突発フリートークのお時間です。
TRPGのシナリオ、とくにCoCなんかではネタバレは最悪のこととされます。
そりゃ、先のことが分からない方が、PLはPCの気持ちになりやすいですし、ドキドキできます。
ギミックが大事なシナリオ、どんでん返しが楽しいシナリオ、隠された真実が露わになるクライマックス、そういったものを楽しむためにはネタバレは御法度! ええ、分かります。
だからでしょうか、CoC界隈では特にシナリオは『通過』するものとされます。
一度遊ぶともう遊べない物、とされているのがほとんどです。
いやいや勿体ない!
先が分かっているからこその楽しみ方、っていうのもあるんですよ!
いいシナリオは何度やったっていいんですよ!
っていう記事です。
特に、RP大好きで、自己演出大好きで、
負けプレイ最高!どんどんPCに血反吐吐かせたい!って思っている人にとくにお勧めしたい。
GM、KPって同じシナリオを何度もやったりしませんか?
それでも楽しい、って思いませんか?
その楽しみに近いのかなと思います。
やったことないよ!って方に説明するのであれば……本を朗読して聞かせるとか、お化け屋敷を企画するとか、そういうのに近いでしょうか。落語も近いかなって思います。
なにしろTRPGって同じシナリオを遊んだからって全く同じ展開になることはあまりないです。
いや、シナリオが一本道ってことはよくありますよ?
でもそこに至るキャラクターの発言、行動、感情はやはりキャラクターごとに異なるし、もっと言えばPL自身が得る感情も違う物になるでしょう。
その差を楽しみ、PL、PCたちに会わせた演出や展開をしてゆく、というのが私がGM・KPをやるときの楽しみ方になります。
たのしいよGM。
PCによる2周目も基本同じです。
キャラクターによって出来事に違う反応をすること。ダイス目の悪戯で思わぬ方向に転がってゆくこと。
このへんは分かりやすい楽しみ方です。
また、二周目ならではの楽しみとして「展開を変える」っていうのもありますよ。
あの時助けられなかった人を助けたいとか、あそこでできなかったことをやってみたいとか、真の敵を倒したいとか、別の解決方法を見つけたいとか。
しかし実際遊んでみて思ったんですが、二周目にはもうひとつの楽しみ方があります。
それは……
恐れずにギリギリの行動を取りまくれること。
演出がしやすいこと。
見える地雷を踏む。トラップに踏み込む。NPCに思い切ったことを言う。アイテムを使うべき所で使う。
こういった行為、一周目だとなかなか怖くてできない。
できたとしてもそれが最良のタイミングかどうかなんて分かりません。
かといってGMKPから「ここだよ」って指示されると興ざめだったりします。
ロストや失敗を恐れるあまり、慎重になるあまり、プレイングが縮こまっちゃうなんてよくある話。
「ここで時間を使っていたら悪いことが起きるんじゃないのか」
「ここでこのアイテム使っちゃったら後で困るんじゃないのか」
「ここでこのひと問い詰めたらシナリオ展開的に困らないか」
迷ってやめちゃうことないですか?
私はあります!!（やっても問題ないかGMKPに訊くこともあるけど）
そんな心配なく、シナリオ破壊を恐れずに遊び倒せるのです!
これほんとデカいよ。
二周目なら!
「このアイテムはここで使っても大丈夫」
「こいつは善人だから信頼していい」
「このトラップは引っかかってもぎり生き残れるし、引っかかった方がこのキャラ的には面白い」
「このモンスターに立ち向かったら死んじゃうから回避するけど、こっちなら危険そうに見えてギリ回避可能」
「この順番でイベント回収したら物語的に格好いい」
「このタイミングでこれを言っとけば後の伏線になる」
「ここでならギャグやってても大丈夫」
「この先はイベントの嵐で話す暇なくなっちゃうからここでクライマックス会話しとこう」
そーゆー演出ポイントが見えるわけですよ、全部。
追記
どこにどう働きかければ情報が出るか分かっているので、情報を得るアクションが必ずしも『能動的な調査』ではなくとも良くなります。
・一周目 普通に本棚を細かに調べて有益な情報を探す
・二周目 不貞腐れて本棚に寄りかかったら本が落ちてきた。うち一冊が重要な物だった
・一周目 ひたすらNPCを問い詰めて有益な情報を得る
・二周目 NPCが引っかかりそうな言葉を、それと知らずにPCが口にしてしまう
・一周目 （物語的にはそんなに怪しくないがゲーム的にはあからさまに怪しいアイテムを）ひたすら警戒しながら触る
・二周目 （触ったからって死ぬほどのダメージではないので）警戒せずになんとなく触る
通常プレイでもそういうのはできますし、慣れた人ならRPで後付けでそういうことにしたりもしますが、圧倒的にやりやすくなるんですよ。
とりあえず何かあったら調べちゃう興味津々・事態の解決に積極的な態度のキャラクターではなくとも話をスムーズに進められるのは、かなり良いです。
何でも「調べよう」「調べよう」では何となく窮屈になっちゃいますからね。
でもって個人的に、
「こいつ裏切るの知ってるから倒しておこう」じゃなくて
「こいつ裏切るの知ってるから全力で信じるプレイして裏切られた負けプレイしたい!」みたいなのが遠慮なくできるのが超絶楽しい。
そう、ぎりぎり負けない状態で負けプレイが遠慮なくできる!
これ普段は結構難しいことですよ。だってどこまで行ったら死ぬとか、本当はどうだとか知らないでそんなことできないですから。
PCに血反吐吐かせたい。泣かせたい。足掻かせたい。
だけど別に殺したいわけじゃない。
そんな人いません? 私がそうです!
私のPCや相棒や仲間が全力で足掻くのが見たいんです。死ぬのが見たいわけじゃないんです。
どうですかそこのあなた!
一度試してみませんか!
演劇的な楽しみ方が好きな方には向いてると思いますよ!
そんなわけで、シナリオを『通過する』って言い方、あんまり好きじゃないんですよね。
何度遊んだっていいんですよ。シナリオ。
動画で見たシナリオ遊んでみたくなったりしませんか?
いいじゃないですかやりましょうよ。
あなたのPCがそのシナリオでどんな顔をするか、どんな感情を得るか見たくないですか?
あ、ただ、遊んだことない人に望まないネタバレするのは最悪ですから、二周目以降のひとと初めての人が組んで遊ぶのは、匂わせやポロリしないことが絶対条件ですけどね。まあこれはサブキーパーとかそんなノリで行けるんじゃないかと。
というわけで一回くらい二周目遊んでみない!?
っていうお誘いでした。
たぶんこれフルに『ゲーム』として遊んでる人には刺さらない話だろうな。
後全然関係ないネタバレ繋がりなんですが、CoC遊ぶ際、クトゥルフ知らない人が同卓していたら、「あーこれは○○の仕業だね」みたいなこと、言わないであげて欲しいんです。
知らないものを恐れるのがクトゥルフの楽しさだったりする、それを最強に楽しめる時期を潰さないであげてください。マジでおねがい。
二周目遊んだシナリオについて
『地獄はやさしい』佐倉
このシナリオは初週KPレスソロで遊んだものが一周目、何度もKPとして回して解像度が上がったところで「佐倉PCで遊びたかったなぁぁぁ!」と叫んでいたら波照間さんの中の人がKPとして回してくれました。大感謝。
一周目ではNPCとどう絡んでいいかよくわからず、NPCをどう演じていいかも分からず、ものすごく面白いシナリオなのに!! とフラストレーション溜めていたので、二周目は全力で演出入れてNPCに絡みまくりました。
全く同じキャラクターで遊びましたので、完全に平行世界のifということで。
楽しかったなぁ……有り難や有り難や……
一周目
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悪魔使いに、悪魔を使わずに戦えってのかよ……
「俺は運が良い。お前もそうだろ、多分な」
二周目
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「あークソ、今日なんなんだよ。COMP持ってたらなー、って思ったの4度目くらいだぞ？」
気になるものだらけで世界を救うとかどうでも良くなってるね。
「っくそ、こんなの俺の仕事じゃねぇ！」
「ああ成程。体が弱いから家でお姫様になっとけってか」
「自ら、交わるか。此方と。彼方と」
blood red decadence
佐倉＆牧志
どちらかが吸血鬼、どちらかが生餌になるペアのシナリオ。
最初佐倉が吸血鬼でやって、それはそれでたいそう面白かったんですが、吸血鬼側と生餌側、悩みが全然違うわけです。取りそうな行動も全然違う。
吸血鬼になって苦悩する牧志も、生餌になって死の恐怖に怯える佐倉も見たいよね!と意見が一致したので二周目を遊んでおります。
二周目で何が起きるか二人とも分かっているので、自ら進んで設置した罠に踏み込んだり、気分の落ち込みを前提とした盛り上げをしたり、演出が楽しい楽しい。特に置き卓でやっているので、演出盛り放題です。
このシナリオ、役割交代でifを遊んでみれば色々興味深いことが起きそうな、二周目向きのシナリオだと思います。
一周目 佐倉が吸血鬼
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いいだろもうラッキーってことで！ 本能には逆らえない。
酷い冗談だ、悪魔使いが悪魔に成り果てるなんて。
牧志、俺と契約してくれ。
「ふざけんなふざけんなふざけんな！ なんで俺と牧志なんだ！」
この生餌は俺のだ。
「明日はさ、外、出られるといいな」
二周目 牧志が吸血鬼
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どうしてか、錠の降りる音がはっきりと聞こえた気がして、一度振り返った。
佐倉さんも「こう」なったら、佐倉さんを殺さずに済むかな。
「そりゃ誰だって死にたくないよ。俺だってそうだ」
こんなの殺された方がマシだ！
ああ、楽しみだ。楽しみで、憎い。 どうして逃げたりしたんだよ、佐倉さん。 俺の獲物なのに。
早く終わってくれ、早く、朝を。 もっと味わいたい、もっと、夜を。
理解できない。佐倉さんが逃げた？ 俺が佐倉さんを殺した？
『迷い家は桜の先に』
牧志＆佐倉
これは同キャラで遊んだわけではないですが、どちらもこのシナリオを遊んだor回したことのある二人で遊んだ回です。
回復シナリオなので気兼ねなく寝始めたり風呂広げたりゆうやけこやけ勢出したり好き勝手やっています。
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不安と恐怖が、べったりと思考にこびりついていた。
「知らない相手だから不思議に思うだけで、そんなものなのかもな」
ふと色々な気になることがもやもやと頭の中に浮かびかけたが、全部投げ出して目を閉じた。
「……大丈夫だよ。もう、大丈夫」
二周目のリプレイ
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TRPGリプレイ【置】CoC『blood red decadence』Side:B 牧志＆佐倉 1
どうしてか、錠の降りる音がはっきりと聞こえた気がして、一度振り返った。
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TRPGリプレイ CoC『地獄はやさしい』 佐倉（再） 1
「あークソ、今日なんなんだよ。COMP持ってたらなー、って思ったの4度目くらいだぞ？」