SCENE 5 爆裂猫
SCENE 6 異変
SCENE 7 機関部
SCENE 8 迫り来るもの
SCENE 9 線路を辿る恐怖
SCENE 10 決意
SCENE 11 朝日
ENDING

SCENE 5 爆裂猫

DL
目が覚めると、病院にいます。時計を見ると十二時まわってますね。
ヴィクトリカ
壁の時計を外して、それでヨハンを叩く。
ヨハン
それで飛び起きる。
ヴィクトリカ
「十二時の重みを思い知ったか」
ヨハン
「痛ぇー」
ヴィクトリカ
「見ろヨハンッ!」
マグノリア
アルバートは?
DL
いない。いるのはこの三人と、包帯グルグルでぶっ倒れているクリフだけ。
ヴィクトリカ
「しかし、1000$消えたことだし、考えように寄っちゃあ諦めがついていいな」
マグノリア
「ところで、さっきからセンドルセンドルって何の話かしら」
ヨハン
「あの猫の名前だ(笑)」
DL
まだ言うか。
マグノリア
「随分変わった名前なのね」
ヨハン
「持ち主がお金が好きなのだ」
DL
しかし、さっき投げ合っているのを見て、やべぇー、爆発すると思ったよ。
ヴィクトリカ
「……しかしなんだ、最近の猫は爆発するのか?」
マグノリア
「そんなわけないでしょう」
ヴィクトリカ
「血液の代わりにニトロが流れているとか、そういうことでもあるのか?」
マグノリア
「そんなもの、もう生き物じゃないわ」
ヨハン
「それにしてもあの1000$は惜しいことをした」
ヴィクトリカ
「そうだな。それ以前にもう一つ問題がある。あの猫は本当に何なんだ? あれに触った瞬間、オレたちのエーテルリアクターがおかしくなったぞ」……じゃないの?
DL
うん、そうだよ。
ヨハン
「俺は触っていないからさっぱりわからん」
ヴィクトリカ
「死ぬかと思ったぞ」
ヨハン
「やはりあの猫はただの猫ではなかったらしいな」
DL
そこへ依頼人の男、クシィが見舞いに……やって来た。渋ーい顔をしている。
マグノリア
「あら、こちらの方はどなた?」
ヴィクトリカ
「知らないよー(空々しく目を逸らす)」
マグノリア
「何の御用で……」
DL
クシィはマグノリアとヴィクトリカには目もくれずにヨハン神父に話しかける。
マグノリア
あら。
DL
二人とも置物か何かのように無視された。
ヴィクトリカ
ほほーう、いっちょ教育してやる。
クシィ(DL)
「一匹壊してしまったんですね……」
ヨハン
「壊した? その言葉は訂正したまえ。君が言っていたのは猫のはずだ。「壊した」とは一体どういうことだ。生き物ではないということなのか? 本当のことを言ってほしいのだが」
ヴィクトリカ
その背景の所で、医者となにか話して、紙切れをやりとりしている。
マグノリア
その行動は何か判定できるの?
ヴィクトリカ
いや、後で効いてくる、というかネタの仕込み。
クシィ(DL)
「真実をお話ししなかったのは申し訳ないと思っています。しかし、騒ぎを起こしたくなかったものですから」
ヨハン
「あの猫はただの猫ではないということなのだな」
ヴィクトリカ
「つまり、この件に関してはあなたの不手際ということだな」
クシィ(DL)
「……しかし、壊したのはそちらの責任ではないでしょうか(ヴィクトリカとは目を合わせない)」
ヴィクトリカ
「事実を明らかにしていない。これは契約違反だ」
ヨハン
「それともう一つ言っておく。「壊した」のではない。「壊れた」のだ」
(一同笑)
ヴィクトリカ
「というわけで払ってもらおうか。今回の医療費100万ドル」
さっき医者にもらった領収書にこっそりケタ足して出す。クシィ(DL):「……(無視している)」
ヨハン
「あれは何なのだ?」
クシィ(DL)
「ロストテクノロジーの産物で、濃度の濃いエーテルを食って育つ生物です。衝撃を与えると強力な爆発を起こします」
ヴィクトリカ
「兵器なのか、アレは」
DL
要するに生体兵器ってことだね。
クシィ(DL)
「あれが爆発するということをお知らせしなかったのはまずかったと思っていますが、妙な輩が出ないとも限りませんし……」
ヨハン
「盗賊たちに何か心当たりは?」
クシィ(DL)
「いいえ、私はまったく」
マグノリア
「さっき爆発する前に列車が大きく揺れたようだけど、あれは何なの?」
クシィ(DL)
「そのようですね。そういえばさっきから車掌や乗客が慌てているような? 
……それよりもあの爆発です! やばいんですよ!」
ヴィクトリカ
「そんなことはもはやオレたちの知ったことではない」
マグノリア
「具体的にどのような被害が?」
クシィ(DL)
「事態は深刻なのです。さきほど壊れたB(老猫)は旧型でして、大した爆発ではないのですが、もう一匹のCの方は新型なのであの程度では済みません。万一爆発したら、この列車が半分は吹き飛んでしまうでしょう」
ヴィクトリカ
「君の責任において何とかしたまえ(怒りマーク増殖中)」
マグノリア
「それよりも訊きたいのだけれど、ここに連れてこられたのは私達四人だけかしら」
ヴィクトリカ
「あと二人と」
マグノリア
「アルバートもいない」
DL
そうやって口々に訊いても、ヨハンのほうを見て返事をする。
クシィ(DL)
「あなた方だけですが」
マグノリア
「あと、私たちがあの猫に触ると止まってしまうの。その状況をどうにかして欲しいわ」
ヴィクトリカ
「何とかならんのか? 腹の中からエーテルを持っていかれても困るんだけどな」
ヨハン
エーテルが食われるのはオートマータだけ?
ヴィクトリカ
そうだね、一応エーテルに関係するものは駄目なんだろうね。
クシィ(DL)
「無差別に食います。そうですね、この列車で言うと、動力炉なんて危ないかもしれません」
ヴィクトリカ
臨界点ってものはあるの? その生物に。
クシィ(DL)
「臨界点とは少し違いますが、一定量のエーテルを吸収して朝の光を浴びると、増殖します」
(一同笑)
ヴィクトリカ
「あっはっはっはっ(乾いた笑い)」
クシィ(DL)
「というわけで何とかしたいんですがッ!」
ヨハン
「(男らしく)余計な機能をつけるな!」
クシィ(DL)
「私が付けたんじゃないです! 私はただの運び屋でして」
ヨハン
「こうなれば報酬は倍額だぞ」
ヴィクトリカ
「そうだな」
クシィ(DL)
「ば、倍額ですか? でも一匹分だからやっぱり2000ですよね?」
ヴィクトリカ
「口止めとして更に2000貰おう」
クシィ(DL)
「探してくれるんでしょうね? 私まだ死ぬのは嫌ですよ」
DL
……あっ、普通に会話しちゃってる(クシィはオートマータ二人を無視している筈だった)
マグノリア
いや、ヨハンが通訳みたいに間に入ってるんでしょ。
ヴィクトリカ
無視し続けるんだったらオレはヤツに対して我慢大会を仕掛けるよ。どこまでオレたちを無視し続けられるか。マグノリアと一緒に。
マグノリア
そこでやっと理解して、「あら、私にお金を寄越さないつもりなのね?」
ヴィクトリカ
「何言ってんだ、そんなこと言ってないじゃん」
マグノリア
「道理で1000$1000$とうるさかったわけね」
ヴィクトリカ
「あげないなんて言ってないもん」
マグノリア
「まあいいわ。今回はその話を信じてあげるわ」
クシィ(DL)
「というわけでどうか爆発を阻止してください! 私の全財産をお支払いしてもよろしいですから!」……つっても4000だけどね。
ヨハン
「とりあえず、猫を作ったところと君に運搬を依頼したのはどこかね?」
ヴィクトリカ
そうだね。でも教えてくんねーんじゃねえか?
DL
教えませんよっつーかこの人は知りません(DLが考えてなかった)
ヴィクトリカ
本当にただの運び屋か。
DL
運び屋というかプロじゃないし。「あー、君君、ちょっとこれを運んでくれたまえ」みたいな。
マグノリア
ちょっとお給金良かったからって感じだよね。

ヴィクトリカ
夜明けまで後何時間?
DL
今十二時で、五時ってところかな。
マグノリア
襲ってきた人には心当たりないっていったっけ。
ヴィクトリカ
うん。間違いなく彼らとはやり合うことになるでしょう。爆発させたら終わりだから、彼らも必死になって探すはずだよ。
マグノリア
彼らがもう捕まえている可能性もあるよね……とりあえず機関部か。
ヴィクトリカ
結局もう一匹は奪還できてないんだよね?
マグノリア
クリフがこっちに投げようとしていた。クリフに話を聞こう。
DL
完全に死にかけてるから面会謝絶ですよ。
マグノリア
「肝心なところで使えない男ね」
ヨハン
「あの猫の運搬係にでも使おうと思ったのに」
ヴィクトリカ
あの猫は厄介だな。
マグノリア
猫がエーテル吸収する範囲はどれくらいなの?
DL
明らかに影響が出るのは半径1m範囲程度。
ヴィクトリカ
オリハルコンの鎧でも作ってもらえば?
DL
じゃあ鎧作るのに一日ってことで。
ヴィクトリカ
そもそも降りないし(笑)
DL
そういえばさっきから駅に止まっていないような気がする。
ヴィクトリカ
「何故止まってないんだい? それってつまり機関部がやばいってことなんじゃ? ねえマグノリアさん」
マグノリア
「そのようですね(顔引きつってる)」
ヨハン
「車掌でも捕まえて理由を訊きなさい」
ヴィクトリカ
「車掌に訊いても多分教えてくれないぜ。パニックを恐れるだろうから」
ヨハン
そこは《話術》で。
ヴィクトリカ
オレは〈短気〉とか〈好奇心〉とかでしか喋らないぜ。「とりあえず機関部へ行こう」
ここでチームが結成されました。チームフェイトは[この列車を守る]です。

SCENE 6 異変

ヴィクトリカ
この列車を守るために急ぐという名目の元に、屋根の上を走ろう。ヒーローらしく。下を行ったら時間かかりそうだから。
DL
今、常時からは考えられないスピードで走っているから……判定に失敗したら落ちるよ。
シナリオの都合と情報の関係で渋るDL。ここでもカラミティー・ルージュなどを使用してうまく誘導したり、イベントを作成すれば良かったのですが。
三人とクシィは車内をゆくが、思うように進めない。目覚めている住人のほとんどが不安そうだ。止まるはずの駅に止まらず速度を上げ続ける列車、加えて先程の爆発が人々を不安にさせているのだ。
途中、車掌をつかまえて話を聞くことはできたが、彼自身にも何が起こっているのか良くわかっていないらしい。

SCENE 7 機関部

DL
機関室前です。みんな忙しそうで、部外者のあなたたちを気に止める人はいないようです。
ヴィクトリカ
「今回の件について原因を知っている者だ。機関室の扉を開けてもらおう」
DL
それどころじゃない感じだ。話を聞いてくれる様子がない。
ヴィクトリカ
じゃあ指をパキーンと鳴らして「Listen!」
DL
無視された。
ヨハン
その横で機関室の扉を開ける(笑)
ヴィクトリカ
折角オレが格好良くキメたのにー。
ヨハン
俺の横で格好良くキメてればいいじゃん。
DL
機関部は異様なくらい回ってます。そして、機関部で仕事してる人たちが、「どうして出力が上がらないんだ!」って言ってます。
ヴィクトリカ
い、いや、出力上がってるんでしょ?
DL
上がっているんだけど、上がりきらないみたい。
ヴィクトリカ
「ここまで異常な速度で走っているのに……ってかこれ以上出力上げないでくださいよ」
ヨハン
「マグノリア、蒸気魔術の知識を持つお前から見て、この状況は何なのかわからないかな」
ヴィクトリカ
蒸気魔術教えたのは君じゃなかったっけ。
ヨハン
蒸気魔術を習えばいいんじゃなーい、とは言ったものの(笑)
DL
無責任だなぁ。
ヴィクトリカ
通信教育のパンフレットを渡してね。
ヨハン
俺が《蒸気魔術》持ってない以上そうなる。
マグノリア
スートが違うから失敗。
「マスター、これは異常です。でも理由は解りません!」(笑)ヨハン:「もっと機械に疎い私たちにはまったく解らないな!」

DL
そんなことをしていると、奥のほうで何かが逃げてゆく足音が。
ヴィクトリカ
この騒ぎの中で聞こえたか。《韋駄天》《運動》で追う。
ヨハン
6m走る。
ヴィクトリカ
全力で30m駆け抜ける。
DL
では問題なく追いつきます。アルバートですね。
ヴィクトリカ
「アルバート、止まれ!」
アルバート(DL)
「(振り返って)近寄るなッ!」
マグノリア
おや? チップ使って《話術》で。
アルバート(DL)
「お前ら、ビリーを殺したじゃないかッ! キャルは僕が守るんだ!」
ヴィクトリカ
ビリーって名前だったのか(笑)
マグノリア
「アルバート、落ち着いて。その動物は危険なの。こっちへいらっしゃい」
アルバート(DL)
「嘘だ! お前ら嘘をついてるんだッ!(猫をきつく抱きしめる)」
ヴィクトリカ
「あああ、あんまり抱きしめると……」
マグノリア
「いいえ、私は機械の体。嘘をつく機能なんて持っていないわ。さあ、こちらへお寄越しなさい」
アルバート(DL)
「お姉ちゃんなら、助けて、くれるの?」
マグノリア
「ええ、私と私のマスターならその動物を助けられるわ。安心して、私のマスターは常に優秀な方ですから。さあ、その猫をこっちにお寄越しなさい」
DL
……怖い(笑)
クシィ(DL)
「そうだ、コイツの言うとおりだ。こんなところで爆発されたら大変なことになるんだ! さあ、こっちに返しなさい」
アルバート(DL)
「(萎縮して)お姉ちゃんの嘘つきッ!」
マグノリア
「(運び屋を殴って)あなたがそんな言い方をするから」
クシィ(DL)
「しかしここで爆発されたら我々は死んでしまうではないか! 
(アルバートに)そんなにそれが気に入ったのなら、もっと危なくない可愛いのをあげよう。でもそれだけは駄目なんだ、返しなさい!」
ヴィクトリカ
アルバートはこの猫が爆発するのは知っているのかな?
マグノリア
知らないんじゃない?
DL
見た感じでは、さっきの大人の誰かが何かをして猫を吹っ飛ばしたと思っているようだ。
ヴィクトリカ
猫は吹っ飛ばないしなー。
マグノリア
そうだね。普通に猫が爆発すると思ったら、順応性の高い子だよ。
ヴィクトリカ
「アルバート。君が守ろうという意思を見せるのは自由だ。しかし君にはそいつを守ることはできん。オレたちに渡すんだ」
アルバート(DL)
「なんでだよ」
ヴィクトリカ
「君にはその力がない」
アルバート(DL)
「だ、だってこれただの猫じゃないか!」
ヴィクトリカ
「そう思うかな? ならば、何故我々が必死になって追っていると思う? ……つまり、そういうことだ。
その事実を並べた上で、我々の言葉と君が思っている真実、どちらがより真実だと思うかね」
アルバート(DL)
「……本当に?」
ヴィクトリカ
「その通りだ。我々は嘘をつかない」
アルバート(DL)
「じゃあさっきの爆発は、あのビリーが起こしたって言うの?」
ヴィクトリカ
「残念ながらそういうことだ」
アルバート(DL)
「そうなの? お姉ちゃん」
マグノリア
「そうよ……私が彼を助けようとしたとき、私の目は一瞬白く濁ったわ。
あのときあそこにいた人の誰も、爆発するなんて思っていなかったわ。列車の中で爆発なんて危険でしょう?」
ヴィクトリカ
「彼らは陽の光を浴びると増殖するのだそうだ。このままでは取り返しのつかないことになる。
彼一匹のせいで今この大陸横断鉄道は暴走を開始している」
アルバート(DL)
「でも、返したら殺すんじゃないのか?」
クシィ(DL)
「もうすぐ夜が明ける、そしたらこの列車全体が危険になるんだ! 早く渡せ!」
ヨハン
「少年よ。先ほどの……ビリーといったかな。彼が死んでしまったのは我々の不手際といわざるを得ないだろう。そのことを否定するつもりはない。
だが、君が持っている猫は残酷な運命を抱え込んでいる。それはこの猫のせいではないし、君たちのせいでもない。
いいかい、今その猫を捕まえようと、悪い大人たちが列車に乗り込んでいるんだ。
今、その猫とこの列車を守るために、渡してほしい」
三人の説得によって、アルバートはマグノリアに猫を渡す。
ヴィクトリカ
エーテル吸われてガッシャーン(倒れる擬音)(笑)
ヨハン
近づいてくる分だけ後ろに下がる(笑)
マグノリア
「(アルバートに)あなたはいい子ね」
ヴィクトリカ
とりあえずハードガントレットでつまみ上げる。
DL
うーん、ハードガントレットってどのくらいの大きさ?
ヴィクトリカ
《超巨大武器》だから指一本1mくらい。
DL
でかいな! そんなもん機関室で振り回さないでください、危ないから!
ヴィクトリカ
振り回せてしまうのが井上純弌ゲームだ。

DL
猫を渡してアルバートはその場に座り込んでしまう。クシィが横から猫を取って小さい箱に詰めた。
クシィ(DL)
「ああ、ありがとうございました! これで大丈夫です」
ヴィクトリカ
「とりあえずあんた、その猫持って次のマザータウンで降りろ(笑)」
マグノリア
次のマザータウンで降りるから見つけてくれって言ってたから。
DL
うん、どっちにしても降りるよ。
マグノリア
その危険を一杯溜め込んだ箱を持って(笑)_
「(アルバートに)アル、よくやったわ。あなたのおかげでこの列車の人たちは助かったのよ」
ヴィクトリカ
それは俺の仕事だ! なぜなら俺はノワールを持っているから!(笑)
マグノリア
じゃあ時間を巻き戻して……。
ヴィクトリカ
ハードガントレットでアルバートの頭をわしっと。「よく決断したな、アルバート」
アルバート(DL)
「おれのやったことは、正しかった?」
ヴィクトリカ
「それは間違いなく正しい。このオレが保証しよう。お前の心の輝きは本物だ」《話術》〈心の輝きを守る〉
ヨハン
「一件落着したところで、食事にでもするか」
ヴィクトリカ
「そうですね、じゃあ一杯行きますか!」
マグノリア
なんだこの豪勢にすごすぜみたいなノリは。
ヴィクトリカ
刑事ドラマの最後みたいに。
ヨハン
「ワインはキリストの血だぜー!(笑)」
ヴィクトリカ
「オレはキリストの肉を食うぜー」
そんな彼らの横で、邪魔するものがなくなった機関部は、更に出力を上げていた。

マグノリア
……ん?
ヴィクトリカ
「ヨハン神父。事態が収束しない。これはどういうことだ」
ヨハン
「しかし、我々の猫を捕まえるという事件はもう終わったからな」
ヴィクトリカ
「これとは別問題だな。よーし、一杯飲みに行きますか!」
マグノリア
「ひとつ思ったのだけれど、猫がエーテルを食べるということは、この暴走を抑えていたのは猫だったのではないでしょうか?」
ヴィクトリカ
「オレもそう思った。守ってくれてたんじゃないか、彼は」
そこへ、慌てた機関士がやってきた。
機関士(DL)
「おい、部外者がこんなところで何をしている!」
ヴィクトリカ
今更気づいたのか(笑)
マグノリア
「(アルバートを見て)子供が迷い込んでしまったので助けに来たのよ。何か問題でも?」
機関士(DL)
「社会見学なら今は駄目だ、出て行ってくれ!」
ヴィクトリカ
「何があったのだ?」
機関士(DL)
「今はケツに火がついているんだ、説明している余裕はないんだよ、早くどいてくれ!:(レバーなどを操作しながら)……くそっ、どうしてよりによって……」
ヴィクトリカ
「こちらは法王庁聖騎士団所属の者だ。事件を解決できるやも知れん! 事情を説明したまえ」
ヨハン
「これはもはや機械の故障などではない。何か悪しき物が干渉して機関部を動かしているのだ!」……と嘘をでっち上げながら《話術》15って言いながら落ち着かせる。
機関士(DL)
「あんたら何を言っているんだ? 後ろからでかいのが来てるんだよ! ……もっと出力を上げろ!」
ヨハン
「……でかいの?」
ヴィクトリカ
予想外な(笑)
とりあえずオレら三人「でかいのが来る」のところで「な、なんだってー!」(笑)
その機関士の名前も知らないのに「本当かキ○ヤシ!」
マグノリア
窓を開けて後ろを見て《観察》します。
ヴィクトリカ
君のワンダフル・エ○ジェルアイで(笑)
マグノリア
「何が危険なのかしら……」8。スート変えるのやめて失敗しておく。
DL
満天のお星様がきれいです。
マグノリア
「あら。私の鋼の心も癒されるわ。ねえ、マスター」
ヴィクトリカ
「何もないようだぞ、ヨハン神父」
ヨハン
「信用できないから」
ヴィクトリカ
じゃあオレも《観察》。
彼らは見た。車両の更に後方、夜の闇に星空を切り取る何かがいるのを。
彼らは聞いた。遠くで重い地響きがなっているのを。
彼らの脳裏に否応もなくある名が浮かんだ。

ザ・モール。伝説の、暴走した機械の化け物である。

SCENE 8 迫り来るもの

ザ・モール。かつて西への道を閉ざしていた、ザ・マウンテンを貫き、暴走して姿を消した巨大な自走式のドリル。時折列車を襲っては奪った材料で仲間を増やしているという。

幸いにしてこの列車を追っているのはザ・モールそのものではなく、モールズ・レギオンの巨大な一体らしいのだが、なぜか執拗にこの列車を追ってきているらしい。列車は暴走しているのではなく、背後に迫るモールズ・レギオンから逃げ続けていたのだ。

乗客たちはさすがに異常事態に気づいてパニック寸前だ。

三人は急ぎ最後部へと向かった。あの爆発の傷も生々しい最後部の車両では、男たちが忙しく働いている。どうやら残っている荷物を運び出しているようだ。

SCENE 9 線路を辿る恐怖

最後尾で三人は保安官と会った。彼らが協力を申し出ると、保安官は最後尾への立ち入りを許可してくれる。
「この最後尾を切り離してぶつけるんだ、荷物を運ぶのを手伝ってくれ。それでもおそらくは時間を稼ぐことしか出来ないだろう。ここに乗っている人々を避難させる時間が稼げればいいのだが……」

気の弱そうな車掌はあわてるばかりだ。
「じ、時間がないんです! 次の駅はマザータウン……ウッドヒルなんですよ! このままだと町が滅茶苦茶になってしまいます!」

荷物を運ぼうと最後尾に入った彼らの目の前には、もう目の前まで迫っている巨大ドリルがあった。そこで火事場泥棒をしている女泥棒、ジータと再会する。
彼女は相棒のことはどうなったか知らないと言い、開き直る。

モールズ・レギオンを倒す方法はないのだろうか。真正面から攻撃を仕掛けようとした三人だが、巨大なドリルに阻まれてしまう。
「最悪、この列車の半分を切り離してぶつければ、とめることが出来るかもしれない、が、難しいな。避難が間に合わない」

そんな中、誰かが言った。
あの猫を使えば、モールズ・レギオンでも破壊できるのではないか、と。
クシィ(DL)
「……そうだ、そうですよ。あれの破壊力はなかなかのものです。あの化け物を木っ端微塵にできるかもしれない」

SCENE 10 決意

アルバートは抵抗した。友達を犠牲にして生き残るなんて嫌だと。
アルバート(DL)
「だって生きてるじゃないか! あんなにあたたかくて、やわらかくて」
クシィ(DL)
「あれがお前に媚びたのは、ただ自身を守るための防衛本能だ。
笑っても、泣いても、それは外界からの刺激に対する反応でしかない。
所詮は生き物じゃないんだからな!」
アルバート(DL)
「作られたとか関係ないよ! キャルはおれのともだちなんだ!」
クシィはキャルが入っているボックスの封を解いた。そのとたん、隙間から目にも留まらぬ速さで何かがするりと抜け出し、最後尾へと飛び出した。
アルバートの悲鳴にも似た声に、「それ」は止まって振り返り、大きな目をわずかに細めた。
キャルは、自分を友達だと言ってくれたアルバートのために命を賭ける決意をしたのである。

しかしその時、一瞬早くヴィクトリカが滑り込んで彼を捕まえた。彼女は友を思う心の輝きを何としても守りたいと願ったのだ。

SCENE 11 朝日

刻々と迫りくる時。時折モールの追突を受けて軋む大陸横断鉄道。あの化け物を破壊する手段はないのだろうか。
ヴィクトリカ
いやー、自分たちの拳が届かないとオレたち弱いな。
マグノリア
こういう時ガンスリンガーは格好いいね。
DL
この一発で動力を射抜く、みたいなね……そういや盗賊娘ガンスリンガーだったな。
マグノリア
俺、そんなのは認めないよ。
DL
私も認めないよ。そんなのは許されない。
マグノリア
誰か遠距離持ってないの?
ヴィクトリカ
オレという砲弾がいるけど。オレの一撃で爆発四散とかしてくれないとオレが死ぬし。
DLは困っていました。実はキャルの攻撃で相手が傷を追うと同時に攻撃が届くようになるという手段しか考えていなかったため、想定外の展開にどう対応していいのかわからなかったのです。
しかしヴィクトリカは絶対に猫を犠牲にしたくないとの決意を固めていました。
路線図を見ていた三人は、マザータウンの手前に深い峡谷があるのを知る。
ヴィクトリカ
それならむしろ、鉄橋を落とす方向で行きたいね。
ただ問題がいろいろあってね。「路線損壊罪。線路を故意に破壊させた者は、損害の如何を問わず縛り首」(笑)マグノリア:それはしょうがないってことで……。
DL
ちなみにね、モールがこの列車のケツ追っかけて線路を踏み潰しながらガリガリ来てるわけだ(笑)
マグノリア
何してもモールのせいにできるな(笑)
ヴィクトリカ
じゃあシーンを巻き戻して……。
アルバート(DL)
「作られたとか関係ないよ! キャルには心がある、おれの大切な友達なんだッ!」
ヴィクトリカ
「よく言ってくれたな、アルバート。そのとおり、オレたちにはこの心の輝きがある(猫をアルバートに渡す)」
ヨハン
「アルバート、危ないからさがっていなさい」
ヴィクトリカ
「ここから先はオレたちの仕事だ。オレたちの心の輝き、見せてやるぜ!」
そのころ大陸横断鉄道は既に鉄橋に差し掛かっていた。鉄骨の間からはるか下に奈落が口を開けている。
ジータが短い悲鳴を上げた。次の瞬間、急速に迫ったモールは、三人が乗った車両に激突した。体が空中に打ち上げられる。最後尾の車両はとうとう外れて速度を落としながらモールに激突した。

少し前のほうを列車が遠ざかってゆくのが見える。三人と盗賊女は砕ける車両から飛び降りると、鉄橋の柱へと向かった。

最後尾の車両を打ち砕きながら走るモールは、わずかに速度を落としているが、怪音を上げながら執拗に大陸横断鉄道を追い続けている。もはや猶予はない。
DL
じゃあ、二本の支柱に攻撃して、3カット以内に橋のHPをゼロにすること。橋は抵抗しないからダメージはそのまま入る。成功したら橋が落ちる。ただしがんがん揺れたりしているからハンディキャップ1。これでいい?
ヴィクトリカ
じゃあ、2本ある奴を、オレとヨハンがそれぞれ攻撃して、マグノリアが応援団。
DL
1本を集中攻撃したほうが良くない? 大きいものが上走ってるんだから、かたっぽなくなっただけでもただじゃ済まないよ。
ヴィクトリカ
オレたちは1本ずつ落としたいの(笑)
マグノリア
とりあえず最初のダメージ見て考えよう。
《蒸気魔術》で《マグニファイ》と《フィジカル・エンチャント》を組み合わせて、二人に20のアドバンテージ。
これは前と同様、アドバンテージに関する解釈の間違いです。
ヴィクトリカ
次はオレだ、行くぜ……ノワールがないから行動を遅らせる(笑)
ヨハン
電車はもう通り過ぎたってことでいい?
DL
そうね……ずいぶん間が空いてるな。
マグノリア
モールが切り離された車両食いながら走ってるんでしょ。
DL
うん、ギャリギャリギャリギャリ! って耳を劈く凄い音を立てながら迫ってくる。
ヨハン
「鉄柱相手とは不足だが、狩る獲物の大きさを考えれば悪くはない。必ず墜としてやろう」
〈武士の誇り〉を使って《超力》《竜虎一天流》《サムライ・トランスフォーム》《アーマークラッシュ》、オウジュを噴かす。まず命中して、アーマークラッシュでPD20点減少。
ヴィクトリカ
《修羅》取れよヨハン。
ヨハン
いや、回復系を強化したいと思ってね。ダメージ47点。
DL
じゃあ、メキャッ! てかなりへこんだ。
ヴィクトリカ
しょうがない、1本に的を絞るか。
DL
いや、今の見た感じではいけそうだよ。あまりにしょぼいダメージだと困るけど、3/4くらい削れれば問題なく落ちるでしょう。
マグノリア
じゃあ俺もマスターの方に参加するか。大して力にならないけど。
ヴィクトリカ
マグノリア、ノワールくれ。鉄柱の前に行って首をボキボキ鳴らしながら「西の端を見てやるって以上、こんな所でしょぼい仕事をしている場合じゃないんだがな。だが、地図に残る仕事をするってのも、まあ、いいもんだな」って殴る。
《クンフー》《アイアンメイデン》《剛拳》《ブレッドタイム》《ザ・プレイヤー》《怪力》《超巨大武器》《徹拳》を組み合わせて判定。PDを60下げて攻撃。
DL
凄いね。モールでも破壊できるよ。
ヴィクトリカ
ダメージ82点。
DL
鉄柱が半分ぐらいえぐれた。モールは橋にかかりました。ちなみに橋を落とし損ねると危ないぞー。中途半端にモールが突っ込んでくるからね。
ヴィクトリカ
今ヨハン〈危険を楽しむ〉の伏線をもらったね(笑)
ヨハン
戦闘中にそんな判定はしないぞ。
DL
(ラストバトル仕様の曲をかけている)
ヴィクトリカ
かっこいいオレたち(笑)
DL
一応、この橋から向こうにいる人たちの命を背負っているんで、そのへんは自覚するように(笑)

マグノリア
「この橋を落とさないと、アルもあの猫も、そして私の大切なマスターも助けられない。悪いけどこの橋、落とさせてもらうわ」
《ファイアーボール》を撃ちます。36点。
DL
おお、通るじゃん。
マグノリア
PD引かなきゃならないから。
ヴィクトリカ
いや、魔法攻撃だからMD(精神防御)かなと思ったんだけど。
ヨハン
いや、PDPD。物理ダメージだから。
マグノリア
鉄柱は精神持ってないから精神ダメージはいらないよ。精神ダメージチャートは鉄柱に使えないでしょ。
ヴィクトリカ
……ああ、今すげー納得した。目から鱗。
ヨハン
パーンって撃ったら鉄柱が大パニックに!(笑)
ヴィクトリカ
クリフが《紙一重》で鉄骨かすったら下から水が出てくる(笑)
DL
鉄柱にガタがきてがくがく揺れ始めています。
ヴィクトリカ
じゃあ次オレだね。ヨハンに対して……。
ヨハン
攻撃された。「鉄柱では物足りなくなったかーッ!」(笑)
ヴィクトリカ
「どうしたヨハン、てこずっているみたいじゃねえか。ちょっと助けが必要かァ?」って言いながら自分のほうに44で命中。70点のダメージ。
DL
メリメリメリメリッ! って橋が傾き始めている。
ヨハン
「(ヴィクトリカの言葉に応えて)やかましいぞヴィクトリア! この私が貴様のような小娘に手伝われるようなことなど、一つもないわ! かならずこの私がこのようなデクの棒などぶっ潰してくれるわ!」〈武士の誇り〉で45ダメージ。
DL
金属がねじれて軋む嫌な音がしてきた。その上をでかいのが走っているものだから橋全体が揺れ始めていて、ここにいるのもやばいかなって風情になってきた。
ヴィクトリカ
でもオレたちは〈危険を楽しむ〉(笑)

DL
最終カット。モールは半分を過ぎて、目前まで迫ってきています。
マグノリア
もうやれることがないんだよね。こんなときのために他の魔法をとっておけば良かったな。
ヴィクトリカ
鉄柱殴ってから一息ついて、迫るモールを見て不敵に笑う。
「ハッ、デクの棒が。てめえみてえな心の輝きがないモノには、てめえの足元がどうなっているかも解りゃしねぇだろう。あばよ、モール。所詮てめえはそこまでだッ!」
50でヒットの80点のダメージ。DL:ヴィクトリカの鉄柱が完全に折れた。同時行動ってことでヨハンさんどうぞ。
ヨハン
「もう、モールが鉄道を軋ませる音と刀を打ち付ける音しか聞こえなくなったな。これは極上の賛美歌だ」34点。
巨大な影がきしみをあげて大きく傾いた、刹那、金属のねじ切れる音が耳につきささった。
一瞬モールが悲鳴をあげるような怪音を発したかと思うと、鉄橋はその重みに耐え切れずゆっくりと、だが確実に、次第に急速に折れ曲がり始める。
崖は大きく崩れ、巨大なキャタピラが虚しく空をかく。
モールは轟音を立てて崖を削りながら真っ逆さまに落下してゆく。
ヴィクトリカ
「(崖に背を向けガントレットを打ち合わせて)被告・モール。判決・死刑。執行……完了ッ!」
ヨハン
チェーンソーを聖書に戻して、刀を鞘に納める。
「(マグノリアに)法王庁に打電。本日も神の敵を一体召したり!」
マグノリア
「Yes, Master.」

ENDING

地の底から轟音が響き渡った。爆発音は何度も何度も続いた。天を貫く朝の光が彼らの影を長く伸ばす。
ふと歓声に振り向くと、先に行ったはずの列車が止まっていた。剥き出しの連結部に作業員や乗客たちが集い、口々に勇者を称え、手を振っているのが見える。
その頃列車では、車掌が乗客たちに事情を説明していた。
「勇敢なお客様をお待ちしております、申し訳ありませんが、少々の御辛抱をお願いいたします……」

歓声はやむことなく、いつまでも続いた。
ヴィクトリカ
ウエストエンド着いたらオレら英雄だな。
ヨハン
大陸横断鉄道は普段からこんな大冒険してるから大丈夫。
マグノリア
むしろ向こうについたら橋を壊した罪に問われるかもしれないよ(笑)
ヴィクトリカ
いや、あれはモールがやったんだろ。
ヨハン
証人がこんなに(乗客たち)いるからな(笑)
いつの間にか盗賊女は姿を消していた。
アルバートは大事な友達を(気をつけて扱わなければならないにしても)取り戻し、大陸横断鉄道は傷を癒すためにマザータウン・ウッドヒルで長い休息をとることになった。
DL
で、当然列車を守ったことに対する礼金が支払われるはずなのですが。
ヴィクトリカ
うん。
DL
線路を破壊したことによってモールを撃退した。そして線路はモールが破壊したことにする。つまり、モールは自爆しましたってことになるんだね。
ヨハン
……ああ、なるほど……。
ヴィクトリカ
鉄橋が落ちたのは、モロかったせいだと。賞金は出ないわけだ……まあ、倒したわけじゃないし、いいんじゃない?
DL
しかし数日後、整備待ちでマザータウンに逗留していたあなた達の所に、重そうな袋を持ったアルバートが現れます。
アルバートが持ってきたのは、大陸横断鉄道に乗っていた者たちから集められた、英雄たちへの感謝の印だった。

たとえこのまま事件が闇に葬られようと、彼らの姿を目にした者たちだけは決して忘れないだろう。

宵闇深く失踪する恐怖を。

そして、三人の英雄たちの、朝日のごとく眩い勇気を。


END