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KP
外へ出ると、街はいつも以上に静かなように思えた。
あなた達がシローにそう言ったように、外出を避けている人もいるのだろうか。
あなた達がシローにそう言ったように、外出を避けている人もいるのだろうか。
佐倉 光
ネットの書き込みは落ち着いているだろうか。
公共機関などにも影響はないか。
移動中、不審な動きをする奴がいたらなるべく近づかないようにしつつ観察する。
公共機関などにも影響はないか。
移動中、不審な動きをする奴がいたらなるべく近づかないようにしつつ観察する。
KP
ネットの書き込みは相変わらず錯綜しているが、朝になったからか、新たな目撃証言は落ち着いている。
その代わりに映画の映像などを実物と偽るもの、既存の証言のリツイート、デマなどが飛び交いだしている。
その代わりに映画の映像などを実物と偽るもの、既存の証言のリツイート、デマなどが飛び交いだしている。
佐倉 光
「こういう時にAIで悪ふざけするヤツ洒落になってねぇぞ」
KP
警察や電車などは動いているように見えるが、近くの交番などの様子を見ればどことなく慌ただしいような、物々しいような雰囲気が漂っていた。
KP
そうやって注意して移動するならば、〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 17→成功
KP
住宅街を出て渋谷中心部へ近づくと、通りに人の姿が蘇ってくる。
道行く人々は口々にゾンビの話や、朝のニュースの話をしていた。
道行く人々は口々にゾンビの話や、朝のニュースの話をしていた。
KP
渋谷のスクランブル交差点の前に差し掛かった時だった。
空を見上げ、譫言をつぶやきながら歩く人の姿を人混みの向こうに見つける。
人々は遠巻きに避けながら歩くだけだが、あなたはその目つきが、あのチラシを配っていた男そっくりであることに気づいた。
空を見上げ、譫言をつぶやきながら歩く人の姿を人混みの向こうに見つける。
人々は遠巻きに避けながら歩くだけだが、あなたはその目つきが、あのチラシを配っていた男そっくりであることに気づいた。
佐倉 光
「おい、あいつ」
牧志をつついて男の方を目で指す。
似ているのは目つきだけ?
牧志をつついて男の方を目で指す。
似ているのは目つきだけ?
KP
空を見上げたまま歩いてゆく男の姿は背格好も年代も似ておらず、そっくりなのは目つきだけだ。
ここからでは、何を呟いているのかよく分からない。
ここからでは、何を呟いているのかよく分からない。
牧志 浩太
「ん……、ああ、ああ?」
牧志の返答は一瞬、いや、ゆうに数十秒は遅れた。
その男のことにも気づいてはいなかったようで、数度瞬きをしてからようやくそちらを向く。
牧志の返答は一瞬、いや、ゆうに数十秒は遅れた。
その男のことにも気づいてはいなかったようで、数度瞬きをしてからようやくそちらを向く。
佐倉 光
「あいつ、何言ってる?」
〈聞き耳〉を立ててみよう。必要なら少し近づいて。
〈聞き耳〉を立ててみよう。必要なら少し近づいて。
牧志 浩太
「あ……、ああ。あいつか。確かに様子が変だ」
牧志は頷いて、少し近づく。
牧志は頷いて、少し近づく。
KP
少し近づけば、男のぽつぽつと呟く声が聞き取れる。
「せいめいのそうぞうしゅ、ととさま、しんせかいのかみ、えらばれたならすくわれる、ととさま、ととさま、せかいをすくって、あわだつくも、せいめいのそうぞうしゅ、」
男はそんな言葉を延々と繰り返していた。
自身で何を言っているのかも分からないような様子で、ただ口が動くままに音を発している。
「せいめいのそうぞうしゅ、ととさま、しんせかいのかみ、えらばれたならすくわれる、ととさま、ととさま、せかいをすくって、あわだつくも、せいめいのそうぞうしゅ、」
男はそんな言葉を延々と繰り返していた。
自身で何を言っているのかも分からないような様子で、ただ口が動くままに音を発している。
佐倉 光
「ととさま? 父様? いや」
牧志 浩太
「ととさま? ……“トート様” のことか?」
佐倉 光
「多分そうだな」
KP
“泡立つ雲、生命の創造主”
あなたはその言葉に、覚えがあるような気がした。
あなたはその言葉に、覚えがあるような気がした。
佐倉 光
見た(?)ことあるヤツきたー
KP
見たことは…… ないかも!?(忘れてたらすみません)
佐倉 光
なんか『某シナリオ』でちら見したのそれかなって
KP
ああー。あいつではないです。
佐倉 光
覚えがある、か。判定が必要?
まずは人間の方で判定してみて、結果を見て再度神の知識を探るか考えてもよい?
まずは人間の方で判定してみて、結果を見て再度神の知識を探るか考えてもよい?
KP
思い出したいと望むなら、〈クトゥルフ神話〉で判定。
人間の方で判定してみてから、結果を見て神の知識を探ってもよい。
人間の方で判定してみてから、結果を見て神の知識を探ってもよい。
佐倉 光
1d100 41 〈神話〉知識! Sasa 1d100→ 75→失敗
佐倉 光
今までに読んだ本などにそういった記述があっただろうか。
考えてみるが、なんとなく記憶に霞がかかったようで思い出せない。
その霞の向こうにおそらくそれはいる。わかる。
それは人間としての佐倉が知ったものの中ではなく、かつて神に流し込まれた智、かつて自らを破壊した智、そして神の記憶にある。
今なら手を伸ばせば届くだろう……
伸ばさない理由があるものか。
考えてみるが、なんとなく記憶に霞がかかったようで思い出せない。
その霞の向こうにおそらくそれはいる。わかる。
それは人間としての佐倉が知ったものの中ではなく、かつて神に流し込まれた智、かつて自らを破壊した智、そして神の記憶にある。
今なら手を伸ばせば届くだろう……
伸ばさない理由があるものか。
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 23 → 22
1d100 99 〈知識〉 Sasa 1d100→ 78→成功
SAN 23 → 22
1d100 99 〈知識〉 Sasa 1d100→ 78→成功
KP
あなたは思い出す。
自然に、ふっと頭の奥から浮き上がるように、あなたは思い出した。
それは旧き神に反逆せし双子の神のかたわれだ。
新世界のあらゆる肉の源たる原形質を生み出した、生命の創造主。
かれは旧き神より神秘の智なる石板を奪い、そして知性を奪われた。
いまや知性を持たぬ灰色の混沌として、自身が奪った石板に囲まれ。
その意味もわからず、冷たき洞窟にて粘液と蒸気のうちに身を横たえる。
その名を、ウボ=サスラ。
自然に、ふっと頭の奥から浮き上がるように、あなたは思い出した。
それは旧き神に反逆せし双子の神のかたわれだ。
新世界のあらゆる肉の源たる原形質を生み出した、生命の創造主。
かれは旧き神より神秘の智なる石板を奪い、そして知性を奪われた。
いまや知性を持たぬ灰色の混沌として、自身が奪った石板に囲まれ。
その意味もわからず、冷たき洞窟にて粘液と蒸気のうちに身を横たえる。
その名を、ウボ=サスラ。
KP
あなたはそれを、
思い出したのだった。
あの時はじめて見た本の記述ではなく、当然知っているなにごとかとして。
思い出したのだった。
あの時はじめて見た本の記述ではなく、当然知っているなにごとかとして。
佐倉 光
「『ウボ=サスラ』……双子の神のひとつ」
ぽつりと呟いた。
そうだ。ずっと知っていた。
ぽつりと呟いた。
そうだ。ずっと知っていた。
佐倉 光
「ここはそれがいる世界?」
牧志 浩太
「……佐倉さん?
何が、いる世界だって?」
何が、いる世界だって?」
佐倉 光
「あ、ああ、双子の神のかたわれの名前。
『俺』は知ってたってこと、『思い出した』」
言葉として、感覚としてしっくりこないが、こうとしか説明できない。
『俺』は知ってたってこと、『思い出した』」
言葉として、感覚としてしっくりこないが、こうとしか説明できない。
佐倉 光
「生命の源を作った神、だから生命の創造をした、とは言えるかも。
知識を盗んだ『罰』として何もかも奪われて洞窟に押し込められている」
……詳しい説明は、しない方がいいのかも知れない。
知識を盗んだ『罰』として何もかも奪われて洞窟に押し込められている」
……詳しい説明は、しない方がいいのかも知れない。
牧志 浩太
「知ってた、ってことは……、」
牧志はあなたの眼を見て、少し考えたようだった。
牧志はあなたの眼を見て、少し考えたようだった。
牧志 浩太
「あの本を読んだことがある、いや、違うな。
あの本のものだけじゃないんだな、あの話は」
あの本のものだけじゃないんだな、あの話は」
佐倉 光
「ああ。リアルの話だ、少なくとも『その世界』では。
『その世界』が『ここ』なのかもしれないな」
『その世界』が『ここ』なのかもしれないな」
佐倉 光
「あの口ぶりだと、もう一人はトート、ってことになるのか? 俺、妹はいるけど、双子だった覚えはねぇな」
牧志 浩太
「ここが、双子の神と一緒に捨て置かれた世界か……。
あの時は物語の話をしてたつもりだったのに、そうなると何だか一気にリアルになるな。
そうだからといってどうってつもりはないけど、だとしたら、あいつらが佐倉さんにさせたいことも、それと何か関係があるのか?
例えば、その双子のもう一人に会わせたい、とか。佐倉さんにさせる意味は分からないけど」
あの時は物語の話をしてたつもりだったのに、そうなると何だか一気にリアルになるな。
そうだからといってどうってつもりはないけど、だとしたら、あいつらが佐倉さんにさせたいことも、それと何か関係があるのか?
例えば、その双子のもう一人に会わせたい、とか。佐倉さんにさせる意味は分からないけど」
佐倉 光
「ここが俺の知っている世界なのかよく分からなくなってきた」
牧志 浩太
「…………俺からは俺の知ってる佐倉さんに見える、んだけどな。
例えば、本当に何一つ違いのない世界で、ただ成り立ちだけが違う……、とかだったら、分からないもんな」
例えば、本当に何一つ違いのない世界で、ただ成り立ちだけが違う……、とかだったら、分からないもんな」
佐倉 光
「そうだな、例えば……あくまで仮説だけど」
佐倉 光
「『俺』は知識の神トートでもある。
で、『もうひとり』は知識を奪われている。
トートとそいつが出会うことでそいつに知性が戻るならそれは、奪われた力が戻るってことだろう?
そうすれば、神はもう一度神として君臨する……とかな」
で、『もうひとり』は知識を奪われている。
トートとそいつが出会うことでそいつに知性が戻るならそれは、奪われた力が戻るってことだろう?
そうすれば、神はもう一度神として君臨する……とかな」
牧志 浩太
「ありそうな筋書きだな。
だとすると、そいつが神に戻った時、トートが……、佐倉さんがどうなるのか次第で、そのゴールを避けるべきかどうかが決まる。
ただ、あの本では、双子の神は知性を奪われたとあったよな。
『佐倉さん』が知識の神トートだとすると、知性を奪われたってのは合わない気もする。
いや、知性を奪われて人間になった、ってことなのか?」
だとすると、そいつが神に戻った時、トートが……、佐倉さんがどうなるのか次第で、そのゴールを避けるべきかどうかが決まる。
ただ、あの本では、双子の神は知性を奪われたとあったよな。
『佐倉さん』が知識の神トートだとすると、知性を奪われたってのは合わない気もする。
いや、知性を奪われて人間になった、ってことなのか?」
佐倉 光
「なるほど、俺は今神としては『不自由』だし、力を奪われていると言えなくもないな。
知識を『思い出そう』とすると負荷がかかるんだ」
知識を『思い出そう』とすると負荷がかかるんだ」
佐倉 光
「春日さんが言ってた、『地球の本棚』へのアクセスには特定の条件が揃った存在でなくてはならないとかそういう」
佐倉 光
「おっと。
で、双子の神が力を取り戻した場合で気になっているのは、『元々双子だったのか?』ってとこだな。
俺自身がそいつから切り離された知能扱いで、出会ったら強制合体って可能性は考えられる」
で、双子の神が力を取り戻した場合で気になっているのは、『元々双子だったのか?』ってとこだな。
俺自身がそいつから切り離された知能扱いで、出会ったら強制合体って可能性は考えられる」
牧志 浩太
「元々一つだった扱いにされてて、出会わされて強制合体か……、ありそうだ。
そうなったら、今の佐倉さんが佐倉さんのままでいられるかどうか分からない。
それこそ、人間の「佐倉さん」じゃなくなってしまうかもしれない。
……そうなると、俺は何だ?
佐倉さんを動かすための餌、とかか?」
そうなったら、今の佐倉さんが佐倉さんのままでいられるかどうか分からない。
それこそ、人間の「佐倉さん」じゃなくなってしまうかもしれない。
……そうなると、俺は何だ?
佐倉さんを動かすための餌、とかか?」
佐倉 光
「牧志が『何』なのか、か。考えたこともなかったな。
役割がある可能性があるか、『赤い女』に絡まれてるしな。
最初に責められたって言ってたろ、何か『やらかした』ってことなのか?」
役割がある可能性があるか、『赤い女』に絡まれてるしな。
最初に責められたって言ってたろ、何か『やらかした』ってことなのか?」
牧志 浩太
「ああ。何か取り返しのつかないことをしてしまったような、そんな気持ちがずっとあるんだ。
……もしかしたら、佐倉さんの前にも、誰かを襲ったりしたのかもな。
そんなことして覚えてすらいないんだとしたら、我ながら薄情だよ」
……もしかしたら、佐倉さんの前にも、誰かを襲ったりしたのかもな。
そんなことして覚えてすらいないんだとしたら、我ながら薄情だよ」
佐倉 光
「牧志が門のことを誰かに聞いた気がする、ってのは気になるな」
KP
ところで、その場で考察する? 移動しながら考察する?
佐倉 光
さっきの男が特に何かする様子がなければ移動しながらやってたかな。
KP
男は延々と譫言を言いながら歩き回っている。
特に何かを始める様子はなさそうだった。
特に何かを始める様子はなさそうだった。
佐倉 光
牧志が双子の片割れはちょっと考えたけどねー
KP
では、そうやって話しながら移動していると、スタジオKJKが見えてくる。
……何だか騒がしい。
スタジオの前は、あのツイートを見てやってきた野次馬でごった返しているようだ。。
……何だか騒がしい。
スタジオの前は、あのツイートを見てやってきた野次馬でごった返しているようだ。。
佐倉 光
「おっと、この様子じゃ簡単に入れそうにないな。全員入場希望者?
まさか、ホンモノの吸血鬼が来ていたりしないだろうな?」
……良く考えれば俺の隣にも一人いたわ。
まさか、ホンモノの吸血鬼が来ていたりしないだろうな?」
……良く考えれば俺の隣にも一人いたわ。
牧志 浩太
「ほんとだ、凄い様子だな。
見た感じ、ゾンビの話を聞きたがってたり、詰め寄りたがってたりする野次馬みたいだけど」
見た感じ、ゾンビの話を聞きたがってたり、詰め寄りたがってたりする野次馬みたいだけど」
KP
スタジオに近づく?
佐倉 光
そろそろ近づいてみよう。
KP
スタジオに近づくも、入り口の前では何人もの野次馬たちが押し合いへし合いしており、中に声をかけることすら困難だ。
そろそろ約束の時間が近づいてきたが、どうしたものか……。
そろそろ約束の時間が近づいてきたが、どうしたものか……。
佐倉 光
ネタ的には適当な魔法で避けたいところだけどね。
まずは声をかけてみようか。
まずは声をかけてみようか。
佐倉 光
「ちょっとどいてもらえませんか」
KP
声をかけるも、野次馬たちは聞く耳を持たない。
それどころか、あなたを派手に突き飛ばすありさまだ。
元のあなたより筋力がついているおかげでよろけずに済んだが、横の牧志にぶつかる。
それどころか、あなたを派手に突き飛ばすありさまだ。
元のあなたより筋力がついているおかげでよろけずに済んだが、横の牧志にぶつかる。
牧志 浩太
「うわ、あいつ危ないな」
佐倉 光
《恐怖の注入》でもしてやろうか。
自分を突き飛ばした奴めがけ……
自分を突き飛ばした奴めがけ……
KP
その時、後ろからくい、くい、と誰かがあなたの服の裾を引いた。
佐倉 光
ん、なんだ?
振り向く。
振り向く。
KP
振り返ると、そこには帽子を目深に被った幼い子供がいる。
その子は帽子の下から僅かに顎を覗かせて、あなたを見上げた。
「こっちから入れるから、来て」彼はあなたの裾を引く。
その子は帽子の下から僅かに顎を覗かせて、あなたを見上げた。
「こっちから入れるから、来て」彼はあなたの裾を引く。
佐倉 光
ありがたい、きっと『彼』だな。
佐倉 光
……いや待て。
どうして俺だとわかった。
どうして俺だとわかった。
佐倉 光
今日の用件、まったく期待が持てないと思っていたけど、そんなことはなさそうだ。
佐倉 光
「ありがとう」
彼の導きに素直に従おう。
彼の導きに素直に従おう。
牧志 浩太
「ありがとう」
子供に小声で礼を言う。
子供に小声で礼を言う。
佐倉 光
牧志には表情で警戒しようと伝える。
牧志 浩太
牧志は視線で頷き、あなたについて向かう。
KP
その子はあなたを裏口へと案内する。
野次馬たちから十分に離れたのを見て、一息に帽子を脱いだ。
その内側から、滑らかな細い髪が溢れ出る。
そこにいたのは、ここで撮影中の映画の主演、天才子役──帯踏うたげ、その人だった。
野次馬たちから十分に離れたのを見て、一息に帽子を脱いだ。
その内側から、滑らかな細い髪が溢れ出る。
そこにいたのは、ここで撮影中の映画の主演、天才子役──帯踏うたげ、その人だった。
佐倉 光
やっぱりな。
……リアルで見るとやっぱり、人並み外れている。
……リアルで見るとやっぱり、人並み外れている。
KP
「お兄さん、すごくかっこいいね!
映画に出ない? 紹介してあげるよ!」
彼はあなたの手を握り、きらきらした眼であなたを見上げる。
映画に出ない? 紹介してあげるよ!」
彼はあなたの手を握り、きらきらした眼であなたを見上げる。
牧志 浩太
「えっ」
KP
なお、彼は牧志にはまったく興味を払っていない。
なんなら視線すら一瞬やっただけだ。
普通の顔には興味がないようだ。
なんなら視線すら一瞬やっただけだ。
普通の顔には興味がないようだ。
佐倉 光
「え、いや……」
格好いいから出ろ、ってつまりそれなりに大きな役想定されるじゃないか。演技力が要る奴だろ。ムリムリ。論外。
格好いいから出ろ、ってつまりそれなりに大きな役想定されるじゃないか。演技力が要る奴だろ。ムリムリ。論外。
佐倉 光
「……」
いやしかし、そういうことにしておけばラクに入り込めるな。どうせ俺が役者として採用なんてありえねぇし。
もしマジでそんな気配を感じたら、「子供の冗談だと思っていた」って逃げればいいや。
いやしかし、そういうことにしておけばラクに入り込めるな。どうせ俺が役者として採用なんてありえねぇし。
もしマジでそんな気配を感じたら、「子供の冗談だと思っていた」って逃げればいいや。
佐倉 光
「ハハ、ほんとかい? お願いしよっかなー」
KP
「やった! 案内するね。そっちの人もおいでよ」
牧志 浩太
「あ、ああ」
牧志は驚いた顔のまま意図を察し、頷く。
牧志は驚いた顔のまま意図を察し、頷く。
佐倉 光
「うん、よろしくお願いするよ。助けてくれてありがとう」
KP
控室に入り込むと、そこには『ザ・ムーン』の出演者たちが揃っていた。
外の騒ぎを苛立たしげに眺める女性、どこ吹く風で台本を読む青年、うたげに忌々しげな視線を寄越す男性……。
うたげは彼らの横を意にも介さず通り抜けてゆく。
外の騒ぎを苛立たしげに眺める女性、どこ吹く風で台本を読む青年、うたげに忌々しげな視線を寄越す男性……。
うたげは彼らの横を意にも介さず通り抜けてゆく。
佐倉 光
ここにいるのは普通の役者なのかな。
役者がもう揃っている段階なのにシナリオのヒントを求めているのか?
演出のヒントかな。
役者がもう揃っている段階なのにシナリオのヒントを求めているのか?
演出のヒントかな。
KP
彼らは見た所普通の人間に見えるが、牧志のことを考えれば当てになるかどうかは怪しい。
顔ぶれをよく見るなら、そこにいるのは全員ではないようだとも分かる。
顔ぶれをよく見るなら、そこにいるのは全員ではないようだとも分かる。
KP
「監督ー」
控室を通り抜けると、応接室のような場所に出た。
うたげが奥に声をかけると、すぐに走ってくる音がする。
橙色のシャツを着た、短髪の男性が姿を見せた。
控室を通り抜けると、応接室のような場所に出た。
うたげが奥に声をかけると、すぐに走ってくる音がする。
橙色のシャツを着た、短髪の男性が姿を見せた。
KP
「あれ、うたげくん。どうしたの? その人は?」
顔写真を見た事がある。
彼が稗田レイジだ。
顔写真を見た事がある。
彼が稗田レイジだ。
佐倉 光
「あ、お邪魔してます。
SNSでお世話になりました、只野です」
頭を下げ挨拶をする。
SNSでお世話になりました、只野です」
頭を下げ挨拶をする。
佐倉 光
「さっき彼に助けていただきまして」
KP
「すっごくかっこいいでしょ。あのオッサンよりこの人を助演にしない?」
KP
「おおー、こりゃすごい。さすがうたげくんだねぇ」
KP
「でしょでしょ」
佐倉 光
「ゾンビ映画に造作って必要ですかね……」
まあ今の俺が変な魅力に溢れているのは否定しない。
鏡を見て思わずもういないはずの友人がそこに立っているのではないかと驚くことがいまだにあるのだ。
まあ今の俺が変な魅力に溢れているのは否定しない。
鏡を見て思わずもういないはずの友人がそこに立っているのではないかと驚くことがいまだにあるのだ。
KP
「えっ? 必要だよ。主演が綺麗なら綺麗なほど、そこに視線を集中させられるしね。
それから美しいものと汚いものの対比も重要だし、何よりこういう分かりやすい映画だと、画面上で主役と脇役を分けるのはまず顔の造作なんだな」
それから美しいものと汚いものの対比も重要だし、何よりこういう分かりやすい映画だと、画面上で主役と脇役を分けるのはまず顔の造作なんだな」
佐倉 光
「まあ、たしかにそうかも知れませんけど、僕ただのシロウトですしね」
牧志 浩太
「えっと、俺達ゾンビの話を聞きにきたんですけど」
佐倉 光
「ゾンビ騒ぎ、随分大事になってますね」
KP
「ああー、昨日DMくれた只野くん!
いやー、随分大騒ぎになってるよねぇ。あ、そこ座って座って」
レイジはあなた達を応接室の椅子に座るよう促し、反対側へ座る。
いやー、随分大騒ぎになってるよねぇ。あ、そこ座って座って」
レイジはあなた達を応接室の椅子に座るよう促し、反対側へ座る。
佐倉 光
「はい、お時間いただきましてありがとうございます。
ゾンビに関する情報を集めていらっしゃるとか。
僕の友人の様子がおかしくなってしまったので、お話を伺いたいと思ったんです」
ゾンビに関する情報を集めていらっしゃるとか。
僕の友人の様子がおかしくなってしまったので、お話を伺いたいと思ったんです」
KP
「ジュースちょうだい。青森産100%のストレートのヤツね」
うたげは慣れた様子でお誕生日席の位置にある補助席へ座り、ジュースを要求する。
うたげは慣れた様子でお誕生日席の位置にある補助席へ座り、ジュースを要求する。
KP
うたげにはリクエスト通りのジュース、あなた達にはお茶が出された。
うたげは楽しそうに足をぷらぷらさせている。
うたげは楽しそうに足をぷらぷらさせている。
佐倉 光
ここで何が起きるんだか。
『望まずゾンビ映画出演』かと思ったけど今昼間だからゾンビ騒ぎにはならないだろうしなぁ。
『望まずゾンビ映画出演』かと思ったけど今昼間だからゾンビ騒ぎにはならないだろうしなぁ。
KP
「おっと、ごめんごめん。ゾンビの話だったね。
僕も見たよ、良く出来てるよねあれ。
道端でああいうグロいパフォーマンスは感心しないけどねー。
へ、君のお友達が? ゾンビ見てびっくりしたとか?」
僕も見たよ、良く出来てるよねあれ。
道端でああいうグロいパフォーマンスは感心しないけどねー。
へ、君のお友達が? ゾンビ見てびっくりしたとか?」
佐倉 光
「グロいパフォーマンス? 夜ですか?」
KP
「そうそう、こないだの夜。
結構グロいよ、萎びちゃって歯とか剥き出しでさ。
そのくせあんまり腐敗してなくて、人間が一夜にして萎びた死体になりましたー、って聞いたら納得がいく感じ」
ほらほら、と彼は写真を見せてくれる。
結構グロいよ、萎びちゃって歯とか剥き出しでさ。
そのくせあんまり腐敗してなくて、人間が一夜にして萎びた死体になりましたー、って聞いたら納得がいく感じ」
ほらほら、と彼は写真を見せてくれる。
牧志 浩太
「……!」
傍らで、牧志が息を呑む。
僅かに、彼は拳を握った。
傍らで、牧志が息を呑む。
僅かに、彼は拳を握った。
KP
……その写真の中には、言う通りに萎びた死体のようなものが、虚ろに歩き回っている様が収められていた。
それは、あの曖昧な映像の中の黒い服の誰かに、よく似た服装をしていた。
それは、あの曖昧な映像の中の黒い服の誰かに、よく似た服装をしていた。
佐倉 光
「……あ。この人、僕も見たかも知れません。
見た時はこんな感じじゃなかったけど。
……特殊メイクでのびっくりか何かなんでしょうか」
牧志の手に軽く触れる。
見た時はこんな感じじゃなかったけど。
……特殊メイクでのびっくりか何かなんでしょうか」
牧志の手に軽く触れる。
牧志 浩太
牧志は応えるように軽く、一度あなたの手を握り返した。
KP
「じゃないかなあ、どっかのプロモーションでさ。
正直うちのCGよりすごいから、どんなチームか知らないけど、今度見かけたらインタビューさせてもらおうかなって思ってるよ。
君も情報早いねぇ、みんな今日からようやく騒いでるのに」
正直うちのCGよりすごいから、どんなチームか知らないけど、今度見かけたらインタビューさせてもらおうかなって思ってるよ。
君も情報早いねぇ、みんな今日からようやく騒いでるのに」
佐倉 光
「僕の友人が、見たって言うんです。
夜中に外を歩いていて、顔色の悪いゾンビみたいな人間が、人に抱きついているのを」
夜中に外を歩いていて、顔色の悪いゾンビみたいな人間が、人に抱きついているのを」
KP
「おお、見たんだそのシーン。いいなあ。
どうだった? 噛みついてた? 近くまで寄れた? 傷口よく見えた?」
どうだった? 噛みついてた? 近くまで寄れた? 傷口よく見えた?」
佐倉 光
「いえ、噛み付いたりはしていなかったって言っていました。
ただ抱きしめるだけだった。それだけで何か吸い取っていた」
ただ抱きしめるだけだった。それだけで何か吸い取っていた」
佐倉 光
「それから、多分ここにうつっている人に似た人たちが、同じようなことを言っているのは、僕も聞きました」
虚実混ぜて、今東京に静かに広がっている謎の病気とそれに冒されているらしい者達の言葉について簡単に説明する。
もちろん牧志がやられていることや、自分が吸われたことは言わない。
虚実混ぜて、今東京に静かに広がっている謎の病気とそれに冒されているらしい者達の言葉について簡単に説明する。
もちろん牧志がやられていることや、自分が吸われたことは言わない。
佐倉は「自分の友人が犠牲になった」ことを仄めかしたことは忘れている。
細かい情報を忘れてしまうのは置き卓あるあるである。
細かい情報を忘れてしまうのは置き卓あるあるである。
宇宙吸血鬼
佐倉 光
そういえば今回のニーオスさん、吸血はしないんだな。
KP
しないんですよね。
もともと完全体のニーオスさんは「吸血鬼」とは言われてるけど、やることは抱きしめて【POW】や【CON】を吸うことなのです。
あの時は不完全体だったせいでバグっていたみたい。
ちなみに今回もシナリオオリジナルの要素が入っているため、本来の記述とは行動のタイミングや効果が少し違います。
もともと完全体のニーオスさんは「吸血鬼」とは言われてるけど、やることは抱きしめて【POW】や【CON】を吸うことなのです。
あの時は不完全体だったせいでバグっていたみたい。
ちなみに今回もシナリオオリジナルの要素が入っているため、本来の記述とは行動のタイミングや効果が少し違います。
佐倉 光
なるほどー。なんで吸血鬼呼ばわりされてるんだろうなー。
KP
伝承上では精気を吸う夢魔・亡霊と血液を吸う吸血鬼の境目って結構薄かったりしますし、CoC界でも生命力を吸ういろんな種族に「吸血鬼」の名がついているようなので、そういうところなのかも?
佐倉 光
しぼむイコール血を吸われたと解釈するのは不思議じゃないですしねー
KP
ですねー。血イコール生命という解釈も不思議ではないし。
KP
「あー、聞いたことあるある。
救済真菌だっけ? パニックものとしてはいいけど、ああいう要素下手に入れるとストーリーがとっちらかるんだよね。
既存の噂に乗っかってやってるにしては行動が早いし、噂自体が作りなのかなぁ」
救済真菌だっけ? パニックものとしてはいいけど、ああいう要素下手に入れるとストーリーがとっちらかるんだよね。
既存の噂に乗っかってやってるにしては行動が早いし、噂自体が作りなのかなぁ」
佐倉 光
「イヴリィって知ってますか。この騒ぎのもとになっているとされるウイルスの噂」
例のチラシを出して見せてみる。
例のチラシを出して見せてみる。
佐倉 光
「それを見てからそいつ、東京で何かが起きているんじゃないのか、って不安がってるんです」
KP
「あー、本気にしちゃったんだ。
そういう所罪作りだよねぇ、こういうプロモーションって。
下手するとその子みたいにノイローゼっての? なっちゃう子も出てくるし。
表見た? 随分な騒ぎになっちゃってさ、もうほんとのゾンビパニックみたいだよ。
ゾンビ映画って好きなんだけど、本当になってみるとうるさいし退屈だよね」
彼はチラシを一瞥し、うんうん、と頷く。
そういう所罪作りだよねぇ、こういうプロモーションって。
下手するとその子みたいにノイローゼっての? なっちゃう子も出てくるし。
表見た? 随分な騒ぎになっちゃってさ、もうほんとのゾンビパニックみたいだよ。
ゾンビ映画って好きなんだけど、本当になってみるとうるさいし退屈だよね」
彼はチラシを一瞥し、うんうん、と頷く。
佐倉 光
この人は現実だとは思っていないんだな。
まあ目撃していなければただの荒唐無稽な話だし。
とはいえゾンビは見ているんだよなぁ。
さすがにあれを『現実ではない』と一蹴するのも別の方向で現実的じゃない気もするけどな。
まあ目撃していなければただの荒唐無稽な話だし。
とはいえゾンビは見ているんだよなぁ。
さすがにあれを『現実ではない』と一蹴するのも別の方向で現実的じゃない気もするけどな。
佐倉 光
「そういえば、変な音楽が聞こえるなんて話は聞いたことないですか?
ゾンビ騒ぎの頃からこれも友人が気にしていて」
ゾンビ騒ぎの頃からこれも友人が気にしていて」
KP
「音楽? いや、知らないなぁ。
聞こえるの? それとも、そういう噂?
生ける音の降臨するとき、旋律が死者を呼び起こす……ってのは、前作のイントロだけど」
聞こえるの? それとも、そういう噂?
生ける音の降臨するとき、旋律が死者を呼び起こす……ってのは、前作のイントロだけど」
佐倉 光
この監督自覚なく受信してんな
KP
その時、部屋の外から「監督ー」と呼ぶ声が聞こえる。
KP
「おっと。ちょっとごめんね」レイジはそう言って席を外す。
室内にはうたげとあなたが残される。
室内にはうたげとあなたが残される。
KP
「ね、ね、どんな役がいい? ぼくは助演がいいと思うな。
今やってんの煙草臭いオッサンでさ、そこにお兄さんが入ったら最高じゃない?」
うたげは相変わらず牧志をスルーしつつ、あなたに楽しそうに話しかけてくる。
今やってんの煙草臭いオッサンでさ、そこにお兄さんが入ったら最高じゃない?」
うたげは相変わらず牧志をスルーしつつ、あなたに楽しそうに話しかけてくる。
佐倉 光
「はは、僕は演技なんかできないよ。
せいぜいエキストラかな。
そっちのお兄さんは?
僕よりうまいかもしれないよ」
悪戯心で牧志に水を向けてみる。
せいぜいエキストラかな。
そっちのお兄さんは?
僕よりうまいかもしれないよ」
悪戯心で牧志に水を向けてみる。
牧志 浩太
「えっ?」
突然話を振られ、牧志は驚いて顔を上げる。
突然話を振られ、牧志は驚いて顔を上げる。
KP
「えー、だめだよ。そっちの人嘘つけない顔してるもん。
普通の顔だし」
うたげはくすくすと楽しそうに笑う。
普通の顔だし」
うたげはくすくすと楽しそうに笑う。
佐倉 光
「僕は嘘つきの顔をしているかな」
いやまあ、猫かぶってるのを嘘と言われればそうかも知れないけど。
これくらい人間普通にやってるものだろう? ペルソナーってやつだ。
いやまあ、猫かぶってるのを嘘と言われればそうかも知れないけど。
これくらい人間普通にやってるものだろう? ペルソナーってやつだ。
KP
「してるしてる。
なんなら、今だって嘘ついてる顔だよ」
なんなら、今だって嘘ついてる顔だよ」
佐倉 光
「うたげくんはゾンビとか、信じてる方?」
KP
「ないかなー。こういうのって人の夢だよね。
現実離れした、洒落になる怖さでキャーキャー言いたいっていうの。
真に受けてノイローゼになっちゃった友達? は気の毒だけど?
今回はすっごく本格的だけど、こういう売り込みってたまにあるしね」
現実離れした、洒落になる怖さでキャーキャー言いたいっていうの。
真に受けてノイローゼになっちゃった友達? は気の毒だけど?
今回はすっごく本格的だけど、こういう売り込みってたまにあるしね」
KP
そうやって話していると、〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 98 Sasa 1d100→ 42→成功
牧志 浩太
1d100 99 Sasa 1d100→ 59→成功
KP
二人とも気づいた。
ここには明かり取りの小窓があるのだが、その向こうに何か、橙色の煙のようなものが揺らめいている。
ここには明かり取りの小窓があるのだが、その向こうに何か、橙色の煙のようなものが揺らめいている。
佐倉 光
「ん? なんだあれ」
牧志に声を掛ける。
何か香ったりするかな。
牧志に声を掛ける。
何か香ったりするかな。
KP
それを目にした、直後だった。
「ちょっ、あっ、やめたまえ君、なにを!
あーーーーーーーーー!」
監督が出ていった表の方から、唯ならぬ絶叫が響いた。
その声はレイジの声だった。
「ちょっ、あっ、やめたまえ君、なにを!
あーーーーーーーーー!」
監督が出ていった表の方から、唯ならぬ絶叫が響いた。
その声はレイジの声だった。
牧志 浩太
「何だ!?」
KP
牧志は即座に立ち、うたげも思わず立ち上がる。
佐倉 光
なんだ!?
小窓から外が見えないようなら扉を開ける。
小窓から外が見えないようなら扉を開ける。
佐倉 光
昼間っからゾンビパニッククルー!?
そうなると牧志が心配。
そうなると牧志が心配。
KP
扉を開けると、そこにあったのは惨状と言える状況だった。
稗田レイジが、いた。いや、床に落ちていた。
稗田は体中からあらゆる体液を抜かれたような、干からびた姿で絶命していた。
死んで、いた。
牧志のように蘇る様子も、立ち上がる様子もなかった。
同時に、あちらこちらから悲鳴が上がった。
あなた達は、見てしまう。
表を埋めていた野次馬の間で、スタジオのそこかしこで、人が人を抱きしめる所を。
その腕の中で、抱きしめられた人が、先ほどの稗田と同じように干からびてゆく所を。
二人とも《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D6》。
稗田レイジが、いた。いや、床に落ちていた。
稗田は体中からあらゆる体液を抜かれたような、干からびた姿で絶命していた。
死んで、いた。
牧志のように蘇る様子も、立ち上がる様子もなかった。
同時に、あちらこちらから悲鳴が上がった。
あなた達は、見てしまう。
表を埋めていた野次馬の間で、スタジオのそこかしこで、人が人を抱きしめる所を。
その腕の中で、抱きしめられた人が、先ほどの稗田と同じように干からびてゆく所を。
二人とも《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D6》。
佐倉 光
1d100 22 Sasa 1d100→ 74→失敗
1d6 Sasa 1d6→3
SAN 22 → 19
1d6 Sasa 1d6→3
SAN 22 → 19
KP
あなたは思うだろう。
今は昼間だ。
何か、あなたすら知らない事が起きている。
それともあなたが、神の知識を引き出しきれていない、それとも何か間違えているのか?
何が、起きている?
今は昼間だ。
何か、あなたすら知らない事が起きている。
それともあなたが、神の知識を引き出しきれていない、それとも何か間違えているのか?
何が、起きている?
KP
昼間からゾンビパニックでした。
牧志 浩太
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
🎲 Secret Dice 🎲
🎲 Secret Dice 🎲
佐倉 光
仲間を増やさずに殺している?
しかもこんな時間に?
反射的に牧志の様子を見る。
彼は正気か? 干からびたりしていないか?
また、さっきの窓から煙は入ってきそうか?
しかもこんな時間に?
反射的に牧志の様子を見る。
彼は正気か? 干からびたりしていないか?
また、さっきの窓から煙は入ってきそうか?
KP
窓から煙こそ入ってこないが、辺りは瞬く間に混乱と悲鳴に包まれる。
牧志 浩太
「くそ、こんな時に、笛の音が」
牧志は目を閉じて、苦しげに頭を揺する。
干からびていく様子はなさそうだが……。
牧志は目を閉じて、苦しげに頭を揺する。
干からびていく様子はなさそうだが……。
KP
「二人とも何やってんの! こっち! 早く!」
騒ぎが起きているのとは反対側へ、うたげがあなたの手を引く。
騒ぎが起きているのとは反対側へ、うたげがあなたの手を引く。
佐倉 光
お、この部屋まだ奥があるのか。
佐倉 光
「牧志、こっちだ!」
牧志の手を引いてうたげに続く。
牧志の手を引いてうたげに続く。
牧志 浩太
「あ……、ああ!」
KP
あなた達が動き出したのに気づいた人間達が、あの夜の牧志と同じぼんやりとした目でこちらを向き──
次の瞬間、室内へと雪崩れ込んできた!
次の瞬間、室内へと雪崩れ込んできた!
KP
二人とも、ゾンビの【DEX】8との対抗判定!
うたげは処理省略。
うたげは処理省略。
佐倉 光
あっ。ドア閉める宣言忘れてーら。
暴動を抑えるときに使うようなでかい盾呼び出して、それで押し返しながらドア閉めたい!
対抗判定か。
差が11だからこちらは判定値プラス55で105!
判定は必要?
暴動を抑えるときに使うようなでかい盾呼び出して、それで押し返しながらドア閉めたい!
対抗判定か。
差が11だからこちらは判定値プラス55で105!
判定は必要?
KP
おっと、自動成功か。なら判定は不要だ。
牧志だけ判定することになる。
盾は神の力で呼び出す?
呼び出すなら正気度 1d3を消費。
牧志だけ判定することになる。
盾は神の力で呼び出す?
呼び出すなら正気度 1d3を消費。
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→3
SAN 22→19
あっ再度不定域。
というか22の時点で不定域だった。
SAN 22→19
あっ再度不定域。
というか22の時点で不定域だった。
佐倉 光
うーん、再度神格と遭遇したら吹き飛ぶぞこれぇー
KP
なかなかギリッギリですねぇ……。
佐倉さんは神になってしまうのか。
佐倉さんは神になってしまうのか。
牧志 浩太
1d100 50 牧志の対抗判定 Sasa 1d100→ 79→失敗
牧志 浩太
「うわぁっ……!?」
牧志が一歩出遅れる!
あなたは盾を呼び出して扉を閉めようとするが、彼らの一人が牧志の服を掴んだ!
あなたは【【STR】】×5で判定!
成功すれば盾で押し返し、牧志からそいつを引き離しながら扉を閉めることができる。
不定については、再度
「一時的に人間の感覚をひとつ失い、その代わりに超常の感覚を得る」
とする。
牧志が一歩出遅れる!
あなたは盾を呼び出して扉を閉めようとするが、彼らの一人が牧志の服を掴んだ!
あなたは【【STR】】×5で判定!
成功すれば盾で押し返し、牧志からそいつを引き離しながら扉を閉めることができる。
不定については、再度
「一時的に人間の感覚をひとつ失い、その代わりに超常の感覚を得る」
とする。
佐倉 光
1d100 60 押し返せ! Sasa 1d100→ 50→成功
佐倉 光
よしよし、正気度 犠牲にした価値があったぞ。
佐倉 光
扉に押し寄せるゾンビを目にした瞬間、目の前に盾があった。そこにあれ、と望んだからあったのだ。
深く考えることなく盾を全身で押す。扉のすき間を埋めるように盾を押し付ける。
深く考えることなく盾を全身で押す。扉のすき間を埋めるように盾を押し付ける。
佐倉 光
耳にはゾンビの声と、なんとも形容しがたい笛の音が漏れ聞こえた。
KP
あなたは大きな盾で迫り来る彼らを押し返し、一気に扉を閉じる!
ぴったりと押しつけた盾の向こうから、がんがんと扉を叩く音と、聞き取りがたい声がひっきりなしに聞こえている。
扉にかかる圧力が腕に感じられた。
ぴったりと押しつけた盾の向こうから、がんがんと扉を叩く音と、聞き取りがたい声がひっきりなしに聞こえている。
扉にかかる圧力が腕に感じられた。
KP
「っへ……、えっお兄さん、それどこから出したの?」
あなたの「当然の行動」を目の前にしたうたげが目を白黒させた。
あなたの「当然の行動」を目の前にしたうたげが目を白黒させた。
佐倉 光
「手品だよ」
さらっと答える。
『嘘つき』らしいだろ?
さらっと答える。
『嘘つき』らしいだろ?
KP
ひとまず扉を閉めることはできた。
しかし、向こうから聞こえる声が、気配が、少しずつ膨れ上がるのが感じられる。
しかし、向こうから聞こえる声が、気配が、少しずつ膨れ上がるのが感じられる。
佐倉 光
鍵を閉めることはできるかな。できないようなら何かつっかえ棒でも噛ませよう。
背中で扉を押しながら、奥側に行けそうなところがあるか見る。
部屋の隅に追い詰められちゃかなわないからな。
背中で扉を押しながら、奥側に行けそうなところがあるか見る。
部屋の隅に追い詰められちゃかなわないからな。
佐倉 光
門を作って逃げられるほどの正気度 はーもうないぞー!
この現象について、オレンジの煙について、思い当たることはあるかな。
人間として得た知識の範囲にそういったものはあっただろうか。
あんまり期待は持てないけどなぁ……
この現象について、オレンジの煙について、思い当たることはあるかな。
人間として得た知識の範囲にそういったものはあっただろうか。
あんまり期待は持てないけどなぁ……
KP
先程思い出した内容と照らし合わせると、あなたは犠牲者から遊離したニーオス・コルガイが橙色の靄のように見えるのだ、ということを思い出す。
しかし白昼堂々、人が集まった所を狙うかのように、こうも爆発的に増えるのは奇妙な現象だ。
もしや、此度のニーオス・コルガイはただの現象として感染しているのではなく、何かの意図をもってこの現象を引き起こしているのだろうか?
この、趣味の悪いゾンビパニックのような現象を?
しかし白昼堂々、人が集まった所を狙うかのように、こうも爆発的に増えるのは奇妙な現象だ。
もしや、此度のニーオス・コルガイはただの現象として感染しているのではなく、何かの意図をもってこの現象を引き起こしているのだろうか?
この、趣味の悪いゾンビパニックのような現象を?
KP
おっと、説明不足だ。失礼しました。
ここには監督が出ていった扉の他に、裏口方面へ向かう扉(もと入ってきた扉)がもう一つあり、うたげはあなた達の手を引いてそちらへ逃げようとしている。
あなたが扉を閉めたことで、落ち着いて逃げることができそうだ。
説明不足がありましたが、盾を呼んで押し返したことは無駄ではありません。
牧志が【DEX】対抗失敗しているので。
(失敗すると牧志がゾンビの群れに引っ張りこまれそうになり、牧志を見捨てないなら戦闘が発生するところだった)
ここには監督が出ていった扉の他に、裏口方面へ向かう扉(もと入ってきた扉)がもう一つあり、うたげはあなた達の手を引いてそちらへ逃げようとしている。
あなたが扉を閉めたことで、落ち着いて逃げることができそうだ。
説明不足がありましたが、盾を呼んで押し返したことは無駄ではありません。
牧志が【DEX】対抗失敗しているので。
(失敗すると牧志がゾンビの群れに引っ張りこまれそうになり、牧志を見捨てないなら戦闘が発生するところだった)
佐倉 光
見捨てるってさらっと言われてる!
ロストがここそこに転がってるなぁ。
ロストがここそこに転がってるなぁ。
佐倉 光
なるほど。では盾は担いでついていこう。
外がこんな感じじゃ必要かも知れない。
牧志の様子は大丈夫そうなのかな。
外がこんな感じじゃ必要かも知れない。
牧志の様子は大丈夫そうなのかな。
牧志 浩太
「ごめん、大丈夫だ。行こう」
牧志は現状、動けそうではある。
時折、耳元の何かを振り払うように、苦しげに頭を振る。
牧志は現状、動けそうではある。
時折、耳元の何かを振り払うように、苦しげに頭を振る。
佐倉 光
牧志を苦しめているのは例の『音』か。
KP
うたげに手を引かれて辿り着いた先は、先程のものとは別の裏口だ。
先程のそれは関係者入り口のような場所だったが、こちらは小規模な搬入口だ。
こちらにはまだ、人の姿はないように見える。
先程のそれは関係者入り口のような場所だったが、こちらは小規模な搬入口だ。
こちらにはまだ、人の姿はないように見える。
佐倉 光
外の様子は窓なりなんなりから見えそうかな。
外に人気がないようなら盾をかざして身を隠しながら外に出る。
外に人気がないようなら盾をかざして身を隠しながら外に出る。
KP
裏口の周辺には今の所、まだ人気がない。
裏口の横に、ワインレッドのセダンが横付けされているのが見えた。
その車体を見たとき、うたげが「照野さん!」と叫ぶ。
裏口の横に、ワインレッドのセダンが横付けされているのが見えた。
その車体を見たとき、うたげが「照野さん!」と叫ぶ。
KP
「照野さんの車だ!
ぼくのマネージャーだよ、きっと迎えに来てくれたんだ」
ぼくのマネージャーだよ、きっと迎えに来てくれたんだ」
佐倉 光
「ここから離れたところまで移動するだけでもいいんだ、一緒に乗せてもらえないかな」
うたげくんに頼んでみよう。
うたげくんに頼んでみよう。
KP
「うん!」
うたげは頷いて、様子を見ながら裏口の扉を開く。
うたげは頷いて、様子を見ながら裏口の扉を開く。
KP
辺りの様子はがらりと変わっていた。
何処からともなく、誰かの悲鳴が聞こえる。
息を切らせて逃げ惑う人の姿がある。
ぼんやりとした目の干からびた人間が、何人も何人も辺りを歩き回っているのが見える。
先程見たのと同じ方向にあの、橙色の煙が棚引くのが見える。
いつもの静けさを纏っていた街はいまや、恐怖と混乱の舞台へと変わっていた。
ここにはまだ人の姿はない。
だが、表の人々がこちらへ回ってくるのも、遠くを歩き回る人々がこちらへ来るのも時間の問題と思われた。
何処からともなく、誰かの悲鳴が聞こえる。
息を切らせて逃げ惑う人の姿がある。
ぼんやりとした目の干からびた人間が、何人も何人も辺りを歩き回っているのが見える。
先程見たのと同じ方向にあの、橙色の煙が棚引くのが見える。
いつもの静けさを纏っていた街はいまや、恐怖と混乱の舞台へと変わっていた。
ここにはまだ人の姿はない。
だが、表の人々がこちらへ回ってくるのも、遠くを歩き回る人々がこちらへ来るのも時間の問題と思われた。
KP
先程の車から、「乗って!」という声が聞こえた。
車が扉を開き、スーツに身を包んだ女性がうたげに手を伸ばす。
車が扉を開き、スーツに身を包んだ女性がうたげに手を伸ばす。
KP
「照野さん!」とうたげが叫ぶ。
KP
「よかった、無事だったのね。その人達は?」
KP
「お願い、一緒に乗せて。ぼくと一緒に巻き込まれたんだ。表はもう大変なことになってる」
KP
うたげの言葉を聞くと、彼女は車の中から頷いたようだった。
「ええ、勿論。お二人とも、急いで。すぐに出すわ」
「ええ、勿論。お二人とも、急いで。すぐに出すわ」
佐倉 光
牧志のことは一瞬気になった。
しかし、もし何かあったら俺を食わせれば……
しかし、もし何かあったら俺を食わせれば……
佐倉 光
「お願いします!」
お言葉に甘えて車に乗り込む。
お言葉に甘えて車に乗り込む。
牧志 浩太
一瞬、牧志は躊躇った。
あなたと同じことを考えたのかもしれない。
しかし、周囲からは虚ろな声と気配が迫りつつある。
あなたから一拍遅れて、彼も車に乗り込む。
全員乗り込んだのを確認して、彼は車の扉を閉めた。
同時に照野が車を発進させる。
あなたと同じことを考えたのかもしれない。
しかし、周囲からは虚ろな声と気配が迫りつつある。
あなたから一拍遅れて、彼も車に乗り込む。
全員乗り込んだのを確認して、彼は車の扉を閉めた。
同時に照野が車を発進させる。
KP
「聞いているかしら。私はうたげのマネージャーで、照野といいます」
佐倉 光
「ありがとうございます、僕は只野といいます」
照野に礼を言う。
照野に礼を言う。
牧志 浩太
「彼の友人の牧志です。
ありがとうございました、……おかげさまで、助かりました」
ありがとうございました、……おかげさまで、助かりました」
KP
「うたげのことを見ていてくれてありがとう。
その様子だと、監督は……」
彼女は少し、口ごもる。
その様子だと、監督は……」
彼女は少し、口ごもる。
佐倉 光
「はい、残念ながら、あいつらの犠牲に……気付いたときにはもう手遅れだった」
牧志 浩太
先程の光景を思い出したのか、牧志は僅かに目を伏せた。
KP
「そう……。
この辺は酷いものよ。警察にも連絡がつかなくなってる。
私の古い友人が、真菌とゾンビの噂について調査を始めていたの。
そちらへ回ってから、私の自宅でうたげを匿うつもりだった」
この辺は酷いものよ。警察にも連絡がつかなくなってる。
私の古い友人が、真菌とゾンビの噂について調査を始めていたの。
そちらへ回ってから、私の自宅でうたげを匿うつもりだった」
KP
「あ……、ああ……、」
うたげは緊張が解けたのか、先程の様子が嘘のように、震えながらシートの上で身体を抱え込んだ。
うたげは緊張が解けたのか、先程の様子が嘘のように、震えながらシートの上で身体を抱え込んだ。
KP
「なに、あれ。ゾンビなんているわけないじゃん。
パフォーマンス? リアルすぎない? 何あれ……」
パフォーマンス? リアルすぎない? 何あれ……」
佐倉 光
「荒唐無稽に思えても、本当のことってのはあるんだ、意外とね……」
うたげ君に声をかけよう。
うたげ君に声をかけよう。
KP
「……」
うたげは言い返さなかった。あなたの言葉を拒絶するように、背を丸める。
うたげは言い返さなかった。あなたの言葉を拒絶するように、背を丸める。
佐倉 光
「真菌とゾンビ? その人のところに連れて行ってもらえませんか?
僕たちも、そいつらについて調べているんです!」
僕たちも、そいつらについて調べているんです!」
KP
「ええ、勿論よ。うたげと一緒にいてくれて、うたげを守ってくれて、感謝しているの。
……うたげの両親にも、事務所にも連絡がつかなかったから」
……うたげの両親にも、事務所にも連絡がつかなかったから」
KP
「……両親?」ぴくりと、うずくまっていたうたげが顔を上げる。
「連絡がつかないって……、ほんと?」
「連絡がつかないって……、ほんと?」
KP
「…………ええ。何度も連絡しているのだけど、一度も」
KP
「…………嘘でしょ。忙しいだけだよね、ぼくが電話しても、いつも出てくれないもん」
KP
「ねえ……」
彼はかわいらしいデザインのカバーに包まれたスマートフォンを取り出し、数度コールする。
返事はない。そんな行動を何度も繰り返していた。
彼はかわいらしいデザインのカバーに包まれたスマートフォンを取り出し、数度コールする。
返事はない。そんな行動を何度も繰り返していた。
佐倉 光
うなだれる少年にはかけられる言葉もない。
牧志 浩太
「……あの一瞬で、随分広がってるんだな。
もう……、そんなに……」
もう……、そんなに……」
佐倉 光
「くそ、何が起きてる。俺が知っているヤツと違う。
何者かの意図を感じるぞ」
何者かの意図を感じるぞ」
牧志 浩太
「ああ……、思ってたんだ。
倍々に広がったとしても、こんなに増えるはずがない。
あの野次馬たちだって、来た時は普通だった」
うなだれる少年の様子を見て躊躇いながらも、牧志は小声で口にする。
倍々に広がったとしても、こんなに増えるはずがない。
あの野次馬たちだって、来た時は普通だった」
うなだれる少年の様子を見て躊躇いながらも、牧志は小声で口にする。
牧志 浩太
「昨日の時点で、見かけられてる分よりも、本当はたくさんいたのか。
それとも……、あの時に一気に増えたか、目覚めたっていうのか。
あの時、何か変な煙が見えたよな。外に」
それとも……、あの時に一気に増えたか、目覚めたっていうのか。
あの時、何か変な煙が見えたよな。外に」
佐倉 光
「ああ、あの煙、人間の外に出ているニーオス・コルガイだ。
しかしあんなやり方は聞いたこともない。直接空気感染でもしたっていうのか」
こちらも小声だ。
しかしあんなやり方は聞いたこともない。直接空気感染でもしたっていうのか」
こちらも小声だ。
牧志 浩太
「さ……、只野さんが知ってる以上のことが、起きてるっていうんだな」
KP
干からびた人間と逃げ惑う人々が、渋谷の街中に溢れている。
走る車の姿を見かけてこちらへ走ってくる人もいたが、彼女は速度を緩めることはなかった。
渋谷の中心部を抜けると、この一帯から逃げ出そうとする車で渋滞ができている。
彼女はそれを尻目に、裏道を使ってすり抜けていく。
走る車の姿を見かけてこちらへ走ってくる人もいたが、彼女は速度を緩めることはなかった。
渋谷の中心部を抜けると、この一帯から逃げ出そうとする車で渋滞ができている。
彼女はそれを尻目に、裏道を使ってすり抜けていく。
佐倉 光
「まるでパニック映画の世界だな……」
親玉を殺すと全員が死ぬ、だって?
親玉を殺すと全員が死ぬ、だって?
牧志 浩太
「ああ……」
またひとり人が干からびた人間に捕まるのを見て、牧志は小さく目を伏せた。
またひとり人が干からびた人間に捕まるのを見て、牧志は小さく目を伏せた。
佐倉 光
うたげくんから住所など聞けて、ネットワークがまだ動くようなら家の様子を見てやりたいが……
KP
ネットワークはまだ動く。
うたげは一瞬躊躇うが、外の様子を僅かに顔を上げて見ると、住所を話す。
うたげは一瞬躊躇うが、外の様子を僅かに顔を上げて見ると、住所を話す。
佐倉 光
一応周辺の様子をカメラ越しに確認してみるが、望みがなさそうなら「無理だった」と伝えよう。
KP
……家の玄関の前に、干からびた人間がふたり、倒れているのが見えた。
そして、そのふたりの人間が、干からびたまま緩やかに立ち上がるのが。
そして、そのふたりの人間が、干からびたまま緩やかに立ち上がるのが。
佐倉 光
「ごめん、そのへんのカメラはもう切断されちゃっているみたいだ」
彼らがうたげの両親なのかどうかは分からない。
だがいずれにせよ教えてやっても良いことはないだろう。
彼らがうたげの両親なのかどうかは分からない。
だがいずれにせよ教えてやっても良いことはないだろう。
佐倉 光
ゾンビ化した人間が好き勝手感染を広げているというより人間を手当たり次第に吸っている状況で、
同じ存在になってしまったはずの牧志はどうして正気を保っているんだろう?
同じ存在になってしまったはずの牧志はどうして正気を保っているんだろう?
牧志 浩太
カメラの映像から顔を上げて牧志の方を見ると、彼は苦しげに頭を振っていた。
苦しげな表情から、ふっと何かに聞き惚れるかのように力が抜け……、一瞬後にそれに気づいて、また眉間に皺を寄せる。
苦しげな表情から、ふっと何かに聞き惚れるかのように力が抜け……、一瞬後にそれに気づいて、また眉間に皺を寄せる。
佐倉 光
この騒動についての情報がないか、おそらく恐慌に満ちているネットのなかを探る。
この現象はここでだけ起きているのだろうか。
この現象はここでだけ起きているのだろうか。
KP
ネットの中はすっかり混乱状態だ。
恐慌と助けを求める声が溢れ出し、この騒動が渋谷界隈から東京中心部全体へと、急速に広がりつつあるのが分かる。
周囲から警察が出動を始めているようだが、にもかかわらず沈静化の気配はない。
恐慌と助けを求める声が溢れ出し、この騒動が渋谷界隈から東京中心部全体へと、急速に広がりつつあるのが分かる。
周囲から警察が出動を始めているようだが、にもかかわらず沈静化の気配はない。
佐倉 光
牧志も、ゾンビ化することがなくとも危険だ。
だがどちらも今のところどうしようもない。
俺は神なんじゃないのか。
神は何でもできるんじゃないのかよ!
だがどちらも今のところどうしようもない。
俺は神なんじゃないのか。
神は何でもできるんじゃないのかよ!
KP
車は街路を走り、ある家の前に着く。
そこには「皆方探偵事務所」と小さな看板が出ていた。
そこには「皆方探偵事務所」と小さな看板が出ていた。
佐倉 光
探偵さんか。
この周囲にゾンビはいるだろうか?
この周囲にゾンビはいるだろうか?
KP
周囲にはゾンビがうろついているが、渋谷中心部に比べると数は少ない。
彼女は家の前に車を横付けし、車に乗ったままスマートフォンを取って連絡を入れる。
彼女は家の前に車を横付けし、車に乗ったままスマートフォンを取って連絡を入れる。
KP
家の扉が僅かに開き、所長らしい人が姿を見せた。
体は干からびてはおらず、その眼にはしっかりとした意思の光がある。
体は干からびてはおらず、その眼にはしっかりとした意思の光がある。
KP
「よく来てくれた、無事で何よりだ。そちらの方は?」
佐倉 光
「僕は只野、こっちは友人の牧志です、はじめまして。
照野さんたちに助けていただきました。
わけあって、この騒ぎについて調べています」
挨拶をしつつ、自分たちについて少し説明する。
必要なら悪魔使いだってことも明かすべきだろうな。
照野さんたちに助けていただきました。
わけあって、この騒ぎについて調べています」
挨拶をしつつ、自分たちについて少し説明する。
必要なら悪魔使いだってことも明かすべきだろうな。
牧志 浩太
「……、初めまして、牧志です」
どこか聞き取りづらそうにしながら、牧志は軽く会釈する。
どこか聞き取りづらそうにしながら、牧志は軽く会釈する。
KP
「ぼくのこと……、助けてくれたんだよ」
うたげは顔を上げ、か細い声で言った。
うたげは顔を上げ、か細い声で言った。
佐倉 光
「うたげくんが入れてくれなかったら、僕たちも外であいつらの仲間になっていたさ。
君も僕たちの恩人なんだよ」
君も僕たちの恩人なんだよ」
KP
「そっか……、そうだね。へへ、ありがと、優しいね」
うたげの目元には涙が滲んでいた。
うたげの目元には涙が滲んでいた。
佐倉 光
うたげを見ていると、ほんの少し前に別れたシローのことを思い出した。無事だろうか……。
KP
「そうか、うたげくんを……、ありがとう、感謝する。
この騒ぎについて、だったね。少し待ってくれ」
彼は一度扉を閉めると、資料をいくつか家の中から持ち出してきた。
この騒ぎについて、だったね。少し待ってくれ」
彼は一度扉を閉めると、資料をいくつか家の中から持ち出してきた。
KP
「そちらで話そう」
彼は家の扉をしっかりと施錠し、照野の車の助手席に乗り込んだ。
彼は家の扉をしっかりと施錠し、照野の車の助手席に乗り込んだ。
KP
「まず、今朝から見られている症状の特徴。
襲われて死体……、死体としか思えない状態となった人間は、少しの時間の後、萎びた状態のまま立ち上がり、周囲の人間を襲う。
昨日までのゾンビ騒ぎは、これと同じ現象と思われる。
ただ、昨日の一件について独自に調査した所、萎びた状態から、通常の人間と全く見分けのつかない状態にまで復元した……、という事態が確認された。
これは、今起きている現象と異なる」
うたげの様子を少し気にしながら、所長は話を始めた。
襲われて死体……、死体としか思えない状態となった人間は、少しの時間の後、萎びた状態のまま立ち上がり、周囲の人間を襲う。
昨日までのゾンビ騒ぎは、これと同じ現象と思われる。
ただ、昨日の一件について独自に調査した所、萎びた状態から、通常の人間と全く見分けのつかない状態にまで復元した……、という事態が確認された。
これは、今起きている現象と異なる」
うたげの様子を少し気にしながら、所長は話を始めた。
KP
「おっと、すまない。皆方探偵事務所所長、皆方伊織だ。よろしく頼む」
KP
ちなみにこの所長ファーストネームがシナリオになく、ファーストネームはこちらで決めたものです。
佐倉 光
はーい
佐倉 光
「よろしくお願いします。
ああ、戻る方になら心当たりがあるんです……
だけどそっちはこんなに急激に犠牲者が増えるようなものじゃない。
知りたいのは今起きているものの方なんだ」
ああ、戻る方になら心当たりがあるんです……
だけどそっちはこんなに急激に犠牲者が増えるようなものじゃない。
知りたいのは今起きているものの方なんだ」
KP
彼は僅かに目を伏せた。
「今起きている出来事について、きっと君が求めるような事は分かっていないんだ。
分かっているのは、肉体を損壊しても構わず彼らは向かってくるらしいこと……、また、事件直前に橙色の煙が目撃されていたこと。
彼らの何割かが、この図書館に向かうような動きを見せていること。その程度だ」
彼は印のついた地図を広げる。
網目状── 太陽のようにも見える放射状の印の中心にあったのは、先日『世界の吸血鬼事典』を見に行った、あの図書館だ。
“ミスライムのカタコンベ”と書かれた落書きを見た、あの図書館。
「今起きている出来事について、きっと君が求めるような事は分かっていないんだ。
分かっているのは、肉体を損壊しても構わず彼らは向かってくるらしいこと……、また、事件直前に橙色の煙が目撃されていたこと。
彼らの何割かが、この図書館に向かうような動きを見せていること。その程度だ」
彼は印のついた地図を広げる。
網目状── 太陽のようにも見える放射状の印の中心にあったのは、先日『世界の吸血鬼事典』を見に行った、あの図書館だ。
“ミスライムのカタコンベ”と書かれた落書きを見た、あの図書館。
KP
「それから……、
火葬場で、襲われた人間が蘇る前に火葬しているらしいと聞いた。
火葬で本当に蘇らなくなるのかが分からないし、この速度に対してはあまりに無力だ。
だが、対処法の手掛かりにはなるだろう」
火葬場で、襲われた人間が蘇る前に火葬しているらしいと聞いた。
火葬で本当に蘇らなくなるのかが分からないし、この速度に対してはあまりに無力だ。
だが、対処法の手掛かりにはなるだろう」
KP
「死んでいるのではなく、病の症状だとすれば是非もあるが……、今は、その是非を議論している場合じゃない」
牧志 浩太
「あの図書館に戻ってきたな。
それから、火葬場だって?
そうか、諸共燃やしたら、どうなるんだ……?」
牧志は考えが纏まりづらくなっているようで、微かに呻きながら、辛うじてそう呟く。
それから、火葬場だって?
そうか、諸共燃やしたら、どうなるんだ……?」
牧志は考えが纏まりづらくなっているようで、微かに呻きながら、辛うじてそう呟く。
牧志 浩太
「俺達、いくつか分かったことがあるんです。
でも、いま起きてることの役に立つどうか分からない」
そして、話してもいいか、とあなたを見て確認を取る。
銃のことと親玉のことについて、話すつもりのようだ。
図書館の『門』のことを話すかどうか、少し迷っている。
でも、いま起きてることの役に立つどうか分からない」
そして、話してもいいか、とあなたを見て確認を取る。
銃のことと親玉のことについて、話すつもりのようだ。
図書館の『門』のことを話すかどうか、少し迷っている。
佐倉 光
そうだな、今は色々ぶっちゃけるべきだと思う。
牧志に話そうと頷く。
牧志に話そうと頷く。
牧志 浩太
牧志は緩く頷き、話しだす。
牧志 浩太
「まず、あいつは、橙色の煙みたいな姿をした、寄生生物です。
あいつには、銃が効きます。
鉛の物質を鳩尾の……、ここ、太陽神経叢の位置に撃ち込めば、あいつは死ぬ。
とりつかれた人も、一緒に死んでしまう、けど。
でも、さ……、只野さんが言ってたように、こんなに急に広がるなんてこと、ないんだ。
あの煙がそいつで、触った人に広がったとか、そんなことでも、なければ」
その次の内容を口にする時、牧志は少し俯いて、一瞬だけ外の様子に視線を移した。
しかし躊躇うことはなかった。
あいつには、銃が効きます。
鉛の物質を鳩尾の……、ここ、太陽神経叢の位置に撃ち込めば、あいつは死ぬ。
とりつかれた人も、一緒に死んでしまう、けど。
でも、さ……、只野さんが言ってたように、こんなに急に広がるなんてこと、ないんだ。
あの煙がそいつで、触った人に広がったとか、そんなことでも、なければ」
その次の内容を口にする時、牧志は少し俯いて、一瞬だけ外の様子に視線を移した。
しかし躊躇うことはなかった。
牧志 浩太
「それから、この事件には解決策がひとつ……、ある。
どこかに、こいつの本体が……、いる。
親玉を見つけて、そいつに銃弾を撃ち込めば、感染者はみんな死んで……、でも、それで終わる」
どこかに、こいつの本体が……、いる。
親玉を見つけて、そいつに銃弾を撃ち込めば、感染者はみんな死んで……、でも、それで終わる」
佐倉 光
「そいつには遭遇したことがあるから、殺せば終わるのは確実、知っているんだ」
佐倉 光
「だけど、僕……は、感染者を救う方法を探しているんです。
親玉を見つけて殺すためにも、親玉に何か働きかけることで感染者が救われる方法を探す意味でも、とにかく情報が欲しい」
親玉を見つけて殺すためにも、親玉に何か働きかけることで感染者が救われる方法を探す意味でも、とにかく情報が欲しい」
佐倉 光
「感染者が双子の神のことを語り始める、ということが何度かあったんです。
何か心当たりはありませんか」
何か心当たりはありませんか」
KP
二人は目を見開き、言葉を失い、唇を震わせていた。
うずくまっていたうたげでさえ、驚いて顔を上げていた。
時間の凍った沈黙を、先に破ったのは皆方所長の方だった。
うずくまっていたうたげでさえ、驚いて顔を上げていた。
時間の凍った沈黙を、先に破ったのは皆方所長の方だった。
KP
「君達は……、対峙して殺したことが、あるというのか。
銃弾なら効くだって? 親玉を殺せば……、それで終わるだって?」
銃弾なら効くだって? 親玉を殺せば……、それで終わるだって?」
KP
「何てこと、それなら早く親玉を見つけないと。
このまま増えていったら捕捉不能になる。この周囲で収まっているうちに、早く。
見分ける手段はあるの? ないなら警察から銃をかき集めて、少しでも数を減らしていかないと」
照野は腰を浮かせた。車の始動ボタンに手を伸ばそうとする。
このまま増えていったら捕捉不能になる。この周囲で収まっているうちに、早く。
見分ける手段はあるの? ないなら警察から銃をかき集めて、少しでも数を減らしていかないと」
照野は腰を浮かせた。車の始動ボタンに手を伸ばそうとする。
KP
「待ってくれ、彼は感染者を救いたいと……それに、終えられたとしても、感染者は全員死ぬんだろう。
それなら、君の父だって」
それなら、君の父だって」
KP
「分かってる! 父ならきっと、私のことは構わずに人を救えって言うわ!
だって……、父は! 父は、警察だもの!」
照野は冷静さを失い、うたげと皆方がいるのにも構わずに車を発進させようとする。
だって……、父は! 父は、警察だもの!」
照野は冷静さを失い、うたげと皆方がいるのにも構わずに車を発進させようとする。
牧志 浩太
「駄目だ、うたげく……、っ、う」
牧志は止めようと声を発しかけて、耳を押さえて呻く。
牧志は止めようと声を発しかけて、耳を押さえて呻く。
佐倉 光
「だから落ち着いて情報を探りたいと言っているんだ!
僕たちが今やるべきは感染者を見境なく殺すことじゃない、
まずは親玉を見つけることなんだよ!」
僕たちが今やるべきは感染者を見境なく殺すことじゃない、
まずは親玉を見つけることなんだよ!」
佐倉 光
くそ、話のレベルを上げすぎた。
当然こうなることを予想すべきだったんだ!
当然こうなることを予想すべきだったんだ!
佐倉 光
「ゾンビと戦おうとするなんて馬鹿げている。
破壊しても再生して襲ってくる相手に正面から立ち向かうつもりなのか」
破壊しても再生して襲ってくる相手に正面から立ち向かうつもりなのか」
佐倉 光
「協力をしてくれないなら俺は降りる。
そんな意味のないヒステリーに付き合う気はない」
そんな意味のないヒステリーに付き合う気はない」
佐倉 光
こんなときに使うのが〈言いくるめ〉か《魅惑》でござるかぁー
とりあえずこちらは冷静にゆっくり話すことを心がけて、もし話の結果「一時的狂気」になっているようなら〈精神分析〉するが!?
とりあえずこちらは冷静にゆっくり話すことを心がけて、もし話の結果「一時的狂気」になっているようなら〈精神分析〉するが!?
KP
「彼の言う通りだ。
感染者はもう十分に増えてしまっている。
迎え撃とうとして被害に遭う可能性の方が高い。
それに、『親玉』が感染者の中にいるかどうかも分からない」
あなたが説得するなら、皆方が援護してくれるため、ロールは不要だ。
照野は何度か肩を上下させて息をし、シートに腰を落とした。
感染者はもう十分に増えてしまっている。
迎え撃とうとして被害に遭う可能性の方が高い。
それに、『親玉』が感染者の中にいるかどうかも分からない」
あなたが説得するなら、皆方が援護してくれるため、ロールは不要だ。
照野は何度か肩を上下させて息をし、シートに腰を落とした。
KP
「ごめんなさい、冷静さを失っていたわね……、うたげくんもいるのに、忘れていたわ」
KP
「そうだよ、ぼくを匿ってくれる……、んでしょ」
うたげは座り込んだまま、ぽつりと言った。
うたげは座り込んだまま、ぽつりと言った。
佐倉 光
「犠牲者全員殺して生き残ろうとするより、みんなで幸せになる方法考える方がやる気出るっしょ?」
KP
「やる気か、そうだな。僕達は状況に呑まれていた。
最初から絶望的なつもりで事に当たるのは、得策ではないな」
皆方はそう頷く。
最初から絶望的なつもりで事に当たるのは、得策ではないな」
皆方はそう頷く。
KP
「双子の神だったか……、僕も、少しは聞いたことがある。
真菌を神と崇め、“ととさまがせかいをすくう” と触れ回る人間がいるとね。
彼らも、感染者なのか。
……すまないな。君の方が随分情報を持っているようだ」
照野が落ち着きを取り戻したことに安堵の息を漏らし、皆方が話を続ける。
真菌を神と崇め、“ととさまがせかいをすくう” と触れ回る人間がいるとね。
彼らも、感染者なのか。
……すまないな。君の方が随分情報を持っているようだ」
照野が落ち着きを取り戻したことに安堵の息を漏らし、皆方が話を続ける。
佐倉 光
俺が世界を救う? 方法を教えろよ、畜生。
生け贄になるのはごめんだぞ。
生け贄になるのはごめんだぞ。
佐倉 光
「真菌が神……? もう一人の神があのオレンジのヤツ、ニーオス=コルガイ?
……なーんか、イメージ違うんだよなぁ」
ウボ=サスラがニーオス=コルガイをけしかけてゾンビ騒ぎを起こし、
犠牲者をあの門へ呼んでいる?
とりあえず、自分が神であることと牧志が感染者であることは伏せて、
知り得たことを簡単に説明しよう。
門のことなどまで話そうとすると、俺のことまで話すことになるよな。
それはさすがに信じて貰えるとは思えない。
……なーんか、イメージ違うんだよなぁ」
ウボ=サスラがニーオス=コルガイをけしかけてゾンビ騒ぎを起こし、
犠牲者をあの門へ呼んでいる?
とりあえず、自分が神であることと牧志が感染者であることは伏せて、
知り得たことを簡単に説明しよう。
門のことなどまで話そうとすると、俺のことまで話すことになるよな。
それはさすがに信じて貰えるとは思えない。
KP
「それは……、途方もないな。
しかし、君はそれが手がかりだと考えているんだな。
確かに、感染者たちが図書館に集まるような動きを見せていることは事実だ。
それに、橙色の煙がこの現象の原因だというのも、君の話だと間違いないだろう。
聞きたいんだが、君達はどう思う。
危険極まりないが、図書館の現状を確認すべきだろうか。
確実な手段として、火葬場の状況を見に行くべきだろうか。
それとも、他に考えられる策があるだろうか」
しかし、君はそれが手がかりだと考えているんだな。
確かに、感染者たちが図書館に集まるような動きを見せていることは事実だ。
それに、橙色の煙がこの現象の原因だというのも、君の話だと間違いないだろう。
聞きたいんだが、君達はどう思う。
危険極まりないが、図書館の現状を確認すべきだろうか。
確実な手段として、火葬場の状況を見に行くべきだろうか。
それとも、他に考えられる策があるだろうか」
KP
「明日の24時、ミスライムのカタコンベにて」については話す?
佐倉 光
「頼みますよ。少なくとも僕たちは正気だ。まだ考えられる。
ここから逃げ出すことだって多分できる。
そういうことも、冷静でいなきゃできない」
ここから逃げ出すことだって多分できる。
そういうことも、冷静でいなきゃできない」
佐倉 光
「……図書館は、明日にした方がいいかも知れない。
吸血鬼のことを調べていて、今回の事件の吸血鬼の記述に
『トート様へ 明日24時、ミスライムのカタコンベで待っています』という栞が挟まれていたんだ。
ゾンビの原因を作っているであろう元凶の所にあったものだから、気になっている。
もしかしたらゾンビたちは『トート』を待つためにそこへ向かっているのかも知れない」
吸血鬼のことを調べていて、今回の事件の吸血鬼の記述に
『トート様へ 明日24時、ミスライムのカタコンベで待っています』という栞が挟まれていたんだ。
ゾンビの原因を作っているであろう元凶の所にあったものだから、気になっている。
もしかしたらゾンビたちは『トート』を待つためにそこへ向かっているのかも知れない」
KP
「何だって?
この件に、何者かの意図が関わっているというのか?
こんな言い方をすべきじゃないが、まるで……、ホラー映画だな」
この件に、何者かの意図が関わっているというのか?
こんな言い方をすべきじゃないが、まるで……、ホラー映画だな」
佐倉 光
赤い女の様相を話して、彼女に心当たりがないか訊く
トートのナイフを見せる
くらいか?
トートのナイフがトートである、という可能性もある。
トートのナイフを見せる
くらいか?
トートのナイフがトートである、という可能性もある。
KP
「その女に心当たりはないが、そのナイフはエジプト所縁の品か?
その頭はトキ、知恵の神トートの頭だな。
分かった、今までにその女の目撃情報がなかったか、トートまたはエジプト絡みの出来事がなかったか、今までの調査や事件の記録を当たってみよう。
照野くん、今までに別件で君から提供を受けた情報も当たるが、いいか」
その頭はトキ、知恵の神トートの頭だな。
分かった、今までにその女の目撃情報がなかったか、トートまたはエジプト絡みの出来事がなかったか、今までの調査や事件の記録を当たってみよう。
照野くん、今までに別件で君から提供を受けた情報も当たるが、いいか」
KP
「ええ、勿論よ」
佐倉 光
「どうか、お願いします」
KP
照野は一度、腕に嵌めた時計を見た。
時刻は昼を越え、15時前を指している。
時刻は昼を越え、15時前を指している。
KP
「昼も夜もあったものじゃないけれど、昨日までのことを考えると、夜になればまた何か起きるかもしれない。
夜になる前に動きたい。私は今から家に向かって、うたげくんを匿う準備を整える。
郊外にあるし、セキュリティもあるから、街中よりは安心でしょう。
他に宛てがなければ、あなた達も拠点にしてくれていい。どうかしら」
夜になる前に動きたい。私は今から家に向かって、うたげくんを匿う準備を整える。
郊外にあるし、セキュリティもあるから、街中よりは安心でしょう。
他に宛てがなければ、あなた達も拠点にしてくれていい。どうかしら」
佐倉 光
「……そうだな、状況的になるべく離れない方がいいと思うし、お言葉に甘えます」
佐倉 光
「牧志、家には食料がまだ残っていたよな。水や電気がなくても食べられるヤツも」
状況的にはシローも連れてきて、シローとうたげくんの不安を和らげたい所なんだが、むしろシローは一人で閉じこもっていて貰った方が安全な気がする……
状況的にはシローも連れてきて、シローとうたげくんの不安を和らげたい所なんだが、むしろシローは一人で閉じこもっていて貰った方が安全な気がする……
牧志 浩太
「えっと……、ごめん、家に食料がまだあるか、で合ってるよな。
ああ、まだ残ってる。大丈夫」
ああ、まだ残ってる。大丈夫」
牧志 浩太
牧志は随分と聞きづらそうにしていた。
話している間にも、頻繁に何かに気を取られているように見える。
後で、もう一度情報を共有するべきかもしれない。
話している間にも、頻繁に何かに気を取られているように見える。
後で、もう一度情報を共有するべきかもしれない。
KP
「では、今から向かうわ。
人の多そうな所を避けて行くから、少し時間はかかるけど、夜までには着けるはずよ。
……牧志くん、具合が悪いの? 大丈夫?」
人の多そうな所を避けて行くから、少し時間はかかるけど、夜までには着けるはずよ。
……牧志くん、具合が悪いの? 大丈夫?」
牧志 浩太
「すみません、大丈夫です、最近体調が悪くて」
佐倉 光
牧志にはテキストで情報共有ができるように、手持ちのミニPCに打ち込んだ情報と、
シローについての相談事を見せよう。
シローについての相談事を見せよう。
牧志 浩太
「ああ、……それがいいな。
下手に動かすより、まだその方が安心だと思う」
牧志はミニPCの画面を見て頷いた。
下手に動かすより、まだその方が安心だと思う」
牧志はミニPCの画面を見て頷いた。
佐倉 光
正直牧志のあの姿は見られたくないし、俺を食わせるまでどこかに閉じこもっておきたいんだが……
前日の牧志ゾンビ化って何時頃起きたかな。
前日の牧志ゾンビ化って何時頃起きたかな。
KP
昨日のそれは、夜中だったように思う。
KP
「照野くん、うたげくん、只野くん、牧志くん。
では、……どうか無事で。
何か分かれば、照野くんに連絡を入れる」
皆方は周囲を見回し、車内であなた達に一礼する。
身構えて車の扉を開けると、すぐに家に入る。
扉の向こうから、鍵を閉め、チェーンをかける音が聞こえた。
では、……どうか無事で。
何か分かれば、照野くんに連絡を入れる」
皆方は周囲を見回し、車内であなた達に一礼する。
身構えて車の扉を開けると、すぐに家に入る。
扉の向こうから、鍵を閉め、チェーンをかける音が聞こえた。
佐倉 光
「はい、そちらも気をつけて」
佐倉 光
火葬場、か。明るいうちに寄れるようなら寄ってみるか?
オレンジの煙が少しでも見えたら退散しよう。
照野さんと牧志に、さっき皆方さんが言っていた案について相談してみる。
オレンジの煙が少しでも見えたら退散しよう。
照野さんと牧志に、さっき皆方さんが言っていた案について相談してみる。
牧志 浩太
「火葬場か……、確かに、知っておきたいな。
酷な言い方だけど……、最悪燃やしてしまえばいいなら、銃弾よりはまとめて対処できるかもしれない」
酷な言い方だけど……、最悪燃やしてしまえばいいなら、銃弾よりはまとめて対処できるかもしれない」
牧志 浩太
「できればそうしたくないけど、そんな場合じゃなさそうだ。
あいつが菌だっていうのなら、燃やせば効くかもしれないしな」
牧志は一拍遅れて反応する。ミニPCの画面を見て言った。
あいつが菌だっていうのなら、燃やせば効くかもしれないしな」
牧志は一拍遅れて反応する。ミニPCの画面を見て言った。
KP
「ええ、牧志くんと同じ意見よ。
長居はできないけれど、様子を見る程度なら」
照野はひとつ頷いて、火葬場の方向へ車を向ける。
長居はできないけれど、様子を見る程度なら」
照野はひとつ頷いて、火葬場の方向へ車を向ける。
MIDNIGHT DEJAVO
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コメント By.佐倉 光
きっと真実が得られる、そう願ってほんの少しの情報にも手を伸ばす。
きっと真実が得られる、そう願ってほんの少しの情報にも手を伸ばす。
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
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