こちらには
『ワンナイトショット』
ネタバレがあります。

KP
効果範囲 1d2
年齢 任意 でどうぞ……
波照間 紅
1d2 こうかはんい
年齢は7才まで戻ることにします。
Sasa BOT 1d2→2
KP
見た目も精神も若返ります。
持続時間……1d5
波照間 紅
1d5
Sasa BOT 1d5→3
KP
3分ですね。
牧志 浩太
PLが沖縄弁ロールできない&東北はほんとにわかんないのでト書きで何とかします。
KP
はーい

波照間 紅
「えっ?」
発したのはそんな、間の抜けたような声だった。

その味を感じるまで、直後に起きた変化に気づくまで、
そこに避けてあったものが何だったのかを、すっかり忘れていた。

変化が起きてはじめて、全部思い出した。

ただ前と違うのは、伸ばした手が小さくなっていくのが見えるのと同時に。
急速に、現状が分からなくなっていくことだった。
佐倉 光
「えっ、波照間さん?」
KP
佐倉のぽかんと口を開けた顔が遠ざかってゆく。
佐倉 光
「なにこれ? すげぇ何が起きてんの? 波照間さんがちっちぇぇ!?」
KP
そしてやはり笑い転げるのだった。
一応笑いながら支えに入るけど。
と思ったけど佐倉遠いわ。
牧志 浩太
「えっ? うわ、また!? 先輩、大丈夫!?」

咄嗟に手を伸ばす。ぽふんと牧志の手の中に小さな身体が収まる。

黄色がかった眼は前の時と違って、受け止められたまま不思議そうにぽかんと前を見ていた。
波照間 紅
「? おじぃの友達んとこだー。僕いつの間に来たの?」
ぱち、と目を瞬いて、喋りだした言葉には沖縄の言葉だろうか、先程までとは違う響きがあった。
佐倉 光
「もしかして中身までガキになってんの? 何この謎現象www」
KP
佐倉は椅子から飛び降りて二人に近寄った。
佐倉 光
「これまさか、さっきの若返りの水とかいう奴の効果? リアルに影響出んのかよ!」
牧志 浩太
「あ、うん。佐倉さんも中身だけだけど小さくなってたよ」
波照間 紅
「にーさんたち、だれー? おじぃのとこの人?」
ひょいと牧志の手の中から飛び出して、周囲をうろうろと歩き始める。
牧志 浩太
お爺さんにバーやってる友達がいたらしい。
KP
二度目なので《SANチェック》は免除です。
牧志 浩太
やったぜ。
佐倉 光
「へぇー……なるほど?
あ、そうそう、俺たちおじいの友だちだから大丈夫大丈夫ー。
俺、佐倉ってんだ、よろしく~」
佐倉は愛想良く手を振った。
牧志 浩太
「俺、牧志。よろしく」佐倉の言葉にはっと気づいて、屈み込み視線を合わせる。
波照間 紅
「さくらさん、まきしさん? 僕、こうっていいます」にこにこと笑って手を振って、それからぴょこんと一礼した。
KP
当然のようにバーテンはカウンターから消えている。
佐倉は牧志に囁いた。
佐倉 光
「これ、治るんだろ? どれくらいで治るんだ?」
牧志 浩太
「ああ、さっきの感じだと、数分か十分ちょっとだと思う」
佐倉 光
「さっき俺が脈絡もなくガキの頃の話してたのはこういうわけか。なるほどな、面白」
KP
佐倉はひっそりと笑った。牧志自身の記憶にはあまりないが、あなたの記憶にはある、何かあまり良くないことを考えている笑み、だったように思えたが、それも一瞬で消えていた。
牧志 浩太
「……佐倉さん何か考えてる?」
一瞬、とてもよくない予感がした。何か悪戯を考えているような、そんな時の笑み。
KP
おかしいなー、牧志にあまり悪巧みの笑み見せてないはずなのにバレるー
牧志 浩太
おかしいなー。
佐倉 光
「礼儀正しいな~、ガキの頃から波照間さんってあんま変わらないな。
コウくん小学生?」
波照間 紅
「うん。あれ? あいは? おかーさんとこ?」ふと何かに気づいたのか、きょろきょろと周囲を見回す。
「あいー? おかーさーん?」
周囲を歩きながら呼び回りだした。
佐倉 光
「アイ? なんか聞き覚えがあるような。
何だっけな、波照間さん絡みじゃなくて」
KP
少し考えて。
佐倉 光
「あ、あー、牧志が言ってた。ラブホで寝言で」
牧志 浩太
「へっ?」
佐倉 光
「アイって家族かな? あー、大丈夫大丈夫、すぐ迎えに来てくれるから。
少しお兄さんたちと話そうぜ?
UFO見たってマジ?」
さらさらと出任せを言う。
牧志 浩太
「佐倉さんほんと口が回るな。頼りになる……。」怖。と顔に書いてある。
波照間 紅
「うん。いもうとだよ。! にーさんも見たの?」
ぱっと顔を上げた。表情が明るくなる。
佐倉 光
「ああ、お兄さんたち、宇宙に行ったことはあるけど、UFOは微妙だなぁ。正体分かったら未確認飛行物体じゃなくなるだろ?」
KP
そんな、どう考えても胡散臭い話をしつつ。
佐倉 光
「へー、妹さんいるんだ。牧志の彼女かなんかかと」
牧志 浩太
「……へっ? そんな風に思ってたのか? 寝言言ってたとか全然気づかなかったな」一年越しに判明する事実。
佐倉 光
「ラブホで他の女の名前を呼ぶなんて牧志くんサイテーwww」
牧志 浩太
「言い方! だいたい他の女でも妹は関係ないだろ、妹は」
佐倉 光
「で、紅くんはなんでそんなにUFO好きなの? 怖いとか思わない?」
波照間 紅
「ううん。楽しかったよ。あのね、空の上に連れてってもらったんだ。一緒に遊んだの。いろんなこと教えてもらったんだよ。半分忘れちゃったけど。

みんな行ったんだね、宇宙」
すごいね、と子供はにんまりと笑った。黄色がかった眼に室内の照明が映り、不思議な色合いで光った。
佐倉 光
「波照間さんって小さい頃から波照間さんなんだなー。当たり前だけど。
お化けとか平気な方? そういうの割りと見ちゃう人?」
波照間 紅
「ううん、あれから来てくれないの」少し肩を落として床に座り込む。
佐倉 光
「まあまあ凹むなって。
これからコウ君には友だち百人の勢いで、面白い出会いがあるからさ。
そのUFOの人たちともまた会えるかもしんないじゃん。

あー、ただ、変な駅で得体の知れないもの食うのはやめとけ? って今言っても意味ねぇか」
波照間 紅
「うん!」
軽やかに顔を上げたあたりで、彼が数度咳き込み、体が震えて跳ねた。
牧志が慌てて、またも脱げていたスラックスを穿かせてやる。
佐倉 光
「どうした? 風邪でも引いてるのか?」
KP
佐倉は軽く小さな背を撫でる。
波照間 紅
背を撫でたあたりで、その背中が大きくなっていく。
KP
魔法の時間が終わる。
波照間の体が本来あるべき時の流れに戻って行く。
佐倉 光
「うわ、育ってる。なんだこれ、面白!
波照間さん大丈夫? 俺の事分かります?」
波照間 紅
「あ、ああ……、分かる。そうか、精神も戻ってしまっていたのか、今度は」

絶え絶えの息で佐倉の顔を見上げ、頷いた。元のままの波照間の顔だった。
佐倉 光
「えー、なにこれ、どういう現象なんだ?
魔法の一種? 副作用とかないなら商売になりそうじゃ?」
KP
立て続けに喋る佐倉に、またいつの間にかいたバーテンは
「幻でも見られましたか?」
と穏やかに答えるばかりだ。
佐倉 光
「波照間さんの子供時代可愛いかったなー、写真撮っとくんだったー」
佐倉は笑っている。なにが可笑しいのかはよく分からないが。(笑い上戸)
波照間 紅
「なんだか気恥ずかしいな、変なことしてなかったか?」
異変に気づいた波照間が途中で飲むのをやめたため、竹筒の酒はまだ1/3程残っている。が、また隅に避けられたまま忘れられた。
佐倉 光
竹筒は二人が何か話してる隙に『片付け』よう。
波照間 紅
竹筒が『片付け』られたことには、二人とも気づいていない。

KP
こっからどうしようかな?
一応普通にお話一周したけど、もう1周くらいで締めに入ります?
ここらでわやにして締めでもいいけど。
牧志 浩太
特にお題なしで少し話をして、その途中に佐倉さんが牧志におち水飲ませて、ドタバタした後くらいにお開きでどうでしょう?
KP
佐倉はドタバタの頃に一回寝ます。
牧志 浩太
お、いいですね。人前で寝てる佐倉さんってこのメンバーならではって感じがします。
KP
感謝とか割りと出尽くした感ありますしね、ちょうどいい頃合いかな。
牧志 浩太
そうそう。
KP
少しアイさんの話振ってもいい?
牧志 浩太
OKですぜー 向こうの卓に差し支えない範囲で話が出ます

佐倉 光
「いやー大丈夫ー。
妹さんの話は初耳でしたけど」
波照間 紅
「そうか、ならよかったが。ああ、話してなかったかな」
佐倉 光
「妹さん、今地元ですか? 全然話に出たことないもんなー」
波照間 紅
「いや、県外の高校に行ったらしい。行きたがってて、頑張ってたからな」
佐倉 光
「そうかー、そういえば家族の話とか聞くの初めてだ。高校生ですかー、へぇー」
佐倉は真面目で地味でちょっと変な子を想像している!
「俺も妹がいるけど、今何やってんのかなー」
波照間 紅
「そうなのか? それも初めて聞いたな。今いくつなんだ?」
牧志 浩太
「あれ、兄弟の話?」
メニューを見ていた牧志が振り返った。
佐倉 光
「そうそう、兄弟つーか妹。
二つ下なんですよ。俺と違って真面目な奴。
長いこと会ってないけど」
波照間 紅
「なかなか、互いに生活が変わってしまうと会わなかったりするよな。僕もこちらに来てから会ってない」
牧志 浩太
「二つ下? 結構近いんだな」
佐倉 光
「そうそう、高校生。
家はあいつがいるから大丈夫ー」
波照間 紅
「ああ、それで言うと僕らは二人とも家を出てしまったな……」
佐倉 光
「少年は荒野を目指すもんなの」

KP
佐倉は牧志の弟の話知ってたかな?
牧志 浩太
あー、どうでしたっけ、家族の話はしてても弟の話はしてない気がしますね。記憶の中に出てきたからチラっと口には出してるけど、他の色んな情報と一緒だったから印象には残らなさそう。
KP
ですよね、そんな気がした。

牧志 浩太
「こっちと同じ年齢差だな、二つ下」
佐倉 光
「あれ牧志にも兄弟いんの?」
牧志 浩太
「ん? ああ、話してなかったっけ」
メニューを見て、ライチの香りがするという焼酎に興味を惹かれて注文しながら応える。
佐倉 光
「たぶん初耳。あ、俺は」
佐倉はなにやら注文している。
牧志 浩太
「そっか、そうだったか。二つ下の弟がいるんだ。あいつはまだ地元。俺のことで最初色々心配かけたりもしたな」
佐倉 光
「あー……そうか、事情話してくるって言ってたな」
さすがに笑いは引っ込んでいる。
牧志 浩太
「うん。あいつには悪いことしたな、って思う。最初からちゃんと話してればよかった」焼酎を水割りで飲みながら。
だいやめ
牧志 浩太
だいやめ飲みたいんですけどまだ飲みきってない酒が色々あってすぐに手が出せていません
KP
芋焼酎かー
牧志 浩太
ですね。ニキに聞いて気になってるんですけどカップサイズとかがない

佐倉 光
「まーなー、お前の場合事情が特殊すぎるから難しいよなー、色々」
いつの間にか頼んでいたカシスソーダ呑んでる。
牧志 浩太
「最初は俺もいまいち実感が持てなくてさ。家に写真が残ってたおかげもあって、ああ、弟なんだ、って思えたけど」
佐倉 光
「いきなり家族が別人の記憶もって、自分の事忘れてたら驚くよな。
家族に昔のお前の事聞けない?
(うちはいい加減俺の事なんか忘れて欲しいけど)」
牧志 浩太
「ちょくちょく聞いてる。他人みたいに思ってしまわないように、少しずつ。
たまに聞きすぎて、んな昔の事忘れたよ、なんて言われるけど。
……でも、大事な事は絶対に教えてくれないんだ。いい奴だと思うよ」
佐倉 光
「あ、お水くださーい」
バーテンに声をかける。
波照間 紅
「そうか……、あ、僕も」
佐倉 光
「まー、俺にとっては牧志って今の牧志なわけでさー、よくあるじゃん? 記憶なくしてた奴がもとの記憶思い出して、別の人生送ってた間の事忘れちゃう奴」
佐倉の顔がだいぶ赤いし目線がふらふらしている。
「思い出しすぎてこの一年ちょいの事忘れられたらやだなー」
言ってゲラゲラ笑う。
牧志 浩太
「ああ……、あるな。考えたことがなかった。俺も、それは嫌だな。どっちを選ぶかってなったら、今を選ぶと思う」
水割りの氷がカランと音を立てた。
KP
三人の前にグラスが置かれる。

KP
※牧志くんとこのグラスの中身アレなので、任意のタイミングでどうぞ。
牧志 浩太
これこの話の流れで牧志が精神だけ若返ったら面白いのではとちょっと思いました
KP
もう効果任意でいいかな!
牧志 浩太
差し支えなければじゃあそれで!

牧志 浩太
「あれ、水? あ、俺の分も出してくれたのか。結構飲んだもんな」
言いながら、何気なくグラスを手にとって中身を飲む。
KP
口に含むまでそれの香りに気付かなかったのは、酔っていたからだろうか。
口に含んであっと思った時には液体が喉に滑り落ちていた。
牧志 浩太
「え?」
最初に気づいたのは、明らかに水ではない刺激。次に、鼻に抜ける覚えのある香り。
水だと思って一息に飲んだそれは、止めるまもなく喉を滑り落ちていった。
波照間 紅
「? 牧志、どうした」
佐倉 光
「ごめんなー牧志」
佐倉が一瞬悪戯っぽく笑った。
「まあ、興味あるしさー、役に立つかも知れないし……」
忘れられるのはイヤだけど、もし、記憶も当時の状態に戻るなら。
KP
牧志の精神は朧気な月の光の中に溶けて行く。
効果範囲、効果年齢、効果時間は任意とします。
牧志 浩太
精神だけ若返る、9歳まで若返る、5分間とします。爺ちゃんが亡くなったよりも後かな。

牧志 浩太
「……」グラスを置いて、牧志の動きが一度止まった。ゆっくりと、ぱちりと目を瞬く。不思議そうに辺りを見回して、佐倉の声が聞こえた方を振り向いた。
佐倉 光
「あれ、牧志、かわらないな。効果がなかったのか?」
牧志 浩太
「あれ? ここ、どこ? お兄さん、誰?」

茶色い眼が、見知らぬ人を見る眼で佐倉を見た。喋り方に聞き慣れない響きが強く出ていた。
佐倉 光
「お、おっと、そういやさっきそんなこと言ってたっけ」
波照間 紅
「あー……、もしかして佐倉さん、牧志のグラスに盛ったな?」
佐倉 光
「盛ったなんて人聞きの悪い。入れ物変えてもらっただけですけど?」
波照間 紅
「結果は一緒じゃないか……」
牧志 浩太
「知らない人がいる」不思議そうに小首を傾げて、困ったようにふにゃりと笑った。警戒心のあまり感じられない、気の抜けたような笑い方。
佐倉 光
「あ、お兄さん達は悪い人じゃないから大丈夫。俺が佐倉で、そっちのお兄さんは波照間さんね」
悪気ゼロの顔でニッコリと笑いかける。
「ここは君の夢の中だ。だから見慣れない場所でも不思議はないよ」
牧志 浩太
「そっかー、それで浩司がいないんだ。おれ、浩太」にこにこと笑って手を振る。
波照間 紅
「ああ、うん。よろしくな、浩太くん」
佐倉 光
「よろしくなー。浩司って弟さんかー」
牧志 浩太
「うん。おれよく道とかそれちゃうの。浩司に連れ戻してもらうんだ」ニコニコしながら面白そうに辺りを見回している。
佐倉 光
「で、浩太君さー、ちょっとヘンなこと聞くんだけど、絶対忘れたくない、大事なこととかある?」
めっちゃ不躾なこと訊いてるけど、答えたくない場合は誤魔化していただいて大丈夫です!
牧志 浩太
「忘れたくないこと?」
佐倉 光
「そうか、仲がいいんだな……そう、大人になっても忘れたくない、今最高に気に入ってることとかさ」
牧志 浩太
「浩司の誕生日! あいつ忘れるとすねるんだよ。母さんの焼いてくれるクッキーが好きなんだ。好きなこと、うーん、機械触ったり組み立てたりするのが好きだよ。あっ、でもね、虫をおっかけたりするのも好き。夏の間しか出てこないんだ。雪かきはきらーい。
爺ちゃんすごいんだよ。いろんなこと教えてくれた。夢があったんだって……」ぐす、と少し涙ぐむ。
佐倉 光
「そうかぁ、好きなことが一杯あるんだな」
幸せに生きてきたんだろうな、と思う。
そして、もしかしてこの状態の牧志は、今の牧志が失った物を持っているのではないかとも。
牧志 浩太
「うん」涙を拭きながら笑う。気の抜けたような、それでいて周囲の善意と自身の未来を疑わないような笑い方だった。
佐倉 光
今のうちに色々聞いて、牧志に教えてやった方がいいような気もした。
失った物の多くは彼にとってきっとかけがえのないもので、失いたくなかったものの筈だった。
もちろん、牧志に変若水を飲ませた目的の半分はそれだった。半分は純粋に面白そうだからだけど。
しかし、質問はそれ以上出てこなかった。喋れなかった。
(最大のチャンスだっていうのに、どうやら俺はどうしようもなく酔っ払ってるな……)
波照間 紅
「ああ……、そういうことか」微かに、話を聞いていた波照間が呟いた。佐倉が望んだこと。ただの悪戯じゃなかった。
佐倉 光
「機械触ったり組み立てたりは、きっと大人になっても好きなままだな。お兄さん予言者なんだ」
牧志 浩太
「そうなの? お兄さんすごいね。だといいなぁ、勝手に雪かきしてくれるロボット作りたい」
波照間 紅
「……なあ。覚えているか? お爺さんのこと。浩司くんが生まれた時のこと。クラスや近所の友達のこと」波照間が小さく、微かに言った。
牧志 浩太
「あんまり覚えてなーい。でも、お話はいっぱい聞いたよ。すごい雪の日で、道が埋もれて大変だったんだって。おれの時はその日だけ晴れてたのにねーって言ってた」
楽しそうに喋りだす彼の声を聞いて、波照間が佐倉の方を振り返る。
波照間 紅
「なあ、佐倉さん」
佐倉 光
「……ああ」
波照間 紅
「彼の中に残っているんだ、記憶は。例え、思い出すことがなくても……」
佐倉 光
「それなら……今あえて俺がつつき回すようなことじゃないな」
苦笑い。
牧志 浩太
楽しそうに周囲を眺めていた彼の眼が、ふっと、夢見るように揺らいだ。数度、目を瞬いて、自分の手を握って、開いて。
それから。
「……佐倉さん、グラスの中身入れ替えただろ……」
じと目で佐倉を睨んだ。
佐倉 光
「あー、悪い悪い、子供の牧志どんなかなーって思ってさぁ」
佐倉は笑いながら、どこから取り出したのか手にしていた竹筒の中身を煽った。
「俺も呑むから許してwww」
牧志 浩太
「子供の俺どんなのだった? って、あ。佐倉さん酔ってるだろ」
佐倉 光
「酔ってるに決まってら……どんだけ……」
佐倉はのけぞって笑うと、椅子から飛び降りた。
その体が縮み始めていた。
牧志 浩太
「あっ」危ない! と駆け寄る。
KP
そのままくたり、と膝が折れ、床に突っ伏す時にはもう、小学生サイズに縮んでいた。
そのまま自分の服に埋もれて幸せそうないびきをかき始める。
牧志 浩太
「寝てるし……。佐倉さんがこうするのって、珍しいな」
波照間 紅
「そうだな。寝かせておくか」苦笑。
牧志 浩太
「酔っ払って寝たまま子供になったらどうなるんだろ? 一応様子、見ておこうか」
波照間 紅
「そうするか。飲ませすぎたんだったら不味いしな」そんな風に話しながら彼を抱き上げ、空いているソファに寝かせた。
KP
中身が子供かどうかは定かではないが、警戒心のカケラもない様子だ。
牧志 浩太
そうして暫く、佐倉の様子を見やりながら、二人でちょっとした近況や、授業の話なんかをした。
何となく空気が穏やかに流れていた。
KP
そうこうするうちに佐倉の体のサイズは元に戻ったが、そのまま眠り続けた。本当にただ酔い潰れて眠っているだけのようだ。
バーテンが声をかけてくる。
「お連れさん、眠ってしまわれましたね。
いかがです、近くに宿泊施設がございますので、そちらで休まれては?」
あくまで穏やかに優しい口調で、ホテルの割引券を渡してくれる。
近所にあるビジネスホテルだ。
波照間 紅
「ああ、ありがとうございます。そうしようか」牧志に声をかけ、立ち上がる。
牧志 浩太
「ありがとうございます。結構長く話し込んじゃったし、そうしようか」
佐倉の荷物があればそれを持って、寝入った佐倉に肩を貸す。
KP
佐倉はふにゃふにゃ夢現で笑いながら引っ張られるままに歩く。荷物はいつものポーチ一つだ。
「楽しい時間は過ごせましたか。
どうもありがとうございました。
またのおこしをお待ちしております……」
バーテンは目を細めて嬉しそうに笑った。
波照間 紅
「こちらこそ。ありがとうございました」
不思議な店だったなと思いながら、会計を済ませて二人は佐倉と共に店を後にする。
KP
このままホテルに向かいますか?
牧志 浩太
近所のコンビニで水と紙コップを買って向かう。

KP
ホテルは特に特徴のないホテルだ。
割引券は宿泊客全員に効果があるようで、何部屋借りても安くなるようだ。
無論、三人で同じ部屋に泊まることもできる。
朝食付だ。
波照間 紅
佐倉さんを一人で寝かせるのは心配なので、ツインの部屋があれば一緒の部屋に泊まる。
牧志 浩太
空き部屋があれば、佐倉さんを波照間に任せて別の部屋へ。なければ追加ベッドでも出しもらって同じ部屋に。特に拘りはない。
KP
別の部屋ありますよ。じゃあ二部屋にします?
宿泊するとエンディングになります。
牧志 浩太
二人に手を振って別の部屋に向かう。今日は何だか不思議な事もあったけど、色々話せて楽しかったな、と思った。
今更少し回ってきた酔いに身を任せて、歯磨きしてベッドに潜り込む。
あー、シャワー、明日でいいか。
波照間 紅
幸せそうな佐倉さんの寝顔を見送りつつ、バスルームに向かってシャワーを浴びる。
ベッドに潜りながら、今日のことを思い出していた。
宿泊するでOKです。
KP
シャワーと柔らかなベッドはあなたたちの疲れを癒やすだろう。
佐倉は朝まで目を覚ますことなく熟睡し続けた。
こうして楽しい一晩は終わりを告げ……
翌日。

佐倉 光
「あれ……俺どうしてこんなとこに? いたた……」
少しだるそうに佐倉が目を覚ます。
波照間 紅
「ああ、おはよう。寝てしまったから運んできたんだ。店主が割引券をくれてな」
横のベッドでうーん、と波照間が伸びをしている。
「水、飲むか?」
買ってきたペットボトルを渡す。
佐倉 光
「あ、欲しい……酔い潰れた? そうか……調子に乗りすぎたな」
佐倉はこめかみに手を当てうなる。
波照間 紅
「ああ。飲ませすぎてしまって悪かったな。でも、佐倉さんがあんなに飲むなんて珍しいな、この前の憂さ晴らしか?」
KP
水を受け取って美味そうに飲むと、
佐倉 光
「そんなとこ。
けど、思ったより楽しかったな。あんな感じなら悪くないな……」

KP
牧志。
別室で一人のあなたは目星だ。
牧志 浩太
「んー……」
目を覚まして伸びをする。
1d100 84 牧志の〈目星〉
Sasa BOT 1d100→40→成功
KP
あなたは部屋の隅に光る物を発見する。
近づいてみればそれは……隠しカメラだ。
牧志 浩太
「えっ」
驚いて、そのカメラが室内に向けられているものか確認する。
KP
室内に向いている。
それに気付いたあなたは、少し注意深くなった視界のあちこちに、レンズの光を見るだろう。
観葉植物の中に。ライトの脇に。スイッチの側に。クローゼットに。トイレやバスルームにまで。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
牧志 浩太
監視カメラったって室内に向けるのは駄目なやつだよな? しかも数が多くないか?
この間の出来事を思い出して背筋がぞっとする。
KP
あなたの一挙手一投足に、何者かの視線が向けられている……
牧志 浩太
1d100 78 《SANチェック
Sasa BOT 1d100→24→成功
SAN 78 → 77
「……」
無数の光に怖気を覚えた。あらゆる方向から一挙手一投足を絡められ、捉えられているような感覚。
気づかなかった振りをして、服を着替え、最低限の荷物を持ち出して部屋の外へ出る。

外へ出て、そこに監視カメラや隠しカメラがあるかどうか確認する。

着替えている間にも、ひどく落ち着かなかった。
KP
一度見つけてしまえば、このホテル全体に、異常な数のカメラが仕掛けられているのが分かる。
プライバシー? そんなものはここにはない。
牧志 浩太
何だこれ、と息を呑む。数が異常だ。スマホを取り出して、電話する振りをして隠しカメラの存在をスマホの写真に収める。
「先輩、おはよう!」
二人の部屋の扉を叩く。声が焦っていたのだけはきっと隠せていない。
佐倉 光
「おはよー、牧志」
まだ寝ぼけたような顔で佐倉がドアを開けた。
波照間 紅
「おはよう」少し眠そうに波照間が顔を出す。
牧志 浩太
「ああ、うん。ごめん、ちょっと俺学校に用事ができちゃってさ。朝食勿体ないけど、チェックアウト早めていい?」
佐倉 光
「どうしたんだよ、そんなに慌てて。急用でもあったのか?」
牧志 浩太
「ああ、うん、レポートの出し忘れ。教授まだ居るっていうから」
波照間 紅
「休日だし、開いてないんじゃないのか?」
牧志 浩太
「それは大丈夫だって」
〈心理学〉成功すれば、牧志に異様な焦りが見られると分かるかもしれない。
KP
1d100 55
Sasa BOT 1d100→96→致命的失敗ファンブル
FANBOX開設したで
KP
あれれー?
牧志 浩太
ぜんぜんわからん!w
KP
二日酔いだな。
牧志 浩太
間違いない。
佐倉 光
「悪い、ちょっと頭痛くて。チェックアウトまで寝かせて……」
KP
とか言ってるけど、どうしてもと言われれば出るよ。
あと《SANチェック》共有覚悟なら波照間も牧志に情報共有してもらってカメラに気づける。
佐倉はアカン。
牧志 浩太
「ごめん、……」
少し躊躇い、波照間にメッセージで情報を共有する。
KP
では波照間は〈目星〉ナシで気づける。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
波照間 紅
1d100 62 《SANチェック

Sasa BOT 1d100→57→成功
SAN 62 → 61
画像つきのメッセージを目にした波照間の顔から、さっと血の気が引いて見えた。
「……」
一瞬、沈黙。
佐倉 光
「じゃあお休み~」
ヘロヘロとベッドに戻ろうとする。
波照間 紅
「佐倉さん」
思わずその腕を掴む。
「急がないと不味いらしい。すまないが、先にチェックアウトさせてくれ」なかば強引に佐倉を連れ出す。
佐倉 光
「あ、そう? ああ、うん……分かった」
フラフラしながら連れ出される。
牧志 浩太
急いでチェックアウトして、ホテルを飛び出す。ホテルの姿が見えなくなったあたりで、写真とホテル名と共に警察に通報を入れた。
「あー、もう、最近こんなのばっかりだな、ちょっと怖くなってきた」
KP
佐倉に監視カメラのことは伝える?
まあ伝えたら二度と飲みに行くなんて言わなさそうなんだけど。
牧志 浩太
佐倉さんの二日酔いが落ち着いてから共有します。
「今度は宅飲みにしようか」なんてフォローしつつ。

前回のこともあるし、これは共有しちゃうよなぁ。波照間と佐倉に調査も頼む。
KP
その話を聞いて、佐倉は言うだろう。
あの店のポスターの目が動いたような気がした、と。
もしかしたらあの店にいた頃から……?
波照間 紅
「そういえば、あの店で貰った割引券だな……。最初から、そういう目的だったのか?」
牧志 浩太
「そういうって」
波照間 紅
「毎回男だけのグループとは限らないだろう」
牧志 浩太
「……」
その場に嫌な沈黙が落ちた。

KP
そして、それから……
あのホテルのことも、バーのことも、雲を掴むように情報は出てこず、警察が捜査に入ったというニュースも聞かない。
あなた方の様子が録画されたデータが流出したという形跡もなく、ただ何も起きずに、日は過ぎて行くのみだ。
あのバーの扉は二度と開かず、ホテルはいつの間にか建て替えられて商業施設になっていた。
佐倉 光
「結局何だったんだ? あれは」
牧志 浩太
「何だったんだ……」
波照間 紅
「結局、何の痕跡も見つからなかったしな。……また、妙なことに巻き込まれてしまったというやつかもしれないな」
KP
あの不思議な一日のことは、あなた方の記憶に残るのみだ。
何も変わることなく、何も起きることなく、日常は続く。
あなた方が認識している世界においては。


ワンナイトショット
エンドB

生還報酬1D5


波照間 紅
1d5 波照間
Sasa BOT 1d5→5
牧志 浩太
1d5 牧志
Sasa BOT 1d5→2
佐倉 光
1d5
Sasa BOT 1d5→4
牧志 浩太
最終SAN、波照間66牧志79ですね。
KP
あ、佐倉も《SANチェック》入れとかんと。
1d100 80
Sasa BOT 1d100→4→決定的成功クリティカル)!
多分怒ってたね。ってことで79に下がって、報酬で83。

KP
ありがとうございました!
佐倉が寝ちゃったせいで後味悪い感じになっちゃってごめんね二人とも!
牧志 浩太
ありがとうございました! いえいえ!
楽しく飲んだと思ったらよく分からない背筋がぞっとするエンディングになるの、ホラー感あって好きです。やっぱりよく分からないのも。
できればPL真相(とエンディング分岐)知りたいなー!
KP
分岐はお宿に泊まるかどうかですよ。
牧志 浩太
ほうほう。
泊まらなかったらどうなってたんですか?
KP
泊まらなければ何事もなく良い気分で帰れます。
真相はですねー。

イスの大いなる種族は、飲酒による身体・精神への影響を調べるため、バーを開いている。探索者たちはたまたま立ち寄り、お酒を飲むことになる。

だから宿でのカメラも研究用です。
だから言ったじゃないですか、「(幼児化現象なんて)オモシロイベントをバーテン問い詰めるだけで終わったら勿体ない」って。
牧志 浩太
ああー、なるほどなるほど。イスさんだったんですね。
KP
そうです。実害はありません。
でも理由が説明されるわけでもないのでただただ嫌な思いしますね。
牧志 浩太
てことはデータもイスさんが持って帰っちゃいましたか。
KP
そうですねー
ご協力ありがとうございます☆
牧志 浩太
なるほどなー!
KP
ホテルもイスの手の内なんで、捜査が入ったりしても最悪記憶消してドロンです。
牧志 浩太
波照間がいらんこと(男だけのグループばかりとは限らない)言ったので余計にイヤンな感じになっちゃった。
KP
いやーん
牧志 浩太
お酒飲んだ後のホテルにカメラってそういう。
KP
彼らホテルでは寝ただけだから、大して面白くはなかったでしょうね。
牧志 浩太
ですねぇ。バーでのあれやこれやは面白かったかもしれないけど。余計に牧志がなんらかに目をつけられやすくなりそう。
KP
バーにカメラがある、とはシナリオに書いてないけど、まあ観察してるんじゃない? って思うし、丁度良く佐倉がファンブルしたのでそういうことになりました。
成長データ、明日にでも纏めますね。
成長用スレッド作った方がいいかも。
今回の佐倉荒れてたなぁ。
牧志 浩太
おお、ありがとうございます。置き卓だと成長まとめにくいので助かります。

ダイスがすごかったですね。牧志の【CON】ロールダブルクリティカルは笑ってしまった。
話題表での佐倉さんの引きは、イスさんが佐倉さんの内面聞きたさに箱の中身コントロールしてない? って勢いでしたね。
KP
何故トラウマがらみばっかり引くのよ……!
牧志 浩太
イスさん箱の中身コントロールしてません??
カクテルのあたりは本当に「イスさんダーツの行き先コントロールしてない?」って勢い
いやでも置き卓面白いですね!
実はタイマンシナリオ集なるものを持っているので、合いそうなのがあればまたちょくちょくやりたい感じがします。(ついリアルタイムしちゃうのはほどほどにするとして)
KP
そうですねー、タイマンで程よい感じがする。
リアルタイムはほどほどにしよう……
牧志 浩太
複数人だと絶対速度に差がでちゃうから、タイマンがいい気がしますね。
KP
あっ、返信来た……けど全員じゃないか。
ってのを繰り返すと疲れそうな感じがします。
牧志 浩太
なんですよね。あと何かしら忙しくなった時とかにおいて行かれてしまう。
こういうのでノリに速度差が出るのは致命的だと思うんで、タイマン向きだなぁーと思います。
KP
じっくり描写考えられるのも楽しいし、隙間時間にできるのも良いですねー
牧志 浩太
そうそう。じっくり描写考えられるのと、隙間時間に楽しめるのはほんとに楽しいなって。
リアルタイム卓とは別腹に楽しい、まさにそうだと思います
KP
そしてエンディングリアタイしたら3時半です!!
佐倉が死ぬ話置き卓でもいいなって思いました。
牧志 浩太
ですな!! ありがとうございました!!
 
お、それもありですね。じっくり描写したいし、すれ違うような話になりそうですしね。

置き卓ではやっぱり厳しいなってなってきたら、この感じなら置き←→リアルタイムは相互に移行できそうですし。
ログ取っていけば前の内容覚えてない問題もなんとかなりますしね。
あ、東浪見視点はおいおい作成中です。東浪見の口調の掘り下げが要る!!
KP
はーい!
お待ちしておりますっ!
牧志 浩太
おやすみなさーい!
KP
おやすみなさーい!
ひとこと
KP
しこたま飲んでわやくちゃになって、いい話なんかもして、平和に終わるかと思ったら最後にちょっとした背筋の寒くなることなんかもあり。
おおむねゆったりした飲み会でした。

女神! 佐倉にトラウマ話ばかり振るのやめろ! 話が暗くなるんだよ!
牧志はCON2連クリティカルでウワバミを実証し、波照間は弓ならぬダーツの腕を見せつける回でしたとさ。
佐倉の笑い上戸もそうですが、今回も割と女神空気読んだ。


【置】CoC『夢の果てならきみが正しい』 佐倉&牧志 4

人間の子供に対してはアリなんだけど、こういう存在に対してはナシの提案を考えついてしまった。

【置】CoC『えっ? 手のひらから唐揚げ出せるんですか?』 佐倉&牧志(塔) 1

「クイ……テー……カラ……アゲ……
喰いてぇ……唐揚げェっ! 
ニクやマガツヒと違って唐揚げは来ねぇんだよ……どうして唐揚げは来ないッ!」

【置】CoC『ワンナイトショット』牧志&波照間&佐倉 1

もしかして:戻ったときにえらいことになる>服装

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 1

こんな時、ああ生きててよかったな、なんて思うのだ。

ダブルクロス 第三話『Truth or Fiction』1

ヒトとして死ねるのならばそれは幸せなのだ。

ダブルクロス 第二話『World End Juvenile』1

「ふふ、チェスニィにわかるかなぁ?」「分かるさ。だってお前にもらった名なんだから。一生かけても見つけてやる」