画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: netabare.png

こちらには
『満を持して今日も俺は眠れない』
『スペクト・ラム』
『対の棲み家』のネタバレがあります。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
以前にそうと知らずにドリームランドへ行ったことがある。
巻き込まれ体質らしい。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。
以前にそうと知らずにドリームランドへ行く佐倉と感覚を共有していたことがある。

佐倉とは友人。




Call of Cthulhu 6th
「満を持して今日も俺は眠れない Remake ver.」
トドノツマリ海峡 様


KP
舞台:深夜の都市
シナリオ構成:四話構成ミニキャンペーン
人数:2人~4人
時間:5時間~
推奨技能:〈目星〉〈聞き耳〉、交渉系技能
システム:6版
KP
~改変ポイント~
本シナリオは2~4PLのシナリオですが、今回は牧志をKPCとし、タイマンで回させて頂きます。


第一夜「狭間の街」


KP
現在時刻、深夜25時。

ひとりの少年とともに日常へ帰還してから少し経ち、ようやく少年のいる日常を軌道に乗せた頃だ。

少年はすやすやと気持ちよさそうな寝息を立てて眠っているが、あなた達はどうにも眠れずにいた。

そう、眠れないのである。
明日もあなたは仕事、彼は大学の授業が1コマ目からあるというのに。

目を閉じて森の黒山羊を数えようが、温かいハーブティーを口にしようが、酒の力を借りようが、まぁ眠れないのである。
KP
いる場所はどこでしょうね、リビングとか?
 描写の都合だけなので、家の中ならどこでも大丈夫です。
ウダウダゴロゴロしてる牧志って、そりゃ普通にあると思うけど作中では割と珍しいかも。
佐倉 光
たしかに。
佐倉 光
あまりに眠れないので水飲みにリビングに出てきた。
シローくん
佐倉 光
シローくんどこで寝てるんだろな。どっちかの部屋かな?
こっちの部屋で寝てるなら、起こさないように部屋でたのかもね。
KP
リビングで寝させるわけにもいかないし、どちらかの部屋かな?
佐倉さんがそれで困らないなら、より【POW】の高い佐倉さんの部屋かも。
ですね。起こさないように。
佐倉 光
ああー、そうね、いつアレが発動するか分からないし。
KP
そうそう。より【POW】が高くて【STR】が低い佐倉さんの部屋なら確実。
佐倉 光
佐倉夜にいないことも多いから、ベッド買わずに貸したりもしてるかもね。
KP
確かに。
佐倉 光
ベッドなんて入れたら家狭くなっちゃうし。

KP
少年はあなたの部屋ですやすやと眠っているが、あなたは眠れない。
全然眠れない。

牧志も眠れないのか、リビングのソファの上に彼の姿が見えた。眠れないのに眠いような倦怠感を持て余しながらゴロゴロしている。
佐倉 光
寝ようと努力はした。
無理なもんは無理だ。

暇だからハッキングでもと思ったが、キーボード叩いてたらシローがモゾモゾし始めたのでやめた。

あきらめて水を飲みにリビングに出る。
佐倉 光
「あれ、明日朝からじゃなかった?」
牧志 浩太
「ああ、そうなんだけど、眠れなくて諦めた」
少し眠たげな口調で彼は応える。辺りに牛乳の香りが残っている所からすると、温かいホットミルクはもう試したのだろう。
傍らに置かれたマグからハーブティーの香りに混じって少し、酒の香りがする。
佐倉 光
「まー、眠れないときは寝よう寝ようって思っても無駄だよな」
冷たい水を飲んでリビングのテーブルにつき、あくびをしながら裁縫道具出して、破れた服を繕い始める。

仕事着はとても丈夫な『制服』なのでそんなに繕う機会は多くないのだが、変な事件に巻き込まれるようになってから私服を繕う機会が多い。
以前なら、破れたり汚れたら買えばいいや、と思っていたのだが……。
マッカのレートがクソ化した上、一人増えた分消費も増えているのだ。
牧志 浩太
「寝られなくても目を閉じてるだけマシって説と、それやると寝られないのが癖になるからすっぱり諦めろ、って説があるけど、どっちなんだろうな?」

牧志はそんなことを言いながら、服を繕うあなたの手元を眺めている。

牧志もアルバイトを何かしら増やしたとは聞いているが、あなたと入れ替わりでシローの様子を見るため、そこまで仕事を詰めすぎるわけにもいかないようだった。

あなたの悪魔退治に比べると稼ぎの時間効率が悪すぎる、というのもある。素直に。
その結果、彼が家の細々したことをやる機会が増えていた。

賢い少年は周囲のあらゆるものへの好奇心を疼かせながらも、聞き分けよく家の中に収まってくれていた。
KP
少し変化した日常の描写が面白いので、導入がちょい伸びしております。

牧志バイト何やってるんだろう。
佐倉 光
「さあ……
俺はとりあえず、限界が来るまで起きてることにしてるけどね。
本当に必要になれば勝手にスイッチ切れるしさ。
切れてほしくない時はエナドリとかイワクラの水とかでどーにでもなるし」
まあイワクラの水はコストが高すぎるから、よほど大事な仕事の時でもないと使えないんだが。
イワクラの水……真・女神転生TRPGにおいて、睡眠や混乱などの軽めの状態異常を治せるアイテム。
佐倉 光
自分が子供化したときの衝動を思えば、シローは『いい子』すぎる。
それは『親』の経験どころか、まともな幼少期の経験や記憶がない自分たちにとっては有り難いことではあったが、彼への、そうと感じさせないほどの制約や抑圧を感じさせた。
佐倉 光
「シローに運動させてやりたいよなー。安全な異界ってねーかなー」
などと無茶な事を言っているのは、やはり眠いからかもしれない。
子育ては大変
佐倉 光
いや待ってほしい。
イワクラの水100マッカが10万円だったけど、レート下がったんだから1000円で買えてしまうということでは!?
KP
そういうことだ!!
佐倉 光
やったぜ浴びるように飲める。
二人とも育児された経験もした経験もないの割と大変よね。
KP
なんですよね。何をするべきかもしないべきかも分からないし。『いい子』ではあっても知識がなさすぎるシローくんだし。
なんとか生活安定させるまで日常生活どころではなかったんじゃ。
佐倉 光
シルキーちゃんでも口説いてこなきゃ。
※家事をやってくれるありがたーーーい妖精さん
KP
シルキーちゃん!
いてくれたら大層助かるけど、ずっと呼んでたら佐倉さんのマグネタイトが大変そう。
佐倉 光
あと、シルキーちゃん家事は得意だけど、育児が得意かどうかはわかんない……
KP
育児してくれる悪魔……?
飴幽霊くらいしか浮かばないけど、悪魔に育児してもらったらシローくんがさらにこちらから離れていきそう
ただでさえイス語読めるというのに
佐倉 光
飴幽霊も龍の小太郎のママンも、あくまで自分の子育ててるだけだしなぁ。
KP
なんですよねぇ。

牧志 浩太
「そっか。あー、イワクラの水いいな。あれなら俺でも使えるかな?」
そんな踏み越えたことを言いつつ、彼はスマートフォンを手に取った。ぼんやり眺めているだけであるらしい。
佐倉 光
「さあ、あれは普通にサトミタダシのラインナップ……じゃないのか?
最近境が良くわからない」
佐倉 光
※3で異界化したら謎飲料がイワクラの水になったとこ見ると、普通のラインナップではない。
牧志 浩太
「なら探してみようかな……、うーん、だめだ。載ってない」
サトミタダシオンラインショップのページを見ていたらしい。
牧志 浩太
「そうだな、行きたいよな、公園とか。
ここ周囲空き部屋とはいえ、滑り台置いたら怒られるよなー、流石に」
KP
ずるむけ荘は今日も元気に住人が少ない。
佐倉 光
住人が少ないから、不規則な生活しようがいきなり子供が増えようが悪魔が来ようが大して問題になっていないのだから有り難い。
多分周囲の子供たちの間では好き勝手噂されて、さらに来る住人が減っているに違いない。
佐倉 光
「デヴァ・ユガかー。
シローみたいな人間が仮想とはいえ外に出られるなら、アリなんだけどな」
背景がクソすぎて肯定的にとらえるのは無理だ。
牧志 浩太
「それは思うよ。仮想空間のいい所だよな、そういうのって。
勝手に魂焼いてきたり現実に押し売りしてきたりしなきゃよかったんだけど……、ふぁ、」
KP
あなたと話していてようやく眠くなってきたのか、小さく欠伸をした。
つられるように、あなたの口からも欠伸が飛び出す。
佐倉 光
「よし、寝よ」
手早く裁縫セットを片付けて手洗いに行く。
この機を逃すと面倒だ。さっさと寝るに限る。
佐倉 光
「じゃー、おやすみー」
寝ていいなら部屋に引っ込んで寝る。
KP
ついにあなた達が満を持してウトウトと微睡んできたその時。
部屋に戻ろうとすると、どこからともなく声が聞こえてくる。

「そこの貴方、眠れませんね!?  せっかくなので少し協力してください!」
佐倉 光
「はぁ?
俺今から寝る……誰。」
牧志 浩太
「いや眠ろうとしてたんだけど」
KP
牧志がどこへともなく言い返した、と分かる直後。

あなた達の意識が暗転した。
牧志 浩太
「寝てからにしてほしかった」そんな呟き。
佐倉 光
怪奇現象は起きてるときか寝てるときにしてくれ。境目はやめろ。

そんな声にならない抗議。
KP
果たして黄昏時ならず、覚醒と眠りの境も魔の時間なのだろうか……。

KP
…………

あなたは、はっと目を開いた。

タイミングを逸して眠気こそ去ってしまったものの、変わらず仄かな気だるさがあなたの身体を包む。

辺りは…… リビングではなかった。
赤い色が目に飛び込む。

洋画で見るような、アメリカの片田舎風のダイナー。そのワンボックス席に、あなた達は向かい合わせで座っていた。

コカ・コーラの派手な看板が壁面に踊り、閉まったブラインドの側に埃っぽいダーツボード。

メニューに日本語が併記されている所から、日本国内ではあるらしい、と分かるが……。
牧志 浩太
「あ、ルートビア…… じゃない、ここ何処だ」

席にもたれてうとうとしながら周囲を眺めていた牧志が、はっと身を起こして辺りを見回す。
KP
あなた達はどうしてか、分かってしまう。
これは、夢ではない。

時計を見れば、眠ろうとした時と同じ時刻だった。
この見知らぬ場所に、あなた達は一瞬にして移動してしまったのだ。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
1d100 72 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→38→成功
佐倉 光
1d100 77 SAN Sasa BOT 1d100→40→成功
佐倉 光
「……随分……平和そうな異変だ」
最早慣れっこの余裕である。
眠気の尻尾は振り払って席を立ってその辺のもの見始める。
佐倉 光
「シローは……いないな。対象外かな」
ほっとしたような心配なような。
牧志 浩太
「みたいだな。あんまり長くならないといいんだけど。
前みたいなのは困る」
KP
見回すと、通路を挟んだカウンターの椅子の上に、男性らしき人影がひとり座っていた。

彼はあなた達が動き出したのに気づき、椅子を回転させて向き直る。

「いやー、急に呼び出してしまって申し訳ないっす。

でも眠れなくて暇を持て余してるなら丁度いいかなって思って……」

そう声をかけてくる男性には口が無かった。
いや、そもそも頭部が丸ごとない。

被っているフードの中には真っ暗な闇が広がっていて、奇妙にもその空間に雨が降っている。

まるで御伽噺の住人のような姿をした人物を、あなた達ははっきりと目にしてしまう。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3
牧志 浩太
1d100 72 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→34→成功
SAN 72 → 71
牧志 浩太
「いや勝手に呼ぶなよ都合聞けよ大体ようやく眠くなってきて寝ようとしてたところだったんだぞ」

その程度で牧志は動じなかった。いや、一瞬「うわっ」とは言ったが、その後に流れるようなツッコミを入れた。

どうせ話聞かないんだろうなー、という諦めがその語尾から少し感じられた。
佐倉 光
1d100 77 SAN Sasa BOT 1d100→35→成功
SAN 77→76
佐倉 光
「で。何。話って。
下らねぇ話なら寝るからな」
不機嫌を隠そうともせずに答えた。
KP
「あなた達を呼んだのは他でもありません!」

彼は少しもったいぶるように少し間を開けた後、こう告げる。

「この街、潤田市を救ってほしいのです!」

ババーン!
本編見る!
佐倉 光
「……」
眠気の中で考える。
佐倉 光
「なんで?」

知らないところだし。
KP
「なんで? って、そんな薄情な! いやどういうことかっていうとっすね」

彼はどこからともなくお手製のフリップを取り出す。

「ドリームランドってご存知っすよね?
いまこの街ではちょっと大変なことになってまして、そのドリームランドと覚醒の世界が繋がりかけてるっす」
佐倉 光
「ドリームランド……」
なんか聞いたことがあるな。何だっけ。
佐倉 光
「覚醒の世界って何。
市町村合併の話?」

前者は一回くらいしか聞いたことがないし、後者は聞いたことがない。
加えて寝ぼけているので分かるわけがない。
KP
ありゃ、と少し不思議そうな声で彼は言う。

「じゃあ最初から説明を。
まず、二つの世界についてお教えします」

「覚醒の世界と夢の世界という二つの世界が存在します。この”覚醒の世界”っていうのがあなた達が普段暮らしている世界ですね」

「夢の世界……ドリームランドは、あなた達で言うところの異世界、夢の世界です。
行ってみたいと思……おっとっと、これ以上はいけない」

「通常二つの世界が直接繋がりあうことはありません。ですが二つの世界が繋がってしまうと大変なことになります。どうなるかと言うと、多くの生物の実存が揺るがされるんですね」

「わかりやすく言うと……、自分が今夢を見ているのか現実を見ているのかわからなくなって、正気を保てなくなるってことっすね」

そこで彼はドヤ顔しながら一旦言葉を切り、あなた達の反応を待つ。
佐倉 光
「…………あー」
手を打つ。
佐倉 光
「あの本そんな題名だったな。
ドリームランド地誌。
あそこか。クソ虫追っかけてった夢の世界」
ほんの数年前のことなのに遥か昔に感じる。
佐倉 光
「なっつかしーなー。
確かにあんなのがリアルに漏れてきたら異界並みにうぜぇな」
佐倉 光
「で、なんでそんな話を俺たちにするんだよ」
眠いんだけど。
KP
「それだけじゃありません、ドリームランドに存在する生物が覚醒世界に来てしまうんです。これらの生物は覚醒世界の生物にとって非常に脅威的な存在です」

「僕たち門番は二つの世界の均衡が崩れないように管理するのが仕事っす。
現在我々がいるこの覚醒世界の潤田市という街がドリームランドと融合しつつあるということで、調査アンド解決のため派遣されて来たってわけです」

「お二人にはこの潤田市に迷い込んだドリームランドの生物を捕獲していただこうかと思ってます。そうすれば僕は原因の調査に専念できますしね」

「協力して……くれますよね?」

ねっ?
雨の降りしきるフードの中に、きゅるるん☆ という擬音とともに円い眼が見えた気がした。

特段かわいくはない。
佐倉 光
「説明は分かったよ。
質問に答えろよ。
なんでよりによってこれから寝ようとしていた時間帯に俺たち選んだんだよ。
素手でも戦える戦闘民族でも選べよ。
なんでよりによって一般人の俺らなわけ」
目が座っている。
半ばこの不条理に対する八つ当たりである。
この男が選んだというなら、正当な怒りだが。
KP
「いや、そのぉー……」
男は左上の方を見ながら、フードの中の雨粒を泳がせる。

「ほらあれ、ドリームランドのこともご存知みたいでしたし? 丁度いい所にいたから、こう。あっ睨まないで」

「ほら、生物を捕まえるための道具も用意しましたから、一般人でも大丈夫! ねっ?」

彼はフードの闇から手のひらサイズの物を取り出す。
どうやら手鏡のようだが、鏡の部分が歪な形をしていて綺麗な楕円とは言い難い。

「これを向けて念じるだけですから! 簡単なお仕事なので!
時間はしょうがないんすよ~、ドリームランドの生き物は夜に活発になると分かったので、夜に来ていただくしかないっす」
牧志 浩太
「だから、なんで事前に言わないで呼びつけてから頼もうとするんだよ……」
KP
「事前に言うと皆さん逃げちゃうので」
牧志 浩太
「それは頼み事するって言わない」
佐倉 光
「……まあそれくらいなら」
正直、興味はある。
あと、さっさと終わらせればそれだけ早く帰って寝られるかも知れない。
大体こういう場合、相手の望みを叶えないと帰れないのだ。
全くもってクソだな。
佐倉 光
「何捕まえりゃいいんだよ」
KP
「はあぁ、よかったぁ~……。あっ、ちゃんと報酬も出しますんでね、無事できたらお願い事を一つずつ聞くっす。何でもとはいきませんが」

「ドリームランドの生物の探し方は街を散策して手掛かりを見つけたり聞き込みをしたりっすね。見るからに変なんで分かると思うっす。

それでは今後の話をするんですが……」

そこで、金髪にロングヘアの少女が人数分のコップを持って現れ、あなた達に丁寧に配る。
彼女は何も告げない代わりに、丁寧にお辞儀をする。

「彼女はエマさん、貴方たちと同じ協力者っす。
彼女のご両親が運営しているこの店を拠点として使わせてもらってるっす」
牧志 浩太
「あ、ありがとう。協力者、って俺達以外にもいたのか」
牧志は一瞬だけそのコップに警戒の視線を向けた後、礼を言って受け取る。
佐倉 光
「えっ、面倒くさそう」
思わず感想が漏れた。
KP
「今日のところは僕もついていくんで、頑張って欲しいっす」
牧志 浩太
「……今日のところ?」
佐倉 光
「……は?」
今度こそ地獄の底から聞こえるような不機嫌ボイスになった。
コップは受け取るけど。
KP
「一日じゃ済まないかもしれないっすからねー」
ド不機嫌ボイスを出したあなたを、エマと呼ばれた少女が遠慮がちに見上げる。
彼女はテーブルの上にノートを置いて、何かが書かれているページを見せてきた。
佐倉 光
「一日で終わらせんだよ」
佐倉 光
ノート見る。
KP
『私は声が出せません』

少女の手がペンを取る。そこから続く白紙のページに、さらさらと整った文字が書かれていく。

『私はこの街、潤田市で暮らしています。だんだんこの街がおかしくなって、困っています』

『このお店をやっている私の両親も、おかしくなってしまいました』

『どうか、助けてください』
【アイデア】または〈心理学〉(オープン)>。
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→36→成功
KP
1d100 77〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→88→失敗
FANBOX開設したで
KP
彼女は凛とした表情を浮かべてこそいるが、あなたは彼女の眼に、精神的にも肉体的にも、ひどく疲れきった様子を見てとった。
佐倉 光
「あのさぁ。
なんで協力者が一般人の俺達や、喋れないような女の子なわけ。
もっと体力ありそうなやつ選べよ。
人選適当すぎだろ。解決する気あんの?」
男に不満をぶつける。
牧志 浩太
「……」
牧志が、少し困った顔であなたを見る。
牧志 浩太
「めんどくさそうだし、なんで突然、とは思うけど」
牧志 浩太
「俺は、助けたいかな」
佐倉 光
「どうせ選択肢はねぇだろ。
文句くらい言わせろ」
KP
「ぎゃん、こっちにも色々都合があるっすよぅ。そもそも波長が合わないと聞いてもらえないとか、『夢だな!』ってスルーされちゃったとか。
その点あなた達はしっくり波長が合ったっす。なんででしょうね?」
佐倉 光
「……マジクソだな。
さっさと片付けるぞ。
詳しく話せ」
KP
エマはあなた達に深く、深く、頭を下げる。
佐倉 光
夢だな、でスルーできない……
もうぐうのねも出ないぜ!
KP
そう、夢だな! でスルーできなかったがために。
夢だな! 帰ろう! ってガン無視して帰っちゃった誰かさんがいたんですよ多分。
KP
「それじゃあ今後の話をするんすけど」

男はよいこらせ、とカウンターの椅子から立ち上がる。
椅子に座っている状態ではわからなかったが、どうやら彼の身長はあなた達の二倍ほどもある。

彼はするりとあなた達のいるボックス席に座り、歪な形の手鏡をテーブルに置く。
「この手鏡を対象に向けて念じれば、鏡の奥のドリームランドに送れるっていう寸法っす」
「それから、お二人には夜にこっちに来て頂いて捕獲に当たって欲しいんすけど、日中にお仕事とかあった上で来て頂くのでまぁお疲れでしょう。

ということで、こちらのエナジードリンクを用意しました。気が利くなぁ~僕」

彼は懐から8本の試験管を取り出し、4 本ずつ渡す。

試験管の中身は微妙に発光している蛍光色の液体だ。黄緑色とピンク色、水色、黄色があって、それらはドロドロとしている。
佐倉 光
「成分何。つーか休ませないつもりかよ」
怪しい試験管を持ってひっくり返す。
KP
「え、だって日中はお仕事とかあるんでしょう?」
佐倉 光
「色が四種あるけど効果は?」
牧志 浩太
「口調で損するって言われないか? よく」
KP
「いや別に。あ、効果はこの通りっす」
【エナジードリンク】
黄緑:探索系・POW 系ダイスロール判定自動成功
ピンク:戦闘系・STR 系ダイスロール判定自動成功
水色:知識系・DEX 系ダイスロール判定自動成功
黄色:交渉系・INT 系ダイスロール判定自動成功

それぞれ一人一本ずつある。
牧志 浩太
「またあんまり飲みたくない色だな……。俺、カフェイン駄目なんだけど」
KP
「あ、たぶんカフェインとかそういうそちらの成分は入ってないんで大丈夫っすね」
牧志 浩太
「そちらのって言った、今」
神話生物の捕獲ルールが提示される。
乗る気はある
KP
ちょっとややこしいんですが、KPが決めた数字に近い所に合わせればゲット! みたいな感じですね。
佐倉 光
ポ○モン……!
KP
ゲットだぜ! 仲魔にはならない。
佐倉 光
ふむふむ
佐倉文句は言ってるけど、面白そうだから興味は示してるよ。
まだ辛いわけじゃないし。
KP
面白そうだけど巻き込まれ方が理不尽に過ぎるのよっていう。>佐倉さん

佐倉 光
「困ってんなら普通に頼めってんだよ。
何恩着せがましく言ってきてんだ。
報酬が出るなら、まあ、いいけどさ。
猿の手は勘弁しろよ」
KP
「猿の手? 欲しいっすか?」
佐倉 光
「要らねぇよ」
猿の手……『何でも願いを叶える』アイテム。最悪の形で。
佐倉 光
「しかしドリームランド由来の生き物か。
碌でもない予感しかしないぜ……」

見たのヤバすぎるラインナップだったからな。
瀝青の海で殺されかけた蜘蛛、墓場の汚いモンスター、蠢く死者……
牧志 浩太
「本当にな、聞いただけでも会いたくないなって思う連中ばっかりだったし。
この鏡が頼り、ってことだな……」
KP
「あ! そうだ!」
以前の出来事を思い出しているあなた達をよそに、彼は不意に声を上げた。

「最後に守ってほしいことがありまして、ぜっっったい猫を傷つけないでほしいんです!
ほんと大変なことになるんで!!」
牧志 浩太
「へっ? 猫?」
佐倉 光
「猫?」
あちらで会った猫といえば……
佐倉 光
「ユキさん?」
牧志 浩太
「そういえば、会ったって言ってたな。
……ドリームランドと混ざりかけてるのなら、あいつにも会えたりするのかな?」
KP
「? ユキ?
ともかく、猫を殺してはいけないっていう法律がドリームランドにはあってですね。
最悪死刑になります、はい」
牧志 浩太
「思ったより物騒な話だった」
佐倉 光
「へー。
まあ別に猫殺す必要は無いだろ」
佐倉 光
そういえばもらったコップには何が入ってる?
KP
入っているのは爽やかな香りのオレンジジュースだ。
エマが白紙のページにさらさらと文字を書いてゆく。
『せっかくいらっしゃって下さったので、お飲み物をどうぞ』
「よし! 説明はこんな感じでさっそく街に向かいましょう!
……の前に、何か夜食でも食べますか?
お代は僕が持ちましょう」

あなたがコップの中身に目を落とした時に、ちょうど男がそう声をかけた。
あなた達は何か食べていってもいいし、そのまま出てもいい。
佐倉 光
さっさと終わらせる気だから、そのまま出ようかな。
オレンジジュースだけ少し舐めて変な味がしないことだけ確認したら飲んでおこう。
KP
舐めた感じ、違和感のあるような味はしない。
牧志はジュースを少しだけ飲んで、飲み干さずにテーブルに置いた。
牧志 浩太
「ありがとう。それじゃ、行ってきます」
KP
あなた達が店を出るために扉に向かうと、エマがその場を守るように見送ってくれた。

ふと男の方を見れば、先ほどまでフードの中で降っていた雨の代わりに桜の花びらがひらりひらりと雪のように舞っている。
佐倉 光
「天気屋……ってことか?」
エマには軽く目礼だけしよう。
KP
「……はっ!
あっ、えっと、それじゃあ行きましょうか」

あなたにそれを見つけられたことに気づくと、男はなぜかちょっと慌てながら、あなた達を店の外に導いた。
佐倉 光
「天気男。あんた何なんだ。
ドリームランドの人?」
KP
「あ、そうそう。僕はあっちとこの世界の間で門番をやってるっす。
呼び名が必要ならナシュトって呼んでくれていいっすよ」
佐倉 光
「門番ね。……の割に会ったことねぇな」
その軽い様子に〈心理学〉だァァァ! こいつ何か隠してねぇだろうなぁ!?
KP
OK、クローズドで振ります。 Sasa BOT 🎲 Secret Dice 🎲
KP
あなたはなーんとなーく察してしまった。
そわそわした様子。ひらひらと舞う花弁。

これは……
この少女に惚れちゃっているのではないか。

そんなことを察する必要はなかった。
佐倉 光
「…………」
しょうもないことを察してしまった。
佐倉 光
「私情入れすぎんの、どうかと思う」
KP
「いやいやいや、そんなことはめめめめ滅相も」フードの中を舞う花弁が横スクロールアクションのように左右に移動した。
佐倉 光
「あの子も寝られないんだろうが。返してやれよ」
呆れ声で言って、店の外へ。

コメント By.佐倉 光
全然眠れなかったけどやっと眠気が来た。さあ寝よう……って時に突然呼びつけられ、眠れなくなってしまうシナリオ。
懐かしのドリームランドの話題が出てきます。

TRPGリプレイ【置】CoC『骨組みだけの宇宙』 佐倉&牧志 2(終)

「帰ったら、前にやったあれ、やってみる?」
「ああ」反射的に答えてから、一呼吸置いた。「今度な」
「ああ、今度」

TRPGリプレイ CoC『インモラル・イミテーション』佐倉(子)&牧志 12

「くそ、この話題になるといつもこれだ、まともに考えられなくなる」

TRPGリプレイ【置】 CoC『レプリカの心相』佐倉(子)&牧志 3

これは……ちょっと、待て。
考えなきゃいけない。これは多分、大事なことだ。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


TRPGリプレイ CoC『VOID』継続『空白の航海』春(終)

「……クオリア、あるじゃあないですか」

TRPGリプレイ【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」

TRPGリプレイ CoC『対の棲みか』『第一話 霧謬の見』牧志&佐倉 1

『お前に電話して良かったよ』