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こちらには『ティラノサウルスになろう!』
ネタバレがあります。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。悪魔召喚師として、人と魔の境界を強く意識する。
体力にはとにかく自信がない。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。波照間は魔と人の区別をあまりしない。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。

佐倉とは友人。


佐倉 光
わーい茶番だぁ!
KP
茶番です! 今度こそ!
KP
どうしてこうなったのかというと…… 
  どうしてこうなったんだろう?


「ティラノサウルスになろう」

逆立ちスクランブル 様



KP
あなたは友人の牧志と、旅行に…… 行くのはやめておいた。
二度旅行へ行って二度とも何かに巻き込まれ、どちらともなく、暫く旅行はやめとこうか、という話になったのだ。

その代わりに、映画でも見に行こうという話になった。4DXでサメが飛び出し空を飛ぶ! スリル満載ツッコミ所満載のモンスターパニックアクション映画である。
牧志 浩太
「佐倉さん、こういうの見る?」
佐倉 光
「いや、あんまり。
そもそも映画ってあまり観なかったから、牧志と観てるヤツしか知らないんだ」
佐倉 光
「つーか日常がわりとモンスターパニックだしなぁ……」
牧志 浩太
「言われたらそんな気もしてきたな……。こないだなんて本当にそうだったし。
じゃあ、こっちにする? 古代中国を舞台にした悪魔退治屋の…… ……こっちも割と日常か」

日常がアクション、うーん。牧志は考え込んでしまった。
KP
ここは本当に日常シーンで、映画を見る/見ないとか、映画何にするとかはシナリオに絡みません
佐倉 光
「まー、自分に関係ないアクションなら割と楽しく観られるし、サメ観るか」
何事も経験である。
牧志 浩太
「じゃあそうしよう。まあ、ツッコミ所多いぶん気楽に観られるかもしれないしな」
KP
そんな話をしながら映画館に入る。
専用の座席は普通の座席より大掛かりなつくりになっていて、ここから揺れたり水しぶきが出たりする仕組みになっているらしい。

開始前に雨の中をカーチェイスするデモ映像が流れると、タイミングに合わせて冷たい水が顔にかかり、風が吹きつけ座席が揺れる。
なかなかそれらしいものだ。
牧志 浩太
「わっぷ、結構雰囲気出るな!」
佐倉 光
「おぉおおおぉぉぉー!」
平静を装い切れていない!
「すっげ。最近の映画すっげ。ちょっと水出るだけだろとか思っててごめんなさい」
良く考えればデヴァ・ユガでもっと凄いことができそうではあるが、それはそれ、これはこれだ。
KP
デモ映像で期待を盛り上げたところで、本編が始まる。

遺伝子研究によって作り上げられた恐るべき太古の合成サメが、研究所の事故によって現代に解き放たれる! いや、太古なのか合成なのかどっち!?

早速そんなツッコミ所を披露したところで、巨大なサメの顎が画面一杯に迫る!
哀れなクルーズ船が画面の中で揺れるとともに、座席が激しく揺れ、水が頬にかかる。
牧志 浩太
「うわわわわわ!」
牧志は周囲の観客とともに、楽しそうに悲鳴を上げながらその状況を楽しんでいる。
佐倉 光
「うわ!?」
その手が反射的にヒランヤに触れる程度にはびっくりしている。
ちなみに腕輪は反射的に発動させたら顰蹙ものなので、デモの時点で外してポーチに入れた。
(飛び出るサメっていい想い出がない……)
KP
ビーチを襲う大量のサメ! サメ! サメ! 空を飛ぶサメ! 地面を掘るサメ! ゾンビサメ! 平穏なビーチは一瞬にして惨劇の場となり、あわや世界が滅ぶ…… かという所で、ある考古学者が立ち上がった。

彼は東洋の竜神伝説が残る地を突き止め、そこにティラノサウルスの遺伝子が保管されていることを見つけ出したのだ!
かつて世界を覇した巨大な羽毛恐竜が今、立ち上がる! 地上の覇者と海の覇者の大激突だ!
牧志 浩太
「へ、恐竜?」

思わず場内が呆気にとられた。
佐倉 光
サメは飛ばないし掘らないし死んだら死ぬんだよ。
てかサメどこいったんだよ。二冊の脚本悪魔合体したのか? 明らかな合体事故じゃねぇか。
わかった舞台がネットワーク上だったとかいうオチだな!
だからこんなぐちゃぐちゃなんだそうなんだろ! みんなアバターだな!
KP
「なんでやねん! 何も分からんわダボォ!」
耐えきれなくなった誰かのツッコミが場内に轟いた。

何が何だか分からないが、とにかく否応なしに演出が、BGMが、揺れる座席が状況を盛り上げ、画面内でぶつかり合う巨大な恐竜と巨大なサメの戦いに場内を巻き込んでゆく。

ある時は巨大サメの脇腹に恐竜の牙が食い込み。
ある時は空を舞うサメの群れが恐竜の足をすくい。
一進一退の戦いに、うっかり牧志が手に汗を握って見入っている。
佐倉 光
うっかり背景を真面目に考察してしまった佐倉は、あまりにも荒唐無稽なストーリーに振り回されて情報酔いしている! 
(うぅぅ、なんもわかんねぇ……さっきの伝説の一説が意味してたシーンじゃないのか? さっきの。
サメいっぱい出る理由何だったんだ???)
疑問符に押しつぶされそうだ!
KP
疑問符まみれになっているあなたを置いてきぼりに、相討ちで戦いは完結する。
太古より蘇った存在はまた太古の土と海に沈み、海を赤く染める夕陽を、生き残った人々が見つめていた……。

終わりまで結局なんだか分からなかった。
牧志 浩太
「あー……、佐倉さん、大丈夫?」
牧志がすまなそうにあなたを見ている……。
佐倉 光
「楽しみ方を……間違えた……。
また今度見直す。映像は凄かった。
つか凄すぎて、サメがいつ「ぼくはサク!」とか言い出すか怖かった」
牧志 浩太
「あー……。あああー……。飛び出すサメ……」
牧志も同じものを思い出してしまったらしく、額に手を当てる。そういえば、あれもサメだった。

「うん。気を取り直そう。とりあえず飯食おう」
「ぼくはサク」……女神転生TRPG第二部第二話において、佐倉と波照間は空飛ぶ鮫に割と酷い目に遭わされている。

KP
映画館を出るとちょうど飯時だ。
食事を取る気になるようであれば、どこかで食事にするのもいいだろう。
周囲は市街地で、一通りの飲食店はある。
佐倉 光
「映画ってさー、考えた方が面白い映画と考えない方が面白いのがあるって最近やっと分かってきたけど、見分けがつかねーんだよ、いまだに」
なんだか疲れた顔はしているが、つまんなかったわけではないのだ。
ちょっと混乱しただけで。
牧志 浩太
「まあ、あれはよっぽどだとは思ったけど」
あなたの疲れた顔に牧志が苦笑する。
佐倉 光
食事をとる気はある。むしろさっきの映画について思いついた説があるので語りたい勢いだ。
「今日はあそこで!」
目についたファミレスを指す。
牧志 浩太
「お、いいな。一通り揃ってそうだし」
賛同してファミレスに足を向ける。
KP
幸い、時間帯が少し早いのか、そんなに混んでもいなさそうだ。

佐倉 光
「だからさー、序盤で出てきた飛ぶサメのシーンは水位の上昇で実はもう世界は滅びている暗喩だと思うわけで、そうすると恐竜は実は失われた世界の住人が残した遺伝子ってことになるだろう?」
ドリンクバーとテーブル行ったり来たりしながらなんか目茶苦茶な説ぶってる。
佐倉 光
「……と、考えればつまりサメと恐竜は結局同じものだったってことになんだよ。どうよ」
説が二回転半ひねりのちムーンサルトかましてる。
KP
牧志は佐倉さんの説についていってしまえるか、【アイデア】/2で判定。
1d100 45 Sasa BOT 1d100→98→致命的失敗ファンブル
牧志 浩太
「はっ、そうか! つまりサメは新時代の人類の祖先で、ラストシーンの生き残った人々は新世界の人類だったんだ!」

更にあらぬ方向へ思考がぶっ飛んでしまった。
佐倉 光
「おおっ、なるほどその発想はなかったぜ!
つまり始まりの存在である恐竜と新世界の人類は実は繋がっていたわけだな!」
うっかり納得してしまった!
佐倉 光
「よし、あの映画は深かったってことにして、また今度観るときは注意しつつ頭カラにして観よ」
やっと満足して食事を突き始める。ちょっと冷めちゃってた。
牧志 浩太
「だな」
ちょっと冷めてしまった食事はそれでも、そこそこ美味しい。牧志の頼んだメニューは鶏肉のステーキ丼だ。
佐倉 光
「はは、それ恐竜丼だなー」
こっちは小さめのマグロの叩き丼だ。
牧志 浩太
「本当だ! 恐竜だな。じゃあ佐倉さんのはサメかな? 種類違うけど」
佐倉 光
「そうそう、そのうちここから飛び出して襲ってくるぞ」
にやにや笑いながら飯を口に運ぶ。
佐倉 光
「あ、意外と美味い」
牧志 浩太
「はは、それは困る。そうそう、結構美味いよな」
笑いながら、照り焼き風のソースがかかった鶏肉を飯と共に口に運ぶ。
牧志 浩太
「あれ見直す時、また寄ってもいいかもな。ここ」
佐倉 光
「お、付き合ってくれる?
じゃあ来週にでも」
牧志 浩太
「もちろん! 俺も見返したいしさ。映像しか見てなかったから」
KP
あなた達はそう約束を交わし、会計を済ませてファミレスを出ようとする。

〈目星〉で判定。
〈聞き耳〉で判定。両方とも判定してください。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→40→成功
1d100 69〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→94→失敗
FANBOX開設したで
KP
あなたは、ふとどこからか視線を感じる。
佐倉 光
「ん?」
視線だけでその主を探そうとする。
KP
じっ……、と。
あなた達の背後にいる店員が、あなた達を見ていた。

あなた達を。
いや、牧志の背中を、じっと。
佐倉 光
なんだ? 何かついてるのか?
不思議に思ったのでその視線の先を見よう。
KP
視線の先を見ても、何かついていたりするようなことはない。
意図が気になるのならば、〈心理学〉で判定してもよい。
佐倉 光
〈心理学〉は55だ。オープン?
KP
オープンでOK。
佐倉 光
1d100 55〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→9→成功
KP
あなたはふと、その視線に嫌な気配を覚える。
それは何か、求めていたものを見つけたような、そんな執着めいた視線だった。
佐倉 光
「早く出ようぜ」
牧志に囁いて後ろ警戒しつつ出る。
なんだよこいつまた狙われてるのか?
もう勘弁しろよ。

襲ってきてくれれば反撃で倒せるんだけどな、なんて物騒なことを考えている。
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
丁度背を向けていて気づかなかったらしい牧志は、あなたの態度に不審を覚えたのか、手早く会計を済ませて店内を出る。
KP
その店員は気づけば、混雑しだした店内の人の波に紛れていた。
佐倉 光
「さっきの店の店員がお前を見てたんだ。
狙われているかも知れない、ってくらい嫌な感じがしてさ」
気を付けてどうにかなる内容ならいいな!
牧志 浩太
「……そうだったのか、ありがとう。

うーん、またストーカーかな……」
彼はしばらく思案する。気のせい、と言えるほど暢気ではなかった。
牧志 浩太
「今日だけ佐倉さんの所に泊めてもらう? それか、小さめの悪魔を護衛に……ってのは、さすがに目立つか」
佐倉 光
「うち目立つ悪魔しかいねぇからな。
うちに泊まるならそれでもいいぜ」
それじゃまともな食料でも買いに行くかな。
牧志 浩太
「じゃあ、ちょっと世話になるよ」
うち目立つ悪魔しかいない……上半身がすっぽんぽんの人間、下半身がぶっとい蛇の女、空飛ぶひょろ長いペラペラ犬。ちょうめだつ。

KP
あなた達は食料を買いに行く。

結局その日、何かが起こることはなかった。
映画で頭が疲れたのか、驚くほどすんなりと眠りに入り、次の日。
同じ部屋で眠っていたはずの彼は、いなかった。

……あなたのスマートフォンに通知が光っている。
佐倉 光
あれ……一人で出たのか?
家の中を確認してみたが、いない。
自販機にでも行ったんだろうか?

スマートフォンをチェックする。
KP
それは、牧志からのメッセージだった。内容を見れば、
牧志 浩太
「先輩助けて、足が勝手に知らない所に向かおうとしてる、止められない、佐倉さんが何度起こしても起きない」
KP
余程慌てていたのか、送り先を間違えたらしかった。
佐倉 光
うわ、何か起きてやがる!
慌てて返信!
佐倉 光
『今どこだ!』
同時に電話もするかな。
KP
慌てて返事を送っても電話をしても、応答はない。

室内を見れば、彼の荷物が置いたままになっており、確かに自分の意思ではなかったのかもしれないと思わせる。

辛うじてジャケットだけを取っていったのか、ハンガーが床に落ちている。
佐倉 光
「……くそっ!」
怪しいってだけで人を締め上げるわけには行かないと思ったけど、牧志絡みはもうそれでもいいかもしれないな!
COMPだけ持ってパーカー引っかけて家から飛び出す。
しかし、勝手に歩かされているんじゃ手がかりがない。
近くを歩いている人に訊きまくろう。
明るい茶髪のヤツが変な様子で歩いてなかったか、って。
KP
家から飛び出したとき、〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→4→決定的成功クリティカル)!
KP
わお。では、この後の【アイデア】ロール免除ではっきりと分かる。

道の端に紙切れが落ちている。点々と、等間隔に、ゴミに紛れて。

あなたには分かる。
それは、牧志が使っている日記帳のページだ!
本編見る!
佐倉 光
ナイスだヘンゼル!
何か書いてある可能性……あるかっ。
拾いながら追おう。
何枚か拾って何も書いてなければもういちいち見ないで追う。
KP
それらには何も書かれていなかった。
しばらく辿っていくと、落としてしまったのか、ページのちぎられた日記帳が落ちていた。

そこからは当然のように、紙は続いていない。
……開かれたままのページに何か、書かれている。
佐倉 光
どうした、ここで何かあったのか?
拾って確認!
周囲はどんなところなんだろう。
KP
辺りは商業地域の路地だ。メッセージが来た時間帯を考えれば、人通りは殆どなくなっていてもおかしくない。

日記帳を開くと、無理な姿勢で書いたと思われる、読みづらい走り書きの文字が目に入る。

記述が途切れるまでその調子が続いていることから推測すると、無理やり歩かされながら、ページをちぎって残しながら、何とか何かを書き残そうとしていたのではないか。

そして、誤って日記帳を落としてしまい、回収もままならなかったのだろう。
文章を読み解くならば〈日本語〉で判定。
KP
茶番ですが真面目に探索しているのは、佐倉さんに落差で「は?」ってなってほしいからです。
佐倉 光
1d100 95 〈日本語〉 Sasa BOT 1d100→25→成功
KP
乱れた字の中から、あなたは単語を拾うことができた。
牧志 浩太
「海が見える」「呼ばれている」「知らない場所に足が向かっている」「嫌だ」「行きたくないのに、行かなきゃいけない気がしてくる」「海に」「海蛇の」「助けて」「海に、」

「行かないと」

……その前のページに、直前の行動が書き出されている。
ファミレスに寄った所に丸がつけられている。
佐倉 光
くそ、【海】だけじゃわかんねぇ……海蛇ってなんだ?

昨日のファミレスか。
あの野郎がいるかも知れないな、まずはここに行ってみるか。
くそ、狙われすぎだよあいつ……!

丸がついてるファミレスに向かう。
この近くに海はある?
KP
この近くの海、といえば東京湾だろうか。東京湾だとして、そのどこなのか、というと見当がつかないが……。

KP
件のファミレスに向かえば、あの時牧志をじっと見ていた店員が働いているのが見える。魚顔というか、少々特徴的な顔で、そのつもりで見れば特定しやすい。
佐倉 光
ファミレスに入っていってその男の様子を……えぇいそんな余裕あるか!
まっすぐに近づいて声をかけるぞ。
関係なかったらあとでいくらでも謝ってやる!
「おい、ウミヘビ野郎。牧志に何をした」

こんな時、肉体的に強くないのは面倒だけど、いざとなりゃ悪魔でも何でも喚んでやる!
KP
「ひぇ!? なんですかあんた」
その店員は驚いた様子で一歩下がる。
佐倉 光
実際、詰める根拠としては弱い。ただの印象だからな。
とはいえ今はこれしかない。
海は遠いとはいえ、海へ行った牧志がそのまま水中まで行ったらただじゃ済まない。
その前に、道路にふらっと歩いて行きでもしたら?
えぇいもう決め打ちだ!
佐倉 光
「昨日来た客に何かしただろう!
海へ向かうように仕向けたな。どこへ向かわせた!」
KP
あなたは詰め寄る。そいつは一歩退く。
辺りの店員達がざわめき、非常ボタンに手をかけようとする者もいる。状況は一触即発となる。

その時、あなたの肩を後ろから叩く者がいた。
「こちらへ…… 僕はあなたの味方です」
佐倉 光
振り向く。
聞き覚えのある声?
KP
振り返れば、あなたの背後に見知らぬ細身の男が立っている。あなたはその声に聞き覚えがなく、面長で細い眼をした顔立ちにも見覚えはない。
佐倉 光
「何者だ。何か知っているのか」
完全に振り向くことはせず横にずれ、例の店員を視界に入れたままでその男を見る。
味方だと?
〈心理学〉(55)ッ!
KP
では今回はクローズドで。 Sasa BOT 🎲 Secret Dice 🎲
KP
蛇のような眼をした男はあなたに声をかける間際、件の店員をひそかに睨んだ。
あなたにとってどうであるかはさておき、件の店員と協力関係でないことは察せられた。
「僕は……、『海蛇の牙』の敵です。あなたが言っている人の……、行き先と思しき場所を、知っています」
佐倉 光
良くわからないが、ここで疑っている時間はないだろう、と思った。
「教えてくれ」
KP
「こちらへ……。奴らに聞かれるわけには、いきません」
彼はあなたを店の外へ招く。
佐倉 光
足早について行く。
焦る気持ちを抑えるようにノートを握りしめて。
佐倉 光
出てく時にあの店員にガン付けとこ。
KP
店員は怯えたような目をしてあなたの視線を避けた。

KP
店から十分に離れると、男は数度辺りを見回し、口を開く。

「僕は竹根と言います……。爬虫類学者です。あの店員の男、鈴木は、『海蛇の牙』という集団の構成員です。僕は、少し前から奴をマークしていました……」
佐倉 光
「竹根さんか。俺は只野。
あいつが俺の知人に嫌な視線を送っていたんで、ストーカーか何かかと思っていたんだ」
油断なく相手を観察しつつ、話を聞こう。
佐倉 光
牧志が危険だということは分かりきっているので割と冷静さがすっ飛んでる。
KP
冷静さが飛んで焦ってしまっている佐倉さんいいな、でもこんなのなんだゴメン。
ちなみにここで佐倉は『只野仁也タダノヒトナリ』を自称している。バケツ。
KP
「只野さん……。それは、災難でしたね。奴らは超自然的な力を使います。あなたの知人は……、奴らの力によって、奴らの儀式場へ連れていかれたに違いありません」
男はあなたの顔をちらちらと見る。
しかし、そこに悪意や敵意といったものは見受けられず、むしろ期待のような感情が籠っているように見えた。
佐倉 光
俺を利用しようってハラかな……ま、情報が貰えるならそれでいい。
牧志を救う手がかりが一つでも欲しいんだ。
こいつの言うことが本当なら、またあいつは生贄に捧げられかけてるって事だしな。
佐倉 光
「儀式場の場所を知っているのか?」
KP
「はい。儀式が今日行われるだろうことも……。条件から推測はついています。しかし、奴らは……。数が多い。人間とは思えない連中も……。います」
ちらり。再び、男は期待を込めて、あなたを見た。
佐倉 光
「こっちは急いでるんだ。
とっとと全部情報吐いて単刀直入に言えよ。利用させてくださいってな」
苛つきが端々から漏れている。
KP
苛立つあなたに、男は少し肩をすくめた。
「分かりました。では……。話します。
奴らは、奴らが崇める神を……、呼ぼうとしています。僕はそれを阻止し、奴らを痛い目に合わせたい。

そのために僕は対抗策として、奴らを蹴散らす力を得られる薬を作り上げました……。
地上で最も強い、巨大な爬虫類に変身できる薬、です。
しかし、僕は……。蛇の血を引く僕では、蛇にしかなれなかった……」

その時、男はがっくりと肩を落とした。何なら、その落胆が一番真剣味を帯びて聞こえたかもしれない。

「そこで…… あなたに、お願いしたいのです。蛇でなく、蛇との親和性が高い、あなたに……」
佐倉 光
「…………なんて?」
リアルで、この緊迫した状況で、あの映画観てたときと同じ感情を抱くことになるとは思わなかった。
佐倉 光
『巨大な爬虫類に変身できる薬』を飲んで、牧志を連れてった奴らの儀式場をぶっ潰せ、って聞こえたんだけど……理解これで合ってるか?
っつーか、神って何だよ」
KP
「はい。僕には叶いませんでしたが、あなたにならきっとできます。蛇の友よ」

真顔。
真顔で男はあなたを見返した。

「全ての鮫の父。奴らはそう呼んでいます」

とっても真顔。
佐倉 光
頭痛がしてきた。
鮫に、爬虫類。あの映画じゃん。あれじゃん。馬鹿じゃないのか? あんな映画観たからってこんな夢見ちゃってる俺馬鹿じゃないのか?
夢だなうん。夢。絶対夢。
最近変な夢見すぎだな俺。疲れてんのかな!
それにしても牧志は助けとかないと。
あいつ夢の中だろうとお構いなしにさらわれたりピンチになったりするからな。
夢だからってほっとくと普通に生贄になるもんな!
佐倉 光
そっかー夢かーで安心できないのが牧志君なんですよ!
あいつ夢の中でも何回か死にかけてるから!
KP
先日夢の中であやうく死ぬところだったばかりですしね!
佐倉 光
そうそれ。
佐倉 光
「Ok、納得はしてねーけど理解した。
それの効果を教えろ。効果時間とか、副作用とか。
あと、儀式場所だ。時間制限とか分かってんならそれも」
KP
「地上最強の爬虫類といえばティラノサウルス。あれになれます。いいですよね。いいなあ。
効果時間は2時間。
肉体を変えるだけなので、精神はあなたのままです。まあちょっと肉食獣の気持ちになれるかもしれませんが、誤差の範疇かな? と思いますね。
副作用としてちょっと筋肉痛になります」

薬の話をする時だけ、男は突然饒舌になった。

「儀式場所は……、東京湾の外れの使用されていない港湾です。奴らが儀式のために貸し切りやがりましたので……。邪魔者はいないでしょう。
遠目に目撃されたりするかもしれませんが…… 我慢してください」
佐倉 光
一応本当のことを言っているか、〈心理学〉55で表情読んどきます。
KP
Sasa BOT 🎲 Secret Dice 🎲
KP
薬の話をするときだけキラキラ輝く瞳。いいなあと口にする時の羨望に満ちた視線。
本当か、少なくとも本当だと信じてるんじゃないだろうか。うーん。
「因みにティラノサウルスとはただ一種の恐竜を指すわけではなく、ティラノサウルス科の複数の恐竜を指しまして、その中にはモフモフなやつもモフモフじゃなかったやつもいるというのが現在の説です。
中でも最大を誇るティラノサウルス・レックスがモフモフだったかモフモフじゃなかったかは軟組織が保存されていなかったために未だ議論の的で、いやあ実際に見られるのが楽しみで」止めろ。
これは止めなければ自らヒートアップして止まらなくなりそうだ。あなたはそう思うだろう。
佐倉 光
真偽は分かんねーけど少なくともコイツは嘘をついてないかぁ……
T.レックスに変身……ねぇ。

変身かー。
そういえばいつか一瞬鬼に変身したことがあったなぁ。
あれより大きくて強いんだな。T.レックスなら。
佐倉 光
……楽しそうだな?

うっかり思ってしまった。
思ってるうちにヒートアップしてた。
モフモフ。確かに。変身できるのはどういうやつだ?
正確な姿じゃないんだろうな、やっぱ。薬作ったヤツのイメージかな。
変身してから姿を確認するのは難しそうだな。

いっけね急いでんだよ俺。
佐倉 光
悪魔になりたいなぁとか思ってたヤツが恐竜になれるって聞いたら、そりゃウキウキしちゃうでしょうよ。
KP
それはそう。でかい! つよい! でかい!
佐倉 光
「ストップストップ。本題終わってんなら薬寄越せ」
KP
「おっと、すみません……。どうぞ、こちらです」
男は小型のハードケースを取り出し、開く。
その中には緩衝材に包まれて、奇妙な色をした液体の入った小瓶があった。

男はそれを捧げ持つようにして、あなたに差し出す。
「儀式場に着いたら、一気にグッと行って下さい……」
佐倉 光
「分かった、もらっとく」
使うかどうかは状況次第だけどな。
佐倉 光
いやしかし、恐竜に変身か。
T.レックスって身長どれくらいだったかなぁ。
変身するなら屋外で……

楽しそうだなぁ。
佐倉 光
いや違う。俺は牧志を助けるためにだ。そう。そのために必要な道具がきちんと使えるか知りたいだけ。よし。
佐倉 光
詳しい場所とこいつの連絡先を訊いたらそこに向かおう。
KP
男は快く儀式場の詳しい位置を教えてくれる。
何なら車で送ろうかとも言い出すが、まあ承諾しようが断ろうが見に来るのだろうな、ということは推察される。
佐倉 光
じゃあ送ってもらう。
利用されるってんならこちらも全力で利用してやる。
……電車の方が早くねぇか?
KP
曰く「万一の時の逃げ足として」だそうな。
ともあれ、もはや二重の意味でのワクワクを隠すこともない男と共に、あなたは車で現地へ向かう……。
佐倉 光
あ、車で高速乗った方が断然早いや。
※渋谷から東京ビッグサイトで検索した
KP
※なるほど
電車だとやや遠回りな経路になるんですね。
佐倉 光
そういえば地味に面倒くさかった気がします。

KP
あなたを乗せて、車は走る。
小回りを重視したのだろう小型車は、環状線に乗り、湾岸線に切り替え、軽快に飛ばしてゆく。

やがて周囲が巨大なクレーンなどの見え隠れする、迷路のような港湾地域の風景に変わっていく。

それらの足元の、倉庫が林立する中に車は滑り込む。倉庫の陰に隠すように、竹根は車を停めた。

辺りは閑散とし、動くものの気配はないように思われた。
佐倉 光
来るまでの間に、悪魔召喚でラミアさん喚んで、持ち物と上着を預けておこう。
KP
ラミアはあなたの求めに応じてちゃんと現れ、持ち物と上着を預かってくれた。
佐倉 光
少し迷って、使い捨て用のスマホとヒランヤは外して手に持っておく。COMPは装着したままだ。
KP
不意にあなたは、倉庫の向こうに興奮したような人の声を聞く。

人だけではない。
潰れたような水っぽい鳴き声。水を蹴る音。磯の臭い。無数の声、声、声。
佐倉 光
「うわ、マジでいる」
そうすると本当に牧志はここにいるのでは。覗き込んでアナライズ試みつつ牧志を探す。
KP
覗き込めば、同じ服装をした男女様々な人間たちに紛れ、魚のような顔をした人間、水掻きと鰭のある人間、下半身が魚の人間、上半身が魚の人間、人間の腕を持った魚、それらの異形が無数に群れ、群れ、手にした武器や腕を振り上げながら、興奮し狂乱した声を上げて中央の高い台を取り囲んでいた。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1d2》。
魚の鰭に似た長い布を巻きつけられ、その台に寝かされているのは── 牧志だった。
佐倉 光
1d100 78 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→70→成功
いた! けど、敵多過ぎ! これはマカミ一体じゃどうにもならねぇな。
ジジィに似てるけど違うヤツか。
状況的に援軍呼ぶ猶予はないし、やるしかないな!
※来る間に援軍頼もうとしたけど通じなかったとかあったんだろう色々。
KP
デビルバスターは忙しい。援軍が必要な時に限って、別件で手一杯だったりするのだ。前もそうだった。
佐倉 光
当たり前のようにエラー吐いてるCOMPとスマホとヒランヤと靴を、脱いだパンツで包んで左手に持つ。(薬を飲んだとき身につけているものはどうにかなると説明されていてもだ)
これで変身不発だったり、あの蛇野郎がこいつらとグルで、俺も行動不能にされて生贄にされたらお笑いぐさだぞ!

息を止めて一気に薬を飲む。
飲んだ後で、牧志が生きているかどうか確認すべきだったな、とちらと思ったが、まあいい。
死んだ前提では考えない!
KP
あなたは息を止め、一気に薬を呷る。
古い土の味と湿った羊歯の匂いがした気がした。

飲み干して少し経った頃だろうか。
不意に、視界が揺れた。強い目眩に似た感覚。
佐倉 光
「うっ……」
気持ち悪さに全力で耐える。
うまく行ってくれないと困るぞ。
とりあえず何かは起きそうだな!

敵の配置と牧志の位置を何度も確認。
もし想定通りのサイズになったら、一歩目はどこへ踏み出す?

Okあとはこの怪しい薬があの男が言ったままの効果であることを信じるだけだ!
KP
視界が揺れたのではなかった。

眼の位置と視界の位置が急激に変化していくために、脳の処理が追いつかずに揺れとして感じ取っているのだ。

身体が軋む。
変化していく骨格を分厚い筋肉と柔軟な皮膚、それを覆う鱗が慌てて追いかける。

脚が膨れ上がる。
何となく立っていた両脚が、力強く地面を踏みしめる。
尻尾が地面を叩く感覚を、脳が当然のものとして受け取った。

顎が前に迫り出す。
猛禽類にも迫るという視覚が、あまりにも高い位置から見下ろしているというのに、台の上に寝かされた牧志の顔立ちをはっきりと捉えた。

気づけば海岸を見下ろしていた。
あなたが身じろぎをする度に、魚擬き達が慌てて逃げ惑う。

そのあまりにも巨大で、異質な生き物の、小さな前脚にあなたの籠手が変わらず嵌まっていた。

あなたはティラノサウルスになっていた。

強烈な変化を経験したあなたは、《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D4》。
佐倉 光
1d100 78 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→72→成功
SAN 78→77
「お、おぉぉぉぉぉぉ!?」
急激な変化に、エネルギーどうなってんのかなとか意識保てるのかなとか身につけてた物やっぱアウトかな!? とか気温大丈夫なのか? とか羽毛でガードされて意外と大丈夫なのかなとかここの地面重さに耐えられるかなとかいきなり密度増えて俺大丈夫かなとか、色々


佐倉 光
色々

もうどうでもいいや!
一歩踏み出して脳内駆け巡る何もかも吐き出すように吼える。

空気がビリビリと震える。
気持ちいい!
ずし、とアスファルトを踏みしめ、尾で手近な所を払いのける。

手はバランス取るだけだなこれ。
おっと、攻撃に尾を使うとバランスが崩れる。
尾で攻撃するなら立ち止まっておかないと。

視界たっけぇ!

意味もなく吼える。威嚇威嚇。

先に牧志を確保したいな。
そこにいるだけで儀式が進んじまう可能性もあるからな。
KP
あなたの喉から迸り出た声、いや、咆哮に空気が震える。あなたの足踏みが地を揺るがし、勇敢にも立ち向かってきた構成員たちを這いつくばらせる。

あなたは今やその場を支配していた。
あなたを飾る羽毛が揺れ、全能感を心地よく支える。

あなたを阻むものなどない。
このまま手を伸ばすだけで、牧志を取り戻せるだろう。

しかし…… どうにも様子がおかしい。
佐倉 光
おかしい?
違和感は自分にあるんだろうか、
それとも牧志?
周囲の奴ら?
KP
そのどれでもない。違和感は…… 遠くに見えている水平線の向こうにある。

穏やかだったはずの海が荒れている。水位が上がってきている。今のあなたにとっては小さいが、普段ならばとても大きいと感じる波が迫っている。

いや。
波ではなかった。

サメだ。
海の果てから押し寄せるサメたちが波を作っているのだ。集まっていた異形達の、優に二倍以上はある巨大なサメたちが。

その後ろに、その群れよりもさらに巨大な、神々しくすら見える一匹のサメが。

その眼に狂乱と敵意を宿しながら。
あなたに向かって一斉に、迫ってきていた。

コメント By.佐倉 光
ティラノサウルスは強いのだ。
強いヤツになって暴れたら気持ちいいに決まっているのだ。
普段の自分の肉体にコンプレックス持ってるヤツなら尚更。

というわけで、茶番シナリオです。
先日やった茶番が茶番じゃなくなっちゃったので、今度こそなーんにも考えなくていい奴を置きでやろう!
という寸法です。

ちなみにトップ絵の背景はAIイラスト(イメージクリエイター+フォトショップの生成塗りつぶし)です。(最近の背景はほぼ全部これですが)

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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