者こそ、何よりも早く駆け付けねばならぬところ。どうか面をお上げくだされ」
男の人たちに促され、ようやく紅葉は顔を上げます
シロ
「なかよさそうだぞ?」
風馬
「ぜんぜんけんかなんてしてないぞ」
シャーリー
「……本当……ですね……?」
高瀬川の和樹
「ああ、今の所は穏当だな。なんで嘘なんか、残さにゃならなかった……?」
語り手
これまでに読み、聞いてきた内容とは、まるで違う光景が、目の前に広がっていました
果たして、過去に何があったというのでしょうか
その真実の続きは、また次回

シャーリー
一体何があったというんだ……。
お疲れ様でした~!
シロ
ありがとうございました!
なんだろねー!
風馬
お疲れ様でした!
高瀬川の和樹
お疲れ様でしたー!

ひとこと
シロ
鬼の口伝は真実が曲がり、
人の記録は真実ではないという。

ではその時に何が起きていたのか。
人は本当にモミジを裏切ったのか?

それなら直接知っている人の話が聞ければいいんじゃないかな。

懐かしい顔と一緒に時間の旅へ!


ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。