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こちらには
『迷い家は桜の先に』のネタバレがあります。

本編見る!
佐倉 光
「折角のお誘いだ、あまりホストを待たせるのも良くないな。
上がらせてもらおう」
さっさと靴を脱いで上がり框の木の感覚を楽しむように歩く。
牧志 浩太
「だな」頷く。
牧志 浩太
「……本当に腹減ってくるな、この香り。
本当に迷い家だとすれば、食べてもいいってことだよな」

漂ってくる香りに鼻をひくつかせる。
そういえば最近、俺に余裕がなかったせいで食事が簡単になってしまっていて、こんな食事の香りを嗅いでなかったような気がする。
KP
綺麗に磨かれた板の間の向こうに、青々とした真新しい畳が敷かれた居間があった。
中央に囲炉裏がきられ、黒々と輝く炉縁の中に真っ白な灰が綺麗に敷かれている。
そこには自在鉤に吊られた、可愛らしい鯛焼きを思わせるような横木、
その下に釣り鍋が吊され、火のついた炉の上で蓋をされて静かに煮えていた。
囲炉裏端には桜の葉を思わせる緑色の座布団が二つ置いてあった。

炉縁の横には木から削り出された綺麗なお盆がある。
その上にゆったりと湯気を上げる茶碗に桜餅が乗った懐紙と爪楊枝。
お盆には、お茶セットの他に桜の葉が一枚置いてあった。
KP
牧志くんの趣味次第で、お茶セットが抹茶かそうじゃないか変わります……っておもったけどそういえば抹茶カフェイン駄目だわ。
KP
お茶は、細長い麦茶が入った物と、広口の抹茶入りのものがあった。
牧志 浩太
「わ……、すごいな」
目の前に広がる光景を見て、思わず感嘆の息をついた。
そんなものを実際に使っている所を見るのも初めてだし、それが自分達に向けられるのを見るなんて、もっと初めてだ。
佐倉 光
「目茶苦茶本格的だな……」
牧志 浩太
「だな……。本当に触っていいのかな、これ。
いいんだよな、片方麦茶ってことは俺向けだよな?」
何だかそわそわしながら炉端に近寄り、桜の葉を拾い上げて見る。
KP
たべてね!
とクレヨンでメッセージが書かれていた。

〈目星〉
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→40→成功
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→68→成功
KP
あ、どっちかっていうと「〈聞き耳〉」だったかな。まあいいや。
KP
土間の方でにゃーん、という猫の鳴き声が聞こえた。
また、「ルークちゃんのもあっちにあるから!」という慌てたような声も。
そちらを見ても何者の姿もなかったが。
牧志 浩太
ふっと猫の鳴き声が聞こえた気がして、振り向くが、そこには何もいない。
KP
ルーク的には桜餅はアンコロモチに入るのでしょうか。入らないか。
牧志 浩太
あんころもち!
どうだろう。やっぱりあんこが外に出てないと希求力が弱そう。
『ゆうやけこやけ』のルークはあんころ餅が大好きなのだ!
佐倉 光
「姿を見せてはいけない、みたいなルールでもあんのかな」
言いながら佐倉も囲炉裏端に寄った。
牧志 浩太
「かもな。姿を見せてはいけない猫たちのおもてなし…… とか?
猫なら、隠れるのも納得がいくし。何だか可愛いな」

囲炉裏端に腰掛けると、涼しい空気に穏やかな火の温もりが伝わってきて、何だか落ち着く気分になる。
誘われるように麦茶を手に取る。
KP
麦茶は今いれたばかりのように暖かく、香ばしい香りがした。
懐紙に乗った桜餅からは爽やかな桜の葉の香りがほんのりと漂っている。
懐紙には記号化されたバイクと龍が描かれていた。

ぱちぱちと微かな音を立て火が踊る。
座っていると、ゆっくりと体が温められてゆく。
牧志 浩太
麦茶に口をつける。
香ばしい麦の香りの向こうに、爽やかな桜の葉の香り。
ぱちぱちと爆ぜる、微かな音。
涼しい空気の中、内と外からじんわりと温まっていく身体。

快いものだけに満たされた空間の中。
暫く目の前の麦茶に集中して、心地よい沈黙を味わった。
牧志 浩太
「ああ……、」
一杯を飲み終わると、自然と柔らかい息が漏れ出る。
牧志 浩太
「気持ちいい」

押し出されるように呟く。
後から後から湧いてくる不安で一杯になっていた頭の中が、いま、空っぽになっていた。
空っぽの頭の中に、温かい蒸気でも詰めたかのような心地よい温もりだけがある。
佐倉 光
1d100 47 【知識】/2 Sasa BOT 1d100→32→成功
佐倉 光
抹茶の飲み方くらい知ってるぜ!
牧志 浩太
つよい!
佐倉 光
「まさか、本当に抹茶飲む機会があるとは思ってなかったな」
KP
佐倉はゆっくりと茶碗を回して茶を飲んだ。
佐倉 光
「おや」
KP
閉じていた障子が音もなく開く。
牧志 浩太
「え、すごいな。そんなの初めて見た」
佐倉さんが茶碗を回す姿を見て言ったとき、障子が開いた。
KP
その向こうに見えたのは、さっきまで立っていた庭の、春の姿だった。
周囲を囲む木々は残らず桃色に染まり、ウグイスが鳴く。メジロが歌う。うららかな春の日がそこにあった。
牧志 浩太
その向こうに広がる光景に、思わず見惚れ、その後で驚きが来る。
牧志 浩太
「春だ……。涼しいと思ったら」
佐倉 光
「これは凄いな。幻?」
思わず笑ってしまう。
また花に幻見せられてんのかな、と思ったが、それは口に出さないことにした。
あれと一緒にしては失礼というものだ。
牧志 浩太
「凄いな。異界ってなんでもありか、ありかもな」
笑い合う。
佐倉さんが何かを呑んだことは分かったが、すっかり気を抜いていたから、呑んだものが何かは分からなかった。
KP
佐倉は桜餅を口にする。
佐倉 光
「……」
無言になってしまった。
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
桜餅を口にするなり無言になった様子に、心配が蘇ってきて呼びかける。
佐倉 光
「ヤッバ。これヤバい」
佐倉 光
「めっっっちゃくちゃ美味い。美味すぎる。
語彙が吹き飛ぶ」
お茶の飲み方は知ってたけど、そういえば菓子と茶の順番逆だ。まあいいや。
佐倉 光
「食べてみろよ凄いぞこれ」
牧志 浩太
「へっ? え、 そうなのか!?」
あまりのリアクションに、思わずつられて桜餅に手を伸ばす。
麦茶の温もりでふうっと満足しそうになってしまったが、そもそも腹が減っていたのだ。
長命寺と道明寺
KP
牧志くんどっちの桜餅が好きかな。
長命寺かな道明寺かな。
※長命寺……クレープ状の生地で餡を包んだもの。
 道明寺……つぶつぶの餅米で餡を包んだもの。
平たく伸ばした餅で包むパターンもあるらしい。
牧志 浩太
記憶の比率的に、馴染みがありそうなのは道明寺?(九州・沖縄地域で見られる桜餅は道明寺が多いそうで)
KP
なるほど。
牧志 浩太
ただどっちかに強い嗜好があるというよりは、どっちも好きだと思います。
KP
ふむふむ。欲張りセットにするか。
両方の小ぶりな奴が置いてある。
今中の人が食べたいッッッ
牧志 浩太
ふふふ 深夜の菓子描写の罠
あの桜の葉のいい香りと塩味のアクセントと餅の組み合わせは好きなのに小豆餡が苦手ッッッ

牧志 浩太
では、なんとなく道明寺の方から手を伸ばす。
牧志 浩太
「頂きます」もぐ。
KP
塩漬けにした桜の葉の香りが鼻腔をくすぐり、程よく潰された餅米と上品な甘さの餡子が混ざり合う。
暑さに疲れた体にしみ込む甘味だ。
甘味を適度な塩味が引き締める。芸術的なバランスが詰め込まれた味だった。
牧志 浩太
「あ……、」
そう洩らしたきり無言になってしまった。

美味しい。
温かい蒸気が詰まっていた頭が、その味で一杯になっていく。
牧志 浩太
無言のまま、暫く無心に桜餅を味わっていた。
KP
桜餅を味わうあなたにSAN回復1d3
牧志 浩太
1d3 Sasa BOT 1d3→3
SAN 43 → 46
佐倉 光
1d3 Sasa BOT 1d3→3
SAN 67→70
牧志 浩太
何も考えないで済むという安らぎが、思考を止めた頭の中をふわふわと満たしている。
佐倉 光
「こんな美味いの初めて食べたよ俺」
もっと食べたいという顔で畳に手をついて庭を眺める。
牧志 浩太
以前「ダブルクロスのノイマンが鬱になったら自滅思考と不安や恐怖で思考能力を食い潰されて自滅するんじゃないか」というネタを考えたことがあるんですが、牧志の不安障害ってちょっとそういう所ありそうで。
KP
なるほど
クロック数を下げることでリフレッシュ。
牧志 浩太
そう過負荷に陥ってるところをあえてクロック数を下げてリフレッシュ。
KP
鳥たちが庭先に舞い降りて囀る。
のどかな風が開いた障子の間を吹き抜け、桜の花びらを運んできた。
佐倉 光
「頭に詰まってた碌でもないものが落ちてくみたいな気分だ」
牧志 浩太
「俺もだよ。……久しぶりに、何も考えないで済んでるんだ。
頭の中でずっとずっと煩く空回りしてたものが、久しぶりに止まってる気がする」
牧志 浩太
麦茶の残りを一口飲み、桜の花びらを眺めながら、もう片方の桜餅に手を伸ばす。
KP
なめらかに潰された餡と、ほんのり香ばしさを感じる生地が混ざり合う。
すっきりした味わいのなかに凝集された旨味が踊り、
一口ごとに塩味と旨味のハーモニーを奏でた。

桜の花びらはくるくると舞って、部屋の隅にある飾り棚の方へと飛んでいった。

餅を食べ終わった佐倉は、その場に寝転がって囲炉裏の炎を眺めている。
牧志 浩太
囲炉裏に座ったまま、暫くぼんやりと炎を眺める。
揺らめく光がやさしく視界を満たしていく。
隣に人間がいる感覚が心地よい。
牧志 浩太
「ふぁ……、」
少し眠くなってきた。あれを食べたら寝ようかな。
牧志 浩太
少しばかり停滞を楽しんだあと、鍋に手を伸ばし、蓋を開ける。
KP
中身は煮魚のようだった。
おや、まだ煮汁が薄い。もう少し煮込みが必要なようだ……
牧志 浩太
あれ、まだか。
美味しそうな煮魚に期待を高めつつ、蓋を閉じる。
囲炉裏端に戻って、座った姿勢のまま後ろに寝転んだ。
牧志 浩太
「ふぁ……、」
また欠伸が漏れる。そうとなれば、落ちていく瞼を阻むものはない。
ふと色々な気になることがもやもやと頭の中に浮かびかけたが、全部投げ出して目を閉じた。
牧志 浩太
※心地がいいので少し転寝します。
KP
新しいい草の香り、煮魚の匂い、ほんの微かな桜の香り。
遠くを渡る鳥の声、風の音、草木が揺れる音、炉ではぜる火の音、先に寝てしまったらしい佐倉の寝息。
日光でほんのりと温められた畳は寝心地が良い。
暖かい空気に包まれて、眠りに落ちる。
牧志 浩太
空っぽになったまま。

目を閉じても、頭の中から何も湧いてこない。
じっとしていられない痛みが脳の裏側を煩わせることも、耐えきれなくなって目を開いてしまうこともない。

いつ寝ていたのかも分からないような心地で、すとんと眠りに落ちた。
KP
〈聞き耳〉
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→75→成功
KP
眠りの向こうで、小さな足音と、ふわりと肩に何かが落ちる感覚をおぼえた。
佐倉 光
1d100 79 Sasa BOT 1d100→6→成功
KP
※ふたりとも肌掛けかけられたのに気付いた。
起きます?
牧志 浩太
僅かな振動に気づいて目を覚ます。
目を開こうかと思ったが、それが億劫になる程には瞼が重かった。
目を閉じたまま様子を窺う。
KP
小さな手が一生懸命布団を広げて、軽くあなたの背中をポスポス撫でると、音もなく離れていった。
とても遠くの方で、少女たちが「起こしちゃうかと思った」などと話しているのが、ほんのかすかに、夢現に聞こえた。
KP
ちなみに肌掛けはさくらとルークがかけに来ました。
しのぶ においが特徴的すぎる
雪花 つめたい
タツミ さわがしい
の消去法でした。
牧志 浩太
なるほど!
タツミはそれはそうで面白いけどめっちゃ起こす。
しのぶくんの匂いが特徴的過ぎるで笑っちゃった
KP
そのまま、あなたは何もないからっぽの中をゆったりと漂っていった。
思い悩むこともなく、不安もなく、ただ緩やかな時に流されて行くように。
牧志 浩太
曖昧な楽しい夢を、見ていたような気がした。
様々な人の影がちらついては、優しかったり、面白かったり、懐かしかったり、何か一ついいものを残していってくれた。

最後に誰か知らない……、
ひどく知っているはずなのに、見た事のない誰かが現われて。

いいものを一杯に抱えた小さな俺に向かって、そのまま眠るかい、と面白そうに笑いかけた。

いいもので埋めた寝床はとても気持ちがよさそうで、でも確か、首を振った気がする。
なんと答えたのかは、覚えていなかった。
実は
牧志 浩太
※シナリオには何ら関係ないけど、牧志は●●さん又は●●さんの姿をした誰かさんの夢を見ています。
目を覚ませばまた酷い目に遭うこともあるだろう、もうこれきり寝る? って。

本当に誰かさんの介入なのか、疲れ果てた牧志が深層意識で見るただの夢なのかは不明。
KP
こんな時にまで~
ここでうっかり牧志が眠ることを選んで消えたり死亡したりしたら、もう佐倉何も信じられなくなる。
牧志 浩太
大丈夫だ、って自分が言って大丈夫なはずの所で一緒に寝たのに、起きて牧志が消えてたり死んでたりしたら酷いよなぁ。変なイベント生やして佐倉さんごめん。
KP
寝ちゃったし、もうここで食事にしちゃおうか。
寝てる間時間進んでなかった、でもいいけど。
牧志 浩太
どっちでも大丈夫です。>進んでなかったor食事 進行上差支えない方で。
KP
うーん、それじゃあ進んでなかったことにしようかな。
牧志 浩太
進んでなかったらなかったで、異界って前提があるから、そうか進まないのかーってよりのんびりできるかもしれませんしね。
KP
折角だから、このシナリオ終了後、不定の期間を1ヶ月減らすと同時にその間治癒を受けた回復分のダイス振ればいいと思います。
牧志 浩太
ああー、いいですね。
牧志の方もまだ不定は残ってはいるけど、随分出てくる頻度は減ったくらいにはなれるかな。
KP
あんまり時間管理厳密にやってないから意味はないっちゃないけど、気分的に。
牧志 浩太
まあそこは気分的に。
とりあえず終わって家に帰ったら鍵だらけをなんとかして、改めてシローを抱きしめる所からですね。
シローにも随分心配をかけたし。

KP
長い長い間眠っていた気がした。
自分の中にあった黒く凝り固まった物がゆっくりと溶けてゆく間。
こころがしなやかさと熱とやわらかさと強さを取り戻して行くだけの間。
しかし目が覚めた時は日は陰っているわけでもなく、相も変わらず昼過ぎの穏やかな時間が流れていた。
この空間に時間など、さして意味はないのかも知れなかった。
牧志 浩太
ふと、目を覚ました。
引きずられるような重い目覚めではなく、ふっと自然に目を開かれる目覚め。
牧志 浩太
胸の奥が随分と軽くなっていた。
頭の裏で絶えず蠢くものが、気にならないくらいの大きさになっていた。

ああ、俺、随分疲れてたんだな。
静かに自覚する。こんなに身体が軽いのは、久しぶりだ。
牧志 浩太
「よく寝た」
声に出して大きく伸びをすると、肌掛けが落ちた。
誰かの善意のやわらかい感触が指先に触れた。
KP
肩には桜色の肌掛けと、緑色のタオルがかかっていた。
まだ微睡んでいる佐倉の方を見ると、大きな桜餅のように見える。
牧志 浩太
微睡んでいる姿が大きな桜餅のように見えて、思わず吹き出した。
佐倉餅…… などと思ってしまって、また笑ってしまう。
佐倉 光
目を開けた佐倉は不思議そうに周囲を見回し、あなたを5秒ほどしげしげと見つめた。
牧志 浩太
ちょうど笑ってしまったところで、目を覚ました佐倉さんと目が合った。
佐倉 光
「……」
えーと、という言葉が聞こえてきそうな顔。
それから佐倉はふっと微笑んだ。
KP
佐倉一瞬記憶なくなってた。
牧志 浩太
ですよね。>一瞬記憶なくなってた
もうしばらくなくなってたら大層間の悪いことになってた。
佐倉 光
「ああ、牧志、おはよう……
なに笑ってんだよ」
牧志 浩太
「ごめんごめん。でっかい桜餅みたいに見えてさ」それ、と肌掛けを指さす。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「これがほんとのさくらもち」
佐倉 光
「だれが餅だ」
噴き出して笑う。
牧志 浩太
「ごめんごめん」
互いに笑いあう。
佐倉 光
「そういえば、誰かがかけに来てくれていたな。
敵意ないみたいだったし眠すぎたからちゃんと見てなかったけど、礼くらい言えば良かった」
肌掛けを畳んで伸びをする。
牧志 浩太
「だな。でも起こしたくなかったみたいだし、いいんじゃないか。
後で礼を言って帰ろう」
ポケットを探ってみるが、持ち物はあるだろうか。
いつもの日記帳とか、ペンとか。
KP
持ち物はある。
佐倉 光
「随分長いこと寝ていた気もするけど、寝疲れした感じないなぁ」
牧志 浩太
「だな。すごくすっきりした気分だ。久々によく寝た」
佐倉 光
「よく寝たって顔してるよ」
佐倉 光
「そういえば、体が痛くなくなってる」
牧志 浩太
「治ったのか? ……そうか、よかった」
KP
佐倉は鍋をのぞき込む。
佐倉 光
「随分寝た気はするけど、鍋まだ全然みたいだな」
牧志 浩太
「外も、全然陽が傾いてないな」
外の様子を見遣って言う。
牧志 浩太
「異界だとすれば、時間の流れも違うのかもな。
ゆっくり休んでも時間が経たないなら、こっちとしては助かる……、けど」
ふっと最後に言い淀んだ。何かを思い出しかけてやめたらしかった。
佐倉 光
「何だよ?」
先を促す。
牧志 浩太
「いや。時間の流れが違うのも、助かる時とキツい時があるなと思っただけ」
佐倉 光
「……ああ……そうか」
佐倉 光
「そうだな。起きることが同じでも、な」
それ以上それについて話すのはやめた。
牧志は先日、とあるシナリオで長い長い時を過ごす羽目になった。

佐倉 光
「折角だし、鍋ができるまでちょっとこの家の中見て回ろうと思ってさ」
牧志 浩太
「いいな。あっちに飾り棚あるだろ? 何かあるのか気になってたんだ」
おーだー
KP
お持ち帰りの品は何がご希望でしょうか。
牧志 浩太
何がいいでしょうね。特に制約はないんでしたっけ?
KP
一応「桜があしらわれたもの」ではあるらしいです。
あとは、極端に大きい物でなければ。
あと元ネタ的にも、「いくらでもお金が出る魔法の財布」みたいなのは出ませんw
ううむ。佐倉どうしよう。
牧志 浩太
いくらでも桜餅が出る魔法の巾着! 嘘です。
牧志 浩太
牧志の分ですが、
「表紙に桜が描かれた和柄の布が張られた、和綴じの手帳」とかどうでしょうか?

いつも携帯している日記帳(携帯用の小型)とは別に、家に色々残しておくための大きめの日記帳置いてると思うので、その位置に入る物。
牧志 浩太
画像は和綴じになってませんが、こういう感じの物を(by Image creator)


KP
いいと思います! 
こっちどうしようかめっちゃ考えたのですが……
「日常においてのみ」痛みをすこし抑えてくれるお守りとかどうかなぁ。
あれ、一生付き纏うダメージの奴。
牧志 浩太
ああー。なくなりはしないけど、身を裂くような痛みが少しなりともましになるくらいの。
いいですね。
KP
もちろん【CON】判定がなくなったりはしないんだけど。
ではそれで!
牧志 浩太
痛みがいつになく酷い時は何かに巻き込まれる時なのかぁ。
KP
嫌な予徴みたいになるな……
牧志 浩太
今日は身体が痛い、何か起こるんじゃないかっていう……。
KP
起きる前から「起きるな」って分かるのが都合悪い時は、判定を後に回してもいいですねー
牧志 浩太
ですねぇ。起きた時点で判定するとか。
逆にそれが嫌な予兆として存在するのも味わい深くていいし。
KP
【舞台裏】
せ「ゴチャゴチャ置きすぎて、選んだ奴に気付いて貰えなかったらどうするの」
ル「あれじゃどれが贈り物か分からないのです……」
さ「で、でもでも、気に入って貰えるか分からないし、他のが欲しいかも知れないし」
牧志 浩太
舞台裏かわいい。
KP
〈目星〉しないと贈り物に気付けないってたぶんそういうことだ!
牧志 浩太
ファンぶったら「これかな?」って違うのを手に取っていた可能性。
KP
そうなったらタツミがドタバタ入ってきて桐箱を渡してくれる。

KP
棚には実に様々な物が置かれている。
美しい置物、香立て、ペン、小物入れなどなど。
佐倉 光
「迷い家ってことは、どれか持って帰ってもいい、ってことか?
けどなぁ……」
ぴんと来ないな、という顔で棚を見ている。
KP
〈目星〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 98 〈目星〉 Sasa BOT 1d100→79→成功
KP
先ほど吹き上げられたらしい桜の花びらが乗っている桐箱が目にとまった。
牧志 浩太
「持って帰ってもいい、って考えても、なんだか気が引けるな」
そう苦笑して、棚を見回す。桜の花を象った香立てに目が行って…… ふと、その横にある桐箱の上に花弁が乗っているのが目に入った。
牧志 浩太
「これだけ箱に入ってるな。
贈り物…… とか?」
そっと桐箱を開けてみる。
KP
箱の中には、薄桃色の和綴じの書物のような物が入っていた。
その表紙には鮮やかな桜の絵が繊細に描かれている。
また、その上には緑色の布でくるまれた物が乗っており、そのふたつの品の上に桜の葉が置かれていた。

桜の葉には「どうぞお持ち帰りください」の文字の横っちょにクレヨンで「これ すき?」と書かれている。
KP
ひとつは和綴じの書物だが、中はまっさらだ。
万年筆が引っかからないような上質の紙でできている。

布にくるまれていたのは薄桃色の勾玉だった。
牧志 浩太
「……綺麗だ」
箱を開けて、感嘆の息をついた。
繊細な絵柄は細やかな作業を思わせ、可愛らしい、というよりも美しいという形容が合う。
牧志 浩太
「ちょっと照れくさいな、この柄。
でも、家で使うならいいかな。気分が上がりそうだ」
牧志 浩太
手帳を手に取る。布に触れれば、さらさらとした快い手触りが返った。
牧志 浩太
いつもの日記帳を取り出して、ページに「好きです、ありがとう」と書きつけ、ページを切り取って箱の中に置く。
牧志 浩太
「それは、勾玉?」
佐倉 光
「そうだな」
別に趣味じゃないけど。そう言いたげに勾玉に触れ、そして首をかしげて指を離す。
佐倉 光
「……まさかとは思うけど。貰っておこうかな? 折角だし」
勾玉についていた簡素な紐を首にかける。
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
佐倉 光
「いや……気のせいだと思うんだけど。
寝た時に治ってた体の痛みがまたでてきてたんだけど。
これに触ったら少し収まったような気がするから」
ヒランヤと重ねてかけた勾玉を指先で撫でる。
牧志 浩太
「え……、本当に?
そうか……、それは、いいもの貰ったな」
牧志 浩太
まるで自分のことのように、安心したような嬉しそうな笑みを浮かべて。
飾り棚の方に、一度、深く頭を下げた。
佐倉 光
「書くもの貸してくれ」
牧志にペン借りて、さっきのページに自分もお礼書こう。
牧志 浩太
いつものボールペンを佐倉さんに渡しながら、帰れたら早速これの最初のページに、今日のことを書こうと考えていた。
丁度前の日記帳が終わった所で、その意味でも丁度よかった。
KP
佐倉はボールペンを受け取ると、「ありがとう」と書き付けて元の場所に戻した。
牧志 浩太
ボールペンを受け取り、いつもの日記帳の表紙にひっかけてポケットに戻す。
オカルトアイテム
KP
佐倉の首元にオカルトアクセサリーが増えた。
牧志 浩太
そう、佐倉さんお守り増えたなって。
こんな美しい手帳がこれから神話書物(牧志の手記)にされてしまうのでした。
KP
うーん。
後に続く探索者を救うヒントになるかも知れないしー
牧志 浩太
そ、そうそう、なるかもしれないし。

牧志 浩太
お礼を書き終わったら、辺りを見回してみる。
この部屋からはどんな場所に続いているようだろうか。
KP
奥には書斎がある。また、短い廊下の先に恐らく風呂場であろう木の扉があった。
牧志 浩太
「あっちは…… 書斎かな。あの木の扉はトイレ、いや風呂場か。
こんな所の書斎って、どんな本があるんだろうな。凄く古い本とか、失われたはずの本があったりしてな? 気になるな」
佐倉 光
「確かに。ちょっと見せて貰おうか。
風呂かー。寝たし、外で汗かいてたし、入るのもいいよなぁ」
牧志 浩太
「ああ、確かに。何から何まで世話になり通しだけど、汗が冷えてちょっと気持ち悪いしな。
じゃあ、先に入っちゃうか、風呂」
牧志 浩太
「風呂上がりの読書ってのも悪くない」

KP
木の扉を引き開けると、そこは脱衣所だった。
綺麗に畳まれた緑色の浴衣が二着、編み籠に収められている。
上にはもう馴染みの桜の葉が一枚。

桜の葉には綺麗な毛筆で
よろしければあたたかい湯殿もどうぞ。
横にクレヨンでぐにゃぐにゃの温泉マークが描いてあり、
その下にさらにほっそりとした小さな丁寧な字で
温泉ではありませんが」と書き添えられている。
牧志 浩太
肌掛けをかけてくれた気配と、どこからか聞こえた声。
姿こそないが、どこかから見ているのかな、ともう何となく分かっていた。
牧志 浩太
「頂きます」
ひとこと声をかけて、脱衣所に入って扉を閉じる。
まずベルトポーチを外して籠に入れると、物理的に腰が軽くなった。
牧志 浩太
「……何だか、またどこかに旅行に来たみたいだ」
KP
※佐倉交代で入るために外にいようかと思ったけど、風呂ひろーくします?
牧志 浩太
※差し支えなければ、ひろーくして銭湯みたいに一緒に入るのがいいですね
KP
はーい
佐倉 光
「それじゃあ俺、ちょっと外で待ってようか……」
KP
言いながら風呂場の扉を開ける。
佐倉 光
「……ひろ」
佐倉 光
「広さの整合性取る気ねぇ~」
KP
佐倉がけらけらと笑う。
扉の向こうには、個人宅規模ではない、3人くらいが足を伸ばして入れそうな檜風呂と、風呂屋のような洗い場が3つ並んでいた。明らかにその広さは、外から見たこの家のサイズからは外れた広さだった。
佐倉は笑いながら荷物を下ろして上着を脱ぎ始めた。
ゆうれい
KP
二人が寝てる間の舞台裏
「あれ、どうして三人分?」
「三人いるだろ」
「いや、二人しかいませんけど……」
「いるんだよ!」
「いるのかぁ」
「その三人目の人ってお風呂使えるの?」
さすがにお風呂は覗かないのでドキドキしながら休憩中の面々。
そして「困ってることないか見て来てやる!」と宣言して見に行こうとするタツミ……と、それを慌てて止めようとするしのぶくんなどなど。
牧志 浩太
誰か検知してる!
そういえば彼も一緒にこの光景を眺めているんだなぁ。
正確には幽霊ではないが、佐倉の一部として存在する隻眼隻腕の誰かのこと。
KP
タツミは区分的には幽霊か思念体かなと思うし、けものへんげ全振りで感覚が鋭そうだから。
牧志 浩太
確かに。
KP
あと自分が実体持ちなので、幽霊ならそういうの必要ないという考え方をしなさそう。
牧志 浩太
ああー、なるほど。自分が物も食べるし実体もあるし、他の幽霊はどうなの? みたいなのも知らないし。
KP
タツミは知らないけど、
ゆうこやの幽霊の皆さん、人間変身したら普通に実体ありますしね。
牧志 浩太
ああー、そういえば。
じゃあ彼の分も要る、って考えるのはおかしくない。
牧志 浩太
桜餅や贈り物は二人分だったところからすると、ここだけタツミが用意したからそうなったのかな。

牧志は三人いたから三人分とは思ってなくて、銭湯みたいに受け取って気づいていないけど、食器が三人分あったりしたら「?」ってなるかも?
KP
さくら以外のみんなはさくらがひとを招いたことを来るまで知らなかったから、
「あれっ三人いるのに風呂足りない?」とおもっちゃったタツミが慌てて拡張工事しました。
牧志 浩太
おおっと連絡不足だった。
風呂はタツミの判断で増えたんですね。

佐倉 光
「いいなぁ広い風呂。うちにも欲しい」
牧志 浩太
「えっ何だこれ、銭湯だ!
すごいな、さすが異界」
思ってもいなかった大きさに歓声を上げる。
いそいそと服を脱ぐ速度が少し速くなる。早く入りたい。
牧志 浩太
「いいなぁ、家に広い風呂。
これなら手足もゆっくり伸ばせるし、シローも広々と遊べるな」
佐倉 光
「旅行かー。確かに旅行だ!  異界旅行」
服を脱いでかごに放り込む。
牧志 浩太
「異変無しでちゃんと旅行したいな、って思ってたけど、意外な所で叶ったな」
佐倉 光
「異変なしどころか、ある意味異変の中にいるけどな!」
佐倉 光
腕輪も少し迷ったが外し、ヒランヤと勾玉も外して服の上に置く。
そして数秒、外したばかりの勾玉を見つめた。
佐倉 光
「これやっぱりガチっぽいな。
つけている間痛みが弱まってる」
牧志 浩太
「そうか……、よかった。
本当に、痛そうだったから」
籠に置かれた勾玉の色合いを、静かに見やる。
KP
勾玉はほんのりと暖かみを感じる桜色につやつやと光っていた。
佐倉 光
「のべつまくなし痛いってわけじゃねぇけど、
強い痛みってのは余裕をなくさせるんだ。
自分のことしか考えられなくなる」
牧志 浩太
「ああ……。
分かるな、少し。少しだけ」

自分自身で感じたわけじゃない。
けど、見えていたんだ。
一番酷い時、佐倉さんの眼の中に痛みだけが溢れる程に詰まっていたのが。
痛みの存在が、佐倉さんの心をいつもどこかで占めていたのが。

それに対して、俺は何もできなかった。

いつ来るか、いつ終わるか分からないものが一番恐ろしい。それだけは俺にもすこし分かる。
牧志 浩太
「分かる」なんてそうそう言えない事なのに、〈心理学〉77〈目星〉98で手に取るように感じ取れてしまう牧志です。
佐倉さん、そういう経験二度目なんだもんなぁ。
※とある呪いでそんな状態になったことがある。
佐倉 光
1d100 45〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→9→成功
佐倉 光
「自分で解決するしかないことや、
そもそも解決できねーもんもあるんだよ」
佐倉 光
「あんま気にすんな。ハゲるぞ」
佐倉 光
「折角貰った物をいきなり風呂に持ち込むわけにも行かねぇからな。
今そんなに痛くないから平気だ。
本当にいいもん貰ったな」
牧志 浩太
何か言いかけて、結局言葉にならなかったらしい。
「本当にな」と、深く頷いた。
KP
高い位置にある窓から光が差し込み、風呂場は明るい。
広い湯船には桜の花びらが浮いていた。さながら桜風呂といった風情だ。
牧志 浩太
「よし。ハゲる前に入るかな」
うーん、と大きく伸びをして、風呂場に踏み込む。
KP
桜と檜の香りを帯びたあたたかな湯気が全身を包む。
湯船は綺麗で、新しく白いヒノキの湯船に花びらが浮いて揺れていた。
真っ黒で暖かな石の床は乾いている。
洗い場には「けろりん」と書かれた木桶が置いてあった。
佐倉 光
「けろりん? って何だ?」
木桶にお湯をくんで体を洗いながら、佐倉が首をかしげた。
佐倉 光
佐倉博識でもさすがにこういうネタは知らなさそう。
牧志 浩太
「何だっけ、古い銭湯とかにあるんじゃなかったかな、そういう桶が。
前行ったとこはどうだったっけな」
さすがに覚えていないようだ。
KP
前行ったとこにはさすがに置いてなかったなぁ。
KP
〈目星〉どうぞ
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→35→成功
佐倉 光
1d100 85 Sasa BOT 1d100→45→成功
KP
湯船に浮いている桜の花びらの一枚が少し濃い色をしているのに気付いた。
二人とも桜ポイント+1。
牧志 浩太
「……あ。まただ、少し濃い色の花弁がある。違う種類の桜があるのかな」
佐倉 光
「ほんとだ。一枚だけ、ってのがまた意味深だな。
集めたら景品があったりして」
牧志 浩太
「楽しみ要素までつけてくれてるのか? それ面白いな。
せっかくだし、景品がなくてもちょっと探してみようかな」
KP
風呂場には最低限の石鹸が置いてある。
良い香りで泡切れが良く、柔らかかった。
牧志 浩太
泡の手触りと香りが心地いい。名残惜しくて、少し長く身体を洗っていた。
牧志 浩太
身体を洗い終わって泡を流したら、わくわくしながら湯船へ向かう。

全ての感覚がやさしくて、快いものに包まれている。次に来るものも、きっと快いだろうと思える。
何に触れるのも恐ろしかった心が、次はどんなに心地いいんだろうと期待している。
KP
湯に足をつけると、それは温かく程よく、疲れた心と体に染み入るように心地よく、全ての汚れと疲れが溶けてなくなってゆくようだった。
温泉ではない、らしいが、何らかの効能はありそうな感覚だった。
KP
一緒に入った佐倉が深い快感のため息をつく。
佐倉 光
「あったけー……」
何も言葉にならない様子で、湯の中に手足を伸ばす。
牧志 浩太
「……気持ちいい」
ふにゃりと笑う。漏らした一言だけで十分だった。
世界に触れる喜びを思い出すようだった。
そうか、外にあるのは、怖いものばかりじゃない。
牧志 浩太
そういえば俺は世界が好きで仕方がなかったんだって、何か欠片のようなものが湯の中に浮かんで消えた気がした。
KP
あなたの期待を引き上げ、つかまえて、今度は何を与えたら喜んでもらえるだろうと、ここを作った何者かは純粋に楽しそうだった。
牧志 浩太
温かくていい香りのする湯の中に、導かれるように手足を伸ばす。
誰もいない所から、楽しそうに笑う声が聞こえるようで。
ああ、喜ぶ顔を見るのが好きなんだ、と素直に納得した。
KP
世界に触れることが恐怖になってしまっていたんだ、確かに。
それなのに目も耳もよく見えて聞こえるのは辛いよな。
牧志 浩太
そう。知ること、触れること、考えることが好きなはずの牧志が。
KP
体が温まり、喜びが満ちる。
KP
SAN値回復 1D3
牧志 浩太
1d3 Sasa BOT 1d3→2
SAN 46 → 48
佐倉 光
1d3 Sasa BOT 1d3→2
SAN 70→72
佐倉 光
「ここんことにあったシワがとれたな」
言いながら眉間を指す。
佐倉 光
「ずーっと難しい顔してたからな、牧志」
牧志 浩太
「そうか。そんなに難しい顔してたか、俺」
言いながら自分の眉間を辿る。
確かに、随分とそこが軽くなったような気がしている。
佐倉 光
「ここんとこ色々あったからな」
佐倉 光
「あのヒナドリ事件からこっちまたひっきりなしの上、育児疲れもあるから休む暇もなかったし。
良くも悪くも何もない日、ってのがなくなっちまってさ」
牧志 浩太
「確かにな。
色々あった以外にも、シローのことでドタバタしてたし。

あの時の、図書館で一日遊び倒したなんてのも、随分久しぶりだったよな。
あの時は、あの後ああなっちゃったけどさ」
KP
最近回復シナリオに行ったばかりの筈なんだけどな。
牧志 浩太
なんですけどねぇ。おかしいなー。
KP
何故か一年の休暇期間過ぎてからの事件、精神的に辛いのが多かった気がするけど……多分気のせいだな。
佐倉 光
「今回のことは本当に良かったと思ってるよ」
牧志 浩太
「俺もそう思うよ。
一番必要な時に、一番必要なものを貰えた気がする」
佐倉 光
「そろそろ煮えたかなー、魚。
すげー楽しみなんだ。腹減っちゃって」
牧志 浩太
「そうだ、鍋!
ああー、思い出したら楽しみになってきた」
KP
しっかりと体も芯から温まった。
そろそろ上がっても良いかもしれない。
牧志 浩太
大きく伸びをして、湯船から出る。
檜のいい香りが後を引く。
一度空っぽになった頭に、少しずつなんでもない話を楽しめるような思考が戻ってきていた。
牧志 浩太
温まった身体の温もりを楽しみながら、ふっと思考を解き放って、何でもないことをとりとめもなく思い出してみた。

……不安は湧いてこなかった。
頭の隅にまだそれが居るのは分かる。でも、何か考えたが最後、一杯になって頭の中を埋め尽くしてしまうことは、少なくとも誰かの温もりに包まれたここでは、もうないらしかった。
牧志 浩太
「よし、出よう出よう」
気もそぞろに身体を拭き、浴衣を取って羽織る。
KP
浴衣には香がたきしめられていたのか、ほんのりと良い香りがした。

SAN値回復 1D3
牧志 浩太
1d3 Sasa BOT 1d3→3
SAN 48 → 51
佐倉 光
1d3 Sasa BOT 1d3→1
SAN 72→73
牧志 浩太
よし、居間に戻ろう。
もう鍋が楽しみで仕方がない。
牧志 浩太
誰かの温もりに包まれている、この感覚。
心配することなんて何もなくて、触れるもの何もかもが心地よくて、楽しいと分かっているこの感じ。
牧志 浩太
少し、子供に戻ったみたいだな、と思った。
ずっと空を見つめていた思い出とは、何か違う風景がちらちらと眼の奥に巡る気がして。

腹の鳴る音に掻き消されて、結局それがどんなものだったのかは、分からないままだった。
牧志 浩太
牧志は自分自身の方の小さい頃の記憶(キャットゥルフで出てきた頃くらい)をちらちらと見ていますが、はっきりとは思い出しません。
牧志 浩太
二人が静かに癒されていく。丁度よく合う回復の流れで、本当に一番必要な時に一番必要なものをもらえたなぁ。

コメント By.KP
ゆっくりと心をほぐした牧志が善意を信じられるようになると、物陰から、お客様をもてなそうとがんばる声や足音が聞こえてくるのです。

佐倉餅はですね。別にそうなることを意図して仕込んだネタではないのですよ。
言われて「ほんとだ!?」と思った。

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【クトゥルフ神話TRPG】
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