こちらはオリジナルシナリオですが、『1100』のネタバレがあります。
※他のシナリオにも言及していますが、明言されていないものなどは除外しています。



KP
ネタバレになっちゃうかもだったのでボッケボケにしていた、シナリオのイメージ画像です。(トップ絵背景のヤツ)
AIさんに「大勢の人影」をテーマに描いてもらったら何故か一部光らせてくれました。
KP
こっちの方が周囲のヤツに敵感あるから迷ったけど、想定隻眼牧志さん両腕あるし謎の鍋ぶらさげてるからやめた。
なんも指定いれてないのに、「主人公」らしきものを作ってくれるの何なんだろうなぁ。
牧志 浩太
うおおおおかっこいい!!!!
こんなイメージ映像だったんだ。今見るとシナリオ中のシーンと光景が重なりますね……
1番目の方がどこか穏やかでそれらしい気がします。

KP
目が、覚めた。
そこは無の空間でも灰色の砂漠でもなく、あなたの部屋だった。
牧志 浩太
「……」
しばらくの間、感覚と意識が元に戻らなかった。

個として存在していることに意識がついていかない。息をしている肉体を感じたまま、ぽかりと眼を開けて天井を見上げていた。
KP
世界の全てを喰らったような、また自分自身が溶けて散ったような、
そんな感覚が微睡む意識を夢の残滓に引きずっていた。
その悪夢はあまりにも重すぎた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは目覚めた。
あなたには周囲の全てが記憶にあるようで記憶にない。
この部屋は知っているのに知らない。
床で眠っている青年には見覚えがあり、自分を助けてくれている人だとは分かるのに、まったく覚えがない。
あなたはおおいに混乱するだろう。
佐倉 光
僕はどうしてここにいる?
KP
分からない。
あなたは自分自身のことですら満足に分からない。
今まで何をしてきたかも、自分に何ができるのかも、自分が何をすべきだったかも。

ただ分かるのは、周囲の人々が苦しむなら、何かをエゴで守ろうとしたあなたのせいである、ということだけだ。

あなたはこの世界にいて良い場所などないと強く感じるだろう。
あなたの話を聞く者も、あなたのことを思う者も、この世界には存在しない。

牧志 浩太
手を、伸ばす。
自分の拳を視界の中心に捉えて、数度、握って、開く。

視界の中央に見えているそれが、自分の意識に従って動くことを、確認する。

そこから流れ込んでくるフィードバックを、掌の感触と再認識する。
皮膚が引っ張られる感覚を、神経の信号を、連動して動く手の甲を、一連の動作を頭の中で再構成する。

それでようやく、自分が床の上に横たわっている人間で、暗い部屋の中で手を伸ばしていることを認識できた。
KP
時計を見るなら時刻は真夜中の0時。
きっかり4時間が経過している。
「……あの」
おずおずとした声が耳に届く。
佐倉 光
「顔色すごく悪いですけど、大丈夫ですか」
KP
ベッドに座って心配そうにあなたを見ていたのは、
いつもより幼く小さく見える佐倉だった。
牧志 浩太
「……あ……、佐倉さん、おはよう」

喉がからからに渇いていた。
彼の顔を見た瞬間、ほろりと涙がこぼれた。

「俺は大丈夫、たぶん……。佐倉さん、俺の名前、まだ覚えてる?」

口調が変わっていることに、その自信のなさそうな様子に気づいて確認する。
どれだけ夢の中で防いでも、事態が少しずつ悪化していっているのを感じた。

それでも、
あいつを見つけたことは、きちんと覚えていた。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
知らない。知っているような気がする。分からない。
頭の中がぐちゃぐちゃだ。
なんて答えればいいんだ。
なんて答えれば機嫌を損ねずに済むだろう。

KP
あなたに言われて、佐倉は少し泣きそうな顔をした。
佐倉 光
「名前……すみません。
やっぱり僕たち知り合いなんですよね?
そんな気は、します。ごめんなさい」
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
口にする言葉が与える影響を恐れながら一言一言口にする。
KP
戦う力もなく、自分が何者なのかも分からない。
目の前の人間が本当に味方なのかもよく分からない。
間違った言葉を口にしたが最後、見捨てられるかも知れない。
何故かそんな恐怖がつきまとっていた。

KP
その全てに怯えているような態度を、どこかで見たような気がした。
佐倉 光
「僕が壊れていて、あなたや、ほかの誰かが
必死に助けてくれようとしている、っていうことは、分かるから」
牧志 浩太
サマナーになってからの記憶を忘れてしまったのかなぁ
KP
サマナーになって得た自信・自尊心、それに伴う他者への信頼や世界への希望を失い、そこに「なんだかしらんけど命懸けの迷惑をかけているらしい」っていう罪悪感が乗ってる感じです。
佐倉が同時にどんどんぶっ壊れていくせいで、牧志くんが自分の感情を消化したり落ち着かせたりする暇がなくて申し訳ないな!
牧志 浩太
なるほどなぁ……
佐倉さんがサマナーになって、仲間たちと駆けて、そして牧志と知り合って得たものの大きさを感じる。

いいんですよ、むしろ実感してしまう前に疾走していた方が走れるかもしれないし!
牧志 浩太
「そっか。
いや、大丈夫。俺は牧志、改めてよろしく」

どこか幼く小さく見える彼に、身を起こして向き合う。
そこに、いつもの彼の眼に宿る力と傲慢さはなかった。

ふと思い出したのは、息を切らせて苦しそうに四つ辻にうずくまる彼の姿だった。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
それが望みだったような気がするのに、見られることが恐ろしかった。
佐倉 光
自分がどうしたいかすら分からない。

牧志 浩太
「俺達が佐倉さんの知り合いだってこと、覚えてくれててよかった。その方が落ち着くだろうし」
KP
佐倉は怯えたように壁に貼り付き、視線を彷徨わせて頭を抱えている。
まるで今すぐに逃げ出さなければならないような何者かに囲まれてでもいるかのようだ。
佐倉 光
「どういう知り合いとか忘れてしまっている、ってことは分かります。
それから、色々なことが僕の我が儘のせいだ、ってことは覚えてます。
だけど、何をしたかったとか、どうしてそうしなきゃならないと思ったとか、
そういうのはあまり覚えてないんだ。
何か、守りたい物があったと思うのに、
大事なことだったはずなのに、
ごめんなさい、牧志さん」
KP
佐倉は極度に怯えて自信を失っているが、あなたを疑ったり逃げ出したりする様子はない。
牧志 浩太
怯えて縮こまる様子に、無意識にか少し声が穏やかになる。
「いいよ、大丈夫。
佐倉さんが忘れてても、俺が覚えてる。

佐倉さんが守りたかったものは、俺にとっても守りたいものなんだ。だから、大丈夫」

そこまで言って、ふぁ、と欠伸をする。四時間睡眠が連続したせいか、少し眠い。

手元にある薬は、もうあと2服になっていた。仮眠取ってから追加を作るか、追加作ってから一度寝るか、このまままた夢の世界に戻ってあいつを探して、なくなってから考えるか……。
眠気の残る頭の隅で考える。

と、その前に。

「麦茶淹れるけど、飲む?」

目の前の彼に、何か温かくて落ち着くものを与えたくなった。同時に喉の渇きを思い出す。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたはそれを聞いて、酷く喉が渇いていることを思い出す。
佐倉 光
そもそもこの人は何の得があって僕を助けてくれるんだ?
もし見捨てられたら僕はどうなるんだろう。
KP
何故か体に負っているらしい酷い怪我がずきずきと痛んだ。

お茶
牧志 浩太
カフェインに弱いからあんまりお茶にバリエーションがない牧志んち。

そもそもあまり飲み物を開拓していないという面が強いんですが、波照間の影響でアルコール飲み物については色々嗜むようになったし、ものを味わうことは好きなので、お茶も知る機会があれば楽しむようになるかも。
KP
ペットボトル飲み比べは本当に面白いのでおすすめしたい。
牧志 浩太
こないだ品種・時期指定の面白いお茶がコンビニにあって、美味しかったのでこれだ!!!! と思ったら一瞬でなくなっちゃったんですよねぇ。スン。

佐倉 光
「うん、はい。飲みたいです。すみません、ありがとうございます……」
KP
一言ごとに謝りながら、佐倉は眠そうにふらふらしながらベッドから降りた。
牧志 浩太
彼に背を向けて、シンクの下の戸棚を探ろうとする。
と、手元がふらつくのを自覚して、湯を沸かすのは思いとどまる。

冷蔵庫からいつものポットを取り出して、冷たい麦茶を注ぐとレンジで温めた。

一言ごとに謝る様子に、少し居心地の悪さを感じる。程よい温度になったことを確認してマグカップを渡した。
KP
お茶を飲みながら問いかけてくる。
佐倉 光
「どうして助けてくれるんですか?」
牧志 浩太
「佐倉さんを助けたいからかな」

どうして、と聞かれて、少し眠い頭ではその問いの意味を掴み損ねた。当然のことを聞かれている。
KP
佐倉はいまいち腑に落ちない、という顔をした。
自分に助けて貰えるような価値などないのに、と言いたげな顔で、
茶を啜って美味しい、とため息をついた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
不安しかない心の中に、ようやく暖かさが降りてくる。
少なくとも、目の前の青年の好意は信じては良いのではないか、そんな気がしてきた。

少し余裕ができると、牧志の様子がおかしいのに気付く。

KP
それからあなたの顔をじっと見て、躊躇いながら話しかけてくる。
佐倉 光
「牧志さん、休んだ方がいいと思います……
怖い顔してたし。悪い夢でも見たんですか?」
牧志 浩太
「そっか、そんなに顔色が悪かったか……。悪い夢、というか、悪い夢ではあるけど、いい夢でもあったかな。

悪夢ではあるけど、前進もしている、っていうか」

言葉を探す。いまの彼に状況を話すべきか少し迷って、結局手短に話した。

佐倉さんと一緒に行動していたい思いの方が強かったらしい。当惑させてしまうかもしれないな、とはどこかで思っていた。

佐倉さんと一緒に前を向いていられない、っていうのは、結構来るみたいだ。
🎲 Secret Dice 🎲
KP
Sasa BOT 1d100→7→成功

やらかした
思ったより話が長くなったので、色々シナリオ整理と、裏で起きていたことのメモ兼ねて、このシナリオについてのネタバレ全開記事を書いていたのですが、ミスってうっかり四時間ほど表に表示しちゃってました……
このシナリオをどう作ったか、みたいな話から事件の真相の一部まで、未整理とはいえ書いちゃっていました。
KP
超絶間違えて書いてる途中のネタバレメモ公開してたことに気付いた阿呆なキノコは私です。
どこまで書いてたっけなーーーー致命的なヤツかましてたかなーーーー
牧志 浩太
あっやっぱり
敵の正体だけうっかり見てしまって「ああーーーーーあれーーーー!! すげーーーー!!」ってなりました 発想がすごいしそれをメガテンたっぷりのシナリオに違和感なく落とし込んでるのがほんとにすごい 楽しませていただいております(これ以上話してネタバレ誘引しちゃってもなんなので、終了後にめっちゃお話したい)

それ以上のこととか、ギミックの正体とかは書いてなかったので大丈夫!!
KP
ま、まあ、概ねのネタバレはシナリオ中でやった後だったし、そこだけは救いかな!!
なんかごめんなさい。
牧志 浩太
いえいえ! 書いてる範囲のことは大体見えた後でよかった
KP
自分用にもシナリオ整理してたもんだから!
牧志 浩太
なるほど!
公開済みの新しい記事があると迷いなく読んでしまう習性のせいで
無事終われたらたっぷりネタバレや分岐を搾り取りたいです 気になることが多すぎる
KP
私も「こんなシーン見たいなー」だけで行き当たりばったりでやってるシーンが多いですからっ
牧志 浩太
なるほど決まってるわけではなかった! 描写がもう深くて楽しくて楽しくて好きです
KP
牧志君が頑張ってくれて、それはそれですごく嬉しいけど失敗も見てぇなぁ! って贅沢な悩みでニマニマしながらやっています!
牧志 浩太
わかるんですよ!! 牧志はめちゃくちゃ頑張っててすごいしやったーだけど失敗するシーンも見てみたい
KP
おかしいなぁダンスと同じ確率なのに。
牧志 浩太
あの時といい、こうなるべくしてなっているんじゃないかというダイスですごい
KP
今のところ全部成功してますよね、「行動」
牧志 浩太
そうなんですよ。牧志がめちゃくちゃ頑張っている。
「動くたち」を自称するだけある。
KP
牧志の意地か……。

ダメージ
牧志 浩太
あと表で牧志の意外なダメージポイントが見えてるなと思ってまして
佐倉さんと共に行動することさえできれば、佐倉さんに忘れられようと案外気に病まないし、自分の望みで強引に動けるんだけど、
佐倉さんと一緒に前を向けないとダメージ受けるんだなって。序盤の探し回ってた時もそうでしたし。
KP
なるほど、事情を知らなくても記憶がなくても、
改めて事情説明して納得して隣に立ってくれるならいけると。

でもそれは何となく分かる気はしますねー
牧志君らしいなって気がします。
だから対の棲みかで佐倉が逃げだそうとしたときちょっと強引だったのかな。
あれは自分のためでもあったのか。
牧志 浩太
そうそう。いまここで共に前を向くことができれば行ける。

対の棲みかの時は、佐倉さんが望みをはっきりと託してくれていたから強引になれた気がしますね。あと、あの時より地味に牧志にダメージが蓄積しているのもありそう。
あの時は佐倉さんはだいぶやられていたけど、牧志の方はやられてなかったので。
KP
夢とは言え結構酷い目に遭ってますからねー
牧志 浩太
感覚の混乱を繰り返し受けてるのと、コラジンの夢のダメージがだいぶ大きかった。
KP
牧志君があまりにも賢い行動取ったから、流れで。
牧志 浩太
わーい。
悪夢とはいえ、あらゆるものを取り込み拡大し還元し顕現する感覚を知ってしまった牧志の明日はどっちだ。
そんな地味なダメージを見透かされる!!
しかし、「どうして助けてくれるんですか」って問いの意味を掴み損ねるあたり、ほんとに牧志だな……。と思います。
そこに理由が必要なものだと思っていないな?
KP
佐倉は佐倉で理由もなく助けてくれるはずがないと思ってるからなぁ。
牧志 浩太
眠さとダメージのせいで「理由もなく助けてくれるはずがないと思って聞いている」ってとこまで掴みきれていなくて、その結果いまいち通じあわない。

KP
佐倉ははっきりと当惑していた。
佐倉 光
「すみません、ちょっと信じられない。
だけど牧志さんが嘘をついているとも思えません」
KP
佐倉は暫く黙り込む。ややあって考え考え呟いた。
佐倉 光
「僕は僕を信じられないですけど、
牧志さんは信じられると思います」
KP
あなたの目を見つめ、いつかと似たようなことを、もっと気弱な笑みで言った。
佐倉 光
「でも、それじゃあちゃんと休んだ方がいいと思います。
それはただの夢じゃなくて、僕を壊した夢なんだ。
牧志さんも壊れちゃったら取り返しがつかない」
牧志 浩太
真っ直ぐこちらを見て発せられた言葉に、ふ、と息を吐く。

ああ、どこかで確かにほっとしていた。共に歩んでくれようとしていることに。
「確かに、そうだな。四時間睡眠も二日になると結構きついし、頭が回ってない自覚もある」

そこでようやく、不安に駆られていたのだと自覚した。佐倉さんを放って寝てしまったら、夢の中で死ぬ佐倉さんを見捨てるのが怖かった。

でも、それじゃいけない。
目的は夢の中で死ぬ佐倉さんを救うことじゃなくて、いまここにいる佐倉さんと俺を助けることだ。
「ありがとう、佐倉さん。ちょっと休むことにするよ」

一度点けた部屋の電気を落とす。
「お休み」

毛布にくるまって目を閉じる。

※MP全快するまで、薬を使わずに寝直します。
KP
はーい。1時間1MP回復します。5時間の睡眠ですね。
薬の分と合わせて合計9時間寝れば牧志は元気になるでしょう。

佐倉はどうしようかな。
MPだいぶ減ってるけど眠いんだよな。
1d100 【CON】×3 18 Sasa BOT 1d100→52→失敗
佐倉視点(ネタバレ)
KP
聞いた話によれば、眠るのがまずいのは分かっている。
それに、知っているような知らないような場所、知っているような知らないような人の隣で眠るのは、何となく怖かった。
かといって一人でいると不安が押し寄せてくる。
様々な恐ろしい場面が、知らない人々の顔が浮かぶ。
寒気が襲い、体が震える。視界が揺らぐ。

思考を妨げる記憶の断片に溺れるようにして、毛布をかぶって壁に貼り付いていた。
何かで気を紛らわせたいと思ったが、自分の物の筈のPCは、まず立ち上げることができなかった。

何か本やテレビなどで気を紛らわせようかとも思ったが、部屋の物に勝手に触れるのも怖かった。

やがてあなたは強烈な睡魔に襲われた。
佐倉 光
眠っちゃいけない、眠ってしまったら……
KP
抵抗空しく、あなたは力尽きて眠りに落ちる。

KP
1d6 Sasa BOT 1d6→3
1d3 Sasa BOT 1d3→3
むむ。削られるぅ
佐倉 MP 6→3/15(17/3)
   SAN 60(8/13)
牧志 MP 12/12
   SAN 63
☆ 3
DD 1/4
牧志 浩太
牧志がスヤスヤしてる間に佐倉さんが大変なことに!!
KP
まあ6出なかったからヨシ。
牧志 浩太
DDこれ佐倉さん側の何らかのポイントかぁ。
KP
大体見えてきたことですし、各パラメーターについて提示しましょうか。
牧志 浩太
おっ。
KP
まずDDは、ドリームダメージ。一日に悪夢で攻撃を受ける回数です。
牧志はダメージを受けてもただMPが減るだけですが、佐倉はそれでMPが減ると、右の数値が蓄積します。
それが増えすぎると弊害が出ます。
で、MPダメージがかさむとSANにもダメージが来て、一定量(13)溜まるとなんか起きます。
牧志のが併記してあるのは単にその方が便利そうだからですね。
で、☆は貯めると良いことあります。
そんな感じですね!
牧志 浩太
怖い! 見てみたい! だが怖い!! >弊害
ありがとうございます! ☆はそうだよなーとは思ってたし数値なんか増えてるのは怖かったしギミックが楽しい こわい 楽しい
KP
あ、二人ともMP尽きると睡眠によってMP回復するまで目が覚めなくなっちゃうので注意。
牧志 浩太
ですよね気絶するよな。
KP
で、寝るとMPにダメージ受ける佐倉が0になるとどうなるの? って話ですね。
牧志 浩太
ですね。そこなんだよな。

KP
朝方、あなたは夢を見た。
それはからくりがひしめく世界で、
独りぼっちで彷徨うロボットの夢だった。

人間だった頃の姿を残し、
それでも感情を表す機能を持たないその機械は、
からくりの間を延々と彷徨い続けていた。
体が動かなくなるその日まで、
そのロボットは光を探し続けるのだろうと思われた。

だが突然それは動きを止める。
歯車が軋む音を立て、パーツがねじ切れる音がし
訪れる者のない世界でロボットは止まった。
その目は見開いて、ただ空をうつしていた。
彼が何を思ったにせよ、それは外からでは計り知れないことだった。

KP
あなたが目覚めると、佐倉がベッドの上で呻いていた。
牧志 浩太
機械の駆動音がひしめくくせに、痛みを感じるほどに静かなその世界の余韻が、起きてしばらく残っていた。

首筋を這う痣が微かに痛んだ。
あの冷たさを、途方に暮れるような静寂を俺は知っている。
こすう
牧志 浩太
佐倉さんのMPがまずいし、先に薬の再作成をやってその間に佐倉さんには休んでいてもらうかなぁ。
佐倉さんのMPが全快するまでの12時間でMP9消費して薬を6服作って、残りの7時間を休養に宛ててMP11まで回復、あとは手持ちの薬8服=16時間分で適宜MP回復しつつ夢ラッシュ。

11消費して8服作ってもいいけど、適宜MP回復を挟むことを考えると使い切れない気がする。
KP
あと☆の個数そんなに多くないから大丈夫。
30個集めてこいとか言わないから!
牧志 浩太
30個だったら仲間全員で挑まなきゃ足りない!
6出なくてよかった……。
KP
あ、佐倉が気絶状態になった場合も薬を流し込んで無理矢理飲ませることはできます。
牧志 浩太
ほうほう。
でも起きられなくなるよなぁ。
覚醒の世界の佐倉さんも見たいから、やっぱり6出なくてよかった。
KP
あと意識のない相手に液体呑ませるの危ないからね。
牧志 浩太
それはそう。
KP
安全に薬を摂取させるために鼻から点滴突っ込む牧志はいなかった。
牧志 浩太
さすがに〈医学〉の技能値と道具が足らない!!

牧志 浩太
「佐倉さん、おはよう」
呻いている彼を軽く揺り起こす。
KP
佐倉はあなたに起こされて、かっと目を開いてあなたを見ると、
あなたに縋るようにその手を掴んで感覚を確かめ、ぐしゃりと顔を歪めた。
佐倉 光
「ま……牧志さん!
ああ、ありがとう、ずっとあのままかと、本当に……
あんなの、病院にいた方がずっとマシだ。
寝る気なんかなかったのに」
KP
佐倉はひどく震えていた。
怪我のある状態で無理をしているせいか、少し熱もあるようだ。
牧志 浩太
汗をかいた手の感触に、縋り返すように手を握った。

「呼び戻せてよかった。佐倉さんも、しばらくちゃんと寝てなかったもんな、……、」

謝りかけて声を呑み込む。あの時はそうするべきだった、と判断したんだ。
……何か取り返しのつかないことになっていたかもしれないような、酷く嫌な感覚が、掴んだ手を少し震わせた。

「少し熱があるな。何か、消化にいい物でも作るよ。朝食にしよう。

その後、俺は薬作りをするから、佐倉さんは休んでて。一応ゆっくり寝たわけだから、今度は大丈夫だと思うんだ。

そうだ。俺のタブレットPC、使う?」

言いながら、冷凍庫から氷枕を取り出してタオルで巻く。
タブレットPCのロックを解除して、佐倉さんの傍らに置いた。
みちゃう?
牧志 浩太
「牧志の」だし、スマートフォンと同期してそうだから、メッセージ履歴やら漫画やら大学のレポートやら色々入ってそう。>牧志のタブレットPC
KP
佐倉こんな状態ですけど、好奇心はありますよ!
貸し方によっては見るかもね!
ノーガードッ!
牧志 浩太
じゃあ言いながら置いてしまおう。
Yesノーガード。佐倉さんと俺しかいないしって言ってる。
KP
佐倉自身のPCはもう使えないかもしんないなぁ、セキュリティ厳しくて。
牧志 浩太
ああー、パスワードもセキュリティの解除方法も、もう覚えていないのか。
KP
記憶はないけどテンキーがないのに軽く戸惑いそう。
F5F5……
牧志 浩太
戸惑いそう。間違ってFnキー押しそう。

KP
佐倉はあなたの声を聞き顔を見ているうちに落ち着いてきたようだ。
佐倉 光
「すみません、ありがとう。
僕は寝ると余計疲れるみたいで、
まるで沼に引き込まれるみたいに
もう目が覚めないような気がして怖くて」
KP
あなたが置いてくれたタブレットPCに触れてほっとしたように息をつく。
佐倉 光
「お借りします。寝ないように休まないと」
牧志 浩太
「しばらく手が塞がってるけど、その後はもし、佐倉さんが寝そうなら起こすよ。俺もしばらく休みたいし」

氷枕を彼の頭の下に敷く。
ことさらに大丈夫、とも、好きにしていい、とも言わなかったが、その声は弱ったものに対する柔らかさを宿していた。

KP
佐倉は全快まで12時間かな。
食事やらなんやらで1時間経つと考えて、薬作りで5時間。6MPは回復しますね。
牧志 浩太
※残り48時間-9時間で、現在残り39時間。
ここから5時間かけて、薬を4服(MP7/SAN2消費)作ります。
で、残り7時間で休養してMPを7回復、MP12(全快)まで戻します。
ここで12時間経過しているので、佐倉さんのMPも全快。

これで薬6服、残り27時間?
薬で眠る分で12時間消費するとして、間に1回回復を挟んでちょうどくらいかな…… という計算で合ってますか?
KP
一服4時間の睡眠時間になるので、ダメージ次第ではあるけどフルに使えますね。
結構休養取る時間もありそう。
牧志 浩太
☆がどれくらい必要かがちょっと怖いけど、ではこれで行きます。
佐倉さんが牧志のタブレットPC見るなら、 少し描写したいかも
メインPC交代しかけた
KP
あ、ネタバレ見たならお気づきでしょうが、万一牧志君が入れ物作りに行っちゃって、波照間さんが佐倉と夢を共有したとしても、波照間さんには隻眼牧志君の見分けがつかないので結構大変なことになってました。(☆取得の難易度が上がる)
それはさすがにクリア不能になりそうだったのでお節介しました。

……が、アッタ、「オマエの目で危ないと思ったら連れてこい」って言ってたのに、波照間さん缶詰になっちゃったら判断できないじゃないの……
牧志 浩太
ですよね!! アッタさんありがとうございます!! 
それに、ここで牧志と佐倉さんの思い出とifを共有するのが、ここで片目くんを探しに行くのが波照間じゃしまらないですしね。
このifを見るのは、片目くんの手を掴もうとするのは、死の夢の中でもがくのはやっぱり牧志じゃないと。
波照間は「佐倉さんが守ろうとしていた人であって、もうひとりの牧志」のことを聞くことはできても、片目くんを直接知らないし、その実感もないし。
アッタさんとKPありがとう!!
三日後の波照間はよれよれになってそうだし髭(薄そうだけど)伸びてそう。
KP
さすがにこの話で波照間さんメインは違うよなぁ、とおもいました。
あと佐倉死んでたらこの話どうしたらいいんだ、とも思いましたね!
牧志 浩太
ですね。この話は牧志メインでこそ!! 
あと佐倉さん死ななくてよかった!!!!!
これは佐倉さん死んじゃってたらできないよなぁ。生きててよかった……!!

KP
食事が終ると、
佐倉はあなたが出してくれた氷枕に頭を乗せ、
タブレットPCを興味津々見つめている。
たまに物言いたげな目であなたを見つめている気配がした。
だが結局何も言わずにPCに視線を戻す。
※これ見ていいかな、訊いた方が良いかな……忙しそうだな。って随分迷ってから結局見てる。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは情報に触れて何故かとても安堵する。
情報が頭に入ると、色々なことが繋がり整理される気がして、理由の分からない不安が薄れて行く気がした。
佐倉 光
もっと知りたい。
KP
その欲望は、全てが不確かになったあなたの中で唯一の力だった。

牧志 浩太
食事が終わって一息つくと、すぐに薬作りに取り掛かる。
繰り返す二度目の呪文は、前よりも少し「作業」のような、「慣れている」ような、不思議な感覚がした。

もの言いたげな視線にこそ気づいたものの、きっと振り返る余裕はなかっただろう。

シンプルなカバーのかかったタブレットPCには、カバー一体型の薄い外付けキーボードがついている。キーピッチの長さは十分にあるものの、押した感触は薄く、テンキーや一部のファンクションキーがない。
本格的なコーディングをするには物足りないと感じるかもしれない。
佐倉 光
(ちょっと使いにくいな。思ったところにキーがない……)
人のPCなんてそんな物かも知れない。
しかし先ほど自分のPCに触れてみたら立ち上げることすらできなかったのを思い出す。
牧志 浩太
中を見ると、動画サイトへのリンクや映画視聴サービスのアイコンがある。暁月ミント公式チャンネル、と書かれたアイコンがあった。ファンなのか、アルバムも買っているらしい。
佐倉 光
なんとなく触れた動画は、チャーミングな女性が明るい歌を歌うものだった。
なんとなく知っているような気もして、そのひとの動画を漁ってしまう。
なんだか心が安らいだ気がした。
牧志 浩太
触れた動画から流れ出す音楽。明るく華やかな声に惹かれて遡っていけば、以前のハロウィン・サプライズライブの動画に行き当たる。
デビュー曲のアップテンポな、それでいてどこか寂しそうな響きからは、終わった恋の香りがした。
電子書籍のアプリに漫画が入っているのと、雑誌がいくつか。それから、機械工学や電子工学の本、歴史の本、たまにオカルト本。
大学生なのか、書きかけのレポートなんかもあった。
佐倉 光
難しそうな本をパラパラと何冊か見て、
オカルト本に何か覚えがあるような気がして首をかしげて。
レポートは勝手に見るのはまずいだろうなぁと思いつつもちょっとだけ見た。
牧志 浩太
それから画面の片隅にメッセージアプリ。フレンドリストにいくつか友人らしい名前があり、その中のひとつに「佐倉さん」「波照間先輩」とある。
佐倉 光
メッセージアプリはさすがに勝手に見るのははばかられたが、「佐倉」ならいいだろう、と触れる。
自分とは到底思えない文章と、全く覚えのない出来事に眉根を寄せることしきり、何とか『これは自分だ』と思い込もうとする。
……名前が同じ別人にしか思えなかった。
ただ、牧志とこの佐倉が親友でもあり戦友でもあるのはよく分かった。

牧志 浩太
一応入れたけど、ここまで忘れてしまっていると波照間の名前には目が留まらないかな。(東浪見ともども珍しい苗字…… とは思うかもですが)
KP
おっ? 波照間さんとこ観た方が良いですか?
牧志 浩太
観てくれるならぜひ。
たぶん最初は「紅」だったのが、一度連絡を絶たれた時期のあと、新しい連絡先を教えてもらってから「波照間先輩」になってますね、登録名。
アカウント違うだろうから「紅」の履歴も残ってるかもしれない。
KP
三日後の波照間さん、どうなってるんだろうなぁ……

佐倉 光
ざっと読み終わってその情報量に少しクラクラした頭に、少し引っかかるものがあった。
『波照間』。
牧志と『佐倉』のやりとりで度々でてきた名前だ。
さすがにまずいかなと思いつつも。

興味には勝てなかった。
牧志 浩太
『波照間先輩』の履歴に触れれば、一番最初に目に入るのは、入院していた病院からいなくなったという「佐倉さん」を探す二人のやりとりだった。
焦る牧志をたしなめ、休養を促す言葉は、確かに「先輩」らしいと思える。

それから以前のやりとりを遡れば、『佐倉』とのやりとりでも出てきた介入者騒ぎの話の後、大学の授業の話や、大学と仕事の両立で忙しい話など、何気ない日常の話が増えてくる。
定期的に一緒に何か食べに行ったりしているらしい。

牧志は怪しげな薬作りの作業に没頭していて、遡るうちに履歴の一番最初まで辿り着いた。
最初の方のいくつかのメッセージだけ、牧志はたまに彼を「紅」と呼んでいるようだった。

フレンドリストの下の方に、「紅」という名前の、更新の途絶えた履歴が残っていた。
佐倉 光
情報集めだよ、情報集め。
言い訳をしながらリンクに触れ、ちらと牧志を見た。
何故かこういったことをしていると、後ろめたさよりも強い好奇心で心が軽くなる気がした。
牧志 浩太
牧志はまだこちらに背を向け、滔々と呪文を唱えている。
佐倉 光
それ以上に、自分にこれほどまでに関わってこようとする人たちのことを、もっと知りたいと思った。
牧志 浩太
更新の途絶えたその履歴は、
「紅、アドレス変えちゃったのか?」
という、寂しそうな未読のメッセージで始まっていた。
佐倉 光
喧嘩でもしたのかな?
いや、でもその後で普通にやりとりをしているな。
しかし新しいアドレスとの間の日付に少し間がある……
単に教えるの忘れてたとか、そういうやつなのかも知れないが。

一体何があったのか少し気になって、スクロールした。
牧志 浩太
その履歴は、「波照間先輩」の履歴とは少し雰囲気が異なっていた。牧志は彼を「紅」と呼び、彼は「牧志」と返す。
遡るほど、共通の話題が増える。同じ話題と過去、故郷を共有する二人の会話になっていく。

「ある夜」の話がたまに出た。遡るほど、その「夜」の話が増える。共通の認識らしいその「夜」について詳しい事は分からないが、互いにとってとても大事な思い出らしいと分かる。

「これからよろしく、紅」
「ああ、よろしく、紅。いや、牧志、かな」

そんな奇妙な呼び合い方をするメッセージで、履歴は始まっていた。
分かったことの中で一番大きな内容は、どうやら牧志が記憶をほとんど失っているらしいということだろう。
佐倉 光
(今の僕と同じか。ほんの二年くらい前。
もう昔のこと思い出しているから、あんなに優しくて落ち着いているのかな)
(想い出を共有する相手がいるって心強いんだろうな。
波照間さんは確か、牧志さんと同じように僕を助けてくれている人で、僕の同僚……なんだっけ)
牧志 浩太
それから暫く映画などを見ていると(ものすごくアホな映画が直近の履歴に入っていた)、
手が空いたらしい牧志が大きく息をついて傍らに置いた水をひったくるように飲み、それから「うわ、もう昼か」と声を上げた。
佐倉 光
「もうそんな時間か」
正直、興味深すぎて時間を意識していなかった。
映画は牧志の気が散らないように笑いをこらえるのが大変すぎた。こらえると傷に響いて痛いし。元気になったら最初からもう一度観よう、と思った。死ぬほど下らないけど気になる。

おかげで大分休めたような気がする。
後片付けを最低限手伝いながら、つい口をつく。
「牧志さんも記憶、なくしてたんですか」
牧志 浩太
「ん? あ、そうか、先輩の履歴か。
うん、そうだよ」何か食べたいものある? と問いながら、何気ない調子でそう返す。
佐倉 光
何があるんだろう。と思いつつ、食事より話の方が気になってしまった。
「記憶は戻ったんですか?」
牧志 浩太
「ううん。ちゃんと戻ったりすることはないんじゃないかなって、何となくそんな気がするよ。それでも、大事なことは色々思い出せたけどさ」
懐かしそうに僅かに目を細め、少し遠くを見るような眼をした。
佐倉 光
「そうなのか……」
どうしてこの人はそれでいてこんなに強く優しくいられるんだろう。
「不安じゃないんですか? 色々忘れてしまって」
牧志 浩太
「そうでもないかな。あー、空っぽじゃないんだ、俺の記憶の代わりに先輩の記憶があるんだよ。それもあって、そんなに不安じゃない。
俺の周り、いいやつが多くてさ。俺が色々忘れてても、力になってくれたりしたし。先輩も、佐倉さんもいたし」
牧志 浩太
不安定になったり混乱したり、一方的に知っていることに引け目と寂しさを覚えていたりはしていたけど、初期のときからそんなに不安がってはいなかったよなぁって。
佐倉 光
「……」
羨ましいな、と思った。
自分にはそんな信じられる存在は

さっき見たやり取りを思い出す。
少なくとも目の前の青年と自分とはそういう関係だったはずだ。
互いの危機を命懸けで乗り越えて、それを笑い話にして。
もしかするとたった今がその真っ只中。
KP
佐倉が泣き出しそうな顔で笑った。
佐倉 光
「本当だ。
そんなに不安じゃないかもしれない」
KP
自分の記憶がなく、人の記憶がある、なんて状態、想像もつかない。一体何があったのだろう。
もし話してくれるならきくかな。
牧志 浩太
「それがさ、」
こんな状況だが、時間はないようである。ゆっくりと休養を取るのに、思い出話ってのも悪くない。

記憶をたぐるように、最初から少しずつ話し出すだろう。
自分が「紅」だった時のこと。あの夜目覚めたときから、順番に。

KP
二人休憩中に、ちょっと波照間さんの中継シーン挟みます?
牧志 浩太
おっ、それはやりたい。
KP
外に出っぱなしの悪魔sがお手伝いしてるかな……
牧志 浩太
おっ。なるほど。仲間たちに手伝われて儀式してるシーンは面白い。

KP
では、一方その頃の波照間。

二徹目である。

あなたは紙箱を前に座り続けている。
儀式自体はそれほど難しいものでもないし、特別なことは必要ない。幸いアッタが用意してくれたここは街にあるのが信じられないほど静かで、防音設備があるようにも見えなかったというのに静寂に満たされている。

ただただ、時間が長い。
一応部屋のすみに時計は置かれているが、あなたからは見えない位置だ。
アッタは「時間終わったら呼びにきてやる」とは言っていた。
呼ばれていないのだから終わっていないのだろう。

届け物から戻ってきた仲間たちは何かとあなたがお願いするなら、食事を運んできたりしてくれる。
儀式の初心者向けマニュアルによると、短時間場を離れるのは構わないが、基本的に集中はなるべく続けること。離れるのは最小限にすること。
オムツは使った方がいいかどうかは人によるらしい。

魂などというとらえどころのないものを捕まえる入れ物を作るのは、大変なことだった。
波照間 紅
集中と静寂。

いつ終わるとも分からない、時間も分からない、外部の刺激がまったくない空間で数日。

儀式の真似事は真似事にすぎなかった。本当にやると案外過酷なんだな、と思う。

仲間たちとの会話が丁度いい刺激になったが、あまりそれに頼れば、今度は集中が保てなくなる。

暇になる意識がとりとめのないことを考えた。佐倉さんのこと。牧志のこと。僕は見たことのない、でも確かに存在すると、牧志があれほどの確信をもって語ったもうひとりの牧志のこと。

永劫に何もない場所で存在だけをし続けるというのは、どんな気分なんだろう。
僕は数日で結構過酷だと感じているというのに。

何の変化もない壁にもやもやとした幻が見えるような気がした。錯覚だ。

ここは静かすぎる。
無意識に口から歌が漏れていた。
外に聞こえなければ構わないだろうと、聞こえるか聞こえないかの声で歌を洩らした。
KP
小さな結界内に、あなたの歌声だけが微かに響く。

人間の欲……食欲、睡眠欲、生理現象以外に
時の流れを知ることはできない静かな空間で、
二体の悪魔は黙って青年の背を見つめ、歌を聴いていた。
KP
儀式暇で大変だなぁから何もない世界の孤独に繋がるの、予想外でいいなぁ……
なんか『暇』って言うと楽そうに聞こえる。語弊。
牧志 浩太
暇だと色々考えちゃいますからね……

KP
そして牧志宅。そろそろ昼過ぎだ。
佐倉 光
「牧志さんが一回死んで、悪魔? になっていたなんて」
KP
信じられない、とはもう言わなかった。
佐倉 光
「でも、どうしてだろう、あまり驚いていないんです。
僕はどこかで、そんな人を知っていた気がする」
KP
荒唐無稽な事件をしみ込ませるように彼は呟いた。

ゆったりと茶を飲みながら、
始まりの事件から少しずつ今に至るまでの話をしただろうか。
普段のなにげないことや楽しかった映画のこと、
最近見た面白いことなど語っただろうか。

佐倉はたまに話に反応する。
「それは知っていた気がする」という。

いつ起きたか、誰といたか、どんな流れだったかは全く分からないが、
そんなシーンを知っている。そんな人を知っている。
好きだったような気がする、楽しかった気がする。
彼曰く、デジャヴュのように頭によぎるのだという。
佐倉 光
「僕は本当に忘れているだけなのかも知れない、って、
やっと思えるようになってきました」
KP
そう言う彼は、随分落ち着いたように見えた。
牧志 浩太
「そっか、……、よかった、ってのも変だけどさ。
やっぱり、よかった。

覚えてることがあるとさ、
何となくだけど、実感が湧くよな」

家族のこと。妹や弟のこと。シャンの一件に話が触れたとき、そんな話もしただろう。

死も転換も混乱もない、穏やかな空間で。
いまここの感覚を確かめながら、少しずつ落ち着いてくる彼を見ていると、こちらも気持ちが落ち着いてくる。
儀式終了時 6時
休憩7時間 14時
佐倉 MP 15/15(17/3)
   SAN 60(8/13)
牧志 MP 12/12
   SAN 63
☆ 3
DD 1/4
KP
のんびり話をしながら食事をしたりしていると、だいぶん気持ちが落ち着いてきた。
正体不明の疲労感も抜けている。
佐倉の顔色も随分と良くなったようだ。
牧志 浩太
ふう、と息を吐く。
準備は整った。
このままゆっくり過ごしていたいような気分に一瞬だけ捕らわれて、すぐに振り払う。

「よし。
それじゃ、昼寝と行こうかな」

独特な香りの液体が、瓶の中で揺れた。

※夢の薬を使って寝ます。
KP
起床予定時刻は18時。

佐倉は恐る恐る薬を口にした。
薬は口に含んだ途端あなた方の意識を眠りへと誘う。
飲み込むとすぐに果てしない井戸の底へ落ちてゆくような感覚があった。
ひとこと
佐倉 光
佐倉の記憶喪失がますます深刻化し、とうとう人格まで変わってしまう中、牧志はこの異変について少しずつ理解を深めつつあった。
無数の影の中、彼が求めるものに触れる事はできるのか。

インターバル回。

ぜーんぶ忘れてメガテン開始時よりへにょへにょになる佐倉。
でも牧志なら、牧志ならきっと何とかしてくれる!


【置】CoC【タイマン限2】収録シナリオ『デート or デッド』 佐倉&牧志 2

トイレに行きまくりクソを連呼する佐倉……うーんこの。

【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 2

「佐倉さん、俺は牧志浩太。牧志、って呼んでよ。」

CoC【ワンナイ卓】収録シナリオ『こどもぱにっく!』 佐倉&牧志 3

「その人もきっと『困ってる』んじゃないかな」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


【置】CoC『midnight pool』 佐倉&牧志 1

「僕の仕事、何だったんですか?」
「悪魔退治屋。報酬の多寡は分捕った金次第」
「え? 悪魔って言った? 退治? ぶんどるってそれ強盗では?」

CoC【ワンナイ卓】収録シナリオ『こどもぱにっく!』 佐倉&牧志 1

「ここで飯にしよう!」言って指すのはお子様ランチセットだ! だって玩具がついてるんだぜ!

CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 1

「奇跡の果てにいるのが、伸びた雪女か。いいな、買っていこうかな」