画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: netabare.png

こちらには『刻の牢獄』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
そして、9月9日の朝が訪れる。
あなたが東雲と最後に会った日だ。
波照間 紅
日付の記憶を手繰る。起こったこととまだ起こっていないはずのことの記憶が入り混じる。

この日は、まだあの墓守とは会っていなかったんだったか。報道も、発見もまだだったはずだ。

今行けば、驚かせてしまうだろうか。
いや、もしかしたらあの人は全て知っているんじゃないか。

ひとまず仮眠を取り、それから墓地に向かうことにする。
KP
あなたは自身の記憶を頼りに墓地にたどり着く。
星見町と旭町の中間にある、木々に囲まれた広大な土地だ。

和洋折衷の様々な墓石があり、奥の方には教会に似た洋風の建築物が見える。
特に墓参りに来ている者などは居ないものの、その中に一人、
長い銀髪を揺らしながら墓石を磨く一人の人物がいる。
あの墓守だ。
波照間 紅
その場所には、最初に訪れた時と変わらず、死の雰囲気が静かに横たわっていた。

お邪魔します、と墓守に声をかける。
KP
「あら、誰かのお参りですか?」
若くはないが老いてもいない張りのある落ち着いた低い声は、
大きくはないのにはっきりと聞こえた。
性別不詳の相貌にそっと穏やかな笑みを浮かべる。

あの時と全く同じ光景が見えた。
KP
「ご案内しましょうか?」
波照間 紅
「いえ。少し、お話をしたくて。
東雲さんから、あなたのことを聞いて来たんです」

心地よい声だ、と思った。穏やかに来た者を受け入れるような姿は、この場所を寒くしすぎず、温かくもしすぎない。
KP
「そうですか。では中へどうぞ。ここは少し冷えますから」
銀髪の墓守は、以前と同じようにあなたを洋風建築の中へ誘った。
波照間 紅
ありがとうございます、と一礼して、墓守の後ろを歩く。
KP
墓守は以前にあなたを案内したのとは違う、客間のような場所へあなたを案内した。
シンプルなテーブルと椅子が置かれている。
そこで火をたいて紅茶をいれ、あなたと向かい合って座る。
紅茶からは渋みのある、落ち着いたよい香りがした。
「さて、ご用件は何でしょうか」
波照間 紅
「ありがとうございます。突然訪れたのに、ここまでして下さって」
紅茶の香りを軽く嗅いで、口をつける。
「東雲さんから、あなたのことを聞きました。彼女の兄の相談に、乗って下さっていたと」
KP
「なるほど、時哉さんの件ですか?」
墓守は目を細め、値踏みをするようにあなたを見た。
あなたがそれを知るに相応しい存在であるかを見極めているかのように見えた。

「あなたはどちらからいらしたのです?」
それは、『何処』というよりは、もっと大きな意味を持った質問のように聞こえた。
波照間 紅
「僕は、明日の夜から来ました。あなたに一度会い、ここで彼女を見送り、そして戻ってきた」

背筋を正す。
真っ直ぐに墓守の眼を見る。
KP
「時を超えていらした。そうですか。
それでもっと詳しく知りたいと願うのですね?」
墓守はゆったりと頷いた。
驚くふりをすることもなく。

墓守は一拍置いてから、真剣な眼差しをあなたに向け話し出す。

「さて、どこから話しましょうか……
彼女は悪意を持って殺害されました。
恐らく強い恨みと憎しみを持つ者に。
多くの死者と対話してきた、私の所見に過ぎませんが」
波照間 紅
「そうです。発端は、彼女の兄が何かを止めようとしたことだそうですね」
KP
墓守は頷いた。
「数年前、とある人物の計画により、あの風車を用いた時間の神の招来の儀が行われようとしていました。
それを時哉さんは阻止しようとした。

しかし、止めるにはあまりにも時間がなさ過ぎた。
術者を殺す以外に招来の儀を止める方法はなかったのです。
術者の死によって術は止まり、この世界は時を取り戻すことができました。
儀式の途中で殺したのであれば、時間の神の片鱗が、まだどこかに残っているのかも知れませんね」
波照間 紅
「片鱗……、それが、もしかして。繰り返している時間なのですか」
僅か、息を呑む。テーブルの下で手に力が籠もった。
KP
「さあ、私は術者ではありませんし、実際に儀式を目撃したわけでもありません。
ただ知る知識からたてられる推測をお話ししているだけ。

ただ、繰り返す時間、というものが存在し、またあなたが未来から訪れたというならば、それはきっと時間の神の力が関係しているでしょう」
波照間 紅
「東雲さんは、彼女は繰り返す時間の中に囚われているようでした。

僕は、彼女をそこから連れ出したい。
何か、ご存知ではありませんか」
KP
※時を超えた経緯や、彼女の状態などについて話します?
波照間 紅
話します。
見つけた羊皮紙についても話します。
KP
「私には何とも……申し訳ありませんが」

墓守は首を振るが、ふとあなたが取り出した羊皮紙に目をとめる。

「そちら、拝見しても?」

断って手を触れる。

「これは……羊皮紙の形をした何か…でしょうか。
書いてある内容も私の知識にはないものですね。
ここに綴られている言葉を口にしてどうなるか、想像もつきません。
ですが、ここに書かれている神の名。
これについては多少知識がございます。
全てにして一つのもの。
時の神。
そういったものでございます」

『外なる神 ヨグ=ソトース』
それを墓守は、全てにして一つの時の神と呼んだ。
波照間 紅
「全てにして……、一つ」
KP
「はい。
神とは言っても、一般的な人が思うような神ではありません。
それは人の概念では測れず、その意思も望みも、人の尺度からは外れているのです。

簡単に申し上げれば、その神が顕現するとき、今のこの世界は容易く崩壊してしまうでしょう。
あなたが関わろうとしているのは、その一部です」
波照間 紅
「……、」
思い出した。
あの男の背後に存在していたものを。
あの夜に喚ばれようとしていたものを。

これはきっと、それらと同じ世界に関わるものだ。触れてはならないと仄めかされるものだ。
KP
「おそらく、あなたがこのように深い縁を持ったのは、何らかの関わりがあるから。
あなたの行動一つで、事態は大きく動くのではないか。
私はそう感じますね」
波照間 紅
「僕の……、行動で」

初めてここに来たときの僕は、何もできないことに苦しんでいた。
今の僕は、何かできることがあるかもしれないことが、空恐ろしく感じていた。

何も確実なものはない。
間違えれば、世界さえ滅ぼすかもしれない。
手を出すべきではない。

それでも。
諦められなかった。
KP
「さて……まだ何かご質問はありますか?」
墓守はあなたの内心を見通しているかのような、アルカイックスマイルじみた笑みを浮かべた。
犯人と行動方針
波照間 紅
「転落じゃなかった刺殺だった!」っていうのはそういうことだったかぁ……>時計館館長の死 東雲さんがやったんだったんですな。
つまり、この時点で東雲さんを殺した犯人&たぶん黒幕はほぼほぼ明らかになっちゃってるわけだ。
KP
シナリオちゃんと確認しないで、「東雲は非力だし、物理で殺害は無理だろうな、じゃあ風車から落としたってことで」って決めちゃって、後で『マドがない』って記載を見て「やっちまったゼ☆」ってなったいつものポンコツムーブです。
波照間 紅
その場でふかして後で矛盾してしまい適当に泥縄するのはこちらもあるあるでございます。
KP
泥縄できるならしたけど今回の日付と死因についてはどうしようもなかった……
波照間 紅
それは致し方なかった……
でも、明言はされないのに、ここで最初に出てきた情報をちゃんと見直すと綺麗に組み合って、全部明らかになるの面白い
KP
過去の殺人等々については、終わったら色々言いたいことがあるなぁ。
波照間 紅
楽しみですなぁ
しかしそうなると波照間の行動に迷うところ、黒幕は見えていても衝動的に仇討ちできるタイプじゃないし、それを望むわけでもない
KP
「仇討ちは考えないで」って東雲さん言ってますよ。
波照間 紅
そうそう。
波照間も、最初からそれを望んではいなかったですからね。
KP
ちなみに前回の時の巻き戻りについては、波照間さんは何もしていないので、『そこにいたがために巻き込まれた』と考えて下さって結構ですよ。
波照間 紅
ふむふむ。
しかし、はっきりとした説明はないにも関わらず、ここで断片的な情報が組み合って事態が明らかになるのは、それがメインじゃないにしてもちょっと推理シナリオ的な楽しさがありますね
パチっとはまるの楽しい~
しかし行動は固まらない~
KP
ふーむ。もうちょっとはっきりしたヒント出します?
波照間 紅
お、じゃあもうちょっと見直して考えます 待って待って

波照間 紅
「ご存知ならばで、いいのですが」
小さく息を吸い、一度前置きする。
「まだ、事態は動いていますか。時の神の招来の儀は、まだ為されようとしていますか。
術者には息子がいたそうですね。彼は二年前から、この街に何かを広めていると。

彼は、招来を望み、そのために動いていますか」

すべては終わったものに過ぎないのか、それとも。
まだ事態が動いているのなら、彼女と僕だけの問題じゃない。

それに。
彼女の言葉のためだろうか。

もしもそこに情があったのなら、彼もまた同じことを望むんじゃないかと、ふと思った。
KP
「恐らくそうでしょう。
東雲さんのご遺体の状態を鑑みるに、
殺害者に強い憎しみを抱くほどの想いがあったのだと考えられます。
神の力を借りることを考えるであろうと推察されます。

彼が広めている宗教については私も知っています。
が、あれはかの神の存在を隠された、愚にもつかぬものですよ。

あのようなお粗末なものを、この町の権力者達に信じさせたという
彼の手腕は少なくとも賞賛すべきかも知れません。
そしてまた、表だって彼を非難するのはやめておくが賢明でしょう。
神秘の力よりも先に、人の力によって排除されますよ。


が、彼には父親ほどの知識も力もありません。
あなたが時を渡ってこられ、東雲さんが時に囚われているというのであれば、
あの風車にはかの神の力が宿っているのは間違いないのです。
にも関わらず二年の時を費やして尚、招来は成されていないのですから。

それと……
あなたが見つけた紙片は彼が残した物ではないでしょう、恐らく。
それは力そのもの、人の手により作られたものではありません」
波照間 紅
「そうですか……、これが、力そのもの。
ありがとう、ございます。

きっと、手を出さない方がいいものなんでしょう、これは。
それなのに助言を下さって、助かりました」

一度立ち上がり、深く頭を下げる。
選択
波照間 紅
うむむPLのINTが足りない 途中退場以外のシナリオ分岐に関わるものでなければヒント欲しいです(分岐条件だったらもうちょい考える)
KP
そーだなー、今のところどんな方法考えてます?
あと、紙きれの用途とか
そうそう、諸事情で番犬のことは考えなくて大丈夫です。
番犬の危険性は波照間さん知りませんよね。
波照間 紅
知らないですねぇ。あれの話を聞いたのは牧志&佐倉さんだけなので。チラ出しただけだし、あえて話してはなさそう。
・9月10日の夜に風車に行き、2回目の巻き戻し時に紙切れの言葉を読み上げる
・夜に時計館に行く
くらいですね、今の所考えてるの
三刻終造を問い詰めるというのもなくはないけど、その結果どうするかが決まっていないので微妙
KP
んじゃそんな感じでやってみればいいと思いますよ。
「どうしてそうするか」って理由が欲しいということであれば、
キャロルさんが推測劇場やりますけど。
「メタ的にこうだろうなぁ、と思うけど、そうしたら上手く行く理由がわかんない!」ということだったら助言できます。
波照間 紅
ふむふむ。ではこのまま行ってみます。

波照間 紅
「そうだ、一つ教えて下さい」
KP
「はい、何でしょうか」
波照間 紅
「彼女の遺体が見つかったのは、いつのことですか」
KP
「そうですね、9月7日朝と聞いています」
※死亡時刻の特定を行いたいのであれば、ニュース出た時に詳しく調べれば分かるかも知れませんね。
波照間 紅
「そうですか……、ありがとうございます」
墓守にもう一度深く頭を下げ、墓地を出る。
KP
「幸運をお祈りしますよ」
銀の髪を揺らめかせ、墓守はあなたを見送っていた。

KP
※今は9/9 日中。行きたい場所、したい行動があればどうぞ。
波照間 紅
時計館を見に行き、もう一度その時計を詳しく見てみます。
風車の中の時計を思い出して比較してみたりもしますが、【知識】/2再度振れたりしないかなー
KP
なるほど、可能ですよ。
あの時の時計と比べてみるなら【知識】半分じゃなくても良いかな。
星空時計館はあなたが以前訪れた時と同じく、ひとつとして針が動かない時計たちが並び、ただ優しいオルゴールの音色が流れていた。
受付も、3Fへ続く階段にいる警備員も同じ顔だった。
そういえば当然のことながら、あなたが以前ここで買ったはずのポストカードは手元にない。

3階の展示を見ると、やはりあの風車の中で見た物と酷似した柱時計が置かれていた。

【アイデア】ロールどうぞ。
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→44→成功
KP
あなたは再度柱時計を観察する。
風車の中の時計と比べるならば、この時計には色々と不足しているところがあると感じるだろう。
細かな装飾、小さな部品、呪術的な彫り込み。
この時計は未完成品なのではないだろうか。
あの風車にある物を作ろうと試みた、その試作品ではないだろうか。
波照間 紅
それを見上げて、ふと違和感を覚えた。
風車の中で見た、あの逆回りする時計が頭の中に蘇る。

最初これを見たときはその偉容に圧倒されたが、今思えば、所々足りないものがあるように見える。

あの風車の中にあるものが「完成品」で、これは「試作品」なのだ、そう気づく。
KP
この時計館の時計たちが沈黙しているのは、
3Fの時計が止まっているためだろうか。

今日は館長は留守らしい。


※ほか、立ち寄りたい場所があればどうぞ。
波照間 紅
前と同じようにポストカードを買って外に出る。

>館長が留守であることについて警備員にちらりと聞いてみます。行き先について何か聞けますか?
KP
館長は週に2度程度姿を見せるらしい。
「昨日は立ち寄っていたのですがね……」
確かに警備員が言うように、あなたがここで彼に会ったのは9月8日だったはずだ。
波照間 紅
日があるうちに殺害現場に行き、そこで起きただろうことと現場の状態を照らし合わせてみます。
最初に来た時点では分からなかったことについて、推察したり、気づいたりすることはできますか?
KP
事件現場は相変わらず不穏な空気を漂わせている。
ここであったことを知ってしまったあなたは、
地面の痕跡の一つ一つに否応もなく凄惨な想像をしてしまうかも知れない。

〈生物学〉または〈博物学〉をどうぞ。
波照間 紅
1d100 10〈博物学〉 Sasa BOT 1d100→88→失敗
FANBOX開設したで
KP
折れてしまったコスモスは、血に汚れて無惨な有様だ……
波照間 紅
「……、」
地面についた刃物の跡。大量の血痕。否応なしに、そこで起きたことを想像し、推測させた。

他に気づくことがなければ、スーパーで食料を仕入れるなどしてきてから、夜までコスモス畑にいます。

KP
陽が落ち、気温が下がり、ゆっくりと色を失ってゆく世界。
夜風がひやりと背に触れた、と思えば、背に東雲の指が触れていた。
東雲 圓華
「波照間さん、こんばんは」
波照間 紅
「こんばんは、東雲さん」
振り返る。
KP
東雲は今までに見たことのないような笑顔であなたの手を取り、ベンチへと誘う。
声は明るく弾んでいた。
波照間 紅
まだ迷い、何か考えているような、少し影を落とした表情でそれに応える。
彼女の手のひやりとした感触を感じながら、彼女の傍らに腰掛ける。
東雲視点(ネタバレ)
東雲 圓華
今日が最後の日。
波照間さんがまた戻ってきてくれるなんて、思わない方がいい。
そう、今回はきっと特別。
今まで何度も何度もお願いしたから、少しだけ時間が貰えたの。
それだけよ、きっと。

KP
東雲はいつもに増して明るく、口数が多かった。
くるくると話題を変えてみたり、はしゃいでみたり、かと思えば急に黙り込んでしまうのだった。

東雲はいつもよりも多く自分の話をした。
育った町のささやかな魅力、
波照間とどこか似ている優しい兄のこと、
好きな料理、好きな本、好きな動物。
走るのが得意だということ。
波照間 紅
そんな彼女の話を、次から次へと引き出しながら、引き込まれるように聞いた。

走るのが得意なのは僕と全然違いますね、なんて言って少し笑ってみたり。彼女の姿をもっと知りたくて、気づけば話に夢中になっていた。
KP
楽しい時はあっという間に過ぎる。
気がつけば時間は夜中の12時に近づいていた。

東雲は哀しげに空を見上げる。
星空はいよいよ明るく美しかった。
波照間 紅
その場にふと、沈黙が落ちた。
落ちて来そうなほどに星の詰まった星空を、思いつめたような顔で見上げる。
KP
東雲は空を見上げたままであなたに語りかけた。
東雲 圓華
「波照間さん。
きっとあなたはここにいてはいけない人だと思う」
波照間 紅
「どうして、そんなことを?」
空を見上げたまま、ちらりと、彼女に視線を向ける。
東雲 圓華
「感じるの。このままではいけない、危険だって。
ここにいたら、きっと何か悪いことが起こるのよ……」
KP
真剣な目で彼女は言う。
その目の奥に様々な感情が渦巻いていたが、確実にあなたに捕えられたのは深い悲しみだった。
その顔が笑みを形作る。
東雲 圓華
「だから、ね、この奇跡は明日でおしまい。
大丈夫、私にはずっと『あなた』がついていてくれるから」
KP
声の震えを抑えるのは、失敗したようだった。
KP
どうしようかなー。
シナリオだとKPCさん諦めちゃうんだけど
波照間 紅
空を見上げたまま、彼女の手にそっと手を重ねる。その手に、力が籠る。
彼女を引き留めようとするかのように。

「分かってる。きっと、そうした方がいいんだろう。
 ……それでも僕は、あなたと行きたいんだ」
KP
その手は、身体は、光の粒子となって呆気なく薄れていく。
東雲はあなたの顔を見つめた。その顔が溢れる感情にぐしゃりと崩れる。
東雲 圓華
「さよならを言わなければと思って、今日は決心して来たのに。
もう私は、消えてしまうのに」
KP
東雲はあなたの胸に顔を埋めた。
東雲 圓華
「いや、別れるのはいや、
またあなたに忘れられてしまうなんて、
なかったことになるなんて、いや!」
KP
叫ぶ声がこだまのように何重にもぶれる。
時は無慈悲に今日の終わりを告げるのだ。
波照間 紅
手を伸ばす。叫ぶ彼女を抱きしめる。
腕の中で彼女が光の粒子となって消えていくのを、
叫ぶ声がぶれながら薄れていくのを、ずっと、ずっと感じている。

最後のひとかけらまで忘れまいとするように。
KP
「わすれないで」

そんな声だけが虫の音のなかにかすかに溶けていった。
KP
恐らくこれから普通の世界に戻る波照間さんに傷を残さないように、あっさり消えようとしてたんだよねー
台無しだよもう。
波照間 紅
あっさり消えたとしてもちゃんと傷は残るから大丈夫ですよ!
KP
ならよし(?)
波照間 紅
手を握るくらいだったけど、とうとう抱きしめたなぁ……(謎の感慨)
KP
やったぜ……
ところでものすごーく大事な確認忘れてたんですけど、COMP、持ってます?
波照間 紅
差し支えなければずっと持ってます。鞄に差してる。
KP
ではそれで!

KP
どこかで、時計が止まる音がした。
風が止む。突如息苦しくなるほどの沈黙が訪れる。
コスモスの波がうねったまま止まる。
舞い上げられた花弁が静止する。
いかなる温度も匂いもない世界で、ただ巨大な風車の羽根が回り続ける。

いつか見た光景だ。

空では宇宙の塵になる前の流れ星が、動きを止めたままひときわ明るく光り輝いていた。
波照間 紅
振り返る。風車の扉はきっと開いているのではないか。
KP
扉は開いていた。
波照間 紅
耳が痛くなるほどの静寂の中で、真っ直ぐにあの柱時計の前へ向かう。
KP
あなたが草を踏んでも音はない。
自らの心臓の音すら聞こえない。

あなたが柱時計の前に行くと、あの時計は完全に止まっていた。

今、世界はあなた以外の刻を止めている。
彼女の切実な願いを叶えることなく流れた星ですら、動きを止めているのだ。
再び動き出すときは、またあの始まりの刻に戻るだろう。
全てが終わってしまった後の、9月7日に。
波照間 紅
柱時計の前に立ち、見上げる。
あの羊皮紙を取り出した。
一度だけその質感に縋るように、鞄に差したCOMPが、僕の弓がそこにあることを確認した。

一度、息を吸う。
迷いを、振り切る。

今更迷っても仕方ない。起きるかもしれないことを怖がるなら、終わってしまったものなんて覆せない。

三日間という周期に合わせて、三度、唱える。
KP
羊皮紙は光の粒となって消えていく。
それと同時にカチリ、カチリ、と秒針の刻まれる音が聞こえた。

止まったはずの時が動き出す。

階下の外の光が目まぐるしくその方向を変え、
暗くなり、明るくなった。

あなたの意識は逆流する時の中に溺れ、流されていった。

KP
あなたは、規則正しい時計の秒針の音で目が覚める。
波照間 紅
「!」
はっ、と目を開く。身を起こす。急いで現状を把握する。今はいつで、ここは何処だ。
KP
目の前にはあの柱時計があり、動いている。
ここはあの風車の中のようだ。
日時は 9月6日、23時40分
動き始めた時計の中から飛び出ている装飾じみた歯車は、規則正しく回っている。
波照間 紅
6
その数字を見た瞬間、階段を駆け下りる。
風車の扉を閉じないよう押さえて、扉の前から裏側を覗き込む。
KP
晴れた夜空の下、月明かりに照らされたコスモスの花畑の中。
見慣れた人影が佇んでいた。

星空を見上げるその顔は、どことなくぼんやりとして、夢の中にでもいるかのようだった。

東雲 圓華。

その横顔に、あなたが知っている深くこびり付いた悲哀はなく、どこか不安そうだった。
東雲視点(ネタバレ)
KP
あなたは奇妙な電話に呼び出されてここにいる。
あなたの『二年前の罪』と『兄の行方』について知っているという。
真実が知りたければここへ一人で来るようにとの、丁寧だがどこか冷たい言葉だった。
東雲 圓華
こんな夜中に行くなんて怖かったけれど、どうしても行かなければならない気がした。
2年前のことはあまり覚えていない。
あの刻に何があったのか。
私も、知りたい。

波照間 紅
彼女の横顔に色は、熱はあるだろうか。
KP
あなたがその顔をよく見ようとすると、
東雲は素早くあなたの方を振り返った。
東雲 圓華
「誰っ?」
東雲視点(ネタバレ)
KP
そこに立っていたのは、どこかあなたの兄を思わせる雰囲気の男だった。
東雲 圓華
(兄さん……!?)
KP
似ているのは雰囲気だけ、明らかに別人だ。
東雲 圓華
あまり悪い人には見えないけれど、
この人が私を呼び出したの?

KP
不安そうな顔は青ざめて尚血の気を帯び、彼女は寒そうに震えていた。
が、何かを決意しているのか強い意思を持って踏み出し、あなたに語りかける。
東雲 圓華
「わ……私を呼んだのはあなたですか?
あなたはどなたです?
2年前の罪って、どういう事ですか?」
波照間 紅
距離的に、彼女を咄嗟に風車の中に引っ張り込むことは可能そうですか?
KP
ちょっとそれをするには遠いですね。
波照間 紅
彼女を道路側から庇うように、彼女の前に出る。
「落ち着いて下さい。あなたを呼んだのは僕じゃない」
東雲 圓華
「声が違う……」
KP
東雲は困惑したように呟いた。
東雲 圓華
「あの、すみません、私のことをご存知なのですか?
ごめんなさい、どちらでお目にかかったのでしょう」
波照間 紅
「ある人から、あなたが命を狙われていると伺って来たんです。ここに呼び出されたんでしょう、何者かに」
東雲 圓華
「はい、2年前のことを、
行方不明の兄の行方を知っていると」
波照間 紅
「そいつはあなたの命を狙っている。二年前のことを根に持っているんだ」
東雲視点(ネタバレ)
東雲 圓華
今この人、命を狙われている、と言った?
KP
戸惑うあなたは、風車の後ろから現われた男が急速に距離を詰めてくるのを見る。
その手にはギラリと凶暴な光を放つ何かが握られていた。
目の前の男の後ろに忍び寄り、振り上げ……!

KP
〈聞き耳〉をどうぞ。
波照間 紅
1d100 70〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→49→成功
KP
誰かの足音が聞こえた、と同時に風を切る音が鳴る。
東雲 圓華
「あぶないっ」
KP
東雲の声と同時にあなたは振り向くことができる。
そこには、そこには不敵な笑顔を浮かべ、手にナイフを握ったスーツ姿の男。
三刻 終造が立っていた。
肉厚で長いナイフがあなたの首からそれる。

三刻 終造にはあの時計館で見た温厚さは欠片もなく、血走った目に狂気をたたえていた。

「まったく、ボディガードを連れてくるなんて。
一人で来て下さいとお願いしたじゃないですか。
さすがは卑怯な、殺人犯ですねぇ!
あなたもあなたの兄同様、父の力にひれ伏せば良かった、粉々になってしまえば良かった!
そうしたら私は大事な父を失ってこんな哀しみを背負うこともなかった」
泡を吐き散らし、男は東雲に叫ぶ。
東雲視点(ネタバレ)
KP
男の言葉が耳に飛び込んでくる。
その顔にいつか見た面影を感じ、遠くぼやけていた記憶が引き戻される。

あなたは兄を追ってここを訪れ、兄が誰かと戦っているのを見た。
天は歪み、何かがこの地へと手を伸ばしていた。
その時あなたは理解した。
兄が戦っているこの男こそ世界を破壊しようと目論む者であり、
何を犠牲にしても倒すべき存在であると。
そしてそれはあなたの兄によって果たされようとしていた。

だが、終司の胸で突如鳴った電話の音が兄、時哉の意識をかき乱し、一瞬の隙を作る。
終司に時哉の刃が届いたその時、
時哉の全身にひびが入り、そこから炎を吹き出した。
まるで彼の中身が全て炎とすり替わって、それがあふれ出したというように。

時哉は悲鳴を上げのけぞった。
ひびは広がり、彼は全身を炎に包まれているような状態になり、ついには弾け飛んだ。

そこには何も遺らなかった。
終司は奇妙な力を使ったためか放心状態にある。
ナイフは彼に深い傷を負わせてはいたが、致命傷ではないようだった。

あなたは更に思い出す。
落ちたナイフを拾い、終司の腹に突き立てたのだ。
東雲 圓華
必死だった。
兄の目が言っていた。
終わらせなければ、世界の全てがおしまいだ、と。
私にとれる方法は、これしかなかった。

柔らかい肉を嘘のようにあっさりと突き刺さるナイフ、
異様に高い体温、
自分が殺した男の断末魔。

全部、思い出した。

波照間 紅
彼女を抱きかかえ、片手でCOMPを展開する。
殺さなければ傷害罪か、悪魔達にやってもらえばオカルトで済むか、考えたのはそんなことだった。
「勝手だな」
KP
「勝手? 勝手? 何が悪いのです! コイツのせいで私は父を失ったのです! 私には父しかいなかった! 大切なたった一人の家族だった! 私に優しく笑いかけ、私を大切に育ててくれた肉親を、コイツは男とよってたかって殺した! それを許せと? その上忘れてのうのうと生きている? このナイフで! あなたは! 父を、三刻終司を殺したのですよ!」

男の言葉を聞くうち、東雲の顔が青ざめ、周囲を見、座り込んだ。
東雲 圓華
「ああ、わ、わたし、人を」
KP
見開いた目があなたをぼんやりと見つめる。
東雲 圓華
「にいさん……」
波照間 紅
彼女を抱きかかえ、背で守る。
「お前の父親は世界を殺そうとした。彼女の兄はそれを阻止しようとして、結果そうなっただけだ。

知っているんだろう。お前の父をあのままにしていたら、そんな誰かの大切な人が何人死んだか」

男に向ける眼は冷たく、どこかで既に同じことを繰り返したことがあるような、そんな色をしていた。

「だから、勝手だ、って言っているんだ」

腕に力が籠もる。今度こそ、彼女を離すまいと。
東雲視点(ネタバレ)
KP
あなたを糾弾する声が不安定なあなたの心に次々と突き刺さる。
だが見知らぬ男の、力強い腕が、静かな言葉が、あなたを支える。
無理矢理に積まれようとする歪んだ自己嫌悪の種をはねのける。

あなたは冷静に思い出して受け止めることができるだろう。
あなたの兄の死の理由、
あなたが人を手にかけた理由。

KP
見開いた東雲の目が少しずつ焦点を合わせてゆく。
東雲 圓華
「……世界を救うために
にいさんは、やめて、欲しいと、でも」
KP
「父は何も悪いことなどしていなかったというのに、コイツは殺したのです!! 薄汚い男の方は父の力で消えたようですがね! ははっ、いい気味だぁっ! 貴方は自分の親を殺されて、その犯人を許すことはできますか!? 私にはできない。何も私は最初から殺そうなんて考えてなかった。もう一度、時を遡り、父を助けようとした。それなのに、神は私の声に応えてはくれなかったっ! どうしてだ! どうして神は応えてくださらない! 憎い、憎い。憎い! だから、今日この日。この女を生贄として殺すのです。父は助かり、人殺しの女は死ぬ。素晴らしい、素晴らしい!」

東雲があなたを見つめ、それから男に言った。
東雲 圓華
「思い出しました、あなたの言う罪を。
けれど、あの時はあれしかなかった。
ごめんなさい。
遅くなってしまったけれど、罪は償います、一生かけて」
KP
対する男の目は冷ややかだ。

「バカですか、あなたは。あなたは生贄ですよ。生贄は死ぬんです。そうすれば私は戻れる。あの場所に。父の元に。貴方たちどちらも殺すまでだ。贄は多いにこしたことはありません」

男の目がぎらりと危険な光を帯びた。
あなた方二人にナイフを向け、笑う。
「我が神よ、聞き届け給え」
描写の切れ目
KP
こういう時どこでレス待ちにするかすっごく悩む。
レス待ちにすると「なんか言えよ」みたいになっちゃうしね!
波照間 紅
確かに。リアルタイム卓以上にテレコ上等で行った方がスムーズかもなとは思います。
KP
まあ、いつもやってるみたいに挟むこと前提で喋った方がいいかもしれませんね。
「この流れならこう変更したい」、みたいなのがあれば相談して消し飛ばしたり変更してもいいですしね。
波照間 紅
ですね。>挟むこと前提 ですね、相談して変更もありで。

波照間 紅
「聞くな、東雲さん。こいつらは世界を殺そうとした。あなた達は世界を守ったんだ。
罪を負ったのはあなたじゃない。こいつらだ」

《悪魔召喚》、または弓を展開することはできますか?
KP
できます!

男性の持つその刃が月明かりに照らされ、あなたたちに向けられる。
その殺意は狂気と歓喜とともに膨れ上がり、二人に襲いかかる!

ひとこと
KP
ここで起きている出来事の片鱗を知る波照間。
だが波照間はここに居てはいけないという。
その正体は見えず、だがそれでも彼は心通じた人のために踏み出すのだった。

全然意外ってワケじゃないんだけど、『あの波照間さん』がねぇ、と思うとついニヤニヤしてしまうKPなのでした。がんばれ波照間さん……


【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 2

その不安そうな光に応えることは、できなかった。
伸ばせない手を、小さく握りしめた。

【置】CoC『blood red decadence』Side:B 牧志&佐倉 3

「そりゃ誰だって死にたくないよ。俺だってそうだ」

【置】CoC『嗚呼、素晴らしき偶像!』 佐倉&牧志 1

「我々を牧志さんから救ってください!!!!」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」

マモノスクランブル『リトル・リトル・ジャイアント』 1

「〈東京〉が危ないのです」
「また話がデカくなってきたのシ」

ゆうやけこやけ 第六話『とびらをひらいて』の一

きらわれちゃった