こちらには
『波間のダージュ』
のネタバレがあります。
本編見る!


「蜘蛛の女王様と炎の王様」


蜘蛛の女王様の仕事は、色んな時間や世界を蜘蛛の巣で縫い合わせることです。
そうして、昼や夜や朝、過去や未来が飛び散ってしまわないようにするのです。

しかし、炎の王様はこれが気に食わない。
元々、時間やパイの生地のように重なった次元と呼ばれる難しいものは、炎の王様のものです。

だから、蜘蛛の女王様が好きなようにしているのは、腹立たしいことなのです。
だから、炎の王様は蜘蛛の女王様が作った巣を毎日少しずつ、炎で燃やす意地悪をするのです。

そういうわけで、蜘蛛の女王様はいつまでたっても巣を作り終えることができないのでした。


     ──カダテロンにて、魔術学校教師のたとえ話




第三波
アダムの花冠


KP
「……おい、マキシ、マキシ」
眠っているあなたの体を、布団の上から誰かが揺すっている。
マキシ
「うーん……」
曖昧な夢から目を覚ます。
なんだっけ、不思議な夢を見た気がする。
クミンとアイラが大喧嘩したら象が-17でマヨネーズ……ううん。よく覚えてないや。
-17(ネタバレ)

KP
まだ微睡に縋り付きたい気持ちに後ろ髪を引かれながら、布団からもぞりと顔を出す。
サクラ
「いつまで寝てんだよ。朝だぞ」
KP
目の前にはサクラの顔があり、あなたを嬉しそうに覗き込んでいた。
頬は紅潮し、幾分かいつもよりも調子が良さそうだ。
視線を少し下に動かせば、サクラは車椅子から少しだけ腰を浮かせ、ベッドを支えにして立っている。
ここ数年、いや下手をすれば数十年、サクラがこのように元気にしているのを、あなたは見たことがなかった。
マキシ
「あれ……、サクラ。よかった、よくなったんだ」
寝起きの涙のかぶった視界に映るサクラの顔は、いつになく嬉しそうだった。
いつもどこか辛そうなサクラが嬉しそうにしてると、それだけで嬉しい。

サクラがよくなってよかった。
夢の中でそう思ったような記憶が、ぼんやりとある。
あれ、いつの夢だっけ。
マキシ
「あれ? おれ、まだ夢みてる?」
ぱち、ぱちと数度目をまたたく。
サクラ
「ある意味な」
サクラ
「ま、いいから起きろよ!  今日食事当番だろ?
俺も手伝うからさ!」
KP
サクラは窓のところに行くとカーテンを開けた。
明るい朝の光が一気に差し込んできて、眠っていたコウやクウたちの顔を照らす。
温もりと光が目蓋越しに差し込んで、目覚めろと呼び掛けてくる。
マキシ
「うん!」
嬉しいな、今日はサクラが元気だ。
ずっと前みたいだ。でも、今のここにはみんながいる。
コウ
「おはよう、今日は体調がいいんだな」
サクラ
「ああ、今日は随分いいんだ」
蜘蛛の糸の包帯を巻いた腕でガッツポーズをしてみせる。
クウ
「うわ、まぶしっ」
開きかけた瞼の隙間に朝の光をもろに浴び、ゴロンゴロンと転がる。
クウ
「おおー? サクラだ! おはよう!」
サクラ
「おはよう! 今日はいい風も吹いてる。もう朝飯の材料は届いていたし、始められるぜ!」
マキシ
どうしてだろう、夢みたいだって思った。
ああ、夢なんだっけ?
マキシ
じわりと涙がにじんで拭いた。
きっと欠伸をしたせいだ。
マキシ
……突然変わった状況は、うれしい、以外の予感をぽつりと胸に落とした。

晴れた空の中、ぽつりと一粒地面に落ちた雨の染み。
マキシ
これから嵐が来る予感。

KP
一応念のためですが、第二波から数日後の話です。
マキシくんあれから何度か過去のことを夢に見ているのかも知れない。
マキシ
はーい、ですよね。
ので、あの夢の余韻と見せかけて直前に見ていた夢は別な夢でした。

何度か見てるはありそう。魔きしはそういうの強そうだし。
KP
違うかなーと思いつつ念のためでした。カオスな夢見てる……
マキシ
確認ありがとうございます。
ちょっとカレーが夢に混入したみたい。
KP
割と「変な夢を観ました」で話が終わるから、忘れていなければ仲間内で話題に出ていただろうなと思うとRPしたい気も。
第二波のは忘れちゃったけど。
マキシ
忘れちゃうんですよね第二波の。

レン
「なんだよーもー」
レン
「……なにごと!?」
サクラ
「モーニングコール。たまにはいいだろ?」
レン
「……えー、まあいいけど。なんかあったの?」
サクラ
「そういう気分なんだよ」
クウ
「おっしゃー、やるか!
サクラも一緒なの新鮮なー」
ぴょんと立ち上がると、身支度をして飛び出すのは誰より速い。
レンを除く残りの二人の足が遅いのもあるが。
コウ
「確かにな。随分久しぶりだ」
マキシ
「えっえっ、サクラだよな? 赤いサクラとかじゃないよな?」
コウ
「何を言っているんだ。緑のサクラでもいるのか?」
マキシ
「あれおれ何言ってんだろ混乱してる」
コウ
「混乱してるな」
サクラ
「……混乱してんな」
KP
サクラは盛大に噴き出してからなんだか懐かしむような顔になった。
マキシ
「びっくりしてさ」
マキシ
「でも、楽しい。昔に戻ったみたいだ」
KP
サクラは車椅子で部屋にいると邪魔になるからと、廊下に出て行った。
コウ
「行こう!」
マキシ
「そうだな、うん!」
サクラの車椅子を押して食堂へ行く。
赤いサクラと緑のサクラ
サクラ
「俺は狸でも狐でもねーんだよ」
サクラ
「あいつら懐かしいな」
KP
ツッコミと感傷が同時に吹き出たけどどっちも出せないのでものすごーく複雑な顔になった。
マキシ
ふふふwww
即座に入ったコウのボケのせいで。
KP
迂闊なこと言って記憶刺激すると危ないからさー
マキシ
なんですよねー
まだ思い出させるわけにいかないから。
赤と緑のサクラ(ネタバレ)
ずっと昔そんな二人がいたこともある。緑じゃなくて青だけど。

シノノメ
「おはよう、コウさん! ……あら? サクラさんも。おはよう、皆さん」
コウ
「おはよう。シノノメさん、ミユキ、カイ」
カイ
「お、サクラだ。珍しい。
今日は元気そうじゃない。よかったね、マキシ」
マキシ
「うん」
カイ
「サクラの調子悪いと、マキシはっきり凹んでたもんね。
マキシの顔でサクラの調子が分かるくらい」
マキシ
「えっ、そんなに」
サクラ
「はは……」
KP
サクラは困ったような顔をして笑った。
ミユキ
「おー、珍しー。呪いのアレなら部屋に行くのに」
サクラ
「それもあるけど、今日はそうしたい気分なんだよ」
KP
それはそれとして、とサクラは手を差し出した。
サクラ
「ついでだし、やっとくか」
クウ
「おう!」
コウ
「そうだな」
シノノメさんと同時に手を出す。
カイ
「だね」
マキシ
「うん」
つられてみんなで一度に手を出したために、なんだか円陣でも組んでいるかのようになる。
サクラ
「よし、じゃあ……」
KP
円陣に加わって椅子に左手をかけて伸び上がり、重ねられた手の一番上に手を乗せる。
しばらくじっとして、深呼吸をする。
すると手を重ねていた皆の体が軽くなったように思えた。
と……

〈目星〉〈心理学〉【アイデア】
マキシ
どれか一つ?
KP
どれかひとつで。茶番です。
マキシ
お、じゃあせっかくだからマキシは〈心理学〉でいこう。
マキシ
1d100 77 マキシ〈心理学〉 Sasa 1d100→ 62→成功
コウ
1d100 85 コウの【アイデア】 Sasa 1d100→ 80→成功
カイ
1d100 70 カイの〈目星〉 Sasa 1d100→ 16→成功
KP
サクラが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
こやつ、ぱちーんって叩く気だ!

判定に成功した皆は手を引くことができる。
1d100 55 シノノメ Sasa 1d100→ 90→失敗
コウ
む、それはいけない。
シノノメさんの手をガードするぞ。
マキシ
今日のサクラ、なんだかとっても元気だ!
珍しい悪戯心が嬉しくて、甘んじて受ける。
カイ
なるほどね? さっと手を引く。
クウ
全然気づいていない。
ミユキ
手を引いちゃう!
レン
なんかやろうとしてるな! 手を引っ込める!
KP
では残った四人の手にサクラの手がぱちんと当たった。
誰の手に当たったかな。
シノノメさんはガードされたから対象外かな?
コウ
シノノメさんの手はガードしたから、コウかマキシの手かな?
サクラ
「なんだよお前ら気付いてたな?」
マキシ
「まあな。ちょっと気づいてた」
コウ
「まあな」
クウ
「えー、みんな気づいてたのかよー」
レン
「なんかやりそうな顔してたなって」
サクラ
「ちゃんと仕事はしたから安心しろって。さあ、始めようか」
KP
予定としては、今日の朝食のメニューはオムレツ、アボカドと生ハムのサラダ、パンケーキだ。
【DEX】または〈料理〉技能で判定を行い、成功すると〈料理〉技能が1D5成長する。
マキシ
オムレツだ。バターいれるとおいしいんだよな。
うまく焼けるかな?
コウ
パンケーキ、パンケーキか。うーん。
ちょっと苦手だ。ひっくり返すときに失敗する。
前に、全部ミニパンケーキにしようと提案してやったら、きれいに焼けたけどすごく時間がかかった。もうしないだろう。
マキシ
1d100 40 マキシ Sasa 1d100→ 1→決定的成功クリティカル)!
1d5 マキシ〈料理〉成長 Sasa 1d5→3
〈料理〉 5 → 8
マキシ
すごい、会心の出来だ!
この数百年で一番かも!
コウ
1d100 25 コウ Sasa 1d100→ 57→失敗
コウ
やっぱりパンケーキは無理だ。マキシに任せてサラダを作る。
カイ
1d100 80 カイ Sasa 1d100→ 36→成功
1d5 カイ〈料理〉成長 Sasa 1d5→4
〈料理〉 6 → 10
カイ
おっ、向こうでパンケーキが光り輝いてる。
慣れた手つきでふわふわオムレツを作るよ。
サクラ
サクラは活発に動き回る。
野菜を延々とむしったり、アボカドを剥いたり。
シノノメ
1d100 70 シノノメ Sasa 1d100→ 13→成功
1d5 Sasa 1d5→3
〈料理〉 6 → 9

KP
サクラは食事作りで自分ができることがなくなると、車椅子を押してくれという。
他の子供達を起こしに行くというのだ。
マキシ
「みんなもびっくりするな、きっと」
頷いて車椅子を押す。
サクラ
「マキシ、緊張してんのか?
俺がいつもと違うことやってるから」
マキシ
「あー、ばれてたか。
うん、ちょっとだけ。

サクラが元気ですごく嬉しいんだけど、楽しいんだけど、
また何かあったら……、って思うと怖くてさ」
車椅子の微かに軋む、小さな音。
サクラ
「今日一日は全部忘れて楽しめよ。
多分今日は何も無いからさ。
一生分遊んでおこうぜ」
KP
サクラはあなたを見上げて笑って見せた。
マキシ
「今日は、か」
サクラの目を見て笑い返す。
きっと嵐の前の静けさを、サクラはちゃんと知っているんだ。
マキシ
「……分かった、そうしよう」
マキシ
「遊ぶぞ!」
サクラ
「今日は俺も久しぶりに仕事と礼拝行きたいんだ。
悪いけど、手伝ってもらえるか?」
マキシ
「あ、その前に仕事か!
うん、もちろん」
サクラ
「ああ! 頼んだぜ、あ……マキシ!」
サクラ
「ほーらほらみんな起きろー! 飯できてるぞー!」
KP
サクラは各扉をノックして楽しそうに叫んだ。
KP
「おはよう……えっ、サクラ?」
「久しぶり。起きて大丈夫なの?」
「珍しいこともあるもんだなー」
紡ぎ手たちは口々に驚いてあなた方に声をかけながら食堂に向かう。
マキシ
「おれもびっくりした!
そうだ聞いてよ、今日のパンケーキ会心の出来だったんだ」
そうやって話しながら、順番に子供たちを起こして回っていく。

KP
皆で連れだって食堂に戻れば、配膳は完了していた。
あなたとサクラはつい先日に座った、最初の席に腰掛けることになるだろう。

ふっくらとしたオムレツにスプーンを差し込めば、薄い外皮を割って、とろりとした中身が溢れ出す。
口の中で優しくほどける卵の食感に、卵液に混ぜ合わせたミルクの優しい風味が感じられた。
サラダは生ハムの塩辛さと、アボカドの淡泊な味わいに、少しこってりとした舌触りがお似合いだった。
プレートの傍にちょこんと居座る、小さく作られたパンケーキは、オムレツに合わせて甘さは控えめにされていた。
上に乗せられたバターが、パンケーキの温度でゆっくりと溶けていく。
口に含めば、バターの風味が口いっぱいに広がる。
サクラ
「うめぇなぁーこれ!」
KP
サクラは満面の笑みで楽しそうに食事をした。
久しく見たことのない笑顔だった。
マキシ
「おいしぃいいい!」
ひとくち口に入れて、思わずサクラと同時に叫んでしまう。
マキシ
「おいしい! すっごくおいしい!」
サクラと笑い合う。みんなと言い合う。
みんなと一緒の空間の中に、楽しそうなサクラがいる。
サクラと空間を、時間を、楽しみを分かち合う。
KP
サクラは一口一口を楽しそうに嬉しそうに噛みしめ、皆の話題に積極的に混ざろうとし、ことさらに冗談を言ったりしてよく笑った。
サクラ
「みんな料理うまくなったよな」
マキシ
「なったな、レンもすっかり慣れたもん」

ふっとグレースの名を話題に出してしまいそうになって、くっと飲み込んだ。
料理の段取りや、美味しそうな匂いに耐えて料理を完遂することや、揉め事の対処。
そんな一つ一つをグレースから教わった子は多い。
レン
「まだあんまり得意とはいえないなー。
レシピ忘れちゃうからさー。
あの壁のメモがあるから何とかなってる感じ」
KP
レンは壁に貼り付けられたメモを指さした。
グレースが昔貼ってくれた簡単な分量や手順のまとめだ。
マキシ
「なかなか覚えらんないもんな」
ちょっと特徴的なその字を、カンブリックの家はたぶん、忘れられない。
クウ
「わかるわかる!
最初は姉ちゃんの独壇場だったもん」
そこにクウが割り込んだ。
カイ
「あたしもそんなに料理うまいってわけじゃないよ」
クウ
「えー、最初の頃のコウの壊滅ぶりとは全然ちげーじゃん」
コウ
「僕を引き合いに出すな、僕を」
シノノメ
「コウさんは弓が得意だもの、それが役目なのよ」
コウ
「あ……、ありがとう、シノノメさん」
ミユキ
「ほんと、仲いいよねー。ツガイみたい」
コウ
礼を言った直後に飛んできたミユキの発言に、顔を赤くする。

KP
食事が終われば仕事の時間だ。
サクラは自室に戻り、長いことタンスに放り込まれていた仕事着に着替える。
準備をしたら仕事に出発だ。
慣れた道を今日はサクラの車椅子とともにゆく。
マキシ
サクラが仕事着に着替えると、同じ子供たちの一人に見えた。
慣れた道を一緒に行く。
いつもの一日にサクラの存在が混ざっていくのが嬉しくて、ダージュが、サクラが歌ってたあの歌が鼻から漏れた。
サクラ
「マキシ。その歌……」
KP
サクラは息を呑んで、すぐさま続けた。
サクラ
「いや、今は、やめとけ」
マキシ
サクラに言われてはっと振り返り、あの歌を歌っていたことを自覚する。
マキシ
「えっ、あ。ごめん」
サクラ
「あと少しだから」
サクラは空を見上げてぽつりと呟いた。
サクラ
「この世界だって悪くはない。
終わるまでは」
マキシ
「……サクラ」
その時また、サクラが少し遠くに見えた。

隣に立てた気になっても、やっぱりおれはまだ何も知らない子供で、世界が終わる時をただ待っていることしかできない。

それがもどかしくて、車椅子の持ち手をきゅっと握った。

KP
まずは蜘蛛たちの巣へ行って蜘蛛糸の採取だ。
洞窟にはいつも通り蜘蛛たちが張った巣が無数に重なっている。
サクラ
「久しぶりだし、上手くとれるかな」
KP
サクラはあなたに、車椅子を巣に寄せてくれと頼んだ。
マキシ
「うん」
車椅子を巣のそばまで寄せ、自分も巣に手を伸ばす。
クウ
「タイムたちいるかなー」
KP
お仕事タイムだ。
判定
KP
【DEX】×5〈刃物系の技能〉〈その他製作系〉など手先を使う任意の技能
マキシ
1d100 60 マキシは〈応急手当〉で挑戦 Sasa 1d100→ 72→失敗
コウ
1d100 30 コウも〈応急手当〉で挑戦 Sasa 1d100→ 38→失敗
カイ
1d100 80 カイは【DEX】で挑戦 Sasa 1d100→ 86→失敗

マキシ
「あっ、ああ」
コウ
「えっ、マキシどうしたんうわぁ!?」
カイ
「えっちょっ、二人とも何」
クウ
「うわっ危ねぇ!」
マキシ
まずマキシがうっかり何かにつまずいて転んだ。
コウ
巣に向かって倒れ込んだマキシがコウを巻き込んだ。
カイ
二人揃って転がった先にカイがいた。
クウ
クウが咄嗟にキャッチしたが巻き込まれた。
マキシ
その結果できたのは、四人がかりの蜘蛛の巣団子だ。
さらに判定
シノノメ
1d100 55 シノノメ【DEX】 Sasa 1d100→ 94→失敗
KP
どうしたみんな。
サクラ
1d100 45 おまけのサクラ【DEX】 Sasa 1d100→ 46→失敗
レン
1d100 40 さらにオマケのレン【DEX】。レンスポーツマンだけど器用じゃないんだよなー Sasa 1d100→ 82→失敗

KP
助けに入ろうとしたシノノメの髪が巻き込まれ、外そうと手を突っ込んだレンも一緒に転び、
サクラ
「おい何だよしょーがねーな」
KP
言って手を出した矢先に義足が蜘蛛の巣ダンゴにくっついて絡んだ。
サクラ
「やっべぇ、これどうしようもねぇ」
レン
「みんな助けてー!」
マキシ
「助けてぇええ」
こんな大惨事になったの久しぶりだとか、考えている余裕もない。
KP
まだ近くにいた紡ぎ手たちやレンの蜘蛛たちが慌てて近寄ってくる。
近年まれに見る大規模な救出劇が繰り広げられた。

KP
ファンブルじゃないのにファンブルみたいな事が起きてる……
マキシ
せっかく? 全員失敗したし、一度はやりたいこういうわちゃわちゃ。

ミユキ
「やだもぉぉ~」
泥だらけになった髪の毛をなでつけ、手ぐしで巻き込んだ蜘蛛の糸をすいては捨てすいては捨てしている。
シノノメ
「ごめんなさいね、蜘蛛さん、折角張ってくれていたのに」
レン
「わっ、大変急がないと!」
慌てて巣の回収に再挑戦!
サクラ
「悪い。かえって面倒なことになったな」
マキシの翅と髪の毛にからみまくった糸を外しながら苦笑いする。
マキシ
「いや、これはおれ転んだだけだし。
みんな、蜘蛛たち、ごめんな。
やり直しになっちゃった」
KP
皆の糸を外す作業には例の四匹も加わっていた。
サクラの車椅子にも糸が絡んでいて、小柄なローズマリーが隙間に入り込んだ糸を外しに潜っていった。
KP
そして大体の絡んだ糸が回収され、何とかかんとか必要量を全員が確保し終えた頃。
マキシ
「四匹ともありがと、助かった」
KP
パセリがサクラの膝の上からあなたを見上げて前足を上げ、ふりふりと振って見せる。
「きゅいぃ~……」
KP
相手は丸っこい蜘蛛だが、長い付き合いだ。何となくどんな感情を持っているか想像はつく……かもしれない。
KP
【アイデア】または〈心理学〉
マキシ
1d100 77 マキシ〈心理学〉 Sasa 1d100→ 22→成功
コウ
1d100 85 コウの【アイデア】 Sasa 1d100→ 17→成功
カイ
1d100 60 カイの【アイデア】 Sasa 1d100→ 8→成功
KP
どこか浮かない表情であり、何かを伝えようとしている気がする。
親であるアトラック=ナチャの到来が近付いているため、落ち着かないのかもしれないと感じた。

★9:【迫る神の到来】を入手
マキシ
……大丈夫だよ、とは言えなかった。
この世界はもう、ずっとは続かない。
あの話がほんとうなら、この穏やかな一日は全部、全部にせもので、なくなってしまった方がいいものだ。

パセリたちだって、ほんとはおれたちと仲良しなんかじゃなかったかもしれない。
マキシ
ちょっと困って、何も言わずにパセリの背中を撫でた。
KP
パセリ達はひとしきり、あなたの前で不思議なダンスのようなものを披露したあと、
後ろをついてくる様子を見せた。どうやら、今日はパセリ達も一緒に居たいらしい。
カイ
「おっ、来るの?
いいよ、おいでおいで」
それはそれ、といった顔でパセリたちを連れて歩く。
KP
パセリはまん丸な目であなたを見上げて、手にフワフワの足を擦り付けた。
ローズマリーは最後尾をのんびり歩き、セージはクウとレンの間を跳び回っている。
KP
タイムはちゃっかりサクラの膝の上に居座り、なでなでを要求していた。
KP
次は糸を撚るためにヒースの丘を目指す。
✧糸紡ぎ
マキシ
パセリを肩に乗っけて、車椅子を押しながらみんなと歩く。
サクラ
「ここは風が気持ちいいな」
KP
サクラは眩しそうに目を細めて深呼吸をした。
サクラ
「あんま難しい顔すんなよ。今は楽しい、それでいいさ」
マキシ
「むつかしいな、つい色々考えちゃう」
マキシ
「でも……、そうだな。
ここ、風が気持ちいいんだ。
花はきれいだし、ここで何もしないでぼんやりするの、結構好きだった」
マキシ
「あの向こうまで駆けっこするのも好きだった。
あっちの広場でクウとボール蹴るのも、全然うまくならなかったけど好きだった。
レンがボール蹴りうまくて、びっくりしたな」

丘の上から辺りを眺めて、サクラにその風景を、いままでの日々の好きだったところを共有するように、ぽつぽつと呟く。
マキシ
そうだ、好きだった。
好きだったんだよ。楽しかった。
好きな時間が、あったんだ。
マキシ
辛いこと、悲しいことだらけでも。
全部にせものだったとしても。
おれたちが、何も知らないからだとしても。
マキシ
おれが、おれたちがそう思ったってことまで、嘘だって言ってもしょうがないもんな。
マキシ
「そうだな」
マキシ
「今は、楽しい」
頷く。
サクラ
「……ああ」
カイ
「おーい、仕事しないのー?」
マキシ
「するー」
サクラ
「おー、悪い、今行く!」

マキシ
1d100 60 マキシ〈応急手当〉 Sasa 1d100→ 65→失敗
コウ
1d100 50 コウ【POW】 Sasa 1d100→ 77→失敗
カイ
1d100 80 カイ【DEX】 Sasa 1d100→ 98→致命的失敗ファンブル
シノノメ
1d100 70 【POW】 Sasa 1d100→ 57→成功
カイ
「いっっっだ」
珍しく糸車のペダルを踏み損ねて、変な所を派手に踏み抜いた。痛い。
シノノメ
「♪~」
シノノメは鼻歌を歌いながら糸を紡いでいたが、悲鳴に驚いて手を止めた。
カイ
「ごめんごめん、派手に踏み抜いちゃって」
足をさすりながら驚かせたことを謝る。
サクラ
「久しぶりで上手くやれるかどうか……車椅子けっこう嵩張るなー。
悪いな、マキシ。サンキュ!」
マキシ
「ううん。今日みんな調子でないなー、カイがしくじるなんて珍しいし」
最初に種糸をかけた向きがずれていたのか、手元で糸が変な方向に撚れていく。
KP
糸は何だか撚れたり縺れたりして綺麗な糸になるにはちょっと時間がかかった。
サクラ
1d100 75 サクラ【POW】 Sasa 1d100→ 11→成功
サクラ
「よしよし、昔取った杵柄ってやつだな!」
KP
サクラは糸を綺麗に巻き終えて嬉しそうだ。
マキシ
「おっ、サクラのやついい感じ」
サクラ
「みんないつもこんなんじゃないよな? 俺窓から見てるから、なんとなく分かるんだ」
マキシ
「うん、カイなんて普段もっと上手だよ」
カイ
「面目ないなー、驚かせちゃったね」
コウ
「そんな日もあるさ」
クウ
「なあなあ、もつれて爆発した!」
四方八方にもつれた繊維の塊を見せに来る。なんだか面白気持ち悪い形になっている。
レン
「あはははさっきのみたいになってる」
マキシ
そう、サクラが一緒に仕事ができなくなってから、この波間に子供たちが増えてから。
サクラはいつも窓から見てくれてた。
その姿を見つけるときだけ同じ空間にいる気になって、たまに手を振り返したっけ。
マキシ
※マキシは〈目星〉高いから、距離にもよるけど窓から見てるサクラの姿を見つけたりするかなと。
KP
手の振りあいはやってそうだなぁ。
サクラ視点
マキシ
たぶん最後の平穏な一日……
この話、ボリューム大きいけど前みたいにサクラさん視点あったら面白そう。
KP
サクラ視点かー。書けば色々あるっちゃあると思うんだけど、蛇足にならないかなー
マキシ
個人的には見てみたい感じはしますね。
全部でなくても、先日話に出た要所とか。
KP
描写のあちこちにこう、「伝われー!」ってやってるカ所はあるので書きたいことは書きたいんですけどね。
それじゃ終わってから。
マキシ
わーい。
ありがとうございます。個人的に見たかった。


コメント By.KP(佐倉)
過ぎ去ったあの日のように、穏やかで楽しい日常を過ごそう。

プレイ日:2025年5月14日 ~ 2025年12月20日

作者名: つきめぐり/つきのわむく

配布・販売サイト: 【COC6版】波間のダージュ【継続推奨人数可変シナリオ】SPLL:E194766

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」



TRPGリプレイ TERRA:THE GUNSLINGER『Zephyranthes』第六話『Go, west!』1

『Go, west!』1

TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 1

「オマエ、あのバカがどこにいるか知ってるか」

TRPGリプレイ 怪談白物語『八尺様』(終)

「ぽぽぽ、じゃなくて、ぽぽぽーぽ ぽぽぽ♪っていう呼び込みくんの声だったはずです」


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