こちらには
『機械仕掛けの街』
ネタバレがあります。

本編見る!
■○○視点 はセッション終了後の追加情報です。
その時に考えはしたけど進行の都合上に書けなかったこと、冗長になるからとカットされたことなんかが書かれています。
KP
あなたは荷車を引き、住宅街へと向かう。
住宅街にはいくつも家々が並び、細い路地を犬を連れた人や自転車などが行きかう。
それらすべてが、同じ動きを繰り返すばかりのからくり仕掛けだった。
佐倉 光
先ほど読んだ制作者と思われる男のことを考えれば、街全体が彼のために作られた芸術作品である、といったところか。
牧志がこんな状態でなければもっと詳しく見たいところだが……
そんな余裕はない。
KP
その一角に立つ家は、他の家より少し豪華に見えた。大きな門扉にはインターホンがついている。
佐倉 光
CCB<=(6×5) 【CON】 (1D100<=30) > 35 > 失敗
疲れ切ってるわ。
んじゃ、ようやっと家の前にたどり着いたら、汗だくでしばらくゼェゼェしてる。
「水……
この街にそんな物ねーかなぁ、いや、さっきから見てる奴がいるしー、水くらい……」
牧志 浩太
「飲み物か何かあればよかったんだけど、さっきの調子だと広場にも何もなさそうだしな……」
佐倉 光
「噴水でもネジ釘飛んでたからなぁ……」
20秒ほど顔を伏せて息を整える。
KP
あなたが水……、と考えた時。
カチャ、カチャと何かがこすれ合うような音がして、誰かが歩いて来るのが見えた。
「どうしたんだい、疲れているみたいだね」
佐倉 光
「また、【ムラビト】?
疲れてるよ……」
投げやりに返答。
KP
「よければ、少し休んでいくかい。飲み物は、水くらいしかないが」先程まで見た機械と違って、滑らかな声があなたにかけられる。
牧志 浩太
「えっ、生きてる人?」
佐倉 光
「……えっ?」
相手をよく見る。
KP
それは……、機械だった。
先程までの鉄細工よりも、少し人間に似た顔をして、滑らかに動く機械だ。

その眼にはよく磨かれた硝子玉がはまっていた。
その顔はよく作られた人形のようで、表情を動かすような仕組みはそもそも無いようだった。
牧志 浩太
「生きて……、ないな。あの、俺達のことを認識していますか?」
佐倉 光
「水は、欲しいですけど……あなたは? ここの他の機械とは違うみたいに見えますけど」
KP
「ああ、認識しているよ。私はこの街の長なんだ。街に迷い込んでしまったのかい? 不運だったね」
佐倉 光
「不運……
ここを作ったのはあなたですか?」
言いながらCOMPに触れる。《アナライズ》……できるか?
これは意思があるように見える。
KP
「そうだよ。私はここで、妻と暮らしているんだ」
佐倉 光
(あの日記の主!)
牧志 浩太
牧志が思わずあなたを見て、あなたと目を合わせる。同じことを考えたのだ。
KP
こっそり《アナライズ》するなら、〈コンピューター〉でロール。
佐倉 光
CCB<=85 〈コンピューター〉 (1D100<=85) > 55 > 成功
モニタを見ずに操作するのはよくあることだ……。
KP
COMPは少し処理に時間をかけた後、返答を返した。
【マシン/??】
佐倉 光
さりげなく牧志に見えるように腕を上げる。
牧志 浩太
牧志はあなたの腕に表示された結果をちらりと見て、あなたに目配せをする。
佐倉 光
「なかなか面白い世界だとは思うんですが、僕たちそろそろ帰りたいんです」
KP
「そうか。分かった、元の世界に帰る手伝いができるかもしれないな。中に入って話そうか」
佐倉 光
〈心理〉ィできます?
こいつは敵か? それとも同情的なのか?
KP
よく磨かれた仮面と機械的な動作から、感情や意図といったものを読み取るのは極めて困難だ。《マシン・オペレーション》があれば、COMPが何か言ってくれたかもしれないが。
《マシン・オペレーション》……機械系悪魔と交渉するのに必要なスキル。
牧志 浩太
「どうする、佐倉さん」
佐倉 光
「話をしてみるしかないだろうな……」
正直、あの『記録』にあった『待っていてくれ』という文言が気になって仕方がないのだ。
牧志 浩太
「あのまま彷徨ってても、話が始まらないしな……。俺が先に入るよ」彼は身体を軋ませながら、荷車に手をかけて降りる。
■牧志視点
KP
荷車に手を掛けて降りた時、荷車の柵に触れた腹に、感覚がないのに気づいた。カチャ、と金属同士が擦れ合う音がする。
1D2をどうぞ。

牧志 浩太
1d2 (1D2) > 1
■牧志視点
「哀しみ」
KP
荷車の車輪に映ったあなたの顔から、不安の影が消えていた。動きにくくなっていく身体は恐怖を、得体の知れない相手は不安を、今も呼び起こして堪らないのに。自分の声が平板に、あの時のように色のない声になっているのに気づく。
牧志 浩太
感情が失われるのも苦しいけど、感情があるのに出せない、伝えられない、っていうのも苦しいんだな、と思う。平然とした自分の顔が別人の顔みたいだ。

佐倉 光
「気をつけろよ……信用していい相手かどうか分からない」
牧志 浩太
「ああ、分かってる。俺が先なら、何かあった時に盾になれるかもしれないしさ」
佐倉 光
「っつか俺は信用してない……」
これは聞こえるかどうかギリギリの囁き声だ。
牧志 浩太
少しぎこちない動作で、彼は微かに頷いた。
佐倉 光
それじゃ、家に入るか。
KP
佐倉さん、〈心理学〉または【アイデア】を。オープンでかまいません。
佐倉 光
CCB<=85 【アイデア】 (1D100<=85) > 54 > 成功
KP
気のせいだろうか。あなたの前を通り過ぎた牧志の横顔に…… 既視感を覚えた。
佐倉 光
それは、いつの記憶だろう。
たぶん俺が【見て】いなかったものじゃないだろうか。
KP
あなたは、それを直接【見て】はいないはずだ。けれど、【分かる】ように思う。【知って】いる。
たよりなく微かに笑いかけた表情の変化が、数拍遅れた。目元の動きが、まるでラチェットが動くようにぎこちなかった。そういえば、不安そうだった表情から、不安の影が消えていた。

彼の声がすこしばかり平板だった。
佐倉 光
(またかよ……クソ)
虎穴に入らずんば虎児を得ず。
この平坦な世界で牧志を救う手がかりを掴むには、どんなやり方でも情報を得るしかない。
覚悟を決めて中に入るか。
KP
あなたは覚悟を決めて、扉をくぐる。

KP
あなた達が案内された部屋は、ぱっと見た感じ応接間のようだった。
真鍮の板が張られたソファ、鉄板とパイプのテーブル、そして椅子がふたつ。その椅子のひとつに、美しい風貌の女性をかたどった機械が置かれていた。
その機械はまったく人形のようで、あなた達が室内に入っても動く様子はなかった。
佐倉 光
(マジでピュグマリオーンじゃねぇか……)
KP
「改めて、私は辻という。この街の長をしている」彼はもう一つの椅子に座ると、あなたたちをソファに案内する。
佐倉 光
座る。
迷ったりして無駄にする時間はない。
■佐倉視点
佐倉 光
この男は信じられない。この男は勿論、この世界も俺たちの敵だ。

牧志 浩太
牧志は動きにくい手足に少し苦労しながら、あなたの横に座る。
佐倉 光
「僕はサク、こっちはマキ」
KP
彼はあなたに、真鍮のカップに入った冷たい水を差し出す。少しカップに結露が見えるくらいの、よく冷えた美味そうな水だ。
牧志 浩太
「マキです。初めまして」
KP
「初めまして。丁寧にありがとう」
佐倉 光
CCB<=(15×5) 【POW】 (1D100<=75) > 24 > 成功
水は死ぬほど飲みたかったが我慢した……
KP
「飲まないのかい? 口に合わなかったかな」
佐倉 光
「いえ……すみません。異界での飲み食いは慎重にならざるを得なくて」
ごく最近そんな体験したし……
「異界、なのかな、ここは」
KP
「異界?」
佐倉 光
「あなたは人間ですか?」
率直に問いかけよう。
KP
少し、沈黙が落ちた。考え込むような仕草に見えたかもしれない。
「そうだよ。いや、そうだった、と言うべきかな」
佐倉 光
「過去形ですか。望んでその姿に?」
KP
「そうだよ。妻と共にありたかったからね」
佐倉 光
(それでも心を求めたのか。どっちなんだよ……)
KP
「それにしても、人間が迷い込むのは久しぶりだな」
佐倉 光
「普通に落ちていた歯車に触れたらここに来ていました。
先ほど僕たちが元の世界に帰る手助けをしてくれると言っていましたよね。
帰る方法をご存知なんですか」
牧志 浩太
牧志の身体があなたの横で微かに軋んだ。不意に、問いを発する。
「久しぶりって、前にも同じような人がいたんですか」
佐倉 光
確かに。そいつらがどうなったのか、は割と大事な情報だ。
■佐倉視点
佐倉 光
牧志の反応に違和感がある。こいつは本当に『失っている』のだろうか。

KP
「ああ、そうだよ。そういえば、君に少し似ていた気がするね。あの時は、まだ妻が動いていたんだったかな」
佐倉 光
「『まだ動いていた?』」
意外な言葉だ。
佐倉 光
おじいちゃんが迷い込んだときの話かぁ。
KP
「壊れてしまってね。不愛想だと思っただろうが、挨拶もできなくなってしまったんだ」
佐倉 光
うーん、訊きたいことが多すぎる。
KP
「すまないが、妻を直すのを手伝ってくれないかな。あの時は確か、妻が彼を帰したんだ。妻に聞けば、帰る方法が分かると思う」
佐倉 光
「直せないんですか? あなたが作った物だったのでは」
牧志の腕が発揮できるのかなぁ?
KP
「お恥ずかしいが、大事な部品が無くてね。君達が持っているその部品をくれれば、妻を直せるんだ」
佐倉 光
「部品?」
嫌な予感がするね?
KP
「ああ。この街には、それを持っているものはいなくてね。困り果てていた所だったんだよ」
彼は言うと、長いマイナスドライバーを持ち出してきた。その先端は…… 螺子回しとしてはふさわがしくなく、刃物のように鋭く研がれている。
佐倉 光
剣呑だな。ヒランヤを握る。
佐倉 光
ああ、そんな感じか。なるほど。
KP
「人間の心臓だ。マキくんだったかな、その様子なら、もう心臓はいらないだろう?」

彼は何気ない調子で── 恐ろしい内容を口にした。
二人とも《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2
佐倉 光
CCB<=84 《SANチェック》 (1D100<=84) > 9 > スペシャル
牧志 浩太
CCB<=67 《SANチェック》 (1D100<=67) > 6 > スペシャル
佐倉 光
「おい、要る要らないを勝手に決めるなよ」
■牧志視点
牧志 浩太
平然と言われた内容に怖気がした。機械に人間の心臓を入れる? 何を言ってるんだ? こいつは本当に平然としているのか? 
自分がこうなっているから、もしかしたら平然として見える相手も、何か違うことを思っているのかもしれないと思ってしまう。

牧志 浩太
「心臓がなくなったら、死んじゃうだろう。俺は、まだ死にたくない」

平板な声で吐き出された言葉には不安の影もあるべき恐怖もなく、震えてもいなかったが、言葉の中身にだけ彼の意思が感じられた。
佐倉 光
「大体、あんたの奥さんが直れば帰してもらえるってのは確実なのか?」
佐倉 光
証人の話を聞いた人が目の前にいるんだな!
KP
「大丈夫。代わりに機械の動力を入れてあげるよ。さあ、分からないが……。帰し方を知っているかもしれないのは、妻だけだ」
あなたの傍らで、ぎしり、と金属の軋む音がした。
■佐倉視点
佐倉 光
やっぱりあの時とは違う。牧志は【感じてはいる】。
状態から言って、もうこの、嘘か本当かも分からないクソみたいな提案を蹴って他の方法を探す時間がない。
それならできるだけ最善手で乗るしかない。相手の顔色も分からないっていうのに。

佐倉 光
(『機械の動力』か……)
牧志 浩太
「……佐倉さん」
佐倉 光
「何だよ」
牧志 浩太
その首筋が、鉄の色に染まっていた。
「また、少し進んだみたいだ……。胴体ももう、半分感覚がない。息をしてるかどうかも分からない」
KP
「それはいけないな。君の方が早かったようだが、放置していればサクくんも機械になってしまうだろう。ここは機械の街だからね」
佐倉 光
牧志の胸に手を当ててみる。
KP
ひやり、と冷たい感触がした。硬くて冷たいそこに、あなたは鼓動を探すだろう。微かに、不明瞭な鼓動が触れた。
■佐倉視点
佐倉 光
冷たい手触りに、二重三重の理由で戦く。
どう考えてもこの男は【妻】を動かしたいだけ。
嘘かも知れない提案。不確実な道。勝ち目のない賭け。状況は最悪。
それでも、この男が実は真実を言っている可能性はゼロではない。
【妻】を助けた恩人に協力してくれるなんて夢物語も……まあゼロではない。

ここまで硬質化した体に【人間の心臓】だけが完璧な状態で残っていると言い切れるか?
あくまで取るのは最善手。それならまず確認したいことがある。

牧志 浩太
「佐倉さんも、こうなってしまうのか……。なあ、辻さん、」
KP
「何だい?」
牧志 浩太
「俺が心臓を渡せば、帰る方法が分かるかもしれないんだよな……?」
佐倉 光
「…………
待て、牧志」
牧志 浩太
「佐倉さん、でも」
佐倉 光
「前にお前の爺さんがここに来たって言ってたな。前に来た奴がお前に似ていたって言うなら、ここのことなんだろう」
つい名前呼んじゃった。
牧志 浩太
つい名前返しちゃった。
佐倉 光
「お前の爺さん、機械の体だったか?」
牧志 浩太
「いや、そうじゃなかった。爺ちゃんの手は温かかったよ……」
佐倉 光
「……なるほど。
ちなみにその話聞いたときに、一緒に行った奴がいたかどうかっていうのは知っているか?」
牧志 浩太
「いや……、そこまでは聞いてない、と思う。ほんとに、少し話に出た所しか覚えてないんだ……」

ぎしり、と腕が軋んで、彼が太腿の上で拳を握りしめた。
佐倉 光
「そこは知りたかったなー」
牧志 浩太
「ごめん。思い出せればよかったんだけど」
KP
「きっと、その時はまだ妻が動いていたんだろう。すまないね、最近は時計を見る習慣がなくて、何がいつのことだったか覚えていなくて」
ぎらりと光るドライバーを持ったまま、辻は平然と言う。
■佐倉視点
佐倉 光
牧志の祖父が一人でここに来ていて、つまり今の俺みたいに『誰かが先に機械化した』状態ではなく、牧志のように機械化してしまっていて……その頃正常に動いていた【妻】に救われた可能性も、ゼロではない。
馬鹿馬鹿しい。都合良く考えすぎだ。乗るには絶望的。

佐倉 光
「やれやれ、賭けはそれほど好きじゃないんだけどなぁ」
ため息ついて、スマホを操作して、ある画面にしてから牧志に渡す。
「辻さん。心臓は俺のを使え。ただしちゃんと代わりの動力入れろよ」
牧志 浩太
彼が一瞬、ぐっと目を瞑ろうとしたのが見えた。しかし、彼の瞼はうまく連動して動いてはくれないようだ。
■牧志視点
牧志 浩太
(何言ってるんだ、佐倉さん。機械になりかけてる俺ならまだしも、佐倉さんの生きてる身体を抉ったら、佐倉さんが)

牧志 浩太
彼はスマホを受け取り、画面を見る。何が表示されているのだろうか?
佐倉 光
波照間さんの【仕事用の】連絡先だ。
あっ、渡したのは今まで人に渡したことはない仕事用スマホだよ。
「ここに連絡すりゃ緊急だって分かってもらえる。
俺になんかあって、一人で戻ることになったらここに連絡するんだ」
牧志 浩太
「…………」彼はそれを、【知って】いた。連絡先そのものは変わっていても、【自分自身】のものだから、それがどういうアドレスなのか、見れば分かる。
彼は、しばらく躊躇って……、「分かった。控えとく」
大きく息を吸い、吐いて。彼は平板なその声を震わせようとした。
■牧志視点
牧志 浩太
平然とした自分の声がひどく薄情に聞こえて、そんな声で頷きたくなかった。感情のあまりに震える声を意図的に再現しようとする。
KP
あなたの唇は、喉はもう滑らかな動きを失いかけていて、あなたの思うように震えてはくれなかった。

KP
「君がかい?」
佐倉 光
「必要なのは【人間の心臓】。こいつの心臓じゃ、もう使い物にならない可能性があるだろ?
どっちにしろ俺たちはあんたの腕を信じるしかない状況だが、正直どの程度の物なのか分からない。
不確定要素は省くべきだろう。
だからって俺は別に死にたいわけじゃないから、動力は確実に入れてくれよな……」
KP
「いいのかい? 君はまだ機械になっていないようだ。死んでしまうかもしれないよ」
牧志 浩太
「だめだ、佐倉さん。俺なら大丈夫かもしれないけど、佐倉さんは」
あなたを止めようと、彼はやおら立ち上がる。脚がうまく動かずつんのめる。
佐倉 光
「牧志。向こう帰ったら波照間さんに連絡して……
腐る前に反魂香持ってきてくれよな。ドジったら化けて出るからな?」
心臓抜かれた方は高確率でここに置き去りだろうし……
運が良ければ機械として蘇るか……? それにしてもここから出られるのかどうか。
牧志 浩太
「…………」
彼は、気づいているだろう。もう一度ここに戻って、反魂香を持ってくる── そのプランが、あまりにも厳しい賭けであることに。
何も確証はないのだ。それでも、他に良い考えなどなかった。
佐倉 光
「ほら、早くしろ。俺まで機械になったら人間の心臓がなくなっちまうぞ」
KP
「何の話をしているんだい? いいけどね。それじゃあ、君の心臓をくれるんだね?」
佐倉 光
「ったく……
我が儘な野郎だな。人間のいない世界で、大事な物のメインに人間のパーツ必要なとこ作るんじゃねぇよ。メンテナンス性最悪じゃねぇか」
KP
辻はあなたの言葉に応えず、「それじゃあ、私は妻の身体に心臓を入れる準備をしておくから、君が頼むよ」
そう言って、鋭いドライバーを牧志に渡した。
佐倉 光
なんだそれw
おまえ大事なところ人任せにしてんじゃねぇぞw
■佐倉視点
佐倉 光
……は? おいおい聞いてねぇぞ??
いやいや、奴にとっても大事なパーツ取りだそうってんだ、何とかなる……何とかなる……んだよな??

牧志 浩太
受け取った彼はじっと……、その刃物を眺める。
■牧志視点
KP
鋭く研がれたドライバーの先は、あなたの友に向けるにはあまりにも鋭利に見えた。ぎらりと光る鋭角が、
牧志 浩太
(……佐倉さん……、やるしかないのか、本当に?)
牧志 浩太
あらゆる悪い可能性ばかりが頭の中を駆け巡った。やっぱり俺が、と今からでも言いたい。でも佐倉さんの眼はもう、覚悟を決めているように見えた。

俺だって分からないのだ。本当に俺の心臓がまだ、ちゃんと人間の心臓かどうか。

KP
「生きた心臓はデリケートだからね。移し替える前に死んでしまったら困るだろう?」
佐倉 光
「ミスったら殺すからな」
呪うとかで。
辻にだよ。
牧志 浩太
「……佐倉さん……、」
■佐倉視点
佐倉 光
表情もない顔に、抑揚もない声に、何故か不安と恐怖と哀しみが見えた。
(最悪だよな、牧志。けど今までだってあったろう、最悪なことくらい、いくらでも)

佐倉 光
「牧志。気にすんな。
うまいこと機械の動力が入れば、疲れない体が手に入るかも知れない。
ものを食べたり、寝たり、そういったことが必要なくなるかも知れない。
俺が前に望んでいた、理想の体になるじゃないか」
(運が良ければ、と、あとは今はそれほど望んでないってとこがネックだなぁ……)
牧志 浩太
「佐倉、さん……、」彼の腕が苦しげに軋んだ。「俺、うまくいったら、絶対に戻ってくるから」
佐倉 光
「頼むぞ」
牧志 浩太
「……うん、頼まれた……、」
佐倉 光
冒頭が食事シーンだったのが効いてくるな。
KP
今回わりと食事がキーになっていますよね。
佐倉 光
これ実際真ん中ブスーされたら普通に死んで終了だぞw
取り出し方くらい教えてけよ。
牧志 浩太
彼は鋭い刃物を構え、あなたの胸にあてがう。
ひやりとした感覚があなたの急所に触れ、人間の本能が一斉に危険を訴えるだろう。
その状態を許してはならない。一刻も早くその状態を打開せねばならない。あなたの脳の中で、アドレナリンが頭蓋を叩く。
佐倉 光
ヒランヤを痛いほどに握りしめる。
大丈夫、俺は痛いのにも死ぬのにも慣れている。
それにしても、いつも死ぬのは急なことだから、ここまで死を突きつけられることはなかったな……
■佐倉視点
KP
その時あなたは思い出すかも知れない。今まで死を迎えたのは仮想空間の中でだけだ。あなたは今初めて生命の危機にある。
佐倉 光
あれだけリアルな世界だったんだ。死だってリアルに再現されていただろう。それなら情報を受け取るのが脳であるのが変わらない以上、同じだ。
同じだ。
せめてマカミがいてくれたら、少しは震えも止まるかも知れないのにな。
マカミ……聖獣マカミ。死者復活の魔法が使える。佐倉の使い魔。

佐倉 光
動いたら、心臓に傷がつくかも知れない。椅子に体を押しつけるようにして両手を握って目を閉じ、恐怖に耐える。
大丈夫、いつものやつだ。
大したことはない。
むしろ楽しめよ。
二度とない瞬間だぞ?
牧志 浩太
「……ごめん」
真っ暗になった視界に、彼の声が注いだ。
刃物があなたの肉体に── 潜り込む。
KP
肉を裂かれ、冷たいものに侵入される激痛があなたの背筋を走り上げる。全ての思考を打ち砕くような灼熱感と激痛の中、刃物がひとりでに肉の中を泳ぐように、心臓を目指しているのが分かった。
どうしてか、ぽたりと皮膚の上に温かい水滴が落ちたのを、やたらはっきりと感じた。
■牧志視点
牧志 浩太
うまく形にできない感情が膨れ上がる。嫌だ……、嫌だ、こんな事したくない。嫌だと叫びたい。佐倉さんを困らせるだけだと分かっているから、叫べない。
KP
あなたの顔は凍りついてしまったように動かない。首にも、顔にも、もう感覚がなかった。
牧志 浩太
唇を震わせることも、涙を堪えることもできない。外に出せない感情が頭の中で渦を巻く。頭が破裂しそうだった。
牧志 浩太
動かない眼が、小さな破裂音を立てた。内側から何か液体が溢れてきて、佐倉さんの胸に落ちるのが見えた。

佐倉 光
悲鳴を上げたと思う。
自分がそんな声を出せるなんて知らないほどの断末魔を。
長い長い長い! 早く終わってくれ!
■佐倉視点
佐倉 光
牧志のためにも自分のためにも、悲鳴を上げずにただ耐える。そんなのは幻想だった。
決意も意思も、差し迫った生命の危機の前には無力だ。苦痛と恐怖が思考を満たす。
全身の筋肉があがく。もがく。逃れようとする。痛みに捻れる。だが体はぴくりとも動かない。
『犠牲者から間違いなく【部品】を取り出す魔法でもかかっているのか。それなら安心だな』
そう皮肉っぽく呟く自分がはるか遠くにいた。

KP
空間を切り裂く断末魔は正しく、殺されるものの声だった。ひと進みごとに激痛が勝手に、あなたの喉から声を押し出す。
苦痛を認識していられたのも、そこまでだった。胸の中から何か、熱いものが掬い上げられていくような気配がした。急速にあなたの頭脳から血が引いてゆく。
佐倉 光
ぼんやり見開いた目で、認識できる限り取り出された物の行方を追う。
KP
腫れあがっていく視界に、赤く脈打つなにかが映った。あなたから取り出されたそれが、椅子に座っていた機械のもとへ運ばれていく。
「おぉ……! 見事な心臓だ! さあ、早く妻の心臓部へ!」
辻の声に悲痛さはなく、むしろ嬉しそうですらあった。
佐倉 光
最期の瞬間まで目を開いたまま、その行く末を。
KP
視界が眩しく、白く染まってゆく。
佐倉 光
(クソが……)
上手くいかなかった場合、幽霊ってどうやったらなれるんだ?
そんなことを考えた。
■牧志視点
KP
切り裂かれた胸の中から取り出された心臓は、抵抗するように赤く蠢いていた。これが、あなたの友の心臓、彼の命そのものなのだ。
牧志 浩太
ただ呆然と、それを見つめた。
KP
辻が歓喜の声を上げて、あなたの手からそれを奪い取る。後に残された身体は空っぽの、死体といいうにも空っぽの抜け殻に見えた。真っ暗闇を湛えてぽっかりと開いた瞳孔があなたを見た。
牧志 浩太
俺が、佐倉さんを……、殺した。そんな意識、いやきっと事実だ、そればかりが巡る。反魂香、帰る方法を聞き出して、いつまでなら間に合う? できそうにないような言葉ばかりが頭の上を滑る。

KP
あなたに見えたのは、その機械の蓋が閉じられるところまでだっただろう。
KP
A:魔術でなんとかされました
佐倉 光
フルオートだったんだね!
KP
マニュアルだと大変ですからね(?)
佐倉 光
そだね!!
KP
そもそもいまの牧志の手では大した精度が出ないし。
佐倉 光
だと思ったから「えぇぇぇぇ!?」ってなった。
KP
説明の足らない辻さんでお騒がせしました。
佐倉 光
あと牧志君が帰れたからって人間に戻れる確証がないw
KP
牧志。仲間だった彼の。友達である彼の心臓を自ら抉り出したあなたは、《SANチェック成功時減少 1D6失敗時減少 1d10+1
牧志 浩太
CCB<=67 《SANチェック》 (1D100<=67) > 40 > 成功
1d6 (1D6) > 6
[ 牧志 浩太 ] SAN : 67 → 61
佐倉 光
あら
KP
友に心臓を抉られ、殺される経験をした佐倉さんも《SANチェック成功時減少 1D3失敗時減少 1D10》。ただしここで発狂処理は入りません。
佐倉 光
CCB<=84 《SANチェック》 (1D100<=84) > 69 > 成功
1d3 (1D3) > 1
[ 佐倉 光 ] SAN : 84 → 83
覚悟キメてた。
KP
牧志は一時的発狂。【アイデア】ロールを。
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 36 > 成功
KP
持続時間を1d10+4ラウンド、種別を1d10。
佐倉 光
変なの出して、俺の死体壊したり、機械壊したりしないでねw
牧志 浩太
1d10+4 (1D10+4) > 2[2]+4 > 6
1d10 (1D10) > 5
KP
「その場に釘付けにしてしまうかもしれない極度の恐怖症」か。これは外からは見えないかな。
■牧志視点
KP
辻があなたに何かを投げてよこした。一式の工具と、ポンプとモーターのような何かだ。
「そら、私は妻のことで忙しいんだ。動力はやるから好きにしろ。その工具で心臓の所に組み込めばいい」
牧志 浩太
これを? 佐倉さんの身体に? 意味不明な戯言に聞こえた。胸の大穴に当てがってみても、何とかなるようには見えない。
KP
それを彼の胸にあてがうと、その機械がパイプの先をぬるりと伸ばして、断たれた血管に吸いつこうとしているように見えた。その信じがたい、悍ましい動きにあなたは慄くだろうが、感情を表すことのできなくなったあなたの身体は、それを取り落としてしまうことはなかった。
牧志 浩太
今だけは手が震えないのに感謝したかった。
KP
工具を手にすると、それらはひとりでに動くようだった。悍ましい合成物が彼の胸の中に組み上げられていく。

佐倉 光
次回から マシン・サクラ か 幽鬼・サクラ の冒険が始まるよ!
■牧志視点
牧志 浩太
祈るように待った。
KP
彼の身体が不意に動いた。真っ暗闇を湛えて開かれていた瞳孔が、数度、収縮する。


KP
あなたは、ふと目を覚ます。
佐倉 光
「……」
あの世かぁ。
思わず胸を確かめる。
KP
ひどく奇妙な感覚がした。寒い。全身が冷えている。あなたの肉の身体の内側に、冷たい液体が巡っている。胸に手を当てると、そこからは鼓動ではなく、無機質な駆動音と振動を感じた。
牧志 浩太
あれから、幾分も経っていなかったのだろうか。あなたの前に立ち尽くす牧志の両手が、血で真っ赤に染まっていた。
佐倉 光
「……うまくいった……?」
牧志 浩太
「佐倉、さん……、生きてる、のか?」彼は恐る恐る、あなたに問う。
佐倉 光
「た……多分?」
思わず自分に《アナライズ》
■佐倉視点
佐倉 光
どんな形であれ、まさか本当に復活できるとは思っていなかった。
俺は俺のままであるのか? 

KP
あなたはCOMPを取り、《アナライズ》を行う。
COMPは迷うように処理中の画面を出した後、【マシン/??】表示を返してきた。
■佐倉視点
佐倉 光
データ的には、種族が変わっただけ。俺の自意識は俺のままだ。
けど、異界で無自覚に歪んでいた波照間さんのことを思えば……正確なところは分からないな。
冷たい、と自覚できるうちはまともか? まるで死体だな。
今俺の体には何が流れているんだ? 体の中ではどういう反応が

佐倉 光
「良かった、一応悪魔判定はある……
《アナライズ》不能だったらどうしようかと思った」
牧志 浩太
「良かった、のかな……。それで安堵するのも変だけど、死ななくてよかった……、良かった? 難しいな」
佐倉 光
「ただのからくりになったり死ぬよりは随分マシだろ……」
周囲の状況は?
KP
あなた達の前で、機械に向き合っていた辻が歓声を上げた。
「妻」と呼ばれた機械。
それが、薄っすらと目を開いたのだ。
佐倉 光
「直った?」
KP
「おお……! 目を覚ましたか! 君が目を覚ます日を、どれだけ待ち望んでいたことか!」辻はあなた達の方を見ることもなく、彼女に抱き着き、喜ぶ。
「会いたかった、愛しているわ……」甘い囁き声とともに、「妻」は彼を抱きしめる。
牧志 浩太
「直った、みたいだな。それはいいけど、帰る方法は」
佐倉 光
「もっとマシな部品で動くようにしろよ……」
牧志 浩太
「っていうか、この状態で帰れるのか、俺達……?」
佐倉 光
「おい、大事な部品提供したんだ、約束を果たしてくれよ」
あとは、ちゃんと帰れるのか、帰ったところで牧志の体が何とかなるのか。
せめて進行が止まってくれるといいんだが……
KP
「何だうるさいな。私と妻の邪魔をしないでくれ」辻は鬱陶しそうにあなた達を振り返り── そのとき。
「妻」の眼がぎらりと輝いた。
「愛してるわ、あなた、アイシてる、」
佐倉 光
「こっちには時間が……」
KP
「アいシてるから、タべてあゲルワ……、アナタ、ア、イシテル。いっしょニなりマショウ?」
“妻”の口ががばりと裂けた。
佐倉 光
「は?」
KP
あなたの心臓を宿した“妻”は辻に近づくと、恐ろしい口を開く。
佐倉 光
殺すぞって念じたからかなぁw
KP
牙のようなものが無数に生えていた。妻は慌てる辻に覆いかぶさると、バリ、バリ、と硬い機械の体を噛み砕いていく。
牧志 浩太
「えっ……、どういうことだ、何が、」
佐倉 光
「え、えぇぇぇぇ」
KP
「やめろ、どうして……何を……! やめろ、やめてくれ!」
もがく辻を、“妻”はその大きく開いた口の中に収めていく。
佐倉 光
「うぇ。あいつ話聞いてくれるかな」
牧志 浩太
「聞いてくれそうにないな……、何だこれ、心臓あげ損だったってことか? 俺と佐倉さんの覚悟返してくれよ……」
佐倉 光
辻についてはまあ、そういう風に作ったんだろうし、自業自得だなって思ってる。
佐倉 光
大体、おそろしく剣呑な口だって辻がそういう風に作らなきゃそうはならんやろ。
佐倉 光
ダメ元でCOMP出してTALKするね!
KP
辻をすっかり食い尽くした“妻”はにたりと笑んで、あなた達の方を向いた。
あなたは〈TALK〉のコマンドを打つ。
佐倉 光
今回の佐倉ずっと顔が焦ってるな。
KP
牧志も表情があれば同じことになったと思う。
佐倉 光
「俺たち、別の世界から来たんだ。復活したてで悪いんだけど、帰る方法を教えてくれないか」
KP
“妻”が反応した。何者かの嘲笑が、大きく開かれたその口の中の暗黒から響く。それは「彼女」の声とは異なる、見知らぬ男の声だった。

──あなたはその声を知っているような気がした、どうしてか。
「面白い賭けだ」
気がつくと、“妻”の傍らに人間の男に見える何者かが立っていた。
佐倉 光
「……誰だ?」
佐倉 光
会ったことあるならチクタクじゃないんだね。
いや、チクタクも会ったか、そういや。
賭けがどうのっていうとあいつか。
■牧志視点
KP
【あなた】は彼と共に、それに出会ったことがある。

KP
「おやおや、覚えていないのかい? 随分薄情だね。ああ、それとも、この姿に惑わされているのかな?」
カチリ、と歯車の組み合う音がした。次の瞬間、目の前に立っていたのは、機械と歯車の集合体で作られた男の影だった。
牧志 浩太
「……チクタクマン……?」
佐倉 光
「……!」
KP
あなたはそれを知っている。あなたはそれに会ったことがある。チクタクマン。這い寄る混沌。

あるいは。
あるいは、土曜日の── ああ、なんだったか。
佐倉 光
「お前、あの時の……!」
KP
「ふふ、久しぶりだねぇ。君と会うのはこれで三度目か」
佐倉 光
召喚コマンドを叩く。
召喚できたからといって対抗できる相手とも思えなかったが。
KP
COMPは無情にもアクセスエラーを吐くばかりだ。
牧志 浩太
牧志が同時に、背中に手を伸ばそうとするのが見えた。きっと、思わずあなたと同じ行動を取ろうとしたのだろう。
佐倉 光
心臓が置き換わったくらいで戦える体になったとも思えないしな。
KP
「まあまあ、君と戦う気はないよ。それより、面白い賭けをするんだね。そのために自分の心臓を抉らせるのかい? 気に入ったよ」
彼は身体を構成する歯車を回して、キリキリと笑う。
「いやあ、心臓を抉る瞬間の顔は見物だったよ」
■牧志視点
牧志 浩太
激しい怒りが一瞬で背筋を走り抜けた。男に掴みかかろうとして、脚がうまく動かない。

牧志 浩太
「お前っ……、」表情を動かす機構自体を失ったらしい平坦な顔で、彼は怒りの声らしいものを吐こうとした。
KP
それを気にも留めず、男は笑う。
佐倉 光
そういえば。
面白い見世物を求めているといっていたな、こいつは。
「面白かったか? 見物料払えよ」
KP
「そうだねぇ、いまの僕は機嫌がいい。払ってやってもいいよ、見物料」
佐倉 光
相手の機械の顔を、目を細めて読めないかとうかがう。
あまり下手な挑発はできない。牧志がいる。
KP
相手の表情は── 読めなかった。機械の塊だから、ではない。人間の形であっても、読めなかった。

それは人間のような思考をしていないのだ。
佐倉 光
いつかと同じだ。
悪魔会話にすらならない。
「この世界を『本当に』作ったのは、お前なんだな……」
KP
「そうだよ。面白いよねえ、自分の望むままに振舞ってくれる機械を欲しがったくせに、“心が欲しい”なんてさ」
佐倉 光
そこに関しては同感。
KP
「君の心臓と君の肉体。ふたつ合わせて、どちらか一人は帰してあげよう。これに入れちゃった方は、もう使い物にならないからね」

男は辻をすっかり飲み込んだ “妻”の頭を押さえると、あっさりとその機械の頭蓋を握りつぶした。
佐倉 光
あと俺の心臓完璧無駄遣い……
KP
「残った方はここで暮らすといいよ。なあに、あのガラクタよりはちゃんと動けるようにしてやるさ。
案外楽しいかもしれないよ?」
男は機械仕掛けの顔で、にたりと笑った。
佐倉 光
面白がってやがるな、こいつ。
牧志 浩太
「くそ、面白がられてる……」
佐倉 光
「……話が違うぜ、まったく……」
牧志 浩太
「本当にな。無駄遣いじゃないか、佐倉さんの心臓……」
佐倉 光
「割とショック」
牧志 浩太
「俺もだ」
佐倉 光
「で、どっちが帰るかって?」
KP
「ああ。選ばせてあげるよ?」
佐倉 光
「戻った方は人間に戻れると思っていいのか?」
KP
「もちろん。今度は嘘なんかつかないから、安心しなよ?」男は楽しそうにカタカタと笑う。
佐倉 光
相手は悪魔だ。しかもかなりたちの悪い。
契約などヘとも思わない実力差。
関わった時点で、積んでるんだ、こんなの。
「やれやれ……まあさっきよりゃ、マシか」
牧志 浩太
「……佐倉さん、」
佐倉 光
「ここに残る方は機械として存在することはできる……」
牧志 浩太
「それなら、俺が残る。佐倉さんは悪魔使いだから……、全員に連絡して、総力で当たれば、またここへの道を開けるかもしれない」
確証はないのだろう。先程と同じように。平板な声から感情は推し量れなかったが、勝算があって言っているようには聞こえなかった。
佐倉 光
「そうだな? 俺だって命は惜しいし? いやもうなくなってるか? まあどうでもいいか」
牧志に〈心理学〉
読めるかな?
〈心理学〉は55だよ。
牧志 浩太
ふと見ると、彼の顔は辻や“妻”と同じような、よく磨かれきちんと作られた造り物になっていた。
いつもの彼の表情を彫られたまま、そもそも動く機構のないその顔からは、感情や意思を読み取る事はできない。
佐倉 光
やっぱそんな感じか。
牧志 浩太
「ああ、そうだ。うまく帰れたら……、俺を、助けに来てほしい」
KP
ここで、一度だけ〈心理学〉を許可。こちらで振りますが、振りますか?
佐倉 光
うーん。
あえて振らない。
KP
OK。
佐倉 光
俺には分かる。分かるつもりだ。
今までのこんな状況で、あいつはけっして曲げない。
自分に危機が迫ろうと、人のことを考える。
自分のことなど二の次にしやがるんだ。
「牧志。俺お前のそういうとこ」
「大嫌いだ」
できる限りの冷たい声で言い放った後で、チクタクマンに向き直る。
KP
「決まったかい?」
佐倉 光
「この馬鹿を戻せ。こいつの馬鹿面はもううんざりだ」
KP
「ふふ、優しいねぇ。……いいよ、分かった。そっちの彼を戻してあげよう」
佐倉 光
一度死を覚悟したことを考えれば、この街の観光がのんびりできるのも悪くないだろう?
KP
男は牧志の胸に手を伸ばす。牧志が軽く呻いた。服から覗くその首筋に、複雑な印のようなものが小さく刻まれるのが見えた。
〈聞き耳〉
佐倉 光
CCB<=60 〈聞き耳〉 (1D100<=60) > 45 > 成功
佐倉 光
初期値だった〈聞き耳〉が仕事をするように!
KP
「あいつに取られて悔しかったんだ」
男が微かに、囁く声で言ったのが聞こえた。
次の瞬間、牧志の身体が光り出し、瞬きのあとに消えていた。

佐倉 光
取られたって、おじいちゃんのことかなぁ。
KP
ニャルラトホテプと対立していて、ニャルラトホテプが遊んでいる人間を取っていって彼に恥をかかせたりする、「誰かさん」に取られたようです。
佐倉 光
報復されちゃったか。
そもそも牧志をあのひとのとこに放り込んだのお前だよ??
KP
ニャルラトホテプ化身がいっぱいいすぎで意思統一に難があるので。

KP
──あなたの身体が、ずしりと重くなる。全身から感覚と、熱が失われていく。
あなたの身体は、冷たい機械へと変貌していた。動きこそ滑らかだが、表情を動かす機構は無く、ただただその中に、これまでと変わらぬあなたの意識だけがある。
佐倉 光
元々俺は一人が好きなんだ。
願ったり叶ったりだろう?
あの馬鹿にここで一人生きることが耐えられるわけがない。
こっちの方がベターだ。
■佐倉視点
佐倉 光
暑くも寒くもない。自分の体がどう変じたかを追求する気にもならない。空洞になってしまったようだ。
想像以上に、肉体の変化は精神に影響を与えるものだったらしい。
そんなことが分かっても、今更嬉しくもなんともないな。
体中の部品がかみ合ったりこすれたりするほんのかすかな響きが、音が、やけに耳障りだ。

佐倉 光
こんな体じゃため息もつけやしないな、そんなことを思った。
KP
「ふふ、これであの子は生きて元の世界に帰る事ができました。ねえ、本当に助けに来ると思う?」男はあなたの前で、くすくすと笑う。
佐倉 光
(知るかよ)
心の中で呟いた。
返答してこいつを喜ばせる気はない。
KP
「あはは、つれないねぇ。でも、僕は君の優しさに感動したよ。まさか君がねぇ、自分よりあの子を選ぶなんてね」
佐倉 光
(優しさ? 自己犠牲? そんなものじゃない。
俺はこっちの方が勝算があると思って……)
そうだっただろうか?
冷静に判断した結果だっただろうか?

瞼くらいは動くんだろうか。
KP
瞼だけは、あなたの意に沿って動いた。口の開閉を除いては、唯一の可動部だ。
佐倉 光
体動かないのかな?
そうかぁー、観光無理か。がっかり。
KP
あ、身体は動きます。
顔の中では瞼と口だけが可動部ってことですね。ややこしくてすみません。
佐倉 光
あ、良かった良かった。
それじゃ、立ち上がってまず自分を《アナライズ》してステータス確認しよう。
KP
《アナライズ》すると、【マシン/??】と表示された。反応速度は申し分ない。COMPはもはや、迷うことがなかった。
■佐倉視点
佐倉 光
硬い指でヒランヤを握っても、もうその輪郭が分かるだけで、指に食い込む感触はない。

佐倉 光
(……大したことじゃない。俺の意識はある。飲み食いも不要)
(問題は、今の俺にはこの状況を楽しめる自信がない……ってことくらいか)
(まあ……楽しいかどうか、じゃねぇな。それしかないんだ。
あの頃と大して変わらない)
(慣れるさ、いずれ)
■佐倉視点
佐倉 光
延々と同じ動きをする機械しかないこの世界で助けを待ちながら、脱出の方法を探す。
どれだけこの世界に物が溢れていようと、即行狂う自信がある。
図書館のあのハリボテが読めれば少しはマシだろうか?

ふと、ほんの数時間前に牧志と遊びに行ったことや、食事をしたことなんかを思い出す。
機械の脳ならそのシーンのどんなに下らないこともひとつひとつを忘れずに済むかも知れない。だとしたらそれに付随した感情は? 覚えておけるとしたらそれは救いか、それとも

自分にハッキングするのも面白いかも知れないぞ?
そんなことを投げやりに思った。
消すにしろ、書き換えるにしろ……
自分自身の思考に【吐き気がする】。

KP
男は、あなたの前で笑う。

「ああ、いいものが見られた。本当に君達は僕を楽しませてくれる。
ああ、楽しいなあ。ねえ、もう一つ代償を背負う気はあるかい?」
佐倉 光
「代償?」
KP
「実はねえ、君を帰してあげることもできるんだ。でも、あれだけいいものを見せてもらって、只で帰すんじゃ、拍子抜けだろう?
だから代償を背負ってもらおうってわけ」
佐倉 光
「内容は?」
KP
「秘密」
佐倉 光
「……どうかと思う」
KP
「知ってる。それじゃ、このままここにいるかい? 僕はそれでもいいよ?」
佐倉 光
選択の余地ねぇだろ……
まったくクソ野郎だな?
KP
今回本当「ニャル様がこれで佐倉さんごめんな」って感じ
佐倉 光
完全にやり方がたちの悪い新興宗教の勧誘なんだよ!?
つか割と選択の余地がないたちの悪い選択多いね。
KP
本当に。ひどいはなしである。
佐倉 光
おっかしいなぁ、店選ぶときファンブルなんか出していないはずなのに!?
佐倉 光
まあ、俺がたちの悪い悪魔になって人間にどうこうするようになったら、波照間さん達が何とかしてくれるだろう。
「乗った」
■佐倉視点
佐倉 光
俺は俺が思っていたほど強くなかった。情けないな。
自嘲の影で、ほんのわずかな違和感を覚えた。
が、もう『帰れる可能性』を目の前にしてまともに考えることなどできはしなかった。

KP
「そう言ってくれると思った」彼はあなたの胸に手を伸ばす。
「それじゃ、彼とこれからも仲良くね。ばいばーい」軽い声で男が言った。あなたは胸をとんと押され、後ろに向かって倒れ込む。
視界が光に包まれて── 意識が落ちた。

牧志 浩太
「佐倉さん、佐倉さん」彼が、あなたを揺り起こす声が聞こえた。
その声には少し不安そうな感情が宿る。
佐倉 光
「…………」
倒れたまま、信じられない思いで空を見上げる。
牧志 浩太
「よかった、目を覚ました……」
佐倉 光
「牧志。ここ、どこ?」
KP
周囲を見回せば、シャッターの降りたあの店の前の歩道のようだった。
佐倉 光
俺は、幸い俺のままだと思う……多分。
KP
あなたの肩にかかった牧志の手の体温が感じられた。あなたの肉体は生きた熱を持ち、アスファルトの上に寝転んだ身体は痛みを訴える。
佐倉 光
「いて……生きてんのか、俺」
牧志 浩太
「あの店の前。俺が戻ってきて、波照間先輩に連絡入れようとしたところで、佐倉さんが降ってきたんだ」
KP
あなたは確かに生きているようだった。あなたの肉体に、冷たい液体は巡っていなかった。
佐倉 光
長いため息をついた。
「なんにせよ……無事で良かったよ」
約束は果たされた。では代償は?
牧志にも印がついちゃったもんな。
牧志 浩太
「ああ。佐倉さんも、無事でよかった。あの時はごめん。ありがとう」悔しそうに、彼は拳を握る。
佐倉 光
「別に、俺がそうした方が勝ち目があると思ったからそうしただけだ」
まあ、こうなると馬鹿呼ばわりしたのはちょっとやり過ぎた感はあるが。
牧志 浩太
「……ちょっと悔しいな。まあ、今回は、俺が悪魔使いでも、どうにもならなかったと思うけど」彼はそれ以上、あなたの意思について何も言わなかった。

佐倉 光
これ絶対KPCを犠牲にする選択したら、KPCが死んで終わるか二人とも脱出不能で終わるヤツでしょ。
KP
ばれた。前者です。
佐倉 光
こういうの大体KPC犠牲にするが正解のやつないもん。
KP
ですねぇ。

佐倉 光
「ま、二人とも生還できて良かったって事で」
牧志 浩太
「そうだな。佐倉さんも、俺も無事で……、よかった」佐倉さんが無事で、と言いかけて言い直したらしかった。
佐倉 光
「あ、お前はちゃんと人間に戻れてるんだよな?」
牧志 浩太
「うん。違和感はないし、靴も脱いで確認してみたけど、ちゃんと爪先まで人間だった」
佐倉 光
「そうすると……代償って何だ?」
牧志 浩太
「代償?」
佐倉 光
「俺はあの世界で暮らすことになってたろ?
こっちに帰してやる代わりに代償を寄越せって言われたんだ。
内容は秘密だ、ってさ。ふざけてる」
牧志 浩太
「代償? 何だそれ、内臓持ってかれてたりしないよな」
佐倉 光
「さっき機械の心臓入れられたときみたいな感じはしないけど……」
KP
ここで〈目星〉をどうぞ。
佐倉 光
CCB<=85 〈目星〉 (1D100<=85) > 95 > 失敗
あっ
KP
あらら。
佐倉 光
《アナライズ》で分かんないかなw
KP
おっ、なるほど。やってみてもいいですよ。
佐倉 光
じゃあ《アナライズ》してステータス確認だ。
判定は必要?
KP
判定不要です。
佐倉 光
コマンドの確定操作をするのに、一瞬躊躇った。
情報は、必要。
一度息を吸って確定操作を行う。
KP
ステータスを確認すると、あなたには何の異常もない。あれ? と思ってCOMPをしまおうとした時、画面が牧志に向いて、一瞬何か反応した。
佐倉 光
「ん?」
再度牧志に向けて確認。
KP
COMPが反応し……、牧志の首筋から胸に向かって刻まれた赤い痣のあたりで、

〈契約済み〉
そんな表示を返した。
彼に、そんな痣はあっただろうか?
あの時、首筋に小さく刻まれただけだったはずの痣は、胸に向かって曲がりながら伸びている。
佐倉 光
代償を俺自身から取る、とは言っていなかったな、あの野郎は。
とんでもない失態だ。
KP
そう、あの男は、代償を「誰が」負う、と一度も言わなかったのだ。
佐倉 光
「牧志、その痣」
首から伸びる痣を指す。
牧志 浩太
「え?」
服を引っ張って胸元を確かめる。
「うわ。なんだこれ」
佐倉 光
どうなっているのかのぞき込む。
KP
奇妙な印が刻まれた首筋から、心臓の位置に向かって、触手を伸ばすように赤い痣がついていた。
牧志 浩太
「痛くはないな、これがその代償ってやつなのか?」
佐倉 光
「くそ……
悪い、牧志。俺のせいだ。
ロクなものじゃないのは確かだろうな……調べないと」
牧志 浩太
「俺も手伝うよ。
佐倉さんが俺を帰してくれたんだから、俺が帰ってくるのに、俺が代償を払ったようなものだしな」
佐倉 光
「……なるほど、そういう考え方もあるのか?
にしたってお前になんかあったら、俺が覚悟決めて死んだりロボになった意味、ないだろ。
まあ、二人で調べた方がいいのは、確かだ」
牧志 浩太
「だろ。それこそ前に佐倉さんが言ってくれたことじゃないけど、何か違った目線から分かることがあるかもしれないし」
佐倉 光
「ったく、あの『奥さん』って何だったんだよマジで……」
牧志 浩太
「あれ、結局何だったんだろうな……。そもそも、爺ちゃんは結局どうやって帰ってきたんだ?」
佐倉 光
「あの野郎なら知ってたんだろうけどな」
牧志 浩太
「話してくれそうな感じでもなかったしな」
奥さん
佐倉 光
ほんと奥さんなんだったのよw
KP
あの辺については「ニャル様が生きた人間の心臓を求めるように、男をそそのかした」ってことらしいです。たぶんああなるのを見たかっただけなんじゃないかなあ……。
辻が機械の妻を作った時点では、普通の人間型の機械だったと思います。
佐倉 光
顔がバカァってあいたのは完全に勝手に動いた感じなんだね。
まあそうよね。
今回のニャル様は悪趣味なチクタク様だった。
KP
今回のニャル様は悪趣味MAXでしたね。

あ、このシナリオ「自分の遊びやすいようにいくらでも改変してもいいよ」とあったので、結構根幹に近い所へ改変をかけています。あとで改変ポイント話します。
佐倉 光
あ、そうなんだ。
最後の契約は追加かなと思ったけど。
KP
最後の契約は完全追加ですが、一か所大きくルート追加した箇所がありまして。
佐倉 光
ほうほう

佐倉 光
「ま、今日は帰ろうぜ。調査は明日から……
……明日仕事か……誰かに代わって貰えないかな」
牧志 浩太
「あー……。そっか、明日から仕事って言ってたな」
佐倉 光
「……よし、今からオンラインで調査だ。できる限り役に立ちそうなのリストアップするから、牧志はそれの実調査頼むわ。
俺は仕事の方何とかならないか相談してみるから」
牧志 浩太
「分かった。今度は佐倉さんがリストアップして、俺が実調査か。この間、レポートで走り回った経験が活きるな」
佐倉 光
「頼むぜ」
近くの自販機で水買って飲もう。
「何にする?」
自販機を指す。
牧志 浩太
「お、じゃあ麦茶」
佐倉 光
麦茶買って渡す。
牧志 浩太
「ありがと。あー、結構喉渇いてる、それもそうだよな……。結局、一滴も水飲んでなかったし」
佐倉 光
「っはー、水うめぇ!」
ただの水でも、牧志と飲めて良かった、なんて思うのだ。
牧志 浩太
こうやって二人で自動販売機の前で笑う、そんな時間が戻ってきたことに、今はなによりも喜びを覚えた。


「機械仕掛けの街」
 END.1にて、両生還。



KP
お疲れ様でした!
佐倉 光
ありがとうございました!
KP
ありがとうございました!
佐倉 光
公園に何があったかも気になるね?
このシナリオ、最初に地図を見て丸がついているところに行ったらそのまま終わっちゃうところだったのかな。
今回は《マッパー》使ったから「図書館行こうぜ」ってなったけどね。
KP
あ、その前にまずは報酬。
佐倉 光
はーい
牧志の大ダメージなんとかなるかな?
報酬
KP
まず生還で二人とも1D6+1D4。
牧志だけ、「殺した筈の人と無事に戻ってきた」+1D6です。
牧志 浩太
1d6+1d6+1d4 (1D6+1D6+1D4) > 5[5]+2[2]+2[2] > 9
[ 牧志 浩太 ] SAN : 61 → 70
佐倉 光
:SAN+1d6+1d4
1d6+1d4 (1D6+1D4) > 4[4]+3[3] > 7
[ 佐倉 光 ] SAN : 83 → 90
KP
佐倉さんのSANがすごい! よし削ろう
佐倉 光
やめれw
KP
まあそれはループシナリオで削れると期待して。
佐倉 光
というか90まで上がれるかな? ちょっと確認。
KP
あ、そうか〈神話〉技能。
佐倉 光
最大値99でしたよね?
KP
最大値は99-〈神話〉技能ですね。
佐倉 光
そうすると88だな。
[ 佐倉 光 ] SAN : 90 → 88
KP
〈神話〉技能で上付きしちゃうとはなぁ。つまり佐倉くんの〈神話〉技能を増やせばいいんですね。
佐倉 光
そうなるね。
KP
(ニャル様の契約について調べたら普通に増えそう)
佐倉 光
増えそうだな……

解説
KP
さて、では先程の解説。
佐倉 光
はーい
KP
・最初に地図見て丸がついているところに行ったら?
辻はあなたたちを監視しながら、牧志の機械化が進むのを待っていました。機械化が進む前に家に行っても何も起きません。
佐倉 光
なるほど。
人間の心臓をスムーズに手放してもらえる頃合いを待ってるわけだ。
KP
YES。
最初からあなたたちを騙して、生きた心臓を奪うつもりだったんですね。
佐倉 光
帰してもらえるっていうのも嘘かな?
KP
YES。
佐倉 光
あらら。賭に負けるところだった。
牧志の爺ちゃんが帰れたのはあの人の介入の結果だろうしね。
KP
YES。牧志のお爺ちゃんが帰れたのは、あの人の介入の結果です。ニャル様の「取られた」発言は牧志自身のことでもありますが、お爺ちゃんのこともちょっと含んでます。
今回、ニャル様は牧志があの人の縁に絡めとられつつあるので、取り戻すために牧志とあなたをここに誘い込み、面白いもの見ついでに追い込みました。
佐倉 光
なるほど……いい迷惑だ。
KP
二度連続で取られるの悔しいし取り返しちゃろう~ってノリですね。大迷惑。
あと佐倉くんの様子を面白がりに来たのもあります。大迷惑。
佐倉 光
俺巻き込まれただけだと思ってたら当事者だった!
KP
佐倉くんは佐倉くんでニャル様との縁が多重に絡みついていますからね。
佐倉 光
契約したのも関わったのもクソニャルじゃないやつとの縁だったはずなのに、クソニャルが構ってくる!?
KP
彼と会うのは「三度目」、ひとつは並行世界の話なんだよなぁ。
別の化身との縁でも自分の縁だよね!(大迷惑)
佐倉 光
俺には関係ありませんけど!?
KP
並行世界の縁でも君の縁だよね!(大迷惑)
佐倉 光
なにこれたち悪い。
助けて皇津様。
佐倉 光
そんなノリで関わられたら、縁でがんじがらめなんだよ!?
KP
なんですよね。大迷惑……!
KP
でもニャル様と皇津様の間で取ったり取られたりしても結局とばっちりを受けるという。大迷惑。
佐倉 光
関わるの三度目ってbarの話かなと思ったら平行世界の話だったぁ
KP
そういえばbarもあったし、そうなると四度目……ですね!
佐倉 光
関わりすぎだわ。
佐倉のニャルラトホテプの化身との縁。
真・女神転生の時の彼らに協力してくれた神父。
真・女神転生の時に佐倉で派内メンバーを覚醒させたり事件を裏で煽ったりしていたYouTuberチクタクマン
この佐倉ではない佐倉がニャルラトホテプの化身に死者復活を願って代償に契約の印(右手指の傷)を付けられている

KP
あ、そうだ。
・公園は何があったの?
機械の遊具があって機械の子供が遊んでいるのと、あとは〈目星〉でナイフが見つかりました。マイナスドライバーで抉らなくても済んだかもしれないくらい。
佐倉 光
大して変わらないし落ちてた道具で抉られるの嫌だよ!?
KP
それはそう! ぶっちゃけ時間経過ポイントなだけですね。
佐倉 光
なるほどー
KP
一応、心臓が機械化してしまう前に辻が声をかけ(心臓回収)に来るので、完全に機械化してしまってゲームオーバーということにはなりませんでした。
佐倉 光
あ、そうなんだ。
だから監視されてたんだな。
KP
そうそう。
佐倉 光
最初に○ついた家に行って何もなかったら、もう一度行こうって思わない人もいそうだなと思った。
KP
それならそれで、辻がほどよいところで善良な通行人の顔して回収しに来るだけですね。
佐倉 光
牧志君多分侵蝕1出しまくってたよね。
KP
ですねー、《SANチェック》結構強かった。あ、そうだ、《SANチェック》じゃない方の1D4について、改変ポイント絡むので解説。
佐倉 光
あ、あれ改変なんだ?
KP
あれは、元シナリオにあるんですが内容を改変しています。
佐倉 光
ふむふむ
COMP使わせていただいてありがとうございました。
役に立たなくてもたのしい。
KP
いえいえ、COMP活用したり悪魔についてコメントしたり、メガテンらしいアクションいっぱいでKPも楽しかったです。
召喚さえさせなければなんとかなるなと思いました。
佐倉 光
まったくだな。
召喚さえ封じればあとは普通の情報収集機能、スマホやPCで代用できるもの程度だから。
KP
そうそう。神格に対して《アナライズ》をかけた場合も、「??」「内容を読み取れない」「Failed」等出してしまえばいいですしね。レベル差あるし、そもそもメガテン世界の「異界」で出てくるものと同じ「悪魔」かどうかも分かりはしない。
佐倉 光
《アナライズ》は異変に気付きやすくなるから、RPもしやすくて助かるなぁ。
KP
むしろ《アナライズ》あっての演出もできて、これは楽しいなと。
なお、機械化が最終段階まで進んだ牧志に《アナライズ》をかけていたら、「《アナライズ》対象から外れかける」現象が起きていました。完全には外れないんだけど、照準が定まりにくくなる。
佐倉 光
それは……怖い!
KP
SANチェック》盛ったり《アナライズ》/《マッパー》対応したり細かい改変ポイントはいっぱいあるので、大きめの改変ポイント一覧。
 ・導入の食事シーンはシナリオにはありません。
 ・牧志の機械化が進んだ時の異変の内容を変更しています。
 ・佐倉くんの心臓抉るルートは元シナリオにはありません。
 ・最後の契約/代償は元シナリオにはありません。
佐倉 光
まあ食事シーンは普通に追加だろうと思った。
俺心臓抉られなくて良かったんかい。
KP
あれ、牧志の心臓を抉るルートだけなんです、元シナリオ。
佐倉 光
問答無用で牧志のが取られる?
それは意外。
KP
そうそう。でも流れが自然だったのと、ここで無理やりルート変更すると不自然になること、佐倉くんの選択を活かしたい思いから、ルートを生やしました。
佐倉 光
ああー、俺の使えって発言したからか。
KP
そうそう。あれは一連の発言が本当にかっこよくて、流れが綺麗で活かしたかったんですよ。
佐倉 光
当然「機械になりかけてるんだからイージャン心臓おくれよ」っていうのには反発すべきだろうと思って
胸まで硬くなってるなら、心臓人間のままか分かんねぇだろ、と佐倉は考えるだろうと思って
より確実な方を提示するなら自分のだよね! KPC選んだら「人間の心臓じゃねーからダメだったわ」って言われる可能性があると思った。
KP
本当に「より確実な方を」選んだんですね。
佐倉 光
そう、約束が守られるならそれで二人とも帰れる可能性があったからね。
KP
でも結果は大迷惑で、佐倉くん本当にごめん。
佐倉 光
なんとなく『うしおととら』の、人間の心臓を巻き付けて動くからくり人形を思い出したなぁ。
佐倉 光
ゆ゛る゛さ゛ん゛
じゃあ、牧志の心臓を佐倉がえぐる筈だったんだなぁ。
KP
そうなんですよ。
あ、そこも大きめ改変ポイントだ。あそこで心臓を取られていたら機械しか残らないので、牧志はあそこから動かなくなっていました。
佐倉 光
お、そうなのか
動力入れてあげるよ、も、もしかして改変?
KP
です。>入れてあげるよも改変
人間の肉体に機械の動力を突っ込まれる佐倉くんの描写も改変ポイントというか盛ったとこですね。
佐倉 光
すごい自然だったなぁ。
あれ取られっぱなしだったら心臓差し出せたか分かんない。
KP
実はそこが改変ポイントその2と絡んでまして。
牧志の機械化が進んだ時の異変ですが、元々は「機械化が進むにしたがって喜怒哀楽をひとつずつ失っていき、最後はPCの言葉に応答するだけの機械になる」だったんですね。

これが前にやったシナリオと盛大にかぶるので、
「感情・意識はそのまま存在するが、外に表せなくなる」に改変しました。
佐倉 光
なるほどなーーーー
外に出せない、の方が辛いかも。
KP
機械のまま牧志があの世界に残されていたら、「意識はそのままあるのに、決まった動きしかできない」存在になっていたでしょう。
佐倉 光
ああ、なるほど。あの世界の一部になるはずだったんだ。
KP
そうそう。ラストで佐倉くんが帰ることを選んでいたら、佐倉くんは牧志に対する感情だけをぼんやり覚えたまま、牧志のことを忘れてしまっていました。
そして、牧志はあの世界の一部になる。
佐倉 光
牧志が色々抜け落ちちゃってて、帰ったら元に戻れる保証がなかったら、同じ選択ができたか分からないなぁ。
その上で自分が帰ることを選ばないのは、本当にただの自己犠牲になってしまうからね。
KP
なんですよね。
機械になって心臓も抜かれ『死んだ』KPCだけを元の世界に戻す判断をするのは、PL視点で自己犠牲が正解だと確信しており、PCにそれをうまく反映する事ができないと難しいのではないかな、という気がしますね!
KP
「自己犠牲をしない」佐倉くんがあの選択を取ったか分からなかったので、「ロストするかも」って言ってました。
佐倉 光
意味のない自己犠牲はしないよ!
理屈で自分を誤魔化せるなら、今回みたいな選択もするよ!
そう考えればナイス改変!!
KP
「自分が犠牲になることを選ぶのが生存ルート」は美しいお話にはなるけど、PCにさせる選択としては&ゲーム的にはちょっと反則気味な所があるので、本当にどうなるかわかんなくて、ちょっと後ろの方にさせてもらいました。
改変とうまく組み合ったようでよかった!
佐倉 光
キャラクターによっては絶対にとれない道になってしまうからなぁ。
最後にあの世界に残る選択ができたのは、「この世界に興味がなくはない」「動ける・自己が残って考えられるなら、ここでも少しは楽しめるかも知れない」「もともと独りは慣れている」「でも牧志は多分ここで暮らしていけない」と自分を納得させる理由があったからですねー。
KP
なんですよね。あ、一応。ラストの選択で、「心も感情も元に戻してあげるよ」とは言います、ニャル様。それでも佐倉くんは自己犠牲をしないよなぁ、とずっと思ってた。ラストシーンの展開、佐倉くんが自分を納得させようとする流れが本当に綺麗で好きです。
佐倉 光
そらそうよ。まだ見たい物いっぱいあるもん。
自覚していたかは怪しいけど自己犠牲したよ。
KP
それを思うと、序盤ではなくこのタイミングでやったのも丁度よかったかな、と思います。
佐倉 光
序盤なら見捨てていた可能性があるね!
KP
そうそう。ここでやったからこそあの展開につながった。
「いくらでも改変していい」というお言葉がついていたので、二人があくまで抵抗して第三の選択肢を生やすなら、そしてそれが納得のいく美しいものなら、改変END生やそう、とも思っていました。
佐倉 光
PLはこれ自己犠牲が正解だろ? って思ってたけど、佐倉に納得させるのが大変だったのと……
佐倉が機械の街に残るのに乗り気になりすぎて、「あ、こいつほっといていいわ」ってニャルに思われたらどうしようって思いながらやってた。
KP
ふふふ ニャル様はちゃんと自覚は無くても自己犠牲と自分を納得させようとする心があるのを見抜いてて、「あの佐倉が自己犠牲するのおもれ~」とか言ってたと思います いや ごめん佐倉くん
大迷惑なのはニャル様であってKPではないのに思わず謝って…… しまう!
佐倉 光
いいのよKPはむしろ救ってくれたわ。
ニャルは許さん。
KP
ありがとうございます あ、そうだ、無事? 両生還したわけですけど、次回なにしましょう?
佐倉 光
あ、そうですねー
あっ。もう一時半だ!?
KP
ってほんとだ!?
佐倉 光
今ニキから声かけられて時計見てびっくりした。
KP
その話はDiscordでしましょうか ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございましたー!


ひとこと
KP
真・女神転生出身の悪魔召喚師PC、ついにCOMPの使用を許される!
魔界へのアクセス? 反魂香? CoCで使えるんですかぁ?


【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 3

COMPのことを覚えていたのは、このためだったのか……!

【置】CoC『midnight pool』 佐倉&牧志 1

「僕の仕事、何だったんですか?」
「悪魔退治屋。報酬の多寡は分捕った金次第」
「え? 悪魔って言った? 退治? ぶんどるってそれ強盗では?」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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真・女神転生 TRPG 魔都東京20XX 第一部『魔都・渋谷異聞』 1

今、この地に一つの変化が訪れようとしていた。混沌の街に、それを知らせる鶏鳴が響く―――

CoC『死にたがり電車』羽生1

事実は小説より『とびきり』奇妙なものなのだ。とはいえここまで『とびきり』のものにはお目にかかったことがないが

【置】CoC『midnight pool』 佐倉&牧志 1

「僕の仕事、何だったんですか?」
「悪魔退治屋。報酬の多寡は分捕った金次第」
「え? 悪魔って言った? 退治? ぶんどるってそれ強盗では?」