こちらには
『DAZEMAZE:IT』
のネタバレがあります。
参加キャラクター

牧志 浩太(デビルシフター)

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。子供になってしまった佐倉と奇妙な同居生活をしている。

最近突然謎のCOMPとカードを授かりデビルシフターとして覚醒した。



佐倉 光
おおっ! 新たな舞台だ!
KP
📝コンセプト:・同じ場所にいない2人が、ひとつの目的のために共闘する所が見たーい!

というシナリオだそうです。
元々個別導入あり2PLシナリオですが、タイマン可とのことなので、HO1【Moon】をKPCとして回させて頂こうと思います。

子供佐倉さんルートの二人によく合いそうだと思います。
子供佐倉さんの無力じゃないとこ、見たーい!
佐倉 光
やったー! デジタルな世界なら無力じゃない! ……たぶん。
KP
今までも十分活躍しまくってはいましたけども。ブルセパのあれとか。

そんなこんなで、ログとかの件差支えなければ明日のお昼あたりから始めようかと思います。
佐倉 光
はい、是非お願いします!

ブルセパはそもそも佐倉が悪い説……
KP
よろしくお願いします!

ブルセパはどっちもまだあの生活に不慣れだったからしょうがない……


CoC 6版 非公式シナリオ
 DAZEMAZE:IT(デイズメイズアイティー)

CitrusPOT/鈴華(りんか)様





────小さく力ないものが、
必ずしも無力というわけではない。


KP
美術館に行ったら異変に巻き込まれた。
あの事件から、数か月。
あなたは子供としての、歪ながら穏やかな日常を取り戻していた。

相変わらず脳の隙間では同居人がもぞもぞいっているし、牧志が大通りを歩くとき車道から距離を開けようとするのも変わらずだ。
小学校低学年の授業はあなたには退屈すぎて、それらしく切り抜ける方法を考える仕事でしかない。

それでも、学校へ行けば友達と楽しく遊べたし、家に帰れば牧志が夕食を作ってくれた。
ただひとり佐倉光かつてのあなたを知る牧志と遊んだり、小さな手でPCに触れたりする時間、あなたはただのあなたでいられた。
佐倉 光
最近になってようやく、自分が子供である、という事実を受け入れられるようになった気がする。
大人の体だったら、と歯がみするようなこともなくなり、ガキ扱いされることを利点と感じることも増えてきた。
侮られるのは悪いことばかりじゃない。むしろ不意打ちをかける絶好のポイントだ。
法も情も子供には優しい。
佐倉 光
あるがままの俺を受け入れることに慣れていけば、必然トラブルが減って、牧志に嫌な思いをさせることもなくなる。
普通に、子供らしく振る舞えばいい。
そして幸いその半分は結構楽しめている俺がいる。
少しは寿命伸びただろうし、まあ、ラッキーかもしれない。
成人するまでは牧志に色々苦労かける事になるけど、それは日々返せるよう努力中だ。
牧志 浩太
「子供であること」を受け入れたあなたを、牧志もまた「子供であり、あなた」として扱うのに慣れてきた。
最初のように必要以上に庇護しようとすることもなく、かといって大人のように扱うでもなく、子供の体と立場に難しいことはさらりと助け、それでいてあなたを変わらぬ友として扱う。
KP
そんな中でのちょっとした気がかりが、一ヶ月ほど前から続く牧志の軽い頭痛だ。

頭痛というより、少し頭が重いかな? といった違和感程度なのだが、それが頭に居座っているのだという。

最初は牧志も異変の前触れではないかと気にしていたが、それが一週間、一ヶ月と続くと、警戒も普段のレベルに戻ってしまう。

病院にも行ったが特に異常は見つからず、悪化するようなら再受診を、と言われて終わっている。

疲れが溜まってるのかな、というのが専らの最近の候補である。
佐倉 光
頭痛がする、というのはちょっと気になった。
何しろ俺たちの頭にはあいつらがいる。
実は脳を食い荒らしたり変なもの分泌したり、そういうことはないか、最初は随分と心配した。
しかし俺の方に頭痛は出なかったし、病院でも異常は出なかった。
大体こういうのは異変の前兆だと思うんだけど、特に何か起こることもなく随分な時間が経っているとなると、ふと意識から外れることも多い。
佐倉 光
まあ、疲れの原因になっている自覚はあるし、な。
牧志 浩太
「痛いってほどじゃないんだけどな……」
そう言ってこめかみをとんとん叩くのが、最近の彼の日常。

そんな休日の昼、あなたは彼と昼食を囲んでいる。
あなたはこの後ハルカと遊びに行く約束をしていて、彼は彼で図書館ついでに買い物だ。
佐倉 光
時間を確認しつつ食事を摂る。
佐倉 光
「そっちはいつもの図書館だよな?
俺はハルカと公園行って、そっから先はノリ次第だけど、移動することになったら連絡するよ」
牧志 浩太
「うん。しばらく図書館行って、それから軽く買い物。
俺も、移動する時には連絡するよ」
KP
今はちょうど昼時だ。外はよく晴れており心地よい。
佐倉 光
「肩でも叩こうかー?」
俺くらいの年齢の子供はかたたたきけんとかいうのを生産するものなんだそうだ。
牧志 浩太
「あー、頼もうかな。
案外、肩が凝ってるってのはありそうだ」
昼食の片づけが終わると、牧志は頷いて背中を向ける。
佐倉 光
肩叩きなんてたいしたことない。
我ながらいいことを思いついた。
佐倉 光
そう思ってた時期が俺にもありました。
佐倉 光
肩叩きって、肩もみって、ちゃんと効果が出るようにやるの難しい上結構体力勝負だな!?

手首のスナップを効かせないと無駄に疲れるし、ツボ探り当てるの難しいし、俺の指じゃ指圧なんて無理だ。
佐倉 光
※なにしろ【CON】【STR】【DEX】も低いのである!
KP
わかる(【CON】【STR】【DEX】も低いKP)
佐倉 光
「くそ、誰だよ肩叩きを子供にもできる簡単なお手伝いみたいに広めた奴」
牧志 浩太
「分かる、実際にやると難しいんだよな。
あの腰踏むやつも、踏ん張らないと落っこちちゃったりさ」
牧志 浩太
「でも、人の手で叩いてもらってると、それだけでなんだか気持ちいいんだよな……」
牧志の肩に触れても、少し張っているかな、くらいで目立った異常は見受けられない。
佐倉 光
少し頑張って牧志の肩を叩いたり押したりしてみる。
佐倉 光
「多分、だけどさ、頭痛が起きるほど肩は凝ってないと思うよ。
そんなに固くなってないと思う」
疲れたなー、という気分にじんわりと「牧志の手伝いができた」という満足感が重なる。
佐倉 光
あいつの仕業かな。まあいいや。気持ちいいと思ってもらえたみたいだし。
牧志 浩太
「うーん、そうか。
やっぱり単に疲れが溜まってんのかな」
牧志はふにふにとこめかみを揉む。
佐倉 光
「それじゃ、そろそろ出かけてくるー」
牧志 浩太
「ありがとう、ちょっと楽になった。
行ってらっしゃい」
牧志は手を振ってあなたを見送り、自分も図書館へと出かけていった。

KP
さて、出かければ外は穏やかな晴れ間だ。
公園の待ち合わせの場所に行けば、そこにはちゃんとハルカが待っており、遊んでいる間に何かが起きる……、ということもない。
移動するときに連絡を入れれば、牧志の穏やかな返答が返るだろう。
あなた達は、思うさま楽しく遊ぶことができる。
佐倉 光
時間を忘れて遊びながらも、タイマーかけて適度に写真や一言を送る。
佐倉 光
初めの頃ハルカには「お父さん好きすぎだよ」って言われたけど、養育者を好きなのはいいことだろ?
詳しい事情は面倒だから話してない。
佐倉 光
「ちょっと誘拐されたことがあって」
なんて迂闊に口にしたら大変な目に遭った。
虚言癖持ちだと思われた気がするけど……まあ、いいか。
佐倉 光
今日は隣町の公園まで遠征して、知らない店に入って見物などした。
ハルカのお母さんがやってるキャンプ用品の店だって。
ハルカのお母さんがやってるキャンプ用品の店……本人というわけではないが、ダブルクロスにて彼のモデルになったPCがいる。
牧志 浩太
牧志からは返答に加えて、ちょっとした感想が返ってきた。
楽しく遊ぶあなたの様子に彼もまた楽しそうで、図書館で見つけた本のことや、雑貨コーナーで売っていた面白いグッズのことなどが返ってくる。
牧志 浩太
彼も途中で友達に会ったらしく、図書館から移動して軽くカラオケに行ったりなどしている。
キャンプ用品の店に行ったことを伝えるなら、またキャンプってのもいいな、なんて返ってきた。
KP
そんなことをやっていたら、もうすっかり夕方だ。
佐倉 光
カラオケかー、たまにはいいなぁ。
友達と行くのはちょっと早いし、自宅のゲーム機でカラオケがせいぜいだ。
今度牧志に連れて行ってくれるよう頼も。
歌うのは結構好きだ。
佐倉 光
※随分前に判定したとき「上手い」を出していた記憶。
牧志 浩太
牧志から、友達と別れたので買い物に行くと連絡が入る。
佐倉 光
『買い物? こっち終わったら合流するから、どこ行くか教えてくれよ』
牧志 浩太
『お、いいな』
牧志が伝えてきたのは、よく買い物に使っているスーパーマーケットだ。
一通りのものが置いてあって利便がよい上、近隣食材コーナーなどもあって少々面白い。
佐倉 光
夕暮れになるとあっという間に暗くなる。
陽が落ち始める前に帰る、は子供の常識、それよりも大事な牧志との約束だ。
佐倉 光
「またなー!」
ハルカに手を振って別れ、くだんの店に向かう。
KP
元気のよい別れの声と赤い空、烏の声。
さて向かおうとすると、牧志から先に電話がかかってきた。取る?
佐倉 光
当然取るよ。予定変わったのかな?
牧志 浩太
「今日の夕食シチューにするって言ってたけど、ホワイトとブラウンどっちがいいか聞いてなかった。
どうする? 第三の選択肢でもいいけど」

どうやら予定変更や緊急事態ではなく、別な方向にリアルタイムな用事だ。
ルウ・ソース売り場の前に来て思い出したのだろうか。
背後からお高いソースをすすめる呼び込み音声や、精肉売り場の声などが聞こえてくる。
KPのひとりごと
同居している二人なので、意外と『メッセージではなく、電話』をする用事がありません。
「電話している最中に……」をどこでやろうかなー、と考えて、こんな用事を作っています。
佐倉 光
「どっちも捨てがたいなー。ちなみに第三って言ったら何がある?」
背景で呼び込み君が歌っている……精肉のクセのある呼び込みアナウンスから言ってもいつもの所なのは間違いないな。
牧志 浩太
「広島レモンシチューってのがある」
牧志 浩太
「それから……」
牧志 浩太
「……」
KP
おや? 牧志が突然黙ってしまった。
電波が悪いのかと思ったが、呼び込み君の声や牧志の息遣いは変わらず聞こえてくる。
佐倉 光
「ん? どうした?」
音が通じているみたいだから、牧志が黙っただけだな。
牧志 浩太
「ん、ああ……」
牧志 浩太
「……」
何かに気を取られているのだろうか。
呼びかけても心ここにあらずといった調子で、これといった返答が返ってこない。
牧志 浩太
その背後で呼び込みの声が遠くなっていく。
あなたに選択肢を聞いたくせに、セルフレジで会計をする音がして……、自動ドアの開くような音。
佐倉 光
「牧志? おい、聞こえてる?」
佐倉 光
「おーい、そこで待っててくれよ? もうすぐ着くからさ!?」
佐倉 光
「なんか見てる? 聞こえてる? おーい」
異常を感じて声をかけ続けてみる。現地へ足を速める。
牧志 浩太
「……」
何度声をかけようと、牧志が意味のある返答を返すことはなかった。
……そのうち、ぷつんと電話が切れてしまう。
KP
スマートフォンの画面には、無機質な通話終了の文字が映し出されるだけ。
あなたの背筋を、虫の這うような悪寒が襲う。
牧志の様子は……、普通ではなかったのではないか。
また、『何か』が……、起こったのではないか。

少し前まで、電話口の向こうに、確かに彼がいたというのに。
少し前まで、何もかもがいつもの日常だったというのに。
佐倉 光
「くそっ!」
発信を続けながら彼が最後にいたであろう店に全力で向かう。
当然周囲を見回し、彼の姿を探しながらだ!
KP
何度発信しても、彼が電話を取ることはなかった。
無情な留守番電話のメッセージだけを聞きながら、あなたは小さな身体で店へと全力で向かう。

息はたやすく切れるし、低い視点で牧志の姿を探しながら走る道は遠い。
それでも急いで、急いで夕暮れの街の中を駆ける。
KP
明るい光で買い物客たちを迎える、夕方のスーパー。
しかしその入り口に、レジに、彼の姿は……、なかった。
佐倉 光
「くそ、くそ、くそっ!」
ぜったいまたあいつに何かがあったんだっ!
佐倉 光
店の人に人相を説明して呼び出しを……いや、意味がない!
「お父さんが来るまで待っていなさい」などと言われたら動けなくなってしまう!
店員にさりげなく訊くか。
佐倉 光
「すみません、オレンジのジャケットを着た、赤っぽい髪の20代の男性、見ませんでしたか?」
KP
「おや、どうしたんだい? お兄さんかお父さんを探してるのかい?」
あなたの聞き方に、店員は不思議そうにする。
さりげない聞き方かもしれないが、子供が聞く内容としてはあまりさりげなくなかった。
KP
「その人なら買い物をして店を出ていったけど、その後は知らないなあ。
お家に帰ってるかもしれないから、お母さんに聞いてみたらどうかな?」
店員は店の出口を指す。
そういえばあの時も、自動ドアの開く音がしていた。
この店には出入り口が二つあるが、店員が指した方が彼が出ていったという出口なのだろう。
佐倉 光
だよなぁ……
佐倉 光
「そうですか、ありがとうございます」

いつも車で来ているようなら駐車場、徒歩で来ているようなら周囲を人に訊きながら探す。
KP
買い物にだけ来るときは車が多いが、
今回は友達とカラオケの後だと聞いているので、徒歩だと考えられるだろう。
あなたは日を落としていく街の風景の中、牧志の痕跡を人に聞き回り、聞き回り追いかける。
KP
何らかの交渉技能で判定。
失敗しても得られる情報は変わらないが、それ以外のことに変化がある。
佐倉 光
交渉は〈言いくるめ〉しかないな。「お父さんを探している」と言いながらも、
親切すぎる人に心配されすぎて警察まで連行されないように気を配ろう。
1d100 48〈言いくるめ〉 Sasa 1d100→ 94→失敗
KP
あなたは位置を変え、手はずを変え、
親切すぎる人に心配されすぎないように。
あなたは気を配りながら、彼の足取りを追う。

それでも聞き込みは難航した。
それはもちろん、あなたが幼いこともそうだが、
何より、彼の足取りに不審な所がなかったためだ。
それがために、人々の記憶から引っ張り出すのに苦労したのだ。
KP
彼は少し上の空なような、ぼんやりとした目で。
買い物袋をちゃんと持って、まるで、帰路をたどるように。
普段使わない── 家に帰るなら、使う必要のない路線の電車に乗って。
家とは逆方向に、走り去ってしまったのだそうだ。
KP
そこまでの特定に、随分と時間がかかってしまった。
──もう空は真っ暗だ。
賑やかな街明かりと浮足立った喧騒が、周囲を包むようになっている。

これ以上聞き込みを続けても、危険なことになるか、
「親切すぎる人」を呼び寄せる結果にしかならないだろう。
電車を使ったというなら、聞き込み自体も難しくなる。
KP
安全な場所から取れる方法を取るべきだ。
例えば、あなたの得意技〈ハッキング〉によって、遠隔で彼を追う、など。

方法はいくつか考えられる。
昔やったように、電車や街の監視カメラからデータを頂いてもよい。
彼が何も残していないということは、彼は自分のスマートフォンを持っているはずだ。
スマートフォンの箱なりから固有IDが拾えれば、大まかな位置情報ならここからでも追える。

まだ希望はある。
不思議な魔術に連れ去られて、煙のように姿を消してしまった── というわけでは、どうやらないらしいから。
KPのひとりごと
本編の二人は不思議な魔術に連れ去られて煙のように姿を消しがち。
佐倉 光
シナリオ傾向もありますけど、抵抗の余地を与えるとめんどくさい、なんてこともありますね。
KP
それはありますね。
下手に抵抗できてしまうと本編と関係ないところへずれていっちゃうし、導入が間延びするし。
抵抗できそうなのに謎の理由でできないより、最初から抵抗の余地がない方が導入として呑みやすいのもある。
行方不明の牧志
佐倉 光
どこへ行ってしまったんだ牧志!
KP
どうやら自分で歩いてどこかへ行ってしまったようで。
お騒がせ者です。突然友達に誘われて呑みに行ったのかもしれませんね、えっ、電車の要る距離へ? 連絡もなしに?
佐倉 光
不思議ですねぇー。おかしいですねぇー。
KP
おかしいですねぇー。牧志ってそんな計画性のないやつだったかな?

牧志視点
牧志 浩太
あれ……、ここは?
KP
あなたは帰宅の途についている。
牧志 浩太
そうだ、家に帰ろうとしている所だ。
牧志 浩太
……こんな道だっけ?
KP
あなたは帰ろうとしている。慣れた道を間違うはずがない。
牧志 浩太
そうだよな。道を間違えるはずがない。
KP
あなたは帰ろうとしている。
牧志 浩太
俺は帰ろうとしている。
KP
あなたは帰ろうとしている。
牧志 浩太
帰る。
KP
家の扉が見えてきた。
牧志 浩太
見えてきた。いつも通り。開ける。
KP
家に帰る。いつも通り薬を飲む。
牧志 浩太
いつも通り。いつもの薬。
KP
いつも通りにあなたは眠りに落ちていく。
牧志 浩太
いつも通りに、眠りに落ちていく……。

佐倉 光
薬も自分で飲まされている! 便利!!
なるほど、だから逆に『来ているのがまだ知られていなかった』のかもしれないんですね。

佐倉 光
聞き込んで、牧志の様子を聞けば聞くほどに『おかしい』という想いは強くなる。
普通に買い物袋を持ったまま?
俺に一言も言わずに?
どこへ行く気なんだ。

夜は子供にとって出歩ける時間じゃない。
迂闊なことをして警察に興味を持たれたら面倒なことになる。
下手をすると、あの時の二の舞だ。『牧志を永遠に失った』あの時の。

俺は俺自身を自由にしたままで探し続けなきゃならない。

……となれば。
あの時(ネタバレ)

佐倉 光
足早に帰宅する。
渋谷から出てしまったのでは簡単に監視カメラを辿ることはできない。
縄張りの外だ、準備がいる。

まずは電話機の箱を探そう。あいつ結構ちゃんとしている……気がするから、スマホの箱のある場所は分かりやすいんじゃないかと思う。
幸い、というか、なんだかんだで修理機会も買い換え機会も多い。
KP
『あの時』の記憶があなたの胸を痛ませる。

幸い、スマートフォンの箱はすぐに見つかった。
IDの書いたラベルも、ちゃんとそこにある。

ここから行き先を辿るなら、〈芸術:ハッキング〉で判定。
失敗しても情報は得られる。
佐倉 光
1d100 75 〈ハッキング〉 Sasa 1d100→ 94→失敗
佐倉 光
さっきから出目が死んでる
佐倉 光
ああくそ、気ばかりが焦ってどう探したらいいか纏まらない!
すべきことをメモするんだ、あいつがやっていたみたいに!
KP
あなたはそれから、どれだけ時間をかけたのだろう。

その場の感覚が感情が、次々と湧き上がってくる焦りや空腹や眠気や、そんなものが思考の邪魔をする。
あなたの小さな身体はキャパシティも小さく、すぐに翻弄される。

何か食べたい、一息つきたい、いますぐ眠りたい。
そんな欲求に屈すればこのまま戻れなくなりそうで、焦りでそれらを押し流して探す、探す、探す。
このIDを持つ端末のIPアドレスを、基地局からの距離を、居場所を。
佐倉 光
泣き言を言いたくなる自分を「あの時を思い出せ」と叱咤することで何とかキーボードに向かわせ続けた。
ここで小さな欲に流されたら一生後悔することになるかも知れないんだ。
KP
ようやく見つけ出したのは、訪れたことのない郊外の地域名だった。
あるものといえば技術工業団地とそれに付随する町のような、あまり牧志には用のなさそうな場所だが……。
この街の中の、牧志はどこへ行ったのだろうか?

ここからは別のアプローチで絞り込む必要がある。
ここに着く駅は1路線しかないので、まずは駅から出た者の情報を手に入れるべきだろうか。
佐倉 光
ここは?
ちょっと一人で向かうには距離がある。
ひとりで宿泊は無理か。キャンプも……難しいな。
となると、行って即解決できるくらいには情報を集めておきたいところだ。
佐倉 光
何とか駅の近くの監視カメラの記録を見ることはできないだろうか?
そういうよからぬ情報が集まる裏にでも行ってみようか。
KP
あなたが小さかろうと大きかろうと、デジタルの世界には関係のない話だ。

慣れ親しんだ「裏」に行けば、セキュリティの甘い監視カメラのリストと現実世界での所在地をセットにし、簡単なアタックモジュールまでセットにして売っているヤツが早速いる。

そのまま使えばもちろんすぐに足がつく程度のものだが、足がかりの役には立ちそうだ。
あとはあなたの手腕次第だろう。
KP
監視カメラを追っていくなら、〈芸術:ハッキング〉で判定。
失敗しても情報は得られる。
佐倉 光
1d100 75 〈ハッキング〉 Sasa 1d100→ 18→成功
佐倉 光
少しでも早い内に手がかりを掴んでおかないと、手遅れになるかも知れない。
必死で情報を叩き、考え、覗き見る。
アタックモジュールには軽く手を加えて悪戯なんかが仕掛けられていないかちゃんと確かめて使うぞ。
KP
あなたは駅前の商店のものから、監視カメラを次々と追っていく。
暗い映像の中、迷いのない足取りで歩いていく牧志の姿を、かろうじて追いかけることができる。

牧志は買い物袋を提げたまま、脇目もふらずにどこかへ歩いていく。
技術工業団地の中にある何かの施設へと、彼は吸い込まれていった。

……あなたが牧志の行き先を特定する頃には、空にはとうに日がのぼっていた。
食事も睡眠も、自動解析の間のわずかな時間にしか取れていない。
追跡時の交渉・ハッキングロール3回のうち、1回成功
十分な食事や睡眠より牧志の追跡を優先した結果、あなたには強い疲労感がある。

このシナリオ中、【幸運】を除く全ての技能値が-5される。
KP
場所が分かったのだ、かつてのあなたなら直接潜入する力があっただろう。
連絡を取れる仲間Barだっていた。
……今はそのどちらも、あなたのもとにはない。

しかし、あなたにはできることがある。
調査。そして、侵入。
あなたならば例えその場にいなくとも、施設の調査だってできるし、施設の中ネットワークに入り込むことだってできる。

さあ、どうしようか。
佐倉 光
ようやっと入っていった建物を突き止めた。
ここに直接行ければ話が早いのに。

珈琲をいれて砂糖とミルクを投入。ちびちび舐めつつ調査を続ける。
眠気は最大の敵だ。

まずは簡単に地図アプリでそこを確認。
一体どんな建造物があるところなのか調べてみる。
その土地の周囲の住民はその建造物について何か噂していないだろうか?

まともに出てきそうになければその建物のネットワークへの侵入を試みる。
KP
ようやく居場所を突き止めて、あなたはその建物について調査を始める……。

ここで一旦、当の牧志にシーンは移る。
本編見る!
KPのひとりごと
最初は牧志側の状況も同時に描写するつもりだったのでした。置き卓ですからね。
しかし、途中から「やっぱり牧志側の状況分からない方が佐倉さんにとって怖くて楽しいのでは?」と思って方針転換しています。計画性がない。
佐倉 光
あるある。臨機応変と言って欲しい。


[Side: 牧志]


牧志 浩太
あたまがおもい とかんじて、泥のような眠りからさめる。
ずいぶん重たいまぶたをもちあげると、まず、見慣れない白い天井をまっすぐ見上げることになった。

背面にかたい感触があり、自分はなにかの台の上に横たわっているのだ……、ときづく。
体の上には何もかかっていなくて、手足を伸ばせば何も拘束されていない。
牧志 浩太
(あれ……、おれ、なんで)
ぼんやりと手元を見下ろすも、手掛かりはない。
直前の記憶をたどれば、スーパーで買い物をしていて、佐倉さんに電話したところまでで途切れている。
牧志 浩太
「ううん」
唸る。また連れ去られたのか? 不覚すぎる。
合流しようとしていたはずだけど、佐倉さんは無事だろうな?
KP
室内は殺風景で、この場所を示すような物はおろか、部屋の中央に寝台が置かれている以外には調度品の類が一切無い。

体を起こした正面の壁に扉が一枚と蛍光灯、天井の一角に配された象の顔と目が合う。
一般家庭の部屋のようには……思えない。

この白い部屋の中、ビーズや刺繍が施されたカラフルな頭飾りをつけた象が、部屋の中央にある台を見下ろしている光景は少々異様だ。
KP
牧志は《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
1d100 54 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 9→成功
牧志 浩太
しばらく寝台や自分の体を調べていたが、分かることはなかった。
扉の外に耳をそばだててから、恐る恐る扉を開け、外の様子を確認する……。

佐倉 光
象の顔!?
KP
象の顔。
佐倉 光
牧志の運命やいかに!!
KP
いかに!🐘

KP
……そして、再び佐倉さん。

地図アプリで確認しても建物の詳細はわからなかったが、ストリートビューを確認すれば、石でできた門構えに『百合根』の文字を読み取ることができた。

この周囲はオフィスや工場、研究所などが並ぶ地域であり、それもあってか住民の噂話などは見つけられなかった。
代わりに、近隣の企業のWebサイトを当たると、取引先一覧に『株式会社 百合根会ゆりねかい』の名を見つけることができる。
KP
詳しく調べるなら〈図書館〉または〈コンピューター〉で判定。
佐倉 光
百合根? おせちに入ってたりするヤツだ。東浪見んちでご馳走になったことがあるな。

しばらく無駄な努力をした後で、諦めてナッツバー囓りながら方向性を変える。
近隣の企業が取引をしていないかな。
佐倉 光
なんとオンラインなら〈図書館〉の方が高いのだ。
1d100 80 〈図書館〉-5 Sasa 1d100→ 59→成功
KP
『株式会社 百合根会』について調べると、MSメディカル・サービス法人であろう事が分かる。

MS法人とは、非営利性を求められる診療所などに代わって、医療関係の経営その他、手広いサービスを行う営利法人だ。
医薬品の仕入れなどに携わることもあり、経営者には薬機法の知識が求められる。

しかしそれよりも興味を惹くのは、近隣にある取引先企業の中に小さな古い警備会社があり、この警備会社が『百合根会』の施設に警備員の派遣などを行っているらしいことだ。

あなたは百合根会の建物周辺にあるWi-Fiルーターの中から、この警備会社と同名のSSIDを持つものを発見する。
なるほど、ネットワークに侵入できれば内部の情報を知る足がかりになるだろう。
佐倉 光
警備会社かー。うまいこといけば内部の詳しい情報が手に入るな?
監視ロボットなんかを使ってるタイプのヤツならうまく乗っ取れれば中を見ることもできるかも。
佐倉 光
とにかく牧志がどうなったか分かるまでは休んでいる場合じゃない。
ネットワークに侵入して、まずはその警備会社が持っている情報を漁ろう。
牧志が入っていった建物、『百合根会』がどういう構造をしていて、どう守っているのか。
もしくは不自然に警備会社が入っていない場所があるか。
KP
〈芸術:ハッキング〉で判定。
佐倉 光
1d100 70 〈ハッキング〉-5 Sasa 1d100→ 58→成功
KP
……それは監視カメラの制御ネットワークだ!

以降、あなたは自身の拠点にいながら、この施設の警備室のモニターに映し出される映像をリアルタイムで確認できる。

1画面のモニター内が3×3に分割され、計9台分のカメラ映像が一括表示されているものだ。

定期的に画面が切り替わることから、この施設内には少なくとも10台以上の監視カメラが設置されているようだ。

カメラは音声までは拾っていないようで、確認できるのは映像のみである。

また、各カメラ映像の右上に『アルファベット2文字とローマ数字をハイフンで繋いだ文字列』が表示されている。
見る限り、この文字列はカメラごとに固有のもののようだ。
佐倉 光
ラッキー! いきなり目が手に入ったのは僥倖だ。
牧志を探すことができるかも知れないし、ここがどんなところなのかというのもすぐに分かるだろう。
KP
その気になれば遠隔操作も可能だが、PCのモニターを直接覗く者がいれば露見してしまう。
今はやめておいた方がいいだろう。
KP
【アイデア】及び〈目星〉で判定。別情報。
佐倉 光
注意深く、こっそりと、カメラの範囲にある情報を掴もうと目をこらす。
寝不足と空腹のせいか、少し頭がぼうっとするな。
佐倉 光
1d100 80【アイデア】-5 Sasa 1d100→ 19→成功
1d100 94〈目星〉-5 Sasa 1d100→ 19→成功
KP
廊下であろうとわかる監視カメラ映像が複数あるが、右上の文字列はどれも『HW』から始まっている。
KP
だが、それよりも目を惹くものに、あなたは気づく。
廊下に並ぶ無個性なスチールドア。
廊下に並ぶ扉の殆どに設置されたカードリーダー。
煌々とあたりを照らす白い照明。

その扉のひとつから、慎重に様子を窺いながら顔を出した人影の、見覚えのあるジャケットの色と、明るい髪の色!

……牧志だ!
佐倉 光
「牧志!」
思わず声を上げていた。ああ、良かった、生きている!
どうやら目覚めて自分がおかしな状況にあると気付いたところだろうか。
だが今のところ、俺が『視ている』と知らせる術がない。
何とかしないとな。何とか……
佐倉 光
警備会社が関わっているのはカメラだけだろうか。
情報系には関与していないのか?
ちらちらと牧志の姿を確認しながら、触れそうな情報を確認する。
KP
牧志は扉の上に目をやった。
そこに何か書かれているようだが、このカメラの解像度では読み取ることができない。

このネットワークはカメラの制御だけのようだが……、詳しく確認すると、別のネットワークとの接点となっているルーターを発見する。
恐らくそちらが、百合根会本体のネットワークだ。

ネットワークは分割されているが、少々いじってやればそちらに侵入することができる。
KP
侵入するなら〈芸術:ハッキング〉で判定。
牧志 浩太
その間に牧志は廊下を足早に確認していく。
カードリーダーのついていない扉を見つけ、その中に踊り場と下り階段があるのを見つけて体を滑り込ませた。

少しして、別の監視カメラに彼の姿が現われる。
先程の様子を見るに下の階なのだろう。
先程同様、カードリーダーのついた扉が並んでいる。
佐倉 光
1d100 70 〈ハッキング〉-5 Sasa 1d100→ 16→成功
佐倉 光
よし、じっくり攻めるんだ。俺がここにいることには気付かれないように、かつ制御系握れるほど大胆に。
カードリーダーか。必要そうなところがあれば、データ弄くって開けてやれねぇかな。
KPのひとりごと
かなり早い段階でカードリーダーをハッキングする案が出てきて慌てるKP。

この後カードリーダーのハッキング可能になるまでに少々イベントがあるのですが、単純にスルーすると却下されたと思わせてしまうからですね。
このシナリオはPLの提案次第で色々できる話なので、自由行動できないと思わせてしまうとまずいのです。

それを防ぐためにちょくちょく「今できない理由」に言及しています。効果があったかは謎。
佐倉 光
あまり意識していなかったですね。
カードリーダーがある、ハッキングができる、のなら、シナリオ展開でやるシーンは来るだろうと思ってましたし。
ハッキングでどこまでできるのか、というのが自分の中で割と常識に縛られていた感はあります。
終了後の話を聞いて、もっと「ウォッチドッグス」くらいハチャメチャにやっても良かったのかな? と思いました。
それでも牧志が現地にいるので無茶はできなかったですけどね。
KP
なるほど。結構派手にやっちゃえー!なシナリオなので、だとするとある程度前提をお出ししてしまったほうがよかったかもですね。
その割に、「共闘」させるためというシナリオ都合でオンラインでできることに制限がかかっているのも難しい所なんですが。
KP
あなたは首尾よくルーターの設定を書き換え、ネットワークに侵入する。
ネットワーク名からして、ここは百合根会本体のネットワークと思われた。

さてここから接続先を辿ろうという所で、画面の中に動きが生じる。
牧志が一つだけカードリーダーのない扉を見つけ、確認しようとしたとき、彼が何かに気づいたのだ。

彼はすぐさま身を翻し、目の前の扉の中に身を潜める。
KP
……そこはどこか、薄暗い部屋だ。監視カメラの解像度が低く、暗いため、中の様子はよくわからない。
彼はやがて何かを見つけ、手に取る。

その手元がぽう、と青白い光で明るくなった。
彼の後ろ姿がはっきりとカメラに映し出される。

これが警備室のモニターにも映っていると思うと、あなたの胸のあたりが少しざわつく。

佐倉さんは《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 70 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 76→失敗
SAN 70 → 69
佐倉 光
牧志は自分で脱出しようと動いている。
俺が今から力を貸すのは無理だ。
今の俺にできること……
佐倉 光
って待てよ。これ当然記録されてるし、視られてるな?
それはまずいな……
佐倉 光
全部屋録画して、牧志が居ない映像で上書きして流せるようにしておくか……
今牧志が居る部屋をどうこうするのは無理だけど。
しかし映像が多すぎるし切り替えも入るから、単純な差し替えで誤魔化すのも難しそうだな。
KP
録画だけなら手元でもできるため、露見の心配はない。
KP
カメラの映像を弄る方だが、監視カメラ個々との通信を弄ろうにも、きっちりと暗号化されている。
やりようはあるにしろ、今ここでは難しい。

そうなれば、PCモニター上の画面を差し替えることになる。
こちらは可能だ。
しかし、差し替え中にPCモニター上に変化が映ってしまうリスクがある。
モニターを見ている者がいれば、気づかれるかもしれない。

ここからカードリーダーを弄れるかは、これから探ってみないと分からない。
佐倉 光
くそ、ここからカメラをどうこうするのは難しいな。
映像弄るのもリスクが……

一応画面の録画は並行する。何かに使える可能性はある。
KP
牧志の手元が明るくなったそのとき、ネットワークに端末が一つオンラインになった。

これは……タブレットだ。
もしかして、いま牧志が持っているものか。
応接室の端末のようだ。タブレットの光でぼんやり見える景色とも一致する。

見た所、稼働頻度の低い端末なのかセキュリティが甘い。
目の前のタブレットに介入すれば、牧志と連絡が取れるのではないか?
佐倉 光
何を手に取ったんだ?
目をこらす。タブレットか? あれは。
セキュリティは甘めか……。
佐倉 光
どれくらい弄れそうかな……暗号化したテキストくらいなら万一傍受されても大丈夫か?
『Hi Alice🐾』とでも送ってみるか。
KP
タブレットに侵入するなら、〈芸術:ハッキング〉で判定。
成功時の出目によって、どれくらいのことができるか変わる。

失敗しても侵入は可能だが、少々リスクのある方法を使わなければならない。
佐倉 光
1d100 70 〈ハッキング〉-5 Sasa 1d100→ 76→失敗
佐倉 光
出目がいまいち良くないなぁー
KP
出目が疲労してるなぁ。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
少々のリスクを冒しつつ、あなたはタブレットへの侵入に成功した。
重量級のツールを動かすことは難しいが、匿名性の高い暗号化メッセージアプリを遠隔でインストールし、それで牧志とテキストでやりとりすることならできそうだ。
KPのひとりごと
本来ここは双方向のボイスチャットなのですが、せっかく〈芸術:ハッキング〉に失敗したし、牧志の状況が不完全にしか分からないほうが怖楽しいな? と、テキストでのやりとりしかできないことにしました。
後で音声での通話ができないと困る場所があることに気づき、無理やりなんとかしています。
佐倉 光
不便で良い塩梅だったように思います。
ただ、こいつらこの緊迫状況なのに喋り言葉で打ちすぎじゃないかとは思いましたが、そこはね。多少はね。と思って割り切っております。
KP
なんですよね!
とはいえ本当に素早いやりとりだけにしてしまうと、会話不足になって楽しくないですし、そこはプレイ上の都合として割り切りました。
牧志視点
KP
見つけたタブレットを調べていると、突然画面にウィンドウがポップアップした。
牧志 浩太
!? 何だ、何かバレたのか!?
KP
そこに表示されたメッセージは……

『Hi Alice🐾』
牧志 浩太
Alice、だって?
もしかして……、いや、そんなことあるか? 偶然じゃないのか? ここのタブレットだぞ、これ?

そんな、
……そんな。
佐倉さんが俺を見つけてくれて、通信してくれてる……、なんて。
牧志 浩太
当てにしちゃだめだ。思い込んじゃだめだ。でも、もしかしたら。もしかして。探るだけなら。
メッセージを返す指が、どくどくと震えた。

KP
あなたがメッセージを送ると、画面の中で牧志の背が跳ねた。
何度かタブレットの画面を見て、少し縦へやったり横へやったりして……、

『Bob?』
少しして、あなたの画面へ返答が返ってきた。
佐倉 光
良かった、牧志で間違いない……多分。
『正解、【おとうさん】。随分遠くまで買い物に来たな。
どうしてそこに?』
牧志 浩太
『佐倉さん……!』
端末の向こうにいる、おそらく牧志はあなたの名を返した。
相変わらず、呼ぶべきでない所でも名を呼んでしまうやつだ。
牧志視点
牧志 浩太
佐倉さん……!
まさか、ほんとに、本当に!
俺を見つけてくれたんだ!

牧志 浩太
『ありがとう、助けに来てくれたのか?
佐倉さん、今どこ?
実は、俺にもよく分からなくて……』
KP
おっと、あなたはそこでカメラの存在を思い出す。
何はなくとも、監視カメラに映らない位置へ退避してもらってからゆっくり話すべきだろう。
佐倉 光
『ちょっと待った。そのままゆーっくり左へ五歩、前へ三歩移動。
そこに本棚があるだろ? そのもうちょっと左側に立って。
誰か来る様子はないか?』
牧志 浩太
『! ……』
牧志は言わんとすることに気づいたらしく、慎重に言われたとおりに移動し、様子を窺う。
牧志 浩太
『今の所は……、大丈夫そうだ。
もしかして、見られてた?』
佐倉 光
『間違いなくね。音に気をつけてくれ。
とにかく無事そうで良かったよ』
牧志 浩太
『そうか……、佐倉さんが居てくれてよかった。
佐倉さんは、今どこに?
俺は、夕方にスーパーで電話しただろ。あの時からすっかり記憶が途切れてるんだ。
気づいたらここにいて、寝台に寝かされてた』
佐倉 光
『俺は家。この距離と時間はガキにはどうしようもないんだ』
牧志 浩太
『そうか……、佐倉さんまで捕まったんじゃなくて、よかった』
牧志 浩太
『そんな所から、助けてくれてるんだな』
佐倉 光
『通報もしてみるけど、あんまアテになんねぇな。
お前さ、突然ふらふらっと電車に乗って○○に行ったんだよ、自力で』
牧志 浩太
『自力で? 俺が、自力でだって?
全然記憶にない。
くそ、何かされてたのかもしれない。そうなると警察はあてにならないな』
佐倉 光
『俺と電話してて突然だったんだ。
何か見たとか聞いたとか、覚えはないか?』
牧志 浩太
『いや、何もだ……。瞬間移動したみたいに、本当に記憶が途切れてるんだ』
佐倉 光
『そうだな……俺が知っているそこの場所と、名前。教えとく』
できるだけ簡潔にまとめて建物名を伝える。
牧志 浩太
『百合根会か……、ありがとう』
佐倉 光
『それにしても、閉じ込められていたってわけじゃないのか。
部屋はどうやって出たんだ?』
牧志 浩太
『閉じ込められてはなかったんだ。拘束もされてなかったし、扉に鍵もなかった。
もしかしたら、俺をここに連れてきた何かを信用してたのかもしれない』
牧志 浩太
『くそ、そう思うと不安定だな。いつまた自分からあそこに戻ろうとするか、分からないわけだ』
牧志 浩太
『そういえば、俺が寝かされてた部屋に壁飾りがあったんだ。
手が届く場所じゃなかったんだけど、ビーズや刺繍で飾られた、象の頭みたいな。
殺風景な部屋なのに、そこだけ飾り気があったから覚えてる』
佐倉 光
『象? 壁飾り? うーん』
何か関係あるんだろうか?
心当たりはあるだろうか。

〈オカルト〉〈クトゥルフ神話〉で振れますか?
KP
振ってもよい。それぞれ別情報。
象さん
佐倉 光
うーん。象さんよくわかんないんだよなー。
いやまあ、心当たりはあるけど正直良く分かんないし。
本編佐倉たちがガバガバ飲まされて酷い目に遭ったとこにも象いたな、くらいしか。
KP
なんでしょうね象さん。
佐倉 光
象っていうとまず「物理反射」が思い浮かんでしまう私はメガテニスト。
KP
アーーーッ!(ギリメカラ)

佐倉 光
1d100 75 〈オカルト〉 Sasa 1d100→ 29→成功
1d100 26 〈クトゥルフ神話〉 Sasa 1d100→ 99→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
ありゃ
〈クトゥルフ神話〉知識の成長
KP
そういえば神話知識の成長ですが、
あのあとルールブックに「成長対象としない」と明示的に書かれていたのを見つけてしまったので、今後(2025.6.4以降)は成長対象外とします。

これまでに神話知識増えてしまった佐倉さん&牧志、ごめん。
ハウスルール変更でお手数をおかけします。
佐倉 光
はーい

KP
象と聞いて真っ先に思い出すのは、厄介な特性を持った悪魔のことだ。

元は仏教の説話に魔王マーラとともに登場する怪物であるが、これと、有名な象頭人身の神ガネーシャの頭となった象は、実は起源を同じくするのだという。

どちらも神の乗り物たる聖象を起源としていて、かつての宗教的な対立により一方は怪物とされたのだそうだ。

……しかし、それがこの場に何の関係があるのだろうか。
佐倉 光
ギリメカラ。
悪魔使いたちの間で囁かれている噂だけは聞いたことがある。
そういった悪魔は多くの場合肉体が頑強とかいうレベルではなく、攻撃した者に衝撃を跳ね返すこともあるという。
神のつま先とは言え高レベル悪魔。当然見たことなどはないわけだが、そんなものとは少し違う気がする。
佐倉 光
他に象って言えば、歓喜天、ガネーシャ、どいつもこいつも結構高レベルだった気がする……
KP
そう思ったあなたは、不意に何かのイメージを「思い出して」しまう。

大まかに見れば象の頭に似た、歪な形の、何か。
絶えず収縮し……、広がる、粘液に満たされた鼻の中、いや、それは口?

牙の生え揃った口が嬉しそうに粘液を垂らすのを、あなたは座り込んで……、ぼんやりと……、見ている。

見ている。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
そうやって記憶を掘り起こしていると、急にぽつんと映像が頭に滴り落ちた。
佐倉 光
なんだ?
やけにリアルな幻……記憶?
佐倉 光
俺は知らない、あんなの知らないぞ!
佐倉 光
1d100 69 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 76→失敗
SAN 69 → 68
佐倉 光
「ギ、ギリメカラ、とか、牙」
喘ぐように息を吸って、自分が思い出したものを共有しようとしたが、派手に失敗してのどに引っかかった。
牧志 浩太
『それから、外に出るときにもう一つ気づいたことがあるんだ。
各部屋の扉の上に、アルファベット2文字で部屋番号かな、書いてある。

俺が最初にいた部屋は【ST-2-2】、ここは【RP-1-1】。
何の略なのかは分からないけど、二番目は階数かもしれない。
俺、ここに来るまでに階段を下りてきたから』
牧志 浩太
テキストでしかやりとりができないために、あなたが喉を詰まらせたことに気づかず、牧志はメッセージを送ってくる。
佐倉 光
落ち着かなきゃ。
牧志は俺を信じてくれているんだ。
象のことはまだ情報が足りてない。

深呼吸して牧志が送ってくれた情報に集中する。
佐倉 光
『わかった。どこかで地図が手に入るといいんだけど。
RP? その部屋には何がある?』
牧志 浩太
『暗いけど、向かい合わせのソファと装飾品や観葉植物がある。応接室か何かだろうな。
それからこのタブレット、ドキュメントフォルダに何か入ってるみたいだ。佐倉さんの所からも見える?』
KP
あなたが取得した権限では、問題のフォルダは確認できないようだが……
佐倉さんは〈コンピューター〉または〈芸術:ハッキング〉+15%で判定。
佐倉 光
1d100 85 〈ハッキング〉 Sasa 1d100→ 19→成功
KPのひとりごと
本来なら【アイデア】での判定も可能な場所なのですが、佐倉さんが〈芸術:ハッキング〉を高い技能値で持っているため、せっかく持っているから振ってもらおうと【アイデア】を判定対象から外しています。

今回はタイマン(牧志がKPC)のため、もし失敗しても、KPCから情報を出すことができるためですね。
佐倉 光
こういう調整嬉しいですね。やっぱり「より高くて便利な」技能があるとどうしてもそちらを振ってしまうのが人情ですから。(結果目星が99になってしまっている)
仲間が拾ってくれると思えばこそ、わざとより専門的な技能で振ってみることあるある。
KP
わーい、ありがとうございます。
既存シナリオは汎用的に作られるものだからこそ、PCに合わせてうまいこと楽しいようにしたいですね。
失敗するとほんとに情報やボーナスが落ちちゃうところはなかなか難しいですが、そこは今回みたいにうまいこと補正を使って。
佐倉 光
『待って、調べる』
監視カメラから見える壁にパスワード情報とか貼ってねーかな。
KP
このテキストと画像の向こうでは、牧志がタブレットの筐体そのものを握っている。
向こうから牧志に設定を変更してもらうなりすれば、あなたも資料を確認したり、このタブレットをもっと自由に操作したりできそうだ。
佐倉 光
なるほど?
佐倉 光
『牧志、そのタブレットの権限、お前の方から弄れないか?
共有設定とか、こっちから手が出せるようにもうちょっと緩くできないかな』
牧志 浩太
『ああ、なるほど? ちょっと待って』
KP
少し間が空き、再度メッセージが来る。
牧志 浩太
『よし、変更できた。
普通にできることなら大体できると思う。
遠隔操作機能も許可しておいた』
KP
これで、このタブレットは今度こそあなたのものだ。
中身を見ることもできるし、遠隔操作することもできる。
重い処理をするには非力ではあるが、牧志が持っている以上、先程の端末と違って他者に画面や処理の重さで不審を抱かれることもないので、他へアクセスするための中継点にするにも悪くない。
佐倉 光
『見られるようになった。サンキュ。ちょっと調べるから待って』
KP
ひとまず資料フォルダを確認する場合、素早く有用なものを探すなら〈図書館〉または〈コンピューター〉で判定。
牧志も確認するので、どちらかが成功すればよい。
時間をかけて調査するなら判定なし。
佐倉 光
結構一杯データが入っているんだろうか。ざーっと有益そうなものを確認だ。
1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
んー?
牧志 浩太
1d100 82 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 23→成功
KP
そこには雑多さまざまな書類が入っている。

応接室の現状復帰レイアウト。いま関係ない。
プレゼンテーション用モニターの設定マニュアル(各国語版。多い!)。モニターにいたずらをする役には立つが、今は関係ない。
共通ゴミ捨てルール。資源ゴミ箱に生ゴミ捨てる従業員に担当者がお怒りだ。
仕出し弁当の献立一覧。誰だこれ入れたの。

鍵のない応接室の備品だけあって、大したものは入っていない。
あなたは……、ちょっとげんなりする。

佐倉さんのみ、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
資源ゴミ箱に生ゴミ捨てる従業員
 万死に値するな
KP
まったくだ
ちゃんと見て捨てなさい
KPのひとりごと
こんな汚い描写はシナリオにないのですが、見取り図探すのに〈図書館〉または〈コンピューター〉が必要…… 分かりづらい所にあるのかな? と勝手に盛りました。
つい敵の本拠地などに変な生活感を足したくなるKPです。
佐倉 光
こういう納得感大好きです。闇司祭ファラリスKPは敵のディテールに生活感と可愛げが乗ることが多いなぁとニコニコしています。
〈目星〉だの〈図書館〉だの要求されるって、相当ゴチャゴチャですよね!
KP
やりすぎるとお話がとっちらかっちゃいますが、好きなんですよね。
特にモブな敵達に生活感盛るのと、ちょっとしたNPCの会話。
ありがとうございます。
〈図書館〉が必要なくらいですからね! ゴチャゴチャ!

佐倉 光
まったく、もっとデータを整理しろっ!
佐倉 光
1d100 68 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 33→成功
牧志 浩太
『佐倉さん、応接室使用ルール集の最後にここの見取り図がある』
げんなりした所で、牧志からメッセージが来た。
佐倉 光
『マジか! 見てみる!』
牧志が教えてくれた場所を見に行ってみる。

KP
そこには、巻末の付録という扱いだが、確かに施設の見取り図らしいものがあった。
見取り図には一階と二階がある。
ここは一階の一番端、出入り口の傍にある部屋のようだ。

廊下に面した各扉の付近には、『アルファベット 2 文字とローマ数字をハイフンで繋いだ文字列』が書かれている。
しかし、二階の部屋にはいくつか、何も書かれていない扉があるようだ。

そういえば、カメラの映像にも同じような文字列があった。
この見取り図を見れば、部屋の位置とカメラの映像を紐づけることができそうだ。
KP
そこまで確認したところで、
KP
牧志は〈聞き耳〉または【幸運】で判定。
佐倉さんは〈目星〉または【幸運】で判定。
牧志 浩太
1d100 97 牧志の〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 69→成功
佐倉 光
1d100 94〈目星〉 Sasa 1d100→ 45→成功
牧志 浩太
『隣に誰か入ってきたみたいだ』

コメント By.KP(牧志)
置き卓、プレイ中に時間が空くことで色々と気づきがちなので、その場で何とかしてしまうことがリアルタイム卓よりも増えます。

その中でも今回は途中でドタバタしていることが多すぎたので、KP視点ありログを作ってみました。
こうしてみると計画性が、ない!

プレイ日:2025年6月1日 ~ 2025年12月15日

作者名: citrusPOT/鈴華(りんか)

配布・販売サイト: CoC6版『DAZEMAZE:IT』SPLL:E193533

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」



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