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こちらには『スペクト・ラム』
『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』
ネタバレがあります。

本編見る!
牧志 浩太
「佐倉さん。この室内なら、動けそうだ。
俺、何か手掛かりになるものがないか、探してみる……、」

苛立つあなたに恐る恐る声をかけ、牧志はそろりと立ち上がった。
まるで目の前に見えるものがその通りであることを確認するように、ひとつひとつ触れながら室内の様子を確認しようとする。
佐倉 光
「俺も行く。ここで座って待つなんて我慢できないからな」
よーし部屋を調べるか!
佐倉 光
「目が見えていない……わけではないんだよな」
佐倉 光
「まあ、ここが仮想空間なら視覚なんか信用できないか」
KP
二人で「惑いの欠片」やってみたいなぁ。一人が目が見えない、一人が耳が聞こえない状態で探索するシナリオ。
佐倉 光
ほおー。
状況に寄るけど意思疎通大変そう。
KP
そうそう。
牧志 浩太
「ああ、ごめん、大丈夫。ただ……、信じられ、なくて。
今こうやって見てるものが、ちゃんとここにあって、今こうやって認識してるものが、それで合ってるのか」
KP
室内には、病室にあるようなサイドテーブルのついた二人分の寝台、何か液体の入った点滴袋が架かっている点滴台、あなた達に繋がっている機械、小さな本棚、それから扉がひとつある。

また、部屋を見渡すと気づくことがある。
部屋の隅に置かれている、布でできた『柔らかい』収納ボックスを発見する。

そこにはあなた達の荷物が入っていた。衣服と危険な物は没収されているようだ。

あなたのヒランヤもそこにあったが、COMPはない。
牧志 浩太
「あ……、荷物だ、俺の。日記帳もあるけど、ペンはない、みたいだ」

使い慣れた日記帳のページに触れて、その感触を確かめて彼は少し微笑んだ。
佐倉 光
ヒランヤを首にかけて握る。深呼吸をする。
少し体の震えが収まった気がする……。
KP
正気度ギリギリの二人が見られてこの時点でもう楽しい
佐倉 光
『柔らかい』を回収!
KP
ピコーン!
『柔らかい』…【形容詞】柔らかいということはダイヤモンドよりも壊れないということだ。
佐倉 光
ではまずは一番気になる【機械】の調査かな!
KP
▼機械
モニターにはどちらも「10」と表示されている他、脈拍・血圧などのバイタルも同時に計測されているようだ。

〈医学〉で判定。
佐倉 光
バイタル計測されてたわ。
牧志 浩太
1d100 34 〈医学〉

☆ささぼっと☆ 1d100→1→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
1d100 21 〈医学〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→75→失敗
KP
脈拍の基準値はだいたい 60~100 回/分。あなた達の脈拍数は特に問題が無さそうだ。

あなたの脈拍は少し速くなっていたが、ヒランヤを握って深呼吸したことで落ち着いてきた。

クリティカルした牧志は、よくある医療装置のように見えるそれと、あなた達の肉体を這うコードが、全く理解しがたい材質で造られていることに気づいてしまう。

では、その“装置”の中身もまた、理解しがたいものなのではないか。自分達は何を這わされているのか?

牧志だけ《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
1d100 10 ☆ささぼっと☆ 1d100→2→決定的成功クリティカル)!
牧志 浩太
機械に触れて調査していた牧志の背が、びくりと震えた。
恐れるように機械から手を離し、それから、それが数値を表示する機械に過ぎないことを確認して息を吐く。
佐倉 光
「どうした? 何か分かったのか?」
牧志 浩太
「あ……、この機械、脈拍とか血圧も測ってるみたい、だ。
それで、脈拍は問題なさそうだったんだけど、どう出来てるのか調べてたら、見たこともない材質、で、
……触ってたら、また頭がおかしくなりそうな気が、して、」

牧志は不安そうにあなたの腕に触れる。
脈を取るように手首の裏側に触れ、あなたの脈拍に耳を澄ませて息を吐く。
佐倉 光
見たこともない材質って何だろう。
つい問いただそうとしてしまい、牧志がまた触れてきたことに驚いて声を上げる。
佐倉 光
それから牧志に少し驚いただけだから問題ないと言う。
牧志 浩太
「ありがとう、ごめん、驚かせた、よな」
牧志は暫くの間あなたの脈拍に耳を澄ませ、少し落ち着いたらしかった。
佐倉 光
後で元気になったら訊いてもいいかな……
佐倉 光
ああ、そうか、俺達が自分の一部を奪われて、そこから壊れていったときの事件……
牧志の様子を見て、何となくそんなことを思い出した。
確かに今も自分たちの一部が奪われたと言っていい状況だろう。
佐倉 光
大分まずい状態なんだな。
牧志もそうだけど、たぶん俺自身も。
自覚しづらいだけで。

さっきの異常な状態。
牧志が自意識を失っていたように見えたのは、まさに【正気を失っていた】からか。
俺の方は、人を人として認識できない……違うな。牧志は牧志だったし、あのときの俺にとって牧志は変わらず親友だったはず。ただ牧志の痛みや俺の痛みを認識できない、違うな、無視できていた気がする。
それをそれとしか認識できなくなり、人が心で付随させる情報の一切を無視する状態とでもいうか。
善悪の境がない。自分の欲を押さえるものがない。理性がない。他人に対する認識が物と同じ?  全部が道具で、何をしても痛みが伴わない、人に対する感情がない。
佐倉 光
ふと視線を落とし、牧志を見て、
佐倉 光
はっとした。
牧志の事が完全に意識の外だった。
これは【その状態】と紙一重だからか?

巣窟になってしまったあいつが今の牧志と地続きだったように、この俺も平気で牧志を生け贄だと認識できるようになる。今が一歩手前。
佐倉 光
慌てて自分に対して言い聞かせるように呟いた。
佐倉 光
「牧志。大丈夫だから。きっと、いつもと同じ、ように、上手く行くから」
上っ面を撫でる言葉のような気がしてならなかった。
牧志 浩太
牧志はあなたの眼をじっと覗き込み、ふと、困ったように口元を歪めて笑った。
牧志 浩太
「そうだな……。上手く、行くよな」
佐倉 光
「大丈夫大丈夫、いけるいける」

佐倉 光
点滴袋をチェックしよう。
何が書いてあるかもしれない。
KP
点滴袋の中には、見慣れない色の液体が詰まっていた。

青……、青だ。
玩具のような青色。
人体に注入するようなものには見えなかった。

液体について何も書かれていないため、中身がどのような液体であるのかはわからなかった。
佐倉 光
「くそ、何だよこのふざけた色。
何もわかんねーだろうが」
佐倉 光
「これの中に【正気】が詰まってるって?
まさに狂気だな」
精神安定剤だの、脳に作用してホルモンをどうにかするだの、恐らくそんなものなんだろうけど。
佐倉 光
寝台とサイドテーブルをチェックしよう。
KP
整えられた寝台のシーツは寝台に固定されており、剥がせるようにはなっていないようだった。
暑くも寒くもない室温の中、ブランケットの手触りを心地よく感じてしまう。

それぞれのベッドサイドテーブルには、飲料水の入った水差しとプラスチック製のコップ、そして白いクリップボードが置かれていた。
牧志 浩太
「何だ、これ。
カルテ、はここには置いてない、よな?」
KP
牧志の眼は不安そうに揺らいで、落ち着きなく常に視線を彷徨わせてこそいたが、あなたの眼を覗き込む時の聡い光は変わらず、辛うじてまだそこにあった。

あなたの危うさに、どことなく気づいているようだった。
佐倉 光
牧志の視線を少し居心地悪く感じた。
佐倉 光
「あいつら、俺たちの名前を知っていたな」
当たり前のように脳ミソ覗いてきやがるし。

その良く分からないクリップボードをめくろう。
KP
真っ先に目に入ったのは、あなたの写真だった。

次に、あなたの名前。
それから、年齢、住所、体重、血液型。性格傾向。
そして、

──そして、家族構成。
そこにはあなたの妹の名もあった。

そして、そして、あなたの職業と所属、使役悪魔の名すらあった。

それだけではない。実に様々な内容が、そこにはある。
それはあなたの、調べ上げさせる訳がないはずの詳細なプロフィールだった。
牧志 浩太
「……、」
同じく、自分の寝台の横にあったクリップボードをめくっていた牧志の目が一カ所で止まる。
そこには牧志の家族と、あなたを含む友人の名が書かれていた。
牧志 浩太
「名前、だけじゃ……、ない、みたいだ。
全部、知られてる、」
牧志は不安そうに、紙の上を手で辿った。
KP
あなたは露わにしたくないはずの素性を、詳細に調べ上げられていたことに。
牧志は、友人や家族に累が及ぶ可能性を考えてしまったことに。

それぞれ、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
1d100 10
☆ささぼっと☆ 1d100→66→失敗
SAN 10 → 9
佐倉 光
1d100 10 ☆ささぼっと☆ 1d100→27→失敗
SAN 10→9
佐倉 光
なんだ、これは。
ぞっとした。
自分の情報のみならず。牧志にすら明かしたことのない実家の情報まで。
KP
ピッ、とあなた達に繋がれた機械のモニターが音を立て、どちらも数字が「9」に変わった。

動揺した心の動きを、無機質な数字がひたと追いかけてきている感覚がした。
佐倉 光
「これをここにおいておく理由がまず分からない」
怒りと不安とが疑問に押し流された。
佐倉 光
「俺たちの正気度とやらを増やす実験の他に減らす実験もしてるのか?」
佐倉 光
数字が動いた。
そうだろう。確かに俺は強く動揺した。本人が既に知っている本人の情報をこの部屋に本人に読めるようにおく理由、本人を動揺させるため?  もう一人に見せるため?  何だろうとろくな理由じゃない。

誰が偏屈で頭でっかち、姑息で刹那的だ、くそ。友人が少ないとか大きなお世話だ!
牧志 浩太
「確かに……、分かってる、って、知らせたいのか。動揺させる、実験なのか。
そうだ、何のつもりなのか……、情報を、得て、相手の意図を、出し抜く隙を、」

牧志は大事なことを掴むように、数度繰り返し呟きながら自分の手をじっと見つめた。
その手を、いまここにあるものを確かめるように、ゆっくりと数度握って、開いた。
牧志 浩太
「考え、ないと」

それは散り散りになりかける思考を掴もうとしている仕草にも見えた。
佐倉 光
隻眼の牧志の事も書いてるのかな、これ。
KP
隻眼の牧志のことまでは書かれていなかった。
そこにある情報は詳細ながら、あくまで「あなた」の現状に留まるようだ。
佐倉 光
それからふと思い付き、血液型のところだけ牧志に見えるようにして見せ、何て書いてあるか訪ねる。
自分にしか見えていない可能性を考えた。
牧志 浩太
「これ、か? 
血液型が、書いてある。 佐倉さんの、か?」
彼が答えた内容は、そこに書かれていると見える内容と等しい。
牧志 浩太
「随分、細かい情報が、書いてあったんだ。
……誰にも、教えたことの、ないことまで。

佐倉さんのも、そうだった……、のか?」
そう言って、彼はあなたに自分のクリップボードを見せる。
そこには、あなたのものと同様、牧志の詳しい情報が書かれていた。
佐倉 光
「ああ、こちらと同じか。
ここがネットワーク上だとして、自分の記憶が投影されているだけで、実は書かれていないって可能性があるかと思ったんだ」
面白くもなさそうにクリップボードを裏返して叩きつけるように置く。
牧志 浩太
「そうか……、そういう可能性も、あったんだな」
佐倉 光
ふと、思い出した。
佐倉 光
「あいつ、無事かな」
自分の胸に手を当てた。
KP
胸に手を当てても、そこに何かの気配や、誰かの声が聞こえるようなことはなかった。
佐倉 光
何一つ分からないことに腹を立てながら、本棚を調べる。
KP
あなた達の腰ほどの高さの本棚には、本がお行儀よく並んでいる。
それらの背表紙を見ていくと絵本の隣に専門書があるなど、ジャンルに統一性はないようだった。

本棚のふちには淡い黄緑色の付箋が張られており、そこには「暇つぶしにどうぞ」と書かれていた。

〈図書館〉または〈目星〉
佐倉 光
1d100 85 〈図書館〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→72→成功
FANBOX開設したで
牧志 浩太
1d100 82 〈図書館〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→17→成功
KP
あなたはその中から、少しでも現状に関係ある内容を探して、平易な医学の本を手に取る。
「よくわかる! 脳科学」

まず最初に、感情と情動の違いについて貴方は説明できますか? 感情とは、喜怒哀楽のことを指します。情動はその喜怒哀楽に従って現れる、客観的に見てわかる反応のことを指します。

例えば、悲しい時は涙が出ますよね。そのように、感情に従って自律神経系の活動が変化したり身体的に変化が起こることを情動といいます。

では情動とは脳のどこからやってくるのでしょうか? それは脳の大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)と呼ばれる部分が情動を司っていると言われています。
大脳辺縁系は、情動の表出やいわゆる本能(三大欲求や意欲)、記憶、自律神経などに関与しています。

大脳辺縁系を形成するもの:帯状回、偏桃体、海馬など

・偏桃体とは?
情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つ神経細胞の集まり。特に不安や恐怖といった感情に深く関わっていることもわかっています。
そこまで読んだ時、偏桃体についての記述の近くに淡い黄緑色のメモが貼られているのに気づいた。

[この偏桃体と呼ばれる部位が恐怖を感じ取るために正気度が減少するのだろうか?

扁桃体を切除したらどうなるのか
(検証済み、という走り書きが上に重なるように書かれている)]
牧志 浩太
「……」
絶え間ない不安に震えていた牧志の眼が、ひたりとその記述の上で止まった。
瞳孔が微かに膨張する。
牧志 浩太
「前の、被験者……、って、言ってたな。
あいつ、もう、やったのか。一度」
微かに、抑え込まれた怒りをその内側に感じた。
佐倉 光
「中学生の頃に、小脳切除したら、食欲から逃れられるのかと思ったことがある」
牧志 浩太
「……え? 考えた、のか。
その発想、すごいな」
牧志の声が微かに和らぐ。
佐倉 光
「ガキの発想を実行してんのか」
牧志 浩太
「……質が、悪いな。
巻き込まれたく、なかった」
佐倉 光
中のヒトが中二病真っ盛りの時考えたことですね!
KP
中の人の発想だった!!
その発想はなかった

KP
カチリ。
あなた達は不意に、扉の方からした音に気づくだろう。

扉が開いていた。
そこから中型の機械が部屋に入ってくる。

それは空気清浄機にキャタピラがついたような見た目をしており、機械の上部には『猫耳』のような三角形が 2 つくっついている。

その機械は、人数分の食事を乗せたワゴンを引きずっている。
「皆さん お食事の時間です」
それの開口部から、平坦で可愛らしい響きの声が発せられた。
佐倉 光
『猫耳』を取得する。
KP
ピコーン!
『猫耳』…【名詞】人間は頭部に三角形が 2 つ付いていれば無条件で心が惹かれるようにできている。
佐倉 光
機械が同じ事を言っていても、
キャラクターを被せれば受け取り方が正反対になったりする。
変に可愛らしいデザインにしようとするより、
こういった単純な物の方が親しみが強くなったりするのだから不思議なものだ……っとそれより。

扉に近寄って足を挟み、外の様子を見る。
体に繋がっている機械って動かせそうなのかな。
佐倉 光
ピコーン、『柔らかい』『猫耳』『マウス』『数値化』
もっふもふさ加減をより強く確実に感じよう!
KP
もっふもふだぁ!
でもこのロボットもふもふない
KP
扉に近寄って足を挟もうとすると、機械が邪魔で挟めない。ちょうど機械とワゴンが通れる程度の幅になっている。
機械が入ってくると、扉はすぐに閉じてしまう。
一瞬見えた外は白い廊下になっていた。

身体に繋がれている機械は寝台に据え付けられており、動かせそうにはない……。
佐倉 光
ちぇ。じゃあネコミミマシンをよく見るか。
KP
「今回のメニュー あさりの味噌汁 ぶりの照り焼き ほうれん草のおたひし ん?  おひたし。
3D プリンターによりをかけて作りました お食べ下さい」

その機械は今日のメニューを述べると、ワゴンを連結したまま室内に留まった。
牧志 浩太
「……案外普通だな、メニュー。
食べる気には……、ならない、けど、さ」

牧志がその機械を睨みながら、微かに鼻を鳴らした。
佐倉 光
「今3Dプリンタっつった?」
食事を手に取って見る。
KP
つやつやとした魚の照り焼きと、少し水っぽいほうれん草のお浸し、それから中に小さな貝の姿が見える味噌汁、そして麦茶。
プラスチック製の先の丸い箸が添えられている。

魚の表面には自然な形の骨が浮き、3Dプリンターどうこういうのはこの機械の冗談ではないか、とも思わせた。

出汁と味噌の香りが、あなたの空腹をほのかに刺激する。
佐倉 光
まさかとは思うが、3Dプリンタ特有のラインを探してしまう。
それから箸を手にして魚を粉々にして、一口食べてみる。
KP
魚をしげしげと見ても、特有の積層構造や、溶着した跡は見えなかった。

一口食べると、じわりと口の中に魚の滋味が広がる。
味覚をトリガーに活動し始めたあなたの胃袋が、もっと欲しいと訴え始めた。
牧志 浩太
「それ……、食べるの、か?」
牧志が不安そうに問いかけてくる。
KP
【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→75→成功
KP
可もなく不可もない味だ。
中華料理店で食べた味に似ている気がする。まあ、『美味しい』
佐倉 光
『美味しい』を回収します。
KP
ピコーン!
『美味しい』…【形容詞】味も舌の味覚受容器が感知した情報の一つに過ぎないが、それでも人類の生活の質を支える大事な要素だ。
佐倉 光
「うーん。不味くはないけど……美味いんだけど……モヤモヤする味だな。
この感じ、あの料理店の料理と似てる」
佐倉 光
「ひとまず魚は食える物ではありそうだ」
言いながら別のものにも箸を付ける。似たような作り物の味なんだろうけど。
KP
ほうれん草も味噌汁も、同じような可もなく不可もない味だ。冷凍食品の方が幾分か個性がある。

ほうれん草をほぐして箸をつけるあなたを見て、牧志が食事から距離を取ったまま、不安そうにあなたの様子を見た。
牧志 浩太
「同じような、味?
……佐倉、さん。それ、食べて……、大丈夫、そう?」
牧志 浩太
「あの料理を食べた後、俺達、眠ってしまって。気づいたら、ここにいた、だろ。

あの料理に、何か……、盛られてたんじゃないか。だから、それにも、もしかしたら、何か、入ってるんじゃないか、って、考えてたんだ」

牧志は記憶をたぐり、声を出しながら一つ一つ考えを組み立てるようにして、あなたに自分の考えを提示する。
佐倉 光
「味が知りたいだけだからこれ以上は食わないよ。
でも、そうだな。俺が寝たら起こしてくれ。
死にはしないだろ、俺達マウスだし」
佐倉 光
「……俺、なんかおかしい?」
KP
牧志はあなたの眼を真っ直ぐに覗き込み、一度目を閉じて、それからもう一度あなたを見た。
牧志 浩太
「いや、大丈夫、眠そうな様子とかは……、ない。今の所」
KP
室内はあなた達の声を除いて、静かなものだ。
ここにあるのは部屋の片隅にいる先程の猫耳機械と、あなたが少しだけ手をつけた食事、それから先程調べたような物だけだ。

【アイデア】
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→59→成功
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→44→成功
KP
部屋の天井近くにかかっていた時計は、動いていない。他に時刻を知らせる物はここになく、あなた達の荷物からはスマートフォンが抜き取られていた。

部屋の外を見る窓もないので、今が朝か昼か夜かすらもわからないのだ、ということに気づく。
部屋はただ静かで、少しずつ増してくる空腹と、ふと覚えた喉の渇きだけがあなた達に時間の経過を知らせる。
佐倉 光
「時間経過、とかあんのかな、ここ。
一応明日から実験だとか言ってやがったけど」
牧志 浩太
「分からない……。でも、喉が渇いてきた気は、する。腹も、減ってきた」
ワゴンの上の食事から目を逸らしたまま、牧志は軽く喉をさすって言った。
佐倉 光
水も飲んでおこうかな~
KP
水を飲めば、柔らかく喉を潤してくれる。味や色に異変はない。
佐倉 光
「水はただの水っぽい」
KP
牧志は水差しをじっと睨んで、それから恐る恐る水に口をつけた。
佐倉 光
「俺も腹は減ってる。
なんか機械か、人間のことが分かってないヤツに世話されてる気分だ……」
佐倉 光
「脳味噌切り取るなんて発想もそうだけど、今時の人間離れしてるよな、なんか。戦争中はどさくさでそんな実験してたヤツもいたと思うけど」
扉、って調べられるかな。
KP
扉は当然のように固く閉ざされている。
どうやら、廊下側から鍵をかけられているらしい。
牧志 浩太
「分かる……。あいつ、物を見るみたいな目で、俺達を見てた。説明はするけど、話す気はない、みたいな」
佐倉 光
ネコミミ機械って調べたことにはなっていないかな。
KP
ネコミミ機械はまだですね。
それ以外の物については、一通り調べ終わっています。
佐倉 光
はーい、では調査しよう。
佐倉 光
猫耳の機械をもっとよく見てみよう。
佐倉 光
「人間のことを分かってないヤツ、が使うには変かな?」
KP
近寄ると、機械がキュイ、と電子音を立てた。
「はじめまして 製品名 Cui」(きゅい)
「お手伝いロボット兼 見張り番です。
何か ご用ですか」
佐倉 光
「Cui、トイレに行きたいときはどうしたらいい? ここにはないだろ?」
KP
「Cui はお答えしかねます 大村に聞いてください」
機械はそんな返答を返した。
佐倉 光
「なんだよ、役に立たないなぁ。
Cui、ここはどこだ?」
KP
「Cui はお答えしかねます 大村に聞いてください」
佐倉 光
「Cui、何なら答えられるんだ?」
KP
「Cui は加湿機能に加え 音楽を流したり 対話機能を兼ね備えています」
佐倉 光
「じゃあなんかやる気出そうな曲流してくれよ」
KP
機械の眼のように見える部分が一瞬点滅し、Queen のボヘミアンラプソディーが流れだした。
佐倉 光
「まあ……名曲ではあるけど」
牧志 浩太
「何の声もないよりは、まし、かもしれないけどな」
佐倉 光
「まあな。
で、大村って誰? あ、加湿してみて」
KP
機体の上部が左右に割れるようにスライドし、むき出しになった内部から白い水蒸気がもあもあと立ち上る。
水蒸気には微かに花の香りがつけられていた。

「Cui 大村は大村です」
佐倉 光
「毒にも薬にもならないな、このロボ」
牧志 浩太
「だな……」
佐倉 光
「Cui、何か面白いことを言ってみてくれ」
KP
「キュイー」
エラー代わりなのか、機械はそう鳴くだけだった。
牧志 浩太
「本当に大した機能、ないみたいだな……。配膳ロボの方が高度、かも」
佐倉 光
一応情報源ではあるが……何をしに来たんだこいつは。
佐倉 光
「和んで飯を食え、というつもりなんだろうな。
このズレっぷり、なんか思い出すな」
牧志 浩太
「何か?」
佐倉 光
「ああ、初めて変な事件に巻き込まれたときのさ……
手をくっつけられて変な部屋に閉じ込められたろ」
牧志 浩太
「ああ……、あの時、の。
確かに、似てる」
佐倉 光
「今思えばあの部屋ももうちょっと調べたい物が色々……
って今それどころじゃないか。
しかし……」

自分たちが繋げられている装置の数値を見る。
KP
「9」という無味乾燥なひと桁が、バイタルの数値とともに浮かんでいるだけだった。

徒労感のせいか、ふとあなたは眠気を覚える。
実際以上に疲れたような気がする。
佐倉 光
「この数字、そう簡単に動くものじゃなさそうだな」
言いながら本棚から適当な本を取ってきて、ベッドに寝転がる。
佐倉 光
SAN減少で共感力低めの佐倉。
KP
そして佐倉さんの異常に気づいているものの、気を配る余裕がなくなっている+思考の道筋を組み立てにくくなっている牧志。
KP
本を読んでいると、とろとろと眠気が頭を占めてくる。
今は何時なのだろうか。どれだけ時間が経ったのか、よく分からない……。
佐倉 光
瞼が落ちてくる。
佐倉 光
そういえば、牧志のこと忘れてた。
佐倉 光
「眠いから、少し寝る……」
辛うじて声をかけられた。
牧志 浩太
「……」
KP
返る声はなかった。微かにそちらへ目を向ければ、寝台にもたれて眠ってしまったらしい牧志の姿が見えた……。
〈聞き耳〉
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→74→成功
FANBOX開設したで
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→83→成功
KP
あなた達は眠りに落ちる間際、扉の向こうで微かな子供の声を聞く。
どうやら幼い少年が向う側にいるようで、彼は独り言を呟いたようだった。
しかしその独り言は、あなた達にとっては聞いたことがない言語に思える。

夢も見ない眠りへ、あなた達は落ちていった……。


ひとこと
佐倉 光
どこか違和感を抱えたままで探索を始める二人。
ふわふわと何もかもが頼りない……。


【置】CoC『眼窩に祝福』 佐倉&牧志 2

牧志の胸の中の鼓動を掴むように軽く引っ掻いた。
今まで、追い出そう、忘れようとしてきた執着を呼び戻さなくては、壊れてしまうと思った。

CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 4

「隠したいと思う理由って大体碌でもないでしょ?
で、今回の事件に関係があるとしたら。だいぶキナ臭い」

CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 5

お前ら割と似てるよ。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


ゆうやけこやけ 第二話『ともだち』の一

みたな!

BEAST BIND 月が見ている 第二章 第一場

記憶のゆがみ

CoC『誰がロックを殺すのか』 Heavy Howling 1

あなたにとって「ロック」とはなんですか?