
『DAZEMAZE:IT』
のネタバレがあります。
クトゥルフ神話TRPG 目次
DAZEMAZE:IT 一覧
注意! これはシナリオをクリアした方、シナリオを全て知っている方向けのリプレイ(?)です。
KPC側の事情だけでなく、KPが背景で何を考えていたか、なんてのを基本伏せナシで出しています。
ネタバレの塊ですから、遊ぶ予定の方は絶対見てはいけません。
TRPGリプレイ【置】 CoC『DAZEMAZE:IT』佐倉(子)&牧志(魔)1
余計な情報なしでシンプルなリプレイを読みたい方はこちら
参加キャラクター

牧志 浩太(デビルシフター)
お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。
佐倉とは友人。子供になってしまった佐倉と奇妙な同居生活をしている。
最近突然謎のCOMPとカードを授かりデビルシフターとして覚醒した。

佐倉 光(子)
サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
とある事件で子供に戻り、そして元に戻れなくなってしまった。
記憶はそのままだが、子供としての感情や衝動に引きずられることがある。
牧志とは友人。

というシナリオだそうです。
元々個別導入あり2PLシナリオですが、タイマン可とのことなので、HO1【Moon】をKPCとして回させて頂こうと思います。
子供佐倉さんルートの二人によく合いそうだと思います。
子供佐倉さんの無力じゃないとこ、見たーい!
そんなこんなで、ログとかの件差支えなければ明日のお昼あたりから始めようかと思います。
ブルセパはそもそも佐倉が悪い説……
ブルセパはどっちもまだあの生活に不慣れだったからしょうがない……
CoC 6版 非公式シナリオ
DAZEMAZE:IT(デイズメイズアイティー)
CitrusPOT/鈴華(りんか)様
────小さく力ないものが、
必ずしも無力というわけではない。
あの事件から、数か月。
あなたは子供としての、歪ながら穏やかな日常を取り戻していた。
相変わらず脳の隙間では同居人がもぞもぞいっているし、牧志が大通りを歩くとき車道から距離を開けようとするのも変わらずだ。
小学校低学年の授業はあなたには退屈すぎて、それらしく切り抜ける方法を考える仕事でしかない。
それでも、学校へ行けば友達と楽しく遊べたし、家に帰れば牧志が夕食を作ってくれた。
ただひとり佐倉光を知る牧志と遊んだり、小さな手でPCに触れたりする時間、あなたはただのあなたでいられた。

大人の体だったら、と歯がみするようなこともなくなり、ガキ扱いされることを利点と感じることも増えてきた。
侮られるのは悪いことばかりじゃない。むしろ不意打ちをかける絶好のポイントだ。
法も情も子供には優しい。

普通に、子供らしく振る舞えばいい。
そして幸いその半分は結構楽しめている俺がいる。
少しは寿命伸びただろうし、まあ、ラッキーかもしれない。
成人するまでは牧志に色々苦労かける事になるけど、それは日々返せるよう努力中だ。

最初のように必要以上に庇護しようとすることもなく、かといって大人のように扱うでもなく、子供の体と立場に難しいことはさらりと助け、それでいてあなたを変わらぬ友として扱う。
頭痛というより、少し頭が重いかな? といった違和感程度なのだが、それが頭に居座っているのだという。
最初は牧志も異変の前触れではないかと気にしていたが、それが一週間、一ヶ月と続くと、警戒も普段のレベルに戻ってしまう。
病院にも行ったが特に異常は見つからず、悪化するようなら再受診を、と言われて終わっている。
疲れが溜まってるのかな、というのが専らの最近の候補である。

何しろ俺たちの頭にはあいつらがいる。
実は脳を食い荒らしたり変なもの分泌したり、そういうことはないか、最初は随分と心配した。
しかし俺の方に頭痛は出なかったし、病院でも異常は出なかった。
大体こういうのは異変の前兆だと思うんだけど、特に何か起こることもなく随分な時間が経っているとなると、ふと意識から外れることも多い。


そう言ってこめかみをとんとん叩くのが、最近の彼の日常。
そんな休日の昼、あなたは彼と昼食を囲んでいる。
あなたはこの後ハルカと遊びに行く約束をしていて、彼は彼で図書館ついでに買い物だ。


俺はハルカと公園行って、そっから先はノリ次第だけど、移動することになったら連絡するよ」

俺も、移動する時には連絡するよ」

俺くらいの年齢の子供はかたたたきけんとかいうのを生産するものなんだそうだ。

案外、肩が凝ってるってのはありそうだ」
昼食の片づけが終わると、牧志は頷いて背中を向ける。

我ながらいいことを思いついた。


手首のスナップを効かせないと無駄に疲れるし、ツボ探り当てるの難しいし、俺の指じゃ指圧なんて無理だ。


あの腰踏むやつも、踏ん張らないと落っこちちゃったりさ」

牧志の肩に触れても、少し張っているかな、くらいで目立った異常は見受けられない。


そんなに固くなってないと思う」
疲れたなー、という気分にじんわりと「牧志の手伝いができた」という満足感が重なる。


やっぱり単に疲れが溜まってんのかな」
牧志はふにふにとこめかみを揉む。


行ってらっしゃい」
牧志は手を振ってあなたを見送り、自分も図書館へと出かけていった。
公園の待ち合わせの場所に行けば、そこにはちゃんとハルカが待っており、遊んでいる間に何かが起きる……、ということもない。
移動するときに連絡を入れれば、牧志の穏やかな返答が返るだろう。
あなた達は、思うさま楽しく遊ぶことができる。


詳しい事情は面倒だから話してない。

なんて迂闊に口にしたら大変な目に遭った。
虚言癖持ちだと思われた気がするけど……まあ、いいか。

ハルカのお母さんがやってるキャンプ用品の店だって。

楽しく遊ぶあなたの様子に彼もまた楽しそうで、図書館で見つけた本のことや、雑貨コーナーで売っていた面白いグッズのことなどが返ってくる。

キャンプ用品の店に行ったことを伝えるなら、またキャンプってのもいいな、なんて返ってきた。

友達と行くのはちょっと早いし、自宅のゲーム機でカラオケがせいぜいだ。
今度牧志に連れて行ってくれるよう頼も。
歌うのは結構好きだ。



牧志が伝えてきたのは、よく買い物に使っているスーパーマーケットだ。
一通りのものが置いてあって利便がよい上、近隣食材コーナーなどもあって少々面白い。

陽が落ち始める前に帰る、は子供の常識、それよりも大事な牧志との約束だ。

ハルカに手を振って別れ、くだんの店に向かう。
さて向かおうとすると、牧志から先に電話がかかってきた。取る?


どうする? 第三の選択肢でもいいけど」
どうやら予定変更や緊急事態ではなく、別な方向にリアルタイムな用事だ。
ルウ・ソース売り場の前に来て思い出したのだろうか。
背後からお高いソースをすすめる呼び込み音声や、精肉売り場の声などが聞こえてくる。
KPのひとりごと
「電話している最中に……」をどこでやろうかなー、と考えて、こんな用事を作っています。

背景で呼び込み君が歌っている……精肉のクセのある呼び込みアナウンスから言ってもいつもの所なのは間違いないな。



電波が悪いのかと思ったが、呼び込み君の声や牧志の息遣いは変わらず聞こえてくる。

音が通じているみたいだから、牧志が黙っただけだな。


何かに気を取られているのだろうか。
呼びかけても心ここにあらずといった調子で、これといった返答が返ってこない。

あなたに選択肢を聞いたくせに、セルフレジで会計をする音がして……、自動ドアの開くような音。



異常を感じて声をかけ続けてみる。現地へ足を速める。

何度声をかけようと、牧志が意味のある返答を返すことはなかった。
……そのうち、ぷつんと電話が切れてしまう。
あなたの背筋を、虫の這うような悪寒が襲う。
牧志の様子は……、普通ではなかったのではないか。
また、『何か』が……、起こったのではないか。
少し前まで、電話口の向こうに、確かに彼がいたというのに。
少し前まで、何もかもがいつもの日常だったというのに。

発信を続けながら彼が最後にいたであろう店に全力で向かう。
当然周囲を見回し、彼の姿を探しながらだ!
無情な留守番電話のメッセージだけを聞きながら、あなたは小さな身体で店へと全力で向かう。
息はたやすく切れるし、低い視点で牧志の姿を探しながら走る道は遠い。
それでも急いで、急いで夕暮れの街の中を駆ける。
しかしその入り口に、レジに、彼の姿は……、なかった。

ぜったいまたあいつに何かがあったんだっ!

「お父さんが来るまで待っていなさい」などと言われたら動けなくなってしまう!
店員にさりげなく訊くか。

あなたの聞き方に、店員は不思議そうにする。
さりげない聞き方かもしれないが、子供が聞く内容としてはあまりさりげなくなかった。
お家に帰ってるかもしれないから、お母さんに聞いてみたらどうかな?」
店員は店の出口を指す。
そういえばあの時も、自動ドアの開く音がしていた。
この店には出入り口が二つあるが、店員が指した方が彼が出ていったという出口なのだろう。


いつも車で来ているようなら駐車場、徒歩で来ているようなら周囲を人に訊きながら探す。
今回は友達とカラオケの後だと聞いているので、徒歩だと考えられるだろう。
あなたは日を落としていく街の風景の中、牧志の痕跡を人に聞き回り、聞き回り追いかける。
失敗しても得られる情報は変わらないが、それ以外のことに変化がある。

親切すぎる人に心配されすぎて警察まで連行されないように気を配ろう。
1d100 48〈言いくるめ〉 Sasa 1d100→ 94→失敗
親切すぎる人に心配されすぎないように。
あなたは気を配りながら、彼の足取りを追う。
それでも聞き込みは難航した。
それはもちろん、あなたが幼いこともそうだが、
何より、彼の足取りに不審な所がなかったためだ。
それがために、人々の記憶から引っ張り出すのに苦労したのだ。
買い物袋をちゃんと持って、まるで、帰路をたどるように。
普段使わない── 家に帰るなら、使う必要のない路線の電車に乗って。
家とは逆方向に、走り去ってしまったのだそうだ。
──もう空は真っ暗だ。
賑やかな街明かりと浮足立った喧騒が、周囲を包むようになっている。
これ以上聞き込みを続けても、危険なことになるか、
「親切すぎる人」を呼び寄せる結果にしかならないだろう。
電車を使ったというなら、聞き込み自体も難しくなる。
例えば、あなたの得意技〈ハッキング〉によって、遠隔で彼を追う、など。
方法はいくつか考えられる。
昔やったように、電車や街の監視カメラからデータを頂いてもよい。
彼が何も残していないということは、彼は自分のスマートフォンを持っているはずだ。
スマートフォンの箱なりから固有IDが拾えれば、大まかな位置情報ならここからでも追える。
まだ希望はある。
不思議な魔術に連れ去られて、煙のように姿を消してしまった── というわけでは、どうやらないらしいから。
KPのひとりごと
下手に抵抗できてしまうと本編と関係ないところへずれていっちゃうし、導入が間延びするし。
抵抗できそうなのに謎の理由でできないより、最初から抵抗の余地がない方が導入として呑みやすいのもある。
行方不明の牧志
お騒がせ者です。突然友達に誘われて呑みに行ったのかもしれませんね、えっ、電車の要る距離へ? 連絡もなしに?
牧志視点









なるほど、だから逆に『来ているのがまだ知られていなかった』のかもしれないんですね。

普通に買い物袋を持ったまま?
俺に一言も言わずに?
どこへ行く気なんだ。
夜は子供にとって出歩ける時間じゃない。
迂闊なことをして警察に興味を持たれたら面倒なことになる。
下手をすると、あの時の二の舞だ。『牧志を永遠に失った』あの時の。
俺は俺自身を自由にしたままで探し続けなきゃならない。
……となれば。
あの時(ネタバレ)
TRPGリプレイ【置】 CoC『レプリカの心相』佐倉(子)&牧志 1
あの時

渋谷から出てしまったのでは簡単に監視カメラを辿ることはできない。
縄張りの外だ、準備がいる。
まずは電話機の箱を探そう。あいつ結構ちゃんとしている……気がするから、スマホの箱のある場所は分かりやすいんじゃないかと思う。
幸い、というか、なんだかんだで修理機会も買い換え機会も多い。
幸い、スマートフォンの箱はすぐに見つかった。
IDの書いたラベルも、ちゃんとそこにある。
ここから行き先を辿るなら、〈芸術:ハッキング〉で判定。
失敗しても情報は得られる。


すべきことをメモするんだ、あいつがやっていたみたいに!
その場の感覚が感情が、次々と湧き上がってくる焦りや空腹や眠気や、そんなものが思考の邪魔をする。
あなたの小さな身体はキャパシティも小さく、すぐに翻弄される。
何か食べたい、一息つきたい、いますぐ眠りたい。
そんな欲求に屈すればこのまま戻れなくなりそうで、焦りでそれらを押し流して探す、探す、探す。
このIDを持つ端末のIPアドレスを、基地局からの距離を、居場所を。

ここで小さな欲に流されたら一生後悔することになるかも知れないんだ。
あるものといえば技術工業団地とそれに付随する町のような、あまり牧志には用のなさそうな場所だが……。
この街の中の、牧志はどこへ行ったのだろうか?
ここからは別のアプローチで絞り込む必要がある。
ここに着く駅は1路線しかないので、まずは駅から出た者の情報を手に入れるべきだろうか。

ちょっと一人で向かうには距離がある。
ひとりで宿泊は無理か。キャンプも……難しいな。
となると、行って即解決できるくらいには情報を集めておきたいところだ。

そういうよからぬ情報が集まる裏にでも行ってみようか。
慣れ親しんだ「裏」に行けば、セキュリティの甘い監視カメラのリストと現実世界での所在地をセットにし、簡単なアタックモジュールまでセットにして売っているヤツが早速いる。
そのまま使えばもちろんすぐに足がつく程度のものだが、足がかりの役には立ちそうだ。
あとはあなたの手腕次第だろう。
失敗しても情報は得られる。


必死で情報を叩き、考え、覗き見る。
アタックモジュールには軽く手を加えて悪戯なんかが仕掛けられていないかちゃんと確かめて使うぞ。
暗い映像の中、迷いのない足取りで歩いていく牧志の姿を、かろうじて追いかけることができる。
牧志は買い物袋を提げたまま、脇目もふらずにどこかへ歩いていく。
技術工業団地の中にある何かの施設へと、彼は吸い込まれていった。
……あなたが牧志の行き先を特定する頃には、空にはとうに日がのぼっていた。
食事も睡眠も、自動解析の間のわずかな時間にしか取れていない。
十分な食事や睡眠より牧志の追跡を優先した結果、あなたには強い疲労感がある。
このシナリオ中、【幸運】を除く全ての技能値が-5される。
連絡を取れる仲間だっていた。
……今はそのどちらも、あなたのもとにはない。
しかし、あなたにはできることがある。
調査。そして、侵入。
あなたならば例えその場にいなくとも、施設の調査だってできるし、施設の中に入り込むことだってできる。
さあ、どうしようか。

ここに直接行ければ話が早いのに。
珈琲をいれて砂糖とミルクを投入。ちびちび舐めつつ調査を続ける。
眠気は最大の敵だ。
まずは簡単に地図アプリでそこを確認。
一体どんな建造物があるところなのか調べてみる。
その土地の周囲の住民はその建造物について何か噂していないだろうか?
まともに出てきそうになければその建物のネットワークへの侵入を試みる。
ここで一旦、当の牧志にシーンは移る。
本編見る!
KPのひとりごと
しかし、途中から「やっぱり牧志側の状況分からない方が佐倉さんにとって怖くて楽しいのでは?」と思って方針転換しています。計画性がない。
[Side: 牧志]

ずいぶん重たいまぶたをもちあげると、まず、見慣れない白い天井をまっすぐ見上げることになった。
背面にかたい感触があり、自分はなにかの台の上に横たわっているのだ……、ときづく。
体の上には何もかかっていなくて、手足を伸ばせば何も拘束されていない。

ぼんやりと手元を見下ろすも、手掛かりはない。
直前の記憶をたどれば、スーパーで買い物をしていて、佐倉さんに電話したところまでで途切れている。

唸る。また連れ去られたのか? 不覚すぎる。
合流しようとしていたはずだけど、佐倉さんは無事だろうな?
体を起こした正面の壁に扉が一枚と蛍光灯、天井の一角に配された象の顔と目が合う。
一般家庭の部屋のようには……思えない。
この白い部屋の中、ビーズや刺繍が施されたカラフルな頭飾りをつけた象が、部屋の中央にある台を見下ろしている光景は少々異様だ。


扉の外に耳をそばだててから、恐る恐る扉を開け、外の様子を確認する……。
地図アプリで確認しても建物の詳細はわからなかったが、ストリートビューを確認すれば、石でできた門構えに『百合根』の文字を読み取ることができた。
この周囲はオフィスや工場、研究所などが並ぶ地域であり、それもあってか住民の噂話などは見つけられなかった。
代わりに、近隣の企業のWebサイトを当たると、取引先一覧に『株式会社 百合根会』の名を見つけることができる。

しばらく無駄な努力をした後で、諦めてナッツバー囓りながら方向性を変える。
近隣の企業が取引をしていないかな。

1d100 80 〈図書館〉-5 Sasa 1d100→ 59→成功
MS法人とは、非営利性を求められる診療所などに代わって、医療関係の経営その他、手広いサービスを行う営利法人だ。
医薬品の仕入れなどに携わることもあり、経営者には薬機法の知識が求められる。
しかしそれよりも興味を惹くのは、近隣にある取引先企業の中に小さな古い警備会社があり、この警備会社が『百合根会』の施設に警備員の派遣などを行っているらしいことだ。
あなたは百合根会の建物周辺にあるWi-Fiルーターの中から、この警備会社と同名のSSIDを持つものを発見する。
なるほど、ネットワークに侵入できれば内部の情報を知る足がかりになるだろう。

監視ロボットなんかを使ってるタイプのヤツならうまく乗っ取れれば中を見ることもできるかも。

ネットワークに侵入して、まずはその警備会社が持っている情報を漁ろう。
牧志が入っていった建物、『百合根会』がどういう構造をしていて、どう守っているのか。
もしくは不自然に警備会社が入っていない場所があるか。

以降、あなたは自身の拠点にいながら、この施設の警備室のモニターに映し出される映像をリアルタイムで確認できる。
1画面のモニター内が3×3に分割され、計9台分のカメラ映像が一括表示されているものだ。
定期的に画面が切り替わることから、この施設内には少なくとも10台以上の監視カメラが設置されているようだ。
カメラは音声までは拾っていないようで、確認できるのは映像のみである。
また、各カメラ映像の右上に『アルファベット2文字とローマ数字をハイフンで繋いだ文字列』が表示されている。
見る限り、この文字列はカメラごとに固有のもののようだ。

牧志を探すことができるかも知れないし、ここがどんなところなのかというのもすぐに分かるだろう。
今はやめておいた方がいいだろう。

寝不足と空腹のせいか、少し頭がぼうっとするな。

1d100 94〈目星〉-5 Sasa 1d100→ 19→成功
廊下に並ぶ無個性なスチールドア。
廊下に並ぶ扉の殆どに設置されたカードリーダー。
煌々とあたりを照らす白い照明。
その扉のひとつから、慎重に様子を窺いながら顔を出した人影の、見覚えのあるジャケットの色と、明るい髪の色!
……牧志だ!

思わず声を上げていた。ああ、良かった、生きている!
どうやら目覚めて自分がおかしな状況にあると気付いたところだろうか。
だが今のところ、俺が『視ている』と知らせる術がない。
何とかしないとな。何とか……

情報系には関与していないのか?
ちらちらと牧志の姿を確認しながら、触れそうな情報を確認する。
そこに何か書かれているようだが、このカメラの解像度では読み取ることができない。
このネットワークはカメラの制御だけのようだが……、詳しく確認すると、別のネットワークとの接点となっているルーターを発見する。
恐らくそちらが、百合根会本体のネットワークだ。
ネットワークは分割されているが、少々いじってやればそちらに侵入することができる。

カードリーダーのついていない扉を見つけ、その中に踊り場と下り階段があるのを見つけて体を滑り込ませた。
少しして、別の監視カメラに彼の姿が現われる。
先程の様子を見るに下の階なのだろう。
先程同様、カードリーダーのついた扉が並んでいる。

カードリーダーか。必要そうなところがあれば、データ弄くって開けてやれねぇかな。
KPのひとりごと
この後カードリーダーのハッキング可能になるまでに少々イベントがあるのですが、単純にスルーすると却下されたと思わせてしまうからですね。
このシナリオはPLの提案次第で色々できる話なので、自由行動できないと思わせてしまうとまずいのです。
それを防ぐためにちょくちょく「今できない理由」に言及しています。効果があったかは謎。
カードリーダーがある、ハッキングができる、のなら、シナリオ展開でやるシーンは来るだろうと思ってましたし。
ハッキングでどこまでできるのか、というのが自分の中で割と常識に縛られていた感はあります。
終了後の話を聞いて、もっと「ウォッチドッグス」くらいハチャメチャにやっても良かったのかな? と思いました。
それでも牧志が現地にいるので無茶はできなかったですけどね。
その割に、「共闘」させるためというシナリオ都合でオンラインでできることに制限がかかっているのも難しい所なんですが。
ネットワーク名からして、ここは百合根会本体のネットワークと思われた。
さてここから接続先を辿ろうという所で、画面の中に動きが生じる。
牧志が一つだけカードリーダーのない扉を見つけ、確認しようとしたとき、彼が何かに気づいたのだ。
彼はすぐさま身を翻し、目の前の扉の中に身を潜める。
彼はやがて何かを見つけ、手に取る。
その手元がぽう、と青白い光で明るくなった。
彼の後ろ姿がはっきりとカメラに映し出される。
これが警備室のモニターにも映っていると思うと、あなたの胸のあたりが少しざわつく。
佐倉さんは《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1》。

SAN 70 → 69

俺が今から力を貸すのは無理だ。
今の俺にできること……

それはまずいな……

今牧志が居る部屋をどうこうするのは無理だけど。
しかし映像が多すぎるし切り替えも入るから、単純な差し替えで誤魔化すのも難しそうだな。
やりようはあるにしろ、今ここでは難しい。
そうなれば、PCモニター上の画面を差し替えることになる。
こちらは可能だ。
しかし、差し替え中にPCモニター上に変化が映ってしまうリスクがある。
モニターを見ている者がいれば、気づかれるかもしれない。
ここからカードリーダーを弄れるかは、これから探ってみないと分からない。

映像弄るのもリスクが……
一応画面の録画は並行する。何かに使える可能性はある。
これは……タブレットだ。
もしかして、いま牧志が持っているものか。
応接室の端末のようだ。タブレットの光でぼんやり見える景色とも一致する。
見た所、稼働頻度の低い端末なのかセキュリティが甘い。
目の前のタブレットに介入すれば、牧志と連絡が取れるのではないか?

目をこらす。タブレットか? あれは。
セキュリティは甘めか……。

『Hi Alice🐾』とでも送ってみるか。
成功時の出目によって、どれくらいのことができるか変わる。
失敗しても侵入は可能だが、少々リスクのある方法を使わなければならない。

重量級のツールを動かすことは難しいが、匿名性の高い暗号化メッセージアプリを遠隔でインストールし、それで牧志とテキストでやりとりすることならできそうだ。
KPのひとりごと
後で音声での通話ができないと困る場所があることに気づき、無理やりなんとかしています。
ただ、こいつらこの緊迫状況なのに喋り言葉で打ちすぎじゃないかとは思いましたが、そこはね。多少はね。と思って割り切っております。
とはいえ本当に素早いやりとりだけにしてしまうと、会話不足になって楽しくないですし、そこはプレイ上の都合として割り切りました。
牧志視点

『Hi Alice🐾』

もしかして……、いや、そんなことあるか? 偶然じゃないのか? ここのタブレットだぞ、これ?
そんな、
……そんな。
佐倉さんが俺を見つけてくれて、通信してくれてる……、なんて。

メッセージを返す指が、どくどくと震えた。
何度かタブレットの画面を見て、少し縦へやったり横へやったりして……、
『Bob?』
少しして、あなたの画面へ返答が返ってきた。

『正解、【おとうさん】。随分遠くまで買い物に来たな。
どうしてそこに?』

端末の向こうにいる、おそらく牧志はあなたの名を返した。
相変わらず、呼ぶべきでない所でも名を呼んでしまうやつだ。
牧志視点

まさか、ほんとに、本当に!
俺を見つけてくれたんだ!

佐倉さん、今どこ?
実は、俺にもよく分からなくて……』
何はなくとも、監視カメラに映らない位置へ退避してもらってからゆっくり話すべきだろう。

そこに本棚があるだろ? そのもうちょっと左側に立って。
誰か来る様子はないか?』

牧志は言わんとすることに気づいたらしく、慎重に言われたとおりに移動し、様子を窺う。

もしかして、見られてた?』

とにかく無事そうで良かったよ』

佐倉さんは、今どこに?
俺は、夕方にスーパーで電話しただろ。あの時からすっかり記憶が途切れてるんだ。
気づいたらここにいて、寝台に寝かされてた』




お前さ、突然ふらふらっと電車に乗って○○に行ったんだよ、自力で』

全然記憶にない。
くそ、何かされてたのかもしれない。そうなると警察はあてにならないな』

何か見たとか聞いたとか、覚えはないか?』


できるだけ簡潔にまとめて建物名を伝える。


部屋はどうやって出たんだ?』

もしかしたら、俺をここに連れてきた何かを信用してたのかもしれない』


手が届く場所じゃなかったんだけど、ビーズや刺繍で飾られた、象の頭みたいな。
殺風景な部屋なのに、そこだけ飾り気があったから覚えてる』

何か関係あるんだろうか?
心当たりはあるだろうか。
〈オカルト〉か〈クトゥルフ神話〉で振れますか?
象さん
いやまあ、心当たりはあるけど正直良く分かんないし。
本編佐倉たちがガバガバ飲まされて酷い目に遭ったとこにも象いたな、くらいしか。

1d100 26 〈クトゥルフ神話〉 Sasa 1d100→ 99→致命的失敗(ファンブル)
〈クトゥルフ神話〉知識の成長
あのあとルールブックに「成長対象としない」と明示的に書かれていたのを見つけてしまったので、今後(2025.6.4以降)は成長対象外とします。
これまでに神話知識増えてしまった佐倉さん&牧志、ごめん。
ハウスルール変更でお手数をおかけします。
元は仏教の説話に魔王マーラとともに登場する怪物であるが、これと、有名な象頭人身の神ガネーシャの頭となった象は、実は起源を同じくするのだという。
どちらも神の乗り物たる聖象を起源としていて、かつての宗教的な対立により一方は怪物とされたのだそうだ。
……しかし、それがこの場に何の関係があるのだろうか。

悪魔使いたちの間で囁かれている噂だけは聞いたことがある。
そういった悪魔は多くの場合肉体が頑強とかいうレベルではなく、攻撃した者に衝撃を跳ね返すこともあるという。
神のつま先とは言え高レベル悪魔。当然見たことなどはないわけだが、そんなものとは少し違う気がする。

大まかに見れば象の頭に似た、歪な形の、何か。
絶えず収縮し……、広がる、粘液に満たされた鼻の中、いや、それは口?
牙の生え揃った口が嬉しそうに粘液を垂らすのを、あなたは座り込んで……、ぼんやりと……、見ている。
見ている。
《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1》。


やけにリアルな幻……記憶?


SAN 69 → 68

喘ぐように息を吸って、自分が思い出したものを共有しようとしたが、派手に失敗してのどに引っかかった。

各部屋の扉の上に、アルファベット2文字で部屋番号かな、書いてある。
俺が最初にいた部屋は【ST-2-2】、ここは【RP-1-1】。
何の略なのかは分からないけど、二番目は階数かもしれない。
俺、ここに来るまでに階段を下りてきたから』


牧志は俺を信じてくれているんだ。
象のことはまだ情報が足りてない。
深呼吸して牧志が送ってくれた情報に集中する。

RP? その部屋には何がある?』

それからこのタブレット、ドキュメントフォルダに何か入ってるみたいだ。佐倉さんの所からも見える?』
佐倉さんは〈コンピューター〉または〈芸術:ハッキング〉+15%で判定。

KPのひとりごと
今回はタイマン(牧志がKPC)のため、もし失敗しても、KPCから情報を出すことができるためですね。
仲間が拾ってくれると思えばこそ、わざとより専門的な技能で振ってみることあるある。
既存シナリオは汎用的に作られるものだからこそ、PCに合わせてうまいこと楽しいようにしたいですね。
失敗するとほんとに情報やボーナスが落ちちゃうところはなかなか難しいですが、そこは今回みたいにうまいこと補正を使って。

監視カメラから見える壁にパスワード情報とか貼ってねーかな。
向こうから牧志に設定を変更してもらうなりすれば、あなたも資料を確認したり、このタブレットをもっと自由に操作したりできそうだ。


共有設定とか、こっちから手が出せるようにもうちょっと緩くできないかな』


普通にできることなら大体できると思う。
遠隔操作機能も許可しておいた』
中身を見ることもできるし、遠隔操作することもできる。
重い処理をするには非力ではあるが、牧志が持っている以上、先程の端末と違って他者に画面や処理の重さで不審を抱かれることもないので、他へアクセスするための中継点にするにも悪くない。

牧志も確認するので、どちらかが成功すればよい。
時間をかけて調査するなら判定なし。

1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗(ファンブル)

応接室の現状復帰レイアウト。いま関係ない。
プレゼンテーション用モニターの設定マニュアル(各国語版。多い!)。モニターにいたずらをする役には立つが、今は関係ない。
共通ゴミ捨てルール。資源ゴミ箱に生ゴミ捨てる従業員に担当者がお怒りだ。
仕出し弁当の献立一覧。誰だこれ入れたの。
鍵のない応接室の備品だけあって、大したものは入っていない。
あなたは……、ちょっとげんなりする。
佐倉さんのみ、《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1》。
万死に値するな
ちゃんと見て捨てなさい
KPのひとりごと
つい敵の本拠地などに変な生活感を足したくなるKPです。
〈目星〉だの〈図書館〉だの要求されるって、相当ゴチャゴチャですよね!
特にモブな敵達に生活感盛るのと、ちょっとしたNPCの会話。
ありがとうございます。
〈図書館〉が必要なくらいですからね! ゴチャゴチャ!



げんなりした所で、牧志からメッセージが来た。

牧志が教えてくれた場所を見に行ってみる。
見取り図には一階と二階がある。
ここは一階の一番端、出入り口の傍にある部屋のようだ。
廊下に面した各扉の付近には、『アルファベット 2 文字とローマ数字をハイフンで繋いだ文字列』が書かれている。
しかし、二階の部屋にはいくつか、何も書かれていない扉があるようだ。
そういえば、カメラの映像にも同じような文字列があった。
この見取り図を見れば、部屋の位置とカメラの映像を紐づけることができそうだ。
佐倉さんは〈目星〉または【幸運】で判定。



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置き卓、プレイ中に時間が空くことで色々と気づきがちなので、その場で何とかしてしまうことがリアルタイム卓よりも増えます。
その中でも今回は途中でドタバタしていることが多すぎたので、KP視点ありログを作ってみました。
こうしてみると計画性が、ない!
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」











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