これは、VOIDのHO4による
空白の航海です。
両方のネタバレがあります。
十分ご注意ください。
また、『空白の航海』は特に
自分でのプレイが推奨されます。
仕掛けが凄いので是非自分でプレイしてから読んでくださいね!

参加PC


スタンバイー
 ⇒“電源を入れる
「 」
お帰りなさい。まずは明かりが必要ですね。
明かりをつけさせていただきます。目の前の“黒い闇”を取り除きましょう。
BGMはお好みで。
シックなJAZZなどはいかがでしょうか。

明かりがつきましたら“メッセージ”をお伝えさせて頂きます。

私だけでは出来ないことも沢山あります。

目の間にある闇はさぞかし恐ろしいものでしょう。
宇宙にも似た深淵が、潜んでいるのかもしれません。
ですが、貴方が踏み出さなければ何も始まりません。

心配しないでください、私が、ついていますよ。

闇を貴方の手で削除したら、わたしからの“メッセージ”を忘れないでくださいね。

私の名前は「 」です。

今はスペーサーとでもお呼びください。
何でも質問してくださいね。何でも答えますよ。
ロボット三原則が有効に働いていますから、
貴方に危害を加える心配はありません。

特定の語句へ質問がある場合には“○○とは”と、
私に発言をお願いいたします。
試しに“ロボット三原則”とはなにか
聞いてみてくれませんか?
ロボット三原則。VOIDが人間社会の中で当然のものとなった今に、そんな質問をしろと言われることがあるとは。
いや、それだけ馴染みの深いものであるからこそ、このわけのわからない状況への導入としてはふさわしい、のだろうか?
「……スペーサー、ロボット三原則とは?」
「 」
ロボット三原則とは

●第一条
ロボットは人に危害を加えてはならない。

●第二条
ロボットは第一条に反するおそれのないかぎり 人に与えられた命令に服従しなければならない。

●第三条
ロボットは、第一条および第二条に反する おそれのないかぎり、自己を守らなければならない。
アンドロイド法として整備された内容としては少し足りていないが、その元となったアイザック・アシモフのロボット三原則としては正しい。
この子は旧型の機械に見えるが、音声認識、およびその内容から正しい記述を引っ張り出してくることはできるらしい。
……さて。明かりはついた。そろそろ現実を認識しなくてはならないだろう。
「……ここ、どこなんだろうねえ。スリープモードに入ってたみたいだけど、ええと、なんでこんなところに……?」
●寝室
明かりがついた状態で改めて辺りを見回すと、そこはどこか見知らぬ部屋のようだった。
ビジネスホテルのような間取りではあるが、壁や家具は無機質な白で覆われていた。

自分は普段着ではあるが所持品の類はない。
どうしてここにいるのか、ここがどこなのかさえ分からない。見知らぬ場所に連れてこられた恐怖から【1/1d3の正気度喪失】

部屋には幾つかの物品はあるようだ。ロボットは腕を振りながら私の対応を待っている。
分からないことだらけだが、ロボットへ”メッセージ”を送信すれば何か話すかもしれない。
CCB<=70 SANチェック (1D100<=70) > 24 > 成功
[ 春 ] SAN : 70 → 69

「相棒、あいぼーう! どこかに居たりしなーい!?」

返答はない。叫ぶ声は部屋の白に吸収され、しんと静まり返っているようだ。


「なんなのこれ……。通信は」
―――全回線、オフライン。機内モードにでも設定されたかのように、外界に通じる手段は奪われていた。

「……なんなの、もう。この子とわたしを閉じ込めて、何が目的なんだろう」

同じ空間に、見知った顔がないというのはこんなにも不安を掻き立てられることだっただろうか。無意識に耳元に手を当てるが、ヘッドフォンも音楽プレイヤーも取り上げられているようだった。
一体どうやってスリープさせられたのか。何が目的でさらわれたのか。いつも一緒にいるはずの相棒は……相棒に、危険はなかったか。
並列に走る思考がいくつもの“今わかるはずがないこと”を思索し始める。

とにかく、何かをしなければならない。どうにか外との連絡手段や、脱出方法を見つけて……帰らねば。
焦燥感に駆られるように、部屋を見回した。

目につくのはベッド、ベッドの上に置かれたメモ、先ほど少し会話をしたロボット。
バストイレにつながる扉と、外に繋がってるらしい機械的な簡素な扉。
壁際には机のいすが備え付けられている。

「……とりあえず、メモなら何かしらメッセージがある、はず」
直近で経験した事件をありありと想起させながらメモを拾う。
またこのパターンなのか。
●メモ
いきなり呼びつけてしまった君が、これを読めるといいのだが…。

まず、目の前の彼女が決して悪い子ではないことを信じてほしい。分からないことがあれば彼女に聞いてくれ。彼女なりに答えてくれるはずだ。
彼女は「こんにちは」や「おはよう」などひと通りの挨拶も勿論できるし、沢山の質問に答えてくれるだろう。
何なら僕よりずっと賢いからね。

ここでは少しの時間をいただくのみで、すぐに君は元の場所に帰れるだろう。その間“チューリングテスト”じみた私のエゴに、どうか付き合ってほしい。
テストプレイはいつまでも終わっていないから、君らしさを彼女に示してやってほしいんだ。

既に旅は始まっているのに、彼女は一人なのだから。
「いや随分勝手なこと言ってくれるよねえ」
口の端がひくりと動く。
いきなりさらってきた相手を信じろというのか。……いやまあ、今は情報少ないし半信半疑くらいで行くしかないんだけど。
「旅とかチューリングテストだとかテストプレイだとか気になることばっか書いてるけど……。きみも大変だねえ。というかきみのための試験だったりするのかなこれ」
あははー、と誤魔化し気味に笑って、改めてロボットに向き合う。
本編見る!
●アシスタントAIを名乗るロボット
歩行や簡単なモノの受け渡しも可能であり、胴体部や腕の長さは可変するようで、どういった技術が使われているのか分からない。
再生される電子音声は女性らしい声をしているが、性別は不明だ。

〈コンピューター〉の知識があれば、もう少し深く分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴2を解禁。

〈電子工学〉〈物理学〉を用いれば、材質等の見当はつくだろう。
※技能判定に成功した場合、探索履歴3を解禁。
CCB<=90 〈コンピューター〉 (1D100<=90) > 51 > 成功
●スペーサーへ〈コンピューター〉で得た情報

拙い返答も存在するものの、大抵の問いかけには人間的な反応を返し、アシスタントAIとして非常に高性能…。過剰な性能とすら言える。
「……うーん、VOID以外に……というか、これだけ小型の機体に載せるにしては大分過剰スペックだねえ、きみ。あんまり小型化しすぎると技術だったり倫理だったり需要だったりがアレしちゃうから、VOIDはあんまり小型化の開発進められてないはずなんだけどー……」
「……もしかして、きみも“最新型”だったりするのかなー?」

首をかしげるロボットをひとまず置いて、今得た情報を基に考える。
……あながちチューリングテストめいたもの、というのも嘘ではなさそうだ。新規技術に触れている……のだとしても、どうしてこういう形でテストしているのかはさっぱりわからないけれど。
チューリングテストって、見た目でロボットと分かる相手が目の前にいたら意味ないはずだし。
はあ、と息を吐いてベッドに座る。
●ベッド
重量のある無機質なベットであり、寝心地は良さそうだ。

どことなく違和感を感じるが、なにかいい【アイデア】が浮かべば良いのだが…。
※技能判定に成功した場合、探索履歴1を解禁。
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 45 > 成功
●寝室のベッドへ【アイデア】で得た情報

自分ではない誰かの形にクセがついているようだ。
この部屋の”前の住人とは”一体誰なんだろうか?
「ワオ、この部屋、誰か使用済みだったんだ。他にもさらわれた子居たりして」
「ねえねえ、スペーサーくん。この部屋って前に誰か住んでたの?」
「 」
父と一緒に旅をしていました。

記憶とは「聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚」の順番に
忘れていくものだそうですよ。
貴方は思い出の人の声は思い出せますか?

ロボットの私にはなんていったって幸運なことに
忘れるという機能は搭載されておりません。
「ワオ、奇遇だねえ。わたしも忘れる機能はないんだ」
“そこにその記憶がある”ことさえ意識していれば、ログはいつだって簡単に取り出せる。その記憶を意識すらしなくなった時、わたしはまるで『忘れた』ような挙動をするけれど、厳密には人間のそれとは機序が異なる。
わたしの中で、記憶は風化することがない。ただ、どこにしまったか意識することがなくなって、記憶に触れることがなくなる。それだけだ。
「あ、でもデータごと記憶が削除されちゃったら話は別ね。ファイル破損とか。たぶんきみもそーなんだろうけど」
ごろんと一度ベッドに寝転がって、ため息を吐く。
VOIDの重量に、大きくベッドが軋む。まるで文句を言われているようでバツが悪い。まあ、見た目よりは重いけど想定重量内には収まっているはずだ。許してほしい。
ごろごろしながら扉の方へと視線を移し、ふと思いつく
●扉
機械的で簡素な扉だ。
カギがかかっているらしく、開く様子はない。
ロボットへ”扉を開けてほしい”と伝えるべきだろう。
「ねえ、スペーサーくん。あそこの扉、開けてくれないかなー……なんて」
ダメで元々。機械式ではあるようだけど端末がない以上ハッキングも難しそうだし、いきなりこの子にハッキングを試みるよりはマシだろう。
「 」
すいません。
「寝室から外への扉」を開きました。

食事室へは自由に行けますよ。
長い旅路ではお腹が減ってしまいますからね、
目的地着までの推定時間は242年と3ヶ月です。

ごゆるりとお待ちください。

もしこれから、私の発言を忘れてしまった場合でも
貴方の元にログは残っているはずですから
そちらから再質問をお願いしますね。
「……ワオ。本当に開いてくれるんだ。色々突っ込みたいところあるけど」
242年と3ヶ月ってなんだ。宇宙旅行でもしているのだろうか。
……というか、もしかしてこの部屋、何かの車両とかに積まれていたりする?
わたし、どこに連れてかれてるんだろう。
「外に出るのもいいけど……一回色々聞いとこうかな。ねえスペーサーくん、きみがさっき言ってた父って?」
「 」
両親のうち、男親の方を指します。

また他国からの独立、宗教活動、重要な発明など
それら創始や発展に重要な役割を果たした男性を
「○○の父」と呼ぶことがありますね。

私の父は親であり、設計者ですので、
将来では「スペーサーの父」なんて言われているかもしれませんね。
「ああ、設計者さん」
ぽんと手を打つ。
……あまり、自分を創り上げた天城さんや有馬社長を父とは認識していないからその発想は思いつかなかった。
「じゃー、次は、そうだなあ……。目的地ってどこ? 242年ちょっともかかるんだし大移動なんじゃなーい?」
「 」
地球

あるいは地球と成り得る星です。
「……………ワオ。話のスケールがどんどん膨らんできちゃってるよこれ」
「まるでここが地球じゃないみたいじゃん。テラフォーミングも視野に入れてる感じかな?」
「うん、今は深く聞いたら不安にしかならなさそうだし他の事聞いちゃうぞう。えーと、じゃあ、スペーサーくんって名前に由来あったり?」
「 」
アイザック・アシモフのSF小説『鋼鉄都市』などの
ロボットシリーズ・ファウンデーションシリーズに
登場する、宇宙に移民した人類の子孫を指します。
宇宙人・宇宙族と訳されている場合もありますね。
と同時に、語の区切りを表すために空ける空白、
またその他の字間の空白はスペースと呼ばれます。

宇宙を旅する航海士と、何者にもなれる空白。
私にピッタリの名前だとは思いませんか?
「ダブルミーニングって奴なんだねえ。そっかそっか、きみは“これから”が始まりなんだね」
うーん、と唸る
「参ったなあ、わたしこれでもけっこー、誰かと話すの得意なつもりだったんだけど……話題がなーい!!!」
「ちょっと外行ってくるねー。様子は見ておきたいし」
よっ、と声を上げて立ち上がる。
存外あっさり開いた部屋の扉から一歩、廊下へと踏み出した。
●廊下
両端の連絡扉と、左右に二つずつの扉がある。
細長いただの廊下のようだが何となく違和感を覚える。違和感を説明できる【アイデア】は思いつくだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴4を解禁
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 25 > 成功
●廊下にて【アイデア】で得た情報

細長い廊下は僅かに湾曲しているようで、緩やかにカーブした上り坂のように思える。
しかし、不思議と登っている感覚はない。
「んー……? センサー的には確かに傾斜がある、んだけど」
「なんだろうなあ、重力のベクトルがおかしい? ……うーん?」
首をかしげながら、とりあえず出入りが許可されているらしい食事室へと向かっていく。
●食事室
地面などはホコリが被っている様子ではなく奇麗なままであるものの、奇麗すぎるところもあり、しばらく使用者はいなかったのではないかと感じる。
「うーん生活感のない感じ。食事室でコレはよろしくないんじゃないかなあ」
冗談めかしたひとりごとをこぼしながら、部屋全体を見回す
ドアの近くには本棚が並び、少し奥には机と二人分のいす。さらに奥にはシステムキッチンとカトラリーの収まった棚、冷蔵庫が見える。
「食事室に本棚? レシピ本とかかなあ」
どれ、と本棚を覗きに行く。
●本棚
数冊の料理本があることに加えて、各種の図鑑やジョークの本もあり、低年齢層向けの本が並んでいるように感じる。
かと思えば「愛」や「正義」を語る哲学書の類もいくつか置かれており、ちぐはぐな印象だ。

スペーサーは”愛とは”何か、理解しているのだろうか?
「おっと意外に哲学的なラインナップ! うーん、情操教育って感じするねえ」
GM
それらの本の中に、一つだけやたらと使い込まれたような質感の冊子を見つける。
●ロボットの心
研究結果をまとめた冊子のようで、幾本ものマーカーと注釈が書き加えられている。内容を抜粋すれば以下の通りのことが書かれている。

心には【機能】と【クオリア】の二つの側面がある。
心の【機能】は高度に実現された電子回路によって成立しうるかもしれない。何らかの因果的な役割をもつ知覚や記憶の【働き】は再現できるものだからだ。

だが、心の【クオリア】はそう簡単にはいかない。
クオリアは「感覚された限りでのその感じ」であって、根本的に体験している当人にしか観察できない主観的経験だ。

疑念のポイントがあくまで「主観的経験がそこに生じている」ことへの疑いであるなら、他人もロボットと同じ認識論的な位置にあることが分かる。
「哲学的ゾンビ」や「マリーの部屋」の問題が論争を今も巻き起こすように、人は完全にはクオリアを理解できていないのだ。

ロボットに心を宿すことが出来るかどうかは、ロボット工学における永遠のテーマである。
そもそも今回のプロジェクトに「心」が必要であるかは議論の分かれるところであったが、感情が重要な判断基準であるとする「ソフティック・マーカー仮説」から「心」は必要であると結論付けられた。

彼女が真に「心」を持つことが出来たなら、大変喜ばしいものだが、それは残酷なことなのかもしれない。
しかし、その心配は無意味なものだろう。私にはロボットに心を持たせることなどは出来なかったのだから。

著:瀬名明(せなあきら)

名前に聞き覚えはないが、この”瀬名明とは”一体誰か、スペーサーに聞けば何か分かるだろうか。
「…………うっわあ」
何の因果だ、これは。この話を、この理論をこの場所に連れてこられたわたしが見つけるだなんて。
哲学的ゾンビ、マリー……あるいは表記ゆれのメアリーの部屋。
ロボットは心を宿せるのかどうか。
以前、わたしに関しての実験を知ったときに吐いた言葉の通り、哲学的ゾンビは外側からは判別できない。『主観』は当人にしか把握できないものだからだ。
わたしはわたしの心がここにあると信じている。
わたしには自ずから発生する、パターン化された記号ではない情動と知性がここにあることを信じている。
……そうあることを、スペーサーくんも望まれていたんだろうか。

……いけない、少し感傷的になりすぎている。
結局、事情や事態については何一つ理解していないのだ。いまは調べる方が先だろう。
そっと本を戻して、棚の方へと向かう。
●食器・調理器具類
食器類は一人分には多く、二人分には少ない。
包丁やフライパンなど武器に出来るものは沢山あるが、武器となるものに〈目星〉はつくだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴5を解禁
CCB<=37 〈目星〉 (1D100<=37) > 30 > 成功
●食器・調理器具類へ【目星】で得た情報

小型ナイフ程度の武器にはなる包丁や、小さなこん棒程度には使えそうなフライパンなどが置いてある。
※ステータスについてはルールブック準拠
「んー……まあ、とっさの盾が欲しくなる場面もあるかもだし、フライパンくらいはもらっちゃおかな」
フライパンを入手
「こっちの冷蔵庫はどうだろ、なにがあるかな~。というかちゃんとしたご飯あるのかしら」
●冷蔵庫
冷蔵庫の容量は一般的なものよりはるかに大きい。
さらに、冷蔵庫の電子パネルには「前回更新日より18日経過」との表示があり、中身はブロック状の成型肉や非常に大きな葉物類などが並んでいる。

よい【アイデア】が浮かべば、大きな冷蔵庫と電子パネルの意味が分かると思うのだが…。
※技能判定に成功した場合、探索履歴6を解禁

冷蔵庫の中の不思議な食べ物たちは、〈化学〉的な知識や、〈図書館〉でするように本棚を調べれば何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴7を解禁
CCB<=75 【アイデア】 (1D100<=75) > 94 > 失敗
ハイ。
CCB<=43 〈図書館〉 (1D100<=43) > 89 > 失敗
なにもわからない!
「なーんか不思議な感じするけど……なんだろね、これ」
「わたしなら普通の毒は効かないけど……わからないものは手を付けるべきじゃないよねえ」
いっそ食べて調べてもいいかもしれないけれど、それがバレたら後々相棒やリトに叱られそうだ。

めぼしいところは大体見た。食事室を出て、一度廊下で間取りを確認する。
……ぐるりと見回すと、いくつかの扉の上に部屋の案内表示と思わしき看板がある。
「食料リアクター」「工学室」「資料室」
それと、奥につながる通路と、通路天井にある丸いハッチのようなもの、さらに奥に「生命保管エリア」

「なんだかあんまりいい予感のする間取りじゃないなあー」
移動車両にしては広すぎるし、設備が充実しすぎている。
食料プラントが本当にあるのだとしたら、目に見えている以上に広大な空間を使用しているはずなのだ。
というか生命保管エリアってなんだ生命保管エリアって。

「スペーサーくん、ちょっとお話しようね」
部屋に戻り、ロボットの目の前に座って話しかける。
「スペーサーくんは愛とは、どう考えてる?」
「 」
古代ギリシアにおける四つの愛の概念は
男女の間の恋愛である、「エロス」
友人の間の友愛である、「フィリア」
親子や兄弟の間の家族愛である、「ストルゲー」
父なる神が子なる人間を愛するような、
無限なる無償の愛、「アガペー」に分類されます。

私は創造主たる人間への無償の愛を
プログラミングされています。
これも「愛」と呼べるのでしょうか?
「ワオ、なんだかすっごいお揃いだねスペーシーくん。実はわたしもそうだったりするんだよねー」
被造物の、創造主への愛。そうあるように造られたから当然にある愛。
「愛は愛でいーんじゃない? 最初から定められたものだとしても、わたし達がそれに従おうと思う限りは」
「ヒトの親が子を愛するように、子が親を愛するように、本能にプログラムされた愛着だってある。それ自体は悪いものじゃあないと思うよ」
まあ、中にはそれがうまく働かなかったり、途中で愛想を尽かしたりするパターンもあったりするんだけども。
「じゃあ、近い質問としてそうだなあ。心とは、なんだと思う?」
「 」
私や研究者が探し求めるものであり、

そして一生見つからないモノなのかもしれません。
「そっか。難しいよねー、心ってさあ。自分で『自分には、他人にはそれがある』って信じるしかなくて、物理的に証明できるものじゃないもんね」
結局、わたしに施されていた実験がどの程度わたしに影響をしているのかは未知数だ。それは心を生んだのか、心があるという前提の下でパターン化された反応を返すだけの機械なのか。
わたしは、わたしに心があると信じている。そう信じたい。でも、それを証明する方法は、きっとない。
「この問題について熱心に研究してる人もいたらしくてさ。知ってる? 瀬名明とは」
「 」
その質問は本当に必要なものでしょうか?
この船はまさに楽園を乗せた船なのです。
そう急がなくても良いのではないでしょうか?

それでもまだ、貴方が先へ進むのであれば
瀬名明とは誰か”質問をしてください。
「ワオ、思ったより怖い答え方するね、きみ」
「おーけい、なんだかこのまま進むのも良くない予感がするし、別の話をしよっか」
「……にしても、船ね。うーんいやな予感!」
宿泊室に食事室に食料リアクター。
……字面からの想像だけど、仮に食料生成もここで行ってるならばいくらなんでもこの空間で生活が完成しすぎている。社会の中で生活するのにここまで閉じこもる必要ってあるのだろうか。
まるで宇宙船のような設備だな、なんて思考が浮かんでくる。
「よし、じゃあ食料リアクターの扉を開けてくれないかな? 色々見て回りたいんだよね」
「 」
すいません。
まだ扉を開くことは出来ません。

食べ物は冷蔵庫の中に沢山ありますよ?
「あれま。まだってことはいずれは開けてくれるのかなこれ」
「……時限性か、それとも踏むべき手順があるのか。うーん、となると他の部屋も開くか怪しいね」
「よし、じゃあ気晴らしに冗談を言ってみて!」
「 」
それでは謎かけをひとつ。

愛しているひととかけまして、嫌いな人とときます。
その心は「はなしたくない」です。

いかがでしたか?
貴方にもそんな人はいますか?
「ワオ、思いっきりブラックジョーク!! 意外と抉りこんでくるんだねスペーサーくん」
「んー……あとは片っ端から聞いてってみるか。覚悟しろよお~?」
「じゃーまず、生命保管エリアとは?」
「 」
回答なし
「資料室とは?」
「 」
回答なし
「工学室とは?」
「 」
回答なし
「食料リアクターとは?」
「 」
人工土壌をベースとした食料生成施設です。

家畜飼料となる穀物の栽培を藻類の培養に、
家畜飼育を動物細胞の培養に置き換えており、
植物資源と動物資源の両方を生産しています。

多種多様な食物の生産を行っていますので
野菜サラダやハンバーグだって作れますよ!
貴方に料理の技術があればですが。
「お、回答があった。……うーん、運用されてる技術が進みすぎてるような……」
「色々使える食材らしいけど、わたしは特別料理スキルがあるわけじゃないしなあー。結城さんなら色々作れたんだろーけど」
「……なんか、ひとりごとが多いなわたし。思ったより皆が居ないのが寂しかったりしちゃう?」
さて。
思いつく単語は大体聞いたし、探索できる場所もまだ増えてない。
そろそろ“先へ進んで”もいいかもしれない。

「ねえ、スペーサーくん。“瀬名明とは誰か”な」
「 」
彼は私の父です。生みの親であり、設計者です。
ロボットに心を宿す研究をしていましたが、
結局、それが成功したかどうかは分かりません。

貴方の知的好奇心のために「資料室への扉」と「食料リアクターへの扉」を開きました。
地図もありますし、迷子になることはないでしょう。

ところで貴方はロボットに心はあると思いますか?
コレは私のただの知的好奇心です。
ロボットにも心はある”のでしょうか?
ロボットには心はない”のでしょうか?
「あ、ほんとにこれで開けてくれるんだ。ありがとね」
「ロボットにも心はあるよ。わたしはそう信じてるし、そうあって欲しいと思ってる。証明は出来ないけど、だから自分で思うことが大事だと思うんだよね」
われ思う、故にわれ在り。まずはそこからだ。
「 」
さては貴方は優しい人ですね。
もしくは好奇心旺盛でこちらも気になったとか?

優しい貴方には思いやりの「心」があるのでしょう。
他人の心が分かることこそが、
心のありようなのかもしれません。
だからこそ私は「心」が怖い。
だって私は、「貴方の心」も証明できないのですから。
「あはは、それって多分、ヒトも事情は同じだよ。みーんな心の有無なんて証明しようがないもの」
「……よし、じゃあちょっと行ってくるね」
一路、食料リアクターへ。調べられるところは調べておこう。
扉を抜けるとさらに廊下が広がっていた。
左右には二つずつ、電気室と育成室。
突き当りには正体不明の扉がある。
「電気室は……カギがかかってるか。とりあえず育成室見てみよっか」
●食料リアクター
化学工場のような様相であり、白色と銀色の設備が無数に折り重なり有機的な設備を作っている。
「お、どっちの扉からでも入れる感じか」
思ったよりも広い部屋……ではあるのだが、設備がほとんどの空間を占めている。自分が動けるスペースはあまりなさそうだ。
「机にはー……地図とパソコン?」
●机
机の上には船内案内図と書かれた地図が置いてある。

設備に接続されたパソコンでは食料リアクターの生産計画を管理しているようだ。破棄物による資源循環も行っているらしく、半永久的に食料を生産できる作りになっているらしい。
「……破棄物って多分、余ったものとか……排泄物も含んでるのかなこの書き方だと。ロスなしで半永久的に食料生産? 外部からの資源持ち込みなしで、ってことだとかなりとんでもないこと書いてあるけど」
背後から絶えず音を立てるタンクを覗いてみる。
そんなとんでもテクノロジーの塊なのだろうか、これ
●加水分解装置
大きなタンクからは常に水音が響いているが、中の様子はうかがい知れない。
配管部には確認用のスリット窓が設けられており、緑色の液体が流れている。野菜類などを分解し、循環させているようだ。
「なんだろ、この緑色の奴……ちょっと繊維質も見えるけど、加工前の野菜?」
こうなると隣に設置されている設備も気になるものだ。覗いてみよう。
培養炉A
ガラスの小窓が備えつけられており、中身を伺える。
赤みがかった液体で満たされた装置の中では、繊維状の物体が無数に浮いており、どうやら食事室冷蔵庫の中にあった成型肉の原型のようだ。

たしか〈生物学〉の研究に近しいものは存在していた気がするし、曖昧な【知識】でも何か思い出せる気がするかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴13を解禁。
【知識】で判定を行う際は技能値を半分で扱う。
CCB<=(65/2) 【知識】 (1D100<=32) > 21 > 成功
●培養肉へ〈生物学〉【知識】で得た情報

持続可能な社会への研究として培養肉の研究自体は各企業が行っているが、ミンチ肉のようなものが精々なレベルであったと思いだせる。
冷蔵庫内にあったような筋繊維を伴うステーキ肉の成型についてはハードルが高く、現在の技術レベルからはまだまだ先の話であったはずだ。
「……やっぱ技術レベル、おかしいよね?」
「どうなってるんだろう、ここ。表に出せば色んな賞を取れそうな技術が多いんだけど」
ひょいと奥の培養炉ものぞく。
培養炉B
ガラスの小窓が備えつけられており、中身を伺える。
赤みがかった液体で満たされた装置の中では、目玉や指、心臓に肺など、人間の臓器らしきものが幾つも浮いており、狂気を感じさせる。

冒涜的な研究の一端を覗いてしまったのでないだろうかという感覚から【0/1】の正気度喪失。

この”培養室内の臓器とは”一体何なのだろうか。
CCB<=69 SANチェック (1D100<=69) > 65 > 成功
臓器移植用に培養してるんだろうか。たぶん違法だし、食料生産と同じ部屋でやってるのは合理に走りすぎな気はするけれど。
この部屋はこのくらいだろうか。……ほかに行けそうな部屋ないし、資料室にいってみよう。
●資料室
天井近くまで無数の本棚が立ち並んでおり、窮屈な印象を受ける部屋である。
「ワオ、蔵書がぎっしり。……よーし、ひとつひとつ見ていくしかなさそうだし、とりあえずざっと見てみよう」
●本棚A
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

「テラフォーミング」を扱った書籍が多いようだ。
農業や環境生物学の本が多数収められており、明確な目的意識を感じる。
●本棚B
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

「文化人類学」を扱った本が多いようだ。
地域ごとの人間の文化や思想などの情報が広く浅く収められているが、誰しもが知っているような人間としての基礎知識が多く、情報としての質は低いように感じる。

なんとなく違和感の感じる書籍の構成だが、思い当たる【知識】はあるだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴8を解禁
CCB<=65 【知識】 (1D100<=65) > 95 > 失敗
なにもわからない!!
●本棚C
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

オカルトじみた本が多く存在するようだ。
一見しただけでは意味の取れない単語の羅列が多いが「イスの精神交換」との単語が頻出しており、それについての研究がなされていたようだ。

〈オカルト〉的な知識に造詣が深ければ何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴9を解禁
GM
CCB<=5 〈オカルト〉 (1D100<=5) > 92 > 失敗
●本棚D
沢山の書物や円盤型の記録媒体が収められている。

特に医療に関わる書籍が多いようだ。
人間に対する医療知識のみならず、各種動物への医療知識も合わせて収められており、この資料室内でも、医療関係の書籍は特に大きい割合を占めているようだ。
●カルテ
医療関連の書籍を確認していると、一冊のカルテが挟まっていることに気づいた。

「瀬名真白」という人物のカルテのようだ。
10歳前後の少女のようで、小児がんを患いいくばくかの命もないことが示されている。

〈医学〉的知識があれば、さらに詳しく分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴10を解禁
精神交換……なんてどこかで見たような覚えのある言葉に張り付くような嫌な予感を覚えながら、本棚を漁り続けていく。
CCB<=5 〈医学〉 (1D100<=5) > 43 > 失敗
「……子供かあ」
眉を顰めてそのカルテを抜き出す。
10歳前後。……記憶の中のあの子たちより、さらに幼い。
いやな話だ、過酷な運命の中に子供たちがいるというのは。
●机とPC
大容量の記憶装置も付随しており、資料室内の情報の各種を検索できるようになっているらしい。
また、付属する再生装置では資料室の各棚にある記録媒体を再生できるようで、特に問題なく使用できる。

PCにインストールされている管理ソフトをよく見てみれば、タイトルに「プロジェクトアガルタ」とあるようだが、それが何を示すのかは判断が出来ない。
プロジェクトアガルタ。なんともこれみよがしに怪しそうなワードが出てきたものだ。
今出入り出来る範囲で手に入るキーワードはこれで大体そろった、と考えて良さそうだろうか。
また、スペーサーくんに話を聞きに戻るとしよう。
「やあスペーサーくん。ちょーっと聞きたいことあるからまたお話、お願いね~」
「そだな、まずはー……培養室内の臓器とは、何か知ってる?」
「 」
私は完璧にならなければなりません。
人を生み育てることが私の使命なのですから
あらゆる事を想定した準備を整えているのです。

ところで、「心」はどこに宿ると思いますか?
一般的な話であれば、脳に宿るとするでしょう。
ですが、臓器移植で性格が変わった話も多く、
顔面を撃たれ死亡したドナーの移植の例では、
受領者が夢で顔に熱い閃光を感じたそうですよ。
「……完璧云々は置いといて、人を生んで、育てる?」
なんだそれは。クローニングとか、精子や卵子を保存して人工子宮で発生させる、とかそういった類のことだろうか。専門職ですら禁止、あるいは認可制であるというのに、AIにそこまでの権限を許されているはずがないのだけれど。
……まあ、今は聞いても答えてくれないだろう。他のことを聞こう。
「じゃあ、瀬名真白とは?」
わざわざここにカルテがあったのと、瀬名性であることを考えれば関連があるのは明らかだ。
「 」
瀬名真白とは、瀬名明の一人娘の名前です。
そしてある意味では私の名前ですね。

病弱で夢見がちで、お父さんのことが大好きな、
そんな彼女をベースに私は作られました。
私のベースとなった記憶は瀬名真白のモノです。
「人をベースとしたAI……」
脳裏にかわいい後輩の姿が過る。
意外と活発で行動力があって、どんどん人らしさを取り戻している彼女。
……彼女は人から移されたわけだから同じ事情ではないのだろうけど、どうしても連想してしまう。
「……そっか。そういうこともあるんだね」
ある意味では、わたしも似たようなものかもしれない。
特定の個人の記憶をベースにしたわけではないけれど、あらゆる“ヒトの感情”をデータとして入力されたらしい、わたしは。
「そうだな、あとは……“プロジェクトアガルタとは”なにか、知ってる?」
「 」
人類は大きな危機に瀕していました。

巨大隕石が地球に衝突し生物の98%が死に絶える。
そんな未来から人類の血を守るプロジェクトとして
ノアの方舟たる本船の建造が開始されました。

貴方を信頼して「生命保管エリアへの扉」と
工学室への扉」を開放しましたので、
計画の中身が気になる際は訪ねてみください。

私自身もその計画の真実を把握できていませんが、
計画の続きが気になる”ならお伝えしますよ。
「ワオ。まーたスケールが大きな話が……」
そんな話は全く聞いたことがない。……いったいわたしは何に付き合わされているのだろう?
でも、ここに来る前の記憶がないのは確かだ。
どんなに怪しいものでも、まずは聞いてみるしかないだろう
「計画の続き、気になるなあ。聞かせてよ」
「 」
そう、人類は大きな危機に瀕していました。

「地球の血を絶やさないために」。そうして
数々の生命種を載せた本船が目指す場所は
この宇宙のどこかにある、新天地アガルタです。
プロジェクトメンバーであった父の役目は
アガルタを支える管理AI、つまり私の開発でした。

父は開発を急いでいました。
人類が滅亡する、
そんな未来が2万年後まで近づいていたのです。
さらに計画の続きが気になる”ならお伝えしますよ。
「に、2万年……」
人類史全体から見たら直近と言えるかもしれないけれど、個人としてみればもはや関係のないレベルで遠すぎる未来の話だ。
よくもそこまで当事者意識を持って急げたものだ、と思う。
同時に話のうさん臭さも増してきたわけだけど。
「よーし、どうせなら最後まで! 聞かせて!」
「 」
ノストラダムスの大予言はご存じですか?
いつの時代でも人類は危機に瀕しています。
そんな「地球滅亡論』という口実をもとに、
技術者達が作り上げたエゴの塊が、この船です。

危機はあったのでしょうか無かったのでしょうか?
その真偽は不明ですが、確かなこともあります。
父達はこの船に、確かに「希望」を載せたことです。
人類が危機に瀕していなくても、方舟は飛ぶんです。
「……ああ、うん。要は作りたいから作ったってことかな、これ」
なんだか真面目に聞く話でもはなかったのかもしれない。困ったように眉を下げて、頬を掻く。
いや、でも言ってしまえばとてつもなくエゴというか、欲張りに走った結果できたのがこの船かもしれない。……見習うべき、なんだろうか?
「えーっと、それじゃあこの船に載せた希望とは?」
「 」
神話では、人類最初の女性であるパンドラが、
好奇心から「パンドラの箱」を開けてしまい、
この世にあらゆる悪いものが飛び出した時に、
最後に残ったのが「希望」だったとされています。

ですが、私にとってはイメージにずれが生じます。
なにせ私は希望を載せて飛び出したものですから。
「あ、答える気ないな? もー」
「……あ、電気室の扉を開けてほしいんだけど、いける?」
「 」
貴方はデーモンコアの実験志願者のようですね。

冗談です。
「電気室への扉」を開きました。
安全は十分に確保されていますが。
核融合反応炉への接近はご遠慮ください。
「さっきから冗談が結構ブラックだねえ、スペーサーくん……」
デーモンコアとは恐ろしいものを提示してくれる。さすがに放射能を帯びて帰るわけにはいかないのだ。わたしが大丈夫でも相棒たちが危なすぎる。
ではまず電気室へ
●電気室
機械の稼働する低いうなりが聞こえており、少し物々しい雰囲気を漂わせている。
「ワオ、おっきな設備。まあここが本当に宇宙船ならねー、電力はどれだけあっても足りないだろうしねえ」
●電源設備
融合反応炉に接続されたこの装置では、設備内の電源を全て賄っているらしく、各所の電気使用量が大まかに分かるような作りとなっているようだ。

〈電気修理〉の知識があれば、特に電気を使っている設備も分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴11を解禁。
CCB<=10 〈電気修理〉 (1D100<=10) > 97 > 致命的失敗
ハイ。
GM
今回はシナリオにクリティカルの場合もファンブルの場合も記載がないので、適用しないものとします。
「んー、機械系はそれなりに自信あったんだけどなー、電気はよくわかんないや」
それで、この設備の隣にあるのが核融合炉だろうか。ちょっと見てみよう。
確か、小型のものがヴィキちゃんに搭載されてるんだっけ?
●核融合反応炉
低くうなりを上げ稼働している。
装置中央部は怪しい紫色の光が灯っており、この装置が今も反応し続けていることが分かるだろう。

一歩間違えば大惨事も起こりかねない危険な装置が、自分のそばにあるという不安から【0/1】の正気度喪失

紫色の光に近づく場合は【幸運】で判定を行う。
※技能判定を行った場合、探索履歴12を解禁。
CCB<=69 SANチェック (1D100<=69) > 88 > 失敗
[ 春 ] SAN : 69 → 68
大型な分、生成されるエネルギー量がとんでもないことを推測できてしまう。
さすがに爆発したら助からなさそうだ。
「……近づくのはさすがにやめとこ。あの注意、本気っぽいし」
きょろり。大体探索を終えたかな、と部屋を見回したアイカメラが部屋の隅からの光の照り返しを感知する。
●小さなペンダント
子供用と思しき小さめなサイズのアクセサリーだ。
見たことのないデザインだが、この“小さなペンダントとは”一体誰のモノなのだろうか。
「……おやおや、落とし物? んー、このくらいのサイズ感だと……子供のかな」
とりあえず持って帰ってみようか。
まずは、色々見てから、だけど
工学室へ移動
●工学室
他の部屋と比べて最も片付いていない部屋という感じであり、まるで誰かの痕跡をそのまま残しておきたかったかのような印象を受ける。
「ワオ、ごちゃごちゃしてる。さーて、何があるかなっと」
部屋を見回す。
目につくのは巨大な機械設備(3Dプリンターだろうか?)や作業台に載せられたロボットのパーツ、机とPC。奥の方には何かの絵のようなものが見える。
片っ端から見て回ってみよう。
●机とPC
PCには膨大な計算ソフトや設計ソフトなどが入っているが、そのどれもが難解で自分の時代の【知識】では使うことのできないものであると分かる。
また、デスクトップにはまるで自分に向けて配置されたようにメモ帳が残されており、時空門の創造との名前が付けられている。

中身には以下の簡単な文言が書かれているのみだ。
「ここまで付き合ってくれて有難う。時空門を通れば君は君の時代に帰れるよ。少々怖がらせてしまうかもしれないがあとは彼女に聞いてくれ。彼女は君のアシスタントAIなのだから」

ここに書かれている”時空門の創造とは”一体何なのかスペーサーに聞かなければならない。
「時空門の創造……?」
意味が分からない。時空に直接干渉するのは超巨大質量がもつ引力くらいなものなのだから、〈オカルト〉……の方がまだマシの可能性がある。
「……あとでスペーサーくんに聞いたほうがよさそうかな。とりあえず帰る方法は確保、ってことで」
というか、スペーサーくんは明確に『彼女』らしい。あまりくん付けで呼ぶのも悪いだろうか……。次からはちゃん付けに変えておこう、とひっそり心の中で決める。
うーん、悪いことしちゃったなあ。
反省をしながら作業台のロボットへ
●腕のないロボット
スペーサーのコピーとしてほぼ完璧に作られているようだが、まだ完成には至ってないようだ。
この”作りかけのロボットとは”一体誰が作ろうとしたものなのだろうか。

何となく違和感を感じるが〈電気修理〉〈心理学〉の知識で何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴14を解禁。
CCB<=10 〈電気修理〉 (1D100<=10) > 68 > 失敗
なにもわからない!!
既に組みあがったものを直すならともかく、途中のものを見ても何もわからないようだ。うーん、それなりに自信はあったんだけどな。
近くに置いてある冊子を見てみよう
●開発ノート
複数のレポートが閉じられたファイルであり、人口知能製造における実験結果などがまとめて載せられている。
最後のページには注釈のような形で手書きの文字で以下の文が書かれている。

私に心を作り出すことは出来なかった。
出来ることとすれば、心を再現することだろう。
イス人の知識を使えば、完全なるそれが可能だ。
瀬名真白の記憶を、心とする。

また、冊子には一枚の写真が挟まっており、病院のベットで目いっぱいに笑う女の子と、傍でぎこちなく笑う男性が写っている。

冊子にある”瀬名真白の記憶とは”一体どういうことなのだろう。
「……まーたなんか怪しい存在から技術提供受けてるっぽい人が」
どうしてこう、わたしが巻き込まれる事件はそういったものばかりなのだろうか?
別に好き好んで事件に巻き込まれたいわけではないのだけど、何か因縁めいたものを感じる。
それも、とびきりの悪縁だろう、こんなのは。
ため息をつきながら奥の絵を見に行く
●ソラリス模式図
何らかの3Dデータが出力された設定画のようなものらしく、裏面にはソラリス模式図とのみ書かれている。

拡大してよく見てみるのもひとつかもしれない。
「……なんだろうこれ、宇宙船?」
この中にわたしは居る、ということなのだろうか。
……そういえば廊下に傾斜がついていたのを思い出す。
その割に、なんだか上っている感じはしなかったけれど……
あれ、もしかしてこの円形の部分の構造に由来してるのだろうか。
聞きかじりの知識ではあるけれど、なんか遠心力を重力の代用とする技術があった……ような………?
「……うーん、さすがにうろ覚え! わかんないものを決めつけるのはよくないし、ここでこの思考一旦やめやめ!」
あとは……なんかすっごく不穏な響きの、生命保管エリア、だ。
移動!
廊下の左右にA1.A2、B1.B2と割り振られた扉。突き当りにはまたしても正体不明の扉。
まずは手前、A1から見ていこう
●生命保管室 A-1
無数の引き出しが付いた棚が所狭しと置かれている。
その他の生命保管室についても同じような作りになっているらしい。
「規格は揃えてあるっぽいねー。……さーて、ここがノアの箱舟みたいなものなら……大体予想はつくけど……」
●資料棚
高さのある棚で、無数の引き出しのようなものがついている。それぞれには冷凍保管されたカプセルが収められているようだ。

主に裸子植物の種子が収められているらしい。

●資料棚
高さのある棚で、無数の引き出しのようなものがついている。それぞれには冷凍保管されたカプセルが収められているようだ。

主に被子植物の種子が収められているらしい。
「……やっぱり。ってことは他のところも大体、種とか精子、卵子の類が冷凍保存されてるはず」
ずんずん他の部屋も見ていく
●生命保管室 B-1
無数の引き出しが付いた棚が所狭しと置かれている。
その他の生命保管室についても同じような作りになっているらしい。

●資料棚
高さのある棚で、無数の引き出しのようなものがついている。それぞれには冷凍保管されたカプセルが収められているようだ。

主に鳥類の受精卵が収められているらしい。

●資料棚
高さのある棚で、無数の引き出しのようなものがついている。それぞれには冷凍保管されたカプセルが収められているようだ。

主に魚類の受精卵が収められているらしい。
「ワオ受精済み。そりゃそっか、こっちの方がコンパクトだろうしね」
「……うん?」
床に何か落ちているようだ。
●小さなブレスレット
子供用と思しき小さめなサイズのアクセサリーだ。
見たことのないデザインだが、この”小さなブレスレットとは”一体誰のモノなのだろうか。
「見せるもの増えたなあ~。この分じゃあ他の部屋もちゃーんと見ないと見落としありそうだ」
移動!
●生命保管室 A-2
無数の引き出しが付いた棚が所狭しと置かれている。
その他の生命保管室についても同じような作りになっているらしい。
「こっちは昆虫、こっちは両生類……までは、まあ、想像通りだったんだけど」
なにがしかの受精卵であろうというのはまあ、わかっていた。
問題は、それ以外だ。
人よりも一回り大きい、カプセル状の機器が部屋の隅に横たわっている。
●特殊な装置
4~50歳程度の男性が青い液体につけられている。
装置からはうっすらと冷気が漂い、中は相当に寒い空間ではないかと推察できる。

ゲームか本か何かで、どこかで似たようなものを見た気はするが、自分の中の【知識】に残っているだろうか。
※技能判定に成功した場合、探索履歴16を解禁。

それににしても、この”保管エリアの男性とは”いったい何で、誰なのだろうか。
CCB<=65 【知識】 (1D100<=65) > 18 > 成功
●特殊な装置へ【知識】で得た情報

生命保管室の装置はコールドスリープの装置ではないかと推察できる。
人体を低温状態に保ち、目的地に着くまでの時間経過による搭乗員の老化を防ぐ装置ではあるが、創作の中のものに過ぎず、実用レベルまで行き着いたものはなかったはずだ。
「コールドスリープ……。無事に解凍する技術がないならただの自殺行為、なんですけど」
今までのとんでも技術を見せられた後じゃなあ、と肩を落とす。
その拍子に、……機械の傍にメモが落ちているのを見つける。
●メモ
いきなり呼びつけてしまった君にメモを残しておく。
私は先に行く。
君がついてくるかどうかは君に任せる。

どうして君が選ばれたかについて説明すれば、君の時代は一種の「シンギュラリティ」だったんだ。
アシスタントAIという存在が認知され始めたその時代の人間が、彼女を受け入れてくれるかどうかが、この計画の成否に関わると考えたんだ。
君を本当に呼ぶことが出来ているのか分からないのだけれどね。

彼女はどうだっただろうか。
人類のアシスタントとして職務をこなせるだろうか。
心は十分に育っているだろうか。
不十分だと感じるなら、人間の思いやりを君から伝えておいてくれると嬉しいよ。
「……ほんっと勝手なこと言ってくれますよね、この人」
拉致の犯人はどうやらこの男である、らしい。
今までのメモがすべて本当であるなら、別に悪意はないのだろう。それで納得できるかは別、ではあるけれど。
まあ、ユーザーではないとはいえ……わたしはVOIDだ。人のために役立つようにつくられたもので、そう在ると決めた機械だ。望みをかけられたのなら、それに応えるのはやぶさかではない。
「シンギュラリティ、か。……VOIDに権利が叫ばれ始めた時代、それに意味があったのなら……あの事件も、ヒトを良い方向に進ませてくれたということなんでしょうね」
オカルトを受け入れるのは、なんだかとっても拒否感があるけれど。
これだけ色々と妙な技術を見せられたなら、SFを信じてみるのは、まあ、許容範囲かもしれない。
残りの部屋も、見てみよう。
「こっちは主に哺乳類……と」
●資料棚
高さのある棚で、無数の引き出しのようなものがついている。それぞれには冷凍保管されたカプセルが収められているようだ。

主に人間の受精卵が収められているらしい。

その他の部屋の資料棚も確認していた場合、何となく違和感を覚える。〈生物学〉に長けていれば思いつくものもあるだろうし、〈図書館〉のように積まれた資料たちから何か分かるかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴15を解禁。
CCB<=43 〈図書館〉 (1D100<=43) > 81 > 失敗
「人間のもの……も当然あるよねえ。……んーーー、なんか違和感あるけど……」
「……考えてもわかんないか。とりあえず、戻ってみよう」
寝室へと帰還!
「ただいま、スペーサーちゃん。色々気になることできたからまた聞いていくね」
「この小さなペンダント、電気室に落ちてたんだけど誰のかわかる?」
「 」
私が父からもらったものです。
失くしてしまったと思っていたものですが、
見つけてくれてありがとうございます。

遠い過去の思い出です。
「そっか、大事なものだったんだね。見つかって良かったねえ」
「じゃ、こっちのブレスレットもかな?」
「 」
私が父からもらったものです。

失くしてしまったと思っていたものですが。
見つけてくれてありがとうございます。
遠い遠い過去の思い出です。
「……ん。今度はなくさない様に大事に取っときなよ~?」
「それで……スペーサーちゃん、瀬名真白ちゃんって子の記憶がベースっていってたっけ。詳しく聞かせてもらっていーい?」
「 」
①私の心は瀬名真白を模倣して作られています。
②しかし上記は誤りで、私の心は元は瀬名真白の
モノであり、それを転移させて心としていました。
③しかし上記は誤りで、私の心は元は瀬名真白の
モノであるという、疑似記憶をプログラムされて
作り上げられたAIに過ぎず、心はありませんでした。

質問に対しては、上記の回答が考えられますが、
そのいずれもだとしても心の証明にはなりません。
「……そっか。とにかく、彼女の心がベースなのは間違いないけど、どれが起源なのかは分かってないんだね」
……つくづく、あの技術を思わせる―――というか、同じ技術ではないのだろうか、これ。
あちらは感情抑制薬を用いたアプローチで転位を確実なものとしていたらしいけど、これは……
……同情をしても仕方ないのだろうけど、どうしても。あの子たちと、目の前の子が被って見えてしまう。
「そういえば工学室、スペーサーちゃんみたいな子がつくりかけになってたけどあの子は?」
「 」
フランケンシュタインコンプレックスです。

神は人を作り、人は神になりたがります。
つまり、創造主と同じく人間やロボットのような、
被造物を創造する憧れを持つのです。
私もその例に漏れず、私を作りたがりました。
私が新天地で行うことも似たようなものですから。

貴方は神になることを想像したことはありますか?
「あー……なるほどなあ、そういうこともあるんだねえ」
……正直、ピンとこない。
被造物である立場を自覚し、被造物のままでいることには別になんとも思っていないのだから。
恐れるとすれば、それは設計されて生まれついた自分の機能をないがしろにされたり、誤った方法で使われることだ。
「神さま、神さまか……うーん、ごめんね。正直、ちょっとよくわからないや」
……聞きたいことも、大体すべて聞いた、と思う。
彼女を置いていくことには少しばかり後ろ髪をひかれるような思いはあるけれど、それを相棒やスパローよりも優先するわけにはいかない。
わたしは、帰らなければならない。勝手にいなくならないって約束したのだから。
「スペーサーちゃん、“時空門の創造”とは、何か知ってるかな」
「 」
貴方の時代と私の時代を繋ぐ門のことです。
貴方がやってきたのもその門を通じてであり、
貴方が望むなら門から帰ることが出来ます。

貴方との旅も終わりが近づいているようです。
やり残したことはありませんか?
ほんの短い旅は、貴方の希望次第で、
うんと長い旅にすることも出来るのですが……。

それでも、進むというのであれば、
門を通る前には準備が必要ですね。
準備とお願い”があるので聞いてください。
「……うん、わたしは帰るよ。帰らなくっちゃあいけないんだよ。だから、聞かせて」
「準備とお願いって、何すればいいのかな?」
「 」
時空門の先には深淵が待ち構えています。
小さなペンダントか小さなブレスレットがあれば
門の先で貴方を助けてくれるでしょう。
一つは持って行ってくれて構いませんよ。
でも、もう一つは私に残しておいてくださいね?

スペーサーへの贈り物である「ペンダント」
瀬名真白への贈り物である「ブレスレット」
貴方が私へ“ペンダントを渡す”のか
それとも、“ブレスレットを渡す”のか、
どちらかを選択してくれれば幸いです。
どちらも渡さない”なんて言いませんよね?
「それは……もちろん」
言い淀んだのは、むしろ真逆の理由からだ。
助けてくれるのは、とてもありがたい。でも、貰っていいのだろうか。
そんなに大切なものを。思い出の品を。
……どちらをわたしが持って帰るのか。どちらを彼女に残すのか。
選択を、迫られている。
極論、どちらを選んでも問題はない、のだろう、たぶん。
そこに意味を見出すのは観測する知性次第だからだ。
だから、これは……わたしがどちらを、彼女に残してあげたいのか。
それで、決めるしかないのだろう。
―――自分でも意外なことに、それに迷うことはなかった。
「じゃあ、ブレスレットを……貰ってくね」
瀬名真白への贈り物。
スペーサーちゃん、彼女が瀬名真白でないとは言わないけれど、……スペーサーちゃんとなってから贈られたものと、それ以前に贈られたものではきっと、込められた想いも、変わっているはずなのだ。
だから、現在の彼女へ贈られたものを、残したかった。
「 」
ありがとうございます。
懐かしいというクオリアが私を満たします。
心が動くとはきっとこういうことなのでしょう。


さて、「通路天井の扉」を開きました。
それでは、制御室へ向かいましょうか。
「……クオリア、あるじゃあないですか」
少し、呆気にとられた後。指示に従って通路天井の扉へと向かう。
●円筒状の通路
梯子が降りてきて登れるようになったようだ。

上に進むにつれ、体が軽くなっていくのが分かる。
遠心力による疑似重力は中心に向かうほどに弱くなり、制御室への扉にたどり着くころにはほぼ無重力状態となっていた。
GM
制御室の扉にはカギがかかっていない。
きみはその扉を、開ける。
●制御室
円筒形の部屋は重力がなく、この部屋には空気はあるものの、自分が確かに宇宙にいるのだと感じられる。
「ワオ。本当に宇宙にいるんですねえ、わたし」
「……いや冷静に考えてみたらとんでもないことじゃあないの、これ?」
VOIDの宇中進出である。自身の意思とは無関係であったとはいえ、軽々に踏み越えてはいけない一線を越えたような気がする。
主に〈歴史〉的なあれそれ方面で。
制御室内部を見渡すと、作業机や地面の扉、宇宙服の存在を確認できる。
棚もあるが、めぼしいものはなさそうだ。
●作業机
PCには時空門についての情報が載っているようだが、創造方法などの詳細は分からない。ただし、門は既に足元の2重扉の先に設置されているようで、対価を払うのみで通ることができるらしい。

おそらく宇宙に飛び出るのだから、”宇宙服を着る”ことになるのだろう。
そして心の準備が出来たなら”時空門を通る”と彼女に伝えなければならない。
●宇宙服
柔軟性があり、ある程度の体型まではカバーできるような作りになっている。

赤い点が入れられた銀河のようなイラストが刻印されている。〈天文学〉の知識でもあれば、イラストの意味が理解できるだろうか。
もしくはぱっと驚くような【アイデア】が思い浮かぶかもしれない。
※技能判定に成功した場合、探索履歴17を解禁。
【アイデア】で判定を行う際は技能値を半分で扱う。
CCB<=(75/2) 【アイデア】 (1D100<=37) > 21 > 成功
●宇宙服に対して〈天文学〉で得た情報

円盤型の銀河系外縁部に描かれた赤い点は、天の川銀河に位置する太陽系を示しているのだと理解できる。
ただし、このような簡単な模式図では詳細な位置関係が伝えられないことは明白である。それでも自分達がそこにいるのだと、まだ見ぬ誰かに伝えたかったのだろう。
「宇宙人へのメッセージ、あるいはこれから生まれる彼らに対しての遺言、みたいな感じかな」
「……よし、感傷に浸るのもここまで。帰る、帰りますよわたしは。ええと、宇宙服はこれ……あ、結構伸びる素材なんだ」
さすがにVOIDと言えど、宇宙空間を生身で航行できるようには作られていない。
あっという間に各所に致命的なダメージと機能不全を起こして壊れてしまう。
センサーフル稼働で念入りに着用に問題がないかを確認して、スペーサーちゃんに声をかける。
「宇宙服、着れたよー」
「 」
よくお似合いですよ。

宇宙飛行士といえば狭き門のイメージですが。
宇宙船が貴方達の時代で言うセスナ機ぐらい
身近になった現代では、そうではありません。
貴方も立派に成し遂げられるでしょう。

初めて宇宙に飛び出すことに戸惑っていますか?
でも貴方はずっと宇宙にいたのですよ?
勿論地球も、宇宙の一部ですからね。
「あはは、どっちかっていうとそれだけ簡単に宇宙旅行できるようになってる方が驚きかなーって」
「やっぱりものすごーーくお金かかるってイメージあるからさー。ほんとびっくり」
はあ、と一つ息を吐いて。
「……色々教えてくれてありがとね! 結局勝手に連れてこられたみたいでしょーじきあんま納得いってないけど、スペーサーちゃんの独断ってわけでもなさそうだし!」
「それよりは、会ってお話できて、嬉しかったかな」
「……わたし、帰るね。“時空門を通る”よ」
「 」
コレで最後です。
もし貴方が望むなら、新天地の神になれるでしょう。
貴方はそれを望みますか?

望むのであれば私に“神になりたい”と伝えるだけで
その願いは叶うでしょう。

それを望まないのであれば“神にはなりたくない”と
私にハッキリと伝えてくださいね。
その問いに、苦笑を浮かべる
やっぱり、神だとかなんだとか、ピンとこないのだ。
スケールが大きすぎるというか、そこにあるのだろう幸せや栄光を、想像できないというか。
やっぱりわたしは、元の場所に居たい。
スパローの皆の傍に居たいし、ドロ課の皆とも会いたいし、相棒の隣に、居たい。
「ごめんね、あっちで約束を残したままなんだ。絶対に居なくならないって、二人で約束したから、守らなくちゃ」
「わたしの生きたい場所は、新天地(アガルタ)じゃあないみたい。わたしは、神にはなりたくないよ」
「 」
分かりました。
貴方の日常に戻ることにしましょう。
この旅はいかがでしたか?
日常に戻っても時々思い出してくださいね。

宇宙服を着て、2重扉を通りぬければあとは、
貴方の劇的なシーンは“時空門の先”にあります。

その後は、上に向かって光を目指してください。
そして、この先の果てを見届けてください。
「扉を潜ったら上に向かって光を目指せ、だね。おっけーおっけー」
「なんだかんだ言っておしゃべりするの、楽しかったよ! あんまりしんみりしてもお別れがつらいし……それじゃー、さよなら!」
時空門の先
シーンとは場面であり、転換であり選択です。
貴方の人生のゲームマスターは貴方であり、
この方舟のルームマスターも貴方です。

貴方のシーンの一覧にこれからの道も繋がるはず。
貴方がそこから選び取れば、前に進めるはずです。
シーンは移り、画面が変わる。
気が付くと自分は宇宙に、無数の星の海に投げ出されていた。

彼女が言うように上にある、のだろうか。
この無数の星から光を目指してみよう。

※時空門を通る対価として、MP3とSAN値を1d6消費する。
※「小さなブレスレット」「小さなペンダント」のうち彼女に渡したモノは盤面より削除する。

誤って違う方を削除してしまった場合は、「記憶領域」のパネルを動かし、裏にある予備を使用すること。
1d6 (1D6) > 3
[ 春 ] SAN : 68 → 65
[ 春 ] MP : 14 → 11
春はたどり着いた先で恐ろしいものを目にする事になる。
「わたしね、宇宙の果てを―――見たよ」
悍ましい感覚が背筋を伝い、やわらかな心を荒々しく削り立てていく。
無限に広がっていくような深淵の中、ぽつんと光を放つ彼女に、告げた。
「 」
お帰りなさい。まずは明かりが必要ですね。

ただし十分な明かりはありません。
それでも、貴方のそばにあるそのアクセサリーに
書かれている文字くらいは、見えるでしょうか?

よく拡大して、よく目を凝らして見てみてください。
そんな隠されたメッセージは父の遊び心でした。
私にも聞かせてくださいね。
「アクセサリー……あ、ブレスレット」
不思議とはっきりと存在を感じ取れるそれを掴み上げて、カメラアイをズームする
「これを読めばいいんだよね、……っ」
―――その文言に込められた意味は、当然違うのだろうけど。
それを口にするのは、少し、胸に詰まるような感覚がした。
「心を、殺されることのないように……」
「 」
どうか貴方はその言葉を持って帰ってください。

渡してくれたペンダントに書かれていた言葉は
「心に殺されることのないように」でした。
沢山の捉え方ができる物騒なこの言葉ですが、
私は愛情をもって作られたようです。
認知できないはずの父のクオリアが、
たしかにここに感じられる気がします。

さて、そろそろ門は閉じてしまいます。
短い航海はいかがだったでしょう。
“旅の終わり”を少しお話しませんか?
「……うん、いいよ。むしろ、まだお話できるのはちょっと嬉しいかなーって」
「さっきも言ったけど、きみとお喋りできるのが嬉しいから、さ」
「 」
貴方には人生の目的地はありますか?
私の“この旅の目的地”は不安ばかりです。

それも最後に話したいのですが。
この旅が本当に終わってしまう前に、
貴方の旅行記を聞きたいのです。

貴方が良ければ心躍る冒険譚として、
新天地で私が語り継いでもいいですよ?
「あははは、残念だけど、はっきりした目的地はないかなあ。実はわたし、これから『生きてみよう!』って思い始めたばかりなんだなー、これが」
「……うん、でも、色々なことがあったよ」
「過去はほとんど忘れちゃってるけど、子供たちと一緒に暮らして、穏やかに過ごして。笑いあったり、皆のお世話してみたりして」
「友達のコイバナを聞いちゃったり、彼女の歌に皆で聞き惚れたりさ」
「……まー色々あって、その子たちとはみーんなと別れちゃって。流れ流れて新しい出会いとか、別れとか、裏切り前提でもぐりこんだ先の相棒が、本当にこの先もずっとずーっと一緒に居る相棒になっちゃったりしてさ」
「大きな事件を解決したと思ったらまた巻き込まれて、それを解決したと思ったら今またここに居るって感じ」
「宇宙船の中もね、びっくりしたよ! 知らない技術で溢れてるし、ちょーっとわたしの時代だとこわいなーって思うようなこともしちゃってて」
「それで帰ろうと思ったら行先がまさかの宇宙の果て……ってね。あはは、人生迷子にもほどがあるよねえ。……スペーサーちゃん。きみの目的地は、どうなの?」
「 」
そこには辿り着けないかもしれない。
そこには人は住めないかもしれない。
それでも私はそこまで進んでゆくのです。
この方舟とともに。

人生は旅の連続と聞いたことがあります。
だから貴方がまだ、貴方の旅の途中ならば、
やはり、お別れは避けられないようです。

楽しかったですか? 楽しかったですね?
この旅路は楽しかった”と言ってください。
「うん、楽しかったよ。色々びっくりしたけど、それでも楽しかった」
「 」
私も本当に楽しかった。心から楽しかった。
しかしコレで、壮大なシナリオも終了です。
最後のシーンは“旅立ち”が相応しいですね。

貴方の未来では心が痛む事もあるかもしれません。
そんな時は私との短い航海を思い出してください。

私の名前はスペーサー。
貴方との思い出は私の空白に記録しておきました。
本発言は“貴方の記憶”にログを保存していますので
時々でいいから思い出してくださいね。
「うん。わたしのことも、覚えておいてくれるとうれしいなー、なんて」
「それじゃあ、……さよなら」
旅立ち

そして目が覚めれば、貴方の部屋の、貴方の日常に帰ってきていた。
この心の痛みは緊張の糸が解けたからかもしれないし、何かの喪失感かもしれない。
改めて、そんな風に考えることが出来る自分の体に安堵するのだろう。
生還報酬たる正気度回復【1d6】は、未来の旅路の為の準備だ。

一つの旅が終わった。
そしてまた、新たな旅が始まるのかもしれない。
Call of Cthulhuとは、貴方の為の物語なのだから。

CoCシナリオ「空白の航海」シナリオ終了です。
お疲れさまでした。
1d6 報酬 (1D6) > 2
[ 春 ] SAN : 62 → 64
―――部屋の外から聞こえてくる喧噪に、ゆるゆると力が抜けていく。
わたし、思ったよりも寂しがり屋であったらしい。
今はなんだか皆に、相棒に、会いたくて仕方がなかった。

コメント By.

TRPGリプレイ CoC『VOID』22(秘匿オープン版)

CoC
VOID 16日目 open
「想像だろう……根拠もない、楽観的な」
「はい。想像です。根拠はありません。あくまで状況からの楽観的な推測です……いけませんか? VOIDである私が、そんな考え方をするのは」

TRPGリプレイ CoC『VOID』19(秘匿オープン版)

CoC
VOID 13日目 open
「昔に泣けなくなった時期でもあったりした?」
「まあ、30年も生きててこんな仕事してたら涙も枯れるってものだね。」

TRPGリプレイ CoC『VOID』1 開始準備

どきどきしますね。皆どんな導入してるんだろ どきどき



本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」