こちらには
『おばけのまち』
のネタバレがあります。

牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。
とある事件以降、胃袋が独立した生命体になってしまった。

佐倉とは友人。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。とある事件より、体中の痛みに悩まされている。
基本悪魔を召喚して戦うが、悪魔との契約のカードを使ってその力を一時的に借りることもできる。

巻き込まれ体質らしい。
とある実験の被験者になっていたが、そろそろ帰還予定。

牧志とは友人。


開始前
KP
『おばけのまち』購入したんで、色々落ち着いたら始めます~
牧志 浩太
おおーーー! 楽しみにしています。
KP
『おばけのまち』、かなりごっつい《SANチェック》入るしロスト率も結構高い話です。
どうしよっかなー。
牧志 浩太
なんと。ロスト率高いのかー……。
KP
結構高めの《SANチェック》がポンポン飛んできます。
子供だから恐怖に弱い、ということらしい。
テストプレイ時の探索者さんが70~90だというからなぁ。
〈回避〉が必要なんだけど、これは強化アイテムでも渡した方が良さげかな……
牧志 浩太
なるほどぉ。
気にはなるけど、牧志&佐倉さんではまだまだやりたい話があるし、いつもと違う状況の話でロストしちゃうのは勿体ないな。
KP
難易度下げて遊ぶという手もあるけども。
そこそこガチで殺しに来ますねぇ、この話。
牧志 浩太
そうかぁ。
難易度下げても成り立つ話なら難易度下げてやるのもアリですが、それで雰囲気を損なうようだったら別のPCかな。
KP
一応ロスト救済可となっているので、復帰するようなシナリオを回すという手もありますね。
牧志 浩太
もしくーなさんがそれでもよろしかったら、こちらは全くアリ。>復帰するようなシナリオを回す
KP
今二人の正気度 ってどんなもんだったかな……
牧志 浩太
牧志は最大値が低いんですよねぇ……。53(最大)なんです。
佐倉さんもMAX58かー。
KP
一応難易度は調整可となっているから、その辺でなんとかやりくりしてみるかなぁ。
牧志 浩太
お手数をおかけします。
KP
ロスっちゃったらそんときはそんときで、救済チャレンジしよ。
牧志 浩太
ああー、高SAN〈回避〉【POW】【DEX】推奨なのかぁ。
こわいなぁあああ! よろしくお願いします!
KP
これでもテストプレイの時より難易度が低くなっている、という説明を見て私は震え上がりました。
よろしくお願いします。
牧志 浩太
ひええぇ。
難易度を大幅に下げて遊ぶことにしました!

シナリオ外成長など
KP
二人とも随分時間が経っているので、正気度 を最大値まで回復します。
それから、シナリオ外成長。
牧志は2回分行って下さい。
佐倉は休暇中に習得できそうな、知識系に限定して行います。
佐倉は〈人類学〉を二回にしよう。付き合ってるうち深く考える機会が多かった。
牧志 浩太
SAN 53。
牧志 浩太
お、分かりました。
では今まで落ち着いて学びそびれた分も勉強を頑張ったということで、〈電気修理〉と、あとはシローのことについて集中して調べたので〈法律〉を。
1d100 46〈電気修理〉 Sasa 1d100→ 64→失敗
1d5 成長 Sasa 1d5→3
1d100 5 〈法律〉 Sasa 1d100→ 28→失敗
1d5 成長 Sasa 1d5→2
〈電気修理〉46→49、〈法律〉5→7。
佐倉 光
1d100 1〈人類学〉 Sasa 1d100→ 21→失敗
1d10 Sasa 1d10→1
1d100 1〈人類学〉 Sasa 1d100→ 15→失敗
1d10 Sasa 1d10→7
ミスったけど問題ナシ。8増えて9になった。
牧志 浩太
佐倉さんが人間理解を深めていく。
KP
あ。間違えた
成長1d5だな。振り直します。
牧志 浩太
あ、本当だ。
佐倉 光
1d5 Sasa 1d5→2
1d100 3 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
1d5 Sasa 1d5→2
4増えました。
牧志 浩太
成長ロールでよかった。>出目

佐倉が奇妙な実験のために家を空けて4ヶ月が過ぎた。そろそろ戻ってくるはずなのだが……
牧志 浩太
あれからまた、時折奇妙な出来事に巻き込まれた。
けど、命に危険が及ぶようなことはなく、まあ、少し穏やかと言ってもいい暮らしだった。

あの夢の出来事が起きた時、自分はとても危うかったのだ、と、何か本能のようなもので分かる。
少し間違えれば、何かとても大変なことになっていたのだと。

幸い、シローに被害が及ぶことはなかった。
自分の事とシローの事だけを考えていればいい生活は少し気楽で、さびしい。
牧志 浩太
……あれから数か月。
シローの件は一進一退って所だ。
うまく行きそうなことが見つかって、当たってみては、うまく行かない。

今までずっと、何も考えずに一緒にいたんだ。
気長にいかないとな、その分。
牧志 浩太
そう思いながら、定期連絡が来ることもないスマートフォンの上で、友達と喋ろうと指を滑らせた時だった。
KP
時折奇妙な出来事に巻き込まれながらも、日々を過ごしていたあなたのスマートフォンに

『契約は終了🧠 帰りました👍』

突然届いた、差出人も知れない奇妙なメッセージ。
このアカウントは、ほんの数名にしか教えていない緊急時用のものだ。
KP
ミゴサン『よし。これで被験者の帰りを親しみを加えて予告できた』
牧志 浩太
ミゴサンwwww
人間のコミュニケーションを軽々しい方向に学んでるw
牧志 浩太
「!」
息が、詰まった。
牧志 浩太
佐倉さん!
佐倉さん、
佐倉さんだ……!

そうだ、今日でちょうど四か月。
本当に。
牧志 浩太
本当に帰ってきてくれたのか。
牧志 浩太
『佐倉さん! 今、どこ!?』
メッセージを送りつつ、急いで家に帰る。
KP
スマートフォンは沈黙して、あなたがいくらメッセージを送ろうと電話をしようと答えることはなかった。
メッセージを送ってきたアカウントは、用は済んだとばかりに消え失せてしまっていた。

玄関の扉を開けると、
KP
「まきしー、おかえ……」
言いかけてシローが心配そうな顔をした。
「いたい? うれしい? かなしい? おかえり」
KP
玄関に佐倉の靴はなかった。
牧志 浩太
「ただ……、いま。大丈夫、嬉しい。
佐倉さんから、帰ってくるって連絡があったんだ」

シローに言いながら、佐倉さんの連絡先にメッセージを送ってみる。
KP
「さくら、いないの?」
あなたの背後を見て、シローはなんとなく察したようだった。
牧志 浩太
ふっと不安がよぎった。
まさか、まさか前みたいにまた、帰ろうとした途端に何かに巻き込まれちゃったんじゃないだろうな。
KP
やはり佐倉からの応答はない。
KP
「さくら、あしたかえる。
あしたおいしいのつくって、まつ」
シローがあなたの背をぽんぽんと叩いた。
あなたがいつもシローを慰めるときのやり方だった。
牧志 浩太
「ああ……、そうだな。ごめん、取り乱して。
そうだな、連絡はあったんだ。きっと明日帰ってくるんだ。
何か、美味しい物でも作って待ってようか」

シローの温かい背中をそっと抱きしめて、頷く。
牧志 浩太
「道に迷ってたら困るから、ちょっと探してくるよ。
シロー、家で待ってて」
あの佐倉さんが「どこ」から戻ってくるのかも見当がつかないが、よく行きそうな場所を探しに行く。

KP
あなたは佐倉を探しに出た。
夜中によく彼が散歩している見晴らしの良い場所へ。
人があまり通らない公園へ。
裏道にひっそりとある如何わしい店へ。
そのどこにも、佐倉が立ち寄った形跡はなかった。
牧志 浩太
今日じゃないのかな、今日だとは言わなかったもんな。
牧志 浩太
ずっと穏やかな所にいたから、時間感覚がずれてるのかもな。
牧志 浩太
また、あんな目に遭ってたらどうしよう。
牧志 浩太
……、会いたいな。
KP
探して探して、疲れ果てて見上げる目には、
いつか緋寒・深山と別れた映画館がうつっていた。
牧志 浩太
疲れ果てて見上げた眼に映る、あの時の映画館。
入り口を照らすライトの光が、眼の奥に滲んだ。
KP
※ここからあなたはおとなではありません。
大人としての記憶を失い、子供になります。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲

KP
きぃこ……きぃこ……
とんがった音が聞こえる。
金属がこすれて軋むおと。
なんだか不安になるような、さみしくなるような、悲鳴みたいなおと。

ふときづけばあなたは、どことも知れない小さな公園の、古びたブランコに座っていた。
空は暗くて白い月が穴を開けるようにぽかっと浮かんでいる。
牧志 浩太
「……あれ?」
ぱちりと目を開いた。

悲鳴みたいな音がして、誰もいない日の真夜中の風のおとみたいで、
なんだかちょっと。
さみしくなって、不安になった。
牧志 浩太
ここ、どこなんだっけ。
またはぐれちゃったのかな。父さんは母さんは、浩司はどこいったんだろ。
いつもならなんにも怖くなんてないのに、今日はなんだか、泣きたいみたいなきもちになる。
アイはどこいったんだろ、と思って、あれってなった。
アイはまだちっちゃいから、こんなとこ来ないよな。

きいこ、と横から音がした。
KP
きぃこ……きぃこ……
音はあなたの隣から聞こえていた。
牧志 浩太
「浩司?」
そっちを振り返る。
佐倉 光
あなたと同じようにブランコに座った黒髪の男の子が
途方に暮れたような顔でうつむいていた。

年の頃は多分6歳くらい。見たことのない子だ。
自分と同じくらいだ、とあなたは思う。
手足は細く、顔は青白く、今にも泣き出しそうにも見えた。
牧志 浩太
「あ……、」
むかえに来てくれたのかな、そう思って振り向いた先にいたのは、知らない子だった。
誰だろ。見たことない子だ。
牧志 浩太
でも、誰かいてくれて、ちょっとほっとした。
牧志 浩太
「きみ、だれ?」

牧志 浩太
性格は牧志本来の記憶の「こうた」がベースですが、無意識に波照間の記憶が混じっている子供浩太で行く予定です。
猫の話の時系列考えると、ユキやおじいちゃんはまだ健在かな。
KP
そうですね、だいたいそのへん。

佐倉 光
その子は、気の毒になってしまうほどビクリと震えてあなたを見た。
佐倉 光
不安そうな顔であなたを見て、それから小さな息をついて、目を逸らしながら言った。
佐倉 光
「ぼ、ぼく、僕は、ひかる……佐倉光」
KP
その蚊の鳴くような声にも聞き覚えはない。
それなのに、何故か知っているような気もした。

その子はあなたの首のあたりをちらちらと見ては目をそらす。
手が、そこに心臓があるみたいにひっきりなしに握ったり開いたりしていた。
牧志 浩太
知らない子なのに、その声を聞くとなんだかほっとした。
一緒にいたいな。力になりたい。
なんでだろ、そんなふうに思う。
牧志 浩太
「おれ、浩太。牧志浩太。
光、ここどこかしってる?
おれ、なにしてたか憶えてないんだ」
佐倉 光
「覚えてないんだ」
心細そうに呟いて、その子は首を振った。
佐倉 光
「病院にいて……友達の家にいて、帰ろうとして……?」
佐倉 光
「わかんない。
ここは知らない。怖い。帰りたい」
ぶるっと体を震わせて縮こまった。
彼の震えに合わせて、またブランコが悲鳴のように、きぃこ、と鳴った。
KP
どうしてか、その子だけが風景で浮いて見える、と思ったら、この公園の設備も、街も、なんだか白っぽいのだった。
牧志 浩太
「うん……、おれも。
なんだかここ、さみしい。冷たい」
ぼんやり白っぽい公園や街は、雪の積もった夜の白くて静かな感じとも、なんだかちがう。
牧志 浩太
「行こう、ひかる。
おれも帰りたい。いっしょに帰るとこ探そうよ」
ひょいとブランコを降りて、手を伸ばす。
佐倉 光
「うん……よろしくね、こうた」
ひかるはブランコからおそるおそるといった感じに降りて、あなたに手を伸ばし、手を掴んだ。
そして目をぱちくりさせる。
佐倉 光
「ん……あれ?」
KP
彼の手に触れた途端、不思議と親しみが湧いた。
牧志 浩太
「うん。よろしくな、光」
その白い手を、しっかりと握った。
ほっとした。見たことない子のはずなのに、知ってる気がする。
牧志 浩太
「? どうしたんだ?」
佐倉 光
「なんでかな。ちょっと嬉しい。僕はずっと、浩太に会いたかった気がする」
佐倉 光
「変だよね、会ったこともないのに」
牧志 浩太
「ううん、おれも。
なんでだろ? 光の手を握ってると、ほっとするんだ」
KP
公園は何となくぼんやりした色彩で、地面も白茶けていた。
まるで適当に塗った絵みたいだ。
周囲の建物は真っ白で、なんとなく作り物みたいに見えた。

立ち上がるとポケットでちゃりんと音がした。
ポケットの中に1d7+3枚の百円玉が入っている。
牧志 浩太
「あれ」
音に気づいてポケットを探る。
1d7+3 Sasa 1d7+3→ 7+3→合計10
KP
おかねもちー
佐倉 光
1d7+3 Sasa 1d7+3→ 4+3→合計7
KP
二人ともおかねもちー
KP
ポケットの中の硬貨以外、二人とも何も持っていない。
と思ったら、あなたの腕には綺麗なブレスレットがはまっていた。
【POW】強化の鱗のブレスレットは持っています。
牧志 浩太
探ると百円玉がいっぱい入ってた!
それに、手にはきらきらした飾りまでついている。
牧志 浩太
「すごい!
なあなあ光、おれ、お金持ちだった!」
大金だ! こんな大金もらったことがない!
思わずテンションが上がりそうになって、光の様子に気づく。
佐倉 光
光は不安そうな顔をしながら、胸元に手をやっていた。
だが彼の胸元には何もない。
牧志 浩太
「どうしたんだ? なくし物?」
佐倉 光
「うん……なんだろう……何かなくしてるのかな。わかんない」
佐倉 光
「あれ? 僕のポケットにもお金が入ってた。こんなにもらったことないのに」
KP
ポケットから硬貨を取り出して首をひねる。
佐倉 光
「なんか、寒い」
KP
公園にはうっすらと霧が出ていた。
ぼやけたような色の公園にはぽつぽつと古ぼけた遊具が並んでいる。
公園の周りを取り囲む樹も枯れかかっているような色をしていて、なんだか頼りなかった。

公園のすみっこにはベンチがあって、そこに変にくっきりとした色彩が乗っかっている。
青と黒の塊だ。
……大人の男の人が寝ている。
牧志 浩太
「うん。
なんだか寒いよな、ここ。
それに、さびしい。
ここ、どこなんだろ……」
辺りをきょろきょろと見回す。
何か、見覚えのある物や、風景は見当たらないだろうか。

そうやって見回していると、寝ている人の姿を見つけた。
牧志 浩太
「あれ、誰かいる。大人のひとだ!」
人の姿を見つけた嬉しさで、光の手を握ったまま、その人の所に駆け寄ろうとする。
佐倉 光
「うわっ、っとっと」
KP
足を縺れさせながら、光はあなたについてきた。
本編見る!
KP
これまた白茶けた木製のベンチで平和にいびきをかいていたのは、黒い服に青い上着をまとった青年だった。
彼にも見覚えがない。
佐倉 光
「この人知ってる?」
KP
光がこそこそと囁いた。
牧志 浩太
「ううん、知らない」
知らないのに駆け寄ったらしい。
KP
いびきがピタリと止まった。
「んあー?」
ふわふわと大あくびをして伸びをして、男の人は起き上がった。
そしてあなた方二人を見てにっと笑って手を上げた。
「よっ」
牧志 浩太
「よっ」その様子を真似る。
牧志 浩太
「おじさんだれ? ここどこか知ってる?」
KP
「お兄さんと呼びな。まだ20代なんだぞぉ。

見ない子たちだなー。なんでこんなとこにいるんだい?
早く帰んなよ。
いい子はとっくにベッドでおねんねの時間でしょ?」
牧志 浩太
「おれたち迷子なんだ。気がついたらここにいたの。
おじ……おにさん、駐在さんのいるとこ知らない?」
KP
「さぁー、ここにそんな奴いたかなぁ。
早く帰らないと危ないぞー?」
男の人は、くすくす笑った。
牧志 浩太
「いないの?
おれたち帰り道わかんないんだ。
お兄さん、ここどこなのか知ってる?」
KP
「ここはねー、おばけがでるまち。
信じる? おばけ。
運が悪いねー、今日がそのお化けが出る日でさ、この町おばけに食べられちゃうんだよ」
佐倉 光
「おばけ? たまに浮いてるの、見えるけど……」
牧志 浩太
「光はおばけ見えるの? 
すごいな。おれも一度だけ会ったんだよ、でも誰も信じてくれないんだ」
佐倉 光
「僕も、信じて貰えたこと、ないんだ……」
佐倉 光
「浩太も見たんだね」
牧志 浩太
「うん。いっぱい話したんだよ。でもみんな気のせいだって言うんだ。
そっか、光もおばけ、見たことあるんだ」
光は幼い頃から妖精族の悪魔が見える体質、浩太は、本人がではなく波照間が、宇宙からの来訪者に連れられて宇宙遊泳をした想い出がある。
KP
「なんか君ら嬉しそうだね?
君らそういうの見えちゃう人かー。
ここにいるのはおっかないおばけだからね。よその子を食べちゃうんだよ」
牧志 浩太
「そうなの?
おれたち、おばけに食べられちゃうの?
おにーさんも食べられる?」
ひぇっ、と声を上げて光の手を握りしめる。
KP
「おにーさんは大人だし、これからバイトだから」
男はにっと笑って親指を立てた。
KP
「ほんと危ないよ?
おばけはさみしさでできてるんだ。
夜明けまで君らここにいると、さみしさで君たちもおばけになっちゃうぞ」
佐倉 光
「えぇっ、いやだよ、助けて!」
KP
「助けてあげたいのはやまやまなんだけど、詳しく知らないんだよね。
たまにちゃんと帰れる子もいるって噂だけど」
牧志 浩太
「たまになの? みんなおばけになっちゃうの?
みんないるのに、さみしいの?
さみしいのはやだな、帰りたい」
牧志 浩太
「お兄さん、他の大人のひとたちがいるところ、知ってますか?
知ってるひとがいたら、おはなし聞きたいです」
光の心細そうな様子を見て、ぐっと顔を上げてお願いする。
KP
「もう夜中の二時だからねー。大人も大体寝てるよ。
でもまあ、駅とかにはいるんじゃない?
おばけは人間のにおいに敏感だっていうから、気をつけな?」

男は伸びをして、公園の片隅に止めて在ったバイクの方へと歩いて行く。
KP
「そこに地図があるからね」
公園の小さな門の所に立て看板の地図がある。男はそれをひょいと指さしてヘルメットを被った。
佐倉 光
「えっ、待ってよ、置いていかないで」
牧志 浩太
「待ってー!」
慌てて男のバイクにしがみつこうとする。
KP
「はいはい。君たちメット持ってないでしょ?
グローブもないしそんなペラペラな格好じゃね。
それに二人も乗れないから。危ないからだめだめ。

それにさっき言ったろ? 君たちは『ここにいちゃいけない』んだよ。
お兄さんに構ってる暇なんかないはずだよ」
男は気の毒そうにしながらもあなた方を追い払ってバイクに跨がる。
牧志 浩太
「わっ」
追い払われて尻もちをつく。
KP
去り際ふらりとあなた方の方を向く。先輩の瞳が弧を描く。

「おばけになる前に早く帰りな」

そう言い残し、彼は公園を後にする。
佐倉 光
「あぁっ」
牧志 浩太
「あ……」
起き上がりながら、去っていくバイクを見送る。
佐倉 光
「どうしよう、どうしよう……浩太」
光は泣きそうな顔をして、あなたの手を縋るように握った。
牧志 浩太
「置いてかれちゃった……」
霧の中に消えていくバイクが小さくなっていくのを見て、途方に暮れそうになった。
泣きそうな声が聞こえて、はっと我に返る。
牧志 浩太
「ううん、大丈夫。

お兄さん、地図があるよって教えてくれた。
それに、夜中の二時って、夜明けよりまだずっと前だろ?
地図に出口が書いてあるかも。それに、駅に行って電車に乗ったらきっと帰れるよ」
牧志 浩太
「おれたち、お金もいっぱい持ってるし。大丈夫。いっしょに帰ろう」
心細そうな光の姿が、ちっちゃな妹の姿と重なった。
自分も怖いのを押しのけて言う。握りしめた手は、ちょっと震えていた。
牧志 浩太
※終電という概念はまだ知らない
佐倉 光
「うん、うん……ごめん、そうだね、帰らなきゃ。泣いてる場合じゃない」
光はこくりこくりと頷いて目をこすった。
KP
かくして、あなたたちの一夜の逃避行は幕を開けた。


Call of Cthulhu
「おばけのまち」

OXY USおくわ あす/もしもシティ 様 作


KP
公園の出入り口横には街の簡易案内板がある。
みるとここから近い場所に無人販売所、本屋、遊園地がある。
そこから少し遠い場所に駅がある。
駅からは線路が続いているが案内板の絵が古びているため、その先に何があるのかは確認できない。

案内板には黄色と黒で彩られた貼り紙が貼ってあった。
いかにも大事そうに、目立つようにレタリングされた文字は
『おばけのまちでのおやくそく』

① 街の中では鈴を持とう
② ずっといるとこどもはさみしくなっておばけになっちゃうよ
③ わからないときはわからないと言おう
■おばけのまちでの探索ルール
KP
各行動時、他の技能の使用を希望する場合は言ってみてください。
また、行動時のアクションによって補正が入ったりします。
牧志 浩太
〈隠れる〉かぁ。〈忍び歩き〉では駄目?
KP
〈忍び歩き〉でもいいです。
牧志 浩太
ありがとうございます。
牧志 浩太
光の手を引いて、大きな案内板を見上げる。
牧志 浩太
「わからないときはわからないって言おう、ってなんだろう。
わかんないんだから、わかんないよな?」
佐倉 光
「わかんないことは、わかんないよね……?」
光も首を傾げていた。
牧志 浩太
「お店があるんだって。
鈴って、お店にあるかな」
考えを共有するように言う。
佐倉 光
「うん、お店、行ってみよう。
でもこんな時間にやってるのかな。やってるといいけど」
牧志 浩太
「行ってみたらわかるよ。ここから近いみたいだし」
ほら、と案内板を指さす。
牧志 浩太
鈴について、案内板には詳しくは書かれていない?
また、案内板にはそれ以外のことは書かれていない?
KP
他には何も書かれていない。
鈴がどこに売っている、なども書かれていない。
牧志 浩太
貼り紙は手の届く位置にあるだろうか?
あるなら剥がしてみる。下に何か書いていないだろうか?
KP
貼り紙は普通に剥がせるが、下には蛇の顔のラクガキがあったくらいで、何も無かった。
佐倉 光
「……っ!」
ラクガキを見た途端、光が体を硬直させて短い悲鳴を上げた。
牧志 浩太
「わっ、何?」
悲鳴にびっくりして振り返る。
佐倉 光
「ご、ごめん、怖いんだ、へ、蛇……」
KP
光は大袈裟なほどにラクガキを見ないようにと顔を隠している。
その顔は真っ青になって、視線は覚束なく、体は異常にがたがたと震えていた。
佐倉 光
1d100 50 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 6→成功
牧志 浩太
「そうなの? ごめん、戻しとく」
よいしょよいしょと貼り紙を元に戻す。
牧志 浩太
「大丈夫、もういないよ」
佐倉 光
「ご、ごめんね? どうして怖いのか全然分からないけど、でも、怖いんだ……」
光は腕の所を押さえながら、うつむいて微かな声で呟いた。
牧志 浩太
「ううん。誰だって苦手なものはある、ってじいちゃん言ってたし。
お店、行ってみよう」
KP
完全なるトラウマ。
牧志 浩太
完全なるトラウマですねぇ。おとなの記憶を失ってても出てきちゃうくらいの。無理もない。
光は以前、蛇の顔に酷い目に遭わされた記憶がある。
牧志 浩太
案内板の方を向かないようにしながら、公園内をぐるりと見る。
他に何か目につくものはあるだろうか?
なければ、お兄さんが寝ていた所や、自分達がいたブランコに何かないか見てみる。
KP
お兄さんが寝ていた場所にも、ブランコにも、とくに何かあるようには見えない。
牧志 浩太
「あ、でもおばけがいるんだよな?
おばけってどんな顔してるんだろう、お兄さんに聞くの忘れてた!
隠れて行こう、えっ、でもにおいってどうしたらいいのかな」

ふっとさみしくなる気持ちをこらえるように、光の手にしっかりと指を絡める。

牧志 浩太
無人販売所へ移動する。
背を低くし、物陰を伝って、隠れながら移動する。
KP
薄ぼんやりとした青に染まる街を見ていると、何かが背筋に這い上ってくる……

【POW】×5 で判定。
牧志 浩太
1d100 60 POW Sasa 1d100→ 6→成功
佐倉 光
1d100 75 Sasa 1d100→ 100→致命的失敗ファンブル
牧志 浩太
光ーーーー!!
KP
浩太はSANに1ダメージ。光は2ダメージ。
牧志 浩太
SAN 53 → 52
佐倉 光
SAN 50 → 48
KP
光が泣き出していた。ボロボロと涙をこぼして、しゃくり上げている。
佐倉 光
「嫌だよぅ、おばけになりたくないよぅ、食べられたくないよぅ」
牧志 浩太
胸の奥がつめたくなるような気がした。
光がいっしょにいるのに、ひとりっきりみたいな気がした。
射し込んでくるつめたさを振り切って、泣きじゃくる光を抱きしめる。
牧志 浩太
「だいじょうぶ。大丈夫だよ、光。
おれがいる。いっしょに帰ろう」
佐倉 光
「ごめん、ごめんなさい、おいてかないで、ひとりは嫌だよ」
KP
光の体は細かった。筋肉が殆どついていない、薄い体だ。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
と、その時、背後からただならぬ気配を感じた。
冷たくて、痛いような。
牧志 浩太
「……!」
光の体を抱えて、物陰に隠れようとする。
KP
視界の端で白い影がゆらゆらと揺蕩っていた。
薄いベールを纏ったようで、その身体は月の光が柔らかくうっすらと透けている。
見ていると自分の中の不安、さみしさが無理やりこじ開けられ暴かれるような、言い知れぬ感覚を覚え
る。
浩太と光は《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D2+1

浩太と光の〈隠れる〉〈忍び歩き〉【DEX】〈心理学〉ロール
佐倉 光
1d100 48 《SANチェック》Sasa 1d100→ 56→失敗
1d2+1 Sasa 1d2+1→ 1+1→合計2
SAN 48 → 46
牧志 浩太
1d100 52 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 86→失敗
1d2+1 Sasa 1d2+1→ 2+1→合計3
SAN 52 → 49
牧志 浩太
1d100 77〈心理学〉 Sasa 1d100→ 36→成功
佐倉 光
1d100 65〈心理学〉 Sasa 1d100→ 35→成功
KP
二人は物陰に逃げ込んだ。
咄嗟におばけが人だったら、どっちになら注意が向きづらいかと考えて低いところに身を縮めて入り込むことができた。
佐倉 光
手で口を押さえて、縮こまっている。
牧志 浩太
「……」
心臓がどくどくと脈打っている。
小さく小さくなるように、必死で身を屈める。
心がさみしくて痛くて冷たくて、どうしようもなく怖くて怖くて、わけがわからなかった。
でも、横に光がいる。弱音なんて吐けない。吐かない。
KP
おばけはゆらゆらと揺れながらその場を漂っていた。
しかし暫くするとすすり泣くような微かな声を上げてふらふらと道の向こうへ消えていった。

佐倉 光
「み、みみみ、みみ、見た?」
カタカタと歯を鳴らしながら光が囁いた。
牧志 浩太
「うん……、見た」こくこくと頷く。
牧志 浩太
「あいつが、おばけなんだ。ほんとにいたんだ」
佐倉 光
「いたんだよ、いたんだよ、おばけ!」
牧志 浩太
「う、うん! いた!」
佐倉 光
「いたよね!? いた、怖かった!」
KP
何故か。光は少し興奮しているように見えた。
牧志 浩太
あれっ?
光、ちょっと嬉しそう?
牧志 浩太
気のせいかな。
牧志 浩太
おばけがどちらの方に消えていったかは分かる?
それが店の方向以外なら、予定通り店に行く。
KP
おばけが消えたのは公園の方だ。今は姿が見えない。
牧志 浩太
「早くお店に行こう、あいつ、また来るかも」
佐倉 光
「うん、うん、行こう。お店!」
KP
浩太のみ【アイデア】どうぞ。
牧志 浩太
1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 44→成功
KP
なんとなく、周囲の建物などが少しカラフルになった気がする。
物の輪郭がはっきりした、というか。
色の明るさが、鮮やかさがわずかに上がったというか。
あくまで比較なので、自分たちの姿はまだ、この白っぽい街の中で何となく浮いているが。
牧志 浩太
「あれ……?」
ぱち、ぱちと目を瞬く。
ぼんやりしていた景色が、ちょっと明るくなった気がする。
牧志 浩太
「なんか、明るくなった?
えっ、朝、まだだよな?」
頭上の月を見上げて位置を確認する。月の位置はさっきと変わっている?
KP
月は少し動いてはいるが、朝になるほどではない。
佐倉 光
「明るい?」
光は戸惑うようにきょろきょろとあたりを見回した。
佐倉 光
「そうかなぁ?」
牧志 浩太
「うん、ちょっと明るくなったみたいな、遠くがよく見える? みたいな」

コメント By.KP(佐倉)
牧志と佐倉は小さな子供になって互いを初対面だと思い込み、それでも協力して夜の街を行く。
なんとこの街には、子供を食べてしまうおばけが出るし、子供は今晩中にこの街を出ないとさみしさでおばけになってしまうというのだ……!

割と削り数値的に殺意が高いシナリオなんですが、そのへんはかなーり緩めて遊んでいます。

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