これは、VOIDのHO2による
空白の航海です。
両方のネタバレがあります。
十分ご注意ください。
また、『空白の航海』は特に
自分でのプレイが推奨されます。
仕掛けが凄いので是非自分でプレイしてから読んでくださいね!

参加PC


暗闇の中に、手足がついたモニターのような物がある。
モニターには、スタンバイー
 ⇒“電源を入れる”と表示されている。
電源を入れる
「 」
お帰りなさい。まずは明かりが必要ですね。
明かりをつけさせていただきます。目の前の“黒い闇”を取り除きましょう。
BGMはお好みで。
シックなJAZZなどはいかがでしょうか。

明かりがつきましたら“メッセージ”をお伝えさせて頂きます。
ヴィキ
「……?」
首を傾げる
「……なんだろ、この子。……VOIDじゃ、ないよね……」
「明かりをつけてくれるの? 確かに真っ暗なままじゃね」
●寝室
明かりがついた状態で改めて辺りを見回すと、そこはどこか見知らぬ部屋のようだった。
ビジネスホテルのような間取りではあるが、壁や家具は無機質な白で覆われていた。

自分は普段着ではあるが所持品の類はない。
どうしてここにいるのか、ここがどこなのかさえ分からない。見知らぬ場所に連れてこられた恐怖から【1/1d3の正気度喪失】

部屋には幾つかの物品はあるようだ。ロボットは腕を振りながら私の対応を待っている。
分からないことだらけだが、ロボットへ”メッセージ“を送信すれば何か話すかもしれない。
ヴィキ
「あ、明かりついた」
CCB<=96 《【SANチェック】成功時減少 1失敗時減少 1D3》 (1D100<=96) > 3 > 決定的成功/スペシャル
[ ヴィキ ] SAN : 96 → 95
部屋には、机といす、ベッド、バストイレがあり、扉が一つある。
ベッドの上にはメモが、
机の上にさきほどの手足のあるモニタがのっていた。
ロボットのモニターに文字が表示されている。どうやらこれはこのモニタ型ロボットの発言であるらしい。
ヴィキ
「……? ここ、私の部屋じゃない……よね?」
「ワンルーム……いやビジネスホテルかな?」
「このロボットくんと……」
辺りを見回し、ベッドの上のメモを見つけた
●メモ
いきなり呼びつけてしまった君が、これを読めるといいのだが…。

まず、目の前の彼女が決して悪い子ではないことを信じてほしい。分からないことがあれば彼女に聞いてくれ。彼女なりに答えてくれるはずだ。
彼女は「こんにちは」や「おはよう」などひと通りの挨拶も勿論できるし、沢山の質問に答えてくれるだろう。
何なら僕よりずっと賢いからね。

ここでは少しの時間をいただくのみで、すぐに君は元の場所に帰れるだろう。その間“チューリングテスト”じみた私のエゴに、どうか付き合ってほしい。
テストプレイはいつまでも終わっていないから、君らしさを彼女に示してやってほしいんだ。

既に旅は始まっているのに、彼女は一人なのだから。
本編見る!
メッセージ
「 」
私の名前は「 」です。

今はスペーサーとでもお呼びください。
何でも質問してくださいね。何でも答えますよ。
ロボット三原則が有効に働いていますから、
貴方に危害を加える心配はありません。

特定の語句へ質問がある場合には“○○とは”と、
私に発言をお願いいたします。
試しに“ロボット三原則”とはなにか
聞いてみてくれませんか?
●アシスタントAIを名乗るロボット
歩行や簡単なモノの受け渡しも可能であり、胴体部や腕の長さは可変するようで、どういった技術が使われているのか分からない。
再生される電子音声は女性らしい声をしているが、性別は不明だ。

〈コンピューター〉【知識】があれば、もう少し深く分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴2を解禁。

〈電子工学〉〈物理学〉を用いれば、材質等の見当はつくだろう。
※技能判定に成功した場合、探索履歴3を解禁。
ヴィキ
「あ、この子女の子なんだ」
「チューリングテスト……なんだか、ちょっと懐かしいな」
「……」
ふと、思い立って
「こんにちは、スペーサーちゃん」
こんにちは
「 」
こんにちは。

「今日」を挨拶に取り入れる日本語は
毎日の移り変わりを楽しんでいるようで
素敵ですよね。
ヴィキ
「ふふ、そうだね。あなたも素敵なロボットね」
「えっと、なんだっけ。ロボット三原則とは、何か教えて? スペーサーちゃん」
ロボット三原則とは
「 」
ロボット三原則とは

●第一条
ロボットは人に危害を加えてはならない。

●第二条
ロボットは第一条に反するおそれのないかぎり 人に与えられた命令に服従しなければならない。

●第三条
ロボットは、第一条および第二条に反する おそれのないかぎり、自己を守らなければならない。

本発言は“記憶領域1”にログを保存していますので見返す際には円盤のパネルを削除してご利用ください。
ヴィキ
「ふふ、そうそう。私と同じだね」
「ねぇ、ここはどこなの?」
ここはどこ
「 」
ここは方舟ソラリス。
現在は太陽系外縁部を航行中です。
ヴィキ
「はぇ?」
彼女の声とモニターに表示された内容に、間の抜けた声が漏れる
「は、方舟? ソラリスって何なの?」
ソラリスとは
「 」
方舟ソラリスは人類の逃避行です。

地球以外の地球を目指して作られたこの船は
人類最後の希望のように思えるかもしれませんが、
複数の研究チームが少し良い予算と共に作り上げた
ただの壮大な研究結果に過ぎません。
彼らのエゴによって出発した、
彼らにとっての希望なのです。

本発言は“記憶領域4”にログを保存していますので見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「はぇ~」
「そんなプロジェクトがあったなんて……」
「彼ら、か……なんかイヤな予感がするのは気のせいかな」
「本当のことなのかな……」
「えっと、ごめんね。ちょっとあなたのこと調べさせてね」
CCB<=85 〈コンピューター〉 (1D100<=85) > 22 > 成功
彼女のカメラと思しき部位に指をかざし、指先から発光信号を送る
●スペーサーへ〈コンピューター〉で得た情報
拙い返答も存在するものの、大抵の問いかけには人間的な反応を返し、アシスタントAIとして非常に高性能…。
過剰な性能とすら言える。
ヴィキ
「本当に純粋なAIなんだ……すごいな。こんなコンパクトなボディに、処理系が全部詰まってるなんて……」
「もしかして、クラウドなのかな?」
「うーん……あとは……」
●バストイレ
浴槽はなくシャワーのみの簡単な作りだ。
トイレも水を湛えているタイプではなく、
新幹線のトイレで見かけるような、シャワーで流すタイプのもののようだ。
ゴミ箱らしきものにゴミはひとつもなく、部屋全体を含めて清潔そのものである。
●ベッド
重量のある無機質なベットであり、寝心地は良さそうだ。

どことなく違和感を感じるが、なにかいい【アイデア】が浮かべば良いのだが…。
※技能判定に成功した場合、探索履歴1を解禁。
ヴィキ
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 52 > 成功
●寝室のベッドへ【アイデア】で得た情報

自分ではない誰かの形にクセがついているようだ。
この部屋の”前の住人とは”一体誰なんだろうか?
ヴィキ
「あれ、このベッド、誰かが使ったあとがある……?」
「ねぇ、スペーサーちゃん。この部屋、前に誰か使ってたのかな?」
前の住人とは
「 」
父と一緒に旅をしていました。

記憶とは「聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚」の順番に
忘れていくものだそうですよ。
貴方は思い出の人の声は思い出せますか?

ロボットの私にはなんていったって幸運なことに
忘れるという機能は搭載されておりません。

本発言は“記憶領域13”にログを保存していますので見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「お父さんと一緒だったんだ……」
「ねぇ、お父さんってどんな人?」
父とは
「 」
両親のうち、男親の方を指します。

また他国からの独立、宗教活動、重要な発明など
それら創始や発展に重要な役割を果たした男性を
「○○の父」と呼ぶことがありますね。

私の父は親であり、設計者ですので、
将来では「スペーサーの父」なんて言われているかもしれませんね。
ヴィキ
「……うん、まぁそうなんだけど」
彼女の回答に、少し苦笑する
「プロジェクトが成功したら、そういうことにもなるかもね」
「あなたは、チューリングテストのことは知ってる?」
チューリングテストとは
「 」
人間らしいロボットを見極めるための試験です。

審査員と機械/人間は別々の部屋にいる状態で、
PCを通じて会話を行い、質問を繰り返します。
審査員は質問を通じて部屋の向こう側の会話相手が
機械か人間かを判定するのですが。ここでもし、
機械の方が「人間である」と判定されれば
「この機械は考えることができる」、つまり
「知能を持った機械」と見なせる、というわけです。

本発言は“記憶領域11”にログを保存していますので
見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「うんうん、そうそう」
なんだか、無垢な彼女が自分の後輩のような気がして、少し気持ちが暖かくなった
「春先輩、どうしてるかな……」
「これが終わったら帰してくれるらしいけど……」
「とりあえず、見られるところは全部見ておきたい、かな」
「ねぇ、スペーサーちゃん。この扉を開けてもらえる?」
扉を開けてほしい
「 」
すいません。
「寝室から外への扉」を開きました。

食事室へは自由に行けますよ。
長い旅路ではお腹が減ってしまいますからね、
目的地着までの推定時間は242年と3ヶ月です。

ごゆるりとお待ちください。

もしこれから、私の発言を忘れてしまった場合でも
貴方の元にログは残っているはずですから
そちらから再質問をお願いしますね。
ヴィキ
かちり、という音がドアから響いたのが聞こえた
「ありがと……って、242年!?」
思わず、口を押さえて叫んでしまった
「さ、流石にそれまで付き合わされるってことはないよね……?」
「それは困るよ……あっくんもきっと待ってるのに」
しかし彼女は答えてはくれないらしい
「どうしよう……少し不安……」
つぶやいたところで、視界の中にアテンションが表示される
体内のコンデンサ容量が半分を切ったことを知らせる警告だ
疑似的な体感として、『空腹』を覚える
「お腹すいたな……」
「そういえば、食事室があるって言ってたっけ」
「行ってみるか」
悩んでいても仕方がない
情報を集めるためにも、今は動かなければ
廊下へと出る
●廊下
両端の連絡扉と、左右に二つずつの扉がある。
細長いただの廊下のようだが何となく違和感を覚える。違和感を説明できる【アイデア】は思いつくだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴4を解禁
ヴィキ
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 67 > 成功
「……ん? なんだろ」
こうした環境で、さまざまなスキャンを展開する癖
●廊下にて【アイデア】で得た情報

細長い廊下は僅かに湾曲しているようで、緩やかにカーブした上り坂のように思える。
しかし、不思議と登っている感覚はない。
ヴィキ
3Dスキャナの情報から、目の前の構造物などにワイヤーフレームメッシュがオーバーレイされる
廊下がわずかに湾曲―――上り坂になっているように見える
「……」
「宇宙船、って言ったっけ。もしかして、人工重力を発生させる回廊なのかな」
半世紀以上昔の映画を思い出す
当時は、画期的な映像演出で、リアルな宇宙船が登場していたっけ
その宇宙船に搭載されたコンピュータ……
「ふふ」
つい、笑みが漏れた
「春先輩の名前の由来、あっくんがそんなこと言ってたっけな」
間違いのない1Gの重力を感じながら、食事室へ向かう

●食事室
地面などはホコリが被っている様子ではなく奇麗なままであるものの、奇麗すぎるところもあり、しばらく使用者はいなかったのではないかと感じる。
ヴィキ
「……あ、結構こぢんまりしてるんだね」
ドアをくぐった第一印象
●システムキッチン
ガス調理器ではなく電気調理器のようだ。
水も問題なく出すことが出来るが、シャワー状で勢いは弱く、無駄使いできないような仕組みになっている。
ヴィキ
「ありゃ、自分で料理しないといけないやつ?」
冷蔵庫とキッチン、調理器具の収まった棚を見て、眉を寄せる
「困ったなぁ……あっくんが居てくれたら……」
そうつぶやいてから、慌てて頭を振る
こんな奇妙な出来事にまた彼が巻き込まれたら……
疲れ果てた彼の心に、またいらぬ負担をかけてしまうかもしれない
「コンロは……電気式か。一応動く……。水は……」
「なんか、チョロチョロ……。そりゃそうか、宇宙で水資源は貴重だもんね」
「冷蔵庫には何が入ってるのかな……」
●冷蔵庫
冷蔵庫の容量は一般的なものよりはるかに大きい。
さらに、冷蔵庫の電子パネルには「前回更新日より18日経過」との表示があり、中身はブロック状の成型肉や非常に大きな葉物類などが並んでいる。

よい【アイデア】が浮かべば、大きな冷蔵庫と電子パネルの意味が分かると思うのだが…。
※技能判定に成功した場合、探索履歴6を解禁

冷蔵庫の中の不思議な食べ物たちは、〈化学〉的な知識や、〈図書館〉でするように本棚を調べれば何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴7を解禁
ヴィキ
「最終更新日は、18日前か」
「うん……? 18日前には誰かいた、ってことかな」
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 65 > 成功
●大きな冷蔵庫へ【アイデア】で得た情報

冷蔵庫の奥には小窓が付いており、そこから別の設備へとつながっているらしい。
奥の食料ほど鮮度が高く感じられるため、なんらかの周期にて冷蔵庫内の食料が入れ替えられているようだ。
ヴィキ
「あ、そういうことか」
「どっかにプラントみたいのがあって、そこで食料を作ってるのかな」
「それの最終追加日が18日前ってことかな」
しばし、冷蔵庫の中身と、調理器具棚を交互に眺めてから
「よし、一丁やってみようかな!」
「いっつもあっくんに作ってもらってばかりじゃ、悪いし……それに」
「は、花嫁修行になるかも……」
先日の告白を思い出し、我知らず頬が緩んでしまう
「やっぱり、旦那様には美味しい手料理で喜んでもらいたいもんね~」
スパムのような成形肉と葉物野菜を取り出し、キッチンへと運ぶ
「えーと、あとはお皿とか包丁とか……」
調理器具の棚へ向かい
●食器・調理器具類
食器類は一人分には多く、二人分には少ない。
包丁やフライパンなど武器に出来るものは沢山あるが、武器となるものに〈目星〉はつくだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴5を解禁
ヴィキ
CCB<=85 〈目星〉 (1D100<=85) > 26 > 成功
●食器・調理器具類へ〈目星〉で得た情報

小型ナイフ程度の武器にはなる包丁や、小さなこん棒程度には使えそうなフライパンなどが置いてある。
※ステータスについてはルールブック準拠
ヴィキ
「うん、一通りはあるみたい」
「よーし、やるぞーー」
電子コンロにフライパンを置いて、袖をまくる
「えっと、確かあっくんの料理を見ていた時の映像と、レシピブックのデータが……」

ヴィキ
「あれ、砂糖だったっけ? 塩? ……胡椒だったかな」
「まぁいいや、全部入れちゃえ」
「コチュジャン……無いか」
「んー……まいっか、お味噌に唐辛子入れて混ぜて……」
「少々ってどんなのだっけ……」
「もー、少々とかひとつまみとか、アバウトすぎるよ! しっかり数値で書いてくれてれば、計測できるのに!」
「……火力、弱くない?」

ヴィキ
たっぷりと時間をかけて
「……できた!」
皿にごちゃごちゃと盛られた料理を前に、少なくとも当人は満足げだ
「これで、あっくんの胃袋キャッチだね」
「それでは……いただきます!」
いくつかの皿の料理を口に運び、その度に首を傾げ、そして段々と顔が曇っていく……
「……なんか、ギトギトだし、しょっぱいし、辛いし、甘い……それにジャリジャリする」
「……食べれなくはないけど……」
言って、フォークを置きかけてから
「いやいや、食材を無駄にしたらダメだよね」
「それでは、改めて……いただきます!」
覚悟を決めて取り組んだ

ヴィキ
食事室に、水音が響く
使用した皿や調理器具を洗いながら、首を傾げる
「おっかしいな~なんでダメだったんだろ……」
「でも、食感はいつもあっくんが作ってくれるやつに近かったよね……。柔らかさとか」
「私が作るといっつも、真っ黒なおせんべいみたいな感じだったし」
「ひょっとして、そんなに火力強くなくていいのかな?」
「今度は、もうちょっと弱火でやってみよう……」
呟きながら、ようやく洗い物も終え
フライパンなどを片付け……ようとして、手が止まる
それらをしばし見つめてから
包丁とフライパンをだけ、片付けずに携帯することにした
「……一応、用心のために……ね」

ヴィキ
「さて、と……」
振り返り、改めて食事室を見回すと、そこで初めて本棚に気がついた
料理に夢中で、そちらに意識が向いていなかった
「談話室、みたいなものだったのかな」
「どれどれ、どんな本が―――」
●机といす
2脚セットである。
この施設には二人以上の住人がいたのだろうか。

この場所ではスペーサーも誰かと“冗談を言って”いたのかもしれない。
●本棚
数冊の料理本があることに加えて、各種の図鑑やジョークの本もあり、低年齢層向けの本が並んでいるように感じる。
かと思えば「愛」や「正義」を語る哲学書の類もいくつか置かれており、ちぐはぐな印象だ。

スペーサーは“愛とは”何か、理解しているのだろうか?
ヴィキ
「あ、ここにも料理本あるじゃん。次はこれで挑戦してみようかなーー」
「……なんか、小さい子向けの本が多い感じ……ジョークの本まで」
「ひょっとして、スペーサーちゃんの教育用の蔵書なのかな?」
ふと思い立って、先ほどの部屋に残る彼女に、無線での接続を試みる
接続の完了のログを待って
『ねぇ、スペーサーちゃん。何か面白いジョーク、知ってる?』
冗談を言って
「 」
それでは謎かけを一つ。

愛しているひととかけまして、嫌いな人とときます。
その心は「はなしたくない」です。

いかがでしたか?
貴方にもそんな人はいますか?
ヴィキ
それこそ半ば冗談で問うた言葉に返ってきた通信を確認し
『お? おぉ~~、なかなかうまい!』
思わず、感嘆の声を送信してしまった
「へぇ~なかなかやるなぁ。他にはどんなこと話してたんだろ」
書棚に目を戻し
「愛と正義……か」
自分も、ついこの間まで知ってはいても本当に知ることはなかった感情だ……
ちょっと、思いついて
『ねぇ、スペーサーちゃん。愛、ってなんだかわかる?』
問うてみた
愛とは
「 」
古代ギリシアにおける四つの愛の概念は
男女の間の恋愛である、「エロス」
友人の間の友愛である、「フィリア」
親子や兄弟の間の家族愛である、「ストルゲー」
父なる神が子なる人間を愛するような、
無限なる無償の愛、「アガペー」に分類されます。

私は創造主たる人間への無償の愛を
プログラミングされています。
これも「愛」と呼べるのでしょうか?
ヴィキ
一般的な知識としての情報から、逆に彼女からの問い
同じ疑問を口にしていた、『彼女』のことを思い出す
自分と同じVOIDとして生まれながら、『心』の源だけは異にする、彼女
思えば彼女は、いつも自分の感情が『それ』に過ぎないのか、または自分だけのものであるのかについて、迷っていたように思える
いや、今でも、そうなのかもしれない
彼女が、『相棒』に対して抱き、不器用にぶつける気持ちが、果たしてどちらであるのか
そんな彼女に対して、自分がいつも思っていたから、この通信の向こうの新たな機械の友人に対して
「うん。あなたが本当にそうしたいと考えるのなら、きっと、そうだよ」
そう、答えた
返答は無かったけれど。
目の前の書棚の中の、もう一つの言葉が目に入る
『ねぇ、スペーサーちゃん。じゃぁ、正義って何だと思う?』
尋ねてみたい、と思ったので、そうした
正義とは
「 」
アリストテレスは正義を二種類に分類しました。

その人の当然の取り分をその人に与えるという『配分的正義』は社会システムであり国家です。
その人の行いに対して当然の報いを受けるという『応報の正義』は抑止バランスであり法です。

といった定義を行ったとしても個人での正義とは人の道にかなっていて正しいこと、なのでしょう。
貴方は正しい道を歩んでくださいね。
ヴィキ
『うん……ありがとう。そうだね』
それは、もしかしたら定型文のようなものだったのかもしれない
自分も、目覚めたばかりの時は、そうした文句を口にした
でも、なんだか、それが確かに彼女からの言葉のような気がした
そう思うのは、自分も機械の体を持つが故だろうか
「あれ」
「これだけ装丁が違うね……論文……かな?」
ページを開き、中身を改める
●ロボットの心
研究結果をまとめた冊子のようで、幾本ものマーカーと注釈が書き加えられている。内容を抜粋すれば以下の通りのことが書かれている。

心には【機能】と【クオリア】の二つの側面がある。
心の【機能】は高度に実現された電子回路によって成立しうるかもしれない。何らかの因果的な役割をもつ知覚や記憶の【働き】は再現できるものだからだ。

だが、心の【クオリア】はそう簡単にはいかない。
クオリアは「感覚された限りでのその感じ」であって、根本的に体験している当人にしか観察できない主観的経験だ。

疑念のポイントがあくまで「主観的経験がそこに生じている」ことへの疑いであるなら、他人もロボットと同じ認識論的な位置にあることが分かる。
「哲学的ゾンビ」や「マリーの部屋」の問題が論争を今も巻き起こすように、人は完全にはクオリアを理解できていないのだ。

ロボットに心を宿すことが出来るかどうかは、ロボット工学における永遠のテーマである。
そもそも今回のプロジェクトに「心」が必要であるかは議論の分かれるところであったが、感情が重要な判断基準であるとする「ソフティック・マーカー仮説」から「心」は必要であると結論付けられた。

彼女が真に「心」を持つことが出来たなら、大変喜ばしいものだが、それは残酷なことなのかもしれない。
しかし、その心配は無意味なものだろう。私にはロボットに心を持たせることなどは出来なかったのだから。

著:瀬名明(せなあきら)

名前に聞き覚えはないが、この“瀬名明とは”一体誰か、スペーサーに聞けば何か分かるだろうか。
ヴィキ
「クオリア……マリーの部屋、か」
「この人は、パパやあっくんのおじさんみたいな研究をしていたんだね」
彼女の心
それが、このプロジェクトのためにどう必要であったかは、わからないが
「心を与えることはできなかった……」
「……本当に、そうなのかな」
アプローチの仕方は違っても、自分には間違いなく心があると信じているし、皆もそう言ってくれる
自分の師とも、あらゆる意味で姉と呼べる彼女のそれだって、自分は間違いなく心であると信じている
この人物が、それを達することができなかったというのなら
本当に失敗したのか、あるいはそれをそうと信じることができなかった、のだろう
「……」
「この人、もしかして」
『ねぇ、スペーサーちゃん。瀬名明さんて、知ってる?』
瀬名明とは
「 」
その質問は本当に必要なものでしょうか?
この船はまさに楽園を乗せた船なのです。
そう急がなくても良いのではないでしょうか?

それでもまだ、貴方が先へ進むのであれば
瀬名明とは誰か”質問をしてください。
ヴィキ
「……」
突然返ってきた、これまでにない拒絶のような反応に、思わず黙ってしまう
なぜ、彼女はそれを知らせたくないのだろう
楽園を載せた船
その表現に、微かな疑問は生じたが、そもそも自分はこの船について、未だ何も知らないのだ
ならば、今ここで彼女の意思を無視して尋ねることもないだろう
そう判断した
『ううん、大丈夫。ごめんね、スペーサーちゃん』
そう通信を送ってから、彼女がどこか安心したように感じたのは、自分の気のせいだろうか

ヴィキ
「さて……と」
「とりあえず、お腹も膨れたし、他も見られところは見せてもらおうかな」
廊下へと戻り、それぞれのドアのプレートを改める
「とりあえず……資料室かな? 情報も欲しいし」
『ねぇ、スペーサーちゃん。資料室の扉を開けてもらえる?』
資料室の扉を開けてほしい
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

今はゆっくりと過ごす時間を大切にしてください。
ヴィキ
「あれ、そうなんだ……」
『うん、わかったよ。ありがとう』
「機密ってことかな……」
「じゃぁ、他を見せてもらおうかな」
「そういえば、さっきのお肉。沖縄のスパムみたいな感じだったけど、どうやって作ってるのかな」
「何か、タンパク質とかアミノ酸とかを直接合成したりとかしてるのかな」
「3Dプリンターでお肉作る研究とか、あったよね~。気になる」
『ねぇ、スペーサーちゃん。度々ごめんね。食料リアクターの扉を開けてもらえる?』
食料リアクターの扉を開けてほしい
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

食べ物は冷蔵庫の中に沢山ありますよ?
ヴィキ
『うん、そうだね。お、おいしかったよ。ありがとう』
「ここも、ダメか~」
「じゃぁ、片っ端から!」
工学室の扉を開けてほしい
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

物事には順序というものがありますからね。
ヴィキ
『あ、そう……』
「も~、その順序があるなら教えてくれればいいのに」
「次!」
生命保管エリアの扉を開けてほしい
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

私が貴方を信頼できるまでは。
ヴィキ
「播種船なんだもんね……そりゃそうか」
「え~? あとどこかあったっけ?」
生命保管エリアのプレートが設置されたドアを背に振り向くと、廊下の上にハッチのようなものが張り付いていることに気づいた
●狭い通路
左右に扉はない。
天井裏にでも続くのか、上部には丸い出入り口が設置されているが、梯子もなく辿り着く手段はない。
ヴィキ
「う~ん? なんだろ、あれ……」
「どこか他のブロックに繋がってる、とかなのかな」
「まさか、宇宙なんてことは……。いやいや、あってもまずはエアロックがあるはずだもんね」
しばし悩んでから
「……お願いしてみようかな」
通路天井の扉を開けてほしい
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

劇的なシーンには、準備が必要ですから。
ヴィキ
「意味深~~~~~~~」
「何なの? 劇的なシーンって。やっぱりエアロック? 脱出するとか?」
『ねぇ、スペーサーちゃん! 劇的なシーンって何なの?』
劇的なシーンとは
「 」
クライマックスのことですよ。

荘厳なBGMとともに、貴方の旅路を
演出してくれるに間違いありません。
ヴィキ
「どういうことなの……」
なぜか、電脳の奥でツァラツストゥラはかく語りきが流れたような気がした
「気になるなぁ……」
「う~ん。これで行けるところは全部か~」
「どうしよう、お腹もまだ減ってないしな」
「そういえば、食料リアクターの中は見られなかったけど、あのお肉、図鑑でどういうのなのか調べられないかな」
食事室へと戻り、書棚に向かう
「本で調べるのって苦手……。あっくんとか、よく根気よく調べ物できるな、って思うもの」
図鑑を引っ張り出してはページを開くが
1d100<=25 〈図書館〉 (1D100<=25) > 78 > 失敗
「うー。もう、何調べてるんだかわかんなくなっちゃったよ。どのページも面白いことが書いてるんだもの」
椅子に腰掛け、伸びをする
VOIDの体重に、椅子が軋みを上げるのを聞きながら
「ヒマだな……」
呟いてから
「いやいやいや、そうじゃないよ。そんなのんびりしていられないんだってば」
「うー」
唸ってから
残っている、気になることといえば
『ねぇ、スペーサーちゃん』
彼女に通信を繋ぐ
『瀬名明さんのことなんだけどさ』
瀬名明とは
「 」
その質問は本当に必要なものでしょうか?
この船はまさに楽園を乗せた船なのです。
そう急がなくても良いのではないでしょうか?

それでもまだ、貴方が先へ進むのであれば
瀬名明とは誰か”質問をしてください。
ヴィキ
またそれか、と思う
彼女にそれを秘したい思いがあるとして、それを尊重したいとは思うけれど
でも、勝手に連れてこられて、付き合わされているのだ
他に何も教えてくれないというのなら、多少わがままを言ったって良いだろう
『いいじゃん。教えてよ』
瀬名明とは誰か
「 」
彼は私の父です。生みの親であり、設計者です。
ロボットに心を宿す研究をしていましたが、
結局、それが成功したかどうかは分かりません。

貴方の知的好奇心のために「資料室への扉」と「食料リアクターへの扉」を開きました。
地図もありますし、迷子になることはないでしょう。

ところで貴方はロボットに心はあると思いますか?
コレは私のただの知的好奇心です。
ロボットにも心はある”のでしょうか?
ロボットには心はない”のでしょうか?
ヴィキ
「やっぱり……」
呟く
そして、彼女の問い
ただの知的好奇心と、彼女は言う
けれど、そこに迷いや不安のようなものがあるように思えて
『うん。あると思うよ』
そう答えた
ロボットにも心はある
「 」
さては貴方は優しい人ですね。
もしくは好奇心旺盛でこちらも気になったとか?

優しい貴方には思いやりの「心」があるのでしょう。
他人の心が分かることこそが、
心のありようなのかもしれません。
だからこそ私は「心」が怖い。
だって私は、「貴方の心」も証明できないのですから。

本発言は“記憶領域2”にログを保存していますので
見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「……怖い、って言ってるじゃん」
くす、とつい笑みが漏れた
『そうだね……』
『人も、そうやって不安に思うものなんだよ。だから、きっとロボットであるあなたにも心があると私は思う』
その言葉に対しての彼女からの返答は無かったが、気にしないことにした
「さて、と。資料室と食料リアクターだったよね」
資料室へと向かった

●資料室
天井近くまで無数の本棚が立ち並んでおり、窮屈な印象を受ける部屋である。
資料室に入ると、机と多数の本棚が目に入る。
ヴィキは机に置いてあったパソコンに近寄る。
●机とPC
大容量の記憶装置も付随しており、資料室内の情報の各種を検索できるようになっているらしい。
また、付属する再生装置では資料室の各棚にある記録媒体を再生できるようで、特に問題なく使用できる。

PCにインストールされている管理ソフトをよく見てみれば、タイトルに「プロジェクトアガルタ」とあるようだが、それが何を示すのかは判断が出来ない。
ヴィキ
「うわぁ……すごい、ハードコピーのものまで、こんなに」
思わず感嘆の声が漏れた
「光学メディアは……なるほど、この端末で見られるんだ」
「ん……管理ソフトの中にファイルが……プロジェクト・アガルタ?」
「なんだろ」
『ねぇ、スペーサーちゃん。プロジェクト・アガルタって知ってる?』
プロジェクトアガルタとは
「 」
人類は大きな危機に瀕していました。

巨大隕石が地球に衝突し生物の98%が死に絶える。
そんな未来から人類の血を守るプロジェクトとして
ノアの方舟たる本船の建造が開始されました。

貴方を信頼して「生命保管エリアへの扉」と
工学室への扉」を開放しましたので、
計画の中身が気になる際は訪ねてみください。

私自身もその計画の真実を把握できていませんが、
計画の続きが気になる”ならお伝えしますよ。
ヴィキ
『なんだか、怖い話だね……。でも、それに備えると言うのは、確かに大切かも』
『もっと詳しく聞かせて?』
計画の続きが気になる
「 」
そう、人類は大きな危機に瀕していました。

「地球の血を絶やさないために」。そうして
数々の生命種を載せた本船が目指す場所は
この宇宙のどこかにある、新天地アガルタです。
プロジェクトメンバーであった父の役目は
アガルタを支える管理AI、つまり私の開発でした。

父は開発を急いでいました。
人類が滅亡する、
そんな未来が2万年後まで近づいていたのです。
さらに計画の続きが気になる”ならお伝えしますよ。
ヴィキ
『2万年後……それって近いのかな? 遠いのかな?』
『なんか、感覚がおかしくなっちゃうね……。それでそれで?』
さらに計画の続きが気になる
「 」
ノストラダムスの大予言はご存じですか?
いつの時代でも人類は危機に瀕しています。
そんな「地球滅亡論』という口実をもとに、
技術者達が作り上げたエゴの塊が、この船です。

危機はあったのでしょうか無かったのでしょうか?
その真偽は不明ですが、確かなこともあります。
父達はこの船に、確かに「希望」を載せたことです。
人類が危機に瀕していなくても、方舟は飛ぶんです。

本発言は“記憶領域6”にログを保存していますので見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「うーん……」
「ひょっとして、スペーサーちゃんはこのプロジェクト自体、否定的なのかな……」
『アガルタ、って、あのアガルタ?』
アガルタとは
「 」
地球の中心にあるという、理想世界の名称です。
地下でありながら太陽光と自然環境があり、
高度な科学文明を伴う理想郷があるとされました。

実際に多くの科学者や権力者が求めたそれは
科学の発展により支持を失った今でも、
古典的SF設定としての地位を獲得しています。

宇宙の果てと地球の裏側という対極の存在は
プロジェクトメンバーにってはどちらも、
「身近な理想郷」だったのです。
ヴィキ
『やっぱりそれか~。昔、どこかの独裁者の人も晩年探し求めたとか言ってたっけね』
『あなたは、希望についてどう思う?』
希望とは
「 」
神話では、人類最初の女性であるパンドラが、
好奇心から「パンドラの箱」を開けてしまい、
この世にあらゆる悪いものが飛び出した時に、
最後に残ったのが「希望」だったとされています。

ですが、私にとってはイメージにずれが生じます。
なにせ私は希望を載せて飛び出したものですから。
ヴィキ
『なるほど。先に希望を飛び出させちゃったわけだもんね。確かにそうかも』
彼女が抱える疑問に、ちょっとくすりとしてしまった
「他にはどんな資料があるかな……?」
●本棚A
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

「テラフォーミング」を扱った書籍が多いようだ。
農業や環境生物学の本が多数収められており、明確な目的意識を感じる。
ヴィキ
「お、テラフォーミングか」
テラフォーミングとは
「 」
太陽系などにある天体を改造して。人類が定住できる環境に作り変える計画です。候補としては、火星が最も有望視されていますね。しかし完了には、15,000年必要と言われています。

ソラリスにテラフォーミング能力はほぼありません。方舟は地球を探すために出発しており、地球を作るために出発したわけではないのです。

本発言は”記憶領域24にログを保存していますので見返す際にはご利用ください。
ヴィキ
「おとと」
疑問に思ったことが、彼女に伝わってしまっていたらしい
「そうか~この船の旅は……なんていうか、壮大で果てしない感じだね」
「外宇宙に、そうした天体が見つかった、とかは聞いたことがあるけれど、そこが本当に新しい新天地になるのなら……それはすごいことだね」
242年もの歳月をかけて彼女が目指すという、その新天地において、彼女に託された希望が結実することを、そっと祈った
●本棚B
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

「文化人類学」を扱った本が多いようだ。
地域ごとの人間の文化や思想などの情報が広く浅く収められているが、誰しもが知っているような人間としての基礎知識が多く、情報としての質は低いように感じる。

なんとなく違和感の感じる書籍の構成だが、思い当たる【知識】はあるだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴8を解禁
ヴィキ
「次は……文化〈人類学〉……難しそうだな」
思い、眉を顰めたが
いくつかの書籍を手に取って、首をかしげる
CCB<=90 【知識】 (1D100<=90) > 56 > 成功
●文化人類学の本へ【知識】で得た情報

人間の規範や文化を、三人称視点で解説している書籍も多く、まるで人間を知らない誰かへと、人間とは何かを教えるために揃えられたようなラインナップだと感じられる。
ヴィキ
「この内容……まるで、わたしたちのことを知らない誰かに情報を伝えるためのもののような……」
自らのストレージの中から、抱いた疑問に関連する情報が自動的にピックアップされてくる
「……ゴールドディスク」
かつて、いくつかの惑星探査のために宇宙へと放たれた観測機
それはやがて、太陽系の軌道を脱出し、外宇宙へ向けて飛行することが想定されていたが、いつかそれが別星系の知的生命体と出会った際に、地球のことを知らせる情報が刻まれた金色の円盤が搭載されたという
「もしかしたら、これらの知識はそのためのものなのかもしれないな」
「えっと、次は……」
●本棚C
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

オカルトじみた本が多く存在するようだ。
一見しただけでは意味の取れない単語の羅列が多いが「イスの精神交換」との単語が頻出しており、それについての研究がなされていたようだ。

〈オカルト〉的な知識に造詣が深ければ何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴9を解禁
ヴィキ
「……」
「なんか、こういう科学の粋を凝らした宇宙船にはそぐわないような……でも」
「……精神交換……」
自分の今の体に施された技術のことを思い、少し背筋が冷えるような、そんな感覚が襲う
1d100<=5 〈オカルト〉 (1D100<=5) > 86 > 失敗
なぜだか、あまり深く読み込むのはイヤだ
そう感じ、そっと本棚に本を戻した
「あと……最後の本棚か」
●本棚D
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

特に医療に関わる書籍が多いようだ。
人間に対する医療知識のみならず、各種動物への医療知識も合わせて収められており、この資料室内でも、医療関係の書籍は特に大きい割合を占めているようだ。
ヴィキ
「医療関係かな……っと」
「何か挟まってる……カルテ、かな」
●カルテ
医療関連の書籍を確認していると、一冊のカルテが挟まっていることに気づいた。

「瀬名真白」という人物のカルテのようだ。
10歳前後の少女のようで、小児がんを患いいくばくかの命もないことが示されている。

〈医学〉的知識があれば、さらに詳しく分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴10を解禁
ヴィキ
「瀬名真白、さん……」
「瀬名、って……」
「小児がん……かわいそうに……」
内容を改め、Ageと記載された項に目が止まる
「以前の私と、同じ……」
「この子も、私みたいにVOIDの体に生まれ変われば……救われるのかな」
ふと、そんなことを考えてしまったが、その後に自分が抱えた葛藤や悩み、苦しみを思うと、それが最良の策とはいえないような気がして頭を振った
「私には、みんなが……あっくんがいてくれたから」
「必ず、幸せになれるだなんて、そんなこと言い切れないよね」
母のこと、また自分の最愛の人が未だに悩み苦しむ、黒田のことを思った
1d100<=18 〈医学〉 (1D100<=18) > 2 > 成功
続くドイツ語の表記を、自らの医療データベースと照合しながら、読み進める
●カルテに対して〈医学〉で得た情報
脳に発生した悪性腫瘍の治療として、腫瘍の全切除の処置がとられている。腫瘍の発生場所を確認すると全切除の手術は脳機能障害の危険性もあったようだ。
手術自体は成功を収めたようだが、他部位への転移が見つかり、抗がん剤治療にシフトしている。
ヴィキ
「頑張ったんだね……。それなのに、今も……」
どれだけ技術が発達しても、未だ克服しきれぬ壁というものが存在する
また、今自分達の前には、種の違いという大きく分厚い壁が立ちはだかっている
人間という種は、これからも壁にぶつかりながら、苦しみながら生きていくのだろうか
「……いいえ」
頭を振る
今も、その壁を乗り越えようと、自分や仲間たちが戦っている
必ず、乗り越える
乗り越えられる
そう信じて
「この子が、いつかきっと救われますように……」
呟き、カルテを元の書籍に挟み直した
『ねぇ、スペーサーちゃん。……瀬名、真白ちゃんって、知ってる?』
瀬名真白とは
「 」
瀬名真白とは、瀬名明の一人娘の名前です。
そしてある意味では私の名前ですね。

病弱で夢見がちで、お父さんのことが大好きな、
そんな彼女をベースに私は作られました。
私のベースとなった記憶は瀬名真白のモノです。
ヴィキ
「……!」
その答えに、思わず肩が跳ねた
『そう、なんだ……ありがとう』
同じ、なのだ
父と父は同じことを考え
同じことをした
自分のことを、母のことを思い出す
『ねぇ、スペーサーちゃん』
呼びかけに、問いかけを待つようなシグナルが送られてくる
しかし
『……ううん。なんでもない』
貴方は、幸せ?
そう、尋ねることはできなかった


CoC『VOID』8 3日目(秘匿オープン版)

救助に邪魔なので一旦四肢を折りたたみましょう(ばきばき)

CoC『VOID』36(アフター・おまけ2)

アットホームな職場はここにあったんや……!!

CoC『VOID』13 7日目(秘匿オープン版)

CoC
VOID 7日目 open
■みんな仲良しだから……
NPCはちゃんと働くし、
一緒に盛大な判定失敗して慰めるし
女子だけど男子トイレに侵入しようとしちゃうんだ☆



本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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