こちらはオリジナルシナリオですが、『静寂舞手』対の棲みか』『瓶の中の君』『地獄はやさしい』のネタバレがあります。
※他のシナリオにも言及していますが、明言されていないものなどは除外しています。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年。
とある事情で一年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
最近、首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がついた。たまに痛むという。
何故か佐倉の中に別の誰かがいることは確信している。

波照間の後輩。佐倉とは友人。

波照間 紅

真・女神転生発のサマナーで悪魔退治屋。弓術を得意とする真面目な青年。
沖縄出身である。

牧志とはとある深い縁がある。佐倉とは仲間。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。

とある事件以来、自分の中に別世界の人間の精神を抱え込んでいる。が、本人にはその記憶はあるがあまり手応えなどがなく、自分の妄想ではないかと半信半疑だった。牧志にそれは存在するのだと言われ、信じることにしたらしい。
現在大怪我をして入院中。
詳しくは『静寂舞手』『1100』あたり。

牧志とは友人。波照間とは仲間。

詳しい事情
別の次元の、滅びた世界にたった独りでいた片目の牧志を救うため、彼の精神だけを自らの体に入れて持ち帰った佐倉。
だが片目の牧志の存在は、佐倉自身には何も感じられなかった。
そのため佐倉は、彼を連れ帰ったことは、彼を救いたいと願った自分の妄想に過ぎないのではないかと疑いを持っていた。

だが、牧志は『1100』事件で片目の牧志と話したこともあり、『静寂舞手』事件において、佐倉が時折彼の知識ではないことを、別人として喋るのを目撃し、また、佐倉と精神が繋がったときに、同様の存在として片目の牧志を知覚したため、彼は佐倉の中に存在していると確信し、佐倉を勇気づけた。


KP
今回の話には波照間さんはあまり絡めないんですが、ご本人(中の人)に最初の目撃者にはなってもらおうかな……
牧志 浩太
お、じゃあぜひ。
顔アイコンも作ってありますしね。チョイ役もまたたのし。
KP
ではお願いします。
牧志 浩太
よろしくお願いします!


『レミングス・ドリーム』


佐倉視点(ネタバレ)
KP
狂気に落ちたため崩壊した世界を作り上げ、
そこにたったひとり存在していた、もう一人の隻腕隻眼の牧志。
あなたは彼を救いたいと欲し、自らの内に取り込んだ。

だがあなた自身には全くそれらしい感覚も痕跡もない。

彼は本当に存在するのだろうか。
牧志の優しい嘘ということはないだろうか。
あなたの中でその疑いは常にくすぶり続けている。
佐倉 光
俺自身が見つけられればきっとこの不安は払拭される。
集中して、自分の内にいるはずの誰かを改めて見つめてみよう。
きっといるはずだ。
KP
あなたは深く集中する。
自らの内にいるはずの誰かを探す。

そして、見つけた。

それは、確かにいた。いた気がした。
しかしあなたの手を巧みにすり抜けた。
佐倉 光
どうして逃げる? やり方を間違えたかな。
まあいい、また今度試してみよう。
声が聴ければ安心できそうだ。
KP
あなたは何故か、理由もないのにどうしようもなく不安になった。

KP
大怪我をして長い眠りから覚めたばかりのあなたには、よく強烈な睡魔が襲ってくる。
そして悪夢を観る。
そのどれもが、最終的にあなたが死んで終る夢だ。
気になるというほどでもないが、起床後しばらく奇妙にけだるい。
佐倉 光
気持ちの良い物じゃないが、まあ、体調悪いときはままあることだろう。
正直病院には良い想い出がないし、それも影響しているかも知れない。
冗談半分に牧志経由で波照間さんに助けを求めたが、連れて来てくれるだろうか、回復魔法持ち。

KP
波照間。
あなたはある日、牧志から連絡を受けた。
佐倉が大怪我で入院していて、しかも助けて欲しい、とのことだ……
入院している病院は、いつもあなた方が世話になる病院とは違う、少し離れた場所にあった。
何でも事件で(また事件だ!)世話になった人のツテなのだという。
あ、いつものBarにいて下さい。
このシナリオは、一つ前のシナリオ『静寂舞手』の直後にあたる。
佐倉は大怪我を負い入院中である。
波照間 紅
いつものBarでナッツをつまみに泡盛を傾けていると、牧志から連絡が来た。
「佐倉さんが入院? 分かったが…… 助けて欲しいって、何をだ? 着替えとか洗濯とかか、それとも別の話か?」

ランドリーバッグと使い切りパックの洗剤と小銭と弓を準備しながら手筈を整え、牧志に確認を取る。
少し前に収納できるようにした弓は、こういう時に便利だ。

それにしても、佐倉さんも牧志も奇妙な事件に巻き込まれすぎる。調べてみても、分かるのは「こっち」でよくある事件ですらないってことだけだ。
僕が「紅」と駆け抜けたあの夜に目にしたようなものに、むしろ近さを感じた。
いつものBar……波照間、佐倉ら真・女神転生TRPGのメンバーがいつも集っている。ここを拠点に様々な事件に当たっている。
紅と駆け抜けたあの夜……『地獄は優しい』事件のこと。
まっとう
牧志 浩太
「入院で助けて欲しいって着替えの世話かな」と波照間が解釈してしまったために妙な持ち物に。
KP
発想が! まっとう!!
牧志 浩太
踏み越える男、まっとうとズレてるの間に垣根がないだけなのでたまにまっとう。
KP
病院から「助けて」が、「とっとと退院したいから《ディアラハン》とか持ってる悪魔連れてきて」だと分かるヤツいねぇんよ。
牧志 浩太
なるほど! 悪魔使いとしては発想がまっとうすぎた!
《ディアラハン》……真・女神転生における回復魔法。強力。
佐倉自身も回復魔法が使えるのだが、なぜか使おうとすると具合が悪くなるらしい。

KP
今日はBarに珍しく来ていたアッタがつまらなさそうにタローをかき混ぜながらあなたに声をかける。
「なんだ、またあいつ変なことに巻き込まれてんの?」
細い指先でカードを一枚つまみ上げ、あーあ、とか声を漏らしている。
波照間 紅
つまみ上げられたカードに、何となく目が行く。
KP
「覗くな、エッチ」
貴方が見る前にカードは魔法のように消え失せていた。
細い指が目にもとまらぬスピードでマシンガンシャッフルを始める。
波照間 紅
何のカードだったのか、と聞く気はあまりなかった。教えてくれるつもりなら最初から語っているだろうし。
アッタ……真・女神転生TRPGにおける悪魔使い関係者。主にサポートをしてくれるが、口が悪くがめつい女性。
KP
アッタはタローを再度引いて渋い顔をすると、舌打ちをしてまとめ、面倒臭そうに身支度を始めた。
そして、酒場を出ようとするあなたの後ろにつく。
波照間 紅
「アッタさん?」振り返る。
「気がかりなことが、あるんですね?」確かめるように。
KP
「まあな」
アッタは面倒そうに息をついた。
それからあなたに手を出す。
「タクシー代。送迎してやるから」
波照間 紅
「ありがとうございます」
素直に、現金とちょっとした茶菓子を渡す。
車なら僕が出す、とは言えなかった。まだ初心者マークが取れていない。
KP
お酒飲んでるじゃん……
波照間 紅
おっと、そうだった。少ししか飲んでいなかったからついうっかりしていた。気をつけなくてはいけない。

……それにしても、気がかり、か。
アッタさんが言うんだから、その内容か気配か、何かを捉えたんだろう。
少し気を引き締めた方がよさそうだ。
KP
「酔っ払いに運転させたってバレると、うちが色々面倒なんだよ」
貴方の心を読んだかのようにアッタは心底面倒そうに唸って、現金と茶菓子をふんだくる。

いつものジュースバーに偽装したバンに乗り込むと、アッタはアクセルをふかす。
彼女の運転は春日と別方向にワイルドだ。
だがテクニックは高く、目的地、あなたが牧志に教えもらった病院にすぐ到着するだろう。
※たぶん本当にバレても店の所在はバレないと思うけど。
波照間 紅
受付で名を告げ、牧志に迎えに来てもらうように頼む。
KP
※佐倉の病室につくまで自由にしていいですが、前話劇中にあった通り、佐倉は寝てしまっています。

いつの間にかアッタの姿はなくなっていた。トイレにでも行ったのだろうか。
一般とは
KP
アッタがいなくなるのは牧志がいるからだよ。
牧志 浩太
それはそう。波照間は気づいてないが牧志は一般人なのである。
KP
〈神話〉知識20以上持ってるヤツは一般人じゃないんだよ。
牧志 浩太
うーん、確かに。
KP
酒場所属のデビルバスターではない、というだけだ。

波照間 紅
牧志の先導で佐倉さんの病室に向かう。アッタさんは…… 連絡手段、あっただろうか。あれば、病室の番号を連絡しておく。なければ戻ってくるのをちょっと待つ。
KP
彼女もスマホは持っている。既読はつかなかったが、まあいつものことだ。通知だけ見て済ます方なのかも知れない。

その日は結局佐倉は目覚めず、ほどなく面会時間が終了してしまいそうだ。
起こす?
波照間 紅
まあ、アッタさんらしいといえばらしい。
スマホをしまい、佐倉さんの寝顔を見る。

大怪我だったというが、こうやって大人しく入院している辺り、危うい所だったんだろう。
……「あの」手合いには、悪魔使いとしての戦術や方法論が通じない。そういうレベルの存在じゃない。

軽く起こしてみて、起きるようなら起こす。
起きないようなら、そのまま寝かせておくだろう。

「そういえば牧志、助けてくれって結局何をだったんだ?」
それだけ確認を取っておく。
KP
牧志も詳しく聞く前に佐倉が寝てしまっているので、何を助けて欲しいのかは分からずじまいだ。
牧志 浩太
「あー、それが聞く前に佐倉さん寝ちゃってさ。俺もよくわからないんだ、まだそんなに日が経ってないし、着替えのことじゃないとは思うんだけど」波照間の腕にあるランドリーバッグを見て言う。
波照間 紅
「おっと、そうなのか。まあ着替えは入用にはなると思うし、これは置いていくよ。しかし、助けてくれか……」

アッタさんが腰を上げてついてくるような理由。一体気がかりとは何なのか、それが気になった。
KP
佐倉は起こしても目覚めなかった。
もしかしたら痛み止めが効いているのかも知れない。
夢見があまり良くないのか、うなされているようである。

そうこうするうちに面会時間は終了してしまった。
波照間 紅
仕方がない。牧志と別れ、アッタさんにそのことを報告する。結局、助けてくれという言葉の意味は分からなかったということも含めて。
KP
アッタからは暫く返信がなく、それからややあって「用事ができたから勝手に帰れ」という素っ気ない返事が来た。
大体病院に着いてから彼女の姿はずっと見かけていない。一体どこにいるというのか。
駐車場のバンの所にもいなかった。
波照間 紅
きっと、彼女の判断で動いているのだろう。バンは彼女が回収するだろうと考え、一先ずBarに戻ることにする。

「……助けてくれ、か」
佐倉さんからはあまり聞かない言葉だと感じた。冗談めかして言うことはあっても。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
面会時間終了後。うとうとしていたあなたは視線を感じて目を覚ます。
なんと部屋にアッタが立っており、あなたをじっと見つめていた。
佐倉 光
わざわざ回復魔法かけに来てくれた、なんてことはアッタに限ってないな。
KP
アッタは厳しい目であなたをじっと見つめると、
「オマエ、まずいもん抱えてんな。活性化してるし。
それ、急いで何とかした方がいいな。オマエこのままじゃ喰われるぞ?」
佐倉 光
「は?」
KP
アッタは、あなたの中には『良くないもの』がいて、それがあなたを蝕んでいるのだという。
一刻も早く取り除くべきなので、明日にでも何とかしてアッタの店に一時移動して治療しよう、と。
前にもそんなことを言われたが、今回のアッタは随分と真剣な顔をしていた。

あなたがふと思い出したのは、砂漠の中に佇む隻腕の青年の姿だ。
佐倉 光
あいつがそんな、俺に害を与える存在には到底見えなかった。
まあそもそもそいつがいるかどうかすら定かじゃないんだけど。
なんだ、アッタのやつ何か勘違いをしているんじゃないのか?
KP
あなたは相当まずい状態にあり、時間に猶予はないという。
あなたには分かる。彼女がああいう言い方をするときはだいたい話が通じない。
それだけ緊急事態であるとも言えるのだろうが。

あなたの中に突如怒りがわき上がる。

彼女は彼を殺そうとしている。
何も知らないくせに。
何も見えないくせに。

あなたの思考はいつもに増して極端で性急だったかも知れない。
まるで何かに導かれるように、操られるように、行動を起こしたかも知れない。
だがそれは滅多に負わない重傷のせいであるかもしれなかった。
大嫌いな消毒薬のにおいのせいかも知れなかった。
佐倉 光
逃げ出すしかない。
時間を稼いで、何とか俺の中にいるあいつがそんな害のあるものじゃないと証明するんだ。
真夜中になったらラミアを召喚。病院から逃げる手伝いをしてもらう。
KP
ラミアはあなたの怪我を見て渋い顔をする。
そうすべきではない、と意見する。
彼女は基本あなたの話は聞いてくれる方だが、
ことこの隻眼の牧志の話をすると、なんとなく歯切れが悪くなる。
「信じない、とは言わないけど、今の坊やの体より優先すべき事には見えないのよねぇ
確かに怪我よりも随分・・調子悪そうに見えるのは確かだしね?」
彼女の目は、あなたの内までも見ているように思えた。

彼女も結局アッタと同じだ。
「もう一人のサマナーの坊やの力でも借りたらどう。仲間なんでしょ」
佐倉 光
確かに、と思う。助けてくれるだろうな、波照間さんなら。
しかしアッタはどんな接点からでも嗅ぎつけてくるだろう。
「駄目だ。波照間さんに話すわけにはいかない」
とりあえず契約ちらつかせて言うことを聞かせよう。
KP
命令、とあれば一応聞いてはくれるが。

KP
あなたは監視カメラを誤魔化し、何とか敷地外に逃げ出した。
丁度良いことにすぐ近くに異界化した通路を発見する。逃げ込むことができそうだ。
幸いここには強力な悪魔などはいないし、インターネットへのアクセスも可能だ。
ラミアに適当に遇ってもらいながら調べ物をすることはできそうだ。
佐倉 光
しばらくそこで時間を稼ぎつつ、
アッタが俺の中にいるやつを何だと思ってて、何をしようとしているのか調べよう。
ちょっとばかり・・・・・・・強引な手段を取ってでも。
KP
あなたは調査を行う。
アッタの話を手がかりにしつつ、あなたがかつて得た知識の断片を手繰り、遂にそれを見つける。

それは全ての人間に巣くうもの。
それは月に棲まい、人間の歴史を常に操ってきた。
それは存在を知った者に狂気を齎す。
見た者を殺す。

愚にもつかないような狂人の記録の中に、それはあった。

普段なら一笑に付すような落書きに、あなたは真実の一端を見る。
これこそがアッタが危惧しているものであると。
佐倉 光
そんな馬鹿な。
KP
知ってしまったあなたの内で何かが蠢く。
見てしまったあなたは殺される。
何故かそんな予感がした。
佐倉 光
そんな馬鹿なことがあるか。
自分が狂気に浸されたような思いにくらくらしながらも、
そうであった場合を想定してメモをつくる。
KP
幸い、その記録を残した者は死に至るまでの時間に
「月からはてしなく離れてしまえば影響から逃れられる」という仮説を立て、その呪文についての情報を断片的に記録していた。
また、その男は悪夢に苛まれていたらしく、夢を共有する薬についての情報も集めていた。
どうやらその方法と思われる本の一部が画像化されていたが、翻訳はされていない。
佐倉 光
作戦を立てよう……
俺の中に存在するかもしれないそれらを倒す方法。
同時に俺の中に存在するかもしれない牧志を守る方法。
KP
あなたが得た神の智の片鱗が、
あなたを導き、同時に狂気へとあなたを誘うだろう。
ひとまずの情報を集め終わった頃、睡魔に襲われたあなたは夢を見る。

KP
翌日……
いつものBARに着くと、アッタが殺気だった顔であなたに近寄ってきた。
そしてよく磨かれた爪をあなたに突きつけるようにして問いかけてくる。
「オマエ、あのバカがどこにいるか知ってるか」

佐倉があの病院から逃げ出してしまい、行方も分からない、ということをあなたは聞くだろう……
波照間 紅
「行方不明……、ですって」
返す声が、強張った。

佐倉さんは理由もなく無茶をする方じゃない。必要があっていなくなったにしろ、意図せぬ事態にしろ、必ず理由がある。

思わず、弓を手元に引き寄せていた。

KP
さて、牧志。

あなたは翌日、誰から佐倉が行方不明だという報せを受けることになるだろうか。
それともあなた自身が知るだろうか。

翌日14時頃に見舞いに行けば、あなた自身が知るだろう。
翌日夕方まで病院に行かなければ、病院からあなたに連絡があるかもしれないし、もう少し早い時間に慌てた波照間から連絡があったりするのかもしれない。
牧志 浩太
その日は朝から大学の授業だった。
授業の合間を縫って見舞いに行く。退屈しているだろうからパズルの本や、ちょっとした話題を集めて。

その日は時間がなくてスマホを見る余裕がなかった。
だから、病院に行って、初めて目にするのだ。

誰もいない病室を。

「……佐倉……、さん」

呆然と呟く。
いくら病院にいたくないからって、傷が残った状態で脱走するなんて、そんなことは考えられなかった。いや、傷はディアでなんとかするつもりだったとしても。

先輩にも俺にも何も言わず、連絡を絶つなんて。

何か、あったのだ。
呆然とする頭の隅でそう思う。

あの、決意の表情が蘇る。
あの時どうして俺は、何も聞かないで。あの時はなんとか生き残ったっていう安堵と、色んな気持ちで一杯で。

微かに頭に後悔がよぎり、
スマホの通知欄が光っているのを見て我に返る。

波照間先輩からの、慌てた様子の連絡だった。

「よし」
探そう。頭を切り替える。まずは佐倉さんからの連絡がないかスマホをチェック。病院の人に話を聞いたか先輩に確認して、聞いていないようなら、聞き込みから開始。それから病室の中を確認。
KP
スマートフォンに連絡はなかった。
コールしても電波が届かない位置にいる、ということになっている。

波照間は人伝に聞いただけなので、現時点では病院にいるあなたの方が知る情報は多いかもしれない。

病院の看護師に話を聞くなら、昼食の時点ではいた、ということが分かるだろう。病院の従業員も探してくれているとのことだが、行方は分からないらしい。
周囲の人にさらに聞き込みを行うなら、何らかの〈交渉技能〉を。

病室は怪我の程度が重かったせいか個室だ。昨日佐倉に繋がっていた点滴などが脇に寄せられている。
窓が開け放たれていて、風が室内に吹き込んでいる。
また、佐倉の荷物が消えているようだ。
こちらを調べるなら〈目星〉
牧志 浩太
ありがとうございます、とまずは探してくれていることに礼を言う。それから周囲を見回した。
「すみません、話を聞かせて下さい。俺の友達がいなくなったんです」

周囲の人達に、まっすぐに話を聞いて回るだろう。

〈説得〉
1d100 75〈説得〉 Sasa BOT 1d100→29→成功
KP
では、隣の部屋の患者から話を聞くことができた。

昨日の面会時間終了後、女性が興奮して怒鳴るような声を聞いたという。
また夜中、何かずるずると引きずるような音とともに、女性と男性が長いこと話すような声が聞こえてきて、うるさいな、と思ったそうだ。

ただその人もずっと眠っていた個室の患者がどういう人なのかすら知らないので、佐倉の声かどうかは分からないのだが……
牧志 浩太
「……女性が? ありがとうございます、」

佐倉さんは昼食の時まではいたらしいから、その時ではない……いや、本当にか? 眠っていたなら確認していないかもしれない、いくつか考えを巡らせる。

その女性が何者かが気になる。
波照間先輩に得た情報を伝え、声の特徴などを聞けていれば併せて伝え、知らないかと聞く。

声は少し震えていたような自覚がある。
それから、いかにも脱走したように見える病室の様子に向き合う。

この病室は何階にあったか。
窓の外の様子も、確認できるなら確認するだろう。
1d100 89〈目星〉 Sasa BOT 1d100→26→成功
KP
ここは3Fだ。
昨日見た状態の佐倉が飛び降りるなり何らかの方法でここから降りるなりするのは難しいのではないだろうか。
窓にほんの僅か血痕が残っていた。
ただ、飛び散ったような物ではなく、血がついたものをこすりつけて付着した、といった感じに見える。

波照間さんは思い当たるものがあればリアル【アイデア】で回答しても良いし、【アイデア】振っても良い。
【アイデア】を振る場合は、昨日夕方の女性の声と、昨日夜中の男女の声については別となる。
夕方の女性の声については+20で判定して良い。
波照間 紅
夕方の声、アッタの声の特徴には該当しますか?
KP
なんだかぶっきらぼうな言葉遣い、よく通る声、昨日帰りにいなかったこと、今日真っ先に連絡してきたことなどを合わせれば、容易に想像がつくだろう。
アッタでまず間違いない。そして失踪に関わっていそうだ。
だが、連絡をいれてみてもうんともすんとも返事がない。
波照間 紅
夜中の声については、片方が佐倉の声かどうかは分かりますか? 女性については心当たりがないので、【アイデア】で判定してみます。
1d100 85 波照間の【アイデア】 Sasa BOT 1d100→43→成功
KP
佐倉の声かどうかはさすがに分からないが、若い男性のもので、声量が低いためよく聞き取れなかったらしい。
また、女性の声と、その時聞こえた何かを引きずるような音はあなたに何かを思い出させるだろう。
佐倉が相棒の……というと本人は否定するが……ラミアを呼び出したとき、彼女の大きな蛇の体が床をする音が聞こえることがある。

もうひとつ気になることといえば、佐倉はああ見えて人目につかずに行動するのが比較的得意だ、ということだろうか。
その技術で、希にどこからか情報を足で稼いでくる、なんて事もあるのだ。
ラミア……上半身が女性、下半身が蛇のをした、古代ギリシアの神話に登場する悪魔。若者を誘惑し血肉を喰らうこともあるという。
波照間 紅
はっ、と気づく。牧志はきっと、何者かが佐倉を引きずって連れ出したんじゃないかと、そう考えるだろう。

だが。
もう一つの可能性がある。そうだ、牧志は一年以上、こちらの世界に触れていないのだ。

「ラミアさんだ」

思い当たった内容を手短に伝える。アッタの事も含めて。
牧志 浩太
伝えられて、少し驚く。
そうか……、そういうことか。
佐倉さんは昨日の夕方、アッタさんと何か言い争って……、そして、その後に脱走したんだ。

ラミアさんの力を借りて。

「佐倉さん……」
一体、そうまでする何があったっていうんだ。それも、ラミアさんと二人だけで。
ラミアが佐倉さんと共に脱走したという前提で、足取りの手掛かりがないか、窓の外の地面などを調べてみます。
KP
果たして、その前提で探すのならば痕跡は見つかるだろう。
窓の下の地面に、広範囲草が折れた跡。
病院の敷地にほんの僅か残る、何かを引きずったような跡。
また、フェンスの一部にほんの少しの歪み。
短時間監視カメラを誤魔化すことは、佐倉ならできたかも知れない。

間違いない。彼は自分の意志でここから出て行ったのだ。


だが……その姿らしきものを見ていた人はほとんどいなかった。
数少ない目撃証言に、大柄な薄着の女性が青年を抱えるようにして連れて歩くのを見た、というものがあった。
しかしその行方は追いきれなかった。
牧志 浩太
知っている。監視カメラを誤魔化すことくらい、佐倉さんなら楽々できる。あの科学技術館の時だって、そうやって入ったんだ。
夜中を選んだのも、きっとそういうことだ。

佐倉さん。
あの傷で、どこに行ったんだ。
助けてって……、早く退院したいから助けてって、そういうことだったのか。

あの時詳しく聞いていれば。
いや。

色々な感情が頭の中を過る。

それを押さえ、先輩に頼んで監視カメラの映像を調べたり、街中で目撃証言を追ったりするだろう。手掛かりが途切れてしまうようなら、何か残っていないか、佐倉さんの家を調べに行く。
KP
手がかりは町の中で忽然と消えている。
まるで異世界に入り込んでしまったかのようだ、と思うかも知れない。
佐倉の家は無人だった。鍵もかかったままだ。
手がかりは途切れてしまったのだろうか。
まるで、自ら何もかもを拒絶しているようだ、と貴方は感じるかも知れない。

あと特にやることがなければ夜になります。
牧志 浩太
前の時のようだ、そう思う。
拒絶され、連絡を絶たれて、──前の時に戻ったようだ。

このまま、拒絶されるままにする?
途方に暮れて、日常に戻る?

あの決意の表情を思い出す。
──そんなこと。

波照間と共に可能な限り探し回って、気がつけば夜になっていることだろう。

KP
夜更け。
一日成果のない捜索をし続けたあなたは、疲労に足を引っ張られるように眠りにつくことになるだろう。
自宅のベッドで眠るだろうか。
それとも、どこかで探し続ける間ふと、眠りに落ちてしまうだろうか。
牧志 浩太
焦りだけが頭の中で回転する。身体がついていかない。
次第に遅くなる歩調に、先輩に忠告されて自宅に戻るだろう。
波照間 紅
「今日は休んだ方がいい。……今日だけじゃないんだ。明日も、明後日も、もしかしたらその後も探さなければならないかもしれない」
牧志 浩太
牧志が波照間を「先輩」と定義したから、波照間の挙動がなんとなく先輩っぽくなってきているの、ちょっと面白い感じではある
KP
数日の間が開いたとは言え、あの大事件の直後だ。
体も頭も疲労で重い。
寝台に横たわってもすぐに眠りにつくことはできず、覚醒と眠りの境も分からぬままに寝返りを繰り返す中、突然に転げ落ちて行く。

KP
ふと気付いたとき、あなたは薄暗く広い空間に立っていた。
そこは最近どこかで見たような気がしてならない。
ぼんやりとした明かりが天から降り注いでいる。
感覚はぼやけ、まるで現実とは思えない。
これは夢だ、とあなたは自覚する。
牧志 浩太
「……」夢だ。
不意に自覚が降ってくる。
薄暗くその広い空間に、思い出すのは少し前の事件のことだ。

あのとき佐倉さんは俺を探してくれた。
なら、今度は。
例え望まれなくても。

そんなことが頭をよぎり、意識的に頭から追い出す。
休もうとしてたはずだ。夢の中でまで考えてたって休まらない。
辺りを見回す。
KP
視界にはうねる黒い闇がひしめいている。
貴方は瞬時に、それが踏み入るだけで致命的な異種生命体であると気付くだろう。

相変わらず視界は暗く狭く、物の詳細が見えない。
しかし気付くことで、闇の向こうに踊る人影が見えた。
距離は、5メートルあまり先か。

特に濃い闇を踏む赤い靴。
だだっ広い広間のそこだけに色があった。
真っ赤な靴と、舞手の体から滴る真っ赤な血。
広間中の闇がそこに押し寄せている。
その空間に音はなく、ただ靴が床を蹴る音だけが不自然にはっきりと響いた。
牧志 浩太
「……あ……、」
あの夢だ。気づく。そうだ。ここは薄暗いホールで。

「佐倉さん!」
自分の手に火かき棒はあるだろうか。
KP
貴方の手には一切の武器がなかった。
背後に半田の姿がないことにも気付くかも知れない。
あなたは闇の中に立っている。
牧志 浩太
何も、なかった。自分の手には何もない。
あの時俺達を助けてくれた人も、いない。
せめて気を引ける物がないか、何か。探す。
佐倉さんの傍らに駆け寄れる場所がないか。
KP
奇妙なことに気付くかも知れない。
あなたは命を守る吸着紙の上にはいないというのに、闇はあなたにいかなる影響も及ぼさないのだ。
これが夢だからだろうか。
牧志 浩太
気づく。踊る人に駆け寄る。その姿を確かめる。
夢だ、と気づいていた。それでも動かずにはいられない。
KP
舞手が踏めども踏めども周囲の闇は減らず、濃くなるばかりだ。
その体に這い上がる闇は次第に足を、体を、腕を、首を覆い尽くして行く。
それでも必死の形相で踊り続けているのは佐倉だった。
牧志 浩太
おおおお~~ こういう!! これは面白そうだし牧志のダメージがすごそう
KP
こんなんです。ごめんね牧志!
でも夢だからね夢!!
牧志 浩太
いいと思います!!
本編では互いの強さで駆け抜けた話の、強くなれないし無力なif、っていうのは面白いし描写が楽しい にこにこ
尽きない闇の静寂でひとり踊り続ける舞手の構図があまりにも美しいのもいい 絵になる
牧志 浩太
「佐倉さん!」
闇を。彼の身体を這い上がろうとする闇を、集まっていく闇を、素手で掴もうとする。引き留めようとする。

掴むことすらできないのなら、自分の腕の皮を噛み切って、その血で闇を引きつけようとする。
KP
あなたの手は闇を、佐倉をすり抜ける。
闇からの影響もなく、あなた自身も影響を及ぼせないのだ。
腕の皮をかみちぎろうとも、痛みもない。
あなたからしたたり落ちる血は無視されてしまう。

そして佐倉の目にあなたの姿はうつっていなかった。
佐倉は喘いでいた。悪態をついていた。叫んでいた。
しかし聞こえるのはただ彼の、
もはやステップでも何でもない、恐慌の足音だけだ。
牧志 浩太
佐倉さん、佐倉さん。
もはや名を呼びながら、半狂乱になって闇をかき集めようとするしかない。何もできることはなかった。声も届かなかった。

無力だった。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
アドゥムブラリがあなたを食い尽くそうと這い上がってくる。
佐倉 光
姿は見えないが、牧志や半田さんがあっちに居るはずだ。
広間中央に向かって叫ぶ。

KP
やがて貴方の手をすり抜け、音もなく黒衣の舞手は倒れた。
彼は最後に広場中央に振り向くようにして、何か叫んでいた気がした。

貪欲な獣のように闇がその体に纏わり付く。
その姿はすぐに見えなくなる。
手応えがなければそれはもう、あなたにとってないものと同じだ。
貴方の周囲にあるのはただ闇ばかり。
牧志 浩太
「あ、」

最後は、呆気なかった。
漏れた声は、途方に暮れたように力の抜けた声だった。

闇の中を、姿を、手を求めて、探る。
ただただ闇ばかりの中を。どこを探せばいいのかも分からないまま、手探りで。

その叫んだ言葉を、せめて耳に捉えることはできただろうか。
KP
音はなかった。故に知りたいなら、倒れる際にその顔を注視して口元を見ていたかどうかによる。
〈目星〉/2。
または〈心理学〉
牧志 浩太
〈心理学〉は/2無し?
KP
そうです。
目は口ほどに物を言う。
牧志 浩太
1d100 77〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→62→成功
彼の姿が闇に呑み込まれてしまう最後の瞬間まで、きっと彼の眼を見つめていたのだろう。
KP
彼が振り向こうとしたのは、ボール・ルームの中央。
現実では丁度あなた方がいたはずの場所だ。
助けを呼んだ、ようには見えなかった。
逃げろ、と口が動いたように思えた。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3
牧志 浩太
1d100 77 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→70→成功
SAN 77 → 76
KP
SAN : 71 → 70
牧志 浩太
『逃げろ、』
最後に彼が発した言葉が、耳が痛くなるほどの無音の中でも、聞こえたような気がした。
KP
そして、そこには誰もいなくなった。
……
〈目星〉を。
アイデアでも良いや……
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→28→成功
KP
あなたはふと、何者かの気配を感じた気がした。
蠢く闇に沈んだ無人のボール・ルームの片隅に、誰か立っていただろうか。
牧志 浩太
途方に暮れかけた心に、はっと何者かの気配が刺し込む。
弾かれたように振り向く。
KP
振り向いた時にはもうそこには何者の姿もなかった。

そして、あなたは唐突に佐倉の部屋に立っている。
牧志 浩太
「えっ?」
唐突な転換に意識がついていかない。はっと、これが夢であるという自覚を思い出す。
そうだ、これは夢だ。
俺は佐倉さんと半田さんと一緒に、あの闇を払って、封じきったはずなんだ。
KP
部屋には明かりがつき、カーテンは閉じている。
乱雑に積み上がった本のエリアと、きちんと片付いた〈コンピューター〉まわりは、いつもどおりの風景に見えた。

そしてPCの前で、佐倉が何やら楽しそうに画面一杯に表示されたコードを眺めてタイピングしている。
コーディングの邪魔だからかCOMPは外されて、手がすぐ届くようなデスク脇に置いてある。

あなたはこれも現実ではないと気付くだろう。
音が全くしないのだ。
耳が痛くなりそうな沈黙の中で、楽しそうにコードを弄る佐倉の姿が見える。
牧志 浩太
「……佐倉さん」

思わず漏れた声は、音声になったかどうかこそ分からないが、自分でも驚くほどの安堵に満ちていただろう。
夢だという自覚がようやく追いついても、目の前で彼が闇に呑み込まれた光景が頭の奥に焼きついて離れない。

ちょくちょく遊びに行って、もう見慣れた佐倉さんの部屋。
楽しそうな彼の姿はどこか静謐でもあって、沈黙も静寂も気にならなかった。
その後ろに座り込んで、何となく画面に表示されているコードを眺めるだろう。
KP
それはちょっとしたジョーク・プログラムだ。
セキュリティキーを全部開けたたり、自己増殖して画像にラクガキをしたり、
文章全てに特定の言葉を混ぜ込んだり、ファイル名を弄ったり。
何の益にもならないどころか恐らく人によっては致命的なウイルスとなり得る『悪戯』をするコードを延々と、
ラクガキをするように書いては消し書いては消ししている。
牧志 浩太
楽しそうだ。佐倉さんはやっぱり、ちょっとした悪戯をしてる時が一番楽しそうだなって思う。

パズルだって数学だってそう。きっと、世界への悪戯なんだろう。
いたずらがき
KP
人がウンコとか描くノリで別に放流するわけでもないウイルスコネコネしてる。
牧志 浩太
楽しそうだなぁ。
ニヤニヤしてそうでとてもいい。
KP
間違いなくニヤニヤしてますね。
たまに厳重なセキュリティにどこまで見つからずに侵入することができるか、なんてゲームもやってそう。
見えたデータをばら撒くとかする気は全くないので、見えたら満足して終わる。
牧志 浩太
ゲームなんだなぁ。厳重なセキュリティとギリギリで競り合ってる時、あの凶悪な笑みを浮かべてそう。
KP
解き明かしたい、知りたい、操りたい、ってそれだけなんですね。
それを使ってなにしたい、ってのはあんまりない。
牧志 浩太
隠されているものは知りたい、絡み合っているものは解き明かしたい、自らの手にないものは操りたい。本当に欲と楽しみが原動力なんですね。そういうところはパズルと数学が好きな牧志と近しいんだろうなぁ。
波照間は手段と技能を共有できる隣に並べる仲間だけど、牧志は佐倉さんのそういう所に初めてついてきた友達なのかな。
KP
パズル作家にでもなれば良かったんだろうけど、スリルがないと燃えないたちなんで……
牧志 浩太
デビルバスターとハッカーに適性がありすぎる。
KP
そういえば牧志ってプログラムとかやらないし、さくらのらくがきコード内容分かったの謎だな。
夢の謎の理解力か、佐倉が落書きであってもコメント丁寧につけるような几帳面さを発揮してたか。
夢だからな!! そう夢。
牧志 浩太
横で佐倉さんのコードを見ていた波照間の記憶が手がかりになって、詳しい理解はできずともなんとなく目的が分かったのかも?

佐倉さんが「そういうことが好き」っていう前提知識はあるわけですし。

KP
ふと、あなたは気付いた。
PC横、寝室へ向かう扉に異変が起きている。
その部分が波打ち、歪んでいた。
牧志 浩太
ふと、歪みに気づく。
そこから青い扉が現れ出るような気がした。
コードを眺めるのをやめて立ち上がる。これがまた夢なら何もできないのかもしれないけど、それでもただ座って覚めるのを待つという選択肢はなかった。
KP
あなたの想像は当たっていた。
歪みが次第に酷くなり、弾けるように扉が中央から周囲へとめくれ上がる。
真っ青な扉がそこに開く。
水をたたえて波打ち、向こう側に村の風景が見える、あの扉だ。
その向こうに、佐倉が立っていた。
牧志 浩太
その表情と体格を見る。あの時出会った、「もうひとりの佐倉さん」、だろうか。
その前に向き合って拳を握る。
KP
あなたは見る。
体格が良かった。腕が太かった。その目には獣じみた攻撃性を宿していた。
これは、シャンに操られた『理想の佐倉』だ。

今ようやっと異変に気付いたらしい佐倉が、声は聞こえなかったが悪態をついて腕輪に手を伸ばそうとしたのが見える。

佐倉シャン』は素早く扉を抜け、部屋に踏み込んでくる。
その行く手を塞ごうとした貴方の体を、何の抵抗も感触もなくすり抜けて。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
同じだ。夢に過ぎない。
動こうとするのをやめて、目の前の状況を可能な限り視界に捉えようとする。
何か一つでも変化があれば、すぐに動けるように。
何か一つでも手掛かりがあれば、残さず捉えられるように。
もしかしたら、現実で佐倉さんに足取りを断たれたのがあんまりにもショックで、こんな重苦しい夢を見ているのかもしれないけど。
また前みたいに俺が空回りしているだけかもしれないけど、それでも動こうとすることをやめられないたちみたいだ。
KP
佐倉が手にしてはめようとしたCOMPを『佐倉シャン』が払いのけ、腕輪は部屋の隅へふっ飛んでいった。
佐倉は銃の隠し場所へ走ろうとするが、その動きを察知していたかのように『佐倉シャン』が回り込む。
逃げ場を失った佐倉は部屋の物を投げて抵抗し始める。
本が、薬瓶が、小型の掃除機が飛ぶ。だが相手には全く通用しなかった。
佐倉は部屋の隅に追い詰められ、腕を掴まれて口を大きく開けた。
悲鳴を上げているのだ、と気付いたかも知れない。

あなたは思い出すだろう。
現実ではこうではなかった。
佐倉が外出から帰ってきたら、何者かが部屋にいたのだ。
最初から追い詰められた状況ではなかった。
牧志 浩太
状況が、違う。俺の夢なのに?
俺は、あの状況を知ってたはずなのに?

ぞくりと嫌な感覚がした。
あの時を思い出す。俺が、こんな事件にも巡り合わず、記憶も失わず、佐倉さんや先輩とも知り合わなかった俺に書き換わってしまっていたっていう、あの時。

もしも過去が変わってしまいうるものなら。
動かないと決めたはずだったのに、思わず身体が動いてしまった。
飛んだ薬瓶を拾って、背中から『佐倉シャン』に投げつけようとする。
KP
あなたの指は、真っ黄色のラベルが貼られた薬瓶をすり抜けた。
先ほどと同じだ。この光景に何の影響も及ぼせない。

佐倉の腕を掴み、胸のあたりを抑えつけ、『佐倉シャン』はサディスティックに笑った。

壁に押さえつけられた佐倉の抵抗は次第に弱くなる。
首を絞められるなどしているわけではない。
ただ、壁に押しつけられているだけだというのに、急速にその表情は虚ろになり、動きが緩慢になってゆく。
その目から光が消え失せ、力が抜け、ずるりと座り込んで膝をつく。
牧志 浩太
「くそ……!」
まただ。夢に過ぎない、これは。
駄目だ。何が起こっているにしても、ただの夢でも、何か、本当にまずいことの予兆だったとしても。
ここで俺が何をしようとしても、意味はない。

胸に手を当てて大きく息を吐く。焦るな、牧志浩太。焦るな、紅。先輩だって言ってくれた。焦ってジタバタしても状況は悪化するだけだ。夢の中でもがいても疲れるだけだ。

目の前の光景を、じっと見つめる。
俺の痛みなら受け止める。ただの夢なら、俺結構参ってるみたいだ、なんて明日先輩に話して気を抜かせてもらおう。
何か本当にまずいことの予兆なら、その予兆を、捕まえる。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
意識を失う寸前、あなたは思うだろう。
これは現実とは違う。
佐倉 光
これはただの悪夢だ。強く意識する。
KP
だがまた、これはただの悪夢ではないことも同時に知るだろう。
あなたが死を迎えるとき、死したあなたの一部は何者かに喰われている。
佐倉 光
なんだ、本当に何かが巣くっているとでもいうのか。

KP
音もなく床に倒れた佐倉の姿が、色のついた砂か何かだったかのようにざらりと崩れ去る。
そしてそれは『佐倉シャン』に吸い込まれていった。
佐倉シャン』は、いや、今や完全なるシャンとなったその男は、
満足そうに笑うと部屋を出て行った。世界を滅ぼす神を世界に降ろすために。

その部屋には最早、佐倉がいた痕跡は残っていなかった。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1

SAN : 70 → 69
牧志 浩太
1d100 76 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→61→成功
KP
あなたが、そういう心構えでその光景を見ていたなら気づけるだろう。
部屋の隅に何者かが立っていた。
そして、こちらを見ていた気がする。
牧志 浩太
まただ。
それが何者なのか、どんな顔をしているのか、どんな意思を表情をもってこちらを見ているのか、捉える。
KP
表情はおろか、体格も性別も分かりはしない。
それはべったりと黒い影だった。
輪郭も判然とせず、その世界にぽっかりとあいた穴のように見えた。
それを視界に収めると同時に怖気が走る。

それはこの世界には異質な存在だった。
そしてあなたはこれを知っているような、奇妙な心地がした。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d5
牧志 浩太
1d100 76《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→19→成功
SAN 76 → 75
KP
では〈クトゥルフ神話〉知識で判定。
牧志 浩太
1d100 22 まさかの〈クトゥルフ神話〉とな Sasa BOT 1d100→79→失敗
FANBOX開設したで
残念!
KP
あなたの本能が叫んだ。
これを知ってはいけない。
牧志 浩太
「(何だ、あいつ)」
べったりと黒い影という姿は、本能的に怖れを抱かせた。
あるべきものが欠落し穴が空いているような矛盾。
脳の予測機能が狂わされるような唐突な状態変化。

怖気が走る。
あれは異質で、異変だ。俺の夢の中に、何かが、いる。

どうして俺は、あれを知ってるような気がしてるんだ。

知っていると感じるのに、知ってはいけないと感じる。
手繰り寄せられないことがもどかしくてならなかった。
KP
それ はあなたに気付いた。
何故かあなたはそう思った。
べったりとその空間に染みついた黒い影が、手にも見える棒状の影を貴方の方へのばす。
牧志 浩太
気づかれた。咄嗟に身構える。
何をどうしても干渉などできなかったはずなのに、どうしてか、世界の矛盾点である「それ」には気づかれたと、そう感じた。

思わず避けようとして、思いとどまる。
「それ」が何であろうと、手掛かりには違いない。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは自らの内に何かを見た。
死んだあなたに取憑いて貪り食う無数の存在を見た。
あなたはそれらをすでに知っている。
ゆえにはっきりと見えてしまう。

それは黒い影のようなもので、あなたの内に無数にこびり付いていた。
それらはあなたをじっと見つめていた。
怖気立つような嫌な感覚がある。

あなたは見てしまった。
そして見られてしまった。
それは隻腕でどこか遠い目をした牧志などではなかった。
あなたは自らの内に巣くう精神寄生体を認識してしまった。
佐倉 光
ちくしょう、俺の中から出ていけ。
KP
あなたの叫び声が全てを揺るがした。
だが影は微動だにせず、あなたを嘲笑ったように感じた。

佐倉は正気度が10減少する。
同時に狂気が発症し、あなたは親しい人のことと近々の記憶をを全て忘却し、記憶の混乱を起こす。

KP
その瞬間。
世界が震えた。
この世界の全てがあなた敵意を持って攻撃的な感情を向けていると感じる。
生物などなにひとつない空間だというのに、拒絶の意志を感じる。
あなたはここに一瞬たりとも存在してはいけない。
一片残らず消え去らねばならない。
牧志 浩太
「ぐ……、」
呻く。それはあらゆる所から刃を向けられているような感覚だった。世界の拒絶に対して、人間ひとりの存在はあまりにも弱々しかった。
KP
叫び声を聞いた。
振り絞るような声で、「出て行け」と。
それは、佐倉の声に聞こえた。
牧志 浩太
「佐倉、さん」
それは振り絞るような声だと聞こえた。
その声がもし、痛みを宿していたのなら。
「嫌だ。佐倉さん、どこにいるんだよ。そんな大怪我して、どこに行ったんだ」
そう応じるだろう。
世界のあらゆる拒絶に、圧し潰そうとする力に、世界全てに厭われる苦痛に耐えながら。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたが目覚めると、そこは見知らぬ・・・・異界であり、あなたをのぞき込む見知らぬ・・・・蛇女の悪魔がいた。
あなたは咄嗟に、この悪魔に拉致され喰われかけている、と思うだろう。
同時にパニックに陥る。
記憶がはっきりしない。自分に何ができるかも分からない。
喰われる前に逃げ出すくらいしかない。
この腹にある痛みはこの悪魔が齎したものだろうか。
佐倉 光
蛇女の隙を突いて逃亡する。
KP
あなたが逃げ出すのを見て、蛇女は慌てているようだった。
最終的にあなたは捕えられ、屈辱的な思いをすることになる。
「困ったわね、あたしが分からないの?」
蛇女の言葉は、信じるに値しないと思えた。何しろ相手は悪魔だ。

蛇女は困り果てた挙げ句、あなたを異界から引きずり出して、いずこかへと運んで行く。
抵抗を試みると蛇の体で締められ、傷が激しく痛んだ。
「おとなしくしなさいよ。本当に死んじゃうわよ」
蛇女は脅しを口にする。

KP
あなたは目を覚ました。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
自分の上げた声の大きさで目を覚ました。
KP
窓の外はまだ暗い。時計を見れば午前四時だ。
全身にびっしょりとかいた汗は、あなたをおおいに不快にさせるだろう。
扉からノックのような音が聞こえる。
牧志 浩太
「夢、か……」

夢の中でどれだけもがいたのだろう。夢の中で姿を見た分、佐倉さんの足取りが掴めないという事実がのし掛かって心が重くなる。

何も進んではいないのだ。

起きるなり日記帳を手に取って、夢の中で見た影のことを書き留める。
そういえば、夢日記をつけると気が狂うなんて噂があったっけ。
夢の中で見たものが何かの手がかりじゃないかなんて考えてる時点で、もう何かずれてるのかもしれないな。

そこでノックのような音が聞こえて、上着を羽織ってドアスコープを覗く。
KP
ドアップのぎょろぎょろ動く血走った目が視界に飛び込んできた。
扉がまた叩かれる。
牧志 浩太
「うわっ」
思わず声を上げてしまってから、
「ごめん、近すぎて見えない。少し離れて」と、相手を動揺させないよう穏やかに声をかける。
突然の来訪者
牧志 浩太
いなくなった人を探している最中だというのももちろんあるけど、基本的に突然ノックしてくる相手にやさしい牧志。
KP
朝四時の来客になかなか扉は開けない…
牧志 浩太
自分自身が変な時間(23時)にいきなり盛大なノックをかましたことが後を引いてる。
KP
警戒以上に、のっぴきならないほど本当に困った人の緊急の用事かもって思えてしまう土壌ができてる!
牧志 浩太
できてる。

KP
あなたが声をあげるとノックが止まった。
そして目が扉から離れる。

それでやっとそれが佐倉だったことに気付くだろう。
怒りと恐怖がない交ぜになった形相の佐倉が、妙な姿勢で立っている。いや、立たされている?

「なによ、いるなら早く開けなさいよ」
聞き覚えがなんとなくあるような女性の声がした。
牧志 浩太
「佐倉さん!」

叫んでしまった。

思わず扉を開けようとして、異変に気づく。ドアチェーンをかけ、扉を少し開いて、外の様子を確認する。
KP
女性のむきだしの胸に、申し訳程度にシーツをかけたようなものが目に飛び込んできた。
その下には、何とも奇妙な蛇皮のマーメイドドレス……だろうか?

「人間に見つかると面倒だから早く入れてくれる?」

苛立った女性の声。
見上げれば、そこに見えたのはラミアの顔だった。
※《SANチェック》は要らんな。波照間の記憶においては仲間だし、あなた自身も少しだけ会ったことがある。
牧志 浩太
「ラミアさん、佐倉さん……」

深く、息を吐く。人が見れば異様だろうその姿に、感じたのは安堵だった。
──ああ、仲間たちだ。

急いで扉を開ける。佐倉さんに事情は聞きたいが、まずは迎え入れなくては。
そうしなければ、佐倉さんが逃げていってしまうような気が、した。
焦りのあまり、ドアチェーンを外す手が少しもつれた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは何処とも知れぬ家のドアに押しつけられていた。
中から慌てたような若い男の声が聞こえる。
佐倉 光
この悪魔のサマナーか? 俺をどうするつもりだ。
俺にこんな事をして、ただで済むと思うなよ。ぶっ殺すぞ。
KP
あなたの凶暴な思いと裏腹に、体の痛みと脱力感、蛇女の馬鹿力は、あなたに僅かな動きも許してはくれない。
あなたは極度の怒りと痛みと緊張のせいか、周囲の話が全く頭に入ってこない。

KP
ドアチェーンが外され、扉が開かれるやいなや
入ってきたのはラミアと佐倉だった……が。
ラミアは長い尾で巻き付けた佐倉を引きずるようにして入ってきた。

佐倉は青ざめて敵意と怒りに満ちた顔をしている。
明らかに彼の意志に反しているのだ。

ラミアは室内に入って佐倉をあなたの部屋の床に転がしたが、
佐倉は床でぐったりとしている。
時折動こうとしている気配はあるが、思うように体が動かせないようだ。
ギラギラした目でラミアとあなたを睨み付けている。

「ありがと。怪我人のくせに強情なのよねぇ」
ラミアは唇をペロリと舐めた。

佐倉から浴びる視線が、少し奇妙なことに気付くかも知れない。
いくら激怒しているとしても、だ。
牧志 浩太
二人が入ってきたのを確認して、扉を閉め鍵をかける。
午前四時、幸いカーテンは閉じたままだ。部屋の電気をつける。

冷蔵庫からポットを出して、いつもの麦茶を入れる。流石に三つも同じグラスはなくて、一つはマグカップになった。

「ラミアさんは麦茶、飲む?」

そう彼女に呼びかけながら、佐倉さんの様子に気を配る。向けられる視線に奇妙なものを感じて、その眼から彼の状態を推し量ろうとする。

〈心理学〉で佐倉さんの意図を推し量ることはできますか?
KP
可能です。〈心理学〉どうぞ。
あ、オープンじゃなくてこちらで振ろう。
🎲 Secret Dice 🎲
KP
Sasa BOT 1d100→69→成功

KP
彼はあなたやラミアのことを知らない。
それどころか敵だと思っている。
だが体の動きを封じられていて抵抗できずにいる。
そのことがさらに彼の怒りと焦燥と敵意を掻き立てている。
そんなことに否応もなく気付くだろう。

彼の目は、今までにあなた方に害を与えてきた悪魔や奇妙なものたちに対するもの、そのままだった。
KP
「お茶ね? 貰おうかしら。もう、尻尾が疲れちゃって」
ラミアはあなたの部屋の一角に窮屈そうにとぐろを巻いて、尾の先で佐倉を押さえつけた。
「あ、そうそう、正気だった坊やからの伝言。
『波照間さんには知らせないで』ですって。
面倒な条件つけるわよね、全くもう」
牧志 浩太
「先輩には知らせないで、か。佐倉さんらしいな」軽く苦笑して、佐倉さんの様子を見やる。

「ありがとうございます。佐倉さんを連れてきてくれて」
麦茶に口をつけて、深く息を吐く。向けられる視線が何であろうと、道が繋がった。できることがある。その事実が何より心を安らがせていた。

自分だって、覚えていないけど、きっと佐倉さんに、見知らぬ人に向ける視線を向けたことがあるのだ。
それでも佐倉さんは諦めないでくれていた。

「それで、あれから何があったのか教えてくれますか?」

そうして話を切り出した。
KP
ラミアは白い喉をそらしてお茶を一気に流し込み、ぺろりと唇を嘗めた。

「そうねぇ、あたしも事情が分かっているわけじゃないのよ。
逃げるのを手伝え、って言われただけだしね?」
そんな前置きをして、ラミアはちらりと佐倉を見た。
視線で殺そうとでもいうような顔をされ、肩をすくめる。

彼女は話し始めた。
昨日の夜、突然異界でもないのに呼び出されたこと。
彼に乞われて病院から脱出、異界に身を潜めたこと。
今朝になって突然、彼が正気を失って逃げ出そうとし、それを捕まえてここまで運んできたこと。

「坊やのなかに良くないものがいて、活性化していて危険だから排除なければならない、と言われたけど、坊や自身はそうしたくない、らしいわ」
ラミアは尾で佐倉の頬をなぞる。

「そうねぇ、アッタには絶対知られてはいけないし、もう一人のサマナーの坊やは、力にはなってくれそうだけど、そこから話が漏れる可能性がある、とか言ってたわね。
特にアッタはわからず屋だ、ってかなり怒ってたわ」
牧志 浩太
彼女の話を、麦茶に口をつけながらゆっくりと聞く。頭の中で手繰り、整理するように。

「良くないものが、ですか。それが何かは、分からないんですよね」

行動を封じられてもがく佐倉を、じっと見る。

「アッタさんには知られちゃいけない……、そうか、先輩はあのBarに行くから。

それで、俺の所に?」

佐倉さんの中にいるもの。佐倉さんが、排除したいと望まないもの。
決めつけはよくないけど、心当たりがひとつだけあった。

ただ、良くないものだ、というのが分からない。
KP
「分からないけど、結構大変な事態でも割とこの坊やたちに任せきりにしてるアッタが自分から出てくるんだから、結構まずいものなんじゃないかしらね?
正直あたしは、アッタに任せるべきだと思うわ」

ちろ、と佐倉を見下ろし。

「ただねぇ、サマナー命令だから。
正直、こんな状態の坊やに契約違反をどうこうできるとも思えないし、さっさと食べちゃうなり、なんなり、できなくもないけど」
彼女はそう言うと意味ありげに微笑んだ。あなたには捕食者の笑みに見えただろう。
牧志 浩太
一瞬、ぞわりと背筋が震えた。──ああ、捕食者の、蛇の笑みだ。
案外慎重っていう方の自分が、そう感じる。

一瞬強張ってしまっただろう頬を軽く叩いて、気を取り直す。

彼女の蛇の眼と、佐倉さんの姿を見比べる。……少し、沈黙が落ちた。麦茶をもう一口飲む。

躊躇った。

俺の考えていることが合っているかどうか分からない。夢で見た光景がありありと蘇る。あの影に俺は怖気を感じた。良くないものっってのは、あれじゃないのか。

ここで頷かなかったことで、本当にそうなってしまうかもしれない、そんな迷いが過る。

排除を望まなかったっていう佐倉さんが、正気だったかどうかも分からない。夢の中で感じた無力さを思い出す。

先輩と違って、俺に何ができるわけでもない。
きっと、俺の手には余ることだ。

躊躇った。
それでも。

「いえ。……アッタさんには怒られるだろうけど。俺も、それが何なのか、佐倉さんが何を望んだのか。

もう少しだけ、探ってみようと思います」

サマナー命令だから、って言うけど。
アッタさんじゃなくて、俺の所に来たってことは。
そう教えてくれたってことは。

俺がそう返すと、どこかで思っていたんじゃないかと、そんなのは自惚れだろうか。
置き卓の利点
牧志 浩太
こういうとっちらかる心情の描写をがっつりできるの、置き卓のいいところですねぇ(牧志の心情が大層とっちらかっている)
KP
とっちらかるだろうなーって思ったし、ねちねち情景描写できた方が楽しそうだと思いました!
牧志 浩太
そう! 楽しい!
これは置きでやってとっても楽しい
あと牧志はサマナーではないけど、悪魔に対する向き合い方が案外バランスのいいことになってるな?? って思いました 波照間の感覚と牧志の慎重さが相克している
KP
牧志君、悪魔に対する恐怖もちゃんと感じてくれるのが大変楽しいですねぇ。
牧志 浩太
そう、自分に戦力がなくてかつ、事件に何度も遭遇してきたから、悪魔に対する恐怖もちゃんとあるんですよね。でも一方的に恐れるだけでもなく、仲間でもあると受け止め対話しようともするという。

KP
彼女は怖気立つような表情をさっと引っ込める。
「そういえば、何か調べ物してたみたいよ。本人が覚えているかどうかは分からないけれど」
牧志 浩太
「調べ物? どこで、何を調べていたかとかって、ご存知ですか?」
KP
「霊がどうとか、門がどうとか。
本人に訊いてみたらどう?」
ラミアは目をギラギラさせた佐倉をあなたの方に押した。
……どう考えても感情はどん底、到底話が通じるように思えない。
やさしさ
KP
実は《悪魔のキッス》とかで麻痺させられまくっているので、佐倉の感情が完全敵対になってる。
牧志 浩太
なるほど《悪魔のキッス》で無理やり取り押さえてきたかぁ。
KP
本気で暴れる怪我人を取り押さえるのを本当に100%力ずくでやると、致命的な怪我をさせてしまうかもしれないし、疲れるからね。姐さんの優しさですよ。
事情知らずにやられる側はたまったもんじゃないけど。
牧志 浩太
確かに。ラミアさんの力でやるとそれこそ致命的な怪我をさせかねないし。
でも事情知らずにされたら《SANチェック》。
《悪魔のキッス》……麻痺を与える。人間の男性にのみ必中。実は必ずしも『キス』という形を取らなくても良いらしい。
KP
悪魔は気まぐれだからなかなか心を読むのは難しいけど、ラミアさんにも〈心理学〉振れるよ。
牧志 浩太
おっ、それはやってみたい。

KP
「手はなくもないわよ?
あたしが噛みついて毒を入れれば、どんな奴でも思いのまま。とっても素直になってくれるでしょうね」
ラミアは蠱惑的な笑みを浮かべた。彼女は噛みついた相手の心を支配することができる。ただ……
「色々と破壊したところに流し込んで屈服させる毒だから、今の坊やにはあんまりお勧めできないわね。そのまま死んでしまうかもしれないし」
牧志 浩太
「あー、いや、それは無しでお願いします」

慌てて制止する。ちらりとその蛇の眼を見やって本気度を推し量る。冗談、だよな?

※という流れでラミアに〈心理学〉を試みます。
KP
Sasa BOT 🎲 Secret Dice 🎲
しんじゃう
KP
ちなみに《魅惑噛みつき》はふつうに大ダメージ出る上成功率50%だから、怪我人にやるもんじゃないね!
牧志 浩太
確かに!!
そういえば結構なダメージでしたね《魅惑噛みつき》
KP
クトゥルフバージョンの佐倉は、健康でも良くてショック、悪くて死亡ですね!
牧志 浩太
しかも反魂香もない! OUT!
KP
ないのだ!
《魅惑噛みつき》……大ダメージとともに50%の確率で麻痺を与える。
反魂香……死者復活の薬。真・女神転生TRPGだったら効果があるんだけどね……

KP
彼女は割と本気だ。
あなたがここで解決する、または解決の糸口を見つけられなければ、命令に背いて殺してでもアッタの元へ連れて行くつもりだろう。彼女にはそれができる。
彼女も佐倉の状態は相当良くないと感じているのだろう。
それでもできる限りは佐倉の命令に従いたいと思っているようだ。少なくとも、今は。
ただ感じ取れるのは、彼女も彼女なりに佐倉を案じている、ということだろうか。
あ、もうひとつ。
彼女は焦っている。
牧志 浩太
……よし、と一度息を吸う。彼女の蛇の眼に一礼し、身体の向きを変えて佐倉さんに向き合う。

案じてくれる先輩がいるような気分だった。それを許して貰えている。最悪俺がしくじったら、ラミアさんにはそれが出来る。

「佐倉さん」
背筋を伸ばした。
一瞬怯みそうになるほどの敵意を宿したその眼と向き合う。
呼びかける。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
ずっとあなたを無視して話し続けていた二人が、ようやくあなたを見た。
話の流れは良くわからないが、この男の方は随分と穏やかな善人に見える。
佐倉 光
善人が悪魔を使って人を拉致するわけがないだろうが。
KP
頭がぼんやりしていて、まともに考えることができない。

佐倉 光
「この悪魔の召喚師サマナーだな。目的は何だ」
KP
佐倉はかすれた声で囁いた。
その返答からあらゆる手段で情報を引き出そうとしているのがありありと分かる。

顔は蒼白で、目の下にはっきりとくまができ、あまり良くないのは身体的にもだろう。
〈医学〉30あるあなたには、佐倉が一刻も早い治療と栄養と休息を必要としているのが分かる。
もう少し詳しく知りたいならよく見る必要があるだろうが、蛇の体の下ではなにも分からない。
牧志 浩太
その様子に否応なしに焦りが湧き上がる。
本当なら、すぐにでも病院に戻ってほしいような状態だと、これまでの出来事を通して傷や疲労を見るのにも慣れてしまった経験が告げる。

「俺は、あなたの敵になる気はない。取り押さえさせてもらったのは、このまま逃げればあなたが命を落とすかもしれないからだ」

死んでしまう、と言えなかったのはちょっとした意気地のなさだった。

「あなたが守ろうとしているものを、俺も守りたいんだ。あなたが調べていたという事を、知りたい」

手を広げ、そこに何も持っていないことを見せる。情報を引き出そうとするなら好都合だ。
伝わってほしいことばかりで、隠すことなんてない。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
目の前の男はあなたに語りかけてくる。
佐倉 光
俺にこんな仕打ちをしておいて今更善人ぶっても無駄だ。
その真意を見抜いてやる。

🎲 Secret Dice 🎲
KP
Sasa BOT 1d100→41→成功

佐倉視点(ネタバレ)
KP
驚くべきことに、この男の言うことは全て真実で裏などない。
彼はあなたに強い親しみを抱いていて、
本気であなたを心配し、あなたの力になりたいと願っている。
佐倉 光
なんだそれは。罠か?
KP
不条理に感じるが、そうではないことが分かってしまう。
この男は裏表のない善人であり、底抜けのお人好しだ。
佐倉 光
状況が良くわからないが、この男から情報を得るなら信頼できる、ということか。

KP
佐倉はじっとあなたの顔を見ていたが、やがて困惑したように顔をしかめた。
佐倉 光
「お前は何者だ?
俺を知っているのか?」
KP
牧志のいい人オーラのセカンドインパクトを受ける佐倉。
〈説得〉くらい振ってもらってもよかったかな?
牧志 浩太
確かに。でもファンブったら……困る!!
全力開示されたいい人オーラが佐倉さんを襲う
牧志 浩太
「俺は牧志浩太、大学生。佐倉さんの友達。
俺から見ると、あなたは佐倉光に見えるけど、それで合ってる?」

見知らぬ相手に接するように接しようとしたつもりが、佐倉さんの友達、と名乗るとついいつもの口調に戻ってしまう。
佐倉 光
「俺が調べていたもの? 何の事だ。
さっきその悪魔が言っていたことか」
牧志 浩太
「ああ、それで合ってる。佐倉さんは今まで何をしていたかとか、そういうのは覚えてる?」
佐倉 光
「友人? 俺に……友人? 馬鹿な」
KP
その目はありありと、『お前が?』と疑念を浮かべていた。
牧志 浩太
「そうだよ」
疑念に動揺することはなかった。
佐倉さんなら、俺が嘘をついてないことくらい分かる。
そんな確信があった。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
この男は真実だけを口にしている。
佐倉 光
間違っているのは俺だっていうのか?
KP
何よりも信じるに値すると感じるあなたの感覚はそう告げてている。
間違っているのはあなただ。
佐倉 光
がっつり矛盾してんじゃねぇか。
KP
あなたがあなた自身に疑いを抱いたとき、あなたは自分が矛盾の塊であることに気付くだろう。
全く記憶も理屈も正常に繋がっていない。
さっきまで知っていると思い込んでいたものが、じつは空洞であることに気付くのだ。

佐倉 光
「俺は……」
言いかけて言葉を止め、
「どうしてこんな怪我をしている?」
今度こそ彼は本当に困惑していた。
「俺は異界に閉じ込められていたから、悪魔に襲われて、記憶が混乱しているのかと」
KP
「だから、違うって言ってるでしょうが。
あそこに閉じこもったのは坊や自身だし、あたしのサマナーは坊やなんだってば。
あたしやこの子のことも忘れちゃうなんて、頭に穴でもあいてるの?」
牧志 浩太
「覚えて……、ないんだな」
少し、落胆が声に滲んでしまったかもしれない。
俺のことを覚えてないのはいい。けど、何を調べてたのかも覚えていないのは痛い。繋がったと思った道が、途切れてしまう。
「……あ、ごめん。
佐倉さんは俺と一緒に事件に巻き込まれて、それは何とかなったんだけど、その時に敵にやられて大怪我を負ったんだ。
それで入院していたんだけど、アッタさんと言い争った後に、突然そこを出ていってしまって……、
ラミアさんの話によると、その後に異界に閉じこもった、んだと思う。

佐倉さんは、どこまで覚えてる? 
自分の名前や過去のことは?
アッタさんのことや、波照間先輩のことは?」

一つ一つ、聞いてくれるかどうか確認しながら言葉を続けていく。取り乱したり、割り込んでくるようなら説明を止める。

言いながら、佐倉さんの腰にポーチがあるかどうか視線で確認する。
(ラミアさんの尻尾が邪魔で、見えないかもしれないけど)
ミニPCを調べさせてもらうことができれば、何を調べていたのか分かるかもしれない。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
牧志と名乗った男の話はあまりにも荒唐無稽だったが、筋は通っていた。
佐倉 光
信じがたいが、情報ではある。ひとまず聞こう。
KP
情報を得ることに集中していたあなたは、自分の体に限界が近づいていることに気付いていない。

KP
佐倉の顔は疑念に溢れていたが、あなたの説明が進む内混乱の色が色濃く見えた。
悪意を感じない相手から記憶にないことを次々聞かされて、やっとその疑念を自身に向けるべきであると気づいたようだった。
ほとんどあなたの言葉に口を挟まず、注意深く聞き続けているように見えたが、唐突に返事がなくなった。
白目を剥いている。

「あら……まずくない?」
ラミアが慌てて尻尾をどけた。
彼の腰にポーチはついている。
質問に対する反応から彼の状態を知るなら〈心理学〉かな。
後で彼が話すのを待ってもよいが。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
慌てて駆け寄り、彼をベッドに寝かせる。
彼の服をゆるめて、体の状態を確認する。

※それどころじゃないので、〈心理学〉はしません
KP
さすがに無理が祟ったのか、傷口が開いている。
だがそれ以上にやつれていると感じるだろう。

〈医学〉ならば詳しい情報が分かりそうだ。
得られる情報は減るが、〈応急手当〉で振り直してもよい。
牧志 浩太
まず〈医学〉で振って、失敗したら〈応急手当〉で振っていいって認識で大丈夫でしょうか?
KP
おっけーです。
手当てしつつ状態を診たことになります。
牧志 浩太
1d100 30〈医学〉 Sasa BOT 1d100→18→成功
牧志 浩太
おおう。
KP
しゅごい。
牧志 浩太
やる気だ。
KP
あなたは自宅にある応急箱でできる限りの処置を行う。
さすがに道具が足りないので完璧とは行かないが、この状況においてベストの処置を行えただろう。
出血は速やかに止まる。

「まるで魔法ねぇ」
ラミアが面白がるようにあなたの手元を覗き込んでいた。

しかし、服に付着した血液量、昨日見た彼の状態、現在の状態を改めて考えてみると奇妙だ。

あなたは彼の状態を見て割と取り返しのつかないレベルの大出血を予想した。
だが思ったより包帯のなかに出血はなく、傷が膿んで熱を持っている様子もなかった。
傷があるにしてもきちんと治療を受け、それなりに回復していたはずの彼が、睡眠や栄養が足りていなかったとしても、ここまで酷い状態になるものだろうか。

あなたは、彼の体を蝕むのは身体的・物理的なものだけが原因ではないのではないか、と感じるだろう。
牧志 浩太
応急箱の中身をひっくり返して、できる限りの処置を行う。
こんな大怪我の手当てをしたこと、ああ何度かあったかもしれない。流れ出す血が止まったのを見て、ようやく息を吐く。
一般人離れ
牧志 浩太
こうやって思うと、成長だけで〈医学〉30ってすごいなと思いますね……。〈応急手当〉30→56もそうだし、本当に命の危機の経験だけで対処の仕方を覚えていっている。
KP
そうなんだよ。牧志君は実戦で命を救う方法を知っていってる。
30って割と日常生活では頼りになる人だと思う。
牧志 浩太
確か50~60あればその技能で何らか仕事をすることができるレベル、でしたっけね。
そう思うと〈医学〉30って、日常生活では割と頼りになる人だ。しかも実戦経験がベースだから、何かあっても不思議なほど落ち着いていそうだし。
牧志 浩太
牧志の家の応急箱の中身が一般人離れしていく予感。
KP
添え木と三角巾が当たり前のように出てくる応急セット。

牧志 浩太
「……」
処置が終わって応急箱を片付けながら、奇妙な不整合を感じた。
顔が紙のように白かった。驚くほどやつれていた。無理をしたせいだとしても、そうだ、あの闇の中で二人踊り続けた時のように、血塗れになっていると思ったんだ。

……佐倉さんの中にいるっていう、“よくないもの” 。
それが、佐倉さんを蝕んでいるんじゃないか。そう感じた。

それならやっぱり、“よくないもの” は、“よくないもの” に過ぎないんだろうか。今更に迷いが蘇ってきて、誤魔化すように机に置いたメモ帳に「応急箱の中身補充。あと道具もうちょっと増やす」と書き込む。

水と簡単に食べられそうな物を用意しながら、改めて彼の顔を見下ろした。
KP
「……それじゃ、後は任せていいかしら」
ラミアが言う。
「実はもうマグネタイトが限界でね、実体を維持できないの。だから波照間の坊やにも話をしたかったのだけれど、仕方ないわねぇ」
ラミアはため息のようなものをついた。
生体マグネタイト(生体磁気)……マグネタイトと言えば酸化鉄のひとつのことだが、それとは別物。
女神転生シリーズにおいては悪魔が物質界(人間界)で肉体を維持・活動するのに使用するエネルギー。主に人間の精気のようなもの。
不足すると悪魔は肉体にダメージを負ったり、維持できなくなったりしてしまう。
KP
ちなみに姐さんが焦ってた原因これ!
早急に誰かには託す必要があったのです。
牧志 浩太
なるほど!
この状態で途中で消えてしまうわけにはいかないですもんね。
牧志 浩太
「……はい、任せてください。
ここまで佐倉さんを連れてきてくれて……、佐倉さんと俺のことを信じてくれて、ありがとうございます」

感謝を込めて、一礼する。
無意識に握った拳の中に、重さを感じた気がした。
ここからは全部、俺の手の中だ。引き際も、俺が見極めなきゃいけない。
佐倉さんがどう言おうと、最悪、俺がアッタさんの所に佐倉さんを連れて行かなきゃいけない。

例えそれが、佐倉さんが助けたいと願ってくれたあいつを殺すことになっても。
KP
あなたの決意を見透かしたように、ラミアはとぐろに両腕をついてあなたに顔を近づける。
「アッタは坊やが思うほどわからず屋でもないし、彼女が考えるよりいい方法でもあれば手を貸してくれるんじゃないかしらね?」
ラミアはすらりと伸びた蛇の尾をゆったりと揺らめかせて伸びをした。
「それじゃあね」
あなたの耳元、そのふたつに割れた舌が触れんばかりの近距離で囁くと、蛇女の姿は霧のように霧散した。
……体に麻痺は起きなかった。
牧志 浩太
「うわっ」
思わず耳を手で覆ったときには、もう彼女の姿はなかった。
うーん、優しい人だけど、やっぱり心臓にはちょっと悪いな……。

「もっといい方法、か」
今の所、見当もつかない。でも、そうだな。俺は一人じゃない。
その方法さえ見つければいい、と言葉を置き換える。何も状況は変わってないけど、気を楽にするってのは大事だ。

佐倉さんの顔色や様子、出血に変化がないかチェックしながら、起きるのを待つ。
とりあえず、買いに行く暇はないだろうから、応急箱の中身は通販しておこう。消毒液、包帯、ガーゼ、添木、三角巾、それから止血道具……。
ガチすぎる救急箱
牧志 浩太
応急箱の中身が一般人離れする、表にも出してしまいました。
KP
やったね今度から自宅で〈医学〉成功したときの回復量が上がるかもよ!
牧志 浩太
やったぜ!
東浪見が遊びに来た時に何かちょっとした怪我したりして、「絆創膏借りていい?」って応急箱開けて「なんかすごいな、牧志んちの応急箱」ってなる。
KP
そうそう、東浪見くんかきたときにそのあまりのガチっぷりに、なにかスポーツ始めた? って訊かれるのはありそうだと思った。
牧志 浩太
「? いや特に」なんて普通に返答して、応急箱の中身がすごいから何か始めたんかと、あーちょっと要ることがあってさ、みたいな話をして、要ることってなんだろ? で話が終わりそう。
牧志自身は色んな所で一般人離れしつつあることに自覚があんまりなさそう。
KP
佐倉がこまめにツッコミを入れなければ……
牧志 浩太
よく一緒に行動しているのが佐倉さんとそこんとこの認識が弱い波照間(とあんまり深入りしない東浪見)だから気づきづらいという一面はあると思うので、佐倉さんにこまめにツッコミ入れてもらわないと……。
※波照間はツッコミ入れてくれないしなんなら一緒に気づかない
東浪見……牧志の友人。スポーツマン。

KP
佐倉は目を閉じたまま眉根を寄せて呻き始めた。
辛そうな表情をして首を振っている。
歯を食いしばり、体をかきむしり、呼吸を乱す。

酷い悪夢を見ていると想像できるだろう。
牧志 浩太
思わず心配になって起こしかけて、酷くやつれていたことを思い出して思い留まる。その様子をじっと見て、もし何か言うようなら内容を聞き取ろうとする。

俺が夢の中で何かを見たように。
“よくないもの” が佐倉さんの中にいるのなら、佐倉さんだって、夢の中で何かと戦っているかもしれない。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは鳥の頭をした神に拷問されている。
その痛みは全身が灼けるようで耐えがたい。
あなたはこの痛みを止めるためならどんなことでもしなければならないと思うようになるだろう。

KP
そうだなー、観察しているなら彼が観ている悪夢の正体が分かるかも知れない。
今回はとても分かりやすいから。

しきりに腕をこする。振り返るようなアクションをする。
やがて突然寝台でのたうち回り、喉が詰まったような声を漏らす。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは遂に気付いた。その手にある短刀を喉に走らせれば苦しみは終わる。
だが、牧志があなたの邪魔をする。
あなたの手から短刀を取り上げようとする。
佐倉 光
邪魔をされて溜まるか。突き飛ばす。
KP
牧志を突き飛ばして、短刀を喉に滑らせる。
その最期の瞬間、ようやっと望みを叶えたあなたの目に、絶望に目を見開いたまま床に倒れている牧志の顔がうつる。
これで良かったのか?
強烈な後悔が、今までの痛みとは比べものにならないほどの苦痛を齎すだろう。

KP
1d6 Sasa BOT 1d6→2
1d100 69 Sasa BOT 1d100→43→成功
FANBOX開設したで
牧志 浩太
夢の中で《SANチェック》してるぅ
KP
あらバレました?
牧志 浩太
それはもう
KP
MP 15→13
牧志 浩太
MPも吸われてるぅ

牧志 浩太
「佐倉さん、」
もしかして、俺が見たあの夢と、同じ夢なんじゃないか。
そう気づく。
きっと、いま佐倉さんが見ているのは、鳥の姿をした神に責め苛まれるあの夢だ。

「佐倉さん!」
そう気づいた時、思わずのたうち回る身体に手を出していた。
肩を掴み、揺すり起こそうとする。
KP
あなたが手を触れると、佐倉は弾かれたようにはね起き……ようとしたのだろうが、体がそれを許さなかった。
彼は目を見開いて苦痛に顔を歪め、息を乱したまま自らの首元に手を当てた。
『夢だったのか?』
自問しているのが表情を読む努力をせずともありありと伝わってきた。

そしてあなたの顔をじっと見つめる。
再び困惑が彼の思考を満たしてゆく。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
この男は夢に出てきた。
夢の中では彼のことを知っていたような気もする。
だがその感覚は覚醒とともに急激に消えていった。

牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん。ラミアさんなら、実体化できなくなって戻っていったよ。水は飲めそう?」
視線を合わせたまま、傍らに用意していたコップを手に取る。
佐倉 光
「お前が夢に……出てきた」
素直にコップを受け取ろうと手を出す。
「お前の言っていることは正しいのか。それならどうして俺は」
あなたの言葉を確認するように、佐倉は周囲を見回した。
牧志 浩太
「俺が? どんな夢だったんだ? あ、苦しい所は端折っていい。何か気になる所、例えば見慣れないものがいたとか、そういう所があったら教えてほしい」
コップを手渡す。佐倉の夢の内容を察している、ということが言葉から滲み出てしまっていたが、自覚はなかった。

「俺に分かるのは、俺が嘘をついたり、佐倉さんを害するつもりはないってことだけかな。何があったのか、佐倉さんの覚えてることを聞かせてほしい」
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
さっきこの男が話した内容に、夢が一部似ている。
あれがもし俺の記憶を夢に見ているんだったら、こいつは何か知っているかも知れない。
あえて嘘を言って反応を見よう。

佐倉 光
「砂漠の中で拷問を受けて……それに耐えかねて自刃する夢だ」
彼が記憶を整理するように淡々と呟く。
「お前の姿もあったな。拷問に加わっていた」
何故かじっと見られている、と思えるかも知れない。
牧志 浩太
それは佐倉さんから? 他の場所から?
KP
佐倉から。
牧志 浩太
「えっ、俺が?」
驚いて目を見開く。俺が?

「ちょっと衝撃的だな……。佐倉さん、その夢に見慣れないものはいなかった? あー、見る余裕なんてなかったかもしれないけど。

俺も一度、似たような夢を見たんだ。佐倉さんが……、何度も死ぬ夢。
その夢の中には、べったりとした黒い影みたいな、異質な奴がいた」

その視線にはどのような感情が乗っていると感じますか?
KP
観察されている、と感じる。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
影についてはあなたに覚えはない・・・・・・・・・

佐倉 光
「衝撃的? そうか?
本来どうあるべきだと思った? まるで知っているみたいだな」
彼はそう問いかけてくる。
あなたが影のことに言及するなら、かすかに首をかしげた。
心当たりがないのかも知れない。
牧志 浩太
「その夢の内容は、佐倉さんと俺に起きたことだ。
でも、俺が見た夢もそうだったけど、結果が違う」

その時に本来起きた事を手短に説明する。
自分が見た夢の内容と、本当はどうだったのかも。
KP
つまり、事件で呪われてそういう幻覚を見て、自刃しかけたのを止めたのが事実だったはず、とか、
さっき観たダンスホールで彼が死亡する夢を見たけど、本当は仲間三人いて、闇は撃退できたはず
そういったことを説明したと言うことでよろしいですか?
牧志 浩太
そういったことを説明したということでOKです。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
牧志は、あなたが夢に見た内容を正確に語って見せた。
さきほど彼が話していない内容までもだ。
佐倉 光
俺の夢を知っているのは間違いないのか。
そしてそれは現実と一部違うはず?
KP
あなたの記憶は断片的になっていて、事実との照合が難しい。
ただ相変わらず牧志に嘘をついている様子はない。
彼の言うことは本当だと考えるのが一番合理的なのだ。

KP
あなたの説明を聞いて、佐倉は随分と難しい顔をしていた。
それからぽつりと呟いた。
佐倉 光
「どう解釈したらいいのか良くわからないが……お前の言っていることを信じることにする。
それと……」
KP
佐倉はあなたの顔を見て少しばつの悪そうな顔をした。
佐倉 光
「さっきの夢の話、ウソだ。
お前は俺を止めようとした。けど、俺はお前を突き飛ばして、喉を切った……
どうしてお前は俺の夢を知っている。
俺が記憶を夢に見ているとして、お前には正しく現実に起きたことの記憶がある、そこまではいい。
ならどうして俺が夢で見た、『事実と違うこと』まで知っているんだ」
牧志 浩太
「えっ、それって」
驚いた。もしかして。
「佐倉さんも同じ夢を見ていた……、いや、違う。
佐倉さんの夢を、俺が夢として見ていた?

そうだ、最後に佐倉さんの声で、出ていけって言われたんだ。

ちょっと自分でも変なこと言ってるとは思うんだけど、俺が佐倉さんの夢に、入ってしまっていた? んだとすれば、辻褄は少し合う。いや、どうしてそんなことになったのかは分からないけど」
変なこと言っている自覚はある。
でも、一度声に出してしまうと止まらなかった。
KP
佐倉は「何を馬鹿な」のようなことを言いかけたに違いなかった。
だがすぐに顎に手を当て考え始める。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
俺自身がおかしい、俺の記憶が壊れている、牧志は正しいことを言っていて、俺に協力しようとしている、という前提に立って考えた方が良いみたいだ。

KP
「どうやら俺の記憶は欠けているみたいだ。
さっきの話から考えれば……」

彼は語る。
大体の記憶は残っているが、あなたや波照間、ラミアなど、近しい人の記憶は消えている。
ただ、体験したこと全てが消えているわけではなく、
誰と行ったかがぼやけて抜けてしまっている。
例えば3日前の事件については半田のことは覚えている。
だが、誰と一緒に巻き込まれたかはあまり記憶にない、といった風に。

佐倉は「疑って悪かった」とあなたに謝った。
相変わらず記憶が戻る気配はないが、貴方の言葉を信じることにしたらしい。
佐倉 光
「夢については俺にも解らない。ただ、死ぬ夢はずっと見ている。
そうだな、おそらく入院した頃からだと思う。
夢の中で死ぬ度に、少しずつ俺自身が削られていっているような気がする。
もしかすると記憶の欠けもそのせいなのかも知れないな……」
牧志 浩太
「いや、いいよ。佐倉さんが俺のこと、信じてくれてよかった。
……俺達のことだけ、忘れてるってことなのか。
かもしれないな。じゃあ、その原因を見つけないとな」

いつも使っている日記帳を取り出す。
佐倉さんが死ぬ夢を見始めた時期や、今起きていること、経過した日数などを図に起こしていく。

そうしていると。
ようやく合流できた、そんな気がした。

牧志 浩太
「佐倉さん。ラミアさんからいくつか聞いた事があるんだ。
佐倉さんの中に、“何か” がいるらしい、ってこと。それが何か良くない影響を及ぼしているらしいこと。
でも、佐倉さんはそれを排除することを望んでなかったらしい、ってこと。

それから、佐倉さんが記憶を失う前に、何か調べてたらしい、ってこと。
佐倉 光
「俺の中に誰かが? ああ、そのはずだな。
誰だったかは覚えていない。
というよりも忘れたみたいだな……
ただ、大事なことだった気がする。
絶対に守らなければならないと感じるんだ。
それが誰かも分からないのにそう感じるのは奇妙なことだし、それに疑いを持たないのもおかしい。
やっぱり今の俺はおかしいんだな」
KP
佐倉は自分の中を見つめるようにしばし目を閉じていたが、それ以上は思い出せなかったらしい。
牧志 浩太
「でもさ。絶対に守りたかった人が、佐倉さんに死ぬ夢なんか見せたり、削ったりするのは変だと思う。
もしかすると、いま佐倉さんを蝕んでいるのと、その人とは別のものなんじゃないかな」

希望的観測が混じってしまっている、という自覚はあって、なんだか微妙な言い方になってしまった。ううん。

その調べてた内容が気になる。いつものミニPC、持ってるよな?
何か痕跡が残ってないか、見てもらっていいかな」
KP
佐倉はあなたの言葉を受けて、PCを引っ張り出した。
そして暫く操作していたが、驚いたように声を上げる。
佐倉 光
「記憶にないメモがある。作成日は昨日だ」
牧志 浩太
「えっ。佐倉さん、それ見てもいい?」
そんなことを考えていたのも、佐倉さんの言葉で吹き飛ぶ。許可を取る言葉と同時に、思わずもう覗き込んでいた。
・そのメモを見ようとします。
KP
佐倉はあなたがのぞき込もうとすると、反射的に画面を隠す。
佐倉 光
「俺そんなことまで許してた?」
KP
ジト目で言われたが、いつもは基本パスワード入力中でもない限りは覗いていて何かを言われることはない。
事件解決のための情報交換時などは尚更だ。
牧志 浩太
「あっ……、ごめん。気が逸ってた」

思わず取ってしまった行動を謝る。佐倉さんは俺のこと知らないっていうのに、覗かれたら嫌がるよな。

それから、今度はちゃんと許可を取って横から覗く。
KP
メモには簡素な文章が記されている。
『魂の束縛』
 蓋のある容器に魂を捕える(影響不明。すぐ開ける)
 三日間の儀式(波照間さん 難
 精神のガード オニ
 魂を見つける(牧志(危険。正体を知らせない方法?)
KP
あなたが覗くのを渋々了承したらしい佐倉は、しばらくメモを見つめてぶすっとした顔で呟いた。
佐倉 光
「まともなコメント付けろ。分かんねぇんだよ、これじゃあ」
牧志 浩太
「蓋のある容器に魂を捕らえる、三日間の儀式をする、精神をオニに守ってもらう? 、それから。魂を見つける? って四つの方法を考えてたのかな。
それか、一つの方法に四つの順番があるのか。

どの方法にも何かしら難があったみたいだ。影響不明……、っていうのが、佐倉さんへの影響なのか、その『魂』への影響なのかは分からない。

二つ目の方法は、単純に難しいってことなのかな。

三つ目は何も書いてないな。

四つ目は、危険?」
佐倉さんとの共有の意味も含めて、思いついたことを声に出す。
佐倉 光
「少なくとも、お前や波照間って人の力を借りるつもりはあったみたいだな……
俺ならこれだけってことはないだろう、このメモを書いた根拠があったはずだ。
魂の束縛、って言葉を俺が言っていたことはないのか? 聞き覚えは?」
KP
あなたは覚えているだろうか。
【アイデア】
もし牧志がその言葉を聞いたことがあるはずだ、とあなた自身が思うなら判定なしでも良い。そのときのことを指定すること。
ミス!
KP
あ、これ「束縛」についてはないわ!!
失礼しました。
でもヒントにはなるかも。
牧志 浩太
なかった! 似たようなものはあったけどそのものなかったよなー? と考えてたんですが、似たようなものでもいいのかしら
KP
よいですよ。
やっぱり夜中に書くとダメだな!
牧志 浩太
思い当たるのは、
 ・「地獄はやさしい」のときの「魂の監禁」
 ・「瓶の中の君」のときの瓶型捕縛装置
あたりですね。後者の方が近いかな?(合ってたらRP入れたいです)
KP
どちらも話題に出していいんじゃないですかね!

KP
※昨日の夜になって使用するものを変更したらこんなことに。
牧志 浩太
※なんと
アドリブで変更してやらかしちゃうのたいそう分かる
KP
元々使う予定だった奴だとまとまりなくなるなーって
牧志 浩太
なるほど

牧志 浩太
「魂の? なんだか懐かしいな。あ、でもあれは魂の『監禁』だったから、違うか。肉体を移る能力を持っている化け物を、肉体の中に閉じ込めるって呪文だったんだけど。

蓋のある容器に閉じ込めるってのは、前に見た瓶に似てるな。あれ、佐倉さんが瓶の中に閉じ込められたやつ。呪文を唱えて瓶の口を向けると、瓶の中に人を閉じ込められるっていう」

魂の束縛という言葉から、最初の思い出はすぐに出てきた。
しかし、よく考えればだいぶん違うなと思い直して再度考えたとき、思い浮かんだのはあの「瓶」だった。
起きたことそのものは覚えてるって言ってたよな、と探りながら口にする。
魂の監禁
牧志 浩太
魂の監禁なんて呪文の話をする時に、出てくる言葉が真っ先に「懐かしい」っていう。
KP
酷い目にあうある意味発端なのになぁ。
紅が産まれた原因でもあるけど。
牧志 浩太
発端なんですけどね。まぁ悪感情がない。

魂の監禁……『地獄はやさしい』より。ある生き物が別の生き物へ移動する力を破壊する呪文。牧志が今の牧志になったことについて深い関わりがある。
瓶への捕縛……『瓶の中の君』より。捕縛装置に縮小した対象を捕えることができる。佐倉は以前これで瓶に閉じ込められたことがある。
佐倉 光
「瓶?
ああ、あったなそんなことが。あのときに一緒だったのはお前だったのか。
あれは、実体を瓶に封印する、みたいな。
どっちも呪文だな?
とするとこれも呪文の名称なのか……」
KP
佐倉はぶつぶつ言いながらPCの中に手がかりがないか探し始めたようだ。
佐倉 光
「俺の書き方からすると、色々と難しいにしてもある程度の道筋は整っていたと思う。
誰か見ていた奴でもいれば良かったんだけど、あの悪魔は俺が何をしていたかまでは知らなかったようだしな」
KP
あなたが何か取りたい行動、行きたい場所などがあればどうぞ。
そろそろ朝の五時半頃になるだろうか。
牧志 浩太
「だな、ある程度方針を検討してたみたいだ。
そうだ、佐倉さん、何か食べられそう?

異界に閉じこもってたってことは、何も食べてないんじゃないかな。
俺もなんだか腹減ったし。入りそうなら何か出前頼もう」

・やること:朝食を食べる
・「魂の束縛」という呪文について、〈クトゥルフ神話〉で何か思い当たりませんか?
KP
なるほど、どちらもok。
佐倉 光
「ああ……腹は減ったな。そういえばずっと何も食べていない」
牧志 浩太
「だよな。何か食べたいものある? 脂ものじゃない方がいいとは思うけど」
佐倉 光
「こういう時は蕎麦やうどんあたりなのかな?」
牧志 浩太
「お、饂飩いいな。それにしよう」

言いながら大盛りうどんを一杯注文。今の佐倉さんがどれくらい食べられるか分からないから、必要な分だけ分けよう。足りなかったら追加で何か食べてもいいし。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉 光
牧志の話を聞き、見ていると、やはり俺達は友人だったのかも知れない、という思いがゆっくりと腑に落ちてくる。
だとしたら俺は、いい友人を持っているんだな。

ごはん
KP
※病院で昼食までいた、ってやつ、実際脱出したの夜中だったら、医療機器誤魔化して寝ていたことにしても、看護師の見回り兼検温とかあるはずなので誤魔化せるわけないんだよな! って思いました。
佐倉が身元の分かる物持ってなかったから連絡遅れちゃったって事で!!
牧志 浩太
※はーい!
ここで呪文のことを考えながら「ご飯食べよう」って発想を出せる牧志
KP
地に足がついてる。
でも実際ご飯は重要。
牧志 浩太
重要。一般人離れした発想と地に足がついた所に矛盾がないのが余計に異様ともいう。

牧志 浩太
タブレットPCを引き寄せて出前のページを開きつつ、〈魂の束縛〉なる呪文について思い当たることをたぐる。
1d100 22〈クトゥルフ神話〉 Sasa BOT 1d100→26→失敗
牧志 浩太
惜しい!
KP
惜しいな。
牧志 浩太
「そういえば佐倉さん、家には戻ってたのかな。脱出して異界に閉じこもってたってことなら、戻ってないかな」
佐倉 光
「家に戻った記憶はない。忘れているだけかも知れないけどな。
そもそも俺はどうして異界に閉じこもってたんだ」
牧志 浩太
「これは俺の想像になるから、全然違うかもしれないって前提で。

可能性、二つあると思う。
一つは佐倉さんを削っている何かからの干渉を防ぐため。
もう一つが、アッタさんから逃げるため。アッタさんのことは覚えてる?」

饂飩食べつつ、波照間とラミアから聞いた内容を一通り佐倉さんに伝えます。

(・夕方から夜にかけて何があったか
 ・アッタと言い争っていたこと
 ・よくないものがいるが、佐倉さんは排除を望まなかったこと 等)

 こうやって話していると、佐倉さんが戻ってきた、と感じる。
記憶はなくても、信用してくれてよかった。
KP
佐倉はベッドにほぼ横たわった状態で、壁に肩から上を寄りかからせるようにしてPCを叩いている。
食事をするときはベッドからなんとか降りたが、まだかなり辛そうだ。
佐倉 光
「誰かから逃げていたのは覚えている。敵じゃないけど今は会いたくない、って感じだ。
アッタってそいつのことなんじゃないかな。
波照間って人は助けて貰えそうだけど、
アッタって人と繋がりがあるから会いたくないってとこか」
KP
疲れたのか、佐倉はベッドに横たわった。
佐倉 光
「話聞いてると、その時の俺は随分興奮して、
まともに考える余裕がなかったんじゃないかと思える。
もう少し情報共有すりゃ良かったのにな。
そのアッタって人や波照間さんとも。
……なんだか面倒なことになって、悪い」
牧志 浩太
「俺が聞いたのもそんな感じだったから、合ってると思う。
いいよ、面倒事なら慣れてる、っていうのも変だけど慣れてる。
佐倉さんが見つかっただけで、こうやって話せるだけでほっとしてるんだ」
KP
佐倉はPCを示して、「これ、お前の連絡先だろう?」と通信記録を見せる。
最近頻繁にやりとりした形跡が残っている。
もちろんそれはあなたのものだ。
牧志 浩太
PCを覗き込む。
「ああ、俺のだ」
自分のスマホを取り出して、内容を照合する。
KP
間違いなくあなたとの記録だ。
佐倉 光
「そうか。ここに未送信のデータがあるんだ。
今送るから、確認してくれ」
KP
あなたのスマートフォンに受信の通知が鳴る。
佐倉 光
「俺は少し、疲れたから……」
KP
言葉が終わる前に、佐倉は目を閉じてしまった。
牧志 浩太
頷く。
また目を閉じてしまった佐倉さんを見下ろしながら、スマホを確認する。

苦しそうに目を閉じる様子を見下ろしていると、また焦りが湧いてきた。焦るな、と自分の頬をぴしゃりと叩く。いつもなら佐倉さんが、焦るなよなんて言ってくれる所かなと思う。
KP
『夢の薬』
ラベンダーとアキノワスレグサを然るべき呪をかけつつ鎖編みして一年乾燥させた物を砕いた粉
 ザントマンの砂で代用

100年以上前に作られた鏡
 注文済 明日着

混ぜ合わせて呪文を唱える。所要時間は五時間。


画像データが数点添付されていた。どうやら古い本を写した物であるらしい。
だいぶ字がつぶれてしまっていてかなり読みづらい。
そもそも何語で書いてあるのかも良くわからない……と思ったが、何故かあなたには見覚えがあると感じる。
佐倉がうなされ始めた。
牧志 浩太
それはアルファベットで書かれていますか?
そうであれば、
 ・読めないのに見覚えがあると感じる所から、ラテン語ではないか、と見当をつけることはできますか?
 ・先頭の一文くらいをDeepLに入力して自動判別させ、何語か判別させます。

佐倉さんがうなされ始めたら上記の作業を切り上げ、その顔色や様子、寝言があれば発言などを観察します。

「(夢ったって一日一度じゃないのか、頻度が高すぎる……、)」
これまで見た夢の数を数える。闇の中で踊る夢、もうひとりの佐倉さんに殺される夢、鳥の神に拷問される夢。

覚えていればだけど、どれだけ死ぬ夢を見たのか起きたら聞いてみよう。発生頻度とか、分かるかもしれない。規則性があればだけど。
KP
それはラテン語だ。
KP
※DeepLって精度どれくらいなんだろうな。
牧志 浩太
※あ、でもラテン語はそもそも対応してへんみたい
KP
じゃあ波照間の経験から推察できたんだろう。
一応Googleさんが対応してるのは知ってたから調べずに通しちゃったw
牧志 浩太
直前のしじまのおどりこでも似たようなことがありましたし、推察できたということでお願いします……。
牧志 浩太
入力してみてもよく分からない判別結果が出てくる。
あ、そもそも対応してないのか。意外だ。
Googleに頼るとどうも、ラテン語らしい。読めないのに見覚えがあるという感覚をその結果は補強した。
先輩に読んでもらおうか。佐倉さんがここにいることは隠した方がいいだろうけど、「突然佐倉さんからメッセージが来て、こんな内容が書かれていた」くらいなら大丈夫じゃないだろうか。
これをどうするかは、起きたら当人に一応相談しよう。

そんなことを考えつつ、うなされている佐倉さんの様子をじっと観察する。
ひとこと
佐倉 光
突然病院から姿を消す佐倉。
その足取りを追う牧志。しかしその行方はようとして知れず。
疲れ果て眠る牧志は、夢の中で佐倉と出逢う。
佐倉は、死んだ。


佐倉の中の人、CoC初自作シナリオです。

話の流れで、
延々と死に続ける相手を助けるために足掻くの楽しそうじゃない?
折角なら今までのシナリオのifルート見られたら楽しくない?
というわけでこんな感じになりました。

最初はうまいこと他の人にも回せる感じのネタにするつもりだったんですけど、色々練り込むうちに、この二人じゃないと成り立たないシナリオになってしまいましたね。
もうそれを良いことにメガテンネタ・今まで歩いて来たシナリオのネタをこれでもかと突っ込んでいます。
まあそれはそれで楽しいのでヨシ!


【置】CoC『俺の部屋のカーテン幅が足りないんだが』 佐倉&牧志 4

戦うことも逃げることも、ましてや衝動に従うことも許されず……

CoC『対の棲みか』『第二話 うたかた箱』牧志&佐倉 3

「そんなに守りたいものが増えたのですか?」

CoCキャットゥルフ『それは月明かりの下で』 ユキ 2

あなたは《月への跳躍》ができる特別な猫だ。
いつもより少し難しくはなるが、夢の世界へ行くことはできるかも知れない。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoC『キルキルイキル』海野と渡川『キルキルイキル』1

(ちなみにエロ本はどちらに)
拘りますな

CoC『VOID』継続『迷い家は桜の先に』 結城&ヴィキ 1

「これ、科学の敗北、ってやつじゃない? ひょっとして」

【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」