世界樹の迷宮を彷徨う者たち
これは、世界樹の迷宮の第六階層のネタバレ文章です。

061 超越者に挑む者たち 黄

雷鳴と共に現る者との戦いの記録。
ブレスで死亡。
噛まれて死亡。
医術防御はかけるはしからはがされる。
ルシオン
「今まで戦っていて解ったことがひとつあります」
ラピス
「なに?」
ルシオン
「HPの回復は無意味。よって、ネクタルを大量に持っていって、瀕死からの回復のみで戦っても大して違いがありません!」
ラピス
「えぇーっ!?」
チェ=パウ
「まあ、確かにね」
ラチェスタ
「攻撃が飛んできたが最後だからな」
ルシオン
「私が倒れた直後にブレスが来たら運が悪かったということで、ラピスのかわりにセカンド」
ラピス
「えっ、ちょ、ちょっと待って。そんな無茶な」
ゴート二世
「そりゃ現状じゃそれしかねーから仕方ないけどなー」
キリク
「もう少しレベルを上げるとか、装備品を充実させるという選択肢は……?」
ルシオン
「ありません」
ゴート二世
「こいつ、迷い無くきっぱり言いやがったな……」
ルシオン
「大丈夫、死ぬほど痛いけどシステム上死にませんから!」
チェ=パウ
「精神的に死にそう……」
実際にこうして雷鳴と共に現る者を撃破。
何度か挑んで髭を持ち帰るのに成功しました。
ルシオン
「攻撃は最大の防御なり! ということでしょうか」
ゴート二世
「ただの自棄糞ゾンビ戦法だろ」

062 超越者に挑む者たち 青 その1

ジンライ
「噂には聞いていたが、長ぇ道のりだったぜ」
ケイン
「敵は弱いけど、面倒ったらありゃしねー」
チェ=パウ
「警戒歩行が切れちゃうね」
ユディト
「それでもそろそろ、目的地のようですわ。f.o.e.の気配がします」
バルロンド
「むっ。これは……第六層のf.o.e.!」

ジンライ
「冗談きついぜ」
チェ=パウ
「死ぬかと思った……」
ケイン
「けど、この奥、間違いねぇな。みんなに知らせよう」

ルシオン
「というわけで、青いのを発見したそうです」
ラピス
「ここ一週間くらいずーっとあそこにかかりきりだったものね!」
ゴート二世
「で、お約束の隠し通路は本当にねーのか?」
バルロンド
「構造上ありそうなところは全て調べてみたのだが、ない。
残念ながら徒歩で行くしかないようだな」
チェ=パウ
「道がものすごく長いの。一日仕事だね」
ルシオン
「わかりました、万一を考えて薬は多めに持ってゆきましょう。
編成はどうしましょうか」
ゴート二世
「そりゃ、最初の依頼とあの黄色いのから考えて、フリーズガードが使えるルシオンは鉄板だろ。
それからやっぱり回復役にはラピス。
今までのパターンから言っても、チェ=パウは居たほうがいいな。
青いんだから多分炎には弱いだろうからバルロンド」
ルシオン
「異論はありません。
残りの前衛は攻撃に耐えられたほうが安全でしょうから、キリクですね。
炎付与のダブルアタックに期待できますし」
ラピス
「今日は一晩寝て、体調を万全にして行きましょ」
チェ=パウ
「こんな凄い歌が二曲も作れるなんて、あたしすっごくラッキーなバードかも!」

曲がりくねった道を歩き続け、f.o.e.を退けて、とうとう私たちは青き者の部屋にたどり着きました。
キリク
「すごい、このフロア全体を冷やしているみたいな冷気だ」
ラピス
「大丈夫、大丈夫よ。ブースト医術防御、これで暫くは絶えられるはずよ」
バルロンド
「俺の炎が通じるか……これは興味深い研究テーマだな」
チェ=パウ
「歌い出しは、砂塵に隠れし道を往く……がいいかな」
ルシオン
「とりあえずは、相手の出方を見ましょう。
キリクは防御を。チェ=パウも今日は防御の歌から始めてください」
キリク
「わかったよ」
チェ=パウ
「まっかせて!」
ルシオン
「では、開けますよ!」
モンスターは襲い掛かってきた。
パーティー全体に3800平均のダメージ。全員戦闘不能! 
ルシオンは歯を食いしばって立ち上がった!
ルシオン
「え、ちょっと、そんな、いきなり……
きゃー! フリーズガードッ!」
青いヤツは絶対零度を使った。無効化した! 
青いヤツはアイスブレスを使った。無効化した! 
青いヤツは絶対零度を使った。無効化した!
ルシオン
「もしかして攻撃ほとんど全部フリーズガードで防げる……?」
青いヤツは貫く氷槍を使った。ルシオンに1500のオーバーキル!
ルシオン
「神よ、この試練は……無理……です……(ガクッ)」
GAME OVER

063 超越者に挑む者たち 赤

某所に現れた赤い巨体。挑めるようになってすぐに行ったときには一瞬で灰にされました。
……このゲームにASHEDはありませんが、言葉のアヤです。
まあ、それは私の特技であるファイアガードで防げます。
が、問題はそこではありません。
後衛のメディック、ラピス22歳の証言
ラピス
「そうね、医術防御を使って尚、あの太い尾で一撃されると、パーティーが半壊するのが問題だと思うわ。たえられるのがほぼルシオンだけなんだもの」
後衛のレンジャー、ラチェスタ26歳の証言
ラチェスタ
「そうだな、通常攻撃で狙われた者は確実に死ぬのも大問題だ。
黄色の時とは違い、積極的に攻撃を加えてくるからな。ルシオン、ラピス、チェ=パウ、三人のうち誰が欠けても敗北は確定だ」
前衛のソードマン、キリク16歳の証言
キリク
「特に怖いのはあの咆哮だと思うんですよ。
防ぎ方はわかっていますけど、気を抜いたとたんにルシオンが必ずと言っていいほど混乱して、次の瞬間には僕ら全員灰になってます。
やっぱりうぃざーどりー魂なんでしょうか?」
後衛のバード、チェ=パウ15歳の証言
チェ=パウ
「あまり余計なことを考えないほうがいいみたいだね。あたしはずっと歌っていた方がいいかな。
それでも守れるのはブレスだけだから、結局攻撃に一回は耐えられるようにならないと無理だと思うよ。しっぽ振られたら終わっちゃうもん」
……仕方ないので、しばらくあちこち回って装備品を強化することにしました。
正式な再挑戦までじつに一ヶ月以上。その間にも何度も挑んでは焼き払われていましたが。

そうそう、戦っていて気がついたのですが、相手の行動にはパターンがあります。
メモを取ってみたところ、特定のターンにブレスが飛んでくるようですね。
ブレスのターンは私が確実にガードスキルを使わなければなりません。
同時に、ブレス以外が来ない、ということは、チェ=パウが一度だけ自由行動を取ることができるターン、そして、ラピスが医術防御をかけなおすべきターン、ともいえる、大事な要素です。
チェ=パウ
「あっ、じゃあさ、地図のあいてるトコにブレスのターンメモっちゃおうよ。間違えないようにさ」
ルシオン
「えっ、ちょっ、それは……ああっ、地図にラクガキしないでくださいっ!」
ラピス
「いいじゃない、必要な情報なんだから」
ルシオン
「書くならせめて「メモ機能」で書いてくださいよ!」
チェ=パウ
「えーっ、そんなの却下。あれってわざわざ拡大してタッチしなきゃ見えないもん。
せっかく広く開いてるんだからぁ……壁使ってデジタル数字ってやつで……」
キリク
「あ、これなら見やすくていいね。一目瞭然だ」
ルシオン
「うう……そんなところに壁はないのに……美しくない……」
ラピス
「まあ、役に立てばいいじゃない?」
そんなひと悶着はあったものの、再挑戦のパーティーは、私、キリク、ラチェスタ、ケイン、チェ=パウの五人です。
レベルや装備、スキルの充実により、尾の一撃には一度だけ耐えられるようになりました。
それでも二連続でやられたら全滅ですから、緊急時はラチェスタのアザーズ・ステップで先制を取るのが重要になります。
ルシオン
「みんな、大丈夫ですかっ!」
チェ=パウ
「なんとかね」
ケイン
「まかせろ、さくっと治してやるぜ!」
ラチェスタ
「アザーズ・ステップ!」
ケイン
「あ、防御しちまった。ごめん」
チェ=パウ
「しっぽ……」
(SE:ベチッ!)
……そんなお約束で全滅したこともありましたが、三度ほどの挑戦で戦略が固まりました。
チェ=パウ
「えーとまず、背後から先制をとって安らぎの歌」
ケイン
「オレは医術防御だな」
ルシオン
「私たちはとりあえず適当に攻撃……」
チェ=パウ
「次のターンで、一応ラチェスタに手伝って貰って歌ね。あとはブレスのターンでたまに氷の援護とかする以外はずーっと同じのを歌っていればいいかな」
ルシオン
「私はキリクの斧にフリーズオイル……これでキリクのBUFFはひとつ押し出されて安らぎが消えますね」
キリク
「でも、僕は通常攻撃で行くからTPは無関係。とにかく殴っていけばいいと」
ケイン
「オレはブレスターンで医術防御以外は適当に回復だな。うん、暇だ。
確かに殴りメディなら少しは役に立つかもしれねぇな」
ルシオン
「私はとにかく適当に叩いて、ブレスのターンにファイアガード。
敵の体力が半分を切ったら毎ターンガードが安全ですね」
ラチェスタ
「私はサジタリウスとダブルショット、状況に応じてアザーズステップだな」
ルシオン
「うん、完璧です!」
チェ=パウ
「……でさ、ルシオン。ここまで戦法固まってて、どうしてまだ倒してないの?」
ケイン
「いや、倒しただろ。リセットしちまっただけで」
ルシオン
「それは……ねぇ、キリク」
キリク
「な、なんで僕を見るの?」
ルシオン
「炎の斧、欲しいですよね?」
キリク
「それはもちろん……あ」
ケイン
「またレア狩りかよー!」
ルシオン
「いいじゃないですか、攻略法は確立できたんですから! 
大丈夫ですよー、ケインは博識じゃないですか。多分そんなにかかりませんって!」
ケイン
「どさくさに紛れてオレに責任を負わせるなよ!」
キリク
「もう正直リセット地獄は……」
ルシオン
「黒f.o.e.は復活スパン長いんですから、仕方ないんです」
チェ=パウ
「あっ、開き直った」
幸い、三回目くらいで目当ての物が出たので、炎斧が完成。折角の星砕きですけど、そのうちひっそりと売られそうな予感もしつつ、ここまで。

064 超越者に挑む者たち 青 その2

ルシオン
「さて、残るはあの青いのですよ。
とりあえず開幕ブレスさえ来なければ何とかなりそうな気がします」
キリク
「早速この斧が役に立つかな」
チェ=パウ
「そうそう、前回は運が悪すぎただけだよね」
ルシオン
「前回戦ってみた限り、たいていの攻撃はフリーズガードで避けられます。
問題は槍ですけど、私たちも実力が上がっていますし、色々と装備も整っていますから、何とかなるんじゃないでしょうか」
ケイン
「オレの医術防御もレベル6になったからな。
前みたいな無様なやられ方はしないぜ!」

チェ=パウ
「うーん、やっぱり勝てないねー。寒い寒い」
ルシオン
「攻撃力に関しては、斧と爆炎で問題ないですね。
防御に関しても、氷槍以外は全く問題なしです」
バルロンド
「どうやら奴め、死を目前にすると槍を使う頻度が跳ね上がるようだ」
チェ=パウ
「それでさ、あたしをピンポイントで狙ってくるんだよね……」
バルロンド
「俺もな」
ケイン
「医術防御でも守りきれないんだな。
チェ=パウが倒れている間にあのヤロー、回復と防御を固めて、あとは槍を連射してくるから手に負えねー」
チェ=パウ
「もぉ、あたしはとにかく弱体化に専念した方がいいみたいだね。
ケインくんはあたしたちより優先順位がアキラカに低いから、倒れたら助けてね」
ルシオン
「防御の低い順にねらい撃ちされている気がしますね。
ちなみに、チェ=パウ、今何を着ているんですか?」
チェ=パウ
「えーとね、ジャザラントにラバーシールドにフレイムグリーブかな」
ルシオン
「……えっ?」
チェ=パウ
「だから、ジャザラントにラバーシールドにフレイムグリーブだってば」
キリク
「それ、2ランクくらい下の装備じゃ?」
チェ=パウ
「だって、まだ専用装備買ってないし、六層に入ってからこっち、通常装備にお金なんて回ってこないもん。
最近ラチェスタがアーチドロワー買ったから、やっとガストラフェーテスがまわってきたばっかりだよ。
それ言うならラチェスタなんて、鎧は専用だけど、あとは化石の首飾りと鼈甲の二連指輪だよ。防御力なんかないよ」
ルシオン
「…………」
ケイン
「あ、オレもフレイムグリーブにリカリスダブレットだぜ」
バルロンド
「俺もブーツはフレイムグリーブだ。
ユディトに至っては、枯れ森の髪飾りに初期装備のワンドだったな」
ルシオン
「……お店に行きましょうか……」
結局、装備を更新しても一撃死はどうにもなりませんでしたが、あまりにも使い込まれてぼろぼろの装備を文句一つ言わず使っていた皆さんに申し訳なかったので、良かったのだと思います。
青いのは二度目の挑戦でからくも撃破、しかも初回で骨が採取できました。
アギト以来の新しい刀に、ジンライさんが若々しい喜びの表情をされていたのが印象的でした。

065 限界 

第六層にて
ゴート二世
「おりゃッ!」
チェ=パウ
「やった、落ちた!」
ルビー
「もう周囲に敵の気配なし。終わったみたいだね」
キリク
「やっぱり凄いな、セカンド」
ゴート二世
「…………」
キリク
「どうかした?」
ゴート二世
「……いや、大した事じゃねぇ。
さすが、この鞭はすげぇ威力だ、作るのに苦労した甲斐はあったな」
ルビー
「そろそろ夜が明ける頃だね……」
ラピス
「セカンド、キリク、大丈夫?」
キリク
「僕は大丈夫です」
ゴート二世
「俺も、歩けねーって程じゃねぇ」
ラピス
「今日はそろそろ終わりにしましょう」
チェ=パウ
「まだまだ元気いっぱいだよ」
ラピス
「今は歌で気分が高揚しているからそう思うだけよ。
それに、本当に疲れていなくても、やっぱり適度な休憩は必要だわ」
ルビー
「プロのお言葉だ、従うとしようか。
帰還の術式を使うから集まっとくれ。離れすぎて置いて行っちまっても苦情は受け付けないよ」
ラピス
「セカンド? どうしたの? ぼーっとしちゃって」
ゴート二世
「…………」
キリク
「セカンド、本当に置いてかれるよ。どこか怪我でもした?」
ゴート二世
「……限界、だな……」
キリク
「……えっ?」
ゴート二世
「あ? 悪ィ。帰るんだな。すぐ行くよ」
キリク
「セカンド?」

翌朝
ケイン
「おーい、セカンド。前読んでた『縛り大全』貸して……
おーい? あれ? 留守か?」
キリク
「お早う。どうした?」
ケイン
「セカンド出かけてんのかな?」
キリク
「いや、僕は聞いてない……
あれっ、装備一式畳んで置いてある。鎧はともかく、鞭は常に持ち歩いているはずなのに」
ケイン
「セカンドが朝からいねぇって、珍しいな」
キリク
「……いや、これおかしいよ。部屋が妙に片付いている。まさか……」
ケイン
「何だ? 何か心当たりでもあんのか?」
キリク
「昨日、セカンドが『限界だ』って言ってるのを聞いたんだ。まさか、出て行っちゃったんじゃ……」
ケイン
「まさか、お前じゃあるまいし」
キリク
「とにかく、ルシオンにきいてみよう。何か知っているかもしれない」

ルシオン
「ええ、『明日から消えるから』って言ってましたよ。
でもこれから何日か休暇にする予定ですし、問題ないでしょう?」
キリク
「でも、装備品まで全部置いて?」
ルシオン
「えっ? なら、エトリアから出ていないのかしら。
でも、朝から姿を見ていないわ……」
キリク
「昨日『限界だ』って言っているのを聞いたんだ」
ケイン
「戦いが嫌になって帰っちまったのかな」
ルシオン
「そんな、さよならも言わずに行ってしまうなんて……
でも、そうよね、セカンドはただ、個人的な興味で世界樹の迷宮に来たというだけ。いついなくなっても不思議はなかったんだ……」
ケイン
「薄情な野郎だなー。それでもオレたちは仲間だと思ってたのにさ。行くにしたって、一言くらい言ってから行けよな」
ルシオン
「……私、探してきます!」
キリク
「僕も!」

世界樹の迷宮内
ラチェスタ
「……といった感じで、大騒ぎになっている。
ほら、お前の装備だ」
ゴート二世
「サンキュ。やっぱこいつが腰にねーと落ち着かないぜ。
しっかし、しくじったなー。まるで家出の扱いじゃねーか」
ラチェスタ
「言葉が足りな過ぎたのだな」
ゴート二世
「お前に言われたかねーよ。
ま、適当に説明しておいてくれ……いや、やっぱいい。事情を言えば、絶対ルシオンの奴一緒に来ようとするからな。
じゃ、俺はそろそろ行く」
ラチェスタ
「本気なのか。一人で行くなど。
大体、今のお前は動きも体力も素人同然、死にに行くようなものだ。
ラピスを呼んできた方がいいのではないか?」
ゴート二世
「いや、これは俺一人ですべきことだ。
これは俺が俺の限界を超えるのに必要な儀式ってやつなんだ」
ラチェスタ
「自らの肉体を一度破壊し、得たものすべてを捨て去る、その行為に意味があるのか?」
ゴート二世
「自分の中で一度固まっちまったら、そいつを破壊しなきゃ自分の限界は超えられねぇ。
俺は一度『死』ななければならなかったのさ」
ラチェスタ
「お前は十分に強かった。
何故死の危険を賭してまで更なる高みに昇ろうとする?」
ゴート二世
「そりゃぁな、昇るのをやめるのは、俺が本当に死んだとき、だからさ」
ラチェスタ
「帰ってくるのだろう?」
ゴート二世
「当然。男子三日会わざればってね。じゃあな!」
ラチェスタ
「死ぬなよ……」

066 近くて遠い

ケイン
「リザレクション完了」
ルビー
「お疲れ様。いつもながら完璧だねぇ」
ケイン
「二回に一回は死亡者って状況じゃあ、慣れもするぜ。
セカンドってさ、ほんっと、打たれ弱いなー」
ゴート二世
「悪かったな、くそ」
ルビー
「仕方ないさ、その格好じゃねえ」
チェ=パウ
「胸はだけてるもんねー」
ゴート二世
「会話文だけだからって勝手なこと言うな。ちゃんと胴装備してるっつーの」
キリク
「それでもそんな軽量じゃ防御にならないと思うよ。僕が前に使ってた奴貸そうか?」
ゴート二世
「そんな重いの着て動けねーよ」
ルビー
「まあま、ルシオンが調べてたけどね、二十八階まで行けばダークハンターの鎧を作れる材料が採れるらしいよ」
ケイン
「例によって攻略情報かー」
ゴート二世
「しかもまだ更に二階下じゃねーか……先は長ぇなー」
チェ=パウ
「まー、歌ってあげるからがんばろー」

ゴート二世
「ここが地下二十七階か」
キリク
「なんだここ。何もないぞ? ただだだっ広い広間があるだけ?」
ケイン
「噂によると、かなりの冒険者がここで苦労したらしいぜ」
ゴート二世
「へー。とりあえず歩いてみっ」
ゴート二世
「かぁぁぁぁぁ!」
キリク
「うわぁぁぁ!?」
チェ=パウ
「あなぁぁぁぁぁ!?」

ケイン
「いて!」
チェ=パウ
「やだやだっ、なにこれっ!」
キリク
「落とし穴だよ」
ゴート二世
「しかも今度は一面トゲ床だと? こういうパターンは……あれか、ロンダルキアか。しかもファミコン版だな、くそったれ。雷神の剣よこせ馬鹿野郎」
チェ=パウ
「ろんだるきあって何ぃ~」
ルビー
「ふう、面倒そうだねえ」
キリク
「あ、ってことは、ここ二十八階ってことだね」
ゴート二世
「そうなるな」
キリク
「さっき言ってた、ダークハンター用装備作る材料ってここにあるんじゃないの?」
ゴート二世
「……思ったより早く着いたな」
ルビー
「……良かったね」
ゴート二世
「……嬉しくねー」