こちらには
『波間のダージュ』
のネタバレがあります。
本編見る!
牧志 浩太
「応える前に、幾つか聞きたい。
今までは、と言ったな。お前はどうして転向した?」
KP
『神を信仰するのに理由などいるのでしょうか、……いいえ、人間にはきっとあるのでしょう。あなたたちは神を信じるために生まれるわけではない』
ダージュはため息をつくように身を震わせた。
『かつてこの波間を作ったばかりのころ……ヒプノスの襲撃に遭い、壊滅の危機に瀕したことがあるのです。その時に私は、かの神の御姿を拝見し、その威光に浴したのです。

美しかった。今までの常識や信仰が全て塗り替えられるほどに……
それだけですよ』
牧志 浩太
「ああ……。疑って悪かった。
俺は協力する。こんな所で死ぬ気はないしな」
カイ
「え、それで納得なの」
牧志 浩太
「うん。割とあるんだ」
カイ
「あるの」
割とある
マキシPL
見た瞬間に発狂して崇め始めてしまった狂信者とその末路、塔牧志はわりとよく見たり読んだりしてそうで。
最終的にはダージュもその末路を辿ったわけですね……。
KP
なんなら牧志もそんな経験してますし……
マキシPL
ありましたねぇ。

牧志 浩太
「佐倉さんが記憶を保っていたのは、夢のクリスタライザーの作用か?
それとも……、かの神が、俺達に干渉したのか?」
KP
『サクラの記憶については以前に言ったとおりです。
彼自身の意志力の強さ、それ以外に原因があったのかは私には分かりません。
かの神の加護によるものだとしたら、うらやましい限りです』
サクラ
「俺、ヒプノスには面識ないと思うな」
牧志 浩太
「あ、そうか。佐倉さんには言ってなかったか」
サクラ
「え、面識あるのか? いつの間に」
牧志 浩太
「あー、後で話すよ。
深い意味があって伏せてたわけじゃないし」
サクラ
「ん? まあ、分かった」

カイ
「灰色の織り手って、あいつらなんなの? 
あ、いや、ダージュもその一人なんだけどさ」
KP
『灰色の織り手は、アトラック=ナチャの眷属。
アトラック=ナチャに奉仕するために生まれた存在ですよ。
『彼らは』アトラック=ナチャが望むことを行うのです』
コウ
「僕も協力する。
こんな所で死にたくないのは同感だ」
カイ
「あたしも。
ややこしいことに巻き込まれちゃったもんだよね」
クウ
「俺も。他のみんなも助けたいし。
それに、俺の知ってる牧志と佐倉さんじゃない? にしても、牧志は牧志だし、佐倉さんは佐倉さんだもんな」
シノノメ
「ええ、私も。そうすることが一番良いと思えるわ」
ミユキ
「うん、頑張る! その呪いをかけた神様? に協力するなら呪いを解いてもらえるかもだよね!」
レン
「俺も協力する。先輩に生き返らせてもらった恩を返したいんだ。
なんか別人みたいだけど、俺が勝手にそうしたいと思うだけだから気にしなくていいよー」
サクラ
「ありがとう、みんな」
KP
『ありがとう、子供たち』
コウ
「礼はいい、お互い様だ。
あなたと佐倉さんに救われなければ、僕らはここで何も知らないまま死んでいた」
KP
東雲は皆の顔を見て身震いをした。
牧志 浩太
「俺も、それはすごく同感。
何も知らないまま、仕方ないことだと思って先輩やみんなを殺してたかもしれないんだよ。
逆だったかもしれない。ぞっとする。不覚すぎる」
カイ
「本当にそれだよね」
ミユキ
「うわー、そうだね、知らないでうみちゃん殺してたかもなんて考えたくもないし!
牧志さんと本当に対決するなんて嫌だし!」
レン
「俺も恩人殺すようなことになんなくて良かったよー。別人だけど」
カイ
「今更お姉さん面するでもないけど、あたし、安心してんだ。
牧志が……、マキシが諦めた顔しなくてよくなってさ。

今の牧志、諦めないって顔してる」
牧志 浩太
「いいよ、元々東浪見さんの方が年上だろ」
クウ
「へへっ、今までありがとな、ダージュ。
もう子供でもないけどな!」
牧志 浩太
「まあ何歳か分からないし、ダージュ。
少なくとも波間ができた頃から生きてるんなら、俺達子供たちみたいなものだろ」
クウ
「あ、そりゃ子供だ」
KP
『ここは夢ですから、あなた方が過ごした長い年月も、
覚醒世界ではほんの瞬きの間であるかもしれないし、気の遠くなるような長さであるかも知れません。
ただあなた方がここに存在するということは、肉体はいまだ生きて眠り続けているのでしょう』
KP
『呼び名についてはご勘弁を。
呼び慣れた名を変えてしまうと、いつほころびが生じて他の織り手たちに知られるか知れません』
コウ
「確かに、そうだな。
態度や呼び名をあまり変えると、変化に気づかれる。
ここで見つかるわけにはいかない」
カイ
「もうちょっとだけ子供のふりしてろ、ってことだね。
参ったな。変な気分だ」
コウ
「自分の言動を思い出すと色々、恥ずかしいんだよな。こう。こう」
牧志 浩太
「そこまでは大丈夫だろ、きっと。
問題があるとしたら俺の方だ。
結構雰囲気、変わっちゃってるみたいだからな」
レン
「……俺元々子供だからあんまり変わんないかも」
KPのひとりごと
蓮は高校生です。変わらないってことは……ないでしょう、多分。

牧志 浩太
「それはいいとして」
牧志 浩太
「ダージュ、佐倉さん、これからの作戦を考えてるなら教えてほしい」
KP
『アトラック=ナチャ到来の際、私がヴォルヴァドスの招来を行います。
その時、アトラック=ナチャを抑え込んでほしいのです。書庫で得た魔術が役立つでしょう』
牧志 浩太
「ヴォルヴァドス……、コウ、じゃない、先輩が言ってた光か。

確かに、今頼れるものはそれくらいだな。
味方してくれるかもしれないって公算は?
あちらも秩序を乱されるのは好まないだろう、ってことか?」
KP
『はい。そのように願い、そのように呼びかけるのなら、おそらくは。
それに、あなたには縁が見えます。
僅かでも助けになるでしょう』
牧志 浩太
「縁……、そうか。
ヴォルヴァドス……、ノーデンス、ああ、ああ。
随分懐かしい縁だ。覚えていてくれるといいけど」
サクラ
「ああ、ノーデンスか。随分前だからなぁ」
クウ
「え、知り合い?」
牧志 浩太
「昔の知り合いの知り合いかな」
ノーデンスとの縁
ありすぎてネタバレ対策が大変すぎるので略!
牧志は祖父の代からの縁である。

クウ
「アトラック=ナチャって、あのでっっっけぇ神様……、蜘蛛神のことなんだろ?
あの紐でなんとかなるのか?」
両手を広げてジェスチャー。
KP
『私が召喚するまでの時間を僅かな間稼いでくれれば良いのです。
幸い想定していたよりも『悪い子』の人数が多い。僅かな時間であれ、抑えることも可能でしょう』
クウ
「ちょっとだけか!
分かった、頑張ろうぜ」
牧志 浩太
「とにかく、そういうことなら分かった。
あともう少しだけ『いつも通り』過ごして、その時に頑張れ、ってことだな」
KP
『はい、その時に手伝っていただければいいので、あとはいつも通りに』
牧志 浩太
「……ん?
ダージュ、この見た目はどうする?
明らかに今までと変わってる。
このままじゃ、見た目で変化に気づかれる」
少し背の伸びた両腕を広げて言う。
KP
『魔法をかけてあげましょう。これで他の者にはいつも通りの姿に見えるはずです』
KP
ダージュが何か呪文を唱えるが、あなたの目線では何も起こっていない。
数十年近く変化することのなかった体が……しかし、あなたの本来の姿より幾分か幼い体がそこにはあった。
今となっては違和感を覚えずにいられないこの姿だが、もう少しだけ付き合っていく必要があるようだった。
カイ
「何もなってないけど……、魔法、ちゃんとかかってるの?」
手足を伸ばして確認する。
KP
『そこは、私が貴重な協力者を裏切るようなことはない、ということを信じていただくしかありませんね』
カイ
「あ、ごめん。疑ったつもりじゃなくてさ。
見た目全然変わらないから」
クウ
「魔法なんてかけてもらうの初めてだもんなー」
KP
『灰色の織り手たちはしばらく忙しくて、あなた方の変化に気付かないと思います。
しかしそれでも不必要に近づき刺激することのないようにしてください』
サクラ
「みんな、『今まで通りにやる』ってのが一番大変かも知れないな。
だからさ、ずっと話せなかったんだ。俺も、ダージュも」
サクラ
「俺も何だかほっとしたよ」
KPのひとりごと
……というのはこの卓限定の理由なんですが。
というのも、見た目誤魔化せるならもっと早くやっても良かったんじゃない? って疑問へのカウンターはシナリオに書かれていないためです。

余裕がある灰色の織り手たちには誤魔化しはばれるんじゃないかな?
マキシPL
見た目を誤魔化しても態度に出ちゃうでしょうしね。
ここまで浮足立ってるタイミングじゃないと、魔法の存在も態度からもバレそう。不審を抱かれたら追及・調査されそうですしね。

牧志 浩太
「ずっと知ってて黙ってたんだ、……大変だったよな。
よく、普通に振る舞ってたと思うよ、佐倉さん。

ようやく全部打ち明けてもらえたんだ。
ようやく、佐倉さんの隣に立てた。
……すごく嬉しいよ。数百年の悲願が叶った気分だ。
今まで通りにやるのが大変そうだ」
サクラ
「マジで辛かったんだからな。色々」
クウ
「おいおい、二人ともまだ気を抜くなよー。
ばれちゃったらおしまいなんだからな」
牧志 浩太
「だな」
サクラ
「ああ、まったく、その通りだ。
灰色の織り手にバレなくても、紡ぎ手みんなにはバレそうだ」
ミユキ
「うーん、大人が漏れないように気をつけなきゃ」
レン
「ミユキさん、大人なんだ……」
ミユキ
「どういう意味かなー?」
レン
「い、いえ、何でも!」
シノノメ
「むしろ大人の振る舞いを忘れていそうだわ」
クウ
「それあるなー、帰った後で困りそう」
コウ
「帰ったあとに戸惑いそうだな」
牧志 浩太
「しばらくしたら慣れるさ、きっと。
最後の二週間だ。楽しもう」

KP
『さて、他に訊いておくことはありますか?』
牧志 浩太
「他にはないかな。
正直心許ないけど、他に何かくれないってことは、俺達に渡せる武器もあれが限界なんだろ?」
KP
『はい。あれが私に考えられるうちで最高の手段です』
クウ
「アトラック=ナチャって、弱点とかあんの?」
牧志 浩太
「ああ、確かに。
弱点というか、こういう行動を取りやすいとか、ここが弱いとか、これをされると冷静さを失うとか、何か付け入れそうな所はあるかな。
ちょっと途方もない話をしてる自覚はあるけどさ」
KP
『弱点などは私には分かりませんが、詳しい計画をお伝えしましょう』
KP
『私たちの目的は、波間の破壊とこの領域をヒプノス様に返還すること。
伴い、アトラック=ナチャをンカイへ帰すことで、ヨグ=ソトース及びアフォーゴモンを再度抑止します。
そしてあなた方全員を覚醒世界に還します。

アトラック=ナチャが到来した直後に旧神ヴォルヴァドスを招来し、
ヴォルヴァドスの権能でアトラック=ナチャをンカイに送り返します。
ヴォルヴァドスの招来時、私はそれ以外のことができなくなりますので、
アトラック=ナチャの妨害をする助けが必要なのですよ。

ヴォルヴァドスに波間の破壊をさせ、
それにより休眠状態にあるヒプノス様に力の返還を行います。

アトラック=ナチャの退散と波間の破壊が完了次第、紡ぎ手は覚醒世界へ送り返します』
牧志 浩太
「分かった。ダージュ、その時は頼む。
俺達も頑張るよ」
決意を込めて、頷く。
全員の表情が、めいめい形は違えど、それぞれの決意を宿していた。
KP
ダージュは、あなたがたの顔を見わたし、付け加えるように言った。

『旧神ヴォルヴァドスは、他の神への対面……つまり、領域の侵犯を好みません。神にはそれぞれ領分があり、それを守っている。
つまるところ、本来ヒプノスの領域であるこの場所に好んで来ることはないでしょう。

また、かの神は“呼びかけ”の選定を厳格に行っている。
故に、本来邪神の眷属である私や……ここでその手伝いをしていたあなたたちの呼びかけには中々答えない。

しかし、アトラック=ナチャが領域を侵し、アフォーゴモンが動き出すとなれば、さすがのヴォルヴァドスでさえ我々の声に応えざるを得なくなる。
看守の名を冠するかの神の領分とは、邪なる神の抑圧と監視ですから。

これが今に至るまで実行に移せなかった理由となります』
牧志 浩太
「……絶対的な危機。
そうか、勝算が薄いと思ったけど、動かざるを得ない瞬間がある……、ってことか」
KP
『語るべきことは語りました』
ダージュはそう言ってテーブルから離れた。
『こうなればもう、私たちは一蓮托生です。あと少し、頼みましたよ』
サクラ
「あと二週間なら何とかなるさ。
みんなのお陰で【くらげ】も食えたしな」
佐倉はダージュに親指を立ててみせた。その顔には随分と活力が満ちているように見える。
牧志 浩太
「ああ、任せて。
ダージュ、その時は頼んだ。

佐倉さん、みんな。
今度こそぶっ飛ばしてやろうな、この勝手な牢屋をさ。

……グレースの分も、アオの分も、マルタの分も。
俺達が殺させられた、何人もの子供達の分も。
せめて、その無念くらいはぶつけてやるんだ」
サクラ
「そう来なくちゃ」
クウ
「……おう!」
コウ
「ああ」
カイ
「ああ。めちゃくちゃにしてやろうよ、あいつらの思惑を」
ミユキ
「頑張りまーす」
シノノメ
「ええ、やるわ」
レン
「神様追い返すのならやったことあるし!」
KP
皆が気合いを入れるのにゆったりと頷いて、ダージュはカンブリックの家を出ていった。
牧志 浩太
目に光を燃やして、その姿を見送った。

コウ
「……よし。それじゃ、今日の仕事はいつも通り寝る事かな。
くらげは倒した。祭りはもうすぐだ。“楽しみ”にして、寝よう」
静かに波照間、いや、“コウ”が宣言する。
ミユキ
「うん、夜も随分遅いもんね。いつも通り寝よっか」
レン
「流石に眠いなぁー」
サクラ
「……レン、お前の本当の名前、なんていうんだ?」
月影 蓮
「俺は月影蓮! 高校生! で、シャドウ!
そうだ、みんなのほんとの名前も聞きたいな」
カイ
「あ、そっか。もう帰るまで、その話できないもんね。
知り合いじゃないみんなは、今聞いとかなきゃ分かんないもんね」
クウ
「だな!」
サクラ
「焦るなよ。コトが起きるまで後二週間あるんだ。
なんかかんか機会はあるさ。
向こう帰ってからは、わかんねーけどな」
カイ
「こうやってゆっくり話せる時間、あるかどうかわかんないと思ってさ。

いいね、集まろう。
みんなが普段何してるかとか気になるし」
牧志 浩太
「いいな。俺も話聞きたい。
佐倉さん……、サクラが元気になったんだ、みんなで部屋に寄って話しても不自然じゃないさ」
クウ
「帰っても、またどっかでゆっくり話してーな」
牧志 浩太
「俺達やレンは違う世界の住人だから、帰ったら会えないけどな。
……いや、もしかしたら、またきっと、どこかで会うかもな。
そんなことが、前にも一度あったんだ」
クウ
「えっ、ほんとに? じゃあまた会えるかもな。会えたらいいな!」
東浪見 海
「あたし、東浪見海。仕事はバックダンサー。
空の姉で、牧志くんと佐倉くんとはちょっとしたことで知り合ったんだ。
あ、でも、違う世界の二人なのかもしれないんだっけ?」
牧志 浩太
「ううん。違う世界ではあるけど、海さんのことは知ってるよ」
東浪見 空
「俺、東浪見空! 大学生で牧志の友達で、同じ大学の同級生! 佐倉さんとも友達!
で、姉ちゃんもとい姉貴はうちの一番上の姉貴。
でも、ほんとにびっくりしたな。姉ちゃん姉ちゃん言ってたら、ほんとに姉貴だったんだから」
東浪見 海
「ああ、それはほんとに。まさかほんとに弟だったとはね」
士幌 美雪
「私は士幌美雪! 旅行会社でOLやってまーす。
うみちゃんとはあっちでも友達。
あとねー、牧志君や佐倉君とは会ったことない時から色々あったなー」
波照間 紅
「波照間紅、大学生だ。牧志とは同じ大学の先輩で、佐倉さんとは仕事の同僚。
その関係でクウ……空とも知り合ったな。

それから、牧志とは色々と深い縁がある。
東雲さんとは……、その……」
照れくさそうに口ごもる。
東雲 圓華
「私は東雲圓華。
紅さんには命を助けてもらったことがあるの。
それからずっと一緒にいたわ。だからここにも一緒に来られたのね」
サクラ
「東雲さんもぶれないよな」
東雲 圓華
「あなたが知っている私もそうなのね。なんだか嬉しいわ」
牧志 浩太
「俺は……、牧志浩太。元大学生かな。今はまあ、色々あって無職。
東浪見や先輩が大学生ってことは……
波照間先輩、東雲さんや東浪見、それから海さんが知ってる俺とは、世界と、それから時間も違うみたいだ。
佐倉さんの話からすると、レン……、月影のいる世界とも、違う世界みたいだな。
月影のいる世界の話、正直気になるから、寝る前に聞かせてよ」
波照間 紅
「君が無職? 何があったんだ。だって……」
牧志 浩太
「まあ、色々あってさ」
佐倉 光
「俺は佐倉光。訳あって悪魔退治稼業はやめてるよ。
今は色々あってくず拾いスカベンジャーやってる。
みんなの話を詳しく聞きたいからさ、良かったら自由時間に俺の部屋に寄ってくれると嬉しい。
とくに蓮。お前の話がっつり聞きたいから明日の自由時間、付き合え」
月影 蓮
「いいよー! 代わりにセンパイの話も聞かせて! スカベンジャーって何!? 悪魔使いより面白い?」
佐倉 光
「お前なぁ……長生きできねぇぞ。まあ、いいけど」
牧志 浩太
「好奇心旺盛だなぁ」
レンの様子を見て苦笑。

牧志 浩太
月影くんが佐倉さんのスカベンジャーにめちゃくちゃ興味持ってて面白い。
KP
この佐倉は月影くん止めてやるほどの義理はないから教えちゃう。
牧志 浩太
あーあ、なるほど。>教えちゃう
KPのひとりごと
月影が知っている方の佐倉は、彼が事件の記憶を忘れかけているようだったので、そのまま月影が何も知らずに日常に戻ることを望み、月影の『悪魔使いって何?』のような質問に答えてやりませんでした。
これもまた相棒への愛情。

だったんですけど、この佐倉はそんなの知ったこっちゃないのです。 本人が知りたがるなら教えてやってもいいよね。

波照間 紅
「このままだと、夜通し話してしまいそうだな」
牧志 浩太
「寝るか」
佐倉 光
「そうだな。いつも通りに」
KP
子供達の寝言、少し建付けの悪くなった窓を風が揺らす音。
寒さから守ってくれるこの家が、まさか家畜を飼うための檻だったとは、知らなかった頃。
これらが永遠に続く幸せだと信じて疑わなかった頃。

一体、どんな気持ちで夜を過ごしていたかを、思い出せなくなっていた。

KP
それからの数日は、いつも通り過ごさなければいけなかった。
いつも通り食事をとり、糸を紡ぎ、遊び、眠る。
コーヒーの中に垂らされたミルクのようにくるくる混ざり合う非日常という名の真実が、目の前の景色を白けさせていく。
牧志 浩太
それからの時間は、心細く心許ないながらも、たぶん、この数百年で一番楽しかった。

手を取れないもどかしさにもがく日々でもなく。
諦めを負う悲しみに沈む日々でもなく。
いつか細って死んでいく時間でもなく。

ちゃんと生きている自分として、みんなと一生分くらいの話をした。

そう思うとやっぱり、この箱庭が幸せなんてことはなくて。
俺は俺でいる方が、ずっと楽しいらしかった。
KP
紡ぎ手たちはあなた方のちょっとした変化を少し不思議に思うことがあったかも知れない。
しかし『サクラが最近元気だから』という理由で納得したらしかった。
KP
元気な理由を問われれば佐倉は嬉しそうにこう答える。
佐倉 光
「もうすぐ神がおいでになるだろ? みんなずっとそのために頑張ってきたんだもんな。そりゃあ嬉しいし元気にもなるよ」
KP
事実、サクラは体調はともかくずっと楽しそうだった。
佐倉 光
「俺は生きるって事を忘れかけていたのかも知れない」
KP
体が次第に砕けていこうと、自分が自分を、大事な人々が彼ら自身を、失ったまま存在しているのは耐えがたかったのだと語った。

蓮からは根掘り葉掘り『自分』と関わった話を聞き、牧志の話と比べておもしろがる。

波照間や東雲、東浪見姉弟の話を詳細まで聞いて、やはり彼らは『違う』のだと落胆し、
それでも話すのは嬉しそうだった。

そして牧志。あなたとは時間を忘れて話したがった。
佐倉 光
「おかしいよな。飽きるほど一緒にいたし、ここに来てからだって牧志はいつも側にいてくれたのに、話していないことがまだまだあるんだ」
牧志 浩太
「俺もだよ。
この数百年ずっとずっとおれは生きてたはずで、楽しかったはずなのに、今思うと痛むんだ。

ずっと一緒にいたんだけどな。
隣に立てている気がしなかった。
一緒にいようと思ってずっともがいてて……、いろんなことを話したはずなのに、満足に話もできなかった」
佐倉 光
「群衆の中の孤独ってのは、辛いもんだな」
牧志 浩太
「ほんとにな。
ここの方がみんないて、ずっと賑やかなはずなのに、いつもさみしかったんだ」
KP
今にして思えば彼はずっと、どこか諦めたような、遠くを見るような、虚ろな目をすることが多かったのだと、思い知るだろう。
牧志 浩太
この数百年、おれもサクラも、ずっと。
ずっと諦めを受け止めさせられてきた。
牧志 浩太
まだまだこれからだ。
佐倉さんに耐えさせているのも、まだ何もできないのも、変わらない。
牧志 浩太
それでも隣に立てるだけで、みんなと今度こそ共に立てるだけで、清々しい気持ちだった。

KP
このシナリオで減った【POW】は、KPC PCともに永久的喪失となります。
頑張って【幸運】1出すか、そのへんなんとかするシナリオに行きましょう。
ということになります。
牧志 浩太
なるほど。
【人間性】はある程度あればいいことを考えると【POW】が重要と。
KP
そう、【人間性】はみんなが頑張ってくれているお陰で全然減ってないし、前回回復したから結構安全圏。
で、【POW】も余裕あります。

KP
考えることは多くあったが、サクラの容体は少しずつ悪化してゆく。引き続き、治療の必要があるだろうか。

今回はどのような手段を取るべきだろう。
牧志 浩太
佐倉さん……、サクラの様子を見る。
欠けていく手を取り、いつものように目を見つめる。
佐倉 光
大丈夫、耐えられる。この世界の終わりまで耐えきってみせる。
KP
佐倉の目は今、如実にそう語っていた。
牧志 浩太
今ならあの時、肉を、手足を与えるのを躊躇わなかった理由が分かる。

躊躇うわけがない。
いつもしてくれてることを、そのまま返すようなものだ。
牧志 浩太
今の所大丈夫そうだ……、きっと。
今は何もせず、様子を見る。
KP
あなたは、自らの糸巻き棒を再び手にした。

世界の破滅を紡ぐ奴隷としてではなく、自らの命と時間とを紡ぐひとりの人間として生きるために。
あなたを捕らえようと腕を広げる、運命の意図を断ち切るために。

海水と波打ち際の間、妖精たちの眠る頃。
アダムが生まれて以来咲くことのなかった花が……世界の理が、蕾を綻ばせていた。


──第三波「アダムの花冠」 終了


生還報酬
佐倉 光
1d2 Sasa 1d2→2
【人間性】 7 → 5
牧志 浩太
おおーーーっ! シノノメさんのおかげだ>減少が減った
KP
そう、これはなかなか大きい!
牧志 浩太
ですね! シノノメさんが取ってくれなかったら危なかった。
KP
結構ダイス勝負が多いし重要なシナリオだから、まだ全然「安全」なんて言えないけど、
目茶苦茶いい感じできてます!
なによりサクラが「変異前の紡ぎ手の肉」をまだ必要としていないのものすごい!
成長
KP
戦闘中にクリティカルがいくつか出ているので、それも纏めて成長処理をしましょう。
ログ確認して張っておきますね。
KP
コウ - 先週 日曜日 1:58
CCB<=77 〈弓〉 (1D100<=77) > 1 > 決定的成功/スペシャル

マキシ - 先週 日曜日 2:07
CCB<=61 〈弓〉 (1D100<=61) > 97 > 致命的失敗

シノノメ - 先週 日曜日 1:53
CCB<=60〈こぶし(パンチ)〉 (1D100<=60) > 5 > 決定的成功/スペシャル
シノノメ - 先週 日曜日 2:15
CCB<=60〈こぶし(パンチ)〉 (1D100<=60) > 96 > 致命的失敗
東雲 圓華
1d100 60 東雲〈こぶし〉 Sasa 1d100→ 61→失敗
1d10 Sasa 1d10→6
1d100 66 東雲〈こぶし〉 Sasa 1d100→ 32→成功
〈こぶし〉 60 → 66
1d5 Sasa 1d5→3
SAN 74 → 77
牧志 浩太
戦闘中のクリファン集計ありがとうございます、すごく助かります。
・マキシ
第三波冒頭で朝食クリティカル
手押しポンプ【STR】クリティカル
CCB<=61 〈弓〉(拳銃) (1D100<=61) > 97 > 致命的失敗

・コウ
手押しポンプ【CON】ファンブル
CCB<=77 〈弓〉 (1D100<=77) > 1 > 決定的成功/スペシャル

・カイ
糸巻き【DEX】ファンブル

ですね。あとSAN報酬か。
牧志 浩太
マキシは、手押しポンプは【STR】=力ということで、戦闘絡みの〈拳銃〉
朝食のクリティカルは素直に料理を上げます。

コウのポンプ【CON】ファンブルは体力関係ということで、〈応急手当〉

カイの【DEX】ファンブルは糸巻きなので、足も使うだろうということで〈キック〉

にしても構いませんか?
KP
なるほどok。
牧志 浩太
ありがとうございます。
牧志 浩太
1d5 マキシSAN回復 Sasa 1d5→4
SAN 35 → 38
東浪見 海
1d5 カイSAN回復 Sasa 1d5→4
SAN 49 → 53
波照間 紅
1d5 コウSAN回復 Sasa 1d5→4
SAN 64 → 68
牧志 浩太
1d100 8 マキシ〈料理〉成長 Sasa 1d100→ 45→失敗
1d10 Sasa 1d10→1
1d100 31 マキシ〈拳銃〉成長(STR) Sasa 1d100→ 99→致命的失敗ファンブル
1d10 Sasa 1d10→9
1d100 40 マキシ〈拳銃〉成長 Sasa 1d100→ 78→失敗
1d10 Sasa 1d10→7
波照間 紅
1d100 77 コウ〈弓〉成長 Sasa 1d100→ 41→成功
1d100 30 コウ〈応急手当〉 Sasa 1d100→ 95→失敗
1d10 Sasa 1d10→5
東浪見 海
1d100 55 カイの〈キック〉成長 Sasa 1d100→ 13→成功
牧志 浩太
料理 8 → 9
牧志 浩太
拳銃 31 → 47
波照間 紅
応急手当 30 → 35
東浪見 海
カイは成長なし。
牧志 浩太
マキシの〈拳銃〉がかなり伸びたのは大きいですね。
+30%あればコウ並みの判定値になる。
KP
外に出ない牧志くんなのに
牧志 浩太
外に出ない牧志なのに拳銃が伸びていく。
波照間と一緒に弓を構えて共闘した思い出ですね。

牧志 浩太
そういえば以前のリプレイ読んでて思ったんですが、もし塔牧志が本編牧志のいずれかの未来だとしたら、塔牧志の腹の中にもイブクロ君いる可能性。
変質してえらいことになってそう。
KP
塔の何処かにいるのかもしれない。
塔で不要になったものとか特級呪物とか食ってるかもしれない……?
牧志 浩太
なるほど塔のどこかで這いずりながら不要物や呪物を喰ってる可能性。ありそう。

分岐について
KP
さらっと流されましたが、実はここ重大な分岐があるところでした。
サクラを見捨てて自分たちだけ脱出する
脱出を諦めて波間の生活を楽しむ
という選択肢がありました。
ダージュへの協力を拒むルートです。
牧志 浩太
なんと選択肢があった!
見捨てて脱出するのも可能だったとは。

探索者の状況によっては、束の間の穏やかな生活を楽しんで世界と共に滅ぶルートもあったんですね。
ロスト探索者がPCの中にいたら迷うだろうなぁ。

塔牧志はそれを選んでもおかしくない境遇だったし、実際もう少し状況が違っていたら、少しなりとも葛藤していた可能性もありましたね。
それでも「他の世界の先輩で代えてよしとする」選択はなかっただろうけど。

そうならなかったのは何より、「牧志が最初からいた」からで、この波間の穏やかな日々の裏にある痛みを、無力を最初から全部背負ってきたからですね。
あと牧志、現状に大層怒ってる。
KP
アトラックナチャが到来すると波間の平穏な生活はどんな形かは分からないけど終わると思うんですけどね。

何もせずに波間の生活を選んだエンディングはもう出しちゃっても良さそうなので貼っておきましょう。
エンド2
KP
全てを忘れさせてもらえるようなので、お祭りの日までの二週間を楽しむことができるでしょうね。
その後は分からない。
ずっとその生活が続くならともかく、2週間後に終わるし、その後どうなるか分からない、という情報が提示されて尚、ここで何もせずに過ごす人もあまりいない気もしますが。
牧志 浩太
なかなか珍しい気はしますね。
世界の終わりが来ると分からなかった頃ならまだしも。
織り手たちには顧みられていないから、アトラック=ナチャと一緒に「次」へ行ける可能性もほぼないだろうし。

それでも恐ろしいものを見たくなどない、目をつぶっていたい、または、最後まで幸せを味わっていたいということなのかな。

現実につらさの強い探索者で、正気度 がだいぶ減っていたらあるかもしれない。
戻ってもそこに幸せはないから、それなら幸せな子供でいたいという。

描写が穏やかで辛くていいなぁ。
KP
紡ぎ手たちが佐倉にたまに忌避感や苛つきを感じていたのは、夢のクリスタライザーに呪いが反応しているためです。

途中で佐倉が車椅子を押すのをレンにお願いしたのは、マキシに嫌われるのが嫌だったからです。
牧志 浩太
ああー。
たまに感じる苛つきは夢のクリスタライザーへの反応だったんですね。
佐倉さんほんとつらいな。孤独な上に触れ合っていると苛つかれる。
KP
現実的にも、まかり間違って本当に嫌われてしまったら最後に協力してくれる人もいなくなりますしね。
そういうの抜きにしても、毎日来てくれるマキシに嫌われるのは辛いですから。

毎日来てくれて不快感味わってるだろうに通ってくれるマキシ。
牧志 浩太
ああー、確かにそれはそうだ。>本当に嫌われたら
そうでなくても塔佐倉さんが相棒たる牧志に嫌われたらつらいし、毎日来てくれて最初からずっと一緒にいたマキシに嫌われるのもつらいし。

不快感を味わいながらも、サクラを嫌いになるはずがないと信じようとするマキシ。

KP
次の話いきますかー
牧志 浩太
行きますか! 最終話ー!
KP
皆は生き残ることができるか。
牧志 浩太
ここまで来たなら生き残りたい。
頑張る! ダイスも頑張っていただきたいもの。
KP
じゃココフォ入れるようでしたら折角なのでオープニング流しますが
牧志 浩太
おっ、入れます入れます 入った!
おおおおお 燃えてる 波間が燃えている

コメント By.KP(佐倉)
大分話せるような舞台裏も尽きてきましたね。
そういえば第三波に入ってからのトップ絵は色々と悩んだ記憶があります。
迂闊なことするとネタバレになるし。

プレイ日:2025年5月20日 ~ 2025年12月17日

作者名: つきめぐり/つきのわむく

配布・販売サイト: 【COC6版】波間のダージュ【継続推奨人数可変シナリオ】SPLL:E194766

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