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こちらには
『Look,LOOK Everyone!』のネタバレがあります。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
とある事件より、覚えのない傷と体中の痛みに悩まされている。
巻き込まれ体質らしい。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。
最近の事件で佐倉の死体を延々と世話し続けるなどという凄まじい体験をしており、その後遺症が深く心に刻まれてしまっている。


とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。最近になって急に一般的な生活を送り始めたので、外界への興味が強い。




Call of Cthulhu 6th

シナリオ集
 「タイマン限 Part.2」収録

「Look, LOOK Everyone!」

せばた様 作


曲がり角でぶつかった探索者とKPC。
気がつくと、KPCが探索者の服に入り込んでいた。

二人は元に戻るべく、一人と一枚で街の中を駆け回ることになる。

テーマ:ペアルック
プレイ人数:1人
想定プレイ時間:1時間~
推奨技能:なし

KP
牧志が大いにダメージ受けているので、シナリオに入る前にしばらく、あれからの日常をオープニングとして挟もうと思います。
佐倉 光
やったね佐倉の心音聴き放題だ
KP
やったぜ よろしくお願いします。
佐倉 光
宜しくお願いしまーす!

KP
キャンプ場へ行き、買い物に行こうとして事故に遭ったらしい。
あの出来事について、あなたが覚えているのはその程度だ。
それから、気がついたら変な家にいたことくらいか。

あの時何があったのか、牧志は語らない。
きっと事故で生死の境を彷徨ったのだろうとくらいは思えたが、それにしても牧志はひどく憔悴していた。

暫くの入院と通院の後、牧志はようやく大学へ通えるようになったが、それでも一日に二度のメッセージが四度に増えている。

その事故のせいなのか、今もまだ時折身体の節々がひどく痛んだ。

開幕【CON】×5どうぞ。
あなたは今、牧志と一緒に自宅にいる所です。
佐倉 光
1d100 30 【CON】 Sasa BOT 1d100→42→失敗
佐倉 光
今日は頭痛がひどい。体の節々が痛む。
あの日以来だ。消えない傷の影響か。
HP 10→9
佐倉 光
これやっぱり〈応急手当〉(《ディア》で治しちゃダメなのかなぁ?
あの湿布で何とかならないかなw
KP
書いてないけど痛みですしねぇ。
無理そうな気がします。
牧志 浩太
「佐倉さん、大丈夫? 痛そうだな」
朝食を作りながら、牧志があなたに呼びかける。
そういえば牧志の口調も、あれから暫く変だった。

佐倉さん、朝は目玉焼きでいい?
佐倉さん、朝食にしようか。
佐倉さん、風呂沸かすから、沸いたら入ろうか。
佐倉さん、歯磨きしようか。

最近ようやく治ってきたが、あなたの意思を聞かない時があったのだ。
まるで何もできない病人にするように、やさしくあなたに宣言しようとする時が。
佐倉 光
「お、おう。目玉焼きは嬉しいけどさ」
たまに襲ってくる酷い痛みと彼の言動を思えば、自分が余程異様な状態にあったのだろうと察せられた。
それにしたって変だけど。
だって3日だぞ? 牧志の態度がそれくらいでそんな変わったりするか?
佐倉 光
……いやー、してたかも。
佐倉 光
「いやそこまで色々してくれなくてもいいぜ? 飯は気が向いたら食うし」
佐倉 光
「風呂涌かすくらい俺がやるって。洗濯もやっとくから大丈夫」
佐倉 光
「いや歯磨きは自分でやるし。歯磨きならシローにしてやってくれよ」
彼の『気遣い』を否定はせずやんわりと断り続ける日々がしばらく続いた……。
なんでシローじゃなくて俺の世話焼くんだよ。ジジィになった気分だ。
KP
あなたが答える度に、はっと気づいたように牧志はあなたの眼を見た。
牧志 浩太
「あ……、ごめん。つい、癖で」

そういえば、眠ろうとしてあなたの部屋に入ってきた日があった。
シローの分を忘れて二人分の食事を作る日があった。

うっかりソファで寝落ちた時、あなたをベッドまで運ぶ腕が妙に手慣れていた。

まるで、ずっとそうしてきたかのように。

玄関の扉を開けようとする時、いつもびくりと手を震わせるのはなぜだろうか。
佐倉 光
※ひどいトラウマついちゃった……
KP
※あんな目に遭ったらそりゃトラウマも癖もつくかなって
前回、『しんでなんかないよ』で牧志は長い間佐倉の死体を『生きているもの』として扱わなければならず、それはもう酷い目に遭ったのだが、佐倉はそれを知らない。
佐倉 光
俺、今度は子供じゃなくてめちゃくちゃ年取ってたとか、そんな状態だったんだろうな。
それにしても玄関怖がったり一緒に寝ようとするのはよく分からないけど。徘徊防止かなんかか?

それに、これほどうっかりが起きるほどといえば、完全に習慣付いてたんだ。
やたら俺の心臓の音聴きたがるってのは……心音が異常だったってことか?

と、推理を重ねて何となく自分になにが起きて、牧志がどう過ごしていたかを察した。(さすがに自分が死んでいたとまでは思っていないけど)

それからは積極的に自分が元気にしているアピールをして、牧志に今まで以上に声をかけるように心がけた。
佐倉 光
……一緒に寝ようとするのはいまだに意味が分からないが。
KP
眠る彼から、包帯を換えなきゃ、という譫言がたまに聞こえた。

あなたの声を聴き、彼がそれに返す。他愛ないやりとりを何度も、何度も続ける。
そうして次第に、次第に、彼からあなたを動かないものとして扱おうとするような癖が抜けていった。

自宅にいる時彼が浮かべる、どこか透明な寂しそうな表情が、和らいでいくのと共に。

そんなある日のことだった。

KP
彼は大学に行き、あなたは朝にシローの世話をしつつ、昼頃から仕事。

仕事はつつがなく終わり、今は夕方。
仕事が終わったら牧志と合流して飯でも、という約束のため、あなたは街を歩いていた。
佐倉 光
伸びをしてのんびりと町を歩く。

COMPが壊れないのは本当に助かる。
先日は悪魔に殴られそうになった時咄嗟に左腕を出したら盾みたいに弾いた。
……まあもう一回できる気はしないけど。俺体術とかやってないし。

今日の仕事はそんなに難しい物じゃなかった。むしろもっと刺激が欲しいくらいだ。
ああ、何か面白いことでも起きないだろうか。
欠伸をしながら歩いていた。
COMPが壊れない……とある事件の後に《物理無効》がついた。COMPに。本人につけば良かったね。
KP
欠伸をしながら曲がり角を曲がった所で、誰かにぶつかった。
牧志 浩太
「あっ」
KP
その声で牧志と分かった直後、黄色い閃光があなたの視界を焼いた。

ガチャン。
閃光の中で何かが落ちる音がして。

光が収まると、そこに牧志はいなかった。
彼のジャケットとベルトポーチだけが、そこに落ちていた。
KP
※佐倉さんはいつものパーカー姿ですか?
佐倉 光
パーカーですね。シャツの方が良ければ前開けときますけど。
佐倉 光
「えっ、牧……」
目の前で何かが落ちたのに驚いて立ち止まる。
牧志だったよな? 今の牧志だったよな?
荷物落ちてるし?
佐倉 光
「……志?」
慌てて荷物を拾い上げる。
KP
荷物を拾い上げていると、あなたのパーカーが左右に引っ張られるような感覚がした。
そちらの方向を見ても、誰もいない。
KP
パーカーだと牧志の顔の真ん中にジッパー入るの? 開けたらどうなるの? 面白い。
という理由によりパーカーになりました。
牧志 浩太
「佐倉さん? 佐倉さん? え、どこ行ったんだ?」

牧志の慌てたような声が聞こえる。
……あなたの胸のあたりから。
佐倉 光
「うわ!?」
いきなり動き出した服に驚いてよろけて地面に手をつく。
胸んとこに何かがいて引っ張ってる?
何か?
いやどう考えても牧志の声だけど。

慌てて胸のあたりに目を落としつつ手で触る。
牧志 浩太
「うわ!?」
KP
あなたがよろけると、同時に牧志の驚いた声が聞こえた。
あなたの胸で、何かがもがくように動く。

胸のあたりに手を伸ばせば、無地のはずのパーカーに、何か薄く盛りあがったアップリケのような感触がある。

そして、そこに目を落とすと……、

そこには牧志の顔を描いた大きな柄があった。
その柄は口を動かし声を上げ、表情を変えては自分の張りついた布を引っ張っていた。

……何だこれ。

二人とも《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
牧志 浩太
1d100 53 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→74→失敗
1d3 Sasa BOT 1d3→2
SAN 53 →51
佐倉 光
1d100 75 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→48→成功
SAN 75→74
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「お前そんな所で何やってんの?」

色々すっ飛んでついそんな馬鹿なことを問いかけてしまった。
牧志 浩太
「……俺どうなってるんだ? 
何だか生暖かいし、動けないし、ずっと心臓の音が聞こえてくるんだけど」
牧志 浩太
「頭の中から心臓の音がするし、頭のてっぺんあたりから佐倉さんの声がする、何だこれ?」
佐倉 光
「えーと……」
なんて説明したものか考えて、結局見たまんまを伝える。
佐倉 光
「お前、俺の服のプリントみたいになってる」
牧志 浩太
「へ?」
牧志は驚いてまた辺りを見回そうとし、それから一拍たっぷり沈黙があって。

自分の足元を見下ろしたような気配があって。
牧志 浩太
「…………佐倉さんの脚が見える……」

呆然と呟いた。
佐倉 光
「そうか……」
なんといったものか。

また変なことになってる……
にしても、起きることの深刻度? 落差? 大きすぎだろ。
いや、今回のも充分色々深刻だけど。
KP
そんなあなた達の前に、ひらりと一枚紙が落ちてきた。
本編見る!
佐倉 光
慌てて紙をキャッチした。
クリーニング店 『洗うんだ村』 開店!
どんな衣類でも新品同様の状態に戻します! 今なら全コース10%OFF!

※このチラシを見て不思議なことが起こった場合は、チラシ持参の上当店までお越しください。粗品を進呈いたします。
牧志 浩太
「なんだこの見るからに変なチラシ」
佐倉 光
「なんだこれ、どこから?」
落ちてきた、っておかしくないか?
佐倉 光
「つーか変なこと起きる前提?」

チラシが降ってくるようなチラシ撒いてる窓や、そんな物が上から降ってきそうな風は吹いていただろうか?
KP
〈目星〉〈オカルト〉〈クトゥルフ神話〉のいずれかで判定。同一情報。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→77→成功
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→14→成功
KP
確かに今は少し風が吹いている。その風に吹かれて漂っていた、のかもしれないが。

……が。
クリーニング店のチラシにうっすらと魔法陣のような模様が印刷されているのは、明らかに変だ。
牧志 浩太
「起きる前提だよな、この書き方。
というか…… 明らかに変な仕掛けされてないか?」
佐倉 光
「クソ怪しいな、行ってみるか」
これはまた、俺達をこういう状況に突っ込んで愉しんでいる奴らからのヒントだろう、と思えた。

牧志の荷物を拾って一緒に肩にかける。
佐倉 光
「……ところで」
自分の服の裾を持って引っ張り、のぞき込む。
佐倉 光
「どーゆー状況なんだよこれ」
牧志の顔の所触ってみる。凹んだりしてる? 布地の穴の部分とかどうなってるんだ?
牧志 浩太
「わかんな、っは、ちょ、耳の穴くすぐるのやめて、くすぐったい」
触れると牧志がくすぐったそうにする。
KP
手触りは全く何の変哲もないアップリケのそれで、パーカーの前全体に大きく前を向いた牧志の顔が描かれているように見える。

あなたが見ている前で、その顔の眼や口が動いた。

大きなアップリケを刺繍で縫い止めたつくりのもので、刺繍糸の部分は少し盛り上がっている。
布地の穴の部分には合わせて穴が開けられていて、牧志の顔に穴が開いているように見える。少し不気味だ。

……あなたはふと気づく。
このアップリケ、パーカーの真ん中を跨いでいる。

牧志の顔の真ん中にジッパーが走っているのだ。
まったく、これをつけた誰かはいまいちセンスが足りなかったらしい。
佐倉 光
「……」
これ開けたらどうなっちゃうんだろう。
脱いだら?
あっ。試したい。

ジッパーに手をかけて、そーっと引き下ろす。頭のギリギリまで。
KP
牧志の頭の上、ぎりぎりの位置までジッパーが迫る。
牧志 浩太
「……佐倉さん、何かしようとしてる?」
KP
牧志は何かが迫ってきていることに気づいているようだが、それが何かは分からないらしい。
佐倉 光
「ジッパー開けてみようかなー、なーんて。脱げた方が色々便利だし?」
よーし待て。このまま開けたら牧志の顔は真っ二つなワケだろ?

だけど今はあくまで印刷されているだけなワケだし、布地に沿って穴だらけになってんだ。
今更ジッパー開いたからって別に印刷が傷ついたりしないわけだろ?
それなら開けたって多分物理的には問題ないよな。
……絶対大丈夫とは言い切れないけど。

そーっと、注意深く髪の毛の所まで降ろしてみる。頭に達しそうな所までは降ろさない。
降ろしつつ裏確認しよ。
牧志 浩太
「え、俺の顔そんなになってるのか? 
ひぇ、頭の上がぞわぞわする」
KP
裏側を確認すると、血がついたり髪の毛が切れたりなどということはなく、見慣れた裏地が見える。
佐倉 光
怖い。怖いが。開けたらどうなるか知りたい。
開けてもたぶん物理的には大丈夫だから……
ちょっぴり降ろしてみる。
KP
その瞬間牧志は痛みを覚悟するように、ぐっと目を閉じた。
ジッパーが牧志の額に迫り、肌を割った。

血や悲鳴が迸るようなことはなかった。
牧志 浩太
「ひぇ」
牧志が呆気に取られたような、状況を理解しがたいような声を上げた。
佐倉 光
「どうした!?」
慌ててジッパーを上げる。
牧志 浩太
「い、いや、大丈夫、痛くはなかったんだけど」
牧志 浩太
「痛くないのに、頭がぱかっと開いたような気がしたから、驚いて」
佐倉 光
開いた感覚があったってことは大丈夫かー。
もっかいそーっと降ろしてみる。
あれ、これ視界おかしくならない?
佐倉 光
※ど根性ガエルなんて佐倉は知らない。
牧志 浩太
「ひええぇ」
KP
牧志の震える声とともに、ジッパーが、その上にある牧志の顔が開いていく。

やがて、あなたのパーカーはいつものように二つに開いた。
牧志 浩太
「な、何だこれ、頭の中に風が入ってくる……。
佐倉さん、今、俺どうなってる?
視界が何だかずれて見えるんだけど……」
KP
痛みなどは感じていないようだった。ただ異様な感覚のせいか、状況を把握しようと牧志の眼が布の中でうろうろ動く。
佐倉 光
「えーとな。落ち着いて言葉通り受け取って欲しいんだけど。
お前今、俺のパーカーのど真ん中に印刷されてる。

で、俺今パーカー開けた。
お前さ、俺のパーカーのど真ん中に印刷されてるから、顔の真ん中切れてんだよ。
あーだからつまり、分かるだろ? 布が垂れて左右ちょいずれてんだ、今」
牧志 浩太
「……」
牧志はゆっくりと片目を閉じて、
牧志 浩太
「……」
そして開いた。
牧志 浩太
「確かに、片目ずつ視界がずれてる……。
それに、さっきから頭の中に風が入ってくるんだ。
真っ二つになって左右がずれてる、って言われたら、そんな感じだ。

佐倉さんのパーカーにくっついちゃってるんだな、今。本当に」
佐倉 光
興味に任せて迂闊な行動を取ってしまった。
考えてみれば、物理的に問題なくても害があるかも知れなかったな。
ちょっと反省しつつオープンッ!

脱いだらまずいかなこれ。体とどこかくっついてたりすんのか?
つーか首から下どうなってんの?
裾持ってぺらぺらしつつ観察。
KP
牧志の首から下は見当たらない。
あなたの身体にどこかがくっついているということもなく、本当にただパーカーにアップリケが追加されただけのようにしか見えない。
牧志 浩太
「わわわ、頭が片方だけ揺れる」
佐倉 光
「うーん、服だな」
顔って目茶苦茶リアルな感じなのかな。それともデフォルメされてる?
KP
イラスト風だ。
メタいことを言うと立ち絵のような感じ。

あなたのパーカーがアニメグッズかスカジャンにでもなってしまったようでもある。
佐倉 光
……まあこれなら着用したままでも……いいか。
下手に脱いでどこかに行かれても困るからな。
正直牧志には悪いが、ヘンだけど。

ジッパーを閉めて、さっきのチラシをよく見る。場所は近く?
牧志 浩太
ジッパーを閉めると、牧志が少し安堵したような息を洩らした。
やっぱり頭が開いている感触は落ち着かないらしい。

KP
場所はすぐ近くだ。
居抜き店舗を利用しているようで、外観は古びている。
そこに取って付けたような『洗うんだ村』の看板が胡散臭さを助長している。
佐倉 光
「元凶ここにあるのか? それともただの偶然か?」
そとから店をジロジロと観察する。
変な説明書いてないか、変な店員いないか?
KP
外から見た感じでは、ただのクリーニング店だ。
「ダウンジャケット20%オフ!」
「ワイシャツお急ぎコース」
「スニーカーのお洗濯はいかがですか」などの広告が並んでいる。

カウンターに店員の姿は見当たらない。
牧志 浩太
「見た感じ普通の店だな……」
牧志が身構えようとしたのか、パーカーの布地が少し張り詰める。
佐倉 光
「ただ洗い落とされても困るからな、まずは相談……」
くそ、ふつうの店にしか見えねぇ。
中に入ってみよう。
KP
室内に入ると、カランカランとドアベルの音がした。

次の瞬間、奥のSTAFF ONLYの扉が開き、そこから茶色い染みのついたヨレヨレの白衣を着た、ぼさぼさの白髪に白髭の老人が出てくる。

丸眼鏡を引っ掛けたその容貌は、ザ・博士といった趣だ。

「おお! おお! おお~!
やっと成功者第一号が来たか!
服をよく見せてくれ!

よしよし、きちんと転移できているな!
苦節140年、ようやく苦労が実ったわい!」

老人はあなたが反応する間もなく、カウンターの扉をゲシッと蹴り開けるとこちらに駆け寄り、あなたのパーカーを掴んで頬ずりをする。
牧志 浩太
「うわ、うわうわうわ」
佐倉 光
「おいやめろ!」
パーカーの前の部分を守るように身をひねる。
佐倉 光
「お前が犯人か! つか140年て! 人間じゃねぇのかよ! どこの悪魔だてめぇ!」
KP
「おおワシか? よくぞ聞いてくれたの。ワシは荒運田あらうんだ博士、またの名をDr. Arounderアラウンダー! 人間の肉体をああしてこうする研究を続けて140年、とうとう無機物に人間そのものを宿すことができた! 偉大!

あ、寿命かの?
魔術でチョチョイとこうしただけじゃ、気にするでない」
牧志 浩太
「いや気にするよそこ、そもそも偉大! じゃないし勝手にやるなよ!」
KP
「ん? ああそうじゃ、粗品。ほれ」
博士は『洗うんだ村』のロゴが入った薄っぺらいタオルをあなたに渡す。
牧志 浩太
「そうじゃない」
佐倉 光
「ふざけてんじゃねぇぞ」
座った目でたたみかける。
佐倉 光
「勝手なことしてんじゃねぇよ。戻せ。牧志と俺の服。
戻してくれたらむしろ聞かせろ研究について。
あとついでに寿命の延ばし方教えろ」
KP
博士はあなたの視線を気にした様子もない。

「む、ワシの助手になるかの? あれはワシ70才の時にようやく会得し……
おお、元に戻せとな? もったいないのう。そうじゃのう、それ着て実験してくれんか?
実験項目のリストを渡すから、全部やって結果を報告してくれたらそいつは外に出してやろう。

あ、他にも思いついた項目があれば実験大歓迎じゃぞ。結果はあればあるほどヨシじゃ。
日常的な着用に耐えうるかも確認したいんでの、その服を着たまま外出して実験してくれ。
方法は任せるぞい」

そう言って博士はあなたにリストを渡す。
☆実験項目リスト☆
・飲食できるか(生命の維持にかかわるので)
・水中に適応できるか(洗えないと服としてどうかと思うので)
・極端な寒暖差に適応できるか(どこにでも着ていけるか調べたいので)
・衝撃を受けた時どうなるか(すぐ死ぬと問題なので)
牧志 浩太
そのリストを見て牧志は顔をひきつらせた。
牧志 浩太
「……もしかしなくても俺、酷い目に遭う?」
佐倉 光
「……やらないと出してくれないらしい」
うーん、気の毒だな。
佐倉 光
「諦めろ……牧志」
牧志 浩太
「……お手柔らかに頼む」
先程のあなたの『試したい』気持ち満載の声音を思い出したのか、牧志は引きつった声でそう言った……。
KP
※PL向け情報※

このシナリオは服になった牧志といろいろしてドタバタするのがメインのシナリオです。

これ以外にも何をやってもいいので、好きに楽しんでください。
実験し放題だ!
佐倉 光
牧志くんかわいそう回二連発だった! 南無。
よぉぉぉぉし何からやろうかなー。
KP
そういえば! シリアスでもかわいそうギャグでもかわいそう。南無。

KP
実験開始だ!
なお、どこで実験しろ、いつまでに実験しろ等の指定はない。自由だ。
佐倉 光
「四つ目それで何かあったらどうしてくれるんだ?」
そんなことをブツブツつぶやきながら、ひとまず家に戻るか。
佐倉 光
誰かと遭遇したら面白いんじゃない? シローとか波照間とか。なんて無責任に思う中の人。
KP
おっいいですね。そうしよう。
今の時間帯を忘れていました。夕食にしようとしていた頃(19時頃かな)と思ってください。
佐倉 光
とりあえず家に戻ったらまず無難そうな食事の実験かなー。
佐倉 光
「布についてもそんな害のないヤツからいってみるか。
水? いや水って布に吸い込まれるよな。飲めるのか?」
牧志 浩太
「うーん、飲めなかったら困るな。なんとなく腹が減ったり喉が渇いてるような感覚はあるんだ」
KP
牧志は勝手に視界と身体が動くような感覚に戸惑いつつ、強制的にあなたと共に動く。

そうやって帰路についていると、
東浪見 空
「お、佐倉さん」

練習帰りなのか、スポーツバッグをかついだ東浪見と遭遇した。
牧志 浩太
驚いた顔のまま、牧志は思わず口をつぐむ。
佐倉 光
よりによって一番アカン奴と遭遇!
そして顔w
KP
一番面白そうだったので
佐倉 光
「よう、東浪……」
佐倉 光
「見るなっ」
慌てて腹に貼り付いてる顔を荷物で隠す。
牧志 浩太
わっぷ、と僅かな声が聞こえた。幸い、外に聞こえるほどの声ではないだろう。
東浪見 空
「? 珍しい感じの服着てんなーとは思ったけど、意図しない感じ?」
東浪見は不思議そうに隠された所を覗き込む。
佐倉 光
「あっこら駄目! 割と俺の沽券に関わるから!」
隙間から見慣れた感じの茶色の髪の毛が見えてるな。
KP
隠すのが間に合ったかどうか、【DEX】×5でがんばれ佐倉さん。
佐倉 光
1d100 45 見ちゃ駄目ー!  Sasa BOT 1d100→57→失敗
佐倉 光
「あっ」
荷物が落ちた。
東浪見 空
「沽券って何が? 牧志の顔だよな? それ」

東浪見は落ちた荷物に手を伸ばして拾ってくれようとする。
東浪見 空
「あるよなーカップに似顔絵描くやつとか。なに、何かの記念?」
佐倉 光
「ああ、そう、そうなんだよ!
ちょっとエンブレムつきのでも作ろうかと思ったら、間違って牧志の顔のデータ送っちゃってさー!
い、意外と似てるだろ!?」
佐倉 光
「ほら、今よくあんじゃん、AIに描かせるヤツ。
写真のデータ元にしてイラスト調にしてみたんだ」
悪魔会話のノリが戻ってきた。
東浪見 空
「似てる似てる! びっくり顔ってのがまた結構それっぽい。
いや、でもほんとに似てんなー。最近こんなん出来るんだな、うちのチームでもやろっかな」
へぇー、と面白そうに言いながら東浪見はあなたのパーカーに描かれた顔を見る。
牧志 浩太
「……」
KP
牧志は瞬きなどをしてしまわないように必死で我慢している。
なんだかぷるぷるしているのが伝わってくる。
佐倉 光
「剥がしちゃう前に牧志に見せたいからさ、急いでんだ。ごめん、また今度な!」
荷物回収して慌てて立ち去ろうとする。
東浪見 空
「そっか。おう、またなー!」
東浪見は手を振ってあなたを見送る。深入りしない男で助かった。
東浪見 空
「……なんで牧志のジャケット持ってたんだろ?」
佐倉 光
「ひぇー、あっぶねぇ、まさか東浪見に出くわすなんてな」
荷物で前を隠しつつ、すたこら走る。
牧志 浩太
「はあぁ、どうなるかと思った……、本当に、まさか東浪見と会うとは思わなかった」
KP
東浪見と別れてから、牧志が何度も瞬きをしつつ、大きく息をつく。
佐倉 光
「さすがにあいつの前でバレるわけにはいかねぇよな」
KP
幸いそれからは知り合いに遭遇することはなかった。
自宅へ戻ると、シローがこちらへ駆け寄ってくる気配がする。
佐倉 光
「ただいま、シロー」
……どうしよう。一応隠しとこうか。
KP
「おかえり! ……まきしは?」
隠すなら、シローは少し不安そうにあなたを見上げる。
この前の三日間のことが、まだ少し後を引いているのだ。
佐倉 光
「……ちょっと面倒なことにはなってる。けど心配はしなくていい。今のところ元気だから」
うーん、見せちゃうか?
うちでやるなら見せることになるよな。
佐倉 光
KP的に問題なければ見せよう。
KP
KP的には問題ありません。
佐倉 光
ではそーっと荷物外して服を見せる。
KP
「まきしのかお? 服にお絵かきしてある」
シローは不思議そうにあなたのパーカーを見ていたが、
牧志 浩太
「ただいま、シロー」
どうしていいか分からないような声で、おずおずと牧志が声を発すると。
KP
「まきしだ! おかえり! なんでぺったんこになってるの?」
嬉しそうに笑って、シローはあなたの服に手を伸ばした。
佐倉 光
「なんかまた変なことに巻き込まれちゃって。
牧志を服から出すために色々やってみなきゃいけないんだ」
思ったより普通に受け入れてしまったシローに安堵したような心配したような。
KP
「へんなの? なにかお手伝いする?」
シローはぺたぺたと服に触れ、刺繍糸の感触を味わっている。
牧志 浩太
「シローに変なこと教えちゃった気がするな」
佐倉 光
「うーん、まあ、頼むこともあるかも。
とりあえず見てて、牧志が変だと思ったら教えてくれ。苦しそうだとか、色々」
漠然とした指示だけど、こうとしか言いようがないな。
KP
「うん!」
シローは頷いて、好奇心に眼をまん丸にしながらあなた達の様子をじっと見ている。
牧志 浩太
牧志がちょっとやりづらそうに身じろぎしたのを感じる。

ひとこと
佐倉 光
別にど根性じゃなくていつもの怪奇現象でパーカーにくっついてしまった牧志。

牧志の『後遺症』がなかなか深刻な回。
今回で泣いて笑ってケンカして癒されるといいね。


【置】CoC『眼窩に祝福』 佐倉&牧志 3

「不定に陥ったら、しばらくプレイから外れることになるだろう、みたいな記載もある。」
「おかしいな? 不定に陥っているのに容赦なく巻き込まれてるんだけど。」

CoCキャットゥルフ『それは月明かりの下で』 ユキ 1

気のせいだなんて思えるほど、猫の第六感は鈍くはないのだ。

【置】CoC『満を持して今日も俺は眠れない』 佐倉&牧志 2

「えっ、そういうのもあるのか?」
「おっしゃあ御用だァ! 俺達の安眠のために観念しろ!」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoC『死にたがり電車』六甲 1

「電車を……、乗り間違えたんだ」

ゆうやけこやけ 第七話『さくら咲く頃』の一

ふゆのおわり

ニンジャスレイヤーTRPG『シャドウ・オーバー・ザ・ネオサイタマ』1

そりゃあ、指示もないのにトーチャリングしてるからじゃあないですかね……