KP
▽あなたは一日に一度、〈芸術:ハッキング〉の判定を行える。(今日の分は実行済み)

あと二回(二日)分の〈ハッキング〉成功することで、あなたはこの施設の一部設備のコントロールを奪取することができる。

▽奪取できる範囲は二回目(翌日)の成功時に開示される。
佐倉 光
知りたいことはいくらでもある。
とにもかくにも脱出に使えそうな手段、ルート。
絶対に見つけたいのは牧志の元の体。
せっかく牧志が手に入れてくれたチャンスだ。失敗はできない。

だからこそ、ほどほどのところで手を引く。
痕跡を消して、毒にも薬にもならないような情報を見て暇潰しをしたかのように振る舞う。
続きは明日だ。
牧志 浩太
あなたが一仕事終えると共に、視界の隅で化け物が……いや、牧志が、うぞりと本から顔を上げた。
牧志 浩太
『何か、“いい映画”、あった?』
PCの方へ視線を向けながら、強調するように牧志は『言う』。
そう発する時、意識してその言葉だけを考えるようにしているのだ、と分かるだろう。
佐倉 光
『ああ。飯の時にでも観よう。
シリーズものだからしばらく楽しめる』
動画サイトかなにかで本当に適当なの拾ってきて回しながら食事にしよう。
KP
この状況で映画、どんなの選ぶんだろう
映画
佐倉 光
どろろ。いくらなんでもこれはないな!
※体をバラバラにされ奪われた青年が取り戻しに行く話なんだけど、エピソードがいちいち暗い上未完だ!! 
リメイクのアニメはスッキリ終わってるけどやっぱ暗い。
ショーシャンクみたいな脱獄ものとかも考えたけど意識がそっち行っちゃうのも不味いからね!
KP
ここでどろろ!! 牧志よりも佐倉さんが微妙な気分になりそう。

佐倉 光
えー、そうだな、改造された人間が改造した組織をぶっ潰す仮面ライダーあたりにしようかな。
少しは溜飲が下がるかもしれない。
牧志 浩太
牧志は緩慢な動きであなたの傍に寄ってきて、壁越しにPCの画面を覗き込む。
牧志 浩太
最初は『意外とストーリー重いんだな』なんて『言い』ながら舌に這い上がってくる「食事」を呑み込んでいたが、そのうち見入り始めて口元がお留守になり、舌が這い回るものに集られて凄い事になっている。
佐倉 光
ふと壁向こうを見たらものすごいことになっていた。これはちょっと心臓に悪い。
壁をトントン叩いてから口元を指してアピールする。
佐倉 光
『漏れてる漏れてる』
牧志 浩太
『え、ああ、うわ! ごめん』
そこに見えるのは心臓に悪すぎる光景だが、謝りながら慌てて啜り上げる仕草は、牧志がうっかり食べ物をこぼした時の仕草に似ていた。
牧志 浩太
『……あ、次これ見ようよ』
不意に、牧志がある映画に視線を向けた。
それは短いサスペンス映画で、牧志が見るものとしては珍しい。

ある人のよい老弁護士が言葉巧みに近づいてきた事務員の青年を信用し、事務所の権限を全部任せてしまうが、実は青年は犯罪集団の一員で、事務所を乗っ取ってしまい、老弁護士を追い出す……、という筋書きだ。

構成が今一つの退屈な映画で、どうして牧志がこれを見ようと言い出したのか、よく分からない。
佐倉 光
最初はどうしてそんな事を言い出したのかよく分からなかった。
映画自体も多分牧志の趣味じゃないし、面白いわけでも……

だがなんとなく話の筋が掴めたところで、吹き出すようにして笑った。
佐倉 光
『つまんねー映画だな。だけどなかなか笑える』
映画の中の青年犯罪者の真似をして見せた。
別に笑いどころではなかったから、何か伝わるだろうか。
佐倉 光
へぇ? なんのため、までは読んでいないということか。そのものを思い浮かべなければ大丈夫、とか?
牧志 浩太
『だろ? どうも、全部見てるわけじゃない。
乗っ取るってのはセーフみたいなんだ』
牧志と一瞬、ひたりと目が合った。
尾が彼の首筋にぬるりと上がってきて、そこを指し示す。
佐倉 光
おお、大胆。ここまで見切るのに随分注意深く時間を使ったんだろうな。
しかも俺に一切信号を飛ばさずに? さすが、頼りになる。
佐倉 光
『それでも、どこからこういう輩にやられるかわかんないしさ、なるべくドアは開けない方がいいよなー。入れたら最後だし』
『事務員』の真似をしてから画面を、PCを指す。
佐倉 光
『もうドアは開けちゃったわけだけど』
牧志 浩太
『開けちゃったわけか』
囁くような笑い声が聞こえた。
心底愉快そうな、信頼を感じる声だった。
もう、何か言いたそうにする様子はなかった。
佐倉 光
伝わったならこれ以上何かを言う必要はない。
映画をだらだらと流しながら食事の続きだ。
KP
その少し後、ピッと音がして扉が開いた。
床に手をつき、牧志はのそりと寝床の前へ戻っていく。
佐倉 光
壁から音がすると、少し迷う。
この間にも作業をした方がいいのか?
今入れば、監視の目をかいくぐりやすくなるか?
いや、手技の途中に細工に気付かれたら今度は牧志が直接人質になるのがオチだ。
焦らずやろう。

KP
「昨日の君の提案だが、確かに心拍の共有とは面白い提案だ」

胸郭が二倍ほどの大きさに膨らんでいるせいで、もう寝床の上では作業が難しいらしく、彼は布を敷いた床の上に座らされていた。

服従する獣のように座り込んで、彼は脈打つ心臓にひとつひとつ触腕が植えられていくのを、鏡越しに二つの眼球で見つめている。
佐倉 光
心拍の共有?
牧志がそれを望んだ?
そこにも意図があるんだろうな。一体何と……
佐倉 光
心拍の共有ってだれ(なに)と心拍共有するんだぁ
KP
フフフ
KP
「そうだ、色が見たければ今日のうちに見ておくといい」
男は彼の頬だった辺りに手を添え、彼を上向かせた。
彼の眼球のすぐ前に、鋭い器具が向けられる。

「明日はここを触るからね」

牧志の頭部が微かに震えた。
佐倉 光
牧志の目が奪われる。
ふっと、包帯の向こうに見た無惨な空洞を思い出した。
これ以上牧志からどこまで奪うつもりなんだ。
こいつは牧志をいつまで飼って弄ぶ気なんだ。
佐倉 光
「外部刺激を全部奪ったら、精神状態が乱れるかも知れないぜ」
KP
「奪うわけじゃない、大丈夫だよ」
男は返答というべき返答を返さず、ただ薄らと笑った。
牧志 浩太
「……」
牧志は男が去ってからもしばらく床の上に座り込んだまま、壁の白い色を見ていた。
佐倉 光
人間としての視覚を奪われたら、代わりに何が与えられるのか。
俺が慎重にやりすぎている間に、牧志のものが残らず奪われてしまうじゃないか。
佐倉 光
『牧志。急ぐよ』
牧志 浩太
牧志は振り返り、ゆっくりと頷いた。
佐倉 光
PCに向かい、電脳の砦にひっそりと攻撃を仕掛ける。
エラーを足がかりに入り込み、毒を流すように支配を広げる。
この施設を掌握し、何とか解放手段を見つけ出すのだ。
……しかし今の牧志をそのまま外に連れ出せたとしても、もう人間として生きる事はできないだろう。
何とか人間の肉体か、それに近いものを取り戻す方法はないものだろうか……
1d100 86 〈ハッキング〉 Sasa 1d100→ 44→成功
KP
ああっと、今日の分は判定済みなので、そのダイスは明日の分として扱わせて下さい。
演出的には今日やった扱いで問題ありません。
※明日の情報を分割して今日と明日に提示します。
佐倉 光
あれっ、そうか。失礼しました。
KP
いえいえ、明日あたりから日付表示出そうと思ってたけど遅かった!
KP
あなたはエラーを足がかりに中継サーバーへと入り込み、権限を掌握することに成功した。

そこから情報を確認すれば、得られた権限で見えるものだけでも宝の山だった。

この施設の設備一覧。
対侵入者/脱走者設備の配置と内訳。
この施設にいる人員の一覧。
▽情報1
研究所の見取り図を手に入れた。
 この研究所には、以下の設備があるようだ。

  ・被験体室
  ・実験室
  ・資料室
  ・手術室
  ・居住スペース 
  ・制御室
  ・出入り口(昇降室)

あなた達がいる部屋は「被験体室」の一つだ。
また、様々な化け物が飼われているのも、別の「被験体室」らしい。

牧志の元の肉体は「実験室」に保管されている。
一覧を確認すれば、一つも破棄されることなく、生きたまま保管されていると分かるだろう。

牧志は今や、手技の大半を共に実行させられている。
「資料室」の資料と、「手術室」の設備があれば、彼の手で彼を元に戻すことができるかもしれない。

「居住スペース」は文字通りだ。
ここにいる研究員は、少なくとも人型をしているらしい。
人型のものが使うための居住設備が並んでいる。

「制御室」は昇降室や鍵の制御、対侵入者/脱走者設備の制御を行っている。
あなたが今アタックしているサーバーもここにあるようだ。

「出入り口」は遠隔制御のエレベーターだ。
この施設は地下にあるらしい。
▽情報2
今ここにいる人員は、あの男を含めて数人程度らしい。
対侵入者/脱走者設備を掌握できれば、簡単に制圧できるだろう。
KP
▽現時点ではまだ、情報が見えただけだ。
明日から、少しずつ制御を奪っていく必要がある。
佐倉 光
地図を引き出したところで手を引く事にする。
急ぎたいのはやまやまだが、今日はPCを弄りすぎている。
あれを全て気付かれずに掌握するのは時間がかかる。
あまり集中してやっていると不審がられるかもしれない。

くそっ。時間をかけるほどに牧志の体が奪われていくというのに!
幸い肉体は残されているようだが、あれもいつ面白半分に消費されるかも分からない。
佐倉 光
『今日は終わりにするよ。ごめん』
牧志 浩太
『大丈夫、慎重に行こう』
自分の身に起こるだろうことを少し恐れているのか、笑おうとしながらも『声』に翳りがあった。

彼は二つの眼球で焦点を合わせ、あなたをじっと見ていた。
その色を、形を、どうにか記憶に留めようとしているようだった。
KP
今日もまた落ちていく灯りがもう何度目の夜なのか、牧志の変化以外に変化のないこの場所では、もう曖昧だ……。
佐倉 光
『ああ。くそっ……』
猶予がないのに時間をかけすぎた。
牧志の肉体を全て組み替えてどうするつもりなのか?
資料を見れば分かるのか?
佐倉 光
あの男以外にいる奴らは戦闘力を持っているか?
そもそもそいつらは人間なのか?
もう少しで手が届きそうなのに。

今晩は落ち着いて眠るまでに時間がかかりそうだ……
KP
PCから離れて目を閉じたというのに、画面の様子が眼の中をちらついた。

KP
その日、あなたはひどい金縛りのような夢を見た。
何度もPCに手を伸ばそうとするのに、指が動いてくれないのだ。

動かないのも当然だ。見れば両腕がなくなっていた。
驚いて一歩踏み出すと床に倒れた。両脚がなくなっていた。

頭と胴体だけで首輪に繋がれたあなたは、牧志の部屋の扉に刺さった鍵になっていた。

あなたを捻り壊して扉を開ければいつでも外に出られるというのに、彼は一度もそうしようとせず、最後に残った脳を自分の手で切り開かされていくのだ。
佐倉 光
夢の中で俺は、何度も何度も俺を使えと喚いていた気がする。
遠慮をするな。ひねり壊せ。外に出ればどうとでもなる。きっと逃げられる。
佐倉 光
それを口にしても牧志が辛い思いをするだけだと分かっているから、絶対に口にはしないと決めている。
俺が、命乞いをしようが、命を差し出そうが、あいつは自分が選ぶものを変えたりしない。
二人で逃げられる希望がある限り、自分を削って差し出す。そういうヤツだ。
だからこそ、半端な希望は何よりの拷問だ。
佐倉 光
牧志は俺を信じてくれている。
俺は牧志が守ってくれているこの命を使って、あいつの信頼に報いなければならない!
佐倉 光
俺に手を寄越せ。手を! 手を!
KP
手を!
叫んだところで目が覚めた。

背が汗でぐっしょりと濡れていた。
あなたには両手と両脚があった。
脚は布団をはねのけ、手が布団の端を強く握っていた。
佐倉 光
「……ああ」
自分の両手を見てほっとするものの、牧志の姿を見て大して夢と状況が変わらない事を思い知らされる。
今日は目だ、とあいつは言った。
それまでに何か、糸口は掴めるか?
牧志 浩太
二つの眼球があなたを心配そうに見ていた。
佐倉 光
『大丈夫』
牧志の目にむかって笑顔でこたえた。
佐倉 光
『いけるさ』
牧志 浩太
『そうだな、行ける』
牧志は物理的に笑顔を作ろうとしたらしい。舌と巻き鬚を詰め込まれた皮膚がもごもごと変形する。
佐倉 光
もう少し扉の向こうに出さえすれば逃げられる確信があって、佐倉が置いて逃げろって言ったら逃げてたかなー。
逆の立場だったらどうなるのかなー。
佐倉が逃げろって言わないのは、扉から出たところで逃げられる保証がないってだけの理由だからねぇ。
KP
牧志は佐倉さんが置いて逃げろって言っても出ないだろうなぁ。
逃げるんじゃなく、別行動して状況を打開するため(かつ佐倉さん死ぬ仕掛けがない)ならやるだろうけど。
佐倉 光
でないんだろうなぁ。
別行動するだけならやる、は佐倉も同じだしなぁ。

KP
▽ハッキング開始後二日目

※今日の分の〈ハッキング〉判定は実行済みのため、今日はPCを調査することで、判定無しで続きの情報が出る。
佐倉 光
>PCでの作業を開始する。
KP
あなたはPCに向かい、情報収集と権限奪取を続ける。
少しずつ権限を奪っていくと、見えるものも増えていく。
▽情報3
ここから権限を奪える範囲が見えてきた。
もう一日かければ、権限を奪えるだろう。
 ・対侵入者/脱走者設備の権限はここから奪える。
 ・実験室、資料室、手術室、居住スペースの鍵は権限を奪えばこのPCから制御できる。

逆に、重要なものは別系統になっていることも分かってきた。
ここから制御を奪えない……、制御室に直接行って操作する必要があるのは、以下の通りだ。
 ・昇降室の制御
 ・被験体室(牧志の部屋、あなたの部屋)の鍵
 ・牧志とあなたを隔てる壁の開閉装置
 ・牧志の頭の電極の監視装置
 ・あなたの首輪の監視装置、首輪の解除
……以下の通りだ。
KP
……あなたは、まずいことに気がついてしまう。

この部屋であなたから首輪を外すことはできない。
牧志の頭から電極を外すこともできない。
あなたがこの部屋から出ることもできない。

では、権限を奪えたとして、どうやってあなた達は、ここを出てそれらにアクセスすればいいのだ?
▽ハッキング必要回数 あと1回(翌日)

佐倉 光
鍵を開けて昇降室を動かして、牧志だけ脱出させる、なんてことも無理という事だ。
そもそも最悪の事態の場合の案だったが……
とにかく制御室に行かなければ話にならない。
制御室に行けるロボットでもあれば……

牧志の肉体はどんな形で保管されているんだろうな。パーツごとに粉々になってるんだろうか。
KP
搬送用の自動台車くらいならあるようだが、細かい事ができるようなロボットの類は見当たらない。

牧志の肉体はパーツ毎に分けられて「実験」に使われているらしい。
ネットワークから辿れる資料を探せば詳しい状況が分かるかもしれないが、それを探るなら時間はかかるだろう。
佐倉 光
向こうの状況が動き出したのがこのPCで手に取るように分かる。
この画面を見られるとまずい。
くそ、今日はここまでだ。

間に合わなかった事に歯がみしつつ、素早く畳んでゆく。
ヤツが入ってくる前にハッキングを終える。
佐倉 光
※って勝手に切り上げちゃったけど、まずかったら描写変えます。
KP
※大丈夫です。

KP
あなたが全ての痕跡を畳み終えた所で、扉がピッと音を立てた。
入ってきた男が押しているカートには、最初に牧志の内臓を取り出したのと同じような、それよりも小さな透明な箱がひとつと……、
何か、丸いものを刳り抜くのに向いた形の刃物が乗せられていた。

透明な箱にはその一方に、何かレンズのようなものがはめ込まれている。
牧志 浩太
意図を察したのだろう。
従順に座り込む牧志の背が、びくりと震えた。
KP
「柔らかいものだからね。手元が狂わないように固定しよう」
男は彼の頭部に器具をはめ込み、動かないように固定していく。
最後に彼が自らの尾で顎を押し上げ、自身を拘束の中へと押し込んだ。
これで、彼は前を向かされたまま、首を動かして逃れることもできなくなる。
佐倉 光
頭部を固定される事は牧志にとっては悪い事じゃない。
目玉を傷つけずに済むのは悪い事じゃない。
自分に言い聞かせるように呟きながら、その怖気立つようなシーンを見つめ続ける。

掌に爪を立て、唇を噛んで、今まで何度もしてきたように、相棒が壊されていくのを指をくわえて見ているのだ。
邪魔をしないように、自分の命に類が及ばないように縮こまって。
自分の保身だけを考えるのだ、今この瞬間は。この上ない卑怯者になって、牧志の犠牲を、自分の無事を喜ぼう。

万が一にもあの男に、俺たちの意図がばれたりしないように。
KP
びくん、びく、と牧志の身体が小刻みに震えた。
刃物が見せつけるように、彼の視界のすぐ前で、ひらめく。

その瞬間は一瞬だった。
刃物がぐるりと走る。次の瞬間にはもう、牧志の『顔』から光が片方消えていた。

透明な箱の中に、見慣れた色の眼球がひとつ、金魚のように浮かんでいた。
KP
「この状態で、一日経過を見よう。

眼球は二つで一組だからね。
この状態ならまだ、こちらの眼球との接続も保たれているはずだ。
明日、どんな気分だったか報告してくれるかな?

それでは、増やすよ」

男の手が眼窩の空洞に何かを押し込んだ。それは丸々と太った蜘蛛で、内側を暴くように奥へ潜り込んでいく。
牧志の身体ががくがくと跳ねる。

それが姿を消して暫くすると、真っ黒な眼窩の底に、ぼう、と鬼火のような青い火が燃えた。
KP
くたりと化け物の身体から力が抜けた。
男が器具を外すと、男の腕に支えられて床の上に着地する。

床に横たわった彼を置いて、男は彼の片眼とともに、部屋の外へ去っていった。

横たわる化け物の身体に牧志と呼べる面影はもう、孤独に浮かぶ眼球ひとつだけだった。

この眼球がなくなった時、あなたは彼を彼とわかるのだろうか。
一切の『正常な』感覚を剥ぎ取られた時、彼は、あなたをあなたとわかるのだろうか。
佐倉 光
「牧志!」
男がいなくなって思わずすぐ声をかけた。
そして耳が聞こえないのだと思い直し、千々に乱れる思考を言葉によりあげる。
佐倉 光
『牧志!』
あの蜘蛛に脳を冒されていたら?
自分が人間である事を忘れてしまっていたら?

悪い想像は何の役にも立たない、といつものように無理矢理不安を押し込めて呼びかける。
牧志 浩太
『佐倉、さん』
片方の眼窩から青い火を燃やして、人間の仕草で化け物は振り返った。

聞こえてくるのは確かに牧志の声で、しかし酷く不安げな声だった。
牧志 浩太
『ごめん、今日は気を確かに持てないかもしれない』
牧志 浩太
『眼が、持っていかれた眼が何かを見せられてる』
胸から生えた触腕が、落ち着きなく眼球のふちをなぞった。
牧志 浩太
『違う所の……、歪んで垂れてずっと滴っている世界を、空が地面がねじ曲がっていて……、視界が混じって頭が、頭が痛くて堪らないんだ。
情報が多すぎて、脳がバグってる』

巻き鬚をうねらせて、彼はどうにか脳を苛む感覚を『言語』として形にしようとしていた。
巻き鬚が悶えるように蠢くたびに、聞こえる『声』が歪む。
牧志 浩太
『大丈夫、今日だけだから。
この眼を取ってしまえば、きっとましになるんだ、情報が多すぎるせいだから』
あなたの不安を感じ取って彼は続ける。
無意識にか、指先の鉤爪が唯一残された眼球のすぐ傍へ伸ばされる。
佐倉 光
『触るな!』
思わず叫んでから、深呼吸をしてゆっくりと青い火と薄茶の瞳を見て語りかける。
佐倉 光
『無理をするな、目を閉じてろ。今取ったら取り返しがつかないことになる』
牧志 浩太
『う、うう、ああ、ごめん……、ありがとう……、』
眼を抉り出したくて抉り出したくて堪らないのか、鉤爪の先がずっと震えている。
佐倉 光
『今日はもう休もう。明日には……』
明日には? 明日、ここの事を知ったからといって俺に何ができるんだ?
こんなにばらばらにされて剥ぎ取られた牧志を、どうやって治してやれば良いっていうんだ?
こんな状態で、《ディア》〈治癒〉が効くのか?

そもそも俺達は、この部屋からどうやって出ればいいっていうんだ……
牧志 浩太
『佐倉さん、』
ぐっと強く彼は一度目を瞑った。次に開いたとき、ひとつ残った眼球の向こうに微かに決意のような色が燃えていた。
牧志 浩太
『待ってくれ、少しだけ、話させて。
もしかしたら知れてしまうかもしれない、けど、話せるうちに話しておきたい。
俺が考えてることを』
牧志 浩太
牧志は歪んだ手足を組み、暴れる舌と尾を絡ませて不格好な座禅の姿勢を取った。
牧志 浩太
『ごめん、少しだけ。話す準備の間だけ』
KP
久し振りに── ピッ、とあなたの首輪から音が鳴る。
佐倉 光
反射的に息を吸った。
KP
首輪が強烈な収縮を始めた。
ぎしぎしと軋みながら気道を圧迫し、激痛と苦悶で意志を奪い取る。
容赦のない圧迫であなたの闘志をもろとも奪い取ろうとしてくる。
佐倉 光
「ぐ……げ……か……」
本能的に両手で首を掴み、必死で首を反らそうとする。
激しく浅い呼吸をし、喉を掻きむしる。
どんなに暴れようとも逃げ出せない。何かを想う余地もない。
床に倒れて転がろうと無慈悲に首輪は絞まり続ける。
佐倉 光
視界が暗くなり、自分の意味のない呼吸音ばかりが聞こえ、恐怖が覆い尽くす。
どんな闘志も想いも決意も、この時ばかりは儚く吹き飛んでしまう。
牧志 浩太
あなたの苦悶と重なるように、意味のないぐちゃぐちゃの、恐怖のような叫び声が聞こえてきた。
KP
……不意に再び、ピッ、と音がして、突然呼吸が解放された。

めちゃくちゃな叫び声が一瞬、不意に止む。

あなたの息が整うのを待って、あなたの意識の中に一言、声が落ちてくる。
牧志 浩太
『それ、何とかできる。俺を信じてもらうしか、ないけど』
KP
無機質で平坦な声で告げられた言葉を理解するのに、酸素を得たばかりの頭では、少し時間がかかるだろう。
彼が言いたいのだろうことに比して、情報量が少なすぎる。

『それ』。
……あなたの命と彼の意思を縛る、首輪?
牧志 浩太
『ごめん。
台無しになるかもしれないけど、伝えておきたかった。
もしかしたら、言えなくなるかもしれないから』

そしてまた静かになった。
先程の叫び声は、その一言を誤魔化すためのノイズだった……、のだろうか。
彼が語ったのがその一言だけである以上、何もかも想像にはなる。
KP
牧志<佐倉さんと一緒にいるのに情報共有できない
佐倉 光
「くはっ、はぁっ、はぁっ……」
今度は流れ込んでくる酸素に喘いで溺れる。
視界がちかちかしてまともに考えられない。
床に転がって暴れる呼吸を抑えながら、牧志の『声』を聞く。

よく分からないが、言葉通りに受け取っておこう……
佐倉 光
『分かった』
ぐらぐらする頭を抱えてベッドに寄りかかった。
佐倉 光
『予告、くらい、してくれよ……げほ』
恐らく敵の目を欺くためなのだろうとは思ったが、言わずにはおられなかった。
牧志 浩太
『ごめん。……いや、本当にごめん。
割と怖くてさ。なるべく短く突然にしておきたかったんだ』
牧志は一つだけ残った眼球で目を伏せ、背骨を軋ませながら頭を低くした。
頭を下げたいらしい。
佐倉 光
『ああ。覚えとく』
佐倉 光
『俺の方は伝えた方がいいのか?』
牧志 浩太
『……必要なら、かな。
必要なければ、伝えない方がいいかもしれない』
佐倉 光
『それなら、『現状問題は変わらず』、だな。情報が足りねぇ』
牧志 浩太
『そうか。……お休み』
牧志は静かに言って、寝床の隅で目を閉じた。
佐倉 光
もう少しフレーバー調査してから寝よう。
牧志 浩太
あなたが一人調査を進める中、ぼう、ぼう、と微かに巻き鬚の鳴く声と、苦しげな息の音が聞こえてくる。
尾が床の上で暴れている。眠れていないようだ。
佐倉 光
『少し、話すか?』
こちらもあまり調査が捗らない。今日は諦めて寝ることにしたところだった。
牧志 浩太
『うん……、大丈夫そうなら、話したい』
ごろりと異形の身体をこちらに向け、牧志はこちらを向いた。
眼窩の奥で揺らぐ青い火が、暗い空間の中で燃える。
佐倉 光
ベッドに上がって深いため息をついた。
佐倉 光
『まだ視界が変なのか?』
牧志 浩太
『視界が三つ重なったままで……、見せられてる方に、頭がおかしくなりそうな風景が、ずっと映ってるんだ』
僅かに頭部を揺らがせて頷く。
牧志 浩太
『今の俺が、頭がおかしくなりそうなんて言うのも変だけどさ』
佐倉 光
じゃあ目を閉じて貰って、数を数える、過去の話をするなどでフレーバー〈精神分析〉して少しでも意識をそこから逸らそう。

佐倉 光
『お互い溶けた事もあったし、服に入れられた事もあったし……
吸血鬼にされたり、魚にされたり、変な獣にされたり、洗脳されたり……
酷い目に遭いまくってるよな、俺達。
もう駄目だ、逃げ場がない、おかしくなりそうだって思った事も……正直おかしくなってた事も何度も』
牧志 浩太
『ああ……、そうだな。
遅かったのか、駄目かもしれないって、そう叫んだばかりだ。

本当に、酷い目に遭いすぎてるよな。
ようやく心配しないで過ごせると思ったら、佐倉さん攫われるし。
夢の中だけどさ、不定形にもなったりしたし……』
牧志 浩太
『あ、目を閉じてると少しましだ。
変な風景は見えるけど、ごっちゃにならないからなのかな、頭は痛くない』
佐倉 光
『ああ、変な景色が見えるっていうとクソ虫事件だな。
あの時もほとんど取られて、ぎりぎりで取り戻したんだ。
全然別の場所にいたし、最後には繋げて貰った心も切って』
牧志 浩太
『ああ。ほとんど取られても……、取り返したし、取り返してくれたんだ』
牧志 浩太
『ああ、そう思うと、これくらい大したことじゃないのかもな?
いや、さっきも佐倉さん酷い目に遭わせちゃったけどさ』
絶え間なく這いずる音の合間に、弱々しく苦笑するような、聞き慣れた調子の声が聞こえた。
佐倉 光
しばらくこうやって色々過去の話しよう。
佐倉 光
こういう時の励ましパターンが被っている気がする今日この頃です。
牧志 浩太
そうやって話していると、牧志の身体の動きが少しずつ穏やかになっていく。
佐倉 光
「だからさ……今回もうまくいくさ。大丈夫。全部取り戻して、帰るんだ」
佐倉 光
言って、少し身構える。
KP
ピッ、と首輪が鳴った。
一度首輪が動きかける。
しかし、またすぐにもう一度音を鳴らして、収縮することなく動きを止める。
牧志 浩太
『そうだな……、大丈夫。大丈夫』
牧志 浩太
『大丈夫』
牧志 浩太
『大丈夫。俺も佐倉さんも、大丈夫』
牧志 浩太
『大丈夫……。』

枯れ枝のような手を尾に絡め、声ではない声で、牧志はそう呟き続けていた。
きっと、その次に思考が至らないように。
佐倉 光
俺がドジを踏まなければ……
いや。過去の事を考えても仕方がない。明日に、牧志の精神力に賭けるしかない。
大丈夫。俺達は今までにどんなことも乗り越えてきたんだ。
佐倉 光
『大丈夫。大丈夫だ……』
こちらも呟き続ける。
牧志 浩太
大丈夫、大丈夫……。
そんな互いの声に包まれて、あなたは目を閉じた。
佐倉 光
大丈夫。
祈るように、撫でるように、繰り返す。
眠りに滑り落ちてゆくその瞬間まで。
佐倉 光
多少自分の首が絞まっても、希望ある思考をして欲しかったんで……
KP
でも先程の様子を見ていたから、「大丈夫」の後を呑み込んでしまう牧志……。
佐倉 光
そうなるから今までは自重してたんだよね。でも明日から話せなくなる可能性があるから。

KP
▽寝ている間に牧志のみ《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3
牧志 浩太
1d100 41 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 89→失敗
1d3 Sasa 1d3→3
SAN 41 → 38
KP
▽牧志のみHP-1
牧志 浩太
HP 11 → 10
佐倉 光
HPまで減ってる……

ハッキング開始後三日目
▽ハッキング判定:未実行
▽ハッキング必要成功数:あと1回
KP
何かを引っ掻くような音と、蛇が這い回るような音と、そして喉の奥で何かが唸るような音であなたは目を覚ました。
佐倉 光
なんだ……? 牧志?
目を開いて周囲を見回す。まずは壁向こうを。
牧志 浩太
壁の向こうで、化け物が目元の皮膚を絶えず引っ掻いていた。
鋭い鉤爪に黒い皮膚が引き裂かれ、内側の悍ましいものが姿を現してもなお手は止まらず、不気味なほどに赤い血が寝床を染めていた。

異形の舌に塞がれ歪んだ口で、化け物は喉の奥から苦悶の唸りを上げていた。
それは到底人の意思を解しようものには見えなかった。
捻じれ叫ぶ唸りは床を震わせ、あなたの身体に抑えがたい拒否感をもたらした。
KP
佐倉さん、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2》。
佐倉 光
1d100 57 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 55→成功
佐倉 光
想像を絶する苦痛なんだろうな。
佐倉 光
一度深呼吸して、声をかける。
佐倉 光
『牧志……おはよう』
牧志 浩太
鉤爪で皮膚を引き裂きながら、化け物はこちらを向いた。
ひとつ残った眼球が弾けんばかりに充血していた。
口を塞ぐ舌が動こうとして暴れた。
牧志 浩太
『』
牧志 浩太
『』
牧志 浩太
『、』

彼はあなたに応えようと絶えず言葉を形作ろうとするのだが、激しい苦悶がその邪魔をするらしかった。
言葉を作ろうとしては霧散し、作られかけては霧散し、苦痛の唸りのようなものだけがあなたの意識にこだまする。
牧志 浩太
分かるのはひとつ残った眼球が彼に激しい苦痛をもたらしていて、それでも彼があなたの姿を視界に捉えていたいと望んでいることだった。
佐倉 光
『無理をするな。辛いんだろ』
ゆっくりと言葉にして伝える。
佐倉 光
『俺はずっとここにいるから。その目で見えなくなっても、俺は消えたりしないから』

手早く食事をして今日の作業にかかる。
KP
PCは今日も机の上に鎮座している。
あなたは悶え苦しむ彼の声を背景に、ネットワークを我が物にすべく、最後の攻勢をかけることができる。
KP
ふと置かれた朝食の箱を見ると、耳栓が一緒に入っていた。
あなたが何をしているか分かっているわけではあるまいが、きっと部屋が五月蠅いだろう、という男の親切心だろうか。
佐倉 光
牧志の声については、集中すれば聞こえなくなってしまうだろうし、よほど邪魔になる訳でなければ耳栓は使わない。
集中が切れてしまうようなら使う。
どちらにしてももう音での意思疎通は難しいのだから。

ネットワークを手探りして情報を探しつつ、集中が切れて休憩を取るときに牧志にこまごまと話しかける。
返事がなくても声をかける。
牧志 浩太
化け物は目元に手をかけたまま、よろよろと近寄ってきて、縋るように尾で壁を叩いた。
そうして苦しげに目を閉じ、皮膚に鉤爪を立てたまま苦悶の声を漏らしながら壁際に蹲った。

返事は苦しげに呻く曖昧な声だけで、それでも必ず返る声があった。
KP
〈芸術:ハッキング〉で判定。
佐倉 光
1d100 86 〈ハッキング〉 Sasa 1d100→ 14→成功
佐倉 光
よしよくやった。
KP
お見事!
佐倉 光
ここから大逆転! できるといいな。

KP
あなたは最後のコマンドを打つ。
確かな手応えが、あった。
あなたはネットワークの権限を完全に掌握し、届く範囲の全てを己がものとする。
KP
▽ハッキング完了

今や、この研究所はあなたのものだ。
ただ唯一、この檻から出る術だけがない。
KP
その手応えと絶望を覚えた直後、ピッと音がして扉が開いた。

KP
そこには銀色のカートを押した男がいる。
カートの上には機材とともに透明な箱がひとつ置かれており、やはりレンズのようなものがついた箱は、昨日見たものとまったく同じに見えた。

男は楽しそうに、哀れむように化け物の、赤く染まった頬を撫でた。

「ああ、辛いんだね。無理もない。
人間の脳に余る異界の光景と、可視光の視界、それに概念の視界が一つの脳に混じっては、そのうち過負荷で壊れてしまう。

さあ、それを取ってあげよう。取りたいだろう?」
男はそっと化け物に手を差し伸べた。
化け物は急くように男の手に身を委ね、器具に自ら頭をねじ込む。

化け物はその時、奪われることに歓喜すらしているように見えた。
佐倉 光
辛かったんだな。
牧志が人間のパーツを失う事を、俺までも喜ばしいとさえ感じてしまうほど、
その苦悶は見るに堪えないものだった。
佐倉 光
恐らくそうやって自ら差し出すよう仕向けたのも、あいつの狙いなんだ。
ずっと自発的に自分の肉体を差し出させようとしている。
それが一貫してあいつの意図。
「俺が死ぬときの牧志の精神の動きを観測」だけでもいいとか抜かしていた。
あいつは牧志を生贄かなんかにするためというよりは、牧志自身に興味を持っている。
KP
ぐるり、と刃物が回転する。
たったひとつ残った牧志の面影が、見つめ続けるあなたの眼前で、化け物の中から奪い去られてゆく。
佐倉 光
牧志の目を見つめて、奪われるその瞬間まで見つめ続けている。
KP
眼球が身体から離れると同時、化け物が上げていた苦悶の声が止んだ。
蛇の鳴くようなシューッ、シューッという音を立てながら、化け物は息を整えていく。

鎌首をもたげた舌の先が、中空になっているらしいのが見てとれた。
舌で埋まった口では十分な呼吸ができず、化け物はそこで息をするらしい。
化け物は生物として破綻しながら、辛うじて生存の条件を備えていた。
ぼうぼうと燃える青い火が両の眼窩からあなたを見ていた。
ぼうぼうと鳴る巻き鬚が絶えず蠢いてあなたの意識を掻き回していた。

牧志の声が、あなたの意識に聞こえることはなかった。
その異形に残っている彼の面影は、もはや蠢く皮膚に食い込む痣だけだった。
KP
「佐倉くん、彼は最後に面白い実験を提案してくれた」
男はカートを引いて壁際まで退くと、愛しげに歌うように笑った。

「テセウスの船、というパラドックスがある。
あらゆるパーツを挿げ替えた物体は、過去のそれと同じ物体と呼べるのか。

水槽の脳、という思考実験がある。
人間の脳だけを取り出して現実と同じ脳波を与えたならば、脳が見ている夢は現実と区別できようか?

感覚が意識を造り出す、という仮説がある。
感覚という入力に対する反応の集合体が意識である、なら、感覚を全て別のものに置き換えたなら、意識も変容するのか?

佐倉くん、君はこの中に入っているのは、まだ牧志くんだと思うかな?」
佐倉 光
「馬鹿かてめぇは」
吐き捨てる。

入出力の方法が変わったからって本体が『何者であるか』という情報まで書き換わったりはしない。
牧志が牧志でなくなったりはしない。
そこに牧志の脳がある限り、それは変わらない。

ただ……
人間のものとは違う情報の入力によって、牧志は牧志のまま歪められてゆく。
今までにもあった事だ。
吸血鬼事件の時に。夢の中とは言え溶けてしまったときに。牧志は牧志のままありようを変えていった。
KP
あなたの反応を意にも介さず、言い残して男は部屋を出ていった。
牧志の部屋の扉を、開いたまま。
KP
そうなんですよねぇ、牧志結構さらっと変質したり適応したりしちゃうからな。

KP
牧志の部屋とあなたの部屋を隔てる壁が、微かに振動しながら動きだした。

透明な壁がずず、ずず、と少しずつ持ち上がり、
ずっとあなたを無力に貶めていたそれが、牧志とあなたの手を隔てていたそれが、やがて完全に姿を消す。
佐倉 光
ああ、そうか。
あいつはそうは思っていない。
牧志が感覚を失って、人間としての意識を保てなくなると思っている。
牧志が俺を襲うか、俺が死ぬのにも構わずに外に出るのを、遠くで笑いながら見物するつもりだ。
首の鎖を握りしめ、ぎりぎりと唇に犬歯を食い込ませる。
ふざけやがって。ふざけやがって。ふざけやがって。
KP
化け物とあなたを隔てるものはもうなかった。
扉は開いている。
あなたを壁に繋ぐ鎖さえなければ、あなたは外に出る事すらできたに違いない。

化け物とあなたを隔てるものは、もうなかった。
あなたは犬のように鎖に繋がれて、悍ましい化け物の眼前にいる。
佐倉 光
開いてゆく壁を、その向こうの『化け物』を見つめる。
ぬらぬら蠢いて光る表皮を、簡単に自分を引き裂けるであろう鋭く長い爪を、べろりとはみ出した醜悪な舌、意思をこちらには伝えてくれない燃える眼窩、ひしゃげた体の……牧志を。

どうしても緊張のあまり体が震える。
これは最大のピンチで、最大のチャンスだ。
牧志の反応は勿論、俺が考えている事を観察者に悟られてはならない。
佐倉 光
「牧志」
PCの方へさがりながら言葉と心で彼に声をかける。
そこにいるのは頼りになる相棒か。
人である事をやめた化け物か。
KP
ずるりと長い舌が動いた。
それは両の眼窩で、あなたを目視した。
頭部が重いのだろう、歪な四つ脚の姿勢を取った。
鋭い爪で床を掴み、自らの身体を引きずるようにして、あなたへとにじり寄ってくる。

胸から生えた触腕があなたの方を向いた。
長い舌の先があなたの方を向いた。
それはあなたを認識している。
ぼうぼうと鳴きながら距離を詰めてくる。
KP
「意思を失わせることはない」とか言ってたのに最後にこれとか何て奴である、男。
佐倉 光
鉄くさく生臭いにおいが、醜悪な物音が、隔てることなく伝わってくる。
本能的な恐怖が、嫌悪が、喉を無様に震わせる。

思い出せ。
奴の発言からして、この実験を提案したのは牧志だ。
あの糞野郎の興味を巧みに引き出し、壁と扉を開けさせた。
この状況は牧志の意志なんだ。
あとは、あいつが自分を保てているかにかかっている。
佐倉 光
あいつが牧志であることは疑いないとしても。
今までのことを考えれば、うっかり俺を食べたくなる可能性はそれなりにある。
正直、ちょっと心配だ。すぐ馴染むからなぁ。
その過剰なほどの柔軟性は、牧志のいいところであると同時に、時に欠点だ。
佐倉 光
雑念を振り払い、這い寄るものを真っ正面に見つめて呼び掛ける。
佐倉 光
『牧志。いけるのか?』
KP
それは、ひたりと足を止めた。

鉤爪で床を掴み、頭部を振り上げる。
そして一度、大きく頷いてみせたように見えた。
KP
あなたの意識の中で、何かが形を結ぶ。

それはもう言語の形を取っていなかったが、『あなたを生かしたい』という強い願いと、それから。
牧志 浩太
慣れた、牧志の気配だった。
佐倉 光
『オッケー、『聞こえた』』
親指を立ててみせる。

さて、どうやって意図を伝えるか……
佐倉 光
※筆記用具ってないですよね?
・具体的な指示のメモを持たせて、制御室に行って貰い、制限解除してから見て貰う
・部屋から出ずに触手なり何なり使って操作する

あたりが予想できるけど。
牧志が大丈夫だと断言する理由がまだ分かってないからねー。
KP
筆記用具はないが、PCはある。
鉤爪でも床に傷はつかないらしい。
伝わってくるイメージから、発話はできないし音では言葉を聞き取れないが、あなたの『言葉』なり、意図なりは理解しているようだと感じ取ってもよい。
牧志 浩太
考えながら牧志の姿を見ていると、あなたの頭の中にぼんやりと、あなたの首を戒める首輪のイメージが浮かんできた。

牧志があなたに近寄り、あなたを抱きしめるイメージ。
首輪に繋がった鎖を牧志が引きちぎるイメージ。
そして、……だらりとあなたの肉体が弛緩し、死んでゆくイメージ。

その恐ろしいイメージと共に、あなたを生かしたいという願いが流れ込んでくる。

牧志は何かを伝えたいらしいが……。
KP
※よくわからなくても牧志は動きます。
佐倉 光
怖気立つような死のイメージをかき分け、彼の意図を考える。
佐倉 光
『首輪を破壊して……俺が死んでいる事にする?』
牧志 浩太
ひらりと眼窩の奥の火が閃いたように見えた。

『分かったのか?』その瞬きから、そんな声が聞こえてくるかのようだった。
佐倉 光
最大の問題が力業で片付く!
何故かその手段がスポーンと頭から抜けてた。
牧志 浩太
牧志が動きを再開した。
舌と尾をくねらせながら、四つ足の化け物はじりじりとあなたに近づいてくる。
佐倉 光
分かっていても、近寄られるのは本能的に怖い。
息を止め、今まで少しずつ作り替えられてきた過程をひっくり返して思い出す。
本能を捻じ伏せ、彼に身を委ねる。
佐倉 光
これは牧志だ。何も変わってはいない。
牧志 浩太
あなたは逃げ出さなかった。

あなたの身体に、赤い液体に濡れた腕が伸ばされる。
長い枯れ枝のような指は触れてみれば意外としなやかで、鞭のように一つ一つあなたの身に巻きつく。

その腕と尾があなたをしっかりと支え、抱き上げた。
まるで動かないものを大事に抱えるように、胸の前で固定される。

血なまぐさい臭いと黒い皮膚の蠢動を、間近に感じる。
佐倉 光
体が拘束され始めると、脳の奥底にしまい込んでいた恐怖がばたばたと音を立てて暴れ始めた。

幾度も幾度も自分から自由と意思を奪ったものたちの記憶がぶちまけられて、否応なしに恐怖へと突き落とす。
心臓が鼓動を早め、冷や汗が伝い、体が硬直して思考が乱れる。
佐倉 光
幾重もの問いかけ、終わらない悪夢、魂をかんなで削るような拷問、ゆけどもゆけども果ては見えないくらやみから光る針が伸びてくる。
光る、鋭い爪は、怖い。
ガチガチと鳴る奥歯を噛みしめ、目を閉じて動かないように何度も呟く。
佐倉 光
「大丈夫、いける、問題ない……」
佐倉 光
『牧志だろ?  よく見ろよ』
その時、ちかしいものが囁いた。
佐倉 光
ふと、閉じていた目を開いた。
佐倉 光
囁いたのは理性だったかもしれないし、守護のオニだったかもしれないし、隻眼の牧志だったかもしれない。
KP
ああー、そういう!
そうかぁ……。
佐倉は『拘束される』ことにひどいトラウマがある。
牧志 浩太
視界は指に塞がれて真っ暗だ。
歪んだ胸郭の奥から聞こえてくる心音が、あなたの肋骨に沿い、心臓を取り巻いていた。
ひどく歪んでこそいたが、聞き覚えのある音だった。

心配そうな顔で、牧志があなたを覗き込んでいる気がした。
佐倉 光
何だよ。何も見えない。
巨大な胸郭に包まれるようにして、音を聴く。
佐倉 光
俺が不安定になっているときに、よく聴かせてくれた音だ。
全身の力が抜けた。
KP
次の瞬間。
一瞬、僅かに首に力がかかる。

力強い尾があなたの首に繋がる鎖を押さえ込み、
鋭い爪と尾で、一息に鎖を引きちぎった。
牧志 浩太
『佐倉さん、ごめん』
そう聞こえた気がしたのは幻聴かもしれなかった。
佐倉 光
『ごめん』だって? そう言うときは大体、牧志はとんでもない無茶を……
KP
首輪が一瞬振動した。
聞いたことのないような、高く鋭い警告音を発する。
あなたの首に何かが突き刺さった。針だ。鋭い針。

何か冷たいものが血管に注ぎ込まれるのを自覚する直後、みるみるうちにあなたの全身が力を失ってゆく。

激しい息苦しさを覚えるだろう。
脳は必死に呼吸を命じる。しかし身体は応えない。

手も足も胴も首も頭も、呼吸筋も、心筋までも、意識だけが明瞭なまま、あなたを生かすあらゆるものが動きを止めてしまう。
佐倉 光
針が突き刺さる感覚に目の前が真っ赤になった。
考えずともそれが死への誘いだと理解できる。
牧志 浩太
あなたは死ぬ。
牧志の腕の中で死ぬ。
間違いなく、正しく、死ぬ。
佐倉 光
瞳孔が散大する。力を失ってぽっかりとあいた孔になる。
俺は、死ぬ。死んでゆく。
KP
思考がぼんやりと速度を落としていく。やがてそれも絶えるのだろう。

あなたは死ぬ。
KP
緩やかに下ってゆく死への道に、不意に変化が生じた。

牧志の手が死にゆくあなたの喉を押し広げるのを、速度を下げていく思考の片隅で感じる。

力を失ってぽっかりと開いた喉に、力強くうねる筋肉が押し入ってくる。
激しい不快感、圧迫感が不意に意識を覚醒させた。
抵抗力も嘔吐反射も失った喉に、感覚だけが押し入ってくるものの存在を訴えている。
KP
あなたの喉を蠢く舌が埋めている。鼓動を失った心臓を触腕が取り巻く。強い圧迫感。

不意にあなたは自分が呼吸しているのを感じた。脳が酸素を感じている。あなたの筋肉は動いていない。あなたは自分の心臓が動いているのを感じた。あなたの心臓は鼓動していない。
牧志 浩太
牧志だ。

あなたの喉を埋める中空の舌が、力強くうねりながら、あなたの肺に直接酸素を送り込んでいる。

あなたの心臓を取り巻く触腕が規則的に心臓を圧迫し、彼の鼓動であなたの心臓から血を吐き出させている。
牧志 浩太
あなたは、生かされていた。
死にながら、生かされていた。
力業の生命維持
KP
というわけでひどい力業での生命維持です。
佐倉 光
わぁ、これは濃厚なディープキスだなぁー(しろめ)
これはさすがに相手が牧志でも《SANチェック》入るわ。

前回心臓を動かしちゃいけない話だったのに、今回は心臓を一回止めて動かさなきゃなんないんだなぁ。
って毒物で止められたなら、解毒できるまでこのままか!?
KP
あっ、そこは大丈夫です、生き残れれば次第に抜けていく毒です。
普通はまず生き残れないんだけど。
佐倉 光
前回の話の途中で生えた話って、もしかしてここ(異様な心肺蘇生)が起点ですか。
しろめの絵欲しいなこれw
KP
いえ、「内臓すげ替えられる」「内臓体の外に出されて悪戯される」の方が起点だったはず。これはその後で決まりました。
佐倉 光
あー。死にかけ佐倉の心臓か。なるほど。
凄い事考えるなぁ。
KP
佐倉さんの死戦期呼吸と心臓外に出されて悪戯と、別件で読んでた全身麻酔の話がうっかり悪魔合体しまして……。
反応できるようになってからと思ったけど、それはそれでリアクションしづらそうだし入れちゃうか《SANチェック》。
どの辺で結果を反映するかはおまかせします。

KP
佐倉さんのみ《SANチェック成功時減少 1D3失敗時減少 1D8》。
佐倉 光
1d100 57 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 88→失敗
1d8 Sasa 1d8→4
SAN 57 → 53
佐倉 光
狂気不定ならず!

佐倉 光
「……」
俺達は賭に負けたのか。牧志の……作戦は……
佐倉 光
不意に、ずるりと入り込んでくる肉塊の感覚を失われかけた意識の端で知る。
疑問を覚える余地もなく、それを受け入れる。奥へ、奥へ。
強制的に動かされている心臓。送り込まれる生暖かいが新鮮な空気。

意識がゆっくりと戻って、思考が戻って、それでも理解には時間がかかった。
佐倉 光
心マされてる。それは分かった。
最近されたばかりだし、それとは随分と感覚は違えどされている事は分かる。

分からないのは、顎をこじ開けて喉の奥まで差し込まれているもの。
口の中に収まりきらずはみ出しまくっている生暖かい柔らかい肉塊。
佐倉 光
目の前にある黒くてぬらぬら光っているのは牧志の……たぶん顔で?
黒い孔は目だ。
向かい合っている。
空気を送り込んでくれている。
いわゆる、心臓マッサージとセットで行われる人工呼吸、ってやつ。

いやいやいや、
人工呼吸って、こんなのじゃないよな!?
もっとこう、鼻つまんで口と口で……

鼻つまんでないのに肺が動いている感覚がある……
佐倉 光
さすがにベロを気管チューブがわりに気道に差し込まれてるなんてわからん。
KP
そりゃあそう。
KP
思考が戻ってくるのが、肉体の制御が戻ってくるよりも先だった。

毒が抜け始めているのか、少しずつ少しずつ氷が溶かされるように、身体の中心から反応が戻り始めてくる。
喉の奥の深い深い所で肉塊が蠢くのを感じた。肺が動いている。喉の奥が何かに埋め尽くされている、と気づく。
佐倉 光
俺は一度死んだ……のか。
そして、蘇生させてもらっている。
牧志が、心臓を動かして、肺に空気を……
喉に、チューブか何かで……

ぶつぶつと切れていた思考がつながってゆく。

目の前に在るのが牧志の顔だとすると。
俺の口を塞いで喉に刺さっているのはつまり
つまり?


つまり?

いやありえねぇだろお前の舌肺に通じてんのかよ!?
佐倉 光
思わず暴れ、ようとしたが蘇生術の最中だし、そもそも優しい馬鹿力に押さえつけられていて身動きできなかった。
KP
万が一にでも落としたりすることのないよう、身体はしっかりと押さえつけられ包み込まれていた。

身体の感覚が、中心から少しずつ戻っていく。
鼓動を忘れていた心臓が大きく跳ねると同時に、呼吸筋が動きだした。
喉の異物感と嘔吐反射が一気に襲いかかる。
佐倉 光
「……!」
佐倉 光
「……! ……!?」
佐倉 光
「……!」
酷い苦しさと嘔吐感に涙を流す。
今すぐ胃の中の物を吐き出したい、それなのに肉塊は微動だにしない!
蘇ったばかりの心臓がめちゃくちゃに暴れている気がした。
顔が熱を持ちまた冷めてゆく。
しかし中から外から抑えつけられていてその反応を示す事もできない。
佐倉 光
ああ、夢の時と同じだぁ。
あの時も牧志に押さえつけられてたなぁー懐かしい。

綺麗な川が見えるなーコインランドリーにあったやつだぁ。
お久しぶりカロンのおっさん。今日は渡っちゃおうかなー
牧志 浩太
「!」
あなたがうっかり川を渡りかけたとき、牧志が気づいてくれたらしい。

胸を圧迫する力が緩む。
美しい幻が視界から消え、現実の光景が戻ってくる。
酷い不快感と耳を覆いたくなるような音を伴って、ずるずると肉塊が喉から抜けていく。

長い長い蟲が這い出るような、喉の中身を裏返されて引っ張り出されるような悍ましい不快感は、なかなか終わらなかった。

ようやく牧志の顔があなたから離れる。
長大な舌が体液にまみれて蠢いていた。
あの長さのものがあなたの喉の中に収まっていたのだ。
KP
激しい咳が喉の奥から溢れ出した。
とにもかくにも、あなたは生の世界へと戻ってきたらしい。
だいぶん無茶な方法で。
佐倉 光
「っうぇ、げぇ、げほっ、げほっ」
内蔵ひっくり返るかと思うほど咳をして、便器にダッシュして吐いた。
牧志 浩太
心配そうな気配と感情が、便器に走るあなたの背を追った。
佐倉 光
「しぬ、かと、思った」
死んだ後の方が辛かった。
佐倉 光
「おえぇぇぇぇ」
言葉の合間に嘔吐えづいて、ぼろぼろ涙をこぼす。
佐倉 光
【CON】低いからって吐いてばっかだな佐倉。
KP
とはいえ今回はあんまりにも無理もない。
佐倉 光
首輪はまだついてるのかな?
KP
鎖を引きちぎられた首輪は、まだあなたの首についている。
鎖の断面からケーブルが覗いており、ここを通じて通信していたようだ。

針はもうあなたに刺さっていないが、毒の射出を避けさせないためにか、首輪は少しだけ絞まった状態で停止している。

束縛を逃れたあなたを罰するかのように、微かに息苦しい。
喉が圧迫され、少し痛む。

これからあなたが完全に自由になるには、今度こそ制御室に向かう必要があるらしい。
KP
トイレから出ると、牧志の足元に血と肉片のついた、小さな電気パーツのようなものが落ちていた。
それは踏み潰されたのか、基板ごと割れている。
牧志 浩太
牧志の後頭部にあたる場所から、赤い液体が流れていた。
佐倉 光
「よし、お互い、けほ、自由だな」
にっと笑って、PCを牧志に見せる。
この施設の地図を見せ、ざっと説明。
とにもかくにも制御室に行かないと話にならない。
逆に言えば、制御室さえ押さえれば勝ちだ。
佐倉 光
軽く説明したら速やかに脱出だ。気付かれる前にこの部屋を出なければ。
また閉じ込められたら今度こそ終わる。
牧志 浩太
牧志は頭部を揺らして頷いた。
あなたと共に、のそりと一歩踏み出す。

指先が外に出る一瞬、その背に緊張が走る。
佐倉 光
敷居を踏み越える瞬間、思わず息を詰めた。
KP
あなたの首輪は沈黙したまま、あの音を鳴らすことはなかった。

……外へ出れば、あれだけ縛りつけられていたのが嘘のように、無機質な白い廊下がただ続いていた。
佐倉 光
『……大丈夫、いける』
廊下に足を降ろしてほっと息をつく。
佐倉 光
『ありがとう、牧志』
牧志 浩太
「……」
二人か、それとも一人と一匹なのだろうか。
互いに廊下へと足を下ろしたとき、伝わってくる気配がふっと嬉しそうに和んだ。

佐倉 光
極めてレアな心肺蘇生を受けてしまった……
KP
互いになかなかない体験をしてしまった。
佐倉 光
いよいよ反撃だー!
KP
つらいつらいの後のようやく反撃タイム!

コメント By.佐倉 光
ついに牧志は人間の感覚を全て失った。
そこにいるのはまだ牧志と呼べるものなのか?

首輪が絞まる。今度こそ佐倉に死を齎すために。

TRPGリプレイ【置】CoC『blood red decadence』佐倉&牧志 2

酷い冗談だ、悪魔使いが悪魔に成り果てるなんて。

TRPGリプレイ【置】CoC【タイマン限2】収録シナリオ『デート or デッド』 佐倉&牧志 1

「生きてて良かったけど……」
見た目が大分やべぇなこれ。

TRPGリプレイ CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 2

温かい湯は強張っていた肩をゆっくりとほぐし、空気も風景もひどく冷たいのに、身体だけが温かいという体験をあなた達に与えてくれる。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoCキャットゥルフ『それは月の明かりの下で』 ユキ 1

気のせいだなんて思えるほど、猫の第六感は鈍くはないのだ。

TRPGリプレイ マモノスクランブル『アンラッキーランチ』(終)

「ゴハンとってくのはわるいやつだよねェ」
「バチがあたってほしい? シかえししたい?」
「バッチバチにバチ当たればいいのシ!」

TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第四話『ふたりのかげ』の一

みんなで自己紹介