本編見る!
PYX【CoCキャンペーンシナリオ】 - 月刊かびや -
前提情報など
〈前提〉
第三話は今までと違って、佐倉さんの選択によって向かうエンディングが変わる話です。
元の世界(地球)を取り戻すため、牧志とドリームランドを旅する話なので、佐倉さんが自分で動くことになるんですね。
メインルートは一本道(ドリームランドを牧志と一緒にひたすら旅する話)なのですが、その途中でドロップアウトするエンディングが多数あります。
基本的には「自分で引退を選んでドロップアウトする選択」が多く、突然の罠でロスト! みたいなのはほとんどないのですが、たまーに出目ロスがあります。
あと一番最後まで到達した場合、いくつかの選択が取れるのですが、選択(エンディング)によっては、あっさり出目ロスすることがあります。
第三話は今までと違って、佐倉さんの選択によって向かうエンディングが変わる話です。
元の世界(地球)を取り戻すため、牧志とドリームランドを旅する話なので、佐倉さんが自分で動くことになるんですね。
メインルートは一本道(ドリームランドを牧志と一緒にひたすら旅する話)なのですが、その途中でドロップアウトするエンディングが多数あります。
基本的には「自分で引退を選んでドロップアウトする選択」が多く、突然の罠でロスト! みたいなのはほとんどないのですが、たまーに出目ロスがあります。
あと一番最後まで到達した場合、いくつかの選択が取れるのですが、選択(エンディング)によっては、あっさり出目ロスすることがあります。
〈正気度 について〉
冒頭で突然1d100が降ってきますが、その後に正気度 が回復する(初期値に戻る)シーンがあります。
冒頭で突然1d100が降ってきますが、その後に正気度 が回復する(初期値に戻る)シーンがあります。
〈展開について〉
ドリームランドを巡る話ですが、割と街中を通ります。
さっと目的だけを遂行して通り過ぎてしまうこともできますが、今回は時間制限のない話なので、じっくり観光していっても楽しいと思います。
ドリームランドを巡る話ですが、割と街中を通ります。
さっと目的だけを遂行して通り過ぎてしまうこともできますが、今回は時間制限のない話なので、じっくり観光していっても楽しいと思います。
その他ステータスについて具体的な記載なども。
牧志はムトルブリスになっている。
牧志はムトルブリスになっている。
佐倉 光
牧志つおい!?
ただのダンサーじゃなかった。
サイズ90もあるんかい!
でけえ!!
むしろ佐倉より強いのでは。
ただのダンサーじゃなかった。
サイズ90もあるんかい!
でけえ!!
むしろ佐倉より強いのでは。
KP
でかいし強いです。
ただSIZ90はでかすぎるので、シナリオ中では人間大の大きさになっているものとします。
HPなくなっても復活するし、佐倉さんは牧志を盾にできる。
ただSIZ90はでかすぎるので、シナリオ中では人間大の大きさになっているものとします。
HPなくなっても復活するし、佐倉さんは牧志を盾にできる。
〈ドリームランド関連ルール〉
このシナリオは覚醒世界とドリームランドを行き来するシナリオである。
ドリームランドにおいては、以下のルールが適用される。
●魔術
ドリームランドにおいては、ドリームランド限定の呪文を使用できる。
●夢見
シナリオ中に最初にドリームランドに到達した時、〈夢見〉技能を得る。
技能値は到達時に提示する。
このシナリオは覚醒世界とドリームランドを行き来するシナリオである。
ドリームランドにおいては、以下のルールが適用される。
●魔術
ドリームランドにおいては、ドリームランド限定の呪文を使用できる。
●夢見
シナリオ中に最初にドリームランドに到達した時、〈夢見〉技能を得る。
技能値は到達時に提示する。
KP
覚醒の世界の魔術を使う時のルールは、ドリームランドの原住民にしか適用されないようです。幻夢境P.153。
ドリームランドの住民は魔術と不思議の存在を当然としているので、魔術使っても正気度 が1しか減らないということですね。
ドリームランドの住民は魔術と不思議の存在を当然としているので、魔術使っても正気度 が1しか減らないということですね。
佐倉 光
なるほどぉー
KP
あ、あと、第二話でミスがあったので改めて提示。
このシナリオは覚醒の世界とドリームランドを行き来するシナリオです。
「シナリオ開始時は、覚醒の世界にいます」
前提だらけですが、前提としてはこんな所です。
このシナリオは覚醒の世界とドリームランドを行き来するシナリオです。
「シナリオ開始時は、覚醒の世界にいます」
前提だらけですが、前提としてはこんな所です。
PYX、それは神の器。
ニャルラトホテプキャンペーンシナリオ『PYX』
月刊かびや / かなむら 様
最終話『楽園は無貌』
KP注: 本卓では、NPC(KPC)と会話できるようになるタイミング等、KPCの存在感についてシナリオから大きめに改変しています。
佐倉 光
はーい。リアル月にいるんだ。
KP
そうそう。
第二話終了直後から始まります。
第二話終了直後から始まります。
KP
……あなたはきらめく結晶体を傍らに、灰色の大地に立っていた。
永遠の夜の空の下、砂を撒いたような星の海を背景に、降り注ぐ青い光を浴びていた。
青い光を放つ、巨大な球体が目の前にあった。
渦巻く白い雲をまとい、大地の緑と茶色を散らせるそれは、ガラス細工のように緻密で、はかなく、美しい。
しかしその上には、もうあなたの知る者はいない。
守りたいと願った者も、ともに戦った者も、もうなにひとつなくなってしまった。
左腕のCOMPが薄らと光り、あれから一ヶ月後の日時を映し出していた。
ただそれだけだった。
永遠の夜の空の下、砂を撒いたような星の海を背景に、降り注ぐ青い光を浴びていた。
青い光を放つ、巨大な球体が目の前にあった。
渦巻く白い雲をまとい、大地の緑と茶色を散らせるそれは、ガラス細工のように緻密で、はかなく、美しい。
しかしその上には、もうあなたの知る者はいない。
守りたいと願った者も、ともに戦った者も、もうなにひとつなくなってしまった。
左腕のCOMPが薄らと光り、あれから一ヶ月後の日時を映し出していた。
ただそれだけだった。
KP
ふと、あなたは笛の音を聞いた気がした。
異様に捻れ、喚き唄う笛の音。
それは目の前の地球を中心に、月面に、宇宙全体に響き渡る。
異様に捻れ、喚き唄う笛の音。
それは目の前の地球を中心に、月面に、宇宙全体に響き渡る。
牧志 浩太
(あれ? あの笛の音だ)
牧志はくるりと上を向いた。
その不規則な面のどこが頭なのかよく分からないが、その仕草を見るに、顔らしい面が一応あるということなのだろうか。
牧志はくるりと上を向いた。
その不規則な面のどこが頭なのかよく分からないが、その仕草を見るに、顔らしい面が一応あるということなのだろうか。
佐倉 光
「また俺、おかしくなってるのかな」
つられるように上を見た。
大分まずいことになっている自覚はある。
人間としての意識は、牧志が横にいてくれるから保たれているようなものだ。
つられるように上を見た。
大分まずいことになっている自覚はある。
人間としての意識は、牧志が横にいてくれるから保たれているようなものだ。
KP
月面で上を見たところで、目に映るのは星の海と、遠くをゆく惑星の表面ばかりだ。
異変は、すぐ目の前から生じた。
光り輝く青に、暗い影が落ちたのだ。
地球を半分も覆うような、あまりに巨大な影だった。
異変は、すぐ目の前から生じた。
光り輝く青に、暗い影が落ちたのだ。
地球を半分も覆うような、あまりに巨大な影だった。
牧志 浩太
(な……んだ、あれ。あの影)
牧志の乾いた声の響き。
あなたにはそれが、何か分かる。
奈落の不定形の暗い影、無窮そのものともいえるその影は、太鼓とフルートの音を引き連れて、地球を覆いつくしてゆく。
牧志の乾いた声の響き。
あなたにはそれが、何か分かる。
奈落の不定形の暗い影、無窮そのものともいえるその影は、太鼓とフルートの音を引き連れて、地球を覆いつくしてゆく。
佐倉 光
「なんで、こんな」
知っている。ここにはありえないものだ。
それは宇宙の中心にあるはずのもので、目覚めないはずのものだ。
地球が滅びたというのなら、あれを呼び出す者もいようはずがない。
それともわずかに人が残っていて、絶望に駆られるあまり自らの住む世界をくれてやるために、愚かしくも滅びの遊戯をしたというのか?
知っている。ここにはありえないものだ。
それは宇宙の中心にあるはずのもので、目覚めないはずのものだ。
地球が滅びたというのなら、あれを呼び出す者もいようはずがない。
それともわずかに人が残っていて、絶望に駆られるあまり自らの住む世界をくれてやるために、愚かしくも滅びの遊戯をしたというのか?
牧志 浩太
(ま……、待てよ。なんで。どうして)
KP
あなたたちには、分かってしまう。
それは滅びだ。災厄だ。無為であり無秩序だ。
そこにあってはならないものだ。
それは無為なる無知蒙昧の神。
双子のかたわれ。
あなたの「親」。
外なる神々の知性のない総帥、その名を。
アザトース。
笛の音が宇宙に鳴り響く。
神の寝返りが地球を覆い尽くしてゆく。
あなたがこれまで生きてきた星、世界そのものともいうべき存在が、色を失い、滅んでいく。
赤の女王の思惑か、それとも誰かの引いた引き金か。
災厄は終わっていなかった。
それは、残されたあなた達の故郷をすらも、奪い取ろうというのだ。
《SANチェック:成功時減少 1D10 / 失敗時減少 1D100》。
それは滅びだ。災厄だ。無為であり無秩序だ。
そこにあってはならないものだ。
それは無為なる無知蒙昧の神。
双子のかたわれ。
あなたの「親」。
外なる神々の知性のない総帥、その名を。
アザトース。
笛の音が宇宙に鳴り響く。
神の寝返りが地球を覆い尽くしてゆく。
あなたがこれまで生きてきた星、世界そのものともいうべき存在が、色を失い、滅んでいく。
赤の女王の思惑か、それとも誰かの引いた引き金か。
災厄は終わっていなかった。
それは、残されたあなた達の故郷をすらも、奪い取ろうというのだ。
《SANチェック:成功時減少 1D10 / 失敗時減少 1D100》。
佐倉 光
1d100 6
牧志 浩太
1d100 12 《SANチェック》
佐倉 光
牧志の正気度 もどん底だ!
そして笹さん寝正月。
そして笹さん寝正月。
KP
YES! 今話ではシナリオギミックというより普通に一緒に歩む枠なので、正気度 開示しました。どん底。
佐倉 光
佐倉 光 - 今日 20:49
CCB<=6 《SANチェック》 (1D100<=6) > 57 > 失敗
佐倉 光 - 今日 20:49
1d100 (1D100) > 38
CCB<=6 《SANチェック》 (1D100<=6) > 57 > 失敗
佐倉 光 - 今日 20:49
1d100 (1D100) > 38
牧志 浩太
牧志 浩太 - 今日 20:49
CCB<=12 《SANチェック》 (1D100<=12) > 90 > 失敗
牧志 浩太 - 今日 20:49
1d100 (1D100) > 27
CCB<=12 《SANチェック》 (1D100<=12) > 90 > 失敗
牧志 浩太 - 今日 20:49
1d100 (1D100) > 27
佐倉 光
2人揃って吹き飛んだ
佐倉 光
ああ。
星が滅んだ。
帰る場所は本当になくなってしまった。
帰る場所など必要だっただろうか。
これでようやく枷が外れた。
俺は自由だ。
くだらないものに縛られ、矮小な悩みや苦しみといったものから解放され、ずっと望んでいた真に自由な存在となった。
知識を恐れ、死を恐れ、喪失を恐れるなどといったことから真に解放される。
全てを望むままに知ることができるのだ。
ゴボゴボと耳元で水が溢れる音がした。
沈んでゆく。
星が滅んだ。
帰る場所は本当になくなってしまった。
帰る場所など必要だっただろうか。
これでようやく枷が外れた。
俺は自由だ。
くだらないものに縛られ、矮小な悩みや苦しみといったものから解放され、ずっと望んでいた真に自由な存在となった。
知識を恐れ、死を恐れ、喪失を恐れるなどといったことから真に解放される。
全てを望むままに知ることができるのだ。
ゴボゴボと耳元で水が溢れる音がした。
沈んでゆく。
牧志 浩太
傍らで、くるりと結晶体が回転した。
その光は先程までよりも冴え冴えと、絶対の滅びと破滅の色を放っていた。
その光は先程までよりも冴え冴えと、絶対の滅びと破滅の色を放っていた。
牧志 浩太
(ああ、えっと、何を考えていたんだっけ?)
それは無機質な、晴れやかな声で言う。
いや、それは声ではない。冷たい何かの意図にすぎない。
それはあなたの傍らで踊る。この世ならぬ稜線をきらめかせて。
それにもう、痛む心も、怒る心も、泣き叫ぶ心も存在しない。
だが同時にあなたの従僕、「あなたとともにあるもの」であった。
それは無機質な、晴れやかな声で言う。
いや、それは声ではない。冷たい何かの意図にすぎない。
それはあなたの傍らで踊る。この世ならぬ稜線をきらめかせて。
それにもう、痛む心も、怒る心も、泣き叫ぶ心も存在しない。
だが同時にあなたの従僕、「あなたとともにあるもの」であった。
KP
そうだ、あなたは自由だ。
あなたを縛るものはなくなった。
では旅に出ようではないか。
いまやすべての生命が失われ、淀み死に絶えた、あの星。
あの星を破壊すれば、この月は重力から解き放たれる。
この灰色の大地を船として、望む所へ漂ってゆける。
あなたを縛るものはなくなった。
では旅に出ようではないか。
いまやすべての生命が失われ、淀み死に絶えた、あの星。
あの星を破壊すれば、この月は重力から解き放たれる。
この灰色の大地を船として、望む所へ漂ってゆける。
佐倉 光
星を破壊するのは『初めて』だ。
何回殴れば壊れるだろう?
何回殴れば壊れるだろう?
佐倉 光
思いつく限りのものを喚び出して、何体まで耐えられるか試すのも面白いかも知れない。
佐倉 光
人間が作り出した最強の武器を思うままにあのフィールドで撃ちまくるのも楽しそうだな。
佐倉 光
輝くものを携えて新たな遊び場に行こうとする。
まずはまだ浮いている人工衛星とステーションを叩き落としてみようか。
まずはまだ浮いている人工衛星とステーションを叩き落としてみようか。
佐倉 光
そこに人間がいたら、本当にそれが完全な最後になるかも知れない。
KP
確かに。まだ宇宙ステーションには人類が残っている可能性があるもんなぁ。
KP
まだ浮いている船に視線を向ける。
あの中に人間が残っていたとして、そう長くは生き延びられるまい。
ならば慈悲というものだ、感謝されてもいい位だろう。
そうだ、それがいい。
これこそが自由というものだ。
我々の旅路の始まりだ。素晴らしい。
その瞬間を思えば、意識の中に凶暴な熱がせり上がった。
ああ、愉快でたまらない。愉快で愉快でたまらない!
あの中に人間が残っていたとして、そう長くは生き延びられるまい。
ならば慈悲というものだ、感謝されてもいい位だろう。
そうだ、それがいい。
これこそが自由というものだ。
我々の旅路の始まりだ。素晴らしい。
その瞬間を思えば、意識の中に凶暴な熱がせり上がった。
ああ、愉快でたまらない。愉快で愉快でたまらない!
KP
佐倉さんのみ、【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 85【アイデア】
佐倉 光 - 今日 21:38
CCB<=85【アイデア】 (1D100<=85) > 24 > 成功
佐倉 光 - 今日 21:38
CCB<=85【アイデア】 (1D100<=85) > 24 > 成功
KP
……ふと、違和感を覚えた。
我々?
ここにいるのはあなたと、楽しそうに踊るあなたの従僕だけだ。
自由を望むのは、あなただけだ。
これは、本当に、あなたの思考か?
そんなはずはない。
いくら [ あなた ] に無数の化身があろうと、あなたの心の中で考えるものは、あなたのはずだ。
あなたは思い出す。
あなたの心の中で考えていながら、あなたではないもの。
そうだ、佐倉光は以前にも、その存在を知ったことがある。
精神寄生体。
あれは月に棲まう生き物だ。
では、あの星を壊したい、あの星から自由になりたいと、あなたの心の中でうごめき、鬱陶しくも望んでいるのは……。
我々?
ここにいるのはあなたと、楽しそうに踊るあなたの従僕だけだ。
自由を望むのは、あなただけだ。
これは、本当に、あなたの思考か?
そんなはずはない。
いくら [ あなた ] に無数の化身があろうと、あなたの心の中で考えるものは、あなたのはずだ。
あなたは思い出す。
あなたの心の中で考えていながら、あなたではないもの。
そうだ、佐倉光は以前にも、その存在を知ったことがある。
精神寄生体。
あれは月に棲まう生き物だ。
では、あの星を壊したい、あの星から自由になりたいと、あなたの心の中でうごめき、鬱陶しくも望んでいるのは……。
佐倉 光
俺を侵すなど許さない。
出て行け、別の存在に寄生しなければ存在していけない脆弱なものどもめ。
可能なら精神寄生体をつまみ出す。
出て行け、別の存在に寄生しなければ存在していけない脆弱なものどもめ。
可能なら精神寄生体をつまみ出す。
佐倉 光
そうだ。
ついでに片目のヤツやオニをつまみ出さないように気をつけないと。
あいつらが間借りをするのは俺が許しているからだ。
ついでに片目のヤツやオニをつまみ出さないように気をつけないと。
あいつらが間借りをするのは俺が許しているからだ。
佐倉 光
懐かしい。
KP
そう懐かしい。
肉体が人間ベースだからって、ニャルラトホテプの精神を操ろうとするのは凄いけど。
肉体が人間ベースだからって、ニャルラトホテプの精神を操ろうとするのは凄いけど。
懐かしい……佐倉が自らに寄生する精神寄生体に気付いてしまったことで事件に発展したことがある。詳しくは『レミングス・ドリーム』にて。
KP
[ あなた ] の精神を操ろうとするとは、くだらぬ生き物が大それたものだ。
あなたは、それを望むまでもなく摘み出すことができる。
放り出されたものの存在を知ったものどもが周囲で蠢いているが、ひとにらみでもしてやれば、あなたが餌などではないことを思い知るだろう。
あなたは、それを望むまでもなく摘み出すことができる。
放り出されたものの存在を知ったものどもが周囲で蠢いているが、ひとにらみでもしてやれば、あなたが餌などではないことを思い知るだろう。
KP
さて、あの星はどうしようか?
その時、かつんと杖の音がした。
灰色の大地の向こうから、小洒落たスーツに身を包んだ紳士がステッキをついて歩いてきた。
「やあ、よい日柄でございますな」
人間のように見えるそれは、音を発した。
大気の無い月面で音? そう思ったかもしれないが、直ぐにそれが真実でないことを思い出すだろう。
それは人間が「観測」した幻に過ぎない。
人間には月面を伝わる「音」を聞き取ることができないし、月の裏側にあるヒキガエルの都市の存在だって知らない。
人間には見えるものが少なすぎるのだ。そのくせ知った顔をしている。
その時、かつんと杖の音がした。
灰色の大地の向こうから、小洒落たスーツに身を包んだ紳士がステッキをついて歩いてきた。
「やあ、よい日柄でございますな」
人間のように見えるそれは、音を発した。
大気の無い月面で音? そう思ったかもしれないが、直ぐにそれが真実でないことを思い出すだろう。
それは人間が「観測」した幻に過ぎない。
人間には月面を伝わる「音」を聞き取ることができないし、月の裏側にあるヒキガエルの都市の存在だって知らない。
人間には見えるものが少なすぎるのだ。そのくせ知った顔をしている。
佐倉 光
「日柄など知ったことか。俺は今機嫌が悪い。
誰だてめぇは」
誰だてめぇは」
佐倉 光
言いながらもその状況を少し楽しんでいた。
話す相手がいる、というのはよいものだ。
話す相手がいる、というのはよいものだ。
牧志 浩太
(お前は?)
あなたの傍らで、結晶体がくるりとそちらを向いた。
あなたの傍らで、結晶体がくるりとそちらを向いた。
KP
「まあまあ。わたしはただのヒトでございますよ。
この辺りではイス人と呼ばれておりますね。
そちらは、佐倉光さまでお間違いありませんか?」
そう言うと、彼はステッキの取っ手を引き抜き、
内側に埋まった宝石から照射される鈍色の光を、あなたと結晶体に向けた。
1d3 Sasa 1d3→1
1d3 Sasa 1d3→2
この辺りではイス人と呼ばれておりますね。
そちらは、佐倉光さまでお間違いありませんか?」
そう言うと、彼はステッキの取っ手を引き抜き、
内側に埋まった宝石から照射される鈍色の光を、あなたと結晶体に向けた。
1d3 Sasa 1d3→1
1d3 Sasa 1d3→2
KP
あなたは不意に、あなたが人間であったことを思い出した。
佐倉光、そう呼ばれるものであったことを思い出した。
心臓が痛んだ。心の痛みを思い出した。
あなたを自由にしたはずの喪失が、どれだけの痛みをもたらすものであったかを、思い出した。
佐倉光、そう呼ばれるものであったことを思い出した。
心臓が痛んだ。心の痛みを思い出した。
あなたを自由にしたはずの喪失が、どれだけの痛みをもたらすものであったかを、思い出した。
牧志 浩太
(……?)
牧志 浩太
(あ、れ)
あなたの傍らで、結晶体が何度か光を瞬かせた。
回転と共に生じる高周波音が、不安定に揺らいだ。
あなたの傍らで、結晶体が何度か光を瞬かせた。
回転と共に生じる高周波音が、不安定に揺らいだ。
牧志 浩太
(俺は何をして、佐倉さん? そうだ、さっき……、地球が……)
伝わってくる声は、不安定な明滅の内側に痛みや戸惑いといった感情、現状を把握しようとする思考、そんな「牧志」のはかない形を微かに取り戻しかけていた。
伝わってくる声は、不安定な明滅の内側に痛みや戸惑いといった感情、現状を把握しようとする思考、そんな「牧志」のはかない形を微かに取り戻しかけていた。
KP
佐倉さんは正気度 を2、牧志は1回復する。
佐倉 光
SAN 0 → 2
佐倉 光
「……」
世界は滅びた。
もう俺と牧志しかいない。
そんな哀しみと喪失と怒りと後悔、その他のものがない交ぜになったヘドロのようなものが胸に満ちて痛みをもたらした。
思考が瞬時に暴れ出した感情にかき乱された。
そして感情と理性と言葉とがゆっくりと形を取って浮かび上がった。
世界は滅びた。
もう俺と牧志しかいない。
そんな哀しみと喪失と怒りと後悔、その他のものがない交ぜになったヘドロのようなものが胸に満ちて痛みをもたらした。
思考が瞬時に暴れ出した感情にかき乱された。
そして感情と理性と言葉とがゆっくりと形を取って浮かび上がった。
佐倉 光
感謝をすべきか。余計なことをするなと怒るべきか。
少なくとも今は、たったさっきまで感じていなかった苦痛を自覚している。
それは耐えがたいほどの痛みであるのに、なくしてはいけなかったものだという確信がある。
その確信は、隣の結晶体から伝わる思念を受けるほどに強まった。
少なくとも今は、たったさっきまで感じていなかった苦痛を自覚している。
それは耐えがたいほどの痛みであるのに、なくしてはいけなかったものだという確信がある。
その確信は、隣の結晶体から伝わる思念を受けるほどに強まった。
佐倉 光
「イス人……?」
佐倉 光
「ああ、俺は佐倉光。今思い出した」
牧志 浩太
(ああ……何だか……、思い出しちゃったな)
牧志は緩やかに回って、どこか泣くような音を立てた。
牧志は緩やかに回って、どこか泣くような音を立てた。
KP
「それは幸いでございます。
わたしは佐倉光さまに赤の女王より招待状と、メッセージを預かって参りました」
わたしは佐倉光さまに赤の女王より招待状と、メッセージを預かって参りました」
佐倉 光
「赤の女王だと……」
怒りが燃え上がった。
全てあの女が引き起こしたことだ。
怒りが燃え上がった。
全てあの女が引き起こしたことだ。
KP
紳士は深くかぶった帽子を脱いだ。
その下から現われた顔は、地球とともに死んだはずの探偵……、皆方のものだった。
その下から現われた顔は、地球とともに死んだはずの探偵……、皆方のものだった。
佐倉 光
「お前……皆方? いや……」
別人だ。
別人だ。
KP
「ああ、申し訳ございません。
この肉体はあなたさまに警戒されぬよう持ち出したものなのですが、少々順序をあやまってしまいましたね」
イス人と名乗る男は再び帽子を被ると、慇懃に一礼した。
「わたしがこの招待状を預かる事となった交換条件と致しまして、滅びた地球からすべての人間の精神を取り出すことが可能となりました。
わたしは彼らを、わたしの星の図書館へ連れて行きました。
彼らは彼らの知るすべての知識を、わたしの星の図書館で書き記す職にいまのところ就いています。
わたしたちはそういう存在を求めておりますので、これはわたしたちにとって大層好都合であったものでございます」
「わたしは赤の女王にそのような取引を持ち掛けられ、地球人類の全ての知を得るためにそれを承諾しました。
何せ、あれほどの規模を滅びるままにさせますというのは、少々勿体ないものでございますから」
この肉体はあなたさまに警戒されぬよう持ち出したものなのですが、少々順序をあやまってしまいましたね」
イス人と名乗る男は再び帽子を被ると、慇懃に一礼した。
「わたしがこの招待状を預かる事となった交換条件と致しまして、滅びた地球からすべての人間の精神を取り出すことが可能となりました。
わたしは彼らを、わたしの星の図書館へ連れて行きました。
彼らは彼らの知るすべての知識を、わたしの星の図書館で書き記す職にいまのところ就いています。
わたしたちはそういう存在を求めておりますので、これはわたしたちにとって大層好都合であったものでございます」
「わたしは赤の女王にそのような取引を持ち掛けられ、地球人類の全ての知を得るためにそれを承諾しました。
何せ、あれほどの規模を滅びるままにさせますというのは、少々勿体ないものでございますから」
佐倉 光
「滅亡のどさくさで人間全員の精神拉致って奴隷にしたってことかよ。ざけんな」
わざとだな? 俺を怒らせようとしているんだろう?
そう思わなければ理解しづらい。
……いや、こういった思考の一端に俺は暫く触れていた。
ああした存在から「人道的思考」を引っこ抜けば、こんな感じになるわけだ。
わざとだな? 俺を怒らせようとしているんだろう?
そう思わなければ理解しづらい。
……いや、こういった思考の一端に俺は暫く触れていた。
ああした存在から「人道的思考」を引っこ抜けば、こんな感じになるわけだ。
佐倉 光
「……」
深呼吸。酸素はないから意味はないな。
ないことはない。俺は意識の上で人間だからな。
深呼吸。酸素はないから意味はないな。
ないことはない。俺は意識の上で人間だからな。
佐倉 光
「聞こう」
こいつと余計な会話をするのは苦痛だ。
こいつはただのメッセンジャーであるらしい。
ならさっさと情報を引き出すべきだ。
こいつと余計な会話をするのは苦痛だ。
こいつはただのメッセンジャーであるらしい。
ならさっさと情報を引き出すべきだ。
KP
「いえいえ、そのような事はございません。
彼らは我々に知を提供して下さる来客でございます。
丁重に扱っておりますし、彼らにも満足頂ける待遇を提供してございます。
この肉体についても、話すならば見知った人間と話したいだろうと思ってお持ちしたものですが、不服でございましたか?」
イス人は心底不思議であるといった様子で、小首をかしげた。
彼らは我々に知を提供して下さる来客でございます。
丁重に扱っておりますし、彼らにも満足頂ける待遇を提供してございます。
この肉体についても、話すならば見知った人間と話したいだろうと思ってお持ちしたものですが、不服でございましたか?」
イス人は心底不思議であるといった様子で、小首をかしげた。
佐倉 光
「今俺が話しているのは見知った人間じゃない。
見知った人間の皮を被ったなにか、だ。
それを同一と見做すならお前らも人間の理解が足りていないな」
そういえば波照間さん偽ってる奴もいたな。ったく、どいつもこいつも。
見知った人間の皮を被ったなにか、だ。
それを同一と見做すならお前らも人間の理解が足りていないな」
そういえば波照間さん偽ってる奴もいたな。ったく、どいつもこいつも。
佐倉 光
「快適だろうと、そいつらの意思を無視しているんだろう。
なんなら記憶を消したか?
てめぇらはいつも人間にとって一番大事なところを踏みにじりやがる」
なんなら記憶を消したか?
てめぇらはいつも人間にとって一番大事なところを踏みにじりやがる」
佐倉 光
「さっさと必要なことを話せ」
ぶち殺すぞこの野郎。
ぶち殺すぞこの野郎。
KP
「お気に入り頂けるかと思いましたのですが、人間の精神とは難しいものでございますね。
では、我々が地球人類の精神を保護せず、地球と共に死亡し消失するままにしておいた方が、あなたさまの意図に適ったのでございましょうか?」
では、我々が地球人類の精神を保護せず、地球と共に死亡し消失するままにしておいた方が、あなたさまの意図に適ったのでございましょうか?」
牧志 浩太
(話が進まない、その……、もしかして、お前……、)
横から聞いていた牧志が会話に割り込んだ。
横から聞いていた牧志が会話に割り込んだ。
牧志 浩太
(地球のみんなの精神は、お前のところにいるから、消えてない、生きてる……、って、言ってるのか)
KP
「ええ、その通りでございますよ」
うんうん、とイス人は大きく頷く。
うんうん、とイス人は大きく頷く。
佐倉 光
かえせ って言えばいいんだw
佐倉がぶち切れすぎて交渉失敗しかけてたのを牧志がワリコミ会話でとりなした!
佐倉がぶち切れすぎて交渉失敗しかけてたのを牧志がワリコミ会話でとりなした!
KP
横から聞いてたせいでちょっと冷静になる牧志。
佐倉 光
こいつと話しても無駄なんでもっと上と交渉しなきゃ駄目なのかと思っていた!
KP
ああっキャラを盛り過ぎた!
佐倉 光
佐倉が怒りぶっちぎって交渉もクソもなくなってる!
佐倉 光
「……!」
そうか。生きている、残っているなら、取り戻すことも可能なんじゃないか。
そうか。生きている、残っているなら、取り戻すことも可能なんじゃないか。
佐倉 光
「返せ」
KP
「ええ、勿論でございますよ?」
イス人は、今度は逆の方向に首をかしげた。
イス人は、今度は逆の方向に首をかしげた。
KP
「今は器たる肉体と住処であります地球がございませんのでお返しすることはできませんが、あなたさまに彼らの器を取り戻して頂けるのでしたら、いつでもお返しする準備は整ってございます。
赤の女王は、そもそもそのつもりでわたしに彼らの精神を託しましたのでございますし」
赤の女王は、そもそもそのつもりでわたしに彼らの精神を託しましたのでございますし」
佐倉 光
「器を取り戻す?」
佐倉 光
「取り戻せるのか!?」
牧志 浩太
(………………もうちょっと素直に言ってくれ……)
KP
イス人はあなたに、真っ赤な封筒を差し出した。
それには金の箔押しで、「佐倉光へ」と刻印されている。
それには金の箔押しで、「佐倉光へ」と刻印されている。
佐倉 光
「つまりまた人間を人質にして俺に何かさせようってんじゃねぇかクソが!
なんなんだよ。なんなんだよマジでさぁ!? 俺に何か恨みでもあるのかよ!」
喚いて吼えて、封筒を奪い取る。
なんなんだよ。なんなんだよマジでさぁ!? 俺に何か恨みでもあるのかよ!」
喚いて吼えて、封筒を奪い取る。
KP
封筒の中には手紙と、地図が入っていた。
地図はこの月面を説明したもののようだが、あなたの知る月面探査図と違い、月面に棲むヒキガエルの都市が描かれている。
その都市の所に、赤い口紅でハートマークが描かれていた。
地図はこの月面を説明したもののようだが、あなたの知る月面探査図と違い、月面に棲むヒキガエルの都市が描かれている。
その都市の所に、赤い口紅でハートマークが描かれていた。
KP
手紙にはこうある。
鍵を手にしたニャルラトホテプの雛、彷徨うアリス、親愛なる佐倉光へ
彼らがかつて世界を生んだように、あなたは世界を組み上げるでしょう。
残された幻想を彷徨いなさい。ありとあらゆる世界の破片を拾いなさい、神の雛よ。
繋ぎ合わせるならば、世界を取り戻すことは簡単でしょう。
あなたが進化のために走り続けるならば、すべてはあなたのものになるでしょう。
ムーン=ビーストの都市を訪れなさい。
この手紙はあなたの身分の証明となります。
巡礼の果てに、あなたはすべてを得るでしょう。
赤の女王、あるいは彷徨うアリスの友人
P. S. お友達は大切にすることね。
彼らがかつて世界を生んだように、あなたは世界を組み上げるでしょう。
残された幻想を彷徨いなさい。ありとあらゆる世界の破片を拾いなさい、神の雛よ。
繋ぎ合わせるならば、世界を取り戻すことは簡単でしょう。
あなたが進化のために走り続けるならば、すべてはあなたのものになるでしょう。
ムーン=ビーストの都市を訪れなさい。
この手紙はあなたの身分の証明となります。
巡礼の果てに、あなたはすべてを得るでしょう。
赤の女王、あるいは彷徨うアリスの友人
P. S. お友達は大切にすることね。
佐倉 光
「いちいち俺の意思を無視して押しつけやがる……!」
頭をガリガリと掻きむしる。
頭をガリガリと掻きむしる。
佐倉 光
「世界を使ってパズルをして、成功したら賞品がある、とさ」
佐倉 光
「……」
深く長く息を吐く。
深く長く息を吐く。
佐倉 光
腹は立つが。許せる気はしないが。最悪の気分だが。
こいつの思惑通りに動くなんてまっぴらごめんだが。
それはそれとして。
こいつの思惑通りに動くなんてまっぴらごめんだが。
それはそれとして。
佐倉 光
面白い。
滅びる地球をぼんやりと眺めているよりは100倍ましだ。
滅びる地球をぼんやりと眺めているよりは100倍ましだ。
KP
そう思ったとき、その手紙から女の笑う声が聞こえた気がした。
同時に、あなたは腹の奥から意志が湧き上がるのを感じた。
あなたの意識は、奇妙なほどに明瞭になっていく。
はかなく明滅していたあなたの人間としての自我、意識、意志、それらがまるで何かに吹き込まれたかのように、あなたの中に満ちていく。
あなたは直感する。
あなたに力をもたらしていたのは、「人間としての自我」をその身に吹き込んでいたのは、この手紙の主、「赤の女王」だ。
赤の女王はあなたに、あなた達に、そうやってまだ走ることを望んでいるのだ。
同時に、あなたは腹の奥から意志が湧き上がるのを感じた。
あなたの意識は、奇妙なほどに明瞭になっていく。
はかなく明滅していたあなたの人間としての自我、意識、意志、それらがまるで何かに吹き込まれたかのように、あなたの中に満ちていく。
あなたは直感する。
あなたに力をもたらしていたのは、「人間としての自我」をその身に吹き込んでいたのは、この手紙の主、「赤の女王」だ。
赤の女王はあなたに、あなた達に、そうやってまだ走ることを望んでいるのだ。
KP
あなたと牧志の正気度 は、最大値まで回復する。
また、不定の狂気は解除される。
また、不定の狂気は解除される。
能力値あれこれ
佐倉 光
最大値?
(まあ最大値でも大したことないけど。)
(まあ最大値でも大したことないけど。)
KP
佐倉さんは58、牧志は55まで回復するということですね。
佐倉 光
二人とも酷い数値だな。了解です。
KP
ここ本来は「初期値」なんですが、二人とも初期値>最大値なので。
佐倉 光
そういえば牧志にやった【POW】は回復しているんですか?
【POW】100ってことは回復と解釈していいのかな。
【POW】100ってことは回復と解釈していいのかな。
KP
あ、そうだ!
すみません、一つ忘れていました。
第二話終了時に、【POW】をその時の値から-11してください。
これは旧き鍵の呪文のコストです。
また、牧志にやった【POW】は回復していません。
(【POW】100は表記ミスです、すみません。修正漏れしていました)
牧志に【POW】をやったあとの値から、さらに-11してください、ということですね。
すみません、一つ忘れていました。
第二話終了時に、【POW】をその時の値から-11してください。
これは旧き鍵の呪文のコストです。
また、牧志にやった【POW】は回復していません。
(【POW】100は表記ミスです、すみません。修正漏れしていました)
牧志に【POW】をやったあとの値から、さらに-11してください、ということですね。
佐倉 光
そうすると、67ってことかな。
KP
ですね。失礼しました。
佐倉 光
MP最大値も減少しますか?
KP
MP最大値は減少しません。
あ、不定の狂気は解除されます。>佐倉さん
あ、不定の狂気は解除されます。>佐倉さん
佐倉 光
あ、そういえばさっきされるとかいてあったか。
牧志 浩太
(…………)
牧志が緩やかに回転し、彼の眼の色の光で輝きだした。
不安定だった回転がリズムを取り戻し、辺りに満ちる高周波音が軽やかな響きを帯びていく。
牧志が緩やかに回転し、彼の眼の色の光で輝きだした。
不安定だった回転がリズムを取り戻し、辺りに満ちる高周波音が軽やかな響きを帯びていく。
牧志 浩太
(随分勝手な話だな。
自分で滅ぼしておいて、組み直したら返してやる、だなんて。
でも、みんな死んでしまってないんだ。失われてないんだ。
シローも東浪見も先輩も東雲さんも、俺達がうまくやれば取り戻せるんだ)
自分で滅ぼしておいて、組み直したら返してやる、だなんて。
でも、みんな死んでしまってないんだ。失われてないんだ。
シローも東浪見も先輩も東雲さんも、俺達がうまくやれば取り戻せるんだ)
牧志 浩太
(いつもの理不尽なゲームみたいだ、佐倉さん。
今回は、随分スケールが大きいけどさ)
牧志はくるりとあなたの方を向いて、きらりと辺を光らせた。
今回は、随分スケールが大きいけどさ)
牧志はくるりとあなたの方を向いて、きらりと辺を光らせた。
佐倉 光
「ああ。怒ってる場合じゃねぇな」
佐倉 光
「うだうだ言ってないでやるしかねぇ、ってことだよな」
牧志の輝きに頷き返す。
牧志の輝きに頷き返す。
佐倉 光
「いいだろう。やってやる。
まだ俺達が足掻いて踊る姿が見たいってんなら見せてやる。
全部奪い返して、最後に殴る」
手紙を広げたままで宣言した。
まだ俺達が足掻いて踊る姿が見たいってんなら見せてやる。
全部奪い返して、最後に殴る」
手紙を広げたままで宣言した。
KP
それでいいと微笑むように、手紙に赤い口紅で、笑う口のマークが浮かび上がった。
友達を大事に
佐倉 光
友達を大事にしろ、か。
牧志が強いからって調子に乗って盾にしてると後で酷いことになりそうだな。
そうなると《肉体の保護》は良い選択だったかも知れない。
とはいえ一度使えば破れるまで24時間もつ魔法だし、それ考えると攻撃魔法を貰った方が良かったかも知れないな。
あと牧志の装甲が激高なの見ると、多少の数値で凌げるようなものでもないか。
牧志が強いからって調子に乗って盾にしてると後で酷いことになりそうだな。
そうなると《肉体の保護》は良い選択だったかも知れない。
とはいえ一度使えば破れるまで24時間もつ魔法だし、それ考えると攻撃魔法を貰った方が良かったかも知れないな。
あと牧志の装甲が激高なの見ると、多少の数値で凌げるようなものでもないか。
KP
牧志の装甲高いのはシナリオ都合(戦闘難度)とは無関係ですね。ムトルブリスがそういうものというだけです。
今回の戦闘は回避可能なので。
今回の戦闘は回避可能なので。
佐倉 光
あ、そうなんだ。
そうするとまた別の意味か。
そうするとまた別の意味か。
KP
ムトルブリス巨大な結晶のかたまり(今回は人間大の大きさにしてますが)なので、まあ固いみたいです。
佐倉 光
牧志の姿を人型にしてもいいんだけど、結晶状なのがちょっと面白いのでもう暫くこのままにしとこ。
KP
そうなんですよね、この状態ちょっと面白い。
目も口も鼻も手もない結晶で感情行動ムーブするのちょっと楽しい。
目も口も鼻も手もない結晶で感情行動ムーブするのちょっと楽しい。
佐倉 光
はーい。
KP
あ、そういえば第二話で処理を忘れていたかもしれないのですが、今話は痛みチェックは不要です。
人間ベースとはいえニャルラトホテプなので。
人間ベースとはいえニャルラトホテプなので。
佐倉 光
「約束は守れよ」
イス人に吐き捨てて地図を見る。
イス人に吐き捨てて地図を見る。
KP
「勿論でございます」
イス人は一礼し、止めなければ灰色の大地をどこへともなく去っていく。
去る前に指で地図を指し、現在地を教えてくれる。
イス人は一礼し、止めなければ灰色の大地をどこへともなく去っていく。
去る前に指で地図を指し、現在地を教えてくれる。
佐倉 光
「牧志、月面にランドマークってねぇよな」
地図と自分が立っている場所は対応できそうかな。
地図と自分が立っている場所は対応できそうかな。
牧志 浩太
(ランドマークは……、クレーターばっかりだな。
地面の上からクレーターで位置把握しろって、難易度高すぎる。
あ、でもここからちょうど裏側みたいだ。
地球に背を向けるように歩いていけば、着くんじゃないか?)
月の裏側まで徒歩で歩いていく。
牧志はなかなかスケールのおかしいことを言い出した。
地面の上からクレーターで位置把握しろって、難易度高すぎる。
あ、でもここからちょうど裏側みたいだ。
地球に背を向けるように歩いていけば、着くんじゃないか?)
月の裏側まで徒歩で歩いていく。
牧志はなかなかスケールのおかしいことを言い出した。
佐倉 光
「なんもないとこまっすぐ歩くの難しくね?」
言いながら歩き出す。
言いながら歩き出す。
佐倉 光
「しかもフラットじゃなくてばかでけぇクレーターだらけだしさ。
絶対方向感覚狂う」
絶対方向感覚狂う」
牧志 浩太
(うーん、確かにな……、あ。
ここ、巨大な種が浮かんでるって書いてある。
裏側まで出れば見えるんじゃないか。見えると信じたい)
牧志は光の線で地図の、ハートマークがついている場所を指す。
ここ、巨大な種が浮かんでるって書いてある。
裏側まで出れば見えるんじゃないか。見えると信じたい)
牧志は光の線で地図の、ハートマークがついている場所を指す。
佐倉 光
「……牧志って浮いて移動してるよなぁ。
もしかして地面の凹凸あまり関係なく移動できる?」
牧志を見上げて呟いた。
もしかして地面の凹凸あまり関係なく移動できる?」
牧志を見上げて呟いた。
牧志 浩太
(ああー? 確かに? ちょっと試してみる)
牧志はあなたから少し離れ、クレーターの上へ向かう。
陥没の上を、すいと滑るように同じ高さで移動した。
牧志はあなたから少し離れ、クレーターの上へ向かう。
陥没の上を、すいと滑るように同じ高さで移動した。
牧志 浩太
(地面からあまり高く離れることはできないみたいだ。
でも、少しの凹凸なら気にならないな。
佐倉さん、俺に乗って移動する?)
でも、少しの凹凸なら気にならないな。
佐倉さん、俺に乗って移動する?)
佐倉 光
「そうさせてもらおうかな」
今の牧志は人間大のものか乗った程度で揺るがないように見えた。
実はもっと大きな質量のものであるような。
今の牧志は人間大のものか乗った程度で揺るがないように見えた。
実はもっと大きな質量のものであるような。
佐倉 光
「頼む」
立てるところ、座れるところがあれば、の話なんだけど。
立てるところ、座れるところがあれば、の話なんだけど。
牧志 浩太
(よし)
牧志はくるりと回転して、不規則な尖った面のうちの、どうにか跨がれそうな方をこちらに向ける。
トゲトゲしていて乗りづらそうだが、面が上を向いている所を探して立って跨るようにすれば、乗れないことはなさそうだ。
ちょっと痛い。
牧志はくるりと回転して、不規則な尖った面のうちの、どうにか跨がれそうな方をこちらに向ける。
トゲトゲしていて乗りづらそうだが、面が上を向いている所を探して立って跨るようにすれば、乗れないことはなさそうだ。
ちょっと痛い。
佐倉 光
「その体、上下とかないんだ?」
面を探して跨がる。
面を探して跨がる。
牧志 浩太
(ないみたいだ。
こっちを向いたと思うと、その面が正面になる、って感じか?
言い表しにくいな)
こっちを向いたと思うと、その面が正面になる、って感じか?
言い表しにくいな)
佐倉 光
「悪いけど、クッションか鞍みたいなやつが欲しいなー」
居心地悪く身じろぎをする。
居心地悪く身じろぎをする。
牧志 浩太
(ああ、結構尖ってるんだな俺。
クッションか、ないな。パーカー脱いで挟むとか?)
うーん、と考えると、止まっていた牧志に少し回転が加わった。
そのまま、上下を軸として緩く回転を始める。
周囲の風景が、メリーゴーランドのように緩く回っていく。
クッションか、ないな。パーカー脱いで挟むとか?)
うーん、と考えると、止まっていた牧志に少し回転が加わった。
そのまま、上下を軸として緩く回転を始める。
周囲の風景が、メリーゴーランドのように緩く回っていく。
佐倉 光
「ちょ、酔う酔う……酔わない?」
どうなんだろう。とりあえず滑り落ちそうだからやめて欲しい。
どうなんだろう。とりあえず滑り落ちそうだからやめて欲しい。
KP
回転の速度が緩いおかげで酔うことはないが、しかし風景は回る。
進行方向がちょっと分かりにくい。
進行方向がちょっと分かりにくい。
牧志 浩太
(あ、ごめん)
牧志が慌てて回転を止める。
牧志が慌てて回転を止める。
牧志 浩太
止めてしばらくすると、ぷるぷると体の下の結晶体が震えだした。
苦しいらしい。息を止めているようなものだろうか。
苦しいらしい。息を止めているようなものだろうか。
佐倉 光
「あー、止まってるの辛い? ならいいよ、ちょっと自然にしてみてくれ。
回るようじゃちょっとナビはできそうにないけど」
回るようじゃちょっとナビはできそうにないけど」
牧志 浩太
(ごめん。結構苦しい、これ。
気を抜くと回ってっちゃうんだ、氷の上を滑ってるような感じで。
全力で踏みとどまって、ようやく止まれる)
気を抜くと回ってっちゃうんだ、氷の上を滑ってるような感じで。
全力で踏みとどまって、ようやく止まれる)
佐倉 光
ゆったり上下動+ぐるぐるって「酔え」といっているようなもんなのでがんばれ佐倉。
KP
上下入るとね、確実に酔いますね……。
牧志 浩太
(なるべくクレーターの上は通らないようにする。上下入ると酔うもんな)
牧志はクレーターの合間をすり抜けるようにして、すうっと前方へ動き始めた。
浮いているおかげで、幸い上下の揺れはない。
牧志はクレーターの合間をすり抜けるようにして、すうっと前方へ動き始めた。
浮いているおかげで、幸い上下の揺れはない。
佐倉 光
地球だった球体をぼんやり眺めながら呟く。
佐倉 光
「お前はともかく、俺ももう人間じゃないんだな。
ここ宇宙で酸素がないはずなのに、自分の声も聞こえる気がするし、そもそも普通に呼吸ができている気がする」
ここ宇宙で酸素がないはずなのに、自分の声も聞こえる気がするし、そもそも普通に呼吸ができている気がする」
牧志 浩太
(確かに? そういえば、あのイス人だっけ、あいつの声も聞こえてたな)
視界が緩やかに回転しながら、前方へ動いていく。
静まり返った風景に積もる細かい細かい砂に、浮かびながら移動していく牧志が跡をつけることはない。
あなたと、あの「イス人」の足跡が視界の彼方へ流れてしまうと、ここには何も来なかったかのようだ。
視界が緩やかに回転しながら、前方へ動いていく。
静まり返った風景に積もる細かい細かい砂に、浮かびながら移動していく牧志が跡をつけることはない。
あなたと、あの「イス人」の足跡が視界の彼方へ流れてしまうと、ここには何も来なかったかのようだ。
KP
静寂。
静まり返った月面の風景はすべて灰色で、今はもう青くはない地球からの濁った光が地平へ落ちている。
静まり返った月面の風景はすべて灰色で、今はもう青くはない地球からの濁った光が地平へ落ちている。
佐倉 光
「言っちゃなんだけど、こんな経験普通じゃできないし、興味深くはある」
牧志 浩太
(確かにな。
月面旅行も初めてなら、浮かんで移動するのも初めてだし。
もうちょっと、気楽な状況ならよかったんだけど)
月面旅行も初めてなら、浮かんで移動するのも初めてだし。
もうちょっと、気楽な状況ならよかったんだけど)
佐倉 光
沈黙の風景を見つめ、ぽつりと呟く。
佐倉 光
「俺独りだったら全部投げ出していたな」
きっと過去に対する拘りも想いも全部放棄して、何か新たなものを探しに漂っていったのではないかという気がしてならないのだ。
きっと過去に対する拘りも想いも全部放棄して、何か新たなものを探しに漂っていったのではないかという気がしてならないのだ。
牧志 浩太
(そっか。……何だか悪かったような気もするな、そう思うと。
でも、佐倉さんが留まっててくれて、一緒に歩けて嬉しいよ。
俺だけじゃ、文字通り手も足も出ないし)
でも、佐倉さんが留まっててくれて、一緒に歩けて嬉しいよ。
俺だけじゃ、文字通り手も足も出ないし)
佐倉 光
「俺も帰れるものなら帰りたいから」
牧志 浩太
(そっか、よかった。……一緒に、帰ろう)
身体を預ける面のひとつから、微かに温かいような気配が滲んだ。
身体を預ける面のひとつから、微かに温かいような気配が滲んだ。
佐倉 光
《平凡な見せかけ》使おうとしたら……牧志の【SIZ】90あるやんけ。
MP90使うんだわ。
10Rしかもたねぇ!(それ以上使おうとした途端佐倉が気絶する)
普通に物品呼び出す技で毛布でもかけたほうがいいな!
MP90使うんだわ。
10Rしかもたねぇ!(それ以上使おうとした途端佐倉が気絶する)
普通に物品呼び出す技で毛布でもかけたほうがいいな!
KP
そうなんですよ。いまは人間大の大きさとはいえ、本質が巨大!
佐倉 光
「手も足も……そうだな。
その体隠せる魔法もあるんだけど、ちょっと本質でかすぎて俺の魔力が保たなさそうだ」
地図に視線を落とす。
その体隠せる魔法もあるんだけど、ちょっと本質でかすぎて俺の魔力が保たなさそうだ」
地図に視線を落とす。
佐倉 光
「地球から見えない側はクレーターだらけで、月の都があるだの先進文明があるだの宇宙人の基地があるだの言われていたけど、こういうのは知らなかったな」
ムーンビーストってなんだ。
ムーンビーストってなんだ。
佐倉 光
※遭遇したことは何度かあるけど、その記憶とは結びつきますか?
KP
ムーンビーストの名は、あの時やあの時の経験と結びつくだろう。
粘ついたヒキガエルのような、喋る生き物たち。
牧志の腹に大穴を開けられた経験であったり、それ以外にも、いろいろ。
粘ついたヒキガエルのような、喋る生き物たち。
牧志の腹に大穴を開けられた経験であったり、それ以外にも、いろいろ。
牧志 浩太
(月にヒキガエルがいる、って伝承は聞いた事あるけど、
まさか都市を作ってるとは思わなかったな)
怪我をする、痛むという感覚が認識から抜けているのか、牧志もあの時のことは思い出すだろうに、何だか暢気な調子で言う。
まさか都市を作ってるとは思わなかったな)
怪我をする、痛むという感覚が認識から抜けているのか、牧志もあの時のことは思い出すだろうに、何だか暢気な調子で言う。
佐倉 光
「ムーンビースト、子供は喋ってたけど、あれあくまで夢だったし、ここにいるヤツもそうとは限らないよな」
佐倉 光
「つーか常日頃思っていたことではあるけど、この体になって確信した。
同じ名称で呼ばれていても、厳密には違うってことが多すぎる。
変容し続けているのかも知れないし、種というものが人間の概念から外れているのかも知れない。
何もかもがあまりにも不確かで、人間の考える枠に収まらないんだな。
そのへんはやっぱり悪魔的だと言えるかも知れない。
悪魔も本体魔界にあって、こっちに出てくるのはほんの一部だし、あくまでもマグネタイトに投影されたものだから、同じ存在でも違う性質を持つことがある。
俺達が分析し切れていないだけで、神話生物もやっぱり『悪魔』なのかもしれない」
同じ名称で呼ばれていても、厳密には違うってことが多すぎる。
変容し続けているのかも知れないし、種というものが人間の概念から外れているのかも知れない。
何もかもがあまりにも不確かで、人間の考える枠に収まらないんだな。
そのへんはやっぱり悪魔的だと言えるかも知れない。
悪魔も本体魔界にあって、こっちに出てくるのはほんの一部だし、あくまでもマグネタイトに投影されたものだから、同じ存在でも違う性質を持つことがある。
俺達が分析し切れていないだけで、神話生物もやっぱり『悪魔』なのかもしれない」
牧志 浩太
(なるほど?
悪魔と一緒なのかもしれないのか。
俺達は召喚された一部を見てるだけで、何度も遭ってるように思っても、見えてるものは僅かな範囲だけなんだ)
悪魔と一緒なのかもしれないのか。
俺達は召喚された一部を見てるだけで、何度も遭ってるように思っても、見えてるものは僅かな範囲だけなんだ)
悪魔の差異
佐倉 光
メガテンでシリーズごとに悪魔の性能違うのそういう事かなって。
あくまで佐倉の解釈です。
あくまで佐倉の解釈です。
KP
ああー。なるほどぉ。
【SIZ】90の牧志の一部が人間大の大きさになってここにあるように、魔界にある悪魔の一部がそれぞれ違った形で、幻燈のように映し出されているだけと。
【SIZ】90の牧志の一部が人間大の大きさになってここにあるように、魔界にある悪魔の一部がそれぞれ違った形で、幻燈のように映し出されているだけと。
佐倉 光
「重力」の本体は別次元にあるんじゃね? みたいな。
クトゥルフの場合、並行世界のあっちこっちにはみ出た物を見ているだけかも。などなど。
クトゥルフの場合、並行世界のあっちこっちにはみ出た物を見ているだけかも。などなど。
KP
これは面白い解釈。なるほどなー。
人間が捉え切れるものだけを見ているのかもしれないし、世界が映しだせるものだけを見ているのかもしれないし、並行世界のあちらこちらにはみ出た触手の断片を見ているだけかもしれない。
人間が捉え切れるものだけを見ているのかもしれないし、世界が映しだせるものだけを見ているのかもしれないし、並行世界のあちらこちらにはみ出た触手の断片を見ているだけかもしれない。
佐倉 光
女神転生悪魔は話しかけられることもあるし、あくまで「はみ出た部分が悪魔使いに理解できる範囲に収まっているもの」なのかなと。
そういう解釈にしておけば、どっちが上だのどっちが強いだのシナリオごとに違うだのってややこしいことも吸収できるなー、などと。
そういう解釈にしておけば、どっちが上だのどっちが強いだのシナリオごとに違うだのってややこしいことも吸収できるなー、などと。
KP
確かに。そうなればシナリオごとにオリジナル要素があるのも吸収できますしね。
ルルブにある解説やデータだって、「一例」に過ぎないと確かマレモンかどこかにあったし。
ルルブにある解説やデータだって、「一例」に過ぎないと確かマレモンかどこかにあったし。
佐倉 光
ニャルは色々な形した穴からにゅるにゅる出過ぎなんだ。
KP
ニャルは色んな形の穴があいてるんでしょうねぇ。にゅるにゅるにゅる。
佐倉 光
地図に書かれているのはヒキガエルの都市だけかな?
KP
今の所、それだけですね。
あとは主要なクレーターの位置などが書かれているくらいだ。
あとは主要なクレーターの位置などが書かれているくらいだ。
佐倉 光
ではのんびりとそちらを目指すとしよう。
なんだか急ぐ気にもならない。
たまに地図と視界を比べて、方向を確認。
【DEX】19とはいえ結構時間がかかりそうだ。のんびり牧志と話しながら行こう。
なんだか急ぐ気にもならない。
たまに地図と視界を比べて、方向を確認。
【DEX】19とはいえ結構時間がかかりそうだ。のんびり牧志と話しながら行こう。
佐倉 光
「お、なんか飛んでる」
牧志 浩太
(お?)牧志がそちらを向くと、あなたの視界もそちらを向く。
佐倉 光
ゆらりと漂うように動いてゆく視界のなかに、その旅人を収め続ける。
佐倉 光
知的生命体かな、ただの隕石かな。
もう今となってはこんなことを考えるのも俺達だけなんだ。
いや、地球出身者では、か。
もう今となってはこんなことを考えるのも俺達だけなんだ。
いや、地球出身者では、か。
KP
それはどこかから降ってくる、ただの隕石だった。
意思などはないようで、ただ落ちては砂を巻き上げ、小さなクレーターを増やすだけだ。
意思などはないようで、ただ落ちては砂を巻き上げ、小さなクレーターを増やすだけだ。
佐倉 光
そういえば、空腹とか生理現象とかどうなっているんだろう?
俺はもちろんだけど、牧志。
俺はもちろんだけど、牧志。
佐倉 光
「おまえ腹減ったりするのかな」
KP
あなたは空腹も、生理現象も感じることはなかった。
そうしたいと思えば感じることができるだろう。
生理現象を起こすことも可能だ。
ただ、それだけだ。あなたのその人間の身体は、いまや神の器でしかない。
そうしたいと思えば感じることができるだろう。
生理現象を起こすことも可能だ。
ただ、それだけだ。あなたのその人間の身体は、いまや神の器でしかない。
牧志 浩太
(えっ?)
牧志は言われてはじめてその概念そのものを思い出したように、小さく声を上げた。
牧志は言われてはじめてその概念そのものを思い出したように、小さく声を上げた。
牧志 浩太
(減らないな。というか、俺って何を食べるんだろう?
そもそも口もないし、俺)
そもそも口もないし、俺)
佐倉 光
「俺達もう人間じゃないんだな。
まるでまだ夢の中を彷徨っているような気分だ」
ゆるゆると周りながら月面を渡ってゆく。
疲労も空腹もなく、真っ暗な空のもと、天空を埋め尽くす星を見上げながら。
まるでまだ夢の中を彷徨っているような気分だ」
ゆるゆると周りながら月面を渡ってゆく。
疲労も空腹もなく、真っ暗な空のもと、天空を埋め尽くす星を見上げながら。
佐倉 光
今回の出来事について、自分が牧志を見つけてから今までを語ろう。
暇つぶしにはなるだろう。
そういえば牧志はいきさつを知っているんだろうか。
暇つぶしにはなるだろう。
そういえば牧志はいきさつを知っているんだろうか。
牧志 浩太
(……速すぎたよな、色々と。
二日でゾンビだらけになって、一瞬で一ヶ月過ぎて、地球が滅んだなんて。
もう俺と佐倉さんしかいないなんて、気持ちがついていかないよ)
二日でゾンビだらけになって、一瞬で一ヶ月過ぎて、地球が滅んだなんて。
もう俺と佐倉さんしかいないなんて、気持ちがついていかないよ)
KP
明けない夜の星空は、夢の中で辿った平原に似ていた。
不服そうな馬に引かれた車に乗って、もう一つの足跡を伴に、ずっと、ずっとずっと。
そういえばあの時も牧志は異形になっていたわけで、まったくよく人じゃなくなるやつだ。
不服そうな馬に引かれた車に乗って、もう一つの足跡を伴に、ずっと、ずっとずっと。
そういえばあの時も牧志は異形になっていたわけで、まったくよく人じゃなくなるやつだ。
牧志 浩太
牧志は、あなたが神になった時の経緯や、三日目に彼が飛び出してからの詳しい経緯は知らないらしい。
自分が人を襲ったこと、自分が親玉だったことを思い出してしまって飛び出してから、気づくと図書館に着いていた。
裏庭でまた身体が無理やり動かされて、門の向こうに連れていかれた。
それからはずっと笛の音に包まれていた。
ニーオス・コルガイに体内を侵され、呼吸も思考もままならない状態だったが、辛うじて、あなたが来てくれたことだけは分かったのだという。
自分が人を襲ったこと、自分が親玉だったことを思い出してしまって飛び出してから、気づくと図書館に着いていた。
裏庭でまた身体が無理やり動かされて、門の向こうに連れていかれた。
それからはずっと笛の音に包まれていた。
ニーオス・コルガイに体内を侵され、呼吸も思考もままならない状態だったが、辛うじて、あなたが来てくれたことだけは分かったのだという。
牧志 浩太
(佐倉さんが来てくれた時、ああ、俺のせいだって、すごく辛かったんだ。
でも、嬉しかった。泣きそうなくらいに嬉しかった)
でも、嬉しかった。泣きそうなくらいに嬉しかった)
佐倉 光
「俺も牧志に救われたよ。
過去の扉で神を見た時に、俺は一度人として死んだんだ」
過去の扉で神を見た時に、俺は一度人として死んだんだ」
佐倉 光
「俺が『俺』に溺れて消えかけたときに、お前が手を取ってくれて名前を呼んでくれた」
佐倉 光
「そういえば、あの海の底で青い花を見た気がするな」
牧志 浩太
(もしかしたら、俺だけじゃなくて……、あの海の底で会った魂も、助けてくれたのかもな。
助けてくれてありがとう、か……、それか、俺達みたいにはなるなよ、って感じでさ。
これは、想像だけど)
助けてくれてありがとう、か……、それか、俺達みたいにはなるなよ、って感じでさ。
これは、想像だけど)
佐倉 光
「俺を神の雛と呼ぶあいつは、俺が大事にしているものを餌にして、俺を神として変えたいのか。
それにしては俺達に人としての魂を返して寄越したし、何がしたいんだか」
それにしては俺達に人としての魂を返して寄越したし、何がしたいんだか」
佐倉 光
「牧志を親玉にしたのにも、こんな姿に変えるよう仕向けたのにも、俺を無理矢理走らせる以外の意味があるのかな」
牧志 浩太
(そう、そこ分からないんだよな。
佐倉さんに、双子の神がやったのと同じことをさせたい?
俺はトートのナイフで殺されて、ゾンビの親玉になって蘇った。
佐倉さんも、雛ってことは生まれようとしてる、って取れる。
エジプト神話では世界は夜ごと死んで蘇るっていうし、何もかも世界創生に擬えてるのかもしれない。
あいつ、擬えとかそういうの好きそうだし)
佐倉さんに、双子の神がやったのと同じことをさせたい?
俺はトートのナイフで殺されて、ゾンビの親玉になって蘇った。
佐倉さんも、雛ってことは生まれようとしてる、って取れる。
エジプト神話では世界は夜ごと死んで蘇るっていうし、何もかも世界創生に擬えてるのかもしれない。
あいつ、擬えとかそういうの好きそうだし)
コメント By.佐倉 光
これからどうすればいい?
さすがに途方に暮れる佐倉。
だが、本当の喪失はこれからだったのだ。
これからどうすればいい?
さすがに途方に暮れる佐倉。
だが、本当の喪失はこれからだったのだ。
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」
TRPGリプレイ ダブルクロス3rd 第六話『胞子の島』1
今回はシナリオクラフトです。
偶然同じ航空機に乗っていた大人たち。突如のワーディング、コントロールを失う飛行機。目の前には空飛ぶ超巨大キノコが……
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます