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こちらには『ワンナイト・ルバート』
のネタバレがあります。

本編見る!
KP
ふと、目を覚ました。
辺りには心地よい音楽が満ちていた。

音程を、リズムを、あらゆる要素を掛け違えた不協和音なのに、今のあなたには堪らなく心地よいと感じられる。
牧志 浩太
「佐倉さん」
鳴り響く轟音の中で牧志があなたを呼んだ。
その手にはリュート。服装は楽団の一員のような正装。
穏やかな微笑を浮かべて、遠くを見ていた。
佐倉 光
「牧志!」
楽器を手に彼を追う。
これは続きだ。塔から溢れた音楽は溢れて天空へ、世界へと満ちる。
俺たちはひとつになる。音の一つになって永遠にうたうんだ。
牧志 浩太
あなたが彼に追いつくと、行こう、と彼はあなたの手を引く。

見下ろせば、あなたの服装も同じ正装になっていた。
あなたの手には、あのタンバリンがある。
KP
聞こえる。見える。遠くで楽団が天上の音楽を奏でている。
鳴り響く音が聴覚を埋め尽くす。
眼球を揺さぶり、視覚を溶かす。

ああ、早く、早くあちらに行かなくては。
行って、あの演奏をともにしなくては。
そのためにある音なのだから。
佐倉 光
これ疑問を覚えていい奴なんでしょうか?
KP
ふと疑問を覚えるくらいはOKです。大きく反抗するのはまだ無理。
佐倉 光
はーい
佐倉 光
ああ、嬉しい。喜ばしい。いや、こんな感情にも意味がない。
永遠に共にあるのはもとよりの望み、それが叶うのだ。
全ての煩わしさから解き放たれ、そこに在るだけのものとなる。
完璧なるものの一部となる。
もとより人は死ねば世界に還る。音に還るのもさして変わらない。
かけがえのないものと手を繋いで、永遠に……
佐倉 光
おや?
楽器を奏でていては、手は繋げないな?
牧志 浩太
「?」
楽器を携えた牧志が足を止め、不思議そうに一度振り返る。
KP
あなたがふと疑問を覚えた、その時だった。

その時、音が響いた。
だめだ、と叫ぶ声にも聞こえた。

鋭く力強いヴァイオリンの調べが雑音を裂き、あなた達の心に掛かった薄雲を切り払う。
KP
不意に、あなた達は我に返る。
そうだ。
あなた達が奏でていたのは、全身全霊で示していたのは、生きていたのは、こんな音じゃない。
こんな音では、なかった。
佐倉 光
「くそっ」
毒づいて楽器を捨てかけ、思い直す。
何も捨てる事はない。これは武器になる。
一度力強く打ち鳴らす。

そうだ。こんなのは続きじゃない。
俺達の曲じゃない!
佐倉 光
「神音さんが持ちこたえてくれているんだ」
牧志に声をかける。当然彼も気付いただろうが、あの騒音とは違う音を発したかった。
牧志 浩太
「ああ」
彼は大きく頷いて、闇を払うように弦を鳴らした。
KP
空の上からスポットライトが降りる。
あなた達の視線の先で、神音が独りきりで弓を振るっていた。

彼の足元から、頭上から、背後から、漆黒の雑音が襲い来る。
彼を埋め尽くそうとする果てなき闇に向かって、彼は全身から汗を散らして戦っていた。

「望みもしない音を奏でるのは、音楽家としての矜持に欠ける!」
彼が叫ぶ。弓を振るう。闇が微かに後退する。

「僕が思う最高の音をもって、あなたの望みに応えよう」
闇が襲う。何度退けても退けても、粘ついた執着をもって、闇は這い上がる。
彼の額を大粒の汗が落ちた。弓を持つ指先が震えているのが分かる。

「それでも心が変わらないのなら、交渉は決裂です」
彼の脚ががくがくと震えている。目に深い隈が落ちていた。
一瞬でも気を抜けば掬われる程の圧力を前に、彼は弓を振るい続けている。

神が奏でる無限の調べに終わりはない。
彼の脚が折れたその時、彼はあれに連れていかれるのだ。

あなた達も、また。
KP
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
減少後の値で不定基準値をリセットすること。
佐倉 光
1d100 60 Sasa 1d100→ 39→成功
SAN 60 → 59
牧志 浩太
1d100 35 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 100→致命的失敗ファンブル
SAN 35 → 32
KP
oh
佐倉 光
ワァ
ただでさえ少ない正気度が
KP
ただでさえ少ない正気度がッ!

佐倉 光
震える手をおさえ、神音の演奏に合わせて叩こうと試みる。
KP
あなたは必死にタンバリンを叩こうとする。
あまりの圧力に、タンバリンの膜面がひとりでに振動をはじめ、あなたの意に逆らう。
牧志 浩太
「っ、うわ、っ、くそ、」
目の前で牧志の身体がひとりでに振動を始めていた。
必死に弦を押さえようとする指に逆らい、空っぽの身体が共鳴し、満ちる雑音を唄い始める。
佐倉 光
神音さんはこんな物に抗っているのか……! なんて精神力と集中力だ!
俺達はこんなのと戦わなければならないんだ……!
精神を集中して尚も抗おうと試みる。
牧志の中をあれで満たしてはならない! 
俺は外にいながらあの一部だ。少しでも違う音を、俺達の音を鳴らすんだ!
佐倉 光
神音かみおとさん格好いいね……
それはそれとして、ずーっと神音さん神音さん書く度にカミネセンパイがちらついて困る。
KP
分かる。大層分かる。ついカミネさんって読んじゃう。
最初の招待状にローマ字追加したのはそのせいです。
カミネセンパイ…… 二人の親友、東浪見の先輩。よく分からない人脈がある。音楽とは関係ない。
KP
あなた達は、神音は、抗い、抗い、抗う。
後から後から押し寄せる音に、振動に、天上の音楽に。
しかしどれだけ抗おうと、押し寄せてくる音には声もなく、限りもない。
あなたの手が震え、タンバリンが地面に落ちる。

まずい、と思ったそのとき、目が覚めた。
KP
〈音楽系技能〉に+1d10%。
佐倉 光
1d10 Sasa 1d10→5
〈芸術:打楽器(タンバリン)〉 57→62
牧志 浩太
1d10 Sasa 1d10→3
〈芸術:弦楽器(リュート)〉53 → 56%

佐倉 光
全身にびっしょり汗をかき、跳ね起きた。
KP
見慣れた部屋の壁が目に映る。
不快な汗がじっとりと背を濡らしている。

しかしそれよりも、自分の胸の内側にある異変が気にかかった。

心臓が音楽を奏でている。いや、それは気のせいだ。
何気ない物音がふと音楽に聞こえ、何もかも放り出して音楽に耽りたいという衝動を掻き立てる。

寝る前に思っていた、風呂に入って作戦会議をして、そんなことすら億劫だと起きた瞬間に思ってしまった。

心臓が音楽を奏でている。
音楽が耳から離れない。
明らかに衝動が強くなっている。
思考も理性も放り出して、音に耽っていたい。

背筋の汗がひやりと冷たく落ちた。
あなたはいつまで、個でいられるのだろう。

心臓が音楽を奏でている。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 59 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 70→失敗
SAN 59 → 58
牧志 浩太
1d100 32 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 43→失敗
SAN 32 → 31
佐倉 光
寝たの螺旋のそこだったんだけど、部屋に運んで貰っちゃったのかな?
KP
あ、そうか。
それは牧志が部屋に運んだということにしてください。
佐倉 光
はーい
佐倉 光
ちょっと自己判定。
【POW】×3くらいで……
1d100 45 Sasa 1d100→ 15→成功
佐倉 光
楽器は置いて風呂に行くぞ!!
牧志 浩太
1d100 36 なるほど自己判定 Sasa 1d100→ 22→成功
牧志 浩太
なるほど風呂の中で楽器を弾く事態は免れた

佐倉 光
音楽が、リズムが、侵蝕してくる。
無意識に呪具より先に楽器を手に取りかけ、ぎりぎりの所で踏み止まった。

駄目だ、こんな時だからこそ境界を自ら壊してはならない。
集中して風呂。集中して食事。話はそれからだ。
俺達は人間だ。人間である以上、しなければならない事がある。

いつものルーチンとして意識的に『人間的な行動』を行う。
風呂に入って、コーヒーいれて、身支度を調える。
その間中、リズムを刻み続ける心臓が五月蠅くてかなわなかった。
KP
部屋の外へ出れば、塔が悶えるように緩く蠢きながら、風が吹き抜けるのに似た低い音を奏でていた。
牧志 浩太
「おはよう。佐倉さんも夢を見たんだよな?」

よい香りが鼻をくすぐった。
牧志も同じことを考えていたのか、複雑な香りを漂わせるハーブティーのカップが、彼の手にある。
佐倉 光
「ああ、どんどん音楽に引き込まれている自覚がある。
ただ上手くなっていくんじゃなくて、あの騒音の奏者として作り替えられている気分だ。くそ」
珈琲を飲み干して指先で落ち着かないリズムを刻みながら髪にブラシを入れる。
佐倉 光
「弾く曲を間違えないようにしないとな……」
牧志 浩太
「ああ……。佐倉さんもそう、なんだな。
俺もだ。音楽に惹かれる程に、他のことを忘れさせられていくような、嫌な感覚が離れない」
牧志は鎖に巻かれた胸に手を伸ばし、心臓の位置をぐっと押さえた。
牧志 浩太
「そうだな……、なあ、佐倉さん。
久しぶりに『援軍』呼ばないか。
このまま俺達だけで夢中になったら、不味い気がする」
援軍
KP
いつも六人呼べてしまったら、二人きりであることの閉鎖性と味わいが薄れてしまうので、何かしらあってそんな高頻度には呼べないor呼ばないようにしているのがいいかな? と思います。>X牧志s
佐倉 光
もしくは随分と安定して、悪魔使いつきの悪魔じゃなくて、普通の悪魔として自由にやっているかも知れないと。
KP
ああー、なるほど、普通の悪魔として自由にやっているのもいいなぁ。
佐倉 光
普段は魔界で好き勝手やってるのかも知れない。
KP
そうしてたまに呼んだら久しぶりだねって来てくれるのかもしれない。いいなそれ。
見た目や存在の仕方も魔界に適応して結構変わってたりして。
佐倉 光
してたりして。
KP
じゃあそれで。

佐倉 光
「……ああ、なるほど。
影響を受けないヤツにいて貰えるといいかもしれないな。
そうすると……」
佐倉 光
「応えてくれるかな、久しぶりだけど」
佐倉 光
言って、一枚の古いカードを出す。
それには牧志そっくりの女性の絵が描いてあった。
浩子
彼女は古びたカードの中で、こちらを向いて静かに微笑んでいる。

彼女達があなたのもとを離れたのは、いつのことだっただろうか。

手綱を引く悪魔使いの存在がなければこの星にいられなかった彼女達は、長い時間と魔界への適応を経て自身を制御することに成功し、「普通の悪魔」としての安定した肉体を手に入れた。
それからは六人組の悪魔として、魔界でそれなりに楽しくやっているらしい。
佐倉 光
保証されるべきだった『人間としての』『自由と尊厳』
それが果たされたのはあれからずいぶんたってからだったし、前者については果てしなく微妙だ。
それでも彼女たちはそれでいいと言ってくれた。
使い魔としての契約はとっくに切れている。だからこれは、あくまで旧友に対する要請だ。
可能なら来て、助けて欲しいと。
ところで楽器が弾けるやつ、いるかな……
浩子
あなたの呼ぶ声に、確かに応える感覚があった。

ひらりと手が伸ばされる。
目の前の男のそれによく似た形の、ただ少し細く小さく骨の目立たない手。

ぴしりと何かが地面を打つ音がした。細い尾と、細く捻れた翼。

最初に二対の翼が姿を見せ、三本の尾が見え、靴を履いた爪先が見え、それから彼女の全身が姿を表した。
浩子
「久しぶり。何かあった?」

どうやらあちらもあちらで、魔界への適応が進んでだいぶん姿が変わっている。
一応、人間の部分はカードに描かれているものとそう変わらない姿をしていた。
佐倉 光
「久しぶり。元気そうで良かった。他のみんなもうまくやってる?」
佐倉 光
「面倒なことに巻き込まれていてさ、ちょっと困ってるんだ。
あー、浩子さん楽器できる?  何でもいいんだけど」
色々と気になることはあれど、細かい話は、後だ。
浩子
「ああ、みんな元気にやってるよ。
……え、楽器?」
ただ旧交を温めるために呼んだわけではないらしいと気づき、彼女は他の五人に言及しようとした口を止める。
浩子
「リコーダーなら。
魔界って娯楽独特だし、時間はあるからって始めたやつだけど、それでいい?」
佐倉 光
「ああ。笛か。バランスがいいな。
三日後まで、俺達を見張りながら演奏手伝って欲しい。
相応の物は出す」
佐倉 光
「詳しく話すとちょっとややこしいんだ」
飯の準備しつつカクシカしよう。

隙あらばリズムをとり始める指先で、蠢いている塔を指す。
浩子
「あー……、これは凄いな」
佐倉 光
「……ってわけで割とヤバい状況でさ、手伝って貰えると助かる」
浩子
「ああ、勿論」
牧志 浩太
「ありがとう、世話になる」
大きさの異なる三本の縦笛を取り出し、好きに使って、と彼女に渡す。
浩子
「お、豪華」
佐倉 光
「リコーダーまで出てくるのか。
こんなの持って帰ってきたっけ? 俺」
牧志 浩太
「ああ、それは……、何だっけな。
ごめん、忘れた。
確か、色々持って帰ってきた中に入ってたやつじゃないかな」
浩子
彼女は翼の先で二本の笛を巻き取り、残り一本の笛を手にして構える。
少し息を吹き込んで、うん、と頷いた。
浩子
「うん。大丈夫そうだ」
佐倉 光
「俺達が変なリズムや不協和音弾き始めたら即止めてくれ」
浩子
「分かった。その時は力ずくででも止めるよ」
彼女は意気込みを見せるように、翼や尾をゆらゆらと動かしてみせた。

佐倉 光
それじゃ食事したら、三日後の音楽祭についてネットでそれらしき情報上がってないか調べてみたいな。
神音さんの様子も見に行きたいけど。
あと演奏しながらでも良いからあとで翼やら尻尾に突っ込みたいw
いきなり生えたって反応じゃないから、他のヤツで前例があったのかも知れないし、少しずつ変異が進んでいるのかも知れないけど。

ていうか牧志ってやっぱり変質するのね……いや正体の特性もそりゃ多分に影響するだろうけれども。
浩子
曰くこういう料理を食べるのも久しぶりらしく、彼女は嬉しそうに箸を伸ばしていた。
KP
ネットで調べると、以下の情報に行き当たる。
バー「エッグノック」の音楽祭 についての情報。二日後にそういった飛び入り参加OKの、自由度が高くハイレベルな音楽祭がある。音楽祭の常連に魔女と呼ばれる女性がいるなど。
佐倉 光
「それっぽい情報っていったらこれだなぁ。
名前が一致していて、『魔女』の情報もあるし、
裏表国内外合せても他に該当しそうな情報がないから、間違いないんじゃないか」
佐倉 光
「この魔女があの魔女だって保証はないけどな。
ひとまずはこれに出る前提で練習すりゃあいいと思う」
キーボードを意味もなく指先でタカタカと打っている。
叩きたくてたまらない。無論楽器をだ。
牧志 浩太
「ああ。
あの人も昨日に三日後って言ってたし、国内ってことも考えて、日付まで合わせれば間違いないだろう。

二日後じゃ、これ以上裏をとってる時間もない。これで行こう」
牧志はリュートの柄を握りしめて宣言する。
その眼が演奏への期待と焦燥感で血走っていた。
佐倉 光
神音さんにここ数日で経験したことや音楽祭と魔女の事などを簡単に纏めてメールしよう。
KP
神音にメールを送ると、マネージャーからだろう、何だか戸惑った様子のメールが返ってくる。

「エッグノックの音楽祭ですか、地味に業界でも有名な奴ですね。

神音くんに伝えたら、行くって行ってましたよ。参加じゃなくて聞きに行く方で。

それまでにうっかり倒れないように、頑張って神音くんの健康管理をしておきます。
頑張って下さい」

あなた達の経験や魔女の件については、全くノータッチなメールだ。
これは…… マネージャーに困惑されている。うーん。

だがひとまず、彼はまだ気を確かに持っているらしい。
佐倉 光
これは今日の調査パートですかね。
KP
▽ここからは練習パートになります。
『魔女』のいる音楽祭の情報(上記)は比較的すぐに出てくるため、調査終了後に本日の練習を行えます。
浩子
浩子があなた達に必要な食事や休息を取らせてくれるため、その間に彼女の現状にツッコミ入れることもできます。
練習パートに関する情報
佐倉 光
「つまりは結局解決するにも演奏しなきゃいけないんだろ」
佐倉 光
「与えられるだけの力じゃあっちの思惑通りだ」
佐倉 光
「いっそ俺達自身で練習して、まともな技術を磨いてやろうぜ!
あの変な曲に抵抗するためにも弾き慣れた方がいいと思うんだ」
高らかにジングルを鳴らす。
牧志 浩太
「俺達自身で練習……、か。そうだ。そうだな。
このままじゃ呑み込まれる。

練習して、慣れて、自分のものにするんだ」
牧志 浩太
「そうだよな」
ジングルの響きに合わせて、牧志は弦を鳴らした。
すごいタンバリン
佐倉 光
なんで佐倉の楽器タンバリンにしたのっていったら、この多国籍演奏動画が印象的すぎたからですね。
正確にはタンバリンじゃないですけど。

プロのお遊び凄い。即興のメイン楽器スイッチとかもう素人目にはわけわかんなくてすっごい。
KP
えっ帰ったら参考も兼ねて見よう見よう
佐倉 光
このタンバリン奏者さん色々な意味で凄いです。
聴いてたら思わずアラブタンバリン欲しくなっちゃうけど、どう考えても真似できないなって瞬時に正気に戻れるレベルで。
KP
ほほう

KP
すげぇぇぇえええ(動画見た)
!? その発想はなかった(中盤)
すげぇぇぇえええ(見終わった)

楽器のジャンル全然違うのに完全に調和してるのがまずすごいし、その発想はなかったし、真似できないのは分かってるけどタンバリンに触れ直してそのポテンシャルを味わってみたくなる動画ですね
佐倉 光
定期的に観たくなるんですよねこれ。何度かコラボされているんですが他もすっごい。
タンバリンの方、動画によっては奇声上げて頭振り乱してる変なおじさんにしか見えなくて頭がバグりますが。
KP
他も辿ってみよう

KP
さて、音楽祭に参加すると決まれば、やることは一つだ。
今のあなた達は神により音楽の才を授けられた。
しかし、それだけでは十分ではない。
残り⼆日で、彼女の心を揺さぶる演奏をしなければ未来はない。

そのためには、あなた達の音が必要だ。
佐倉 光
牧志が乗り気だとみるや叩き始める。まずは肩慣らしに安定したリズムで。
技術を磨く、という目的ができるとなんだか気が引き締まる心地がする。
しかし叩くにつれ、演奏できるという楽しさのほうが勝る。
牧志 浩太
リズムが始まった瞬間、音を求めて悶えていた塔がそれに同調した。

足下から吹き抜けて螺旋の果てに消える風の音が、四方八方から響く鼓動が伴奏となる。
牧志 浩太
初めは衝動に引きずられるように先走りかけたメロディが、あなたが楽しみを思い出す程に、自身の主導権を取り戻してゆく。
浩子
注意深くあなた達を見守っていた笛の旋律が、伸びやかに安らぎ始めた。
笛と悪魔
佐倉 光
「悪魔が来たりて笛を吹く」なんてね。
KP
ああーーーーなるほどそういう!? >リコーダー
佐倉 光
楽器選んだ理由は単純に編成のバランスがいいからです。
あとべつに復讐劇じゃないので表では言わない!
KP
なるほど。笛といい宮殿といい浩子さんの笛に意図せず色んな意味が乗っている。
佐倉 光
あとまあ、確かに浩子さんは厳密には悪魔なんだけど、あまり悪魔呼ばわりしたくないというか~
KP
それはそう。当人あまり気にせずに悪魔度上がってるけど、それでも思考面は人間ですしね。
佐倉 光
ヘイジーナイトでついたバフがじみに役立ちそうですね。
KP
確かに。こんな所で役に立つとは。

佐倉 光
笛の響きに一瞬聞き入って、叩く手が止まりかけた。
笛が入る事で音楽が数倍に広がる。暫く裏方に徹して笛の音を聴く。
浩子
彼女自身も、伴奏が笛の響きを押し上げてくれることに驚いたようだった。

一瞬驚いた顔をし、それから満面の笑みを浮かべて主旋律を取り始める。
そこに弦の調べが併走する。
佐倉 光
※そういや笛じゃあ演奏中に話聞けないな!
たまに浩子さんに演奏休んで貰って話する感じか!
KP
※うっかり倒れないように浩子さんが強制的に食事水分休憩入れてくれる感じで!
佐倉 光
二人で弾いているより三人の方が楽しい!
そして、それぞれの意思で音楽の流れを操って変えてゆけるのがまた楽しい。

弾きたい曲をそれぞれが奏で出せばそれに合わせ、乗りこなしてゆく。
しばらくリフレインが続けば誰かが突然突拍子もないように聞こえるメロディを奏で始めてそれに乗る。
練習と言うよりも、ただ楽しくて叩き続けた。
牧志 浩太
二人でひたすら酔って騒いだときの、あの感じにもどこか似ていた。

思いつきを形にしては、旋律とリズムで笑いあう。
持てる技能の全てを絞り出しているのに、ただ何でもない話をしているかのようだった。
佐倉 光
まるで他愛ないお喋りのような演奏を延々と楽しむ。
そのまま浩子さんに止められるまで演奏を続けよう!
練習による技能値上昇
佐倉 光
牧志上がらないねー
牧志の成長1二回目じゃなかったっけ
KP
牧志上がりませんねぇ。
【DEX】佐倉さんより低いしあんまり楽器得意じゃないのか、「違う存在」なせいで佐倉さんより影響を受けづらいのか。
2回目ですね、1。

KP
楽しみに頭まで溺れる演奏を、いつまで続けていたのだろうか。
突然、腕が動かなくなった。
腕を見れば、細くしなる革鞭のような質感の尾が巻きついている。
牧志 浩太
「うわ」
牧志の腕にも同じものが巻きついていた。
佐倉 光
「わ!? ああ、浩子さんか」
びっくりした。
浩子
「はい、ここで小休止。ご飯にしよう。水分も必要だろ?」
KP
その言葉に、あなたは空腹と喉の渇き、尿意といった身体の感覚を自覚する。

そんなものより音に溺れていたいという衝動が胸を焦がしてやまないが、どうにか人間としての行動に立ち返ることができるだろう。
佐倉 光
「あ、ああ、言われてみれば。
全く気付かなかったな。昨日一昨日は自分で限界が見えたんだけど。
来て貰えて良かった」
休憩しよう。
牧志 浩太
「やっぱり明らかに引き込まれてるみたいだ」
牧志 浩太
「ありがとう、助かった」
浩子
「いいよ、久々にこうやって話せて楽しいし。演奏も楽しいし。
合奏ってこんなに楽しいんだな」
佐倉 光
「ああ、楽しいな。
うまいこと行ってこの力が消えるとしたらちょっと惜しい気がするくらいだ」
牧志 浩太
「確かにな。雑音の押し売りと無理やり連れていかれるのがなければよかったんだけど」
牧志 浩太
「これがなくなっても始めてみようかな、音楽。
きっと最初はもどかしいだろうけど、楽しいだろうと思うんだ」
傍らに置いた楽器を眺めて、牧志は穏やかに微笑む。
佐倉 光
「いいね、俺も始めてみようかな。
音楽も結構呪術に関係あったりするし、新しい道が拓けるかも」
牧志 浩太
「だな。音楽は呪術の基本だ。
できるようになったら、今まで見過ごしてたものが引き出せるかもしれない」

浩子
休憩しようとソファにつくと、麦茶とコーヒー、サンドイッチが用意されている。
あなた達が完全に入りきっている間に、浩子が用意してくれていたらしい。
佐倉 光
「いつの間に……」
浩子が演奏から外れたのは何となく分かっていたが、
何をしているか、には意識が向いていなかった事を思い知らされた。
牧志 浩太
「全部用意してくれたのか。ごめん、ありがとう」
浩子
「いいよいいよ、これも楽しいし。
向こうでこういう料理することって結構レアだし」
佐倉 光
「浩子さんまた『育った』なー。
その尻尾そうやって使えるのか」
喋る声がなんとなく跳ねて落ち着かない。
浩子
「ああ、尻尾の使い方?
最初にやりだしたのは古島なんだけど、やってみたら結構便利で。

これは育ったっていうか、魔界でずっと過ごしてたらこうなってた、って方が近いかな。
魔界に生活スタイル合わせてたらこうなったっていうか」
彼女は緩やかに尻尾を揺らした。
牧志 浩太
「魔界じゃないけど、聞いたことはあるな。別のものに紛れ込んで同じものを食べて、ずっとそう過ごしていたら、そうなることがある、って話を」
浩子
「増えはしないよ。
勝手に増えないって呪いはまだ生きてるし、それを取り込んだおかげでこうしていられるようなものだから」
佐倉 光
「そう、か。そういうものなんだな」
最初彼女は完全に人間にしか見えなかった。正体を知ってもなお、人間であるように勘違いを起こしてしまうほどだったのだ。
境界を越えるとはどういうことなのかを、彼女らはありありと突きつけてくる。
……とはいえ彼女らは最初から人間ではなかった、筈だが。
浩子
「そういうものかな。
吸う物も食べる物も生き残る方法も違うと、やっぱり変わってくる。
俺はまだこれくらいだけど、古島は好奇心発揮しちゃってすごいことになってるよ」
彼女はサンドイッチを手にしながら、くすくすと笑う。
佐倉 光
「古島かー。原形留めてる?」
見たら《SANチェック》もののやつになっちゃってたりしないだろうな?
浩子
「一応留めてるかなー。
でろでろ系じゃないから大丈夫だけど、色々やりすぎて情報量過多」
佐倉 光
「はは、再会するのが楽しみなような怖いような」
そういえばあいつ、契約して即危うい事して呪いに引っかかってたなぁ。
それからも好奇心で随分振り回してくれたっけ。
佐倉 光
「まあなんにせよ元気そうで良かったよ。
なかなかこっちも安定しなくて、そもそも召喚プログラムがまともに動いてくれない事が多くてさ」
浩子
「ああ、そういうことだったんだ。
ああ、こんな状況だけど、佐倉さん達も元気そうでよかった。

五人にも言っとくよ。
もしまた会える機会があったら、ぜひ呼んで。俺だけじゃなく、みんな喜ぶだろうから」
佐倉 光
「そうだな。なかなか余裕はないけど、またこういう機会があったら」
彼女と話していると、毎日のように彼女らと過ごして話していた頃の事を思い出す。あの頃も色々と大変だったけど、楽しかったな。なにより生きていた。
浩子
「ああ、その時はぜひ」
ソファの上でサンドイッチを片手に、三人でゆっくり話す時間。
ジャケットの裾を揺らして微笑む彼女を見ていると、あの頃そのままのようでいて、やはり誰一人同じではなかった。
佐倉 光
「シローも元気かな……」
ふと懐かしむように呟いた。もう今の俺達より『年上』になっているはずだ。
牧志 浩太
「ああ……。
元気かな。きっと元気だろうって思いたいな。
もう俺達より年上だよな。彼女できてるかな、顔いいし優しいからむしろ大騒ぎになってそうだよな」
佐倉 光
「想像ができないな。まあでもきっと幸せにやってるさ。あいつ賢いから」
懐かしさに浸っていると、ふっと眠気に襲われる。
牧志 浩太
「そうだな。それはきっと間違いない」
牧志は深く頷いて、疲れが来たのか同じように大きく船を漕いだ。
牧志 浩太
「ふわぁ……、」
佐倉 光
「そーいや、来客なんて想定してないから浩子さんの部屋ないな。
牧志、なんとかなる?」
最悪帰って貰うしかないけど、二度上手く行く保証はないからなぁ。
牧志 浩太
「ああ、大丈夫。どんな部屋がいい?」
浩子
「泊まるだけだしどんなのでもいいけど、じゃあそうだな、牧志の部屋」
牧志 浩太
「……分かった。随分前の話だから変になるかもしれないけど、いい?」
浩子
「いいよ、俺だってそんなにちゃんと覚えてない」
牧志 浩太
「……」
あなたの部屋の扉のちょうど反対側に、牧志は手を伸ばす。
ずっと前のことに耳を澄ませるように彼が目を閉じたとき、一瞬辺りが真っ暗になった。
牧志 浩太
次に辺りが明るくなったとき、書庫の一角だったそこに、壁と扉ができていた。
佐倉 光
「おっ、すっげぇ、言ってみるもんだな。
俺も見ていい?」
牧志 浩太
「ああ、もちろん」
浩子
「いいよー」
KP
扉を開けると、そこにはずっと前に暮らしていたあの家の、牧志の部屋そっくりな部屋が存在していた。

ベッド、机、机の上に置かれた一冊の手帳。
本棚と、小物を置く棚。クローゼットの中のハンガーと衣装ケース。

唯一違うのは、窓が無いことくらいだろうか。
佐倉 光
一瞬、時が歪んだような気がして、しばらく立ち尽くしてしまった。
そのほんのひとときだけ、全ての音楽が止まった。
この部屋に踏み込めばあの頃に戻れるような気がしてしまった。
佐倉 光
「ああ、懐かしい、な」
何故か喉の奥がぎゅっと痛くなったので、部屋には入らずに離れた。
牧志 浩太
「そうだな。……覚えてるみたいだ。意外と」
牧志もまた、その部屋の中へ踏み込むことはなかった。
KP
ぽっかりと口を開けたそこをよく見れば、本棚の中も衣装ケースの中も空だった。
どれだけ懐かしい色に満たされていても、やはり幻に過ぎないのだった。
あるいは、彼があえてそうしたのかもしれなかった。
佐倉 光
「今日も夢で引きずられるんだろうな。
神音さんが耐えてくれていればいいけど。
むしろ楽器演奏しながら寝るくらいでいけばいいのかもな」
牧志 浩太
「成程? それくらいでいいのかもな。交替で演奏しながら寝るか?」
牧志はぱっと話題を変えて、あなたの言葉に応じた。
佐倉 光
「意外と良いかもしれない。変な夢であの曲を弾かされそうになっても、
どっちかが演奏していれば聴覚の刺激から抑えられるかも。
考えられることは何でもやってみよう」
牧志 浩太
「そうするか。
じゃあ、俺もうちょっとやってるから、佐倉さんから先に寝てよ」
佐倉 光
「ああ、じゃあ頼む。お休み」
浩子
「それじゃ、部屋借りるよ」
浩子はひらりと手を振り、部屋の扉をくぐる。
佐倉 光
部屋に入ると、微かに牧志が奏でる音が聞こえてくる。
合わせて叩きたいという衝動が随分長いこと体の中で踊っていたが、楽器を手の届かない場所に置いて聴く事に集中する事にした。
これはもしかしたら明日には通じないかも知れない……

優しい音色に揺られて目を閉じる。
KP
昔を懐かしむような優しい旋律が、あなたを包み込む。
部屋の壁の向こうから、浩子のものか微かな気配と物音。

KP
その日、あなたは夢を見る。
音楽を聴きながら、見慣れた街並みを歩いている夢だった。

傍らにはいつものジャケットを着た牧志がいて、角を曲がれば馴染みの店がある。
風変わりが過ぎる名前のあのアパートへ向けて、夕暮れの道を歩いてゆく。
佐倉 光
会話の代わりに唄い、会話の代わりに手を叩いた。
KP
緩く傾斜した道は真っ赤に染まり、どこまでも、どこまでも続いている。
世界の中心までこの道は続いているのだと、あなたは知っていた。

世界の始まりで、終わりの場所。
牧志に話しかけようとすると、唇から音楽が漏れた。

一緒に行こう。
そこで、ずっと音を奏でていよう。
ともに。
佐倉 光
全身を楽器にして歩き続ける。
俺達の行くべき場所へ。あの懐かしい、奇妙な、場所へ。
奇妙な、そうたしか。奇妙な名を持つ。
曖昧なのに変に確固とした確信に導かれて進む。
俺達は帰る。あの場所へ。

一緒に行こう。
あの場所で永遠を過ごすために。
永遠に奏でるために。

奏でるのは、だれのために?
KP
いつの間にか風景は変わり果てていた。
街並みは歪み、道は溶け、理解あたわぬ旋律が鳴り響いている。

それでも、あなた達は迷うことはなかった。
唇に歌を、手に拍子を、それだけがあればよかった。

だれのために?

決まっている。
懐かしいあの場所で、眠る……、
KP
その時、ふとあなたの耳に、穏やかな弦の響きが差し込んだ。
後ろから手を引かれたような気がした時、目が覚めた。
夢を見た事による処理

佐倉 光
とても懐かしくて悍ましい夢を見た。
そのギャップが気持ち悪く、かけがえのない時間を穢されたような心地がした。
冷や汗を拭き、無意識のうちにリズムをとりながら部屋を出る。
また神音に引き戻された。まだ彼は抗っている。
牧志 浩太
部屋を出ると、牧志が半分、いや四分の三ほどは寝ながらリュートを爪弾いていた。
牧志 浩太
「×△○よう……」
殆ど呂律が回っていないし、何なら途中まで奇妙な言葉になっている。
佐倉 光
「おはよう、寝ていいぜ。この作戦失敗なんじゃないかって気がしてきたけど」
指先で苛立ちを表現するようにタンバリンを細かく叩く。
……いつ楽器を手に持っていたのか、記憶にない。
牧志 浩太
「うーん、そうか、だめか、ごめん、ありがとう……」
傍らの寝床へずるずると這っていくと、リュートを抱え込んだまま布団を被って目を閉じる。

程なくして、寝息が聞こえてくる。
眠る彼の身体には、変わらず鎖が巻きついていた。
佐倉 光
練習がてら、タンバリンの太鼓部分の皮を調節し、ジングルを鳴らさないようにしつつメロディを奏でて遊んでいた。
自分には効果がなかったが、牧志にはもしかしたら影響があるかも知れない……
KP
その楽器はあなたの手の一部であるかのように馴染み始めていた。

灯りを落とされた塔の中、皮の張りによって生み出される音階が、眠る彼への子守歌のように響く。

そうしてどれだけ手遊びをしていたのか、ふと牧志が目を開けた。
牧志 浩太
「ふぁ……、おはよう。
よく分からない夢見た。
成功なのか失敗なのか分からないな、この作戦」
浩子
「おはよう」
部屋の扉を開け、少しだけ寝癖のついた浩子が出てくる。
佐倉 光
「おはよう……あんまり良くないかもな、この作戦。
寝不足になると抵抗力落ちそうだし」
寝ぼけ眼でコーヒーをいれる。
牧志 浩太
「だなぁ……。
夢の中ではたっぷり寝たんだけどな」
ふわぁ、と欠伸を一つして、冷たい麦茶を注ぐ。
佐倉 光
気がつくと眠気を音で表現している。
佐倉 光
「懐かしい夢を見たよ。
浩子さんやシローがいた頃の、ずるむけ荘に牧志と喋りながら歌いながら向かっていたんだ。
いつの間にか得体の知れないところに向かってて、あの騒音が聞こえてたけどな。
で、また神音さんのバイオリンが聴こえて目が覚めた」
牧志 浩太
「ああ……、」
カップが机に触れて、かちゃりと音がした。
牧志 浩太
「そうか……、邪魔されたくなかったな、その夢は」
牧志は閉じられた部屋の扉を見遣った。扉の形や材質まで、あの部屋そのままだった。
牧志 浩太
「神音さん、抗ってくれてるんだな。
明日の夜まで、あと一日半だ。……頑張らないと」
少し怒りの籠もった声で言い、牧志は空いた手で強く拳を握った。
佐倉 光
「ああ、練習しないとな」
叩き始める。闘志を奮い立たせるようなドラムロールだ。
放っておけばそのまま叩き始めるだろう。
牧志 浩太
「ああ」
呼応して弦をかき鳴らし、戦歌のような勇ましい調べを奏で始める。
浩子
調べの背後で二人を援護する、高く軽やかな笛の響き。
佐倉 光
ではそのまま勢い良く叩き鳴らす。
鼓舞するように高みへ高みへと誘うようなドラムだ。
勢いで練習始めてしまおうか。
牧志 浩太
高く高く突き進むドラムに、メロディが高らかに栄光を歌い上げる。
一人の指で一つの楽器に無数の音色を発させ、整然と並んだ楽団を擬えようとするその技巧は、まだ偶に追いつかないのか時折乱れる。
もう少しで完全な姿が見えそうな、ひどくもどかしい音だった。
佐倉 光
誰かが乱れれば少し緩め、引き上げる。
自らも先走ってたたらを踏むような演奏になるとき、その部分に戻ってくるようにして何度か繰り返す。
行きつ戻りつ、丁寧な練習をするように、
それでありながら曲として破綻しない演奏。
励ますような装飾音。

それは命がけの演奏会に向けた『練習』であり『会話』であり『音楽』だった。
螺旋のなかを絡み合いながら駆け上がってゆくように、
時に手を取って踊るように、
時に勇ましく、時に優しく、奏で続けた。
肉体の感覚はもはやなく、楽器の一部のようになっていた。
牧志 浩太
あなた達は音で手を組み、音で助けあい、音で手を繋ぐ。
肉体のすべてを音に費やしているのに、あなた達はしっかりと手を繋いでいた。

無限に続く螺旋を音で駆け上がる。
無数の書物が並ぶ内側のすべてを音で満たす。

肉体の感覚がもはやなくとも、あなた達は溶けあうことはなかった。
互いを保ったまま響き合わせる合奏だった。
佐倉 光
もう少し、もう少しで果てが見える。光が見える。
内から溢れる音に、周囲から聞こえる音に肉体がチューニングされてゆく。
あと少し、もう少し……

思う心と裏腹に、僅かに演奏が乱れ始める。
餓え、乾き、疲労、そういったものが足を引き始めている。
KP
音がイメージと乖離してゆく。
完全な音が脳の中に存在しているのに、現実に出てくる音が異なっている。
あなたという楽器の調律がおかしい。乱れる。あなたはそれに苛立ちを覚えるかもしれない。
頭の中では完全な音が今も鳴り響いているのに、この調子の悪い楽器のせいで、音が現実に出てこない。
佐倉 光
追うほどに離れる。乱れてゆく。
ここが限界だというのか、ここが!
力を振り絞って悲痛な叫び声をあげるようにして音を出す。
あと少し、あと少しだと

あの空間でなら、永遠に奏でられるように、思えたのに
浩子
「駄目だよ」
その時、あなたの手を柔らかく掴む手があった。
穏やかな手つきなのに、悪魔の膂力は有無を言わせない。
浩子
「そっちへ行っちゃ駄目だ。
行かないために、こうしてるんだろ?

取り戻すために、ここまで来たんだろ?」
優しい第三者の眼が、あなたを穏やかに覗き込んでいた。
佐倉 光
「あ……」
『言葉』が染み込んでくる。
楽器を握った手から力が抜けた。
佐倉 光
「ああ、ありがとう」
『言葉』を発し、演奏を止める。
同時すさまじい疲労が押し寄せてきた。ソファに座り込む。
浩子
「明日のこともあるしさ。
練習も大事だけど、今日はもう休もう。な、牧志」
彼女は穏やかに微笑んで、反対側を振り返る。
牧志 浩太
「だな。倒れちゃ元も子もない」

透明な何かになりかけていた牧志が声をかけられて目を瞬き、こちらを振り返る。
佐倉 光
存在が消えかけてるー!?
KP
人間体じゃない何かになりかけてる。
浩子
座り込んだあなたに差し出されたのは、温いお茶と、細かい肉と野菜の入ったお粥だった。
なるほど、咀嚼や消化をする気力さえ残っていないのをよく分かっている。
佐倉 光
礼を言ってお粥を受け取り、すする。
佐倉 光
暖かくて懐かしい、ほっとするような味だ。
からだの内側に染み込んで、温めてほぐしてくれるような優しい味だ。
思わずため息をついて夢中で食べる。
佐倉 光
「スジャータの粥みたいだ」
半ば本気だ。
浩子
「ふふ、じゃあ俺は川沿いの村娘かな。
堕落した? 悟った?」
浩子は楽しそうにくすくすと笑う。
牧志 浩太
「とりあえず、ちゃんと帰ってきたって気はするな。……美味しい。
この瞬間に生まれた気がする。情報量が一気に増えた」
佐倉 光
「美味いなぁ……」
涙がにじむレベルだ。
佐倉 光
「悟りまであと一歩って気分なんだよなー」
上手く動かない手を見下ろしてぼやく。
佐倉 光
「あと一歩、ってとこで肉体の限界って壁にぶつかるんだ。
まさか楽器演奏でまで非力を恨めしく思うことになるなんて」
牧志 浩太
「肉体の限界、肉体か……。難しいな。
壺川もそれで本領発揮できてなかったし」
牧志 浩太
「……あれ、ってことは、悪魔になった今のあいつは本領発揮できてるってことか?」
佐倉 光
「おっ。そうなるか」
世界が静かってことは、幸いそれを悪用して大それた事を考えてはいないようだな。
佐倉 光
「俺は悪魔じゃないし、限界を詰めるしかないな」
佐倉 光
壺川は是非善人でいてくれよな!
KP
X牧志たち六人は実は結構得意分野違うから、六人で大それたことを考えたらなかなか大それたことになりそう。
佐倉 光
世界に異変が起こって即バレしそうでもあり、悪知恵が働くヤツもいて隠蔽できそうでもあり。
KP
佐倉さんと安里の悪知恵勝負になるかもしれない。
佐倉 光
風呂はいってこよー
浩子
「風呂沸かしとこうかと思ったけど、沸かし方分からないから任せた」
牧志 浩太
「ああ、今湧かすよ」
浩子
「俺も借りていい?」
牧志 浩太
「勿論」
KP
いつものように「風呂」に向かうと、温かい蒸気と溢れ出す湯があなたの強張りきった身体を迎えてくれる。
佐倉 光
湯に浸かってみると、腕の筋肉がひきつっているのを感じる。
明日はこんな無茶をしたら本番に差し支えるな。抑えていかないと。
ゆっくりと腕を揉みほぐして出る。
牧志 浩太
あなたが出ると、入れ替わりに鎖を引きずって牧志が風呂に向かう。
浩子
浩子とあなたが、螺旋の下に残された。
彼女は先程の食器などを片付け終わり、ハーブティーの香りを楽しんでいる。
佐倉 光
この空間に牧志以外がいるのが珍しくて、思わずじっと見つめてしまう。
いや、牧志は牧志なんだけど。
浩子
「?」
カップから視線を外して、彼女はこちらを見上げる。

柔らかくこちらを見返す表情はかつての牧志のようでいて、やはりそうではなかった。

微かに憂いを帯びていた眼差しから痛みの色は抜け、代わりにそれから過ごしてきた日々の独自さの、少し悪戯っぽいような色が宿っていた。
佐倉 光
「ああ、ごめん、ここに人がいるのが珍しくて、つい」
佐倉 光
「俺達もう何年も二人きりだったからさ……
たまには外に出ている俺はともかく、牧志は本当に人と接するのは久しぶりなんだ」
言いながら彼女から視線を逸らす。
今気付いたけど、割と目の毒だな。
浩子
「ああ、……、そっか。
それであいつ、ちょっと喋り方がぎこちなかったんだな」
佐倉 光
「ありがとう。来てくれなかったら、俺達二人だけだったらとっくに積んでた。
あと一日、よろしく頼む」
浩子
「勿論。こっちこそ、力になれて嬉しいし、久しぶりに会えて話せて嬉しいよ。
こうやって人間みたいに過ごすのも久しぶりだし。
あと一日、よろしく」

少しだけ名残惜しそうな色を滲ませて、彼女は微笑む。
風呂上がりの髪や肩から、柔らかく湯気が立っている。
そういえばその髪も、牧志のそれより少しだけ細く、柔らかい。
佐倉 光
「悪いな、先に休むよ。明日早いし」
視線をもぎ離して部屋に帰る。
複雑な事情
佐倉 光
相棒と同じ顔のヤツに女を感じている場合じゃないんだよ……
相手の事情を加味したら尚更。
KP
ないんだけどこんな閉鎖空間で風呂上がりの相手と二人きりですからねぇ。無理もない。
描写そういう感じにしてごめんな佐倉さん。
佐倉 光
こっちは色々と余裕がないうえ生きている事を思い出しかけているから、油断しすぎると押し倒すからな!
とはいえ絶対力では敵わんけど。
KP
悪魔として成った=以前より思考が刹那的になっているし、諸々懸念しなくてよくなっているし、気を許しているしで、割とその辺緩いんですよね今の浩子さん。
『佐倉さん』への思いもずっと大事に抱いてはいるけど、長い時間と変化を経て過去のものにすることができているし。

※ただし大事な所はぬるぬる
佐倉 光
そうだった。
KP
勢い余って押し倒したらぬるぬるとこんにちは……
佐倉 光
多分佐倉悪魔としかその手の経験ないよ……

つか問題はむしろぬるぬるしてることより目玉がついてる事では。
KP
同じ色の眼とこんにちはしちゃいますね。
浩子はざっくり言えば、こちらと全く同じような双子の世界の異星人であり、向こうの佐倉とはそういう・・・・関係だったらしい。
また、夢で自分の姿を忘れて不定形生物になった事件の際に、自分の姿を思い出し損ねて部分的に不定形生物のまま現実に来てしまった。

浩子
「ああ、お休み」
彼女はひらりと手を振り、あなたを見送る。
その辺りで、丁度牧志が風呂から出てきた。
牧志 浩太
「お休み、佐倉さん。
明日、楽しみだな」

楽しみ。
命を、あるいはそれ以上のものを賭けた本番に、彼は意識してそう口にした。
佐倉 光
「ああ、また明日」
今晩を乗り切らないとな。
佐倉 光
「明日は俺達の演奏で全部乗っ取ってやるんだからな」
冗談にも聞こえる声色で言って、部屋に引っ込む。
牧志 浩太
「ああ。その場を支配してやるんだ」
牧志は久しぶりに、にやりと笑ってあなたを見送った。
佐倉 光
色々余計な事を頭から追い出して寝ることにする。
永らく変化がなかったここに他者が入り込んだのは、
幸運の兆しか、それとも破滅の序曲か。
今日の夢こそは抵抗してやろうと心に決め、目を閉じる。
練習による技能値上昇
佐倉 光
このシステム最初でヘタれると辛いな。
牧志 浩太
最初でへたるとその後の上昇幅も減りますからねぇ。

KP
あなたは夢を見る。

あなたは演奏をしていた。一心不乱に、全身を楽器と変えて。

光が目の前で輝いていた。あなたの全身を光が満たしていた。
思考も言葉も、もはや必要なかった。あなたは望み続けた頂に立っているのだ。

あなたの傍らで牧志がともに奏でていた。透明な、表情のない彫像のような存在となって。

彼の背後に、無数の演者が立ち並んでいた。
その姿形は様々。人間のように見えるもの、幼いもの、年経たもの、不定形の何か、うねる触手……。

あなた達が奏でる音は、この宮殿で眠る唯一のために捧げられている。
時には子供を慰める子守歌のように、時には愛を語る夜想曲のように、ただひたすら、主のために。

視界がぼやける。思考がどんどんと鈍くなっていく。あなたの指先がぼやける。そうだ。肉体などいらない。思考などいらない。言葉などいらない。

あなたは研ぎ澄まされ削ぎ落とされてゆく。音を奏でるためだけの存在になってゆく。

それでこそ、限界の果てに至れる。
佐倉 光
肉体があれば限界に至る。ならば肉体など要らない。
なんて簡単だっただろう。
要らないものは捨ててしまえば良かった。
もっと早くこうしていれば良かった。
KP
そういえば。
自分達の心を引き戻した、あの弦の響きはどこに行ったのだろう。
佐倉 光
バイオリン……そうだ、バイオリンが……
ほとんど失われた言葉の、思考の残り滓でふと思い出す。
足りていない。
KP
不意に、
浩子
「佐倉さん!」
KP
誰かの叫びがあなたを引き戻した。

KP
激しい鼓動と全身をぐっしょりと濡らす冷や汗と共に、あなたは目を開いた。

戻ってきてしまった。違う、戻ってこられた。
あなたの腕を浩子が掴んでいた。

部屋で寝ていたはずのあなたは書庫のソファーの上に横たわっていて、どうやら部屋から引きずり出され、牧志と一緒に彼女に叩き起こされたらしい。
牧志 浩太
「佐倉さん……、よかった、 戻ってきたんだな」
牧志があなたと同じように横たわり、浩子に腕を掴まれながら、汗で張りついた髪の向こうからあなたを見た。
KP
あなたは気づく。
あなたが先程見させられていたのは、夢ではない。夢などではない。

目前に迫る現実の先だ。
佐倉が悪夢により狂気に落ちてしまう。
佐倉 光
理解した。理解してしまった。あれは来るべき未来だ。
佐倉 光
「あぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁ!」
意味を持たぬ声が飛び出した。
それは拒絶や絶望のようでありながら、
ともすればあの音楽に引きずられていきそうな自身への悲痛な呼び声のようでもあった。
肺の空気を絞り出しても尚、声は螺旋の中を駆け巡る。
空気が尽きて、肉体が活きるために息を吸えども、片っ端から声を上げるために使われてしまう。

バイオリンは聞こえなかった。
神音は敗北したんじゃないのか?
俺達が今までやって来た事は無駄だったんじゃないのか?
もう手放してしまえばいいんじゃないのか?
さっさと諦めた方が楽じゃないか。

そんな声がどこかから囁く。
その言葉を塗りつぶすように声を上げ続けた。

声を発するだけのものになっていた。
牧志 浩太
「佐倉さん、……佐倉さん。
大丈夫だ、俺達はまだいる。俺達は、ここにいる」
牧志 浩太
「ここに、いるから」

牧志が跳ね起き、声を上げ続けるあなたの肩を掴む。
どこか願うように、あなたの眼を見つめて訴える。

彼のこんなに必死な姿を、あなたは久し振りに見るだろう。

この書庫そのものとなってから、彼はずっと、どこか時を止めていたのだ。
KP
〈音楽系技能〉を+1D10%する。
佐倉 光
こんなのでも貰えるのかー
KP
貰えちゃうんです。
佐倉 光
1d10 Sasa 1d10→4
〈芸術:打楽器(タンバリン)〉 83 → 87
牧志 浩太
1d10 Sasa 1d10→4
〈芸術:弦楽器(リュート)〉 59 → 63%
佐倉 光
悲鳴は次第にすすり泣きになり、はっきりとした悲嘆になった。
牧志に肩を掴まれ、その目を覗く。
駄目じゃないか、そんなに感情を乱したら、保てなく、なる……
佐倉 光
揺らぐ。壊れる。抑えるには、抑えるには……
静かに穏やかに歌い出す。
涙で喉を詰まらせながら、寝ながらしっかりと掴んでいたらしいタンバリンを叩きながら、
言葉ではなく音で語りかけた。
牧志に、自分自身に。
牧志 浩太
「あ……、ああ……、」
彼の指先がひくりと跳ねた。
危うく揺らぎかけていた塔が、語りかける音に息を詰めて耳をそばだてていた。
牧志 浩太
「ごめん、取り乱した……、佐倉さん、ありがとう、」
彼は数度喉を震わせて、浅く息を吸う。
指先をリュートの弦に伸ばして、音に音で応える。

喉は息を吸うのに忙しく、声が出ない。
語りかけられる音が書庫の底の底に染み通るまで、緩やかに音を交わし続けた。
佐倉 光
そのまま撫でるように優しく緩やかな演奏を続ける。
自分達がここに存在していると確かめ合うように、触れ合うように。それぞれを保ったままでそれぞれを補う。
浩子
あなた達が確かに存在していると証言する音色が、二人の演奏に寄り添う。
佐倉 光
いつしかその音から悲哀は消えて、鼓舞するような音色になる。
佐倉 光
今日の戦いに向けて。
今日勝ち取る栄光と未来へ向けて。
牧志 浩太
やがてあなたの音色に導かれるように、弦の響きが力強さを取り戻していく。

牧志の両眼に光が戻っていた。
それは、諦めないという光だった。

あの時から、彼が唯一、ずっとずっと持ち続けているもの。
佐倉 光
いける。いける。俺たちはいけるんだ!
牧志 浩太
「行ける」
牧志 浩太
「行けるな」
区切るように牧志が言葉で宣言した。
KP
あなたの中にはいまも、音楽への衝動がはち切れんばかりに詰まっている。
指先は絶えずそちらに引きずられそうになっていて、心臓は音を詰め込まれてリズムを刻む。

そのリズムに身を委ねてしまえば、あなたも牧志も、もう苦しまなくて済む。
あなただって諦めの悪い男に付き合わされなくて済むし、牧志だって、叶うはずのない望みから解放される。

それでもあなた達は、与えられた音に溺れることをよしとしなかった。
技能成長
牧志 浩太
佐倉さんはほぼ確実(93)。牧志はなんとか成功率は確保したけど微妙な値(69)。うーん!
佐倉 光
俺は、俺の音楽をやる。
牧志は牧志の、浩子さんは浩子さんの。
その上で合わせるんだ、自分達のための音楽。
断じて、与えられた音でもない、訳の分からない存在に捧げるものでもない、俺たちの音だ。
佐倉 光
不思議と、終わりを告げるべき時が見える。
牧志 浩太
演奏はゆっくりと終わりに向かって下っていく。
牧志が、最後の一音を告げた。
佐倉 光
我知らず笑みがこぼれた。

コメント By.佐倉 光
そのときに向けてひたすらに腕を磨く。
与えられた才能か? 自らの技術か? いずれにせよ良い演奏をするために。

TRPGリプレイ CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 4

「隠したいと思う理由って大体碌でもないでしょ?
で、今回の事件に関係があるとしたら。だいぶキナ臭い」

TRPGリプレイ【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 5

「……確証がない、危険、か。俺、何度そう考えてるんだろうな」

TRPGリプレイ【置】CoC『スプーキィ・ポルカ』牧志&佐倉 3(終)

やることはやるんです。それが最終的に誰かを優先するということだから。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


TRPGリプレイ マモノスクランブル『推し活★ビギニング』 1

「みんな~! 来てくれてありがと~!」

TRPGリプレイ CoC『死にたがり電車』羽生1

事実は小説より『とびきり』奇妙なものなのだ。とはいえここまで『とびきり』のものにはお目にかかったことがないが

TRPGリプレイ CoC『VOID』継続『空白の航海』ヴィキ 1(未完)

「必ず、幸せになれるだなんて、そんなこと言い切れないよね」