TRPGリプレイ ゆうやけこやけ 第十四話『旅するゆうこや』軽井沢(風波) 十五


語り手
みんなで浅間神社に行こう
高瀬川の和樹
行こう行こう
シャーリー
いこう
語り手
和風のシリアスな曲、らしい
高瀬川の和樹
鬼が出そうな曲だ
シャーリー
あ、でも笛の音とかそれっぽいかも
語り手
シャーリーが空から先導し、シロが道先を行きます
シロ
転がる白い球。
語り手
鎌原を出発したキャンピングカーは、今日も白い煙を細く上げる浅間山を横目に、
峠の茶屋を越えて
ぐねぐねとした山道を下ります
シロ
ナビが分かれ道を案内する頃に【正解】の道で花火が上がる。
ポーン
ゆり
「ここまではいいのよねぇ。
問題はこの先……」
風馬
「どうした?」
高瀬川の和樹
「おっと」花火に従って車をそちらへ向かわせる。
語り手
上から道を見下ろすシャーリーの視線の先で、車が道にみっちりと詰まっているのが見えます
シャーリー
しゅ、と車まで戻る。
ゆり
「どうだった?」
高瀬川の和樹
「おう、どうしたシャーリー」
シャーリー
「いっぱい車が居ます……」
ゆり
「やっぱりねぇ」
高瀬川の和樹
「渋滞か? ねぶたでもあるまいに、そんなに人気の場所なのかい」
ゆり
「星野リゾートと千ヶ滝の辺りからめっちゃ混むのよ。
ハルニレテラスもあるからね」
風馬
怪獣が暴れているというのに呑気なやつらだ>渋滞
語り手
日本人だもの
ちびきつねさま
「でも、今度はシロがいるだろう?」
シャーリー
「……?」ゆりさんの言ってることがよくわかってない鳥
シロ
ポーン、と花火が上がる。
導く先は、どう見ても半分私道っぽい細道だ。
地図を見ると通り抜けができるようには見えないが……
高瀬川の和樹
「うぉ、細。あっちが抜け道か? ゆりぃ、抜けんの手伝ってくれ」
ゆり
「ちょっと待ちなさいよ……」
和樹が握るハンドルが、時折それを手伝うように、勝手に動きます
高瀬川の和樹
「おう、悪ぃ悪ぃ。助かる」
シロ
ぽぽーん、とさらに道は林の奥へ。
(ゆーちゃんのおしりおっきいな)
(こっちのみぎのほうがはやいけど、どうしよ)
ポスン、と右の道でちょっぴり自信なさそうに花火が上がる。
風馬
「山の中だ」
語り手
人が道、と言えばアスファルトという漆喰で固めた道ですが
道の怪にとっては、それは人が勝手にそう呼んでいるだけ
通ることができるなら、そこは充分道なのです
そして、道の怪がそれを道だというのなら、それに続くものも、それを通るのに不便は無いのでしょう
高瀬川の和樹
「ゆりぃ、車幅ちょいと詰めてくれ。擦っちまいそうだ」
ゆり
「そんな無茶な」
高瀬川の和樹
「気合でなんとか頼む」
シャーリー
鳥は空に戻っておきますね。
シロ
くまさんがとおれるからへいきへいき
ゆり
「ちょっと強引に行くわよ……」
ぐにゃ、と車の中が歪みます
シロ
あっ、だいじょぶだいじょぶ。
風馬
「わっ」
ちょっと車高が上がった!
ゆり
「メルセデスのウニモグ。最大斜度45度でも走破するモンスタートラックよ」
語り手
獣の足のようなタイヤががっちりと岩や土を噛み、かき上げて進みます
シロ
どう見ても狸か狐の巣の跡をお邪魔して。
風馬
さようなら狐狸の巣
シロ
跡だからへーきへーき。
語り手
それは確かにゆりの言う通り、トラックの力にも見えましたが
どう見ても車が通れなさそうな狭い狭い木立の間や
狐狸の進む穴の中までも潜って行ってしまいます
沢を登り、崖を降り
白い毛玉のようなシロがぽんぽんと跳ねて行くそれに続いて、トラックは平気でそれらを通って行きます
高瀬川の和樹
「45度! そいつぁすげぇや。おお、登る登る。っは、にしてもこいつぁ無茶だ」狐狸の穴までもすり抜けていく車に、けらけらと笑う。
語り手
和樹のハンドルの横、ナビの画面には、もはや道などどこにも映っていないようなところを、トラックは走ります
高瀬川の和樹
「持つべきもんは仲間ってか。ちと肩の力が抜けたぜ」
ゆり
「ウニモグがどうとか言うレベルじゃないわね、これは……」
風馬
「あはは、この車イタチみたいだ」
語り手
イタチやテンのように、車がぐねぐねと岩を木をかわして野山を駆ける有様
高瀬川の和樹
「イタチか! 間違ってねぇかもな。俺達の前行くのは道の怪だ」
シロ
くるまがにゅるんぬるんと走る光景を目にできるシャーリーさん。
シャーリー
ゆうこやだからSANチェックない やった
空から車を見てみよう。おや、変な車が……?
ユニティ
「一体、どうなってるんだ、この有り様は!」
ヨシノ
「すごいすごい、鬼が走るよりずっと速い!」
高瀬川の和樹
「あいつにとって道ならそこは道なんだよ。あいつは道の怪でこいつは乗り物の怪だ。人や車の道理が通じるわけねぇさ」自分達が物の怪であることを思い出したように、けらけらと笑う。
ユニティ
「出鱈目だ! 下手な星人の方がいくらかマシだ!」
シロ
「ぷはー。いちおーヒトのミチにいったほうがいいのかな?」
山越えてからなんとなく思い出した。
「しーちゃん、ヒトのミチどっちー?」
シャーリー
「こっちです……」
シロ
「あすふぁるとーーーー!」
平地に出たらシャーリーについて走る。
語り手
やがて、突然に目の前が開いたと思ったら
そこは、アスファルトの道でした
どすん、と言う揺れと共に、トラックのタイヤが沈み込んで着地します
高瀬川の和樹
「おっと、さぁて、他の車は居るかね」
出てくるタイミングで数度ハンドルを切り、切り返して出てきたように見せかける。
シロ
「やったー! ごーーーる! まであとすこし!」
語り手
和樹のすぐ横の画面から
『およそ100m先、目的地周辺です』
という声が聞こえました
目の前に突然トラックが現れた後の車が、桁たましいクラクションを鳴らし、甲高いブレーキ音を上げていました
シャーリー
「頑張ってください……」空から車を応援し アッ
高瀬川の和樹
「おっと、悪い悪い」車の運転手にひとつ会釈する。
シロ
「ピャッ」
こわいからゆーちゃんの上に避難するね……
高瀬川の和樹
「よっし、おかげで大分時間短縮になった」一瞬片手でVAPEを咥え、煙を吐いて気分を変える。
人間の道に戻ったなら人間なりのルールってやつがある。VAPEの香りは気分を戻してくれて丁度いい。
風馬
「すごかったな、帰りも走ろう」無邪気
ゆり
「よしてよ」
高瀬川の和樹
「おう、シロに余力がありゃ悪かねぇかもな」
シロ
「わん!!」
語り手
そして、トラックは一つの古ぼけた神社の前に到着するのでした

ゆり
「とりあえず……ここみたいね」
風馬
「ここにかみさまがいるのか」
高瀬川の和樹
「居てくれた方が有難ぇな」
シャーリー
神社の鳥居の上に向かいます。
私は鳥。
シロ
鳥居に止まる鳥
高瀬川の和樹
参道で一礼してから、神社の中へ向かう。
語り手
砂利が敷かれて、雑草がわずかに生える駐車場にトラックを止めて、みんなは奥に見えるお社へ向かいます
シャーリー
向かいまーす。
語り手
そこは、とても小さな神社でした
あの、雄大な浅間山の神様をお祀りしているようには、とても見えない……といったら失礼でしょうか
風馬
きつねのいえよりでかい!!
シャーリー
悲しいね……。
「……あまり人が来ないんですかね……?」
語り手
シャーリーの言う通り、日も傾いてオレンジ色の光が木立の隙間から差し込むそこには、誰の姿もありませんでした
シロ
「でもココからニオイがしたんだぞ」
語り手
シロの言う通り、そこにはあの大きな山と同じような
不思議に落ち着いたどっしりとした空気が満ちていました
高瀬川の和樹
一先ずお社にお参りする。
ゆり
「ほら、あんたたちの分も」
ゆりが、みんなにお金をちょっとずつ渡してくれます
いね
「お小遣い!」
ななくさ
「でござる!」
風馬
「これをあの箱にいれるんだぞ」
みき
「お賽銭だよ……そうそう」
ヨシノ
「これ、お供えするの?」
風馬
「箱に入れるとちゃりんっていうぞ!」目的はあまりわかっていない
シロ
ヒトにならないと難しい
今何時頃かな?
語り手
夕方の終わりくらいですね
高瀬川の和樹
シロを持ち上げて賽銭箱の前まで持ってってあげよう。
シロ
かがんだ和樹の鼻先にピコンピコンと耳があたる。
高瀬川の和樹
と思ったらその瞬間に人になった。
シャーリー
とりあえず一瞬だけ人に戻り、お参りをする。そして鳥に戻る。
高瀬川の和樹
「神様神様、お邪魔しています。俺達は藤葛木って町から来ました」
賽銭を投げ入れ、鈴を鳴らして、礼の仕方の立て札を見ながら礼をする。
語り手
静かな境内に
しゃりん、しゃりん、と鈴の音が鳴ります
シロ
「こんにちはーーーー!」
シャーリー
「お邪魔……します……」
語り手
そして、思い思いに頭を下げたり、柏手を打ったり
そうしてしばらくお辞儀をして顔を上げると


女の子
「こんな時頃に、こんな寂れた神社に、こんな変な取り合わせ」
シロ
「にゃ」
慌てて耳を両手でナイナイ。
風馬
「こんにちは」
シャーリー
ちゅん
高瀬川の和樹
「おや、今晩は。挨拶が悩ましい時間だな」
女の子
ふと気がつくと、神社の縁台に、一人の女の子が腰掛けていました
「こんばんは」
シロ
「こんばん!!」
女の子
「てんでんばらばらの妖が、ひぃふぅみぃ」
白く細い指先で、みんなの顔を指差して。
「いったい何の悪戯をしでかそうというのか」
シロ
バレテーラ
風馬
「てんでん……?」
シロ
「いたずらじゃないもん!!」
女の子
「おやおや」
女の子
張り切るシロに、少しのけぞるようにすると、揺れる枝葉の日の光の加減か、その女の子の姿がふらふらと揺らぎます
高瀬川の和樹
「悪戯はしないよ。こちらの神様にちとお話したい事があってね」
風馬
「オレたちかみさまを探してるんだ」
女の子
「へぇ、そう」
時折、幾重もの着物を着ていたり、裾がかすかな緑に染められた、素朴な白い着物を着ているようにも見える、不思議な女の子は
ほんの少し、面白そうに微笑みました
シャーリー
「ちゅん」
シロ
「んん???」
目をこすってる。
女の子
「神様を探して、何をお話するの」
シロ
「ムカシのことおしえてって!!!」
女の子
「昔?」
風馬
「もみじが大変なんだ」
高瀬川の和樹
「その昔、この山の力を抱え込んで、土の下に潜っていった鬼がいたろう」
女の子
「ああ。
そんなこともあったっけね。
でも、もうすぐみんな山に呑まれて無くなってしまうよ」
シャーリー
「……?」
シロ
「そんなのやだよ!」
風馬
「だからもみじはもみじをやっつけろっていってるんだ」
女の子
「そう」
高瀬川の和樹
「そう、その話さ。もろとも呑まれてなくなってしまうのは惜しくてね、なんとかならんものかと、神様にお伺いを立てに来たわけよ」
シャーリー
「……なんとか……なってほしいです……」神様~~~!!!
女の子
「でも、永い時を生きることを捨てたのは、人じゃないの。
山に呑まれて呆気なく消えてしまうのも、仕方がないんじゃないの」
シロ
「えぇ?」
高瀬川の和樹
「捨てた?」
女の子
「ああ、こっちの話。今のあんたたちに言っても詮の無いことだよね」
シロ
移り住めば良かったのにって言いたいのね。
風馬
天孫が面食いだった話じゃなかった
シロ
めっちゃ遡ったな
高瀬川の和樹
天孫が面食いだった話かもしれない
女の子
「まぁ、それは置いておいて。
あなたたち、この土地のものじゃないでしょう。
なんでそんなに頑張るの」
シロ
「えぇ? なんで???
なんでだろ???」
ユニティ
「くどくどと持って回った言い方をするやつだな」
風馬
「みんな困ってるからだぞ?」
ユニティ
「助けるつもりがあるのか無いのか」
シャーリー
「……あります……」ちがうこっちじゃない。
鳥なのに普通にしゃべってしまったので無害っぽい顔をする。
高瀬川の和樹
「知り合って一緒に飯食ったからかねぇ。同じ釜の飯っても…… おーい、ユニティ。交渉中に短気は勘弁してくれよ」
女の子
「一緒にご飯を食べたら、どうなるの」
高瀬川の和樹
「縁ができるのさ。知らん奴じゃなくなる。
知らん奴じゃねぇと思えば、一肌脱ごうって気分にもなる。
そんなもんかねぇ、と思うよ」
女の子
「縁、ね」
ヨシノ
「人が死んじゃったり、住むところがなくなっちゃったら、みんな困っちゃう」
シロ
「みちもうまっちゃうんだぞ」
女の子
「ふうん。
そういうものか。
私には縁なんて、それこそ縁のないものだけど」
風馬
「なんでだ?」
女の子
「縁が結ばれなかったからね」
高瀬川の和樹
「そちらも色々あるようだね」
女の子
「それはそれとして。
あなたたちの中で、一番力がありそうなのが、そこの子みたいだけど」
女の子
白い指先で指すのは、ユニティ
ユニティ
「ウルトラマンだからな」
女の子
「うるとらなんとかは知らないけど。
その子が、助ける気がないなら、山をどうこうしようなんて、どだい無理なんじゃないの?」
ユニティ
「何だと?」
シロ
「そうなのか」
風馬
「ないのか?」
ユニティ
「いや、俺は……」
シャーリー
「なんとかしてくれますか……?」ユニティくーん!
ユニティ
「ウルトラマンだ。だから、助けなければならない。
助ける理由なら、それだけで……」
シロ
「ウルトラ? ってそういうものか?」
風馬
「ゆにてーはもみじをやっつけたくないだけで、山をやっつけたりはしないぞ」
ユニティ
「いや、俺は……」
女の子
「まぁ、いいよ。
別に、私が何かしてあげられるわけじゃないし。
別に、意地悪をするつもりもないから。
方法だけ、教えてあげるよ」
シロ
「ダレ??」
キツネっぽくもタヌキっぽくもないなぁ……フンスフンス
高瀬川の和樹
なんとなく察し、背筋を伸ばして真っ直ぐに向き合う。
女の子
よっと、と縁台から女の子は飛び降り、みんなに向かいます
「その鬼の子は1、山の力を飲み込んでしまったんでしょう?
だったら、それを引き抜いてあげればいい」
ヨシノ
「山の神さまの……ツノ……」
風馬
「つのをぬくのか、いたそうだな……」
シャーリー
「……絶対……痛いです……」
語り手
みんなは、怪獣の姿になってしまった紅葉の体から生えた、幾つものツノ、杭のようなものを思い出します
女の子
「痛いかもね。
でも、それよりも。
山の力は、八つで一つ」
シロ
「やっつ!」
女の子
「全部一緒に引き抜かないと。
一つでも遅れたら、山の力は、残った弱い方に流れてしまうから。
そっちの方は、火と土に呑まれてしまうだろうね」
シャーリー
「そうなんですか……?」燕の知らない世界……。
高瀬川の和樹
「だいばくはつ、ってか。分からいでもねぇな、難儀なもんだが」
風馬
「あれ……あれ? とげをぬいたら、火山がふんかするんじゃないのか?」抜けないように押さえてたんじゃないのかと思い出して
女の子
「そうだよ。
でも、全部一緒に抜いてしまえば、力は平らになる。
少しくらい地面は揺れるかもしれないけど。
それくらいなら、今の子は大丈夫なんじゃない? 知らないけど」
風馬
「そうなのか!」
シロ
「ええーでもだって、うるとらのうでにほんしかないんだぞ?」
風馬
「そうか……でも困ったな。ゆにてー、だいだらぼっちの友達いないか?」
高瀬川の和樹
「まぁ、諸共なくなるよかマシだわな」
ユニティ
「……」
高瀬川の和樹
「……成程な、ありがとう。それを聞けただけでも、随分と助かったよ。
 後は、どうすりゃあいいか考えるだけだからな」
風馬
まずゆりがユンボになることで
シロ
でっかくなるとかそういうはなし、ちらっとは聞いてたんだよね。
いね
「あ、でもそれなら!」
ぴょん、といねが飛び跳ねます
シャーリー
「ちゅん?」
ななくさ
「あれでござるな!」
シロ
「ドレ??」
シャーリー
「あれ……?」
みき
「そうか、ユニティくんなら……!」
語り手
いね、ななくさ、みきが、目を輝かせてユニティを見やりますが
ユニティ
「……」
ユニティは、難しい顔をしたまま
みんなの視線にも向かないまま、しばらく、女の子を睨みつけてから
「……そうしたとして、紅葉はどうなる?」
そう、尋ねました
女の子
「死んじゃうんじゃない? 不死身じゃあるまいし」
女の子は、さらりと言ってのけます
「だいたい、鬼だか何だか知らないけど、無理やりなことをしてるんだもの。
目的を果たしたなら、それでいいんじゃないの」
高瀬川の和樹
「あの時生きてた鬼の連中は、もうみんな死んじまったんだったな……
人より永かろうと、終わりがねぇわけじゃねぇんだ……」
シャーリー
「……」
風馬
「うーん、それじゃダメか」
シャーリー
もう楽にしてあげたいという心とこれはあったかいゆうこやって思ってしまう気持ちが
ユニティ
「……」
ぎり、とユニティの歯が鳴ります
シャーリー
「ユニティさん……?」
ユニティ
「行くぞ、お前ら」
シロ
「どこ?」
風馬
「どこいくんだ」
ユニティ
「神だか何だか知らんが、時間の無駄だったな」
女の子
「そう?」
シャーリー
「……はい……向かいましょう……」なんか知らんけどついてくぜ!
シロ
「ん~~~~~」
シャーリー
「別に動くなら連絡役になります……」
風馬
「まださがしてないぞ?」
ちびきつねさま
「いや……
みんな、薄々感じてはいるかもしれないけれど、その方こそがこの地に祀られた神様だよ」
風馬
「そうなのか!?」
シロ
「そうなのかー」
女の子
「うん。まぁね」
高瀬川の和樹
「そうだろうとは思ったよ。ずうっと遠い目をしていたからな」
シロ
「ん? じゃああのツノって。
あのえのヘンなカオって。
……にてない」
シャーリー
「ヘンなカオ……」
ヨシノ
「変て言わないで……」
一応、鬼のお宝絵巻
女の子
「まぁ、何でもいいよ。
とにかく、人の里を守るならそれしかないし。
鬼の子をとるのか、人の里をとるのか。
君たちで好きに決めたらいいんじゃないかな?」
シロ
「む~~~~」
高瀬川の和樹
「話が元に戻っちまったなあ……。討つよりゃあ、まだいいかもしれんけどさ。
時間の定めが相手じゃあなあ、くそ」
シロ
「ぬいたらなんでしんじゃうんだ?」
女の子
「そりゃぁそうでしょ。袋に入りきらないだけ米を詰めたら、破れるものだし。
それでなくたって、その子の命は、本当ならもっと早く無くなっていたはずなんだし。
君たち定命の者の定めなんだからさ」
シャーリー
「……そうですね……」
女の子
「今死ぬのか、明日死ぬのか、そんなに変わらないんじゃない?」
風馬
「うーん、こまったな……」
シロ
ツノの力で維持されてるから、ツノ抜いたらしんじゃうよってことか。
高瀬川の和樹
そもそも同世代の鬼ーズがみんな死んでいるということは、元々の寿命がそこまでなかったっぽくもあるんですよね。
シャーリー
頭がザールギアス(ソドワ)になってきてるから駄目……。
語り手
実際、そう言うことですね
ツノの力でとりあえずは生きてるけど、って感じ
風馬
「そうだ、よしの」
ヨシノ
「な、なに?」
風馬
「おにっておばけにならないのか?
人やけものは死んだらおばけになるだろ?」
シャーリー
「お化け……」
シロ
おにがおばけになったら……それは「ゆうれい」という別種なのだろうかはたまた。
ヨシノ
「鬼は……時が来たら、肉の体を捨てて精霊になるんだよ。
それで、みんなを守ってくれるんだ」
風馬
「せいれい……」また難しい概念が出てきた
シロ
せいれいだった。
シロ
「とちがみさま、みたいな??」
女の子
「別に難しく考えることはないさ。
それも死、これも死。
言い方を変えているだけなんだからさ」
ヨシノ
「……」
ヨシノは、ちょっと泣きそうな顔になります
シロ
要は死ぬよってことかな?
高瀬川の和樹
「なあ、神様。いずれ死ぬのは俺達の定めだけどさ」息を吸い、VAPEの煙を吐くときのように、深い溜息をつく。
「いずれ死ぬ森の木がまた生えるように、月が欠けてまた蘇るように、何か残してやることはできんかなあ」
シロ
「あってるけど、なんか、つめたい(プンスコ)」
女の子
「さぁ……
君たち定命の者は、みんなそうやって、死んだ後のことを気にするよね。
私にはよくわからないな」
シャーリー
「むずかしい……です……」
シャーリー
まぁ死の後を考えるのは本能だものね……。
風馬
「かみさま……かみさまって他にもいるぞ。何て名前のかみさまなんだ?」
女の子
「私の名前なんて知って、どうするんだい。
君だって、明日死んだら、何も残らないんだよ。
いつだって、私だけが残るんだからさ」
風馬
「次に呼ぶとき困らないぞ。オレは風馬、にわとりだ! ……けどにわとりはたくさんいるからな」
シャーリー
「ちゅん?」死をおびえるぐらいのCPU、鳥にあるかな……。
シロ
ここでもじょういそんざいにすきかっていわれる!!
(プンスコ)
シャーリー
本能には逆らえない~~~!!! あ~~~!!!
高瀬川の和樹
「そうか、ずっと見てきたんだな、神様は。
俺達は何度も見送れるほど永くないから、引きずっちまうんだろうね」
女の子
「死んだら残るもの、か。
そういうの、考えるのはさ、君たちこそ得意なんだろ?
私の出る幕じゃぁないよ」
シロ
「かんがえる……」ニガテ
シャーリー
「ちゅん」苦手!
風馬
「………」
女の子
そして、女の子は、さてと、と腰に手を当てて
「そろそろ黄昏時も終わるかな」
つまりは……
シロ
まあでもだからって放置しててもモミジさまは苦しむしいつ抜けるかわからんしで
選択肢はあるようでないな~
シャーリー
まぁここで楽にするのが良いとPLは思っちゃうんだよな……。
この思想をちょっとリーさんに反映させないようにしないと。
シロ
本当のお話を後世に残す、くらい?
風馬
それは思ってた
シャーリー
ですねぇ……
トロッコ問題のようなのよ……。
シロ
でも人間を犠牲にしてモミジ様を残すって方法は今んとこないよね。
高瀬川の和樹
そもそも何もしなくても紅葉様は限界を迎えてだいばくはつしちゃうしね。
シャーリー
それなんですよね
シロ
だからまずは爆発を抑えるためにユニティの力を借りるのは必須としてー
モミジサマに何かしてあげられないかな、ってことだよね。
高瀬川の和樹
ですな。

高瀬川の和樹
「……なあ神さま。山の力を少しなりとも分けてさ、精霊でも森の獣でもなんでもいいから。
生かせんかなあ」
意識的にゆったりとした口調で、それでも和樹には珍しく、ぎりぎりまでごねる。
女の子
「君たちはいつも勝手なことを言うよね。
君たちこそが、定命であることを選んだっていうのにさ。
まぁ、じゃぁ一つだけ。
そこの獣くん」
ちびぎつねさまを指差します
ちびきつねさま
「はい」
女の子
「集めてるんだろ? 神様の縁とかをさ。
それなら、私の縁も携えてゆくといいよ。
もしかしたら、それをうまく使うこともできるんじゃないかな」
風馬
「……いいのか?」
女の子
「構わないよ。
どうせ、君たちもいずれ死ぬんだ。そうしたら、消えるだけさ」
風馬
「でも、オレたちまだお前のこと手伝ってないぞ」
女の子
「君たちに手伝ってもらうことなんて、ないさ」
風馬
「何も困ってないのか?」
女の子
「さぁ……時間だけはあるからね」
シロ
「ふーん?」
高瀬川の和樹
「……ありがとう、神様。勝手で悪いね。俺達定命の者の我儘を聞いてくれて、本当に感謝する」深く、一礼する。
女の子
「そんな大それたものじゃないよ。少なくとも、私にとってはね。
お礼を言われるようなことでもないな」
風馬
「そうなのか。何かほしいものないか? うまいパンとか」
高瀬川の和樹
「俺達は勝手だから、勝手に礼も言いたいのさ」
女の子
「そうなんだろうね」
風馬
「あれ……山のちからってもともとかみさまのものなんだろ? とげを抜いたら返さなくていいのか?」
女の子
「……好きにしたらいいさ。
それじゃ、そろそろ。
黄昏時の悪戯も終わりの時間だ」
女の子の姿が、陰ってきた陽に揺らぎます
そして、彼女はくるりと背中を向けて
どこかへふらりと、霞むように消えてゆくのでした
高瀬川の和樹
「ああ、また来るよ。あなたにとっては一度も二度も、一瞬の事かもしれないがね」
女の子
どうでもいいよ
と言う声が、木々のざわめきの中に、囁いたような気がしました
シロ
「ニオイ、うすくなった」
語り手
そして、女の子が消えると
ちびぎつねさまの背負う巻物がするりと解け、いつもよりも静かに、空白の部分が現れると
そこに、一つの名前が記され、最後に『ぽん』という音と共に朱印が押されるのでした
そこには
『磐長比売』
とだけ記されていました
イワナガヒメ
風馬
やっぱおねえちゃんじゃん
シロ
ふるいかみさまだった
高瀬川の和樹
そりゃ自分を選ばなかったせいで定命になったのにあれこれ言ってたら拗ねるわなあ
シロ
不美人じゃなかったぞ
風馬
美醜の基準は時代とともに
語り手
そうそれ
シロ
うりざねじゃなかったからだめなのか。
風馬
つまりすごいふしぎで婚活パーティ開けばいいんだな
シロ
なるほど!? うちのキツネさんイケメンですよ!
姫様にしてみれば赤ちゃんだろうが。
風馬
ゆにてーくんも青田買いするなら今ですよ!
語り手
かといって、ここでイワナガヒメさまに結婚されてしまうと、宇宙の法則が乱れることになってしまうので

風馬
「……なが……?」
シャーリー
「よめない……」
ちびきつねさま
「イワナガヒメさま。遥か神代の昔……
そうか、縁が結ばれなかった……か」
ちびぎつねさまは小さく、寂しそうに呟きました
風馬
「いわながひめ、そういう名前か」
高瀬川の和樹
「……そりゃ、まあ、拗ねるわなあ」
どこか納得がいったように呟く。
物知り和樹
高瀬川の和樹
イワナガヒメの物語、和樹は人間の伝承ベースで(本やWebでどこかで読んだとかで)知ってるんじゃないかと思ったのでこんなコメントになりました。
シロ
ものしりー
高瀬川の和樹
たぶん名前と概略を知ってるくらい。
シャーリー
さすが
高瀬川の和樹
夜中のWikipediaサーフィンで知ったとかかもしれない。

シャーリー
「……いわながひめ……」
ユニティ
「……フン。
一人で勝手に完結して、訳知り顔で。
いけ好かないヤツだったな」
風馬
「うーん……
さみしいのかな?」
高瀬川の和樹
「かもしれねぇなあ」
ユニティ
「知ったことか。時を無駄にしたな」
風馬
「でもあわゆきみたいに怖い顔じゃなかった」
高瀬川の和樹
「ま、そりゃあいいや……。とにかく、どうするか考えねぇとなあ」
シロ
「でもいろいろおしえてくれたぞ」
いね
「ねぇねぇ、ゆにてーくん、またばーーーーってやろうよ」
ななくさ
「そうでござる、みんなで力を合わせて」
シャーリー
「……力を合わせたら……なにかできるんです?」
ユニティ
「余計なことは言うな」
シロ
「なんとかできるのか?」
ユニティ
「……」
みき
「彼は……」
みきが口を開きます
「他の人も、ウルトラマンにする力があるんです」
風馬
「みんなでっかくなるのか?」
シロ
「ええー!」
シロ
「すごい!!」
高瀬川の和樹
「……」
ユニティ
「……やらない」
シロ
「なんでーーー」
シャーリー
「……やりませんか?」
ユニティ
「……」
ユニティは、ぎり、と拳を握りしめました
「それで、山の力を抜いて。
それで、どうなる」
みんなに背中を向けたまま、噛み締めるように、言葉を吐きます
シロ
「そしたら、いたいのなおる!」
シャーリー
「ええ……痛いのが治ることはいいことです……」
ユニティ
「そうかも知れない。
だが、それで紅葉は死ぬんだ」
風馬
「でも死んじゃうんだよな」
シロ
「……
そっかー……」
ユニティ
「紅葉は……
人のために、背負い、死ぬより辛い目に遭って。
それで、どうなる?」
悔しそうに、足を踏み、砂利が鳴ります
「死ぬんだ! 化け物として、怪獣として!
今を生きる連中は、それを見て喜ぶだけだ!
ああ、良かった、助かった、ありがとうウルトラマン、ってな!」
シロ
「うーーーーん」
シャーリー
「……あ」
風馬
「ちゃんと教えてやらないと」
なんとかしたい
シャーリー
祭りを作ろう(雑な提案)
シロ
いいんじゃないかな
風馬
ここはモミジ様と磐長姫様に水星の浅間山をやってもろて
シロ
正しい伝承を元に舞い踊る祭りでも作ればいい。
語り手
「あら、軽井沢ってお堅いのね」
シャーリー
軽井沢は水星だった?
風馬
かたいざわ

高瀬川の和樹
ひとことも言葉を挟まずに、静かに彼の言葉を聞いている。
ユニティ
「この地を救ったのは、俺……ウルトラマンじゃない!
誰よりもこの地を愛して、守ったのは、紅葉だ!
俺の力は、そんなことのためにあるんじゃ無い」
高瀬川の和樹
「なぁ、ユニティ」
彼を諭したあの時とは違い、低く、寂しそうな声でひとこと息を吐く。
「何かの残し方は俺達こそ得意だって、神様は言ったよな。
せめて残せねぇかなぁ、紅葉と人間の覚悟とさ、正しい物語を。
俺だってそれでいいなんて思ってねぇよ、諦めたかねぇけどさ、いい手が浮かばねぇんだ」
シロ
「のこす?
あの、モジとかおはなしとか え みたいな?」
高瀬川の和樹
「ああ。そうだ」
ユニティ
「書き残した記録なんて、簡単に違えられる。俺たちは、あの博物館で見て来たじゃないか。
そんなことが、何になるっていうんだ!」
語り手
ユニティが、悔しそうに俯きます
風馬
「……でも、あの本は。
あの本は、もみじがああやって書けっていった本だぞ」
ゆり
「ていうか……
なんか、どこかで聞いたような話じゃなぁい?」
ゆりが呟きます
「ほら、北海道のさ……」
シロ
「ほぇ?」
語り手
たぶん、皆さんそういうこと考えてるんじゃない?
というゆりのフリです
ちがってたらごめんね!
高瀬川の和樹
【アイデア】ロールか? 【アイデア】ロールなのか?(ゲームが違います)

語り手
とりあえず、今日のとこはここで締めよう!
風馬
お疲れ様でした!
シロ
おつかれー! おやすみー!
高瀬川の和樹
お疲れ様でした!
語り手
もし、皆さんもっと良い閃きあったら、ゆりの呟きカットで!
正直、毎度のことではあるんですが、良き解決方法は皆さんで存分に閃いていただいていいのです!
溜まった不思議に不可能はないのですから!

……とりあえず、ゆりは北海道で淡雪やかつての鹿角組が、蜘蛛のお話をみんなに刷り込んでたなー、ってとこから呟いてるだけですので!
それが語り手の用意した正解というわけではありません!
高瀬川の和樹
あー、なるほど! 紅葉を生かす方法じゃなくてお話の方!>刷り込んでた
シロ
それがまあ普通に考えて一番取りやすい手段だよね。
風馬
なるほどつまりイワナガヒメが激マブという意識を天孫に刷り込むことで
シロ
なるほど!? それふしぎいくつ必要……
語り手
紅葉生かすルートも、もちろんあっていいと思います!
そうすると、今の人類が不老不死になってしまうのですが
シロ
モミジサマを山の神様にしちゃえばー?
自分のになったら抱えるのに無理はなかろーもん
風馬
ただそれもみじさんがそんなこと望むかなぁってのも
シロ
そのへんもインタビューしたらいいんでないかなー
高瀬川の和樹
山の神様というか、刷り込んだ伝承をベースに新しい神として祭り上げるとか? 前作でも近い事やってたし
シロ
すぐカミサマにしちゃえば? とかいうな私w
高瀬川の和樹
それが同じ紅葉様かどうかは分からないあたり、ちょっとビターでいいんじゃないかと
語り手
まぁ紅葉さんはこの地が末永くお幸せに!になるならOKな気も
閉じ込められるのが可哀想だ、というなら、お出かけOKなご都合な神様にしてしまうとか

溜まったふしぎに不可能はないのですから!
風馬
いわながさんとは茶飲み友達にでもなってもろて
シロ
神格が上がるならいいんでないかな!!(雑)
ずっと力抱えてたなら影響されて近しいものになっててもおかしくないしー
高瀬川の和樹
「死んだらみんな消える」ってイワナガヒメさんは言うけど、この世界「ゆうれい」が存在する世界なので、必ずしもイワナガさんが知ってる通りでもないはずなんですよね
語り手
確かに、山の神になったらほぼ不老不死だし、紅葉✖️イワナガヒメさまというカップリングも幸せかも知れない?
高瀬川の和樹
なるほどそれはイイかもしれない。
山で二人仲良く。
風馬
お前達定命のものって言われてもすねこすりとか寿命あるんかいなだしな
語り手
そりゃあありますよ
シロ
スリスリできない時期が長く続いて、道から離れてたらションモリして消えるんじゃない?
語り手
情報から生まれた存在が死ぬのは忘れられたり形を変えた時だろうし
ある意味いつ死んでもおかしくはない存在といえる
シロ
そもそもミチを存在させる生き物がいなくなったら多分存在できなくなるよぅ。
風馬
儚い
シロ
みちのけは割と人に認識して貰って初めて存在できるもののようだしねー
語り手
まぁそんなわけで、皆さんの良き解決方法を楽しみにお待ちします
風馬
しかしそれはそれとしていわながさんよりタツミちゃんや淡雪さんのほうが年上なんじゃないかと……
シロ
タツミは寝てた時期考えなければ最年長だな。
語り手
実はそう〉タツミ
高瀬川の和樹
人類が滅んだ後に反映するカブトムシ型生物の歩いた痕は道扱いになりますか
語り手
なりますね
なんなら、人類滅亡後のナメクジ生物のもOKですね
シロ
ぬめぬめは毛がくっついちゃうから……
高瀬川の和樹
やったぜみちのけ強い
シロ
でもたぶんそういうとこのみちのけってフサフサしてなさそう。
語り手
ぬめぬめしてそう
シロ
とぅるんっ
風馬
シロからツルに戒名
高瀬川の和樹
ツル! 北海道の話に戻っちゃった

コメント By.シロ
もののけのちからで混雑をあっさりと抜けて浅間神社に向かった一行は、神社で不思議な少女と出会います。
なんだか超越したような物言いをする少女は、神の力を抱え込んでしまったモミジについて教えてくれるのでした。
ですがそれはあまりにも残酷な現実で……

ゆうやけこやけ

第一~二話『龍の眠る滝』『ともだち』
第三話『ふしぎなともだち』
第四~六話『ふたりのかげ』『たそがれのまど』『とびらをひらいて』
第七話 『さくら咲く頃』
第八話 『ふたりの娘』
第九話『みあげればそこに』
第十話『旅するゆうこや』 1 2 3 4 5 6
番外 こどもとTRPG 準備 『まいご』 『たからもの』 『化けニャン』

これは『インコグ・ラボ』が権利を有する『ふしぎもののけRPGゆうやけこやけ』の二次創作物です。