こちらはオリジナルシナリオですが、『1100』瓶の中の君』『機械仕掛けの街』『合縁奇縁コミュニケイト』『静寂舞手』『AND/HAND』のネタバレがあります。
※他のシナリオにも言及していますが、明言されていないものなどは除外しています。


KP
シューッ、と、耳に突き刺さるような音がする。
あなたは小さな佐倉が入った瓶を手に、
表情の分からない黄色くキョロキョロ動く丸い目、てらてらと光る鱗、ひっきりなしに出し入れされる白っぽい舌の巨大な蛇が直立したような生き物と対峙していた。
どことなく血臭がするキッチンを出ようとしてあなたは、あなた方を捕えようとしていた蛇男と遭遇したのだ。
キッチンの出口は蛇男に塞がれ、逃げ場はない。
蛇の口が開き、突き刺さればあなたの胸など貫通してしまいそうな白く輝く牙が見えた。

だがあなたは不思議と落ち着いていた。

この程度の相手は拳さえ当てることができれば一撃で戦闘不能にできる自信があった。
この程度の相手の攻撃は簡単に避ける自信があった。
あなたは……紅だった。

あなたの体には戦える力がある。
人間よりも圧倒的に強い力を持ち、鉄柵をもねじ曲げることができる。
あなたはその力で世界を救った。
人間一人助けられないなどということがあるだろうか。
佐倉 光
「倒すしかないな」
KP
瓶の中で佐倉がつぶやくのが聞こえた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは瓶に閉じ込められている。
だが不思議と不安はなかった。
ここで出逢った青年は落ち着いていて、修羅場を潜ってきた雰囲気を漂わせていた。
何より波照間の仲間だという。
どうしてか彼なら何とかしてくれるという確信があった。

KP
何かをするなら 【POW】×5 で判定。
1D100 60 POW Sasa BOT

1D100→41→成功
「ああ。任せていてくれ」

一言落とした声は低かった。
瓶を庇い、一歩踏み出す。
大丈夫だ、という気負いすらなかった。

当然のように、この程度なら問題ない、と思っていた。
感情は落ち着いていた。
意思を読み取れない黄色い眼と向き合っても、恐れなるものはなかった。
KP
瓶イベント、実は昨日やろうかと思ってたんだけど、コラジン周りがあまりにもダイナミックでいい感じになったので後回しにされたんですよね。
タイムリーにも紅の話出た後になって良かった。
牧志 浩太
なるほど!!
ちょうど紅さんの話が出たあとだし、これは綺麗な流れになりましたね。
コラジンに取り込まれて、彼らと同化する展開もあったあとだし。
それにしても牧志の【POW】×5が強い。意地!!
(PLの紅さんへの思い入れも混入したかもしれないけど)
KP
敵だ。
あなたの態度を見て蛇は再度警戒音をあげる。
鞭のように長い尾がしなる。

殴るなら〈こぶし〉70で判定。
1D100 70 〈こぶし〉 Sasa BOT 1D100→60→成功

分厚い水槽のガラスを破壊した時のように。鉄柵をねじ曲げた時のように。──この背で紅の前に立った日のように。

握った拳を、振るう。
KP
蛇は油断していたのか。
あなたの拳を真正面から受けた。その顔がぱぁん、と弾ける。体がぶっ飛んで扉の横に叩きつけられ、ずるりと青白い筋をつけて落ちた。
突きの一閃で蛇の顔が弾ける。青白い体液が飛び散り、拳を染めた。
軽く手を振ってぬるつく感触を振り払い、瓶の中の彼が無事であることを確認する。
佐倉 光
「すっげぇな。何者だよ、お前。悪魔?」
KP
瓶の中から感嘆の声がした。
「そんなものかな」

落ち着いた足取りで化け物は行く。
KP
今廊下までの道を阻むものはなにもない。
彼と共に、廊下へ。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
いけるいける。こいつの力があれば、全部上手く行くに違いない。

KP
廊下に出る。外の見えない窓が左側にならぶ。
廊下は先で右に曲がる。このまま進めばエントランスだ。
前の様子を見ながら進む。
ここにはあの蛇が大量にいたはずだ。いくら俺でも、あれだけの数とはやりあいたくない。

確か倉庫に使えるものがあったはずだ。あと、彼の荷物も。
探していこう。
KP
エントランスに着くと、広間から蛇が三匹飛び出してきた。
あなたの姿を見て騒いでいる。
佐倉 光
「くそ、見られたぞ!」
「隠れよう。倉庫の中も探したかったからな、丁度いい」
倉庫に飛び込んで身を隠す。
KP
あの時は、あなた方が通り抜けてから三体の蛇が現れ、すぐに後ろからきた蛇に気を取られてくれたから隠れられたのだ。
今回廊下にいるのはあなただけ。姿を見た三体は倉庫に入れば追ってくるだろう。

倉庫に入る?
仕方ない。倉庫に入って迎え撃つ。
KP
倉庫に入れば逃げ場はなくなる。
代わりに相手をするのは一体ずつで済むだろう。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
まずい気がする。
もしあの蛇が仲間を呼びに行ったら、数の差で押されてしまうんじゃないか。
いや、それでもまだ何とかなる気がしてしまうが……
この感覚は正しいか?
俺達は、引き際を誤っているんじゃないのか?

佐倉 光
「素直に三体とも向かってきてくれるなら何とかなる……かもな」
「ああ。仲間を呼ばれては困るが、あの程度なら……、やれる」
己を鼓舞するように、静かに言う。
握った拳が、入った力で僅かに軋んだ。
KP
倉庫の通路は狭い。
蛇人間が一体入り込んでくる。

戦うしかない!

殴るならこぶしを振るえ。生きるために。
1D100 70 こぶし Sasa BOT 1D100→90→失敗
牧志 浩太
あらら。
KP
あなたはこぶしを振るった瞬間、瓶が棚に当たりそうになったことにわずかに気を取られてしまった。
その拳は空を切る。
蛇の攻撃。
1D100 30 蛇は殴るよ。
Sasa BOT 1D100→62→失敗
FANBOX開設したで
だめだったらしい。
蛇の尾は倉庫の棚に引っかかる。
佐倉 光
「くそ、時間をかけるとまずいぞ」
くっ、と僅かに呻く。
自分の力の筈なのに、使い慣れないような感覚がした。

再び、拳を振るう。
1D100 70 〈こぶし〉 Sasa BOT 1D100→75→失敗
牧志 浩太
なんだか出目が急速に悪化してきたな???
KP
うーん。
KP
蛇は今度は噛み付こうとする。
1D100 30 Sasa BOT 1D100→78→失敗
攻撃は当たらないが、少しずつあなたは壁際に追い詰められてゆく。
再度、攻撃チャンス!
じりじりと壁際に追い詰められていく。
焦りが過る。
1D100 70 〈こぶし〉 Sasa BOT 1D100→94→失敗
牧志 浩太
紅さん扱い切れてないぞ牧志
KP
ここでか。
1D100 30 Sasa BOT 1D100→38→失敗
牧志 浩太
なに、紅さんに戻るには牧志でいすぎたの???
KP
そうみたいだ。
KP
では……
狭いためか蛇の攻撃も当たりはしないが、
倉庫の隅に追い詰められた二人。
蛇の背後が騒がしくなり、あなた方を威嚇していた蛇男が一歩さがる。
そして……

後ろから現れた蛇男が、あなたに手に持っていた何かを向けた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは瓶の中からでもありありと分かってしまう。
あれは、あなたが閉じ込められるときに見たものだ。
紅も瓶に閉じ込められてしまうだろう。
佐倉 光
おい、ちょっと待て。瓶を持ったヤツが閉じ込められたら、俺の瓶はどうなる。一緒に吸い込まれるのか?

運命が決まってしまった
KP
この話の蛇さんはとことんバカってことでいいね!
喚んだヤツがなんか間違ったんだよきっと……
牧志 浩太
喚んだヤツが儀式をミスったんですよきっと
それにしても、呑み込み呑み込まれた感覚が残っていようと、「紅」の記憶をたぐろうと、牧志は牧志だったかぁ……。
KP
うーん、まさか3連続とは。
割と積み状態で始まっているので、中の人は気に病む必要はありません。
牧志 浩太
ちょっとこれは驚き、出目悪いときは連続で悪いな牧志。

「!」
KP
理を曲げる言葉が、蛇のほとんど抑揚もない声でひずんだ響きを発する。
次の瞬間あなたは、自分の体が瓶に吸い寄せられるのを見、同時に。

あなたの手に持っていた瓶が落下するのを見るだろう。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
生贄で死ぬのとどっちがマシなんだろうな、これ……

「佐倉さん!!」
叫んだ。叫んだ声すらも、きっと辺りに響く程の声量にはならなかったのだろう。
手が、届かない。動けようと、力があろうと、手が。

届かなかった。
KP
瓶の中で彼が何を思ったか、何を叫んだか、聞こえることはなかった。
あなたは瓶の中から、床に散らばったガラス片の中にどろりと広がった赤い小さなシミを見る。

外では蛇男達がもめているのが聞こえた。
呆然と瓶の中で座り込んでいたのだろう。
瓶のガラスを割ろうとして、叩いたり喚いたりしたかもしれない。
この身体には力があるはずなのに、どうしようもなく無力だった。
水槽の中で化け物がひとり座り込んでいた。
KP
しかし力あるはずと思っていたのにこれはつらいな。
牧志 浩太
力があるはずだと思っていたのに一番無力なの、なかなか辛いなって。紅さんのifにまでなってしまった。
(紅さんのifにまでなってしまったの、とても面白くもある)
KP
1D6 Sasa BOT 1D6→1
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
1D100 60 Sasa BOT 1D100→59→成功
SAN 60→59
牧志 浩太
牧志も《SANチェック》であってますか? 佐倉さんだけ?
KP
両方です。
牧志 浩太
1D100 63 《SANチェック》 Sasa BOT 1D100→89→失敗
1D3 Sasa BOT 1D3→3
KP
ああー。ショック大きかったな。
牧志 浩太
それはそうなる
覚醒予定 18時
佐倉 MP 15→14/15(18/3)
   SAN 60→59(8/13)
牧志 MP 12/12
   SAN 63→60
☆ 3
DD 2/4

KP
瓶に入ったまま、赤いシミの中からつまみ上げられた肉片が食われるのを見たのかも知れない。
あなたは瓶に入ったまま、運ばれて行く。
「すま……、ない。佐倉さん……、」

青年は呆然と呟いた。伸ばした手の先でガラスが砕けていった光景が、真っ暗な視界の裏に焼きついていた。

動けたのに。動くことができたのに、何もできなかった。
何度切り抜けてきた危機だって、一歩間違えればああなっていた、運が良かっただけだった、そんな恐怖が背筋を震わせた。

力はあった。庇ったはずだった。それなのに届かなかった。
拳の向こうで砕いたはずの生みの親の顔が記憶の向こうにちらついた。化け物はぼんやりと無力にそのひとの嘆きを聴いていた。
水槽のガラスは何度叩いても割れることはなく、そのまま他人の記憶を抱いて溺れていった。
牧志 浩太
※ということで紅さんのifを盛りました
KP
ああー。状況が似過ぎていた。
牧志 浩太
そうなんですよ状況が似ていた。
『紅』は、生まれた直後に円筒状の水槽の中で溺死しかけていた。
現実では水槽を破壊できたが……
KP
じゃあ紅さんぶんダメージ持って行って。
MP 1D6
1D6 Sasa BOT 1D6→5
KP
DD 1増やしとくから。
牧志 浩太
自分の原点に及ぶダメージはめちゃくちゃでかかったらしい。
KP
このシーンで二回消費しようか迷っていたから丁度良かった。
牧志 浩太
わーい。
KP
なにしろダメージぶんシーンやろうとすると、あと5回残ってるから……
牧志 浩太
そのうちの1回分をこちらから提供してしまった
ここぞという所で結構強引になれて、その強引さで危機を切り抜けてきた「紅」と牧志にとって「無力感」はあんまりにも重かった。

KP
……気がつけばあなたは牧志であり、あなたを閉じ込めている物はもう何もなかった。
黒い靄が周囲を覆い、何も見えない。

あなたの目の前に、黒い影が佇んでいた。
ほんの一瞬前までは何もなかったはずのところで、
それはあなたに向かって手を伸ばしている。
耐えがたいほどの怪音が耳を貫き、頭痛を引き起こす……
それに近づいたり、よく見るなら1D100を。
KP視点(ネタバレ)
この判定は〈目星〉/2を複数回行います。
判定数が増えた理由はダメージが複数回発生したため、判定値が落ちているのは、悪夢への抵抗時に失敗を連続しているからです。

牧志 浩太
感覚が、混乱する。あまりに打ちのめされた精神が、一瞬それを怖れた。無力感が手を震わせた。手を伸ばしても触れられないような気がした。

それでも。

自分が何を望んでいたか、かろうじて覚えていた。
「俺、なんだよな?」
牧志浩太の声で、声を発した。
あらゆる感覚を混乱させるそれが、「俺」に違いないと信じて手を伸ばす。
1D100 Sasa BOT 1D100→72
牧志 浩太
なんだか急にむちゃくちゃ不調に!
自分の原点に与えられたダメージがあんまりにも大きかったな……?
KP
うーん。ごめんな牧志くん。
牧志 浩太
出目の整合性がすごくてPLは楽しいけど牧志は大変すぎる。
KP
その手が触れる前に、黒い霧が押し寄せてくる。
再度1D100
牧志 浩太
1D100 Sasa BOT 1D100→88
KP
あなたの手がそれに触れる前に、世界は崩壊した。
牧志 浩太
きっと少しだけ、手を伸ばしきれなかった。

KP
次の瞬間。
あなたの手には棒状のものが握られていた。
目の前には目を閉じて歯を食いしばっている佐倉がいる。

周囲に見えるのは機械ばかり。
そして背後にいるのはあなたに大事な作業を任せて自分の欲望のために妻の人形に語りかけ、胸を開けている『男』だ。

あなたの手に力が入り、モーターが回る。
金属の指が、佐倉の心臓へと工具というにはあまりにも鋭利なドライバーを押す。
柔らかい肉が裂ける感覚があった。

何かするなら【POW】判定!
牧志 浩太
1D100 60 【POW】 Sasa BOT 1D100→65→失敗
KP
あなたの手は、あなたの意志とは裏腹に、正確に冷酷に工具をねじ込む。
肉が裂ける。骨が砕ける。血が噴き出してあなたの顔を汚す。
佐倉は微動だにしないままに断末魔を上げていた。
牧志 浩太
驚くほど抗う力が出なかった。だめだ、いけないと叫ぶ心を置き去りに、感情のない肉体だけが勝手に動く。
肉が裂け骨が砕け、噴き出した血が動かない頬を伝った。

手が震えて動かない。手を、伸ばしたいのに。
どこか途方に暮れていた。記憶の一番始まりの場所で化け物がずっと世界の滅びを嘆いていた。
KP
あなたの手は、血まみれの肉塊をえぐり出す。
ぽっかりとあいた胸の穴を見下ろすように、佐倉は息絶えていた。

「取り出せたか、良かった。さあ、それをこちらへ」
ひずんだ男の声が聞こえた。
あなたの手の中で、まだ心臓はわずかに動いている。
工具がもつ魔法の力なのだろうか。
牧志 浩太
あえかに動く心臓の哀れな鼓動を、どうしようもなく受け止めた。それが佐倉さんの、友の絶えた命の感触だった。

それを。
本来あるべき場所に戻したいと、最後に存在した心が願った。
そうすることはできただろうか。
KP
心臓を戻そうとしても、切れた血管が繋がるわけもない。
肉片は死んだ肉塊のなかで力なく震えていた。

「そんな事をしても意味はないだろう?
それが停止してしまう前に早く渡したまえ」
男の声が苛立っている。
牧志 浩太
はたり、と液体が眼から落ちた。
あまりの感情の重さに眼が破裂して、潤滑液を流しているらしかった。

震えすらしない手で、男に心臓を渡すしかなかった。
あの時のように。

そういえばあの時だって俺は何もできなかった。
佐倉さんが。
あのとき、俺を。
KP
男は嬉しそうに心臓を奪い取る。
そして、代わりに無骨な機械の塊を指し示す。
それでも入れておけ、ということなのだろう。
牧志 浩太
息絶えた彼を動かない眼が見つめる。
その後どうなるか知っている記憶が、悔しさのあまりに心を震わせた。
機械の塊を金属の指で取り上げ、ぽっかりと空いた胸の穴に収める。
KP
機械の心臓は穴の中を探る生き物のように、チューブを伸ばしてまさぐっていた。
それは何度も何度も空洞内を撫で、血をすくい、肉をめくり、そして動かなくなった。

あなたが知っている光景と違う。
佐倉の体がどんどん冷えてゆく。
〈機械修理〉を振ってみてください。
牧志 浩太
1D100 41〈機械修理〉 Sasa BOT 1D100→30→成功
KP
おぉ!?
牧志 浩太
「佐倉、さん」
目の前の光景を目にして、思わずチューブを掴んでいた。
うまく動かない金属の指で、それでも目の前の状況をなんとかしようとする。

「動くたち」だっていうのは、ある意味呪いのようだった。
まだこの時点では存在しないはずの痣が痛んだ。
何もできないような気がしても、恐ろしくて手が震えても、それでも動かずにはいられない、
KP
構造など分かるはずもないその機械がどうして動かないのか、
あなたにはなんとなく分かった。
チューブがうまく肉体に刺さらない。先が少し潰れている。
あなたの手で然るべき場所に正確に押し込めば、あとは上手く行くだろう。

今のあなたならば、
感情などという不確かなものの影響を受ける事なく、
正確無比に必要なパーツを必要な場所へ押し込む事ができる。
牧志 浩太
構造など分かるはずがないというのに、どうしてか動かない理由が分かる。それが本来何を望んでいるのかが、分かるようだった。自分も今は同じものだからかもしれなかった。

チューブを掴み、導く。
どれだけ感情が焦っていようが、手は意図の通りに動いた。
KP
チューブが今度は肉の中に潜り込む。
機械の心臓はようやっと自分の役目を思い出し、邪魔な臓器を押しのけ、骨を割り、我が物顔で肉体の中央に収まった。
ちかちか、とまるで喋っているかのようにライトが点く。
機械の心臓から赤い血が大量に噴き出した。
生命の残滓が排出されている。
まだ赤みと熱が残っていた体から、急激にそれらがくみ出され、押しだされて排出される。
バシャバシャと床に流れ落ちるさまはまるで、下水か何かのようだ。

幽鬼のように真っ白になった肌が波打ち、青ざめた唇が震える。
冷え切った体が動く。
変質した、だが確かに生きている体が目を開く。
その時、あなたの背後で声がした。

「愛してるわ、あなた、アイシてる、」
牧志 浩太
その光景をじっと見つめていた。
佐倉さんの命が押しのけられ、捨てられていく光景を。
冷え切った身体が波打つのを、祈るように視界の中心に捉えていた。

背後から聞こえた声に振り向く。
咄嗟に、禍々しい工具を掴んだ。
KP
「アいシてるから、タべてあゲルワ……、アナタ、ア、イシテル。いっしょニなりマショウ?」
囁かれる愛の言葉。
そんな言葉と無関係のようにばぐり、と開く『妻』の機械の口。
後ろで変質した自分の体に戸惑う佐倉の声が聞こえた。
あなたは……その工具で何をしただろうか。
牧志 浩太
考える余裕などなかった。
目の前の『妻』の開かれた口に工具を突き入れる。
KP
「何をする!」
横からあなたに掴みかかる男がいた。
「牧志!」
背後から悲鳴のような佐倉の声が聞こえた。
あなたは……

巨大な破砕機のごとき『妻』の口の奥で工具が歯車に巻き込まれて砕けるのを見ると同時、上半身を飲み込まれた。
周囲に一瞬見えたのは、サメの歯を思わせるほど並んだ異様な数の歯車。
それらが臼歯のようにぎりぎりとあなたの体を挟んで引きちぎる。
ぼきり、と首から何かが折れる音がした。

MPに1D6のダメージ。
牧志 浩太
1D6 Sasa BOT 1D6→6
KP
さっきからダメージが大きいな。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
伸ばした手は届かなかった。
KP
あなたは目の前で牧志が得体の知れない化け物に噛み砕かれるのを目の当たりにする。

KP
佐倉に《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
1D100 59 Sasa BOT 1D100→56→成功
SAN 59→58
牧志の残りMPが……
覚醒予定 18時
佐倉 MP 14/15(18/3)
   SAN 58(8/13)
牧志 MP 1/12
   SAN 60
☆ 3
DD 2/4

KP
あなたは潰れた。
そう思った次の瞬間、真っ暗闇の中にいた。
もう機械の世界はどこにもない。
牧志 浩太
しくじった。
危機感が一斉に背筋を駆け上る。
身体がへし折られる光景と恐ろしいまでの無感覚。
佐倉さんを守れたような感覚と、ああもう一度死ぬのかという諦めに似た痛み。

KP
あなたはスマートフォンを手に東浪見の家の玄関に座っていた。
周囲は真夜中の暗闇で、ひっきりなしに着信を受け続けるスマートフォンだけが光り続けている。

『駐車場?』
『広場?』
佐倉からメッセージが飛んでくる。
牧志 浩太
スマートフォンを持つ手が、真っ赤に染まっている気がした。
座り込む身体がぼんやりと、のろのろと動いて、それでも目の前にあるものを追わずにはいられなかった。

あの時のようにスマートフォンをミュートにする。画面をスライドし、紅の連絡先を表示する。
KP
あなたが音を消したと同じ頃、スマートフォンを震わせ続けていた着信が止まった。
気のせいだろうか。背筋に強烈な悪寒が走った。

波照間の連絡先。
あなたがこの追い詰められた状況を打開するために使った手段。
それはあなたの指先に呼び出される。

若い男性の争うような声が聞こえてきた。
緊張のためかあまりよく聞こえないが、それは「助けて」と叫んでいたように思えた。


あなたは何かをするなら【POW】×5で判定。
牧志 浩太
1d100 60 POW Sasa BOT 1d100→53→成功
FANBOX開設したで
スマートフォンに指を滑らせる。指を動かす毎に痛みを感じるような気さえした。

『紅、佐倉さんを助けて』
画面の上に紡ぎ出すメッセージは、それでも守りたいという、どうしようもない叫びで祈りだった。

『目印はジャックフロスト』
メッセージを送信する。
同時、地を蹴る。
「俺は、ここだ」
扉を開けて、彼らの前に飛び出した。
そうせずにはいられなかった。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
近くの家の扉が開いて、牧志が飛び出していた。
佐倉 光
おい、どうして出た! 出るなって言ったじゃねぇか!
あの暗号、伝わらなかったのか? この偽物の差し金か?
いつもの底抜けか? 俺を信じてくれよそこは!

KP
焦ってるな~
やっちゃいけないこと全部やってるw
いや、もしかしたらそれはそれで正解だったかも知れないんだけど。
牧志 浩太
本編よりも打ちのめされている牧志、やることが焦ってしまっていますね……。
直前に死んでいる分も合わさって自分の身を差し出す躊躇いが消えて、そうしてでも佐倉さんを守れる、何かできる可能性に縋っている。
KP
二人の佐倉が揉み合いながら近づいてくるのが見えた。
ひとりはあなたを見て怖気立つような笑みを浮かべた。
ひとりはあなたを見て驚愕に顔を歪め、何か叫んだ。

ジャックフロストの面を頭にかけた佐倉が、
必死の形相であなたの方へと駆ける。
それはおそらく、彼の限界を超えたスピードで。
佐倉 光
「馬鹿、家に……」
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
心臓が爆発しそうだ!
けど狙われているのはあいつだ。俺が少し邪魔に入ればまだ家に戻れるだろうし、そうしたらきっと波照間さんがなんとか……
KP
強烈な衝撃が背からあなたを押す。同時に全身から力が抜け落ちる。
佐倉 光
え?
KP
見下ろしたあなたは、自分の胸に輝くものを見るだろう。
佐倉 光
そんなの、ありかよ……。

KP
どす、と重い音がした。
あなたに駆け寄りかけていたほうの佐倉が、後ろから押されたように倒れ込んでくる。
ガチ?
KP
判定成功したばっかりに……!
牧志 浩太
そして焦りすぎていたばっかりに。
(PL素で間違えた牧志ゴメン)
KP
えっそうなの??
牧志 浩太
そうなの。盛り上がるあまり、ログの見直しが雑で「フロストが本物」まで書いてなかったなーと進んでから気づきました。
KP
なんて恣意的な! でも確かあの時も「その指示どっちだか分かんないな!」って言った覚えがあるから、あれ採用したんだなって……
中の人も焦ってたかぁー。
諸事情でこのシーン、佐倉の死亡回避が無理なのは確定していました。
牧志 浩太
中の人も焦ってたかもごめんな牧志。
KP
んー、ある意味牧志と波照間の華麗なコンボで殺されるのかぁ。
牧志 浩太
ですねぇ。牧志の責任ダブルで佐倉さん殺して牧志がめちゃくちゃ打ちのめされそうだし、佐倉さんにとってはほんとにひどいやだし。
「動けたのに佐倉さん殺した」に続いて「動けてしまったせいで佐倉さん殺した」が増えた。

牧志 浩太
「──え、」
何が、起きた。
恐る恐る、目の前の状況を、確認する。
KP
佐倉は立ちすくむあなたに、勢い余って倒れ込んでくる。
その胸に輝く物が見えた。

あなたにもたれかかるようにぶつかり、熱いものを吐きかける。
鉄臭い。重い。

胸に見えたのは、ヒランヤの真ん中を貫いて飛び出た、鋭い鏃だった。

弾けた白い面が、あなたの顔にぶつかってぱさりと落ちた。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
さっさと家に入れよ、馬鹿野郎。
俺に構ってる場合か。
KP
意識は速やかに死に飲み込まれてゆく。

佐倉 光
「にげ……」

ひゅうっと息を漏らし、佐倉は沈黙した。
牧志 浩太
「──え、なんでだ、どうして、紅……、」

愕然として立ち竦む中、不意に気づく。気づいてしまった。

そうだ。俺は、どちらが本物だって。
書かなかった。
「あ、ああ、ああ……、」

俺が。
俺がしくじったから。

俺があんなこと書いたから。
俺が。

沈黙する身体に手を伸ばす。
鏃ごと抱え上げても、その身体が動くことはなかった。そこにもう何もできることはなかった。
KP
もう一人の佐倉がゆっくり近寄ってくる。
今もまだ狙っているかもしれない狙撃主を偽るためか。それとももう目の前の獲物に抵抗する力は残っていないと分かっているのか。
その手があなたにかかる。
その瞬間世界は砕けた。
牧志 浩太
腕の中で冷えてゆく身体を抱えたまま、ぼんやりと、砕ける世界を見上げていた。
KP視点(ネタバレ)
この判定は〈聞き耳〉です。
佐倉は死亡していますが、判定そのものを失敗したわけではないため、マイナス修正は入りません。

KP
1D100を。
牧志 浩太
1D100 Sasa BOT 1D100→8
KP
あなたの腕のなかで、目を見開いたままの佐倉の体がばさりと灰になる。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3
牧志 浩太
1d100 60 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→9→成功
SAN 60 → 59
KP
この夢は佐倉を殺す夢なので、佐倉が死んだ時点で終わる。
つまり牧志にマロリーに襲われるという罰が下されることはない。
牧志 浩太
牧志は自分のミスで佐倉さん殺したことを抱えたまま目覚めなければいけない。
でも《SANチェック成功はするんだな牧志……
KP
声が聞こえた。
あなたそっくりの声が、あなたに呼びかけていた。
声が聞こえる方に、あの不安をかき立てるような影が凝っていた。

「これはただの悪夢だ、目を覚ますんだ」

声はそう叫んでいた。
声が聞こえると同時、あなたは急激に闇から引き上げられるように、
意識がはっきりしてゆく。
☆ 3→4
牧志 浩太
うう、と呻いた。
死の感覚が急速に遠ざかっていく。

一度だけ、
どうして目が覚めてしまうんだろうと、思っていた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは目覚めた。
ふと見ると、あなたの字で手の甲にメモが書いてあった。
『床で寝ているのは牧志さん。この人は信じていい。助けてくれている』
佐倉 光
これは僕の字?
KP
頭がゴチャゴチャしている。しかしこのメモは内容はともかく、書いた覚えがある気がする。
牧志は死人のような顔で横たわっていた。
佐倉 光
「牧志さん?」
KP
声かけに反応しない。
佐倉 光
死んでいるんじゃないのか? 僕のせいで?
慌てて起き上がり、更に声をかける。
KP
牧志は力なくうめき声を上げた。
佐倉 光
良かった、生きてる。だけど……
KP
牧志は、あなたの記憶に断片的に残っている彼の様子とは別人のように窶れていた。

KP
体に酷い倦怠感があった。
眠った後だというのに、気力が湧かなかった。
気分が落ち込み、何をする気も起こらない。
ただ空腹が腹の底をつついていた。

時計は18時を指している。
ベッドの上から佐倉が心配そうな顔で見ていた。
佐倉 光
「牧志さん……」
牧志 浩太
「……大丈夫。ごめん、ごめんな、佐倉さん」

酷く、酷く気分が落ち込んでいた。
無力感がどうしようもなく自身を打ちのめし、腹の底をつつく空腹が更に肉体から力を奪ってゆく。
このまま横たわっていたら死ぬのだと思うような、その方がいいのではないかと思わせるような、そんな重さだった。

自分の声が牧志浩太の声であることを、かろうじて確認する。
天井をぼんやりと見ていれば、どうにか世界が滅んでいないことと、自分がまだ死んでいないことだけを確認できた。

それだけだった。

「酷い夢だった……。
動けるのに、何もできないんだ。
何かできるのに、何も変わらない。それで俺はしくじって、

佐倉さんを、殺した」

ぽつ、ぽつと呟く。
きっとそんなことを声に出せば、彼を心配させるだろう。
それでも、彼を気にかける余裕すらなかった。

「ごめん、少し休ませて、佐倉さん、ごめん。動けない。動けないんだ。また殺してしまいそうで怖いんだ」

うずくまって訴える声は彼ではなく、それでもなお動こうとする自分自身に訴えていた。泣きそうな声だった。
KP
これはねぇー。動けなくなるし泣きそうな顔になるよ!
不可抗力とかじゃなくてガチミスだもん……
とはいえ波照間さんなら「襲いかかろうとしているかも」と思ってもたぶん即胸撃ち抜きはしないと思うんだ。
牧志 浩太
そうガチミス。動いてしまったからこそ殺してしまった。ただ何もできなかったよりも、遥かに怖くなるし動けなくなるし泣きそうになるよなって。
牧志がはじめて自罰的になっているし、死へ向かっている
KP
それはもう佐倉覚醒しないと駄目だってなるわ。
佐倉 光
「牧志さん。
僕に正確な記憶はないです。でも……
牧志さんは僕を助けてくれようとした。
本当にあった事とは違っても、危険を冒しても助けてくれようとした。
それだけは分かります」
牧志 浩太
「でも俺は、佐倉さんを殺したんだ。二度も」
毛布を引き寄せ、背を丸めて呻くように泣く。
KP
佐倉はベッドから降りて、少し傷が痛むのか顔を歪め、
あなたの前に座った。
そして少しためらってあなたの手に触れる。
佐倉 光
「大丈夫。僕はこうして生きています。
あれはただの悪夢なんだ。本当のことじゃない」
KP
佐倉はあなたの目をまっすぐ見つめた。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
『あれ』と言えるほど確かな記憶ではなかったけれど、それを表に出して良いことがあるとも思えなかった。
今大事なのは、今僕が牧志さんに助けられているとということだけ。

牧志 浩太
そうかぁ佐倉さんの代わりにダメージ受けすぎて消耗しすぎてガチミスしてしまったのか牧志。
牧志 浩太
「佐倉……、さん。でも、俺は、しくじって」
涙を湛える眼が、まっすぐに見つめる眼と向き合った。
その手は少し震えて汗ばんでいた。
佐倉 光
「ずっと僕を守って、代わりに傷ついてるからだ。
もう考えたり動ける状態じゃない。
食事をして、ベッドで休んでください。休まなきゃ、駄目だ」
KP
この状態になってしまった佐倉の口から出たとは思えないほどに、佐倉はきっぱりと言った。
牧志 浩太
「佐倉……、さん。駄目だ、駄目だよ、降りたら痛むだろ……、俺は怪我してないし、大丈夫だから……、」

片手に毛布を引き寄せながら、ふらつく手で佐倉の手を押し戻し、ベッドの上に戻そうとする。
KP
佐倉は痛そうに顔を歪めた。
牧志 浩太
「ほら、痛いんだろ、戻って、俺はいいから……、」
押し返そうとする手には殆ど力が入っていなかった。焦点が定まらなくなりつつある眼で必死に佐倉を見つめようとしていた。
牧志 浩太
牧志が自分自身の属性(動こうとするたち)に呪われている……。
これは強情より、佐倉さんをまた殺してしまう恐怖の方が強そう。
佐倉 光
「痛いよ! 泣くほど痛いよ! 当たり前だろ大怪我してるんだよ!
でもどう考えても今の僕よりもっとまずい状態なんだよ、牧志さんは!」
KP
佐倉は更に強い口調で言い、あなたから毛布を取り上げた。
そして痛そうにして座り込む。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
駄目だ、もう駄目だ、こんなのもう無理。
KP
彼の言うままにベッドで眠ってしまうこともできるだろう。
佐倉 光
それだけは駄目だ。
何か、言うことを聞いて貰う良い方法は……
KP
彼はあなたを気遣っている。彼が無理をしているのはそのためでもあると、あなたは痛いほどに分かるだろう。
佐倉 光
烏滸がましいような気もするけど……これしか方法がない気がする。

佐倉 光
「僕にこれ以上無理をさせたくなかったら、素直に寝てください。
僕はしばらく寝ないから。

僕のせいで牧志さんに何かあったら、何かあったら……
僕はきっと、自分を一生許せない」
KP
ついでに自分を人質にするしたたかムーブ。
牧志 浩太
強い。佐倉さんが強さを宿している。
KP
自分を人質にできるのって、自分を大事に思ってくれるはずだという確信があってこそだよねー。
牧志 浩太
囚われている恐怖よりも、自分を大事に思ってくれるはず、って実感あってこそですよね。
記憶がなくなって、出会ったばかりで、世界さえ信じられなくて、それなのに牧志を信じてくれている。
牧志 浩太
その強い口調に、酷い隈の浮いた目を驚いたように見開いた。
「佐倉……、さん」
毛布を取り上げられた手の中と、佐倉の顔を交互に見た。

「ごめん……、ありがとう。……そうする」
そのときようやく彼の声が、耳にきちんと届いたのだ。
KP
あ、いけね。佐倉のダメージ振るの忘れてました。
KP
1d6 Sasa BOT 1d6→6
1d3 Sasa BOT 1d3→1
牧志 浩太
おおっと。
てことは佐倉さんも完全に元気ではない状態であれをやってたのか。よりによって6出るし。
佐倉さん、強い。眼が鬼気迫ってそう。
KP
佐倉視点だと、ちゃんと牧志にメッセージ通じなかった上、敵が目の前。
自分は撃たれて当然その後牧志もやられるだろうという絶望に満ちていただろうから大ダメージもむべなるかな。
牧志 浩太
ああそうか、佐倉さんからは牧志と通じ合えなかった、牧志からは自分のミスで佐倉さんを殺してしまった、互いに通じ合えなかったがための死になるんだ それは大ダメージもむべなるかな
あまりにも消耗しすぎた牧志は佐倉さんのメッセージを正しく受け取れたものの、正しく発信できず、その結果信じてくれた佐倉さんを裏切って殺してしまったことになるんだ
その結果、悪夢の蓄積ダメージで消耗していたとはいえ、決して諦めない牧志が自罰的になって死へ向かってしまうほどのダメージになった。

互いに手を取りあって信じあって駆け抜けてきた二人にこれは効果がありすぎた。

KP
佐倉はあまり動かなくて済むやり方で夕食を用意した。
カップラーメン一つ作るのに何度か悲鳴を上げたりしながら、
なんとか二人分、食べられる状態の物がテーブルに並んだ。
佐倉 光
「僕が助かっても、牧志さんが身代わりに倒れたりしたら意味がないんだ。
僕は、僕のせいで牧志さんが……」
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
例えただの可能性であっても『死』を口にするのは嫌だった。

KP
佐倉は何かを言いかけて言葉を止め、別の言い方を探したようだった。
佐倉 光
「借りを作るのは絶対に嫌だ」
牧志 浩太
「借りを作るのは嫌、か。……何だか佐倉さんらしい言い方だ。語弊があるかもしれないけど」

何かを言い換えたのに気づきながら、少し震える手でどうにか箸を持ち、用意してもらった夕食に口をつける。

鰹出汁と豚肉の香りが鼻をくすぐった。前より頻度は減ったような気はするけど、それでもたまに買うカップの沖縄そば。
やさしい味わいがひどく弱った心に染み通り、解していく。

「ありがとう。助かった」

今度こそ、素直に感謝の言葉が口に出た。
佐倉 光
「……うん、助けてもらっているのは僕なのに、
偉そうな事言ってごめんなさい」
KP
佐倉は首を縮めて謝り、温かい汁を啜った。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
牧志さんの顔がほんの少し和らいだ気がして、心底ほっとする。

KP
牧志がここから寝るのであれば、佐倉は寝ないで待ちます。
牧志 浩太
「いいよ。
強く言ってくれなかったら、たぶん俺、無理して倒れてたし。
そうしたら佐倉さんが言うように、本当に共倒れになってた。

……世話になりついでに、少しだけ話していいかな。
さっきの、夢のこと」

それから少し背を丸め。
制止されなければ、先程の夢の内容を話し出す。
共有するというよりも、吐き出して楽になるための喋り方で。

「俺は、君を助けられなかった」

少し、声が低くなる。口調がやや堅い口調に変わった。
その理由がなにか佐倉に語ることはなかった。自分の原点に与えられたダメージを、その時に立ち返ることで癒そうとしているようだった。
内容は支離滅裂できっと、前に過去を語った時のように分かりやすいものではなかっただろう。

※という話をしてから、ベッドを使わせてもらって寝て、MPを回復します。
KP
佐倉は口を挟まず、自分が受けるはずだった痛みを受け止めるように話を聞いた。
最低限の相槌をうちながら、時折もの言いたげにしながら。
全てを聞いてから、佐倉も感情を落ち着かせるように少し黙っていた。
佐倉 光
「それは本当にあったことじゃない。
どんなに真に迫っていても、ただの悪い夢だ。
それに大丈夫、あなたは僕を救ってくれている」

最後の言葉を言うときだけ、佐倉は少し言葉を震わせた。
その表情に圧し殺したものがあった。
牧志 浩太
ありがとう、と少し掠れた声でもう一度返し、小さく頷いて寝床に丸まった。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
本当にこのままでいいのか?
自分に問いかける。
僕にできることは本当にないのか?
僕は本当に無力なのか?
牧志さんは僕の夢で傷ついているんだ。僕の夢なのに、僕がどうにもできないなんてことが、本当にあるのか?

何もできない自分に対する怒りがわき上がる。

KP
話した時間や食事時間はセラピー的なものと見なして、回復時間として問題ありません。
18時からなので、最終日5時には全快しますね。
牧志 浩太
お、ありがとうございます。
KP
眠りは深く、速やかに訪れる。
夢も見ずに眠っただろうか、
それとも自らの悪夢を見ただろうか。
牧志 浩太
何か、もがいている夢を見た気がする。動こうとして、動こうとして動けない夢だ。
前の夢より曖昧で、それは自分の夢らしかった。

夢の中で俺は先輩で、「紅」で、それで俺だった。ちぎれている弓の弦を、手を血だらけにしながらずっと編んでいた。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
僕にできること。
眠った牧志さんを見ながら考える。

僕は何も分かっていない。僕の記憶と夢がきっと鍵なんだ。
第一、僕が何をしたくてここにこうしているかすら分からないんじゃ戦えない。
記憶は頼りにならない。

手に書かれたメモを見下ろす。

情報を残せばいい。書けばきっと整理できる。牧志さんと一緒に考える材料になる。
もし僕がまたいろいろ忘れてしまっても、情報があれば戦える。

武器は牧志さんが使っていた筆記用具と、部屋で見つけたノート一冊。
思いつくままに書き記す。
何を忘れても、何を失っても、いつでも確認できるように。

僕は何を望んでいたか。
助けてくれている人は誰か。
絶対に忘れてはいけないことは何か。

牧志さんとやりとりをしていた僕はもっとずっと強かった。
正直ちょっと傲慢すぎると思うけど、今はその強さの一部でも欲しい。
僕は自分を取り戻さなきゃならない。
自分のためにも、僕を助けてくれる人たちのためにも。

KP
目覚めたときには随分気分は良くなっていたし
だるさも抜けていた。
牧志 浩太
目を覚まして調子を取り戻してみると、昨夜の自分が随分参っていたことをようやく自覚した。

佐倉さんがいてくれなければ、あのまま無理をして倒れていただろう。
本当に今回は、先輩にもラミアさんにもアッタさんにも悪魔たちにも、佐倉さんにも世話になっている。
KP
佐倉は随分と眠そうにしながら何やら書き物をしていた。
牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん。昨日はごめん。それは?」

何か情報を纏めているのだろうか。何となく気になって身を起こし、傍らに寄る。
佐倉 光
「あ、おはよう、牧志さ……牧志。
ごめんなさい、そこにあったノート、一冊貰った」
KP
佐倉は目を擦ってあくびをした。
几帳面な細かい字で、延々と何やら箇条書きを書き連ねていたようだ。

内容はどうやら記憶の断片。
夢で見たこと、メールで見たこと、自分が覚えている断片的なことを、思い付くままにかき連ねているといった感じだ。
牧志 浩太
そこに書かれた記憶の断片を見て、ふっと心が安らいだ。

ああ、なんだ。佐倉さんがまだ覚えていること、覚えてくれようとしていることが、こんなに沢山ある。
「いいな、これ。また忘れてしまっても、読み返せるし」
佐倉 光
「ぼく……おれ……に出来ることはないかと思って、眠気覚ましにもなるし」

俺。
言って、少し居心地悪そうにした。
牧志 浩太
「いいよ、口調は。居心地悪いだろ。ああ、合わせたいって思うならそれでもいいんだけど、俺のためだったら無理しなくていい」

そんな場合じゃないけど、何だか懐かしい気分になった。どう喋ったらいいか分からなくて言葉を探す俺を見て、東浪見も笑ってくれたっけ。
覚醒
牧志 浩太
牧志がかつて人から受けたものを今の佐倉さんに返している……。
KP
今、純粋にクトゥルフの探索者としての佐倉が覚醒してるんだな、と思ってます。
今までの強さはあくまで、女神転生の悪魔召喚士佐倉としての与えられた強さだったから。
何もない状態から、自分と助けてくれる人の危機を感じて、自ら踏み出してる。
それをさせてくれたのは牧志。
牧志 浩太
なるほど!?
そうか、サマナーじゃない、力を持たない佐倉さんが何もない状態で自分から事態に関わろうと、動こうとしているんですね。

それを可能にしたのが牧志で、牧志にそうあることを可能にしたのが、佐倉さん自身を含む牧志の周囲の人達なのか……。
KP
佐倉については全く想定していなかったけど、いいきっかけ貰った!
牧志 浩太
やったー!

東浪見シナリオにいないキャラだったのに、何だかんだで牧志にとってのキーパーソンになってる
KP
東浪見くん、過去の牧志くんを知っていて、その上で今の牧志くんを否定しないでくれるイケメンですからね……
牧志 浩太
そうなんですよ、気負わずにそういうことができてしまうイケメン。
「また忘れちゃった?」「雰囲気変わった?」とか言うことは言う割に、全く気負いとか否定の色がないんですよね、東浪見。

佐倉 光
「ぼくは、俺は、強さが要るんだ。
人に自分の運命を任せているだけなんてそんなの、佐倉光じゃない」
KP
佐倉は自分の頬を叩き、胸に下がっているヒランヤに触れた。

それから吹き出すように笑う。
佐倉 光
「これだけ気合いいれて、するのが寝ること、っていうのがちょっと面白いですけど」
牧志 浩太
「っは、確かに。よし、それじゃ気合入れて寝るか」
ふっと牧志の表情から、弱ったものを気遣うような色が消えた。

つられるように彼と笑いあう。

独特な香りを放つ薬を手に取って、彼と分け合った。

※夢の薬を使用して寝ます。
KP
薬を口に含むと訪れる睡魔、
井戸に落ちるような感覚。
慣れてきたような魔術の眠り。
夢を分けあって一緒に落ちてゆく誰かを、
今までよりも強く感じた。
佐倉 MP 15/15(18/4)
   SAN 57(9/13)
牧志 MP 12/12
   SAN 59
☆ 4
DD 0/4

KP
あなたは、獣だった。
目の前には吊り下げられ操られて襲いくる貴婦人の遺体がある。
隣には火かき棒を携えた佐倉が立っていた。
佐倉 光
「隣の狙ってくれ!」
KP
佐倉は叫んで火かき棒で遺体の腕を打ち払う。

あなたは……
獣の狂乱に支配されつつあった。
破壊した操り人形の血が、骨が砕ける感覚が、人としての意識を押し流し、破壊への欲求を呼び覚ます。
全てを破壊して喰らいたいという強い衝動が沸き上がる。

抗うなら【POW】×4で判定。
今回低いので注意。
牧志 浩太
平手打ちでもするように振るった手が肉を切り裂いた。頬を濡らす鉄臭い臭いが、ぬるつく肉へ分け入る感触が、何よりも目の前にあるものを破壊する感覚が。

己が肉体は、そのために存在すると感じさせた。
1D100 48 【POW】×4 Sasa BOT 1D100→46→成功
牧志 浩太
強いが!?
KP
あなたは人の心を失う事なく、理性でもって障害を打ち払う。
鋭い爪は破壊のためではなく守るために。
佐倉 光
「あ……あぁ、凄い力、だな……」
KP
あなたは佐倉が恐怖に震える声を聞く。
佐倉は青ざめてあなたから逃げようとしていた。


佐倉は何かをするなら【POW】×4で判定。

佐倉は恐怖に抵抗する。
1D100 60 佐倉 【POW】×4 Sasa BOT 1D100→78→失敗

牧志は〈説得〉ロールを行っても良い。
ただし、補正が-20入る。
牧志 浩太
佐倉さんの声が恐怖に震えていた。逃げられている。
無理もないと思った。さっきの俺は本当に、呑み込まれかけていた。
もう少し抗いきれなかったら……、佐倉さんを引き裂いていたかもしれない。

「サクラ、サン」
ぎこちない声で人の言葉を手繰り寄せる。
一歩前に出て、彼を傷つけるのではなく、守るのだと示す。

佐倉さんを守りたい。
1D100 55〈説得〉(補正付き) Sasa BOT 1D100→46→成功
KP
あなたの声を聞き、あなたの姿を見、佐倉は目をしばたいた。
そして戸惑ったようにあなたを見て、再度構える。
今度はその動きに迷いは見られなかった。

あなたは獣の力を人の知性と理性で振るい、
最大限の力もて脅威を退けた。
空気を読むダイス
KP
さすがだ!
牧志 浩太
強い!!
佐倉さんのおかげで牧志が調子を取り戻している
KP
ダイスがまたストーリーに合わせてくれるなぁ!
牧志 浩太
ですねぇ! これはすごい
本当に出目がストーリーに合わせてくれている……

KP
頭を砕かれ、心臓を貫かれ、二つに折られ、凄惨なありさまとなった女たちが、
あなたを取り囲むように倒れている。
佐倉 光
「体に変な物入ってないか?
とにかくここを出よう。手当てをしないと」
KP
佐倉は心配そうに訊いてくる。
だが、人の言葉を忘れかけていたあの時と違い、あなたは至って冷静だった。

1D100をどうぞ。
KP視点(ネタバレ)
この判定は〈目星〉です。

牧志 浩太
どこかできっと大丈夫だと思っていた。
佐倉さんの強さを、俺は十分すぎるくらいに知っている。
あの夜の化け物は、その強さを知っていた。

いくら血が肉が爪に絡みつこうが、獣の身体が真っ赤に染まろうが、
もう我を忘れることはなかった。

大丈夫、と佐倉さんに頷き、辺りを冷静に見回す。
ここは夢だ。その自覚も戻っていた。
1D100 Sasa BOT 1D100→44
KP
あなた方を嘲笑う魔女の声が聞こえたが、
そんなものは夢だと知っているあなたの妨げにはならなかった。
あなたは冷静な目で周囲を見渡す事ができる。

地に汚れた暗闇の中、この部屋の出口となる扉に
ひときわ黒い影が染みついている。

隣にいる佐倉は「行こうぜ、牧志」とあなたに声をかけると、
その影をすり抜けて部屋を出て行った。
あなたはただ一人、その影と対峙する。

あなたにはすでに分かっていた。
その影が何者であるのか。
牧志 浩太
「俺、だよな?」
その影に、呼びかける。手を伸ばす。

休んだおかげで、すっきりと冷静になった心が。
動ける、この手を伸ばせる、届くという感覚を取り戻した心が、
目の前の影と向き合った。

今でも、その影を見るだけで感覚が混乱する。
聴覚を掻き回す音が耳を破壊し、視覚を抉り出す矛盾が眼を破壊する。
それでも、あの時確かに見た姿が、聞いた声が。
あの時自分の隣に感じた確信が、向き合う脚に力を与えていた。
彼の服装
KP
彼ってこっち来てからそれなりに時間経ってるけど、着替えてるんでしょうかね?
心が安らいだら着替えていていい気がするんだけども。
牧志 浩太
佐倉さん? >彼
KP
あ、片目くん。
今の格好がまだ綺麗な頃の姿とかがいいかな。
牧志 浩太
ああー、そっち!
今の格好がまだ綺麗な頃の姿がそれらしい気がします。格好そのものは隻眼隻腕であることと共に、イメージとして彼の魂に焼きついてしまっていそうな気がする。
(そして佐倉さんの方は汗とか怪我の衛生面の問題がありそうだし、牧志の服を借りたりしてるのかな、と思ったんですが、佐倉さんの方が背高いなら微妙に寸足らずになりそう)
KP
ずっと寝てるから多少スネが見えても問題なす!
牧志 浩太
じゃあ牧志の寝巻を貸してるということで!
そろそろ残り時間的に微妙な感じではあるけど、機会があればその描写(身長差とか)もしたいなー

KP
影に近づくと感覚が乱される。
これに近づいてはならない、不快だ、害がある。あってはならないものだ。
そんな感覚があなたを苛む。
だがあなたにはそれですらただの悪夢で現実ではない事が分かる。
牧志 浩太
乱される感覚が真実ではないことを、もう確信していた。
あの時、見たんだ。俺と、その俺を守ってくれている鬼の姿を。
あの時、聞いたんだ。打ちのめされて深く沈む俺を、佐倉さんを、引き上げてくれた声を。

近づく。
手を伸ばす。
KP
あなたはその確信を胸に手を伸ばす。
牧志 浩太
その手を、取る。
KP
手応えはある。
指は触れる。
僅かにその姿はぶれ、末端は影のように暗い。
だがあなたにははっきりと見えていた。

そこに在るのは影などではなく、あなたによく似た、
簡素なシャツにズボン、上から白布をまとった隻腕の青年の姿だ。
牧志 浩太
「ああ……、俺だ」

思わず、声を漏らした。
強烈な既視感が心を揺さぶる。
KP
白を基調とした姿はまるで聖者のようにも思えた。

白い傷に埋もれてなお真っ赤な痣。
顔の半分を蝕んでいる広範囲の傷跡と、そのなかにある空洞の目。
肩にかけているのは骨董品のような色あせた銃だ。


その目にあるのはあなたがかつて見た迷い子のような光ではなく、
強い信念と願いだ。

口が開く。
KP
「君ならきっと、俺にできなかった事を」
KP
あなたは彼を見つけ出した。
もう見失う事はないだろう。
☆ 4→5

彼の瞳の奥に深い痛みが見える。
のぞき込めば、更なる深淵を垣間見る事になりそうだ。

彼の悪夢に踏み込むも自由、
ここで目を逸らすも自由だ。


DD 1/4
KP
なにげにダメージが一回分回避されました。
牧志 浩太
そう、回避されてますよね。これ。
牧志 浩太
その眼に宿る光は、俺の光だった。
動かずにはいられない。手を伸ばさずにはいられない。
手を伸ばすことを、あんなにボロボロになっても、まだ。

諦められない。

そんな、俺の。
吸い寄せられるように、痛みを宿した同じ色の片眼を覗き込んだ。
KP
あなたは彼と、あなたと見つめ合う。

彼はあなたの行動に目を見開く。

だが、周囲に渦巻いた黒い霧があなた方を押し包んだ。
牧志 浩太
邪魔するなよ、と叫んだだろう。
その声は黒い靄に包まれて消えたかもしれない。
靄の中から、その眼を見失わないように見つめ続けていようとする。
牧志 浩太
動いてしまうたちであることが「呪いのようでもある」っていう話が出てからここに来たから、互いの眼に宿る光の意味が重すぎていい……。

ダメージ入ってない状態(調子を取り戻した牧志)でここに来るのが綺麗な流れすぎる……。
KP
順番間違えちゃったからここにイベント挟みます。大事な大事なイベントだから、さすがにそれを飛ばすわけにはいかないのだ。
いい結果が出てくれる事を祈る。
牧志 浩太
ほうほうほう。一通りやって最後に残る話はもちろん……!!

KP
あなたは唐突に目を覚ます。
左腕に冷たい感触と温かい感触。
誰かが隣にいる。
それも、何だか居心地の悪くなるような視線を感じる。

脳天気なまでのヒーリーンク・ミュージック。
ピンクを基調にした白々しいほどの安らぎを演出された部屋。
柔らかで快適な寝台。
ほんのりと暖かさを感じる室温。

その中で、警戒心に満ちた顔の佐倉が、あなたを見下ろしていた。

あなたは何かをするなら【POW】×4
牧志 浩太
ですよね!!
牧志 浩太
「ああ……、佐倉さん」

偶然にも、呼んだ声の響きはあの時と似ていただろう。
知った相手を、仲間を、相棒を、友達を、呼ぶ声。

似ていて、全く違う声だった。
「おはよう」
1D100 48 【POW】 Sasa BOT 1D100→8→成功
がんばれ女神
KP
成功したーーーー!
牧志 浩太
出目が美しすぎる!!
さっきの大不調といい、出目がストーリーをきれいに作っている
KP
一山越えた。
佐倉は頑張れるかな?
牧志 浩太
どうなる佐倉さん

牧志 浩太
佐倉さんは俺のこと、まだ知らないけどさ。
知らなくても、佐倉さんは俺のこと、信じてくれたよ。

あの時も、
それから、ついさっきも。

繋がったその手に手を重ね、握る。
佐倉 光
「……は?
 ああ、波照間さんに訊いたんだな?」
KP
佐倉。あなたは不信感に駆られている。
波照間に訊いた、というにはあまりにも親しみがこもった言葉だ。
これは何かの罠ではないのか。
すぐさまこの腕にはまっている不審な腕輪を破壊して、逃げ出さなければならない。
そんな衝動に駆られている。

佐倉は衝動に抵抗するなら【POW】15×4で判定。
1D100 60 Sasa BOT 1D100→57→成功
えらいぞ女神
牧志 浩太
おおおお!!!!!!!!
KP
あぶねぇぇぇ!
よしよし、ここでダブル成功は美しいぞ。
牧志 浩太
佐倉さんも頑張った!!
「信じてくれた」の直後に佐倉さんも成功は美しい
しかもこれ、AND/HAND本編のときよりさらに親しみの籠もった言葉だっただろうなぁっていう。

KP
佐倉は困惑した顔をした。
佐倉 光
「え、あれ……変だな……前にもこんな」
KP
佐倉は自由な方の手を額に当て、唸った。
そしてあなたを見つめて問いかけてくる。
佐倉 光
「名前。訊いてもいいですか」
牧志 浩太
「牧志。牧志浩太。
佐倉さんの友達だよ」

静かに口にした。
きっとこの佐倉さんは困惑するだろう。
それでも言いたかった。

言いたかったんだ。
KP
佐倉は一瞬、訝しそうにあなたを見、そして深呼吸をする。
佐倉 光
「知ってる……俺、だって。
忘れていた?」
KP
佐倉は腕を見下ろして苦笑いをする。
佐倉 光
「そうか。これは夢だな?
今となっちゃもう、懐かしい」
KP
腕輪は砕けて散った。
あなたと佐倉の掌が離れる。そこにはもう何もなかった。
そこはもう、あのどこか空々しい部屋ではなく、果てなき砂漠だった。

佐倉はあなたを見つめる。
それは気弱で世界の全てを憎んで怯えているような少年ではなく、
あなたがよく知る佐倉だった。
牧志 浩太
「思い出したんだな、佐倉さん。いや、ここでは最初から覚えてたのかな」
果てなき砂漠で、二人向き合った。
佐倉 光
「そうかもな。
けど夢は夢だって気付く事はなかなかないんだ。
また色々迷惑かけたんじゃないかな、俺」
KP
佐倉は小さなため息をついた。
牧志 浩太
「迷惑かけたのは俺だって一緒だし、それに、目を覚ましてる時に随分助けてももらったよ。
今回のことでさ、色々整理がついたような気もするんだ」

佐倉の言葉を聞いて、いつものように笑う。
肩の力は柔らかく抜けて、そこには気負いも、疲労の影もなかった。
佐倉 光
「なあ、牧志……迷惑ついでに頼む。

俺が頼むのは無責任かも知れない。けれど俺にはどうすることもできないから。

あいつを見えもしない、信じ切る事もできない、それでも俺もあいつを助けたい。
妄執と言われようが、幻と言われようが、諦めたくないんだ」
KP
佐倉はあなたの目をまっすぐに見て言う。
佐倉 光
「もう一人のお前を、あいつを助けてくれ」
牧志 浩太
「勿論。俺だってあいつを助けたい。
佐倉さん、ありがとう。俺を助けたいって望んでくれて。
あの時、俺を助けてくれて。ここに、いさせてくれて」

一度離れた手を、再び伸ばす。
彼の手を取って、そして二人で前を向くために。
KP
強いられてではなく手を触れる。
つなぐ。
あなたを見つめる目が、隻眼のあなたと重なる。
覚醒予定 9時
佐倉 MP 15/15(21/4)
   SAN 57(9/13)
牧志 MP 12/12
   SAN 59
☆ 5
DD 2/4
KP
これ失敗してたら腕輪ガチャーンしてふたりとも死ぬ夢見てましたからね……
一応一回の失敗なら補助入る予定ではあったけど、自力成功は美しい。
牧志 浩太
それでも牧志は揺るがなかっただろうけど、ここでダブル成功は美しい。
KP
お陰で正気の佐倉の口からちゃんとお願いする機会ができたね……
牧志 浩太
しかもダメージ回避したおかげで牧志もMP最大の状態で、互いに正気で向き合えるのが美しすぎる

KP
奇妙な音が聞こえる。
それは意識を冒し、精神を冒す。
周囲はまともに見えない。
視界は最早蠢く影に覆われて何も見えない。
全身に痛みが走った、かと思えば笑い出したいほどの快楽が訪れる。
全身が少しずつ切り刻まれてバラバラになって行く感覚と、どこまでも膨れ上がって行く感覚が同時に訪れ思考を引き裂く。
えずくような目に染みるほどの異臭、だがもっと吸い込みたいと思えるような気もする。
一瞬たりとまともに考える事はできない。
そんな中で、あなたはその暴力のような感覚に溺れながら喘いでいた。
誰かを救いたいと思った。世界を守りたいと願った。
同時に、全てを破壊したい衝動に駆られ、何もかも捨てて逃げ出したいと叫んだ。

あなたの意志とは関係なく、世界が生まれ変わってゆく。あなたの精神の有り様をうつして、歪めてゆく。

聴覚からはみ出して吐き気と目眩と頭痛を齎す音楽の向こうで、誰かが叫んでいた。
SANチェック成功時減少 1D3失敗時減少 1D8
1D100 58 佐倉《SANチェック》 Sasa BOT 1D100→75→失敗
1D8 Sasa BOT 1D8→2
SAN 57→55
KP
存在の認識はできないのに、悪夢はきっちり伝播して影響受ける理不尽。
牧志 浩太
転換した。

理解しがたい音が聴覚から入って精神を侵す。無数の蠢く影が視覚から入って意識を冒す。ぶつぶつと泡立つ感覚が神経に絡みつき駆け上る。内側から押し開かれ無限に膨らんで自他の境界を蝕かす。頭蓋の内側で感覚が暴走する。あらゆる入力が思考を搔き乱し掻き混ぜる。脳を直接掻き混ぜられているような不快感と快感に泣き叫んだ。あらゆる出力が入力と繋がって無限にループする。

溺れて、

溺れ続ける。
暴走する感覚の中で溺れ続ける。

誰かが叫んでいた。
夢だと、悪夢だと思おうとした、その意識も暴走する感覚の中にちぎれて散る。

誰かが叫んでいた。
その声を捕まえたいと望んだ。

その望みも暴走する感覚の中にちぎれて、
1D100 60 《SANチェック》 Sasa BOT 1D100→54→成功
1D3 Sasa BOT 1D3→2
SAN 59 → 57
それでも捕まえたいと望んだ。
KP
あなたは何かをしたいと望むなら、
【POW】平目で振ること。
ただし、誰かの【POW】12との合算となる。
また、☆の数値5の2倍を補正値として加えても良い。
KP
ここは追加ステージです。クリアには影響しません。
Dreams of an absolution です。
牧志 浩太
1D100 34 Sasa BOT 1D100→79→失敗
牧志 浩太
残念!
めちゃくちゃ気になるから成功してたらどうなってたのか、終了後に教えてください……。(想像はするけど合ってるかわからない)

KP
これは永遠に変わらない夢だ。
すでに起きてしまった過去なのだから。

あなたは狂った。
ともに世界も狂って崩壊した。
友の声はあなたに届かず、
あなたはひとり、誰もいない世界に戻された。

家族も、友人も、
それどころか生命一つない空虚な砂漠へ。
牧志 浩太
(ああ、)

藻掻いた。
喘いだ。
泣いた。
手を、伸ばした。

(そう、か、俺)

伸ばした手が、暴走する感覚の向こうに伸ばされて……、落ちた。

(──失敗、しちゃったんだ)
KP
少しずつ少しずつすり減って行く心を抱えて、
永劫の牢獄を彷徨い、たまに夢を見る。
かつての世界の記憶が色あせて形を失って行く中で、
ただひとつ変わる事などありはしない、あの日の夢を。
牧志 浩太
ああ、そうか。

俺は。
ずっと、夢を見ていたんだ。
あの日の夢を。

あの、ずっとずっと忘れることのない日の夢を。
KP
延々と繰り返すその輪の中で、
隻眼隻腕のあなたが「ありがとう」と呟いた気がした。
牧志 浩太
歩いて、歩いて、足跡ばかりを砂に遺して。
乾いて、乾いて。
もう殆ど動かなくなった心に、誰かの声が聞こえた気がした。
KP
両者MPに1D6ダメージ。
DD 4/4
牧志 浩太
1D6 Sasa BOT 1D6→5
KP
1D6 Sasa BOT 1D6→1
覚醒予定 9時
佐倉 MP 15→14/15(21/4)
   SAN 55(9/13)
牧志 MP 12→7/12
   SAN 57
☆ 5
DD 4/4
繰り返す悪夢
牧志 浩太
ああ~~~そういうことか 彼の夢……
KP
今日はこれで目が覚めたとこでオワリだ。
寝ようね!!
牧志 浩太
ですね!! 明日は平日!!
KP
あとはエンディングへまっしぐらですね。
牧志 浩太
せっかくの置き卓、エンディングもみっちり描写したいですね
波照間とかアッタさんとかラミアさんとか、関係者の多い話でもあったし。
(あと出てないのにキーパーソンな東浪見をちょっと出したい)
KP
牧志君、佐倉に付き合って家に閉じこもってるし、ちょっと様子見に来てもおかしくないですよ!
牧志 浩太
そうそう、四日間あるから大学休んでたりなにかしらしているはずなんですよね。その直前は夜まで人探しをしていたようですし。
心配した東浪見が差し入れ持ってきそう。
それにしても、悪夢とはいえコラジンになる感覚とか永遠の牢獄を彷徨う長い長い時間の感覚とかを体験してしまった牧志の明日はどっちだ。
KP
あくまで夢だから大分《SANチェック》控えめだったけどね。
牧志 浩太
強烈にリアルな夢とはいえ「そんな夢を見た」だけではありますもんね。
KP
強烈にリアルだから精神的ショックはそれなりにあるし、自分の悪夢の原因になる可能性はあるけど。
牧志 浩太
牧志が普段見る夢の内容とか、狂気に陥った時にフラッシュバックする幻の内容にバリエーションが増えてしまう。
KP
色々取りそろえましたので、ご自由にお持ちください……
今回もイルカが笑い転げてそうだな。
牧志 浩太
SAN77→58まで減る夢は強烈だよなぁ。わーい頂いていきます。
某イルカ、だからオモチャ観察はやめられないとまらないなぁ~って笑い転げてそう。
あそこで〈機械修理〉成功する牧志は本当に意地だし強いしすごいけど、よからぬ因果を感じてしまいもするわけで。
KP
そういう機械について理解できてしまう、というのは、ねぇ。
もう彼はとっくに踏み越えかけて、危ういバランスの上にいるのかもしれない。
牧志 浩太
なんですよねぇ。夢の中とはいえ、「それ」を理解してしまった。神話知識といい、佐倉さんより波照間より、ある意味ずっと危ういのかもしれない。

ひとこと
佐倉 光
常に順調とは行かない。全てが救えるわけではない。
それでも抵抗し続ける事に意味があるのだ。

まさかここで三連続失敗するとは……!
物語的に絶妙なところにあまりにもできすぎた悪夢が追加され、KPは手を合わせてしまうのでした。嗚呼、紅さん……


CoC『AND/HAND』佐倉&牧志 3

「牧志。この一件、『貸し』な」

CoC『Switch』子供佐倉&牧志 2

「高度に発展した科学は魔法と変わらないなんて言うけど、高度に発展した魔法はどうなんだろうな」
「割と興味あるテーマだけど後にしようぜ。一応何がいるかわかんねぇし」

【置】CoC『眼窩に祝福』 佐倉&牧志 1

「いつ!? 何があったんだよ!?」
「あー……、そうなるよな。また何かに巻き込まれたみたいなんだ、俺達」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


ゆうやけこやけ 第四話『ふたりのかげ』の一

みんなで自己紹介

ゆうやけこやけ『たからもの』

こどももTRPG たからもの

【置】CoC『えっ? 手のひらから唐揚げ出せるんですか?』 佐倉&牧志(塔) 1

「クイ……テー……カラ……アゲ……
喰いてぇ……唐揚げェっ! 
ニクやマガツヒと違って唐揚げは来ねぇんだよ……どうして唐揚げは来ないッ!」