KP
外に出ようとすると、先程の女性がやってきて、外着を着つけてくれようとする。
そういえば今着ているのは浴衣のような室内着で、お世辞にも外を歩きやすいとは言えない。
佐倉 光
役に立つ物は、使おう。着付けて貰って外に出る。
KP
和装ながら、大きく余裕を持つように身巾を広く縫われており、ほとんど腹に圧迫を感じない。
その下で腰と腹を支えるように紐を回してもらい、少しは歩きやすくなる。
佐倉 光
屋敷の中を歩けるようになるって感じかな。
それとも何らかの履き物を履いて外に出られる?
KP
おっと、描写漏れ失礼しました。
置かれていた衣服の横に、あなた達の靴もちゃんとある。
縁側に下駄も置かれており、こちらを使ってもいいようだ。
佐倉 光
靴を履いて……駄目だ、足元が見えなくて靴が履けない。一度座るしかない。
そろそろと座って自分の靴に足を通す。足元が見えないって事がこんなに不自由だとは思わなかった。
KP
何気ない動きで足元を見下ろそうとする度、布に包まれた膨れ上がった腹だけが目に入る。
その視界は、確かにあるはずの足が失われたような、頼りない感覚をあなたに与えた。

KP
外へ出る。
ぼんやりと薄暗い空の色は、変わらず薄暗いままだった。
曖昧な太陽の光が、障子紙のような厚い雲を透かしていた。
KP
外に出たところで、探索ルールを開示します。
※探索ルール※
1日のうち、「朝」と「昼」の2回探索が可能。
どこか1箇所の探索を行うと、1探索回数を消費する。

探索個所に指定されていない行動
(道端で聞き込みをする、短い休憩をとる、食事をとる、村の中を見て回って全容を把握するなど)は、探索回数を消費しない。

腹の重さと体の疲れやすさのため、「夜」は探索できない。
「朝」か「昼」のどちらかを休息に費やすことで、「夜」の探索が可能になるが、夜間に歩き回ろうとすると村人が止めてくるため、「夜」の探索時は村人の目を盗んで行動する必要がある。
KP
現在は「1日目:昼」である。
あと1回探索すると夜になる。
佐倉 光
よし。さっき言ってた病院に行ってみるか。
まずは自分の状態を知るのが一番だろう。
ついでにここの地形を把握したり、他の三人の行方を知ることができればいいんだけど。

オバチャンに道を聞いて病院を目指します。
KP
村の医師がいるという家を目指して、杖をつきながら歩く。
「やあ、お母さん。調子はどうだい」
庭仕事をしていた若者が振り返り、気安くこちらに笑いかける。
佐倉 光
「…………」
よーしよし、落ち着こう。情報は必要。よし。
佐倉 光
「お陰で悪くないよ」
KP
「ああ、それはよかった。お産までゆっくりしていってくれ」
佐倉 光
「ここは初めて来るんだ、俺たちみたいによく外から人が来るのかい?」
KP
「ああ、たまに来るよ。とはいっても、そんなに多くないけどね。

人が来るようになったのは最近になってからかな。
山奥だからかな、それまでは人が来ることもなくてね」
佐倉 光
「客はみんなあの屋敷でお産をするのかい? 男も女も?」
くそ、少し歩いただけでへとへとだ。なんだこの体。
KP
「ああ、そうだよ」
若者は平然と答えた。
「昔は村の者もあそこでお産をしていたんだけど、村もめっきり人が減ってしまってね。

最近は村でお産をする人もあまりいないから、お客が使うことが多いかな」
佐倉 光
ますますどういう場所なんだよ、ここ ……
佐倉 光
「余所者はどこから来るんだい?
俺た……俺、どこから来たか分からなくてちょっと困ってるんだ」
KP
「どこって、村だよ。
お客かい? 入り口からじゃないかな。
外への道は一つしかないから」
若者は快く場所を教えてくれる。
KP
ふと、若者が肩に布を巻いて隠していることに気づく。
その下は少し盛り上がっている。

そういえば先程の女性も、頭に布巾を巻いていた。
畑仕事か台所仕事でもする格好のように思えて違和感はなかったが。
佐倉 光
「ん……その肩。怪我でもしてるのかい?」
KP
「ああ、これかい?
ちょっと“いただきもの”がね。
怪我じゃあないから大丈夫だよ」
牧志 浩太
「いただきもの……、普通の意味じゃなさそうだな。
言う前に一拍空いた」
佐倉 光
ヒエェ絶対やべーやつだ
KP
ウフフ
佐倉 光
『ここの奴ら、信じられないな。
悪意なく人を犠牲にするヤツらを思い出すよ』
俺たちはそういったことに今まで何度も巻き込まれてきた。
牧志 浩太
「ああ……。知らないうちか知っててか分からないけど、前提が違う。
俺達にとって異様なことを、当然だと思ってるんだ」
KP
「おかあさーん」「こんにちはー」
話しているあなた達を見つけて子供が二人やってくる。
彼らも、脇腹、二の腕、と体の一部を隠している。
佐倉 光
おかあ? ああ、俺のことか。
佐倉 光
「こんにちは。あれ、君たちも? それ、怪我?」
KP
「ううん、いただきものー」
KP
「あかちゃん、こんにちはー」あなたの腹を撫でようとしてくる。
佐倉 光
「…………ッ!」
佐倉 光
「ごめん、ちょっとやめてもらえるかな」
足を引いてその手をかわそうとする。
佐倉 光
悪意がなかろうとなんだろうと、不快だ。
KP
一歩足を引くと腹が重いが、何とか躱すことができる。
撫でようとした子供は、不思議そうに自分の手を見ている。
KP
「ほらー、だめだって言っただろ」
KP
「言ってないよー」
事実、一度も言っていない。
佐倉 光
「いただきもの? ってなんだい?」
KP
「もりさまからのいただきものだよー」
KP
「あかちゃんになると、もらえるんだよね」
KP
「この子ももらったのかな?」
KP
「ううん、生まれたらもらえるんだよ。
おれ、覚えてるもん。
頭がいいです! って言ったのにお腹になっちゃったんだ」
KP
「ほんとにー?」
KP
「ほんとだよ」
佐倉 光
「もりさま? あかちゃんに『なる』って?
いきなり人の腹に入って産まれ直す、ってこと?」
背筋に冷たい汗が流れる。
KP
「そうだよー。おれもあかちゃんになったの」
KP
「なったなった」
子供たちはそれが当然のことであるように、うんうんと頷き合う。
その視線が不思議な色を湛えているように見えたのは、内容の異様さからの錯覚だろうか。
佐倉 光
「もらえる、って何を?
いただきものって何なんだ?」
断片的な情報から凄まじく嫌な予感が、する。
牧志が『産まれた』らどうなるんだ。
KP
「もりさまのねー」
KP
「つの!」
KP
「つのつの!」
子供たちは揃って嬉しそうに、頭に角が二つある身振りをする。
KP
「もりさまの子になれるんだ。
大きくなったら、もりさまのとこにいくんだよ」
KP
「あれ、でも兄ちゃん、まだ行ってない」
KP
「あのなあ、俺が悪いみたいな目で見るな。
人によって違うんだよ、いつ行くのかは」
それが当然のことであるかのように、青年と子供は気安く言い合う。
佐倉 光
Okやっぱりここは常識が通じない異界だ。
彼らが本気だろうと狂気だろうと、とにかくここから脱出しなきゃいけない。
牧志を何とか……
佐倉 光
どうやって何とかするんだ、こんなの!?
佐倉 光
「もりさま、って何だい?」
KP
「何ってなに?」
KP
「もりさまだよ?」
子供は不思議そうに首をかしげる。
佐倉 光
『いまいち要領を得ないな』
佐倉 光
「産まれ直したから体のどこかに角が生えるのか。
生えたらいずれもりさまの所へ行く?」
KP
「そうだよー」
佐倉 光
「みんな布を巻いているけど、つのって見せちゃいけないもの?」
KP
「ううん、お客がびっくりしちゃうから」
KP
「びっくりしたらあかちゃんによくないもんね」
KP
「みる?」
牧志 浩太
「隠すのはあくまで外の人間のためで、普段は出して生活してる、忌避感を持ったりはしていないってことか」
牧志 浩太
「いずれもりさまの所へ行く、か……、嫌な予感しかしない」
佐倉 光
えー、どうしようかなー。
KP
<ミル?
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「見せてくれる?」
知りたい、と思ってしまった。
KP
「うん、いいよ」
KP
「いいよね」
子供たちはひそひそと囁き合う。
別段秘密ではないのに、隠しているから秘密のような気分になっているらしい。
KP
幼い手が布の結び目を探し、ほどいて布を引く。
するり、と布が解かれた。
KP
布に押さえられていたものが、跳ね返る音を立てて起き上がる。
子供たちの滑らかな腹と腕にあったのは、
アスファルトから木が生えるように、皮膚を裂いて内側から伸びた、螺旋状にねじれた赤黒い角だった。
KP
あどけない皮膚を冒涜的に侵す角の存在に、佐倉さんは《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 57 Sasa 1d100→ 37→成功
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「ありがとう」
佐倉 光
色々想像していたが、想像よりは大分マシなシロモノだった。
佐倉 光
だけど、このままじゃ牧志がこうなるってことだろ。
だいたいこんな角の生えた赤ん坊なんか産んだら母体はどうなる?
佐倉 光
「あれ、みんな元々ここの人じゃないの?」
KP
「いや、俺やこの子たちは元からここの人間だよ。
この子たちなんて、生まれ直す前は随分長生きしたものさ」
横で見ていた若者が、懐かしそうに目を細める。
佐倉 光
見た目通りの年齢ではない……?
佐倉 光
「長生きして、産まれ直して、また生きてを繰り返す中のどこかでもりさまの所へ行く、ってことですか」
佐倉 光
『よく分からなくなってきたな。ここの人間が長生きをするために産まれ直すってんなら分かるけど
それならどうして牧志が赤ん坊になっているんだ』
KP
「ちょっと、なに話し込んでるんだい。
ちょっとこっちを手伝っておくれよ、全然抜けないんだよ」
KP
「お客と話してたんだよ!
ごめん、もりさまのことに興味があるなら、長の家で聞いてみてくれるかな?
今いる中で、一番前からいる人のはずだから」
KP
「遊びに行こ! おかあさーん、またねー」
佐倉 光
おかあさん? ああ、俺か……
佐倉 光
慣れねぇなぁ。
KP
若者は人に呼ばれてその場を去ってしまう。
子供たちも飽きたのか、どこかへ去っていこうとする。
佐倉 光
「忙しいのにありがとう」
KP
▼長の家の場所を聞いた。
牧志 浩太
「結局、なんで俺がこうなったのかは分からないな。
分かったのは、このまま生まれたら角つきになるだろうってことと、
そうなったら『もりさま』の所へ行ってしまうかもしれないってことか」
佐倉 光
『まずは、病院で状況を聞く。
詳しい話も聞けるかも知れないしな』
牧志 浩太
「ああ、そうしよう」
牧志 浩太
「……臍から血が流れてくるのを感じる……。変な感じだ」
佐倉 光
当初の予定通り病院へ向かいます。

KP
▼1日目:昼
佐倉 光
この周囲全体的に、農村って感じ? 山や森が囲っている?
KP
畑の合間に家々が並び、その周囲を薄暗い森が覆っている、といった風景だ。
その森の向こうに、山々が見える。
山奥の農村という形容が似合うだろう。
KP
杖を頼りに歩きながら、案内された家へと向かう。

その家は、病院というより小さな診療所という趣だった。
看板もかかっておらず、言われなければここが診療所だと分からなかったかもしれない。
白い漆喰で塗られた壁に木製の引き戸が設けられ、その戸を除いて中に入れそうな縁側はない。
窓の障子がぴったりと閉じられており、中の様子はよく分からない。
佐倉 光
『病院っぽくは見えねぇな。普通の家みたいだ』
牧志 浩太
「ああ。医者の家、って言ってたしな」
佐倉 光
「すみません、ごめんください!」
扉を叩いてみる。
KP
「はい、どうぞおいで下さい。
段差がありますので、お気をつけて」
KP
声とともに、扉が開いた。
清潔そうな作業衣を着た若い女性が傍らに立っていて、彼女が扉を開けてくれたらしい。

彼女の作業衣は洋服だ。
佐倉 光
「どうも」
中に入る。
KP
問題の段差はスロープで埋められていて、つまずく心配はなさそうだ。

柔らかなパステルカラーで塗られた室内のそこここに縫いぐるみなどが置かれ、椅子と机だけの小さなカウンターがある。
その奥に診察室だろうか、戸がひとつある。
佐倉 光
「保険証とか持ってないんですけど、診て貰えますか」
思わず妙なことを口走った。
必要なら牧志のも要るのか? そんな馬鹿な。
KP
「勿論です、子供は村みんなの子でもありますからね。
どうぞ、こちらへ」
彼女は微笑んで、あなたに手を貸す。

KP
診察室は清潔で、均一で、現代的な作りをしていた。
白い机に空のカルテが置かれ、ボールペンが添えられている。
PCはないが、検査用のものだろうか大きな機械と寝台もある。
佐倉 光
意外だ。
いや、この集落全体の雰囲気から言ってこういった事は大切なこととされているのかもしれない。
KP
二つ向かい合わせに並べられた椅子の片方に、白衣の青年が座っていて、こちらに微笑みかける。
彼もまた、頬に大きな布を当てていた。
KP
「いらっしゃい、来てくれてありがとう。
心細いかもしれないけど、一緒に頑張っていこうね」
佐倉 光
「僕、本当に妊娠しているんでしょうか」
半ば本気の問いだ。
そんな事があってたまるか、という感情が半分の。
牧志 浩太
牧志も腹の中で息を呑んだ、ように思えた。
KP
おや、と青年は少し、不思議そうに眉を寄せる。
KP
「喜ばしいことだけど、最初は驚くよね。
万一ということもあるから、少しお腹に触れて検査をしてもいいかな?」
佐倉 光
正直、知らない男、しかも得体のしれない場所で触れられたくはない。
しかし。
佐倉 光
こいつは医者こいつは医者こいつは医者
頭の中で唱えてからハイと答える。
牧志の現状と、俺たちがいつまでこのままなのか、知る必要がある。
KP
青年はまったく善意そのものの眼で少し苦笑し、聴診器をあなたの胸に当てて音を聞く。
それから、手袋をした手で膨れ上がった腹に触れて何かを確かめる。
傍らの機械を何度か操作し、あなたに寝台に寝転ぶように指示した。
佐倉 光
嫌悪感に耐えつつ大人しく従う。
当たり前の動作がいちいち煩わしい。
KP
指示通り腹を上にして寝転ぶと、腹の重さが腰全体にかかる。
そこに存在しているものの重みを否応なしに与えられ、その重みが自分を振り回しているように感じる。

青年は機械のモニターの電源を入れる。
ざらざらとしたノイズのようなものが、その中に映る。

生ぬるい粘液の感触が腹に触れたと思った直後、機械の先が腹を僅かに押す。
機械の丸い先端が探るように、腹の上で繰り返し動く。
佐倉 光
重い。怠い。全てが気持ち悪い。
脳内で毒づきながらモニタを見る。
興味深くは、ある。
どうなってんだ俺の腹。
KP
モノクロのモニターの中にはゆらゆらと水のような画像が揺れていたが、
やがて、それが焦点を結んだ。
KP
顔だった。
横顔だった。
はっきりと、人間の顔だった。

角度が変わる。
横顔から、正面から見た顔へと。
見間違い、パレイドリアのいたずらだなどとは、到底言えない精度だった。

あなたの腹に当てられている機械が映しているはずの画像の中に、映るのは。
大きくまるい頭の、人間の、顔だった。
KP
「綺麗に映っていますよ。元気な赤ちゃんですね。
おや、目を開けた。驚いた顔のように見えますね」
牧志 浩太
「えっ、俺が見えてる。見えてる?」
佐倉 光
「見えてる……」
思わず呟いた。
佐倉 光
『超音波じゃねぇのかな。顔がはっきり見えてるよ』
見えているのは胎児?
KP
青年が機械を動かす。
丸めた背が見えた。縮められた腕が、手が、足が。
そして臍から繋がって、彼を取り巻く壁へと彼を繋ぐ、紐のような構造物が。

妊婦、胎児というものに縁がなくとも、どこかで図柄化されたイメージを目にしたことがあるだろう。
それは、背を丸めて狭い空間の中に納まるおさな仔── 人間の胎児だ。
牧志 浩太
「佐倉さーん、見えてるー?」

見回すように首を回しながら、胎児がその小さな手を振る。
どうやら、その胎児が牧志で間違いないようだ……。信じがたいことに。

今度こそ、間違いない。
彼は、そこに囚われている。

あなたの中に。
佐倉 光
『見えた。手を振ってるな』
ため息が出た。
これはいつかのような幻覚じゃすまないようだ。

そして俺の体はまさに意味不明の事態になっている。
牧志 浩太
「見えてるのか……」
牧志は呆然と呟く。
あなた達の戸惑いをよそに、青年は胎児の頭の大きさや脚の長さなど、さまざまな数値を画像の中に書き入れていく。
佐倉 光
「俺は男だぞ。どっからでてきた胎盤」
KP
「男の子ですね」
佐倉 光
「そうですねー」
牧志 浩太
「どこ見てるんだ」
佐倉 光
『どこってそりゃあ』
わぁよく見えるなぁ。こんなちっちぇえのに全部揃ってるなー
じゃねぇんだよ!
佐倉 光
「そういえば、産まれたらつのがって聞いたんですけど、まだ生えてないんですね?」
KP
「ああ、まだもりさまがこの子のことを見ていらっしゃらないからね。
大丈夫。いつ産まれても、どこで産まれても、ちゃんと見て下さるよ」
青年は、あなたを安心させるように穏やかに微笑む。
牧志 浩太
「全っ然安心できない」
佐倉 光
「いつ産まれるか分かります?」
KP
「ああ、今それを話そうと思っていたんだ。
子供の大きさとお母さんのお腹の状態から推定して、今日を除いて一週間後には産まれる予定だよ」
▼ゲーム的情報
今日を除いて一週間後(7日後)の夜が予定日(タイムリミット)です。(あと探索回数14回)
▼PL向け説明
実際には
 ・もっと早いうちに検査しないと予定日を推定できません。
 ・予定日は平気で1週間くらいずれます。
が、ゲーム的な処理として、
 ・劇中では予定日が分かるものとします。
 ・この「予定日」がずれることはないものとします。
佐倉 光
リアルなことを言い出すと赤ちゃんはでかくなりすぎてこの時期にはもう見えないし、佐倉はもっと辛い思い(検査)をしなきゃならなくなるからな!
KP
なんですよね!
ちょっとこの辺はゲーム的演出的なものを優先しております。
あと詳細な描写をしすぎると、別な方向に大層グロテスクになっちゃうのもありますね……。
佐倉 光
それはそう。ちょっとエンタメから外れちゃう。

佐倉 光
『【産まれる】まであと一週間だ』
聞こえただろうけど、改めて伝える。
しかし、何とかなるのかこの状況。
体の自由も効かないっていうのに。
牧志 浩太
「あと一週間か……。くそ、短いな。
なんとか糸口を探さないと。
ごめん、佐倉さん。頼ることになるな。俺も聞こえる限り、外に注意を払ってみるけど」
佐倉 光
「ありがとうございます。
ところで、もりさま、ってなんなんですか?」
KP
「ああ、そうか、来たばかりなのかな。
もりさまは森の中にいらっしゃって、僕達を守ってくださるんだ。
僕達みんなの母親で、父親なんだよ。
もりさまのおかげで、この村では作物がよく取れるし、水は涸れないし、森はいつも温かいんだよ」
KP
そういえば、うすら寒いような風景に反して、生ぬるいような温かさを地面から感じる……。
佐倉 光
『守護神、みたいなものかな。
言うとおり都合のいいものを維持されているというなら、代償は必要だろう。

そうすると生け贄、という言葉も思いつくけど』
佐倉 光
「いずれもりさまの元へ行くってどういうことです?」
KP
「文字通りだよ。角をいただいて、森へ行く。
森へ行った人は、もりさまの所で暮らすそうだよ。
そこは実りと繁栄に満ちていて、ずっと楽しく暮らせるそうなんだ」
牧志 浩太
「……途中から伝聞形だ。
もしかして、それが生贄なのか?」
佐倉 光
『そう思えるな。森へ行かずに赤子に戻るケースもあるみたいだけど』
佐倉 光
「森へ行くときってのは何か呼ばれたりするんですか?」
KP
「いや、ある日突然だね。
僕はまだ来て短いから、そう何度も見たわけじゃないけど……。
ある日突然森へ向かって、それきり」
佐倉 光
白羽の矢は見えず、か。
佐倉 光
「妊婦になるのはこの村の人たちだけじゃないんですか。
ここの人たちは元々、僕たちみたいに外から来た人間なんですか?」
佐倉 光
参ったな。この状態を何とかするって、堕胎は色々な意味で論外……どうしたらいいんだ。
KP
「昔からいる人もいるようだけど、ごめん、あまり詳しく知らないんだ。
詳しいことが気になるなら、長の家で聞いてみたらどうかな?
村のことに興味があるなら、きっと教えてくれるよ」
佐倉 光
『やっぱり長の家ってとこに行ってみるしかないな』
KP
「そうだ、もりさまのことに興味があるなら、もりさまにお参りするのもいいかもしれない。
動き過ぎはよくないけど、散歩は体にいいしね」
KP
▼「お参りどころ」の場所を教えてくれる。
佐倉 光
『お参りどころ、か。何か分かるかもしれないし、行ってみるか』
牧志 浩太
「そうだな、当たれる所を当たってみよう。
それから、ちょっと思ったんだけど、村に何があるのかそこで聞いてもいいな」
佐倉 光
『確かにな。案内か地図が欲しいところだ』
KP
ここで佐倉さんは〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 39→成功
KP
状況説明からあなたとの対話に移った青年の姿勢がわずかに変わり、腕の下になっていた書類が覗いた。
「旧産屋からの物品搬出許可について」と書かれている。
佐倉 光
「旧産屋? 前は違うところで出産していたんですか?」
KP
「ん? ああ。そうらしいんだ。
僕がここに来る前のことだから、詳しくは知らないけど。
あのお屋敷よりも小さな所だから、それで場所を移したんじゃないかな」
佐倉 光
「そうなんですか、ありがとうございます。場所はご存知ですか?」
KP
「ああ、知ってるけど……、何もないよ?」
青年は不思議そうにする。
佐倉 光
まあなんにせよ……牧志が無事だ、ということが分かって、良かった、ような、良くなかった、ような。
佐倉 光
「ここの地図なんかありませんか?」
KP
「ううん、広い村でもないし、地図はないなあ。
どこに何があるかなら、教えてあげられるけど」
佐倉 光
「そうですか、それじゃ、どんな場所があるか教えてください」
メモを持ってくるんだったなぁ。
KP
青年はメモ用紙に、さらさらと村の地図を描いてくれる。
あなたのいた屋敷が村の中央付近にあり、この診療所がその近く。
旧産屋は村の少し外れのあたり。

お参りどころは村の端、森の入り口。そのすぐ近くに長の家。
村を挟んで反対側に村の墓地。

村の水源になっている川。周囲をぐるりと覆う森。
それから、村の出口。
▼お屋敷(最初にいた場所)
 ▼診療所(ここ)
 ▼長の家
 ▼お参りどころ
 ▼村の墓地
 ▼旧産屋

の場所が判明する。
佐倉 光
「ありがとうございます! 来たばかりなので助かります!」
佐倉 光
『調べに行ってみよう。お産なんかしてたまるかよ』
そろそろ夕方だろうか。
KP
「よかった。お大事にね。
何かあったら近くにいる人に言って。すぐに行くから」
KP
それからあなたは、そこでもう少し検査を受けていくことになる。
それが終わって外へ出ると、薄暗い空が赤く不気味な血の色で染まっていた。
陽が陰るとともに寒気に覆われていく周囲と、地面から這い上がる正体不明の温もりが、村の風景を気味悪く見せる。
牧志 浩太
「ふぁ……。」
腹の中から、小さな欠伸が聞こえた。
KP
重い腹を支え続けた腰と脚が痛む。
底の抜けるような強い空腹と疲労の混じった虚脱感が、あなたを襲う。
ああ、疲れた、立ち止まりたい、何か食べたい。
無秩序な欲があなたを支配しようとする。
KP
「もう遅いですから、お屋敷へどうぞ」
通りかかった人がやさしく、あなたを屋敷へ案内しようとする。
それに抗おうにも、その力はもう残されていない。
佐倉 光
重い、怠い、眠い。
ひたすらに足が重く、足元が見えずバランスも取れない状況での移動は、凄まじく体力と気力を持って行かれた。
もう逆らう余裕がない。腹が減った。眠い……

屋敷に戻る。
きもちわるいぞ!(褒め言葉)
KP
というところで一時だ! ありがとうございました!
ものすごい状態に置かれてしまった佐倉さんと牧志の運命やいかに。
佐倉 光
いかに!!
どうしたらいいかなんて糸口もない!
とても不気味で良いですねぇー。

今までのシナリオの傾向で、
ファラリスさんって割と、見た目は優しい地獄が好きだったりするのかなというイメージが。
KP
わーい。ありがとうございます。

ああー。ああー? 寄生もの・変異もの・知らないうちに精神操作/改変されもの好きは自覚があったのですが、それは自覚がありませんでした。なるほど!!
そういうとこにホラー的な不気味さを見出してるのかもしれません。>見た目は優しい地獄
佐倉 光
なるほど、ギャップの恐ろしさなんですかねー。
自作されるシナリオにそういう傾向があるかなと思いました。
地獄への道は善意で舗装されている……じゃないけど。
KP
ギャップの恐ろしさはあると思います。
あと、知らないうちに常識すり替えられてるとか、そういうの好き。
佐倉 光
ああー。ホラーですねぇ。
一枚剥いだらグロテスクなのに、そこで生きる人は当たり前として受け入れている。
今回のなんて「因習村だ!」ってワクワクしてます。
(生えるのが角じゃなくて産まれた人間の一部だったらどうしよう、とドキドキしていた)
KP
そうそう。平然とそこにあるグロテスク。

(ああー、それも異様でよかったなー! 今回は背景がゴニョゴニョ)
佐倉 光
今グランド・グリモアの紹介作ってますけど、気になってもモンスター系は見ないように楽しみにしてます!!
KP
ああっお手数を! 
前にも出たことのあるヤツなんで、そこは大丈夫だと思います。>モンスター系
佐倉 光
15年前の記憶をフル回転して佐倉を酷い目に遭わせます!
KP
いやあひどいはなしだ! ありがとうございます!
こちらも裏で資料引き引き佐倉さんをひどいめにあわせています(?)


【1日目:夜】

KP
屋敷に戻ったあなたを、最初に会った女性の笑顔と、出汁の香りが出迎えた。
「ご遠慮せず、よう食べなさってくださいね。
お腹の子のご飯でもありますからね」

よくまとまったお膳に乗った料理に生ものはない。
少し柔らかく炊かれたつややかな白米、魚の煮しめ、野菜のお浸し。
裂いた鶏肉の煮物も用意されていて、量は十分なくらいだ。
程よい角度の座椅子が用意されている。
それでも座ると胃が圧迫されるのを感じるが、牧志が腰の方にいるおかげで、そんなに強い圧迫ではない。
むしろ、いつもより食欲が増しているくらいだ。

幸い悪阻も残っていないらしく、出汁と米の香りを嗅ぐと、強い食欲が腹の奥から沸き上がってくる。
KP
身体が準備を始めている。
あなたは不意に、そう感じる。
佐倉 光
強烈に腹が減った。
ヨモツヘグイがどうとか、チラと頭をかすめないでもなかったが、耐えることなどできなかった。
佐倉 光
俺たち二人の食事だ。
二人で生き残るために、食う!
佐倉 光
にしてもちょっと多いよな。
高難易度シナリオ
KP
異常な場所で食事させられる話が多くて、ごめんな佐倉さん……>よもつへぐい
よもつへぐいな話もやってみたいなぁ。
佐倉 光
ヨモツヘグイは怖いなー
最近、昔のシナリオの難易度は高かったって話題で、シナリオ中で特に警告なく食事ができて、食べると、エンディングでヨモツヘグイによるロストが確定する、なんて話を聞いて震えました。
とは言えこの話、最初に『冥界です』って情報が提示されていた(プレイヤーにその知識がなくてスルーされた)という可能性もあるんですが。(それでもキャラクター的にはノーヒントだからあまり私の趣味ではないですが)
KP
ひえぇ。怖!
警告情報があるならともかく、リアル知識依存で警告のないロストがあるのはこちらもあんまり趣味じゃないなぁ。
そういうのKPの知識ライン(KPが当然だと思い込んでいること)に依存しちゃうし。

逆に「食事してもらわないといけないシナリオが作りづらくなる」とか、物語的な便宜との区別がつけづらくなって、後のKPへの制約にしかならないし。

KPとの化かし合い、騙し合いが前提、あらゆるところに罠がある環境だ、というのが事前に示されているなら楽しいけど。

初見でPLをハメにかかるのは、「PLにルールが示されていれば」って一点に尽きるんですよね、結局。
そういうの楽しみに来てるならアリ。

それでもリアル知識をクリア必須要素に置くのは、知識ラインが同じと分かってる内輪サークルじゃないと無理だよなあ、と思います。バックグラウンドの違う人間がいるとこでやるもんじゃない。

「CoCは死ぬもん」って前提があったころの話なんだろうなぁ、って思います。
死ぬもんだしロストはどこかでするもん、キャラシは1シナリオで使い終えるのが前提、っていう。

生還はオマケ程度にできればいいくらいだから、リアル知識での生還もオマケ要素にすぎないってことなんでしょうね、たぶん。
エンディングで、になってる分最後まで楽しむことはできるから、そういうシナリオ・KPと分かっていれば、まあ。

そういうわけじゃなくて、本当にリアル知識を前提に置いてるならそりゃちょっとなぁ、と思う。
KP
おおっと、CONロール失敗時の文章を残したまま投げちゃった。
慌てて直しましたが、見えてたら見なかったことにしてください。
高ロス&途中ロスありで楽しいといえば、もちろん「そういうものと先に分かっている・リアル知識に頼らない」ことが前提なんですが、>ループ橋は楽しかったですね。

出目ロス系なんですが、複数キャラシートでの続行を見事に生かしてめっちゃエモなプレイを見せて下さったPLさんいた。
佐倉 光
高難易度ゲームもたまには楽しそうだなぁと思いはするんですよね。
ループ橋、名前は聞いたことがあります。
高ロスの楽しさを織り込んだシナリオも作ってみたいなぁ。


あまりプレイヤーの裏をかくプレイをすると、信頼を失ってしまうのはほんとそうなんですよね。
その後のセッションが円滑に回らなくなる可能性が高い。
『そういうシナリオ』ならいいんだけど、『そういうGM』と認識されると何やっても警戒される。
KP
いなくなった探索者の残された痕跡だけを追って、知己である次の探索者が事件を追う、という本当に熱いプレイを見ました。かっこよかった。

>信頼
本当にそれで。
それでPLとGMが敵対関係になってしまって、他の遊び方をできなくなるのは本当に勿体ない。
結局GMはボードマスターであって対戦プレイヤーではない、GMの権限の方が遥かに強いという意味で元から対戦するにはアンフェアなゲームなんだから、信頼がないと楽しめないんですよね。
佐倉 光
痕跡をたどる、は熱いですねぇ。
そういう仕掛けのシナリオ、は聞いたことあるけど、アドリブでできるのはカッコいい。
KP
そうそう。あれは非常にかっこよかった。シナリオ想定なしであれができるのは力を感じます。熱い。

佐倉 光
「いただきます」

味に気をつけながら箸をつける。
KP
味におかしな所はなかった。
香り、食感にも不審はない。
わかる範囲のことしか分からないが、美味しい。
KP
佐倉さんは【CON】×5で判定。
POTロールではないので安心してほしい(?)
佐倉 光
1D100 35 【CON】×5 Sasa 1D100→ 10→成功
佐倉 光
美味い……
思わず唇が緩んでしまう。
美味いなぁ。
いつもなら入らない量が自然に腹に収まってゆく。
佐倉 光
よし、食って元気が出たらもう一度外に出て、出口の確認だ。
さっきの案内が正しいか確かめに行こう。
佐倉 光
行けないらしい。
KP
美味しい!
腹の中の牧志も喜びに揺れているように感じた。
KP
食事が腹に落ちていくと、頭の奥から曖昧な眠気が湧き出し始める。
色々ありすぎて疲れた、眠い……。
牧志 浩太
「……」
真っ暗な空間に置かれている牧志は、一歩先にうとうととし始めている……。
KP
「もう暗いですから、足元が危のうございますよ」
出口を確認しに出ようとすると、もう暗いからと、村人が止めに来る。

足元がふらつく。
それを振り切って外出するだけの体力は、もうない。
KP
それでも無理やり振り切って外出を試みるなら、【CON】×2で判定。
佐倉 光
いや……確かに危険だな。
無理なことをすると出産が早まってしまったり、牧志に影響が出る可能性もある。
単純に転ぶ危険性だってある。
俺は自分で考えるよりずっと、不自由になっているんだ。
KP
夕食を終えると、最初に会った女性がお膳を下げてくれる。
佐倉 光
「そうだな、やめておくよ」
おとなしく従って部屋に戻る。

ここで眠って悪夢が覚めればいいんだが。

歯を磨くなどの身支度をする。
風呂が億劫だな。明日でいいか……

コメント By.佐倉 光
とんでもない事態に混乱し続ける佐倉。
この状況、一体どうしたらいいんだ!?

プレイ日:2025年7月12日 ~ 2025年12月15日

作者名: 闇司祭ファラリス

配布・販売サイト: 胎響の村

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