エモクロアTRPGリプレイ『テディベアズ・デイ』 /CoC『VOID』継続 結城&ヴィキ 2

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こちらには
エモクロア『テディベアズ・デイ』
CoC『VOID』

のネタバレがあります。

本編見る!
修正
DL
そういえば、一つ間違えてた
結城 晃
ほい
DL
最後の共鳴判定だけど、あれは『成功してはいけない判定』なので、失敗してたら悪影響は無いんだ
なので、上げた共鳴値は戻して、変異は無かったことに
結城 晃
ん、そうか、失敗してたもんな。
失敗しているイコール影響を受けなかったって事だ。
DL
そういうこと
結城 晃
ファンブルって見るとついこっちに悪影響って考えちゃうなー。
[ 結城 晃 ] ∞共鳴 : 2 → 1

DL
では続きを
DL
結城の目の前、だいぶんと低い位置には、駆け寄ってきた身長20cmほどのヴィキが、床に散らばる雑貨商品などの上で踠いている
結城 晃
「ヴィキ……?」
DL
その姿は確かにヴィキのものであったが、白手袋を履いた手には指がなく、足もまっすぐな太い棒状のものとなり、その質感はどこかふわふわモコモコとしたものだ
彼女はどうにか体を転がして起きあがろうとするが、踏ん張りが効かないのか、ふらふらとしてすぐにころりと転がってしまう
ヴィキ(?)
「うーん、うーん」
結城 晃
慌てて手を差し伸べる。
DL
結城が彼女に触れると、その感触はやはりふわふわモコモコとしている
まるでぬいぐるみのライトファブリックのような質感
ご丁寧に耳のところのアンテナまで柔らかく、シアングレーの髪の頭の上には、丸いくまのぬいぐるみのそれのような耳がついていた
結城 晃
「や、やわらかい」
抱き上げる。
サイズどれくらいだっけ。
DL
約20cmといったところですね
結城 晃
片腕で抱けるサイズだな。
DL
重さも相応のもので、いくらか軽くなったとはいえ、あのボディの重量は感じられない
結城 晃
「小さい。軽い……」
ヴィキ(?)
「お、おおおおお?」
抱き上げられると、ヴィキ(?)は驚くような声を上げた
結城 晃
「一体、何が、どうなって……
また魂抜かれたのか? 今度はヴィキが?」
ヴィキ(?)
「た、高い高い……」
彼女は指の無い柔らかい腕で、必死にあなたの腕にしがみつく
結城 晃
「大丈夫大丈夫、絶対手は離さないから」
ヴィキ(?)
「うん……よくわかんないよ……」
結城 晃
「俺にメールを送ってくれたの、ヴィキじゃないのか?」
ヴィキ(?)
「メール? 助けてっていうやつ?」
結城 晃
「そうだよ。なんかメッセージが……その、そっけないなと思ったら、
いきなりメールで連絡くれたからびっくりして」
ヴィキ(?)
「ああ……
それは、私。
なんか、電装系が何も使えなくなって……ていうか、今も何も反応ないし」
言いながら、あなたの腕の中で、自分のぬいぐるみのような手を見下ろす
「でも、持ち物だけはあったから……」
言って顔を向けた先には、彼女の持ち物と思しきハンドバッグと、そこからこぼれ出た予備端末
結城 晃
「うーん、そりゃあそうだろうな」
ふわふわの体に電装系などあるまい。
ヴィキ(?)
「タッチペン使って、何とか、助けて、ってだけ。
でも、来てくれたんだ」
結城 晃
「当然だろ、心配してたんだからな。
早く会いたかったし」
ヴィキ(?)
「そ、そうなの……?」
結城 晃
「そりゃあ、そうだろ。
こんなに離れてたこと……なかったしさ。
ずっとメッセージはまともに返事くれなくて、忙しかったんだろうとは思うけど」
ヴィキ(?)
「……」
結城 晃
「寂しかった」
ヴィキ(?)
「そ、そっか……
えっと……」
彼女は、ちょっと目を逸らして、咳払いのようなことをすると
「そうだ、とりあえず状況の共有だよね」
結城 晃
「あ、ああ、そうだな!」
ヴィキ(?)
「とは言っても、私もよくわからなくって……
検査が明けたあの日、少し歩いて行きたくって。
このあたりを歩いてたら、このお店を見つけて……
何となく、このお店に入ったら、かわいいクマさんが置いてあったから、それに触ったところまでは、覚えてる。
でも、なんかその時、すごく眩しい光みたいなのが見えて……気がついたら、こんな感じで」
ふわふわの棒のような手で、自分の頬に触れると、同じようにふわふわ、と顔がへこむ
結城 晃
「店の人はいなかったのか。
今もいないみたいだけど」
DL
あなたが、そう口にした時
DL
「―――いらっしゃいませ」
結城 晃
「うわっ!?」
DL
背後から、突然声を掛けられた
結城 晃
慌ててヴィキを庇うように抱え込んだまま振り返る。
お店の人
店の奥のカウンター
入店の際、そして店の中を改めていた際、確かに誰もいなかったはずだ
しかし、そこには今一人の女性が立っていた
腰までありそうな長いサラサラとした黒髪、切れ長の瞳
浮世離れした容姿であるのに、この場所がそうさせるのか、違和感を感じない
お店の人
「アンティークItoへようこそ」
結城 晃
「あっ、す、すみません、勝手にお邪魔していて」
お店の人
「いいえ。どうぞ、心ゆくまでご覧ください」
結城 晃
「あ、あの……」
困ったように抱えていた人形ヴィキを差し出す。
「この人形、ご存知ですか」
ヴィキ(?)
「わぁぁ、高い、高い。高度はわからないけど、高層ビルみたいだよ」
両脇を支えられて掲げられる彼女が、あなたの手の中で慌てる
お店の人
店の女性は、表情も変えぬまま、ぱちくり、と瞬きを一つ
「それは―――。
お連れさま、でございますか」
結城 晃
「ええと、そのようで、はい。
こんな姿ではなかったんですけど」
お店の人
「―――そうですか。
で、あるならば。
どうやら、お連れさまは『妖精の贈り物』をお受けになられたご様子」
結城 晃
「おくり……もの?」
お店の人
首を傾げる結城に、ふむ、と鼻を小さく鳴らし
「失礼ですが、お客さま。
お客さまは、『テディベア・デイ』をご存知でしょうか」
結城 晃
しってる?
お店の人
特に判定もなく、リアルで知ってたらそれでいいよ、くらいなので、ご説明しますと
結城 晃
はーい
お店の人
「『テディベアズ・デイ』とは、イギリスのテディベアコレクターの間で始められた、とされております。
その内容は、心の支えを必要とする人たちにテディベアを贈る運動であり。
贈るテディベアを介して『あなたのことを考えている私が、ここにいます』というメッセージを込めてプレゼントするものなのだとか」
結城 晃
「な……なるほど?」
お店の人
そのように説明をしつつ、視線をあなたの手に抱かれたヴィキへと向け
「その風習を知ったある妖精が」
す、と息を吸い
「『私も寂しい思いをしている人間を助けたいな!』」
甲高い可愛らしい作り声
表情は変わらずの無表情のまま
「……と考え、作ったのが、お連れさまが触れられたテディベアであると聞いております」
結城 晃
「え……ええ……?」
ヴィキを見下ろす。
お店の人
「そのテディベアに込められた妖精の思いと力によって、寂しい思いをしている人間を引き寄せ、テディベアにする力を持つのだとか。つまり―――」
指を一本立て
「寂しい思いをしている人をテディベアにする」
結城 晃
「なんで、クマに!?」
お店の人
2
「テディベアの姿になったら、一人で何もできない」
結城 晃
「はあ」
まあ確かに。
お店の人
3
「誰かを頼らないと生きていけない」
結城 晃
「生きてるのか、この状態で」
お店の人
4
「誰かがずっと一緒にいてくれるようになる」
結城 晃
(それはどうだろう)
お店の人
5
「寂しい思いをしなくなる!
……素晴らしいですね」
説明のその間、ずっと彼女の顔に表情は現れることはなかった
結城 晃
「……凄まじい論理の飛躍があるように感じます」
お店の人
あなたの当然と言える質問に、首を傾げる
「よかったですね、お連れさま」
結城 晃
「いや。
いやいやいや、困りますって」
お店の人
「なぜでしょうか」
結城 晃
「この状態じゃ私の方から働きかけるしかなくなるじゃないですか」
お店の人
「大丈夫。
ご覧になられた通り、この状態でもお連れさまは最低限動くことは可能です。
そして、その愛らしいお姿……
つい、手を差し伸べてしまいたくなりますでしょう。
つまりWin-Win」
結城 晃
「困ります」
お店の人
「―――はぁ」
結城 晃
「可愛いのは認めます。
それはそれとしてヴィキの姿を戻してください」
ヴィキ(?)
「あっくん……」
結城 晃
「どんな姿をしていてもヴィキはヴィキです。
それについても問題はない。けれど。
ヴィキがヴィキらしく生きて行くという点において、大問題です。
それに、私たちは一方的な関係を築きたくて一緒にいるわけではないんです。
ああもう、とにかく戻してくれよ!」
ヴィキ(?)
「……」
お店の人
店員は、そんな二人の様子を交互に見つめ
しばらくしてから、ため息を一つ
「―――そうですか。
であるならば。
お連れさまの『寂しさ』を解消して差し上げることが必要でしょう。
ただいま申し上げましたように、妖精の贈り物は、寂しい思いをしている方の、その思いを癒すために与えられるもの」
結城 晃
「寂しさを、解消?」
お店の人
頷き、
「何か原因があるならば、その原因を明確にして解消をして差し上げる。あるいは。
純粋に寂しい思いをしておいでならば、気晴らしにどこかへ出かけるなりして、気分転換をさせて差し上げることで、次第にお身体は元に戻りましょう。
もちろん、お一人では難しいでしょうから、これは親しい方のご協力が必須であることは、申し上げるまでもないかとは存じますが」
結城 晃
寂しさの解消……
呟いてフワフワになってしまったヴィキを見下ろした。
ヴィキ(?)
視線を腕の中に落とすと、たまたまあなたを見上げていたヴィキと視線がかち合う
結城 晃
「寂しかった、のか、ヴィキ」
ヴィキ(?)
彼女は、誤魔化すように慌ててその視線を逸らした
「ウェ?! そ、それを直接聞いちゃう?
どうなのかな……」
結城 晃
「……分かりました。
つまりはヴィキの……連れの望みを叶えてやれば、
この姿は元に戻る、と解釈していいんですね?」
お店の人
「おそらくは。わたくしが先ほどお伝えしましたのは、あくまで『そうではないか』というだけのこと。
お二人の間にどのようなご事情があるのかまでは、存じ上げませんので。―――いずれにせよ」
言って、彼女は小さくかがみ込むと、何かを引き上げる
かしゃかしゃという音と共に伸び上がるそれは、何かの取手のようであり
それを斜めに倒し引いてカウンターから出てくると、果たして一つのキャスター付きのトランクであった
「こちらをお貸しいたしましょう」
結城 晃
「なるほど……」
いい年した大人の男が縫いぐるみ抱えてるのは問題だろう、という気遣いだろうか?
お店の人
髪をかきあげつつ長いスカートを膝で折ってかがみ込むと、側面のジッパーをそっと下ろす
手で以てそこを押し広げると、隙間から差し込んだ店内の暖かな電球の光に、何かが小さく反射して見えた
何やら、家具などのミニチュアが収められているようだ
「組み立て式のドールハウスでございます」
結城 晃
ワァ
結城 晃
「あ、ああ、なる、ほど?」
お店の人
「家具、お洋服、食器など……。そのお姿のお連れさまが、不自由なくお過ごしになれますよう、一編通りのものは揃えてございます。その他、ご入用のものがございましたら、お申し付けくださいませ」
そう言って、ジッパーを引き上げると、あなたへ向けて取手を差し出す
結城 晃
「あ、ありがとうございます……」
ヴィキの荷物と、ヴィキと、自分の荷物と、カート。
なかなかの大荷物だ。
ヴィキ(?)
「あ、ありがとうございます……」
結城 晃
「……あっ、まずい」
出勤時間だ。
お店の人
「……早速、お出かけですか?
良いことです。ただ、一点ご注意が」
時計を改めたあなたに、店員は告げる
そして、傍の棚に置かれたあるものをそっと手に取る
それは、一台の古い古いインスタントカメラだ
もしかしたら、それがどう言ったものか、すぐにはわからないかもしれない
結城 晃
さすがに分かんないな。
お店の人
いずれにせよ、Polaroid、とロゴの入った四角いそれのレンズを、覗き込むようにしてあなた方へと向けると、躊躇なく細く白い指先がボタンを一つ押した
結城 晃
「わっ!?」
お店の人
パシャ、という、今ではただそれと知らせるためだけの音と成り果てた小さな音が響く
結城 晃
たまにヴィキが写真を撮るときにジョークのように鳴らす音だ。
お店の人
やがて、正面に開いた細いスリットから、ジ―――という音と共に一枚の葉書程度の紙片が吐き出されてきた
彼女はそれをつまみ取ると、ポラロイドをカウンターに置き、空中でひらひらと振る
結城 晃
「プリンター? じゃないか」
お店の人
「ポラロイド。インスタントカメラでございます」
ややあって、振った手を止めて紙片を改めると、そっとあなたへと差し出した
結城 晃
手に取って見る。
お店の人
そこには、確かに古い、褪せたような色の写真が写っていた
結城 晃
「写真……?」
DL
そこには、あなたの姿―――
おすわりのような格好で足を突き出した、一体のテディベアを抱き上げたあなたの姿が映し出されている
お店の人
「このように。
今のお連れさまの姿は、あなたさま以外の方からは、テディベアの姿として見えることでしょう。
実に、お可愛らしいですね」
そこで初めて、彼女はうっすらと微笑んだ
「ですが、それに話しかけるあなたさまの姿は、人によっては奇妙なものと見えるでしょう」
結城 晃
「ああ……
今更、だけどね」
VOIDを人間のように扱い、愛することを、奇異の目で見られるのはいつもの事だ。
お店の人
「また。
特に、あなたさまはお連れさまに特別なお気持ちをお持ちのようですので、お気づきになってはおられないかも知れませんが。
お連れさまのそのお姿は、それを見た方に庇護欲―――つまり、守りたい、という感情を抱かせます。
そして、それは、人であれ動物であれ、際限なく」
結城 晃
「……つまり?」
お店の人
「つまり、あなたさまがお連れさまから僅かに目を離された隙に、そう思った方につれ攫われてしまう―――かも」
結城 晃
「えぇ……」
お店の人
「それで、お連れさまの寂しさが慰められるのならば、結構なこととは存じますが。
そうでないのならば、お気をつけくださいますよう」
結城 晃
「は、はい……ご親切に、どうも」
結城 晃
なんて迷惑な。
お店の人
素晴らしいですね
結城 晃
呪いだろうこれはもうw
ヴィキ(?)
「えぇぇ……」
腕の中で、ヴィキがもぞもぞと動いて、柔らかく不器用な腕であなたの腕にしがみつく
それは、古い古いメディアで見たことがあるかも知れない、なんとかいう人形のようだ
お店の人
「わたくしからのご案内としましては、以上となります。
そのほか、何かご不明な点などございますか?」
結城 晃
「まいったな……
いつまでに戻さないと悪影響が出る、などといったことはご存知ないですか」
お店の人
「わたくしが知る限り、特には……ただ。
人のお心というものは、どういった状況であれ、やがて受け入れてゆくもの。
いずれ、この状況でもいいか、とお思いになられましたら、あるいは……」
結城 晃
「そ、それは困る!」
ヴィキ(?)
「わ、私も困るよ!」
結城 晃
ただでさえVOIDだからということで苦労しているというのに、
縫いぐるみ相手になってしまったら、法ではどうにもできなくなるじゃないか!
いや問題はそれだけじゃない! とにかく大問題だ!
お店の人
「では、お急ぎを。わたくし個人としましては、そのままでも充分、お可愛らしいと感じておりますが」
結城 晃
「可愛いのは認めてますけど!
とにかくこれ、お借りしますね!」
トランクを手に、店を出る。
お店の人
「はい。またのご来店、お待ち申し上げております」
彼女は、特に慌てることもなく、静かに一礼してあなた方を見送る

結城 晃
「まいったなぁ、一度家に戻るしかないかな」
DL
店の外へ出ると
オレンジ色の光が正面から目に飛び込んできた
同時に、あなたのポケットで端末が立て続けにメール、電話の着信音を鳴らす
画面を改めるならば、いつの間にか時計は17時を過ぎていた
背筋が冷えるほどの着信履歴の件数が表示されているだろう
その多くは、青木やレミのものだったり、どうでもいいDMのものだったり
そして、佳菜子のものは特に多い
結城 晃
そんなに時間経ってたのw
DL
いつの間になんだろうねぇ
結城 晃
「うわ……まっず」
ヴィキ(?)
「どうしたの?
すっごい着信の音が聞こえたけど」
結城 晃
慌てて職場には急病のため出勤できず申し訳ありません、ヴィキには付き合って貰っていますと……連絡しよう。
「今日普通に平日だったろ?
無断欠勤だよ俺達」
ヴィキ(?)
「えっ? あっ……
何のアラートも出ないから、忘れてたよ。
ていうか、なんでいきなり夕方に……」
結城 晃
「何なんだ……そんなに話してなかったはずなのに。
せいぜいが小一時間ってとこだったはずで」
DL
ちなみに、職場に掛けるならば、すぐに佳菜子が出るだろう
佳菜子 ハルトマン
『もしもし、晃くん?』
結城 晃
できるだけ具合悪そうに……
「も、もしもし……
さっきメールしたとおりなんだけど……」
佳菜子 ハルトマン
『一体、どうしたのよ!? 何の連絡もないし、リターンも無いし!』
結城 晃
「ちょっと、体調が……急に悪くて……」
佳菜子 ハルトマン
『見たけど……大丈夫なの?』
『何か、食べられるものとか、持ってく?』
結城 晃
「あ、うん、ヴィキがついててくれてるから……大丈夫」
佳菜子 ハルトマン
『あ、そうか……ヴィキちゃん、今日からだっけ』
結城 晃
「そ、そう、そうだったんだけど」
佳菜子 ハルトマン
そこまで言って、
『あぁ~~』
『なるほど、ね』
電話の向こうでため息一つ
『別に、プライベートについてあれこれ言うつもりは無いけど。同僚には一言あってもバチは当たらないんじゃない?』
結城 晃
「え、ええ!? いや、何を誤解してるか知らないけど、そういうのじゃないからな!?」
佳菜子 ハルトマン
『はいはい』
『それで、何か問題が起きたわけでは無いのね?』
結城 晃
「も、問題。問題……」
ヴィキを見下ろした。
ヴィキ(?)
「……」
結城 晃
人の力借りろっていってたけど、これ同僚も呼べって事なのかしら。
シナリオの方向的に何望まれているのかはいまいち良く分かってないな。
DL
彼女の『寂しさ』について解消せよ、ってことだからねぇ
基本的には、それを解決できるのは、あなたではないかと思いますが
シナリオ的に、友達呼べ、とかそう言うのは特に無いですね
結城 晃
普通にデートすりゃいいのかなぁこれ。
DL
加えて、おそらく彼女にもヴィキはテディベアにしか見えないと思うので、もし呼んだとして
「ヴィキが! ヴィキが!」
ってテディベアを突きつけられた同僚がどう思うかは……
結城 晃
ああ、そういう問題あったわ。
わざわざ新キャラが出てきたから絡むのかと思ったけど、
単にドロ課の人間でDLが自由に動かせる人間が欲しかったからなのかな。
DL
まぁ、そんなところですね
なので、城山さんとか呼ばれてもびっくりするね
結城 晃
それはそう。
シナリオ絡みの人だから介入するのかと思った。
了解了解。
結城 晃
「な、ないデスよ」
佳菜子 ハルトマン
『……そう』
結城 晃
「もしかしたら明日まで引きずるかも、知れないので、もしかしたら明日も、休む事になるかも」
佳菜子 ハルトマン
ため息もう一つ
『皆まで言わなくても、良いわよ。……とりあえず、口裏は合わせとくから、休暇申請だけはちゃんと出しておきなさいよね』
結城 晃
「違うからなー!?」
佳菜子 ハルトマン
『はいはい。ほどほどに』
言って、通話は切れた
結城 晃
理解者である、というのは本当に助かるのだが……
理解、しすぎる? というのも困りものだ。
というか俺はどれだけ軽薄な人間に見られているんだ。
佳菜子 ハルトマン
即座に、なぜか浮気者、という言葉と共に😡の顔文字付きで、休暇申請書のファイルが送られてきた
結城 晃
「浮気者ってなんだよ!?」
城山
そして今気づいたが、はるかに少ないものの城山とコナーからも着信とメッセージが来ていた
結城 晃
「あー……」
ヴィキ(?)
「……あっくん」
結城 晃
「なんか心配されていたみたいだ」
城山
ツンデレだから
結城 晃
城山さんのはどうせ分かりにくい嫌味8割心配2割程度の謎メッセなんだろ!
コナー
コナーからは、わざわざ自分にもCC付けてフォローを期待するなら、嫌味を言わなきゃいいのに、という内容と共に、あなたを気遣うメッセージが届いていることだろう
結城 晃
まったくあいつらは。
というか城山ァ
結城 晃
ともかくもヴィキを抱いて車に戻ろう。
DL
ではでは
とりあえず、対外的な部分を取り繕ったところで
〈知覚〉系で判定を
結城 晃
2DM<=5 〈聞き耳〉 (2DM<=5) > [1, 9] > 2 > 成功数2 ダブル
DL
お、ダブル素晴らしい
では、
DL
ガァ、と言うしわがれた声にあなたは気付いた
それはたちまちに連続して聞こえ、そちらの方へと目をやれば
結城 晃
カラス?
DL
木の葉の陰や、電線に何羽ものカラスがとまり、そしてそれらが揃って、あなたを黒すぐりのような瞳で見つめていることに気付くだろう
正確には、あなたの腕の中の存在に向けて
結城 晃
嫌な予感がする。
DL
先ほどの店員の言葉を覚えているだろうか
結城 晃
このベアの魅力を感じるのは人間に限らない、と。
お店の人
「お連れさまのそのお姿は、それを見た方に庇護欲―――つまり、守りたい、という感情を抱かせます」
結城 晃
なんて、迷惑な。
なんて、災厄だ。
DL
ガァ、と言う、一際大きな声を一羽が響かせると
それらはたちまちに飛び上がり、波状攻撃めいて襲いかかってくるだろう
DL
〈回避〉系で判定です!
ただし
カラスは夜目が効かないことに加え、あなたは事前に彼らの存在に気付くことができましたので
ダイスボーナス+1
成功値に+1
とします
結城 晃
では〈武術〉で判定希望!
DL
〈運動〉系技能ですね、いいでしょう
結城 晃
3DM<=7〈武術(日本刀)〉3DM<=7) > [10, 1, 9] > 1 > 成功数1 成功
DL
では、ボーナスも入れてダブルですね
ていうか、1多いな
0=ファンブルが一つ出てるけど、それを1一つで打ち消してる感じですね
結城 晃
慌ててヴィキを抱え込んで守る。
カラスの攻撃を突きとして回避だ。
DL
群がるカラスが、咄嗟の反撃に打ち落とされる
彼らはなおも諦めずに群がってくるが、更に何羽かが手痛い反撃に遭い、やがて諦めたか少しずつ数を減らし
あなたがたはどうにか結城の自宅まで帰り着くことができました

結城 晃
「まったく、これじゃおちおち外出できないな」
ヴィキ(?)
「うん……怖かったよ……
ていうか、あっくん大丈夫? ケガしてない?」
結城 晃
「ああ、大丈夫。大したことないよ。
なんだか嫌な予感がしていたからね」
ヴィキ(?)
「うーん……困ったなぁ。
ドロ課の方は……大丈夫かな?」
結城 晃
「ハルトマンさんが何とかしてくれたみたいだ」
色々なメールを読んで、何となく把握した。
ヴィキ(?)
「そっか……」
結城 晃
「そろそろ夜だし、外にいて置き引きにあっても困るし。
……泊まってく?」
ヴィキ(?)
「……うん。ていうか、帰っても一人じゃ何もできないし」
彼女は、あなたの腕から降りると、床の上を歩こう、として
フラフラしてからぽて、と尻餅をつく
その姿は、確かにテディベアに似ている
結城 晃
可愛いのは事実で。守ってあげたくなるのも事実。
それはそれとして、俺はいつものヴィキの方がいい。
ヴィキ(?)
「あっくん家、久しぶりだな」
結城 晃
「あんまり……片付いてないけど」
ひとりで大人数が暮らしていた家を維持するのはちょっと大変なのだ。
ヴィキ(?)
「本当だ。この視点からだと、廃墟の街みたい」
低い位置からは、散らばる物が瓦礫のように散乱して見えるのだろう
「お、ベッドの下に何か落ちてるよ」
結城 晃
「そこまでじゃないだろ?」
一応お掃除スキルは持ってるからな!
エモクロアでは持ってないけど。
ヴィキ(?)
「なんか、独特なんだよー」
彼女がつかまって身を起こすのは、ここまで転がしてきたキャスター付きトランクだ
結城 晃
トランク、開けよう。
さすがに人形遊びはした事がないなぁ。
ヴィキ(?)
「どれどれ? どんな感じ?」
あなたがトランクのジッパーを開けると、ヴィキもそれを覗き込んでくる
DL
そこには、店員の『組み立て式』の言葉通り、壁や床、屋根など、バラバラに分解されたドールハウスが納められている
家具などは丁寧に一つずつ、ポケットに納められているようだ
結城 晃
「組み立て式か」
DL
はめ込み式で接着剤などもなく組み立てることはできそうだが、女性が泊まれるようなものに仕立てるには、いくらか器用さが必要かも知れない
そして、小さく
ヴィキ(?)
ぐぅ
DL
と彼女のお腹が鳴った
ヴィキ(?)
「わ」
結城 晃
「……えっ。
縫いぐるみ……ご飯食べられるのか?
というか、生き物、なのか?」
ヴィキ(?)
「うーん……どうなんだろ。でも、お腹はすいたな」
結城 晃
「しまった。そんなの考えてなかった」
トランクの中に食料らしき物はある?
DL
見ると、人形サイズの可愛らしい食器なども、トランクの中に納められている
結城 晃
「普通の、俺が食べているような食べ物でいいのかな。
とりあえず、食べてみる?」
ヴィキ(?)
「……うん、そうだね。
あっくんの手料理、久しぶりだし。食べてみたいな」
DL
というわけで
結城 晃
はい
DL
とりあえず、ドールハウスの組み立てや、晩御飯作りに臨むことになるだろう
ちなみに、それぞれ〈*細工〉やそれに準ずる技能で判定できます
DL
〈料理〉のスキルは今回あるかな?
結城 晃
ないよ
DL
まぁ、料理が趣味であり得意なあなたなら成功値に+1あってもいいでしょう
結城 晃
ありがたし
DL
ただし、ドールハウスについては、むしろヴィキの方が得意かも知れない(プラモデル
結城 晃
そうだね
ではドールハウス作成!
1DM<=5〈*細工〉1DM<=5) > [9] > 0 > 成功数0 失敗
だめだわ。
無数のパーツを前に途方に暮れてしまった。
DL
そうだなー
では、ふわもこな手では直接手伝うことはできないが、ヴィキが横から助言してくれたことにして、ボーナスダイス+1としよう
追加で一個振ってもいいよ
結城 晃
1DM<=5〈*細工〉1DM<=5) > [1] > 2 > 成功数2 ダブル
ヴィキ(?)
すげぇ
結城 晃
ヴィキさんさすがっす。
ヴィキ(?)
「まず、色や部位ごとに分けて―――。
組み上がりを想定して、歪まないように―――。
違う違う! それ天井!」
DL
などと親方監督のもと、ダブル成功ですので、ホテルのVIP、それもロイヤルスィートにも負けぬほどの豪華な家具と装飾品で囲まれた一室が出来上がった
結城 晃
内容が変わるの!?
DL
失敗すると、壁紙が寄れたり、カーテンや装飾もガタガタだけど住めないこともない
ファンブルだと、ドリフのセットのように、完成! と喜んだ瞬間壁とかがパタパタと倒れて自然分解するような有様らしい
結城 晃
ひどい。
壁紙も貼るのw
すげー本格的だ。Youtuberさんがノリとかハケとか使ってガチで組むやつだ。
DL
組み立て式だし、嵌め込むべきツメがズレてたりでひどい有様なんだろう
ヴィキ(?)
「おおおー」
結城 晃
「これはなかなか。
さすがだな、ヴィキ。俺一人じゃ無理だったよ」
ヴィキ(?)
「すごいなー、やっぱりあっくん筋がいいよ。今度、MG一緒に組んでみよう」
彼女はウキウキとドアを潜って部屋に潜り込む
結城 晃
「そ、そうかな」
ヴィキ(?)
ヴィキの家には、多分全高50cmとかのデンドロビウムとかナイチンゲールとかが置いてあるんだろう
結城 晃
20cmの縫いぐるみが暮らせる部屋って結構大きいよね。
ヴィキ(?)
「わー、お風呂もあるよ。豪華ー!」
結城 晃
「お風呂……」
えっ、縫いぐるみが入って大丈夫?
DL
あなたがふたのように被せられた、ハウスの屋根を持ち上げると、確かに奥の部屋に猫足の浴槽が置いてあった
お風呂、入れるらしいよ
水吸っちゃって、ヴィキを雑巾みたいにぎゅーっと絞らないといけないのかと思った
食事もできるそうなので
フワモコしてる、って再三書かれてるんだけど、多分平気なんだろう
シャンプーとかコンディショナー、ボディーソープは〈*細工〉で適量取り出してあげよう
って書いてあるので
結城 晃
うーん、そうか。乾燥は問題ないって事かな?
絞るのは可哀想だし……
とにかく、ヴィキが自分の家を見ている間に料理しよう…
結城 晃
1DM<=5〈*細工〉1DM<=5) > [8] > 0 > 成功数0 失敗
DL
大丈夫、成功値+1だ
結城 晃
ふつーのゴハンができた。
下駄履かせて貰って良かった。

ヴィキ(?)
「美味しそうな匂い」
ヴィキは、豪華なリビングのこれまた豪華なテーブルの上に自分で食器を用意しつつ、ウキウキとした声をあげる
とはいえその様子も、指のないふわふわな両手で苦労しながらの様子ではあったが
結城 晃
汁っけが少ないハンバーグとサラダ、それから米と……
飲めるようならスープ。
それらを小さな食器によそう。
DL
盛り付けも〈*細工〉で判定、とあるけれど、そこはまぁ、サービス
結城 晃
やったぁ
ヴィキ(?)
「わー、フルコースだよ、フルコース!」
次々と自分の前に並べられる料理に、はしゃぐ声
DL
のび太の宇宙小戦争思い出す
結城 晃
「汁っけはあった方がいいのかない方がいいのか分からないし、とりあえず色々用意してみたから。
食べられそうなのだけ食べて」
ヴィキ(?)
「うん、ありがとう。いただきまーす!」
彼女は、あなたの前にも自分の分が並べられるのを待って、一緒に手を合わせる
結城 晃
「いただきます」
ヴィキ(?)
そして
「あれ……」
困惑した声をあげるだろう
結城 晃
「どうしたんだ?」
ヴィキ(?)
フォークやナイフを持とうとして、やはり片手では持てず、両手で挟んで持ってみても、口へは運べない
幾度か挑戦してから、両手でフォークをとりあえず挟み持ったまま、
『どうしよう』
という顔で、あなたを見上げる
結城 晃
「……ああ……そうか、持てないのか」
ヴィキ(?)
「うん……」
結城 晃
何のためのカトラリーなんだ!?
ヴィキ(?)
気分、かなぁ
結城 晃
気分は大事だな。
結城 晃
仕方ないので、自分のナイフとフォークでハンバーグをヴィキの一口大にカットして、
ヴィキのフォークに刺して、彼女の口元に持っていく。
「口、開けて。あーんして」
ヴィキ(?)
「あ……ありがと……
あーん」
結城 晃
その口にそっと入れてみる。
口の中、どうなってるんだろう……
ヴィキ(?)
口にハンバーグを差し入れてやると、パクリとそれを納め、
もぐもぐと咀嚼してから、嚥下する様子
「……美味しい!」
結城 晃
「あ、食べられるんだ」
DL
どういう理屈なのかはわからないが、問題なく食事はできるようだ
ヴィキ(?)
「うん、不思議だね」
結城 晃
「良かった」
ヴィキ(?)
「でも、よかった」
ヴィキ(?)
そうして、しばらく久しぶりの二人での食事を楽しみ
「……ごめんね、あっくん。迷惑かけて」
ふと、ヴィキは俯いて漏らした
結城 晃
「いや? 迷惑なんてないよ。
困ってたら助けるなんて、当たり前だろ?」
ヴィキ(?)
「そっか……うん。
ありがと」
DL
またも二人に舞い降りた、不可思議な事態に戸惑った1日ではあったが
あなた方は、とりあえず夕食をとって、ようやく落ち着いた

DL
といったところで、本日はここまでとしよう
結城 晃
ありがとうございました!

コメント By.結城 晃
変わり果てた相棒との再会。一体どうしてこんな事に……!?