シロ
モフ
風馬
コケ
GM
ジャキーン
春日 晴姫
います
シャーリー
はい
低気圧に負けそうな生命です
高瀬川の和樹
おのれ低気圧……
風馬
天気悪いと鳥も飛ばないからね
シロ
観戦モォード
風馬
和樹の公道最速理論

GM
暗い山道を、みんなを乗せたスポーツカーが疾走します
出遅れた形ではありましたが、やがてハイビームに照らされる山道の向こうに、赤い一つのランプが見えてきます
ゆり
「ひとまず追いついたわねぇ」
高瀬川の和樹
「お、見えてきたな」
シロ
「おいつけおいこせひっこぬけー」
別に抜くのが目的ではなかったはず。
ゆり
「離されんじゃないわよ、和樹」
高瀬川の和樹
「おうよ。しっかしなんだ、飛ばすってのもたまにはいいもんだな」
ちょっと楽しそうにハンドルを操りながら。
風馬
「速すぎてなんにも見えないな……」
ゆり
「前の方見てなさいよ。酔うわよ」
ちびきつねさま
「追いついたり追い越してしまうと、彼の思惑も知れないかもしれないからねぇ。ほどほどにね」
高瀬川の和樹
「ま、そりゃそうだ」
シロ
そういえば、四本足いるかな?
語り手
しばらく、夜道のランデブーが続きます
シャーリー
いえいいえい
シロ
「あたしも走りたいなぁ」
ルーク
「シロちゃんさんは、くるまよりもはやく はしれるですか」
シロ
「はしれるー!」
「はしる? とは違うかな? ついていけるよ」
シャーリー
「速いんですから……」知らんけど。
雪花
「すごいなー。飛ばないと追いつけないよ、絶対」
シャーリー
「ふふっ……」
シロ
「でもついてったらみんな悲鳴上げて走り出すんだよねー」
風馬
「噛みつかないのにな」
ちびきつねさま
「ふふふ、みんな面白い顔で逃げてゆくねぇ」
語り手
登りが続き、やがて道がなだらかになる頃、窓から見える右手の方に、黒々とした森の影が途切れ、広く開けたところが見えてきました
道から少し降ったところには、銀色に浮かぶお月様の光を受けた、黒い水面が広がっています
高瀬川の和樹
一瞬だけ、ちらりとそちらに眼をやる。いかんせん速い、よそ見は事故のもとだ。
シロ
「フタワコだな! フタワコだ」
高瀬川の和樹
「ワコ? ああ、二和湖。そういや湖があるっつってたな」
シロ
「フワタコ」
高瀬川の和樹
アカシタコ
ルーク
「そうなのです。ふっかつしたふたわこなのです」
シロ
「フッカツ?」
高瀬川の和樹
「復活?」
雪花
「前は、泥だらけの泥だまりだったんだよね。三太くん元気かなぁ」
風馬
「泥が水になったのか?」
高瀬川の和樹
「干上がってたってことか? 新しい神様と何か…… っとと、いかん」突然の急カーブ! 運転に集中する。
ゆり
「ちょっと、気をつけなさいよ!」
シャーリー
あらあら……。
「さんたくん……?」
ルーク
「おおさんしょううおの さんたくんなのです」
「すこーしまえ、ふたわのたきがふっかつしたので、ふたわこもふっかつしたのです」
風馬
「さんしょう……ふたわのたき…」混乱している
シロ
「いろいろフッカツしたんだな」
シャーリー
「復活はめでたいことです……」
ちびきつねさま
「さっき、和樹がもらった紙束を読んで見たのだけれどね」
「昔から、この二和町には滝があって、そこから龍神を奉ずることが興きたそうだねぇ」
「でも、それが枯れてしまって、流れ込んでいた湖も枯れてしまった……そうだよ」
「それが蘇ったとは、おめでたいことなのかもしれないねぇ」
シロ
「おめでたかー」
シャーリー
「おめでた……」
語り手
などと走りながら、山道の分かれ道を左へと曲がり、バイクは走り続けます
ゆり
「昨日みたいに、伊香保の方へ行くみたいね」
シロ
四つ足の獣はまだいないのかな。
ゆり
「何しに行くってのかしら。こんな夜中にーーー」
語り手
ゆりが、そこまで口にした時
シロが後ろ足で立って、おっかなびっくりに窓の外を覗いていた時
不意に、スポーツカーのライトの光の中に、影が飛び出してきました
シロ
「ピャッ!」
カチカチになりました。
全身の毛が逆立ってたわしになっています。
シャーリー
「シロちゃん……?」
風馬
「どうした?」
高瀬川の和樹
「!」咄嗟にブレーキ。同時にシフトダウン。
語り手
不意の闖入者に目の前へ割り込まれた和樹は、おとなで判定をお願いします
目標値は7!
高瀬川の和樹
おもいを4消費して3+4=7!
語り手
急なブレーキとシフトダウンによって、前の方へと押しつけられるようにつんのめるみんな
シロ
「にゃあぁぁあぁぁ!?」
誰かの膝の上に転げ落ちます。
怖がりすぎて、異常は感知できるけど警告はできない……
風馬
「うわっ」
シャーリー
「きゃあっ!?」
シロ
「きたきたきたきたきたキタキタ! こわいのキタ!」
語り手
更に、荷重が一気に前へと動いたことで、このスポーツカーを走らせるための後輪から荷重が抜け、お尻の方が横へと滑り始めます
和樹は咄嗟に左足の踵でクラッチ、つま先でブレーキを踏み込み、更に目まぐるしいアクセルの操作とハンドルさばきでスポーツカーを操ります
何度か右に、左にとお尻を振りながらも、スポーツカーはぶつかったりすることもなく、どうにか体勢を立て直しました
風馬
ヒール&トゥができる河童
シロ
何者だ。
ゆり
「―――よ、よくやったわ、和樹」
グラブバーにしがみついたゆりが、引き攣った顔で笑います
シロ
「あいつだあいつあいつ! あたしが見たの! くびなしカニの後に来たヤツ!」
※まだ影しか見てません。
さあ、本当にそうかは知らないけど。
高瀬川の和樹
「はぁ……、ったく、ロデオかってんだ。初チェイスでこいつは高難易度過ぎるぜ」
風馬
「尻尾を掴んで振り回されたみたいだ」
シャーリー
「……」心臓がばくばくとなっている。
シロ
和樹さんゲームやシミュレーターで経験積みまくってたんだろうか。
高瀬川の和樹
正直な所、さすがにこんなテクニックを身に着けてはいない。クラッチとアクセルを通して、ゆりの感覚を少し借りたのだ。
この車が ”飛乗物” でなければ、大事故になっていただろう。
高瀬川の和樹
おもいでおとな3 → 7までブーストしてるので、もののけ的なサムシングでなんとかしたんじゃないかな~と思い、こんな演出になりました>表
普段は平和な軽トラユーザーだよ。
語り手
GOOD演出でした!
シロ
なるほどなるほど!
高瀬川の和樹
「で、そりゃあいいとして、何だ……」前の状況を確認する。
語り手
大きく振られ、暴れるスポーツカーのライトの中、何か細長い尻尾のようなものが見えた気がしました
しかしそれは、体制を整えた頃にはすでにライトの届かぬところへと離れてしまい、ただ森の葉の隙間から漏れる月の光の下、何かの影となっていました
和樹が必死に体勢を整えていた内に、バイクの赤い光も遠くなり、影はその光へとみるみる近づいてゆくように見えます
風馬
「あいつも、追いかけてるのか」
高瀬川の和樹
「そう見えるな…… 何だ、あいつ? みんな、大丈夫か? 放り出されてねえか?」再加速を始める前に、全員いることを確認する。
ゆり
ゆりがシートの間から後ろを覗き込み
「一応、メンツは揃ってるわね」
シロ
「いるヨォ」
シャーリー
「います……」
ルーク
「だいじょぶ、なのです」
少しクラクラとしながら、ルークが答えます
雪花
「えあこん、ぐるぐる回った!」
ゆり
「和樹、舐められっぱなしで終わんじゃないわよ!捲ってやんなさい!」
高瀬川の和樹
「おう、また何か撥ねたかねぇから程々にな!」言いつつ再加速。
語り手
獣の唸りとも、吠え声とも取れるエンジンの音を上げて、スポーツカーが加速します
すると、ほんの少しして、すぐに目の前にバイクの赤いライトが見えてきました
あの影は、いないようです
バイクを追い越して行ってしまったのでしょうか
高瀬川の和樹
「居ねぇな……」 周囲にも気を配る。また飛び出してこられたらたまらない。
風馬
「いないな」周囲をきょろきょろ
語り手
バイクは、影に気づかなかったのか、それともそれを追っているのでしょうか
背後にスポーツカーの光が近づいたことに気付いたのか、少し速度を上げました
わずかずつ、離れてゆきます
ゆり
「突き放そうっての?いい度胸だわ、和樹、二輪なんかに負けんじゃないわよ!」
高瀬川の和樹
「煽んな煽んな」呼応してこちらも速度を上げる。
シロ
「ヤダコワイ ヤダコワイ もうオリる……」
語り手
再び、距離が詰まります
しばし、バイクとの追いかけっこ。
山道のカーブを右に、左にと曲がりながら、続きます
しばらく走ってから。
ゆり
「……妙ねぇ」
ゆりがポツリとつぶやきました
高瀬川の和樹
「……どうした」
ゆり
「遅すぎんのよ」
「こんな、ロクに直線もない山道のワインディング。いくら250ccだからって、コーナリングと立ち上がりで、バイクがここまでもたつくことは無いはずだわ」
「それでなくても、こっちは大所帯でハンディ負ってるってのに」
「何より、もう下りだしね」
シャーリー
「……なんででしょうね?」
シロ
「くびがないからだようぅ」
ゆり
「首ぃ?あるじゃないの」
ゆりが指さす先、バイクにまたがる人影にはちゃんと首、ヘルメットがあります
高瀬川の和樹
「こっちを油断させて、直線に出たら一気に引き離すつもりか? いや、でもなあ。街中に出てから飛ばすなんて、狂気の沙汰だしな」
シロ
「あるのか……」
語り手
さて、そこで
バイクはなぜ遅いのか?
おとなで6以上でそれに気づくことができるでしょう
あ、風馬はどうぐがたりでもOK
高瀬川の和樹
おっ。どっちがいきましょう?>風馬
風馬
おとな4の人いる?
高瀬川の和樹
こちらは3
語り手
相手がバイクなので、直感的にわかる、って感じ>どうぐ
高瀬川の和樹
正直このRPなら4でもよかったな、と思う中の人であった
語り手
足し蟹
高瀬川の和樹
カニカニ
シロ
そんじょそこらのぼんやり生きてる人間より人間力高いよね。
高瀬川の和樹
わりと都会の人間レベルのおとなありそうなかんじになった
シロ
おとんと真逆
高瀬川の和樹
それ
シロ
おとんはおとんで「オトナ」ではあったけど。
高瀬川の和樹
それはある。どちらも成熟してはいるんだけど方向性のちがい。
シャーリー
おとなは2!
風馬
ふしぎも思いも潤沢にあるのでどうぐがたりでもOK!
高瀬川の和樹
じゃあ折角なので風馬さんにお任せ!
風馬
ではふしぎ2,おもい4消費して「どうぐがたり」
「あのバイク……」じっと見つめる
高瀬川の和樹
「どうした、なんか気づいたか」
語り手
では、風馬はなんとなくわかりました
あのバイクという乗り物の走り方、曲がり方は、動物でいうなら猫のようなものなのだと
高瀬川の和樹
あ~ 例えと理解のしかたいいなあ>表
シャーリー
にゃぁん
シロ
にゃー
シャーリー
ねこだ!もふらせろ!
風馬
なおツバメは獲物枠
高瀬川の和樹
くわれる
シャーリー
おいちい!!!おいちい!!!
語り手
いつか、屋根の上から狩りをする猫を見た時、猫は体を大きく傾けて、全力で地面を蹴って横っ飛びに飛ぶように駆け足を曲げ、獲物へと飛び掛かっていました
でも、あのバイクという乗り物は、曲がる時全然体を傾けていません
あれでは、駆け足で地面を強く蹴ることができず、早く曲がったりすることができないでしょう
だから、曲がり道に差し掛かるたびに、モタモタと遅れているのだと。
風馬
「……あのバイク、腰が曲がらないのか?」
高瀬川の和樹
「腰?」
高瀬川の和樹
また言い方もいいなあ
風馬
「シロみたいに、曲がるときに体が倒れない」
シロ
「?? うん、ナナメなるよね? 走ると」
風馬
「だから、曲がり角でおみこしみたいに止まらないといけない」
高瀬川の和樹
「! 言われてみりゃあ、全然傾けてねぇ…… 何だ、サイドカーでもつけてる訳じゃねぇよな……」
シロ
「あのカニ、ナナメならないから、おっとっとってなるよね?? なってるのか」
シャーリー
おっとっと!!!
語り手
森永
高瀬川の和樹
「ああ。追っかけるのに集中してると、案外気づかねぇもんだな」
風馬
「そばでも運んでるんじゃないか」
ゆり
「なるほどねぇ……確かに全然バンク切れてないわねぇ」
シロ
「……へたくそ?」
ゆり
「ぶっちゃけるとそうね」
シロ
「最初からそんなへたくそだったかな??」
語り手
思い起こせば、割と最初からそんな感じでした
だからこそ、出遅れたにも関わらず、みんなが追いつくことができたのでしょう
高瀬川の和樹
「このスピードで蕎麦配達か? なんか食いたくなってきたな、明日は蕎麦にするか」バイクの横に何か荷物や側車のたぐいはありますか? または、同乗者がいるようですか?
シャーリー
油そば食べたくないですか
私は食べたい
語り手
荷物や、余計な同乗者は見えません
気がつくと、バイクとの距離は更に詰まっていました
すると、それに慌てたのか、カーブの手前でバイクは加速し―――
シロ
あっ
突如華麗な連続ドリフトを
ゆり
「今、加速すんの!?」
シャーリー
「えっ」
高瀬川の和樹
「あっおい」それは不味い。カーブ、しかも下りだ。「速度を!出さないでください!!!!」というでかい看板が見える。
語り手
そのままでは曲がり切れない、と慌てたのか、バイクはこれまでの走り方が嘘であるかのように、大きく体を傾けーーー
風馬
「倒れた」
語り手
後輪が、ずり、とほんの一瞬ですが滑ったように見えました
そこから起きた出来事は、一瞬の間に目まぐるしく、まるでバイクが踊っているようでした
急に減速したかと思うと、今度は跳ね上がるように体が起き上がり、逆側へと倒れるように見えたかと思うと、後輪が再び大きく、反対側へと滑り
シロ
マリオカートみたいな連ドリキメたの?
風馬
そろそろスピンしそう
語り手
先ほどのスポーツカーのように何度もお尻を振りながら
その中で、堪え切れなくなったのか、乗っていた人影はすぽーん、とバイクの上から放り出されたのでした
風馬
「落ちた」
シロ
「あああぁぁぁぁ!」
あたしなんもできない。
ゆり
「ちょっ……」
高瀬川の和樹
「あ、お、おい!」
咄嗟に〈つかまえる〉! 片ハンドルになって、片手を長く伸ばしてその人影をキャッチしようとする。
語り手
どうぞ!
高瀬川の和樹
ふしぎ4消費して<つかまえる>使用!
語り手
ウィンドウの隙間からにゅ、っと伸びた和樹の腕が、宙を舞う人影を捉えます
シロ
「やたっ!」
語り手
そのとたん
ぼき、っという手応え。
空中でキャッチされた人影の頭は、被っていたヘルメットごともげ落ち、少し離れた道路へと落ちると、がこっという音とともに一度、二度跳ねてから、ゴロゴロと道路を転がり、やがてようやく止まりました
高瀬川の和樹
「ゲッ」
シロ
「――――――――!!!!!!」
最大びっくりで気絶しました。きゅう……
風馬
「首が落ちた……」
高瀬川の和樹
速度を落とし、車を止める。
急いで車外へ出て、転がっていった頭を確認。
「おいおい、事故らせたかった訳じゃねぇぞ」煽り運転が厳罰化された話が脳裏をよぎる。それから、いやそういう問題じゃないな、と首を振る。
風馬
同じく外に出て体を確保。
語り手
秋が近づいていたのか、五月蝿いほどの虫の声
その中で、気がつけば転倒を免れて停止したバイクとスポーツカーのエンジンの音が静かに響いています
和樹が恐る恐るヘルメットへと近づくと、
黒い色が入っているのか、中の顔も覗くことができないヘルメットが、まるで地面から生えているようにじっと佇み、自分の首を落とした和樹を見つめています
それを拾い上げると
中から中身がこぼれ落ちました!
高瀬川の和樹
「おわっとっとっと」おわおわおわ。
シャーリー
おわーーー……
語り手
落ちた中身は、道路に落ちると、ぼそっという軽い音を立てました
それは、人の頭と同じような形で―――
しかし、肌は真っ黒、そして首の切り口には何か白いものがのぞいていました
高瀬川の和樹
前に雑談で出た「スマホいじりながら免許更新の完了待ちしてる和樹」をちょっとキャッチしました。>表
語り手
講習ちゃんと受けたんだね、えらいねぇ
シロ
えらーい
なんかもう、生まれがちょっと特殊なだけのお兄ちゃんだよね。
住居もちょっと特殊かー
高瀬川の和樹
ビーストバインドかな? と思ったけどBBの魔物勢より人間だ。
シロ
なんてこったい。
語り手
和樹にならわかるでしょう
それは―――発泡スチロール……?
高瀬川の和樹
「……人形?」
シロ
素材がヤワすぎるぞ!
シャーリー
人形……。
デュラハン……?
語り手
同じく、風馬が見に行った体の方も
倒れた今でも、まだバイクに乗っているかのような姿勢のままの体
そして、首の切り口のところからは、白いものが覗いていました
風馬
「なんだこれ、にせものだ」
シロ
「うわぁぁぁぁんカニがオレタァァァァ!」
叫んで正気に戻る。
語り手
バイクは、アイドリングをしたまま、誰がそうしたのか、それとも偶然か
スタンドを出して、路肩に駐車しています
高瀬川の和樹
「──あっちが本体か」
人形の頭を手にしたまま、停止したバイクの方を振り返る。
語り手
「い……」
「犬が喋った!?」
不意に、そんな驚いた声が聞こえました
それは、バイクの方からであったような……
風馬
「犬じゃないぞ、シロだ」真顔
シロ
「シロ! だ!!」
語り手
「……え、シロ?」
シロ
貴方の周辺ネコが喋っているでしょうに。
高瀬川の和樹
「っていうかお前、さっきの場所で加速は無茶だぜ。煽って悪かったけどよ」
バイクに寄っていく。
語り手
「うっ……」
シャーリー
「……大丈夫、ですか?」
語り手
和樹の忠告に、小さく呻くような声が聞こえたかと思うと
しのぶ
ふと気がつくと、バイクの向こうにいつの間にか一人の男の子が立っていました
シャーリー
かわいいねぇ……。
シロ
「あれ、折れてない」
しのぶ
「皆さん……もしかして、もののけ……?」
男の子は、恐る恐るそう呟いたのでした
ってところで閉めましょうか
シャーリー
もののけだよぉ

シロ
ぱたむ
高瀬川の和樹
はーい、お疲れさまでした!
シロ
おつかれさまー
風馬
お疲れ様でした!
シャーリー
お疲れ様でした~
見学
いきてます
風馬
コケ
嵐山カエデ
虫の声
シャーリー
こけぇ
嵐山カエデ
コケの一念
高瀬川の和樹
蟲の声
こんばんはー
シロ
こばわ
嵐山カエデ
みなさんいらっしゃるね
それでは始めてまいりましょう
高瀬川の和樹
今日はカエデさんがGMですか
語り手
大変失礼しました!

しのぶ
一人の男の子が、停車しているバイクの向こうで恐る恐るこちらを伺っています
風馬
「やっぱりお前が走ってたのか」
シロ
「ぐるるるる」
高瀬川の和樹
「おう、まあな」
シロ
あれ、なんか見たことあるやつだ。
高瀬川の和樹
「追いまわして悪かったな。どっかぶつけてねえか?」
アオリ運転しちゃったのでまずは謝る。
風馬
けしかけたのはゆりだけどな!
高瀬川の和樹
せやな!
ゆり
「なんであたしの方見んのよ」
シロ
もう転んだヤツを転ばせる訳にはいかないな。
風馬
まさかの二次被害
しのぶ
「いえ……大丈夫です」
「あの、みなさん何でこんなところに……?」
風馬
「何でって、神社から追いかけてきたんだぞ?」
なお目的はよくわかってない
しのぶ
「ええっ、な、なんで」
シロ
「くびなしライダーやっつけるため?」
え、ちがう?
「神様助けるためにきたら首ありライダーがポキンと折れて首なしになったらもどった」
シャーリー
「……?どういうことなんです……?」
風馬
会話にならない人外たち
高瀬川の和樹
「いや、そうじゃなくてよ。そうじゃなくて…… ……途中から目的がどっか行ってたな。ああ、そうよ。ここんとこ夜毎走ってんだろ? 何か悩んでんじゃねえかと思って、話を聞こうとしたのさ」
「まあ、その結果こんなことになっちまったが……」
半分目的を忘れていた気がする。頭を掻く。
ルーク
「しのぶくん、さいきんおなやみなのです?ししゅんき?」
シャーリー
思春期かぁ……。
しのぶ
「ええと……」
「あれは、マネキンですよ」
風馬
「マネ……キン?」周囲をきょろきょろしている
シャーリー
「マネキン……」
シロ
「まねキーン?」
あの白いのがそうなのか。
「いきてないのか」
しのぶ
「誰も乗ってないバイクが走ってたら、見た人がびっくりしちゃうから、マネキンを載せていたんです」
風馬
「マネキンってこれのことか、あれ?もう1人のやつはどこいった?」
しのぶ
「ボクはまだ4歳だから、思春期じゃないですよ……」
シロ
「首ない方がびっくりだ(プンスカ)」
しのぶ
「もう一人?」
風馬
「途中で別のやつと一緒に走ってただろ?」
「お前の仲間じゃないのか」
シロ
「くろいの! よつあし!」
しのぶ
「別の……ああ、それは……」
しのぶの顔が少し暗く沈んだように思ったその時
語り手
不意に、虫の声がぴたりと静かになりました
シロ
「にゃっ?」
風馬
「風がやんだ」
高瀬川の和樹
「……?」
語り手
そして、道の先の方から、何やら音が
ずし、ずし、という何か重たいものが歩いているような、音
高瀬川の和樹
そちらを見る。
「さっきの影か……?」
語り手
それは段々と近づいてきて、
止まっているスポーツカーとバイクのライトの光の中に、突然姿を現しました
シロ
ススス……と風馬のうしろに隠れる。
シャーリー
「……何……?」
本当に何!?
風馬
「なんだ……?」
シロ
よつあしじゃないじゃーん
※現れたのは後足で立つ恐竜
語り手
前足
語り手
何か、大きなものが、光の輪の中にいます
シロ
「ながいいきものだ」
風馬
「毛のない……とり?」
語り手
青白い肌、確かに鳥を思わせる両足
しかし、その足と胴体から生える手のような部分の先には、見るからに鋭い大きな爪が生えていました
高瀬川の和樹
「──は、」 一瞬、本気で呆気にとられた。それが何か、知っているからだ。
「おいおい。狸か? 狐か? 道路の上で悪戯すんなよ、」
シャーリー
「……こわい……です……」これびっくり判定入らないのかな?
語り手
『オセェナァ、オマエラァ……』
ぐるぐると唸るような音と共に、みんなよりずっと高いところから、低く濁った声が降ってきました
高瀬川の和樹
恐竜=は??? 狸・狐=普通に存在 そんな和樹くん的現実逃避
語り手
それが恐竜であるとアイデア成功してしまった和樹はSANチェック
高瀬川の和樹
和樹のSANいくつだw
語り手
割と高そうw
高瀬川の和樹
確かにw
でもメンツの中で珍しく「人間」的正気度持っていそうでもある

風馬
「おそい?はやかったぞ?」くい、と上を見上げる
語り手
風馬が見上げるその先から、何か赤い光が二つ降りてくると
それは光の中で、いかにも恐ろしげな顔として現れました
シロくらいなら一口で平らげてしまいそうな口には、大きな牙が並び、ぐぐぐ、と唸るような笑い声を響かせます
『オレサマヨリオセェ オマエラ ナンカ トマッテル イシコロ ト オナジダゼ』
聞き取りづらい声で、笑いました
シロ
再度気絶。
高瀬川の和樹
「おいおい……、お前なにもんだよ。狐か? 狸か? 鎌鼬どもか? その姿はちっと冗談きついぜ、」口の端を引きつらせる。
シャーリー
「……和樹さん……なんですか……これ……?」
高瀬川の和樹
「── ”恐竜” だ。ずうっと昔にこの地上を人間のかわりに歩いてた、竜じゃねえが、竜ほどでかいやつら……」
シャーリー
「きょうりゅ……?」
シロ
スピード狂らぷとるぅ
語り手
『オレサマ ハ リュウ ダ!』
風馬
「きょうりゅう?ぐーじがいってたやつか!」
シャーリー
何かナマ言ってる。しばこうぜ。
高瀬川の和樹
「おう。本当ならな、もう骨しか出てこねえ」
風馬
ではシャーリーさん先鋒で
シャーリー
え?やだなぁ
しのぶ
「……」
しのぶは、俯いて黙っています
高瀬川の和樹
「……どうした。知ってんのか。こいつのこと」しのぶに声をかける。
語り手
『オレサマハ リュウジン ダ』
高瀬川の和樹
「……ほぅ。その龍神だかが、道路の上でなにやってんだ」両手を服のポケットにつっこんで、胸を張って顔を上げる。
龍神。そう言ってのける相手を見て、少し我に返った。狐でも狸でもないにしろ、ちょっと質の悪い物怪らしい。
語り手
『オマエ エラソウダナ』
『コノ ニセモン ヨリ オセェクセニ』
目を細めて、口を歪めます
高瀬川の和樹
「そりゃあな。俺らの前に飛び出してきたのはお前だろう」
シロ
choice(そろそろ起きる!,まだムリ) (choice(そろそろ起きる!,まだムリ)) > まだムリ
風馬
「シロ寝てる」話がわからないので、足元の毛玉を抱き上げる
シャーリー
風馬くんと一緒によくわからないなぁ、って思ってる。
シロ
きゅう……
語り手
『アア アンマリ オセェカラナ』
『チョイト マタガセテ モラッタノヨ』
シロ
どらまた
高瀬川の和樹
ドラゴンがまたぐ
風馬
ドラマタの和樹
高瀬川の和樹
「あぁいうのは危ねえっていうんだ。お前は無事かもしれんが、俺らは無事じゃすまねえ所だったんだぜ」
語り手
『シラネェナ オセェ ヤツ マケタ ヤツ ナンゾ シルカヨ』
ぐぐぐ、と笑います
風馬
「まけた?」
高瀬川の和樹
「ふうん」
シロ
迷わせて転ばせるぞこのクソトカゲー
高瀬川の和樹
「駆けっこでもやってるつもりか?」
しのぶ
「まだ……まだ、ボクは負けてないですよ!」
「ボクは、まだ……」
悔しそうに握りしめた拳が、白く強張っています
高瀬川の和樹
しのぶの方をちらりと見る。
「……話聞かせてくれるか? 後で」しのぶに柔らかく呼びかける。
語り手
『オレサマ二イチドモ カテテネェ クセニ エラソウニ』
風馬
「なんだ、競争してたのか」
しのぶ
和樹と風馬、恐竜の言葉に、しのぶはぐ、と呻いて、また俯いてしまいました
語り手
『ソレジャ オレサマハ コレデ オサラバスルゼ。キョウハ エモノモ イナクテ ツマンネェカラナ』
シロ
転ばせていい?w
風馬
「えもの?」
語り手
恐竜の顔が、再びスイ、と上へと上がり見えなくなりました
シャーリー
「エモノ……」
シロ
ちぇっ逃げられた。
風馬
「行っちゃったぞ」
高瀬川の和樹
「……」 事故の話を思い出す。
語り手
ライトの光の輪の中の大きな体も、
その首に続くように向きを変えると、元来た時と同じように、ずし、ずし、という音を響かせて去っていってしまいました
高瀬川の和樹
「……はあ」 ポケットから手を抜いて、大きく溜息。
「ありゃあ質が悪いな。どこの物怪だか知らねえが」
風馬
「風が戻った」
語り手
現金な虫たちは、恐ろしい恐竜が見えなくなると、再び元気な声を出し始めました
ゆり
「もののけっていうか……」
高瀬川の和樹
「神様か? どっちにしろ質は悪そうだが」
ゆり
「そもそも、もののけなの?アレ」
緊張で固まっていたゆりが、ポツリとつぶやきます
シロ
おののけ もののけ
風馬
「でかかったな」
高瀬川の和樹
「さあな。言う通り龍神かもしれん」
ちびきつねさま
「うーん……あまり、神気のようなものは感じなかったけれどね」
シャーリー
「そうなん……です……?」
シロ
「はっ」
高瀬川の和樹
「おう、起きたか」
シロ
「でかいのいない……」
「ゆめか!」
風馬
「ゆめじゃないぞ」
ゆり
「どっこい、現実よ。これが」
風馬
足元に下ろします
シロ
どっこいこれが現実でした!
シャーリー
おはよう世界。
なんてこった
高瀬川の和樹
「さてと、ちっと話を聞かせてくれや。ここじゃ話しにくけりゃあ、麓に帰ってでもいいが」と、しのぶに。
シロ
無言でタシタシと地面をかいてます。
足跡ある?
語り手
くるまが走るために硬く固められた道に、足跡のようなものはありませんでしたが、その代わり、あの鋭く大きな爪を引っ掛けた後か、抉られた穴のようなものがいくつか開いていました
しのぶ
「ええ……そうですね……。ここでは何ですから、みなさん、境内へ」
高瀬川の和樹
「おう。さてと、戻んぞ」
風馬
「……和樹」
高瀬川の和樹
「ん?」
風馬
「今度はあれやめてくれ」
高瀬川の和樹
「あれ」
風馬
「車の中で振り回される」
高瀬川の和樹
「ああうん、そうだな。今度はあいつもいねえし、安全運転で行く」
風馬
「……」
ゆり
「何よ、なかなかのヒール&トゥだったわ。気に入ったわよ」
シャーリー
「……よろしく……お願いします」
高瀬川の和樹
「俺としては二度目は勘弁願いたいね。まあ飛ばすのは楽しかったが、ありゃあちょっとな」
シロ
穴をフンフンかいで、「おばけじゃない……」と毛を逆立てています。
今度逢ったら転ばせる! そんな強いケツイを抱きながら。
しのぶ
「それじゃ、みなさん」
言うと、しのぶの姿が溶けるように消え、傾いて止まっていたバイクが体を起こすと、カタン、という音と共にスタンドが一人でに収まりました
高瀬川の和樹
それを見て運転席へ戻る。
風馬
「おーい、マネキン?壊れてるぞ」
語り手
『あ、すみません。捨ててゆくわけにはいかないので、拾っていただけますか』
シロ
なんかあの走るえあこん、ニオイが風馬と似てる???
なんでかなぁ。
風馬
マネキンを車内にぽいっと
ゆり
「しょうがないわねぇ……。やれやれ、とんだ夜走りだったわ」
高瀬川の和樹
「首がもげてんぜ。代わりに上にルーク乗せてったらどうだ」
ルーク
「のるです?ルークはしのぶくんにのるの、きらいじゃないのです」
風馬
「のれるのか?オレも乗りたい!」
シャーリー
「……私は遠慮します……です……」
高瀬川の和樹
※第一話にあったシーンのふぃーちゃー>ルークのる
シロ
あったねぇ
語り手
『いえ、ルークさんだとその……マッハ乗りみたいになっちゃうので』
『キミが?』
風馬の言葉に、ちょっと驚いたような声
風馬
こくりと頷く
「だめか?」
語り手
『……いえ、良いですよ。キミなら、体格もいくらかありそうですから』
答える声と共に、再びスタンドを出して、バイクが傾きます
シャーリー
「……」空を飛んでナビゲート……するか……。
風馬
「ええと……」跨る
困ったときのどうぐがたりしていいですか!
語り手
どうぞ!
風馬は、なんとなくバイクにどのように跨がれば良いか、がわかります
シロ
人間に染まった河童! 道具の使いこなしが完璧なにわとり!
半分が文明を使いこなせるパーティーって凄いぞ。
シャーリー
すごいですね(真顔)
高瀬川の和樹
しかも文明使えるーズ全員スタンス違うの面白い
シャーリー
文明使えないーズです!!!
シロ
使えないからひたすら遊んでるーズ
高瀬川の和樹
そっちがすたんだぁどなのよ!!
風馬
ハンドルを握って、道具の言葉で話しかける
「そうか……手と足で喋れるんだな」
語り手
『手と足で……喋る?』
風馬
「早く走ってほしかったら、ここを握ればいいんだろ?」
空ぶかし
高瀬川の和樹
ほう、とその様子を見て一声。やっぱりあいつは、道具と話せるらしい。道具と、なのか、道具の物怪と、なのかはまだわからないが。
シャーリー
空から地上を見下ろしている。特になんの意味もないのだが。
語り手
軽く捻られたスロットルに合わせて、風馬の目の前、ゆりが変じたくるまにもついていたような、時計の針のようなものが、ぐわん、と大きく振れます
語り手
同時に、バイクがまるで唸り声を上げるように、吠えました
『うわ』
『……びっくりした。キミは、バイクに乗ったことがあるの?』
風馬
「ない、くるまもこの前初めて乗った」
語り手
『それなのに、車体が安定してる。……キミは、何のもののけなの?』
風馬
「オレは、にわとりだ!」
語り手
『にわ……えぇ?』
シロ
「にわとりだぞ!」
ゆり
「ちょっとー、無駄にアイドリングしてないで、早く戻りましょうよ」
シャーリー
鶏かぁ……。
ひゅっと地上に戻る。
ちびきつねさま
「……」
風馬
「ゆりが呼んでる、いこう」
シャーリー
「私は……ツバメです……」
語り手
『うん……』
シロ
車に乗り込んでしげしげとバイクにまたがる風馬を見ている。
語り手
答えると、2台のバイクとスポーツカーは、再び夜の道を走り出しました
スポーツカーが先導し、バイクが続きます
その途中、幾つものカーブを抜けてゆきます
シロ
誰かの足元に潜り込んでる。
高瀬川の和樹
「今度は先導車の気分か。悪くねぇ」
風馬
「しのぶ。おまえ、曲がるときなんで腰を曲げないんだ?」
語り手
『腰?』
風馬
「シロとか、たぶんルークも」
「曲がるときに自分も曲がるんだぞ」
語り手
『曲がってるよ』
シャーリー
曲がってるの!?
高瀬川の和樹
ここで相手が風馬くんなのがいい味だ
シロ
いいね。実は同じ存在ってのもいい
風馬
次のカーブに差し掛かったとき、ふと内側に体を傾けてみる
語り手
『うわっ』
驚いたような声
風馬の手の中で、勝手にスロットルが少し回ります
風馬
この子恐怖心が薄いからわりと大胆にしちゃうよ
語り手
途端にわずか勢いのついたバイクは、たちまちに体を引き起こしました
これまでのものに比べて少しきつめだったそのカーブで、曲がりきれずに道路の真ん中の線を少しはみ出して、バイクはまた元の道へと戻ってゆきます
風馬
「だめだったか?」
語り手
その突然の挙動に、カーブの内側へと体を傾けていた風馬は、ちょっと落っこちるかも!と思ったかもしれません
『危ないな!』
『勝手なことをしないでよ!』
バイクから抗議の声が聞こえます
風馬
「そっか。ごめんな」
シャーリー
謝れる子はいいこ
語り手
『どれだけバンクできるかなんて、ボクが1番わかっているんだから、勝手に動かさないで!』
風馬
「ばんく?ああ、ゆりが言ってたやつか」
シャーリー
また空を悠々自適に飛んでいる。
風馬
シャーリーに目を向ける
「……でも、へただってさ」
語り手
『……』
バイクは答えず、でもエンジンの音をもっと大きく響かせて、スピードを上げました
なんだか、怒っているような、そんな感じが伝わってきます
風馬
「悔しいか?オレも、飛ぶのがへたなんだ」
高瀬川の和樹
結構ドストレート
あああ
あああ……
シロ
いいねぇ
高瀬川の和樹
いいですねぇ……
シャーリー
いい……
シロ
そうか、飛ぶのが下手なんだな……
語り手
風馬のその小さな告白に、しかしバイクは答えることはなく、山道を走ってゆきました
何か、言いかけたような、そんな気配を、風馬は感じたかもしれません
でも、その道中バイクが何かを話すことはありませんでした
風馬
街の明かりが近づいてくるのをただ眺めてます
語り手
やがて、2台は真っ暗な神社へと戻り
バイクは風馬が降りると一人でに社殿へと入ってゆき
しのぶ
入れ替わりにしのぶが現れると、社殿に鍵をしっかりと掛けてから、みんなのところへと戻ってきました
「……すみません、皆さん。お騒がせをしまして」
「改めまして、ボクは安住忍 っていいます。もうご存知かと思いますが、あの―――」
社殿へと目をやり
「バイク。Ninja250の付喪神です」
ルーク
「ルークは、ルークなのです」
雪花
「雪花だよ」
ゆり
「昼間聞いたわよ……」
しのぶ
「皆さん、お怪我は無かったですか?……巻き込んでしまってすみません」
高瀬川の和樹
「いいってことよ。俺らが好きで追いかけたんだしな」
「それよか、訳を聞かせてくれるか」
しのぶ
「はい……」
シャーリー
ぱたた、と羽をはばたかせて雪花の肩に留まる。
雪花
「おっ、鳥さん。雀かな?」
シャーリー
「ツバメです……」
鳥は全てスズメだと思ってます?この雪花って娘さん。
しのぶ
「ボクは、アイツと勝負をしているんです」
雪花
「そっか、ツバメっていう名前の雀さん」
シロ
このこ全部の鳥が雀!
シャーリー
「…………」
シャーリー
人間態だったら判るんですけど、ここ凄く複雑そうな顔をしている。
風馬
燕のプライドが
1カテゴリー1ネームな子なのだね
シロ
うちのちっちゃいのが二歳のとき、あらゆる鳥が「ピッピヨ」だったので、
ばかでかい丹頂鶴指差して『ピッピヨ!!』と言っていたのを思い出す…
風馬
かわいいw
しのぶ
「ひと月ほど前です。アイツが突然現れたのは」
「その頃から、山の方で事故が度々起こるようになりまして」
高瀬川の和樹
「事故……」
しのぶ
「夜、山を走っていた時に、アイツに出会って」
シロ
「あたしのせいじゃないぞ!!」
しのぶ
「そして、アイツがとんでもないことを考えていることを聞いたんです」
高瀬川の和樹
「──ほう」
しのぶ
「アイツは、自分は龍の末裔だから、と。自分こそが龍神だから、と」
シロ
「あいつ かみさま?」
ゆり
「神様って一口に言っても、色々あるから……。にしたって言ってることもやってることも無茶苦茶だわね」
しのぶ
「勝手に山を通る車やバイクに速さ勝負を持ちかけては、負けた相手のタイヤをパンクさせて回ってたんです」
シャーリー
こわい
シロ
「事故をおこすかみさま…」
むつかしい顔して、ちびぎつねさまとしのぶを見てる。
しのぶ
「普通の人は、きっと何が起きたかもわからなかったと思います」
風馬
「パンク、したらどうなるんだ?」
高瀬川の和樹
「──ったく、無茶苦茶だな」
ゆり
「事故るわよ。走ってるとこをパンクさせられたらね」
高瀬川の和樹
「下手すりゃあ死ぬ。それも、他人を巻き込んでな。洒落にならねえよ」
風馬
「そうなのか……」
ちびきつねさま
「よくないねぇ」
シロ
「しぬのか」
それはいけない。怪我をさせるのも良くないのに。転ばせても無傷がみちのけの流儀だ。
シャーリー
「死なせるのは……駄目です……」
しのぶ
「ボクは、アイツを止めようと思って……」
「ボクが勝ったら、止めるように、って」
高瀬川の和樹
「それで……、あいつに勝負を挑んでたのか。あいつを、止めるために」
しのぶ
こくり、と頷きます
「だって……ボクは…………だから……」
小さくつぶやくしのぶの言葉は、よく聞こえませんでした
高瀬川の和樹
「……そうか」
「頑張ったな」思わず、しのぶの頭に手を伸ばす。
シロ
んー? きこえんなー?
しのぶ
頭を撫でらてしのぶは、ぐ、と息を詰まらせて
高瀬川の和樹
抵抗されなければ、そのままゆるやかに頭を撫でる。
しのぶ
「でも、勝てない……」
くぐもった声で、肩を震わせました
「ボクじゃ、ダメなんだ」
シャーリー
「できますよ……」
そう、ここにためたおもいとふしぎがあればね!!!
しのぶ
「排気量も小さい、お飾りの奉納されただけのボクなんかじゃ……」
シロ
「あいつを転ばせたら勝てるぞ!」
しのぶ
「弟の、H2とか、9R兄さんとかなら、きっと勝てるのに……」
風馬
兄弟ェ
高瀬川の和樹
「しのぶ」
しのぶ
「……」
高瀬川の和樹
「まだ、自分のたっぱを嘆くのは早いぜ」
シャーリー
「一人じゃできないことも……二人なら……」
「……」
高瀬川の和樹
「お前には、まだやれることがある。そこの”ゆり”は飛乗物だ。乗り物にゃあ、詳しい」
「それに、だ」
「一対一で戦えたぁ、言ってねえんだろ、あいつは?」にやり。ちょっと悪い笑みをした。
「転ばせるのもあんがい手かもなァ。そもそも無茶ふっかけられてんだ、あいつの土俵で戦ってやる義理はねえ、ってな」
シャーリー
京都行きたい
シロ
実際不思議パワーで後押ししていいのかなぁ。
シャーリー
そしてW-B-X聞きたくなる展開。
しのぶ
「それは……」
「それは、ダメです!」
高瀬川の和樹
「駄目か?」
しのぶ
「アイツは、速さで勝負をしてきた」
「速さで勝たなきゃ、ダメ、なんだ」
「だって、ボクは、バイクだから」
シロ
「うーんうーん、それじゃああいつを怖がらせたら遅くなるかな…」
シャーリー
「……風馬くんに乗ってもらう……というのは」
高瀬川の和樹
「おう、そうか。それなら、正々堂々行くか? それなら、後ろから俺達とゆりが見ててやる。いっちょ練習といこうぜ」
「一人じゃ見えんことも、二人いりゃ見えるだろ」
しのぶ
シャーリーの言葉に、風馬をチラリと見て
風馬
「オレ、早く走るのは知らないぞ」
しのぶ
「彼は……」
高瀬川の和樹
「どうした?」
しのぶ
「彼は、ちょっとバイクに乗れるみたいだけど」
「でも、ダメです。だって、バイクのことわかってない」
なぜか、少し睨むように
高瀬川の和樹
「ほう?」
「”どうして” そう思った?」
しのぶ
「さっきだって、危うく転倒するとこだったんですから」
シロ
手を出したら駄目らしい。
ソッカー って少し不思議そうにしながら聞いてる。
シロ
バンクしないのがもののけバイクの流儀なのかぁ
風馬
「ごめんな」
しのぶ
「……っ」
風馬
「オレより、ゆりや和樹のほうが上手いと思う」
ゆり
「うーん」
シャーリー
「では僭越ながら私が……」
「……嘘……ですよ」
風馬
軽さなら圧倒的
ゆり
「アタシは、乗り物そのものだから、あまり乗ることについては、そうでもないのよねぇ」
「和樹、アンタは?」
高瀬川の和樹
「俺は二輪は全然だ。荷物用三輪か原チャリくらいだぜ、乗ったの」
ゆり
「しっぶ。何よ、ミゼットかなんか?」
高瀬川の和樹
「あれだよ。後ろにでかい荷物載せついてるやつ」
シロ
経験豊富だな和樹さん
高瀬川の和樹
和樹が言ってるのはもっと田舎カスタムなやつですね 街の中でおじーちゃんちに野菜はこぶやつ……
※速度はでない
ゆり
「ああ……ジャイロキャノピーね」
「お話にならないわねぇ。じゃぁ、単独でどうにかできるように練習でもしてみる?」
「和樹もさっき言ってたみたいに」
しのぶ
「そう、ですね……」
シロ
たすけてみどりちゃん
語り手
などと、皆が話していると
高瀬川の和樹
「まあなんだ、あんまり背負いこむな。お前の力になりてえつもりでいるんだからよ」
宮司さん
「おや……話し声が聞こえると思ったら、皆さんでしたか。どうしたのかね、こんな夜更けに」
風馬
「ぐーじ」
シャーリー
「どうも……」
シロ
わん
高瀬川の和樹
「おお、すまねえな、宮司さん。こんな夜更けに。起こしちまったか?」
宮司さん
「なに、これから休もうと思っていたところだよ。大丈夫」
高瀬川の和樹
「そりゃあよかった。俺たちも、もう宿に帰るよ」
宮司さん
「そうかね。しのぶも、あまり夜更かしをしないで。子供がこんな遅くまで外を出歩いていてはいけないよ」
高瀬川の和樹
さすがに夜更けの社殿にいる理由が思いつかないので、理由を言わずに煙に巻く方向にシフトした和樹さん
しのぶ
「はい……」
シャーリー
私は無害な小鳥です。
風馬
踵をかえしつつ、しのぶを振り返る
「しのぶ」
しのぶ
「……?」
少ししょんぼりと肩を落としながら社務所へと帰ろうとするしのぶは、呼び止められた振り向きました
風馬
「風が気持ちよかった。ありがとな。」
しのぶ
「……!」
「あ、うん……えっと……」
風馬
「シロくすぐったい…」すぐに目を落として他の者に
宮司さん
「さ、早く入りなさい。皆さんも、気をつけて帰るんだよ」
シャーリー
ちゅん、と短く鳴いてみせる。
語り手
何かを言いかけたしのぶは、宮司さんにそう言われて、社務所へと入ってゆきました
なんとなく、湿っぽい風が緩やかに流れる中、みんなも宿へと帰って行くのでした
というところで、今日は閉めましょう
風馬
やだ硫黄臭い
高瀬川の和樹
おつかれさまでした!
シャーリー
お疲れ様でしたー!
風馬
お疲れ様でした!
シロ
いか次号
おつかれさまー

ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。