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こちらには
『midnight pool』のネタバレがあります。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
とある事件より、体中の痛みに悩まされているが、桜色の勾玉により少し改善した。
巻き込まれ体質らしい。

最近、遭遇した事件で恐ろしいものを目撃したことで、繰り返し再発する記憶障害にかかっている。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

最近酷く心が傷つくことがあり、更に恐ろしいものを目撃したことで、理由のない不安にとらわれ続けていたが、『旅行』により持ち直しつつある。

佐倉とは友人。


とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。最近になって急に一般的な生活を送り始めたので、外界への興味が強い。


KPより
前回同様、シナリオ開始前の日常生活シーン(オープニング)を長めに取る予定です。


「ここで永遠にさよなら。」

「midnight pool」
金髪先輩 様



嫌いな生き物
佐倉 光
不穏……!
KP
▼開始前に、PC(佐倉さん)の「嫌いな生き物」について、3種類教えてください。
※人間以外でお願いします。
佐倉 光
苦手 程度でも大丈夫ですか?
KP
苦手 程度でも大丈夫です。
佐倉 光
二つは確定しているんだけど。ちょっと待ってくださいね。
KP
ごゆっくり!
佐倉 光
ふたつは ヘビ。猫。
KP
ヘビはなぁ、もう仕方ないよなぁ。猫もしかり。
佐倉 光
TARON。生き物じゃないw
普通の一般的な生き物の方がいいですよね?
KP
一般的じゃなくてもいいけど、なんらか生き物のほうがいいですね
使うのはもちろん本編に入ってからなので、オープニング中に考えて下さっても大丈夫です
佐倉 光
幻獣的なのはどうなんだろうと。
KP
ああー。行けます。
佐倉 光
じゃあ、女神転生本編で殺された悪魔とかでも行けるかな。
駄目ならそれに似た生き物にしとく。
KP
なるほど。人間型の悪魔以外なら行けます。
佐倉 光
しかし思い出してみれば殺されたのほぼ人間型か無機物ばっかりな気がしなくもない……!
最悪サメとか蜘蛛だな。
KP
はーい!
蜘蛛は苦手になってもおかしくない(その姿を実際に見たのは入られた当人じゃなくて佐倉さんの方なんですよね)
佐倉 光
あー、それもあったな。科学技術館のコピーどもの中に蜘蛛いたので。
トキとかもありか。
KP
ああー、そっち! あれはひどいはなしだった。
トキもありですねぇ。
佐倉 光
猫はそこまでじゃないから、
ヘビ トキ 蜘蛛 にしよう。
その三つは見ると思わず「うわっ」となる程度には嫌い。
KP
はーい!
全部酷い目に遭わされた由来なの悲しいね
佐倉 光
そんなことでもないとあまり好き嫌い言わなさそうで。
KP
確かに。そも動物への興味そんなになさそうっぽいですしね。
佐倉 光
あと悪魔使いなので色々な生き物見ることになりますしね。
KP
確かに。
ラミアさんの頭が人間でよかったね……
ありがとうございます。
 よろしくお願いします。
佐倉 光
よろしくおねがいします!

KP
あの穏やかな日から、一週間程が過ぎただろうか。
あなたの記憶は時に曖昧に、時に明確に、浮いたり沈んだりを繰り返していた。

目覚めたあなたに笑いかけてくるのが誰かさえ分からない日から、全く当然のように落ち着いている日まで。

浮いたり、沈んだり。
浮いたり、沈んだり。
少し濁った水の中に、やさしく揺蕩っているように。

そうして浮き沈みを繰り返しながら、少しずつ波を小さくして。

受け止めるべきことを受け止め、忘れるべきことを忘れ、本来のあなたに戻っていく道の途中だった。
佐倉 光
記憶が抜けるタイミングや量によっては、何もかもが怖くて、
奇妙な夢と悪魔を初めて見たあの日のように座り込んだり逃げ出したり、
恐怖に抵抗するために攻撃しようとする時もある。
牧志 浩太
恐怖に抵抗するために傍らの銃を取ったあなたに、見知らぬ男は平然と背を向け、傍らにいる幼い子供に何か言っていた。
……何だか扱いに慣れられている。
KP
※やっぱり弾はまだBarで預かってもらっている。
佐倉 光
慣れられているときは、威圧しても暖簾に腕押しの状況に困惑して、しばらく部屋に閉じこもってたかもしれない。
KP
警戒してる猫を見るように距離を置いたまま、「何か買ってこようか?」とか、それくらいの話をしてたかもしれない。
佐倉 光
正気に戻った時に大変ばつの悪い思いをする羽目になるので、自分の腕に必要な情報を書き連ねておくことにした。
詳しい情報はPCにテキストで纏めておいた。
しかし割と自分のPCの立ち上げ方が分からなくて困ることも多いので、小さな手帳に最低限の情報をメモしておくようにもした。
大体はこれで乗り切れる、はずだった。

牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん」

朝起きて牧志があなたの名を呼ぶ声は、前のような痛みを伴うそれではなく。
今日のあなたは何を覚えているのだろう? と、少し楽しそうに確認する声だった。
佐倉 光
シローくんは部屋にいますか? それとも外泊中?
KP
洗面所から微かに物音と気配がした。
どうやら、シローは顔を洗っているらしい。
佐倉 光
物音で目が覚めた。
目が覚めたのは知らない部屋だ。どこだろう、ここは。

ふと視線を落とすと、自分の腕に小さな字で『お前は記憶が混乱している。左の腕を見ろ』と書いてある。
腕をまくると、左腕の肘から上にずらずらと細かい字が書いてあった。
『名前は佐倉光。一緒に住んでいる赤茶の髪の奴は友人の牧志浩太、子供はシロー。化け物が目の前にいるならまず身を隠せ。ヘビ女なら仲間の可能性が高い。詳しくは自分のPCか持っている手帳を確認すること』
この情報は信頼していいのだろうか?
佐倉 光
枕元に簡素な手帳が置いてあった。それに手を伸ばした途端に声がかけられ、びくりとして手が止まる。
優しい声だ、と思った。
親しそうに自分を呼ぶ声。何だか知っているような気もする。
こういう時にどうしたらいいのか、分からない。
ひとまず手帳を持って、おそるおそる部屋を出た。
牧志 浩太
「ああ、ごめん。脅かしたかな」
その日あなたに声をかけた男は、簡素な寝間着姿だった。

恐る恐る部屋を出ると、ソファと大きな窓のあるリビングルームに出る。
洗面所の方から、他にも何者かのいるらしい水音が微かにした。
佐倉 光
「あの……ここは、どこですか」
こんな時は警戒すべきである、という認識すら抜け落ちて、ただただ困惑していた。
佐倉 光
「もしかして牧志さん……ですか」
牧志 浩太
「そう、俺は佐倉さんの友人の牧志。
ここは、俺と佐倉さんの家」

彼はソファに腰掛けて、ゆったりと脚を組み、手をソファの座面にかけた。

その所作に何となく違和感を覚える。
すぐに動けない姿勢を示すためにそうしたのではないか……、という気がした。
佐倉 光
牧志の動きの意味を考え、おそるおそるその向かいに回ろうとする。
ごく一般的な住宅に見える……
そして、目の前の青年にも見覚えがある。彼を見ていると何か思い出し始めた……
佐倉 光
「え、えぇと、そうだ、思い出した。『親』!」
……ってなんだろう。何か大事なことだったような。分からない。
でもきっと目の前の彼なら知っていて、答えて貰えるんじゃないだろうか。
期待に満ちた目で彼を見つめた。
KP
あなたは彼の向かいに回る。
『親』と口に出すと、彼は困ったような顔で苦笑した。
牧志 浩太
「あー……、親じゃないかな。シローにとっては親代わりだけど」
困った顔の合間に、どこか痛みのようなものが覗いた。
牧志は佐倉から『親』と呼ばれたことに嫌な想い出があるのだ。
佐倉 光
「あれ、違う? おかしいな……
でも、牧志さんと僕は同い年くらいですよね。親、ってのもおかしいか。花札?」
何か決定的に間違ったことを言った気がする。
牧志 浩太
「花札か、やったことないな。
あ、朝食べる? 作った物が食べにくければ、パンも買ってあるけど」
あなたの思考が『親』から逸れたことに安堵するように、彼はそのまま話を移す。
そういえば、洗面所や浴室のそばにこじんまりとしたキッチンとダイニングルームもあるようだ。
KP
「さくら?」
その時、洗面所の方から幼い子供の声がした。
壁に隠れるようにして、白い小さな手だけが見えている。
佐倉 光
子供の声がした方を振り向いた。
佐倉 光
「おはよう、えーと……シローくん」
KP
そこには、眩く輝くほどに美しい少年がいた。
少年はその美しい顔で、名を呼ばれて無邪気に、少し不思議そうに笑う。
佐倉 光
「……」
なんだこれ美形。悪魔じみてる。悪魔? なんで急に悪魔なんて。悪魔っていうより天使とか。
KP
「さくら、おはよう!
きょうのさくら、おぼえてないけどおぼえてる?」
佐倉 光
「あー……ごめん。僕は記憶喪失……なんだよね?」
困ったように笑う。
佐倉 光
「もしかしてよくあることだったりする……のかな」
腕に書かれている文字を指先でなぞって呟いた。
KP
少年はうんうん、と頷く。
「さくら、わすれたりわすれなかったりする。
でも、さいきん、わすれるの、まえよりへってる」

大丈夫、と少年は小さな手を伸ばして、あなたの腕を撫でる。
牧志 浩太
「そういうこと。ちょっと色々あって、今の佐倉さんは記憶が混乱してるんだ。

でも、落ち着いてくれば思い出すことが多いみたいだから、大丈夫だよ」
大丈夫だよ、と静かに言う声には、親しみと穏やかさがあった。
佐倉 光
はあ、と声を漏らす。
知らないはずの場所にいるのに、妙に落ち着いているのはそのためか。
撫でてくれる小さな指が、大丈夫だと言ってくれる声が、自分はここにいても大丈夫なのだという確信を与えてくれる。
佐倉 光
「ここは僕の家……なんですね」
不思議そうに見回す。
牧志 浩太
「そういうこと。
補足すると、今日はシローと一緒に水族館に行く予定だった。

あ、朝一とかじゃないから、ゆっくりしてからで大丈夫」
佐倉 光
今自分は目覚めたばかり、みたいだ。
それなら、身支度をして着替えるべきだろう。
手帳をひとまずテーブルに置いて、洗面所にいって顔を洗ったり手洗いに行ったりしよう。

佐倉 光
【CON】判定がまだなので、判定したら衝撃で思い出そうかなと思ったり。
KP
今回のシナリオにはちゃんと思い出さない状態で突入してもらおうと思っていたので、このままの方がいいかもしれません。
佐倉 光
はーい
ボケボケ佐倉でいきます。

KP
洗面所に行くと、子供用の踏み台が出したままになっていた。
コップは二つと、子供用の小さなコップが一つ。

コップと歯ブラシには、「さくら」「まきし」と耐水テープの上から名前が書いてある。
佐倉 光
歯を磨きながら、鏡を見た。
これが自分だ、という確信はない。
何もかもがぼんやりとしていてつかみ所がない。
分かるのは、自分がいる空間が安全な場所で、あの二人は信じられる気がする、ということだけだ。
KP
……忘れてしまったというのが真実だとすれば、なぜ自分は忘れてしまったのだろうか。
佐倉 光
そういえば、ひどい夢をみていた気がする。

巨大な蜘蛛のようなものによって仲間達が次々と倒れる夢。
親しい人たちに襲われる夢。
砂漠でなにかおおきなものに見下ろされる夢。
ひたすらに先が見えない道を歩く夢。
誰かの口に不気味なものが入り込む夢。

逃げようとも耳を塞ごうとも
嘲笑うように次々と連鎖するように現われ、歪んで襲い来るそれらから身を守りたかった。
佐倉 光
こんなことが前にもあったような気がする。
KP
鏡の中には、少しやつれた顔の青年が映っている。
洗面所に射す日差しの色合いが、今は朝なのだと示していた。

外は穏やかな、見覚えのない住宅街の風景。
曖昧な記憶の中で、酷い夢の残滓は散り散りになって白い霧の中に浮かんでいた。

その白い霧にも覚えがあるような気がしたが、何となくいま覗き込むべきものではないようにも思われた。
佐倉 光
記憶をゆっくりと再構築する経過で、そういうのも出てきちゃったんじゃないかな。
本編開始タイミング
KP
朝のシーンと家の中の色々と佐倉さんの現状をたっぷり楽しんだら、水族館に向かってシナリオイン、と考えています。
他にやりたいこととか寄りたい所とかあればもちろんそれも!
佐倉 光
メモ帳とパソコンの情報は見ないで行こうと思います。
今受け止められる情報ではありません。
KP
分かりました。情報量で佐倉さんがパンクしちゃいますし、色々分からないままの方が面白いですしね。

じゃあ家の中を色々見て、朝食にして、支度してお出かけかな。

佐倉 光
歯を磨きながら、周りの物に何となく目をやる。
何を見ても記憶に引っかかると思えるものはなかった。
そのくせ、歯磨き粉がどこにあるか知っているし、
意識する前にハンドルに触れて水を出すことができる。
「さくら」と書かれた歯ブラシを洗いながら、
彼らの言うとおりなのかもしれない、と思った。
自分は意識的に『思い出さない』ことにしているのかも知れない。

白い霧を意識すると、背筋に怖気が走り、酷い頭痛が起きた。
思わず胸元に無意識に手を上げたが、なにも触れなかった。
ここに何かがなくてはならなかった気がする。


痛む頭を押さえて居間に戻る時に、無意識にコーヒーメーカーに触れて出た。
KP
コーヒーメーカーの横にはコーヒーの他に、ハーブティーのパックが置かれている。
佐倉 光
テーブルに置いてあった手帳を見ると頭痛が増しそうな気がしたので、
視界から追い出して部屋を見る。写真などあるだろうか。
KP
先程の少年と「牧志」、そして、あなたが映った写真が簡素な額に入って飾られている。

それは科学館かどこかで撮ったもので、三人とも楽しそうに笑っている。

低い位置にあることから、どちらかというと彼に写真を飾る習慣があるというよりは、少年に向けてそうしているのだろう。

その他には、草原と山を描いた既製品のポスターが、部屋の風景として飾ってあるくらいだ。
KP
※服になった事件の後、科学館に行き直した時の写真です。

※他に佐倉さんが何か飾っていれば、それもあります。
佐倉 光
写真をじっと見つめ、自分の記憶と繋げようと試みたが、何も浮かんでこなかった。
自分の顔ですら自信がないのではどうしようもない。
佐倉 光
「まあ、いいか」
何となく諦め気分になった。
今どうこうしようとしても無理なのかもしれない。
また、どうやら自分はしょっちゅうこの状態になっているらしい、ということはいずれまた治るかもしれない。
佐倉 光
「やめやめ」
呟いて、流れに身を任せることにした。さしあたって朝食の準備があるようなら手伝おう。とくに手作りは嫌、ということはない。
若干の居心地の悪さはあるが。
牧志 浩太
「あ、佐倉さん」
ちょうど、着替えた牧志が朝食の準備をしようとしていた所だった。
見覚えのない台所だが、包丁などよく使うらしい物は目につく所にある。
牧志 浩太
「何にする? 特になければ適当に作るけど」
佐倉 光
「すみません、何が欲しい、と言えるほど記憶がないみたいなので、お任せしていいですか?
何か手伝えることがあればやります」
……この人に指示してもらって、何かを作ったことがあるような気もする。
佐倉 光
「……卵炒め、とかなら、作った記憶があるかな……」
佐倉 光
※ヒナドリんときに。
牧志 浩太
「あ、いいな。丁度野菜の使いかけがあるし。シロー、卵割るか?」
KP
「わるー!」

KP
そうして、三人して朝食の準備をすることになった。
牧志が野菜を切っている間にあなたがフライパンを温め、シローは卵を…… おっと、案の定殻だらけだ。
佐倉 光
殻は横からこっそり取り除いておこう。
こういうのは慣れだ。
むしろなんとなくこういう拙い料理を見ていると何故かとても懐かしい気持ちになる。

野菜切れたら場所を空けて、横から材料いれるか。
牧志 浩太
牧志が横から野菜を入れ、火が通ったあたりでベーコンを追加する。
辺りに、食事の用意をしている時特有のいい匂いと音が漂ってきた。
牧志 浩太
「全員でやると速いな。な、シロー?」
KP
「うん!」
佐倉 光
ベーコンからじゅうじゅうといい音がする。
多分自分はあまり料理をしたことがないのだろうな、と思った。
フライパン混ぜるのがなんだか怖い。
卵を入れるタイミング? そんなもの分かるわけがない!
佐倉 光
牧志に場所を譲るつもりだったんだけど、描写しくじってフライパン前から退けなかったらしいw
KP
あっ認識違い
牧志 浩太
あなたがフライパンを前に戸惑っていると、牧志が予備の菜箸を取り出して、横からささっと混ぜていく。
佐倉 光
「ごめん、分からない。頼む」
後ろにさがって場所を空ける。
牧志 浩太
「忘れた分忘れてたことを思い出すとか、そういうこともあるのかなって思ってた」

牧志はそんなことを言いながら、フライパンを引き受ける。
佐倉 光
「多分僕は料理をしたことがほとんどないと思います」
少しの敗北感をおぼえつつ、フライパンの横に皿を並べる。
佐倉 光
そういえば牧志君そんなことあったなぁ>忘れた分思い出す
KP
シローがご飯をよそおうとして苦戦している。
佐倉 光
「……」
シロー君を見て、代わりにやってやることはしないけど、角度変えたりして少しやりやすいように手を貸そう。
KP
あなたに手を貸してもらって、シローはご飯をよそうのに成功した!
嬉しそうにあなた達によそったご飯を見せる。
佐倉 光
シローに親指立てて見せよう。
牧志 浩太
皿に卵炒めが盛られていく。いい匂いが鼻に届けば、あなたは自分が空腹であることに気づくだろう。
KP
料理とご飯と箸(シローはスプーンだ)を並べ、三人でダイニングテーブルにつく。
牧志の頂きます、という声をシローが真似た。
「しんでなんかないよ」の後遺症について
佐倉 光
『しんでなんかないよ』
の後遺症についてなんですが、作者さんのQ&Aに、応急処置可と記載ありました。
冷やしたり暖めたりするのかな。
なんか昨日一昨日このシナリオがTwitterでバズってたみたいです。
KP
おおー、そうでしたか。
冷やしたり温めたり、薬を塗ったりするのかな。
情報ありがとうございます、やった佐倉さんの痛みにできることがある。
佐倉 光
これはなかなか大きい。
考えようによっては開始直後に〈医学〉または〈応急処置〉の成長チャンスが貰えるということ……?
KP
ですねー! これは大きい。
牧志の技能値ならそれなりに成功するし、だいぶハンデが減る。
開幕ファンブったらすみませんが。

そう、同じこと考えました>成長チャンス
佐倉 光
今回か次回、調べて対処法試すシーン入れてもいいかもしれませんね。
佐倉も《ディア》(応急手当)成長貰えるかもだし、ファンブルならこちらも試せるということ!
KP
ですね!
牧志もようやく本当に立ち直ってきて、改めて試そうって気持ちになったんでしょう。

そうそう!
佐倉さんの《ディア》(応急手当)も成長するかも。

牧志 浩太
「佐倉さん、コーヒーか麦茶どっちがいい?」
佐倉 光
「ええと、じゃあ珈琲を……」
ふと珈琲マシンを振り向く。
そういえば何となくさっき触ったのがそれだったな、と納得した。
そうするとあれは自分が使っていた物だということになるし、それなら使い方が分かってもいいはずだ。珈琲くらい自分で煎れよう。
佐倉 光
マシンの前に行ってみる……が、使い方が思い出せなかったし、勝手に触るのも気がひけたので、結局ヘルプ出した。
牧志 浩太
牧志は二人分の麦茶をダイニングテーブルに置いた後、慣れた様子でコーヒーマシンを扱った。
KP
漂ういい香りは、確かに嗅ぎ慣れたもののような気もした。
コトン、と小さく音がして、テーブルにカップが置かれる。
佐倉 光
礼を言ってコーヒーをありがたく受け取って、いただきますをしよう。
佐倉 光
「まいったなぁ、何もできないじゃないか……役立たずだなぁ」
何故かそんな台詞がしっくりきた。
佐倉 光
「まさか僕、ここんちでひたすら居候してる、なんてことはないですよね!?」
牧志 浩太
「いや、役割分担かな。
確かに家の細かいことは俺がやってることが多かったけど、それ以外で色々頼ってたよ」
佐倉 光
「色々……」
佐倉 光
「現状自分に何ができるかさえ分かんないので、後で教えて貰えますか」
役立たずという言葉には、凄まじくネガティブな感情と、半ば誇りのような謎の自信の両方が纏わりついている。
牧志 浩太
「分かった。外でしにくい話もあるし、洗い物でもしながら話すかな」
KP
「いその?」
牧志 浩太
「居候。人の家に住んで、食べるものやお金を人に頼ってる人」
KP
「ぼく、いそろ?」
牧志 浩太
「子供は居候って言わないよ」
佐倉 光
「子供にはそうして貰える権利があるからね」
大丈夫だよ、と笑いかけよう。
KP
「いいの?」
シローはつぶらな、少し心配を宿した眼であなたを見る。
佐倉 光
自分が居候かを気にする、なんて
物を知らない子供が気にする、という流れはあるかも知れないが、
この少年の表情に込められた意味と経験はそれだけではないように思えた。
佐倉 光
「大丈夫大丈夫。そういうもんだから」
安心させようとして明るく言った。
KP
卵炒めはあなたの空腹によく染みた。
除ききれない小さな殻が少し混じっていたが、気になる程ではない。
佐倉 光
「今日はどこかに出かけるんだよね。どこだっけ」
KP
「すいぞくかん!」
牧志 浩太
シローが突然子供用の椅子から立ち上がり、飛んだ皿を牧志が慌ててキャッチする。
KP
「おさかな、いっぱいいる! くらげみる!」
シローはよほど楽しみなのか、先程の憂いも吹き飛んだ様子で、ぶんぶんと手を振って未知の魚についてあなたに語る。
佐倉 光
「あ、ああ。そうだっけ。水族館」
いきなりの子供のテンションについて行けずにたじろぐ。
しかし楽しそうに語るシローは微笑ましかった。
佐倉 光
「そうだね、くらげを眺めるのも楽しいだろうな」
佐倉 光
「……今日は休日、ってことか。平日じゃなくて良かった」
牧志 浩太
「そういうこと。
それに、佐倉さんはしばらく仕事ないみたいだったから、急な仕事がなければ大丈夫」
皿をシローのテーブルに戻しながら牧志が言う。
KP
あなたは何か、不規則な仕事をしているのだろうか。
佐倉 光
「僕の仕事、何だったんですか?」
こぼれた物があれば拭こう。
牧志 浩太
「悪魔退治屋。報酬の多寡は分捕った金次第」

食べ終わった食器を集めてシンクに移しながら、彼はさらりと言った。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「え? 悪魔って言った? 退治? ぶんどるってそれ強盗では?
っていうかそもそも僕にそんな力ありません……けど?」
思わず自分の体を見る。筋肉などほとんどない体だ。
佐倉 光
「何かの比喩ですよね?」
牧志 浩太
「佐倉さんには力があるよ、今は忘れてるだけ」
食器を洗う微かな音の合間に、そう返す。
牧志 浩太
「腕っ節じゃなくて、悪魔と契約して戦ってもらうんだ。
強盗かどうかは…… まあ。
向こうがこっちにちょっかい出してくるから、ってことにしといてよ。
穏便に済むこともあるし」
佐倉 光
「えーと……」
牧志の目をじっと見る。
本気だ。この人本気で言ってる。悪魔とか。契約とか。
理解を越えてる。そんなのゲームかなにかだ。

僕は本当にこの人たちが言う佐倉なんだろうか。
何かの間違いで中身が入れ替わったとしか思えない。

半笑いで話を流した。
さすがに信じられない。
牧志 浩太
彼の眼には何の気負いも、狂気もなかった。
水族館や食事の話から、完全に連続していた。日常を語る声だった。

これが狂気だというのなら、目の前の彼は余程狂っているのだろう。
ノーガード
佐倉 光
今はCOMPもお守り系も一切身に付けてません。
KP
ちょっと迷ってまして
お守り系全部置いていくのいいなーと思うんですが、少なくとも牧志は勾玉ないのに気づいて渡そうとしちゃうよなと。
佐倉さん、拒否…… する?

拒否まではしないかなって感じだったら、牧志が〈目星〉ファンブって気づかなかったことにします。
佐倉 光
なるほど確かに。さっさと上着着ても、「持った?」って確認されそうだしなぁ。
さっさと上着着た上で牧志君にファンブルしてもらうか!
KP
じゃあそれで!

佐倉 光
食器洗うの手伝おう。
牧志 浩太
彼は少し横に避け、あなたが立つスペースを作る。
泡が何の変哲もない手触りで、滑らかに汚れを流していく。
KP
簡素な食器は日常の顔をして、シンクの横の洗い籠に収まっている。
佐倉 光
おかしいのは僕なんだろうか、それとも僕が変な夢を見ているだけなんだろうか。
僕は自覚なく日常を踏み外すような生き方をしていたんだろうか。

少し恐怖をおぼえた。
思い出したら、この違和感から逃げ出したくなるのか、それとも当たり前のようにこの中に入って行くのか。

流れ作業的に皿を洗っていると、そんな得体の知れない恐怖も流れ落ちて行く気がした。
思い出した時にどうなるかなんて、今考えても仕方のないことだ。

洗い終わったら外に出られる格好に着替えよう。
KP
あなたが目覚めた部屋に戻れば、着替えは苦労することなく見つかるだろう。
何だか全体的に黒い格好だ。
佐倉 光
自分の持ち物がどこにあるのかは良く分からなかった。
遊びに出るだけだし、鍵とスマホと財布さえあれば問題ないだろう。
スマホはロックがかかっておらず、データが何も入っていない物がひとつあって、「ボケたら使え」とメモがついていたので、ポケットに突っ込んでいくことにする。

何だか体がとても軽い気がした。
(ポーチなし腕輪なしヒランヤと勾玉なし)
牧志 浩太
牧志とシローも準備を済ませ、外に出られる格好になっている。
KP
シローは楽しみで仕方がないらしく、飛び跳ねんばかりの勢いだ。
佐倉 光
「エイいるかな?」
などと声をかけて歩き出す。
牧志 浩太
「あれ?」
牧志がふと、不思議そうに立ち止まるが。
KP
「えい? えいってなに? えいえい?」シローが何かを振り回す仕草をしたのに気を取られた。
牧志 浩太
「そっちじゃないな。
エイっていう魚がいるんだ、大きくて平たいやつ」

KP
あなた達は三人並んで歩き出す。楽しそうな人々の行き交う休日の朝の住宅街を、駅へ向けて。
牧志 浩太
「今日行く水族館、今年できたばかりの所なんだ」
佐倉 光
「楽しそうだな。あまり水族館って行ったことがある気がしないんです。
といっても、前に何をしていたかとか全然覚えてないんですけど」

佐倉の歩き方からはいつもに増して警戒が抜けている。
いつもなら自然と気を配って、曲がり角の向こうから飛びだしてくるもの、
突然襲ってくるもの、口を開ける異世界などへの警戒を
ほんのわずか滲ませて最低限気を払って生活しているというのに、
危険なものに襲われることなど微塵も想像していない、
なんなら道路の車が突然歩道に飛び込んでくる、などのような、
日常のちょっとした危険に対する警戒すらない状態だった。
牧志 浩太
「確かに、あんまり佐倉さんと行ったことないな。シローと行くのも初めてだ……、うわ」
佐倉 光
走ってくる自転車を避け損ね、
佐倉 光
「ごめんなさい、ごめんなさい」
などと言う姿など、シローは初めて見たかもしれない。
牧志 浩太
「危ないな。相変わらず歩道爆走してくるのいるみたいだ、この辺」
あなたの様子を見て、牧志はさりげなくあなたを庇う。
KP
「さくら?」
シローが心配そうに、あなたと手を繋ごうと手を伸ばした。
佐倉 光
「ご、ごめん、ぼんやりしてて」
シローと手をつなぐ時は車道側に立つ、のような当たり前のことも抜けている。
どうやら随分と不注意になっているらしい。
気をつけよう、と思うと過剰に怯えたような動きになってしまう。
駅に着くまで気が休まらなかった。
牧志 浩太
「そうか、そこまで戻ってるんだな……」
牧志がぽつりと呟いたのが、あなたには聞こえたかもしれないし、聞こえなかったかもしれない。
佐倉 光
今回の佐倉、病院まで戻るどころか、ほぼ何も覚えていない状態です。
KP
記憶が本当に何もないのは不安だよなぁ。牧志はその状態は経験していないんですよね。

KP
水族館までは電車で三十分少々。
海に面して建てられたそこに辿り着くまでには、一度乗り換えがある。
佐倉 光
電車に乗ると心底ほっとした。
シローと手を繋いでやっているのか、繋いで貰っているのか分からない。
佐倉 光
窓から見える風景にも見覚えがない。
そもそも自分の中にどの程度の物が残っているだろう。
手探りしてもただ漠然とした不安があるだけだ。
牧志 浩太
細長い電車の座席に、牧志とシローがあなたを挟むように座っていた。
牧志 浩太
「あ、あった。今日行く所なんだけど、こういう所でさ」
不安そうに外を見るあなたに、牧志が呼びかける。
彼の手にはスマートフォン。その中に水族館の公式Webが表示されているようだ。
佐倉 光
地獄に仏とばかりにのぞき込んでみる。
やはり見たことはないが、楽しそうな雰囲気は分かる。
佐倉 光
「自分のこともまともに覚えていないのに、
水族館の何たるかを知っている、っていうのは、不思議なものですね。
僕自身のことより水族館がどういったものかって情報の方が
大事なんてことはないだろうに」
あっ、エイがいる。
牧志 浩太
「記憶が失われても言語とか歩き方とか、知識として身についたものは残ってたりする、って言うし、そういうものなんじゃないかな」
KP
公式Webのトップには、笑顔のように見えるエイの姿が載っていた。

「みなも水族館」とある。
海洋生物の保護・調査・研究を行いながら展示をしているそうだ。

公式Webを詳しく見てみる?
佐倉 光
どれどれ。自分のスマートフォンでも検索してみよう。
KP
検索してみるなら、公式Webの他にSNSの検索結果のダイジェストなども表示される。

それらを詳しく追うなら、〈図書館〉または〈コンピューター〉

無視して公式Webを見るなら、牧志の持つスマートフォンと同じ画面が表示される。
佐倉 光
〈図書館〉 を使用します。そのまま使える?
KP
そのままの値で大丈夫です。
佐倉 光
1d100 85 〈図書館〉 Sasa BOT 1d100→27→成功
佐倉 光
AIによる情報の要約が「あり」になったていたらしい。
KP
代用扱いで/2とかになるか、ということでしたらそのままの値で大丈夫ですし、
記憶無いけど使える? ということでしたら、「記憶が失われても知識や技能は残っている」なのかなと思います。
佐倉 光
はーい
KP
AIさんはゴチャゴチャしたSNSの検索結果をクリーンに要約してくれた。

楽しかった、大水槽が目白押しなどの内容の他、一つあまりいい気持ちにならないものがある。

・水族館に付属している研究団体は、海洋生物を用いた生物実験を行っているらしい。
・実験内容と結果についての批判が寄せられている。

といったものだ。
これはあくまで要約だが、原文にはもっと刺激的な文言も使われているのだろう。
佐倉 光
「珍しいなぁ。
客を集めることを目的としている施設でこんな情報が出ているなんて」
実験内容について、大体どのような物かって内容は読み取れる?
牧志 浩太
「確かにな。真偽不明の情報、っていうには……、あった、これだ」
KP
公開されている内容を見る限りではおかしなものには見えないが、確かに研究はあまり芳しい成果を出してはいないようだ。

ここで〈オカルト〉で判定。
佐倉 光
1d100 75 なにげにあまり出番のない〈オカルト〉!  Sasa BOT 1d100→70→成功
KP
情報を辿っているうち、あなたは水族館に纏わる噂話を見つける。
それは先程の批判などといったものよりも、さらに他愛ない噂のように見えた。

真夜中のみなも水族館に幽霊が出るらしい、というものだ。

小さくすすり泣くような高い声、鈴のような音、ぺたぺたという足音を聞いた……。そうだ。
そこから、女の子の幽霊がいるという話になっている。

他にも、水族館が人面魚を飼っているだとか、地下に化物を匿っているだとか、そこから面白おかしい噂が増えている。
佐倉 光
「へぇ……その土地に前に墓地があったとか、酷い実験していた病院があったとか、そんな事でもありそうな噂だ。
そんな変な噂が生えるほど古い施設じゃないし、なんだろう?」
いくつか噂を追ってみたものの、横にいるシローにあまり見せていい情報でもないかと考え直し、公式サイトに移動する。
牧志 浩太
「確かに、水族館に立つ噂としては珍しいな。

できたばかりのはずだけど、さっきの批判と絡んで噂が生まれたのかな。悪魔なら何かしら連絡が来てると思うし……」

牧志はあなたがちらりとシローを見たのに気づいて、噂の話をやめる。
KP
公式Webには只今のイベント情報! や、アザラシ餌やりコーナー! といった情報の他、コラボレーション香水発売予定! という広告が大きく載っていた。

とある香水のブランドが、みなも水族館と提携したらしい。
「MtM…MeltyMisery」という流麗なロゴと一緒に、人魚をあしらった涙滴形の美しいボトルが表示されている。
佐倉 光
香水にはあまり興味がないな。何となく読み飛ばす。
人魚? そういえばさっきの怪談に人魚……いや、あれは人面魚だったか。
リアル魚をモチーフにしそうな水族館にしては珍しいとも言えるテーマだ。
むしろ面白半分に湧いている噂を逆手にとって、こんなオカルトをモチーフに持って来ているのかも知れない。
だとしたら大した商売根性だ。
佐倉 光
「シロー、どのへん見たい?」
声をかけて、他に変なオカルトテーマの展示やらないか探してみる。
KP
そういった展示はないが、様々な形をしたクラゲの水槽などは、幻想的にも見える。
KP
「くらげ!」
シローが声を上げたとき。
牧志 浩太
「あっ、乗り換えだ」
牧志が立ち上がる。
佐倉 光
「ぉっと……」
慌てて立ち上がる。万一はぐれたら大変だ。
またシローに手を繋いでもらおう。

KP
あなたはシローと、シローは牧志と手を繋ぎ、人の多い駅の廊下を行く。
KP
と、その時。

どん!
あなたは不意の衝撃に襲われる。
佐倉 光
「わっ! ごめんなさい!」
悲鳴を上げて、反射的に謝る。
KP
「うわぁっ、ごめんなさい!」
相手の声とあなたの声が重なった。

相手は大きなスポーツバッグを背負った学生で、部活か何かの一団なのか、同じ柄のバッグを背負った学生達が周囲にいる。
KP
「すみませんすみません、大丈夫ですか、お怪我はないですか!?」
佐倉 光
「いえ、はい」
拍子で吹っ飛ばされたとかなければ、ぶんぶんと首を振って自分は大丈夫だと示してから、はっと自分が手を繋いでいた少年のことを思い出す。
佐倉 光
「シロー、大丈夫?」
KP
……あなたの手の先には、誰も、いなかった。
知っている人は、誰も。

繰り返し謝りながら去っていく一団の向こうには、少年も、牧志もいない。

あなたは、はぐれてしまったのだ。
見知らぬ場所、行き先もわからぬ場所の中、顔も知らぬ人々の行き交う中で、

たった、ひとり。
佐倉 光
「あ……」
どうしよう。

周囲を見回し、途方に暮れて標識を見つめ、人混みの中目をこらす。
家に戻ろうにも道も満足に思い出せない。
住所も分からない。
今更になって、自分があの手帳を置いてきたことを思い出した。
読む気になれなかろうとも、こういう時のために持ってきておくべき物だったのだ!
佐倉 光
「牧志? シロー?」
頭の中の何も無い真っ白な部分に、冷たい不安と恐怖が急速に溜まって行く。
どうしたらいいか分からない。
何ができるか分からない。
道に立ちすくんだままでおろおろとよろけるようにして二人を探す。
頭が働かない。何も考えつかない。
辛うじて駅のホームや改札に戻ることを思いついて振り向いたが、どこから来たかすら定かではない。

やっと自分が、昔のことはおろか、最近のことですらおぼつかない状態であるらしいことを知った。
血の気が引く。
佐倉 光
「牧志!」
思わず叫んでいた。
佐倉 光
スマホ持ってるなんてことスポンと飛んでた。
KP
どん!
途方に暮れるあなたに、また誰かがぶつかる。

どん!
あなたにぶつかった誰かは、謝りもせずに髪を振り乱して走っていく。

どん!
あなたを突き飛ばして誰かが走り去っていく。

〈聞き耳〉
佐倉 光
1d100 85〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→72→成功
翻弄されるままによろめいて、壁際に逃げ出そうとする。
KP
どよめき。何やら騒ぎになっているような曖昧な声。女性の叫び声。

あなたは気づく。
ぶつかってきた彼らは、「逃げて」いるのだ。必死に。「何か」から。

あなたは……、どうする?
本編見る!
佐倉 光
なんだ? 何か起きた? 逃げないと……でも、牧志とシローは?
もしシローが牧志からはぐれてたら?
壁に貼り付いて二人を探す。
佐倉 光
※引き際も分からなくなっている!
佐倉 光
騒ぎが起きた方を見る。何がいるんだ? 通り魔か?
KP
じわりと、騒ぎが広がっていく。
そこには、人が倒れているようだった。
一人ではない。
何人も、折り重なるようにして、倒れている!

様子を見に行くなら〈目星〉で判定。
この位置から確認するなら、〈目星〉/2で判定。
佐倉 光
近寄らないで判定してみる!
1d100 42 Sasa BOT 1d100→93→失敗
佐倉 光
どっちにしろ無理だった。
KP
倒れた人々の周囲に、箱のようなものが散らばっているように見えた。

【POT12】とあなたの【CON】で対抗ロール。
佐倉 光
マイナス30!
1d100 20 Sasa BOT 1d100→37→失敗
KP
あなたは不意に、強い違和感を覚える。

ここは、どこだったのか。
どうして、あなたはここにいるのか。

あなたは誰を探していたのか。
いや、探していた誰かなどいたのか。

あなたは誰で、
あなたは何なのか。
KP
その疑問さえ、徐々に消えてゆく。
あなたの数少ない記憶が、思考が崩れ、消える。
何もかも分からなくなるような、強い意識の混濁。

強い喪失感。
あなたが失われる。

失われて、しまう。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D4》。
佐倉 光
1d100 75 SAN Sasa BOT 1d100→8→成功
SAN 75 → 74
佐倉 光
そして、ちょっとはぐれて不安になるだけのイベントかと思ったらきっちり本編のイベントっぽい!?
KP
実はそうです。【CON】ロールは牧志と合流できたところあたりでやってもらうのがいいかな?
佐倉 光
お任せしまーす

佐倉 光
ぼろぼろと自分が砕けてなくなってゆく気がした。
残り少ない自分を構成するものが崩れ落ちてゆく。
元々そんな物なかったような気さえしてくる。

無意識に胸元に手を上げたがそこには何もない。
左腕に触れても細い手首があるばかりだ。
そこには何があるべきだと思ったのだろう。
何に触れたかったのだろう。

目を見開いて、恐怖に震える。
なくなりたくない。きえたくない。わすれたくない。
助けて、助けて、と無意識に呟いていた。
あんなのはもう二度とごめんだ。
僕はヒナドリじゃない。
KP
強い強い眩暈があなたを襲う。
足下を掬い、世界を歪め、色を混ぜて。
雑踏が人々の逃げ惑う声が幾重にも反響して、あなたを攫う。
KP
あなたの意識を引き戻したのは、ふと手に感じた人の温度だった。

誰かに手を握られている。

──息が、出来ない。
突然、あなたはまるで呼吸の仕方さえも忘れてしまったように、気道が痙攣する感覚を覚える。

【INT】×6で判定。
佐倉 光
1d100 100【INT】 Sasa BOT 1d100→8→成功
佐倉 光
たまらず座り込みそうになった。
顎をあげて苦しさに喘いで震え、空いた手で胸元をかきむしるようにした。

手に触れているのは何だ。
いや、誰かが握っている? 誰が……
佐倉 光
空気、空気がないと、溺れてしまう!
息を吸う、吐く、意識しようとしてもただ肩がぶるぶると震えているだけで、苦しさだけが増してゆく。
喉の奥で、ごぼ、と湿った音がした。
KP
とん、とん……とん。
喘ぐ胸に、微かな振動が伝った。
KP
誰かがゆっくりと息を吸う音がする。
吸って……、吐いて。

誰かがあなたの顎を上げ、狭まった気道を確保する。

誰かがあなたの胸に手を当てる。
子供を寝かしつけるような指先で、ゆったりとしたワルツのような、規則的なリズムを伝える。

そのリズムは、誰かが息を吸って、吐くのと同期する。

そうか、こうやって息を吸えばいい。吐けば、いい。
佐倉 光
ひっきりなしに打ち鳴らす拍動の中に耳を澄ませ、
必死で誰かの動きを、音のタイミングを、概念をトレースする。
吸う。吐く。痙攣して痛みが走る。吸う。吐く。軋む。吸う。吐く……
優しく寝かしつけるような根気良く優しいリズムに揺られて、
ようやっとだれかの声を聴く。
牧志 浩太
「大丈夫」
誰かの声がした。
牧志 浩太
「大丈夫だよ」
穏やかな声が、はっきりと聞こえた。
それは、牧志という名らしいあの青年の声だった。
KP
広い空洞に響くように、頭の中に反響する声が、視界が、次第に浮上していく。
牧志 浩太
「佐倉さん」
KP
開けた視界には、駅の構内を足早に行き交う人々の姿と。

心配そうにあなたの顔を覗き込むシローの姿と。
牧志 浩太
「佐倉さん、ごめん。はぐれちゃったな」
あなたの手を取り、心配そうにあなたの眼を覗き込む牧志の姿があった。
佐倉 光
やっと、目が開いた。一瞬、目の前にいるのが誰か分からなかった。
しかしすぐに意識に戻ってくる。
佐倉 光
「牧志……」
佐倉 光
「何が……」
目の前が歪んでよく見えない。何かがいるなら逃げなければならなかったはずで……
佐倉 光
「逃げないと……」
KP
辺りを見回しても、逃げる人々も倒れた人々も、あの箱もない。
夢でも見たのだろうか。それとも、過去の記憶か何かなのだろうか。
佐倉 光
「今、今、何かが、あっちから、来て……
人が倒れていて……」
呼気を漏らしながら呟くうち、自分が見たものや感じたことが
本当にあったことなのか、急速に自信がなくなっていった。
佐倉 光
「夢……?」
周囲を何度も見回す。不吉な幻の残滓がどこかに残っていやしないかと。
KP
駅の構内に満ちるのは、平穏に行き交う人々の姿と、他愛ない話をする声ばかり。

不吉な夢などどこにもなく、ただ空は薄暗くて。
夏にしては、すこし寒かった。
佐倉 光
何だったんだろう。
あれは僕の不安が見せた幻だったんだろうか。
きっとそうなんだろう。
世界が今おかしくないならやっぱり、壊れているのは僕の方だ。
佐倉 光
ズキズキと頭が痛む。そこから広がってゆくように全身にひどい痛みが走る。
思わず呻いて身を縮めた。
KP
記憶と強さを失って戸惑う佐倉さんをたっぷり味わえて序盤から楽しい!
佐倉 光
判定後でやるようなら痛みは一瞬きただけでまだ我慢できるレベルです。
KP
ちょうどいいタイミングですし、ここで挟むで大丈夫です。
KP
後遺症の【CON】ロールをどうぞ。
佐倉 光
1d100 30【CON】 Sasa BOT 1d100→9→成功
佐倉 光
なんとぉ!
KP
なんと!
KP
放射状に広がる痛みは、耐え難く身体を引き裂くようにすら感じられた。

あなたが声を上げかけた時、背中に柔らかい温もりが触れた。
牧志 浩太
牧志とシローが心配そうに、あなたの背をさすってくれている。
KP
痛みは少しずつ、ぼんやりと弱まっていく。
佐倉 光
何だったんだろう、今のは。
背を撫でる手の温度が、気を落ち着けてくれる。
佐倉 光
「今、体が痛くて……
だから幻を見たのかな。
だんだん、痛みが引いてきました」
二人に心配を、迷惑をかけてしまった。
佐倉 光
「大丈夫。
二人とはぐれて不安になりすぎたのかも、しれません」
きっとそうだ。
強い不安で奇妙なものを見、奇妙なことをする、なんてことは、前にもあったじゃないか、という気がするし。
牧志 浩太
「そうか……、よかった」
牧志はそっとあなたの背から手を伸ばし、あなたの服についた埃を払う。
佐倉 光
深呼吸して背を伸ばす。
恐慌が去れば痛みもほとんどなく、やはり気のせいだったのだと思えた。
牧志 浩太
「それじゃ、行こうか。大丈夫、動けそう?」
佐倉 光
「大丈夫、行けるよ」
二人を安心させるように笑って歩きだそう。
KP
心配そうだったシローはようやく、よかったと笑った。
佐倉 光
話の種程度の雑談としてさっき見た幻のことも簡単に話しておこう。
佐倉 光
「こんなことが前にあったりしてませんか」
牧志 浩太
「内容が具体的で、気にかかるな。
少なくとも俺が知ってる中では、そんなことはなかった」
KP
痛みが後を引くのか、少し頭がぼんやりするような気がした。
頭の中に、微かに靄がかかったような心地。

何となく、違和感があるような気がした。
しかし歩いていると、その違和感も薄れていく。
佐倉 光
『いつも』なら放置することなどない違和感に背を向けて、
『いつも』なら無視したりしない夢を忘れる。
自分を守るために見ない、見えない、聞こえない。
それは多くの人が日常を守るためにしている自然なことであり、普段の彼にとっての『逃げ』である。
今の佐倉にそんな自覚など ない。
KP
あ、そうだ。
水族館巡りですが、シロー込みがいいですか? 抜きがいいですか?

佐倉さんとじっくり対話するなら、牧志と二人きりの方がいいかなとも思ってるんですが。

抜きの場合は引率付きキッズツアーが生えてシローと別行動になります。
佐倉 光
なるほど。色々大変そうだし別行動にしようか。
遠慮なく壊れられるし。
KP
ですね。ではそれで!

ひとこと
佐倉 光
また記憶を失ってしまった佐倉。
今回は人のことのみならず、自分のことまで根こそぎ忘れてしまっている。
何もかも忘れ、大事な物も持たず、三人仲良く水族館へお出かけだ。


【置】CoC『ワンナイトショット』牧志&波照間&佐倉 1

もしかして:戻ったときにえらいことになる>服装

CoC『最後の葬式』佐倉 光

俺たちには何の関係もねぇんだよ。

CoC『レッド・グランド・セパレート』牧志&子供佐倉 2

本当に余裕がなかったのかもしれない、俺は。
まあ、今はまた余裕がなくなることが起きてるわけだけどさ。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


【置】CoC『スプーキィ・ポルカ』牧志&佐倉 1

「佐倉さん……! 俺、ここだよ!」

【置】CoC『刻の牢獄』波照間 1

「星が綺麗な夜ですね。お会いできて嬉しいわ」

CoC『VOID』継続『空白の航海』ヴィキ 1

「必ず、幸せになれるだなんて、そんなこと言い切れないよね」