クトゥルフ神話TRPG 目次
のうみそコントローラー 一覧
参加キャラクター

佐倉 光
サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。とある事件より、体中の痛みに悩まされている。
基本悪魔を召喚して戦うが、悪魔との契約のカードを使ってその力を一時的に借りることもできる。
巻き込まれ体質らしい。
牧志とは一蓮托生の相棒。

牧志 浩太
お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。
とある事件以降、胃袋が独立した生命体になってしまった。
佐倉とは一蓮托生の相棒。

人数:1−2人(KPC可)
舞台:クローズド、脱出
雰囲気:ひどい目にあいながらもがくのを楽しむ話
その他要素:子供に振り回される話
推奨:なし(PL提案次第で任意の技能使用可能、交渉技能だと比較的やりやすい)
ロスト率:低(《SANチェック》の大きさ調整可、無謀な行動によるロストは警告あり)
後遺症:選択次第で重めの後遺症(継続可能)あり
システム:クトゥルフ神話TRPG 6版
導入:
ふと目を覚ますと、そこは見知らぬ明るい部屋で。
自分の頭から、ガラスの向こうにある一台のタブレット端末へと、長いケーブルが繋がっていた。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします!
※タブレット端末なのにトレーラーがゲームコントローラーなのは、タブレットだと四角いだけでイマイチいい絵が出せなかったからです……。
戻るなり早速奇妙な目に遭ってしまったあなたであるが、無事に戻ってみれば戻ったで、やることは山積だ。
まず涙目のシローに帰りを報告しなくてはならないし、仕事先関係各所への連絡もある。
生活どころか情動まで忘れかけていた身の上に突然降ってくる現実という情報の山は、慣れるのに少々の時間を要することだろう。

慣れない揚げ物は何だかべちゃっとしていたが、とりあえず温かかった。
あのひんやりとしていて穏やかな「自室」とよく似ているようで、まったく違う場所。
あなたはあの静けさを懐かしく思うだろうか。
それとも、現実の騒がしさを喜ぶだろうか。

なにかっていうとすぐ思考がぶった切られる。
体は重いし風呂だの髪だのヒゲだののケアがクソ面倒臭い。何より体がしじゅう痛い。
なんて不便な体だろう。

空の移り変わりが、夜の街が、血の流れる体が綺麗だ。
柔らかい布団は幸せだし、冷たい水すら感動的に美味いし、人と話すのは楽しい。

俺はそんなことはないと思っていたが、実はそうでもなかったらしい。
仕事に復帰できるのが嬉しいし、シローの面倒を見るのも楽しい。
何より俺はひどいホームシックと人恋しさで随分おかしくなっていたようだったし、
そのせいで牧志やシローや牧志や波照間さんに随分迷惑をかけたみたいだ。特に牧志。
帰ってきて最初に喰ったリアル飯のアジフライが泣けるほど美味かった。
あいつにはもう頭が上がらない。
あの事件でまたなんか色々と要らないことがバレたけど、
まあ、今更気にするようなことじゃないか。

とはいえ月一くらいでああいう場所に行くのもいいけどなぁ。
あいつまた呼んでくれないかな。
ほんとうに彼は、あなたに関与するのをやめたらしい。
薄情なものだか、やさしいものだか。
今はきっとまた、別の「実験」でもやっているのだろう。
思えば相容れないはずのものとの、奇妙な出会いだったものだ。
シローがあなたの部屋で、ころころと転寝をしている。
寝室のカーテンの向こうから射す日没間際の光でも眺めながら、牧志がもう少ししたら大学から帰ってくるな、などと考える時間帯である。

そろそろシローを起こしてやらないと、夜寝られなくなる。
声でもかけようか。
読んでいた本を書棚に戻して伸びをした。
そこにあなたがいることを確認して、嬉しそうにふにゃりと笑む。

俺達が変なことに引っかかるたびに泣かせている。
こんなのは、子供に経験させていいことじゃないだろう。

リビングの片付けでもしよう。
のそのそと扉をくぐって部屋を出る。

この四か月途絶えていた半日に一度の定期連絡も、帰るという連絡も、またいつもの日常として戻ってきている。

話す相手があいつだけじゃないってのは幸せだ。
特に、正しさや情報が全くない内容でも楽しいってのはあいつとの会話ではあまりなかったように思う。
あいつも人間基準じゃ相当いい奴で、あいつら基準じゃ変態だなってのは別れる頃には割と分かってたんで、
今後あいつと同種に会うことがあっても、期待しない方がいいだろうけどな。
……事実、牧志はあいつの同種にひどい扱いを受けていたらしいし。
なんだよショットガンって。
返信を送ったら適当に部屋の掃除でもしよう。
話を聞けば随分と人間じみた連中に巻き込まれたらしいが、「他人で面白おかしいことをしたがる」という意味での人間性をこちらにぶつけてくるのは勘弁願いたいものだ。

聞き慣れた声。靴音。
ピッ、カチャリ。二重に施した錠を開け、扉を開く音。


玄関横の写真コーナーには『子供の頃の』写真が増えた。
シローには詳しい説明はしていない。
あと、こんなことになるならもっと写真撮っとけば良かったなと思った。
うわん。
牧志の背後、開かれた扉の向こうから。
不意に、金属を撓めたような気味の悪い音がした。

うわん。
うわんうわんうわん。
その音が耳の中で反響し、瞬く間に聴覚を埋め尽くしていく。
聴覚から視覚へ。視覚から意識へ。
牧志が咄嗟に扉を閉じようとするのが見えたのが、あなたが意識を保っていた最後の瞬間だった。

耳を塞ごうとしたが、間に合わなかった。
いや、はたしてその行動に意味があったかどうか。

Call of Cthulhu 6th
「のうみそコントローラー」
耳の中にまだ、あの音の残滓が反響している。
麻酔から覚めた直後のように、肉体と意識がけだるい。
頭が微かに、痛む。
視界は真っ暗で、直後にそれが目を閉じているせいと気づく。
目覚めた直後に分かったのは、あなたが仰向けに寝転んでいるらしいということくらいだった。


呻きながら体の動きを確認して、身を起こす。
一体何が起きたんだ。
身体はどうやら、どこも欠けていないし、拘束されていない。
身を起こすと、頭の横で何かが揺れた。

身を起こそうとすると、傍らで呻く声が聞こえた。
呻き声だけでも分かる。牧志の声だ。

声を上げて近寄ろうとし、頭の横に揺れる何かに気づく。
なんだ?
手で触れてみる。
あなたの髪と逆の白色をしたそれは、何の変哲もない、スマートフォンの充電ケーブルに似た細いケーブルのように見えた。

牧志が呻きながら身を起こす。
彼の髪の間から、同じような黒いケーブルが一本垂れていた。

ケーブルをたどって自らの頭に触れる。引き抜けそうだろうか。

しかし、頭のケーブルを辿る姿を見て顔をしかめる。

何だよこれ、ケーブル?」
引っ張られたのは頭皮ではなく、何か、それが頭のもっと奥に繋がっているような……、そんな、怖気。
髪をかき分けて頭に触れると、そこにコネクタの類はない。
頭皮から直接ケーブルが生えている。


まずいな、こっちは迂闊に抜けない」
ケーブルの先はどこへ向かっているんだろう。
明るい色調の部屋の壁には、可愛らしいキャラクターや動物の絵柄が配されている。
一見して、託児所か子供部屋といった趣だ。
あなた達は透明な壁を通して、子供部屋のようなその部屋を見ている。
そして、合計二本のケーブルは……、
スタンドの上に置かれた、一台のタブレット端末に繋がっていた。
タブレット端末に繋がっている方もコネクタにはなっておらず、筐体から直接ケーブルが生えている。
タブレットの画面はこちらを向いており、画面の内容を見ることができる。

・人型があなた達のいる所
・真ん中の水色の線が透明な壁
・丸はおもちゃの記号
・部屋の外側に張り出しているのは扉の記号
と思って頂ければ。

で、俺たちの頭につながったタブレット。

なんなんだよ。
そっちに誰が入って何をするっていうんだよ。

……俺達の頭がタブレットに繋げられてる、だって?」

俺、嫌な予感がする」
牧志は小さく呻いた。


向こうに何かする隙間もない」
牧志は壁に開けられたケーブル穴のあたりを調べている。


家の中にいたならスマホくらいしか持っていないかな。
片付け中だったなら、家の中にあったもの何か持ってないかな。
家の中にあったものを何かポケットなどに入れたままだったなら、それは持っている。
手に持っていた物は、落としてしまったのか無い。

……頭皮から、微かに消毒液のにおいがした。
「処置」した跡を拭き取った時のものだろうか……。

こちらは、と振り返れば、自分たちの背後にも扉が一つあった。
室内なら歩き回れる程度にケーブルは長く、背後の扉の所まで行くことができる。
鍵こそあるが、こちらから開けられそうな簡素な内鍵だ。

頭の中にされている処置によっては命取りになる。

とはいえ現状じゃ出るのは無理か。
ケーブルを無理矢理抜くのは論外、ケーブルを切るのも危険かな……」

あなたの頭から繋がるケーブルを見て、牧志が溜息をつく。
くん、と微かにケーブルが引かれて、頭蓋の中を撫でられるような、嫌な怖気がした。

画面中央には人形のような人間のキャラクターがふたり並んでおり、ふたり仲良く頭にケーブルをくっつけている。
その下に日本語で、それぞれの意味だろうか、書き添えられている。
【喜び】【愛情】【恐怖】【悲しみ】【怒り】
【快】【不快】
【聴覚】【視覚】【嗅覚】【味覚】【触覚】
【満腹】【呼吸】とある。
【-5】~【0】~【+5】までの目盛りがあるようで、今はすべて【0】になっている。



想像したくないが。これはそういうことだろう。

あのタブレット子供向けだよな?」

俺は少なくとも知らない。
似ている物と言えば、たまに……あのクソ吸血鬼屋敷だの研究所だのでたまに置いてある、
全然読めない、頭痛がしてくる類いのヤツに、似ている気がする」

文字らしい規則性もないように見えるし、追いかけられそうな気もしない。
文字として読もうとすると、気持ち悪くなってくる」
全くでたらめな落書きだ。
落書きにある、人間が手で描いただろう、という癖すら感じられない。
下の日本語と突き合わせようにも、概念が違いすぎていた。
気持ちが悪い。



俺たちはただの、あそこに転がっている玩具の一つに過ぎない」
一番考えたくないことだ。
寒気がしてきた。
あのタブレットを操作すると何が起きる。
おもちゃのトランペット。木琴。絵本。積み木。ぬいぐるみ。柔らかいボール。

壁の向こうを睨みつけていた牧志が声を上げた。
おもちゃの大きさを考えると恐らくは、子供の手の届かない位置に設置されている。
縦向きのレールに沿って設置されており、何かすると下に降りてくるように見える。

そのレバーの周囲に気になる装置や何かケーブル、文字などは見当たらないだろうか。
何かの開閉レバーだろうか。

咄嗟に牧志が身構える。

背後を見ていたあなたの耳に、高く丸めた猫なで声が届いた。
見知らぬ言葉でありながら、猫なで声だ、と分かるトーンの声に少し遅れて、日本語が聞こえる。
「(翻訳不能)ちゃーん、うふふ、かわいいねぇー」
それに応えるように幼い子供、いや、赤ん坊の声。
「あー」

少なくとも大人は俺たちと子供を使って『実験』をするつもりらしいな。
「あっあー」
その声と赤ん坊は、分かっているとは思えない会話を続けている。
「ふふ、今度はどうなるかしら」
「お隣の(翻訳不能)ちゃんの時は、遊びすぎて実験体がみんな発狂しちゃったからなあ!」
穏やかな団欒とすら思える会話の、しかしその食卓の上に乗せられているのは、哀れなあなた達の運命なのだ……。
二人とも《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1D2》。
……頭頂部に、髪の代わりに一塊の触手が生えている。明らかに、人間ではない。


1d2 Sasa 1d2→1
SAN 53 → 52

俺たちに向こうで起きていることをあまさず伝えている。
すると観察対象はあっちの子供じゃなくて……俺たちなのか?
というか何なんだあれは。

一応オネガイしてみるか。
腕がやさしい手つきで赤ん坊を床に降ろし、タブレットを持たせ……、
ぺちん。
タブレットの表面に、赤ん坊の丸く柔らかい手が、乗った。
1d14で種別、1d11で値(-5~+5)の決定をどうぞ。
※Sasaって本来のダイスにない面数のダイス振れるのかどうか分かっていないんですが、
振れなかったらダイスの振り方を変更します。

1d11 Sasa 1d11→7
あなたの背を何者かが撫でた。
いや、そう感じた。

牧志が声を上げ、脚を上げて足の裏を覗く。
そこには何もない。
それなのに何かに撫でられる感覚が、一度、二度と続く。
感覚は何度かあなたの背を撫でて、唐突に消えていった。

思わず振り返った。
何もいない。
あのタブレットのせいか。
あなた達が反応したのが面白いのだろうか、それともタブレットの音が楽しいのか。
赤ん坊はふたたびタブレットに手を伸ばそうとする。
……まずい。
現状から判断すれば、赤ん坊の手の中にあるのは、あなた達の頭皮の、その内側にあるもの。
恐らくは、あなた達の……脳のコントロール。
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D2》。

SAN 52 → 51

思わず振り返った。
何もいない。
あのタブレットのせいか。

SAN 58 → 57

ってかマジで脳につながってんのかよこのケーブル!
やべぇな、他に何があったっけ。呼吸? 冗談だろ!

では、ここでプレイヤー向けシステム説明。
あなた達は何もない部屋におり、ケーブルで脳を拘束されている。
子供のいる部屋には様々な物品や意味深なレバーがあるが、あなた達は直接それらに触ることができない。
子供の関心をどうにかしてタブレットから逸らし、室内の物品を調べて、この現状をどうにかする糸口を探せ!
子供は1ターンに1回、タブレットを触ろうとする。
何らかの技能(交渉技能、または提案次第で任意の技能)で子供の関心をタブレットから逸らし、好きな行動を行わせることができる。
(何かを持ってこさせる、何かをさせる等)
これはあなたと牧志、どちらが判定してもよい。
判定に失敗すると、子供は思ったのと違うことをした後、タブレットを触る。
子供は飽きっぽいため、同じ技能で2回連続して判定することはできない。
(〈言いくるめ〉〈言いくるめ〉はNG、〈言いくるめ〉〈説得〉〈言いくるめ〉はOK)
3回連続でタブレットを触るのを阻止すると子供が飽きだし、必ず1回タブレットを触られる。
トランペット:おもちゃのトランペットだ。
木琴:色分けされた鍵盤を持つ、おもちゃの木琴だ。
叩くためのスティックがついている。
絵本:子供向けの絵本のような表紙の絵本だ。文字は書かれていない。
付箋か何かが挟まっているように見える。
積み木:丸、三角、四角の木製の積み木だ。
色分けはされていない。
ぬいぐるみ:羽根の生えたタコのぬいぐるみだ。
手に何かがくっついている。
ボール:柔らかそうなボールだ。
ぶつけてレバーを操作できるような硬さには見えない。
謎のレバー:「←→/→←」と書かれている。何かの開閉レバーだ。
縦向きのレールに沿って設置されており、下に降りてきそうに見えるが、今の所は子供の手の届かない位置にある。
扉:先程「親?」が引っ込んでいった扉だ。今は閉まっている。
タブレット:あなた達の脳のコントローラーだ。スタンド付き。
赤ちゃん:頭に触手の生えたかわいい赤ちゃん。
ちょっとわかりにくいので、質問・提案などありましたら随時どうぞ。
さぞ愉しかろうね。
とりあえずOkです。
あなた達が反応したのが面白いのだろうか、それともタブレットの音が楽しいのか。
赤ん坊はふたたびタブレットに手を伸ばそうとする……!
これはあなたと牧志、どちらが判定してもよい。

〈言いくるめ〉!!

子供はその小さなお手手でタブレットをしっかり握ったまま、何だろう? と好奇心たっぷりにあなたに関心を向ける。
〈言いくるめ〉で判定、どうぞ!


つい声が荒くなった。
子供はあなたの皺が寄った眉間を見て、何が面白いのかきゃっきゃっと笑った。
お話? しようしよう! 嬉しそうに、タブレットの画面をぺちぺちと叩く。
タブレットから、ぴゅるん♪と状況に似合わない愉快な音が鳴った。

1d11 Sasa 1d11→2
訳もない憎しみが腹の奥から湧いてくる。
タブレットのせいだと分かっていても、手足を震わせ歯の根をがちがちと言わせる程の強烈な憎しみを、無視することができない。
壁の向こうの子供。
ケーブルで繋がれた自分。
傍らで顔を強張らせている男。
何もかもが、何もかもが憎くてたまらない。
目の前から消し去ってしまいたい……!

牧志が自らの手に噛みついた。
ぎりぎりと歯に力を込めて、全身を襲う衝動に耐えている。
あなたを憎んでしまうことを恐れ、必死に目を瞑って、あなたを視界に入れまいとしている。
破壊の衝動に身を任せるなら、自分か牧志のどちらか(任意)を〈こぶし〉で1回攻撃すること。

ご指摘ありがとうございます。
7番を何かに変更します。
※愛の反対は無関心、なんて言葉がありますね

破壊衝動を部屋に向ける、ということで壁を叩くはできますか?
ただし、〈こぶし〉の判定で80以上の出目を出した場合、HP-1とする。
部屋殴って派手に失敗したら痛い。

当たり前だ。俺たちを攫ってきて閉じ込めて弄んでいる奴らが一番憎いに決まっている!
CCB<=51〈こぶし(パンチ)〉 (1D100<=51) > 82 > 失敗
HP 10 → 9

1d3 Sasa 1d3→3
SAN 51 → 48

拳が熱い。頭が熱い。目の奥が熱い。
背後の声には耳を塞いで、ひたすらさっき喋っていたものたちをおもう。
弾みで拳を派手にぶつけてしまい、じいんと痛みが腕の中に響く。
殴り慣れないあなたの殴打は、変な所をぶつけてしまったようだ。
痛い。HP-1。
やがてあなたは憎悪を送り込まれているのか、自分が憎悪しているのか、よくわからなくなった。
そのせいで強烈な憎悪が引くまでに、少し時間が掛かった。
まだ、拳が熱い気がする。

無益なことをした気がしたが、それでも自分の感情と全く関係のないことをさせられるよりはましだと思った。

あなたの憎悪が引いてくる頃に、牧志が口から拳を離した。
はっきりと手に歯型がついている。
その歯型のついた手を胸に当て、大きく、深く息を吸う。

憎悪の叫びではなく思った言葉が喋れることにほっとしつつ牧志の側に戻る。

牧志は嫌悪感を露わに呻いた。
それから、ふっと肩の力を抜いて、汗の滲む顔であなたの方を振り向く。

手当てしたいけど……、それどころじゃないな」

魔法に集中する余裕もなさそうだ。

とにかくあのガキをタブレットから引き離す」


あの部屋のどこかに、俺達が逃げるのに使える何かがあるんだ」
牧志は強く頷く。
あなたを憎悪しなくて済むことに、その眼が安堵していた。
突然壁を殴ったり自分の拳を噛んだりした二人を見て、子供はタブレットを持ったまま不思議そうに小首をかしげた。

〈説得〉お願いします!


同時に、緊張した表情を意識的に緩めていく。

ほら、ぐっ、ぱー、ぐっ、ぱー」
顔の緊張を緩めて浮かべたのは、いつもの微笑に似た作り笑顔だった。
牧志はこんこん、と壁を叩いて子供の関心をこちらに向けさせ、
手を握って開いて動きを見せ、ひらひらと動かして目で追わせるプロセスを、子供の認知速度を超えないように慎重に追う。

何だろう、これ面白い動きをする!
子供は手元のタブレットと、ぶんぶんしたりもぐもぐしたりぐーぱーしたりと、面白い動きをする生き物のことを結びつけてしまった。

これを触ると面白い動きをする!
もっともっと! 子供は上機嫌でタブレットをぺたぺた触る。
以下の通りとします。
ファンブル :2回タブレットを触られる。
クリティカル:子供を2回行動させることができる。

1d11 Sasa 1d11→4
ぱっといい案が思いつかなくて。
温感を考えたんですが、結局は痛みになるのであんまりおもしろくないなと。
勇ましい気持ち、活力あふれる気持ち
あたりがぱっと出てきましたねー。
6【快】と7【不快】が被っているというご指摘を頂きました。
ありがとうございます。KPのうっかりです。
7を【活力】に変更します。(提案ありがとうございます)
何だかちょっと可笑しい。楽しい。何が?
くすくすと唇から笑いが漏れる。理由はない。
なるほどこれは脳をコントロールされている。
なのに笑えてくるのだから、脳みそを触られるって意外と面白いことなのかもしれない。

牧志は子供を止めようとしているけど、くすくすと絶えず唇から笑いが漏れているものだから、やめてほしいのかほしくないのかよく分からない。
《SANチェック:成功時減少 0 / 失敗時減少 1d2》。



理由もなく口角が上がる。笑いたくなってくる。
なんだこれは。

声が笑いに震えている。
笑うあなた達を見て子供も上機嫌だ!
嬉しそうにタブレットをぺちぺちする。
1d14で種別、1d11で値(-5~+5)の決定をどうぞ。

1d11 Sasa 1d11→11
女神ィィィ!
ひたすらこんなのに耐えながら脱出手段を探す話です。
嗅覚10ってどんな強烈なニオイがするんだ……
何が起こるのか思いっきり紹介する回になりましたね。
子供に罪はない……のか?
二人とも子供には慣れているかと思いきや、シローはあまりにもよい子すぎるので全然参考にならないぞ!
いやしかしこの赤子が凄まじい勢いで成長して話が分かるようになる可能性!
女神「ここでイベント紹介どうぞ」ってことかもしれない。
目も眩むような花の香り!
感覚のないはずの脳全体が、強烈過ぎる入力信号にじいんと痺れる。
分かる。分かってしまう。ケーブルから強烈な電気信号を、直に注がれている。
信号が甘く重く気持ちいい花の香りに変換されて、みちみちと脳の中で暴れている。
何も見えない。聞こえない。感じられない。
いや、見えている。聞こえている。感じているのだが、嗅覚を暴走させる香りが強烈過ぎて、脳が他のものを処理できないのだ。

牧志が香りを振り払おうともがいたり、何度もくしゃみをしたりしている。
錯覚に反応してだらだらと鼻水と涙が流れている。
実体をもって鼻腔を埋める香りの錯覚に捕まって悶えている。
その顔は気持ちよさそうに緩んでいた。
《SANチェック:成功時減少 1 / 失敗時減少 1D4》。

1d4 Sasa 1d4→3
SAN 57 → 54

SAN 48 → 47

全く意味がないとは知りつつ鼻をつまんで悶絶する。
あまりに強烈すぎて視覚まで汚染されているような錯覚をおぼえる。
ここまで強いと良いも悪いもない。ただ強すぎる!
涙と鼻水に溺れて嘔吐きながら思ったのは、
あいつには紳士的なまでの節度があったんだな、ということだった。
あそこでは同じ事ができたはずなのに、こんな情報の暴力はなかった!
子供はころころ転がる真似をしながら、きゃらきゃらと笑う。
「面白いタブレット」は子供の手の中で、すっかり子供のお気に入りになってしまった。
今度は何が起きるかな?
好奇心たっぷりに輝く目が、「あなた達の脳」を無邪気な暴虐の視線で見ている……!

牧志が咳き込み、自らの鼻水に溺れて床を這いながら、必死に顔を上げて子供の方を見ようとする。

〈言いくるめ〉しかないな。
1d100 51〈言いくるめ〉!! Sasa 1d100→ 3→決定的成功(クリティカル)!

あなたの必死な呼びかけは、見事に子供の興味を惹いた!
子供はタブレットを手から離し、こちらに這い寄ってきた。
べちべちと機嫌よく壁を叩いて、あそんでくれ! と要求する。

※もちろん、クリティカルボーナスの+1回は連続成功回数にカウントしません。
連続成功回数 1

言いながらペラペラとめくるような仕草をしたり、本を指さしたりする。
本の中身ろくでもなさそう……ッ!

牧志があなたの横から、額に汗を浮かべてサポートする。
不意に、わかったぞ! という顔で本に向かって這っていく。
あなたの意図を当てたことがよっぽど嬉しいのか、その後ろ姿は自信たっぷりだ。
近くのぬいぐるみやボールに気を取られたりしながらも、その小さな手が本にかかる。
ぺちぺちと本を叩いて……握る!


自分でも気持ち悪いほどの猫なで声で子供に根気よく訴えかける。
タブレットに触らない、というだけでも快挙だ!

必死さが外に出ないようにゆっくりアクションする。

はぐはぐと楽しそうに本を噛んでいる。
赤ちゃんなので気が逸れたり意図せぬ行動を取ったりしますが、
判定に成功していれば、最終的にはちゃんと言った通りの行動を取ります。
また、それ(本食べたり意図せぬ行動)によって必要な情報などが失われることはありません。単にハラハラするだけです。
しばらく端を噛んでから本を吐き出した。
はて? と手の中の本を見て、本を持ったままこちらへ這ってくる。
本でぺちぺちと壁を叩く。
本の表紙には、虫のような羽のある生き物たちが集まって輝く球体を作っているような絵と、先程の見知らぬ文字が描かれている。
その拍子に、本から何かがひらりと落ちた。

ちょっと読めないなぁー。虫かなー」

色とりどりの星が並んでいる絵だ。
……あなたはその並びに、何となく何かの作為を感じる。
これは、何かの符号なのではないか?
符号だとすれば、室内にこれに対応しそうな物がないだろうか?


木琴には、まさに赤、橙、黄色、黄緑、緑、青緑、青と鮮やかな色の鍵盤が並んでいる。

落ちた紙と木琴を指さす。
牧志が使えそうなのってなんかあるかなー
佐倉は〈言いくるめ〉と〈オカルト〉話くらいかなぁ。
二人とも肉体派じゃないから、話術に寄ってるんですよね。

頷いて子供に向き直る。

木琴を指して、鍵盤の色通りに叩く身振りをする!
例えば今回であれば〈こぶし〉で叩くと楽しいぞとアピール! とかでも大丈夫です。

牧志、頼む!
どーはどーなつーのーどー
子供は木琴を直接拳で殴り始めた!
方法に無茶があるせいで微かな音だが、段々メロディのようなものが聞こえ……、なくもない。
それは軽やかなメロディだった。
どこかで聞いたことのある楽しげな響きが、木琴から生まれ始める。
そして……、
……それだけ?
特に何も起きない。
脱出ゲームなどではなく、ただの子供向けの楽譜だったのだろうか……?
(どれか一つで振って失敗した場合、残り二つの技能でも振ってよい)同一情報。
プレイヤーが思いつくものがある場合、判定しなくてもよい。
もしくは
ドをドーナツとして扱え
もしくは
c をdonuts
もしくはトポロジー
木琴の並びがドレミとは限らず聞こえてきたのがそれとはわからないことだし考えよう。
あいであー!

そういえばこの部屋には、音楽を奏でることのできる道具がもう一つある。
……奏でることによって何か起きるのだとすれば、本格的に脱出ゲームじみている。
佐倉はわからん!!
考えている間に、木琴を殴るのに飽きた子供がまたタブレットを触ろうとしている!


そもそも吹き方分かんねぇよ。

オカルトでラッパ持ってる悪魔のモノマネしよう!
そういえば聞こえた曲何だったのかな。
どーはどーなつーのーどー♪の部分である。
喇叭を持つ仕草をするあなたに、子供は不思議そうに同じ形を手で作る。
違う、そうじゃない。
根気よく対象が何かを示しつつ、物まねで目的を示す必要がある……!
あなたの根気と描写能力と、子供の根気とのバトルだ。
〈オカルト〉で判定をどうぞ。

トランペットの横にある縫いぐるみを持ってしまったり。
トランペットを持つことはできても上下逆さだったり。
それは死闘だった。
玩具のトランペットが、ボタンを押せばそれらしい音が出るものだったのがまだ幸いだが、そこから目的の音階を奏でさせるまでが、まあ、長い。











リズムは不問だったらしく、最後の一音を押した瞬間に、壁からがこんと音がした。


それぞれ▲、●、■という形をしている。
クリティカルにより、無条件でもう1回子供に任意の行動を取らせることができる。
クトゥルフ神話TRPG 目次
のうみそコントローラー 一覧
突然見知らぬ部屋で目覚めた二人。
頭にコードが刺さっていて、硝子壁の向こうにはコードが繋がったタブレットと、子供用の玩具が並んでいた。
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」
TRPGリプレイ ダブルクロス3rd 第六話『胞子の島』1
今回はシナリオクラフトです。
偶然同じ航空機に乗っていた大人たち。突如のワーディング、コントロールを失う飛行機。目の前には空飛ぶ超巨大キノコが……








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