TRPGリプレイ メタモルフォゼ『朝の歌』ユウ&アサヒ 3(終)

こんばんは
ユウ
こんばんはー!
進行役
こんばんはー!
ユウ
とうとう三つ目の場所かぁ。
進行役
今日は山のてっぺんを目指します。
ユウ
登ろう。
登りながら竜の話をしようかな。

【神子】アサヒ

黒い鱗
右手から繭化
無機物を食べる

×食べることが好き
 出会いの記憶
×クリエイティブ(絵を描く)
×魅惑の肉体(美しい肌)
 小さな特技(口笛で鳥を寄せる)

進行役
そのまましばらくその遺跡で休憩をした。
ユウ
ずっとそこに座っていたかった。夜が来て、夜が明けるまで。
でも、それは許してもらえない。
進行役
アサヒはいつまでも出発しようとは言い出さないで、あなたに話をせがむ。
アサヒ
「さっきの龍のお話、続きをして!
他の首はそれからどうしたの?」
ユウ
「海の奥には人間がいないから、八つ目の首は人を食べなくなった。
一つ目の首はそうかとだけ唸って、別の場所に泳いでいった」
進行役
アサヒはいつものように絵描き用の紙束を出し、そしてふと手を止めた。
ユウ
「……アサヒ?」
アサヒ
「ううん、いいの。続けて。もっと聴きたいから」
ユウ
「……うん」
ふと、いつも絵を描いていた指先が、ねじ曲がって溶けているのが目に入った。
ユウ
「……六つ目の首はやっぱり寝てばかりいて、ちいとも目を覚まさなかったし、どこにも行かなかった。
ざあんと波の揺れる音がして、ふっと六つ目の首が目を覚ますと」
アサヒ
「覚ますと、どうなったの?」
ユウ
「海にひとりも人間がいないので、一つ目の首はさびしくなって戻ってきていた。
八つ目の首は退屈になって、やっぱり元の場所に戻ってきた。
四つ目の首と五つ目の首は、いつものようにけんかしていて。
そうして、脚の二本足らない蛸になった」
アサヒ
「そっ……か。蛸になっちゃったんだ。
ふふ。ひとつになったんだ」
ユウ
「そう。ひとつになって、ゆらゆらと海の中。
……二つ目の首と三つ目の首だけが、とうとう戻らなかった。
そうして彼らは仲良くやって、それでおしまい」
アサヒ
「みんなと離れた二つ目と三つ目、幸せになったかな」
ユウ
「きっと幸せになったよ。ずうっと遠くまで行って、ずうっと一緒なんだ」

アサヒ
そして語られることのない謎の七つ目。
ユウ
あ。(もしかして:PLのミス)
意味ありげな数字だし謎のままにしておこう。
アサヒ
謎がある方が楽しいかもしれない。

ユウ
語ったお話の終わりだけが、元のお話と少し違う。
本当は、二つ目の首と三つ目の首は途中で飽きて、一緒に帰ってきてしまうんだ。
……でも。
………でも。

どこまでも行ってほしかったし、どこまでも行きたかった。
ふたりで。
アサヒ
「そうだね。だといいな。きっとそう。
南の海へ行ってね、綺麗な珊瑚の中で眠るの」
ユウ
「南の海か。いいな、魚も珊瑚も、みんな色とりどりなんだ。
綺麗な魚たちに囲まれて、綺麗な珊瑚の中で寝るんだ」
進行役
この遺跡には、けむる森のにおいがむせかえるほどに充満していた。
そのみどりの濃さが、ここを海の底のように感じさせるのだ。
アサヒは小さなため息をついて、紙束を遺跡の中に置いた。
ユウ
「……アサヒ。そっか、手が」
アサヒ
「いいの……神様はきっと絵を描かないから。
ここに置いていくんだ。さっきの石の代わりに」
ユウ
「そうだね……。神様は絵を描かないかも。みんなが、神様を見上げて絵を描くんだ」
アサヒ
「龍のお話は、ここで覚えておくから、大丈夫」
ユウ
「……うん」
進行役
アサヒは胸に手を当てた。
アサヒ
「……ね、ユウ。
私たち、ずーっと一緒にいたよね」
ユウ
「うん。ずっと一緒にいた。小さいころから、ずっと。
今も」アサヒの手を取る。
アサヒ
「……うん。
ゆりかごも隣で、お乳も一緒に飲んで、笑うのも泣くのも一緒で」
ユウ
「そう。そうだよ。隣同士のゆりかごで、一緒にお乳をもらって、一緒に笑って、一緒に泣いて……、双子みたいだって言われた」
記憶
アサヒ
初めて会ったときの記憶って、どんなのなんだろ
ユウ
隣同士のゆりかごで、泣きながら互いの顔を見ている記憶が最初だったり? 
赤ちゃんの頃ともなると残ってる記憶が断片的なシーンになってそう
アサヒ
生まれたときから一緒だとすると赤ちゃんだから、
一番古い共通した記憶、あたりが無難かな。
ユウ
かな。>一番古い共通の記憶
赤ちゃん時代の記憶が一枚絵のようにして、印象的なシーンだけ残っていたら熱い
アサヒ
出逢いの記憶を失う、か。
どうなるんだろうなぁ。
人として一緒に生きた想い出が全て消し飛んで、親愛の情だけ残ってるのもなんか哀しい。
ユウ
ああー、それは悲しいな。
悲しいけど感情だけ残っているのが、また尊いけどこれまた悲しい。
話した端から忘れていってしまったりしたら異様。

アサヒ
「ユウはね。くしゃくしゃの顔してた。
いつも笑ってて、私もつられて笑うの。
お腹が空いてても、さみしくても、ユウが笑うから、笑っちゃってた」
ユウ
「アサヒは、しょっちゅう泣いてたよね。くしゃくしゃの顔して泣いてた。
でも、僕が笑うと笑ってくれた。それが、なんだか嬉しかった。
だから、いっぱい笑ったんだ」
アサヒ
「覚えてるよ。ずっと覚えてる」
ユウ
「うん。……僕も、ずっと覚えてる。
だってずっと一緒なんだ。忘れる間もないくらい」
アサヒ
「私ね。ユウのお嫁さんになるって思ってたの」
ユウ
「えっ?」
アサヒ
「だってずっと一緒なんだもの」
ユウ
「ずっと一緒……、そっか……」
声が震えた。お嫁さん。その一言に、確かにうれしい、と感じたんだ。
アサヒ
「ずっと一緒に大きくなって、ずっと一緒に歳を取って、子供がきて、ずっと一緒におじいちゃんとおばあちゃんになるんだって」
幼い思い出
アサヒ
子供の頃の思い込みだから、子供がどうやって出来るのかも、夫婦というものがなんなのかもわかんなかった。
一緒にいるから、ずっと一緒なんだな、くらいに思ってた。
子供は多分こうのとりが連れてきてくれるの。
ユウ
自分の運命も、一緒にいる理由も知らなかった頃かぁ……。

ユウ
「……嬉しいな。 
……おばあちゃんのアサヒか、きっとやさしいんだろうな。
子供、かわいかっただろうな。

ずっと一緒に……、いたかったな」
アサヒ
「……そう思ってたの、昔の話だけど、ね。
……ユウがおじいちゃんになっても、私は山から見てるから」
ユウ
「うん……」
進行役
温かかったその場の空気が少し冷え始めていた。
いつの間にか陽が落ち始めている。
ユウ
「ありがとう……。アサヒ。そうだ」
アサヒ
「うん?」
ユウ
周囲を見回して、花を探す。真っ赤な花。
それを、慣れない手つきで輪っかにする。
女の子たちがやってたんだ。お嫁さんごっこは、頭にお花の輪っかを乗せるんだ。
「アサヒ。あの……、その」
アサヒ
「うん」
ユウ
「僕、もう大人なんだ。お酒だって飲めたし、大人になったんだよ。だから」
進行役
アサヒはあなたの言葉に小首をかしげた。
ユウ
ほどけそうな輪っかを、アサヒの頭に乗せる。
「僕の、お嫁さんになってください」
アサヒ
「…………!」
ユウ
ごくりと唾を飲んだ。
アサヒ
「……でも、私、神様になるのに……
あと少ししか一緒にいられないけど。
それでも?
それでも、いいの?」
ユウ
「いいよ。いい。アサヒが、お嫁さんがいい。
神様をお嫁さんにしたって、怒られるかもしれないけど。
それでも、アサヒがいい」
アサヒ
「私、鱗があるよ。石を食べるよ。
絵だってもう描けない」
ユウ
「いいよ。鱗は神様の鱗だ。石はアサヒが食べたら、美味しそうに見える。
絵が描けなくても、お話を聞いて笑ってくれる。
アサヒは、アサヒだ」
アサヒ
「ユウ。
私も、ユウのお嫁さんになりたいよ。
今日だけ、今だけじゃなくて、ずっとずっと。
一緒に生きていたいよ」
進行役
アサヒの目から大粒の涙がぽたぽたとこぼれ落ちた。
ユウ
「……アサヒ。
僕も、僕もだよ。
僕も、ずっと、一緒にいたい。子供がきて、おじいちゃんとおばあちゃんになっても、ずっと。ずっと……」
進行役
山頂までは行くかな……
アサヒ
「でも、神様になるんだよ。
そのために生まれたんだもの。
そのために生きてきたんだもの」
ユウ
「アサヒ……」
こぼれ落ちる涙を拭こうとして、触れるのにためらう。
神様になんて、なってほしくなかった。
……行かないでほしかった!
ユウ
「行って、ほしくないよ……」
アサヒ
「神様、なりたくないよ。人でいたいよ。
普通に大人になって、ユウのお嫁さんになって、おばあちゃんになるの。
怖いよ、ユウ」
進行役
アサヒはあなたにしがみついた。
体がかたかたと震えている。
ユウ
「……アサヒ」
その背中に触れ、抱きしめる。
ユウ
「……アサヒ……、」
ユウ
「……、山の、てっぺんに行ってさ」
アサヒを抱きしめて、小さな小さな声で耳元に囁く。
「……山の、反対側に隠れてさ。そうしたら。
一緒にいなくなっちゃっても、分からなかったりしないかな……」
進行役
あなた方には、監視がついている。
大事な神子が失われるわけにはいかない。
隠れようとするなら、森の獣のように追い立てられるかも、知れない。
アサヒ
「一緒に?
一緒に、山の向こう側へ……」
ユウ
「……うん。
山で滑って、埋もれちゃったふりをするんだ」
アサヒ
「ねえ、ユウ。もしかしたら、なんだけど」
ユウ
「……うん」
アサヒ
「私が、本当にこのまま神様になったら?
儀式をしなくても、神様になったら?
そうしたら、二人でここを出られるかな」
ユウ
「……神様……
そっか、……アサヒみたいなことは、今まで一度もなかったんだって、みんな言ってた」
アサヒ
「私、もう変わり始めてるんだよ」
ユウ
「儀式をしなくても、神様になったら……、そうしたら……
捨てたり、しなくても、いいよな」
アサヒ
「……うん。そう、かも。
そうだといいな!」
進行役
捨てなくてもなくなっていっちゃうんだけどね……
どうなるんだこれ。
ユウ
「きっと、そうだよ!
アサヒは生きて神様になるんだ。だから、儀式なんていらない」
その言葉は希望だった。アサヒを殺したくなんてない。アサヒと、ずっと一緒に生きていたい。
たとえ、神様になっても。
アサヒ
「二番目と三番目みたいに、一緒に」
ユウ
「どこまでも、一緒に。
そのうち虹色の尻尾が生えてくるかも。綺麗だろうな」
進行役
アサヒは楽しそうにクスクスと笑った。
その声が何故か、鳥のさえずりのように聞こえた。
ユウ
鳥の真似をするときの、あの声そっくりだ。
アサヒは鳥の神様になるのかもしれない。鳥の羽をもった竜。
進行役
アサヒは少し考えて、近くの木から木の枝を数本取り、編み始める。
少しして、腕にはめるにぴったりの輪ができた。
アサヒ
「ユウ。私のお婿さんになってください」
進行役
言いながら、その木の輪をユウの手首に通す。
ユウ
「喜んで」笑って腕を差し出す。
……決めた。アサヒを殺したりしない。もし村のみんなが融通が利かなかったら、どうやってでもアサヒを逃がすんだ。
だって、アサヒは生きて神様になるんだ。
アサヒ
「行こう、ユウ。一緒に」
進行役
アサヒはそう言ってあなたに左の手を差し伸べる。
黒い鱗は、彼女の肘のあたりまで覆っていた。
ユウ
「行こう、アサヒ。一緒に」
右の手でその手を取る。しっかりと握りしめた。
進行役
アサヒは嬉しそうにあなたに微笑みかけた。
進行相談
進行役
途中離脱したい場合は、追っ手を何とかする必要があります。
アサヒが得た能力次第では可能かも知れません。
ここを完全にダイス任せにするか、何とか出来そうな能力に絞って振るか……
いっそ決め打ちでもいいんですけどね。
ユウ
ここで何とかなる能力が出なくて、ユウが盾になってアサヒを逃がそうとするというバッドエンドもそれはそれで味わい深いので、ダイスに一票
悲劇を味わうのがテーマなら、それはそれでありかなって。
進行役
いきますかぁー。
そうすると、儀式場までは戻らず、どんな結果になっても山頂が最後かな。
ユウ
ですね、山頂が最後になりそう。
進行役
それじゃ、本来振る「怪物の特徴」のかわりに
あー、どうしようかな。「能力」振っちゃうと確実に逃げられるかな。
弱点も同時に振ることにするかな……
その出目によっては脱出を図れなくなるかも知れない。
ユウ
なるほどそれだ。
進行役
特徴・能力・弱点を一気に振りますね。
ユウ
どきどき、はーい
おお、夜だ 綺麗>背景

進行役
空は晴れ、夕暮れの空は急速に暗くなってゆく。
アサヒの白いからだは闇の中にあってもまだ明るいように見えた。
アサヒ
「一番星見つけた」
ユウ
「えっ、どこどこ?」
進行役
アサヒが得意げに指さす。
ユウ
「ほんとだ! すごいな、アサヒ」
進行役
やがて星が天にちかちかと瞬き始め、どれが最初なのか分からなくなってしまった。
アサヒ
「こんな遅くに山を歩くの、初めて……
ちょっと、こわい」
ユウ
「大丈夫。ほら、空があんなに明るいよ」
アサヒの手を握り、先導する。
「……空って、こんなに星がいっぱいあるんだ。ちゃんと見たこと、なかった」
アサヒ
「空が近いね」
ユウ
「だね、空がすぐ近くにあるみたいだ。
てっぺんまで行ったら、星を掴めるかな」
アサヒ
「天の川で泳ぎたいな」
ユウ
「天の川! 泳いだら星がさわって気持ちいいかな。上を歩いてみたいな」
進行役
ずっと後の方で、光がまたたいた。
空ではなく、地上で。
あなた方を追い続けている、見張りたちの目だろう。
アサヒ
「ふふ、急ごう!」
進行役
アサヒはいたずらっぽく笑って、足を速めた。
ユウ
「うん、行こう!」
ずっと後ろでまたたく光は、星のように見えて、そうじゃない。
……ずっと僕たちを追いかけてるんだ。
神子が、世話役が、逃げ出さないように。

ちゃんと村の『神様』になるように。
アサヒ
「私ね。神様になるのかもしれないけど。
ユウだけの神様になるの。
ユウのお嫁さんになるんだから」
ユウ
「はは、そんなこと言ったら怒られちゃうよ。……でも、嬉しい。
みんなの神様じゃなくて、僕だけのアサヒだ」

🎲怪物の特徴……肉体の変貌……幼化
🎲怪物の能力……対象変化
🎲怪物の弱点……銀の武器
出目の解釈
アサヒ
幼化が出たんですが。
ユウ
なんてこったい。
アサヒ
弱点、神剣かなやっぱり
ユウ
ぽいですね
対象変化ってどんな能力なんだろ
アサヒ
人間の姿を何かに変えてしまったりする力です。
石にしたり、花にしたり、動物にしたり
対象は人とは限らないのだけれども。
ユウ
①追っ手を変化させて逃げる
②ユウを怪物の姿にして、アサヒは幼化してて一緒に生まれ変わったふりしてバックレる
③当人に使うことができるなら、一緒に動物に変化して逃げる
④その他
アサヒ
今までの話を活かすなら、3がそれっぽくはあるなー
ユウ
確かに、③だと話が繋がる
アサヒ
うーん
ゾンビと幼化
死んで生まれ変わる火の鳥とか?
ユウ
なるほど??
アサヒ
くらげとか??
鱗関係ないわ。
ユウ
想像してたのは野の鹿とかそういうやつだったけど、確かに鱗関係ない
いっそ一緒に魚になって川から逃げる?
川なら遠くへ続いてそうだし
アサヒ
鹿に鱗だと麒麟という手も
魚もいいかな……
魚は滝を登ると龍になるわけで、幼体といえなくもない??
ユウ
なるほど、それだ>龍の幼体
アサヒ
魚になろう

進行役
山のてっぺんには泉がある。
泉からは水が滾々と湧き出ていて、空の星をそのまま映し出して、上も下も星空だった。
ユウ
「……すごい。全部、空だ」
進行役
アサヒの喉からくるる、くるる、と不思議な声が出る。
人としてのアサヒの言葉に混ざるようにして、奇妙な響きが夜空を渡る。
ユウ
そちらを振り返る。
星に埋め尽くされた世界で、アサヒが鳴いている。
……ほんとに神様みたいだった。
空の中で、神様が鳴いている。
アサヒ
「遠くへ行っちゃおうか。ふたりで」
ユウ
「いいな、そうしようよ」
進行役
そのくすくすと笑う声もどこか鈴のような、金属のような響きをしていた。
ユウ
ああ、アサヒはほんとに神様になろうとしてるのかもしれない。
そう思えた。アサヒは、生きて神様になるんだ。
アサヒは小さな特技(口笛で鳥を寄せる)を失う。
龍の幼体と化し、人を水に生きるものに変える力を得る。
進行役
アサヒは嬉しそうにあなたを抱きしめた。
その全身の鱗がざわざわと波立つように輝いて、広がってゆく。
アサヒ
「怖がらないで。
変わるだけ、だから」
ユウ
「変わるの?」
抱きしめる温度が温かかった。竜の首の虹色の尻尾みたいに、鱗が輝いている。
進行役
あなたの首に、ひきつれるような感覚があった。
ユウ
少しびっくりして、自分の首を押さえた。
アサヒの頭と、一面の星空を見比べる。
進行役
ばきばきと音を立て、あなたの首に裂け目ができる。
体中になにやらむずがゆいような感覚がはしる。
ユウ
アサヒの体温が僕を包むみたいだった。
そうか、変わるのは僕なんだ。
神様になるアサヒが、変えてくれるんだ。
進行役
星空はまるで話に聞く海のようだった。
銀色の川が空いっぱいに流れていた。
ユウ
まるで、海の中にいるみたいだ。
星の粒を絡めて揺れる木が、やさしい珊瑚みたいだ。
神様になったアサヒが、僕を変えてくれるんだ。
……神子を殺さなきゃいけない世話役から、何か別のものに。
アサヒ
「少し、変わるだけだから……」
ユウ
「……うん」
アサヒの背に手を回して頷く。

進行役
夜道を歩いて神子を追っていた狩人達は、信じられないものを見るだろう。
山頂で、抱きしめ合っていた神子と世話役がいたところで、黒い大きな魚が二匹、空中を虹色の尾鰭で叩いて飛び上がったのだ。
それは見る間に天の川を駆け上るようにして暗い空をのぼり、いつしか二匹の龍になっていた。

いや、それは、二つの首を持つ龍だった。
そのいきものは、大きな声で一つ鳴いて、夜空をゆったりと飛んで行ってしまったのだという。

山頂にはひとふりの剣が突き刺さるばかりだった。
ユウ
さあ、行こうよ。どこまでも。
僕たちは、神様になるんだ。
この村の神様じゃない。ふたりの、ふたりのためだけの神様に。


それから二人の姿を見たものは誰も、いない。



朝の歌




【神子】アサヒ

黒い鱗
右手から繭化
無機物を食べる
人間を変える
龍の幼体になる
弱点:神剣

×食べることが好き
 出会いの記憶
×クリエイティブ(絵を描く)
×魅惑の肉体(美しい肌)
×小さな特技(口笛で鳥を寄せる)

進行役
こんなんで大丈夫だったでしょうか。
ユウ
大丈夫です!
これは余韻のある美しい終わり方
竜の話、拾ってくれてありがとうございます
進行役
記憶飛ばさずに終わったなぁ。
二人で一緒に話しながら飛んで行くのだ。
ユウ
ですね。
記憶は残ったし、話しながらどこまでも飛んでいける。
進行役
実は一個やろうかなと思いつつやらなかったネタがありまして
ユウ
ほほう
進行役
腐敗」を引いたということは、死に近しいということ。
儀式場へ戻ると、今まで死んでいった神子たちの声が聞こえてしまう、なんてのが。
神になるわけでもなく、そこに留まり続ける先代の声が聞こえちゃったりそんな。
ユウ
ああーーーー。
それは辛い。
「神様になってないじゃん!」が明確になってしまう。
進行役
展開によっては使おうかなと思っていたんですが、なんか綺麗に終わりそうだったのでこれで!
ユウ
今回は「んで結局神様になるのならないの」が断定されずに終わった所といい、「謎を残す、余韻のある綺麗な終わり方」になりましたね。
まさに「完」の文字が似合いそうな綺麗な終わり方。
進行役
村は腐敗の病に冒されるというのも考えたけど、二人とも振り向かなさそうだった。
ユウ
振り向かないだろうなぁ。二人だけの神様でいることを選んだのだし。
いずれアサヒは完全に怪物化してしまうのだろうけど、それでもユウはそれを彼女として手を取り続けるんでしょうね。
進行役
折角全編にわたって龍の話を振ってくださっていたので、使いたいよね!
ユウ
ありがとうございます! 拾ってくれて嬉しい!
龍の話が通しのモチーフみたいになって美しい。
進行役
綺麗すぎるかなと思ったけど、まあ、ダイス様の言う通りって事で。
最後に失うのは想い出かも知れないけど、きっとずっと一緒にいます。
ユウ
そうそう。怪物化が「死ななくてもいいんじゃないか」という希望として扱われる所も面白いし、ひどい話してた村を捨てて空へ去る二人の構図は美しいし。
ずっと手を取っていよう。
進行役
良かったいい話で終わった。
ありがとうございました!
ユウ
ありがとうございました!
また別の話をやることがあれば、その時はエグみの強い完全な悲劇になること前提でやっても面白いかもですね。
ユウ
(それとは別に、変異道中膝栗毛もそれはそれですごくやりたい)
進行役
しょーもない変異表作らなくては!
ユウ
「足が臭くなる」はぜひ固定でお願いします
進行役
それは人間の特徴ではないのかッ!?
どっちにもありそう。
あなたは「足が臭い」を失って「足が名状しがたいにおいになる」を得る。
ユウ
なるほどそれだ 足が玉虫色の悪臭になる
進行役
臭い表作らなきゃ。
ユウ
しょうもないアクシデント、しょうもないパルプンテ、しょうもない変異系のお約束な気がしてて>足が臭くなる
何かのルールのオモシロアクシデント表にもなかったかな……(忘)
進行役
そういうしょーもなくて小さな異変を積み上げて人間から離れて行くふたりの珍道中。
ユウ
そうそう。
猫耳が増える(猫耳になるではない)とか。
進行役
増えるんだwww
ユウ
人間耳とは別に猫耳が増える。そのうち耳がどんどん増えて耳だらけになる。
進行役
やだこわい
体のどこかに目が増える も軽率に生やしたい。
ユウ
いいですね。変なとこに生えて微妙に不便になってほしい。
進行役
と、そんなところで、またいつかの機会に。
今度やるならお茶会シナリオかな?
表が出来てたら珍道中してもいいけど。
ユウ
かな? >お茶会シナリオ
既存キャラのifでやっても面白いかも。
ありがとうございました! アドリブパワーがかなり必要で難しいけど面白かった。
進行役
結構難しいけど楽しかった!
人間の特徴予め自然に出しておかなきゃいけないの意外と難しい。
コメント By.進行役(アサヒ)
ユウが紡いだ物語はふたりの運命を導く。
アサヒは神になる。

プレイ日:2025年11月27日

作者名: 長月(ルールブック掲載シナリオ)

配布・販売サイト: 朝の歌


怪化と変貌のRPG メタモルフォゼ
著:椅子塚サクサク
出版社:KADOKAWA

こちらのリプレイは「メタモルフォゼ」の二次創作です。


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