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佐倉 光
疲労も眠気も訪れず、天もひたすら暗く。
時間の感覚がおかしくなってゆく。
大体月を半周で5000km、もう少し短いとして3000km程度、牧志が時速30kmとしても100時間。60kmでも50時間だ。
時間の感覚がおかしくなってゆく。
大体月を半周で5000km、もう少し短いとして3000km程度、牧志が時速30kmとしても100時間。60kmでも50時間だ。
KP
空はどこまでも暗く星を撒いて、変化といえば時折降る隕石だけだ。
本当に月の裏側に都市なんてあるのか、信じられなくなってくるかもしれない。
牧志とあなたの声ばかりが落ちる道行き。
歩き続けてうんざりする羽目にはならずに済むが、その分、ただ時間は曖昧だ。
本当に月の裏側に都市なんてあるのか、信じられなくなってくるかもしれない。
牧志とあなたの声ばかりが落ちる道行き。
歩き続けてうんざりする羽目にはならずに済むが、その分、ただ時間は曖昧だ。
牧志 浩太
(佐倉さん、着くまで寝とく? 裏側まで着いたら起こすよ)
佐倉 光
「……あ、そうだな、寝とこうかな」
佐倉 光
到着まで寝ることにはするけど、その前にぽろっとしとこうかな。
KP
お、イイネ。
佐倉 光
「死と再生か。俺が実験から帰ってきたのも再生みたいなものだな。
あれもまた牧志が」
あれもまた牧志が」
牧志 浩太
(ああ、確かに。……俺が?)
結晶体になっても耳は健在なのか、牧志はその呟きをしっかり聞きつけた。
結晶体になっても耳は健在なのか、牧志はその呟きをしっかり聞きつけた。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「牧志が異変に巻き込まれているかもしれない、って聞いて出てきたんだよ」
口調がなんとなく重くなっている自覚はあった。話したくない。
口調がなんとなく重くなっている自覚はあった。話したくない。
牧志 浩太
(……)
牧志 浩太
(分かった、そうしとく)
苦笑いのような振動が少し身体に伝わって、牧志は緩やかに声を止めた。
苦笑いのような振動が少し身体に伝わって、牧志は緩やかに声を止めた。
佐倉 光
そうだね、牧志は追求してこないんだよね。
KP
佐倉さんが話したくなさそうだなー、と思ったら静かに口を閉じますからね。
大事な時は除いて。
その「話したくない」もこちらの為なんだろうなという、何となく信頼のようなもの。
大事な時は除いて。
その「話したくない」もこちらの為なんだろうなという、何となく信頼のようなもの。
佐倉 光
ちぇ、くそ、勘付かれたな。
その姿でも鋭いの変わらないのは頼もしいけど。
鋭い(物理)。なんてな。
睡眠なんてものも多分肉体的には必要ないんだろうけど、急に眠くなってきた。
きっと逃避行動だ。
その姿でも鋭いの変わらないのは頼もしいけど。
鋭い(物理)。なんてな。
睡眠なんてものも多分肉体的には必要ないんだろうけど、急に眠くなってきた。
きっと逃避行動だ。
佐倉 光
「悪いけど、しばらく任せる。
何かあったら起こして」
目を閉じて深く沈む。
眠る間、混沌に沈みかけている人間の記憶と知識と感情をかき集め、精査する。
どこまでが俺で、どこからが『俺』か。
そんな今となってはあまり意味がないと思える精神活動が、必要なのではないかと思った。
何かあったら起こして」
目を閉じて深く沈む。
眠る間、混沌に沈みかけている人間の記憶と知識と感情をかき集め、精査する。
どこまでが俺で、どこからが『俺』か。
そんな今となってはあまり意味がないと思える精神活動が、必要なのではないかと思った。
牧志 浩太
(うん、お休み)
牧志の声に見送られるようにして、あなたの意識が沈んでいく。
牧志の声に見送られるようにして、あなたの意識が沈んでいく。
ほかの意識
佐倉 光
佐倉が寝ている間に別の意識が出てきたりして。
ニャル化片目くんとかロアさんとか。
ニャル化片目くんとかロアさんとか。
KP
ああー、ありそう。
佐倉 光
なんか佐倉が休憩貰う間牧志が移動したりする機会が多い気がした。
KP
確かに。【CON】の関係?
佐倉 光
現状でも【CON】負けてる!
KP
現状は牧志がほぼ生きてない存在だからしょうがない
KP
混沌の底で何かが楽しそうに笑っていた。
意識の奥で何かが、微笑んでいるような苦笑いのような、痛みを秘めた顔をしていた。
その傍らで何かが、あなた達を見守っていた。
意識の奥で何かが、微笑んでいるような苦笑いのような、痛みを秘めた顔をしていた。
その傍らで何かが、あなた達を見守っていた。
佐倉 光
眠っていたはずなのに絶えず誰かと話していたような気もしたし、誰かの声を聞いていたような気もする。
その内容の一切がわからないのに、何故か警戒すべきものではないと感じた。
『自分』に警戒する必要はない。
いや、そんなこともないだろう、波照間さんの姿を奪ったジャック・O・ランタンみたいなのも当然いるわけだし。
その内容の一切がわからないのに、何故か警戒すべきものではないと感じた。
『自分』に警戒する必要はない。
いや、そんなこともないだろう、波照間さんの姿を奪ったジャック・O・ランタンみたいなのも当然いるわけだし。
佐倉 光
なんとなく意識が浮上する。
どれくらい進んだのだろう?
どれくらい進んだのだろう?
牧志 浩太
(おはよう。もうすぐ裏側に出そうだよ)
KP
牧志の声が聞こえた。
変化のない大地の遠い向こうに、濁った光の届かない領域が見える。
変化のない大地の遠い向こうに、濁った光の届かない領域が見える。
佐倉 光
「ああー、おはよう。思ったよりしっかり寝たな……」
佐倉 光
「おー、あっちは随分と暗いな」
牧志 浩太
(だな。くっきり分かれてると不思議な感じだ)
佐倉 光
「……んなわけないと思うんだけど、誰かと話してた?」
牧志 浩太
(ああ。……話してたよ。
片目の俺とか、あと、随分懐かしい顔にも会ったかな)
牧志の声は穏やかで、遠くを見るように柔らかく、少しだけ冷たい死の気配がした。
片目の俺とか、あと、随分懐かしい顔にも会ったかな)
牧志の声は穏やかで、遠くを見るように柔らかく、少しだけ冷たい死の気配がした。
佐倉 光
「……あ、そうか。
あいつも巻き込んじゃったことになるな。
もし今度会ったら代わりに謝っておいて……
ってあいつ、こういうのも見てるのかな」
あいつも巻き込んじゃったことになるな。
もし今度会ったら代わりに謝っておいて……
ってあいつ、こういうのも見てるのかな」
牧志 浩太
(分かった、次に会ったら伝えとく)
佐倉 光
牧志をアレから引き離したつもりが、牧志を俺の巻き添えにしていた。
少し迷って、中空をみつめて言う。
少し迷って、中空をみつめて言う。
佐倉 光
「巻き込んで、ごめん」
佐倉 光
「で、懐かしい顔って?」
俺達とアレと関係ありそうなヤツで他に心当たりはないな。
俺達とアレと関係ありそうなヤツで他に心当たりはないな。
牧志 浩太
(……ああ。
先輩が神に願ってくれて、俺、地獄から帰ってきたって言っただろ。
その、俺を帰してくれた神に、少しだけ会ったんだ。
俺が直接会ったわけじゃないから、懐かしいっていうのも変だけど)
先輩が神に願ってくれて、俺、地獄から帰ってきたって言っただろ。
その、俺を帰してくれた神に、少しだけ会ったんだ。
俺が直接会ったわけじゃないから、懐かしいっていうのも変だけど)
佐倉 光
「俺が寝てる間に、来ていたのか?」
こんな場所で?
しかし何故かそれで間違っていない気がした。
こんな場所で?
しかし何故かそれで間違っていない気がした。
牧志 浩太
(うん。少しだけだけど。
楽しそうに笑ってた)
楽しそうに笑ってた)
KP
牧志は滑るように移動し、クレーターの間を掻き分けながら、月の暗い領域に入る。
辺りをふっと闇が包んだ気がした。
しかし、目が慣れれば意外とまだ明るい。
太陽からの光はまだ届いていて、辺りを照らしている。
太陽からの光も届かない夜の領域を目指して、牧志は進んでいく。
あの地球から見れば、今は満月に近いのだろう。
夜の領域が、すぐ向こうに見えている。
辺りをふっと闇が包んだ気がした。
しかし、目が慣れれば意外とまだ明るい。
太陽からの光はまだ届いていて、辺りを照らしている。
太陽からの光も届かない夜の領域を目指して、牧志は進んでいく。
あの地球から見れば、今は満月に近いのだろう。
夜の領域が、すぐ向こうに見えている。
佐倉 光
地図にある都市を探してぐるりと見回す。
地球よりは小さいが、あてもなく行ってたどり着けるほど月は狭くないだろう。
地球よりは小さいが、あてもなく行ってたどり着けるほど月は狭くないだろう。
KP
あなたが辺りを見回した時、傍らで何かがふわりと浮かんだ。
それは、牧志と同じ質感できらめく小さな結晶体だった。
くるりと回転すると、ある一方向を尖った角で指して、聞き覚えのあるような声できいきいと鳴く。
そちらの方向を見れば、宙に浮く巨大な黒い石のへりが、微かに見えた。
今まではなかった風景だ。
それは、牧志と同じ質感できらめく小さな結晶体だった。
くるりと回転すると、ある一方向を尖った角で指して、聞き覚えのあるような声できいきいと鳴く。
そちらの方向を見れば、宙に浮く巨大な黒い石のへりが、微かに見えた。
今まではなかった風景だ。
佐倉 光
俺の支配下の……いや、牧志と同じ……
道を教えてくれるのか?
なんて言っているのかは分からないのかな?
分からないようなら牧志に訊く。
地図と景色を見比べて道を調べる。
道を教えてくれるのか?
なんて言っているのかは分からないのかな?
分からないようなら牧志に訊く。
地図と景色を見比べて道を調べる。
KP
その声はただの鳴き声にしか聞こえず、意図は分からない。
ただ、巨大な黒い石の方を指し示しているように見える。
地図を見れば、「アザトースの種子」と書かれた黒い石のマークが、都市の上に描かれている。
そのマークは、月の地平線の向こうに微かに見えているあの黒い石とよく似ている。
ただ、巨大な黒い石の方を指し示しているように見える。
地図を見れば、「アザトースの種子」と書かれた黒い石のマークが、都市の上に描かれている。
そのマークは、月の地平線の向こうに微かに見えているあの黒い石とよく似ている。
牧志 浩太
(何言ってるかは分からないな。
というかこいつ……、俺の胃袋じゃないか?)
というかこいつ……、俺の胃袋じゃないか?)
佐倉 光
「外れちゃったのか」
佐倉 光
そうきたか。独立しちゃったか。
KP
別の生命体がために体内にいられなくなって独立しました。でも常にくっついてる。
佐倉 光
あ、くっついてるんだ
KP
外れてるけど牧志から離れてどっかいくことはない感じですね。
佐倉 光
オプションだ!
KP
YES! オプション!
佐倉 光
「外れちゃってて大丈夫なのか?」
牧志 浩太
(確証はないけど、そんな気がする。
一応、俺から離れていくことはないみたいだ。
今の俺には内臓なさそうだし、それで体内にいられなくて外に出たのかな)
一応、俺から離れていくことはないみたいだ。
今の俺には内臓なさそうだし、それで体内にいられなくて外に出たのかな)
佐倉 光
「とにかく、あの黒いヤツを目指せばいいんだな、サンキュ」
元胃袋(?)に手を振る。
元胃袋(?)に手を振る。
KP
元胃袋? は応えるようにくるりと回転した。
佐倉 光
「まあ、賑やかでいいかな。はぐれるなよ」
牧志 浩太
(はぐれて胃がなくなったら困るな)
佐倉 光
俺の魔法で見た目を誤魔化すのは本格的に無理そうだな。
佐倉 光
「とにかく向かってみようぜ」
牧志 浩太
(ああ。行ってみよう)
牧志は黒い石のある方へ向かって、すうっと動きだした。
牧志は黒い石のある方へ向かって、すうっと動きだした。
KP
地平線の向こうに微かに見えていた黒い石は、
次第にその姿を現し始める。
石は確かに表面に鱗状の構造を持つように見えた。
「種子」という地図の記述を読むと、段々そう見えてくる。
次第にその姿を現し始める。
石は確かに表面に鱗状の構造を持つように見えた。
「種子」という地図の記述を読むと、段々そう見えてくる。
佐倉 光
「あれは芽吹くのかな」
あまりに巨大なそれに呆れたように息を漏らす。
アザトース所有の種子、なんだか。
アザトースが生える種子、なんだか。
そのへんは〈クトゥルフ神話〉知識で分かるかな。
振るなら人間の範囲でやるけど。
あまりに巨大なそれに呆れたように息を漏らす。
アザトース所有の種子、なんだか。
アザトースが生える種子、なんだか。
そのへんは〈クトゥルフ神話〉知識で分かるかな。
振るなら人間の範囲でやるけど。
牧志 浩太
(どうなんだろうな、星か? ってくらいの大きさだけど。
もしかしたら、ああいう形してるから種子って呼ばれてるだけかもしれないし)
もしかしたら、ああいう形してるから種子って呼ばれてるだけかもしれないし)
KP
〈神話〉知識で振ってみてください。人間の範囲でもよい。
佐倉 光
1d100 41 〈神話〉 Sasa 1d100→ 34→成功
KP
種子というならあまりに巨大なそれが、「アザトースの使者」とも書かれているのを、あなたはどこかで見た気がする。
しかしそれが真に種子なのか、それとも別のものなのか、あなたは知らない。
それがアザトースの何であるのかも。
しかしそれが真に種子なのか、それとも別のものなのか、あなたは知らない。
それがアザトースの何であるのかも。
佐倉 光
まあ、関係あるかも、って程度だな。
気にしても仕方ないか。
種子の下に見えるものに近づく。
気にしても仕方ないか。
種子の下に見えるものに近づく。
佐倉 光
「波照間さん……観たがったかもしれないな」
牧志 浩太
(ああ……、)
牧志が深く息をついたような、そんな声が聞こえた。
牧志が深く息をついたような、そんな声が聞こえた。
牧志 浩太
(間違いない、見たがったな。
こんな光景、すごく見たがったよ、きっと。
感激しただろうな。
走り回っただろうし、暫くずっと星を探してただろうと思う。
大気の影響のない惑星も恒星も、驚くほど鮮明に見えるんだ。
こんな光景、地球からでは絶対に見られなかった。きっと一生だって星を見てたし、あの時出会ったものが何かを探しに行こうとした)
牧志の声は、実感に満ちていた。
こんな光景、すごく見たがったよ、きっと。
感激しただろうな。
走り回っただろうし、暫くずっと星を探してただろうと思う。
大気の影響のない惑星も恒星も、驚くほど鮮明に見えるんだ。
こんな光景、地球からでは絶対に見られなかった。きっと一生だって星を見てたし、あの時出会ったものが何かを探しに行こうとした)
牧志の声は、実感に満ちていた。
佐倉 光
「俺たちが一度宇宙に行ったときにも留守番だったもんな。
俺たちにとっては寄る辺ない空でも、波照間さんにとっては無限の希望だったかもしれないんだ」
波照間さんはもういない。
どこともしれない場所でこき使われているのだ。
きっと自分たちが何をさせられているのかもよくわからないまま。
俺たちにとっては寄る辺ない空でも、波照間さんにとっては無限の希望だったかもしれないんだ」
波照間さんはもういない。
どこともしれない場所でこき使われているのだ。
きっと自分たちが何をさせられているのかもよくわからないまま。
牧志 浩太
(ああ。
あの時だってそうだったな。
無理もない、先輩が一緒だったらそれどころじゃなくなっただろうから。
ずっと探してるんだ。星を)
牧志は言葉を切り、意識を前に向けた。
あの時だってそうだったな。
無理もない、先輩が一緒だったらそれどころじゃなくなっただろうから。
ずっと探してるんだ。星を)
牧志は言葉を切り、意識を前に向けた。
KP
種子の下へ近づくと、その下に何かがこんもりと盛り上がっているのが見えてくる。
それは月の砂と同じ灰色の石で作られた、窓のひとつもない陰鬱な雰囲気の漂う尖塔群だ。
都市の空には、何か黒いものがいくつも飛び交っていた。
大気のないはずの月面で、隕石に打ち砕かれることもなく、そんな構造物が存在している風景は、どこか夢の中のように見える。
……そういえばあなた達は、夢の中で全く同じ風景を見た。
これはあの夢と、現実の接点なのかもしれない。
それは月の砂と同じ灰色の石で作られた、窓のひとつもない陰鬱な雰囲気の漂う尖塔群だ。
都市の空には、何か黒いものがいくつも飛び交っていた。
大気のないはずの月面で、隕石に打ち砕かれることもなく、そんな構造物が存在している風景は、どこか夢の中のように見える。
……そういえばあなた達は、夢の中で全く同じ風景を見た。
これはあの夢と、現実の接点なのかもしれない。
佐倉 光
「夢の光景みたいだ。
あの時は夢を通してあそこを見ていたのかもしれないな。
生きているものがいるってのに、変に不吉に見えるな、あれは。
ムーンビーストって人間にはあまり友好的じゃないからか。
今の俺たちにはあまり関係ないはずだけど」
こいつは役に立つのかな? と地図をひらひらさせる。
あの時は夢を通してあそこを見ていたのかもしれないな。
生きているものがいるってのに、変に不吉に見えるな、あれは。
ムーンビーストって人間にはあまり友好的じゃないからか。
今の俺たちにはあまり関係ないはずだけど」
こいつは役に立つのかな? と地図をひらひらさせる。
牧志 浩太
(かもしれないな、あの時そっくりだ。
身分証明だって書いてあったし、役に立つといいんだけど)
牧志は速度を緩めてそこへ近づいていく。
身分証明だって書いてあったし、役に立つといいんだけど)
牧志は速度を緩めてそこへ近づいていく。
牧志 浩太
(一応物陰を探し、……うわ)
牧志の強張った声の理由に、一瞬後に気づくだろう。
牧志の強張った声の理由に、一瞬後に気づくだろう。
KP
その街のような構造物の上に下に、街路のあらゆる隙間に。
灰色がかった白けた肉体を揺すり、油を塗ったようにぬらぬらとぬるついた表皮を絶えず嗤うように蠢かせる、直立する蟇蛙に似た生き物らが跋扈していた。
それは二度ほど見た姿だった。
何なら、こうやって灰色の街路のあいまにひしめく姿だって、一度は見たはずだ。
だというのに、目の前の光景はあの夢の中よりも遥かに精細で現実的で、滴る油のにおいや質感すら感じ取れる状況は、人としてのあなたの意識を圧倒した。
あれは、あの時見たものは、牧志の夢に過ぎなかったのだ。
《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1D6》。
灰色がかった白けた肉体を揺すり、油を塗ったようにぬらぬらとぬるついた表皮を絶えず嗤うように蠢かせる、直立する蟇蛙に似た生き物らが跋扈していた。
それは二度ほど見た姿だった。
何なら、こうやって灰色の街路のあいまにひしめく姿だって、一度は見たはずだ。
だというのに、目の前の光景はあの夢の中よりも遥かに精細で現実的で、滴る油のにおいや質感すら感じ取れる状況は、人としてのあなたの意識を圧倒した。
あれは、あの時見たものは、牧志の夢に過ぎなかったのだ。
《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1D6》。
佐倉 光
1d100 58 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 73→失敗
SAN 58 → 57
SAN 58 → 57
牧志 浩太
1d100 55 牧志《SANチェック》 Sasa 1d100→ 31→成功
佐倉 光
「『見た気になる』と『見る』じゃ大違いだな」
今の自分には取るに足らないものであるはずなのに、あの存在には危険と嫌悪を感じる。
あるはずのない呼吸が乱れた。人間の頃の癖で胸元を握る。
今の自分には取るに足らないものであるはずなのに、あの存在には危険と嫌悪を感じる。
あるはずのない呼吸が乱れた。人間の頃の癖で胸元を握る。
佐倉 光
「俺の人間の部分が、『アレは危険だから近づくな』って言ってる」
佐倉 光
「そういうわけにも行かないから、落ち着いて貰わないと」
指先でヒランヤの尖った角を撫でた。
指先でヒランヤの尖った角を撫でた。
KP
あの青い星が滅んでも、指先に触れる手触りは変わらなかった。
佐倉 光
「……ok、行こう」
牧志 浩太
(ああ。
一応、物陰を辿ってみる。俺がこの調子じゃ、あまり意味はないかもしれないけど。
何かあったら俺の後ろに隠れて)
牧志は人のあなたに言うようにそう言うと、ゆっくりと街へ近づいていく。
一応、物陰を辿ってみる。俺がこの調子じゃ、あまり意味はないかもしれないけど。
何かあったら俺の後ろに隠れて)
牧志は人のあなたに言うようにそう言うと、ゆっくりと街へ近づいていく。
KP
狭い街路に踏み入ったとき、何者かがぼんやりとした青い光がをあなた達にさしかけた。
牧志は咄嗟に隠れようとするが、あちらは完全にこちらに気づいているようだった。
……こちらは光っているし、音が出ているし、回っているので、無理もないが。
牧志は咄嗟に隠れようとするが、あちらは完全にこちらに気づいているようだった。
……こちらは光っているし、音が出ているし、回っているので、無理もないが。
佐倉 光
バカデカ毛布取り寄せて牧志にかけていい?
少なくとも光を遮断できるやつ。
音はどうしようもないよなー。
牧志の視界がどうやったら確保できるのかは、街の外にいるときに調べておけば良かったな。
少なくとも光を遮断できるやつ。
音はどうしようもないよなー。
牧志の視界がどうやったら確保できるのかは、街の外にいるときに調べておけば良かったな。
KP
なるほど。
あなたは神であるので、音も遮断できる程に十分な防音性のあるフワフワモコモコを召喚できてよい。
また、時間はあったので、街に入る前にそうしていたとしてよい。
正気度 1d3を減少すること。
あなたは神であるので、音も遮断できる程に十分な防音性のあるフワフワモコモコを召喚できてよい。
また、時間はあったので、街に入る前にそうしていたとしてよい。
正気度 1d3を減少すること。
KP
牧志はでっかいフワフワモコモコになった。
乗っていると、とても気持ちいい。ふかぁ………。
あなたは先にこうしておけばよかったと思うかもしれない。
元胃袋もその中へ入り込む。
乗っていると、とても気持ちいい。ふかぁ………。
あなたは先にこうしておけばよかったと思うかもしれない。
元胃袋もその中へ入り込む。
牧志 浩太
フワモコ状態でも牧志の視界(?)はあるようだ。
KP
が、でかいフワモコそれはそれで目立つため、光を照射してきた相手には気づかれる。
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 57 → 56
SAN 57 → 56
佐倉 光
「もーちょっと早く思いつけば良かったな」
牧志 浩太
(確かに)
佐倉 光
光の方を見る。誰だ?
KP
こちらに向かって歩み出てきた一体の蟇蛙が、あなた達にその光をさしかけている。
彼は巨大な蛇のようなかぶりものをつけており、長い杖を持っていた。
その様子は、何か他の個体と違うものを感じさせる。
彼は杖から放たれる、蛇の姿をした青い光であなた達を照らす。
そして、一本の横笛を取り出し、吹き始めた。
その音は、理解できる言語としてあなた達の耳に響く。
彼は怪訝そうにこう言っていた。
「そなたは人か、それとも我らの神か。
神であるならば身分を明かせ」
そういえば、あなたは思い出す。
これら月に棲む獣は、あなたを崇めあなたに仕えるものどもだ。
恐れることはない。あなたが神であるならだが。
彼は巨大な蛇のようなかぶりものをつけており、長い杖を持っていた。
その様子は、何か他の個体と違うものを感じさせる。
彼は杖から放たれる、蛇の姿をした青い光であなた達を照らす。
そして、一本の横笛を取り出し、吹き始めた。
その音は、理解できる言語としてあなた達の耳に響く。
彼は怪訝そうにこう言っていた。
「そなたは人か、それとも我らの神か。
神であるならば身分を明かせ」
そういえば、あなたは思い出す。
これら月に棲む獣は、あなたを崇めあなたに仕えるものどもだ。
恐れることはない。あなたが神であるならだが。
佐倉 光
これが何者なのかは分かるかな。
人間としての知識の中から探してみたい。
人間としての知識の中から探してみたい。
KP
ムーン=ビーストについては見たことがあるから、判定するまでもなく上位階級……、神官のようなものだろうと、格好から想像がつくだろう。
佐倉 光
渡されている手紙を広げてみせる。
佐倉 光
「地球を取り戻したければここへ来いと言われた。
何かしらないか」
何かしらないか」
KP
手紙を開くと、手紙はひとりでにふわりと手の中から浮き上がり、柔らかく発光しながら彼に向かって開かれる。
彼はそれを見るなり、はっと居住まいを正した。
彼は丁重な仕草で一礼し、
「失礼いたしました、トート様。
わたくしはムーン=ビーストの神官でございます。
あなたをお待ちしておりました。
わたくしはトート様をムノムクァ様のもとにお連れするように、申し伝えられております」と音を発した。
彼はそれを見るなり、はっと居住まいを正した。
彼は丁重な仕草で一礼し、
「失礼いたしました、トート様。
わたくしはムーン=ビーストの神官でございます。
あなたをお待ちしておりました。
わたくしはトート様をムノムクァ様のもとにお連れするように、申し伝えられております」と音を発した。
佐倉 光
「ムノムクァ?」
何も分からん。
あったりめーだろう少し前までは何も見えない人間だったのに
いきなり上位に持って行かれても困る。
大体悪魔には結構詳しいつもりだったのに、こいつら全然系統が違う。
誰だっけなぁ……知ってたかな俺。
というわけでこちらも人間の「〈神話〉知識」で分かるかな?
何も分からん。
あったりめーだろう少し前までは何も見えない人間だったのに
いきなり上位に持って行かれても困る。
大体悪魔には結構詳しいつもりだったのに、こいつら全然系統が違う。
誰だっけなぁ……知ってたかな俺。
というわけでこちらも人間の「〈神話〉知識」で分かるかな?
KP
「我らの信望するもうおひとかたの神でございます。
月を守護しておられます」
あなたの疑問符を感じ取り、彼はそう言う。
月を守護しておられます」
あなたの疑問符を感じ取り、彼はそう言う。
KP
なるほど、〈神話〉知識で判定してみてもよい。
佐倉 光
1d100 41 〈神話〉 Sasa 1d100→ 75→失敗
佐倉 光
わからん。覚えてない。
まあ……いいか。月の守護者ね。okok。
まあ……いいか。月の守護者ね。okok。
佐倉 光
「ここの守護者ってことだな。わかった。案内を頼む」
佐倉 光
「ところで、赤の女王の居場所を知らないか?」
KP
「わたくしはその返答を持ち合わせておりません、申し訳ございません」
蟇蛙の顔を見て「困ったようだ」と思うのは口や目の角度ゆえか、それとも言葉のように聞こえる笛のトーンだろうか。
蟇蛙の顔を見て「困ったようだ」と思うのは口や目の角度ゆえか、それとも言葉のように聞こえる笛のトーンだろうか。
佐倉 光
「そうか、ならいい」
佐倉 光
「今回もヒントだけばら撒いて、俺達が右往左往するのを見て楽しむつもりなんだろう。
まったく、趣味が悪い」
まったく、趣味が悪い」
牧志 浩太
(いつも通りの理不尽かな、って気がしてきたな。
それにしては、巻き込む人が多すぎるよな)
人間大の結晶体改め、人間大のフワモコが言う。
それにしては、巻き込む人が多すぎるよな)
人間大の結晶体改め、人間大のフワモコが言う。
KP
彼に連れられ、あなた達は灰色の石でできた街を抜けていく。
辺りにひしめく月棲獣らは人間の姿をしたあなたを見つけて色めき立ったが、神官が笛を吹き鳴らすや、あなたを畏怖し一斉にひれ伏した。
大名行列か何かのように、ずらりと蟇蛙の頭の列があなた達を囲む。
辺りにひしめく月棲獣らは人間の姿をしたあなたを見つけて色めき立ったが、神官が笛を吹き鳴らすや、あなたを畏怖し一斉にひれ伏した。
大名行列か何かのように、ずらりと蟇蛙の頭の列があなた達を囲む。
佐倉 光
「なんか、気分が良いような居心地が悪いような複雑な気分」
人間の感情はこの生き物たちを「悍ましい相容れない生き物である」ととらえ、注目を集めているのを危険と感じ、居心地が悪いと感じる。
だがある一部では、当然のことであり、自分の存在と強さを示す当然の証であると受け取る。
人間の感情はこの生き物たちを「悍ましい相容れない生き物である」ととらえ、注目を集めているのを危険と感じ、居心地が悪いと感じる。
だがある一部では、当然のことであり、自分の存在と強さを示す当然の証であると受け取る。
佐倉 光
「感情バグる」
牧志 浩太
(難しいな)
KP
神官とあなた達が向かう先に、小高い丘がある。
そこには巨大な偶像が建てられていた。
それは月の石から掘り出された灰色の像で、あなたの姿ではなかった。
それは曖昧な形をしているが、漠然と恐竜のように見える。
……そういえばあなたは、恐竜になったこともあったっけ。
そこには巨大な偶像が建てられていた。
それは月の石から掘り出された灰色の像で、あなたの姿ではなかった。
それは曖昧な形をしているが、漠然と恐竜のように見える。
……そういえばあなたは、恐竜になったこともあったっけ。
佐倉 光
『俺』ってこんなぐちゃぐちゃの姿認識なのか。
ティラノは『神』とは関係なかったと思うんだけどな。
ほんの数年前のことなのに、なんだか遠い遠い昔のような気がする。
ティラノは『神』とは関係なかったと思うんだけどな。
ほんの数年前のことなのに、なんだか遠い遠い昔のような気がする。
佐倉 光
「そういえば、破片を見つけろとか書いてあったな。
破片ってどんな形してんだろ」
神官に心当たりはないかと訊いてみる。
破片ってどんな形してんだろ」
神官に心当たりはないかと訊いてみる。
KP
彼は深く首を振るだけだ。
「わたくしは、その返答を持ち合わせておりません」
「わたくしは、その返答を持ち合わせておりません」
牧志 浩太
(本当に、連れていけってことしか聞いてないみたいだな)
佐倉 光
「ロボか何かみたいだな」
ひとまず後について行くことにする。
ひとまず後について行くことにする。
KP
像の下まで向かうと、そこには巨大なクレーターが穿たれていた。
そこからは橙色の蒸気の輪が、ぽう……、と、ゆっくりと立ち昇る。
すり鉢状のクレーターの外周には階段が刻まれており、降りていけるようになっている。
その奥は油っぽい気配のする真っ暗闇となっており、内側を見通すことはできない。
ムーン=ビーストの神官は穴の傍らで立ち止まると、頭を下げた。
杖でクレーターの奥を指し、「穴の先へお進みくださいませ、トート様」と告げる。
そこからは橙色の蒸気の輪が、ぽう……、と、ゆっくりと立ち昇る。
すり鉢状のクレーターの外周には階段が刻まれており、降りていけるようになっている。
その奥は油っぽい気配のする真っ暗闇となっており、内側を見通すことはできない。
ムーン=ビーストの神官は穴の傍らで立ち止まると、頭を下げた。
杖でクレーターの奥を指し、「穴の先へお進みくださいませ、トート様」と告げる。
佐倉 光
「中へ飛び込めっての?」
牧志は浮いてるから飛び込んでも床にぶつかってどうこうなったりはしない……かな?
一応《肉体の保護》かけとこうかな。24時間の装甲。10MPくらい使っとこうか。
P275
牧志は浮いてるから飛び込んでも床にぶつかってどうこうなったりはしない……かな?
一応《肉体の保護》かけとこうかな。24時間の装甲。10MPくらい使っとこうか。
P275
KP
あっ、ちゃんと階段ある。あります。
佐倉 光
ああ、ちょっと勘違いしてたな。闇の中にも階段続いてるのか。
KP
あっそれは失礼しました。
外周を辿る螺旋階段状に、下までずっと階段が続いています。
外周を辿る螺旋階段状に、下までずっと階段が続いています。
佐倉 光
どっちにしても装甲はかけとこう。
KP
OK。人間として習得した呪文のため、追加の正気度 コストは不要。
あなたは『神』のものとなった精神のプールから、人間の精神と手技で力を汲み出すことができる。
あなたは『神』のものとなった精神のプールから、人間の精神と手技で力を汲み出すことができる。
佐倉 光
牧志の覆いを外したら照らせるかなぁ。
KP
なるほど。
覆いを外せば照らせてもよい。
クレーターはあまりに深いため、昼のようにとはいかないが、それなりに周囲を照らすことができる。
覆いを外せば照らせてもよい。
クレーターはあまりに深いため、昼のようにとはいかないが、それなりに周囲を照らすことができる。
佐倉 光
1d4 Sasa 1d4→3
10d6 Sasa 10d6→4,6,1,3,3,1,5,6,4,2→合計35
MP 100 → 90
SAN 57 → 54
物理装甲 35
10d6 Sasa 10d6→4,6,1,3,3,1,5,6,4,2→合計35
MP 100 → 90
SAN 57 → 54
物理装甲 35
佐倉 光
暗くする魔法はあるんだけど、明るくする魔法はないような。
KP
CoCの魔術はあからさまにする、照らすということと相性が悪いのかも。
佐倉 光
なるほどね>相性が悪い
佐倉 光
とにかく《肉体の保護》が効果を発するようになってから、牧志にくっついてクレーターの中に踏み込む。
KP
あなたは結晶体の放つ光に照らされながら、一歩一歩長い階段を踏む。
しばらく進んだ頃だったろうか、その深い闇の奥底に、何か巨大なわだかまる気配を感じた。
蒸気の輪がその奥の暗闇から、ぽう、ぽう……、と、立ち昇ってくる。
ぴちゃり。油っぽい気配の奥に、ひたりと水の揺れる音を聞いた。
しばらく進んだ頃だったろうか、その深い闇の奥底に、何か巨大なわだかまる気配を感じた。
蒸気の輪がその奥の暗闇から、ぽう、ぽう……、と、立ち昇ってくる。
ぴちゃり。油っぽい気配の奥に、ひたりと水の揺れる音を聞いた。
牧志 浩太
(何か、いる)
佐倉 光
頷く。
佐倉 光
「あんたがムノムクァ?」
問いかけてみる。
問いかけてみる。
KP
「然り」
ぼう。
闇の奥底から、風の唸りに似た太く低い声のようなものが響いてきた。
ぼう。
闇の奥底から、風の唸りに似た太く低い声のようなものが響いてきた。
佐倉 光
手紙をかざす。
佐倉 光
「地球や人間を取り戻したければここに来るようにと言われたんだ。あんたは何か知っているのか?」
KP
ぼう、とまた声が響いた。
「人の子よ。わたしはおまえに赤の女王より言伝を預かっている」
「人の子よ。わたしはおまえに赤の女王より言伝を預かっている」
KP
「おまえが真に神の力を持つものであるならば」
ぼう、ぼう、と、蒸気の輪が立ち昇る。
闇の奥で気配がもぞりと身動ぎし、ずしりと重さを増した。
何かが、あなたを見ている。
何か途轍もなく巨大な何かが、人間の「あなた」を見ている。
ぼう、ぼう、と、蒸気の輪が立ち昇る。
闇の奥で気配がもぞりと身動ぎし、ずしりと重さを増した。
何かが、あなたを見ている。
何か途轍もなく巨大な何かが、人間の「あなた」を見ている。
佐倉 光
「なんだよ、また戦えとでも言うのか。
何でもかんでも暴力で解決ってどうかと思うぜ」
戦いになったらまたあの大砲喚び出してやる! と呼吸を詰める。
何でもかんでも暴力で解決ってどうかと思うぜ」
戦いになったらまたあの大砲喚び出してやる! と呼吸を詰める。
KP
「ひとつここで、おまえの力を見せてくれないだろうか」
……その声はなんだか楽しそうだった。
久しぶりに来客を迎える老人のような。
あるいは、退屈しのぎの玩具を手に入れた子供のような。
どことなくわくわくした様子で、彼はあなたへと期待を寄せていた。
……その声はなんだか楽しそうだった。
久しぶりに来客を迎える老人のような。
あるいは、退屈しのぎの玩具を手に入れた子供のような。
どことなくわくわくした様子で、彼はあなたへと期待を寄せていた。
KP
訳:なんでもいいから『ニャルラトホテプらしいこと』してみて~わくわく
佐倉 光
ふむ。神っぽいってどんなだよ。
それこそバカデカ大砲喚びだして撃ってみりゃいいんじゃないかな。
それこそバカデカ大砲喚びだして撃ってみりゃいいんじゃないかな。
佐倉 光
地球なくなってるけど、喚べるのか?
佐倉 光
「ここで神の一体や二体ぶっ壊れるやつ撃ってもいい?」
KP
「良い」
彼はあっさりとそう返してみせた。
彼はあっさりとそう返してみせた。
牧志 浩太
(え、何するんだ佐倉さん)
牧志はびっくりした。
牧志はびっくりした。
佐倉 光
「クソデカ花火」
それじゃあ、変身はせずにまた戦艦大和の主砲召喚して上空にぶっぱなそう。判定不要なら変身もナシで。
それじゃあ、変身はせずにまた戦艦大和の主砲召喚して上空にぶっぱなそう。判定不要なら変身もナシで。
KP
なるほど。上空にぶっぱなすだけなら判定は不要だ。
取り寄せの正気度 1d3だけ消費をどうぞ。
取り寄せの正気度 1d3だけ消費をどうぞ。
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 54 → 53
SAN 54 → 53
佐倉 光
ここになければ他の世界から引っ張り出せばいいんだ。
佐倉 光
人間もそうすれば……ってそんなわけにはいかねーよな。
異様に巨大な砲台を召喚。めいっぱい上に向けて、耳をふさぐ。
射撃!
異様に巨大な砲台を召喚。めいっぱい上に向けて、耳をふさぐ。
射撃!
KP
冗談のような巨大な砲塔が、あなたの前に現れた。
それは砲塔としてはあまりに巨大、あまりに異様、月の石で造られたあの偶像とも並び立つ。
闇の奥にふたつの光が煌めいた。
爛々と輝くのは、何が起きるのかと楽しみに待っている何かの眼だ。
月棲獣らはクレーターの周囲で一斉に首を垂れた。上空を飛ぶ無数の黒い船が、慌てて退避する。
それは砲塔としてはあまりに巨大、あまりに異様、月の石で造られたあの偶像とも並び立つ。
闇の奥にふたつの光が煌めいた。
爛々と輝くのは、何が起きるのかと楽しみに待っている何かの眼だ。
月棲獣らはクレーターの周囲で一斉に首を垂れた。上空を飛ぶ無数の黒い船が、慌てて退避する。
牧志 浩太
(え)
牧志だけがその正体に気づいて声を失った。
牧志だけがその正体に気づいて声を失った。
KP
直後、爆轟が月面を揺るがした。
大気の無いはずの上空を、衝撃と風が駆け抜ける。
退避の間に合わなかった船が数艘叩き落とされ、月面には仲良くもうひとつクレーターが増えた。
大気の無いはずの上空を、衝撃と風が駆け抜ける。
退避の間に合わなかった船が数艘叩き落とされ、月面には仲良くもうひとつクレーターが増えた。
KP
「おお」
ようやく全てが落ち着いたころ、闇の奥から感心したような声が響いた。
「なんという力だ。なんという暴虐。
なんと面白いものを操ってみせるものだ。
認めよう、おまえは神の雛に相違ない」
ようやく全てが落ち着いたころ、闇の奥から感心したような声が響いた。
「なんという力だ。なんという暴虐。
なんと面白いものを操ってみせるものだ。
認めよう、おまえは神の雛に相違ない」
佐倉 光
これ以上はないほど人間であるものを喚んだつもりではあるが、
『神』ってのはそういうものかなのかもしれないな。
『神』ってのはそういうものかなのかもしれないな。
佐倉 光
大喜利タイムだった。
KP
でした。ここは大喜利タイム。
佐倉 光
「これからどうしたらいいんだ?
俺が何を探せばいいのか、あんたは知っているのか 」
俺が何を探せばいいのか、あんたは知っているのか 」
KP
「うむ、うむ」
何かは、満足のいった様子で言う。
闇の中でもぞりと姿勢を変えたような、そんな気配がした。
「人の子よ、トートよ、いや、ニャルラトホテプの雛よ。
おまえを神の雛として認め、赤の女王からおまえへの言伝を与えよう」
何かは、満足のいった様子で言う。
闇の中でもぞりと姿勢を変えたような、そんな気配がした。
「人の子よ、トートよ、いや、ニャルラトホテプの雛よ。
おまえを神の雛として認め、赤の女王からおまえへの言伝を与えよう」
KP
「赤の女王は夢の世界、ドリームランドにておまえを待っている。
旅立ちを望むのであれば、ここで眠りにつくとよい。おまえは赤の女王の導く場所へと運ばれるだろう。
我が神殿を寝所として使え。神殿の場所は神官が案内する」
そこまで言い、それは闇の底から天を見上げたようだった。
あなたが先程力を炸裂させた一点を、それは見ている。
旅立ちを望むのであれば、ここで眠りにつくとよい。おまえは赤の女王の導く場所へと運ばれるだろう。
我が神殿を寝所として使え。神殿の場所は神官が案内する」
そこまで言い、それは闇の底から天を見上げたようだった。
あなたが先程力を炸裂させた一点を、それは見ている。
KP
「旅立ちを望まぬのであれば、わたしからひとつ提案があるが、聞いてもらえるだろうか」
少し遠慮がちに、それは言った。
少し遠慮がちに、それは言った。
佐倉 光
「提案って? 一応そっちも訊いてから決めたいんだけど」
大砲をひっこめる。
大砲をひっこめる。
KP
「わたしはおまえにひとつ、提案をしたい」
それは静かに天を見上げているようだった。
「わたしは旧き神と呼ばれるものどもにこの星に封じられ、妻から引き離されている。
わたしは妻に会いたい」
闇の底から響く声に、どこか寂しげな色がやどった。
それにも、会いたいと望むような相手がいるらしかった。
「旧き神はあらゆる英知を持つ存在だ。旧き神の力を盗み出すことさえできれば、わたしは自由になり、妻とまた相まみえるだろう。
そしておまえにもし願いがあるならば、おまえの望みもその力によって全て叶えられるだろう。
険しい戦いにはなるかもしれないが、わたしに協力し、旧き神に戦いを挑み、世界を改変する気はないか」
それは静かに天を見上げているようだった。
「わたしは旧き神と呼ばれるものどもにこの星に封じられ、妻から引き離されている。
わたしは妻に会いたい」
闇の底から響く声に、どこか寂しげな色がやどった。
それにも、会いたいと望むような相手がいるらしかった。
「旧き神はあらゆる英知を持つ存在だ。旧き神の力を盗み出すことさえできれば、わたしは自由になり、妻とまた相まみえるだろう。
そしておまえにもし願いがあるならば、おまえの望みもその力によって全て叶えられるだろう。
険しい戦いにはなるかもしれないが、わたしに協力し、旧き神に戦いを挑み、世界を改変する気はないか」
佐倉 光
「また泥棒しろって話かぁ。
世界全ての運命ってのも楽しそうではあるけど、そういうのは賭けになっちまうし、パスかな。
だいたい、力盗んでやっと戦えるってことは元のヤツは越えられないんだぜ? 勝ち目ねーじゃん。
悪いけど別のヤツに頼んでくれ。聞かなかったことにするから」
世界全ての運命ってのも楽しそうではあるけど、そういうのは賭けになっちまうし、パスかな。
だいたい、力盗んでやっと戦えるってことは元のヤツは越えられないんだぜ? 勝ち目ねーじゃん。
悪いけど別のヤツに頼んでくれ。聞かなかったことにするから」
KP
「そうか……、では、進むがいい、神の雛よ。
ひとつ伝えておこう。旧き神の力を望むものは多い。
わたしが問うた提案は、再度別の相手から提示されるかもしれない。
そのときは、この老いぼれのことも思い出しておくれ」
それは、闇の奥で静かに身を丸めたようだった。
ひとつ伝えておこう。旧き神の力を望むものは多い。
わたしが問うた提案は、再度別の相手から提示されるかもしれない。
そのときは、この老いぼれのことも思い出しておくれ」
それは、闇の奥で静かに身を丸めたようだった。
佐倉 光
「なるほど? 分かったよ」
佐倉 光
俺また反乱の旗頭にされようとしてるんじゃないのか。
KP
それきり、その場には冷たい静寂だけが落ちた。
牧志の光が辺りを照らすばかりで、もう何も返ってこない。
牧志の光が辺りを照らすばかりで、もう何も返ってこない。
佐倉 光
性格的に受けてもおかしくはないんだけど、
相手のレベルもわからんのに軽々しくウンとは言えないなぁ。
実際同じことして負けたヤツ見たし。
相手のレベルもわからんのに軽々しくウンとは言えないなぁ。
実際同じことして負けたヤツ見たし。
KP
内容としては女王の意図に諾々と従うより面白いんだけど、地球の全員がかかった賭けになりますからねぇ、この状況。
佐倉 光
賭けるのが自分だけだったら受けた可能性はあるな。
KP
また背負うものがあるせいで自由に賭けに出られなくなってる。
佐倉 光
なるほどなるほど、これは最終的に言われるがままに動くルートか、あちこちの反乱勢力集めて反抗するルートかに別れそうかなー。
欠片だかなんだかがまだ分かってないからなー。
そもそも赤の女王が最終的に佐倉をニャルとして大成させたいなら、言われるがままに動いているだけじゃアウトでしょうしねー。
欠片だかなんだかがまだ分かってないからなー。
そもそも赤の女王が最終的に佐倉をニャルとして大成させたいなら、言われるがままに動いているだけじゃアウトでしょうしねー。
佐倉 光
では礼を言って、来た道を戻って階段を登ろう。
牧志 浩太
牧志も一礼したようで、隙間から射す光が軽く下を向いた。
佐倉 光
「月で宿泊だって。しかも『神の神殿』で。波照間さん羨ましがるぞー」
牧志 浩太
(そう思うと凄いな。
……無事に地球を元に戻せたら、先輩に土産話したいな。できる範囲でさ)
……無事に地球を元に戻せたら、先輩に土産話したいな。できる範囲でさ)
佐倉 光
スマホあるなら写真とっとこうかな。
KP
スマホは圏外になっていたが、まだ充電を残していた。
薄青い液晶の光は蛍のようにはかなく、あえかな地球文明の残り香だった。
その向こうにまだ日常があるかのようなスマホの画面に、映画みたいな月面都市の風景が収まった。
薄青い液晶の光は蛍のようにはかなく、あえかな地球文明の残り香だった。
その向こうにまだ日常があるかのようなスマホの画面に、映画みたいな月面都市の風景が収まった。
牧志 浩太
(……まだ動くんだな、スマホ)
佐倉 光
「俺も牧志も変質しちまったし、これが人間社会の残り少ない生存者ってとこだな」
牧志 浩太
(そうなるな。
画面見てると不思議な気分になる。地球が滅んじゃったなんて、やっぱり嘘みたいだ)
画面見てると不思議な気分になる。地球が滅んじゃったなんて、やっぱり嘘みたいだ)
佐倉 光
階段を登ってクレーターのふちまで戻る。
佐倉 光
「あー、さっきの攻撃だと勘違いされてなきゃいいけど」
牧志 浩太
(それは困るな。
騒ぎになってなさそうだし、大丈夫だと思いたい)
騒ぎになってなさそうだし、大丈夫だと思いたい)
KP
クレーターの淵まで戻れば、そこに留まっていた神官があなた達に一礼する。
幸い、彼らの態度に変化はないようだ。
幸い、彼らの態度に変化はないようだ。
佐倉 光
神官に道案内頼もう。
KP
「ムノムクァ様のご指示通り、神殿へご案内致します」
神官は厳かに笛を吹くと、クレーターのそばにある巨大な偶像に歩み寄った。
彼のねばついた手が足元の石板を押す。
石板はぐるりと回転し、中には燐光に薄暗く照らされた通路が見えた。
神官は厳かに笛を吹くと、クレーターのそばにある巨大な偶像に歩み寄った。
彼のねばついた手が足元の石板を押す。
石板はぐるりと回転し、中には燐光に薄暗く照らされた通路が見えた。
佐倉 光
案内に従う。
佐倉 光
「これ、神殿だったのか。ずいぶんとユニークだな」
中に入る。
中に入る。
KP
神官はあなた達を連れ、通路を進んでいく。
ぼんやりと照らされた通路の床は自然の縦穴にも見える素朴なものだったが、そう拵えたかのように擦り減って滑らかになっていた。
その様子は、そこに長くたくさんの行き来があったことを思わせる。
ぼんやりと照らされた通路の床は自然の縦穴にも見える素朴なものだったが、そう拵えたかのように擦り減って滑らかになっていた。
その様子は、そこに長くたくさんの行き来があったことを思わせる。
佐倉 光
「いつからあるんだろうな、これ。
随分と長く使われているみたいだ」
随分と長く使われているみたいだ」
牧志 浩太
(これだけ擦り減るほどだもんな。磨いたみたいだ。
佐倉さんが歩いてもすぐ削れないってことは、岩が脆い訳じゃないみたいだし)
佐倉さんが歩いてもすぐ削れないってことは、岩が脆い訳じゃないみたいだし)
佐倉 光
「そういや俺はさっき寝られたけど、牧志はどうなるんだろう?」
佐倉 光
折角だから電池が長持ちするように、スマホとCOMPの設定弄っておこう。
そういえばやっぱり魔界にも接続できないのかな。契約済みの悪魔の状態についてチェックしてみる。
そういえばやっぱり魔界にも接続できないのかな。契約済みの悪魔の状態についてチェックしてみる。
KP
設定変更は問題なくできる。
COMPで魔界に接続しようとすると、[アクセスエラー] の無情な文字列が表示された。
……地球の魔界も、ともに滅んでしまったというのだろうか。
COMPで魔界に接続しようとすると、[アクセスエラー] の無情な文字列が表示された。
……地球の魔界も、ともに滅んでしまったというのだろうか。
牧志 浩太
(あれ、今はCOMP動くんだ。
佐倉さんが子供になった時はだめだったのに)
佐倉さんが子供になった時はだめだったのに)
佐倉 光
「こいつの機嫌もよく分かんねぇよ。
牧志と絡むようになってから不調になることが多くなったし『俺』がらみで壊れるんだろうとは思うんだけどな」
牧志と絡むようになってから不調になることが多くなったし『俺』がらみで壊れるんだろうとは思うんだけどな」
牧志 浩太
(割と基準が謎だよな。
『神』がらみか、何だか納得がいくような気もする。
前に俺が……先輩が『ドライバー』の中に見たのも、そういうものだった気がするんだ)
『神』がらみか、何だか納得がいくような気もする。
前に俺が……先輩が『ドライバー』の中に見たのも、そういうものだった気がするんだ)
佐倉 光
「そうなるともしかしたら俺が『動け』と命じたら動くのかも知れないけど、接続先がないんじゃ意味ねぇな。
魔界がなくなったのか、そこに繋がるネットワークが死んだのか。
アマラ経絡って星の生命とか言ってた気がするから、一緒に殺されたか変質したのかもしんねぇな」
魔界がなくなったのか、そこに繋がるネットワークが死んだのか。
アマラ経絡って星の生命とか言ってた気がするから、一緒に殺されたか変質したのかもしんねぇな」
牧志 浩太
(かもしれないな。
だとすると、もしかしたら魔界は無事なのかもしれないのか。
ラミアさん、突然呼ばれなくなって不思議に思ってるかな)
だとすると、もしかしたら魔界は無事なのかもしれないのか。
ラミアさん、突然呼ばれなくなって不思議に思ってるかな)
佐倉 光
結局アイツの……『俺』の思惑の内でしか動かないものなのかもな。
佐倉 光
「浩子さんたちはどうしているだろうな……」
こちらへの出口がなくなっただけ、だといいんだが。
こちらへの出口がなくなっただけ、だといいんだが。
牧志 浩太
(どうだろうな……、
無事に、魔界に逃げられてるといいんだけど)
無事に、魔界に逃げられてるといいんだけど)
牧志 浩太
(ぎりぎりまで付き合いそうな気がするんだよな、みんな……)
牧志の弱い声が、通路の壁に当たってはじけた。
牧志の弱い声が、通路の壁に当たってはじけた。
佐倉 光
「そんなところまで、似てんだよな」
確かにそんな気もしたが。
今回は魔界に戻って無事でいてくれるといいと思った。
確かにそんな気もしたが。
今回は魔界に戻って無事でいてくれるといいと思った。
牧志 浩太
(……)
少々の自覚はあるのか、少し気まずそうな雰囲気が、牧志の周囲を包んだ。
少々の自覚はあるのか、少し気まずそうな雰囲気が、牧志の周囲を包んだ。
KP
通路をどれだけ歩いたか、目印もない通路の中ではよく分からない。
やがて、洞窟のような広い空間に出た。
洞窟の中には岩肌に刻まれた形状判然としない偶像がいくつもあり、床の上には石で作られた寝台が並んでいる。
それらが薄ぼんやりと燐光に照らされる様子を見ると確かに、何らか崇める行為を行う場のように思えた。
やがて、洞窟のような広い空間に出た。
洞窟の中には岩肌に刻まれた形状判然としない偶像がいくつもあり、床の上には石で作られた寝台が並んでいる。
それらが薄ぼんやりと燐光に照らされる様子を見ると確かに、何らか崇める行為を行う場のように思えた。
佐倉 光
「ここで寝ればいいのか」
ぐるりと周囲を見回す。
この石の上に寝るとなると、少し生け贄か何かのような気分にもなってくる。
ぐるりと周囲を見回す。
この石の上に寝るとなると、少し生け贄か何かのような気分にもなってくる。
佐倉 光
「あまり寝心地は良さそうじゃないな。
さっき出した毛布のスミでも使おうかな」
さっき出した毛布のスミでも使おうかな」
KP
神官はあなたの戸惑いを解しない様子で頷いた。
しかし寝台らしきものは、布すらかけられていない石の台である。
いまいち寝づらそうで、生贄を乗せる台といった方が確かにしっくりくる。
しかし寝台らしきものは、布すらかけられていない石の台である。
いまいち寝づらそうで、生贄を乗せる台といった方が確かにしっくりくる。
KP
あなたはやろうと思えば眠気など自在に操れるはずだが、さっき寝たという人間の意識が邪魔をするのか、どうにもすぐにここで眠れそうな気がしない。
牧志 浩太
(ああ、あのモフモフなら佐倉さんが全部使っていいよ。
俺、体が痛くなるとかなさそうだし)
牧志は壁際に寄っていって、尖った先端をこんこんと壁にぶつけた。
確かに、彼が痛がる様子はない。
俺、体が痛くなるとかなさそうだし)
牧志は壁際に寄っていって、尖った先端をこんこんと壁にぶつけた。
確かに、彼が痛がる様子はない。
佐倉 光
呪術的に何か気になることはないかな。
寝台全部同じように見える?
寝台全部同じように見える?
KP
寝台は同じようなものに見える。
ただの石の台で、特に違いはない。
ただの石の台で、特に違いはない。
佐倉 光
壁の偶像について神官に訊いてみようかな。
なにか単一の神を崇めるような場所なんだろうか。
なにか単一の神を崇めるような場所なんだろうか。
KP
神官曰く、それらはムノムクァとその妻、オーンの偶像なのだという。
ムーン=ビーストたちが各々にその姿を削りだしたものが、ここにある形状定まらない影たちなのだ。
ムーン=ビーストたちが各々にその姿を削りだしたものが、ここにある形状定まらない影たちなのだ。
佐倉 光
「へえー、それぞれがイメージする姿ってわけか。随分違って見えるもんだな」
適当な寝台を見繕って寝よう。
適当な寝台を見繕って寝よう。
佐倉 光
「それじゃ毛布、使わせて貰うよ」
牧志にかけるためのものだったからそれなりの大きさがある。
すっぽり包まっても余裕があるから、下に多めに畳んで敷いた。
牧志にかけるためのものだったからそれなりの大きさがある。
すっぽり包まっても余裕があるから、下に多めに畳んで敷いた。
KP
「よき眠りを。
他に必要なものはございますか?
必要であれば、供物の用意もございますよ」
神官はあなたに問う。
他に必要なものはございますか?
必要であれば、供物の用意もございますよ」
神官はあなたに問う。
佐倉 光
「いや、とりあえず寝てる間に体に害が及ばないようにしていてくれればいい。ありがとう」
佐倉 光
睡眠状態になれるまでそこで丸くなっていよう。
KP
「では、こちらをどうぞ」
神官は懐から、金色のモールで飾られた一本のワインボトルを差し出した。
その中身は血の色にすら見える深い赤で、しかし液体の質感を見れば確かに中身は葡萄酒のようだった。
「こちらは、赤の女王様からの賜りものです。
夢の領域を支配するかの方の加護により、こちらは夢の世界においても変わらず携えていることができるでしょう。
もしも眠りにつくことが困難な場合、これを口にするとよいでしょう。
覚醒の世界であっても夢の世界であっても、即座に眠りを齎します」
神官は懐から、金色のモールで飾られた一本のワインボトルを差し出した。
その中身は血の色にすら見える深い赤で、しかし液体の質感を見れば確かに中身は葡萄酒のようだった。
「こちらは、赤の女王様からの賜りものです。
夢の領域を支配するかの方の加護により、こちらは夢の世界においても変わらず携えていることができるでしょう。
もしも眠りにつくことが困難な場合、これを口にするとよいでしょう。
覚醒の世界であっても夢の世界であっても、即座に眠りを齎します」
【眠りの赤ワイン】のデータが提示される。
KP
あなたはこれを使ってすぐに眠りにつくこともできるし、当初の予定通り、使わずに眠気が来るのを待つこともできる。
佐倉 光
「へぇ……サンキュ」
ワインは枕元にそのまま置いておこう。
考えたいこともあるから、なんとなく眠くなるまでそのままコロコロしていよう。
あまりにも長いこと眠れないようなら飲むけどね。
ワインは枕元にそのまま置いておこう。
考えたいこともあるから、なんとなく眠くなるまでそのままコロコロしていよう。
あまりにも長いこと眠れないようなら飲むけどね。
佐倉 光
……らっぱ飲み?
KP
……コップは付属していない。うーん。
佐倉 光
「じゃ、おやすみ」
KP
高周波音を遮断するほどのフワモコは、固い石の台を極上の寝台に変えてくれる。
フカフカフワフワだ……、これはいい眠りが得られそうだ。
フカフカフワフワだ……、これはいい眠りが得られそうだ。
佐倉 光
「思いのほか気持ちいいなぁこれ」
牧志 浩太
(その毛布、結構何かと役に立つな)
佐倉 光
月にフワモコに睡眠というとびみょーな記憶が蘇るが、牧志は今回カチカチなのであった。
分裂(?)はしている。
分裂(?)はしている。
KP
大丈夫今回は牧志に包まれて寝ることにはならない。分裂(?)はしている。
牧志 浩太
フワモコの布団に入って丸くなるあなたの傍らで、牧志は緩やかに回転しながら光を辺りに投げかけていた。
牧志の発する音が洞窟の天井に反響し、あなたの身を包む。
牧志の発する音が洞窟の天井に反響し、あなたの身を包む。
KP
やがてあなたは、ゆっくりと近づいてくる眠りの波に身を委ねることだろう。
佐倉 光
恐らく人間なら少しの間でも聞いているのも耐えられない怪音。
しかし今の俺にとっては眠りを守る誘いの音だ。
やがて訪れる眠りに身を委ねる。
しかし今の俺にとっては眠りを守る誘いの音だ。
やがて訪れる眠りに身を委ねる。
KP
いつ意識が落ちていたのかも、定かではなかった。
佐倉 光
夢の世界か。これで何度目だろう。
KP
……夢は記憶の整理だ、と誰かが言う。
どんな深遠なモチーフも、アトランダムな記憶の破片のいたずらに過ぎないのだと。
ならば、そんな混沌を集めて捏ねたその世界は、
『あなた』の領域に違いないのだろう。
どんな深遠なモチーフも、アトランダムな記憶の破片のいたずらに過ぎないのだと。
ならば、そんな混沌を集めて捏ねたその世界は、
『あなた』の領域に違いないのだろう。
MIDNIGHT DEJAVO
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TRPGリプレイとかゲーム関連
コメント By.佐倉 光
とにかく進むのだ。
進まなければ。
とにかく進むのだ。
進まなければ。
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
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