こんばんは
本田 暁
ども!
語り手
どむ
高瀬川の和樹
とうっ!
風馬
太鼓!
シロ
やぁ
シャーリー
あ、アイス忘れてたんで取ってきます
へへへ
高瀬川の和樹
この時期にアイスとはなかなかの(みかん食べつつ)
シャーリー
悪シャーリーです
雪見だいふくってどうして美味しいんだろう。
シロ
モチはうまい。アイスもうまい。だぶるでうまい。
語り手
ただしカロリーで死ぬ
シャーリー
そう

語り手
さてさて
みんなは、出会ったおじさんの内の1人が、なんとこの地に残るお話の登場人物である坂上田村麻呂であることを知ったのでした
彼は、もう1人のおじさん阿弖流為に詫びるわめに、彼を探しているということでした
坂上田村麻呂と別れたみんなは、再びキャンピングカーへと戻ってきたのでした
今夜、何かお話をしたり、行動を起こしたいという人はいますか?
特になければ、そのまま翌朝となります
シロ
でもふたりでひとりのネブタァーの疑いがあるんだよなぁー
高瀬川の和樹
さておきどうしようかな ワ・ラッセ周辺に探しに行くという線は消えたし
シロ
夜行性だけど、使えそうな力はないなぁー
そのへん走ってくるー(いつもの)
風馬
おじさんたち帰ったからなぁ
シャーリー
こちらはそれでおkです~
ちゅんちゅん!
高瀬川の和樹
じゃあ夜の間に、坂上田村麻呂と阿弖流為についてスマホで少し調べておきます。
フレーバー程度の行動になりますが。
語り手
では、和樹は【おとな】で判定いただきましょう
目標値は5
シャーリー
人間だ……。
高瀬川の和樹
おもいを2消費して3→5。
語り手
照明も落とし、テーブルライトだけが灯るキャンピングカーの中
和樹は1人テーブルの席でスマホに向かっていました
高瀬川の和樹
「百聞は一見にしかずだが、一見と百聞を揃えりゃなおよし、ってね」
語り手
後ろの二段ベッドからは風馬とシャーリーの寝息が、バンクベッドからはシロの寝息が聞こえてきます
シャーリー
(なんか難しい言葉つかってます……)むにゅ……。
(寝るのです……)
風馬
(おなじくスリープモード)
語り手
大通りから離れたこの駐車場のキャンピングカーの中までは、車の音もあまり入り込んではきません
和樹はスマホの検索画面に文字を入力しては、検索ボタンをタップします
表示される情報の多くは、阿弖流為の伝説のような活躍の話と
人間が学校で学ぶ初代『征夷』大将軍である坂上田村麻呂のお話でした
ゆり
「……んー? なぁに、まだ起きてんの」
ふと、バンクベッドから顔を覗かせたゆり
高瀬川の和樹
「おう、悪いな。起こしたか?」
ゆり
「ううん。ちょっと喉が渇いちゃって。エアコンがあるから涼しいのはいいけど、空気がちょっと乾燥するわね」
言いながら梯子を降り、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出すと、自分と和樹の分のコップに注ぎました
「調べ物?」
風馬
夜の大人組のしっぽり雰囲気好き
ゆり
おとなのじかん
シャーリー
夫婦じゃん
シロ
うーんうーん、あついよぉー
ゆり
エアコンはタイマーで止まってましたね
高瀬川の和樹
「まあなぁ、無理もねえ。お、ありがとよ」
「おう。思や、よう知らんまま来ちまったからな。ここでも話は聞けるが、視点は偏るだろう。ざっくり下調べでも、と思ってな」
ゆり
「なるほどね。それで、どうなの?」
高瀬川の和樹
「そうさな、色々あるよ。阿弖流為は降伏した時点で随分進退窮まっていたとか、坂上田村麻呂は本当に騙くらかすつもりなんかなかったが、大和の── 京の公家連中相手に、話を通しきらなかっただとか、色々と」
「分かることとしてはそう変わらんが、最近になって随分見方が変わったようだとか」
ゆり
「阿弖流為の身代わりに、東北の地を助ける約束をしたけれど、それを果たせなかった、って言ってたわね」
高瀬川の和樹
「ああ」
ゆり
「そりゃぁ、地元のアイデンティティを守るために戦った英雄が裏切られたとなれば、田村麻呂をイヤな目で見るのも頷けるわね」
高瀬川の和樹
「全くだ。とはいえ、その見方に傾きすぎるってのも、あんまり好かんからなあ。互いの間に何があったのかは、互いにしか分からんのよ」
「こうやって色々見てると、いい感じに目が離れて、丁度いい」そう、旅人は息を吐く。
ゆり
「見方が変わってきた、って言ったわね」
ゆりが、和樹のスマホを横から覗き込む
語り手
そこには
ちょうど、和樹が開いていたある記事のページ
坂上田村麻呂ゆかりの、岩手県は清水寺に、今は阿弖流為の碑が建てられているというもの
風馬
田村麻呂のお墓は京都の山科にあるよ!
語り手
共に戦いあう宿命にあった2人の縁が、まるでその2人の見えない友情が讃えられているかのような、その取り合わせ
高瀬川の和樹
「ああ。……この寺は元々、坂上田村麻呂の戦の功績ゆかりの寺なんだそうだ」
ゆり
「へぇ。同じ東北なのに、ずいぶん温度が違うのね」
語り手
そして、和樹が調べた他のサイトでは、坂上田村麻呂は征夷大将軍ではなく、大伴弟麻呂がそれであった、との記事もありました
高瀬川の和樹
「そこに阿弖流為の碑が立ったってのが、見方が変わったってことだろうよ」
「……そういや、副将がどうの、って言ってたな」
ゆり
「えぇ、そんなこと最後に言ってたわね」
「自分はただの副将だった、って」
高瀬川の和樹
「このことかね」大伴弟麻呂、の記事を少し眩しそうに見ながら。
同じ人がいっぱいいる
風馬
この田村麻呂はん第二次(第三次)出征前なのかな
シロ
時代が違う同じ人が顔合わせなんて事にもなり得るのか
風馬
津軽為信(南部配下)と津軽為信(謀反後)のタッグマッチが
シロ
自分同士で喧嘩も可能!!

ゆり
ふぅん、とゆりはついた片肘に顎を乗せる
「てことはさ」
「敵将と約束をしたけれど、上司がそれを反故にした、ってこと?」
高瀬川の和樹
「そこまでは分からんなあ。阿弖流為を斬ったことについちゃ、上司が一人どうのというよか、京の── その時の大和国そのものの意志だったようにも取れるが」
「約束が反故になっちまったこと自体がどうだったのか、は、ぱっと見じゃどうにもな」
ゆり
「でも、大和に連行された阿弖流為は首を斬られちゃったわけでしょ」
手元のスマホで同じく調べ物をしていたらしいゆり
高瀬川の和樹
「おう、なんだそっちでも調べてたのか」
ゆり
「まぁね。私もちょっと気になっちゃってさ」
「でも、それなら坂上田村麻呂のせいじゃないじゃない」
「結果としては―――まぁ、そういうことになっちゃったわけだけどさ」
高瀬川の和樹
「それで納得がいくかよ。この町にとっちゃ、大和は坂上田村麻呂で、坂上田村麻呂は大和だ。誰の意志だろうが、された方にとっちゃ変わらんさ」
ゆり
「そりゃそうかもしれないけど……」
「それで、坂上田村麻呂はせめてもの罪滅ぼしに、今度は自分の首を差し出すってわけ?」
高瀬川の和樹
「そう、言ってたな。……外から見てる方からしちゃ、それも納得いかんのも、そうだがね」
ゆり
「大勢の決着は、もう昔についちゃってるんだから……」
高瀬川の和樹
「ああ、全くだ。だからこそ、それくらいしか、償う手が見つからんのだろうなあ……」
「……」何となく、やるせない気分になってVAPEを吹かす。甘いバニラの香り。
語り手
おとな2人の会話が盛り上がって来ましたので、お子様sの皆様も起きてきて構いませんよ
どうするのが良いか、みんなで考えてみるというのはいかがでしょう
ねむい! ねる! でもOKです
シロ
あついなぁもーって思いながら何となく聞いてた
シャーリー
あついあつい
すぴゅぅ……。
シロ
「おはかとかあるんならさー」
「そこにいってゴメンしたらいいんじゃないかなーー」
「とーいの?」
高瀬川の和樹
「うお、すまんな。起こしたか」
シロ
ごろごろごろごろ
「あちーの」
風馬
「なんだシロまだよるだぞ」
シロ
「ひまなの」
ゆり
「まだ夜よ」
シャーリー
「トランプでもしますか……?」
高瀬川の和樹
「悪い悪い、起こしたな。エアコン入れ直して寝るか」
風馬
「エアコンだな」スイッチオン
高瀬川の和樹
「おう、タイマーありで頼む」
ゆり
「そうねぇ……岩手まで取って返して、じゃぁちょっと遠いわねぇ」
語り手
ぴ、という音がして涼しい風が吹き始めます
シロ
うえにはかぜこないんだ。あたししってんだ。
おりよっと。
ゆり
「というか、わざわざお墓まで行かなくても、当人たちがこの街にいるんだから」
「顔を突き合わせてまずは話し合い、ってわけには行かないのかしらね」
高瀬川の和樹
「それな。あのおっさんが首を望むかどうかも分からんのだし」
シロ
「そーだよー、くびなんかもらってもつけられるわけじゃないしさーーーー」
風馬
「なんだ、あのおじさんとおじさんけんかするのか?」
シロ
「……なんにつかうの?」
ゆり
「そういえば、あの最初のおじさん―――阿弖流為も、坂上田村麻呂を探してることを思い出した! みたいな感じだったわね」
「やっぱり、許せん! ってことなのかしら」
シロ
「そんなかんじじゃなかったしーーー」
すずしー
シャーリー
「うーん……」
高瀬川の和樹
「だがあのおっさんは諸々忘れたままだ。思い出してもらわにゃ始まらん気もするな」
ゆり
「昔の戦場では、相手の首を切り落とすことで『やっつけた』証明にしたのよ」
シロに。
シロ
「えぇー、くびとられたらこまっちゃうよ」
ゆり
「ていうか、死んじゃうわよ」
シロ
「シヌ!!」
「マロそんなこわいひとにみえなかったぞ……」
ゆり
「過去のことはもう過ぎてしまったことなんだから、なんとか2人だけでもわだかまりを解くってわけには行かないものかしらね」
風馬
「……ゆり、やくそくをやぶったときってどうすればいいんだ?」
ゆり
「そりゃぁ、誠心誠意謝るしかないでしょう。相手が許してくれるかわからないけど」
「田村麻呂は、それで許してもらえないだろうから、自分の首を差し出す、って言ってるんだろうし」
シャーリー
「難しいですね……」
シロ
「くびほしいっていわれてからわたせばいーのに」
風馬
「やくそくをやぶって死んだのに、また死ぬのか?」
主語がない
ゆり
「……それが昔の武人の責任の取り方、ってことなのかしらねぇ」
高瀬川の和樹
「……結果、相手の首を取ったんだ。同じ物で返すにゃ、もうそれしかねぇってことなのかもな」
シャーリー
「……難しく考えすぎでは……」
高瀬川の和樹
「ともあれ、あのおっさんに諸々思い出して貰わにゃ、わだかまりを解くも何もねぇや。まずはそっからじゃねえか?」
ちびきつねさま
「そうだねぇ」
シロ
〈おもいだして〉があればいっぱつなのになぁー
高瀬川の和樹
ないんだよなー
シャーリー
ない……
ちびきつねさま
「そもそも、なぜ阿弖流為どのだけが記憶を失ってしまっていたのだろうね」
「この場にあっては、想像するのも難しいところではあるけれども」
ゆり
「とりあえず……」
「私たちが確実に居場所を知ることができるのは田村麻呂なんだし」
「もう一度彼に会って、もう少し穏便に済ませてくれ、とか、言ってみる?」
シロ
「なんていってたっけ?」
「くびほしいとか、けんかしたいとか、いってたっけ……」
風馬
「わからない、なんかおこってた」
高瀬川の和樹
「ん? 怒ってたのは阿弖流為の方だろ? 田村麻呂のおっさんは、首を差し出して謝る覚悟でいただけだ」
ゆり
「そうね」
高瀬川の和樹
「ああ、そうだ、夕方にアスパムの前にいるって言ったんだから、阿弖流為のおっさんに会ったら夕方まで待ってそこへ連れてこうぜ」
「会わなんだら、どうにもならんが」
ゆり
「アスパムの前、というかてっぺんで、って言ってたわね」
「展望台かしらね」
高瀬川の和樹
「それに、阿弖流為のおっさんも首が欲しいなんて言ってなかった。一言申しつけてやりたいとな、それだけ……ああ、てっぺんか。間違えた」
シロ
「だよなぁー? ふたりともくびほしいなんて、いってないよなぁ」
シャーリー
「……そうです」
高瀬川の和樹
「ああ。そりゃそうなんだ」
シロ
「あってゴメンていえばだいじょーぶだな!」
ゆり
「だといいけど……」
シロ
「つかれたからねる!!」
よじのぼって丸くなる。
シャーリー
「……うーん」昔の人は難しい。
「寝ましょう……」
ゆり
「あんたたちはシンプルでいいわね……」
シロ
記憶が消えた理由。
まだ未完成だったとかー、おにーさんの心が定まっていなくて作品にはっきりした情報が乗ってなかったとかー
高瀬川の和樹
「まあ、ともかく寝ようぜ。もう遅い」
うーん、と伸びをして寝る構え。
シャーリー
「わかんないことをあれこれ考えても難しいってことしかわかりませんし……」
ゆり
「もう1時か。そうねぇ」
風馬
「朝になったら起こしてやるぞ」
シャーリー
「ねむねむ……」
ゆり
「風馬、明日は8時に鳴くのよ」
風馬
「8時……それもう日が昇ってるぞ」
ゆり
「いいのよ、それで!」
風馬
「なんだ、起きたくないのか」
シロ
「たまにはふーちゃんもおねぼうしてみたら……ふわー」
ゆり
「じゃぁ、明日はとりあえず阿弖流為を探してみる、ということで」
「8時に起きるからいいの!」
風馬
「そうか」
高瀬川の和樹
「風馬、旅先じゃたまには寝坊もしてみるもんなんだ。明日がその日だ」
「というわけで、8時で頼む」寝床に潜り込んでスヤァ。
シャーリー
すぴ……と夢の中。
ゆり
「おやすみ」
ゆりも梯子を登って、バンクベッドのカーテンを閉めました
語り手
そして、キャンピングカーの中は静かになったのでした
高瀬川の和樹
Q: 雑では? A: 寝る構えなせい
シャーリー
中の人も低気圧でねむ……ってなってるの、困ってる……。

語り手
翌朝
風馬
「コッ……」
語り手
風馬が約束を守って8時に鳴いたかどうかはわかりませんが
シャーリー
「……うーん」
風馬
ガチャ、バタン。てってってって
「コケコッコー!」
てってってって。ガチャ、バタン
語り手
そんなことがあったとかなかったとか
シロ
「んー?」
ゆり
「うーん……むにゃ」
高瀬川の和樹
「うえぇ、ねう」
シャーリー
「むにゅ……」
語り手
みんなはキャンピングカーの中で、焼いたトーストで簡単な朝食を済ませてから
シャーリー
「……ああ、朝ですか」
「マシュマロトーストがいいです……」
語り手
青森の街へと再び出てきたのでした
シャーリー
青森だ~!
風馬
「あてるい、のおじさんはどこだろうな」
語り手
昨日、大きなねぶたが練り歩き、大勢の人が跳ねて叫んでいた街の道路は
今はもう、たくさんの車が走るいつもの様子になっていました
シロ
ヒトさがすなら変身した方がいいんだろうなぁ
シロ
ていっ!
高瀬川の和樹
「おお、祭りのあと、さなあ……」
語り手
お祭りの痕跡は、道端に残るテープで引かれた線だけ
しかし、今日も夜になれば、きっとまたねぶたが練り歩くのでしょう
シャーリー
「今夜も楽しみですね……」
人間になるか。

幕間
語り手
というわけで、シーンが一度切れました
お時間は朝でございます
高瀬川の和樹
おっとシーンがガチャコン
風馬
まくあい!
シロ
切れたのか
語り手
切れました
シロ
じゃあもらっとくねー
語り手
はぁい
シロ
おじさんと ゆりたちにそれぞれ2
高瀬川の和樹
おじさんへのつながりを1→2へ上げます。
語り手
おじさんsから
風馬
きつねゆり1→2に、以上!
シャーリー
こちらもおじさんを2に。
ゆめ5消費。
語り手
シャーリーへ2に上げます
シャーリー
わーい!
シロ
変身コストは8支払い済みだよ
語り手
田村麻呂と会わせるために
高瀬川の和樹
コストはふしぎから6、おもいから2支払います。
で、シーン登場分
シャーリー
ふしぎから2点おもいから6点、で完全変身。
風馬
おもいふしぎ44で完全変身!

語り手
まずは阿弖流為を探そうと街へと出てきたみんな
街には、昨日の夜ほどではないですが、人がたくさんいます
その中から、あの熊のような大きな体を探そうと
あちらこちらへと目をやりながらみんなが歩いておりますと
横断歩道のところで、首を傾げながら紙を見ているおじいさんが居ました
歩行者用信号が変わって、とおりゃんせの音楽が流れ始めても、渡ろうとせず
手元の紙を見ながら困った顔で首を傾げるおじいさん
時折、あたりを見回りながら
シロ
おじさんじゃなくておじーさんだった
シャーリー
「どうしました……?」
シャーリー
あの若い兄ちゃんの祖父かな。
語り手
「お?」
シャーリーに声をかけられて、おじいさんは紙から顔を上げました
紙はどうやら、地図のようです
シロ
祖父地図か……
語り手
「これはこれは、お嬢さん。こんにちは」
おじいさんは、困り顔を消してにっこりと微笑むと
麦わらで編まれたハットを脱ぐと、頭を下げました
「ちょっと、道に迷ってしまいましてな」
毛のすっかり少なくなった頭が、夏の日差しにぴかりと光ります
高瀬川の和樹
なかなかジェントルなお爺さん
シャーリー
「あら……困りましたね……」
語り手
「久しぶりに青森まで来たんだが、やっぱり田舎者はいけないねぇ」
手に持ったステッキの柄でこめかみを掻いて、笑いました
高瀬川の和樹
「ん、どうした?」 何か話してるのに寄っていく。
シャーリー
「あら……」
「おじいさん……迷ったらしくて……」
風馬
「まいごか?」
シロ
「どこいくんだ?」
語り手
「おやおや、これは大勢で。こんにちは」
もう一度、頭をみんなに下げます
高瀬川の和樹
「ああ、こんにちは。どこ目指してるんだい?」
風馬
「こんにちは」
語り手
「ああ、ねぶた小屋にね。行きたいのだけれど」
「地図も私もすっかり老いてしまって」
シロ
「ねぶたごや!!」
シャーリー
「案内できると思います……」
たぶん、きっと、めいびー!
語り手
「そりゃぁありがたいが……」
シロ
さいあく不思議パワーで案内できるぞ
語り手
「お嬢さん方は、旅の方なんじゃないのかね? 何もこんな老いぼれに、大切な時間を使ってくれなくてもいいんだよ」
高瀬川の和樹
「いやいや、いいってことよ。俺達人探ししててな、如何せん当てがねぇんで困ってたとこさ」
「ねぶた小屋に行く最中にでも、見つかるかもしれんしな」
語り手
「そうなのかい?」
シャーリー
「そうですよ……」
「世は情け……です……」
語り手
「それじゃぁ、申し訳ないが教えていただこうかな」
言って、縮んでしまったような小柄なおじいさんは、皺の深い顔をくしゃっとして笑いました
「ああ、ちっとの間だがよろしくな」
シロ
「あ・て・るィってゆー、がははってわらうおじさん、しらないか?」
「あっ、よろしくする!!」
シャーリー
「よろしくおねがいします……」
語り手
「阿弖流為?」
ハットを被り直したおじいさんは、不思議そうな顔でシロを見遣ります
高瀬川の和樹
「ああおいおい、阿弖流為似のおっさん、だろう。こういう、熊みてぇな面したでかい図体の勇ましいおっさんを探しててな」
語り手
「ふむ……」
ステッキの柄を顎に当てて、おじいさんは少し考えて
「なるほど、阿弖流為さんのようなお人を」
「そりゃぁ目立つだろう」
高瀬川の和樹
「そうそう」
シロ
「しらないかー」ショボン
高瀬川の和樹
「その様子だと、見ちゃねえか」
シャーリー
しょもも……。
シロ
すぐに気を取り直して先頭歩く。
語り手
おじいさんは、ステッキを突きながら、ついて行きます
「ふむ」
「みなさんは、阿弖流為さんに会ったのかね?」
風馬
「あったぞ」
「最初はけんかしてたし、なんにもおぼえてないし、すぐどっかいくぞ」
シロ
「そーだよなー、なんですぐまいごになっちゃうんだろーなー」
「マロがこまっちゃうのもあたりまえだぞ」
語り手
「マロ?」
シロ
なにげに二文字で名前覚えてる!!
シャーリー
「……何でしたっけ?」
「さかのうえの……まろ……?」
語り手
「坂上田村麻呂」
シャーリー
「あ……その人です……」ざっつらいと!
シロ
「さっちゃん!!」
語り手
「なるほど、なるほど」
おじいさんは、歩きながら頷きます
「お二方に会いなさったと」
「これは、飛び抜けたご縁かもしれないね」
高瀬川の和樹
うーん、と考えたのち、フォローを投げた。怪訝な顔はしていないようだし、好きに解釈してくれればよかろ。
シャーリー
「……ですね……」
なにも考えてない鳥。
シロ
「でもふたりともすぐどっかいっちゃうから、たがいにさがしてるのにあえないんだぞ」
シャーリー
「悲しいです……」
語り手
「なるほど、そりゃあ困ったものだね」
「それなら、よかったねぇ」
「何せ、私はお二方とは長い付き合いだからね」
「道案内のお礼も、もしかしたらすぐにできるかもしれないよ」
高瀬川の和樹
「長い付き合い?」
シロ
「しりあいか!!」
風馬
「そうなのか!」
語り手
「ああ、そうともさ」
頷きます
シロ
「おじーさんも、ぶたでむかしのひとなのか?」
シロ
超失礼
シャーリー
「ねぶたです……」
シロ
「ね、ブタ」
シャーリー
「ねぶた……」
語り手
おじいさんは、はっは、と笑い
「私は残念ながらねぶたではないねぇ。昔の人ではあるけれど」
高瀬川の和樹
「……もしかして、坂上田村麻呂蝦夷討伐のねぶた作ったの、爺さんかい?」
語り手
おじいさんは、おや、と和樹の言葉に少し驚いたようでした
シャーリー
「……あら」
風馬
「つくった?」
語り手
「うれしいねぇ。旅のひとが私のことを知っていなさるとは」
特技:和樹の直感
シロ
ワ・ラッセで顔写真見たかなぁ
高瀬川の和樹
根拠:和樹の直感
語り手
ナイス直感
シャーリー
すごいんですよね
シロ
スムーズに話が進むんで助かる。

高瀬川の和樹
「おお、もしかしたら、と思ったんだが、そうだったかい。ワ・ラッセで見たんだ、見事なもんだったよ」
語り手
「そうかい。それはそれは、ありがとう」
「申し遅れてしまったね。私は、田澤八郎と申します」
歩きながら、ハットを取って、もう一度頭を下げます
風馬
「あれつくったのか……すごいな」
高瀬川の和樹
「これはこれは、あのねぶたを作った人に会えるなんて、旅人冥利が過ぎらぁ。高瀬和樹だ、よろしく」
名乗りに名乗りで返す。
語り手
「どうも、ご丁寧に」
シャーリー
「シャーリーと申します……」
風馬
「オレは風馬だ」
シロ
「シロだぞ!!」
ゆり
「ゆり、よ」
ちびきつねさま
「私は……ぎゅう」
咄嗟にカバンの横腹を突いたゆりにちびぎつねさまの声は止められました
語り手
「これはこれは、みなさんご丁寧に」
「まぁまぁ、まずはねぶた小屋に行ってみようじゃないか」
高瀬川の和樹
「ああ、そうしようか」
シャーリー
「はい……」
語り手
そんなこんなでおじいさんとみんなは
青森の駅前と通り、『アウガ』と看板のついた、観光客がたくさん集まる、美味しそうな匂いが漂う建物の前を通って
見覚えのある場所までやってきました
シャーリー
見覚えがあるなぁ(こなみ)
語り手
「やぁ、ここだここだ」
昨日見た、ねぶたの収められた小屋が立ち並ぶ前で
「お陰で滞りなく辿り着けたよ。ありがとう」
おじいさんは丁寧に頭を下げました
シャーリー
「良かった……です……」
風馬
「ここでいいのか」
語り手
「ああ、ここだよ」
風馬
「あてるいのおじさんともここであったんだぞ」
シロ
「そういえば、おじさんもあっちにいきたがってつかまってたな」
語り手
「おや、そうなのかい」
高瀬川の和樹
「ああ、いいってことよ。そういえば、爺さん。何を思って、あのねぶたを作ったのか、少し聞いてもいいかい?」
「踏み込む話じゃなけりゃ、やめとくがね」
語り手
「うん? 坂上田村麻呂かい」
高瀬川の和樹
「ああ。この界隈じゃあ珍しかろう」
語り手
「ああ……そうだねぇ」
おじいさんは、ふと、寂しそうな顔になりました
「みなさんは、お二方のことはご存じのようだね」
高瀬川の和樹
「ああ。旅人なりに、じゃあるがね」
シロ
「あったぞ!!」
語り手
「ふむ」
「坂上田村麻呂は、この地の英雄の阿弖流為さんを裏切って、この地を平らげた」
「そんなところかな?」
シャーリー
「……うーん……?」
シロ
「そんなかんじだったかな??」
シャーリー
瑞樹さん任せた……。
語り手
それ和樹のお父さんや
シャーリー
せやった
和樹さん。
高瀬川の和樹
「坂上田村麻呂は、阿弖流為にこの地を救うと約束したが、京の公家らの反対にあって、ままならなかった」
「それが、そうさね…… 当人から聞いた話だ、と聞けば、信じるかい?」
語り手
「そうか……なるほどねぇ」
高瀬川の和樹
「腹立てねぇんだな、爺さん。そんな法螺をふかれてよ」
語り手
「そうだねぇ」
「私も、同じ考えだったからかな」
シロ
「おんなじ?」
語り手
「私らねぶた師は、いろんな物語を切り出して、ねぶたを拵える」
シャーリー
聞く体制。
語り手
「けれど、ただ他の人から聞いただけの話をねぇ、そのまま形にしたって、そりゃぁ魂ってものが入らないんじゃないか」
「悪戯に長く同じ仕事をやってると、ちょっと臍の一つも曲がってくるものでね」
「そんな風に考えた私は、毎年阿弖流為さんのねぶたをただ作ってばかりというのも面白く無くなってね」
「まぁ、調べてみたのさ、色々と素人なりにねぇ」
「いろいろな文献も読みあさったし、いろいろな人の話も聞いた。京都の山科とかいうところにも行ったっけねぇ」
「そうしていると、物語や歴史というのは、違った見え方もしてくるものでね」
「そんな私なりの考えを形にしたのが、あのねぶただったんだよ」
蝉の鳴き声がじわじわと響く青森の街の片隅で、おじいさんはみんなに語って聞かせました
高瀬川の和樹
「……成程なぁ。歴史家でもあるんだな、ねぶた師ってのは」
「色々な物語を切り出して……、か」
語り手
「なぁに、私ほど偏屈な人間はそういないさ」
おじいさんは苦笑いをひとつ
高瀬川の和樹
「偏屈どころか、随分と柔軟だと思うぜ。そんな話が聞けるとは、爺さんと会ってよかったよ」
シロ
「ねぶたつくってるひとならあったことあるぞ」
「マロとあーちゃんのねぶたつくったおにーさんだ!!」
語り手
シロがそう口にしたところで、本日は〆ましょうか

コメント
過去の現実の人々と、ねぶたを作った人々の想いによって、なんだか複雑なことになっているみたいです。
はやくみんななかなおりすればいいのにな!!

プレイヤーはなんとなく「ああこういうことか」と分かっているのだけれど、もののけたちはなかなかぴんときません。
がんばれもののけたち。お祭りが終わってしまうぞ!

ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。