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▼カリスの事情▼


カリスともうひとりについて
一柱の女神がいました。
何を思ったかは彼女にしか分かりませんが、ある時彼女は己を二つに裂きました。
それにより彼女は、幼いカリスと、乱暴なサメカリスというふたつの神格に別れました。
カリスが眠ればサメカリスが、サメカリスが眠ればカリスが。ふたりは互いを知ることなく、自分の真の姿も忘れて過ごしていました。

とある事件をきっかけに元に戻った彼女は、それぞれを好いてくれた人たちとの繋がりを大事に思い、再び自分を二つに分けたのでした。


こんばんは
高瀬川の和樹
こんばんはー!
レンリ
ちょと腹痛なので先に始めておいてください!!! います!!
シャーリー
我です
高瀬川の和樹
オアー! お大事に!
シャーリー
戻ってきましたがまた腹痛になったら申告します!!!
語り手
大丈夫です?
高瀬川の和樹
お大事に!!
シャーリー
大丈夫です
語り手
風馬さん大丈夫かな
前回のみぽりんで魂を使い切ってしまったかな
高瀬川の和樹
はてそういえばいない
ちょっと魂ウォッチしてきます
語り手
おなしゃすー
高瀬川の和樹
うっかり魂がよそにいたようなので喚びました
語り手
うっかり
大丈夫?
寝てたとかで無い?
風馬
すみません遅刻しました1
語り手
わたしもです2
シロ
大遅刻!
語り手
シロは3
高瀬川の和樹
ほとんど遅刻!
寝てたのではなく別なもの見ててうっかりしただけのようです
語り手
別なもの……(ドキドキ
風馬
ちょっとクールなお姉さんを

語り手
前回は、不思議な水の中を通って、たどり着いた神社でした
その古びた神社を見て、カリスはそこが自分の家であるとつぶやくのでした
高瀬川の和樹
「家? ここがか? 海じゃねぇのか」
辺りを見回すが、海辺だったり、海があったりするだろうか?
シロ
「しってるここジンジャだ。
お方さまのおうちとおなじ」
語り手
耳を澄ますと、波の音が
そして磯の香りがかすかに感じられます
カリス
「裏の方に、海があるんだ」
高瀬川の和樹
「おお、成程」
風馬
「うみのそばのいえもいいな」
カリス
「水浴びもできるしね」
シロ
「ひさしぶりだ!」
高瀬川の和樹
某M島の神社を思い出す立地だなぁ
シャーリー
最近行ってないなぁ
カリス
カリスが歩いて行くと、小さい神社ながら標縄と本坪鈴、お賽銭箱があります
カリスは、戸惑うことなく箱の横にしゃがみ込むと、下側にある引き出しを抜き出し
カリス
「……今日は入ってないなー」
シロ
「なにが?」
シャーリー
「何が入ってないんですか?」
カリス
「お金」
高瀬川の和樹
「ああ賽銭」
カリス
「取っても取っても、気がついたら入ってるんだ。
ボクのお小遣い入れ。
白露のとこみたいにたくさん入ってることはあまりないけど」
一応ひっくり返して、少し埃が出てくるだけのそれを箱に戻し
「でも、なんでボクの家に戻ってきちゃったんだろ」
風馬
「かえってきたのか」
シロ
「ここにいるんじゃないのか?」
カリス
「ボクはここにいるよ?」
シロ
「なんだっけ、もうひとりが」
カリス
「あ、そっか」
高瀬川の和樹
「さっきみたいに、もう一人がここで寝てんのかね」
まあカリスも神は神だしいいか、と思いつつ、フームと拝殿を見上げる。
シロ
「そいつ、なんてなまえなんだ?」
カリス
「いつもは、ボクが寝てる時のボクらしいよ」
風馬
「かりすはかりすなのか?」
シャーリー
「そうなんですね……」よくわかってない!
カリス
「うーん、兄ちゃんたちが言うにはボクはボクらしいけど……」
シロ
「むー」
高瀬川の和樹
「その兄ちゃん達はいねぇのかな」
とりあえず本坪鈴に近寄り、賽銭を入れて鈴を鳴らして祈ってみる。
そういえば神社なのだしお参りしておくべきだろう。
語り手
お賽銭が箱の中に転がり込む、カラカラという音と
鈴が鳴るしゃらしゃらという音
和樹が柏手を打って頭を下げると
カリス
「おっ」
いそいそと箱の引き出しを引き開けるカリス
「やった、お小遣い入ってた」
シロ
初めて供給されるシーンを見た……わけではないか。
風馬
「今いれたやつだぞ……」
ゆり
「いやいや……」
カリス
「えっ。
あ、そっか」
取り出した五円玉を、和樹に差し出し
「あれ? じゃぁ今までのお小遣いって」
高瀬川の和樹
「おう」平然と受け取って財布に戻す。
「誰かがお参りの時に入れたやつだな」
カリス
「そうだったのかー……」
シロ
おまいりって神様にするやつだから、カリスが貰っても別に問題ないのでは、と思わなくもないけど、宮司さんが困るか。
シャーリー
ですねぇ……
ゆり
「まぁ……
ここの御祭神があんただってんなら、いいんじゃないの……。鍵もかけてない賽銭箱だし」
加須 茜
「うーん、田舎らしいテイスト」
カリス
「うーん、たまにばあちゃんがついでにお掃除してくれてるみたいだけど……」
高瀬川の和樹
「つか、ここ誰の神社よ。お前の?」
言いながら謂れを書いた立札のたぐいがないか見てみる。
語り手
和樹が境内を見渡すと
果たして、参道の脇に今にも倒れそうな細い立札が一つ
読むには【おとな】で3
……あるね!
高瀬川の和樹
あるぜ!
語り手
字を読むくらいなら、そんなに高くなくていいだろ、って思うんだけど、そうすると判定そのものが消し飛んでしまう世界線
よめる?
シャーリー
漢字は判定がいるイメージ
語り手
でも和樹は読めるやろ……って思えてしまう
高瀬川の和樹
まあ漢字を読める事そのものが元々知きつね様の特権だったりしますからな
シャーリー
ですわねぇ
高瀬川の和樹
和樹はひとりBBTだからしょうがない
シロ
【おとな】2もあれば読めそうなんだよね
NPC人間おとなでも2とかなんだもん。
シャーリー
おとな4あれば英語もぺらぺらってコト……!?
高瀬川の和樹
なるほどそれだ!
つまり1伸ばせば和樹が英語を喋れる可能性が なんか割とありそう
シロ
ネイティブカッパー
高瀬川の和樹
うっかりバラスト水に混じって国外に流れ着いて現地に馴染み倒す和樹
「いやぁそれがカズキってまず発音してもらえねぇのよ」とか言いつつ名前がジョンとかになってる
語り手
ヘイ、カズ!
高瀬川の和樹
なるほど、カズなら普通に発音してもらえる! やったぜ!
博多弁ホラゲの主人公がカズだったなぁ、そういえば
シロ
博多弁てあれかwww

シャーリー
「私もお掃除手伝います……」
語り手
いずれにせよ
立札は文字もすっかり褪せて擦り切れて消えかかってしまっており
ただ、その頭のところに『縁起』という文字と、つらつらと……書かれていたらしい文字の中に、『豊玉~』だの『和邇』だのといった文字を辛うじて見つけることができます
全体的に漢字が多め
高瀬川の和樹
「ん? ワニ? やっぱりカリスか?」 お手元のスマホが使えるならポチポチと和邇について調べてみる。
語り手
では、そこでなけなしの判定を差し込み
【おとな】4としましょう
高瀬川の和樹
では、おもいを1賽銭箱に入れて4。
[ 高瀬川の和樹 ] おもい : 14 → 13
カリス
まいどありー
シャーリー
さっきの中に私も読めない漢字ある 【おとな】2かもしれない
風馬
【おとな】
シャーリー
和邇 おとな2だからこれをグーグル検索にかけるしかなかった
本編の方で進研ゼミしてる!!!
語り手
では、和樹はスマホで……
電波通じるのかここ
通じたことにしよう
高瀬川の和樹
ギリギリ通じる場所を探して挙動不審にウロウロする和樹の姿が
シロ
ちゃぽって水につければ水を伝って(てきとー)
語り手
和邇とは『わに』と読み、それは鰐ではなく古い言葉でサメのことを指すということや、因幡の白兎のお話や、山彦海彦のお話などを見つけることができました
サメを騙して島まで渡って帰ってきて酷い目に遭わされる白兎や、竜宮城の王女さまのお話ですね(念のため
シャーリー
駄目だ、リアル鳥取知識が鳥取の砂丘ソフト美味しいよねって邪魔する
語り手
八尋和邇とかね
シャーリー
←全然読めない鳥
語り手
やひろのわに
シロ
←意味分かんない毛玉

高瀬川の和樹
「おお、あったあった。やっぱりカリスの神社か、ここ」調べた結果をゆりに見せる。
「ここの札にある、ワニってのがサメのことらしい」と全員に向けて。
ゆり
「ん……ああ、なるほどね。そんな話あったわねー」
シロ
「わにって、みどりいろでくちがおっきい」
シャーリー
「……? ワニ、サメ?」
カリス
「ボク、サメだよ」
風馬
「ワニじゃなくてサメだぞ」
高瀬川の和樹
なお和樹の頭にあったのはワニ料理(サメ料理)の事であった。
どこかのページで読んだのだ。
「古い言葉で、サメのことをワニっつぅんだってさ」
語り手
美味しそうな白身の肉がお皿の上に綺麗に切り分けられている鍋料理の画像も出てきたり
高瀬川の和樹
勢い鍋とかフカヒレとか、そんなものが頭の中を踊った。すまんカリス。
カリス
「?」
いずれ旅の途中で何も知らずに気仙沼でバーガーを美味しそうに食べることになるかもしれない
高瀬川の和樹
ふふ
カリス
「なんか、この向こうの海から上がってきたらしいよ、ボク」
ゆり
「あんた本当にここの御祭神なんじゃないの……?」
風馬
「あっちからきたのか」
高瀬川の和樹
「それで合ってんじゃねぇかなぁ。野良サメにしちゃ偶然の一致が過ぎんだろう」
シロ
「かみさま?」
カリス
「首輪はないからね」
>野良じゃない
シロ
なるほろ>首輪
語り手
首に巻いてるのはあくまで包帯だから

語り手
さてさて
みんながそうして話したり、カリスが上がってきたという、神社の裏の海の方を見ていたりしていると
どこからか、ぽんぽんぽん……という軽く弾けるような連続する音と
それに混じって、ポー、という間延びした音が聞こえてきます
高瀬川の和樹
「おや」そちらを見やる。
語り手
和樹がそちらの方を見やると
風馬
「なんだ?」
語り手
神社に植えられた、海べのためか葉っぱがまばらな木の向こう、
広がる海の上を、一艘の船が走ってゆきます
シャーリー
そちらを見やる。
語り手
漁から戻ってきたのでしょうか、その船が行く方には、人の町らしい建物の連なりが見えます
シロ
「ふねだ!」
語り手
とはいえ決して大きなものではなく、山と海との境界線に、辛うじて小さな小さな町が張り付いているだけ、といった有様です
高瀬川の和樹
「おお、船だなあ。そうか、神社があんなら町もあらあな」
ゆり
「人、いるのかしら?
さっきの、町田だっけ。あそこには誰もいなかったけど」
加須 茜
「そういえば、そうだったね」
風馬
「おーい!」船に向かって手をふり
シャーリー
「おーい……!」一緒に手を振る。
語り手
風馬とシャーリーが船に手を振ります
すると、船を操縦する小さな小屋のような部分から、一人のおじさんのような人かげがひょっこりと現れました
でも、
すぐそばのエンジンの音が大きすぎるためか、おじさんはこちらには気付いていないようで
ただ、まもなく港に到着する船を繋ぎ止めるために姿を現しただけのように見えます
ゆり
「一応……いるみたいね、人」
加須 茜
「てことは、町にも人がいるのかな」
シロ
「いってみよう!」
高瀬川の和樹
「だなぁ。行ってみて俺達に気づいてもらえるかどうか、かな。あん時だって声だけは聞こえてたし。
ま、ここで海見てても仕方ねぇや。行ってみるか」
風馬
「そうだな!」
カリス
「行こう行こう!」
シャーリー
「ですね……」
高瀬川の和樹
というわけで岸沿いに海を眺めながら、町へと向かってみる。

語り手
みんなは、町へと向かいます
途中、盛り上がった小山や木陰に、おじさんが操作する船や港は見えなくなりますが
やがて、みんなの前に小さな小さな町が現れました
シロ
スネはある?
語り手
でも、すね―――もとい人の姿はそこにはありませんでした
風馬
「だれもいないな」
シロ
「あそことおなじだ」
高瀬川の和樹
「おや、いねぇな。とすると、さっきの人は何だ?」
シャーリー
「何だったんでしょうか……」
シロ
「オバケ!?」
高瀬川の和樹
「オバケっつぅとここ自体が町のオバケみてぇなもんじゃねえか?」
語り手
ただ、夏らしく高く上ったお日様は、みんなを頭の上からジリジリと温め
お茶の看板を出した横手のお店の開け放たれた入り口からは
チリりん、という風鈴の涼やかな音と
その奥の、お店の人の家の中からでしょうか
人の町で暮らすみんなも夏場に聞いたことがある、野球の音などが聞こえてきます
テレビでしょうか
風馬
「てれびか?」
ゆり
「いやぁねぇ、薄気味悪い」
加須 茜
「こういうの、映画とかであるよね」
高瀬川の和樹
「あるなあ。人の気配と生活感だけがあって、どこを除いてももぬけの殻……、っていう」
シャーリー
「……怖いですね……」
カリス
「ここのお店で、アイスとか買えるんだ。
おばちゃん、いるかな」
シロ
「アイス……
そーいえばさ、さっきのとこでは、にじゅー、いえにいたよな。
もーひとりのやつ、すきなとことか、いつもいるとことかないのかな」
高瀬川の和樹
「いたなあ。カリス、ここでよく遊んだり溜まったり住みついたりする場所とかねぇのか?」
カリス
「んー。
あるよー。町全部、ボクらの遊び場だし。
あと、白露のお社のとことか、ばーちゃん家とか!」
おばあちゃんの家、のことを口に出すとき、カリスはすごく楽しそうに生き生きとしているようでした
シロ
「ばーちゃんもサメ?」
カリス
「ばーちゃんは昔スイカだった」
シロ
スイカ……
間違っちゃいねーけど間違ってる。
少女の姿でスイカの間から現れた『おばあちゃん』はスイカ呼ばわりされていた。
高瀬川の和樹
「町全部か、そりゃでけぇなぁ。俺らにとってのあの町みてぇなもんかね」
言うと、よく借りていたおんぼろな軽トラの排ガスの匂いが蘇ってくるようだった。
風馬
「すいかかー」
高瀬川の和樹
「んあ? Suica?」回想が混じっていたせいで生返事した。
ゆり
「スイカの変化?」
加須 茜
「そういうのもあるのか……」
シロ
今PLが食べたい。
シャーリー
「Suica……?」
カリス
みんなが怪訝な顔をしていると
カリス
カリスは店先に置かれた冷凍庫の窓をカラッと開け、袋に包装されたアイスを一つ取り出します
「あったあった。これ、美味しいんだ」
風馬
「かってにとったらダメだぞ!」
カリス
「取らないよー」
シャーリー
「Suicaって……アイスなんですね……」
シャーリー
いいなぁ個人商店
令和ではもう少なくなってしまった
高瀬川の和樹
古びたアイスケースの白く褪せた色が見えるようである
語り手
味わいがあるよねぇ
シャーリー
うんうん。イカちょうだい~! とか言うのが楽しかったんだよな……。

カリス
「おばちゃーん、アイス一つちょうだい!」
カリスはアイスを持って、薄暗がりのお店の中へ、声をかけつつ入ってゆきます
シロ
オバケがいるのではないか? シロはいぶかしんだ。
高瀬川の和樹
「お、アイスだ。まあまあ、じゃあ代金置いてこうぜ」
財布から意気揚々と代金を取り出す。値段が書いていなければ雰囲気で。
加須 茜
「お、いいなぁ。あたしも一つ貰っていこうかな」
語り手
和樹と茜も、アイスを取り出し
シャーリー
私もアイス食べたいという目を和樹さんに向ける。
お金? ないの。
語り手
ないね
シャーリー
じーっ。
シャーリー
ホームラ○バー食べたい
語り手
銀の紙に丁寧に包まれたやつね
30円の
シャーリー
そうそう
高瀬川の和樹
「はいはい」シャーリーとシロの分出そう。そして風馬の分はヨロシクという視線をゆりに投げよう。
ゆり
「はいはい……。風馬も、一個好きなの取っていいわよ」
シャーリー
ホーム○ンバーを手に取る。
風馬
「いいのか! ありがとう!」クッキー生地のモナカ
シロ
こわいけどそれはそれとしてたべる!!
シャーリー
「ありがとうございます……」
シロ
「アリガトー!」
語り手
みんなそれぞれにアイスを手に取ってお店の中へと入ると
強いお日様が遮られるだけで、ぐっと涼しくなったお店の中
漂うのは、いかにも古い建物といった感じの木の香りと、流れ込んでくる潮の香り
語り手
それに混じるのは、畳の香りと、蚊取り線香の香ばしい香り
そんな空気をかき混ぜながら首を振る、扇風機につけられたリボンが泳ぐ中
色々な雑貨や乾物、おもちゃなどが並ぶその中には、けれどやっぱり人の姿はありませんでした
高瀬川の和樹
「はー……。和む」夏の熱をたっぷり溜めた身体から、熱が抜けていくのを感じる。
シロ
「……」
風馬
「だれかいそうなのにな」
シロ
「……やっぱいない」
哀しいニュース
シャーリー
(うっかり悲しいニュースを見てしまった)
語り手
少佐の訃報かな
シャーリー
ですね……
風馬
かなしいね
この日、声優の田中敦子さんの訃報が公表されたのだった。
シャーリー
まだ若いよ……
語り手
攻殻機動隊とベヨネッタが……
シャーリー
好きな声優さんだったしまだまだお若いなぁと思ってたのに
語り手
まぁ、この年齢になって思うことだけど、割と体にはガタが出てくるよ
60生きるのって結構大変かもしれん
シャーリー
あぁ……
私も最近めっきり暑さに弱くなり……
シロ
からだは大事にしないとイカン

カリス
「あれぇ? おばちゃーん?」
カリスが覗き込む、奥の番台のその向こうには、ちゃぶ台が置かれたお茶の間のような部屋
そこにも人はなく、ただ夏の高校野球の映像が古いテレビで流れています
高瀬川の和樹
「食い物はあんのにな。このアイスもオバケかねえ。幽霊の煮つけって奴か」
風馬
「テレビにはたくさんいるのにな」
シロ
「むー」
たべられない……
語り手
カリスは、なおも身を乗り出して奥を伺おうとしている、その時
「こりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
とんでもない大声が、どこからか聞こえてきました
シロ
「ニャッ!?」
心臓が口から飛び出したので気絶します。
加須 茜
「おっと」
ひっくり返ったそれをそっと受け止め
高瀬川の和樹
「うわお」
シャーリー
「わぁ……」
ゆり
「ちょっと、何事!?」
風馬
「なんだ!?」
高瀬川の和樹
「おばーちゃん居たんじゃねぇの? 声だけ」
語り手
「こーの、いたずら娘!」
カリス
「おばちゃんの声だ!
裏の方!」
風馬
「そっちにいるのか!」
カリス
言って、カリスはお店の中、棚と棚の間を駆けて裏へと走ります
高瀬川の和樹
初動が大いに遅れながら追いかけて行く。
シロ
てろーってのびてる。
加須 茜
「ちょちょちょちょっと、この子脱力してるとすっごい伸びる!」
手の中で洗濯物のように垂れるシロに戸惑う茜は出遅れます
語り手
「ミーコは、具合悪くてらのに!!!!」
おばちゃんの咎めるような、悲鳴のような声は、裏庭の方から聞こえるようでした
みーこさん
シロ
みーこ
高瀬川の和樹
和歌山駅長のお母さんか
シロ
一瞬なんだっけと思っちゃった。
高瀬川の和樹
和歌山駅長じゃなくて和歌山電鐵線の駅の駅長だった
シロ
鉄道むすめ になったのか
シャーリー
ミーコが一瞬ミ=ゴに見えたことを告白します
ごめんて
シロ
そんな脳抜きそうな海老さんは焼いちゃおうね
語り手
そういえば、商店の棚に銀色の缶カンが並んでたな、って
高瀬川の和樹
商店にさらっと並んでる脳缶 旅行ものCoCかな?
シャーリー
ミ=ゴってどんな味なんだろうと一時期ずっと考えていた
ザリガニに近いんじゃ? って説もありましたね

高瀬川の和樹
「んあ、なんだなんだ、いつものアイス泥棒って感じじゃねぇな」
割とシリアスな事態っぽいと気づき、慌ててちゃんと立ち上がって裏庭へ向かう。
シャーリー
「ですね……」一緒に向かうか……。
語り手
一番にかけだしたカリスを先頭に、裏庭に向かうみんな
そんなカリスは、庭に飛び出して、土煙を上げながらザザザーっとブレーキ
カリス
飛び出したところで、左手の方へと顔を向けると
「!?!?!?」
そこで驚いた顔で固まってしまいました
シロ
「にゃ?」おきた
語り手
そこへみんなも追いつくことでしょう
風馬
「だれかいたかー?」
語り手
そして、カリスが見ている方へ同じく視線を見せたみんなの前
ちょうど、板塀を跨いで乗り越えようとしている一人の姿が目に入りました
カリス(?)
「……」
その小脇には、ぐったりとした猫を1匹抱えて
高瀬川の和樹
「おお、おお。意外なとこで早速会ったな」
風馬
「なんかいる!」
シロ
「わん!!」
カリス
「え? え? だれ?」
カリス(?)
日焼けしたような浅黒い肌のその子は、みんなの方を少し見やってから
跨いでいた片足をひょいと持ち上げると、そのまま猫と一緒に板塀の向こうへ飛び降りて見えなくなってしまいました
シロ
「く、くろ、くろ……りす?」
風馬
「にげた」
高瀬川の和樹
「誰って、あいつがもう一人なんじゃねぇのか?」
カリス
「え、え、そうなのかな、やっぱり」
語り手
土を蹴るような足音が遠ざかってゆきます
シロ
「わん!!」
おいかけるぞ!
いまこそ《おくりあし》のつかいどころさん!?
でもあのこ【おとな】なさそう。
語り手
道が壁で遮られていた場合、シロって追跡できるのかな
シロ
だれかがぶん投げて壁を越えさせてくれれば?
加須 茜
茜マスドライバーで射出する?
シロ
いいならやるw
だめなら壁にペチンする。
加須 茜
「よーし、シロちゃん行ってこーい!」
シロ
「にゃ!!!!」
加須 茜
茜が振りかぶると、
折よく商店の中のテレビから
『~~学園、里中くん、大きく振りかぶって―――』
シロ
てゆーか追跡ならシロより飛べる人の方が
加須 茜
『第一球!』
「どりゃぁ!」
シロ
あぁぁぁぁぁーーーーーー!
ぴゅーーーーーーー
おそらに道は……ない!!!
高瀬川の和樹
「おお、おお。綺麗に飛んだ」
風馬
「シロがとんだ!」
語り手
シロの丸々とした真っ白な体が、放物線を描いて板塀の向こうに消え
シロ
ベチ
語り手
『―――ボール! これはよく見ていました!』
という声と同時に、板塀の向こうから
びちゃぁっ、という音
シロ
ズザザザザ
高瀬川の和樹
「あ」
シロ
スンスン
「ミチ ナイ……」
語り手
シロが華麗に着地を決めようとしたそこには、大きな水たまりがあるのでした
雨が降っていた様子もないのに
シロ
スンスン
シロ
一応行き先的には合ってたんだけど
水のミチは管轄外じゃのぅ
高瀬川の和樹
「あー、とりあえず、シャーリーも一緒に頼む」
シャーリー
「あ……はい……」
高瀬川の和樹
「んで、水場あんのか向こう」
普通に板塀を乗り越えたり・開けたり・《みずのみち》たりで向こうへ行けますか? >語り手
語り手
こちら側に入り口となる水が無いので、咄嗟に《みずのみち》で追うことは難しそうですが
和樹なら板塀を乗り越えることは簡単でしょう
シャーリー
鳥になって飛びまーす。
ぴゅーん
語り手
シャーリーはあっさりと板塀を飛び越え
水たまりの中で落ち込んでいるシロを見つけるでしょう
シロ
白い濡れ鼠がみずのなかにいる
「しょっぱいペッペッ」
シロ
あ、海水じゃなかったら涙でしょっぱい事にして。
語り手
大丈夫、しっかり海水
ミネラル豊富
シロ
お風呂に入らないと毛がゴワゴワになっちゃう
語り手
和樹もそれを見つけられます
高瀬川の和樹
では、よいしょっ、と板塀を乗り越え、ゆりと風馬に手を貸す。
カリスは越えられるなら自分で、越えられないっぽいなら手を貸す。
加須 茜
「おーい、大丈夫ー?」
シロ
「ふにゃ~」
高瀬川の和樹
おっと、茜さんにもだな。
ゆり
「投げたあんたがそれを言うの……? いいわよ、あたしは着物これだし」
カリス
カリスは、和樹の手を借りてよじ登ります
風馬
「ゆりいかないのか?」
ゆり
「行けるわけないでしょ、もう」
なんとなく着物の裾を押さえてゆり

語り手
乗り越えたみんなは、シロが浸かっているそれが、香りから海水であることがわかるでしょう
高瀬川の和樹
「あいつ、水を出して逃げたのか?」辺りをきょろきょろ。足跡とか水跡とかヒレ跡とかありますか?
語り手
全くありません
それこそ、板塀を乗り越えて降りたであろう場所には、カリスが履いているようなスニーカーの足跡があるのに、水たまりのところでふっつりと途絶えています
語り手
同じ力を使える和樹は、《みずのみち》のことに思い当たってもOKです
カリス
「逃げちゃった……」
シャーリー
「……ぴゅい……」
高瀬川の和樹
「うーん、こりゃ逃げられたな。《水の道》経由で。
っつか、こっち側に水ねぇのに出せるとかチートかよチート。俺もいい加減水筒持ち歩こうかな。お近くの無印で給水できる無印ボトルでもいいや」
風馬
「およいでにげたのか」
シャーリー
「シロちゃんを助けてあげて……ください……」
風馬
「シロがずぶぬれた」回収
シロ
ずるー
シャーリー
「回収されてます……」
風馬
「濡れたら重いな……」
シロ
ズッシリ
語り手
風馬は、その水に触れると
ぞぞぞ
と背筋が少し寒くなるでしょう(錆注意
シャーリー
「女の子に失礼ですよ……」多分。
シロ
海水だからね……
シャーリー
リーさんの知識、PLもよーわからん。
風馬
「……おふろはいいけど、水はにがてだ」すすっと後ずさり。シロはひきずる
語り手
ずるずる
シャーリー
ずるる
シロ
ずーるずーる
語り手
シロが引きずられた跡がナメクジの足跡のように

カリス
「ボクだったら、水を出せる……」
カリスは、背負っていた水鉄砲を手に取ります
高瀬川の和樹
「おっ、そうか。となると、後はどこ逃げたかだが……」
カリス
「「あれが、もう一人のボク……?」
高瀬川の和樹
「ああ、そういうことだろうな」
カリス
「なんで、逃げちゃったんだろう……」
シロ
「ネコ~」
加須 茜
「そういえば、猫ちゃんもおばちゃんもいないね」
シロ
「ネコ~もってた~」
高瀬川の和樹
「ああ、そういやミーコがどうとか言ってたな。
猫をどうにかしてぇのか? ……何かあった?」
語り手
突然の出来事に、みんなが首を傾げる中
『―――これは間に合わない! スリーアウト、チェンジ!』
というテレビからの声と、ちりりん、という風鈴の音が聞こえました

語り手
と言うわけで24時1分!
シャーリー
お疲れ様でした!
風馬
お疲れ様でした!
シロ
ありがとうございました!
高瀬川の和樹
お疲れ様でしたー!



コメント By.シロ
無人の町を、もうひとりのカリスを探して彷徨う一行。
しかしある店で彼女らしき人物を見つけ……

ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。