▼曖昧な夢

KP
……あなたはどこか薄暗いところにいた。
堅い寝台に乗せられて横たわり、なにものかの視線に張りつめきった腹をさらしている。
なにものかがあなたを助けるように手を握ってくれていた。

こんこん、と腹の中から合図するように牧志の手が腹を叩いた。
腹が痛んだ。激しく痛んだ。定期的に痛んだ。
あなたは痛みに導かれるようにして、姿勢を変える。
なにものかがあなたの背を支える。なにものかがあなたの腹を撫でる。

牧志が合図する。あなたの肉体が、応えて収縮を始める。
あなたには分かった。今まさに、彼は生まれ出るのだ。
あなたは痛みに襲われるたび、強い歓びを感じた。
とうとう、あなたは彼を、わが子を産むのだ。
佐倉 光
ああ、痛い、痛い!
思考が千切れ飛ぶような痛みに曝されて必死で呼吸をする。
波のような激痛は徐々に間隔を狭め、しまいには自分の意思とは関係なく命を生み出すように蠢く。
視界が白く飛び、誰が助けてくれているのかなど分からない。
ただただ痛みに耐えながら、体の中にある命を外の世界へ送り出そうと呼吸を絞り出す。
掌に爪を立て、奥歯を噛みしめ、浅く息をしてはまたなんとか肺へ息を送り込み、力を込める。
佐倉 光
ああ、ついに会えるんだな。
俺の大事な、俺の……
佐倉 光
あと何日だったかな!!
このままじゃ夢の中でコンニチワしてしまう!
KP
あなたは、自身の肉体がとうとう命じられるままに膨れるのをやめ、収縮に転じるのを感じる。
あなたは腹に力を籠める。あなたは息を吐く。
あなたをこじ開けようと、重く巨大な頭が内側から突き上げる。
あなたの体内の大半を埋めていたものが、あなたを引き裂いて外へと出ようとしている。

ああ、しかし。
不意に、その動きがぴたりと止まってしまった。
あなたの出口に頭を突っ込んだまま、頭は動きを止める。
身体は縮み続けようとするのに、閊えてしまって、出られないでいる!
牧志 浩太
わが子の叫びが聞こえる。
苦しみもがく声が聞こえる。
いくら呼吸を絞り出しても、あなたの身体は言うことをきかない。
KP
大丈夫コンニチワできない夢です。大丈夫…… じゃないな。
佐倉 光
だいじょばない!!
佐倉 光
ああ、ああ、ああ、死んでしまう!
このままでは死んでしまう!
早く、早く出してやらなければ、早く外へ!
佐倉 光
両手を自らの腹に押し当て、痛みも構わず押し込もうとする。
KP
あなたはもがく。彼は外へ出ようと、生きようともがく。
互いにもがく。うまくいかない。うまくいかない!
もがけばもがくほどに彼の頭は深く嵌り込み、叫ぶ声が弱々しくなっていく。
いくら押し込んでも力が抜けていく。あなたの身体が思うように開かない。
KP
そして、やがて、
弱くなっていく声が、鼓動が、気配、が。

KP
絶望に叫ぶ自らの声で、あなたは目を覚ました。
KP
……目を覚ますとそこは薄暗い産屋ではなく、屋敷の温かい寝床の中だった。
牧志 浩太
「おあよう……」
KP
あなたの腹は縮むことなく、昨夜と同様にぱんぱんに膨らんでいた。
腹の中からは熱い鼓動がちゃんと感じられ、牧志の声は苦痛に悶えてはいなかった。

あれは夢だったのだ。なんて夢だ。
KP
それが悪夢に過ぎなかったことに、あなたは喜びを感じる。
牧志はここにいる。あなたは、ちゃんと牧志を産むことができる。
佐倉 光
「ああ、牧志、牧志……! 良かった! ああ」
自らの膨れた腹を撫で、悪夢がただの幻だったことを心から喜ぶ。
ああ、これでちゃんと牧志を産んでやれる。
…………
佐倉 光
いや違うって、牧志が無事だったのが嬉しいだけで、それはつまり、産めるってことじゃなくて。

しばらく混乱して目を白黒させながら腹を無意識に撫でていた。
牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん……、何かあったのか?」
しばらくして目を覚ましたのか、牧志が心配そうに聞いてきた。
撫でる手に、腹の中で息づく身じろぎを感じる。
佐倉 光
『ああ、ちょっと、嫌な夢を見ただけだ。大した内容じゃ……』
佐倉 光
『…………』
佐倉 光
『ここ来て村を調べ始めてから、ずっと、夢を見てたんだ。
俺が全部忘れて、母親みたいに子供を産もうとする、それを喜ぶような夢をさ。
まるでここに組み込まれていくような、怖いほど幸せな夢だったよ』
佐倉 光
『それが今朝は……出産に失敗する夢だった。恐ろしくて、目が覚めたときにお前が無事でほっとしたんだ』
佐倉 光
『『ああ、無事に産んでやれる』ってな』
牧志 浩太
「何だよ……、それ。
俺も無事でよかった。でもさ、それ。
その夢も佐倉さん取り込もうとしてるようで怖いけど、もっと怖いよ。
まるで、起きてからそう思わせようとしてるみたいだ」
佐倉 光
『今日は脅しできたってことだな。くそ、ふざけやがって……』
牧志 浩太
「出産に失敗……、か。考えたこともなかったな。
そう思うと、無事に産まれるってすごいことなのかもしれないな。
いや違う、それは今考えることじゃない」
腹の中で牧志が首を振ろうとしたのか、ぐりぐりと骨盤が押される。
佐倉 光
『う。刺激すんなよー。予定日近いんだぞ。
変に刺激したら早まるかも知れない』
あんな思いしたくない。
牧志が正常に産まれなかったら、以前に、
佐倉 光
「お産、痛すぎる。なんだよあれ」
牧志 浩太
「ご、ごめん。早まったらまずいな。
このまま産まれるわけにいかないのに」
牧志は慌てて動きを止める。
牧志 浩太
「痛いとは聞くけど、そ、そんなに痛かったのか……?」
佐倉 光
『今まで経験したやつの中で結構上位。
いつものやつより痛い、いや同じくらい?
メギドラオンよりはマシかも。メギドラオン一瞬だったし。
系統が違うんだよな。思考飛ぶ。
いつかの拷問よりは下かもな。わかんね。
いつか終わるってだけでマシと思えるかな』
佐倉 光
正直あの夢はその後のことのほうがキツすぎた。
牧志 浩太
「そ、そうか……。ああ、そうだな。
行こう。もうそんなに猶予がない」
何よりもあなたの口調から、「相当キツかったのだ」と分かるのだろう。
牧志はひきつった声で返した。
佐倉 光
『こんなことしてる場合じゃねぇ。
動かなきゃな』
佐倉 光
よーし娘さんとこに突撃するぜぃ。
KP
突撃だー!


▼5日目:朝

KP
料理には茸や野菜など、繊維質豊富なものが増えてきていた。
それらはよく煮込まれていて、胃腸を圧迫されていても喉を通りやすい。
澄んだ出汁が味わい深く、起きたばかりの身体を落ち着けてくれる。

あの医者は、『予定日』はあと三日後だと言っていた。
佐倉 光
身支度と食事をして、家を出よう。
KP
今日の空は少し、雨模様だった。
派手に降ってくることはなく、行動に支障はない。
身体を冷やさないようにと、出かけるあなたに世話役の女性が上掛けを貸してくれる。
佐倉 光
足元が見えない不便にも慣れてきた。
つま先を引っかけることも、よろめくことも少なくなってきた。
佐倉 光
冷やさないように、か。
むしろ暑い位なんだけどな、腹が。
やんわりと一度断って、それでも渡されたら引っかけていこう。
KP
断ると、せめて腹を冷やさないようにと腹巻を渡される。ふかふかだ。
KP
いよいよ出産が近いということを、どこかで聞いたのだろうか。
長老の家に行くまでに、村の人々が口々にこう声をかけてくる。

「もうすぐだねぇ」
「頑張ってね」
「頑張れよ! 差し入れ何がいい?」
佐倉 光
人々の善意には適当に返事をして流す。
これがあの女性を殺した力か。エグいな。

KP
長老の家は、前に来た時よりもなお静かだった。

見れば、庭先で掃除をしていたあの老女の姿がない。
広い家は火が消えたようで、室内から漏れる微かな明かりがなければ、空き家と見紛っただろう。
佐倉 光
出かけているのだろうか。
佐倉 光
いや。この村ではもう一つの可能性があるだろう。
佐倉 光
扉の方へ近寄って、呼び鈴があれば鳴らすし、なければごめんくださいと声を上げる。
KP
「はい」
少しして、足を引きずるようにしてこちらへ近づいてくる足音が聞こえた。
KP
「まあ、おはようございます。
お加減はいかがかしら」
からりと扉が開く。
扉の向こうに顔を見せたのは、あの三本角の少女だ。

人の訪れをどこか嬉しそうにするその姿は、家の奥で見るのに比べて、少しこちらに近しく見えた。
片手には杖を持ち、長い着物で足元を隠している。
佐倉 光
こうして見ると、普通の少女のようにも見えるが……
佐倉 光
「先日いらした方は、お出かけですか?」
あえて問いかける。
KP
彼女は軽く俯いて微笑んだ。
「昨日の夜に、行ってしまったの」
牧志 浩太
「本当に、突然なんだな」
佐倉 光
「そう、ですか。おめでとうございます、なのかな、こういうの。
正直あまりポジティブにはとらえられないんですけど」
KP
「おめでとうで構わないわ。
彼女も随分と生きて、最近はしんどそうだったもの。

ポジティブには捉えられないって、ああ、もしかして。
わたしが淋しく思っているのに、気づいて下さっていたのね」
彼女は一度言葉を切って、胸に手を当てる。
KP
「ありがとう。わたしは大丈夫」
佐倉 光
「……そうですか?」
牧志 浩太
「えっと……、何だか変な方向に善意にとられたな。
『いいこと』だっていうのを佐倉さんが疑うとは思ってなくて、
その上でネガティブな要素があるとしたら、彼女が寂しく思うだろうってこと、ってなったのか」
佐倉 光
『ここでネガティブな感想を抱く奴はある意味異常だろうからな』
制限
佐倉 光
常に妊婦がいて目茶苦茶大事にされている土地なら、タバコのみも酒飲みもいなさそう。
あとなんだろ。生魚蜂蜜なんかもさりげなくなさそう。
KP
タバコのみはいませんね。
お酒は話題に出ましたね。(梅酒持ってきてツッコミくらってる男性がいた)
でも大酒飲みみたいなのはいなさそう。
生魚や蜂蜜はあるけど妊婦には出さない感じ。
佐倉 光
ああーそうか。あったわお酒。

いつ身ごもるか分からないんじゃ酒は避けられそうかなって。
あ、でも角が生えたら飲み放題か……
ここでは角が生えたら一人前……ってコト!?
KP
一応、一度角が生えてても再度身籠ることはできたりします。
身籠ったなって思ったらお酒は飲まないくらいのゆるいノリです。そのゆるいノリでもトラブルが起きていないのは……普通の妊娠ではないからですね。
佐倉 光
酒飲んだくらいで異常が出ない強いお子さんと「子宮」なんだなぁ。
KP
YE-S。
佐倉 光
お子さん何を注がれているやら。「母親」の血だけじゃなさそうだし。(いや、母親の血が入るわけじゃないけど……)
KP
何せ〇〇〇(文字数は一致しません)の種ですからねぇ……。発端が。

佐倉 光
「ちょっとお話があるんですが、よろしいですか」
佐倉 光
言外に中で話したいのだが良いか、と問いかける。

彼女の発言に〈心理学〉できるかな。
本当に『大丈夫だ』と思っているのか? 彼女。
KP
「お話? ええ、勿論。
何か困りごとがありなさるの?」
彼女はあなたを家の中へ案内する。
KP
なるほど、ではクローズドで振ります。65ですね。
今回も牧志は/2で判定。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
🎲 Secret Dice 🎲
KP
彼女の少し俯いた視線には、やはり寂しそうな色が宿っていた。

KP
歩く廊下に人の姿はなく、気配もない。
彼女が行く先は、前と同じあの仏壇のある部屋だ。

途中で納戸に寄り、そこから少し苦労しながら座椅子を出してゆく。
使い込まれた座椅子があなたの席として置かれ、向かい合うように彼女が座った。
佐倉 光
「ありがとうございます」
好意に甘えて椅子に座る。
佐倉 光
「突然で不躾なんですけど、お母上の写真か肖像画はありますか?
あれば拝見したいんです」
KP
「肖像画? 晩年のものでよければあるけれど……。
母をまつった人たちが描いて、わたしにくれたの」

彼女は仏壇に触れ、像の背後の扉を開ける。
そこには花に飾られた女を描いた、一枚の絵があった。
咲き乱れる花々に囲まれ、後光を負って慈悲の笑みを浮かべている。
粗削りな絵ながら、その顔立ちが目の前の少女に似ていることが読み取れる。
佐倉 光
その絵は幻視した女に似ている? 自分がそう、という視点だったら分からないかな。
KP
それは分からない。
あの幻視では、女の顔は見えなかった。
佐倉 光
ソッカー
佐倉 光
しばらく絵を見つめる。
佐倉 光
『絵にするにあたって盛られてるだろう事をさっ引いても美人だな。このひとに似てる』
牧志 浩太
「その人を奉った……、利用した人達が描いた絵、か」
佐倉 光
彼女、「睦み合っている」と表現していたから、墓場で生きてイチャコラしてるなって認識なのかなぁ、
それともあくまで比喩表現なのかなぁ、と。
あとは、佐倉たちみたいな幻をみたか確認したいところねー
彼女がどこまで知っているかによって、切り札叩きつけていいかどうかが分かりそう。
佐倉 光
「墓地でお母上が眠っている、というのは比喩ではなく、
本当に生きていらっしゃるんでしょうか。
僕、あそこで女性の姿を見たんです。ほんの一瞬でしたけど。見た、というか、感じた、というか」
KP
「見た?」
彼女は不思議そうに眼を瞬く。
KP
「女性を? まあ……、いいえ、母は亡くなったわ。
産まれ変わることなく、息を引き取った。そう聞いている。
もしかして……、もしかして、村がなつかしくなって、帰ってきてくれたのかしら」
佐倉 光
『お墓参り、最近は行ってらっしゃらないんですか?

僕たちが行ったとき、あの墓地、随分暖かくて脈動していたんです。
まるで土の下でなにかが生きているみたいだった。
もしかしたら、そこに。
ただ……』
言葉を止める。思わせぶりにした、というのが半分、見た物をそのまま伝えると随分と、グロいのではないか、というのが半分だ。
とくに女性にとって残酷な話じゃないだろうか。
KP
「いいえ、ひと月に一度は行っているわ。
母が墓地の一番温かい所で眠っているのも知っている。
もりさまが母を守りなさっているのだと思っていたわ。
みんなそう思っていたし、わたしもそう思っている。

そんな……、母が、母があそこで生きているとおっしゃるの?
ただ? ただ、何なの?」
KP
少女は目を見開く。
あなたが何を言おうとしているのか、ようやく気付いたようだった。
立ち上がろうとして、蹄を畳の目にとられてよろける。
佐倉 光
おっと。その体を支えようとする。のは流石に無理かなぁ。
KP
「ああ、大丈夫、危ないわ」
支えようとするなら、彼女はあなたを制止する。
畳に手をついて、よろけながら身を起こし、姿勢を戻す。

佐倉 光
すると、幻を余所者の佐倉たちだけが見たのは、単にそういうタイミングだったのか、
それとも『彼女』が、そんな酷い姿を娘に見られたくなかったためか。
うんまぁ、酷いよな。
KP
酷いですねぇ。
佐倉 光
『彼女』のヘルプコールだった、という可能性もあるんだよなー。

KP
「それよりも、教えて下さるかしら……、母を見たの? 母は、どうしていたの?」
佐倉 光
「正直に言わせていただくと……男で、しかもゆかりのない余所者の僕の口からはとても言いづらい話だ。
僕の目にはあまりにも……」
しばらく適切な言葉を探した。
佐倉 光
「むごいと見えてしまったから。
ただ、これは僕たち二人が見た現実だったとご理解いただきたいんです」
そんな前置きをして、墓地で見たビジョンについて推測を交えずに見たままを話す。
佐倉 光
女性が体を貫かれなおも生き続けていること。
子を宿すはずの器官に根を張ったものに種を注がれ続け、それがこの土地を潤し続けていること。
説明を口にしていて、反吐が出そうだった。こんなの生け贄じゃあないか。それも随分と酷い。
佐倉 光
この村の人間にとってはもしかしたらあんな状態でも素晴らしいと取られてしまう可能性はあるな。
それだったら、牧志と二人だけでやろう。
KP
「ま……、あ」
彼女の指先がぴくりと震えた。
KP
「そんな、そんな、母が、母が生きているというの?
それも、そんな、……そんな、」
彼女は口の中で小さく繰り返し声を漏らす。跳ねるように立ち上がる。
よろけながら納戸へ向かい、取り出してきたのは大きなシャベルだ。
KP
「そんな、そんな、母が……、母が、生きている……、あの下で、あの土の下で?」
彼女は脇目もふらず、シャベルを杖代わりに家から飛び出そうとする。
あの墓地へ向かうのだろう。
KP
※ついていくならば、探索回数を消費する。
佐倉 光
一人であの家に寄って、包丁を持ちだしてついてく。
ってのは可能かなぁ。
三本角の娘さん、どう転ぶか分からないから凶器はまだあまり近づけたくないけどもー
KP
墓地は村の端にある上、墓地の場所は分かっている。
一人で途中であの家に寄って包丁を持ち出すことは可能だ。
彼女は脇目もふらずに飛び出していくが、足のせいでその速度は遅い。
佐倉 光
足の遅さなら負けねぇぜ!
んでもまあ持っていきましょう。
佐倉 光
あの調子じゃ俺がついていくかどうかなんて気にしないだろう。
あの廃墟に立ち寄って包丁を取り出し、厳重にくるんでポーチに忍ばせる。
KP
駆け出す彼女と追うあなたを見て、村の人々がどうしたんだいと心配そうに声をかけるが、無視して行くことはできる。

KP
墓地の奥にたどり着くと、彼女がいまにも母の墓にシャベルを突き立てようとしている所だった。
佐倉 光
包丁を持ち込んだことで温度に変化はある?
KP
墓地の奥に踏み込んだ瞬間、地面の下で脈打つ熱が揺らいだ気がした。
しかし、温度そのものに変化はない。
KP
「ああ、ああ、ああ、生きている、ほんとうに? 母様、母様、そこにいるの?」
彼女はシャベルを振り上げ、埋められたものを掘り返そうとする。
我を忘れる手の中で切っ先が滑り、それでも少しずつ土をえぐる。
牧志 浩太
「結構すぐに信じてくれたし、話を聞く気になってくれたな。
母親のことが……、気になってたんだろうな。やっぱり」
その叫ぶ声を聞きながら、牧志が腹の中で小さく呻いた。
佐倉 光
『そうだな。いくら好意でもひとりで置いてかれるのは、嫌だったんじゃないか』
俺、そういう奴を一人知ってるよ。
牧志 浩太
「それは……、そうだろうな。
当然だよな。決まってる」
佐倉 光
手伝いたくてもこの腹じゃ手伝えないし、何かあってもこの腹じゃ助けるのも逃げ出すのも難しそうだ。
包丁を包む布をゆるめ、その下で包丁の柄を握る。
これは、賭けだ。
彼女の上にそびえる木や周囲の物に変化がないか、よく見ていよう。
KP
少女は叫びながら土を掘り返す。
あなたの手の中で、ひやりとした刃の気配が解き放たれる。
おぞましく熱いこの土の上で、そこだけが氷の塊を握ったかのように冷たい。
その冷たさが、熱を寄せつけていないのだ。
佐倉 光
冷たい包丁の柄を握る。
指先が凍ってしまうのではないか、震えて滑って落とすのではないか、と愚にもつかない妄想が頭をよぎる。
これは全てを拒絶した冷気だ。
KP
静かな墓地の中で、とうとうシャベルの先が木に当たる音がした。
KP
「母様」
かたり。彼女は熱にさらされて乾いたその木の箱を、恐る恐る持ち上げる。
KP
その中に眠っていたのは、枯れ果てた女の乾いた屍だった。
当然のごとく生きてはいないように見える、からからに水分を失った屍の中で……、
KP
「あ……、ああ、ああ、そんな、母様、」
少女の手からシャベルが滑り落ちた。
少女はその場にへたり込む。
からん、とシャベルが音を立てて地面に落ちる。
KP
少女の視線の先にある、それを……、見る?
佐倉 光
見る。間違いなくここにあるのは源だ。
KP
水分を失った女の腹が抉れ、崩れ落ちていた。
その中に、桃色をした血の通った肉の色が見えた。

収縮し、拡張し。
屍の中でただひとつ、生きてびくびくと蠢く、小さな袋状の器官。
それは乳に似たあの甘い匂いの液体に浸かって、己の境遇を嘆くようにもがいていた。

実際に目にしたことなどないはずなのに、あなたには分かってしまう。
長い時を経てなおもがき続けるそれと同じものが、あなたの腹の中にも埋まっている。

それは。
女の、子宮だ。
KP
SANチェック》、佐倉さんは《成功時減少 1失敗時減少 1D6》。
その事態を伝えるならば、牧志は《成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
佐倉 光
1d100 56 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 68→失敗
1d6 Sasa 1d6→4
SAN 56 → 52
佐倉 光
あっぶね
KP
危うく包丁持って発狂する所だった
佐倉 光
ま、まあ、殺人出ちゃったらこの肉片にザクゥするって手が……
佐倉 光
これが始祖の?
思ったのは一瞬で、その異様な腹に目が釘付けとなった。
佐倉 光
「う……げ」
これは、想像していたより数段酷い。
こんなのパーツだ。工場だ。死して尚辱められる奴隷だ。
……気付いたらそんな言葉を口からこぼしていた。
俺はこんなものを抱えている。
中に無理矢理牧志を詰め込んで。
佐倉 光
ふわっとした感想だけ言った。描写するかどうかは牧志次第だな!
牧志 浩太
「あ……、ああ、何だ、何だよ、それ!」
牧志の叫び声が腹の中から迸った。
そこにあったのが何だったのか。『どういうもの』だったのか。
彼は察してしまった。それか、あまりの強い衝撃に、声ではない何かをもって、伝わってしまったのかもしれない。
牧志 浩太
「何なんだよ、それ……!」
牧志 浩太
1d100 41 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 21→成功
SAN 41 → 40

KP
少女は呆然と、『母親』の前でへたり込んでいる。
今なら。
全ての源となっているその肉塊に、何かをすることができるだろう。

どうする?
佐倉 光
俺にはもう、この『装置』を止めるほかない。
あとは彼女らに情けをかけるかどうか、だけだ。
情け
佐倉 光
娘さんを母親ともども殺すって意味じゃないよ念のため!
KP
大丈夫わかる! わかりますよ!
佐倉 光
娘さんが「生きてる、大事にしなきゃ」とか言い出したらこの場は「ソッカー良かったねー」とだけ言って去る。
目の前ではやらない。

佐倉 光
包丁を手に近づく。
そして、彼女の一歩後ろで立ち止まる。
佐倉 光
「それがお母上? 彼女は、生きている?」
ゆっくりと問いかける。
KP
「ええ……、生きているわ。生きている。焼けそうなくらいに温かい」
彼女はそれに、ゆっくりと手を伸ばす。
それを濡らす甘い液体を拭い、蠢くそれに頬を寄せ、ひとすじ涙をこぼした。
「知らなかった。気づいていなかった。
こんな、ところで、ずっと。ずっといたなんて」
佐倉 光
「この環境を維持するため、でしょう。
ひいてはきっと、全部もりさまのためだ」
村のため、とは言わなかった。
佐倉 光
「ぶしつけな質問ばかりで申し訳ないね。
あなたは『子』になったことはあるようだけど、『母親』になったことはあるか」
KP
「あるわ。何度も、何度も。
愛しかった……、幸せだった。その間も、ずっと母様はここにいたのね」
彼女は平たい腹を撫でる。
佐倉 光
「そうか。たぶん、だけど、その時はここにつながるんだろう。
人の腹を使ってこの土地を潤してるんだ。
使える腹や子が足りなくなれば、
俺たちみたいな、外の人間を無理矢理捕まえてきて使う。

で、多分、だけど、あなたはずっと森には呼ばれない」
KP
「どうして?」
彼女は母の温もりを味わうように、嘆くように、脈打つ熱に頬を寄せる。
「いつか角が増えて、脚が歪んで、手が歪んで、なにもかもけものになったら。
そうしたら、行けるのだと思っていたの」
佐倉 光
「たぶん、このひとはそう望んでいないからだ。

一番近しい人間である妻をこんな存在にする奴が、
角の生えたものを森に囲って、どう扱っているか……想像できないか?」
佐倉 光
一応説得してみる佐倉。
穏便に終わらせるには元凶に近い者を納得させるのが一番だからな。
KP
「……」
彼女は小さな子供がそうするように、母の温もりを掴んだまま、いやいやと首を振る。
その眼は、あなたが言わんとすることを内心、もう分かってしまっているようだった。

「母様が……、母様が、わたしを」
守ってくれていたのね。そう、小さな小さな声が呟いた。
佐倉 光
「たぶん、だけど。それしかできなかったんじゃないか。この状態じゃ」
佐倉 光
「これがあんたの両親なのか? 睦み合っているのか?

俺たちみたいな無関係の人間を引き込んで歪める奴は、
この村の人間も平気で歪めているはずだよ。

これで幸せなのかな、このひとは」
KP
「分からない」
彼女は弱々しい声で呟いた。
「愛しかった。嬉しかった。幸せだった。
村のみなを、わたしの子供たち、わたしの母親たちを愛している。
でも、母様は何も言ってくれない。
あなたの言うことを、嘘だと思えない」
佐倉 光
『まあ事実、全部俺の想像でしかないし、この姿で幸せ、なんて可能性もナシじゃねーけどさ。
それだったら俺たちの都合で断つしかねぇよな』
牧志 浩太
「ああ。
俺達はこのまま、ここで呑まれてるわけにはいかないんだ。

それに……、少なくとも俺は、このままにしておきたくないよ。
彼女たちを」
佐倉 光
「ただ、外の人間の俺たちにだけ自分の現状を教えてくれた理由を考えると、
あまり幸せとは思えないよ」
佐倉 光
ここから先は口にせず、なあなあで彼女を慰めてここから追い出し、
さっさと終わらせるべきなのかも知れない。きっとその方が安全だ。
佐倉 光
『黙ってやっちゃうのがラクだとは、思うんだけどな』
牧志 浩太
あなたが口を開くのを、牧志は止めなかった。
佐倉 光
「生きているのは、生かされているのは、もりさまが必要とする臓器だけじゃないか。
もう、亡くなったんだろ、そのひとは。とっくに境界を越えた。
それなのにここに留められているんだ」
佐倉 光
「ずっとずっと子供を産まされ続けて、
亡くなってもこんな姿になっても嬉しいとも言えない、嫌だとも言えない、
自分が産まされた子供を抱くことも話すこともできない。

子供をはらむって大変なことだろ。終わったらボロボロになるって事くらいは知ってるよ。
休みなくそんなことしてんだろ、このひとは。何も言えずにこんな土の下で、体はとっくに朽ちてるのにさ。

休ませてやりたいと、俺は思う」
佐倉 光
「それと……根拠がもうひとつ」
佐倉 光
「このひとは無関係の人間を巻き込むことを望んではいないと思う。
拒絶の意思を打ち込んだ人の子には角が生えなかったから」
呪いを生み出した女性の悲痛な記録を見せようか。
あんまり精神衛生上いいとは言えないものだけど。
言いくるめ
佐倉 光
これは、〈説得〉なのか、〈言いくるめ〉なのか。
あくまで想像が下敷きでしかないことを考えると、〈言いくるめ〉なのかも知れないなぁ。
KP
結局全ては想像が下敷きで、真実を当人から聞くすべがないですからね。
彼女の動揺を突いて話を聞かせている一面があることを考えると、〈言いくるめ〉なのかもしれない。
佐倉 光
ここまでさらすと、お母さんへの害意があるってバレるのよねー
説得しきらないと危険だ!
娘はとらない
嫌だ、という意思がある人は外れる
という二点から考えると、お母さんは好きでやってるわけじゃないんじゃないかなぁ、という想像はできるんだよねー。

まあ後者については因果が違いそうな気がするけど。
あとはもう「こんな状態が幸せなわけないだろ!!!」という力業。
そしてもはや三時半か! いい加減寝なければなりませんわ!
KP
はっ、ほんとだ!! えらいとこですが、ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございました!
説得したーい!

KP
彼女は母親であるものを抱いたまま、じっと記録を見つめた。
拒絶を。叫びを。呪いを。
祝福の中で殺された女の顔を。
KP
「母様」
いくら耳をそばだてようと、その『腹』から声が聞こえてくることはなかった。
嘆きも。叫びも。呪いも。歓びも。愛も。

何も。
佐倉 光
彼女が読み終わるのをじっと待っている。

あの臓器もある意味呪物だな。
幸せという形のものを産み続ける道具。
KP
「……母様」
彼女は着ていた上掛けを脱ぐ。
じっと抱いていた『それ』を、柔らかい布の上に下ろした。
蠢くたびに『それ』は乳を吐き、辺りを白く染める。
KP
彼女はとうとう『それ』から手を離すと、あなたに向き合う。
あなたの手に視線をやった。
そこに何か冷たいものがあることに、気づいているようだった。
佐倉 光
包丁の柄を強く握った。
目の前の女の真意を確かめるように目を覗き込む。
佐倉 光
「解放する」
それはこの世界の幸せを破壊することになるだろう。
それでも俺は自由になりたい。
このひとたちを自由にしたい。
KP
彼女はあなたの目の光から逃れるように、目を伏せた。
一歩後ろへ下がる。
長い着物の裾がめくれ、歪んだ蹄で地についた獣の足が覗く。
KP
「分からない、けれど」
KP
「母様は、生きている。でも」
KP
彼女はゆっくりと目を閉じた。
曖昧に頷いた。
自らそうしようと声を出すことだけは、できないらしかった。
KP
「お願いします」

そうして首をさらすように、頭を垂れて目を閉じた。
血の気の薄いうなじには、四本目の角が皮を破れずに生えていた。
牧志 浩太
「俺達に任せる、んだな」
牧志が小さく呟いた。
EGO
佐倉 光
この状態になってしまって人の世界で生きて行けるか怪しい娘さんや、注がれ続けるめぐみに慣れてしまっている村人のことを考えれば、まあ身勝手な決断ではある。
EGOだよ!
だって帰りたいもん。
KP
だって帰りたいもん。
でも騙し討ちしないで全部開示して真っ向から説得してくれた佐倉さんやさしいのよ。

少女の方も、内心では頷きつつも自分から決断できず、こちらに任せてしまおうとしているので、あっちもあっちなんですね。

佐倉 光
前に進み出て、包丁を構え、一息に振り下ろす。
感傷は要らない。
肉片を切り裂くだけだ。
KP
血色鮮やかな表面が、あなたを見た。

包丁を突き立てようとした瞬間、あなたの腹が跳ねあがった。
熱い。焼けるように熱い。腹の中が熱い。
激しい衝動が湧き上がる。産みたい。わが子を産みたい。
腹の中で子が暴れる。頭が誕生を乞うてあなたの骨盤を突く。
腹の中で同じ形の器官が、叫んでいる!
KP
二人とも、【POW】×5で判定!
牧志はブレスレットを持っていないため、【POW】11での判定となる。
佐倉 光
1d100 75 【POW】 Sasa 1d100→ 1→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
意思がつよい!!
牧志 浩太
1d100 55 【POW】 Sasa 1d100→ 44→成功
佐倉 光
この感情はまやかし。
俺のものじゃない。
この器官を操るものが破壊を阻止しようとしているに過ぎない!
KP
命を生み出そうと蠢く身体に、あなたは抗う。
産まれ出ようと動く身体に、牧志は抗う。

血を湛えて赤い肉の表面に、刃が触れた。

そして。

まるで、張り詰めた風船を切るように。
一気に、弾けた。

吹き上がった血が、あなたの頬を濡らした。
後に残ったのは、大量の赤い液体。
まるでひと一人を潰したかのような血の中に、砕け散った肉片が浮いているだけだった。
佐倉 光
情けはかけない。
鉄くさいにおいは、慣れているものの筈なのに、随分グロテスクに感じた。
KP
ごう。
ごおう。
ごう、ごう、ごう。

村を取り巻く山々のすべてから、激しい音が襲いかかる。
見れば山々の斜面が音を立てて崩れ、森の木々が向こうから倒れてゆく。

今すぐに村を出なければ、共に生き埋めとなる運命だ!
膨れた腹が重くてたまらないが、走るほかない!
佐倉 光
うわっ、予想よりデケェのきた!
牧志 浩太
「えっちょっ、俺、腹の中のまま!?」
佐倉 光
「逃げよう!」
三本角の娘に声をかける。てんでんこだ、声だけかけて墓地を出る。
佐倉 光
「山が崩れるぞ!」
と叫びながら脱出だ! 声を聞いた奴は自分で何とかしてくれ!
KP
村人たちがわあわあ言いながら、こけつまろびつ逃げ出していく。
佐倉 光
くそ、腹が重い!
KP
「お母さん、俺の肩を!」
通りがかった男があなたに肩を貸す。
佐倉 光
「あ、ありがとう!?」
ちょっとした気まずさを感じつつ肩は借りるぞ!
差し出された手を振り払う気はないね!

佐倉 光
てんでんことか言っといて、滅ぼす村のひとに助けられてやんの。
KP
だって佐倉さんが滅ぼしたの知らないんだもん。大事なお母さんだし。
てんでんこ……東北地方の方言。主に津波発生時の避難に関する言葉。災害発生時には各自で判断していち早く安全な場所へ向かう、という心構えのこと。

KP
少女は母だった肉片と屍の前に座ったまま、一歩も動こうとしなかった。

「ありがとう、ごめんなさい」
少女はこちらに背を向けたまま、小さく呟いた。
佐倉 光
一緒に逝く気か。
俺にはそれを止める理由も余裕もない。
言うべき言葉は見つからなくて、「ああ」とだけ応えた。
佐倉 光
って、出口まだ埋まってんじゃねぇのか!?
最悪衆目環境だろうが悪魔を喚び出すしかないな。
佐倉 光
牧志の持ち物や俺のPC! あーくそ、そんな場合じゃない!
KP
出口にはまだ石が残ってはいたが、通れるだけの空間はできていた。
ほうぼうの家々から出てきて走る人々の中に、あの診療所の二人の姿もあった。

少女の姿を呑み込んで、墓地の方向から村が、崩れていく。
背後から石が追いかけてくる。
何もかもを、呑み込んでいく。

すんでの所で狭い所を通り抜ければ、白い靄が視界を包んだ。
佐倉 光
理想郷の崩壊を背に感じながら、ただひたすら前へと進み続けた。

KP
……………
…………
……

KP
「危ねぇっ!」

誰かがあなたを突き飛ばした。

東浪見の背中だ。

直後、あなたは車の中にいた。
次の一瞬、ハンドルを握った自身の姿勢に気づく。

あなたは……、運転中だ!
東浪見 空
東浪見が横から割って入り、車を停める。
危ない所だった。だいぶん危ない所だった。
対向車がいれば事故になっていたかもしれない。
東浪見 空
「どしたんだよ佐倉さん、突然ぼんやりして」
佐倉 光
「あ、ええ? 東浪……ここは」
あまりの事態に呆然としてしまう。
これはいつもの夢? 走馬灯?
ただ咄嗟に、東浪見の邪魔をしないように縮こまった。
東浪見 空
「なにって突然佐倉さんぼけっとし始めてさ、覚えてねーの?」
佐倉 光
「俺、運転して、たのか」
浦西
「そう運転中。……何かに巻き込まれてたな?
一瞬あれだ、解除されてた感覚がある」
先に顔を出したのは牧志……、ではなく浦西だ。
佐倉 光
「変な幻を見ていた、というか、長い間、魂だけ取られてた、というか」
佐倉 光
「今でもまだこっちが現実だって信じられないくらいだ」
KP
「さくら?」
シローが後部座席から顔を出し、心配そうにあなたの顔を覗き込む。

彼の背後の空は高く青く、靄のかけらもない。
あなたの記憶では数日前、靄にまかれたあの時。あの瞬間と、まったく同じ空の色だった。
こどもになる
KP
そういえばこのシナリオ、ある意味『子供になるシナリオ』だなと思いました。
公開シナリオではない上に、そういうのに求められそうなのとは真逆のエグい話ですが。
(あと子供になるのはKPC)
佐倉 光
公開しても面白そうだと思うし、極端な話KPCいなくても回せそうだなぁと思いましたねー。
お腹の中の胎児と相談しながら探索するというのもすごく面白いシチュエーション。
良かった、牧志のブレスレットは無事だ(?)
KP
確かに。KPCはほとんど動けませんからねこれ。
そうなったら中の子供は何になるんだろう……? 

佐倉さんのPCも牧志のブレスレットも無事です。よかたね。
佐倉 光
腹に宿っているのがなんだか分からない孤独な状態であがく、というのも面白いんだけど、
エコーごしに手を振る牧志を確認したのも面白すぎたな……やっぱり少なくとも身近なヒトがいた方が楽しそう。
中に入っているのが大事なものだと思えないと、母体に無理をかけることへの躊躇いが出ませんしね。
真の意味で子供になっちゃった場合どうなってたんだろ……
終わってから聞きます……
KP
それはあるんですよね。中身がよくわからないものだとそれはそれで不気味で面白いんですが、中身が身近な人なことでもう一段わけのわからないことになる。
今回も裏事情全部はわかるようでわからない話なのもありますし、終わってから色々ぜひ。>真の意味で子供になってたらどうなってたかとか
佐倉 光
ききたーい!

KP
あなたの身体に、もうあの重さはなかった。
身体を回しても腹が座席に詰まることもない。
最初から何事もなかったかのように、元通りの形をしている。
膨れ上がった腹に身を引っ張られることがないのは、久しぶりの感覚だった。
佐倉 光
「……ああ、ああ、悪い。
なんか、急に……
東浪見。運転、代わってもらっていいか?」
冷や汗がふつふつと浮いて額が冷たい。
まるで貧血にでもなっているかのようだ。
東浪見 空
「おう。ってか、ちょっと休んでくか?
ここ、ちょうど展望台だし」
東浪見は心配そうに言い、ドリンクホルダーから飲み水を取る。
佐倉 光
「ああ……そうしてもらえると、助かるな」
言って牧志が座っている方を見る。
牧志 浩太
……後部座席には、ちゃんと大人の牧志が座り込んでいた。
シートに身体をあずけ、呆気に取られた様子で空を見上げている。
牧志 浩太
「えっと、佐倉さん……、俺、戻った?」
眩しそうにしながら、二度、三度と、目を瞬く。
佐倉 光
「戻った……」
角がないか、思わずまじまじと見てしまう。
牧志 浩太
「ああ、戻った……、戻ったんだな。戻ったんだよな。
見えるもんな。外に佐倉さんいないもんな。佐倉さん、そこにいるもんな」
牧志の身体に角は見当たらない。いつも通りの彼だ。
東浪見 空
「魂だけ……?
なあ、それって、子供になって暮らしてた夢とか、そういうやつ?」
いや夢だよなああれ、と東浪見は首をひねった。
佐倉 光
「……あー、そんな、感じ。
そうか、東浪見もそんな体験してたって言ってたっけ」
佐倉 光
「笑えるぜー。
俺が妊婦になって、牧志が腹の中にいたんだ。
産まれる直前で逃げてきたんだよ、多分」
佐倉 光
「今思ってもぞっとする」
東浪見
KP
ある意味子供になる話にかぶせた。>東浪見の台詞
そういえば東浪見ももう巻き込まれた人なんだなって。
佐倉 光
東浪見も理解できてしまうんだなー
KP
東浪見も理解できてしまう側になっちゃったんですねぇ。
佐倉 光
今まで様子がおかしかったの全部ああいうやつだったんだと繋がってしまうんだなぁ。
KP
そう繋がってしまうんですねぇ。
あれもそれもああいうやつだったのか…… あれ、佐倉さん達めっちゃ巻き込まれてね? ってなる。
佐倉 光
東浪見んちでも一度遭遇したなぁ!
KP
しましたねぇ! あれそういうことだったのかってなる!
佐倉 光
いや正確には2度なんだけど。
(子供になった時のはバレてないはず!)
KP
あっちは東浪見にはバレてなかったですね。こっそり脱出できたし。

佐倉 光
汗を拭いて少しぬるくなった水を飲む。
KP
少しぬるくなった水の温度は、あなたの体内にもうあの熱がないことを知らせた。
ずっと抱えていた熱と鼓動の不在は、少しだけ淋しいような空虚を抱かせる。
そこに声をかけても、もう牧志はいない。
ちゃんと、目の前にいるのだ。
佐倉 光
腹のなかに何もいないことを確かめるように右の手を当て、さする。
あるのは内臓の弾力だけだ。
ゴムボールか何かのような独特の手触りも、中で動くものの気配もない……
佐倉 光
「良かったよ、元に戻れて」
東浪見 空
「わお」
東浪見は驚いたものの、嘘だと言うことはなかった。
元から人を否定しないやつだが、その驚きが少し『こちら』に近しくなっているような気がする。
東浪見 空
「ええー、すげぇなそれ。
何、産まれてたら牧志赤ん坊になってたの?」
東浪見はしげしげと、平たいあなたの腹を見る。
KP
と、ふとあなたは、自分の手が中に何かを握っていることに気づいた。
そういえば、牧志も片手の拳を握っている。
佐倉 光
ふと左手に何か握られていると気付いた。なんだろう。何か持ってたっけ?
KP
何か握っている手を開ける。
そこにあったのは……、

何か、乾いた皮のような、黒く丸まったものだった。
KP
それが何か。
ぱっと見て分かるはずもない。なのに、分かってしまった。

それは、臍の緒だ。

あなたの。
あなたと牧志を繋いでいた、あの。
牧志 浩太
牧志が恐る恐る、握られた自分の手を開く。
そこには黒くひなびた何か、肉のようなものがあった。

ああ、分かってしまう。
それは胎盤だ。
あなたの腹の中に張りついて、牧志を育てていた、赤黒い肉だ。
KP
手を開いても、それらは消えることなくそこにあった。
なにも、なにも夢などではなかったのだと示すかのように。
KP
名残のように一度、腹が痛んだ。
佐倉 光
「うわ!?」
思わず手を振るって払い落とす。
腹が咎めるようにかすかに痛む。
いつもの痛み、とはまた違う、奥からの痛み。
すでにあるはずがない臓器を想像させる痛み。
佐倉 光
恐る恐る、縮んだ皮のようなものをつまみ上げる。
KP
それはもはや血を通わせることもなく。
ただ抜け殻のように、小さくしなびていた。
佐倉 光
「ったく、悪い冗談だな」
あれはリアルでした、ってわざわざ教えてくれなくていいよ。
牧志 浩太
「ほんとにな。最後までこれかよ」
牧志が小さく呻いて、臍の辺りを撫でた。
佐倉 光
捨てよう。俺たちの繋がりはこれじゃない。
そう思いつつも、普通のゴミのように捨てるのは何だか嫌だったので、ティッシュに包んでポケットに入れた。
もしかしたら後で普通のゴミに混ざって捨てられるのかも知れないけど。
AF?
佐倉 光
臍の緒、アーティファクトだったら、その後思い直してなんとなく置いとくことにしたことにさせてください。
KP
大丈夫、ただの記念品です。特に効果はないので捨ててしまってもOK。
佐倉 光
多分佐倉はこういう物に執着がない。
KP
なさそう。
牧志も……、まあ捨てるかなあ。
今回はさすがにあんまりが過ぎる。

佐倉 光
牧志の顔を見て、『ああ、会えてよかった。待ちわびていた』と思う。
佐倉 光
そんな思いを抱いたのは俺自身なのか、それとも『母親』なのか。
今の俺には判断がつかなかった。
KP
空の向こうに、もう靄が出ることはなかった。


「胎響の村」

END-A「へそのおをきる」にて、両者生還。



KP
ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございました!
佐倉 光
この事件について少し牧志と話したくはあるから、落ち着いたあとでどっかのシナリオ内でちょっと話題に出したいなー。
KP
>後で
お、いいですね。
どこかでぜひ話したい。
佐倉さんが見たものについても聞きたいし。
佐倉 光
ジャパニーズ因習村ホラーを存分に浴びてとても楽しかった!
何が起きていたか気になる!
KP
>因習村ホラー楽しかった
わーい! それは嬉しいなぁ。ありがとうございます。
ではまず、生還報酬と成長から。
報酬・成長
▼生還報酬(二人とも)
 村を脱出した SAN+1d8
 命の連環を終わらせた SAN+1d6

▼アイテム
・臍の緒と胎盤
特に何の効果もない記念品。捨ててもよい。
▼後遺症
なし。
佐倉 光
1d8+1d6 Sasa 1d8+1d6→ 4+6→合計10
SAN 52 → 58
牧志 浩太
1d8+1d6 Sasa 1d8+1d6→ 6+2→合計8
SAN 40 → 48
KP
佐倉さんは廃屋での〈心理学〉クリティカルと、とどめ【POW】クリティカル
牧志は一時的発狂の【アイデア】クリティカルと、廃墟で〈心理学〉ファンブルですね。
佐倉 光
「とどめ【POW】」は〈ナイフ〉にしようかな
KP
【幸運】だったら【POW】が上がったのになぁ。でもあの瞬間の意志力はすごかった。
ああー、〈ナイフ〉いいですね。
佐倉 光
1d100 65〈心理学〉 Sasa 1d100→ 4→決定的成功クリティカル)!
KP
成長ロールでまでクリティカルしなくても。
佐倉 光
ここで〈肉料理〉を宣言してパスみを
KP
なるほど? >〈肉料理〉 いいんですよ?
佐倉 光
いや、さすがに酷いので〈ナイフ〉にします。初期値いくつだっけなー
KP
25だったかな? >〈ナイフ〉
佐倉 光
25ですねー
1d100 25 〈ナイフ〉 Sasa 1d100→ 70→失敗
1d10 Sasa 1d10→3
ナイフ 25 → 28
KP
牧志は、数か月母子していたことを受け止めてしまった時の発狂【アイデア】かぁ……
妊娠に関する技能? 〈医学〉ですね。
佐倉 光
なるほど?
内側から理解しちゃったかぁー。
KP
実際、かなり詳しい知見を得てしまった気がするし。
牧志 浩太
1d100 65 〈医学〉成長 Sasa 1d100→ 7→成功
1d100 77〈心理学〉成長 Sasa 1d100→ 95→失敗
1d10 成長 Sasa 1d10→2
〈心理学〉 77 → 79
KP
おや〈心理学〉の方が成長した。声を読むしか情報がない状況に置かれて強制的に訓練されたかな。

背景
KP
では、背景事情から。
▼背景事情(1)
村はかつて、冬の厳しい寒村だった。
冬の迫るある日、村を取り巻く森からわずかな恵みを得ようと、村の女性が森に入った。
その時ちょうど星の巡りの偶然が生じ、森の奥で眠っていたものが目を覚ました。

千の仔を孕みし森の黒山羊、シュブ=ニグラスの化身。
彼女はそれに襲われ、それと交わり、その仔を腹に宿した。
仔はよっつ。
ひとつは死に、ひとつは獣、ひとつは人として生まれ。
残りのひとつは化身そのもので、彼女を気に入り、彼女の腹にしがみついて手放すことがなかった。

彼女の腹はかの神の祝福を受け、豊穣の力を宿した。
流れ出る黒山羊の乳は村を豊穣で満たした。
死ぬ人間を取り込み、黒山羊の仔として産み直すようになった。
人々は生まれ変わらせてもらうために、彼女を祭り上げた。

彼女が亡くなってからも、神を宿した彼女の腹は死ぬことがなかった。
彼女の腹から生じる豊穣の力は村の隅々まで満ち、あらゆる腹を孕ませた。
産まれた黒山羊の仔たちは、やがて獣になって親のところへ行くようになった。
豊穣の仔を宿した腹がどこかにある限り、村は豊かさに満ちるようになった。
▼背景事情(2) :それから
神の化身は自らの住処とするために、村の時間を歪め、外から切り離された時間の流れる異界に変えた。
切り離された時間に漂うようになった村の中で、やがて村の民は黒山羊の仔ばかりになった。
行き所を失った神の力は宿る腹を探して、外から人間を捕えてくるようになった。

偶然、村のある付近を通りかかってしまい、村に捕えられたのが探索者たちである。
▼背景事情(3) :彼女の意思
彼女の意思は残っていない。
村を豊かにしているのは彼女の腹に宿った神の化身の力であり、
神の仔を宿した者たちの腹から流れ出る豊穣の乳である。

彼女の娘が村にとどまり続けているのは、神の化身から異界を維持する楔の役割を押しつけられていたため。
娘にその自覚はない。
背景事情(4) :神との契約

神と女の交わり(契り)は、異常で一方的なものながら、神との契約として作用していた。

女が数ヶ月を呪い続けたことで、包丁はその契約を拒絶するに足る力を宿した。

神との契約に対し、探索者が包丁を使って拒絶を叩きつけたことで契約は破棄され、神の化身は去り、異界は崩壊した。

外から捕まっていた人達は、それぞれ元の時間と場所に戻った。
元からの村の住人は全員、異界とともに死んだ。
KP
というわけで、村にあった意思は『もりさま』イコール、シュブ=ニグラスの化身の、交わった腹への執着だけだったのです。

始祖の女の意思はもう残っていなくて、娘が残されていたのは神の化身の意思だった。
村を豊かにしていたのは、神の化身の存在による副産物だった。
佐倉 光
なーるーほーどー!
そんなにロマンチックなもんじゃなかった!
破壊してよかったなそれは。もはやただの暴走する災厄だし。
村の住人は気の毒といえば気の毒だけど。

なるほどなぁー、そんな事情なのに情で維持されているように見えるの面白いなぁ!
三本角の娘が異形になっていたのは維持役だったからなのか生まれ直しを繰り返して獣要素が濃くなっていたからか。
KP
なのでした。村人が勝手に崇めたり思い違いしたりしているのもあって、裏事情が見えにくくなっています。
何か意味があるようで実はなかったよ、っていうの結構好きで。

>異形
です。何度も産まれ直す度に獣要素が濃くなっていました。
佐倉 光
面白い!
こういうのってそういう愛がネジ曲ってってのありがちだしそう見えるのに、そうじゃなかったの二重に面白いなぁー!
KP
わーい、ありがとうございます! 嬉しい。
そこに愛はなかった。
佐倉 光
『父親』の執着じゃなくて『子』の執着だったのが更にグロいなぁー
KP
母の子宮にしがみつく子ですからねぇ……。
でもその子、父親そのものでもあるっていう。グロい。
佐倉 光
このシナリオの仕掛け、今でやったシナリオでも結構上位の好きだなぁこれ。
気持ち悪さやドロドロしたものがいっぱい詰まっているように見えるのに、あったのは残りカスだけだとか、それでも人間はそこに情を感じて勝手に救われるとか、弄ばれてる感がすごく楽しかった。
こ、このテクニシャン!
KP
わーーー、嬉しい!
そのお言葉は嬉しい。CoCのそういうとこ(結局人間に理解できる意味などない)味わい深いよな~って思って作った背景事情なので、そこが楽しかったって言ってもらえるとすごく嬉しい。ありがとうございます。
前にもそういう話やったので、思い違いでズレていく信仰が好きというか、「そういうのあるよなー」って思ってるんだなと自分でも思います。
佐倉 光
拒絶した女性の子は普通に酷い記憶だけ抱えて外に出たのかな。
KP
拒絶した女性の子は村にもいられなくなった上、角がなくなって正気に戻ってしまったので、酷い記憶だけ抱えて外に出ました。
その子は普通の人間として生まれ直したので、村にも戻らず、外のどこかで一人で生きたことでしょう。

あ、佐倉さんが産む直前で突然正気に戻ったのはメタ的にはシナリオ都合ですが、作中的には精神力です。【POW】
契りから長い時間が過ぎて、やや村の影響力が弱くなりつつあったのもあります。

拒絶した女性は精神力が強かった、【POW】が高すぎたのです。きっと18あった。つらい。
佐倉 光
ド根性だった!
つらいなー。それじゃあ彼女の両親は本当に不幸にして死んでしまっただけだった?
KP
あ、そこは一応関係があります。
彼女の親ですが、彼女が拒絶したことで神の化身が「拒絶すんな!」って反応し、とばっちりを投げて殺されてしまいました。

佐倉さんは契約の源=神の化身の住処そのものを彼女の拒絶によって破棄したために無事に帰れたわけです。
佐倉さんが背景事情を深く考え、想像を巡らせて、それを娘に共有してくれたからこそ、この背景も活きたと思います。
目一杯楽しんでくださって嬉しい。
佐倉 光
とばっちり死だったかー。

もとからの村人たちは『脱出』できてても行く場所がないからそのまま空間に潰されて死んだのかな。

佐倉たちは知る由もないけど、大量の人を巻き込んで殺したことになるんだなぁ。
KP
です。村人達はあの異界とともに潰されて死にました。
外から来た人達は角のない人間に戻ることができ、それぞれ元の時間に戻れましたが、村人はその通り行く場所がないからですね。
みんな角持ちなので、いずれシュブ=ニグラスの眷属になって森に消える運命の人々ではありましたが。
佐倉 光
森で異形になった元村人を目撃したり、村人が養分になっている様でも見えるのかな、『兄』が襲ってきたり? などと想像していたため、森に何もなかったのはより不気味でした。
KP
ああー、それはそれで面白かったかも。
元村人がどうなったのか、『もりさま』が何をしているのか、はっきりとした証拠が出ない方が曖昧な不気味さがあっていいかなと今回は思ったんですよね。
佐倉 光
あとは、墓で包丁使ったら巨木の姿をしているやつに報復されるのかな? とか。
KP
巨木は単なる風景描写だったんですよね。シュブ=ニグラスの恩寵だから、異様に育った木くらいあってもいいかなって。
途中で燃やすって話聞いて、それも面白いなってなって裏で燃やせる可能性生やしたりしてましたが。
佐倉 光
こっそり墓に行って包丁でサクッとやれば簡単ではあるんですが、もし木が襲ってきたら今の自分の腹じゃ逃げられないんで、なんとか共犯者が欲しかったんですよね!
一緒に戦ってくれるか、もしくは黒幕を説得してくれるような。
KP
なるほど、木が襲ってくる可能性! それであんないい流れに。
あそこで一人でやろうとした場合、夜間に人目を盗んで行かないともちろん村人に止められるので、タイミングによってはちょっとしたタイムロスが発生していました。
佐倉 光
なーるーほーどー!
包丁が結構な呪物で、動かすと村全体が敵になる勢い、なんてのも予想していたのでかなり慎重にやりましたね。
あれスコップで刺すなどしたらどうなっていたんだろう。
KP
拒絶の包丁以外のもので子宮を破壊しようと試みた場合、表面でつるりと滑ってしまってどうやっても刺せませんでした。
神の化身との契約そのものなので、契約そのものを拒絶できる程の力がないと壊せないのです。
ぶるんぶるんと悶えながら切っ先から逃げる子宮。グロい。
佐倉 光
ぷりんぷりんする子宮(ミルクがけ)が見られたかぁ~……キモいな。
でもそれはやらなかったから最後まで怖くて楽しかったなぁ。

分岐
佐倉 光
タイムオーバーだったら何が起きてたんでしょう
KP
お、ではエンディング分岐と、細かい行動の結果の話を。
いつものように細かい所は佐倉さんの行動に合わせてアドリブしているのですが、
大きく分けて4つのエンディングがあります。
・END-A「へそのおをたつ」:村破壊END
・END-B-1「はらのなかにて」:出産END(村の中)
・END-B-2「ともにうまれる」:出産END(村の外)
・END-C「ひとりでしまい」:KPCだけを生かすEND
佐倉 光
お。村の外出産とは。
・END-B-1
8日目の夜(来た日を除いて7日目の夜)になるとタイムオーバーとなり、お産が始まります。
屋敷に来た診療所の二人と、村の人達に助けられながらお産を遂げることになります。

>後遺症
牧志は大人の記憶を持ったまま、角付きの子供として生まれます。
産まれてから数か月ほどで瞬く間に五歳くらいまで成長し、それからは通常通り成長します。
それからは普通に人として暮らせますが、いずれシュブ=ニグラスの眷属と化して森に消える運命を負います。

佐倉さんはお産を遂げたことで身体の「祝福」が固定化してしまい、子宮と女性の骨盤を持ったままの身体になります。
 ・牧志に対する「俺の子だ」という認識が固定化してしまい、相棒だけど愛しい子だと思うようになります。
 ・周囲で人が死にそうになると、その人を子として身籠るようになります。
 ・身籠っている間、身体から乳の匂いを発するようになり、周囲で植物や動物がよく育つようになります。
佐倉 光
ひぇぇ。空虚なシステムに組み込まれてしまうぅ
実際、「餌を確保するため」位の意味はあるだろうと思っていたのに、
ただあるだけで周りのものを歪めてゆくシステムの一部になるの不幸でしかない。
KP
なんですよねぇ。眷属は生じるもの。
「豊穣の神」って、意図的に悪意を持って何かするというより、存在するだけで周囲に満ちてしまうような存在なんじゃないかというイメージが入っています。
佐倉 光
奴隷かと思ったら奴隷ですらないんだもん、ひどいはなしだ。

しかも当人達は歪められていることを知る者も知らない者も受け入れさせられてニコニコしてる。こわい。
佐倉 光
そんな中で正気になっちゃったあの人本当に可哀想。
知らなければ幸せだったのに。
KP
知らなければ他の村人のように幸せでいられたのに、精神が強すぎたせいでずっと正気なままなの、本当に可哀想。
結果、それが村を滅ぼす武器になったわけですが。
佐倉 光
そして彼女の絶望を浴び続けたであろう腹の子が唯一解放されてるのがまた皮肉。
出産した方に角は生えないんですかね。
KP
出産した方には角は生えません。
村人は全員一度以上「子供」側として産まれ直しているわけですね。
その辺深く突っ込むと細かい矛盾が出そうだったので、作中ではフンワリ誤魔化しています。

佐倉 光
実際前に調査をしていた探索者は病院のドクターだったんでしょうか。
KP
そこ実は決めていなかったんですが、「病院のドクターでは?」って話が出た時に、「あ、確かに。それエグいな」ってなってそうなりました。

あれを調査していたのは診療所のドクターです。佐倉さんのように一時的に正気に戻ることができ、重い腹を抱えて調査をし、あそこまで辿り着いたのですが、調べ上げるのに時間がかかってタイムオーバーになりました。
胎児になっていた女性の方は正気に戻っておらず呑気に胎児をやっていて、彼は一人で調査をやっています。
佐倉 光
だとしたら二人も無事戻れたようで良かった!
ちょっと変な夢をみて関係性がおかしなことになっているかも知れないけど。
ドクターに角があると年齢合わない問題ッッ
でもなんかさっきの話によると育つ速度デタラメみたいだしなぁ。
それはそれでエグい話ではある……
KP
そうなんですよねッッ>年齢
そのへんどうしても事情が合わなくなるのですが、出産側にも角があると瞬く間につのだらけになっちゃって村人が消えてしまうので、出産側は角なしにしたかったんですよね。

そもそも切り離された時間の中だし、現代と古い暮らしが混じったような不思議な場所になっていて、時間の経過もあまりあてにならないということで誤魔化させてください。
さすがに二度以上の産まれ直しが可能とすると、いずれ森に消えるといっても恩恵が大きすぎるな……、とか、その辺が色々混じってちょっと矛盾が出ています。
育つ速度、森の黒山羊の子供って生まれ落ちた瞬間に喋るとか歩くとか立つとかありそうだなっていうのと、新生児じゃさすがに「特殊生還」とはいいがたいなと思ってああなっています。
佐倉 光
ああー、特殊生還の都合! なるほどっ
KP
子供佐倉さんルートみたいに5~6歳なら特殊生還といえるけど、さすがに新生児じゃしばらく探索者できないッ
佐倉 光
こどもになるシナリオだった
KP
こどもになるシナリオでした。
佐倉 光
いや、逆に考えるんだッ。
相棒が歳を取るシナリオだと!
相棒がパパママになるシナリオ!
うーん。
KP
相棒がお母さんになるシナリオだった。
ちょっとそのお母さん変な祝福負ってるから、兄弟が増えちゃうけど。
佐倉 光
腰がこわれるぅ
骨がおれるぅー
KP
大丈夫黒山羊パワーが守ってくれます。それでも大変すぎるけどぅ。
佐倉 光
物理的な大変さはそのままっぽいしなぁー。

ずっとお花畑状態っぽいから産後鬱なんて問題はないし、みんなが面倒見てくれるから、本当に「気付かなければ」幸せなんだよなぁ。
自分の父母を身ごもってもニコニコ幸せなのこわいよ。
※この問題が起きるの最初の方だけだけど
KP
そうそれ。
みんなが支えてくれるし大事に面倒を見てくれるし、ずっとお花畑状態だから、「気づかなければ」幸せに暮らせるんですけどね。
周囲には豊穣が満ちているし。
なお、このルートになっても完全に飲まれることはなく、出たければその後村を出ることができます。
その場合、END-B-2(村の外出産)と近いルートになります。

また、子宮と包丁を発見していれば、出産後でも村を破壊することができます。
その場合、
 ・牧志は角つきのまま、シュブ=ニグラスとの結びつきだけが消えて、「いずれ獣になって森に消える」運命がなくなります。
 ・佐倉さんはすべての後遺症を持ったままです。契約は破棄されましたが、単独で豊穣を産める存在になってしまいます。身籠るとちゃんと幸せにはなれます。
佐倉 光
わぁい! ……わぁい?
外の世界で勝手に身ごもるの迷惑すぎる。
もう異界に閉じこもるしかないわ。
KP
「低頻度で継続困難な後遺症」の「継続困難な後遺症」ってこれなんですね。
普通に動いていればまずタイムオーバーしないけど、タイムオーバーすると大変な身になっちゃうという。
勝手に身籠るし腹からだらだらと豊穣の乳(※知覚できない)を流す存在になるという。
佐倉 光
外で生まれたら一人で育てなきゃいけなくなるんだぞ!
お。その場合も産まれた子には角が?
KP
その場合はつかないかな? 結びつきが消えているので。
佐倉 光
ロスト探索者を産み直すマシンに……(ひどい)
KP
産み直し蘇生ができるというある意味強い存在ですね。当人大変だけど。
佐倉 光
異界までは行かなくても、とりあえず一次産業に就いた方が良さそうですね。
周囲に人がいなくて恵みが役立つなりわいをしよう。
KP
都市でそのまま暮らしてたらえらいことにはなるし、豊穣の力が役に立つのも自然の中ですしね。
恵みを役立てながらひっそりと暮らすほかない。

佐倉 光
解決しないで外に出ると外出産になるんですか?
KP
解決しないで外に出る場合、

 ・まず村人が「危ないから」と止めてきます。
 ・それでも外に出る場合、外へ出てもこの事態を解決しない限り事態は解決しないのではないか……、と思った。とKPから警告が入ります。
 ・それでも外に出る場合、歩いている最中に斜面が崩れます。
 ・どちらかが【幸運】/2失敗すると、崩落に飲み込まれそうになった所で「黒い靄」に包まれ、気づくと村の屋敷の布団に寝かされています。
  村の男が危ない所で助けてくれたようだ……、となり、一日経過してやり直しです。

二人とも【幸運】/2成功してしまうと、身籠ったまま脱出できてしまいます。
元の時間に戻ることはできず、十月十日しっかり行方不明になっています。
村に戻ることはできず、解決方法もなくなるため、外で出産ENDになります。
その場合助けてくれる人はいないか、または元々の知り合いに頼るしかない状態で、どこかでひっそりお産を遂げることになるでしょう。
(※病院に行って医者を《SANチェック》させるのは自由です)

シュブ=ニグラスの化身と結びついた「村」との結びつきが腹の中に存在したままになっているため、牧志にはしっかりと角と眷属になる運命がつきます。
佐倉さんもすべての後遺症を負ったままになります。
佐倉 光
おーぅ。崖が崩れているのはむしろ救済だったのだ!
時間が過ぎちゃっているのもきついなぁ。二人揃ってそれまでの人生が丸ごとぶっ壊されるわ。
KP
なのでした!
脱出してしまうとシナリオ途中でバッドエンドになってしまうため、ここは「それはまずいと分かるように警告入り」「救済要素あり」になっていて、「それでも振り切って出るなら出られる」くらいの塩梅になっています。

時間は過ぎちゃっているし牧志はそもそも強制的にニュー人生だし、それまでの人生がぶっ壊された上で佐倉さんは大変なボディになってしまうと。
本当に互いしか残らない。

脱出はしたけど異様な状態のまま、帰ったはずの日常を目の前に、もう止める術がなくなってしまうのを悟る瞬間、そのルートに行ったら困るけど楽しいなと思って、こんなルートが設置されていました。
佐倉 光
さすがに探索者としてはそれはナシだし、
佐倉は情報が足りないことを喜んでやったりはしないんだけど、
外に出れば解決する、と思うようなきっかけがあればやっていてもおかしくないなぁ。
KP
あ、ちなみに、この(村の外で出産or出産後に村の外へ出る)場合、シローと牧志の間で義子実子問題が起きることはありません。
シローはパンの大神、つまりシュブ=ニグラスの化身の子なので、シローのこともめちゃくちゃ愛しくなります。子供たち二人とも愛しい!
佐倉 光
わーい良かった! 良くないよ。そのおとうとどっかに消えちゃうよ。
痣の力で引き留めて貰わなきゃ。
KP
痣の力でさらなる取り合いになる可能性。ありそう。
佐倉 光
身重ってワードで結構探索者の無理を封じられるシナリオ……
KP
身重で出産直前ということで、かなり無茶できなくなってますからね。〈マーシャルアーツ〉とか。
佐倉 光
〈マーシャルアーツ〉かます妊婦こわいよ。
KP
無茶すると出産早まっちゃうかもしれないし。
佐倉 光
それで早産になったりしたら強制Bエンドかしら。
早産、とはいわないかー
KP
想定はしていませんでしたが、あんまり無茶をすると強制Bエンドですねぇ。
残り1週間を切ってるから早産ではないかな。
佐倉 光
一週間だからただの予定日より早い人だわ。
KP
ただのちょっと動き過ぎて予定日より早くなっちゃった人ですね。
佐倉 光
Cエンドは自害エンドかーぁ
KP
で、END-Cなのですが、これは「拒絶した彼女」と同じ行動を佐倉さんも取れるというルートです。
「子供に角がつかず、村を出て行った」がヒントになっています。
拒絶の包丁で自らの腹を裂くことで、佐倉さんは死にますが、牧志だけを人間として生かすことができます。つらい。
拒絶したため、この場合佐倉さんは産まれ直すことはできません。
佐倉 光
ああー、あれとつながっている自分の「子宮を壊した」からそうなったってことになるのかな。
KP
そういうことです。
ただ、この場合「あれ」そのものを壊したわけではないので、村を破壊することはできません。
佐倉 光
これはKPCだけこどもになるシナリオ!
KP
なるシナリオ!
自分の命を捨ててKPCを脱出させるルートですね。ただKPCも相棒を喪うし人生壊されるし十月十日過ぎているし、頼るPCももういない状態&子供の姿で一人放り出されるし、本当に「神話事象から逃れて脱出できる」以外にろくなことがないのですが。
佐倉 光
ああー。そうか、時は経ってるし頼れる人はいないし本当に碌な事がない。
牧志の場合故郷遠いしなぁー。自力で帰れない。
救いは東浪見や波照間や東雲なら事情分かってくれそうなところ……かな。
波照間さん子供になった牧志を何度か見てるから、すぐ気付いてくれそう。
そういえば東浪見も本人ではないけど子牧志見てるし。
KP
波照間はまず気づいてくれそうだし、東雲さんも受け止めてくれるし、東浪見もあの後だから信じてくれそうだし、彼らに支えられながらシローの弟として新たに生きていくことになりそうですね。つらい。
佐倉 光
あと牧志なら地元に帰っても家族が受け入れてくれそうではある。
KP
ああー、それは確かに。
めちゃくちゃびっくりするし???? ってなるけど、牧志が自分しか知らないことを語ったりとかすれば、納得して受け入れてくれそう。
完全に信じられなくても、我が子 or 自分の兄 を自称してその記憶を語る身寄りのない子供を放り出せる人達ではないし。
佐倉 光
シローを庇護する立場だったはずなのにシローの弟になっちゃうの、本人が辛いな。
相棒と母親を同時に失ってるし。
KP
辛いんですよね。シローに佐倉さんが死んだことを説明しなきゃいけないしさ……。
佐倉 光
佐倉はまずそんな行動取らないんですけどね!
それしかない、という状況になって追い詰められでもしないと!
でも逆の立場(牧志が母親)だったら選択肢にそれが入ってきそうな予感があって怖い。
あ、でも前に「あげるのは命以外」って言ってた! なら大丈夫かも。
KP
牧志はこの状況だと、佐倉さんと一緒に生きたいと願ってしまいそうなんですよね。
それが佐倉さんを変質させ、いずれ森に消える運命を負わせることにさせてしまっても。
いつそうなるか分からないのが怖い所ではあるけど。

「産んだらすぐ獣になってしまう」とかで、もう他に手段がない、時間がない、いまにも産まれてしまう、とかだったらやりかねない。
牧志は佐倉さんと自分が二者択一になって、他の手段がなかったら佐倉さんを選ぶんですよね。でもそうなるまではどちらも生きたいと願う。
その点で「それしかない、という状況になって追い詰められでもしないと」なのは一緒ですね。
佐倉 光
ああー、なるほど、しばらくは平和に生きられますしね。
KP
村人も角はやしたまま平和に生きているわけだし、あの老女みたいに老いるまで森に行ってしまっていない人もいますしね。
佐倉 光
老いるまで幸せに生きられるならそれはそれであり!
KP
そこで「人であってほしい」とは牧志はあんまり望まない。
佐倉 光
ただ、自分の大事な人がいついなくなるか分からない、というのはそれはそれで怖いけど。
まあー……普通に生きていてもいつ死ぬか分からないと言ってしまえばそれはそう。
KP
まあー……、それはそう。
ある意味変わらないと言えば変わらないですね。消えちゃう確率が上がるだけで。
それに、産まれ直して子供になるわけだから、いままでと合計すればそれなりの期間を一緒に過ごせる可能性はそれなりにある。
もしかすると探索者やってるより平和になるかもしれない。
佐倉 光
佐倉は正気であれば「ここは退屈」が脱出理由になるんだけど、村の住人として組み込まれればそんな思いも消えてしまいそうだなぁ。
KP
組み込まれたらねぇ、消えてしまうでしょうね。
消えてしまう前にここは退屈だから外へ出ようというなら、牧志は孕む身体を抱えてそれについていく。
佐倉 光
しかし孕む身体抱えちゃったら普通の病院にかかりづらくなりそう。
KP
なりそう。上半身はまだしも下半身見た時点で異様な形になっているし、お腹のエコー取りますn何この内臓??? ってなるし。孕んでる状態だとそれどころじゃないし。
佐倉 光
中の赤ん坊手を振るし。
KP
振るし。孕んでない状態でもあるはずのない内臓あるし。
佐倉 光
自然に発生する両性具有と明らかに違いそうだからなぁ。
両方機能するなんて聞いたことないわ。
KP
両方の内臓が完全に機能するなんてえらいこっちゃですからね。
しかも骨格が男性で骨盤が女性形というチグハグ具合なのに、最初からそうだったかのように筋肉と骨が繋がっていて普通に歩けるし。
見たお医者がもれなく《SANチェック》したり別な事件に巻き込まれるようになったりしそう。
佐倉 光
めちゃくちゃだー

KP
エンディング分岐としては以上なのですが、後は二つほどPCがやるかもしれない無茶を想定していました。
佐倉 光
おっ。
木を燃やすとかですかね!
KP
おっ木を燃やすのは最初考えてなくて、途中から想定を生やしましたね!
・木を燃やす
廃墟に残った食用油を大量に使い、村人から火種を借りるなりすれば燃やすことができます。
身重の身体での準備は困難で、準備に丸一日かかります。
また、当然村人に止められるので、準備中に言い咎められるのをRPか〈言いくるめ〉などで誤魔化す必要があります。
決行を見られたらさすがに誤魔化しが効かないので、決行は夜間にする必要があります。

で、そこまでして燃やすと土が崩れ落ち、女の屍が露出して一緒に燃えます。
が、子宮だけ焼け残ります。
KP
というわけで、準備にめちゃくちゃ手間かかるわりに、得られる結果は掘るのとあまり変わりません。
佐倉 光
結局子宮に拒絶刺さなきゃ駄目なんですねー
それだけ害意を露出させたら村人に警戒されそうだし、雷落とされるかも知れないしー
KP
です。「拒絶の包丁を発見する」「子宮に拒絶の包丁を刺す」は村破壊ENDの必須条件となっています。
さすがに墓地の、しかも一番大事なお墓の木を燃やそうとするのは誤魔化しきかないですからね。
佐倉 光
包丁見つける前にやらかしたら苦労しそう。
KP
包丁見つける前にそれをやってしまうと難易度が大幅に上がるなぁ。
実はそれでも村人は「大事なお母さん」のことを悪意には取りません。
お産を前にして気を違えてしまった! 大変! って屋敷に戻して寝かせようとしてきます。結果動きにくくなるのは一緒。
佐倉 光
善意が、善意が邪魔をする!
KP
村人は「母親」が「幸せで、産みたがっていること」をまったく疑わないんですね。
佐倉 光
前にそれで実際に「おかしくなってしまった」おかあさんが亡くなっているわけだしね。
KP
だから善意と心配しかない! 全然疑ってこない! でも結果として監視と行動妨害!

なんですよね。診療所の女性は実際にそれを悔いていたし。
佐倉 光
拒絶の包丁を刺すことが解放の条件なのかな? と思ったので、ちょっと手足を傷つける実験してみようかなと思っていたのに忘れていたなぁ。
意味はなさそうでしたが。
KP
手足を傷つけるのは普通に傷がつくだけでしたね。大事なのは子宮だった。
佐倉 光
木の破壊が追加ということは、あとは森の奥に行くとかでしょうか。
KP
森の奥に行こうとしていたら、下生えが邪魔で進めない! ってなっていました。
想定していたのは以下の2つですね。
 ・無茶をして胎児を死産させようとする(KPCが大事な相手であれば、まずやらないと思いますが想定はしてた)
 ・うっかり6番発狂なども含め、拒絶の包丁で腹を刺す以外の方法で自死を試みる
佐倉 光
ああー、なるほど。
前者は論外として、後者は起きる可能性はあった。
KP
後者はうっかり6番発狂を考えると、結構ありえますからね。
▼無茶をして胎児を死産させようとした場合
 ・胎児を死産させようとしたら、KPCが死ぬが? と警告を入れる。
 ・無茶をして破水を誘発し死産させようとした場合、村人を撒いていなければ止めてくる。
 ・撒いていても、意識を失った後で必ず村人に発見され、危ない所で命を救われる。気づくと屋敷の布団に寝かされている。【CON】×5でロール。
  ・成功:村の男が危ない所で助けてくれたようだ。腹は少し大きくなっている。(時間経過)
  ・失敗:出産した子は村の医師が助けてくれたそうだ。出産END。
KP
前者はこんなのでした。運が悪いと出産ENDだけど、基本は時間経過するだけです。
佐倉 光
殺される可哀想なKPCはいなかったんだ……
KP
いなかったんです。心配した村人たちが見てる。
▼うっかり6番発狂なども含め、拒絶の包丁で腹を刺す以外の方法で自死を試みる
 ▼佐倉さん側
  ・必ず村人に発見され、気づくと屋敷の布団に寝かされている。
   村の男が危ない所で助けてくれたようだ。腹は少し大きくなっている。(時間経過)
 ▼牧志側
  ・胎児は臍の緒で首を絞めて自死を試みる。
   村人が診療所のドクターを呼んでくれ、ドクターは懸命に救命を試みてくれる。
   牧志は気を失っていたが、危ない所で助かる。(時間経過)
KP
こちらも時間経過するだけです。
佐倉 光
6番出なくて良かったね!!
KP
本当にね!!
腹の中で6番発狂されたら止められないのよ。
佐倉 光
下手に大人の知識持って胎内に入られると本当に大変だな! お互い!
KP
それな!!

あとはラストの【POW】ロール失敗してたらどうなってたとか、必須な探索項目と実は必須じゃないものとか、その辺……、
▼判定・行動など
〇ラストの【POW】ロール:ゲーム的な処理
佐倉さんは鮮やかなクリティカルを見せてくれましたが、もし失敗した場合。

ここは失敗してもチャンスがあります。
失敗すると1探索回数をロスし、再挑戦できます。
失敗するごとに【POW】×6、×7……、と倍率が上がるため、探索回数が残っていれば大体クリアできるバランスになっています。
そのため、「二人とも成功必須」としています。

〇ラストの【POW】ロール:失敗時に起きること
・佐倉さんが失敗した場合、佐倉さんは出産したい衝動に駆られて墓地に横たわり、その場で出産しようとしてしまいます。

出産することはないものの、村人に錯乱状態の所を助けられ、気づくと屋敷の布団に寝ています。

・牧志が失敗した場合:牧志が外へ出ようと激しく暴れ、佐倉さんは身体に力が入らず座り込んでしまいます。

同じく村人に助けられ、気づくと屋敷の布団に寝ています。

・どちらのケースでも、発狂状態に陥った佐倉さんは女の子宮と一体化しようとし、女の子宮を服の下に入れて持ち帰ってしまいます。

埋め戻されることはないので再挑戦が楽になりますが、目覚めると服の中で女の子宮が蠢いています。こわい。
KP
・失敗するとこんなことになってしまうので、あそこのクリティカルは見事でしたし、綺麗だったと思います。
断固と拒絶した!
佐倉 光
おおぅ。これは惨劇だ。2人とも成功したからかっこいいシーンになったけど、娘さんドン引きシーンになるところだった。
笑っちゃった。
KP
そう娘さんドン引きシーンになるところだったのです。
それ見てもう1発狂して or 大変!! って村人呼びに行って、娘さんも止めるどころじゃなくなる。

布団の上で目覚めて気がついたら、服の下で熱い何かがぐにぐに蠢いてる。こわい。
佐倉 光
蠢く肉片が乗ってるのこわすぎるよ。
あそこになきゃいけないわけじゃないんだ……
KP
あそこになきゃいけないわけではないんですね、実は。
佐倉 光
道が復旧した後に何を血迷ったかそれを外に持ち出して……
KP
あっ、外に異界が生まれ出てしまう。
そうなったら外が異界化していたかも……?
あとは拒絶した女の家で判定無しで包丁を見つけたのは、「布団の下を調べる」宣言がジャストミートだったからとか。

別の場所を宣言していたらペナルティつきの判定になっていました。
佐倉 光
布団の下やったー!
妊婦がいつも寝ている場所だから何かあるかな? と思いました。
KP
なるほど!
KP的な都合としては室内が荒れていても影響を受けにくい場所という方でしたが、読みが見事に当たっていましたね。
KP
途中で腹が熱い描写はもりさまのせいではなく、普通に胎児の体温が高いせい、という紛らわしい描写だったとか。
佐倉 光
実際暑いんですよね、常に。
KP
胎児は体温38℃にもなることがあるというのを読んで、思わずへぇえー! となって出しました。これは熱い。
KP
女の幻を見たのが佐倉さんだけだったのは、偶然波長が合ってしまっただけだとか(+正気じゃなくなっていると幻を受け取れない)
佐倉 光
波長が見させたかー。
今回の佐倉の推理大分ハズレだ!
KP
でした。誰もちゃんとした裏事情わかってない話だからしょうがない!
おかげで少女を説得できましたし。
あそこの説得可否は、彼女はそう言われたらどう考えるかな、やっぱり迷うよな、と考えながらやっていました。
KP
最初に女性が「大人になって産まれ直すことを知らない発言をしている」のは、ただのKPのうっかりだとか。
KP
食事が予定日直前になると繊維豊富なメニューになってくるのは、出産に備えてお通じにいいメニューになっているとか。
佐倉 光
食事細かい!
美味しそうだなぁーと思いながら見ておりました。
KP
食事シーンがあるとなるとつい献立を盛りたくなっちゃって。
異様なほどの厚遇と豊かさがある描写にもなりますしね。
KP
骨盤計測してこれなら元気に産めますって言ってもらうシーン追加しよう……、って思って忘れてたとか。

「もりさま」は「森様」と「守様」の両方の意味があるとか。

その辺かな?
佐倉 光
骨盤計測は多分検査でやったんだと思います!(描写外でなんか色々検査されてげっそりした描写いれました)
KP
検査された描写ありましたもんね。
一通り体験してしまった佐倉さん……。
KP
あ、あと実は診療所は必須ではない(直接の行動ヒントではない)のですが、診療所へ行かないとタイムリミットが分からないので結構大変、とかもかな。

でも高精度エコー越しに手を振る胎児(牧志)はやりたいところだったので行ってくれて楽しかった。
診療所では突然普通に妊婦扱いされるので何かと面白い。
佐倉 光
楽しかったー!
KP
こちらもすごく楽しかった!
楽しんで頂けてすごく嬉しいし、行動も描写も考えも細かくて、ご一緒できてすごく楽しかった。

ありがとうございました!
ぜひ佐倉さんと改めて話したいですね、今回の事件の話。

次どうしよう
佐倉 光
次どうしようかなー。
とリストを眺めております。
佐倉が殺意に駆られる、は、やったことがあるけど、牧志が殺意に駆られる、はやったことがなかったっけ? などと
と思ったけど、目と耳の話の時狂気でそうなったことはあるか。

トラウマが刺激されるな。
目と耳の話(ネタバレ)

KP
狂気で殺しそうになったのはありましたね。ちゃんと(?)殺意に駆られたことはなかったかな。
佐倉 光
あと佐倉のは純粋な殺意ではないけど。
あと牧志は佐倉を殺したことはあるんだなそういえば。
リピリビは『純粋な殺意』が芽生えてしまうみたい?
KP
メインルートでありましたっけ。PYX序盤ではあったけど。
佐倉 光
某所で心臓抜いてますね。
殺したかったわけではないけど。
KP
ああー、確かに。殺したかったわけではないけど行為として。
某所で心臓抜いてる(ネタバレ)

佐倉 光
メガテンで日常的に『自分や仲間の死』を見ている佐倉より、牧志を『殺す』役に据えた方が美味しいかなぁ、などと考えたり。
いや意外と牧志に関する死について恐怖心を持っていそうな佐倉を『殺す』役にした方が楽しいかと思ったり
触手モンスターになるのは佐倉のほうが楽しいか、牧志の方が楽しいかー。
ただこちらについては、佐倉悪魔使いだから悪魔を隠すのは日常の一部ではないかなと思ったり
KP
どっちも面白そうなんですよねぇ。
「死に戻り」がより日常ではないのは牧志の方だし、
>意外と牧志に関する死について恐怖心を持っていそうな佐倉さん
を殺す役に据えるのも楽しそうだし。
悪魔を隠すの、牧志がモンスターになって佐倉さんが隠す方だと、牧志が辛い思いをしそう+そんな牧志を隠し続ける佐倉さんが辛そうで楽しそうなのがあるかも?
佐倉 光
ああー、佐倉は隠す側のほうが楽しいかも。
牧志は日常で関わる人が多い+佐倉の職場も頼れる人もみんな悪魔狩り
KP
そうそう。日常で関わる人が多くて、心配する人も多くて、孤独に弱くて、そんな牧志を頼れる悪魔狩りたちの目からも隠し続けなければならない佐倉さん
佐倉さんは隠れていてもそれなりに過ごせてしまいそうだから、そういう意味でも佐倉さんが隠す側の方が辛そう。
佐倉 光
なるほど確かに!
そして明らかに境界超えてる牧志をそのままにしなきゃならないシナリオか。
いやいや人食ってなければこえてない。
※紹介ですでにPC食おうとしてる
KP
食べはしないらしい。でも世間からは境界を越えたものとして扱われる。
そう食おうとしてる。
佐倉 光
それじゃ今回、リピートミーリビルドユーでこちらがKPしましょうか。
KP
お願いします!
もし逆でも面白そう!!! ってなったらまた二周目を試みてもいいですしね。
そのあと、いたみあいっこをこちらがKPで回しましょうか。
佐倉 光
ではそれで!
まずシナリオ読んでみますね。
KP
はーい! ありがとうございます
佐倉 光
お。楽しそう。
KP
ほほう。
SAN60以上推奨らしいので、ちょっと調整は要るかな?(牧志は現在48最大53)
でも楽しみ
佐倉 光
結構大きめのダメージを食いますね。
まあなんとかなるだろう!!
KP
ふむふむ。
大幅に減って終わるようなら「きょうせい、きょうめい(ギミックが気になってるSAN回復シナリオ)」をその次に回すのもありかな?
牧志のSANが0になってしまったら……、「息をしてるだけでいい」を回すとか。ひどい流れですが。
佐倉 光
ああー。SAN0になったらそういうシナリオを回すチャンス、でもあるか……
余程ダイス目が荒れなければ大丈夫かなとは思いますが。
KP
荒れることはあっても荒れっぱなしなことはないと思いたい。


コメント By.佐倉 光
なんとも酷く悲しい村のなりたち。
佐倉は母の慈悲の心を感じて行動する。

……しかし……

背景情報を聞いて「やられたなぁー!」と悔しがりながら、このシナリオの面白さ、味わい深さを更に噛みしめたのでした。

プレイ日:2025年7月25日 ~ 2025年12月15日

作者名: 闇司祭ファラリス

配布・販売サイト: 胎響の村

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」



TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第二話『ともだち』の一

みたな!

TRPGリプレイ CoC『レッド・グランド・セパレート』牧志&子供佐倉 1

どうして、また、佐倉さんを、これだけ多くの人達を。
巻き込んじゃったんだ、俺は、あいつは!

TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第十六話『旅するゆうこや』稲荷木 1

「おいおい、お方様の社をバラしちまったってのかよ」


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