TRPGリプレイ メタモルフォゼ『朝の歌』ユウ&アサヒ2

こんばんは
ユウ
とうっ! こんばんはー!
進行役
こんばんはー
サウンドマスター曲って幕間に流すのは向いてないな。止まっちゃう。
ユウ
待機中にずっと流しておくのに使おうとすると、全員いなくなった時点で止まっちゃうと
確かに意外な問題点
待機中の曲だけは通常のPRO曲とか他の曲とかにした方がいいんですな
ちなみにこの卓のテーマ曲はAudioStockの歌カテゴリ『届かない手紙』でございます。
本編中はBGM『Magical Ice』でした。
進行役
ふー、マウスの電池が死んだ。
ユウ
oh
進行役
一応、全員いなくなったら即ってわけじゃなさそうなんですけどね。
あやびとルーム、大分遅くなってから入り直しても音楽流れていたから。
ユウ
それこそ一旦休憩とかで止まってしまうと困るから、ある程度時間に余裕が設けられているのかな
進行役
ああー、そういうのはあるかもしれませんね。
リセット時刻がある可能性もあるけど。
待機中のテーマソングをサウンドマスター曲にしたかったらやっぱりAudio Stockに加入するしかないな。
進行役
んでは!
ユウ
よろしくお願いします!
進行役
ものすっごく久しぶりになりますが、メタモルフォゼ、開始いたします!
ユウ
はーい!

【神子】アサヒ

黒い鱗

 食べることが好き
 出会いの記憶
 クリエイティブ(絵を描く)
×魅惑の肉体(美しい肌)
 小さな特技(口笛で鳥を寄せる)
進行役
そうしてあなた方は最後の旅に出る。
それは神子の人間としての命を葬る道だ。
ユウ
嫌だ。行ってほしくない。体がずっと叫んでる。
でも、どうしたらいいかなんて、分からないんだ。
……アサヒは本当に神様になるのかな。
せめて、そうだったらいい。
進行役
神子がどういった存在なのか。
あなたは知っている。
その手を引く役であるからこそ、言い伝えだけではないその裏側も、先人達の言動から分かってしまうこともある。

神になる、などということが
無邪気に信じられるものであるのか。
信じたいと願うほどに、そうではない面も見えることもある。
ユウ
「神子」には丁重に接する先代たちも、「世話役」にはぽろぽろと本音を漏らす。
……あの爺さんと僕が同じようになるのだなんて、思いたくなかった。
アサヒの心も、僕の心もそっちのけに祭り上げる大人たちが、少しだけ、憎らしかった。
でも、アサヒは変わり始めてる。今までの神子と違うって言ってた。
……だから。
本当に、本当に今度こそ神様になるのなら、せめて。
それでも行ってほしくない。
アサヒ
「今日はいい天気だね。
先代様がきっと見ていて下さっているんだよ」
ユウ
「あ……、
そう……、だね。
きっと、見ていて下さってるんだ。先代様、あんなに目がよかったもんな。
ずっと遠くの雉にだって、矢を当てた。
丸焼きにして、僕らに食べさせてくれた」
アサヒ
「うん、凄かったよね。
優しくて、あたたかくて。
私、ああいう人になりたいと思った」
アサヒ
「ねえ、どこへ行こうか。
今日は一日、どこへ行ってもいいんだよ。
想い出の場所を巡って、そこにひとつひとつ私を埋めていくの」
ユウ
「うん……。埋めていって、埋めていくんだ」
もう何度も聞いたはずの段取り。声が震えた。今日だけは、僕の方がずっと口が下手みたいだった。
ユウ
「だから、
この森が、アサヒでいっぱいになるんだ」
アサヒ
「うん。
私ね、本当に神様になるんだよ、きっと」
進行役
アサヒは腕にびっしりと生えている鱗を撫でた。
ユウ
「……そう……だね。だって、こんなこと、初めてだって言ってたもんな。
アサヒは、竜になるんだ。きっと。山を潤す龍神様だ」
アサヒの腕に生え揃う鱗はなんだか、アサヒの綺麗な肌を食い破っているようでおそろしかった。
進行役
あなたは知っている。
あなた方には監視がついている。
逃げだそうとしても、すぐに捕まるだろう。
ただ、その気配を感じることはない。
会話を聞かれるほど近くにはいないのだ。
ユウ
遠くから大人たちが見ているんだ。
お役目を放り出したら、僕は「役たたず」になる。
そして、アサヒは。

神様になれないまま死んでしまう。
……それに分かってる。
この村の外には深い深い森と、行商人が来る道しかない。
それ以外には、なにもない。

進行役
山道を封鎖している感じなんでしょうね。
山の中に分け入ろうとしたら警告されるかも
ユウ
でしょうねぇ。
進行役
ここから三カ所想い出の場所巡りとなりますが、
自分たちで決めてもいいですし、シチュエーション表を振ってもいいです。
「どこで」「なにをした」という内容になります。
ユウ
せっかくだからダイスに任せてみようかな。シチュエーション表を振ります。
進行役
では、2D6どぞ

アサヒ
「龍! そうだ、龍の話!」
ユウ
「あ……、
竜の話、そうだ。八つの首の竜の話。二つ目の首と三つ目の首は親友で、四つ目の首と五つ目の首は喧嘩ばかりしていて、八つ目の首は人を食べるけど、一つ目の首がそれを止める。
そんな首たちに呆れて、六つ目の首は寝てばかりいる……」
不思議なくらいに口が回らなかった。
最後の旅の日、物語を語り続けるのが僕の役目のはずなのに。
アサヒ
「……そっか。後でもいいよ。
朝から色々あって疲れちゃったもんね」
ユウ
「ううん、ごめん、昨日はじめてお酒を飲んだから、ちょっと頭がぼうっとしてたんだ」
アサヒ
「そっか、もう大人なんだよね、私たち」
進行役
アサヒは杖をつきながら緑の中をゆっくり歩いて行く。
あなたに何処へ行こうかと訪ねたくせに、行き先はもう決まっているようだった。

🎲特別なときにしか行けないところで相手に怪我をさせた そのときのことは大きな後悔として残っている


アサヒ
どっちがどっちに怪我させたのかなー。
ユウがアサヒをかばって怪我をしたかな?
ユウ
かな?
アサヒ
神子に怪我させたらめっちゃくちゃ怒られそう。
ユウ
ものすっごい怒られそう

ユウ
神様の滝だ。僕とアサヒしか行けない場所で、僕たちは好きに行ってよかった。
そこで僕たちは、大人たちの気配から逃れて好きに遊んだ。
ユウ
「うん。もう大人なんだ。お酒だって飲めるし、秋の祭りにも一人で行ける。
……アサヒとも、一緒に行きたかったな」
アサヒ
「秋のお祭り、か。
そうだね、大人の女の人がみんなで花を飾って踊るの。
私も結構踊れるんだから」
ユウ
「うん……。初めて滝に行ったとき、さ。アサヒ、踊ってくれたよな。
村で、ずっと練習してたって」
アサヒ
「練習、してたんだよ。
それで、あそこで踊ったらきっと綺麗だって思って」
ユウ
「ほんとの神様みたいだった。竜の神様だ」
アサヒ
「……ごめんね。
あの時のこと、ずっと謝りたくって」
ユウ
「あの時って、アサヒが岩の上で滑った時の?」
アサヒ
「うん。
あの時ね、私、死ぬのかなって思った。
なんだかそれでもいい気がしてた。
だけど、ユウが助けてくれて、代わりに怪我をして」
ユウ
「アサヒ……」
アサヒ
「だからね、ユウを守れる神様になるならそれもいいかなって思ったんだ、あの時。
その方が、なんだか、たのしい」

進行役
こういったイベントが起きるたび、神子は変貌します。
うまいこと変貌させる人間の特徴を出していかないと、ただ変わるだけになっちゃうな。
折角だから怪物の特徴もダイスで決めようかな。

ユウ
「いいよ……、いいんだ、謝らなくていいよ。
だってあの時、ちょっと嬉しかったんだ」
アサヒの白い手に、手を重ねる。
アサヒ
「嬉しい?」
ユウ
「だって、あの時。
アサヒは大人の言う通りにするだけじゃなくて、元気で、ちょっと無茶もして、……ちょっと踏み外したりもする。そんなアサヒなんだなって、思ったんだ」
何度もつっかえながら、その一言を吐き出す。
「それが、なんだか嬉しくて。
だから、いいんだ」
アサヒ
「踏み外す、は余計!」
進行役
怒って見せながらもアサヒは笑っていた。
ユウ
「ごめん、ごめん」口の端を震わせながら、笑う。
進行役
そして口笛のように山鳥の鳴き真似をする。
機嫌がいいときの癖だ。
ユウ
「きれいだ。本当に鳥が来ちゃうかも」
アサヒのそれがずっと好きだった。
本当に鳥になれたら、どこかへ飛んでいけるのかな。
進行役
ぱたぱたと軽い音がして、アサヒの声にそっくりの鳴き声が頭上から聞こえた。
アサヒ
「ふふ。ほら。こっちはいっぱい練習したんだから」
ユウ
「あ……、来た、ほんとに鳥が来たよ」
ひそひそと囁く。
「すごい。アサヒは鳥の神様かもしれない」
アサヒ
「鳥の神様、いいなぁ。この山を出てずっと遠くまで飛んでいくの。
ユウと一緒に……」
進行役
その声が少し、沈んだ。
ユウ
「……一緒に……」アサヒの手に重ねた手に、少し力が入った。
ユウ
「……八つの首の竜は、」
アサヒ
「うん」
進行役
アサヒはあなたの話に食いつくように先を促した。
ユウ
「ずっとずっと長い時を過ごした。山が削れて海になって、人が何度も何度も産まれて死んで、街と森が入れ替わっても。
山は削れて、みんな海になった。
八つの首の竜も、海に潜って魚になった。二つ目の首と三つ目の首は、鰭を結んで一匹の魚になって」
アサヒ
「魚に?」
ユウ
「そう、魚。虹の色の尻尾の魚」
進行役
アサヒは先ほどまでの憂いを忘れてしまったかのように、目をきらきらさせた。
アサヒ
「仲良しだから、海に行っても一緒なんだ」
ユウ
「うん。一匹の魚になったまま、どこまでも泳いでいった」
アサヒ
「そっか、いいなぁ。ずっと一緒」
進行役
アサヒはほぅとため息をついた。
ユウ
「四つ目の首と五つ目の首は大げんかして、とうとう海の果てと果てまで別れてしまった。
でも果てまで泳いで行ったら、反対側から元の場所へ戻ってきた」
アサヒ
「ふふ、別の方向に行ったのに?」
ユウ
「そう。別の方向へ行ったけど、気がついたら反対側から戻ってきてたんだ」
アサヒ
「世界はどっかで繋がってるんだよって、先代様が言ってた」
ユウ
「僕も聞いたことがある。世界の果てまで歩いていったら、果てと果てはつながってるんだって」
アサヒ
「山の上から見ると分かるんだよって」
ユウ
「山の上か……
鳥の神様だったら、飛んでいけるのかな」
アサヒ
「ね、あとでてっぺんまで行ってみようよ」
ユウ
「えっ、あんなに高いのに?」
アサヒ
「神様になるんだもん。
守るところは知っておかないとだよね!」
アサヒ
「ううん、うそ。星が見たいの。
てっぺんに行けば、手が届くかな」
ユウ
「届くかも。だって、今日はこんなに天気がいいんだ。空になんにもないみたいに。
だから、手を伸ばしたら、きっと届く」
アサヒ
「うん、行こう!」
ちょいトラブル
アサヒ
ちょっと待って下さいなー
ユウ
はーい
アサヒ
マウスの電池!!
ユウ
マウスの電池が!!
普段意識しない分急に切れて慌てるやつ!
アサヒ
充電済みの筈のエネループが即切れると裏切られた気分に。
ユウ
アッそれは裏切りの気持ち
その間にパンを取ってきます
アサヒ
はーい
ユウ
ただいまー
パンにれんげのジャムを塗ります
花弁まで入っている素朴で上品な甘さのジャムです
アサヒとユウの村でこういうもの作ってるのを想像してしんみりした気持ちになります
進行役
ああー。お洒落だ。いいなぁー。
ユウ
とても上品な味がして美味しいし、れんげ色の中に茎の緑が覗くのがおしゃれ

進行役
ざあざあと音が聞こえる。神様の滝が近いのだ。
黒く濡れた岩にぶつかって白く泡立った水が流れ落ちて、龍の体を思わせる。
けっして大きな滝ではないが、その空間は二人にとって特別な場所だ。
ユウ
「着いた!」
進行役
中央に舞台のようにせり出した岩棚がある。
水に濡れて輝くそこはまるで神が降り立つ台座のようだ。
虹が架かってきらめいている。
アサヒ
「私、あそこに石碑立てるんだ。
ふふ。どうせならちょっと格好いいとこに立てておきたいもんね」
ユウ
「いいな、格好いい。じゃあ、一番きれいな石で立てよう。
アサヒみたいに、真っ白な石がいいな」
アサヒ
「真っ白かー。うーん……」
進行役
川の中を探せば、美しい石はいくつか見つかるだろう。
ユウ
久しぶりに水に濡れて、きらきらと光る石を探した。
最近はこの日の準備ばっかりだったから、ほんとうに久しぶりな気がした。
アサヒ
「ねぇねぇ見てこれ、龍の鱗みたい!」
進行役
アサヒが嬉しそうにきらきら輝く薄い石を見せる。
ユウ
「ほんとだ……、薄くて光ってて、鱗みたいだ」
アサヒ
「さっきのお話の龍が魚になるときに落としていったのかな?」
ユウ
「きっとそうだよ。山が削れた時に、一緒に取れちゃったんだ」
アサヒ
「ふふ。山を崩して。
みーんな海にしちゃう」
ユウ
「そう。みんな海になっちゃう。
みんな海になったら、どこまでも泳いでいける」
アサヒ
「海、見たかったな」
ユウ
「……見たかったな。一緒に、海に行きたかった。アサヒならきっと、誰よりも速く泳げたよ」
アサヒ
「私、龍の神様になりたいな。鳥の神様でもいいけど」
ユウ
「いっそ両方にしようよ。竜の脚は鳥の足に似てるんだ」
アサヒ
「そうなの?」
ユウ
「そう。するどい爪があって、細くてごつごつしていて、鳥の足そっくり」
アサヒ
「そうなんだ。そうかぁ」
進行役
アサヒは楽しそうに笑って、また鳥の鳴き真似をした。
進行役
神子は想い出の場所に石碑を建てる。
石碑、といってもそんな立派なものではない。
その下に、神子の人間としての魂に見立てた首飾りの石を埋める。
三つに分けられたそれらを全て埋めたとき、ヒトとしての神子は埋葬されるのだ。
ユウ
アサヒが踊ったあの舞台に、アサヒの代わりに石碑を立てる。
それを一緒に手伝いながら、手の中の石をじっと見ていた。
アサヒ
「こうやって真似っこしていたら鳥と龍の神様になれるかな?」
ユウ
「きっと、なれるよ。鳥みたいに、竜みたいに空を飛ぶんだ。
その竜にはふたつの首があって、片方が僕で、片方がアサヒだ」
アサヒ
「……うん」
ユウ
「置いていかない。……アサヒを、置いていきたくない」

🎲出たのは肉体の変貌。内容は……腐敗。

アサヒ
腐敗がでたー
ユウ
あらあらあら

アサヒ
「…………」
進行役
アサヒは小さく息をのんだ。
アサヒの指先が変色している。
ユウ
「アサヒ?」
指先をよく見る。
アサヒ
「ん……なんだろう。指の先が痛くて」


クリエイティブ(絵を描く)が失われました。
代わりに指先が腐敗したように痛み、ぐずぐずと溶け始めます。


ユウ
「何だこれ、怪我? 病気……?」
アサヒの手を取り、手当をしようとする。
進行役
触れると、指先の皮がべたべたとして、肉も変に柔らかくなっていた。
まるで皮の中で、溶けていっているかのようだ。
アサヒ
腐っているんじゃなくて、繭化みたいな?
アサヒ
「わ、分からないけど。ちょっと痛い」
ユウ
「ご、めん。
もしかして……、人のアサヒが、溶け始めてるのかな。
ほら、あの、蛹みたいに」
アサヒ
「そう、なのかな。
私、何になるんだろう。
神様に……なるのかな……」
進行役
アサヒの声は不安そうに震えていた。
ユウ
蛹をいじってしまって溶かしたことが、何度かある。
あの硬い形が不思議で、手を出しては羽化を止めてしまった。
ユウ
「きっと……、鳥だよ。蝶かもしれない。
ほら、蝶だって空を飛ぶから。きっと、アサヒは蛹になるんだ」
アサヒ
「……うん……」
ユウ
アサヒが何になるのかなんて、分からなかった。
蛹よりも、もっと禍々しい何かに思えた。
でも、唇の上を滑るようなお話を紡ぎ出すしか、アサヒにできることが思いつかなかった。

アサヒは、どうなるんだろう。
アサヒに何が起こってるんだろう。
アサヒは本当に神様になるんだろうか。
分からないことだらけで怖かった。
……旅は、今日でおしまいなのに。
アサヒ
「本当に神様になれる。そしたら。そうしたら……」
進行役
アサヒは空を見上げた。
ユウ
「そうしたら……、山を越えて、どこまでも飛んでいける」
アサヒ
「行こうか、ユウ」
進行役
あなたの言葉に重ねるように、何かを恐れるように、アサヒは言った。
ユウ
「うん……、行こう」
アサヒの指が痛まないように、反対側の手を取った。

進行役
次の目的地は……
今度はこちらで振ろうかな。
……何度か連続で「水場」が出た。……
水場好きね……場所だけ振り直します。
ユウ
竜神か……>水場好き

🎲遺跡で約束をしたらしい。


進行役
洞窟の中に小さな遺跡がある。
いつからあるのかも分からないほど古い、石で作られたものだ。
読むことができない文字が刻まれた台座を、摩滅した石像がぐるりと囲んでいる。
大人達はこれについては誰も正確なところを知らない。
洞窟、といっても遙か上から光が差し込んでいて、それはまるで光のはしごのよう。
不気味さよりも神秘を感じさせたものだった。
ユウ
幾つもの幾つもの物語を聞いても、この遺跡の物語はなかった。
村のだれもこの遺跡のことを知らなくて、子供たちだけが勝手におはなしを作った。

分からないということがこの遺跡のおはなしなのだということだった。
ここにしかいない虫がいて、たまに捕まえに来たっけ。
アサヒ
「ここに石碑を建てたいんだけど、ちょっと、休憩しようか」
ユウ
「そうしようか。さっきの竜のおはなしの続きをしよう」
アサヒ
「うん!」
進行役
アサヒは言って、いつも持ち歩いている紙束を取り出した。
それから、二人分の弁当。
あなた方はこうやっていつも、ここで休憩してお弁当を食べながら、あなたが話すことをアサヒが絵に描いて一日過ごしたりもしたものだ。
進行役
ここでの変貌する特徴は食に関係することに限定しよう。
ユウ
「今日のお弁当、どんなのかな」
進行役
おにぎりが二つずつと、干した果物と、干した肉。
随分豪華だった。
ユウ
「すごい、お肉だ。こんなに大きなの」
その豪華なのが、最後の日を突きつけてきた。
喜ぼうとしているのに、声は沈む。

🎲怪物の食に関するダイスロール

アサヒ
「…………」
ユウ
「指が、痛いの?」
進行役
いつもなら大喜びしそうなアサヒが、何だか静かだ。
とにかく食べることが大好きなアサヒは、どんなに哀しいことがあっても、ご飯を食べればニコニコしてしまう。
それなのに、あまり嬉しくなさそうだった。
ユウ
「どうしたの、お腹が痛い?」
アサヒ
「ん……ううん。そうじゃないんだけど。あんまり食欲がなくて。
食べたかったら私の分、食べていいよ」

進行役
比較的平和? なのが出ました。
ユウ
何が出たんだろ。

ユウ
「アサヒ……」
元気が、ないのかな。それはそうだよな。……怖いよな。だって。
「ううん、取っておこう。アサヒがお腹が空いたら食べようよ」
アサヒの分の弁当を大事に包んで、自分の分を口にする。
進行役
アサヒはあなたが食べるのをじっと見つめている。
ユウ
「ごめん、僕だけ食べて」
アサヒ
「ううん。不思議なんだ。食欲がない、っていうか、食べたくならない、っていうか……
食べたいもの……」
進行役
アサヒは少し黙り込んで、自分の首に掛かっているキラキラ光る首飾りを見つめた。
アサヒ
「これ、美味しそう」
ユウ
「えっ?」その一言にびっくりしてアサヒの手を見る。
「石だよ、飴玉じゃないよ」
進行役
アサヒは首飾りを外してしげしげと見つめる。
アサヒ
「分かってるよ。分かってるけど」
進行役
ごく、と喉が鳴った。
アサヒ
「とっても美味しそう……」

アサヒ
血肉だの寿命よりは全然平和。無機物が出ました。
ユウ
なるほどーーー。
これは平和。


食べるのが好きが失われました。
無機物を食すようになります。



ユウ
「……食べる?」
アサヒがやりたいことなら何でもよかった。
世界の果てまで行って燕の巣の中から貝をとってきてって言われても、叶えたい気持ちだった。
進行役
そして、止める間もなく首飾りからすっと石を抜き取る。
そして、口に放り込んだ。
ユウ
アサヒの口が動くのを、じっと見つめている。
アサヒ
「……美味しい……!」
ユウ
「えっ、美味しい? 美味しいの? 本当に?」
アサヒ
「ああ、美味しい。美味しい!」
進行役
アサヒは飴玉でも食べているかのようにかりかりと首飾りの石を噛み潰した。
びっくりするほどあっさりと、ぱきんぱきんと音を立て石が砕けてゆく。
アサヒ
「どうして気づかなかったんだろう。美味しい。
ふふ、ユウも食べる?」
進行役
アサヒは赤くキラキラ輝く石をあなたに差し出した。
ユウ
「えっ……、美味しいの? どんな味がするの?」
何が起きているのか分からなかったけど、アサヒが美味しいものを食べて嬉しそうにするのは嬉しかった。
柘榴みたいに赤く輝く石を、恐る恐る手に取る。少し舐めてみる。
進行役
それは飴玉などではなく、きれいに磨かれた、ただの石だった。
冷たく、味もなく、硬い。
歯を立てたところで割れることもない。
アサヒは嬉しそうにふたつ、みっつと口にする。

進行役
首に掛かっていたのはおべんとうだったのかぁー
ユウ
なるほどこれがお弁当だったのかー

ユウ
「残念、僕には食べられないみたいだ。アサヒ、どんな味がするの?」
胸の奥が俄かに温かい。アサヒが嬉しそうならなんでもよかった。
アサヒ
「そう? 甘くて、少し酸っぱくて、山苺みたい。
食べると胸のあたりが暖かくなるの。
元気がわいてくるみたい。ふふ」
ユウ
「美味しそう。よかった、アサヒが美味しいもの食べられて。
食べるの好きだもんな。山苺とか、柿の実とか……」
進行役
黒い鱗は胸のあたりまで覆い尽くして、首に迫っていた。
右手の変貌は肘に達し、右の手はもう使えないようだった。
それでもアサヒは嬉しそうに笑っていた。
ユウ
黒い鱗に埋め尽くされながら嬉しそうに石を食べるアサヒは、何だか本当に人じゃないみたいだった。
本当に、竜みたいだ。 ……本当に、もしかしたら本当に、アサヒは神様になるのかな。

進行役
本日ココマデですねー。龍の話は次回かな。
ユウ
ですね。この次あたりに八つ目の首&一つ目の首&六つ目の首の話と、竜がどうなったのかの話をしたいところ。

アサヒ
「……記憶の石、おいしそう。
うーん、だけどさすがにこれは食べちゃ駄目だよね……
ここに埋めなきゃいけないもんね……」
進行役
アサヒはしょんぼりしている。
ユウ
「……いいんじゃないかな。埋めた、ってことにしてさ。
だって、誰も掘り返さないし。わからないよ」
進行役
アサヒが、ごく、と喉を鳴らした。
アサヒ
「そう、だよね。
誰も、見ないもん」
ユウ
「そうだよ」
アサヒ
「私がヒトだったときの記憶なんて、埋めて、なくなって、忘れちゃうだけだもんね」
ユウ
「……忘れない」
アサヒ
「…………」
ユウ
「忘れないよ。石があったって、なくたって、忘れない。
絶対に、忘れないよ」
アサヒ
「そっか。
そっかぁ……うん。それじゃ、食べちゃおう」
進行役
アサヒはここに埋めるはずだった石をつまんで、口に放り込んだ。
アサヒ
「ちょっとしょっぱい」
ユウ
「しょっぱいんだ?」
進行役
アサヒは何だか嬉しそうにくすくすと笑いながら頷いた。
【神子】アサヒ

黒い鱗
右手から繭化
無機物を食べる

×食べることが好き
 出会いの記憶
×クリエイティブ(絵を描く)
×魅惑の肉体(美しい肌)
 小さな特技(口笛で鳥を寄せる)

進行役
 本日 ここまで!
鉱物食う龍か……
ユウ
ありがとうございました!
引くやつ(腐敗以外)の関係でアサヒが神様っぽくなっていっている
進行役
ドラゴンゾンビはちょっとあんまりかなと思った。
後で「腐敗」も役立つかも知れないからそのまま採用しました。
ユウ
鱗が黒いのもあって邪竜感が出てきてるなとは思いました
進行役
ユウが変貌に対して肯定的だ!
血だの寿命だの食う龍じゃなくて良かったね。
ユウ
それは本当にそうで。>血だの寿命だの
どっちにせよ自分でやらなきゃいけないからさ……。それなら「本当に神様になるのかも」って思える方がいいじゃない。
進行役
もう生きてる内に神になるなら殺さなくてもよくなーい?
ユウ
割とそれを言い出す展開はありそう
変貌しちゃうんだけども。
進行役
ありそう。
村人達が求めるような「神」になるわけじゃない……のだろうか。さて。
ではまた次回! ありがとうございましたー!
ユウ
ありがとうございました!
コメント By.進行役(アサヒ)
シナリオの先読みはせず、ぶっつけである程度ダイス任せにしつつ、人間の特徴を適度に話に盛り込みつつの即興RP。
結構難易度高いけど、これはこれで先が分からなくて面白い!

アサヒは何になってしまうんだろう。龍になるのか、鳥になるのか、それとも……
そしてユウはどうなってしまうのか。
それは進行役にも分からない。

プレイ日:2025年11月20日

作者名: 長月(ルールブック掲載シナリオ)

配布・販売サイト: 朝の歌


怪化と変貌のRPG メタモルフォゼ
著:椅子塚サクサク
出版社:KADOKAWA

こちらのリプレイは「メタモルフォゼ」の二次創作です。


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