前回までのあらすじ
 UGNもFHもない、能力者たちが隠れる事なく堂々と生きて行ける世界を目指し、若者達は世界を裏から操る闇を討ち果たした。
 だがその後姿を消した阿修雷を追って潜入したとある屋敷にて、すべてを喰らう存在『ウロボロス』を発見することになる。
 暴走を始めるウロボロス。しかし蕨がそれを止める。しかしウロボロスは蕨の体と赤嶺のレネゲイドを喰らうのだった。
 世界はこのまま、竜に呑み喰らわれてしまうのだろうか。

こんばんは
GM
こんばんはー
赤嶺 アンリ
こんばんはー
結雲 悠
こんばんはー
さむい。
お、ウロボロスだ!
赤嶺 アンリ
おお、ウロボロスGM
阿修雷
まるくなった!
赤嶺 アンリ
むむ、IMEか何かしら不調 勝手に改行されちゃう
GM
あら
赤嶺 アンリ
うっかり
行数が増えがち
お騒がせします
GM
あ、っとそうだ
今回のお話ですが、皆さんのメイン=データ搭載で出撃するキャラはどなたにします?
赤嶺 アンリ
あ、そういえばそういえば こちらはアンリで行きます
結雲 悠
まあー悠かな。
八雲 乾風
もう最後までアナジやで
クライマックスまでにはリビルドするかなあ
GM
ほい
では
ボチボチっと
赤嶺 アンリ
ワーイ、よろしくお願いします
結雲 悠
よろしくおねがいしまーす!
八雲 乾風
よろしくお願いします!
結雲 悠
そうだよ蕨さんが食われたところだった。
赤嶺 アンリ
そうそう、視界が奪われてヒキになったとこ

ティータイム
結雲 悠
こっちもカフェインキメよう。
きのこの山+苦いエスプレッソが美味い……
赤嶺 アンリ
あら~いいですね
八雲 乾風
浅煎りモカおいしいれす
赤嶺 アンリ
こちらはおルイボスティー
結雲 悠
滅亡の種火を見ながらのティータイムだぁ。
赤嶺 アンリ
めつぼうティータイム

GM
全ての因縁に決着を
二人の女の絶望と狂気を止めるべく戦い、それらを下した皆の前で、しかし稼がれた時は『それ』が覚醒するに足るものであった

限界まで力を振り絞り、肉体と意識を内より貪るウィルスとその変異の力を辛うじて抑える際の際まで吐き出しきった皆の前で、異様な何かが顕現しようとしたその時、それを抑えるために現れたのは一人の女だった
蕨 洋美
かつて喪われた彼女の右目に移植されたそれは、時をも停滞させるその力と自らの凍気で以て、それを封じこめようとしていた
しかし、大氷壁めいたその巨大な氷に一つ、二つと亀裂が生じ
やがてその連続は、ついに大氷壁を文字通り粉々に打ち砕いた
赤嶺 アンリ
「……!」
蕨 洋美
舞い上がった雪片、あるいはダイヤモンドダストめいた氷の結晶が舞い上がり吹きすさぶ、その中央で、それを抑えようとした女の姿が、見えぬ何かの力に支えられて佇む
結雲 悠
「蕨さん!」
阿修雷
「ここまで保っただけでも大したものアルネ」
蕨 洋美
名を呼ぶ、その声に応えてか、女の顔がこちらを向く
しかし、左眼はとじられたまま、弛緩した表情は意識を手放したもののように見えた
そして、顔面の全てをこちらを向いた時
その右目には『虚』があった
阿修雷
「……呑まれたアル」
結雲 悠
「そんな!?」
赤嶺 アンリ
「……蕨」
蕨 洋美
ぽかりと空いた、その黒い穴が、皆を向く
それは、どこまでもどこまでも深く、話しに訊く闇の天体ブラックホールよりも遥かに底の知れぬ虚に見えた
阿修雷
「落ち着け、みんなレネゲイドの活性を最小限に抑えるネ。
そうすれば他の獲物を探しに行くアル」
結雲 悠
「でも、蕨さんが」
蕨 洋美
赤嶺が、その名を呼び、阿修雷がそう言った瞬間
右目の虚から、黒い霧めいた何かが吹き出し、触手めいて蠢きながら
脱出
阿修雷
グロいアル
結雲 悠
今ここダンジョンの奥……じゃなくてなんか吹っ飛んだりしたんだっけ。
赤嶺 アンリ
ダンジョンの奥だったのがクレーターに化けたところ
阿修雷
地上に露出してますかね
結雲 悠
脱出したければ比較的簡単なのかな?
阿修雷
ヘリとかなんか出せよUGN、持ってんだろお?
古賀 咲夜
そんな余裕あると思ってるの?

赤嶺 アンリ
「……蕨は呑まれちまった。見捨てて逃げろ、っつってんさ、阿修雷」
阿修雷
「……立て直しアル」
蕨 洋美
その言葉に応えるように
それが延びた先は、赤嶺だった
他の誰も捨て置いて、赤嶺を取り込まんと触手はのたうち、広がり伸び、覆う
結雲 悠
威嚇射撃を何発か。
赤嶺 アンリ
何か思うより速く、身体が反応していた。深く呼吸をしてレネゲイドの活性を押さえ込みながら、一足飛びに下がる。
阿修雷
UGNの、車でもなんでもいいからとっとと退却させるネ」
蕨 洋美
体内に残されたわずかな電力で以て、辛うじて発射される、電磁気力で加速された弾丸は、しかし黒い霧に飛び込むと、何の反応も起こさず、その向こうへと突き抜けることもなく
ただ呑みこまれただけのように見えた

その場を飛びのく男
或いは、いつもの通りに炎を噴出して加速すればそれが叶ったかもしれない
しかし、レネゲイドの活性を抑えた肉体は、常人よりは鍛えられているとはいえ、ただの人だ

かわし、くぐり、跳躍し距離を置こうとした赤嶺の肉体、その全身から、不意に力が抜け落ちた
赤嶺 アンリ
「……、あ」
気の抜けるような、間の抜けた声が漏れた。
蕨 洋美
見ると、黒の霧の触手の一端が、男の足首を捉えていた
赤嶺 アンリ
本来なら不覚を叫ぼうとした喉、その喉からも同時に力が抜けてしまったのだ。
蕨 洋美
穴の開いた水袋からたちまち溢れこぼれるように、力がそこから抜けて行く
阿修雷
「とろい」スタスタ歩いて男の首筋を掴む
キーンナイフを取り出してアンリさんの足首切断してもいいかしら
蕨 洋美
少女の首が、辛うじて闇に呑みこまれきる前に、男の首筋を掴み、引き離す
阿修雷
あ、そこまでしなくていいんだ
蕨 洋美
アンリさんがOKなら、それでも
赤嶺 アンリ
お、いいですよ
蕨 洋美
あとでめっちゃかっこいい義足あげる
赤嶺 アンリ
まるで気の抜けたハイボールか何かのようだ。
逃れようと、今度こそ炎をとらえられた爪先に呼ぼうとする。
しかし、炎は宿らない。
阿修雷
顔色一つ変えずにナイフを取り出し、男の足首を両断する
そのまま引きずって行く
結雲 悠
慌てて手伝う。
蕨 洋美
精密な機械めいた軌道で関節を狙いすました一振りは、男の足首を切断する
赤嶺 アンリ
「……あ……っ、」
苦痛の声までも出てこない。
脂汗をたらりと流し、辛うじて頷いて彼女に礼を示す。
八雲 乾風
俺達どこにいるんだ
結雲 悠
瓦礫の中にへたり込んでる感じ?
蕨 洋美
ブーツの皮に覆われた白い肉が、赤い筋を引いて闇に呑まれてゆく

赤嶺は
その赤の中に、
もう一つの『赤』を感じていた
それは、それまで己の力として扱ってきた、己の一部

熱が
力と共に、己の中の熱と共に、熱を生み出す感覚が
『持って行かれた』
喪失感
赤嶺 アンリ
足首から先が失われたことに感慨はない。
ままあることだ。出血と苦痛、その出血よりも激しい倦怠感がぐらぐらと脳を揺さぶるのも、あることだ。
赤嶺 アンリ
それよりも、奪われた感覚が、実感が、なお強かった。
──ああ、くそ、喰われた。
蕨 洋美
我が身を焼くほどまでに、冷めた感情の奥に秘めた熱を生み出す、その感覚、器官
それが、己の中から確かに喪われた
その喪失感と脱力感だけを、男の内側に残して、辛うじて『女』から距離を取った
一方、貪欲に男を追っていた闇は、それこそが目的であったとでもいうように、再び女の虚ろな眼窩へと逆再生めいて引き戻されていった
赤嶺 アンリ
友を目の前で食いちぎられたような、大事な武器を失くしたような、そんな途方もない無力感。
直ぐに体勢を立て直すべきはずが、引きずられたまま動けなかった。
阿修雷
「……成る、か。急いで逃げないとマズいかもネ」
蕨 洋美
※お話の都合上の一時的なものですが、アンリさんはサラマンダーの能力を失い、ただの常人と化したと思ってください
赤嶺 アンリ
※はーい イイネ
結雲 悠
アンリさんが一般ピーポーに!
阿修雷
やったね化け物じゃなくなるよ!
赤嶺 アンリ
やったね! ただの酔っ払いだ!
赤嶺 アンリ
「やられた……、」
身体が底から冷えるように感じた。いつも心臓の奥で燃えていた、己を喰い破る炎が、取られてなくなってしまった。
蕨 洋美
男の『力』をその肉ごと呑みこんだ、瞬間
訪れたのは不意の静寂
阿修雷
「片足は使えるだろう、いい加減立つアル」
結雲 悠
攻撃することも逃げ出すこともできずにすくんでいる。
赤嶺 アンリ
「ああ……、悪ぃんさ。助かった、阿修雷」
ようやく上げた顔から、真っ青に血の気が引いていた。
剣を杖代わりに、片足で立つ。
阿修雷
「………」答えず、静寂の中でそれを睨む
蕨 洋美
あれだけ荒れ狂っていた吹雪も、得体のしれぬ引力に鳴動していた大地も、すべてが静まり返っている
その中央で、不可視の力に支えられて浮いていた女の顔が、天を仰ぐ
八雲 乾風
「悠くん、こっち」手を引いてゆっくり距離を取る
結雲 悠
「う、うん……」
なんとか我に返ってその手を取る。
蕨 洋美
ぐぼ、という音と湿った音とともに女の眼窩から
球体が抜け出る
結雲 悠
「!」
蕨 洋美
それは、ルービックのパズルめいて細かな三角の面の組み合わせで組みあがった球体
その一部は割れ飛び、かつて女の顔の中にあった時と同様、禍々しくも赤い瞳浮かべ、それをぎょろりと皆へと向けた
結雲 悠
「……あれは」
阿修雷
「何もするなよ」
八雲 乾風
「こ、こっちみてる」
蕨 洋美
爬虫類の瞳のようなそれが、瞬きするように一度だけ閉じた
瞬間、虚空から生み出された細かな三角形のいくつものパネルを吸着すると
自らの割れた面を覆い、完全な球としての形状を取り戻す
赤嶺 アンリ
変形かっこいいな!
蕨 洋美
そこからの変化は、直前の静寂が嘘のような急激なものであった
球を中心に、黒の真球が膨れ上がる
脱力した女の肉体を呑みこみ、更にその体積を広げて行く
結雲 悠
「逃げ……ないと」
阿修雷
「あそこの車をいただくアル」
蕨 洋美
いかなる時も冷静に観察分析を反射的に行う、ノイマンたる阿修雷は気付くだろう
阿修雷
お、なんだなんだ
蕨 洋美
まず得られるのは視覚からの情報
黒の球の拡大に伴って、その周辺から、あらゆるものの色が失われてゆく
そして拡張する球に触れたそれらは、塵の如く粉砕されて、消滅してゆく
或いは、あらゆる分子結合の崩壊
そうと予感させる現象が、球の拡大に伴ってその範囲を広げて行く
改めて、この場所からの迅速な撤退が必要であろう
阿修雷
「ここはもうダメだな、あれに触れれば消滅する。
どこまで育つかはわからんが無限じゃないはずアル、とにかく車で離れてUGNの飛行空母に拾ってもらうアルね」
結雲 悠
「…………後で、助ける。
そうだよね? だからいったん退く。そうだよね?」
赤嶺 アンリ
剣で軽く地面を突いてバランスを取り、頷く。
食いしばった奥歯が擦れ、頭蓋の中にぎりりと音が響いた。
「ああ……、一旦、逃げんさ。
あのまま、放っとける訳、ねぇんさ」
もう少し己自身に理屈をつけて言い訳をしたかったが、そんな声も出ない。
GM
持ち主が捨て置いて逃げたものか、車には幸いキーが差し込まれたままとなっていた
セルを回すと、現代車らしいタフさですぐにエンジンが始動する
阿修雷
「悠くん、赤嶺さん、八雲、白岡、これで全員か?」
結雲 悠
「うん」
白岡 久喜
「おるぞー」
ミノリ
「俺もだ」
ミノリ
確かラストシーンで一緒に集まってた はず
阿修雷
「了」アクセルを踏み込んで、どんどん加速する
GM
車は走り出す
ひび割れた路面に、サスペンションを跳ねさせながら、加速する
阿修雷
「ニューホライズンのヘリを呼ぶアル」
八雲 乾風
「う、うん電話する」
GM
バックミラーからも、サイドミラーからも、巨大化してゆく黒の球が見える
赤嶺 アンリ
「うえぇ……」
車に乗り込んでとうとう全身の力が抜け、燃え尽きたボクサーのように座り込む。
GM
近くの空に待機していたホライズンからはすぐに応答があり、
結雲 悠
「あれ、どこまで大きくなるんだ」
阿修雷
「満足するまで」
GM
やがて比較的安定した路面を選びながらの蛇行走行を続ける車両が、上部から強い光で照らし出される
気が付けば、走行音に交じってローター音も聞こえる
ミノリ
「大したものだな。……来た」
阿修雷
「きたか、あいにく私はUGNの支部長と違って〈運転〉は得意じゃないアル、広いところに止めるからヘリに飛び移れ」
GM
窓から見上げれば、ユーロコプターX3ベースのホライズン搭載の高速ヘリが並走するように飛行していた
『着陸しての回収は困難です! ホイストを降下させるので、なんとかそれで脱出を』
ヘリパイからの声
赤嶺 アンリ
「ん」
両腕をシートに突き立て、身体を持ち上げるようにして身を起こす。
阿修雷
「八雲、白岡、赤嶺さんを」
赤嶺 アンリ
「こん位なら行けっさ、って言いてぇけど微妙。頼むんさ」
白岡 久喜
「了解じゃ。ちと窮屈じゃが我慢せぃ」
血糸でもって、男の身を包み上げる
結雲 悠
「具合悪いの?」
赤嶺 アンリ
「一番ハードな二日酔いの朝よかやべぇんさ」
結雲 悠
あ、そういや足千切られてんだから当たり前なのよ。
自分が痛みに鈍くなったせいだなきっと!
八雲 乾風
FHの人って……
八雲 乾風
「じゃあ俺はしご持ってるから」
ミノリ
「固定は任せろ。先に行け」
GM
強烈に吹き付けるダウンウォッシュの中でありながら、常人ではない皆がそれぞれに車からヘリへと乗り移ることができるだろう
阿修雷
「いいぞ」
八雲 乾風
「OK」
結雲 悠
「大丈夫」
GM
『回収完了。急速離脱します! つかまって!』
ヘリパイのアナウンスを聞き終えるや否や、引き込まれた操縦桿に従って、ヘリは急上昇
赤嶺 アンリ
普段は片腕で十分だった所を、両腕でしがみつく。
GM
回収のために開かれていたスライドドアの向こう、傾いた視界の中で、まず見えたのは更に加速して肥大化する黒の球体
八雲 乾風
「街が……」
GM
スパイ映画さながらの脱出で乗り捨てられた車は、乗り手を失って、荒れた路面に足をすくわれ横転、爆発
しかし、その爆発も瞬時に黒の球体に呑まれ、熱も爆風もドアから見下ろす者の肌に届くことはなかった
阿修雷
「間一髪だったネ」
GM
ヘリは、皆を乗せたまま更に高度を上げ、黒の球体は遠ざかって行く
結雲 悠
「……
なんなんだよ、あれは……」
ミノリ
「ああ……、何だ、あれは。何が起きている」偶然にも、同じような発言を、同じタイミングに発した。
GM
『……皆さん。ホライズンの待機高度まで……上昇します。そろそろ、ドアを』
共に異様な光景を目撃したヘリパイは、唾を呑みこむようにえずきながらも、伝えるべきことを伝えた
八雲 乾風
「しめます!」
結雲 悠
「あぁ……」
脱力したように呟く。
ミノリ
膨張してゆく虚無をぼんやりと眺めている男に代わって、八雲と共に扉を閉じる。
GM
重い扉がレールを走る音と共に閉まり、狭い空間内にはエンジンとローラーの音だけが響く
阿修雷
「……インフィニティコードの結実、コードウェルはこう呼んでいたらしいアル。ウロボロス、とネ」
白岡 久喜
ウロボロス……始原にして終着、か」
結雲 悠
ウロボロス、って尻尾くわえてるやつ」
八雲 乾風
「なんかゲームでみたことある」
赤嶺 アンリ
ウロボロス……最後のシンドローム。 そう、あいつは呼んでた」
汗で貼りついた髪の下から、辛うじて声を出す。
阿修雷
「だが制御は失われた、あれはもうFHの支配下にすらない」
結雲 悠
「えっ、じゃあ、ずっと膨らみ続けるってこと?
蕨さんはどうなるんだよ!?
っていうか阿修雷またなんか変わった!?」
阿修雷
「……これからのことはこれから考えるアル」
GM
『皆さん、そろそろホライズンです』
リチャード
『リチャードです。みなさん、ご無事ですか!』
結雲 悠
「無事……とは。
いえないかな……」
ミノリ
「怪我はした。……蕨があれに呑み込まれた。
戻ったら作戦会議をしたい。頼む」
GM
『支部長。こちらオウル2。5名を回収。現状は不明。現在ホライズンの2km東より接近中。重傷者1。収容の用意願います』
リチャード
『すぐに救急班を! 会議……? とにかく、私も出迎えます』
GM
そして、ようやくヘリの前方にホライズンの巨大な姿が見えてきた
ヘリはすぐにそこへ回収されるだろう
第二種戦闘配備のために周囲を警戒する哨戒機が飛行する中、ヘリはようやく飛行甲板へとたどり着いた
アンリは待機していたストレッチャーに乗せられ、すぐに医務室へと運ばれてゆくだろう
甲板には、リチャードとその秘書官も出迎えに出ていた
リチャード
「みなさん!」
八雲 乾風
「リチャードさん! 阿修雷は、助けられたけど、蕨さんが……」
結雲 悠
「あの黒いヤツの中に」
赤嶺 アンリ
足首を失ったくらいで医務室行きなのも変な感覚だった。
ストレッチャーに身を横たえ、運ばれるままに崩れ落ちるように目を閉じる。
リチャード
「……お疲れの所、申し訳ありませんが、ミス・コガやヴェロニカも司令室に集まってもらっています」
古賀 咲夜
「蕨さんが、まだ戻っていないの?」
八雲 乾風
「なんか、黒いのに飲み込まれて……!」
ミノリ
「そうだ。……蕨は、あの黒球の中に呑み込まれた。
ウロボロスらしいものからアシュレーを助けたと、そう聞いている」
古賀 咲夜
「……そう。すぐに準備をするわ」
司令室テーブルの上のゴチャゴチャしたものをテレキネシスでざーっと避けて地図とか茶とか配置するね。
古賀 咲夜
司令室ってどんな部屋なんだろ。
リチャード
モニターがわーっとあって中央にブリーフィングスペースと立体投影装置がどーんでそんな
古賀 咲夜
エスコンとかにありそうなやつだ
GM
「……総員、第二種戦闘配置を維持。船速最大にて、現空域を離脱」
指示を終え、秘書官がリチャードの元に戻る
リチャード
「ありがとう」
阿修雷
「……賢明だな。オードブルを鼻先にぶらさげないほうがいい」
GM
無言で敬礼し、リチャードのすぐ背後の定位置へと戻る
同時、軽い横Gを感じる
ただちにホライズンは移動を開始したのだろう
ミノリ
移動の横Gを感じ、下方を軽く睨みつけた。
GM
しばしして、会議室の扉がスライドすると、カートにお茶を乗せた女性隊員が入室してくる
「皆さま、お疲れのところ申し訳ございませんが、一次報告と状況の共有だけでも、先行してお願いいたします」
メガネクイっ
阿修雷
よかった番犬じゃない
結雲 悠
「阿修雷が……黒いものに食われかけてて……」ぽつぽつと説明。
ミノリ
それを補足するように、少し遠くから状況を見ていた結果を添える。
阿修雷
「……結構」
ミノリ
「あれはウロボロスだ、ということらしい。
見ていた限りだが、あの男のエネルギーか何かを喰らった直後から、活性化を始めたようだ」
医務室の方向を見る。
GM
疲れ果てた体
疲弊した精神
衝撃に打ちのめされた心身を、会議室のチェアに沈みこませながら、それぞれが見たもの聞いたものを、伝えるだろう
阿修雷
FHの切り札、原初のレネゲイドと呼ばれるウロボロスを覚醒させた研究者たちの一団によって闇の主の力を吸収した」
古賀 咲夜
「蕨さんと……赤嶺さん。計画に名前があったわね。
まさか最初から、そのつもりで?」
阿修雷
「いや、蕨、赤嶺の代わりに急遽別のオーヴァードを使ったようだ」
古賀 咲夜
「つまり、どういうこと?」
阿修雷
「……UGNのS市支部の幹部と、FHのエージェント、名をクピドという」
ヴェロニカ
「ちょっと待って。
今、クピドって言った?」
古賀 咲夜
彼ら出てこないから被害を免れたと思ってたら人知れずやられてたー!?
阿修雷
私の力だけで覚醒できるわけないでしょう!!
古賀 咲夜
カわいそ
GM
あれ、クピドの名づけ親って
ニーカでよかったっけ
阿修雷
名付け親:ニーカ、育ての親:阿修雷
古賀 咲夜
えーと、つまり核が蕨&赤嶺になるところ、NPCふたりが代わりに犠牲になって発生、後からもともと中核にしたかった二人を食った感じかー
結雲 悠
クピドくんは知らないな。
阿修雷
「そうだ。元はS市のUGNの施設で……ああ、そうか。ヴェロニカ・ロジェストヴェンスカヤ、お前もあの施設で」
ヴェロニカ
「嘘……人違いよ。だって、彼はUGNのチルドレンで……そう、私と同じ……」
結雲 悠
あそっか。彼がFHの手に墜ちてたことも知らない?
ヴェロニカ
そうなんだよね
ニーカに知らせる意味もないし
結雲 悠
たしかにー
またニーカの感情が複雑になりそう。
阿修雷
FHの訓練所で再教育を行った。指導教官は衛藤ゆき、メンターは阿修雷。
……一番優秀だったようだな」
ヴェロニカ
ぎ、っとヴェロニカが阿修雷を睨む
瞬間、反射的なものだろう、右の髪の房が延び、大ぶりな手となって阿修雷の首を掴み上げた
ヴェロニカ
「あんたたち、何をしたの……」
結雲 悠
そしてしらん男の話に感情を乱されるニーカを見せられる八雲。
八雲 乾風
あれ、俺がされる側!?
結雲 悠
そういえばDXってどんなシステムって話をFEARの人が「DXは少年少女が青春しながらいろいろなものを喪失して行く話」だと言っていたな。
そのポイントをおさえてシナリオ作れば上手く行くよって。
赤嶺 アンリ
アー(納得)
なんなら最初から普通の青春を失いながらスタートするし
結雲 悠
喪失しきって、または何かを得て大人になったとき、PCとして卒業することになるのだろうか。>少年少女PC
ミノリ
「やめろ」間に割って入ろうとする。
八雲 乾風
「ニーカ!」
阿修雷
「悪いが今は関係ない」
ヴェロニカ
「そんなこと聞いてんじゃないわよ……!」
ぎり、と軋む音と共に阿修雷の首を握る手に力が入る
八雲 乾風
「俺も、いろいろ気になるけど、今はあの蕨って人のことを!」
結雲 悠
「やめてよ! 今そんな場合じゃないだろ!」
GM
咳払いが一つ
「……皆さま」
秘書官だ
結雲 悠
ヴェロニカと阿修雷の間に割って入る。
GM
「ご覧になられた事実についての共有は、ひとまずこの程度でよろしいかと存じます。
皆さまお疲れのようですし、何よりもアレの現状も不明のままです。
現在無人の観測ドローンを派遣し、観測を行っておりますので、そのデータが上がりますまで、少々お休みになられては」
言いながら、傍らのリチャードの顔を見やる
阿修雷
「まだ肝心なことを言ってない。制御装置としての阿修雷を引き剥がした洋美さんは身代わりにウロボロスに呑まれ、赤嶺さんの力も奪って完全に復活した。あれは鎖もなしに解き放たれた」
リチャード
「どうなるんですか、それは」
阿修雷
「わからない」
GM
「では、なおのこと、現状の把握を優先すべきかと存じます」
GM
秘書官「0時ですし」
メガネくいっ
阿修雷
これはできる秘書!
結雲 悠
そうね!
赤嶺 アンリ
これはできる秘書だ!
感情的になっていたり弱っていたりするメンバーを冷静にサポートしてくれる
GM
「ヴェロニカさんも、一度落ち着かれて、後ほどお話をしっかりと伺ってはいかがですか」
ヴェロニカ
「……」
リチャード
「……今は、無理をしてでも何かをしないといけないかどうかの判断すらできません。どうか少しでも体を休めてください」
結雲 悠
「……」
阿修雷を守るように前に立ちはだかってる。
ヴェロニカ
ヴェロニカは、なおも阿修雷を一つ睨むと、その首に巻き付いた髪をほどいた
八雲 乾風
「ニーカ……」
GM
秘書官は手首の時計を改め
「では、皆さま2時間後、改めてお集まりいただくということで。よろしいでしょうか、支部長」
結雲 悠
あっ。古賀さんいたんだよ忘れてた。止めろよ。
リチャード
「……2時間後に、私とミス・コガで相談して決めましょう。何か異常があればいつでもご連絡ください」
ミノリ
「……分かった」
古賀 咲夜
2時間後までにクピドの話についてもまとめておかなきゃね。
阿修雷
あくまで阿修雷が衛藤たちから聞いた話なので、実は生きてるとかでもOKです!
赤嶺 アンリ
なるほど伝聞の余地!
結雲 悠
核にされたからって完全に死んだとは限らないしー。
いやジャーム化してるかもしれんけど。
GM
「それでは、そのように。皆さまのお部屋は変わりなくございますので、しばしお休みください」
無理やりに解散させるように、秘書官はわずかに大きな声量でそう告げた

GM
ってところで、今日はここまでに
結雲 悠
ありがとうございましたー!
阿修雷
お疲れ様でした!
赤嶺 アンリ
ありがとうございました!
早速力をとられて常人になってしまうというシチュエーション、燃える
阿修雷
燃えてるのに燃えれない
GM
燃えるよね!
結雲 悠
もえれないじゃん
GM
ほら、もともとその炎の力は蕨のものだった、って設定あったじゃない
だから完全覚醒のためにボッシュートされました的な
阿修雷
よくばりさんなんだから
赤嶺 アンリ
そして蕨さんとこに両方揃い完全形態に
GM
そうそう
まぁ、そのあたりのお話もおいおい

コメント By.結雲 悠
竜は遂に目覚め、望むままに呑み喰らう。
世界は竜に喰われてしまうのか。

TRPGリプレイ ダブルクロス3rd 第十二話『Heart of the Dragon』 5

「床にコーラ撒けば、穴のあいてるどっかに流れない?」
「コーラまみれになること除けば名案なんさー」

TRPGリプレイ ダブルクロス3rd 第十一話『嵐に告ぐ』 6

「では、仕上げを」

TRPGリプレイ ダブルクロス3rd 第六話『胞子の島』7

「……鳴らぬ鈴に用はない」

ダブルクロス


本作は、「矢野俊策、ゲーム・フィールド」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作物です。

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