TRPGリプレイ【置】CoC『識に響奏』 波照間&東雲 2

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こちらには『識に響奏』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
「あら、珍しい。観光の方かしら」
ふと、後ろから声をかけられる。振り返れば、両手に茎を纏めた葉を抱えた老婆が立っていた。
波照間 紅
「ああ、お邪魔しています」
振り返って軽く一礼する。
KP
「嬉しいわねえ、こんな田舎に遊びに来てくださるなんて」
老婆はにっこり笑って頭を下げた。

「もうお参りは済んだかしら? よかったら、この葉を替えるのを手伝ってくれない?
アタシには高くて、いつも背伸びをして取り替えてるのよ」
彼女が指す方をみれば、本殿のやや高い位置に葉を生ける榊立てがある。
波照間 紅
「ええ、勿論」
頷いて、榊立ての葉を替えるのを手伝う。
KP
【知識】で判定
波照間 紅
1d100 85【知識】 Sasa 1d100→ 5→決定的成功クリティカル)!
KP
では追加で〈博物学〉〈植物に関する技能〉など
波照間 紅
〈歴史〉〈オカルト〉が使えそうな内容ですか?
KP
いや、純粋に植物についてだから使えない。
波照間 紅
1d100 10〈博物学〉 Sasa 1d100→ 24→失敗
さすがに無理だった。
東雲 圓華
1d100 65 Sasa 1d100→ 35→成功
1d100 55〈博物学〉 Sasa 1d100→ 94→失敗
KP
老婆が指しているのは、一般的に使われる榊ではないことが分かった。
波照間 紅
「この葉は初めて見ました、こちらではよく使われるものなんですか?」
KP
「そうよ、ユズリハ。火哩斗ひりと様にお供えする葉は、ユズリハと決まっているの」
波照間 紅
祈りを込めて葉を整え、完成して一息つく。
KP
「ありがとう」
老婆は満足げに出来映えを見た。
波照間 紅
「そうなんですね。弓に関わるからでしょうか?」
KP
「ええ、そうそう、ご存知なんだねぇ。
ユズリハはね、古くはユズルハと言うの。漢字で「弓弦葉」と書くのよ。
ほら、この部分がまるで弓の弦のように見えるでしょう?
火哩斗ひりと様は弓の神様だから、この葉をお供えするのが習わしなのよ」
波照間 紅
「ああ、言われてみると確かに。
葉ひとつ取っても謂れがあるものですね。お聞きできてよかった」
KP
「年寄りは話が長くていけないねぇ。ありがとう、助かったよ。
あんまり観光するような村じゃないが、楽しんでいっておくれ。
今夜は火哩斗ひりと様がよく見えるからね」
波照間 紅
「見える? もしかして、空のどこかにですか?」
東雲 圓華
「神様が見えるんですか?」
KP
「ああ、そうだよ」
老婆はそれじゃあね、と手を振って去って行く。
波照間 紅
「あっ、すみません。空のどの辺りに見えますか?」
慌てて聞き直す。
KP
「どこに出るかは火哩斗ひりと様しだいさ」
波照間 紅
「それは、なかなか探しにくいな」
去っていく姿を見送って、苦笑が漏れた。どうやら自分で探すしかないらしい。
波照間 紅
「火矢を放った神様ということは、赤い星なのかな。
アンタレスや火星の位置なら大体分かるけど……、夜に探してみようか」
KP
なるほど、星について考えてみるなら、〈天文〉または【知識】
波照間 紅
1d100 70 せっかくだから〈天文学〉 Sasa 1d100→ 31→成功
KP
ペルセウス座流星群のことではないかと思い当たるだろう。
波照間 紅
「ああ、もしかして、今度の流星群。
そういえば、流れ星も落ちる火矢そっくりだな」
はっと思い当たって口にする。謎解きのようだ。
東雲 圓華
「流星群、ああ、なるほど。火矢みたいに見えるのね」
波照間 紅
「ああ。それなら場所がその時次第というのも、納得が行く」
KP
ブワッと、目の前の景色が一変した。
今までは光や浮遊感などの前兆があったが、今回は突然景色が切り替わる。
そこは先程見たどこかの室内だ。
辺りを見渡そうとしても視界が固定されている。
目に見える特徴的なものといえば、先程みたトーテムポールやスフィンクス、それからずいぶんと大きな信楽焼くらいだ。
狸の両肩に招き猫が乗っている、変わったデザインである。

そこまで認識したところで、あなたの目の前に影が射した。
必死に上をみれば、巨人の手のひらが貴方を押しつぶすように振り下ろされるところだった。
そこで視界が暗転した。《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3
波照間 紅
1d100 52 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 83→失敗
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 52 → 51
KP
【アイデア】
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 17→成功
KP
あなたはあの奇妙な狸に見覚えがあると感じる。
ごく最近。ここに来る道中で。
波照間 紅
「……!」
声にならない悲鳴を上げたかもしれない。
思わず頭を庇ってしまい、その途端に視界が暗転する。

そういえば、骨董品屋の店先に信楽焼と招き猫を見た気がする、あれだろうか?
KP
そう、似ている気がする。
波照間 紅
あれは、そうだ、リサイクルショップとも思ったが、骨董品屋といえば似ている気がする。

ごちゃごちゃとしたものが時代を問わず置かれている、あの感覚。
あの風景は、あの店の中なのか……?
東雲 圓華
「大丈夫!?  どうしたの、紅さん!」
東雲があなたの体を支えようとするように触れた。
東雲 圓華
「またなの?  どこか、座れる場所……」
波照間 紅
すまない、大丈夫、と声を上げようとする。
立ち上がったり、視界を取り戻したりすることはできるだろうか。
KP
しばらくすると視界は通常に戻る。
波照間 紅
「ああ……、大丈夫。大丈夫だ。
でも、確かに具合が悪いらしい。
さっきから、知らない店の風景が見えるんだ。

折角の旅行なのに、すまない。
でも、電車があるうちに、君だけでも帰った方がいいかもしれない。
僕は、宿で寝ておくから」

どこか地面に座らせてもらい、大きく息を吐く。
東雲さんの腕にすがって、視界が戻るのを確認する。
東雲 圓華
「何が見えるの?
何かを見ているの?
ここに来ることにしてからよね。
何か原因は思い当たる?」
KP
帰る、ということには触れずに、東雲は真剣な顔で問いかけてきた。
波照間 紅
「すまない、ありがとう、圓華さん……」
我が身に起こっている異変を真剣に受け止めながら、それでも共に向き合おうとしてくれるのが嬉しくて、少し涙が出そうになった。

彼女は同じ世界にいてくれる。
それが嬉しくて、きっと帰ってもらうべきなのに、どうしてもそう言えなかった。
波照間 紅
牧志と知り合って少しの頃の佐倉さんみたいな葛藤を抱いてる。
KP
巻き込みたくないよねー
波照間 紅
ないよねぇ。好きな人だからなおのこと。
でも好きな人だからこそ窮地になかなか手を離せないっていう。
波照間 紅
「ああ、ここに来ることにしてからだ……。
紫色の光が見えたのを最初に、来る途中に、どこかの店内のような様子が見えるようになったんだ。

きっと、来る途中に見た骨董品屋の中だと思う。同じ置物が見えた。

それから、巨人の掌が降ってきて潰される所で視界が戻った……」
波照間 紅
「原因は、二つ思い当たるんだ。
一つは、ここに来たこと。
それからもう一つは、」
自分の首に手を伸ばし、チョーカーの飾りに触れる。
波照間 紅
「この意匠はこの村のものだという話だった。
この飾りは随分古いもののようだから、もしかしたらあの骨董品屋から来たのかもしれない。

そうだ、最初資料館に行ったときに、これのことも聞いてみようと思っていたのに忘れていた」
東雲 圓華
「骨董品やさん……ええ、あったわ。覚えている。最初はお土産屋さんかと思ったの。
巨人の掌?  お店が潰されたということ?」
東雲は不安そうに今までたどってきた道を見た。
東雲 圓華
「一つ目の、化物?」
KP
昼過ぎから夕暮れへと近づいてゆく空には、巨人の影など見えなかった。
のどかにカエルと蝉が合唱しているばかりだ。
波照間 紅
「ああ……、きっと関係があるんだろう。
僕はその店に行ってみようと思う。

何かに巻き込まれているのは、きっとまだ僕だけだ。
だから、電車がなくならないうちに帰れば、圓華さんは大丈夫だと思う」

帰ってほしい、と言うべきだった。
唇が震えて、どうしても言えなかった。
卑怯にも判断を委ねたのは、どうしても、手をうまく離せなかったからだ。
東雲 圓華
「……ありがとう、そう思ってくれる気持ちは分かるし、嬉しいの。でも」
KP
東雲は少し怒ったように首を振った。
東雲 圓華
「私はそんなことしたくない。
だって、何か役に立てるかもしれないでしょう?
肩を貸すくらいなら私にだって、できるのよ、紅さん」
KP
そして微笑んだ。
東雲 圓華
「一緒に行かせて。
きっと一人より二人の方が、見えるものも多いわ」
波照間 紅
唇が震えた。
涙が盛り上がりそうになって、泣くのだけは堪える。
波照間 紅
「ありがとう、……、ありがとう、すまない。
圓華さんが強い人だって、分かっていたのにな。
ありがとう、……、力を、貸してくれ。
力を、貸してほしい。東雲さん」

腕にすがりついて、涙だけは堪えたつもりだったが、実質殆ど泣いていた。
KP
東雲は、あなたを抱き締めて力付けるように寄り添い、指先であなたの涙を掬った。
東雲 圓華
「大丈夫、大丈夫よ、紅さんは強いもの。
一緒に考えましょう」
波照間 紅
少しだけその力強さと優しさに身を委ねていたくて、頷くことができるまで、腕の中で立ち止まっていた。
東雲 圓華
「急に視界が変になるのね? それじゃ、歩くときは手を繋いでおきましょう。
歩いている時や……階段でそうなってしまったら危ないものね?」
KP
ほら、早速役に立ちそう。
東雲はそう言って手を差し出し笑う。
波照間 紅
恐る恐るその手に触れる。手を引いて立ち上がる。
波照間 紅
「そうらしい、僕はそんなことも忘れていたな」
波照間 紅
「ありがとう、これだけで心強くなった」

役に立つどころか、それだけで百人力の気持ちなのだけれど、それは伏せておいた。
何せ気恥ずかしいし、何より頼りっぱなしでは格好がつかない。
これからは僕が覚悟を決めるべき時でもある。
KP
ではあなたがたは手を取りあい歩き出す。
あの骨董品店を目指す、という事でよろしいですか?
波照間 紅
それでOKです。

KP
手を繋いで来た道を戻っていけば、店先に大きな信楽焼がある骨董品店が見えてくる。
幸いあれからあなたの視界が乱れる事はなかった。

両肩に招き猫を乗せた狸の信楽焼は、あまり見かけないデザインだと感じるかもしれない。

店の中を覗き込めば、奇妙な造形の箱に象牙のようなオブジェ、鹿の頭部の剥製、埴輪の隣に並ぶスフィンクス。
日本人形とフランス人形の間にはトーテムポールが並んでおり、奥には老婆のミイラがある。
お世辞にも良い趣味とは言えないだろう。

しかし、なぜだかあなたはこの店内に惹きつけられる。
店のどこかにあるなにかを探さなければいけないと焦燥感に襲われるだろう。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 51 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 32→成功
波照間 紅
「ここだ……。僕が見た場所は」
店内をぐるりと見回した瞬間、納得がいった。
向かおうとしたら視界が乱れなくなったのも、そうだったんだな。
波照間 紅
「何者か知らないが、僕にここを探させたいらしい。
そのために、ここの様子を見せていたんだ」

胸に差し込まれる焦燥感が気持ち悪く、片手で胸を押さえた。

言葉で言ってくれればいいものを、回りくどいな。
テレパシーや幻視なんて使うくらいだ、言葉が通じないのかもしれないが。
波照間 紅
店内を見回す。
目的の品はどこにあるか分かるだろうか?
また、店主の姿はあるだろうか?
東雲 圓華
「お、お邪魔します……」
KP
東雲が声を上げた次の瞬間。
KP
「おや、お客さんかい」
老婆のミイラと思っていたものが、急に口を開いた。どうやらうたた寝をしていただけの店主のようだった。
「珍しいこともあるもんだ。どうぞ、好きに見ていきな」

〈目星〉または【アイデア】+30
波照間 紅
「ええ、お邪魔します。
そうだ、この蝶の意匠に関係する物はこちらにありますか?」
チョーカーを見せて店主に聞く。
1d100 99 【アイデア】+補正込み Sasa 1d100→ 2→決定的成功クリティカル)!
KP
あなたは店内に、あなたが首に下げているものとそっくりのペンダントトップをつけた首飾りを見つける。
何か特別なものであるように丁寧に単一で飾られたその石の色は紫。
まさにあなたが幻覚の中で見た色だ。
波照間 紅
「これは……、
あの紫色の光は、この色だったのか?」
自分のものと見比べてみる。
KP
あなたのはチョーカー、これは首飾りだが、ついている装飾は全く同じだ。
恐らく元々同じ一対の首飾りだったものが、あなたの物だけチョーカーに付け替えられたのだろう。
初めて見るペンダントであるはずなのに、まるで生き別れの片割れに出会ったかのような喜びで心が満ちるのだ。
自身の奇妙な感情に
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 51 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 76→失敗
SAN 51 → 50
KP
店主が目を丸くした。
「おや、おやおや、ちょっとお客さん。それは、もしかして識蝶しきちょうじゃないかね!
まさか戻ってくるなんてねぇ。もう諦めていたんだよ」
老婆はため息をついた。
波照間 紅
「これについてご存知なんですね。
よろしければ、ぜひ教えて下さいますか。
これを切っ掛けに、僕達はここに来たんです」
振り返り、真剣な顔で店主に頼む。
KP
店長と話そうと振り向いたあなたは、視界に入った景色が、
たったさっき幻覚で見た景色と同一だと気付く。
波照間 紅
教えて欲しいと頼む声が震えた。
感情が揺さぶられてやまない。
まるで古い古い欠落をそれが埋めるような、そんな感覚が胸の中に溢れる。
KP
「あんたが身に着けている首飾りは「識蝶しきちょう」と言って、こっちの箱に入っている「絃番げんつがい」と対になっているものだよ。二つ合わせて「夫婦蝶めおとちょう」というんだ。
紐が違っちまっているけど間違いないさ。
先日孫に店番を任せているときに観光客に片方だけを売っちまってね。
本来は二つで一つなのに離れ離れになっちまって悔いていたところなんだよ」
老婆はしみじみと語った。
波照間 紅
「そうだったんですね。
僕はこれを切っ掛けにここに来て、まるで……、呼ばれるようにしてこの店に来ました。
もしかすると、これが互いに呼び合ったのかもしれませんね」

まるで、どころか確実に呼ばれたんだが、それはぼかして口にする。
全く、強引な奴だな。

それなら、この異変は害のない、ただこいつが戻りたいがために起こしたものか?

あの拳はただの幻で、一つ目の化け物とは関係ないというのか?
波照間 紅
「あの、こちらの首飾りやこの意匠に、何か謂われはあるのでしょうか?
例えば、弓の神様と何か関係がある、とか」
KP
老婆はゆっくりと頷くと、部屋の隅にある椅子を二脚引きずり出してあなた方に勧める。
それからゆっくりと茶をいれ始める。

火哩斗ひりと様の昔話は知ってるかい? ここいらじゃ有名な昔話だ」
波照間 紅
「ええ。
先程、資料館で拝見しました。その程度ではありますが」
一礼して椅子に腰掛ける。
東雲 圓華
「はい」
東雲もうなずいて椅子に腰掛け、あなたの手に触れて握る。
KP
「片翼だけになって死んじまった海鳥の話があったろう? それには続きがあるのさ。
その海鳥は傷ついて片翼になったんじゃない、元から片翼だったんだ。
比翼の鳥ってものを知ってるかい?」

【知識】〈オカルト〉〈博物学〉いずれか。
波照間 紅
1d100 85【知識】 Sasa 1d100→ 67→成功
東雲 圓華
1d100 55〈博物学〉 Sasa 1d100→ 75→失敗
東雲 圓華
黙って首を振る。
KP
あなたは知っている。
比翼の鳥は、古代中国の伝説上の生物。
1つの翼と1つの眼しか持たないため、雄鳥と雌鳥が隣り合い、互いに飛行を支援しなければ飛ぶことができないとされている。
夫婦の仲のよいことにたとえられることを知っている。
波照間 紅
「互いに寄り添わねば飛べない、一つの翼と一つの眼の鳥……、ですね。
そういえば、あれも一つ眼だ」

夫婦仲の例えには言及しなかった。
口にすれば、今も支えてくれている掌の感触を意識してしまいそうだ。
KP
「片割れを喪って飛べやしないのに、それでも必死に火哩斗ひりと様に助けを求めた。
それで火哩斗ひりと様は憐れんで、海鳥を別の姿に変えてやったのさ」
老婆はあなたの首元を見る。
「それが蝶の姿だ。蝶は生まれ変わりを意味するのさ。
幼虫からサナギを経て蝶へと変わり、姿かたちが変わる生まれ変わりだ」
波照間 紅
「そんな謂われがあったんですね。
では、この蝶が、海鳥とその片割れの生まれ変わりということでしょうか」

チョーカーを外して、その首飾りの隣に置いてみる。
胸の中に渦巻く感情に、何か変化はあるだろうか。
KP
外そうとすると、何だか寂しいというような良く分からない感情が湧く。
しかし外してしまえば特に何も起こらない。
隣に置いてやると、何故か心底ほっとした。
KP
「そうさ」
老婆は重々しく頷いた。
「相手がどんな姿で生まれ変わろうとも、比翼の鳥は長い時間をかけて片割れを見つけ出したんだ。
そうして出会った番の蝶は、もう二度と相手を見失わないように対の首飾りになった。
それが、この『識蝶しきちょう』と『絃番げんつがい』なのさ。
信じるかい?」
老婆はここまで語って悪戯っぽく笑った。
波照間 紅
「信じますよ。
首飾りを売りたいがための作り話だなんて、思いません。

実際、彼らは僕を呼びつけましたから。
ここの風景を僕に見せてまで」
信じるか? と問い返すように口角を上げて笑った。
KP
「見たんだね……」
老婆はなるほどと頷いた。

「これはちょっと変わった腕輪でね。
互いに腕にはめて強く念じれば、『識蝶しきちょう』は『絃番げんつがい』の見ている景色が視えるのさ。
絃番げんつがい』は随分と辛抱強い腕輪でねぇ。
ちょっとやそっとの辛いことは我慢ができるいい子だよ。
どこにいたって相手の見ているものを識る腕輪と、感覚のいとを相手に託すつがいの腕輪だ」
東雲 圓華
「紅さんが見ていたのは、この首飾りが見ていた景色……
不思議ですね」
波照間 紅
「ああ、そうなるんだな。
不思議な物があるものだ」
KP
老婆はニヤリと笑った。
KP
「アタシの話はこれで終わりさ。
あんたたち、この絃番げんつがいも持っていきな。
金は要らない。夫婦蝶を離れ離れにさせちまったこっちの責任だ。
旅行の記念と思って、持って帰りな」
老婆は細い指に対の装飾品を持ち、あなたに押しつけてくる。
KP
「丁度いいじゃないか。絃番げんつがいはそっちのお嬢さんが持っておゆき」
便利だなぁ
KP
このあたり、佐倉と牧志にはちょっとあわないかなーって気がしまして。
波照間 紅
夫婦がモチーフとしてよく出てくるのもあって、波照間&東雲さんの方が確かに合う感じですね。
あと牧志普通に(便利そう)って顔しそうで困る。
KP
そうねwww
確かに彼らが手に入れたら普通に便利に使うな。
波照間 紅
何ならそういうのが欲しかったって顔しちゃうから牧志……。
KP
そんなに監視されたいの!?
牧志 浩太
「それなら俺がああ教祖なってても大丈夫だし、常時じゃないし、電池の心配もないし。
ああ、でも佐倉さんがああ支配・ヒナされたらやっぱり不味いか、正気の時だけ使えるようにならないかな……」
波照間 紅
台無しだ!
牧志 浩太
「あ、でも同時に念じないといけないのか、じゃあやっぱり無理か……」台無しアゲイン
波照間 紅
「片方が念じるだけで覗けてしまったら困るだろ、僕が! 色々と!! 大いに!」
KP
両方が念じる必要があるのは、便利でもあり不便でもあり。
波照間 紅
片方だけでOKだと一方的に東雲さん覗けてしまうことになって色々大変。波照間が。

波照間 紅
「あっ、勝手に決めないで下さい、色々困ります! それに圓華さんを巻き込む!」
慌てて止めようとする。
東雲 圓華
「……」
KP
ちらっと。圓華はあなたを見た。
東雲 圓華
「いただいていきますね。ありがとうございます」
KP
ふわりと微笑んで絃番げんつがいを手に取った。
波照間 紅
「いや、東雲さんがいいならいいんだ、でも、両方が許した時だけとはいえ視界を見られてしまうなんて気味が悪くないか? 大丈夫か?」
東雲 圓華
「だってまた離ればなれにしてしまっては可哀想」
波照間 紅
「いや……、そうだな、そうか。
また売られてしまうかもしれないしな。
僕らが持っていれば、大丈夫か」
東雲 圓華
「互いに望んだときだけであるなら、何も問題はないでしょう?」
東雲はにっこり笑って首飾りを身につけた。
波照間 紅
「互いに望んだ時だけじゃなかったら、大問題だ」
顔を赤くして俯いた。
東雲 圓華
くすりと笑って識蝶しきちょうを手に取り、あなたの首につける。
「大丈夫よ、紅さん、私は」
東雲 圓華
「ちょっと特別で、面白いでしょう?」
波照間 紅
「ああ……、うん。君がいいならいいんだ。
ちょっと特別、特別……」
波照間 紅
「……」
うっかりと距離の近さや諸々を意識し、顔どころか耳まで赤くなってしまった。
東雲 圓華
「異常の原因が分かったのだもの。
これでまた旅行の続きが楽しめるわ」
波照間 紅
「あ、ああ、そうだな。
彼らのせいって分かったんだしな。
あの様子じゃ夜の山には入れそうにないけど、部屋から星空を見ようか」
ぺちぺちと顔を叩いて赤みを払おうとする。
東雲 圓華
「ええ……楽しみ」
安心したように微笑む。
KP
火哩斗ひりと様といえばねぇ、あの普亭山ふていやまにも祠があったはずだよ」
老婆は骨のような指で山を指した。
ちょうど「ハイキングコース」の看板が道の向こうに見える。
波照間 紅
「そうなんですか、どの辺りに?」
懸念も晴れたし、コースを外れないようなら行ってみたいな、という思いが湧き上がる。
ガイドブックのハイキングコース案内を示して聞く。
KP
老婆が指したのは、40分コースと登山コースの丁度境目あたり、山を少し登った所だ。
波照間 紅
「コースを外れずに行けそうだな。
山の祠にもお参りしたいし、また行ってみようか」
指してもらった所に印をつける。
東雲 圓華
「そうね、ここから近いみたい」
地図と看板を見比べる。
東雲 圓華
「ほら、そこに登り口があるみたいよ」
波照間 紅
「ああ、こんなに近かったんだな。
異変に気を取られていたから、全く見ていなかった」
苦笑して、辺りの明るさと今の時間を確認する。
随分色々回ったが、日が落ちるまでまだ時間はあるだろうか?
KP
今大体16時くらい。
さすがに登山コースは無理だろうが、40分のお散歩コースくらいなら問題ないだろう。
波照間 紅
「夏だから陽も高いし、祠くらいまでなら行って戻ってこられそうだな。
どうしようか、このまま行こうか?
随分回ったし、明日の方がいいかな?」
東雲 圓華
「行きましょ。折角目の前なんだもの。私も気になるわ」
東雲の胸で、その名にふさわしい紫色の石が輝いた。
波照間 紅
「そうだな、行こうか」
彼女の胸で輝く石に少しばかり見惚れながら、頷く。
波照間 紅
「詳しく教えて下さって、ありがとうございました。
これは大事にさせて頂きます」
チョーカーを軽く押さえ、店主に一礼して席を立つ。
波照間 紅
「そうだ、ここには鈴か何か、音の出るようなものは置いていますか?
お恥ずかしながら軽く散歩に出る程度のつもりで、熊は考慮していなくて」
KP
「ああ、熊鈴ね。それなら」
老婆が目線で指した壁に、シンプルな大ぶりの鈴がいくつか下がっている。
価格は1000円程度だ。
波照間 紅
ありがとうございます、と礼を言って一つ買っていき、腰に吊しておく。
波照間 紅
それから、なかなか(オカルト的な意味で)面白そうな店内なので、何か荷物にならない掘り出し物がないか、店内をぐるりと見て回る。
KP
そうだなー。それじゃ〈オカルト〉〈目星〉〈神話〉で振って成功した個数なんか見つけちゃう。
波照間 紅
わーい
1d100 55 〈オカルト〉 Sasa 1d100→ 81→失敗
1d100 76〈目星〉 Sasa 1d100→ 94→失敗
〈神話〉知識ないの!?
波照間 紅
あ、出目に「好きな人と旅行中なのに道草食ってる場合じゃありません」って怒られた。
KP
www
波照間 紅
〈神話〉はないので以上。
KP
初回特典分くらい持ってそうな経験してるのにw
波照間 紅
ああー、確かに。>初回特典
し、初回特典もらえる? >前回シナリオ
KP
では差し上げますね。
駅で貰っててもいいくらいだもの。
というかそうか、前回の事件では確実に貰ってるよな。
3だっけ5だっけ。
5かな。
波照間 紅
ありがとうございます。
十分道は踏み外してますしね。

正確にいうと初回特典の加算、地獄はやさしいの時かな? とも思いますが、それだと牧志の〈神話〉知識が増えちゃうので、駅の時ということで……。

5%のはず。
KP
あーそうか、地獄で貰ってしかるべきだったか。
まさかこんな重継続になると思わなかったし
波照間 紅
そうなんですよね。厳密に解釈すると牧志の〈神話〉知識が5%増えます。

波照間 紅
1d100 5 〈神話〉知識 Sasa 1d100→ 2→決定的成功クリティカル)!

波照間 紅
おぅい
KP
なんとwww
何クリッてんのよ波照間さん!
波照間 紅
なんでこんなに〈神話〉知識でクリティカルするんだここの面子
振っておいてなんですが処理どうしましょう? ややこしいから初回特典なしとかでもokです。
KP
5%だからなぁ。出るときは出る。
ん、とりあえず四騎士事件初回でいいと思いますよ。
波照間 紅
はーい、ありがとうございます。
ここで狙いすましたようにクリティカルする波照間ったら……。
KP
じゃあねー、『必中の矢』を1本発見した。
撃つ前に使用を宣言する消費型のオリジナルAFです。
使用すると1d3の正気度が削れます。ファンブル以外は当たります。
こんな所でクリティカル出してんだからまあちょっとくらい特典あってもいいでしょ。
KP
店の片隅に、古い破魔矢のようなものが飾られていた。
悪魔使いとしてのあなたの勘は、それが魔力を持つものである事を感じ取る。
波照間 紅
「……これは」
意識せず気もそぞろだったのか、視線が上滑りする。
そうだそうだな、東雲さんを置いてゆっくり店内を見ている場合じゃない。
でも絶対何かありそうな店内だ。己の心と心が戦う。見たい。

そんなことに気を取られている視線でも、それの秘める強い魔力にはすぐに気づいた。

聖か邪か、あるいは血を望むのか。
波照間 紅
でも僕は、何かあれば彼女を守ると決めたんだ。
彼女の覚悟に応えるためにも。
波照間 紅
それを手に取る。
KP
その一瞬、空を駆け抜ける流星が見えた。
KP
「ああ、それね。
さっき話に出た火哩斗ひりと様の加護を受けた矢……ってことになってるんだよ」
老婆はそうは言ったが、本気にはしていなさそうだった。

〈博物学〉
波照間 紅
1d100 10〈博物学〉 Sasa 1d100→ 34→失敗
東雲 圓華
1d100 55〈博物学〉 Sasa 1d100→ 13→成功
東雲 圓華
「あら、これ……隕石……かしら?」
KP
後ろから覗き込んだ東雲が鏃の部分を指す。
でこぼこした、そこだけなんだか雑な作りに見え、黒の中にきらきらと光る部分が見えた。
波照間 紅
「ああ、そうなのか。隕石で作られた矢か……」
鏃をよく見てみる。
KP
そう意識して見ると、ただならぬ力を感じる。
この矢は本当に神の手にあったものではないのか、そんな馬鹿げた思いすら浮かんでくる。
手にしっくりと馴染み、撃ってみたいと思わせる奇妙な魅力があった。
きっと悪魔だろうと怪異だろうと人の心だろうと撃ち抜いてしまえるに違いない。
波照間 紅
「……」
鏃を覗き込んだ途端、空間が歪んだようにすら感じられた。
流星をそのまま手に持っているかのようですらある重さ。だというのに羽根のように軽い。
作りは雑にすら見えるのに、山をも越えてあやまたず飛ぶだろう、完全なバランスがそこにあった。
波照間 紅
「こちらの矢は、おいくらですか?」
射ってみたい、叶わぬならせめて番えてみたいと感じさせてやまない鏃の先から目を逸らし、店主に聞く。
KP
「ああ、400円だよ」
老婆はとくに興味もなさそうに言った。
波照間 紅
「では、こちらも頂きます」
その矢も合わせて買い、COMPとともに鞄に入れる。

矢が視界から消えて少しほっと息を吐く。
これは射手にとって少しまずい魅力を備えている。
KP
東雲はあなたのただならぬ態度に、少し不思議そうにしていた。
だがあなたの「仕事絡み」なのだろうと理解したのか、とくに追求する事もなかった。
波照間 紅
ありがとうございます。
波照間も普通の悪魔使いみたいな顔してるけど十分因縁あるんだよ。ってのが明確になっちゃったクリティカルでもありますしね。
KP
禍々しい物だと持ち帰れないだろうしね!
ルールブック2015なんかによると、普通に神器聖剣の類いもAFだから、別に呪いのアイテムって扱いじゃなくていいと思いますですよ。
的に必ず当たる力 は人間の手には余るので正気度消費はしていただきますけれども。
波照間 紅
なんですよね。
力がありすぎて思わず危うい魅力を感じてしまう解釈でお願いします。
過ぎた力はそれだけでアブナイなのだ。
さすがに呪いのアイテムだったら手に取らないし。
波照間 紅
「すまない、待たせた。じゃあ行こうか」
振り返る。
KP
「楽しんでおいでな」
店を出ると店の中から声がかかったが、振り向いてもそこに人がいるようには感じられなかった。
波照間 紅
「はい、楽しませて頂きます」
途中まで老婆のミイラと思っていたのだ、無理もない。
一礼して店を出よう。
東雲さんとハイキングコースへ向かいます。

KP
店から看板の方に少し歩くと、年季の入った飲料の自販機(100円と貼り紙がある)とハイキングコースの案内板があった。
ここから入ってゆき、20分ほど歩いたところに先ほど老婆が教えてくれた祠がある。
そのあたりで道はそのままぐるりと回って引き返してくる散歩コースと、更に登って行く3時間コースに分岐するようだ。

ハイキングコースはそれなりに整備された道なりだった。
田舎とはいえ、都度舗装工事がなされているのだろう。わずかに窪みがある箇所もあるが、歩くのに支障はない。
近くには川があり、山の奥から聞こえる滝の音が心地よい。
湿度が高くないからか、過ごしやすい環境だと感じるかもしれない。
波照間 紅
向かってみれば思ったよりも歩きやすそうな道だ。

滝の音は爽やかで、吹き抜ける風はきちんと涼しい。
日射しを遮る木陰から見上げれば緑が眩しく、街中では鬱陶しい夏も、ここでならいい季節だなと思える。

険しかったらどうしようかと思っていたが、これなら普段着でもゆっくりと夏を味わえそうだ。

せっかくだから、年季の入った自販機で飲み物を買っていこう。動いていれば。
KP
スポーツドリンクは売り切れ、水とノーブランドのお茶だけが買える。どれも100円だ。
東雲 圓華
「涼しい感じ。気持ちいい」
KP
東雲は嬉しそうに大股で歩く。
木漏れ日がつば広の帽子の上でちらちらと踊った。
鳥の声が時折、驚くほど近くで鳴き交わしているのが聞こえる。
波照間 紅
お茶を買っていこう。
「あなたのお茶」とか、そういうやつだろうか。
KP
お馴染みの「あなたのお茶」があった。
何の変哲もないものだが、渇いた喉には優しくしみ通る。
波照間 紅
「ああ、こんなに風が涼しいんだな」
鳥の声の近さがどこか懐かしいようで、遠いようで、不思議と気分がやさしくなる。
KP
しばらく進むと、もうすぐ祠につくといったあたりで道ばたに古びた小屋が見えてくる。
電気は付いていないようだが、普段から人の出入りがあるのか綺麗にされている様子がうかがえる。
波照間 紅
「あれかな」
穏やかな木漏れ日の中に埋もれる小屋の、大事にされ清められている様子は、風景の静けさを際立てる。

古いのに忘れられていないものは、優しい。
波照間 紅
小屋の方に足を向ける。
KP
小屋に鍵はかかっておらず、無人だ。
どうやら祠の類いではなく、休憩所か作業場といった風情だ。

【アイデア】
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 56→成功
KP
そういえば、あなたがたが宿泊している宿の主人がマタギで、山小屋に籠もっていることが多いと聞いた事を思いだした。
ここがおそらくそうなのだろう。
たしか今日の夕食は、採れたての山菜やジビエだと言っていた。
文字通り、獲れたてなのかもしれない。
波照間 紅
すっかり祠かと思っていたが、そうではないらしい。
成る程、山小屋か。
波照間 紅
どんな所なのだろう?
中に人の気配がなければ、中には入らないようにしてそおっと中を覗く。
KP
カーテンが掛けられていて中の様子は分からない。が、やはり人の気配はない。
扉を開けてみるなら、作業机とロッカー、それから小さな小窓とカーテンが掛かった大きな窓がひとつある。
綺麗に片付いていて実にシンプルだ。
波照間 紅
よく使われているんだな。
その様子に狩りや動物の気配は感じられず、丁寧な人が使っているのだろうとだけ思える様子だ。

いい人で奥さんに惚れ込んでいるという、その人の様子が浮かんでくるようだ。
波照間 紅
手を出すことはせず、頭を引っ込めて外に戻る。

KP
しばらく進めば、小さな祠が見えてきた。
中には人の形をしていると思われる石像が納められている。
随分と摩滅してしまっていて詳細は分からない。
丁寧に扱われているようで、手作りのよだれかけや手編みの帽子などを身に着けている。
波照間 紅
「こっちが祠だったのか」
最初の勘違いで少し照れくさくなりつつ、祠の前に立つ。

山小屋といい祠といい、本当に丁寧に扱われているんだな。
何というか、人が生きて暮らしている気配のする山だ。
波照間 紅
二度やると恥ずかしいので、先程聞いた場所と合っているか、ガイドブックを出して確認する。
KP
位置的に間違いはないようだ。少し先に分岐の看板が見える。
〈目星〉
波照間 紅
1d100 76〈目星〉 Sasa 1d100→ 6→成功
KP
石碑の文字がかすれているが、かろうじて「火哩斗ひりと様」という文字が読めた。
東雲 圓華
「ここがおばあさんが言っていた祠……かしら?」
KP
東雲は小首を傾げて、手を合せて何やら祈っているようだった。
波照間 紅
「場所も合っているし、石碑にもそうあるらしい。
ここで合っていそうだ」

祠にはユズリハが供えられている?
KP
そうですね、ここにも備えられています。
波照間 紅
それを見て、今度こそここらしいなと確信する。

東雲さんの横で手を合わせ、この旅の無事と、勇気を祈る。
KP
穏やかな風が草木を揺らす。
ヒグラシの声が聞こえ始めていた。
東雲は小さく息をついてあなたを見た。
KP
〈聞き耳〉
波照間 紅
1d100 73〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 58→成功
KP
空気が冷えて風か冷たくなっているのに気付いた。
日が陰ったから、ではなさそうだ。

ひと雨来そうだ。
そういった予報はなかったはずなのだが……
波照間 紅
「ん? ……まずいな、雨が来そうだ。
山の中で雨に遭いたくない、戻ろうか」
ひやりとした風を感じながら、最悪あの山小屋の軒を借りることになるだろうかと考えた。
波照間 紅
東雲さんに声をかけて下山します。
東雲 圓華
「あら、本当!」
KP
東雲は慌ててあなたを追う。
そういう間にも大粒の雨が降り始め、空はみるみる暗くなってゆく。
目の端で、何かが動いた。頭で何かを考えるよりも先に体が動いてしまうだろう。
貴方たちは反射的にそちらを見た。

なにかがいた。白く、巨大ななにかが。

その体躯はおよそ3mほどあるだろうか。ずんぐりとした筋肉質の体。
体毛はなく、全身が暗い灰色の皮膚をしていた。
そして、人間の顔に当たる位置にあるものは……たった一つの黒く光る目だった。

その目を直視した目撃したあなた達は、
・波照間は《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D6
・東雲は《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》の減少値
波照間 紅
1d100 50 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 46→成功
東雲 圓華
1d100 58 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 34→成功
波照間 紅
「……、な……!」
声が掠れた。目に入ってしまった。映ってしまった。
ひとつめのばけものというから、もう少し小さいものだと思っていたのだ、せめて。

あれは。

熊ではなかった、ないに違いない。
熊はあんな眼と形を持っていない。
辛うじて彼女を守らねばという思いが動揺を押しのけた。
KP
東雲は小さな悲鳴を上げたが、ただ少し驚いただけのようだ。
あなたにとってあの目は、そら恐ろしく存在の根幹まで覗かれるような異様な物に見えたのだが。
波照間 紅
咄嗟に鞄のCOMPに手を伸ばしながら、相手に背は向けず、東雲さんを背に庇うようにして少しずつ後ずさる。

相手はどう出る?
KP
貴方たちがその一つ目の化け物を目撃したと同時に、一つ目もあなたたちを認識したようだった。
バキバキと周囲の枝を掻き分け、地面を踏み鳴らしながらこちらへ向かってくる様子が見える。あの巨躯に押しつぶされてしまえば、無事ではすまないと本能的に察するだろう。
幸い足はそれほど速くない。逃げた方が賢明だろう。
波照間 紅
「まずい、今のうちに逃げよう」
東雲さんの手を引いて逃げ出す!
KP
東雲はあなたとともに走り出す。
東雲 圓華
「あれが、一つ目……!」
KP
幸い彼女はそれほど取り乱してはいないようだ。
木が折れる音が聞こえてくる。
KP
【アイデア】
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 27→成功
KP
闇雲に逃げるよりも山小屋に身を隠す方がよいかもしれない。
それに山小屋であれば何か身を守る武器が手に入るかもしれない。
あなたの腰には魔を撃つ弓があるが、少し距離を開けなければ使うのは厳しいだろう。
波照間 紅
「そうだ、あの小屋に!」
小さく叫んで、東雲さんの手を引いて小屋へ向かう。
最悪、奴が小屋を壊している間に逃げればいい。
一撃で壊せる程の力がなければだが!
KP
雨の中、あなた方は走る。
足元はぬかるんでおり走りにくい。
アルスカリからの逃走
〈ルール〉
【DEX】×5に2人合わせて合計3回成功する必要がある。
波照間 紅
【DEX】ッッ! 超苦手分野!! 東雲さん助けて!
KP
では1T目! 波照間さんどうぞ。
波照間 紅
1d100 25【DEX】 Sasa 1d100→ 59→失敗
無理ッッッ!
東雲 圓華
1d100 75【DEX】 Sasa 1d100→ 77→失敗
KP
おっと。
KP
2T目!
巨人はまだ遠い。
波照間さんどうぞ。
波照間 紅
1d100 25【DEX】 Sasa 1d100→ 53→失敗
KP
あ、そうだな
波照間 紅
お?
KP
ここからだと木々が邪魔で直接当てる事はできないが、狙わずに牽制を撃つ事で相手の速度を弱める事ができるとしよう。
波照間 紅
おお、それはありがたい。
KP
ということで【DEX】判定ないないして〈弓〉でどうぞ。
波照間 紅
もう少し走る練習をしておけばよかった!
心底そう思いながらCOMPを鞄から引き抜き、片手で弓を展開すると同時に矢を抜く。
狙う必要はない。飛ばす事だけを考えて弓を引く。
波照間 紅
普通の矢で牽制を撃ちます。
1d100 75 〈弓〉 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
波照間 紅
おぁー!
よりにもよってこんな所で! 出目が暴れすぎではないかい
東雲 圓華
1d100 75【DEX】 Sasa 1d100→ 24→成功
KP
あなたは矢を番える。狙う気はなかった。
だが、あの目とまっすぐ目が合ってしまう。
途端、指先から力が萎えるのを感じた。
矢はあらぬ方向へと飛び去って行く。

あなたは異常な恐怖心があの目から注ぎ込まれたかのように感じるだろう。
あの目を見て弓引く事は不可能だ。
本能の奥底であなたはそう感じ取る。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 50 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 88→失敗
SAN 50 → 49
波照間 紅
くそ、と唇を嚙んだ。
真っ黒な眼と目が合った瞬間、まるで宇宙の一番深い所の見てはならない何かを見て── 
いや、何かに見られたかのように、弦を引く腕から力が抜けてしまった。

己の不甲斐なさに歯噛みする。
弓引くことすら満足にできないなんて。
このままでは逃げ切れない、もう一度だ、今度は胴の辺りを狙って……!
KP
3T目どうぞ。
波照間 紅
1d100 75 〈弓〉 Sasa 1d100→ 39→成功
東雲 圓華
1d100 75【DEX】 Sasa 1d100→ 51→成功
KP
お、やった。
波照間 紅
おお!

KP
背後で木が叩き潰される轟音が聞こえた。
だがあなた方は山小屋に逃げ込む事に成功する。
巨大な何者かはあなた方を見失ったのか、うろうろと歩き回っているようだ。
ずしりずしりと地響きが聞こえる。その足音は探るようにゆっくりと動き回っている。
まだ小屋に入ったのに気付いていないのか、山の上の方にいるようだ。
KP
小屋の中は薄暗く、室内には作業机とロッカー、それから大きな窓と小さな小窓がひとつずつある。
東雲 圓華
「どうしよう……助けを、呼べるかしら」
東雲が不安そうに呟いた。
波照間 紅
「今のうちに、ここに電話か何かないか探してみよう……。
スマホの電波が入らない場所なら、可能性はあるかもしれない」
恐怖の余韻と速い鼓動がまだ胸を激しく叩く。
それでも、つとめて声の動揺を抑えようとする。

スマートフォンの電波とCOMPの動作を確認する。
電波は入りそうか。助けは呼べそうか。仲間を喚ぶことはできそうか。
KP
電波は入らないようだ。
はたして普段からそうなのだろうか?

COMPはエラーを吐いているが、弓として使用する事はできる。

大きめの窓の向こうから水が流れる音が聞こえる。河があるのだろうか。
東雲 圓華
「で、電話……」
東雲が机を見たが、失望したように言った。
東雲 圓華
「駄目だわ、これ日記かしら」

〈目星〉または〈図書館〉
波照間 紅
1d100 76〈目星〉 Sasa 1d100→ 62→成功
KP
東雲がぱらぱらと開いたそれに、あなたは一瞬、あの化け物に似た絵が描き付けられているのを見る。
波照間 紅
「! 東雲さん、それ。奴に似ていないか?
奴の弱点とか逃げ方とか、書いてあるかもしれない」
その絵のあるあたりのページを確認する。
東雲 圓華
「えっ? えっ、本当に?」
KP
彼女は慌ててテーブルの上で本を広げる。
彼女は先ほどの絵を探してページを繰る。すると、ページの中に「魔術」という記載があった。
そこにあったのは、旅館の主人の日記だった。
実は彼は魔術師の落ちこぼれであり、平穏を求め、この村の住人の女性に惚れてここに住みマタギになることを決めたようだ。
東雲 圓華
「魔……術士?」

波照間 紅
何かやばいものと契約でもしているのかと思ったら、最初から魔術師だったッ!
KP
この日記帳本当は魔術とか書いてあるの見て《SANチェック》入るんだけど、まあ波照間さんは入らないよな。
東雲さんも騎士事件の時に散々見たし、なんなら波照間さんに「刻」のときに話聞いてそうだしなー。
波照間 紅
波照間はそもそもデビルバスターだし、そうじゃない魔術にも携わったことがあるしなぁ。(レミングスドリームのあれ)
東雲さんは騎士事件の時はぼんやりしていたし、刻の時は割と「不思議なこと枠」だったから、魔術が普通にそこにあるものとして書かれてるのはどうだろうと思ったけど、でも波照間の仕事については微妙に聞いてるし、ちょっとカルチャーショックくらい?

波照間 紅
……魔術師の家ってのも大変だな。
この仕事を初めてからどうも、昔憧れていたものの実情を見てしまうことが多い気がする。三日三晩の儀式とか。
というか、血なら肉屋ででも買えばよくないか?
ああ、生き血じゃなけりゃだめか。それもそうだな。
波照間 紅
雑念退散。
この書き方ならば、その唯一の魔術が、きっと百発百中の秘訣だ。
奴の眼を撃ち抜く魔術があるんじゃないかという望みをかけて、ページをめくる、めくる、めくる。
彼は一ヶ月前から普亭山に現れた一つ目の巨人に立ち向かった。だが倒す事はできなかった。
その目を見ると恐怖のあまり魔法が使えなくなってしまうのだ。
KP
その記載の所にあの巨人らしき絵が描かれていて、目にあたる部分がぐりぐりと塗りつぶされていた。
手帳の隙間から1枚の紙が落ちてくる。
波照間 紅
その紙を拾って見る。
《無欠の投擲》(改変)についての説明
KP
呪文が説明とともに記されていた。

コメント By.KP
不思議な現象の原因も分かって、心置きなく旅行の続きを楽しもうとしたとき……
どうしてここで〈クトゥルフ神話〉知識クリティカルなんかするの……

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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