
『身首どころか意さえ異にし』
のネタバレがあります。
クトゥルフ神話TRPG 目次
身首どころか意さえ異にし 一覧
注意! これはシナリオをクリアした方、シナリオを全て知っている方向けのリプレイ(?)です。
KPC側の事情だけでなく、KPが背景で何を考えていたか、なんてのを基本伏せナシで出しています。
ネタバレの塊ですから、遊ぶ予定の方は絶対見てはいけません。
TRPGリプレイ【置】 CoC『身首どころか意さえ異にし』牧志&佐倉 1
余計な情報なしでシンプルなリプレイを読みたい方はこちら
参加キャラクター

牧志 浩太
お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。
とある事件以降、胃袋が独立した生命体になってしまった。
佐倉とは一蓮托生の相棒。

佐倉 光
サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。とある事件より、体中の痛みに悩まされている。
基本悪魔を召喚して戦うが、悪魔との契約のカードを使ってその力を一時的に借りることもできる。
巻き込まれ体質らしい。
牧志とは一蓮托生の相棒。
佐倉視点

何が起きてここにいるのかも曖昧だ。
何か起きたのか?


頭は切られた後箱の中に入れられています。
逃げた牧志を捜しに行ったり後片付けをしたりで、近くに人間はいません。

今までにあなたの手を引いてくれた手の感覚だけは確かだ。はっきりと覚えている。

もしかしたらそういう実験のために音や光が一切届かない箱に入れられていたのかも知れません。
そのため最初の佐倉の話し声は誰にも届いていなかったのかも知れませんね。
牧志が手を引いている、と分かったのは今までの経験というのも勿論ありますが、佐倉が警戒モードになりすぎているととても面倒くさいから、というのもあります。
そうなると最初のあれこれでいきなりドタバタすることになっちゃいますしね。
分かってくれてありがとう佐倉さん。
背後から何者かの声が飛んでくる。
走る、走る。
足取りの覚束ない誰かの手を取って走り続ける。
走る、走る。
…………。
……………………。
身首どころか意さえ異にし
入須間 様 作
佐倉視点
しかしそのたびにあなたの手を引く誰かはあなたを支えてくれた。その感覚もあなたには覚えのあるものだ。



佐倉さん視点だとまったくイントロの味わいが違って面白い。
互いに見ているものが全然違うの面白い。
KP視点・解説
運良く誰にも見られなかったので気付かれていません。
部屋の隅で大きく息をついたところで、ようやく幾ばくかの落ち着きを取り戻した。

心臓が胸から出そうなくらいに鳴っている。
ここは見知らぬ研究所……のようだ。
あなたは自らここを訪れたわけではない。
平和な日常を送っていたはずなのに、気がついたら仰々しい機械の立ち並ぶ部屋の中で白衣の者どもに囲まれていたのだ。
それだけでも恐ろしいのに、さらに信じられないものを目撃し、そしてこうして逃げてきた。
何を目撃したのか。それは考えるまでもない。
あなたのすぐ隣には、もうひとり誰かが床にへたり込んでいる。
検査着を思わせるゆったりとした衣服から、投げ出された素足が覗く。
胸元には「佐倉」と、覚えのある名前のネームプレートがつけられていた。
その誰かの腕はこちらに伸ばされており、怯えるように、あるいは離れないようにあなたに縋り付いている。
見覚えのある身体のような気がするが、その持ち主を確信できないのには理由があった。
──頭がない。
肩から続くその先の、首、そして頭部が乗るはずのその場所には、何もなかった。
ちょうど付け根を覆うように、銀色の何かが部屋の光を反射して鈍く輝いている、それだけである。
だというのに、自分に縋り付くその腕は動き、身体は落ち着きなく揺れている。
目の前のものが”生きている”らしいということは嫌でも理解できた。
そうだ、自分はそれと一緒にここまで”走ってきた”のだ。

SAN 51 → 47
状況が落ち着いたら蚯蚓腫れの有無チェックしよう(可能なら)

掠れた声で名を呼ぶ。聞こえないだろう。聞こえないかもしれない。
だっていまの佐倉さんには頭がない。
頭がなければ目だって、耳だって、鼻だってない。
縋りつく腕を離さないように腕を絡め、しっかりと抱きかかえる。
その手に手を伸ばし、強く握った。
佐倉視点
誰かはあなたが縋る手を強く握った。暖かいものに包まれた。抱かれたのだろうと分かる。


周囲の様子を窺いながら、どこか身を隠せる所を探す。
それから、自分達に起きたことを思い出そうとする。

仰々しい機械の立ち並ぶ部屋の中で、白衣の者どもに囲まれて、そこで目撃したのは首の切断された佐倉だったのである。
テレビや漫画の中でしか見ないようなその光景に、何を思ったのだろうか。
あろうことか自分はその腕を掴んで、ここまで闇雲に逃げてきてしまったのであった。
さらに、他にも何か信じられないものを見たような気がする。
しかし、ぼんやりとしてしまって思い出せない。

そうだ、思い出したんだ。
佐倉さんが。佐倉さんが……、佐倉さんの首が。
佐倉さんが。
その時俺は動転して、とにかくどうにかしなきゃいけないとしか思えなかったんだ。
それで……、佐倉さんの体を掴んできてしまった。
単に信じたくなかったんだ。
それさえ考えてなかった。考える余裕なんてなかった。何も。
佐倉視点


あなたの手にしっかりと掴まり、左手を胸の辺りでそわそわと彷徨わせている。

その姿は確かに佐倉さんだろうと思えた。
彷徨う左手はきっと、ヒランヤを探している。
そうだよな、何も見えないし聞こえないし首取れてるもんな、不安だよな。
でも生きてる。
佐倉さん、生きてる。俺の思い違いでなければ。

合わせて、その胸や腕にあの縫い跡があるか、さっと探す。
佐倉視点

思わず声を上げる。



周囲状況は……手が届く範囲のものに触れる。
彼が探しているであろうヒランヤは、検査着のような服の胸にかかっておらず、それの指先が探り当てたのは「佐倉」と書かれた青いネームプレートである。
胸と腕には蚯蚓腫れのように縫合跡があった。ほんの少し盛り上がった様子まであなたが知る通りだ。
その肉体には首から上がさっぱり存在せず、断面となる部分を覆うように何らかの装置が取り付けられている。
装置はまるで首の続きであると言わんばかりの円柱で、その高さは10cm程度のものである。
ごくごく小さな穴が数個あいていたり、小さなランプがついていたりすることから、これがこの身体に影響を及ぼす何らかの装置であることは予想できた。
しかし基本的にはボタンなどはなくのっぺりとした見た目であり、こちらから何かしらの操作をすることはできないように思える。
佐倉は周りが見えないといった様子で、あなたの腕を片手で掴みつつ、空いた手を揺らして床や壁を撫でていた。

その仕草とあの縫い目で、佐倉さんだと確信できた。
その様子に少しだけ安心して、詰めた息を吐く。

いや、そんなこと後回しかな。
俺が名前を呼びたいだけで、そんなに重要じゃない。

俺達を追う足音はしないか? 人の姿は見えないか? 周囲には何があるか?


そもそも、帰り道も現状不明だし、あいつらに俺をそのまま帰してくれるつもりがあるとも思えないけど。
少なくとも、佐倉さんの頭を取り戻さないと。
本編見る!
広くてごちゃごちゃと物が置かれた部屋であり……
身体がやや重く、背中から脇あたりにかけて肌が突っ張るような違和感がある。
ぱさ。
背後から異音がして、赤いものが視界に入り込んできた。
それは一見して蝙蝠の翼のように思えた。
しかし大きさは蝙蝠の比ではなく巨大で、自身の身長の半分程度の大きさであった。
既存の生物のものではないことは明らかである。
節のようなものに薄い膜が貼られているが、それはまるで羽化したものの羽を伸ばしきれなかった蝶のように皺だらけで粗末なものであった。
牧志がサクラに(ネタバレ)
TRPGリプレイ【置】 CoC『波間のダージュ』牧志(塔)&波照間&東浪見&東雲&佐倉 1-1
牧志がサクラに
KP視点・解説
ましてや不完全な翼が背についているだけじゃ分からないよね。
今後成長したら思い出すかもしれないな。

何だこれ、邪魔だな。
赤くて布みたいなそれは皺くちゃで、筋が張っていて、何だか邪魔だ。
深く考える前にそれを振り払おうとする。
少しぬるついた粘液をまとった、ゴムか何かのような手触り。
ぺち、と叩かれたような『背触り』。背、と言うには少し遠い感覚を触覚は伝えてくる。
あなたは『推定佐倉』と同じように、検査着のようなものに身を包んでいる。

その感覚には何か……、覚えがあった。
『自分の一部』に触れた時の感覚だ。
ぶつぶつの塊になった自分を伸ばした時と、なんとなく感覚が似ていた。
それを手探りして、自分の背中との『継ぎ目』を確かめる。
もしかしてこれ……、これ……、俺の背中から生えてるな!?
触れれば、硬い感触とともに、それが自分の背から生えていることを間違いなく確認することができる。
また、背の大部分がなにやら鱗のようなものに覆われているのか、デコボコと硬い感触が指に伝わってきた。

えっ? もしかして、今度は俺があの鳥にされるのか!?
思わず自分の胸に触れる。俺の心臓、動いてる?
今度は俺があの鳥に
TRPGリプレイ【置】CoC『アレキの心音』 牧志&佐倉 1
今度は俺があの鳥に
KP視点・解説
いやでも、だからって痣がないことにしたら早々に『これは自分の体ではない』って気付いちゃうかも。
それはちょっと勿体ないよなぁ。折角のサプライズだし。
うーん。痣っぽいものは出たことにしといて、描写はさっと流して印象弱めておこう。
鱗……というよりはむしろ甲殻類の甲のそれに近い質感。
鱗のように思えたのは、通常の甲が背を覆うほどに大きなものであるのとは異なり、細かく張り付くように身体を覆っているからであろう。
殻は羽に近い程大きく、人間としての肌に近いほど小さくなるといったグラデーションになっているようだ。
異形の部位と自分の身体に、縫合したような痕はない。
心臓は動いている。胸のあたりがぼんやりと赤い。
あの痣は滲んだようになっていた。
KP視点・解説
ただまぁ、いきなりだからびっくりはするよねって感じかな。
ダメージは少しだけ弱めておこう。

うわー成長したらしたで困ったことになりそうだけど、使わないならないで困りそうなやつ。

その様子を見て思わず声が出た。
なんだかこのピンク色、覚えがあるようなないような……。
あの時に似ているようで似ていない。
羽が生えてるだけ、とは思えなかった。
否応なしにあの時の佐倉さんを思い出す。
ほっとくとまずいやつじゃないのか、これ。

これ……、動くのか?


力を込めてみるとそれを構成する筋肉や繊維などといったものがぎしぎしと震えはするのだが、
広げる、畳む、などといったはっきりとしたイメージが動きと繋がらない。
KP視点・解説
緊急時にバレたら混乱して協力どころじゃなくなってしまう可能性もあるし。
佐倉視点

その指先は放っておけば鱗や翼に触れるだろう。

まずいな、このまま触ったら俺のこと化け物だと思うよな?
俺の手だってちゃんと分かるかな、俺だって仕草を見るまで自信がなかったのに。
情報共有はしておきたいけど、佐倉さんが逃げ出したら困る。

それでもやっぱり気にするようなら、今度は触れさせよう。
佐倉視点


KP視点・解説
で、心音で自分だと伝えたかった。
あなたが心臓に手を触れさせると、そこをしばらく撫でるようにしてからゆっくりと手を引いた。
そのまままた先ほどまでと同じように床をぺたぺたと触り始める。

佐倉さんにはまあ首がないし、俺も明らかに様子がおかしいわけだけど、
他に体に異変や、気にかかる所、持っている物などはないだろうか?
ネームプレートの裏側を見て、検査着にあればポケットを探る。
裸足の足がペタペタと床に触れるたびひんやりと冷たい。
あるものといえば胸にある名札くらいだ。
あなたの胸には「牧志」とある。
あとはティッシュ一枚もないようだった。
佐倉視点


お手上げだ。まいったなー。
手を離そうか逡巡してやめた様子が見える。
「まいったな」と言いたげに小さく肩をすくめたが、
少なくとも隣にいるのは警戒すべきものではないと感じているように見えた。



やや狭い印象を受ける。
自分は部屋の一番奥にいるようで、一番遠い反対側の壁に重厚な【扉】があることが分かる。
また、扉の近くには【人影】のようなものがあった。
ようなもの、というのは、それが立っている人間の影ではなさそうであったためである。
蹲っているようにも見えるが、機械に隠れてしまっているため近付かなければ詳細は確認できない。

俺達ずっとごそごそやってたのに、気づいていないのか?
それに気づいて立ち上がるのをやめる。
押し下げるように佐倉さんの肩を叩いて、佐倉さんと一緒に姿勢を低くする。

中に何かいるか? 機械の傍に資料などが置いてあったりしないか?
佐倉視点

佐倉視点

体が緊張している。

ちょうど扉が開いていたこの部屋に慌てて走って入ったが、その際に何かに強く衝突した記憶がある。
何だったかまでは、よく覚えていない。
とても何かを思い出すような、3m程の高さはあろうかという筒状の水槽がある。
部屋のあちこちに設置されており、おそらく水槽内の環境を制御しているのであろう大型の機械が取り付けられていた。
ぽこぽこと小さなあぶくが立っており、部屋の照明と内蔵ライトの光を受けて怪しく輝いている。
これが水族館のクラゲ水槽であれば美しいものであったであろうが、そうとはいかない。
その中には様々な動物、人間、そして、これから何になるかも分からない未発達の“何か”が収められていた。


ぶつかったのに気づかないってことはないよな。いや、でも分からない。

未発達の何か。そして……
目が留まる。人間だ。人間が入っている。
一瞬昔の記憶に気を取られて、その事実を見逃しそうになった。
そこにいるのが『人』──『誰か』だってことを。

姿勢を低くしたまま手を伸ばし、水槽を軽く撫でてみる。人に意識はありそうだろうか?
機械を見てみるが、人を外に出したりするような方法は見つかるだろうか?
KP視点・解説
……丁度いいからシナリオにある猿の描写を人だったことにしてしまおう。要はキメラ作ってるって事が分かればいいんだしね。
おかげで怒る要素が増えて、牧志の感情が余計に大変なことになりました。ありがとうございます。
>起こして
相手が起きてしまうと、目も耳もきかない佐倉さんを連れている以上第一選択は「何とかして逃げる」になってしまいますしね。落ち着いて行動できない。
拒絶反応を示したのか、身体は壊死しドロドロと体内の臓器が水槽内に流れ出ている。
また別の水槽には、胎子のようなものが収められているが、それが何の種であるかは分からない。
鳥のような脚が見えるものの、胴と頭はむしろ鼠のように見えた。
これは生きているのだろうか。到底外で生きてゆける状態には見えなかった。
水槽は冷たく固い。機械は操作法が想像もつかない。

一瞬助けられないかと考えてしまっただけに、その姿は許しがたく感じた。
握った手が震える。
『誰か』だったはずの人を、勝手に弄って、ちぎって、くっつけて、壊したんだ。

悪態を声に出したくなって堪える。
到底外で生きていける状態には見えなかった。
水槽から目をそらして、奥の扉を見る。
人影らしいものに動きはあるだろうか?
近付いて確認してみれば、それは白衣の男性であった。
人間であり、特段おかしなところは見られない。気を失っているようだ。
社員証のようなカードを首から下げている。

気を失ってる……、な。
あれだけぶつかっても目を覚まさないってことは、随分したたかに気を失ってるようだけど……。
KP視点・解説
ここで殺す殺さないって話になるのもなんだしねー。

それはカード式のものだろうか?

ふと思った。
犯罪? まあ犯罪だけど、人を勝手に攫って首を切るのも、無許可で身体を弄くるのも犯罪だろ? 窃盗より重い方の。
自己防衛の範疇だよ、この現状。
毒されてるな俺。すごく毒されてる。
佐倉視点

KP視点・解説
カードは分厚く、電子ロックを解除するキーの役割も果たしているのではないかと考えられる。

起きてきそうだろうか?
また、近くに男を拘束できそうなものは落ちている?
ネームプレートを外そうとしても男は反応しない。余程衝撃が強かったらしい。

よくよく見ると「0217」と刺青のように刻まれている。

刻まれた番号は妙に禍々しく思えた。
この位置、自分で見るためのものじゃないだろ。

それから、白衣を脱がせて俺が着る。

佐倉視点


男は白衣の下にシャツを着ているので、それにつけることはできるだろう。


俺達がちゃんと去った後で、誰かが見つけてくれるのを祈っておいてくれ。


佐倉さんの脇を軽く押し上げて合図をし、一緒に立ち上がる。
佐倉視点


佐倉さんの手を扉に触れさせ、そこに扉があることを知らせる。
佐倉視点


手をかけて開きそうか、カードリーダーや暗証番号の類があるか確認する。
扉の横にはセンサーが取り付けられており、カードキーで開閉する仕組みであることが分かる。

一応扉に耳をつけ、向こうの様子を窺う。
この扉が分厚いせいだろうか。

佐倉さんと一緒に壁に隠れ、その状態でカードリーダーに社員証をかざす。
扉が開いたら、すぐに出ずに室内から向こうの様子を確認する。
扉を開けると何もない小スペースが広がっていたが、そのすぐ先は上へと続く階段とエレベータがあった。
この空間はそれだけのようだ。

エレベーターの表示を見て、行き先の手がかりを掴む。
何階、というような記載もない、ユーザビリティの低いものだ。
佐倉視点



牧志はどこだ?
「佐倉。体がどこに逃げたか分るか? 牧志は一緒にいるか?」

牧志PLの感想
どっちも本体を相手に握られたままの逃避行だったんだなと思うと本当に状況が面白い。
佐倉さんの腕の先には牧志がいるのに、視界には白衣たちと台しか見えないの、悪趣味なVRみたいで思考がバグりそうで面白い。
最初から「只野」じゃなくて「佐倉」だって知れてるし、情報漏らさないわ、こいつら只者じゃないぞ!感が出て緊迫してよかったですね。
全身を緊張させその場で立ち尽くす。手を引こうとしても反応しない。
まるで獣に注視され怯える小動物のようでもあった。

呼んでも聞こえないのに、つい呼んでしまう。

佐倉さんの頭に、何が起きてるんだ。
勢いこみ上げてくる焦りを押し殺す。

佐倉さんの指先に自分の手のひらを置き、その状態で嵐が過ぎるまで待つ。

何が、起きている? 指文字でもなんでもいい、佐倉さんが落ち着いたら状況を聞かないと。
佐倉視点

もちろん、首から先は存在しない。
持ち上げた手は虚しくも空を切る。何度も、何度もそれを繰り返す。
そしてようやく事を理解したのか、大きく身体を揺らして辺りを探りだした。
伸ばされた腕があなたの腕を掴み、肩を掴み、離し、また掴み、自分の頭に触れようとし、左右を見るように大きく肩を揺らし…………パニックに陥っているのは明白である。
佐倉視点


SAN値 58 → 52
1d100 85【アイデア】 Sasa 1d100→ 66→成功
1d10 Sasa 1d10→6
1d10 Sasa 1d10→5
佐倉視点
9R 自殺癖/殺人癖
それを掻き毟り、引き剥がそうとし、そしてよろよろと動き回ろうとした。

佐倉さんの身体を背後から抱いて押さえつける。
佐倉さんの背中に身を寄せて名前を呼ぶ。
落ち着くまで、じっと抱きしめている。
佐倉視点


あなたがいるのは窓の景色からいって二階以上の部屋。周囲の男の背になにかついている気がする。

佐倉の動きが止まった。荒い呼吸が胸を揺らしている。
そして、あなたの体を軽く叩く。
そしてあなたの体を探り、手を出させると、
掌を上に向けさせ、人差し指を立ててそれを撫でた。
その軌跡に意識を集中させてみると、何か文字を書いていることが分かる。


向こうでは何が起きてるのか。佐倉さんはどうなってる。
指文字で追いつくはずもないのに、聞きたいことが溢れ出す。

ゆっくりと文字を描く。
『まきし』
佐倉視点

そして、あなたの手をそっと取ると、ゆっくり大きく字を書き始める。
おそらく分かりやすいよう、単語ごとに手を開いて区切りを伝える。
『めかくし とられた はくい かこまれてる』
おれ あたまだけ いきてる』

その指は躊躇うようにわずかにゆっくりになっていた。
『ふしぜん?』

慎重に佐倉さんの言うことを辿っていく。
……会話ができる。
それだけで少し、心が和らいだ。

ばしょ ふめい』
わかること あれば つたえる』
KP視点・解説
いずれも、【アイデア】に成功することで、ある程度詳しく情報が聞き出せたとして纏め情報お出しします。
また、移動中にも佐倉は情報を得たりやりとりすることが可能です。

【アイデア】で判定?

ひときわ大きな機械があり、男たちはそれを随分気にしているようだ。
窓から見える景色から言って二階か三階だと思う。
佐倉はそのようなことを伝えてきた。
『ここは研究所 それだけ言われた』
佐倉に質問させたいことがあれば、問いかけてもらうことも可能だ。

あいつらが佐倉さんの脳の活動とか、
そうなると、下手なことを聞いて俺の関与がバレるのは避けたいな。
佐倉さんが単体で聞きそうなことにするべきだ。

・何の研究をしているのか
・ここ(佐倉さんの頭がいる場所)はどこだ
・自分(佐倉さん)に何をした
・牧志に何をした
・自分(佐倉さん)の首についているこれは何だ


KP視点・解説
指の動きに意味があると気づけるのは注意深く見ている人間だけだろうし、ミ=ゴには指でものを伝えるという概念がぴんと来なかったのかも知れない。
ぴんとこないでいてくれてよかったよかった。
>何の研究をしているのか
『「偉大なる研究中だ」』
>ここ(佐倉さんの頭がいる場所)はどこだ
『「研究所だ。早く戻ってこい」』
『これには いる場所が分からない と答えた』
>自分(佐倉さん)に何をした
>自分(佐倉さん)の首についているこれは何だ
『「首を切った。機械を外すと死ぬぞ」……笑ってやがる』
>牧志に何をした
『近くにいないのか? いるなら状況を教えろ』
佐倉は状況をぽつぽつと伝えてくるが、時折その手が単語の区切りと関係なく握ったり開いたりしていた。


自分でどうにかするしかない、か。
KP視点・解説
佐倉の視界にもそれらしきものはないそうだ。
事実、現状は逃げ出したあなた方を見失っているのだから、そうした設備は少なくともここにはないのだろう。

階段は上りのみだろうか?
それなら、階段の上の様子を窺いながら、階段を上る。
監視カメラの類がないかは注意しておき、見つかるようならカメラの視界を避ける。
あなたの手に引かれ、つま先をするようにして歩き出す。
この調子では必然、移動に時間がかかるだろう。

急な時は背負って……、いや、抱え上げるか?
最悪、見つかったらどうするか考えとかないとな。
KP視点・解説
頭がないなら相当軽いよな。だけど小さいとはいえ金属がついてるのか……
体のバランスの兼ね合いもあるし、同じくらいにしとこうか。
今まで頭ないのに気付かないくらい自然に振る舞えてたってことだしね。
さすがに頭がない人間が歩いていたら目立つだろう。

振り返って目が合わないと、やっぱり時々当惑する。

少なくとも性格は悪そうだ。
KP視点・解説

そこにいたらしい、と伝える。
伝える余裕があるうちは、なるべく状況を伝えよう。
佐倉視点

目の前には扉があり、『B1 - 倉庫』と書かれている。
扉脇にはこれも先ほどと同様のカードリーダーが設置されている。


何かありそうではある。
倉庫以外に、道や階段は続いているだろうか?
KP視点・解説

扉の脇に隠れ、扉を開けたらまず中の様子を窺う。

何かあったら隠れられそうだな。
場合によっては、上に人がいるなら、佐倉さんをここに置いて、ってことも考えた方がいいな。
上で何か見つけても一緒にいなかったせいで……、ってこともあるから、悩む所だけど。
棚、床、そこかしこにコンテナや段ボール箱が積まれている。
人の姿はない。隠れるには持ってこいの場所でもありそうだ。
※二回〈目星〉を振ることができる。また、探したい物があれば探すこともできる。

佐倉さんに現状を伝える。

それか、パーカーのような被れる物があれば、それを着せた上で何か詰めれば、頭がないのを誤魔化せないだろうか?
自分の羽? は白衣で隠す。
とはいえあなたの翼はそこそこの大きさがあり、隠し仰せるようなものではない。(あなたが連想した佐倉に生えたものよりずっと大きく、床に引きずるほどもあるのだ)

佐倉さんの検査着は段ボール箱か何かの中に隠しておく。

所詮は掃除用具、あまり丈夫そうには見えない。



1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 35→成功
大きさはさまざまで、自分や佐倉が入ることのできる程度の大きさのものもある。

いくつか畳んであるのを元に戻しておき、扉の近くに置いて中に隠れられるようにしておく。

佐倉視点


KP視点・解説
〈神話〉でも振らせようか。

心配になるけど……、どうしようもないな。
俺は俺で動くしかない。
佐倉さんの様子が落ち着いたら、何があったか聞こう。
佐倉はそう伝えてきた。

1d100 42【アイデア】 Sasa 1d100→ 26→成功
『それから、この部屋にあるでかい機械は、牧志に関係あるかもしれない。
詳しくは分からないけどそんな感じがする』

無関係ではないと思う。
質問は無視された』


佐倉視点

周囲の状況が分からないし。
人の話し声と気配が近づいてくるのに気付いた。
この部屋に複数の人間が入ろうとしている!

急いで段ボールの中に隠れ、外の音に耳を澄ます。
入ってきたのは白衣の男2人であった。
自分たちがいる場所とは離れた棚に用があるようで、このままじっとしていれば見つかることはないだろう。
何かする? それともこのまま耳をそばだてる?
色々工夫したり考えたりしていきたいな。






▼〈目星〉

『0245』『0313』だ。

がしゃん、と音を立てて扉が閉じ、沈黙が訪れる。

佐倉さんに『人きてた ようすみてくる』と伝え、佐倉さんを段ボールに隠したまま改めて上の様子を確認する。
箱詰めになっている首なしの体はなかなか異様な光景である。
頭がないので収まりが良い。

クトゥルフ神話TRPG 目次
身首どころか意さえ異にし 一覧
しょっぱなにちょっとしたミスをしています。おかしいなぁエレベーターの行く先はちゃんと確認したつもりだったのに……
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」










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