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こちらには『スペクト・ラム』
『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
ジリリリリリリリ!

耳をつんざくアラーム音で目が覚める。
佐倉 光
飛び起きる。
目覚ましなんて普段かけないからびっくりした。
KP
飛び起きようとしてあなたは異変に気づく。

身体が動かない。
直後に、その理由があなたの身体をしっかりと拘束する、硬いベルトのせいだと気づく。

身を動かそうとしても、ベルトはぎしりとも動かない。せいぜいが、指一本が動かせ、僅かに首を捻ることができる程度だ。

見えた天井は昨日と同じ、白い病室のそれだった。
「おはようございます。ただいまより実験を開始いたします」

不意に聞こえた冷たい声は、大村と名乗る男のものだ。
佐倉 光
瞬時によぎったのはあの時の記憶だ。
終わらない拷問、果てしない問い、意識の強制、忌まわしい4日間。
我知らずかすれた悲鳴を上げて暴れる。
佐倉 光
拘束までされるの!? 弱点攻撃やめていただけます!?
KP
あなたがいくら暴れようとも、ベルトは少しも動くことがない。辛うじて指先と首が動くだけだ。

あなたのすぐ傍らに、大村が昨日と何一つ変わらない作り物めいた表情で立っていた。
反対側の寝台に寝かされた牧志が眼を見開いて、あなたを見ていた。

いや。
あなたと牧志の間、大村の横に置かれた机を。

その上には、ピンセットやガーゼといった器具があり。
そして、何より。
注射器のぎらつく針が、あなたの方を真っ直ぐに向いていた。
こうかはばつぐんだ
KP
もう一つ弱点攻撃あるんだごめん。
佐倉 光
ひどいや!
KP
いや本当にこのシナリオめちゃくちゃ佐倉さんの弱点を突くんですよね偶然にも。
こんなに弱点突くのにSAN回復シナリオ。不思議ィ。
佐倉 光
ぜったいおかしいよ!
KP
おかしいね!(注射器をセットしながら)

佐倉 光
針。血の気が引く。見るだけで腕の内側が痛む。呼吸が止まる。
佐倉 光
ひっ、と喉の奥で声のない悲鳴があがる。
拘束。針。実験室。あの時と同じだ。
頭が痛む。耳の奥でどくどくと血流が暴れていた。吐き気がする。目眩がする。視界が歪む。
心拍数が跳ね上がり、呼吸が乱れる。やっと息ができたと思ったら、叫び声が同時に漏れていた。
佐倉 光
「あぁああぁぁあああぁぁああ!」
がくがくと体を揺するが動くのは指先だけ、首をひねる程度しかできない。

暴れようと叫ぼうと一切自分の意志が通じることはなく。
壊されて剥がされて砕かれて歪められてゆく。
自分が自分ではなくなる。
目の焦点が合わなくなり、もう目の前にいるのは大村という男ではなく、かつて自分を壊した化け物どもになっていた。
その目が赤く光る。

降り注ぐ声がいう。
「従え」拒否権などありはしない。
「従え」お前の欲望など存在してはならない。
「従え」死をも恐れず同胞を殺せ。
佐倉 光
「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だっあぁぁぁぁ!」
泣きわめいていた。
反抗心も恥もない、ただ恐怖と絶望だけがあった。
涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。

ようやく薄れかけていた悪夢だった。
ようやく整理できたと思えた【記憶】だった。
全身が意志か氷になってしまったかのように冷たい。
意識と全く関係なく震えが止まらない。
KP
注射針のぎらつく光の向こうに、眼を見開いてあなたを見つめる「人間」がいた。

あなたの肩に手が置かれたように感じられた。
冷たい手だ。

「殺せ」と降り注ぐ声が言った。
トラウマ直撃
KP
そりゃそうなるよな佐倉さん
佐倉 光
SAN9のヤツにそんな仕打ちされたら……
KP
そりゃあね……
あまりにも合致しすぎなんですよひどいことに
佐倉 光
おかしいなぁ回復してもらえるってパンフに書いてあったんですけどぉ。
KP
回復しますよ、正気度は。
佐倉 光
かわりにトラウマが増えそうな件。
KP
もう今度こそ病院駄目になっちゃいそう。

佐倉 光
針。刺される。まだ屈しないのかと苛立つ声。牧志の顔が見える。親。違う。殺さなければならない人間。いかなる相手でも殺さなければ
佐倉 光
「いぃいやだぁああーーーー!」
全力で叫んでいるのに、声は自分の耳に聞こえてこなかった。
冷たい、冷たいまるでハ虫類の手が。降り注ぐ声が。感覚を支配する。支配。
牧志 浩太
「佐倉さん、違う、あれは、もう、終わったから、佐倉さん、」

牧志があなたに手を伸ばそうと叫ぶ声。
KP
「実験を開始するにあたって、皆さんのお体の調子を伺いますがいかがでしょうか」

割り込む冷たい声。
牧志 浩太
「くそっ、やめろ、よ、実験、できないだろ、こんなのじゃ、」

あなたに手を伸ばそうと、抜け出そうと、首を揺さぶって指先をもがかせているのが見えるのに、軋む音ひとつ聞こえない。
KP
「この程度なら実験を開始できますね」

カチャリ。
注射器が銀色のトレイに触れる音が、いやに大きく聞こえた。
その音が、あなたの視界を目の前のそれに一瞬、引き戻す。

机の上に置いてあった瓶の中身が吸い取られていく。

注射器の中に満ちていくのは、奇妙な青色の発光する液体だった。粘り気の強い液体が、壁面を生き物のように伝う。

彼はあなた達に見えるように、奇妙な中身の入った注射器を見せる。
牧志 浩太
「あ、あ……、い、いや、だ、やめろ、」
これから互いにもたらされるだろう事態を目の前にして、牧志の眼に恐怖が勝っていく。
佐倉 光
注射器の中に詰まった液体は、絶望そのものだった。目を閉じて視界から追い出したいのに目は見開いたまま凍り付いていた。
牧志の悲鳴も聞こえては来ない……
KP
「これは人工……ん?  まぁいいか。人工の正気です。
あなた達にはこれを希釈させたものを点滴で投与していたのですが、やはりそのような時間のかかる回りくどいやり方ではなく、今回はそのまま投与しようと考えました」

大村の眼はあなた達を見ているようで、見てなどいなかった。

「正気を濃度を変えず投与をするのは初めての試みです。
どうなるのでしょうか……!」

大村の声に期待が宿る。
注射器を持った手が、あなた達の腕に近づいて、くる、
1d2 ☆ささぼっと☆ 1d2→2
KP
そして迷いのない手があなたの腕に針を突き刺した。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 9 ☆ささぼっと☆ 1d100→76→失敗
SAN 9→8
KP
ピッ、傍らの機械がまた小さく音を鳴らした。
佐倉 光
壊される、壊される、もう嫌だ、嫌だ嫌だ!
半狂乱の思考のなか、針が突き刺さる感覚と、電子音だけが幾重にもこだました。
KP
常識から外れた『狂気』的な実験が滞りなく開始される。
針が皮膚に埋もれていく違和感。
体内を硬い針で刺し貫かれている恐怖と、その僅かな痛みを、いやに強く感じた。
佐倉 光
『狂気』を回収! したくねぇ!
KP
ピコーン!
『狂気』…【名詞】脳内の正常なプログラム進行を妨げるエラーがまさに狂気と言える。
しかしそのエラーを本人は気が付けない場合がほとんどである。
KP
シリンジの中の液体がゆっくりと押される。

その青はあなたが思う通りにあなたを壊した、少なくともあなたはそう想像した。

無数に張り巡らされる血液の通り道へと、悍ましく光る青が押し込まれていく。
あなたの叫びも肉体の抵抗も何もかも無視して。

一つ残さずあの青に染め上げられていく、そんなイメージがあなたの脳髄を侵食する。

シリンジの中の液体がゆっくりと押される。

あなたを構成している何億という細胞の隙間さえも、その青という毒に蝕まれ、細胞がぐずぐずに腐り果て、哀れで見るも無惨な死に至ってしまうのではないかと錯覚してしまうほど、その青をあなたは受け入れることができない。

身体中を掻きむしりたくなる衝動も、あなたを固定しているベルトのせいで叶わない。
佐倉 光
腕の筋肉に力を入れようとそれが押し戻せるはずもない。
ただ増すばかりの傷みと絶望に指先を引きつらせ、歯を食いしばって首を振る。
瞬きもできないまま、声が途切れた喉の奥から浅い呼吸を垂れ流していた。

血液を押しのけ組織を押し広げ侵入してくる青い発光する【正気】と冠された【狂気】をなすすべもなく受け入れさせられる。
速やかに血管を伝って心臓を満たし、脳へと至り、そこから全てが忌まわしい青に染まってグズグズと崩れてゆく錯覚に囚われた。
佐倉 光
これで正気に戻されるの嫌すぎるwww
KP
全くだ。
しかも佐倉さんのSAN低下の結果があれなので、欲望を奪われ押さえ込まれたようにしか見えないっていう。
ひどいはなしだ。
KP
シリンジの中の液体が少し強く押し込まれる。

青い発光で覆い尽くされたあなたの眼球を、視界を、とうとう青が埋めてゆく。

見えない。
何も、見えない。

掴めそうな距離に見せられていたはずの大いなる叡智も、欲しい、知りたい、掴みたいと絶え間なく喚き続けていたはずの渇望も、その青に覆われていく。
佐倉 光
全てを青が埋め尽くしてゆく。沈んでゆく。
自分を自分たらしめる根幹が、失ってはならないものが、手の届かない場所へと消えてゆく。
見えるところだったのに。
近づいていたのに。
もう少しで……

指先がひくひくと震えたがそのようなもので掴むことあたわず、求めたものは海に沈んだ。
KP
シリンジの中の液体が押し込まれる。

青があなたの前から不意に退いてゆく。
絶望に枯れきったあなたの前に、目の前の光景がもたらされた。

次に来る行為への恐怖に唇を震わせ、あなたを暴挙から解放したいと願ってもがき、指先を無力に暴れさせる親友の眼の色が。

その眼に映るあなたの眼が浮かべる絶望の正体が。

見えた。

あなたは気づく。
あなたはそれを知覚していなかったのだ。
ここに連れてこられて、“あれ”を目にしてから、ずっと。

シリンジの中の液体が空になっていた。
あなたの腕から針が抜かれ、手早く止血が施された。
あなたのSAN 値 が1d20+10 回復する。
佐倉 光
1d20 ☆ささぼっと☆ 1d20→9
SAN 8→27

何が起きている?
大事な物が、かけがえのないものが、失ってはならないものが薄れた途端、頭の中に立ちこめていた靄が晴れた気がした。
晴れた。
これが視界を、思考を閉ざしていた。

喪失の嘆きは宙ぶらりんになって感情が行き場をなくす。
眼球がぐるぐると動いて逃げ場を、理解できる手がかりを探し、そして牧志の目が見えた。

【牧志が、捕えられている】。
【知っていた】のに、【気にしていなかった】事実だ。

気にしていなかった。それはつまり、【自分はおかしかった】ということだ。

忌むべき青い液体は心を破壊し、何より大事な物を奪っていった。そう、さっきまで認識していたのに、これはまるで、修復。

どちらが正しいんだ。
さっきまでが異常だったのか? 今が異常なのか?
自分は壊れているのか、正常なのか?
分からない。どちらも正しいような気がする。分からない。
分からないことは、怖い。

ただ今確実なのは、もう牧志から目を離すのが怖くてならない、ということだけだ。
佐倉 光
さすがにあの方法だと高い回復値は出ない!
KP
それはそう、むしろトラウマ刺激でせっかく回復してたSANが吹き飛んでもおかしくないレベル
KP
怖い。

あの青い発光が脳髄の中を脈打ちながら流れている、そう感じる。
それがあなたの神経細胞の隅々にまで張りついて傷を癒していく信じがたい感触。

冷や汗が寝台に接した背中をとめどなく流れ落ちる。あなたの荒い呼吸が喉を傷めつける。

悲鳴のように絶叫のようにあなたの名を呼び続けながら牧志は、あなたが壊されていく一部始終を視界に収め続けていた。

牧志のみ《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
1d100 9 ☆ささぼっと☆ 1d100→80→失敗
SAN 9 → 8
KP
ピッ、と音がして、牧志の傍らに見えるモニターの数字が「8」に変わった。
佐倉 光
あの数字が減るとまずい状態だ、といことは理解できている。
佐倉 光
「大丈夫、俺は大丈夫だから」
自分で信じていない言葉を咄嗟に口走った。
KP
咄嗟に口走った言葉が牧志の耳に届く前に、人間の物とは思えない声音が割り込んだ。
大村の声だ。

「バイタルサイン安定確認。

ふむ、人工の正気の濃度を変えずとも死亡しないとは!
とても素晴らしいです」

殺さないのではなかった。
そんな保証はなかった。
死んでしまえば次を探すだけなのだ。

「いかがでしたか?
貴方視点の感想を、是非ともお聞かせください」

大村は平然とあなたに問いかける。
佐倉 光
「俺はヒナドリじゃない……ヒナドリじゃない……」
問いかけに対する返答ではない。ただただうわごとのように呟いた。
KP
大村はあなたの様子を、タブレット状の機械に平然と記録していた。
不意に、あなたの名を呼ぶ牧志の声が止まった。

目を見開いたまま、全身を小刻みに震わせながら、牧志は凍りついたように動きを止めていた。

ぐるりと、彼の視線が後ろへ向く。

彼のうなじに、タブレットを置いた大村の冷たい手が添えられていた。
いや、手だけではない。

冷たい針先が、彼の急所にひたりと添えられていた。
佐倉 光
瞬間、理解した。
今自分が生き残れたからといって、彼が無事だという保証はない。
ヒナドリの時と決定的に違うのは、この男に自分たちを必ずしも生き残らせる理由がない、ということだ!
佐倉 光
「牧志!」
俺には何もできない。
無力感には慣れている? 冗談じゃない!

とうに涸れた声で名前を呼び続ける。
KP
牧志はあなたの名を呼ぶことができなかった。
喉を動かせば、針先が皮膚に触れるからだ。
唇だけをはくはくと震わせながら、瞬きさえままならない程に見開かれた眼から、涙が落ちた。

「今まで点滴や注射による静脈への正気の投与という実験を行ってきたのですが、私、こう思ったのです。

血液を介して脳へと正気を届けるのではなく、神経線維に直接正気を流し込んで正気を脳まで届けることができれば、点滴よりももっと効果的なのではないかと」

大村のどこか楽しそうにさえ聞こえる声だけが、あなたの叫びに返る。

「只今より脊髄くも膜下腔に投与を行ってみます。
背中の骨の中に注射針を刺して正気を投与すると言えば、貴方にもわかりやすいですかね」
牧志 浩太
「や……、めろ……、やめて、死ぬ、死ぬ、から、」
辛うじて判別できる程度の声が、牧志の喉から漏れた。
それで状況が変わるとは思えないのに、漏らさずには耐えられない声だった。

彼はあなたの名を呼ぶよりも、己の背後にある恐怖に震えていた。
KP
「正気度の濃度そのままを投与しても死に至らないと今わかったので大丈夫ですよ、死なないと思います。恐らくは。

あぁ、それとも脊椎に注射をするのが怖いのですか?
正気度増加の実験が目的なので、安心して投与できるように麻酔は行いますよ」

寝台に横向きに固定されている牧志の背後に大村が立つ。その手には、透明な液体を吸った、細く長い針を持つ注射器があった。

大村の手が彼の背筋を辿る。冷たい手に辿られる度に、彼の肩がびくり、びくりと震える。
牧志 浩太
「あ、」

牧志の眼が、なおも大きく見開かれた。
微かに液体の泡立つような音がした。
佐倉 光
だんだん鮮明になってゆく。
なすすべもなく命の危機にさらされている牧志を見ると溢れてくる、冷たい何か。
自分だけでなく牧志を弄ぼうとしているこの男に向けて溢れてくる、どす黒い何か。
さっきまではぼんやりと形を持たなかったそれを、かき分けるようにして正体を探る。
佐倉 光
「牧志!」
いくぶん晴れた目で見る牧志への暴挙は、
先ほど自分を冒された時よりも更に鋭い痛みとなって体内を抉った。
佐倉 光
「牧志! 大丈夫だ、大丈夫だから」
ただひたすらに祈るような言葉を口にのぼらせた。
KP
牧志の背が、爪先がだらりと脱力した。
もがくような息が苦しげになってゆく。
背筋を押さえられたまま動かせない身体で、牧志は瞳だけであなたを見つめていた。

男の手が空になった注射器を置き、青い液体の収まった注射器を持つ。

牧志の身体全体から、力が抜けた。
縋るように、祈るようにあなたを見つめていた瞳孔が、ぱっと散る。

たらりと唇の端から涎が垂れた。
偶にその涎が泡立つのだけが、彼が呼吸をしていると知らせる。

暫くの間、彼は完全に死んでいるように見えた。
佐倉 光
大丈夫、大丈夫、大丈夫
開ききってしまった瞳孔を見つめ、
死、という言葉を口に出さないようにただただ呪いのように「大丈夫」とかすれた言葉を口にし続ける。

自分にできることはただ、牧志に諦めるなと声をかけ続けることだけだ。
牧志 浩太
「ぁ、うぁ、」
びくん、と彼の指先が跳ねた。

不随意な動きで首が揺れ、赤茶色の髪が彼の顔にかかる。
牧志 浩太
「あ、あ、」
彼の唇から空気が押し出されて、意味をなさない音を立てる。
牧志 浩太
「うぇぁああうぁあああぅ、」

半開きになった口から声が漏れる。

打ち上げられた魚のように指先をもがかせながら、彼は必死に何かを訴えようとしているようにも見えたが、まったく意のままにならない肉体の中で彼の意識がどうあるのか、あなたには分からなかった。
牧志 浩太
「あぁああぁぅぇあぁぅあぁ、」

あなたに分かるのは、きっとそこに耐え難い苦痛があることだけだ。

青い液体の詰まっていた注射器が空になり、かつんと音を立ててトレイの上に置かれても、牧志の身体は暫くの間、固定されたまま壊れた人形のように踊り続けていた。
牧志のSAN値が 1d30 + 15 回復する。
1d30 ☆ささぼっと☆ 1d30→28
SAN 8 → 36
佐倉 光
生きていた、生きている!
牧志は生きている!

素直にそれを喜べる状況ではない。
指先と顔にだけ反影される苦痛を、正視するのが辛い。痛い。苦しい。
体の中に重くどす黒い何かが積み重なってゆく。先ほど注入された異様の青がそれにしみ込んでゆく。
そこにあるのは何だ。
佐倉 光
「牧志! 牧志!」
何もできずに名前を呼び続けた。
佐倉 光
このシナリオ面白いなぁ!
がっつり酷い目に遭って命の危機に陥って好き勝手翻弄されているのに、していることが正気度回復……
回収ワードの使い途もまだ分かんないし気になるなぁ!
KP
そうなんですよ面白い これだけ酷い目に遭っているのになぜか正気度が回復する(させられる)のが大層異様で、まさに気持ち悪い正気度回復シナリオ
KP
大村は彼の様子を観察し、電子タブレットにその様子を記録している。
踊り続ける彼と、冷静に分析を続ける科学者の対比が、怖気を呼ぶほどに異様だった。

佐倉さんのみ、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 27 《SANチェック》 ☆ささぼっと☆ 1d100→100→致命的失敗ファンブル
SAN 27→26

口に酸っぱいものが上ってきた。
少量の胃液を弱々しく咳をして吐き出す。
KP
やがて、牧志の身体からぐったりと力が抜けた。
数度、疲れきった瞼で瞬きをして、ぎりぎりと重たげに首を持ち上げる。
牧志 浩太
「佐倉、さん……、」

息も絶え絶えにあなたを呼ぶ声は、あなたを見返す眼の光は、思い起こせば絶えず落ち着きなく揺らいでいた昨日よりも、ずっと確かになっていた。

それはあなたが知る牧志浩太の眼の光になりかけていた。

汗にまみれた身体で、彼は寒気に背を震わせた。
佐倉 光
「もう、やめてくれ」
懇願を口にした。
この男が自分たちの意見など聞き入れるわけがないと分かっていたが、言わずにはおれなかった。
佐倉 光
「頼むから、やめて……やめてくれよ……」
弱々しい自分の声が、自分の中の何かに触れた。
KP
「バイタルサイン安定確認、……。」

大村と名乗る男が、あなたの懇願に応えることはなかった。

返されたのはただ、情の欠片もない微笑みと、数回の拍手。

「素晴らしい! 期待以上の効果です!
やはり、回りくどい投与よりも直接神経に投与した方が効果が出ることが今立証された!」
佐倉 光
もう良く分からない。
された処置によって少しまともに考えられるようになった気もするが、死ぬところだったらしい。

牧志はほとんど死んでいるようにしか見えなかったし、酷い苦痛を味わっていたように見えるのに、目の光が生き返っているように見える。
佐倉 光
今起きているのは俺達にとって何だ?
考えなければいけない気がする。
KP
「それにしても貴方たちは被験者としてとても才能があるようだ。

どうでしょう、三食と清潔な部屋を提供するので、ここで今後も被験者として留まってくださいませんか?」

考えようとするあなたの思考に割り込んだ声は、的外れが過ぎていっそ異様だった。

見れば、大村は注射器や器具を片付けているようだ。
実験とやらは、終わりなのだろうか。

牧志がその背をじっと睨んでいた。
佐倉 光
「選択肢が、ある……? 冗談だろ」
信じられない。これだけ身勝手なことをしておいて、今更解放してと頼んだら望みが叶うっていうのか? 気まぐれが過ぎる。
悪魔かこいつは。
佐倉 光
そんなの、考えるまでもない。
この苦痛と恐怖に耐え続けていたら、おかしくなってしまう!
KP
「あぁ、別に実験にさえ付き合っていただければ金銭的な見返りは全く求めませんので。

ともかく、今日の実験はこれにて終了です。お疲れさまでした。
後程 Cui に食事を届けさせますのでごゆっくりどうぞ」

大村は問うておいて勝手に言い放ったまま、牧志の拘束だけを解いて、実験に使った器具を片付けて部屋から出ていく。

静寂が部屋にひっそりと『訪れる』
佐倉 光
『訪れる』を回収。
KP
ピコーン!
『訪れる』…【動詞】「音連(つ)れる」という側面を持つが、音も無く訪れる場合はどうなるのだろうか?
佐倉 光
しのびよる、かなー
えっなんで佐倉は解放して貰えないんだw
KP
※牧志に聞くと理由が分かります
牧志 浩太
「…………くそ」
牧志が拘束を解かれているのに寝台に寝転んだまま、苦しげな悪態をついた。
佐倉 光
「……牧志。体に異常が出てるのか?」
あいつ、よりによって脊椎神経傷つけたんじゃないだろうな。
牧志 浩太
「……まだ腰から下、全然動かないんだ。
少しずつ感覚は戻ってきてるみたいだから、大丈夫だとは思う。

ごめん、佐倉さん。もうちょっと待ってて。
鍵とかはないみたいだから、動けるようになったらそれ、解くよ」

僅かに動く爪先を揺らしたり、腰に触れて感覚を確かめたりしながら、牧志は悔しそうにあなたの方を向いた。
佐倉 光
「何なんだよ……わけわかんねぇよ……」
力なく呟く。頭が混乱して、またまともに考えるのが難しくなっていた。
牧志と二人残され、一応無事であることを確認して気が抜けたのかも知れない。
無事
佐倉 光
「無事」は「事も無し」と書くので、腰から下動かないのは無事じゃない。
KP
全くだ。
佐倉 光
割と佐倉の「無事か」は「生きてる?」と同義だな。
KP
確かに。本当に無事じゃないことが多すぎる。
佐倉 光
どっちかっていうと「戦えるか」って意味かも知れない。>無事
KP
なるほど?
肉体的にしろ精神的にしろ、「戦えるか」かぁ

牧志 浩太
「俺もだ……。何だったんだ、あれ。
頭の中をめちゃくちゃに掻き回された気分なのに、今は昨日より不安じゃないんだ。

変な気分だ、今の気持ちとさっきの感覚が結びつかない……」
佐倉 光
「随分、いつもの牧志に戻った気が、する……」
喉に残る酸に刺激されて咳をする。
佐倉 光
「正気度ってやつを上昇させるのが実験の目的だと言っていた。
言葉通りに受け取る、なら……
一度俺達の正気を奪って、正気に戻す実験……ってことに、なる……」
ゆっくり考えながら喋る。
佐倉 光
「あの酷い処置は、俺達に必要……は言いすぎにしても……
あいつの目的が達成されれば、
俺達は元に戻れる……ってことに、なる」
牧志 浩太
「その前に殺されない保証がないのが、難点だけどな……。死ぬかと思った」

牧志はそれからも何度も手足を振り、ようやく立ち上がれるようになったのをそろりそろりと確認して、あなたの拘束を外した。
KP
久し振りに身体を圧迫するものが外され、胸の奥から息ができるようになった感覚を覚える。
佐倉 光
拘束が外されて、ようやっと息ができるようになった気がして、大きく息をつく。
体中の関節を動かして牧志に礼を言った。
佐倉 光
「やっぱおかしいんだよな俺?
あんま自覚無いけど、変なんだな?」
牧志 浩太
「ああ、でも昨日に比べると、随分俺が知ってる佐倉さんに近くなってきた気がする。

俺のこと、ほとんど気にしてなかっただろ、昨日」
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「そうだっけ? そういえばそんな気がする。
あの時だけじゃなかったのか」
佐倉 光
「牧志も夢の中でバラバラにされてたときみたいになってた……気がする」
確かに、彼が言っていたように牧志のことにほとんど注意を払っていなかったらしい。
ほぼ覚えていない。なかなかにショックだ。
牧志 浩太
「そうだな、それは覚えてる。
目の前の物とか、自分の感覚とかが全部信じられなくなってさ。
何を起点に物を考えたり、見たり、受け止めたりすればいいのか、分からなくなってたんだ。

今もまだ、あやふやだけど……、あの時よりは、今見えてるものを見ようって気になってる」

牧志はあなたの首にかかったヒランヤを見て、それを握る感覚を辿るように、手を開いて、握った。
佐倉 光
この部屋、昨日いたのとは違う部屋ですよね?
KP
見た所、同じ部屋に見える。
あなた達の荷物や収納ボックス、読みかけだった本もそのままになっている。
佐倉 光
あれ、同じ部屋なんだ。
最初の部屋のベッドに固定されてたんですね。
KP
です。最初の部屋のベッドに固定されていたように思える。
大村が机と器具を持参して入ってきて、あなた達を拘束したと思われる。
佐倉 光
なるほどなるほど。
牧志 浩太
「……あの実験が終わったら、このあやふやさが消えて、不安も消えて、元に戻れるかもしれない、か……

……生きてられるなら、ここであれに耐えるってのも一つなんだろうけど、あの感じだと危ういな」

言いながら牧志はあなたを拘束していたベルトを確かめて、それが寝台から引き出せるようになっており、寝台から外れないのを確認して溜息をついた。
佐倉 光
「あれ、昨日ベッド調べたとき拘束具なんかついてたかな」
ついてたかなぁ?
牧志 浩太
「確実じゃないけど、ついてなかったと思うんだけどな」
KP
あの時はそのようなものは見えなかったように思われる。
つるりとした寝台で、そんなものは見当たらなかったのだ。あなた達に分からない程に隠されていた、のかもしれないが。

それ以外に、部屋に変化は見受けられない。
〈目星〉
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→72→成功
やっぱりデヴァ・ユガだろうここ!
牧志 浩太
1d100 98 ☆ささぼっと☆ 1d100→37→成功
KP
あの時暴れようとしたせいか、身体をぐっしょりと濡らす激しい汗のせいか。
あなた達に繋がっていた機械のコードが、外れかけているのに気づく。

また、今は点滴の管は繋がっていないようだ。

あなた達がそれに気づいたそのとき、扉が開いて Cui が足であるキャタピラを回しながら部屋に入ってきた。
今日も、人数分の食事を乗せたワゴンを引きずっている。

「皆さん お食事の時間です。
今回のメニュー オムレツ ミニハンバーグ 人参のソテー。
3D プリンターによりをかけて作りました お食べ下さい」

「ただいま大村は外出中です 御用であれば Cui にお申し付けください」
そう告げると、 Cui は部屋の隅でスリープモードになって沈黙する。
佐倉 光
なるほど? ではまずCuiをよく見よう。
昨日と変わらずかな?

あとは牧志についているコードをよく見て、貼り付いているだけなら牧志に声をかけて外そうか。
突き刺さっているとかなら触らないでおくが。
KP
Cuiの様子に変化はない。部屋の隅で沈黙しているだけだ。
牧志についているコードは、確証はないが貼りついているだけのように見える。
牧志に声をかけてコードを外すと、牧志は微かに「痛っ」と呻いた。
……彼の様子に異変はない。コードを外されたモニターは、よく分からない文字を表示して沈黙した。
佐倉 光
痛い? テープ剥がしたからとかならいいけど。
牧志 浩太
「大丈夫、血とかは出てない。テープか何かのせいかな」
あなたの視線に気づいて、彼はコードが張りついていたこめかみをさする。
KP
〈聞き耳〉または【アイデア】
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→24→成功
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→47→成功
KP
扉の外に、誰かの気配がする。
大村…… ではなさそうだ。外出中だ、とCuiが言っていた。
こちらの様子を窺うような、小さな気配だ。
佐倉 光
こちらのコードも外してもらって、扉調べよう。
開かないようなら外に声をかける。
KP
あなたに繋がれたコードを外してもらうと、外す瞬間に絆創膏を剥がす時のような痛みを感じたものの、なんの変調もなく剥がせた。
佐倉 光
くそ、腹減ったなぁ。
KP
……部屋に置かれた料理の脂の香りが、否応無しにあなたの腹の底を刺激する。
少なくとも一日以上、満足に食事を摂っていないのだ。

だというのに結局眠気を覚え、起きたら拘束されていた。我慢し損だ。
きっと、飲み水か、あの加湿か、それともこの部屋の空気そのものか、何か混ぜられているのだ。
佐倉 光
あとでどうしようもなくなったら飯食おう。もう割と限界だ。
あいつの言葉を信じるなら4日以上食べてない筈だけど、食欲の強さってどんな感じなんだろう。
KP
あの点滴以外にも何か処置をされていたのか、あの点滴に何か入っていたのか、空腹度合いは「一日二日何も食ってない」という感覚だ。
腹は減った。
KP
扉は相変わらず開きそうにないが、扉の向こうの相手に話しかけることはできる。

「わ!」
驚いたような幼い声がした。

「いないよ だれもいないよ」
そう返す声は辿々しい子供のものだ。
牧志 浩太
「子供? こんな所に?」
牧志が不思議そうに、その向こうの気配を探る。
佐倉 光
「そうか、残念だな。
誰かいていてくれれば話ができると思ったんだけど。
僕たちすごく困ってて、誰かが聞いていてくれると良かったんだけどなー」
佐倉 光
ゆっくりとはっきりと独り言を言う。
佐倉 光
「扉の前をとおった誰かは、大村って人の事何か知らないかなぁ」
KP
あなたの“独り言”に、扉の向こうの気配がそわそわと動く。

「おーむら? ぼく、おーむらしってる。しらない。
あなた、だれ?」
扉の向こうで、何かをかちゃかちゃと弄るような音が微かにする。
牧志 浩太
「知ってるけど詳しくは知らない、ってことかな」
佐倉 光
大村、という名前を知っているということは被験者だろうか。
でなければ、大村自身の関係者か。

狂気の実験現場に子供を入れるにしても、子供を実験材料にしているにしても、正気の沙汰ではないな。
佐倉 光
「僕は佐倉。君はなんていうの?」
KP
「えっと、あー、ぼくだよ」

外から聞こえる声は無垢な興味に満ちていて、少なくとも害意は感じない。
対話できそうな声に堪らなくなったのか、牧志が横から会話に入ってくる。
牧志 浩太
「俺は牧志。君はなんでここにいるの?」
KP
「なまえ? ないよ。
 あずけられてる? おーむらいってた」
佐倉 光
「名前がない?
君は注射されたり、点滴されたりする?」
声が聞こえるのってどのくらいの高さからなんだろう。
相手は実験で精神を破壊された人間か、それとも言葉や声の印象通りの3~4歳の子供なのか?
KP
「?
ぼくね、にほんことばよくわからない。ごめんね」

声の位置と声質から想像できるのは、6~7才程度の少年の姿だ。

声から想像できる年齢に対して、精神的に幼い……というよりは、日本語に不慣れであるように思われる。
佐倉 光
「さっきから何をいじってるの?」
KP
何を弄っているのか、という問いには、
「かぎ」
と答える。
……この扉の鍵が、向こうにあるのだろうか?
牧志 浩太
「前の時の佐倉さんと同じくらいの年だな。
外国人…… なのかな?」
それとも言葉を教えてもらっていないのか、でも日本語って概念はあるみたいだ、と牧志が向こうに聞こえない程度の声量で呟く。
佐倉 光
ふと、前日の夜に聞いた声を思い出した。
あれは何語だったのだろう。
これは僥倖なんだろうか。
それとも何かの罠か実験なんだろうか。
佐倉 光
「その鍵でここを開けられる?」
KP
暫くの躊躇いのような沈黙。
牧志があなたの横で息を呑む。

「いいよ」
と、微かに囁くような声。
しかし、すぐに何かに気づいたように声を上げ、少年は直前の言葉を打ち消した。

「あ!
でも、あなたとあなた、へやでたら、ぼくをみる?
だめ!」
佐倉 光
あっれー、君会ったことあるんじゃ……
佐倉 光
「見られたくないの?」
これはチャンスだ。逃すわけには行かない。
佐倉 光
「だったら、鍵だけ開けてくれたらいいよ。
僕たちは君がいなくなるまで扉を開けない。それならいい?」
KP
「うん。じゃあ、ぼくかくれる。
ぼくいいよていったら、でていいよ」

鍵が開いた『小気味いい』音が扉を挟んで聞こえてくる。

少年がどこかへ走って行く音の数秒後、少年が「いーいーよ!」と元気よく告げてくる。
佐倉 光
ゆっくり扉を開けよう。
牧志 浩太
牧志が、詰めていた息をほっと吐く。
牧志 浩太
「やった……、あの子に感謝だな。
罠かもしれないけど、でも、情報は欲しい」
牧志があなたにぽつりと言って、口を閉じて前を見る。
KP
廊下はあなた達のいた部屋と同じく、白一色で無機質な印象を受ける。

あなた達の微かな息遣いしか発せられる音もなく、とても静かだ。

見ればこの扉は、廊下側に内鍵のような鍵しかついていない、厚みこそあるが簡素な扉だった。

あなた達がいる部屋の横に、もう一つ扉がある。
廊下の反対側にももう一つ部屋があるようで、そこから少年の微かな気配。

廊下は片側が行き止まりになっており、片側が曲がり角になっている。
牧志 浩太
「いや、このまま外に出られる…… のか?

一筋縄じゃ行かない想定しすぎてるな、俺……」
佐倉 光
「ただ部屋に閉じこもって待つなんてごめんだからな」
扉を開けると、知りたい、という気持ちが膨れ上がってくる。
あの「正気」って何だ。完全に人工というわけではない言い方だったけど。
あれをゆっくり摂取したら元通りになれるというなら、掻っ払って帰れば時間はかかっても安全に元に戻れるかも知れない。
この落ち着かない心がなんらかの安定を得られるかも知れない。
いつもの俺ならどう行動していた?
佐倉 光
「注意しすぎるって事もないし、色々想定しておくのは悪いことじゃないさ……」
少し考えて。
佐倉 光
「今の俺、そのへんが随分と雑になっているような気もするから、お前が考えてくれよ」

とりあえず隣の部屋が開くかどうか試してみよう。
牧志 浩太
「分かった。
それじゃ、俺の考え。

今、あいつはいないらしい。
素直に考えるなら、今のうちにさっさと逃げるべきだと思う。

でも、一筋縄で行くのか、あの向こうに何もいないのか、そもそも……ここが仮想空間だったら、出口なんてあるかどうかも分からない。

それに、俺達に「正気」が必要かもしれないっていうのも……怖気はするけど、ある。

その意味では情報は欲しい。
だから、あの奥の様子を見てみて、それ次第かな」
牧志は普段より少しゆっくりと考えを述べると、一度あなたの瞳を覗き込んだ。
牧志 浩太
「……今の佐倉さんは、“知りたい”って気持ちに随分捕らわれているみたいに見える。

命が危なくても、何を失っても、二度と帰れない所へ渡ってでも、知りたい。そんな眼をしてる」
佐倉 光
牧志の言葉を黙って聞いていた。
牧志 浩太
「どっちがいいのかとか、どっちが本当の佐倉さんなのかとかは、分からないよ。

俺は、佐倉さんにどこか行ってしまってほしくはないけどさ」

牧志は言葉を切って、廊下の奥へ視線を向けた。
佐倉 光
「そうか。そうだな……
けど俺いつもこんな感じじゃないか?
知りたいと思うのは当然のことだろ」
言いかけて、鼻を鳴らした。
佐倉 光
「考えてくれって言ったのは俺だな。
ずっと側にいたお前の目に間違いは無いだろうし
俺が自覚無くおかしくなってるのは確実だからな……
きっとお前の言葉が正しいんだろう」
渋々認める。
佐倉 光
「分かったよ。まずは逃げ道があるかの確認だ。
それから、だな」

隣の部屋の扉から手を離し、廊下の奥に目をやった。
知りたい
佐倉 光
牧志君に訊いて良かった。
常識的にはまず脱出口の確認だと思ったけど、今の佐倉は特に探索優先するよなって……
KP
これはいいやりとり……
今の佐倉さんは目の前に何かあれば知りたいし、見たいよなぁ。
シナリオ的にはどっちを優先しても問題ありません。
佐倉 光
それじゃ遠慮なく探索モードに入ろう。
KP
どうぞどうぞ。



ひとこと
佐倉 光
佐倉のトラウマは容赦なく抉られ、牧志の生命は脅かされる。
泣き叫ぶPCたち。
そして着々と回復させられてゆく正気度……
回復しているのに、一向に安心できない……一体これからどうなるんだ!?


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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


ダブルクロス 番外編

ダブルクロス
番外編 1
■前回ラストで子供たちがみんなでホラー映画鑑賞会していた裏で、大人たちは何をしていたのか……
女二人でひたすら呑んでました。
みたいな。

BEAST BIND 月が見ている 第三章 第一場

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【置】CoC『俺の部屋のカーテン幅が足りないんだが』 佐倉&牧志 1

「ちょっとやりすぎたみたいなんだよ……」