
『波間のダージュ』
のネタバレがあります。
クトゥルフ神話TRPG 目次
波間のダージュ 一覧
KP
サクラの部屋は少し離れた部屋にある。
その変異で皆を不安にさせないためでもあるし、もし万一のことがあったときに被害を出さないためでもある。
なによりサクラ自身がそうすることを望んだ。
賑やかな食堂に背を向けて歩くと、すこしずつ廊下の記憶がさがってゆくような心地がした。
その変異で皆を不安にさせないためでもあるし、もし万一のことがあったときに被害を出さないためでもある。
なによりサクラ自身がそうすることを望んだ。
賑やかな食堂に背を向けて歩くと、すこしずつ廊下の記憶がさがってゆくような心地がした。
マキシ

だんだん静かになっていく廊下を歩いていると、ひどくさみしい気持ちになる。
本当は、こんなことしたくないんだ。サクラがそう「望んだ」からって。
こんなさみしいところへ、サクラだけ閉じ込めたくなんかない。
「万が一」なんて時のために、今から厄介者みたいに、閉じ込めたくなんかない!
本当は、こんなことしたくないんだ。サクラがそう「望んだ」からって。
こんなさみしいところへ、サクラだけ閉じ込めたくなんかない。
「万が一」なんて時のために、今から厄介者みたいに、閉じ込めたくなんかない!
マキシ

……でも。
みんなのため、って言われたら、おれにはサクラを止められなかった。
喧嘩でもしたらそのまま吹いて飛んでいっちゃいそうな、そんな気がしたんだ。
みんなのため、って言われたら、おれにはサクラを止められなかった。
喧嘩でもしたらそのまま吹いて飛んでいっちゃいそうな、そんな気がしたんだ。
レン

「その子、病気?」
レンは控えめな声で問いかけた。
レンは控えめな声で問いかけた。
マキシ

「うん。
ここにまだ、全然誰もいない頃からここにいたんだ。
おれの、ずっと前からの友達。
今みたいにみんなで仕事ができるようになるまで、おれと一緒にすごく頑張ったんだよ。
……でも、うん。病気になっちゃったんだ。それで、静かな所でゆっくりしてる」
ぽつぽつと話す小さな声が、廊下に微かに響く。
ここにまだ、全然誰もいない頃からここにいたんだ。
おれの、ずっと前からの友達。
今みたいにみんなで仕事ができるようになるまで、おれと一緒にすごく頑張ったんだよ。
……でも、うん。病気になっちゃったんだ。それで、静かな所でゆっくりしてる」
ぽつぽつと話す小さな声が、廊下に微かに響く。
レン

「病気って」
KP
レンが口を開いたとき、二人は扉の前に立っていた。
本編見る!
KP
サクラはベッドの上で上半身を起こし、あなた方を迎えた。
サクラ

「おはよう……あれ、その子は?」
KP
窓から差し込む光がサクラの輪郭を縁取っている。
レンが小さく息をのんだ。
子供らしいまろやかな線の体は痩せ細っていて、
背中から歪に生えた羽は、まさしく羽化に失敗した奇形の虫のそれだった。
レンが小さく息をのんだ。
子供らしいまろやかな線の体は痩せ細っていて、
背中から歪に生えた羽は、まさしく羽化に失敗した奇形の虫のそれだった。

マキシ
おおおお、大変なことになっちゃって。
そして頭の縫い目がきっちりある。
そして頭の縫い目がきっちりある。
マキシ

「おはよう、サクラ! 新しい子が産まれたんだ。レンっていうんだよ。
紹介しようと思って連れてきたんだ。
ご飯、食べられそう?」
サクラのいるベッドまで食事を運ぶ。
紹介しようと思って連れてきたんだ。
ご飯、食べられそう?」
サクラのいるベッドまで食事を運ぶ。
レン

「…………」
KP
レンはサクラの背の翅に目を奪われていたが、慌ててぴょこっと頭を下げた。
レン

「あっ、はいっ、レンっていいます」
サクラ

「レン……蜘蛛の名前か」
KP
サクラは僅かに目を細めた。
レン

「蜘蛛?」
サクラ

「産まれたばかりだって言ってたな。すぐ分かるよ。
俺はサクラ、よろしく」
俺はサクラ、よろしく」
レン

「はい、よろしく!」
マキシ
なんですよねぇ、蜘蛛の名前。ある意味すごい因縁。>レン
サクラ

「いつも悪いな、マキシ。
今日は……キッチンで何かあったらしいな」
今日は……キッチンで何かあったらしいな」
KP
サクラは小さく笑った。
マキシ

「そうなんだ、今日はクミンが料理係でさ。
グレースが何とかしてくれて、この程度で済んだんだけど。
危うく前みたいな大惨事になる所だったかも」
小さく笑い返す。
グレースが何とかしてくれて、この程度で済んだんだけど。
危うく前みたいな大惨事になる所だったかも」
小さく笑い返す。
サクラ

「味に影響なければいいよ……ちょっとしょっぱいな」
KP
サクラはゆっくりと食事をする。
体調が芳しくないのだろうか、食の進みはゆっくりだ。
変異は進み、体のあちこちに歪みが出ている。
もういつ末期となり、狂暴化するか分からない状態だ。
体調が芳しくないのだろうか、食の進みはゆっくりだ。
変異は進み、体のあちこちに歪みが出ている。
もういつ末期となり、狂暴化するか分からない状態だ。
マキシ

その姿を見ていると心が沈みそうになって、腹の奥に力を入れて顔を上げる。
サクラの前では、昔みたいに笑っていたい。
サクラの前では、昔みたいに笑っていたい。
KP
〈応急手当〉〈心理学〉【アイデア】のいずれかで判定。
また、【POW】×3で判定。
また、【POW】×3で判定。
マキシ

【アイデア】で判定する。
1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 77→成功
1d100 36 POW Sasa 1d100→ 89→失敗
1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 77→成功
1d100 36 POW Sasa 1d100→ 89→失敗
レン

1d100 30 レンの【POW】 Sasa 1d100→ 50→失敗
KP
サクラは今日は一段と顔色が悪いように見える。
それもあってか、食欲も無いようだ。
ただ、体調が悪い以上に、何か“食べるのを躊躇している”様子がある。
あなたはサクラに対して、何故だか妙に苛つきを感じた。
特段喧嘩をしたわけでも、気に障るようなことを言われたわけでもないのに。
それもあってか、食欲も無いようだ。
ただ、体調が悪い以上に、何か“食べるのを躊躇している”様子がある。
あなたはサクラに対して、何故だか妙に苛つきを感じた。
特段喧嘩をしたわけでも、気に障るようなことを言われたわけでもないのに。
レン

「…………」
レンがわずかに眉を寄せた。
レンがわずかに眉を寄せた。
マキシ

なんでだろう、どうしてか苛立つような気持ちがある。
サクラに? なんで? そんなはずないのに。
自分で自分の気持ちが分からず、思わず胸を押さえる。
どうしても沈んでしまう自分の気持ちに、苛立ってるのかもしれない。
そう思おうとした。
サクラに? なんで? そんなはずないのに。
自分で自分の気持ちが分からず、思わず胸を押さえる。
どうしても沈んでしまう自分の気持ちに、苛立ってるのかもしれない。
そう思おうとした。
マキシ

「食べるの……、怖いのか?
どこか痛むのか? それとも、美味しくない?」
どこか痛むのか? それとも、美味しくない?」
サクラ

「……少し調子が悪いんだ。今朝寒かったせいかもな」
KP
サクラはトレーを横に置いた。
サクラ

「食うのに時間かかりそうだから、帰ってていいぜ。
片付けるくらいは自分でできるから」
片付けるくらいは自分でできるから」
サクラ

「新人に仕事を教えなきゃならないだろ。レンも頑張れよ」
KP
サクラはあなたに右手を差し伸べた。
その手首と指に、あなたと同じ、生まれつきの真っ赤な痣がある。
その手首と指に、あなたと同じ、生まれつきの真っ赤な痣がある。
マキシ

「そっか。……うん、分かった。
また、後でな」
奇妙な気持ちを振り払い、左手を差し出す。
お揃いの真っ赤な痣は、最初から一緒にいた印みたいで、見る度ちょっと嬉しかった。
また、後でな」
奇妙な気持ちを振り払い、左手を差し出す。
お揃いの真っ赤な痣は、最初から一緒にいた印みたいで、見る度ちょっと嬉しかった。
KP
サクラの手が触れると、その表面はかさかさに乾いていて今にもひび割れそうだった。
サクラ

「気をつけてな、マキシ」
KP
サクラはそう言うとすっと手を引っ込めた。
KP
【アイデア】または【POW】×5
マキシ

1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 62→成功
KP
あなたはなんだか少し体が軽くなったような気がした。
マキシ

「……サクラ、何かした?」
手を離すのが怖くて、乾いた手を少しの間、握っていようとした。
その時に、ふっと感じた軽さに思わず声を出す。
手を離すのが怖くて、乾いた手を少しの間、握っていようとした。
その時に、ふっと感じた軽さに思わず声を出す。
サクラ

「……いや?
早く行けよ。仕事に遅刻するぞ」
早く行けよ。仕事に遅刻するぞ」
KP
確かに窓から太陽の高さを見れば、もうすぐ始業の時間だ。
扉の向こうでも、子供達の忙しない足音が聞こえ始めていた。
扉の向こうでも、子供達の忙しない足音が聞こえ始めていた。
マキシ

「あっ! ありがとう、ごめん、行ってくる!
またな、サクラ!」
レンの手を引いて、扉の向こうへ出る。
またな、サクラ!」
レンの手を引いて、扉の向こうへ出る。
レン

「…………」
KP
レンはぼんやりとサクラの手を眺めていた。
サクラ

「何だ?」
レン

「……え。ああ。ごめんなさい。何でもないです」
マキシ

出る間際に、一度部屋の中を振り返った。
KP
簡素な部屋には、あなたが持ち込んだ本やゲームが丁寧に並べられている。
サクラ

サクラはベッドの上からあなたに軽く手を振った。
サクラ

「最近コウやシノノメさんの顔を見てないな。明日来るように伝えてくれよ」
マキシ

「うん、言っとく!」
手を振り返して、今度こそ外へ。
手を振り返して、今度こそ外へ。
マキシ

やっぱり、さっきのは気のせいだ。
サクラはいつものサクラで、おれは自分に苛立ってただけだ。
そう思いながら、仕事に向かう。
サクラはいつものサクラで、おれは自分に苛立ってただけだ。
そう思いながら、仕事に向かう。
KP
出かける準備をした紡ぎ手たちが外に出て行くところだった。
ミユキ

「あっ、来た来た! 来たよクウ! おーい、こっちこっちー!」
KP
外にはいつものメンバーが集まって手を振っている。
KP
まず向かうのはレンの蜘蛛たちがいる洞窟である。
岩場の小さな穴の入り口、夜の間にレンの蜘蛛たちが巣をかける。
これを分けて貰うのが、1日の仕事の始まりだ。
岩場の小さな穴の入り口、夜の間にレンの蜘蛛たちが巣をかける。
これを分けて貰うのが、1日の仕事の始まりだ。
クウ

「マキシー! レン!」
ぶんぶんと手を振る。
二人が彼らの横に行くと、コウが説明を始める。
そこにカイとクウも寄ってきて色々言い出す。
ぶんぶんと手を振る。
二人が彼らの横に行くと、コウが説明を始める。
そこにカイとクウも寄ってきて色々言い出す。
コウ

「僕たちの仕事は糸を紡ぐことなんだ。
蜘蛛たちに巣を分けてもらって、その巣を糸車で紡いで糸にして、灰色の織り手たちに渡すまでが、僕らの仕事」
蜘蛛たちに巣を分けてもらって、その巣を糸車で紡いで糸にして、灰色の織り手たちに渡すまでが、僕らの仕事」
カイ

「織り手さん達は、その糸で橋をかけるんだ。
いつか蜘蛛たちの親がこっちに来られるように、なんだってさ」
いつか蜘蛛たちの親がこっちに来られるように、なんだってさ」
クウ

「蜘蛛たち、ふわふわしてかわいいぞ!
親ってどんなやつなんだろうなー、すっごくでっかいもこもこかな?」
親ってどんなやつなんだろうなー、すっごくでっかいもこもこかな?」
シノノメ

「大きなモコモコだったら、乗せてもらいたいわ」
クウ

「おう、来てくれたら背中に乗せてもらうんだ!」
ミユキ

「おしごと終わったらみんなと遊ぼっ!」
コウ

「ああ、遊ぼう」
KP
糸紡ぎの子供たちは、今日も柔らかな光のなかへと羽ばたいていく。
相変わらず空にはゆらゆらとレンの蜘蛛たちが紡いだ巣が揺蕩っていた。
カンブリックの家を出て、皆でわいわいと喋りながらいつもの道を往く。
レンは律儀にはいと返事をしながら皆の話を熱心に聞いていた。
海沿いの小道を抜けてゆくと小さな洞窟があり、その入り口に光る糸がかけられている。
レンの蜘蛛がかけてくれた巣だ。
糸を切らないように、絡ませないように、慎重に巻き取る必要がある……
相変わらず空にはゆらゆらとレンの蜘蛛たちが紡いだ巣が揺蕩っていた。
カンブリックの家を出て、皆でわいわいと喋りながらいつもの道を往く。
レンは律儀にはいと返事をしながら皆の話を熱心に聞いていた。
海沿いの小道を抜けてゆくと小さな洞窟があり、その入り口に光る糸がかけられている。
レンの蜘蛛がかけてくれた巣だ。
糸を切らないように、絡ませないように、慎重に巻き取る必要がある……
マキシ

「そう、蜘蛛たちはレンの蜘蛛って呼ばれてるんだ。
レンのこと蜘蛛の名前だ、ってサクラが言ってたのはそういうことだな」
みんなの中からサクラの存在が消えないように、折に触れて口に出した。
その名前をみんながどう思うか、織り手たちがなんて言うかなんていいんだ。
どうせ織り手たちはおれが何も言わなくても、サクラを疎む。
よくないことはおれが全部受け止めよう。
レンのこと蜘蛛の名前だ、ってサクラが言ってたのはそういうことだな」
みんなの中からサクラの存在が消えないように、折に触れて口に出した。
その名前をみんながどう思うか、織り手たちがなんて言うかなんていいんだ。
どうせ織り手たちはおれが何も言わなくても、サクラを疎む。
よくないことはおれが全部受け止めよう。
マキシ

「お揃いだな」
レン

「そっかー! ここのひとたちの名前だったんだ。
お邪魔しまーす」
レンは嬉しそうに洞窟に声をかけた。
お邪魔しまーす」
レンは嬉しそうに洞窟に声をかけた。
KP
【DEX】×5〈刃物系の技能〉〈その他製作系〉など手先を使う任意の技能で判定。
非PCのみんなも出来映えRPのために振ろうかな。(略してもいいし、確定RPしてもよい)
PCはここで成功するとちょっといいことがあります。
非PCのみんなも出来映えRPのために振ろうかな。(略してもいいし、確定RPしてもよい)
PCはここで成功するとちょっといいことがあります。
マキシ

【DEX】かぁー。
〈目星〉で巣の重なりをよくよく観察することで、何かボーナス入りませんか?
〈目星〉で巣の重なりをよくよく観察することで、何かボーナス入りませんか?
KP
〈目星〉かー。では〈目星〉の半分で判定して成功したら+20してよい。
マキシ

1d100 44〈目星〉の半分 Sasa 1d100→ 1→決定的成功(クリティカル)!
KP
1クリかー。では+40でいってみよー
また、人に上手に教えてあげられる。
また、人に上手に教えてあげられる。
ミユキ

1d2 うまくいった 絡んじゃった (ミユキ) Sasa 1d2→1
マキシ

1d100 80 マキシの糸巻き Sasa 1d100→ 96→致命的失敗(ファンブル)
おうふ
おうふ
KP
クリティカルとファンブルで相殺なさった……
コウ

1d100 25 コウの糸巻き(【DEX】) Sasa 1d100→ 83→失敗
カイ

1d100 80 カイの糸巻き Sasa 1d100→ 65→成功
シノノメ

1d100 75 シノノメ【DEX】 Sasa 1d100→ 41→成功
KP
マキシは誰かの失敗を成功にして良い。
勿論自分のでも良い……
勿論自分のでも良い……
マキシ

自分のを成功にします。
KP
※牧志は失敗でも「それなりの出来で巻き取れる」予定だったんだけどなぁー。
マキシ
しかしまさかのクリティカルファンブルで相殺。
〈応急手当〉でやればよかったかなと思ったけど、ファンブルではどうしようもない。
〈応急手当〉でやればよかったかなと思ったけど、ファンブルではどうしようもない。
レン

1d100 45 レン【DEX】 Sasa 1d100→ 85→失敗
KP
あなたには今日の糸がどのように走っているかがよく見える。
こういう糸の張り方をするのは『ローズマリー』だ。
いつもは他の蜘蛛たちと仲良くはっているので絡みやすいのだが、
今日はひとりでゆっくりとはっていたらしい。
その部分を丁寧に外せば糸巻きふたつ分くらいは綺麗に取れるだろう。
こういう糸の張り方をするのは『ローズマリー』だ。
いつもは他の蜘蛛たちと仲良くはっているので絡みやすいのだが、
今日はひとりでゆっくりとはっていたらしい。
その部分を丁寧に外せば糸巻きふたつ分くらいは綺麗に取れるだろう。
マキシ

這っている糸の流れがはっきりと見えたのだ。
それに手を伸ばして、見えている通りに解きほぐすだけのはずだった。
指先が思った通りに動いてくれなかった!
何とか盛大に絡まることだけは避けたが、見えてたのに……、という悔しさはある。
それに手を伸ばして、見えている通りに解きほぐすだけのはずだった。
指先が思った通りに動いてくれなかった!
何とか盛大に絡まることだけは避けたが、見えてたのに……、という悔しさはある。
コウ

「あ、あれ、あれっ」
コウは一方だいたい不器用なのだ。
弓の弦を手入れするのには慣れているが、それだって最初は手こずった。
糸となると今もてんでだめだ。
シノノメさんが見事に糸を巻き取っているのを見て、自分の手元がちょっと恥ずかしくなる……。
コウは一方だいたい不器用なのだ。
弓の弦を手入れするのには慣れているが、それだって最初は手こずった。
糸となると今もてんでだめだ。
シノノメさんが見事に糸を巻き取っているのを見て、自分の手元がちょっと恥ずかしくなる……。
カイ

「そうそう、そこを取るんだ。
最初は結構難しいから、段々慣れていけば大丈夫」
結局レンに教えるのは、いつも器用なカイの役目になった。
最初は結構難しいから、段々慣れていけば大丈夫」
結局レンに教えるのは、いつも器用なカイの役目になった。
レン

「うーん、難しー」
手まで糸を絡ませてほどいたり巻いたりを繰り返しながら、カイの手元をよくよく見て少しずつ進めている。
手まで糸を絡ませてほどいたり巻いたりを繰り返しながら、カイの手元をよくよく見て少しずつ進めている。
レン

「あーあ、切れちゃった」
ミユキ

「初めてはみんなそうだよ!
見て見てうみちゃん! 今日はうまくいったよー!」
ミユキが誇らしげに作業用の棒をさし上げている。
見て見てうみちゃん! 今日はうまくいったよー!」
ミユキが誇らしげに作業用の棒をさし上げている。
カイ

「おっ、綺麗! すごいじゃない、ミユキ」
その間に横に視線をやると、いつになく綺麗な糸巻き!
やったね、と歓声を上げる。
その間に横に視線をやると、いつになく綺麗な糸巻き!
やったね、と歓声を上げる。
クウ

クウの糸巻きは大味だがとにかく速い。巻いて直して巻いて直して、そのうち直してる方が多かったりするが、めげないし疲れないので、最後には大量の糸巻きができているのだ。
KP
▼技能に成功した場合、任意の“手先を使う技能”に+1d3成長
マキシ
お。〈応急手当〉は含みますか? >手先を使う
KP
大丈夫ですよー
東雲さんも〈応急手当〉にしよう。
東雲さんも〈応急手当〉にしよう。
シノノメ

1d3 Sasa 1d3→3
〈応急手当〉 35 → 38
〈応急手当〉 35 → 38
マキシ

1d3 Sasa 1d3→1
〈応急手当〉59 → 60
〈応急手当〉59 → 60
カイ

1d3 Sasa 1d3→1
〈応急手当〉 30 → 31
〈応急手当〉 30 → 31
レン

「よしっ、これで何とか……」
レン

「な、なんか、いる!?」
KP
レンが声を上げて洞窟から離れた。
かさかさ、カサカサ……
洞窟の闇の向こうから足音が聞こえる。
それらは徐々に近づいてきた……
レンは慌てて身構える。
複数の赤い目が闇の中に光ってこちらを凝視していた。
それらはぎょろりぎょろりと目を動かしながらこちらに迫り……
「キュウ!」
甲高い鳴き声をあげて巣から這い出て来る。
かさかさ、カサカサ……
洞窟の闇の向こうから足音が聞こえる。
それらは徐々に近づいてきた……
レンは慌てて身構える。
複数の赤い目が闇の中に光ってこちらを凝視していた。
それらはぎょろりぎょろりと目を動かしながらこちらに迫り……
「キュウ!」
甲高い鳴き声をあげて巣から這い出て来る。
KP
勿論あなた方はその正体を知っている。
レンの蜘蛛たち……の中でも一番人なつこい、ふわふわの繊毛を纏い、ころころと丸く肥えた……4匹のレンの蜘蛛たち、「パセリ」「セージ」「ローズマリー」「タイム」である。
「キュウ!!(遊んで)」
レンの蜘蛛たち……の中でも一番人なつこい、ふわふわの繊毛を纏い、ころころと丸く肥えた……4匹のレンの蜘蛛たち、「パセリ」「セージ」「ローズマリー」「タイム」である。
「キュウ!!(遊んで)」
KP
マキシはかれらレンの蜘蛛たちが、代を重ねるごとに攻撃性を失っていったのを知っている。
最初の頃に糸を採取に来る時は、蜘蛛たちの機嫌を損ねないように気を払っていたものだ。
最初の頃に糸を採取に来る時は、蜘蛛たちの機嫌を損ねないように気を払っていたものだ。
マキシ

「大丈夫! 怖くないよ。
おいで! セージ、ローズマリー、タイム、パセリ」
手を伸ばして彼らの名前を呼んで、迎える。
最初に怖がると彼らもびっくりしちゃうから。
おいで! セージ、ローズマリー、タイム、パセリ」
手を伸ばして彼らの名前を呼んで、迎える。
最初に怖がると彼らもびっくりしちゃうから。
マキシ

アオは随分怖がりで、最後まで彼らを直接撫でられなかった。
マキシ

最初は、そうじゃなかった。
冷たい灰色の紡ぎ手たち。わけもわからず課される仕事。びくびくしながら、怖い蜘蛛の懐からかすめ取る糸。
朝から晩まで掛かって、へとへとになってようやくこなす仕事。
ダージュがいてくれなければ、サクラと一緒でなければ、きっと挫けてた。
冷たい灰色の紡ぎ手たち。わけもわからず課される仕事。びくびくしながら、怖い蜘蛛の懐からかすめ取る糸。
朝から晩まで掛かって、へとへとになってようやくこなす仕事。
ダージュがいてくれなければ、サクラと一緒でなければ、きっと挫けてた。
マキシ

……大変だったし、辛かったけど、あの頃も楽しかったな。
盛られるかなしみ
KP
うぅっ、アオくん……
つれぇ
つれぇ
マキシ
名前だけだったはずの子に設定を盛る盛る(物語的に欲しいポジションに名前を入れられていく)
KP
ふたりっきりで危険な蜘蛛たちから糸をかすめ取っていた時期もあったんだなぁ。
きっとその頃はダージュもついてきてくれていたんじゃないかな。
きっとその頃はダージュもついてきてくれていたんじゃないかな。
マキシ
あったんですねぇ。
それもあってきっとへとへとになっていた。
当時に比べれば仲間も増えて、随分平和に、楽しくなった。けど、っていう。
そしてまぁこの世界のマキシが色々抱え込む抱え込む。背負おうとしているものが重すぎる。
みんなのお兄ちゃんであって先輩で、サクラさんのことまで含めてみんな抱え込もうとする。
佐倉さんとの関係性と感情が随分変わったなと思ったけど、これは互いに抱え込む二人であることだけは変わっていないな……!?
それもあってきっとへとへとになっていた。
当時に比べれば仲間も増えて、随分平和に、楽しくなった。けど、っていう。
そしてまぁこの世界のマキシが色々抱え込む抱え込む。背負おうとしているものが重すぎる。
みんなのお兄ちゃんであって先輩で、サクラさんのことまで含めてみんな抱え込もうとする。
佐倉さんとの関係性と感情が随分変わったなと思ったけど、これは互いに抱え込む二人であることだけは変わっていないな……!?
KP
あなたの物思いを感じ取ったか、タイムがあなたの目元を白くてフワフワの足で撫でた。
頭に黄色い植物をくっつけたわんぱくパセリは真っ先にクウの体によじ登る。
好奇心旺盛なセージはレンをじろじろと見ながら周りをぐるぐる回っている。
おっとりさんのローズマリーは行儀良くもう一度声を上げてからあなたにむくむくの足を上げて挨拶をする。
頭に黄色い植物をくっつけたわんぱくパセリは真っ先にクウの体によじ登る。
好奇心旺盛なセージはレンをじろじろと見ながら周りをぐるぐる回っている。
おっとりさんのローズマリーは行儀良くもう一度声を上げてからあなたにむくむくの足を上げて挨拶をする。
KP
まだ糸に苦戦している子もいるし、次の仕事までまだ余裕がある。
少しここで遊んでいっても問題ないだろう。
少しここで遊んでいっても問題ないだろう。
KP
▶レンの蜘蛛と遊ぶ場合は
【STR】×5【CON】×5肉体を使う任意の技能
レンの蜘蛛たちが満足するまで遊んでやることができる。
【STR】×5【CON】×5肉体を使う任意の技能
レンの蜘蛛たちが満足するまで遊んでやることができる。
マキシ

よし、休憩がてらちょっと遊んでいこうかな。
次の仕事までに体を伸ばしておくのも大事だし。
次の仕事までに体を伸ばしておくのも大事だし。
マキシ

1d100 66 マキシの〈こぶし〉 Sasa 1d100→ 21→成功
カイ

1d100 70 カイのダンス Sasa 1d100→ 21→成功
シノノメ

1d100 50 シノノメのダンス Sasa 1d100→ 81→失敗
マキシ

よし、遊ぶぞ!
〈こぶし〉で蜘蛛たちとじゃれる! パンチパンチだ!
〈こぶし〉で蜘蛛たちとじゃれる! パンチパンチだ!
KP
セージはあなたの拳の動きに合わせてふわりふわりと体を揺らす。
カイ

おっ、楽しそう。
一緒に遊んでいこうっと。
〈芸術:ダンス〉で蜘蛛たちをひょいひょいと高く上げてやるよ。
一緒に遊んでいこうっと。
〈芸術:ダンス〉で蜘蛛たちをひょいひょいと高く上げてやるよ。
ミユキ

カイと一緒にふわふわと空を飛ぶ蜘蛛たちと戯れている。
レン

レンはおそるおそる手を出して顔にスリつかれて慌てている。
シノノメ

シノノメは少し疲れたらしく、すぐ座ってカイの踊りに手拍子をしていた。
コウ

まだ糸に苦戦している。
なんの、負けないぞ……!
なんの、負けないぞ……!
KP
ローズマリーはしばらくしてコウの横について、糸が走る方を前足で指し示し始めた。
KP
▼技能に成功した場合、任意の“肉体を使う技能”に+1d3成長
コウ

苦戦が終わったあとコウも参戦します。
その辺の枝を矢代わりに、〈弓〉で的あてゲームだ! というのはOKですか?
その辺の枝を矢代わりに、〈弓〉で的あてゲームだ! というのはOKですか?
KP
いいですよー
蜘蛛たちが的を持って走り回る。
蜘蛛たちが的を持って走り回る。
コウ

1d100 75 〈弓〉 Sasa 1d100→ 71→成功
1d3 コウ Sasa 1d3→2
弓 75 → 77
1d3 コウ Sasa 1d3→2
弓 75 → 77
マキシ

1d3 マキシ Sasa 1d3→1
〈こぶし〉 66 → 67
〈こぶし〉 66 → 67
カイ

1d3 カイ Sasa 1d3→3
〈芸術:ダンス〉 70 → 73
〈芸術:ダンス〉 70 → 73
マキシ

力いっぱい遊んで、憂いも流れた気分だ。楽しい!
カイ

みんな今日も元気だな。かわいい!
コウ

みんなすばしっこいな。楽しいし訓練にもなる。
クウ

もちろんクウの遊び方は元気たっぷりだ。
追いかけっこをしたり、じゃれたり。
追いかけっこをしたり、じゃれたり。
KP
みんな一緒に楽しく遊んで気も晴れて、最初は怖がっていたレンの表情がほころんだ頃、
出発の時間になった。
パセリ、セージ、ローズマリー、タイムの4匹は皆の後ろをついて来る。
あなたの手に持っていた仕事道具をひょいと掻っ攫い、背中に乗せると、「きゅう!」と一つ鳴いた。
どうやら手伝いをしてくれるらしい。
出発の時間になった。
パセリ、セージ、ローズマリー、タイムの4匹は皆の後ろをついて来る。
あなたの手に持っていた仕事道具をひょいと掻っ攫い、背中に乗せると、「きゅう!」と一つ鳴いた。
どうやら手伝いをしてくれるらしい。
マキシ

「手伝ってくれるのか? ありがとう。
サクラとも遊べたらよかったのにな」
ふわふわの頭を撫でる。気持ちいい。
サクラとも遊べたらよかったのにな」
ふわふわの頭を撫でる。気持ちいい。
KP
セージはあなたに返事をするように「きゅい!」と得意気に鳴いた。
マキシ

そういえば、いつから誰がこいつらのこと、この名前で呼び始めたんだっけ?
おれたちにとって名前は大事なものだけど。
おれたちにとって名前は大事なものだけど。
KP
「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」
あなたはよくダージュが念話で呟いているのを聞いたことがある。
それはどうやら節があって、楽しそうで、おそらくダージュが好きな歌なのだろうと思われた。
それを聞いていた誰かが、もしかしたらあなたかサクラが、とくに仲の良いこの四匹に特別を与えたくて名付けたのではなかっただろうか。
あなたはよくダージュが念話で呟いているのを聞いたことがある。
それはどうやら節があって、楽しそうで、おそらくダージュが好きな歌なのだろうと思われた。
それを聞いていた誰かが、もしかしたらあなたかサクラが、とくに仲の良いこの四匹に特別を与えたくて名付けたのではなかっただろうか。
マキシ

そうだ、そういえばそうだった。
ダージュがよく歌う、楽しそうなあの歌。
それがどういう意味の歌なのかは分からないけど、おれたちにとっては名前が大事なのに、彼ら四匹には名前がない。
いや、蜘蛛の言葉では名前、あるのかな? わかんない。
ダージュがよく歌う、楽しそうなあの歌。
それがどういう意味の歌なのかは分からないけど、おれたちにとっては名前が大事なのに、彼ら四匹には名前がない。
いや、蜘蛛の言葉では名前、あるのかな? わかんない。
マキシ

分かんないけど、何か名前で呼びたくて、おれとサクラで名付けたんだった。
サクラ

「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム……」
そういえばあの時、サクラが口ずさんでいたのだ。
そういえばあの時、サクラが口ずさんでいたのだ。
サクラ

「ああ、ダージュがよく歌ってるから覚えちまったんだ」
KP
【アイデア】
マキシ

1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 72→成功
KP
今にして思えば、ダージュの呟きが歌なのだと気づいたのは、サクラの歌を聴いたからだったように思う。
サクラがどこか物悲しいようなメロディを口ずさんでいたのだ。
サクラはよくあんな平坦にも聞こえる念話からメロディを聞き取ったものだ。
サクラがどこか物悲しいようなメロディを口ずさんでいたのだ。
サクラはよくあんな平坦にも聞こえる念話からメロディを聞き取ったものだ。
マキシ

そうか、そうだっけ。
サクラの名前を口に出して思い出した。
歌ってたのはダージュじゃない、サクラだ。
何だか悲しくも聞こえるメロディを思い浮かべると、思い出すのはサクラの声だった。
サクラの名前を口に出して思い出した。
歌ってたのはダージュじゃない、サクラだ。
何だか悲しくも聞こえるメロディを思い浮かべると、思い出すのはサクラの声だった。
KP
サクラはそれから二度と歌うことはなかったが。
シノノメ

「次はヒースの丘に行って、糸を紡ぐのよ」
KP
皆が各々荷物をまとめてヒースの丘への道を行く。
晴れた空に綺麗な糸が漂っていた。
晴れた空に綺麗な糸が漂っていた。
マキシ

おっとっと、遅れちゃう。
物思いを抜けて、みんなを追いかける。
物思いを抜けて、みんなを追いかける。
KP
パセリはクウたちと戯れながら先を行く。
たまに糸をすいと流して他の子に移ったり、頭によじ登ろうとしたり、いつも通り落ち着きがない。
たまに糸をすいと流して他の子に移ったり、頭によじ登ろうとしたり、いつも通り落ち着きがない。
KP
「きゅ」
レン

「おれもレンっていうんだ。おなじだねー」
KP
「きゅきゅ~」
ローズマリーはなんだかレン同士で謎の会話をしている。
ローズマリーはなんだかレン同士で謎の会話をしている。
KP
タイムは歌うように鳴きながらゆらゆらしている。
たぶんさっきのカイたちのダンスの真似だ。
たぶんさっきのカイたちのダンスの真似だ。
KP
少し坂道を上ればヒースの丘だ。
ピンク色の小さな花々が咲く丘には、何台もの糸車が置かれている。
その頭上高くに聳える風車小屋の羽も、風に吹かれて回っていた。
ゴウンゴウンという風車の轟音に負けじと、糸車の前に座った子供たちがからからと音を立て始める。
ピンク色の小さな花々が咲く丘には、何台もの糸車が置かれている。
その頭上高くに聳える風車小屋の羽も、風に吹かれて回っていた。
ゴウンゴウンという風車の轟音に負けじと、糸車の前に座った子供たちがからからと音を立て始める。
ミユキ

「ここあいてるよー」
何機かの糸車が固まって置いてあるところで、ミユキが手をブンブンと振っていた。
何機かの糸車が固まって置いてあるところで、ミユキが手をブンブンと振っていた。
マキシ

見慣れた小さな花々が咲く丘をくぐって、風車小屋へ入る。
ミユキが手を振っている所へ歩いていき、レンに空いている糸車の席を案内する。
ミユキが手を振っている所へ歩いていき、レンに空いている糸車の席を案内する。
レン

「糸車……なんて、使ったことないな。教えて」
レンはあなたに教えを請う。
あなた方も糸車の前へと腰掛ける。
レンはあなたに教えを請う。
あなた方も糸車の前へと腰掛ける。
マキシ

「うん」
レンの隣の糸車の前に腰かけて、ひとつひとつ手順を追いながら、やり方を説明する。
レンの隣の糸車の前に腰かけて、ひとつひとつ手順を追いながら、やり方を説明する。
KP
種糸へ繊維を引っかけて、車輪を片手で回転させた後、それに合わせてペダルを踏む。繊維を引き出し、撚りをかけてゆく。
それを巻き取り、また同じように繊維を引き出して……その繰り返し。
もう始まりを覚えてはいないが、糸紡ぎの技術は体が覚えていた。
それを巻き取り、また同じように繊維を引き出して……その繰り返し。
もう始まりを覚えてはいないが、糸紡ぎの技術は体が覚えていた。
マキシ

もう、ずっとずっと前からやってきた仕事だ。意識しなくてもやれる。
……アオが来た時にも、こうやって説明したっけ。
……アオが来た時にも、こうやって説明したっけ。
KP
出来を判定したければ【DEX】×5【POW】×5。してもしなくてもよい。
マキシ

1d100 60 【POW】 Sasa 1d100→ 47→成功
KP
糸を撚っていると少しずつ心が落ち着いてくる。
糸はキラキラと輝きながら糸車に巻き付いてゆく。
多少縺れたところも綺麗にほどけていった。
糸はキラキラと輝きながら糸車に巻き付いてゆく。
多少縺れたところも綺麗にほどけていった。
レン

「うわぁ、すごい、綺麗だなぁ」
KP
レンが熱心に糸を繰り始める。
そうして暫くからからといくつもの糸車が回る音が鳴り響いた。
糸が絡まると小蜘蛛たちが足先でつついてもつれを外すのを手伝ってくれた。
そうして暫くからからといくつもの糸車が回る音が鳴り響いた。
糸が絡まると小蜘蛛たちが足先でつついてもつれを外すのを手伝ってくれた。
マキシ

からから、からからと糸車の回る音を聞きながら、ただただ手を動かす。
そうしていると、少しずつ心が静かに、空になっていくようだった。
輝きながら糸車に巻きついていく糸みたいに、心の縺れが溶けていく気がする。
そうしていると、少しずつ心が静かに、空になっていくようだった。
輝きながら糸車に巻きついていく糸みたいに、心の縺れが溶けていく気がする。
KP
糸が撚れたら、丘の麓にある【涸れ井戸】へと向かう。
井戸に取り付けられた手押しポンプの下には、大きな桶が置かれている。
そこで糸を洗うのだ。
井戸に取り付けられた手押しポンプの下には、大きな桶が置かれている。
そこで糸を洗うのだ。
KP
【STR】×5【CON】×5
手押しポンプを効率よく動かすことができる。判定しても良いししなくても良い。
というかここはやっぱり……
クウがいる時は彼の担当になっているだろう。
手押しポンプを効率よく動かすことができる。判定しても良いししなくても良い。
というかここはやっぱり……
クウがいる時は彼の担当になっているだろう。
クウ

「行くぞー!」
作業の中核になる手押しポンプは、体力と速度が勝負だ。
もちろん、クウが真っ先に飛び出していって引き受ける。
作業の中核になる手押しポンプは、体力と速度が勝負だ。
もちろん、クウが真っ先に飛び出していって引き受ける。
マキシ

その間に、糸を洗うコツをレンに教えよう。
KP
あなたは知っている。ここの『水』はあなた方にとってはあまり良いものではない。
時折ここで体調を崩す者が出る。
かといってこれは必要な仕事だ。なるべく早く、ただし丁寧に終えるしかない。
時折ここで体調を崩す者が出る。
かといってこれは必要な仕事だ。なるべく早く、ただし丁寧に終えるしかない。
マキシ

「この水は体によくないんだ。
触ると痛いし、気分が悪くなる。
でも、糸を洗うのは必要なことなんだ。
だから、丁寧に、早くやるしかない」
器に煙が落ちていく様子を見せながら、レンに説明する。
触ると痛いし、気分が悪くなる。
でも、糸を洗うのは必要なことなんだ。
だから、丁寧に、早くやるしかない」
器に煙が落ちていく様子を見せながら、レンに説明する。
マキシ

最初は辛かったな。
おれとサクラ二人だけで、痛みをこらえながら糸を洗った。
いつまでやっても終わらない気がしたし、気分が悪くてくらくらした。
おれとサクラ二人だけで、痛みをこらえながら糸を洗った。
いつまでやっても終わらない気がしたし、気分が悪くてくらくらした。
KP
手押しポンプのレバーを上下させ続けていれば、まるで煙のような半透明な気体が桶の中へと音もなく落ちてゆく。
それは桶から零れることもなく貯留し、器を満たした。
それは桶から零れることもなく貯留し、器を満たした。
KP
ここでPCは【幸運】判定。失敗したものは毒気により症状が出る。
気体に手を浸したとき、ちくりと肌を刺すような痛みが走る。SAN値-1)
気体に手を浸したとき、ちくりと肌を刺すような痛みが走る。SAN値-1)
マキシ
【幸運】で失敗するとSAN-1という解釈で合っていますか?
KP
そうなります。【幸運】で成功すると痛みはありません。
マキシ

1d100 60 マキシの【幸運】 Sasa 1d100→ 25→成功
コウ

1d100 50 コウの【幸運】 Sasa 1d100→ 32→成功
シノノメ

1d100 70 シノノメ【幸運】 Sasa 1d100→ 70→成功
カイ

1d100 60 カイの【幸運】 Sasa 1d100→ 85→失敗
SAN 60 → 59
SAN 60 → 59
KP
ちょっと指先ピリッとしたかも。
おまけでレンのやつ
おまけでレンのやつ
レン

1d100 50【幸運】 Sasa 1d100→ 30→成功
KP
桶の中を揺らめく気体の中へと、先ほど撚よった糸を放り込む。
暫く揉み洗いすれば、糸は光を反射して極彩色のプリズムを放った。
カイの指先を茨を握ったような痛みが突き刺す。
暫く揉み洗いすれば、糸は光を反射して極彩色のプリズムを放った。
カイの指先を茨を握ったような痛みが突き刺す。
カイ

「痛っ」
痛みに思わず声が出る。他の仕事は結構楽しいけど、これは嫌なんだよね。
痛みに思わず声が出る。他の仕事は結構楽しいけど、これは嫌なんだよね。
ミユキ

「だ、大丈夫? 代わるよ」
カイ

「ああ、大丈夫大丈夫。いつものだからさ」
痛む指先を振って、作業を続ける。
痛む指先を振って、作業を続ける。
レン

痛いと聞いていたし、周囲で悲鳴を上げてる子がたまにいたから、ちょっと怖くてささっとやった。
マキシ

この羽が悪い神の呪いなら、この水も呪われてるんだろうか。
カイが上げた悲鳴に、またサクラの萎れた羽が、空っぽになった同室の布団が思い浮かんだ。
カイが上げた悲鳴に、またサクラの萎れた羽が、空っぽになった同室の布団が思い浮かんだ。
KP
指の痛みは、井戸から離れれば薄れて消える。傷が残るわけでもない。
それでも時折、羽化が進む者が出るのも事実だ。
それでも時折、羽化が進む者が出るのも事実だ。
KP
そうして洗い終わった糸を、今度は【茨の壁】へと干しに行くことになる。
今度は涸れ井戸とは反対の方向に丘を下れば、巨大な茨の生える場所に出る。
棘に引っ掛けるようにして糸を丁寧に乾かす必要があるのだ。
今度は涸れ井戸とは反対の方向に丘を下れば、巨大な茨の生える場所に出る。
棘に引っ掛けるようにして糸を丁寧に乾かす必要があるのだ。
KP
【INT】×5【DEX】×5に成功すると、丁寧に、絡まることもなく糸を干すことができる。判定は行わなくても良い。
マキシ

1d100 90 マキシの【INT】 Sasa 1d100→ 57→成功
KP
糸を干し終えれば、丘の上にある風車から吹き下ろす風が糸を柔らかく靡かせた。
明日には完成するだろう。
全ての工程を終えれば、後は昨日干したぶんを茨から取り外して、【神殿】へと持って行くだけだ。
明日には完成するだろう。
全ての工程を終えれば、後は昨日干したぶんを茨から取り外して、【神殿】へと持って行くだけだ。
KP
あなたは昨日干しておいた糸を綺麗に外すことができたし、
茨を指先に刺してしまうようなこともなかった。
茨を指先に刺してしまうようなこともなかった。
マキシ

「この壁で、明日まで糸を干すんだ。
干したら、あの風車の風が糸を乾かしてくれる。
ここまで出来たら、完成! あとは、昨日干した分を【神殿】に持っていくだけ」
レンにそう説明しながら、完成を強調する。達成感って大事だよな。
干したら、あの風車の風が糸を乾かしてくれる。
ここまで出来たら、完成! あとは、昨日干した分を【神殿】に持っていくだけ」
レンにそう説明しながら、完成を強調する。達成感って大事だよな。
レン

「そうかぁー、出来上がった糸キレイだなぁー!
これで服を作ったりするの?」
これで服を作ったりするの?」
マキシ

「ううん、この糸は橋になるんだ。灰色の織り手たちに渡すんだよ。
これで服か……、作ったら綺麗だろうなぁ。
勝手におれたちのものにすると怒られるから、やらないけど」
これで服か……、作ったら綺麗だろうなぁ。
勝手におれたちのものにすると怒られるから、やらないけど」
コウ

シノノメさんと一緒に糸を回収している。
これで服か……、シノノメさんが着たら似合うだろうなぁ、と思ってしまった。
青く輝く翅をきらめかせて踊る彼女の姿が思い浮かんで、ちょっと手元がお留守になってしまう。
これで服か……、シノノメさんが着たら似合うだろうなぁ、と思ってしまった。
青く輝く翅をきらめかせて踊る彼女の姿が思い浮かんで、ちょっと手元がお留守になってしまう。
シノノメ

「神様がおいでになったら、この糸で服を作ったりすることも許していただけるかしら?」
コウ

「わっ、シノノメさん」
内心を見透かされたような気がして、顔を赤くする。
内心を見透かされたような気がして、顔を赤くする。
コウ

「あ、ああ。そうなるといいな。
神様がおいでになったら、もう橋は要らないはずだ。そうなったら、きっと僕らの服を作ることだって許していただける」
神様がおいでになったら、もう橋は要らないはずだ。そうなったら、きっと僕らの服を作ることだって許していただける」
ミユキ

「むむー。こことれないー」
ミユキがぐいぐいと糸を引っ張っている。
ローズマリーが慌てて手伝いに向かう。
ミユキがぐいぐいと糸を引っ張っている。
ローズマリーが慌てて手伝いに向かう。
カイ

「あー、ああ、無理に引っ張ると余計に絡まるよ!」
慌てて一緒に外すのを手伝いに行く。
慌てて一緒に外すのを手伝いに行く。
ミユキ

「これがこっちで、これがこっちでーやーもうわかんないー助けてうみちゃんー」
カイ

「ああ、ああ、一旦じっとして。
動くと余計に絡まっちゃうよ」
ミユキをなだめて絡まりを取っていく。こんなのも日常だ。
動くと余計に絡まっちゃうよ」
ミユキをなだめて絡まりを取っていく。こんなのも日常だ。
マキシ

「レン、もしかしたら、灰色の織り手たちが冷たいこと言うかもしれないけど、気にしないで。
あいつら、おれたちがどれだけ仕事をするかにしか興味がないみたいなんだ」
あいつら、おれたちがどれだけ仕事をするかにしか興味がないみたいなんだ」
マキシ

「あ、でも、ダージュって人だけはやさしいんだ!
おれたちと遊んでくれるし、いつも困り事を聞いてくれるし、おれたちのこと心配もしてくれるんだよ」
おれたちと遊んでくれるし、いつも困り事を聞いてくれるし、おれたちのこと心配もしてくれるんだよ」
レン

「灰色の織り手……」
KP
ふぅん、とレンは呟いてあなたの手にある糸を見つめた。
レン

「ダージュ、も織り手のひとなんだね。覚えることがいっぱいあるなー」
KP
今の時間はダージュは神殿で待っているはずだ。
干し上がった糸は軽くキラキラと輝いていて、毎日見ているものなのに美しいと感じられる。
干し上がった糸は軽くキラキラと輝いていて、毎日見ているものなのに美しいと感じられる。
マキシ

複雑な色できらめく糸を見ていると、達成感が満ちてくる。
ダージュが褒めてくれるといいな。
ダージュが褒めてくれるといいな。
KP
【アイデア】または〈聞き耳〉
マキシ

1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 96→致命的失敗(ファンブル)
KP
おぉ
他の人も振っていいよ。
他の人も振っていいよ。
マキシ
おうふ。まさかの。
カイ

1d100 70 カイの〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 80→失敗
シノノメ

1d100 40 シノノメ Sasa 1d100→ 62→失敗
コウ

1d100 85 コウの【アイデア】
Sasa 1d100→ 52→成功
Sasa 1d100→ 52→成功
KP
ああーシノノメさん【アイデア】で振るべきだったわー
マキシ
しょっぱなからマキシの出目が飛ばしてるなぁ。
KP
ともあれコウには分かった。
KP
なぜか風が騒がしいと感じる。何か不吉な予感がする。
神殿へ急いだほうがいいだろう。
神殿へ急いだほうがいいだろう。
KP
マキシはとてつもない不安に襲われた。
こんな日はくらげがやって来るのだ。
時折紡ぎ手が殺されることもある。
人数が増えた今はそうそうないことだが、あやうくサクラと二人で殺されかけたこともある。
嫌な思い出がどうしようもなく胸を締め付けた。
こんな日はくらげがやって来るのだ。
時折紡ぎ手が殺されることもある。
人数が増えた今はそうそうないことだが、あやうくサクラと二人で殺されかけたこともある。
嫌な思い出がどうしようもなく胸を締め付けた。
KP
マキシのみ《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1》
コウ

不意に、ふ、と風の騒がしさを感じた。
なぜだろう、胸騒ぎがする。こんな日は不味いものが来るんだ。
なぜだろう、胸騒ぎがする。こんな日は不味いものが来るんだ。
マキシ

不意に、ひどく不安になった。どくどくと心臓が速く脈を打って、胸を掴む。
風が騒がしい。怖い。目の前でおれを守ってサクラが殺されそうになった、あの日の記憶が蘇る。
怖い。怖い。早く全部終えてしまいたい。全部終えてサクラの顔を見たい。そんな感情がこみ上げてくる。
風が騒がしい。怖い。目の前でおれを守ってサクラが殺されそうになった、あの日の記憶が蘇る。
怖い。怖い。早く全部終えてしまいたい。全部終えてサクラの顔を見たい。そんな感情がこみ上げてくる。
マキシ

1d100 38 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 17→成功
マキシ

その気持ちに耐えて前を向く。
くらげが来る。急がないと。
くらげが来る。急がないと。
コウ

「マキシ、早く行こう」
マキシ

「う、うん」
コウと頷き合う。
コウと頷き合う。
クウ

「ん、どうしたんだ?」
コウ

「くらげが来るかもしれない、急ごう」
ミユキ

「そーいえば風がびりびりしてるかも。ありがと、うみちゃん」
シノノメ

「急ぎましょ」
クトゥルフ神話TRPG 目次
波間のダージュ 一覧
コメント By.KP(佐倉)
穏やかで楽しい日常が続く回。
いつまでもこんな日が続くといいね。
なんとはなしに追加した要素が色々大きな存在になってゆくのはあるあるですよね。
穏やかで楽しい日常が続く回。
いつまでもこんな日が続くといいね。
なんとはなしに追加した要素が色々大きな存在になってゆくのはあるあるですよね。
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」








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